JP7063298B2 - 溶融亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液ならびに亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液ならびに亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、自動車、家電、建材用途に最適な亜鉛系めっき鋼板であって、特に製造時および製造中にクロムなどを全く含まない環境適応型の亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
また、本発明は、亜鉛系めっき鋼板の傷部耐食性等を向上させるのに有用な表面処理液に関するものである。
亜鉛系めっき鋼板は、家電、自動車、建材などの分野で広く利用されている。耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、従来、亜鉛めっき鋼板の表面にクロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理を施した鋼板が広く用いられてきた。しかしながら、近年の地球環境問題から、クロメート処理によらない無公害な表面処理鋼板、所謂クロメートフリー処理鋼板を採用することへの要請が高まっており、様々なクロメートフリー処理亜鉛系めっき鋼板(以下、クロメートフリー処理鋼板と呼称する)が開発及び実用化されている。クロメートフリー処理鋼板は、切断部、曲げ、溶接等の加工部や運搬、使用中などに入る傷部では、下地鋼板が露出しており、腐食が特に進行しやすい。
特に、傷部の腐食は、外観に及ぼす影響が大きいため傷部耐食性に優れたクロメートフリー処理鋼板が求められている。さらに、クロメートフリー処理鋼板が家電、自動車、建材など種々の用途で用いられることを考慮すると、傷部耐食性に加え、平面部耐食性、曲げ加工部耐食性、耐溶剤性、アルカリ脱脂後の塗装性、耐黒変性、及び貯蔵安定性に優れることも求められ、それらをすべて満たすクロメートフリー処理鋼板が要求されている。
特許文献1には、板の両面に亜鉛めっき層を有し、該亜鉛めっき層の表面に更に特定の酸性無機被覆層と特定のアルカリ性有機無機複合被覆層とから成る2層皮膜を有する表面処理亜鉛系めっき鋼板が開示されている。
特許文献2には、特定の骨格を含有するフェノール樹脂と、カチオン性ウレタン樹脂と、シランカップリング剤と、有機チタン化合物と、バナジウム化合物とを特定の割合で含む表面処理液を使用して表面処理皮膜を形成し、亜鉛系めっき鋼板に、優れた耐食性を付与する技術が開示されている。また、特許文献3には、モリブデン酸化合物をさらに含み、特許文献4には、モリブデン酸化合物とフッ素化合物をさらに含む表面処理液を用いる技術がそれぞれ開示されている。
特許文献5には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、溶剤系有機樹脂(A)と、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物の中から選ばれる1種以上の有機金属化合物(B)と、非クロム系防錆添加剤(C)とを含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された膜厚が0.1~3μmの有機複合皮膜を有することを特徴とする有機複合被覆鋼板が開示されている。
特許文献6には、第一リン酸アルミニウムおよび/または第一リン酸マグネシウム、ヘキサフルオロチタン酸および/またはヘキサフルオロチタン酸塩、キレート剤、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される少なくとも1種または2種以上のマグネシウム化合物を含むことを特徴とする表面処理剤を用いる技術が開示されている。
特許第5457611号公報 特開2010-236074号公報 特開2011-179057号公報 特開2012-067369号公報 特開2016-017187号公報 特開2011-225942号公報
特許文献1、5および6は、端部とともに傷部耐食性の向上を課題としているものの、そのレベルは十分とはいえない。特に、特許文献5および6は、傷部耐食性以外の性能が十分考慮されているとはいえないため、耐黒変性や耐溶剤性等の点で課題がある。
特許文献2、3および4は、平面部耐食性、加工部耐食性、耐溶剤性、アルカリ脱脂後の塗装性、耐黒変性、及び貯蔵安定性耐食性に優れている。しかし傷部耐食性は考慮されておらずそのレベルは十分ではない。
本発明の目的は、上記問題を解決し、傷部耐食性に優れ、かつ平面部耐食性、曲げ加工部耐食性、耐溶剤性、アルカリ脱脂後の塗装性、耐黒変性、及び貯蔵安定性にも優れた家電用、建材用、自動車用などとして好適なクロメートフリー処理鋼板を提供することである。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の樹脂化合物と特定のカチオン性官能基を有するウレタン樹脂エマルションと特定の官能基を有するシランカップリング剤と特定の有機Tiキレート化合物と4価のバナジウム化合物とモリブデン酸化合物に加え、さらにはトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料を特定の割合で含む表面処理液を用いて、亜鉛系めっき鋼板の表面を処理することにより、耐食性、耐黒変性、塗装性、潤滑性、耐溶剤性に優れるのはいうまでもなく、傷部耐食性にも優れた皮膜を形成することができ、さらに貯蔵後もかかる皮膜特性の劣化が生じないことを新たに見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたもので、その要旨構成は以下の通りである。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
1.亜鉛系めっき鋼板の表面に、下記の一般式(I)で表されるビスフェノール骨格を有する樹脂化合物(A)と、第1~3アミノ基および第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有する1種以上のシランカップリング剤(C)と、有機チタンキレート化合物(D)と、4価のバナジウム化合物(E)と、モリブデン酸化合物(F)と、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)と、水と、を下記(1)~(6)の条件を満足する範囲で含有する亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。

(1)上記樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分量(Bs)が、質量比[(Bs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10~0.30
(2)上記樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するシランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)が、質量比[(Cs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.60~0.85
