JP2019111812A - 積層体 - Google Patents

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昭仁 森
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Abstract

【課題】ポリカーボネートから形成された第1基材とガラス基材との間に導電層が配置されている積層体において、高温高湿試験後でも積層体中の発泡が抑制される積層体の提供。【解決手段】ポリカーボネートから形成された第1基材11と、ガラス基材16と、少なくとも1つの透明粘着剤層13、15と、導電層12と、透明樹脂から形成された第2基材14と、を備えた積層体において、前記第1基材11と前記ガラス基材16との間に、前記透明粘着剤層13、15と、前記導電層12と、前記第2基材14とが配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、導電層を備えた積層体、ならびに該積層体を用いたタッチパネルなどの光学用部材に関する。
基材上に導電層が設けられた積層体は、様々な分野で広く利用されている。例えば、導電層がパターニングされた積層体であれば、通信機器等の電子機器の分野において回路基板として利用されている。また、パターニングされた導電層として、極微細配線又は極薄配線を備えた積層体は、さらに透明基材と組合せることにより、タッチパネルや光学ディスプレイを構成できる。
一方、このような積層体においては、ユーザーの手が触れるタッチパネル最外面に、被覆層としてガラス基材等の透明基材が用いられることがある。被覆層としてのガラス基材等は、例えば、導電層を保護する目的で設けられる。そして、このような被覆層としてガラス基材等を備えた積層体は、例えば、タッチパネル等の光学用途で使用される場合、過酷な環境下や長期の使用においても、タッチパネル等の視認性を確保するためにタッチパネル等内部からの発泡が抑制されることが求められる。
このような積層体の例としては、ユーザーの手が触れるタッチパネル最外面にカバーガラスなどを用いた表面支持体を備えた静電容量方式のタッチパネルユニットが開示されている(特許文献1参照)。また、特許文献1には、耐湿熱白化性や接着性(耐発泡性)に優れた透明粘着剤(OCA;Optically Clear Adhesive)をタッチパネル用積層体における各層の接着に用いることが開示されている。さらに、特許文献1によれば、「ガラス/OCA/その他の層」、「ポリカーボネート(PC)/OCA/その他の層」のような積層構造を有するタッチパネル用積層体が、高温高湿条件での耐環境試験における耐湿熱白化性や耐発泡性などを確保することを目的とすることが開示されている。
特開2013−047295号公報
しかし、特許文献1に記載されたような、一般的な積層体構造(タッチパネル用電極を含む積層体)では、積層体中の発泡およびヘーズ悪化を充分に抑制できない。
具体的には、特許文献1においては、タッチパネル用部材において、アウトガスが発生しやすい材料として知られているポリカーボネートを基材として用いた場合、「ポリカーボネート基材/導電層/OCA/ガラス」等の層構成での耐環境試験が行われていないため、当該層構成を有するような積層体の耐環境性(例えば、高温高湿試験でのヘーズ変化、発泡の有無)が不明である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ポリカーボネートから形成された基材とガラス基材との間に導電層が配置されている積層体において、高温高湿試験後でも積層体中の発泡が抑制される積層体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る積層体は、ポリカーボネートから形成された第1基材と、ガラス基材と、少なくとも1つの透明粘着剤層と、導電層と、透明樹脂から形成された第2基材と、を備え、前記第1基材と前記ガラス基材との間に、前記透明粘着剤層と、前記導電層と、前記第2基材とが配置されている。
前記透明粘着剤層として、第1透明粘着剤層と第2透明粘着剤層を備え、前記第1基材と前記ガラス基材との間に、前記第1基材側から、前記導電層、前記第1透明粘着剤層、前記第2基材、および前記第2透明粘着剤層が、この順で積層されていてもよい。
前記透明樹脂が、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー、およびトリアセチルセルロースからなる群より選ばれた1つ以上の樹脂であってもよい。
前記積層体は、前記第1基材側から測定した第1ヘーズHが3.0%以下であり、前記積層体を温度60℃、90%RH雰囲気下で、303時間保存する試験後における前記積層体の第2ヘーズH303を前記第1基材側から測定したときに、式I303:ΔH303(%)=(H303−H)/H×100により算出される前記積層体のヘーズ変化率ΔH303が80%以下であってもよい。
本発明の前記態様によれば、ポリカーボネートから形成された基材とガラス基材との間に導電層が配置されている積層体において、高温高湿試験後でも積層体中の発泡が抑制された積層体が提供される。
本発明の第一実施形態に係る積層体(積層体構成1)を模式的に示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。 図1に示す積層体の製造方法を模式的に説明するための断面図である。 比較例に係る積層体(積層体構成2)を模式的に示す断面図である。 比較例に係る積層体(積層体構成3)を模式的に示す断面図である。
<<積層体>>
本発明の第一実施形態に係る積層体は、ポリカーボネートから形成された第1基材と、ガラス基材と、少なくとも1つの透明粘着剤層と、導電層と、透明樹脂から形成された第2基材と、を備え、前記ポリカーボネートから形成された第1基材と前記ガラス基材との間に、前記少なくとも1つの透明粘着剤層と、前記導電層と、前記透明樹脂から形成された第2基材とが配置されている。
また、本実施形態に係る前記積層体においては、前記透明粘着剤層として、第1透明粘着剤層と第2透明粘着剤層を備え、前記第1基材と前記ガラス基材との間に、前記第1基材側から、前記導電層、前記第1透明粘着剤層、前記第2基材、および前記第2透明粘着剤層が、この順で積層されていてもよい。
さらに、本実施形態に係る前記積層体においては、前記ポリカーボネートから形成された第1基材上に前記導電層が設けられ、前記導電層上に前記第1透明粘着剤層が設けられ、前記第1透明粘着剤層上に前記透明樹脂から形成された第2基材が設けられ、前記第2基材上に前記第2透明粘着剤層が設けられ、前記第2透明粘着剤層上に前記ガラス基材が設けられることが好ましい。
本実施形態に係る積層体によれば、温度60℃、90%RH(相対湿度90%)、19時間保存の高温高湿試験における積層体中の発泡の抑制が可能となる。
