JP2018059058A - 銀インク組成物及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機銀化合物が配合されてなる銀インク組成物であって、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成可能な銀インク組成物、及び前記銀インク組成物を用いて形成された、光沢性が高い金属銀層を備えた積層体の提供。【解決手段】有機銀化合物と、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、が配合されてなる銀インク組成物;基材と、前記基材上に形成された金属銀層と、を備えた積層体であって、前記金属銀層は、前記銀インク組成物を用いて形成されたものであり、前記金属銀層の、波長550nmの光の反射率が50%以上である、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、銀インク組成物及び積層体に関する。
有機銀化合物が配合されてなる銀インク組成物のうち、有機銀化合物としてβ−ケトカルボン酸銀を用いたもの(特許文献1参照)は、加熱処理によって導電性に優れ、光沢性にも優れた、金属銀からなる緻密な膜を形成できる点から、利用価値が高い。
また、このような銀インク組成物は、粘度の調節も容易であり、粒子状の不溶物を低減又は解消できる点から、例えば、インクジェット式印刷法への適用にも好適である。
しかし、インクジェット式印刷法で用いるインク組成物は、通常、低粘度であることから、印刷対象物に印刷したときに滲み易い。そこで、インクジェット式印刷法において、印刷対象物を加熱することにより、印刷されたインク組成物が滲む前に、インク組成物中の溶媒成分を揮発させる方法が開示されている(特許文献2参照)。
特許第5393988号公報 特許第4889059号公報
しかし、本発明者らは、インクジェット式印刷法において、有機銀化合物が配合されてなる銀インク組成物を用いて、印刷対象物を加熱しながら印刷を行うと、確かに銀インク組成物の滲みを抑制できるものの、銀インク組成物の加熱処理によって最終的に形成された金属銀膜は、印刷対象物を加熱しなかった場合よりも、光沢性に劣ることを見出した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、有機銀化合物が配合されてなる銀インク組成物であって、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成可能な銀インク組成物、及び前記銀インク組成物を用いて形成された、光沢性が高い金属銀層を備えた積層体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、有機銀化合物と、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、が配合されてなる銀インク組成物を提供する。
また、本発明は、基材と、前記基材上に形成された金属銀層と、を備えた積層体であって、前記金属銀層は、請求項1に記載の銀インク組成物を用いて形成されたものであり、前記金属銀層の、波長550nmの光の反射率が50%以上である、積層体を提供する。
本発明によれば、有機銀化合物が配合されてなる銀インク組成物であって、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成可能な銀インク組成物、及び前記銀インク組成物を用いて形成された、光沢性が高い金属銀層を備えた積層体が提供される。
本発明の積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
<<銀インク組成物>>
本発明の銀インク組成物は、有機銀化合物と、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(本明細書においては、「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸」と略記することがある)と、が配合されてなる。
本発明の銀インク組成物は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成できる。
なお、本明細書においては、金属銀層(金属銀)の形成を、銀インク組成物の印刷によって行う場合だけでなく、塗布(塗工)によって行う場合についても記載している。すなわち、本発明の銀インク組成物の適用対象は、印刷法に限定されず、後述する塗布(塗工)法も挙げられる。そして、本発明の銀インク組成物は、塗布対象物を加熱しながら塗布を行った場合であっても、印刷法の場合と同様に、光沢性が高い金属銀を形成できる。
前記有機銀化合物は、一分子中に有機基及び銀原子を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じる化合物である。
このような有機銀化合物としては、例えば、有機酸の銀塩、有機銀錯体等が挙げられる。
本発明において、有機銀化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
好ましい銀インク組成物としては、以下に示す銀インク組成物(I)及び銀インク組成物(II)が挙げられる、以下、これら銀インク組成物について説明する。
〇銀インク組成物(I)
銀インク組成物(I)は、前記有機銀化合物として、カルボン酸銀(カルボン酸の銀塩)が配合されてなるものが好ましい。すなわち、好ましい銀インク組成物(I)としては、カルボン酸銀と、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、が配合されてなるものが挙げられる。
[カルボン酸銀]
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有する。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 2018059058
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2018059058
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1,2,3−トリメチルペンチル基、1,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1,4,4−トリメチルペンチル基、3,4,4−トリメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,3−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,2,2−トリメチルペンチル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、1,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、3,3,4−トリメチルペンチル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、前記脂肪族炭化水素基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、R及びRにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びベンジル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基が有する前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びジフェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよい。このようなXとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)を用いて、銀インク組成物(I)の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(光反射体、金属銀)においては、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。このような導電体においては、原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成できる。そして、β−ケトカルボン酸銀(1)は、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH−」で表される基だけでなく、式「−CH−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)を用いた場合にも、β−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合と同様に、銀インク組成物(I)の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(光反射体、金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、カルボン酸銀(4)は、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、イソブチリル酢酸銀及びピバロイル酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物(I)の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物(I)において、前記有機銀化合物に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。前記銀の含有量がこのような範囲であることで、形成された導電体(光反射体、金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、銀インク組成物(I)の取り扱い性等を考慮すると、25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「有機銀化合物に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物(I)の製造時に配合された有機銀化合物中の銀と同義であり、配合後も引き続き有機銀化合物を構成している銀と、配合後に有機銀化合物の分解で生じた分解物中の銀と、配合後に有機銀化合物の分解で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
<炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸>
銀インク組成物(I)は、有機銀化合物以外に、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されてなる。銀インク組成物(I)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成できる。
前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素の1個又は2個以上の水素原子が、カルボキシ基で置換された構造を有する。換言すると、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1分子中の炭素数が8〜10で、かつ、1個又は2個以上のカルボキシ基が分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基に結合している化合物である。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を1個のみ有する一価(モノ)カルボン酸、及び1分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸、のいずれであってもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が1分子中に有するカルボキシ基の数は、1〜3個であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸において、カルボキシ基が結合している炭素原子の位置は、特に限定されない。例えば、カルボキシ基が結合している炭素原子は、分子の末端の炭素原子であってもよいし、分子の末端以外の炭素原子であってもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が多価カルボン酸である場合、すべてのカルボキシ基が、互いに異なる炭素原子に結合していてもよいし、2個又は3個のカルボキシ基が、同一の炭素原子に結合していてもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸において、分岐鎖が結合している、主鎖中の炭素原子の位置は、特に限定されない。例えば、分岐鎖が結合している前記炭素原子は、主鎖のカルボキシ基が結合している側の末端の炭素原子であってもよいし、主鎖のカルボキシ基が結合している側とは反対側の末端の炭素原子に隣接する炭素原子(前記反対側の末端から2番目の炭素原子)であってもよいし、上述のカルボキシ基が結合している側の末端の炭素原子と、上述のカルボキシ基が結合している側とは反対側の末端の炭素原子に隣接する炭素原子と、の間に位置する主鎖中の炭素原子であってもよい。