(3)上記有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する上記シランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)が、質量比{(Cs)/(DTi)}で50~70
(4)上記有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する、上記4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)が、質量比{(EV)/(DTi)}で0.30~0.50
(5)上記樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する上記モリブデン酸化合物(F)のモリブデン換算量(FMo)が、質量比[(FMo)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.003~0.030
(6)上記4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)に対する上記トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)の固形分量(Gs)が、質量比{(Gs)/(EV)}で3~300
Figure 0007063298000001
式(I)中、ベンゼン環に結合しているY1およびY2は、それぞれ互いに独立に水素原子、あるいは次の一般式(II)または(III)により表されるZ基であり、1ベンゼン環当たりのZ基の置換数の平均値は0.2~1.0である。nは2~50の整数を表す。
Figure 0007063298000002
Figure 0007063298000003
式(II)および(III)中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ互いに独立な水素原子、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、A-は水酸イオンまたは酸イオンを表す。
2.前記トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)が、トリポリリン酸二水素アルミニウムの他に、Zn、Mg、Si、Caのうちから選ばれる少なくとも1種以上の添加元素を含み、かつ上記添加元素の質量(GE)が、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)中のリンの質量(GP)に対する質量比{(GE)/(GP)}で0.1~10であることを特徴とする前記1に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
3.前記表面処理液が、さらに酸成分(H)を含み、該酸成分(H)の質量(Hg)が、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する質量比[(Hg)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10以下であることを特徴とする前記1または2に記載の亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液。
4.前記表面処理液が、さらにワックス(W)を含み、該ワックス(W)の固形分量(Ws)が、樹脂化合物(A)およびカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分合計量{(As)+(Bs)}に対する質量比[(Ws)/{(As)+(Bs)}]で0.2~0.6の範囲にあることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液。
5.前記1~4のいずれかに記載の表面処理液を、亜鉛系めっき鋼板の表面に、乾燥後の付着量が片面当たり0.2~1.8g/m2となる範囲で塗布し、ついで到達板温:50~180℃で乾燥することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
6.表面に、片面当たりの付着量が0.2~1.8g/m2の表面処理皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板であって、該表面処理皮膜は、前記1~4のいずれかに記載の表面処理液を、鋼板表面に塗布し、到達板温:50~180℃で乾燥して得たものであることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板。
本発明によれば、傷部耐食性に優れ、かつ平面部耐食性、曲げ加工部耐食性、耐溶剤性、アルカリ脱脂後の塗装性、耐黒変性、潤滑性及び貯蔵安定性にも優れたクロメートフリー処理鋼板を提供することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のクロメートフリー処理鋼板のベースとなる鋼板は、冷延鋼板をベースとした家電、建材、自動車部品用の亜鉛系めっき鋼板である。亜鉛系めっき鋼板は、電気Znめっき鋼板、溶融Znめっき鋼板、Zn-Alめっき鋼板、Zn-Al-Mgめっき鋼板、Zn-Mgめっき鋼板、Zn-Feめっき鋼板、Zn-Niめっき鋼板などを用いることができる(電気めっき、溶融めっきのいずれでもかまわない)。
また、上記の亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性を向上させる目的で、めっきにNiやCoを微量添加したり、Ni、Co、Feを含む酸やアルカリ性の水溶液を用いて、亜鉛系めっき鋼板の表面にこれらの金属を析出させたりしたものでもよい。
次に、本発明の表面処理液について説明する。
本発明の表面処理液は、以下の一般式(I)で表される樹脂化合物(A)と、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を有する1種以上のシランカップリング剤(C)と、有機チタンキレート化合物(D)と、4価のバナジウム化合物(E)と、モリブデン酸化合物(F)と、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)と、水とを含むことを特徴とする。
ここに、(1)樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分量(Bs)は、質量比[(Bs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10~0.30である。
(2)樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する、シランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)は、質量比[(Cs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.60~0.85である。