一般的には、ポリカーボネートをタッチパネル用部材として用いた場合、高温高湿条件においては、COやHO等のアウトガスが発生しやすいと考えられ、アウトガスの発生により、例えば、ポリカーボネート支持体と粘着剤層との間に気泡が生じてしまうことが考えられる。支持体と粘着剤層との間に気泡が生じてしまうとタッチパネルの視認性が低下してしまうため、タッチパネル用部材として好ましくない。
一方、本実施形態に係る積層体によれば、ポリカーボネートから形成された第1基材11を用いていても、温度60℃、90%RH(相対湿度90%)、19時間保存といった高温高湿試験後においても、積層体中の発泡の抑制が可能となる。
さらに、本実施形態に係る積層体によれば、温度60℃、90%RH(相対湿度90%)、19時間保存といった高温高湿試験後においても、ヘーズ悪化(白濁)抑制が可能になった。
図1に示されたような層構造を有する本実施形態に係る積層体1によれば、第1透明粘着剤層13と、導電層12が配置され、かつ、ポリカーボネートから形成された第1基材11との密着性が向上したことにより、アウトガス発生を抑え込み、発泡を抑制できたと考えられる。
また、第2透明粘着剤層15とガラス基材16との密着性が向上したことにより、積層体中にガスが溜まりにくくなったと考えられる。
また、同様に各層の密着性が向上したことにより、積層体1中への水分の侵入を抑制できたため、ヘーズ悪化(白濁)が生じにくいと推測できる。
さらに、本実施形態に係る積層体によれば、前記ポリカーボネートから形成された第1基材側から測定した第1ヘーズHが3.0%以下であり、前記積層体を温度60℃、90%RH雰囲気下で、303時間保存する試験後における前記積層体の第2ヘーズH303を前記第1基材側から測定したときに、式I303:ΔH303(%)=(H303−H)/H×100により算出される前記積層体のヘーズ変化率ΔH303が80%以下となる。
本実施形態に係る積層体は、高温高湿下に置く前の初期段階では、例えば、前記ヘーズHが3.0%以下であり、優れた光学特性を有する。
また、前記の温度60℃、90%RHで19時間保存する高温高湿試験をさらに継続し、温度60℃、90%RHで303時間、積層体を保存した場合にも、本実施形態に係る積層体によれば、例えば、ΔH303が80%以下となるなど、ヘーズの変化が抑制され、好ましい光学特性が維持される。
このような光学特性を有する本実施形態に係る積層体1は、例えば、ポリカーボネートから形成された第1基材11とガラス基材16との間に、導電層12と、透明粘着剤層13、15と、透明樹脂から形成された第2基材14とを適切に配置することで製造できる。
また、積層体1は、第1基材11、導電層12、透明粘着剤層13、15、第2基材14、ガラス基材16の材質として適したものを選択することで製造できる。
なお、本明細書において、「積層体のヘーズ」とは、特に断りのない限り、ポリカーボネートから形成された第1基材が設けられている側(第1基材の外面)から測定した積層体全体のヘーズを意味する。
そして、「ヘーズ」とは、特に断りのない限り、JIS K7136に従って測定された値を意味し、本発明においては、JIS K7136に従って測定された値の絶対値を採用する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
図1に示す積層体1は、ポリカーボネートから形成された第1基材11、導電層12、第1透明粘着剤層13、透明樹脂から形成される第2基材14、第2透明粘着剤層15、およびガラス基材16がこの順に積層されている。
換言すると、積層体1は、ポリカーボネートから形成された第1基材11上に導電層12が設けられ、導電層12上に第1透明粘着剤層13が設けられ、第1透明粘着剤層13上に透明樹脂から形成された第2基材14が設けられ、第2基材14上に第2透明粘着剤層15が設けられ、第2透明粘着剤層15上にガラス基材16が設けられるように構成されている。また、本実施形態においては、第1基材11と第1透明粘着剤層13との間に導電層12を備えるように構成されている。
ポリカーボネートから形成される第1基材11は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
導電層12は線状であり、第1基材11の一方の主面(表面、第1の主面)11aの一部の領域に設けられている。導電層12の線長方向(長手方向)は、図1での導電層12の断面に対して直交する方向である。導電層12は、第1基材11の前記表面11aに直接接触して積層されている。
第1透明粘着剤層13は、第1基材11における導電層12の形成面全面を被覆しており、第1基材11の前記表面11aのうち、導電層12が設けられていない領域と、導電層12の表面12aと、に直接接触して積層されている。第1透明粘着剤層13は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
透明樹脂から形成される第2基材14は、第1透明粘着剤層13の表面に直接接触して積層されている。透明樹脂から形成される第2基材14は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
第2透明粘着剤層15は、透明樹脂から形成される第2基材14の表面に直接接触して積層されている。第2透明粘着剤層15は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
ガラス基材16は、第2透明粘着剤層15の表面に直接接触して積層されている。ガラス基材16は、例えば、ガラス板やカバーガラスのような形状を有している。
ポリカーボネートから形成される第1基材11側、すなわち、第1基材11の第2の主面(積層体1の裏面、第1基材11の外面)11bから、ガラス基材16が設けられている方向とは反対の方向に離間した位置から測定した、高温高湿試験前の初期段階(例えば、製造直後の段階)における積層体1のヘーズ(第1ヘーズ)Hは、3.0%以下である。
また、ヘーズHが3.0%以下である積層体1を、温度60℃、90%RH雰囲気下で、303時間保存する試験を行った後に、積層体1の第2ヘーズH303を前記第1基材11側(第1基材11の第2の主面11b)から測定したときに、式I303:ΔH303(%)=(H303−H)/H×100により算出される積層体1のヘーズ変化率ΔH303が80%以下となる。
積層体1のヘーズを測定する方向を、図1中に矢印Aで示す。
図2は、本発明の第2実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す積層体2は、導電層22がフィルム状又はシート状であり、第1基材11の前記表面11aの一部又はすべての領域を被覆して積層されており、それに伴い第1透明粘着剤層23の断面形状が異なっている点以外は、図1に示す積層体1と同じ構成を有する。図2中、符号22aは、導電層22の表面を示す。
第1基材11側、すなわち、第1基材の前記第2の主面11bから(ガラス基材16が設けられている方向とは反対の方向に離間した位置から)測定した、熱衝撃試験前の初期段階(例えば、製造直後の段階)における積層体2のヘーズHは、3.0%以下である。