ここで、「主鎖」とは、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸中の鎖状構造のうち、炭素数が最大であるものを意味する。炭素数が最大である鎖状構造が複数ある場合には、いずれの鎖状構造を主鎖として取り扱ってもよい。主鎖の炭素数は、必ず分岐鎖の炭素数以上となる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、下記一般式(6)で表されるモノカルボン酸(本明細書においては、「モノカルボン酸(6)」と略記することがある)であることが好ましい。
31−C(=O)−OH ・・・・(6)
(式中、R31は、炭素数7〜9の分岐鎖状のアルキル基である。)
31の炭素数7〜9の分岐鎖状のアルキル基(一価の飽和脂肪族炭化水素基)としては、例えば、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基等の炭素数7の分岐鎖状のアルキル基;
イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1,2,3−トリメチルペンチル基、1,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1,4,4−トリメチルペンチル基、3,4,4−トリメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,3−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,2,2−トリメチルペンチル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、1,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、3,3,4−トリメチルペンチル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基等の炭素数8の分岐鎖状のアルキル基;
1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、5−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、6,6−ジメチルヘプチル基、5,5−ジメチルヘプチル基、4,4−ジメチルヘプチル基、3,3−ジメチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2,3−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、3,4−ジメチルヘプチル基、3,5−ジメチルヘプチル基、3,6−ジメチルヘプチル基、4,5−ジメチルヘプチル基、4,6−ジメチルヘプチル基、5,6−ジメチルヘプチル基、1,2,3−トリメチルヘキシル基、1,2,4−トリメチルヘキシル基、1,2,5−トリメチルヘキシル基、2,3,4−トリメチルヘキシル基、2,3,5−トリメチルヘキシル基、3,4,5−トリメチルヘキシル基、1,1,2−トリメチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,4−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、1,2,2−トリメチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルヘキシル基、2,2,5−トリメチルヘキシル基、1,3,3−トリメチルヘキシル基、2,3,3−トリメチルヘキシル基、3,3,4−トリメチルヘキシル基、3,3,5−トリメチルヘキシル基、1,4,4−トリメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルヘキシル基、3,4,4−トリメチルヘキシル基、4,4,5−トリメチルヘキシル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、4,5,5−トリメチルヘキシル基、1,2,3,4−テトラメチルペンチル基、1,1,2,3−テトラメチルペンチル基、1,1,2,4−テトラメチルペンチル基、1,1,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,2,3−テトラメチルペンチル基、1,2,2,4−テトラメチルペンチル基、2,2,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,3,3−テトラメチルペンチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、1,3,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,4,4−テトラメチルペンチル基、2,3,4,4−テトラメチルペンチル基、1,3,4,4−テトラメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−エチル−2−メチルヘキシル基、1−エチル−3−メチルヘキシル基、1−エチル−4−メチルヘキシル基、1−エチル−5−メチルヘキシル基、2−エチル−1−メチルヘキシル基、2−エチル−2−メチルヘキシル基、2−エチル−3−メチルヘキシル基、2−エチル−4−メチルヘキシル基、2−エチル−5−メチルヘキシル基、3−エチル−1−メチルヘキシル基、3−エチル−2−メチルヘキシル基、3−エチル−3−メチルヘキシル基、3−エチル−4−メチルヘキシル基、3−エチル−5−メチルヘキシル基、4−エチル−1−メチルヘキシル基、4−エチル−2−メチルヘキシル基、4−エチル−3−メチルヘキシル基、4−エチル−4−メチルヘキシル基、4−エチル−5−メチルヘキシル基、1,1−ジエチルペンチル基、1,2−ジエチルペンチル基、1,3−ジエチルペンチル基、2,2−ジエチルペンチル基、2,3−ジエチルペンチル基、3,3−ジエチルペンチル基、1−エチル−1−プロピルブチル基、2−エチル−1−プロピルブチル基等の炭素数9の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸1分子中の分岐鎖の数は、1〜3本であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の1本の分岐鎖の炭素数は、1〜3であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、これらの条件をともに満たすもの、すなわち、1分子中の分岐鎖の数が1〜3本であり、かつ1本の分岐鎖の炭素数が1〜3個であるものがより好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、金属銀の光沢性の低下を抑制する適度な反応性を有し、かつ、銀インク組成物(I)中から揮発し難い一方で、銀インク組成物(I)の固化処理時には気化し易い、適度な沸点を有しており、本発明の効果を奏するものとして、特に適した特性を有する。
例えば、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点は、180〜270℃であることが好ましく、200〜260℃であることがより好ましく、215〜255℃であることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、銀インク組成物(I)中からの分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の揮発が抑制されて、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀インク組成物(I)の固化処理によって得られた金属銀中での分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の残存が抑制され、光沢性、導電性等が高いなど、より好ましい特性の金属銀が得られる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(例えば、モノカルボン酸(6))で特に好ましいものとしては、ネオデカン酸(C19COOH)、2−プロピル吉草酸(2−プロピルペンタン酸、(CHCHCHCH(CHCHCH)COOH)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸((CHCCHCH(CH)CHCOOH)等が挙げられる。
なお、本明細書において、ネオデカン酸とは、炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の異性体の混合物を意味し、前記混合物には炭素数10の分岐鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸が必ず含まれる。このように、ネオデカン酸とは、1種の化合物だけを意味するものではない。
そして、ネオデカン酸中の、2種以上の炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
上述のとおり、前記銀インク組成物(I)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成できる。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、印刷対象物上に印刷された前記銀インク組成物(I)中においては、有機銀化合物から銀イオン(Ag)が生じる。この場合、印刷対象物の加熱によって、銀イオンに酸素が配位する(Ag・・・O)。次いで、金属銀を形成するための、銀インク組成物(I)の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理によって、酸素が配位した銀イオンから酸化銀(AgO)が生じる。ここで、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていない銀インク組成物の場合には、この銀インク組成物の固化処理によって最終的に生成した金属銀中に、副生した酸化銀が不純物として混入し、金属銀の光沢性が低下してしまうと推測される。一方で、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されている銀インク組成物(I)の場合には、この分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が酸化銀と反応することで、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の銀塩(本明細書においては、「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸銀」と略記することがある)が生じる。この分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸銀は、上述のカルボン酸銀(4)、すなわち有機銀化合物であり、当初から配合されている有機銀化合物と同様に、銀インク組成物(I)の固化処理によって最終的に金属銀を生成する。このように本発明の銀インク組成物(I)を用いることにより、印刷対象物の加熱が原因となって生じた酸化銀が、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の作用によって、金属銀の光沢性の低下原因である不純物ではなく、金属銀そのものに転換されることによって、光沢性が高い金属銀を形成できると推測される。
銀インク組成物(I)において、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量は、前記有機銀化合物中の銀原子の配合量1モルあたり、0.01〜1モルであることが好ましく、0.02〜0.7モルであることがより好ましく、0.03〜0.4モルであることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の前記配合量がこのような範囲であることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成する効果がより高くなる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外のカルボン酸にも、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と同様に、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀の形成を可能とするものがある。