(3)有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する、シランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)は、質量比{(Cs)/(DTi)}で50~70である。
(4)有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する、4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)は、質量比((EV)/(DTi))で0.30~0.50である。
(5)樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する、モリブデン酸化合物(F)のモリブデン換算量(FMo)は、質量比[(FMo)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.003~0.03である。
(6)4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)に対するトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)の固形分量(Gs)が、質量比{(Gs)/(EV)}で3~300である。
Figure 0007063298000004
上記式(I)中、ベンゼン環に結合しているY1およびY2は、それぞれ互いに独立に水素原子、または次の一般式(II)、又は(III)により表されるZ基であり、1ベンゼン環当たりのZ基の置換数の平均値は0.2~1.0である。nは2~50の整数を表す。ここで、Z基の置換数の平均値とは、全Z基導入数を全ベンゼン環数(即ち2n)で除算した数値のことである。本発明において、Y1、Y2としてZ基を選択する場合には、樹脂化合物(A)がZ基の置換数の平均値が0.2~1.0の範囲である第1~3アミノ基、および第4級アンモニウム塩基のカチオン性官能基を有することで、表面処理液に対してより安定に溶解し、貯蔵安定性を得ることができる。また、本発明においては、平均重合度nを2以上、50以下とする。nが2未満では耐食性付与効果が不十分となる。一方、50を超えると、水溶性の低下、増粘などにより、処理液中での安定性が低下し、貯蔵安定性が不十分となる。好ましくは、n=2~8である。
Figure 0007063298000005
Figure 0007063298000006
上記式(II)および(III)中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ互いに独立に水素原子、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表す。アルキル基またはヒドロキシアルキル基の炭素数が10を超えると樹脂化合物(A)を十分に水溶化することができず、処理液中で不安定となり適用できない。R1、R2、R3、R4およびR5の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソブチルなどを挙げることができる。Aは水酸イオンまたは酸イオンを表す。酸イオンの具体例としては、酢酸イオン、リン酸イオン、蟻酸イオンなどを挙げることができる。
一般式(I)で表される樹脂化合物(A)はビスフェノール-ホルマリン縮合物であり、その合成方法は限定されるものではないが、例えば、アルカリ触媒存在下、ビスフェノールAにホルマリンとアミンを作用させることにより得ることができる。
本発明における表面処理液中のカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)は、カチオン性官能基として第1~3アミノ基および第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するものであれば、構成されるモノマー成分であるポリオール、イソシアネート成分および重合方法を特に限定するものではない。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリメチルアミノ基、トリエチルアミノ基などが挙げられるが、第1~3アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基であれば、特に限定はしない。
本発明における表面処理液中のシランカップリング剤(C)は、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有し、これら1種以上のシランカップリング剤であれば特に限定されるものではない。特にアルコキシ基を3つ持つトリアルコキシシランが好ましい。具体例を挙げると、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが使用できる。
本発明における表面処理液中の有機チタンキレート化合物(D)としては、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテートなどが挙げられる。硝酸チタン、硫酸チタン、酢酸チタン、リン酸チタン、炭酸チタンなどの無機塩類では本発明の処理液中に安定に溶解できないか、もしくは耐食性向上効果を発揮しないため好ましくない。なお、有機チタンキレート化合物を水に溶解して使用する際、チタンはキレート錯体として溶けているため、この錯体に影響を与えるような極性の高い水溶性溶剤や過酸化物は添加しない方が好ましい。
本発明の表面処理液で使用する4価のバナジウム化合物(E)については、特に限定するものではないが、具体的には、硫酸バナジル、二塩化バナジル、リン酸バナジル、シュウ酸バナジル、バナジルアセチルアセトネートなどが挙げられる。4価のバナジウム化合物は、それ自体の添加により平面部の耐食性を向上させる効果と、後述のトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料とともに添加することにより、傷部耐食性を向上させる効果がある。本発明の表面処理液で使用する4価のバナジウム化合物としては、VO2+(バナジル)イオンを生じるバナジウム化合物が、平面部耐食性及び傷部耐食性向上に最も効果が高く好ましい。5価のバナジウム化合物(例えば、メタバナジン酸アンモニウム)は水溶性が高すぎて、平面部耐食性が大きく劣化するため本発明では使用しない。
本発明における表面処理液で使用するモリブデン酸化合物(F)の種類については、特に限定するものではないが、具体的には、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸亜鉛などが挙げられ、またリンモリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウムなども挙げられる。本発明では、これらのうちから選んだ1種以上を使用することが好ましい。