また、ヘーズHが3.0%以下である積層体2を、温度60℃、90%RH雰囲気下で、303時間保存する試験を行った後に、積層体2の第2ヘーズH303を前記第1基材11側(第1基材11の第2の主面11b)から測定したときに、式I303:ΔH303(%)=(H303−H)/H×100により算出される積層体2のヘーズ変化率ΔH303が80%以下となる。
積層体2のヘーズを測定する方向を、図2中に矢印Aで示す。
本発明に係る積層体は、図1及び図2に示す構成に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、他の構成が追加された積層体であってもよく、一部構成が適宜変更された積層体でもよい。
例えば、第1基材11の前記表面を上方から見下ろすように、積層体を平面視したときの、導電層の形状は、目的に応じて任意に設定でき、導電層は線状以外の形状にパターニングされていてもよい。線状にパターニングされた導電層は、例えば、配線として有用である。
また、本発明に係る積層体は、例えば、第1基材上に導電層、透明粘着剤層(第1透明粘着剤層、第2透明粘着剤層)、第2基材、およびガラス基材以外のその他の層が設けられた構成を有していてもよい。
前記その他の層としては、例えば、第1基材と導電層との間、導電層と第1透明粘着剤層との間、第1透明粘着剤層と第2基材との間、第2基材と第2透明粘着剤層、または第2透明粘着剤層とガラス基材との間に設けられた中間層が挙げられる。
前記中間層としては、例えば、互いに隣接する層同士の密着性を向上させる密着層や、互いに隣接する層同士を安定して固着させるその他の粘着剤層又は接着剤層等が挙げられるが、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
ただし、本発明に係る積層体は、前記中間層を有さず、第1基材に導電層が直接接触して積層され、導電層に第1透明粘着剤層が直接接触して積層され、第1透明粘着剤層に第2基材が直接接触して積層され、第2基材に第2透明粘着剤層が直接接触して積層され、第2透明粘着剤層にガラス基材が直接接触して積層された積層体が好ましい。そして、導電層がパターニングされている場合には、基材の導電層が設けられていない領域に、透明粘着剤層(第1透明粘着剤層)が直接接触して積層された積層体が好ましい。このような積層体は、簡略化された工程で製造でき、高温高湿試験後でも積層体中の発泡が抑制され、かつ、積層体全体のヘーズの変化が抑制されるという、本発明の効果が特に顕著に得られる。
また、本発明に係る積層体は、例えば、ポリカーボネートから形成された第1基材の他方の主面(裏面、図1及び図2では、符号11bを付した面、第2の主面)に、本発明によって得られる効果、機能を阻害しない範囲において、何らかの層が積層された積層体でもよい。ここで、第1基材の前記裏面に積層される層としては、導電層、透明粘着剤層(第1透明粘着剤層、第2透明粘着剤層)、透明樹脂から形成された第2基材、ガラス基材などの被覆層、中間層等、基材の前記表面に積層される層と同様の層が挙げられる。
例えば、第1基材の前記裏面に導電層、第1透明粘着剤層、透明樹脂から形成された第2基材、第2透明粘着剤層、及び被覆層としてのガラス基材がこの順に積層された積層体の場合、積層体の裏面に設けられた被覆層の側(裏面被覆層外面)から測定した積層体のヘーズは、基材の前記表面に設けられている被覆層の側(表面被覆層外面)から測定した積層体のヘーズと同様に、上述の本発明の条件(ヘーズ変化率ΔH303は、80%以下)を満たしていてもよい。すなわち、第1基材の前記表面側から測定した積層体のヘーズHが3.0%以下であり、この積層体を、温度60℃、90%RH雰囲気下で、303時間保存する試験を行った後に、積層体の第2ヘーズH303を前記第1基材の表面側(第1基材の第1の主面)から測定したときに、式I303:ΔH303(%)=(H303−H)/H×100により算出される積層体のヘーズ変化率ΔH303が80%以下であってもよい。
第1基材の前記裏面に導電層、第1透明粘着剤層、透明樹脂から形成された第2基材、第2透明粘着剤層、及び被覆層としてのガラス基材がこの順に積層された積層体において、導電層、第1透明粘着剤層、透明樹脂から形成された第2基材、第2透明粘着剤層、及び被覆層は、基材の前記表面の場合と同様に設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
また、第1基材の前記裏面に導電層、第1透明粘着剤層、透明樹脂から形成された第2基材、第2透明粘着剤層、及び被覆層としてのガラス基材がこの順に積層された積層体の場合、この裏面の被覆層側から測定した積層体のヘーズは、上述の本発明の条件(ヘーズ変化率ΔH303は、80%以下)を満たしていなくてもよい。
次に、本発明の積層体の各構成について、より詳細に説明する。
<ポリカーボネートから形成される第1基材>
ポリカーボネートから形成される(ポリカーボネートを構成材料とする)第1基材11の厚さは、10〜5000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。
本発明に係る第1基材の材質は、ポリカーボネート(PC)である。
また、本発明に係る第1基材の材質は、ポリカーボネートを主成分として含んでいればよく、他の材料を併用してもよい。なお、本明細書において「主成分」とは、対象となる層において、含有量が30質量%以上100質量%未満である成分を意味する。
第1基材11に併用される他の材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。 また、第1基材11に併用される他の材料の材質としては、前記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、第1基材11に併用される他の材料の材質としては、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質が併用されてもよい。
第1基材11は、単層から構成される基材でもよいし、2層以上の複数層から構成される基材でもよい。第1基材11が複数層から構成される場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは、ポリカーボネートを主成分として含む層を備えていれば、特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。また、複数層が互いに同一であるとは、各層の材質及び厚さが同一であることを意味する。
なお、第1基材11が複数層から構成される場合には、各層の合計の厚さが、前記の好ましい基材の厚さ(10〜5000μm)となるように構成するとよい。
<導電層>
前記導電層12、22の材質は、導電性を有する材質であれば特に限定されないが、抵抗値が低い導電層を容易に形成できる点から、銀、銅等の単体金属、又は合金(以下、これらをまとめて「金属」と略記することがある)であることが好ましく、銀又は銅であることがより好ましい。
