JP5683152B2 - 金属表面処理剤、表面処理金属材料、および金属表面処理方法 - Google Patents

金属表面処理剤、表面処理金属材料、および金属表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、クロムを含有しない金属表面処理剤、該処理剤を用いて得られる表面処理金属材料、および金属表面処理方法に関する。
従来、家電製品用鋼板などに代表される鋼板としては、耐食性を向上させる目的で、6価クロムを主要成分としたクロメート表面処理剤によるクロメート処理が施された鋼板が幅広く用いられていた。
一方で、6価クロムの有毒性によって環境汚染が引き起こされる問題が指摘されている。近年、その解決方法として、クロムを含まない金属表面処理剤を用いた、ノンクロメート表面処理技術が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、「少なくとも1種のバナジウム化合物(A)と、ジルコニウム、チタニウム、モリブデン、タングステン及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属化合物(B)とを含有する金属表面処理剤」が開示され、この「バナジウム化合物(A)」としては、メタバナジン酸アンモニウム、バナジウムオキシアセチルアセトネート等が挙げられている。
また、特許文献2には、「(A)ペルオキソバナジン酸、(B)チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物、必要に応じて(C)水溶性又は水分散性有機樹脂を含有する金属表面処理用組成物」が開示されており、この「(A)ペルオキソバナジン酸」は、メタバナジン酸アンモニウムを過酸化水素と反応させることにより製造される旨が記載されている。
さらに、特許文献3には、全体溶液100重量部を基準に、エポキシ基を有するシラン化合物及びアミノ基を有するシラン化合物またはこれらの加水分解縮合物5〜30重量部と、バナジウム化合物0.1〜5重量部と、マグネシウム化合物0.1〜5重量部と、有/無機酸1〜10重量部と、架橋促進及びカップリング剤0.05〜2重量部と、消泡剤0.01〜1重量部と、ウェッティング剤1〜2重量部と、残りは水とエタノールからなるクロムフリー低温硬化型金属表面処理組成物が開示されている。
特許第3851106号明細書 特開2009−174051号公報 特開2008−544088号公報
金属表面処理剤から得られる皮膜には、加工性、耐熱性、導電性、耐食性などの性能が要求される。近年、精密機器、OA機器、白物家電等の汎用家電分野で金属材料を使用する際には、特に、耐食性のほかに、帯電防止の観点から導電性に関する要求レベルが高まっている。また導電性と共に、種々の形状への加工要求の高まりに伴い、曲げ加工時の割れ抑制といった加工性に関する要求レベルも高まっている。
本発明者が、特許文献1,2で用いられているメタバナジン酸アンモニウム、バナジウムオキシアセチルアセトネート等のバナジウム化合物を含有する金属表面処理剤についてさらに検討を行ったところ、この金属表面処理剤から得られる皮膜の耐食性、加工性および導電性は、昨今要求されるレベルには到達しておらず、改良が必要であることが明らかとなった。
一方、本発明者が、特許文献3に開示されるような、シラン化合物を含む金属表面処理剤についてもさらに検討を行ったところ、処理剤の貯蔵安定性や、この金属表面処理剤から得られる皮膜の諸特性(例えば、耐食性、耐熱性など)も、実用上必ずしも満足できるレベルに達していなかった。
なお、導電性を向上させる方法として皮膜を薄くする方法があるが、該方法では耐食性が低下してしまう。また、加工性が得られるように金属表面処理剤に樹脂等を配合すると、耐食性・加工性の良好な薄い皮膜の形成が期待されるが、導電性が低下してしまう。このように、導電性、加工性、および耐食性のすべての項目を高いレベルで満たすことは困難であった。
このように、従来の公知の金属表面処理剤は、クロメート皮膜の代替として使用できるような、加工性、耐熱性、導電性、耐食性に優れた皮膜を形成させることができるとは言い難く、これらを総合的に満足でき、かつ、貯蔵安定性に優れた金属表面処理剤の開発が強く要望されていた。
本発明は、上記実情に鑑みて、耐熱性に優れると共に、特に、導電性、耐食性、および加工性を高いレベルで維持できる皮膜を製造できる、貯蔵安定性に優れた金属表面処理剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来技術において耐食性が悪化する原因として、腐食環境下で皮膜中のバナジウム化合物が溶出してしまう点を見出した。本発明者は、これらの知見を基にして、所定の構造式で表されるバナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)と、水性有機樹脂(B)とを、所定量含有する金属表面処理剤を用いることにより、特に、耐食性、加工性および導電性が優れる皮膜が得られることを明らかにし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)を提供する。