本発明では、表面処理液中に、特に、傷部耐食性成分向上成分としてトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)を添加するところに特長がある。トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料を添加することにより、傷部耐食性が大幅に向上する。本発明の表面処理液で使用するトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)としては、純粋なトリポリリン酸二水素アルミニウムでもよいが、傷部耐食性のさらなる向上を目的として、トリポリリン酸二水素アルミニウムの他に、Zn、Mg、Si、Caのうちから選ばれる少なくとも1種以上の添加元素を含み、かつ上記添加元素の質量(GE)が、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)中のリンの質量(GP)に対する質量比{(GE)/(GP)}を0.1~10とするトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料を用いることがより好ましい。
本発明の表面処理液においては、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分量(Bs)が、質量比[(Bs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10~0.30であることが必要である。上記質量比が、0.10未満であると、ウレタン樹脂の割合が少なすぎて曲げ加工部の耐食性および表面処理液の貯蔵安定性が劣化する。一方、上記質量比が、0.30を超えると耐溶剤性に劣る。より好ましくは0.12~0.28である。
また、本発明の表面処理液においては、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するシランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)が、質量比[(Cs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.60~0.85であることが必要である。上記質量比が、0.60未満の場合、耐溶剤性に劣り、0.85より多い場合、曲げ加工部の耐食性や表面処理液の貯蔵安定性が低下する。より好ましくは0.65~0.80である。
本発明の表面処理液においては、有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対するシランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)が、質量比{(Cs)/(DTi)}で50~70とする。上記質量比が、50未満であると、平面部および加工部の耐食性や貯蔵安定性が劣化し、70以上であるとアルカリ脱脂後の塗装性が低下する。より好ましくは55~65である。
なお、本発明の質量比を計算する上で、シランカップリング剤(C)の固形分の質量(Cs)は、アルコキシシラン(R-Si (-OR1)3)が加水分解し、シラノール(R-Si (-OH)3)になった状態の質量とする。これはシランカップリング剤を水に溶かした時に殆どが加水分解し、加水分解により生じたアルコールは本発明の処理液を塗布乾燥して皮膜を形成する際に揮発し、有効成分としては作用しないためである。
本発明の表面処理液においては、有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)を、質量比(EV/DTi)で0.30~0.50とする。上記質量比が、0.30未満であると平面部耐食性が低下する。また0.50を超えるとアルカリ脱脂後の塗装性が劣化する。より好ましくは0.35~0.48である。
本発明の表面処理液においては、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)およびシランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するモリブデン酸化合物(F)のモリブデン換算量(FMo)が、質量比[(FMo)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.003~0.030とする。上記質量比が、0.003未満であると耐黒変性が劣り、0.030を超えると表面処理液の貯蔵安定性が得られなくなる。より高度な耐黒変性を得るためには,0.006以上が好ましい。
本発明の表面処理液においては、4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)に対するトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)の固形分(Gs)を、質量比{(Gs)/(EV)}で3~300とする。この範囲内であれば、傷部耐食性の向上効果が得られる。上記質量比が、3未満であると、傷部耐食性が劣化する。より好ましい範囲は、20以上である。300を超えると平面部耐食性が劣化する。より好ましい範囲は、200以下である。
本発明で使用する水は、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)、シランカップリング剤(C)、有機チタンキレート化合物(D)の各成分、およびpH調整に使用する酸成分やアルカリ成分に対して影響が少ないものが好ましい。水に不純物として含まれるNaやClなどは、皮膜中に残存した場合に耐食性を低下させたり、塗装密着性を低下させたりすることがある。そのため、使用する水は不純物が少ないものが好ましく、例えばその電気伝導度が100μS/cm未満であることが好ましい。より好ましくは50μS/cm以下、さらに好ましくは10μS/cm以下である。
なお、本発明における表面処理液の固形分濃度は、110℃、2時間で乾燥した時の固形分濃度として4~20質量%とすることが好ましい。というのは、固形分濃度を4~20質量%の範囲とすると、後述する表面処理膜の付着量の確保が容易となり、また表面処理液の貯蔵安定性にも優れるからである。
以上、本発明の表面処理液の基本成分につき述べたが、本発明では、必要に応じてさらに、以下の成分を含有させることもできる。
本発明における表面処理液には、皮膜の耐食性をさらに向上させる目的で、酸成分(H)を添加することもできる。酸成分(H)は、めっき表面をエッチングして不活性化することにより、耐食性、特に曲げ加工部の耐食性を向上させる。酸成分(H)としては、リン酸、酢酸、蟻酸、フッ酸、弗化物などが好ましく、特にオルトリン酸を用いることが、耐食性向上効果が高く、好ましい。一方、硫酸、硝酸などの強酸は好ましくない。硫酸や硝酸を使用すると、添加時にpHショック(局部的で急激なpH変化)によりカチオンフェノールやカチオンウレタンが表面処理液中でゲル状物となる傾向が観られ、また、これに伴い形成される塩の溶出性が高く、耐食性を低下させてしまうからである。
また、本発明の表面処理液における酸成分(H)は、樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する酸成分(H)の質量(Hg)が、質量比[(Hg)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10以下となるよう配合する。上記質量比が0.10を超えると、貯蔵安定性が劣化するためである。なお、本発明における酸成分(H)の質量(Hg)とは、純粋な酸成分(H)の質量のことである。水などで希釈された酸成分(H)を用いる場合、上記酸成分(H)の質量(Hg)は酸成分の溶液の比重(g/mL)×1,000(mL)×酸成分の溶液の純度(w/w%)で求められる。また、上記質量比の下限は特に限定されないが、より優れた耐食性を得るためには0.05程度が好ましい。