このような分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外のカルボン酸(本明細書においては「他のカルボン酸」と称することがある)は、一価カルボン酸であってもよいし、二価以上の多価カルボン酸であってもよく、脂肪族カルボン酸であってもよいし、芳香族カルボン酸であってもよい。
前記他のカルボン酸は、ホルミル基(−C(=O)−H)等の還元力を有する基を含まないものが好ましい。このような基を含まない他のカルボン酸が配合されてなる銀インク組成物(I)は、その保存中に有機銀化合物由来の不溶物の生成が抑制され、印刷時の取り扱い性がより高い。
前記他のカルボン酸の炭素数は、5〜17であることが好ましく、例えば、5〜15、5〜13及び5〜11のいずれかであってもよい。
前記他のカルボン酸の沸点は、150〜290℃であることが好ましく、例えば、155〜280℃、160〜270℃及び160〜260℃のいずれかであってもよい。他のカルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、銀インク組成物(I)中からの他のカルボン酸の揮発が抑制されて、他のカルボン酸を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、他のカルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀インク組成物(I)の固化処理によって得られた金属銀中での他のカルボン酸の残存が抑制され、光沢性、導電性等が高いなど、より好ましい特性の金属銀が得られる。
前記他のカルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物(I)において、前記他のカルボン酸の配合量は、上述の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量と同じとすることができる。
<含窒素化合物>
銀インク組成物(I)は、特に前記有機銀化合物が前記カルボン酸銀である場合、前記有機銀化合物以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[アミン化合物、第4級アンモニウム塩]
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、このようなアルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。前記アルキル基は、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。前記アリール基の炭素数は、6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物(I)の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
[アミン化合物由来のアンモニウム塩]
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩である。前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
[アンモニア由来のアンモニウム塩]
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩である。ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
本発明においては、例えば、前記含窒素化合物として、炭素数が8以上の第1含窒素化合物と、炭素数が7以下の第2含窒素化合物と、を併用してもよい。
前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用する場合、銀インク組成物(I)において、第1含窒素化合物の配合量に対する第2含窒素化合物の配合量の割合は、0モル%より大きく、18モル%未満であることが好ましく、1〜17モル%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、例えば、細線状の銀層をより安定して形成できる。
前記含窒素化合物を用いる場合、銀インク組成物(I)において、前記含窒素化合物の配合量は、前記有機銀化合物の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜12モルであることがより好ましく、0.3〜8モルであることが特に好ましく、例えば、1〜8モル、2.5〜8モル、及び4〜8モルのいずれかであってもよい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(I)は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。
<アルコール>
銀インク組成物(I)は、前記有機銀化合物以外に、さらにアルコールが配合されてなるものが好ましい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 2018059058
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
[アセチレンアルコール(2)]
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられる。これら前記置換基は、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様のものである。そして、置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物(I)において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、前記有機銀化合物の配合量1モルあたり0.01〜0.7モルであることが好ましく、0.02〜0.5モルであることがより好ましく、0.02〜0.3モルであることが特に好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(I)の安定性がより向上する。
前記アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
<その他の成分>
銀インク組成物(I)は、前記有機銀化合物、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸、含窒素化合物及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物(I)における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。前記その他の成分で、好ましいものとしては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物(I)における前記その他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[溶媒]
前記溶媒は、アルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
銀インク組成物(I)における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物(I)の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし通常は、銀インク組成物(I)において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物(I)において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物(I)は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物(I)においては、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
○銀インク組成物(I)の製造方法
前記銀インク組成物(I)は、前記有機銀化合物、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸、及び必要に応じて、これら以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物(I)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク(I)組成物としてもよい。本発明においては、特に前記有機銀化合物としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、光沢性及び導電性を低下させる不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できる。したがって、精製操作を行っていない銀インク組成物(I)を用いても、十分な光沢性及び導電性を有する金属銀が得られる。
各成分の配合順序は、特に限定されない。各成分の好ましい配合方法の一例としては、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を最後に配合する方法が挙げられる。すなわち、前記銀インク組成物(I)の好ましい製造方法の一例としては、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外の成分をすべて配合した後、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を最後に配合する製造方法が挙げられる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物(I)において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用することが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
<二酸化炭素>
銀インク組成物(I)は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物(I)は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物(I)製造時のいずれの時期に供給してもよい。
供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。供給された二酸化炭素は、供給対象物に溶け込み、いずれかの含有成分に作用することで、得られる銀インク組成物(I)の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端を供給対象物中に浸漬し、他端を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを供給対象物に供給する方法等が挙げられる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、供給対象物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
二酸化炭素ガスの供給量は、供給対象物の量や、目的とする銀インク組成物(I)の粘度等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物(I)を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物(I)の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物(I)の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。また、なお、本明細書において「粘度」とは、特に断りのない限り、超音波振動式粘度計を用いて測定したものを意味する。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、供給対象物1gあたり0.5mL/分以上であることが好ましく、1mL/分以上であることがより好ましい。前記流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、供給対象物1gあたり40mL/分であることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の供給対象物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物(I)が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物(I)が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、供給対象物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に供給対象物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物(I)の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、供給対象物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、供給対象物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物(I)の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