(1) 一般式VO(OR)3(Rは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)で表されるバナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)と、
水性有機樹脂(B)とを含有し、
上記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の金属V換算質量(WA)と、上記水性有機樹脂(B)の質量(WB)との質量比(WA/WB)が0.002〜2.0である、金属表面処理剤。
(2) バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の重量平均分子量が100〜3000である、(1)に記載の金属表面処理剤。
(3) 水性有機樹脂(B)が、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂および水性フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の金属表面処理剤。
(4) pHが2〜11である、(1)〜(3)のいずれかに記載の金属表面処理剤。
(5) 金属材料と、上記金属材料の表面上に塗布された(1)〜(4)のいずれかに記載の金属表面処理剤を加熱乾燥して得られた皮膜と、を備える表面処理金属材料。
(6) 上記金属材料が、亜鉛系めっき鋼板である、(5)に記載の表面処理金属材料。
(7) 上記加熱乾燥して得られた皮膜の質量が、0.05〜3g/m2である、(5)または(6)に記載の表面処理金属材料。
(8) (1)〜(4)のいずれかに記載の金属表面処理剤を金属材料の表面上に塗布する塗布工程と、上記金属材料の表面上に塗布された上記金属表面処理剤を加熱乾燥して皮膜を得る加熱乾燥工程と、を備える金属表面処理方法。
(9) 上記加熱乾燥工程における加熱乾燥温度が、50〜200℃である、(8)に記載の金属表面処理方法。
本発明によれば、耐熱性に優れると共に、特に、導電性、耐食性、および加工性を高いレベルで維持できる皮膜を製造できる、貯蔵安定性に優れた金属表面処理剤を提供することができる。
また、該金属表面処理剤を用いて得られる表面処理金属材料、および、該金属表面処理剤を用いた金属表面処理方法も提供することができる。
<金属表面処理剤>
本発明の金属表面処理剤は、一般式VO(OR)3(Rは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)で表されるバナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)と、水性有機樹脂(B)とを含有し、バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の金属V換算質量(WA)と、水性有機樹脂(B)の質量(WB)との質量比(WA/WB)が0.002〜2.0である。
以下、本発明の金属表面処理剤の構成成分について説明する。
[バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)]
本発明で使用される上記バナジウムアルコキシドは、一般式VO(OR)3(Rは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)で表される化合物である。
上記バナジウムアルコキシドは、水の存在下で加水分解して、アルコキシ基の一部が水酸基で置換された一般式VO(OR)2OHで表される化合物や、アルコキシ基の全部が水酸基に置換された化合物などを生成する。このような化合物の加水分解、縮合を介して得られる加水分解物および/または縮合物を含有する金属表面処理剤から皮膜を得た場合、非晶質の酸化バナジウムを形成することができる。
上記バナジウムアルコキシドを出発物質として得られる非晶質の酸化バナジウムが皮膜中に含まれることにより、通常、トレードオフの関係にある耐食性と導電性とを高いレベルで両立できると考えられる。
一般に、非晶質の酸化バナジウムにおいては、バナジウムの原子価は5価に近い状態にあり、その導電機構はわずかに存在する4価のバナジウムイオンから5価のバナジウムイオンへ電子の流れが生じることにより起きるホッピング伝導であるといわれている。このため、非晶質の酸化バナジウムは、高い導電性を示す。
これに対して、結晶質の酸化バナジウムにおいては、バナジウムの原子価は5価であり、バナジウム間の原子価の違いにより生じるホッピング伝導が阻止されるため、導電性は悪くなる。
上記バナジウムアルコキシドは、アルコキシ基を有し、加水分解によりヒドロキシ基を有する。アルコキシ基およびヒドロキシ基は、いずれも電子供与基である。したがって、上記バナジウムアルコキシドは、4価のバナジウムを作りやすい状態にあり、V4+→V5+間のホッピング伝導を促進するものと考えられる。