さらに、本発明においては、皮膜の潤滑性を確保する目的で、表面処理液にワックス(W)を含有することができる。上記ワックス(W)は、ワックス(W)の固形分量(Ws)が、樹脂化合物(A)およびカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分合計量{(As)+(Bs)}に対する質量比[(Ws)/{(As)+(Bs)}]で0.2~0.6となるように配合することが好ましい。上記含有量が、0.2以上で、所望の潤滑性が得られ、一方、0.6以下にすると潤滑性が効果的に確保でき、また経済的に有利であり、さらに耐食性を低下させることがないので好ましい。0.3~0.6の範囲がより好ましい。
本発明に用いるワックス(W)は、融点:70~120℃であるもののうちから選んだ少なくとも1種以上を使用することが好ましく、具体例としてはポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。融点が70℃以上で潤滑性が得られ、融点が120℃以下とすると硬過ぎることがなく潤滑性が得られる。
ワックス(W)は、乳化剤で水に安定に分散したエマルションが好ましく、粒径が0.08~0.3μmのものが好ましい。粒径が0.08μm以上で所望の潤滑性の効果が得られ、また乳化剤の使用量が増えることがないために耐アルカリ性や塗装性が低下しない。一方、0.3μm以下の粒径とすると、ワックス(W)の比重が低くなることによる処理液中での浮上分離を生じることがなく、貯蔵安定性に優れるため好ましい。
さらに、本発明の表面処理液には、必要に応じて消泡剤や濡れ性向上剤を添加してもよい。消泡剤の種類は特に限定されず、例えばシリコーン系や脂肪酸系のエマルションタイプなどが使用できる。濡れ性向上剤とは表面処理液の表面張力を下げ、亜鉛系めっき鋼板に対する濡れ性を向上させ、外観均一性を向上させるものである。濡れ性向上剤としては水溶性溶剤、例えば、エタノール、T-ブタノール、ブチルセロソルブなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。またアセチレンを含む濡れ性向上剤などは消泡効果も合わせ持つため好適である。本発明の表面処理液には、さらに耐黒変性を向上させる目的で、硝酸ニッケル、硝酸アンモニウムなどの硝酸塩を加えてもよい。前述のとおり硝酸はpHショックを与えるが、硝酸塩であればpHショックを与えない。
次に、上記表面処理液を用いためっき鋼板の製造方法およびそれにより得られるめっき鋼板すなわち本発明のクロメートフリー処理鋼板について説明する。
本発明の表面処理液を用いてめっき鋼板に表面処理皮膜を形成する場合、表面処理液をめっき鋼板に塗布して、到達板温:50~180℃で乾燥し、該鋼板表面に片面当たりの付着量で0.2~1.8g/m2の表面処理皮膜を形成することが必要である。この時、表面処理皮膜の片面当たりの付着量が、0.2g/m2未満では十分な耐食性が得られず、一方、1.8g/m2を超えると付着量の効果は飽和し、経済的に不利であるばかりか塗装性を低下させる。従って、片面当たりの付着量は0.2~1.8g/m2とする。なお、かかる付着量は0.3~1.6g/m2が好ましく、0.4~1.4g/m2がより好ましい。
本発明の表面処理液を亜鉛系めっき鋼板に塗布する方法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式等)スクイズコーター、ダイコーター、バーコーターなど、従来公知のいずれの方法でもよい。また、スクイズコーター等による塗布処理、あるいは浸漬処理、スプレー処理の後にエアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調節、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
本発明の表面処理液を亜鉛系めっき鋼板にコーティング(塗布)した後は、好ましくは水洗することなく、加熱乾燥を行う。乾燥手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。乾燥は、前述したように、めっき鋼板自体の到達板温で50~180℃の範囲とする。到達板温が50℃より低いと皮膜中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。一方、到達板温が180℃を超えると非経済的であるばかりでなく皮膜が硬くて脆くなり、加工部の耐食性が低下する。
上記した方法により形成された表面処理皮膜を有する本発明のめっき鋼板(クロメートフリー処理鋼板)は、さらにその表面に樹脂皮膜をコーティングしてさらに高度な耐食性を得ることも可能である。なお、本発明の表面処理液により形成される表面処理皮膜は、めっき鋼板の片面、両面のいずれに実施してもよい。
次に、本発明の作用について述べる。本発明の表面処理液において各成分は以下のような作用を持つと推測しているが、本発明はこれらの推測により何ら制限されるものではない。
本発明の表面処理液は、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)、シランカップリング剤(C)が主成分であり、これらの主成分により皮膜の骨格が形成される。カチオン性官能基(前掲一般式(II)または(III))を有することにより、樹脂化合物(A)はアルカリ溶液に溶けなくなり、耐アルカリ性のある皮膜となる。さらに、樹脂化合物(A)のフェノールの骨格としてビスフェノールを選択することにより、極性溶剤に対して溶け難くなり(耐溶剤性の付与)、密着性、耐食性が向上する。
しかしながら、上記樹脂化合物(A)は加熱により黄色味を帯び易い上(耐熱黄変の低下)、硬い皮膜となり易い。そこで、本発明においては、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)を配合することにより、フェノール樹脂の硬さを和らげ、加工部の耐食性を確保する。
カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)は上記効果を有する一方、極性溶剤に対して皮膜を剥離し易くしてしまう。そこで、本発明においては、極性溶剤に対する耐溶剤性および耐黄変性を担保する目的で、シランカップリング剤(C)を配合する。シランカップリング剤(C)は末端のアルコキシ基が加水分解して活性なシラノール基(Si-OH)を生じるため、素材(亜鉛系めっき層)や上塗り塗膜との密着性向上に寄与する。さらに、シランカップリング剤(C)の一部は脱水縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)を生じ、これが連続してポリマー化する(ポリシロキサン化:-Si-O-Si-O-Si-)。これにより、極めて安定な構造となり、皮膜に優れた平面部耐食性、耐溶剤性を付与することができる。