例えば、銀インク組成物(I)をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の、高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物(I)の、20〜25℃における粘度は、1Pa・s以上であることが好ましい。
なお、上記のように二酸化炭素の供給によって、粘度が通常よりも高い銀インク組成物(I)において、有機銀化合物の少なくとも一部から金属銀が形成され、この金属銀が析出することがある。このとき、銀インク組成物(I)の粘度が高い場合には、析出した金属銀の凝集が抑制され、得られた銀インク組成物(I)中での金属銀の分散性が向上する。このような銀インク組成物(I)を用いて、後述する方法で金属銀を形成して得られた金属銀は、粘度が低い、すなわち二酸化炭素が供給されていない銀インク組成物(I)を用いた場合の金属銀よりも、光沢性が高く、導電性が高く(体積抵抗率が低く)、表面粗さも小さくなり、より好ましい特性を有するものとなる。
〇銀インク組成物(II)
銀インク組成物(II)は、前記有機銀化合物として、有機銀錯体が配合され、さらに、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸)及び含窒素化合物が配合されてなる。
このような銀インク組成物(II)としては、例えば、有機銀錯体の前駆体化合物と、これ以外の含窒素化合物と、の反応によって、有機銀錯体が形成され、かつ余剰の前記含窒素化合物が残存している反応液と、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、を含むものが挙げられる。このような銀インク組成物(II)として、より具体的には、特許第5243409号公報に記載のものに、さらに分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されてなるものが挙げられる。
すなわち、銀インク組成物(II)としては、例えば、下記一般式(91)で表される銀化合物(本明細書においては、「銀化合物(91)」と略記することがある)と、下記一般式(92)で表される化合物(本明細書においては、「含窒素化合物(92)」と略記することがある)及び下記一般式(93)で表される化合物(本明細書においては、「含窒素化合物(93)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上の含窒素化合物と、を反応させて得られた有機銀錯体を含有し、さらに、前記含窒素化合物と、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、を含有する液状組成物が挙げられる。
Figure 2018059058
(式中、n101は、1〜3の整数であり;X101は、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、シアノ基、シアネート基、カーボネート基、ニトレート基、ニトライト基、サルフェート基、ホスフェート基、チオシアネート基、クロレート基、パークロレート基、テトラフルオロボレート基、アセチルアセトネート基、カルボキシレート基、及びこれらの誘導体からなる群よから選択される基であり;R101〜R111は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族若しくは脂環族アルキル基又はアリール基、官能基が置換されたアルキル基又はアリール基、及びヘテロ環式基からなる群から選択される基であり、ただし、R101〜R111がすべて水素原子になることはない。)
前記有機銀錯体としては、例えば、下記一般式(95)−1で表される化合物(本明細書においては、「有機銀錯体(95)−1」と略記することがある)、及び下記一般式(95)−2で表される化合物(本明細書においては、「有機銀錯体(95)−2」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2018059058
(式中、R101〜R111は、上記と同じであり;m101及びm102は、それぞれ独立に、0.5〜1.5である。)
[銀化合物(91)]
銀化合物(91)としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀等が挙げられる。
銀化合物(91)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物(II)において、銀化合物(91)に由来する銀の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。前記銀の含有量がこのような範囲であることで、形成された導電体(光反射体、金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、銀インク組成物(II)の取り扱い性等を考慮すると、20質量%であることが好ましい。
なお、ここで、「銀化合物(91)に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物(II)の製造時に配合された銀化合物(91)中の銀と同義であり、配合後も引き続き銀化合物(91)を構成している銀と、配合後に銀化合物(91)の反応で生じた反応物中の銀と、配合後に銀化合物(91)の反応で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
[含窒素化合物(92)]
含窒素化合物(92)は、アンモニウムカルバメート系化合物である。
含窒素化合物(92)において、R101〜R105は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、シアノエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、ヘキサメチレンイミニル基、モルホリノ基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジニル基、カルボキシメチル基、トリメトキシシリルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、フェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、トリル基、ベンジル基、又はこれらの基において一部が置換された基であることが好ましい。ただし、R101〜R105がすべて水素原子になることはない。
含窒素化合物(92)としては、例えば、エチルアンモニウム エチルカルバメート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウム イソブチルカルバメート、tert−ブチルアンモニウム tert−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリノアンモニウム モルホリノカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート等が挙げられる。
そして、これら含窒素化合物(92)の中でも、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメートは、銀化合物(91)との相溶性に優れ、銀インク組成物(II)の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
含窒素化合物(92)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
含窒素化合物(92)は、公知の方法で製造でき、例えば、米国特許第4542214号明細書に記載の方法で製造できる。
[含窒素化合物(93)]
含窒素化合物(93)は、アンモニウムカーボネート系化合物である。
含窒素化合物(93)において、R106〜R111は、含窒素化合物(92)におけるR101〜R105と同様のものである。ただし、R106〜R111がすべて水素原子になることはない。
含窒素化合物(93)としては、例えば、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、tert−ブチルアンモニウム tert−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミニルアンモニウム ヘキサメチレンイミニルカーボネート、モルホリノアンモニウム モルホリノカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート等が挙げられる。
含窒素化合物(93)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
含窒素化合物(93)は、公知の方法で製造でき、例えば、米国特許第4542214号明細書に記載の方法で製造できる。
銀化合物(91)と反応させる含窒素化合物は、1種又は2種以上の含窒素化合物(92)のみであってもよいし、1種又は2種以上の含窒素化合物(93)のみであってもよいし、1種又は2種以上の含窒素化合物(92)と、1種又は2種以上の含窒素化合物(93)と、の両方であってもよい。
銀化合物(91)と、含窒素化合物(92)及び含窒素化合物(93)からなる群から選択される1種又は2種以上と、の反応は、例えば、窒素雰囲気下において、常圧の状態で又は加圧した状態で、溶媒を用いずに行うことができる。
[溶媒]
前記反応は、溶媒を用いて行ってもよい。このときの溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、グリセリン等のグリコール;エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート等のアセテート;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記溶媒は、銀インク組成物(II)の配合成分であってもよい。
前記反応時において、含窒素化合物(92)及び含窒素化合物(93)の合計使用量は、使用する銀化合物(91)中の銀原子の量に対して、1〜4倍モル量である([含窒素化合物(92)及び含窒素化合物(93)の合計使用量(モル)]/[使用する銀化合物(91)中の銀原子の量(モル)]の値が1〜4である)ことが好ましい。
[炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸]
銀インク組成物(II)における、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、銀インク組成物(I)における炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸)と同じである。
銀インク組成物(II)における前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、銀インク組成物(I)における前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、同様の作用を示すと推測される。
銀インク組成物(II)において、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量は、前記有機銀錯体中の銀原子の配合量1モルあたり、0.01〜1モルであることが好ましく、0.02〜0.7モルであることがより好ましく、0.03〜0.4モルであることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の前記配合量がこのような範囲であることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(II)の製造時に、前記有機銀錯体の前駆体化合物を用いる場合には、前記前駆体化合物中の銀原子の配合量1モルあたりの、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量を、上述の数値範囲とすることができる。