一般式VO(OR)3中のRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、取り扱いやすさや入手が容易である点から、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。なお、Rは、同一でも異なっていてもよい。
上記バナジウムアルコキシドの具体例としては、バナジウムオキシトリイソプロポキシド、バナジウムオキシトリブトキシド、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリイソブトキシド等が挙げられ、中でも、得られる皮膜の耐食性および導電性がより優れるという理由から、バナジウムオキシトリイソプロポキシド、バナジウムオキシトリブトキシドが好ましい。
バナジウムアルコキシドの加水分解・縮合反応の条件は特に制限されないが、例えば、溶媒中(水中など)で加水分解縮合反応を行うことにより、所望の重量平均分子量を有する加水分解物またはその縮合物(加水分解縮合物)を得ることができる。より具体的には、まず、加水分解反応によって、V−OH(水酸基)が生成する。次に、加水分解反応が十分に進めば、縮合反応によるV−O−Vの生成も速やかに行われるため重量平均分子量の増加につながる。
加水分解反応、縮合反応は温度と時間に影響されるため、必要に応じて反応温度や反応時間を調整して目的とする重量平均分子量にすることが好ましい。
加水分解・縮合反応の反応温度としては、反応制御が容易である点から、0〜70℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
加水分解・縮合反応の反応時間は、使用される化合物によって適宜最適な時間が選択されるが、生産性などの点から、5〜60分が好ましい。
加水分解・縮合反応は、必要に応じて、溶媒中で行ってもよい。使用される溶媒としては、例えば、水や、水分を一部含有する、アルコール類(メタノールなど)、ケトン類、セロソルブ類などの有機溶媒が挙げられる。
加水分解・縮合反応時の反応系のpHは特に制限されず、使用される化合物、目的とする重量平均分子量に応じて適宜最適な範囲が選択されるが、pH2〜9が好ましい。
上記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の重量平均分子量は特に制限されないが、100〜3000であることが好ましく、200〜1000であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であれば、分子量が適切であるため処理剤の貯蔵安定性も良好であると共に、各種皮膜特性もより良好となる。なお、重量平均分子量が高すぎると、処理剤の十分な貯蔵安定性が得られない場合があり、さらには耐食性などの皮膜の各種特性もやや劣る場合がある。
本発明の金属表面処理剤中における出発物質である上記バナジウムアルコキシドの仕込み量は特に限定されないが、皮膜の耐食性、および、処理剤の貯蔵安定性の観点から、処理剤全量に対して、0.05〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の金属表面処理剤中における上記加水分解物および/またはその縮合物(A)の含有量は特に限定されないが、皮膜の耐食性、および、処理剤の貯蔵安定性の観点から、処理剤全量に対して、金属V(バナジウム)換算質量で0.01〜5質量%であることが好ましく、0.02〜2質量%であることがより好ましい。
[水性有機樹脂(B)]
本発明の金属表面処理剤においては、水性有機樹脂(B)が上記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)と共存することによって、得られる皮膜の加工性・耐食性・耐熱性をさらに高めることができる。
水性有機樹脂とは、水中で容易に均一分散させることができる、水溶性または水分散性(エマルジョン型)の有機樹脂である。なお、エマルジョン型有機樹脂の場合の粒子径は、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜0.5μm程度が好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。
皮膜の各種特性(加工性・耐食性・導電性など)がより優れる点で、水性有機樹脂はイオン性官能基を有することが好ましい。イオン性官能基としては、アニオン性官能基とカチオン性官能基が挙げられるが、本発明の効果がより優れる点で、カチオン性官能基を有することが好ましい。
なお、アニオン性官能基とは、媒体中(例えば、水)でマイナスチャージを持ってイオン解離する官能基を意味し、例えば、カルボン酸基またはその塩、リン酸基またはその塩、ボロン酸基、スルホン酸基またはその塩、水酸基などが挙げられる。
カチオン性官能基とは、媒体中(例えば、水)でプラスチャージを持ってイオン解離する官能基を意味し、例えば、アミノ基、ピリジンやイミダゾールのような窒素を含有する複素環の四級塩、四級アンモニウム塩などが挙げられる。