以上のように、樹脂化合物(A)、カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)、シランカップリング剤(C)を適正な割合で使用することにより、バランス良く各種の性能を得ることができるものと考えられる。しかしながら、上記主成分のみでは、耐食性が十分とは言えない。そこで、本発明の表面処理液では上記主成分に加え、有機チタンキレート化合物(D)を必須成分とする。有機チタンキレート化合物(D)は、表面処理液を乾燥して皮膜を形成する際、ポリシロキサン化を促進する触媒として働くものと推測される。これにより、皮膜のバリア性が飛躍的に向上し、平面部耐食性、アルカリ脱脂後の耐食性が向上するとともに、耐溶剤性や塗装性も向上する。
上記効果を得るためには、前述したとおり、シランカップリング剤(C)の量に応じて決定される所定量の有機チタンキレート化合物(D)が必要となる。その量が少ない場合には所望の効果が得られず、その量が過剰な場合にはポリシロキサンが増加しすぎて硬くて脆い皮膜になり、加工部の耐食性が低下する。また、有機チタンキレート化合物(D)によるポリシロキサン化は皮膜形成時に促進されると理想的であるが、表面処理液の貯蔵時においてもポリシロキサン化を促進するため、その含有量が過剰な場合には、増粘・ゲル化が進行し、安定した表面処理液が得られなくなる。
また、本発明の表面処理液では4価のバナジウム化合物(E)も必須成分とする。本発明において、4価のバナジウム化合物(E)は(1)腐食のインヒビターとして働き(例えば亜鉛の不動態化など)、平面部耐食性を向上させる作用と、(2)腐食環境下においてトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料とともに溶出し、傷部の地鉄露出部分を被覆することにより、傷部耐食性を向上させる作用、の2つがあるものと推測される。4価のバナジウム化合物(E)、特に酸素を一つ持ったバナジルイオン〔VO2+〕は、基本的に湿潤環境下では溶出し難く、皮膜中に留まりながらインヒビター効果を発揮する。これにより優れた平面部耐食性が得られる。一方で、溶出しにくいため、4価のバナジウム化合物(E)のみでは傷部の耐食性に及ぼす効果は小さい。
そこで本発明では、傷部耐食性を向上させるために、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)を添加する。トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料は、湿潤環境下で溶出しやすく、なおかつ皮膜から溶出した後は、傷部の地鉄露出部分にリン酸塩の沈殿を形成するという作用を持つ。このトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)は、4価のバナジウム化合物(E)と複合添加することによって、4価のバナジウム化合物(E)の一部と複合化して共に溶出し、傷部の地鉄露出部分にバナジウムを含有するリン酸塩の沈殿を形成する。そして、地鉄露出部分に沈殿したバナジウム含有リン酸塩は、その高い腐食抑制効果により、傷部の耐食性を大きく向上させる。
また、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)として、トリポリリン酸二水素アルミニウムの他に、Zn、Mg、Si、Caのうちから選ばれる少なくとも1種以上の添加元素を含み、かつ上記添加元素の質量(GE)を、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)中のリンの質量(GP)に対する質量比{(GE)/(GP)}で0.1~10とすると、地鉄露出部分に沈殿するバナジウム含有のリン酸塩沈殿にZn、Mg、Si、Caが取り込まれることによって、よりバリア性の高い保護皮膜となり、さらに傷部耐食性が向上する。
ただし、4価のバナジウム化合物(E)に対して、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)が多すぎると、4価のバナジウム化合物(E)の溶出量が多くなりすぎて平面部耐食性が劣化する。一方、4価のバナジウム化合物(E)に対して、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)が少なすぎると、地鉄露出部分に沈殿するバナジウム含有リン酸塩の量が少なくなり、傷部の耐食性が劣化する。
さらに、本発明の表面処理液ではモリブデン酸化合物(F)も必須成分とする。本発明において、モリブデン酸化合物(F)の添加により、優れた耐黒変性を得ることができるからである。亜鉛系めっきの黒変はめっきの種類(電気、溶融)に関係なく発生し、特に溶融亜鉛系めっきは、耐食性の向上、あるいは亜鉛めっきと素材(鉄板)との密着性の向上を図るためにMgやAlが添加されており、これらが亜鉛系めっきのめっき界面やめっきの表層に濃化して黒変を促進し、より黒くなる。また、亜鉛系めっきの耐白錆性を向上する表面処理を行うと耐黒変性は低下することが知られている。
亜鉛系めっきが高温高湿の条件下で黒変する現象の原因は未だ明らかではないが、亜鉛系めっき最表面に生成している酸化亜鉛が酸素を奪われて、酸素欠乏型の酸化亜鉛に変換する、あるいは亜鉛の腐食(酸化)の過程で十分に酸素が供給されなかったことによる酸素欠乏型の酸化亜鉛となり、これが黒色に見えるといわれている。
本発明では、モリブデン酸の化合物を表面処理皮膜中に導入することにより、優れた耐黒変性を得ることができる。モリブデンは遷移金属であり、酸素と結合してモリブデン酸化物(MoO2、MoO3)やモリブデン酸(MoO4 2-)が生成する。本発明では、モリブデン酸(MoO4 2-)の一部が高温高湿下あるいは腐食環境下において、モリブデンの酸化物(MoO2、MoO3)に変わることで、亜鉛めっき表面に適度に酸素が供給されるため、酸素欠乏型の酸化亜鉛が形成しにくくなると考えられる。このようなメカニズムにより、黒変を抑制する表面処理皮膜が得られたものと発明者らは推定している。
<表面処理液の調製>
表1(表1aおよび表1b)に示す樹脂化合物(A)、表2に示すカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)、表3に示すシランカップリング剤(C)、表4に示すチタン化合物(D)、表5に示すバナジウム化合物(E)、表6に示すモリブデン酸化合物(F)、表7に示すトリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)、表8に示す酸成分(H)および表9に示すワックス(W)エマルションを表11~13に示す配合割合で混合し、110℃、2時間で乾燥した時の固形分濃度が10質量%となるように脱イオン水で調製した。なお、上記の脱イオン水としては、電気伝導度が10μS/cmのイオン交換水を使用した。また、処理原板としては、表10に示す溶融亜鉛系めっき鋼板を用いた。
Figure 0007063298000007
Figure 0007063298000008
Figure 0007063298000009
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Figure 0007063298000011
Figure 0007063298000012
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Figure 0007063298000014
Figure 0007063298000015
Figure 0007063298000016
Figure 0007063298000017