上述のとおり、前記銀インク組成物(II)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成できる。その理由は定かではないが、上述の銀インク組成物(I)の場合と同じであると推測される。
本発明の銀インク組成物については、以上のとおりである。
次いで、前記銀インク組成物の使用方法について説明する。
<<銀インク組成物の使用方法>>
銀インク組成物(I)及び銀インク組成物(II)の場合に限定されず、前記銀インク組成物は、目的物へ付着させる方法として、印刷法を適用するのに好適であるが、塗布法等の印刷法以外の方法を適用するのにも好適である。
そして、前記銀インク組成物は、目的物へ付着させる方法のうち、付着対象物(目的物)の加熱を必要とする方法への適用に、特に好適である。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
これらの中でも、前記印刷法は、インクジェット式印刷法であることが好ましい。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法等が挙げられる。
銀インク組成物の印刷と、印刷した銀インク組成物の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理と、により金属銀を形成する場合には、印刷対象物上での銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記有機銀化合物の配合量を調節することで、金属銀の厚さを調節できる。
印刷法に代えて、塗布法を採用する場合も同様に、塗布対象物上での銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記有機銀化合物の配合量を調節することで、金属銀の厚さを調節できる。
銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよい。すなわち前記乾燥処理は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。前記有機銀化合物の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物を耐熱性が低い目的物に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されない。前記加熱処理は、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、前記加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、前記加熱処理は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。この場合の一段階目の加熱処理には、例えば、先に説明した、印刷対象物を加熱しながら銀インク組成物で印刷を行ったときの、印刷対象物による銀インク組成物の加熱が、該当することがある。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜120℃であることが好ましく、70〜110℃であってもよい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い目的物に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、以下に示す二段階の方法で行うことが特に好ましい。すなわち、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行うことにより、銀インク組成物の加熱処理を行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜120℃であることが好ましく、70〜110℃であってもよい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜15分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い目的物に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の付着(印刷)対象となる目的物(基材)の材質は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
目的物の好ましい材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
また、目的物の好ましい材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、目的物は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質を併用したものでもよい。
銀インク組成物の付着(印刷)対象となる目的物(基材)の厚さは、特に限定されないが、10〜5000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。
<<金属銀、積層体>>
本発明の銀インク組成物は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理によって、光沢性が高い光反射体を形成できる。この光反射体は、前記有機銀化合物から生じた金属銀を主成分とする。すなわち、本発明の銀インク組成物を用いることにより、光沢性が高い金属銀を形成できる。そして、この銀インク組成物を用いて、印刷対象物を加熱しながら印刷を行っても、光沢性が高い金属銀を形成できる。
本発明の銀インク組成物は、基材と、前記基材上に形成された金属銀層と、を備えた積層体であって、前記金属銀層の光沢性が高い積層体を製造するために用いるものとして、好適である。
本発明の銀インク組成物を用いて得られた金属銀は、光反射率、例えば、波長が400〜700nmの光の反射率に優れる。
例えば、印刷対象物を60℃で加熱しながら印刷を行った場合でも、金属銀の波長550nmの光の反射率を、好ましくは50%以上とすることができ、例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上及び75%以上等のいずれかとすることができるが、これらは一例である。
また、上述の金属銀の、波長550nmの光の反射率の上限値は、特に限定されず、例えば、90%とすることができるが、これは一例である。
上述のように、本発明の銀インク組成物を用いて、印刷対象物を60℃で加熱しながら印刷を行い、金属銀を形成した場合の、この金属銀の波長550nmの光の反射率は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。例えば、前記光の反射率は、好ましくは50〜90%とすることができ、55〜90%、60〜90%、65〜90%、70〜90%、及び75〜90%等のいずれかとすることができる。ただし、これらは一例である。
本発明の銀インク組成物を用いて得られた光反射体において、金属銀の比率は、前記光反射体が見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高くすることができ、光反射体中の金属銀の比率は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。光反射体中の金属銀の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
図1は、本発明の積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層体1は、基材11と、基材11上に形成された金属銀層12と、を備える。
金属銀層12は、上述の本発明の銀インク組成物を用いて形成されたものである。金属銀層12の、波長550nmの光の反射率は、50%以上である。
金属銀層12は、基材11の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11a上のみに積層されている。
なお、ここに示す積層体1において、基材11の第1面11aとは反対側の表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)11b上には、金属銀層(図示略)が積層されていないが、前記第2面11b上に金属銀層が積層されていてもよい。
この場合、基材11の第2面11b上の金属銀層は、本発明の銀インク組成物を用いて形成されたものであってもよいし、本発明とは異なる銀インク組成物を用いて形成されたものであってもよい。そして、基材11の第1面11a上の金属銀層12と、基材11の第2面11b上の金属銀層とは、互いに同一で異なっていてもよい。
上述のとおり、本発明の銀インク組成物を用いることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、又は、塗布対象物を加熱しながら塗布を行った場合であっても、次いで別途、銀インク組成物の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を行うことによって、光沢性が高い金属銀(金属銀層)を形成できる。
上述の印刷時の印刷対象物、又は塗布時の塗布対象物の加熱温度は、特に限定されないが、45〜70℃であることが好ましく、55〜65℃であることがより好ましい。前記加熱温度が前記下限値以上であることで、印刷時又は塗布時における銀インク組成物の滲みがより抑制される。前記加熱温度が前記上限値以下であることで、印刷対象物又は塗布対象物の劣化がより抑制される。
前記印刷対象物又は塗布対象物の加熱時間は、特に限定されず、例えば、前記加熱温度に応じて適宜調節できる。通常、前記加熱時間は、5秒〜10分であることが好ましい。
対象物を加熱しながら行う、上述の銀インク組成物による印刷、又は銀インク組成物の塗布は、空気雰囲気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられる。特に、前記印刷又は塗布を不活性ガス雰囲気下で行うことで、光沢性がより高い金属銀(金属銀層)が得られることがある。
本発明の銀インク組成物を用いて、基材上に形成された金属銀層の厚さは、目的に応じて、任意に設定でき、特に限定されない。
例えば、前記金属銀層の厚さは、0.04〜1μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmであることがより好ましい。金属銀層の厚さが前記下限値以上であることで、金属銀層の光の反射率がより高くなる。一方、厚さが前記上限値以下である金属銀層は、より容易に形成できる。
本発明の銀インク組成物を用いて、基材上に金属銀層(金属銀)を形成して得られた積層体は、金属銀層の光沢性が高い特性を利用して、種々の用途で利用できる。例えば、金属銀層がパターニングされたものであれば、前記積層体は、装飾用又は加飾用の各種製品の構成部材として有用である。また、金属銀層が膜状のものであれば、前記積層体は、その膜の表面を鏡面として用いる各種製品の構成部材として有用である。
基材上に金属銀層を備えた、好ましい前記積層体としては、例えば、前記金属銀層の、波長550nmの光の反射率が、上述のもの(例えば50%以上であるもの)が挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(78.18g、後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(1.17g、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2−メチルアセト酢酸銀(20.65g)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、ネオデカン酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
なお、DMHOとしては、日信化学社製「サーフィノール61」を用い、ネオデカン酸としては、ジャパンケムテック社製「バーサティック10」を用いた。これは、以降の実施例、参考例及び比較例でも同様である。