導電層の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、3nm〜40μmであることが好ましく、4nm〜30μmであることがより好ましく、10〜100nmであることがより更に好ましい。導電層の厚さが前記下限値(3nm)以上であることで、導電性をより向上させることができ、また、導電層の構造をより安定して維持できる。また、導電層の厚さが前記上限値(40μm)以下であることで、積層体をより薄層化できる。
導電層は、単層から構成される層でもよいし、2層以上の複数層から構成される層でもよい。導電層が複数層から構成される場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、基材の場合と同様に構成できる。例えば、複数層から構成される導電層は、各層の合計の厚さが、前記の好ましい導電層の厚さとなるようにするとよい。
<透明粘着剤層(第1透明粘着剤層、第2透明粘着剤層)>
前記透明粘着剤層(第1透明粘着剤層13、23、第2透明粘着剤層15)の材質は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、透明性が高い材質であることが好ましい。
第1透明粘着剤層13、23の材質と、第2透明粘着剤層15の材質と、は同じであってもよく、第1透明粘着剤層13、23の材質と、第2透明粘着剤層15の材質と、は異なっていてもよい。
なお、本明細書においては、第1透明粘着剤層13、23は、導電層12と接触する透明粘着剤層であり、第2透明粘着剤層15はガラス基材16と接触する透明粘着剤層である。
透明粘着剤層(第1透明粘着剤層13、23、第2透明粘着剤層15)は、接着性樹脂から構成されるか、又は接着性樹脂を主成分とする層が好ましい。
前記接着性樹脂は、例えば、透明粘着剤(OCA;Optically Clear Adhesive)であることが好ましい。
第1明粘着剤層13、23、および第2透明粘着剤層15に用いられる接着性樹脂は、透明性が高く、ヘーズが低いことが好ましい。
第1明粘着剤層13に用いられる接着性樹脂は、ポリカーボネートから形成される第1基材11、透明樹脂から形成される第2基材14、および導電層12に対する接着性が良好であり、各層が張り合わされた際に、透明性が高く、ヘーズが低い材料で形成されることが好ましい。
第1透明粘着剤層23に用いられる接着性樹脂は、ポリカーボネートから形成される第1基材11、透明樹脂から形成される第2基材14、および導電層22に対する接着性が良好であり、各層が張り合わされた際に、透明性が高く、ヘーズが低い材料で形成されることが好ましい。
第2透明粘着剤層15に用いられる接着性樹脂は、透明樹脂から形成される第2基材14、およびガラス基材16に対する接着性が良好であり、各層が張り合わされた際に、透明性が高く、ヘーズが低い材料で形成されることが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂から構成される透明粘着剤が好ましい。
なお、本明細書においては、第1明粘着剤層13、23、および第2透明粘着剤層15を、包括して「透明粘着剤層13、15、23」と記載することがある。
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル酸誘導体、およびメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸誘導体からなる群から選択される1種のモノマーが重合した単独重合体、並びに2種以上のモノマーが共重合した共重合体等が挙げられる。
例えば、アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を用いてよく、ポリメタクリル酸メチルを用いてもよい。
透明粘着剤層13、15、23において、アクリル系樹脂の総含有量は、特に限定されないが、例えば、20〜30%であってもよい。
透明粘着剤層13、15、23における接着性樹脂に併用される他の材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
透明粘着剤層13、15、23に用いられる接着性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500〜30000であることが好ましく、800〜20000であることがより好ましく、1200〜15000であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
透明粘着剤層13、23(第1透明粘着剤層)に用いられる接着性樹脂の、ポリカーボネートから形成された第1基材11に対する粘着力は、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、180°ピール試験(300mm/min)により得れらた粘着力が3N/25mm〜100N/25mmであってもよく、15N/25mm〜60N/25mmであることが好ましい。
ここで、「180°ピール試験」とは、粘着力の測定対象である2層を、これらの互いに接触していた面同士が180°の角度を成すように、引き剥がす(ピールする)試験を意味する。粘着力の測定は、23℃、50%RHの環境下で行う。
透明粘着剤層の前記第1基材に対する粘着力が前記下限値(3N/25mm)以上であることで、透明粘着剤層と第1基材との接着性が確保される。
透明粘着剤層の前記第1基材に対する粘着力が前記上限値(100N/25mm)以下であれば、第1基材に透明粘着剤層を貼りつける際の加工性が良好となる。
また、透明粘着剤層15(第2透明粘着剤層)に用いられる接着性樹脂のガラス基材16に対する粘着力は、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、180°ピール試験(300mm/min)により得れらた粘着力が10N/25mm〜100N/25mmであってもよく、15N/25mm〜60N/25mmであることが好ましい。
透明粘着剤層の前記ガラス基材に対する粘着力が前記下限値(10N/25mm)以上であることで、透明粘着剤層とガラス基材との接着性が確保される。
透明粘着剤層の前記ガラス基材に対する粘着力が前記上限値(100N/25mm)以下であれば、透明粘着剤層とガラス基材とを貼りつける際の加工性が良好となる。
透明粘着剤層13、15、23の他の物性としては、例えば、貯蔵弾性率G’(MPa)が、23℃において0.1〜0.3であってもよく、50℃において0.05〜0.15であってもよく、100℃において0.04〜0.1であってもよく、150℃において0.02〜0.05であってもよく、200℃において0.01〜0.05であってもよい。
透明粘着剤層13、15、23の他の物性としては、例えば、ガラス転移点Tgが−20℃〜10℃であってもよい。