上記水性有機樹脂(B)の樹脂の種類は特に制限されないが、その具体例としては、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性フェノール樹脂、水性ポリオレフィン樹脂、水性ポリアミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる点で、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性フェノール樹脂などが好ましく挙げられる。
これらのうち、加工性がより優れるという理由から、水性ポリウレタン樹脂が好ましい。
以下に、好適な水性有機樹脂について詳述する。
まず、水性ポリウレタン樹脂の種類は特に限定されない。一般的に、ポリウレタン樹脂とは、一分子内に2個以上のイソシアネート基を有するジイソシアネートまたはポリイソシアネートと、一分子内に2個以上の水酸基を有するジオールまたはポリオールとの縮合重合物を意味する。ここで、界面活性剤や水溶性高分子等の分散剤を用いて水分散化した強制乳化タイプ、および、構造中に親水基を含む自己乳化タイプの何れも使用可能である。なお、強制乳化タイプは、皮膜化した後に遊離した分散剤が溶出し耐水性、塗装密着性を低下させる場合があるので、ソープフリーの自己乳化タイプを使用することがより好適である。
ここで、使用可能なイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環化合物、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメレチンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートを挙げることができ、脂環イソシアネート、脂肪族イソシアネート等の無黄変タイプを使用したものがより好適である。
また、使用可能なポリオール成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等の直鎖脂肪族ポリオール;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテルポリオール、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテルポリオール、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテルポリオール、ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテルポリオール等のポリエーテルポリオール;アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、セバシン酸、ダイマー酸等の2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−CHDM、1,6−ヘキサンジオール等のポリオールとを縮合させたポリエステルポリオール;ポリマーポリオール;ポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートジオール;ポリブタジエンポリオール;ネオペンチルグリコール;メチルペンタジオール等を挙げることができる。
これらの原料を用いて重合する際、ポリオール成分の一部として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール化アルキルスルホン酸等のジオール酸を用いて親水基を導入した自己乳化型のアニオンタイプ、N,N−ジエタノールアルキルアミン等のジオールアミンを用いて親水基を導入した自己乳化型のカチオンタイプを用いることができる。イソシアネートとポリオールの重合プレポリマーを水中に分散した後、ジオール、ジアミン等2個以上の活性水素をもつ低分子量化合物を鎖伸長剤として用いて、鎖伸長してより高分子化したものを用いることが可能である。また、アクリル変性、エポキシ変性、シリル変性等の変性ウレタンを使用することも可能である。
水性エポキシ樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペンジフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
なお、樹脂中の一部をビニル変性、アクリル変性、リン酸変性、イソシアネート変性、アミン変性、シリル変性してもよい。更には、界面活性剤、水溶性高分子等の分散剤を用いて水分散化した強制乳化タイプや、変性によって親水基を導入したソープフリーの自己乳化タイプも使用可能であり、後者を使用することがより好適である。