各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、有機銀化合物の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[有機銀化合物のモル数])を意味する。「アルコール(モル比)」も同様に、有機銀化合物の配合量1モルあたりのアルコールの配合量(モル数)([アルコールのモル数]/[有機銀化合物のモル数])を意味する。「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸のモル比」も同様に、有機銀化合物の配合量1モルあたりの分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量(モル数)([分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸のモル数]/[有機銀化合物のモル数])を意味する。また、銀インク組成物の配合成分・配合量の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。これらのことは、配合成分の種類と配合比を示した、表1以降の表においても同様である。
なお、本実施例において「有機銀化合物」とは、「β−ケトカルボン酸銀(1)」のことである。
<銀インク組成物の評価>
(金属銀層の形成)
ポリエチレンテレフタレート製基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S10」、厚さ100μm、サイズ50mm×50mm)の一方の表面上に、スピンコーターを用いて、上記で得られた銀インク組成物を塗工し、直ちにこの塗工後の基材をホットプレート上に載せて、60℃で5分加熱した。スピンコーターによる塗工時の回転条件は、1000rpmで5秒、次いで2000rpmで10秒とした。
次いで、直ちにドライヤー(竹綱製作所製「HAS−42」)を用いて、この加熱後の基材上の塗工物(塗工膜)を、100℃で15分加熱(焼成)処理することにより、金属銀層(金属銀膜)(1)−1を形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱を行わなかった点以外は、金属銀層(1)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(1)−1Rを形成した。
さらに、別途、塗工物の加熱(焼成)処理条件を、100℃で15分に代えて、120℃で15分とした点以外は、金属銀層(1)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(1)−2を形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱を行わなかった点以外は、金属銀層(1)−2の場合と同じ方法で、金属銀層(1)−2Rを形成した。
これら塗工後の基材の加熱条件、及び塗工物の加熱(焼成)処理条件を、それぞれ表2に示す。なお、表2中、工程条件の欄の「−」との記載は、その工程を行っていないことを意味する。このことは、上述の基材の加熱条件、及び塗工物の加熱(焼成)処理条件を示した、表2以降の表においても同様である。
(金属銀層の光の反射率の測定)
上記で得られた金属銀層(1)−1、(1)−1R、(1)−2及び(1)−2Rについて、それぞれの表面の異なる3箇所について、積分球分光測色計「X−Rite model SP60」を用いて、測定モードをSCI(正反射光を含む)とし、光源をD65として、波長550nmの光の反射率を測定し、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
[実施例2]
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(75.61g、後述するピバロイル酢酸銀に対して6.32倍モル量)と、DMHO(1.17g、ピバロイル酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるようにピバロイル酢酸銀(23.23g)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、ネオデカン酸(ピバロイル酢酸銀に対して0.13倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
<銀インク組成物の評価>
ポリエチレンテレフタレート製基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S10」、厚さ100μm、サイズ50mm×50mm)の一方の表面上に、スピンコーターを用いて、上記で得られた銀インク組成物を塗工し、直ちにこの塗工後の基材をホットプレート上に載せて、60℃で5分加熱した。スピンコーターによる塗工時の回転条件は、1000rpmで5秒、次いで2000rpmで10秒とした。
次いで、直ちにドライヤー(竹綱製作所製「HAS−42」)を用いて、この加熱後の基材上の塗工物(塗工膜)を、120℃で15分加熱(焼成)処理することにより、金属銀層(金属銀膜)(2)−1を形成した。
塗工後の基材の加熱条件、及び塗工物の加熱(焼成)処理条件を、それぞれ表2に示す。
そして、上記で得られた金属銀層(2)−1について、実施例1と同じ方法で、波長550nmの光の反射率を測定し、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
[比較例1]
<銀インク組成物の製造>
ネオデカン酸の滴下を行わなかった点以外は、実施例1と同じ方法で銀インク組成物を得た。すなわち、2−メチルアセト酢酸銀を添加して、室温で1日撹拌を続けて得られたものを、そのまま銀インク組成物とした。
<銀インク組成物の評価>
ポリエチレンテレフタレート製基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S10」、厚さ100μm、サイズ50mm×50mm)の一方の表面上に、スピンコーターを用いて、上記で得られた銀インク組成物を塗工し、直ちにこの塗工後の基材をホットプレート上に載せて、60℃で5分加熱した。スピンコーターによる塗工時の回転条件は、1000rpmで5秒、次いで2000rpmで10秒とした。
次いで、直ちにドライヤー(竹綱製作所製「HAS−42」)を用いて、この加熱後の基材上の塗工物(塗工膜)を、100℃で15分加熱(焼成)処理することにより、金属銀層(金属銀膜)(R1)−1を形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱を行わなかった点以外は、金属銀層(R1)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(R1)−1Rを形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱条件を60℃で5分に代えて、40℃で5分、30℃で5分、の2とおりとした点以外は、金属銀層(R1)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(R1)−2、(R1)−3をそれぞれ形成した。
さらに、別途、塗工物の加熱(焼成)処理条件を、100℃で15分に代えて、120℃で15分とした点以外は、金属銀層(R1)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(R1)−4を形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱を行わなかった点以外は、金属銀層(R1)−4の場合と同じ方法で、金属銀層(R1)−2Rを形成した。
これら塗工後の基材の加熱条件、及び塗工物の加熱(焼成)処理条件を、それぞれ表2に示す。
そして、上記で得られた金属銀層(R1)−1〜(R1)〜4、及び(R1)−1R〜(R1)〜2Rについて、実施例1と同じ方法で、波長550nmの光の反射率を測定し、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
[比較例2]
<銀インク組成物の製造及び評価>
ネオデカン酸の滴下を行わなかった点以外は、実施例2と同じ方法で銀インク組成物を得た。すなわち、ピバロイル酢酸銀を添加して、室温で1日撹拌を続けて得られたものを、そのまま銀インク組成物とした。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例2と同じ方法で金属銀層(R2)−1を形成し、実施例2と同じ方法で評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2018059058
Figure 2018059058
実施例1の金属銀層(1)−1及び(1)−1Rの結果と、比較例1の金属銀層(R1)−1〜(R1)−4の結果と、の比較から、実施例1の銀インク組成物を用いることで、基材を加熱しながら印刷を行っても、光沢性が高い金属銀層を形成できることが確認された。
また、実施例1の金属銀層(1)−2及び(1)−2Rの結果と、比較例1の金属銀層(R1)−4及び(R1)−2Rの結果と、の比較からも、実施例1の銀インク組成物を用いることで、基材を加熱しながら印刷を行っても、光沢性が高い金属銀層を形成できることが確認された。
実施例2の金属銀層(2)−1の結果と、比較例2の金属銀層(R2)−1Rの結果と、の比較から、実施例2の銀インク組成物を用いることで、基材を加熱しながら印刷を行っても、光沢性が高い金属銀層を形成できることが確認された。
実施例1〜2の結果から、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合、異なる種類の有機銀化合物を用いても、光沢性が高い金属銀層を形成できることが確認された。実施例1〜2において、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合の金属銀層の光の反射率は、62%以上であった。
なお、実施例1〜2及び比較例1〜2のいずれにおいても、形成した金属銀層の厚さは、約0.1μmであった。
[実施例3]
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(78.18質量部、後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、DMHO(1.17質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2−メチルアセト酢酸銀(20.65質量部)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、2−プロピル吉草酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
なお、2−プロピル吉草酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表3に示す。なお、表3においては、「カルボン酸」の欄に、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸である2−プロピル吉草酸とそのモル比を記載している。これは、以降の実施例においても同様である。
<銀インク組成物の評価>
ポリエチレンテレフタレート製基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S10」、厚さ100μm、サイズ50mm×50mm)の一方の表面上に、スピンコーターを用いて、上記で得られた銀インク組成物を塗工し、直ちにこの塗工後の基材をホットプレート上に載せて、60℃で5分加熱した。スピンコーターによる塗工時の回転条件は、1000rpmで5秒、次いで2000rpmで10秒とした。
次いで、直ちにドライヤー(竹綱製作所製「HAS−42」)を用いて、この加熱後の基材上の塗工物(塗工膜)を、120℃で15分加熱(焼成)処理することにより、金属銀層(金属銀膜)(3)−1を形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱を行わなかった点以外は、金属銀層(3)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(3)−1Rを形成した。
これら塗工後の基材の加熱条件、及び塗工物の加熱(焼成)処理条件を、それぞれ表4に示す。
そして、上記で得られた金属銀層(3)−1、及び(3)−1Rについて、実施例1と同じ方法で、波長550nmの光の反射率を測定し、その平均値を算出した。結果を表4に示す。