透明粘着剤層(第1透明粘着剤層13、第2透明粘着剤層15)の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、10μm〜200μmであってもよく、15μm〜150μmであることが好ましく、20μm〜125μmであることが特に好ましい。
透明粘着剤層の厚さが前記下限値(10μm)以上であることで、透明粘着剤層(第1透明粘着剤層)における導電層の被覆効果をより向上させることができ、透明粘着剤層(第1透明粘着剤層および第2透明粘着剤層)の構造をより安定して維持できる。また、透明粘着剤層の厚さが前記上限値(200μm)以下であることで、透明粘着剤層が過剰に厚くなることを抑制できる。
透明粘着剤層は、単層から構成される層でもよいし、2層以上の複数層から構成される層でもよい。透明粘着剤層が複数層から構成される場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、基材の場合と同様に構成できる。
透明粘着剤層が複数層から構成される場合には、前記のように透明粘着剤層が第1透明粘着剤層13、および第2透明粘着剤層15から構成されてもよいし、第1透明粘着剤層13が複数の層から構成されてもよく、第2透明粘着剤層15が複数の層から構成されてもよい。
例えば、複数層から構成される透明粘着剤層は、各層の合計の厚さが、前記の好ましい透明粘着剤層の厚さとなるようにするとよい。
<透明樹脂から形成される第2基材>
透明樹脂から形成される(透明樹脂を構成材料とする)第2基材14は、例えば、透明樹脂から形成された樹脂層である。
透明樹脂から形成される第2基材14の材質は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、透明性が高い材質であることが好ましい。
第2基材14の材質としては、例えば、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)(シクロオレフィンコポリマー(COC)など共重合体を含む)、およびトリアセチルセルロース(TAC)からなる群より選ばれた1つ以上の樹脂を用いてもよい。
第2基材14に用いられるポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンナフタレートからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
その中でも、第2基材14に用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが特に好ましい。
第2基材14は、PETと、PETとは異なるその他の樹脂と、を含んでいてもよい。 その他の樹脂としては、例えば、上述したようなPETとは異なるポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)(シクロオレフィンコポリマー(COC)など共重合体を含む)、およびトリアセチルセルロース(TAC)などが挙げられる。
第2基材において、PETの含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。一方、前記含有量の上限値は特に限定されず、例えば、99質量%、99.5質量%、100質量%のいずれかから選択できる。
第2基材14に用いられるPETの重量平均分子量は、特に限定されないが、10000〜150000であってもよい。
第2基材14の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、1μm〜500μmであってもよく、50μm〜300μmが好ましい。
第2基材の厚さが前記下限値(1μm)以上であることで、第1透明粘着剤層の被覆効果をより向上させることができ、また、第2基材の構造をより安定して維持できる。また、第2基材の厚さが前記上限値(500μm)以下であることで、積層体中において第2基材が過剰に厚くなることを抑制できる。
<ガラス基材>
ガラス基材16は、透明性の高いガラスで形成されていればよく、特に限定されないが、例えば、透明性の高いガラス板やカバーガラスであり、強化ガラス等を用いてもよい。なお、ガラス基材16において、ガラス表面に耐指紋処理や反射防止(Anti−Reflection)処理などがされていても良い。
ガラス基材の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、0.01mm〜20mmであってもよく、0.04mm〜2mmであることが好ましく、0.05mm〜1.5mmであることが好ましい。
ガラス基材の厚さが前記下限値(0.01μm)以上であることで、第2透明粘着剤層の被覆効果をより向上させることができ、また、ガラス基材の構造をより安定して維持できる。
また、ガラス基材の厚さが前記上限値(20mm)以下であることで、積層体中においてガラス基材が過剰に厚くなることを抑制できる。
前記積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下でt時間(tは0以上の数である。)処理した後、第1基材側(第1基材の外面)から測定した積層体のヘーズをHとしたときに、積層体の前記処理後のヘーズ変化率ΔHを、下記式(I)により定義できる。
ヘーズ変化率ΔHは、前記積層体の高温高湿条件下における光学的特性の安定性の指標となる。
:ΔH(%)=(H−H)/H×100
本発明に係る積層体において、ヘーズHは3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましく、例えば、2.0%以下、1.5%以下等のいずれかであってもよい。ヘーズHが前記上限値(3.0%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズHの下限値は特に限定されず、例えば、0.2%、0.4%、0.6%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、積層体を温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下で67時間加湿加熱処理した際におけるヘーズであるヘーズH67は、3.2%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることが特に好ましく、例えば、2.0%以下等であってもよい。ヘーズH67が前記上限値(3.2%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズH67の下限値は特に限定されず、例えば、0.3%、0.5%、0.7%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、積層体を温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下で135時間加湿加熱処理した際におけるヘーズであるヘーズH135は、3.2%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることが特に好ましく、例えば、2.0%以下等であってもよい。