表10に示すめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理し、水洗乾燥した後、片面に表11~13に示した表面処理液をバーコーターにより塗布し、水洗することなく表11-2~13-2に示した各乾燥温度が到達板温となる様に加熱乾燥して、表面処理皮膜を有するめっき鋼板を製造した。表面処理皮膜の片面当たりの付着量は塗布条件(バー番手など)により調整した。付着量を表11-2~13-2に示す。なお、付着量は配合したシランカップリング剤(C)のSiを蛍光X線分析装置により定量し、Si付着量から皮膜付着量へ換算した。
Figure 0007063298000018
Figure 0007063298000019
Figure 0007063298000020
Figure 0007063298000021
Figure 0007063298000022
Figure 0007063298000023
表面処理液および製造した亜鉛系めっき鋼板の品質(傷部耐食性、平面部耐食性、曲げ加工部(表中で単に曲げ部と記す)耐食性、アルカリ脱脂後(表中で単に脱脂後と記す)の耐食性、耐黒変性、塗装性(表中でそのままと記す)、アルカリ脱脂後(表中で単に脱脂後と記す)の塗装性、耐溶剤性、貯蔵安定性および潤滑性)を以下の通りの条件で評価した。その結果を表14に示す。ここで、評価△及び×は性能不足のため不合格とした。
(1)傷部耐食性
各サンプルに対し、NTカッター(エヌティー株式会社製 A300型)にてクロスカットを施した後、塩水噴霧試験(JIS-Z-2371-2000)を行い、120時間経過後の片側最大錆幅で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎ :錆幅1mm未満
○+:錆幅1mm以上、3mm未満
○ :錆幅3mm以上、5mm未満
△ :錆幅5mm以上、10mm未満
× :錆幅10mm以上
(2)平面部耐食性
各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS-Z-2371-2000)を行い、240時間経過後の白錆発生幅で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率0%
○+:白錆発生面積率5%未満
○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満
○-:白錆発生面積率10%以上、20%未満
△ :白錆発生面積率20%以上、40%未満
× :白錆発生面積率40%以上
(3)曲げ加工部の耐食性
各サンプルを、直径:2mmの棒(ステンレス製)に挟み込むようにして180°曲げて、万力を用いて絞め込んだ。この曲げたサンプルについて塩水噴霧試験(JIS-Z-2371-2000)を行い、72時間経過後の曲げ加工部外(表)側の白錆発生面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎ :曲げ加工部の白錆発生面積率0%
○+:曲げ加工部の白錆発生面積率5%未満
○ :曲げ加工部の白錆発生面積率5%以上、10%未満
○-:曲げ加工部の白錆発生面積率10%以上、40%未満
△ :曲げ加工部の白錆発生面積率40%以上、80%未満
× :曲げ加工部の白錆発生面積率80%以上
(4)アルカリ脱脂後の耐食性
アルカリ脱脂剤CL-N364S(日本パーカライジング(株)製)を20g/Lの濃度で純水に溶解し、60℃に加温した。このアルカリ溶液に各サンプルを2分間浸漬し、取り出して水洗して乾燥した。各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS-Z-2371-2000)を行い、72時間経過後の白錆発生面積率で評価した。評価基準は上記(2)に記載の評価に示した通りである。
(5)耐黒変性
各サンプルを温度:80℃、相対湿度:95%の雰囲気に制御された恒温恒湿機に24時間静置した際の明度(L値)の変化(ΔL=試験後のL値-試験前のL値)で算出した。評価基準は以下の通りである。L値は,日本電色工業(株)製のSR2000を使用し,SCIモード(正反射光込み)で測定を行った。
◎:-6≦△L
○:-10≦△L<-6
△:-14≦△L<-10
×:ΔL<-14
(6)塗装性
各サンプルについてメラミンアルキッド系塗料であるデリコン(登録商標)#700(大日本塗料(株)製)を塗装し、130℃で30分間焼付け、膜厚:30μmの塗膜を形成した後、沸騰水に2時間浸漬し、直ちに、碁盤目(10×10個、1mm間隔)の鋼素地まで達するカットを入れた。さらにエリクセン押し出し機にてカット部が外(表)側となる様に5mm押し出し加工を施し、接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積を測定した。評価の基準は以下の通りである。なお、エリクセン押し出し条件は、JISZ-2247-2006に準拠し、ポンチ径:20mm、ダイス径:27mm、絞り幅:27mmとした。
◎ :剥離なし
○+:剥離面積3%未満
○ :剥離面積3%以上、10%未満
○-:剥離面積10%以上、20%未満
△ :剥離面積20%以上、50%未満
× :剥離面積50%以上
(7)アルカリ脱脂後の塗装性
上記(4)の記載と同様のアルカリ脱脂を行い、そのサンプルに上記(6)の記載と同様の塗装性試験を行った。評価基準も上記(6)の記載に同じである。
(8)耐溶剤性
各サンプルの表面にエタノールを染み込ませたガーゼを4.90N(500gf)の荷重をかけて押し付け、その荷重のまま10回往復するように擦った。その擦った痕を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎ :痕跡なし。
○+:上から見ると痕跡が見えないが、斜めから見ると僅かに見える。
○ :上から見ると痕跡が見えないが、斜めから見ると明らかに見える。
○-:上から見て僅かに痕跡が見える。
△ :上から見て痕跡が明らかに見える。
× :皮膜が剥離している。
(9)貯蔵安定性
表11~13に示した各表面処理液を40℃の恒温槽に30日間保管した。取り出して撹拌した後、各表面処理液の外観を目視によって調べ、評価した。評価基準は次の通りである。
◎:変化なし
○:極微量の沈殿が見られる
△:微量の沈殿が見られる、もしくはやや粘度が高くなった
×:多量の沈殿が見られる、もしくはゲル化した
(10)潤滑性
各サンプルより直径:100mmの円板状の試験片を切り出し、ポンチ径:50mm、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ力:1トンの条件でカップ状に成型した。成型品の絞り加工を受けた面(カップの側面外側)の外観を目視によって調べ、傷つき程度および黒化程度を評価した。評価基準は次の通りである。
◎ :全面に渡って殆ど変化なく、外観が均一
○+:極僅かに黒化が発生したが、外観は均一
○ :傷つきおよび黒化が少し発生し、外観が明らかに不均一
○-:局部的に傷つきおよび黒化が発生し、外観が明らかに不均一
△ :コーナー部を中心に傷つきおよび黒化が激しく発生
× :成型できずに割れた
Figure 0007063298000024
Figure 0007063298000025
Figure 0007063298000026