[実施例4]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時における、2−プロピル吉草酸の配合量を、1.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)とするのに代えて、2.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.15倍モル量)とした点以外は、実施例3と同じ方法で、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例3と同じ方法で金属銀層(4)−1、及び(4)−1Rを形成し、実施例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例5]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時における、2−プロピル吉草酸の配合量を、1.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)とするのに代えて、3.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.22倍モル量)とした点以外は、実施例3と同じ方法で、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例3と同じ方法で金属銀層(5)−1、及び(5)−1Rを形成し、実施例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例6]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時における、2−プロピル吉草酸の配合量を、1.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)とするのに代えて、4.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.30倍モル量)とした点以外は、実施例3と同じ方法で、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例3と同じ方法で金属銀層(6)−1、及び(6)−1Rを形成し、実施例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例7]
<銀インク組成物の製造及び評価>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(78.18質量部、後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、DMHO(1.17質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2−メチルアセト酢酸銀(20.65質量部)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、3,5,5−トリメチルヘキサン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
なお、3,5,5−トリメチルヘキサン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表3に示す。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例3と同じ方法で金属銀層(7)−1、及び(7)−1Rを形成し、実施例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例8]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時における、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の配合量を、1.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)とするのに代えて、2.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.14倍モル量)とした点以外は、実施例7と同じ方法で、銀インク組成物として銀インク組成物(I)を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例7と同じ方法で金属銀層(8)−1、及び(8)−1Rを形成し、実施例7と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例1]
<銀インク組成物の製造及び評価>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(78.18質量部、後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、DMHO(1.17質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2−メチルアセト酢酸銀(20.65質量部)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、n−ヘキサン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.09倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、n−ヘキサン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表3に示す。なお、表3においては、「カルボン酸」の欄に、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではないn−ヘキサン酸とそのモル比を記載している。これは、以降の参考例においても同様である。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例3と同じ方法で金属銀層(1’)−1、及び(1’)−1Rを形成し、実施例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例2]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時における、n−ヘキサン酸の配合量を、1.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.09倍モル量)とするのに代えて、2.00質量部(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.19倍モル量)とした点以外は、参考例1と同じ方法で銀インク組成物を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例1と同じ方法で金属銀層(1’)−2、及び(1’)−2Rを形成し、参考例1と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例3]
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(78.18質量部、後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、DMHO(1.17質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2−メチルアセト酢酸銀(20.65質量部)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、シクロプロパンカルボン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表3に示す。
<銀インク組成物の評価>
ポリエチレンテレフタレート製基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S10」、厚さ100μm、サイズ50mm×50mm)の一方の表面上に、スピンコーターを用いて、上記で得られた銀インク組成物を塗工した。スピンコーターによる塗工時の回転条件は、1000rpmで5秒、次いで2000rpmで10秒とした。
次いで、直ちにドライヤー(竹綱製作所製「HAS−42」)を用いて、この銀インク組成物を塗工後の基材上の塗工物(塗工膜)を、120℃で15分加熱(焼成)処理することにより、金属銀層(金属銀膜)(1’)−3Rを形成した。
そして、上記で得られた金属銀層(1’)−3Rについて、実施例1と同じ方法で、波長550nmの光の反射率を測定し、その平均値を算出した。結果を表4に示す。
[参考例4]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、3−メチルクロトン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.11倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、3−メチルクロトン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−4Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例5]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−5Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例6]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、ヒドロキシピバル酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.09倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、ヒドロキシピバル酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−6Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例7]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、デヒドロ酢酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.06倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、デヒドロ酢酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−7Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例8]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.08倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−8Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例9]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、DL−乳酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.12倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、DL−乳酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−9Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例10]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、n−デカン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.06倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、n−デカン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−10Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例11]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、パルミチン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.04倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、パルミチン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−11Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
[参考例12]
<銀インク組成物の製造及び評価>
シクロプロパンカルボン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を配合するのに代えて、n−オクタン酸(1.00質量部、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.07倍モル量)を配合した点以外は、参考例3と同じ方法で銀インク組成物を得た。