ヘーズH135が前記上限値(3.2%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズH67の下限値は特に限定されず、例えば、0.3%、0.5%、0.7%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、積層体を温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下で303時間加湿加熱処理した際におけるヘーズであるヘーズH303は3.5%以下であることが好ましく、3.3%以下であることがより好ましく、2.8%以下であることが特に好ましく、例えば、2.3%以下等であってもよい。ヘーズH303が前記上限値(3.5%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズH280の下限値は特に限定されず、例えば、0.3%、0.5%、0.7%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、積層体を温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下で520時間加湿加熱処理した際におけるヘーズであるヘーズH520は、3.5%以下であることが好ましく、3.3%以下であることがより好ましく、2.8%以下であることが特に好ましく、例えば、2.3%以下、2.0%以下等のいずれかであってもよい。ヘーズH520が前記上限値(3.5%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズH520の下限値は特に限定されず、例えば、0.3%、0.6%、0.8%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、67時間加湿加熱処理した際におけるヘーズ変化率ΔH67は、75%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、55%以下であることがさらに好ましく、45%以下であることが特に好ましく、例えば、40%以下等であってもよい。ヘーズ変化率ΔH91が前記上限値(75%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズ変化率ΔH91の下限値は特に限定されず、例えば、0%、1%、3%、5%、7%、10%、15%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、135時間加湿加熱処理した際におけるヘーズ変化率ΔH135は、75%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、55%以下であることがさらに好ましく、45%以下であることが特に好ましい。ヘーズ変化率ΔH91が前記上限値(75%)以下であることで、積層体は光学特性により優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズ変化率ΔH91の下限値は特に限定されず、例えば、0%、1%、3%、5%、7%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、303時間加湿加熱処理した際におけるヘーズ変化率ΔH303は、80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、70%以下であることがさらに好ましく、例えば、65%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下等とすることもできる。ヘーズ変化率ΔH303が前記上限値(80%)以下であることで、積層体は光学特性に優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズ変化率ΔH303の下限値は特に限定されず、例えば、0%、5%、10%、15%、20%等のいずれかとすることができる。
本発明に係る積層体において、520時間加湿加熱処理した際におけるヘーズ変化率ΔH520は、80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、70%以下であることがさらに好ましく、65%以下であることが特に好ましく、例えば、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下等とすることもできる。ヘーズ変化率ΔH520が前記上限値(80%)以下であることで、積層体は光学特性に優れたものとなる。
一方、本発明に係る積層体において、ヘーズ変化率ΔH520の下限値は特に限定されず、例えば、0%、5%、10%、15%、17%等のいずれかとすることができる。
<<積層体の製造方法>>
本発明の積層体は、例えば、ポリカーボネートから形成された第1基材上に導電層を形成する工程(以下、「導電層形成工程」と略記することがある)と、前記導電層上に第1透明粘着剤層を形成する工程(以下、「第1透明粘着剤層形成工程」と略記することがある)と、前記第1透明粘着剤層上に透明樹脂から形成された第2基材を積層する工程(以下、「第2基材積層工程」と略記することがある)と、前記第2基材上に第2透明粘着剤層を形成する工程(以下、「第2透明粘着剤層形成工程」と略記することがある)と、第2透明粘着剤層上にガラス基材を積層する工程(以下、「ガラス基材積層工程」と略記することがある)と、を有する製造方法で製造できる。
また、本発明に係る積層体の製造方法は、前記ガラス基材積層工程の後に、積層体を、オートクレーブ装置等を用いて加熱加圧処理して積層体中の各層を密着させる工程(以下、「密着処理工程」と略記することがある)を有することが好ましい。
図3は、図1に示す積層体1の製造方法を模式的に説明するための断面図である。
図1に示す積層体1を製造する場合には、図3(a)に示す第1基材11を用い、まず、図3(b)に示すように、導電層形成工程において、第1基材11の表面11a上に導電層12を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、第1透明粘着剤層形成工程において、第1基材11での導電層12の形成面に第1透明粘着剤層13を形成する。これにより、導電層12の表面12aと、第1基材11の表面11aのうち、導電層12を備えていない領域とに、第1透明粘着剤層13を形成する。
次いで、図3(d)に示すように、第2基材積層工程において、第1透明粘着剤層13の表面に透明樹脂から形成された第2基材14を積層する。
次いで、図3(e)に示すように、第2透明粘着剤層形成工程において、第2基材14の表面上に第2透明粘着剤層15を形成する。
そして、図3(f)に示すように、ガラス基材積層工程において、第2透明粘着剤層15上にガラス基材16を積層する。