水性アクリル樹脂の種類は特に限定されず、どのような重合方法により得られたものであってもよい。例えば、重合開始剤と乳化剤の存在下で重合する乳化重合、溶液重合、コアシェル型のシード重合等によって得られる、水溶性または水分散性のアクリルモノマーの単独重合体または共重合体を挙げることができる。アクリル樹脂を構成するアクリルモノマーは、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーも特に限定されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエン、マレイン酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルシラン等を挙げることができる。また、ウレタン変性、エポキシ変性、シリル変性等の変性アクリル樹脂も使用可能である。
水性ポリエステル樹脂の種類は特に限定されず、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−CHDM、1,6−ヘキサンジオール等のポリオールとを縮合させたポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタジオール等のポリオールとの縮合樹脂を挙げることができる。
モノマーの一部にトリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボキシル基が3個以上持つモノマーを使用し、未反応のカルボン酸をアルカリで中和して可溶化または水分散した水系樹脂、或いは、モノマーの一部にスルホフタル酸等のスルホン化したモノマーを使用して可溶化または水分散した水系樹脂も使用できる。
水性フェノール樹脂の種類は特に限定されず、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのフェノール系化合物をホルマリンで縮合したフェノール樹脂を主骨格構造とするもので、フェノールと重合し得る他のモノマーとの共重合体を含む。なお、直鎖状の化合物だけでなく、3次元的に縮合した形の化合物なども挙げられる。
水性有機樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1000〜500000が好ましく、5000〜200000がより好ましい。
水性有機樹脂(B)は、公知の方法で合成してもよいし、市販品を使用してもよい。
本発明の金属表面処理剤中における水性有機樹脂(B)の含有量は特に制限されないが、皮膜の加工性、および、耐食性の観点から、処理剤全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
[質量比(WA/WB)]
本発明の金属表面処理剤において、使用される上記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の金属V(バナジウム)換算質量(WA)と上記水性有機樹脂(B)の質量(WB)との質量比(WA/WB)は、0.002〜2.0である。なお、金属V(バナジウム)換算質量(WA)は、金属表面処理剤中の上記加水分解物および/またはその縮合物(A)の質量を金属V(バナジウム)換算したものである。
質量比(WA/WB)が0.002未満であると、耐食性、耐熱性が得られないばかりか、上記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)によるホッピング伝導の効果が小さくなるため導電性が劣る。また、質量比(WA/WB)が2.0を越えると、皮膜の加工性、耐熱性、耐食性、および、処理剤の貯蔵安定性が劣る。これに対して、質量比(WA/WB)が0.002〜2.0であれば、所望の皮膜、特に、導電性、耐食性、および加工性を高いレベルで維持できる皮膜を製造できる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜1.0であることが好ましく、0.02〜0.2であることがより好ましい。
[pH]
本発明の金属表面処理剤は、pHが2〜11であることが好ましく、4〜9であることがより好ましい。
pHがこの範囲であれば、金属表面処理剤を金属材料に塗布してから乾燥または加熱処理により皮膜が形成されるまでの過程で金属材料が過剰にエッチングされず、得られる金属材料の外観が良好となる。また、pHがこの範囲であれば、金属表面処理剤の貯蔵安定性も良好である。
pHが低すぎると、金属材料の外観が一部損なわれることがあり、pHが高すぎると、処理剤の貯蔵安定性が得られないことがある。
pHを調整するためのpH調整剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、リン酸、フッ化水素酸、硝酸、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、ホスホン酸、クエン酸、酒石酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。
これらのうち、貯蔵安定性およびエッチング効果の観点から、酢酸、アンモニアが好ましい。
[溶媒]
本発明の金属表面処理剤は溶媒を含んでいてもよく、溶媒としては水を主体とするが、皮膜の乾燥性改善など必要に応じて、アルコール、ケトン、セロソルブ系の水溶性有機溶媒を添加した水性媒体であってもよい。