なお、n−オクタン酸としては、東京化成工業社製のものを用いた。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、参考例3と同じ方法で金属銀層(1’)−12Rを形成し、参考例3と同じ方法で評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2018059058
Figure 2018059058
実施例3〜8の結果から明らかなように、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合、異なる種類の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いても、光沢性が高い金属銀層を形成できることが確認された。実施例3〜8において、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合の金属銀層の光の反射率は、56%以上であった。
実施例3〜6においては、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱しなかった場合、銀インク組成物での分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(2−プロピル吉草酸)の配合量が多くなるに従って(金属銀層(3)−1R、(4)−1R、(5)−1R及び(6)−1Rの順に)、金属銀層の光沢性が低下する傾向が見られた。ただし、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合(金属銀層(3)−1、(4)−1、(5)−1、及び(6)−1の場合)、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(2−プロピル吉草酸)の配合量によらず、金属銀層の光沢性は安定していた。
一方、実施例7〜8においては、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱しなかった場合(金属銀層(7)−1R、及び(7)−2Rの場合)と、加熱した場合(金属銀層(7)−1、及び(7)−2の場合)と、のいずれにおいても、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(3,5,5−トリメチルヘキサン酸)の配合量によらず、金属銀層の光沢性は安定していた。さらに、実施例7〜8においては、金属銀層のくすみが最も高度に抑制されていた。
これに対して、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、他の化合物(カルボン酸)を用いた参考例1〜12においては、光沢性が高い金属銀層を形成できなかった。
参考例1〜2及び10〜12では、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、直鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いており、参考例1〜2ではn−ヘキサン酸を用い、参考例10ではn−デカン酸を用い、参考例11ではパルミチン酸を用い、参考例12ではn−オクタン酸を用いた。
参考例3では、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、環状飽和脂肪族カルボン酸であるシクロプロパンカルボン酸を用いた。
参考例4では、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、分岐鎖状不飽和脂肪族カルボン酸である3−メチルクロトン酸を用いた。
参考例5、6及び8では、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、分岐鎖状飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸を用いており、参考例5では2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸を用い、参考例6ではヒドロキシピバル酸を用い、参考例8では2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を用いた。
参考例7では、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、ケトカルボン酸であるデヒドロ酢酸を用いた。
参考例9では、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸ではなく、直鎖状飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸であるDL−乳酸を用いた。
参考例1においては、銀インク組成物を塗工後に基材を60℃で5分加熱することにより、光沢性が高い金属銀層を形成できなかった。
参考例2〜12においては、そもそも、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱せずに金属銀層を形成しても、光沢性が高い金属銀層を形成できず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸に代えて用いた他の化合物が、金属銀層の形成に適していなかった。
参考例1〜2においては、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合の金属銀層の光の反射率は、36%以下であった。
このように、本発明の効果が得られるのは、有機銀化合物と、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、が配合されてなる銀インク組成物を用いた場合だけであった。特に、参考例10の結果を、先に説明した実施例1〜2の結果と比較すると、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が必須の配合成分であることの重要性が、ひときわ明らかである。
なお、実施例3〜8及び参考例1〜12のいずれにおいても、形成した金属銀層の厚さは、約0.1μmであった。
[実施例9]
<銀インク組成物の製造>
特許第5243409号公報に記載の実施例4を参考にして、以下に示す手順で、銀インク組成物を製造した。
すなわち、常温下において、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメート(45.5g、150.41mmol)を、2−プロパノール(105g)に溶解させ、ここへ酸化銀(14g、60.41mmol)を添加した後、常温で反応させた。このときの反応液は、最初は黒色の懸濁液であり、目的とする有機銀錯体が生成するにつれて、徐々に色が薄くなった。4時間反応させた段階で、反応液中にわずかに酸化銀の沈殿が残存していたため、この反応液を遠心分離することにより、前記沈殿を取り除いて、透明な反応液(反応溶液)を得た。
電気炉を用いて、上記で得られた透明な反応液を400℃で3.5時間加熱処理し、この加熱処理前後での質量変化(加熱処理前の前記反応液の質量と、記反応液を加熱処理して得られた処理物の質量と、の差)から、前記反応液の銀含有量を測定したところ、5.8質量%であった。
次いで、上記で得られた透明な反応液(30g)に対して、常温下において、ネオデカン酸(0.3g、1.74mmol)を添加して撹拌することにより、銀インク組成物として銀インク組成物(II)を得た。
<銀インク組成物の評価>
(金属銀層の形成)
ポリエチレンテレフタレート製基材(東レ社製「ルミラー(登録商標)S10」、厚さ100μm、サイズ50mm×50mm)の一方の表面上に、スピンコーターを用いて、上記で得られた銀インク組成物を塗工し、直ちにこの塗工後の基材をホットプレート上に載せて、60℃で5分加熱した。スピンコーターによる塗工時の回転条件は、1000rpmで5秒、次いで2000rpmで10秒とした。
次いで、直ちにドライヤー(竹綱製作所製「HAS−42」)を用いて、この加熱後の基材上の塗工物(塗工膜)を、150℃で15分加熱(焼成)処理することにより、金属銀層(金属銀膜)(9)−1を形成した。
さらに、別途、銀インク組成物を塗工後の基材の加熱を行わなかった点以外は、金属銀層(9)−1の場合と同じ方法で、金属銀層(9)−1Rを形成した。
これら塗工後の基材の加熱条件、及び塗工物の加熱(焼成)処理条件を、それぞれ表5に示す。
(金属銀層の反射率の測定)
上記で得られた金属銀層(9)−1、及び(9)−1Rについて、実施例1の場合と同じ方法で、波長550nmの光の反射率を測定し、その平均値を算出した。結果を表5に示す。
[実施例10]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時において、透明な反応液(30g)に対する、ネオデカン酸の配合量を、0.3g(1.74mmol)とするのに代えて、0.48g(2.79mmol)とした点以外は、実施例9と同じ方法で、銀インク組成物として銀インク組成物(II)を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例9と同じ方法で金属銀層(10)−1、及び(10)−1Rを形成し、実施例9と同じ方法で評価を行った。結果を表5に示す。
[実施例11]
<銀インク組成物の製造及び評価>
銀インク組成物の製造時において、透明な反応液(30g)に対する、ネオデカン酸の配合量を、0.3g(1.74mmol)とするのに代えて、0.9g(5.22mmol)とした点以外は、実施例9と同じ方法で、銀インク組成物として銀インク組成物(II)を得た。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例9と同じ方法で金属銀層(11)−1、及び(11)−1Rを形成し、実施例9と同じ方法で評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例3]
<銀インク組成物の製造及び評価>
ネオデカン酸の添加を行わなかった点以外は、実施例9と同じ方法で銀インク組成物を得た。すなわち、酸化銀を添加し、遠心分離して得られた透明な反応液(反応溶液)を、そのまま銀インク組成物とした。
そして、得られた銀インク組成物を用いて、実施例9と同じ方法で金属銀層(R3)−1、及び(R3)−1Rを形成し、実施例9と同じ方法で評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2018059058
実施例9〜11の結果から明らかなように、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合であっても、光沢性が高い金属銀層を形成できることが確認された。実施例9〜11において、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合の金属銀層の光の反射率は、51%以上であった。
実施例9〜11においては、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合、及び加熱しなかった場合、のいずれであっても、銀インク組成物での分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(ネオデカン酸)の配合量が多くなるに従って(金属銀層(9)−1R、(10)−1R及び(11)−1Rの順に、さらに、金属銀層(9)−1、(10)−1及び(11)−1の順に)、金属銀層の光沢性が向上する傾向が見られた。
これに対して、比較例3においては、銀インク組成物を塗工後に基材を加熱した場合であっても、金属銀層の光沢性の低下をある程度抑制できたが、この場合の金属銀層の光の反射率は、47%にとどまった。
なお、実施例9〜11及び比較例3のいずれにおいても、形成した金属銀層の厚さは、約0.1μmであった。
本発明は、金属銀のパターンを装飾用又は加飾用として用いる各種製品等に利用可能である。さらに、本発明は、基材上に金属銀層を備え、その金属銀層表面を鏡面として用いる各種製品等に利用可能である。
1・・・積層体、11・・・基材、11a・・・基材の第1面、11b・・・基材の第2面、12・・・金属銀層

Claims (2)

  1. 有機銀化合物と、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、が配合されてなる銀インク組成物。
  2. 基材と、前記基材上に形成された金属銀層と、を備えた積層体であって、
    前記金属銀層は、請求項1に記載の銀インク組成物を用いて形成されたものであり、
    前記金属銀層の、波長550nmの光の反射率が50%以上である、積層体。
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