最後に、積層体中の各層の密着性を高めるために、密着処理工程において、積層体1に、オートクレーブ等を用いた加熱加圧処理を行ってもよい。
以上により、積層体1が得られる。
なお、ここでは、図1に示す積層体1を引用して説明したが、積層体1以外の本発明の積層体も、この方法と同様の方法、又はこの方法の一部を変更した方法により製造できる。
以下、各工程について、より詳細に説明する。
<導電層形成工程>
前記導電層は、例えば、導電層を形成するための原料となる組成物(以下、「導電層用組成物」と略記することがある)を第1基材上の目的とする箇所に付着させて組成物層を形成し、この組成物層(導電層用組成物)に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
また導電層は、前記導電層用組成物を第1基材表面の所定の領域又は全面に付着させて組成物層を形成し、この組成物層(導電層用組成物)から前記と同様の方法で導電層(パターニング前の導電層)を形成した後、エッチング等の公知の手法でこの導電層を所望の形状となるようにパターニングすることでも形成できる。
導電層の材質が金属である場合には、前記導電層用組成物として、金属又は金属の形成材料が配合された金属インク組成物を用いればよい。
金属インク組成物中の金属又は金属の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
配合される前記金属(単体金属又は合金)は、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤー状等)であることが好ましく、ナノ粒子又はナノワイヤーであることがより好ましく、銀ナノ粒子、銀ナノワイヤー、銅ナノ粒子又は銅ナノワイヤーであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである粒子を意味し、「ナノワイヤー」とは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmであるワイヤーを意味する。
配合される前記金属の形成材料は、該当する金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じるものであればよく、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物(金属−炭素結合を有する化合物)等が挙げられる。前記金属塩及び金属錯体は、有機基を有する金属化合物及び有機基を有しない金属化合物のいずれでもよい。なかでも金属の形成材料は、金属塩であることが好ましく、銀塩又は銅塩であることがより好ましい。 金属の形成材料を用いることで、前記材料から金属が生じ、この金属を含む導電層が形成される。この場合の導電層において、前記金属の比率は、導電層が見かけ上金属のみからなるとみなし得る程度に十分に高くすることができ、導電層中の金属の比率は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。導電層中の金属の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
金属インク組成物は、液状の組成物が好ましく、前記金属の形成材料が均一に分散された組成物が好ましい。
以下、金属インク組成物として、金属銀の形成材料が配合された銀インク組成物を用いた場合における導電層の形成方法について説明するが、金属種が銀以外の場合にも同様の方法で、導電層を形成できる。
前記金属銀の形成材料は、加熱等によって分解し、金属銀を形成する材料である。
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、例えば、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀等が挙げられる。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらカルボン酸銀の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 2019111812
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり; Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2019111812
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合して形成される一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
Rは、前記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このような基としては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、前記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらβ−ケトカルボン酸銀の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH−」で表される基だけでなく、式「−CH−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(CH−(CH−C(CH−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、前記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったカルボン酸銀(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらカルボン酸銀の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したカルボン酸銀として挙げられる。
銀インク組成物において、前記金属銀の形成材料に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲(5質量%以上)であることで、形成された導電体(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された前記金属銀の形成材料中の銀と同義であり、配合後も引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料の分解で生じた分解物中の銀と、配合後に金属銀の形成材料の分解で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