本発明の金属表面処理剤における溶媒量は特に限定されないが、処理剤全量に対して、1〜99質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが特に好ましい。
[添加剤]
本発明の金属表面処理剤には、本発明の趣旨や皮膜性能を損なわない範囲で、アルコキシ基含有金属化合物、金属酸化物コロイド、水溶性無機化合物、ワックス、顔料、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤を添加することができる。
[金属表面処理剤の調製方法]
本発明の金属表面処理剤の調製方法は特に制限されず、公知の方法によって製造することができる。例えば、上記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)を含む溶液中に、上記水性有機溶媒(B)を所定量添加して、混合することによって製造することができる。
<表面処理金属材料>
本発明の表面処理金属材料は、金属材料と、該金属材料の表面上に塗布された本発明の金属表面処理剤を加熱乾燥して得られた皮膜と、を備える表面処理金属材料である。
上記金属材料としては、例えば、鉄、鉄を主体とする合金、アルミニウム、アルミニウムを主体とする合金、銅、銅を主体とする合金、これらの金属材料をめっきしためっき金属材料等が挙げられ、中でも、亜鉛系めっき鋼板が好ましい。
亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコンめっき鋼板等が挙げられる。
また、亜鉛系めっき鋼板としては、上述した亜鉛系めっき鋼板におけるめっき層に、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、ビスマス、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を少量の異種金属元素もしくは不純物として含有させたもの;シリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたもの;等も用いることができる。
さらに、亜鉛系めっき鋼板としては、上述した亜鉛系めっきと他種類のめっき(例えば、鉄めっき、鉄−リンめっき、ニッケルめっき、コバルトめっき等)とを組み合わせた複層めっき鋼板も用いることができる。
めっき方法は特に限定されず、公知のめっき法、例えば、電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法、分散めっき法、真空めっき法等を用いることができる。
本発明の金属表面処理剤を加熱乾燥して得られた皮膜の質量は、0.05〜3g/m2であることが好ましく、0.1〜1.5g/m2であることがより好ましい。
皮膜質量がこの範囲であると、上記金属材料の表面が十分に被覆されて各種性能が発揮され、皮膜が割れにくく加工性がより良好になり、耐食性もより優れる。
<金属表面処理方法>
本発明の金属表面処理方法は、本発明の金属表面処理剤を上記金属材料の表面上に塗布する塗布工程と、上記金属材料の表面上に塗布された本発明の金属表面処理剤を加熱乾燥して皮膜を得る加熱乾燥工程と、を備える金属表面処理方法である。
なお、本発明の金属表面処理剤を塗布する前に、必要に応じて、上記金属材料の表面を脱脂処理してもよい。
上記塗布工程における塗布の手段としては、特に限定されず、例えば、一般に使用されるロールコート、シャワーコート、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコート、刷毛塗り、浸漬等が挙げられる。
上記加熱乾燥工程は、上記塗布工程の後、金属材料を水洗することなく行ってもよい。上記加熱乾燥工程における加熱乾燥の手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等が挙げられる。
上記加熱乾燥工程における加熱乾燥温度は、50〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。加熱乾燥温度がこの範囲であれば、水分蒸発速度が速く乾燥効率がより良好であり、また、得られる皮膜の性能向上も期待できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<金属表面処理剤の調製>
バナジウムアルコキシドを蒸留水中に加えて、25℃で10分撹拌し、pHを調整して加水分解物およびその縮合物を製造した。該溶液に、後述する第1表に示す混合比に従って、所定量の水性有機樹脂を添加し、30分間攪拌して、所定の金属表面処理剤を得た。
得られた金属表面処理剤におけるバナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の重量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GFC)を用いて求めた。GFCの測定条件を以下に示す。
・分析装置:TRI ROTAR−V(JASCO)