表14に示したとおり、本発明の表面処理液を用いて製造した試験鋼板は、何れも優れた傷部耐食性を有し、平面部、曲げ加工部、脱脂後の耐食性、耐黒変性、塗装性(脱脂なしおよび脱脂後)、耐溶剤性、貯蔵安定性および潤滑性についても優れた結果を示している。これに対し、いずれかの要件が本発明の適正範囲を逸脱した比較例は、上記いずれかの特性を十分に得ることができない。特に、比較例1,2,3,6,7,8,11,12については、樹脂化合物(A)もしくはウレタン樹脂エマルション(B)の種類が本発明の範囲を逸脱しているため、表面処理液の作製時点で多量の沈殿が生じ、試験を実施することができなかった。

Claims (6)

  1. 記の一般式(I)で表されるビスフェノール骨格を有する樹脂化合物(A)と、第1~3アミノ基および第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)と、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有する1種以上のシランカップリング剤(C)と、有機チタンキレート化合物(D)と、4価のバナジウム化合物(E)と、モリブデン酸化合物(F)と、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)と、水と、を下記(1)~(6)の条件を満足する範囲で含有する亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。

    (1)上記樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するカチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分量(Bs)が、質量比[(Bs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10~0.30
    (2)上記樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対するシランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)が、質量比[(Cs)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.60~0.85
    (3)上記有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する上記シランカップリング剤(C)の固形分量(Cs)が、質量比{(Cs)/(DTi)}で50~70
    (4)上記有機チタンキレート化合物(D)のチタン換算量(DTi)に対する、上記4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)が、質量比{(EV)/(DTi)}で0.30~0.50
    (5)上記樹脂化合物(A)、上記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および上記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する上記モリブデン酸化合物(F)のモリブデン換算量(FMo)が、質量比[(FMo)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.003~0.030
    (6)上記4価のバナジウム化合物(E)のバナジウム換算量(EV)に対する上記トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)の固形分量(Gs)が、質量比{(Gs)/(EV)}で3~300
    Figure 0007063298000027
    式(I)中、ベンゼン環に結合しているY1およびY2は、それぞれ互いに独立に水素原子、あるいは次の一般式(II)または(III)により表されるZ基であり、1ベンゼン環当たりのZ基の置換数の平均値は0.2~1.0である。nは2~50の整数を表す。
    Figure 0007063298000028
    Figure 0007063298000029
    式(II)および(III)中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ互いに独立な水素原子、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、Aは水酸イオンまたは酸イオンを表す。
  2. 前記トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)が、トリポリリン酸二水素アルミニウムの他に、Zn、Mg、Si、Caのうちから選ばれる少なくとも1種以上の添加元素を含み、かつ上記添加元素の質量(GE)が、トリポリリン酸二水素アルミニウム系防錆顔料(G)中のリンの質量(GP)に対する質量比{(GE)/(GP)}で0.1~10であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
  3. 前記表面処理液が、さらに酸成分(H)を含み、該酸成分(H)の質量(Hg)が、前記樹脂化合物(A)、前記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)および前記シランカップリング剤(C)の固形分合計量{(As)+(Bs)+(Cs)}に対する質量比[(Hg)/{(As)+(Bs)+(Cs)}]で0.10以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液。
  4. 前記表面処理液が、さらにワックス(W)を含み、該ワックス(W)の固形分量(Ws)が、前記樹脂化合物(A)および前記カチオン性ウレタン樹脂エマルション(B)の固形分合計量{(As)+(Bs)}に対する質量比[(Ws)/{(As)+(Bs)}]で0.2~0.6の範囲にあることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板用の表面処理液。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理液を、亜鉛系めっき鋼板の表面に、乾燥後の付着量が片面当たり0.2~1.8g/m2となる範囲で塗布し、ついで到達板温:50~180℃で乾燥することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  6. 表面に、片面当たりの付着量が0.2~1.8g/m2の表面処理皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板であって、該表面処理皮膜は、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理液を、鋼板表面に塗布し、到達板温:50~180℃で乾燥して得たものであることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板。
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