・検出器:示差屈折計830−RI(JASCO)、セル温度50℃
・カラム恒温槽:TU−100(JASCO)、温度55℃
・ガードカラム:OHpak Q−800P(shodex)、内径8mm×50mm
・カラム:OHpak Q−802(shodex)、内径8mm×500mm
・溶離液:蒸留水
・流量:0.7mL/min
・標準物質:ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール
<金属表面処理剤の組成>
第1表に、金属表面処理剤の調製に用いた各成分の種類、バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の金属V換算質量(WA)と水性有機樹脂(B)の質量(WB)との質量比(WA/WB)、バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の重量平均分子量、および、金属表面処理剤のpHを示す。第1表中、バナジウムアルコキシドおよび水性有機樹脂(B)の質量%は、処理剤全量に対する仕込み量(質量%)を表す。
第1表に示す記号に対応する各成分の具体名を以下に示す。
・バナジウムアルコキシド
A1:バナジウムオキシトリイソプロポキシド
A2:バナジウムオキシトリブトキシド
A3:メタバナジン酸アンモニウム
A4:バナジウムオキシアセチルアセトネート
A5:バナジウムジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)
・水性有機樹脂(B)(購入先、商品名、含有官能基種類(ノニオン性、カチオン性、またはアニオン性))
B1:水性ポリウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックスE−2000、ノニオン性)
B2:水性エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、アデカレジンEPEC−0436、カチオン性)
B3:水性アクリル樹脂(日本エヌエスシー株式会社製、カネビノールKD21、カチオン性)
B4:水性ポリエステル樹脂(互応化学工業株式会社製、FR−627、ノニオン性)
B5:水性フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、PR−50273、アニオン性)
・pH調整剤
C1:リン酸
C2:モノエタノールアミン
C3:酢酸
C4:アンモニア
<金属表面処理方法>
金属材料として板厚0.6mmの電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりの付着量20g/m2)を使用し、これをアルカリ脱脂および水洗した後、調製した金属表面処理剤をめっき鋼板の片面にバーコーターにより塗布し加熱乾燥し、表面処理金属材料を作製した。形成された皮膜の皮膜質量および加熱温度(PMT:最高到達板温度)を、第1表に示す。
得られた表面処理金属材料を以下の方法で評価した。
<評価方法>
(1)加工性
無加工の表面処理金属材料の試験片をドロービードにより加工し、試験前後の色差△E(ハンター表色系におけるE値の差)を測定し、次のように評価した。
・圧着荷重:0.25t
・ビード径:3mmR
・ビード高さ:2mm
・引抜速度:200mm/min
◎:1未満
○:1以上、2未満
△:2以上、3未満
×:3以上
(2)耐熱性
無加工の表面処理金属材料の試験片を200℃で20分間加熱し、加熱前後の色差△E(ハンター表色系におけるE値の差)を測定し、次のように評価した。
◎:1未満
○:1以上、2未満
△:2以上、3未満
×:3以上
(3)導電性
無加工の表面処理金属材料の試験片を用いて、層間抵抗機により層間抵抗値を次のように評価した。
・電圧:0.5V
・電流範囲:0〜1A
・圧着荷重:2N/mm2
・接触子の総面積:10cm2
◎:0.5Ω・cm2/枚未満
○:0.5Ω・cm2/枚以上、1.5Ω・cm2/枚未満
△:1.5Ω・cm2/枚以上、3.0Ω・cm2/枚未満
×:3.0Ω・cm2/枚以上
(4)平面部耐食性
無加工の表面処理金属材料の試験片を用いて、JIS−Z−2371に基づいた塩水噴霧240時間後の白錆発生面積率により次のように評価した。
◎ :5%未満
○ :5%以上、10%未満
△ :10%以上、50%未満
× :50%以上
(5)アルカリ脱脂後耐食性
無加工の表面処理金属材料の試験片を用いて、アルカリ脱脂剤CL−N364S(日本パーカライジング社製)(20g/L、60℃、10秒スプレー、スプレー圧0.5kg/cm2)で脱脂した後、スプレー水洗を10秒行ってから、JIS−Z−2371に基づいた塩水噴霧120時間後の白錆発生面積率により次のように評価した。
◎ :5%未満
○ :5%以上、10%未満
△ :10%以上、50%未満
× :50%以上
(6)加工部耐食性
無加工の表面処理金属材料の試験片を用いて、エリクセン7mm押出し加工してから、JIS−Z−2371に基づいた塩水噴霧120時間後の白錆発生面積率により次のように評価した。
◎ :5%未満
○ :5%以上、10%未満
△ :10%以上、50%未満
× :50%以上
(7)貯蔵安定性
金属表面処理剤を40℃の雰囲気で静置した場合にゲル化、沈殿が発生するまでの期間で貯蔵安定性を次のように評価した。
○:1ヶ月以上
×:1ヶ月未満
第1表に評価結果を示す。なお、第1表の各実施例の評価結果において、○または◎であることが実用上好ましい。
第1表に示す評価結果から、実施例1〜20は、加工性、耐熱性、導電性、耐食性、貯蔵安定性に優れていることが分かった。
また、実施例1〜6を見ると、質量比(WA/WB)が0.020である実施例3、および、0.20である実施例4は、加工性、耐熱性、導電性、耐食性、貯蔵安定性により優れていることが分かった。
また、実施例7〜10を見ると、処理剤の広範囲なpH領域において、優れた効果が得られることが分かった。
また、実施例11〜15を見ると、種々の皮膜質量において、優れた効果が得られることが分かった。
また、実施例16〜20を見ると、B1(水性ウレタン樹脂)を用いた実施例16は、他の水性樹脂を用いた実施例17〜20よりも加工性、耐熱性、導電性、耐食性、貯蔵安定性により優れていることが分かった。
これに対し、第1表に示す評価結果から、バナジウムアルコキシドを含有しない比較例1は、皮膜のバリア性およびホッピング伝導効果が得られず、耐熱性、導電性、および耐食性が劣ることが分かった。
また、質量比(WA/WB)が本発明の範囲(0.002〜2.0)の下限値未満である比較例2は、耐食性および耐熱性に劣り、さらに、ホッピング伝導の効果が小さくなるため導電性が劣ることが分かった。
また、質量比(WA/WB)が本発明の範囲(0.002〜2.0)の上限値を超えた比較例3は、加工性、耐熱性、特に、耐食性および貯蔵安定性に劣ることが分かった。
また、水性有機樹脂(B)を含有しない比較例4は、耐食性、加工性および耐熱性に劣ることが分かった。
また、バナジウムアルコキシドが、A3(メタバナジン酸アンモニウム)、A4(バナジウムオキシアセチルアセトネート)、または、A5(バナジウムジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート))である比較例5〜7は、皮膜のバリア性およびホッピング伝導の効果が得られず、導電性および耐食性に劣ることが分かった。
なお、比較例1および比較例4の結果から分かるように、バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)、または、水性有機樹脂(B)を単独で含む場合は、共に耐熱性および耐食性に劣る。一方、両者を併用すると、耐熱性および耐食性に優れ、相乗作用があることが分かった。
Figure 0005683152

Claims (8)

  1. 一般式VO(OR)3(Rは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)で表されるバナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)と、
    水性有機樹脂(B)とを含有し、
    前記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の金属V換算質量(WA)と、前記水性有機樹脂(B)の質量(WB)との質量比(WA/WB)が0.002〜2.0である、亜鉛系めっき鋼板用の金属表面処理剤。
  2. 前記バナジウムアルコキシドの加水分解物および/またはその縮合物(A)の重量平均分子量が100〜3000である、請求項1に記載の金属表面処理剤。
  3. 前記水性有機樹脂(B)が、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂および水性フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の金属表面処理剤。
  4. pHが2〜11である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属表面処理剤。
  5. 亜鉛系めっき鋼板と、前記亜鉛系めっき鋼板の表面上に塗布された請求項1〜4のいずれかに記載の金属表面処理剤を加熱乾燥して得られた皮膜と、を備える表面処理金属材料。
  6. 前記加熱乾燥して得られた皮膜の質量が0.05〜3g/m2である、請求項に記載の表面処理金属材料。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の金属表面処理剤を亜鉛系めっき鋼板の表面上に塗布する塗布工程と、前記亜鉛系めっき鋼板の表面上に塗布された前記金属表面処理剤を加熱乾燥して皮膜を得る加熱乾燥工程と、を備える金属表面処理方法。
  8. 前記加熱乾燥工程における加熱乾燥温度が50〜200℃である、請求項に記載の金属表面処理方法。
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