[含窒素化合物]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合された組成物が好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応して形成されるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応して形成されるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上の化合物である。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、それら含窒素化合物の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様の基が挙げられ、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有する基であり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。へテロ原子が2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状の基としては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状の基としては、例えば、フラニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状の基としては、例えば、チエニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状の基としては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状の基としては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状の基としては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状の基としては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状の基としては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状の基としては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換された基等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましい化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。 前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましい化合物として、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに導電層の表面粗さの低減に特に適した化合物として挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応して形成されるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じ酸が挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
本発明においては、例えば、前記含窒素化合物として、炭素数が8以上の第1含窒素化合物と、炭素数が7以下の第2含窒素化合物と、を併用してもよい。
前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用する場合、銀インク組成物において、第1含窒素化合物の配合量に対する第2含窒素化合物の配合量の割合は、0モル%より大きく、18モル%未満であることが好ましく、1〜17モル%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲(0モル%より大きく、18モル%未満)であることで、例えば、細線状の銀層をより安定して形成できる。
銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲(形成材料の配合量1モルあたり0.3〜15モル)であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合された組成物が好ましい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電体(金属銀)を形成できる。
前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
(還元性化合物)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される1種以上の化合物である。すなわち、配合される還元性化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様の基が挙げられる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、例えば、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合して形成される一価の基等が挙げられる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様の基が挙げられる。
前記還元性化合物として、ヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)を用いてもよい。
前記還元性化合物で好ましい化合物としては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
銀インク組成物において、還元剤の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲(形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モル)であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合された組成物でもよい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 2019111812
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様の基が挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合して形成される一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられ、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.01〜0.7モルであることが好ましく、0.02〜0.3モルであることがより好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲(形成材料の配合量1モルあたり0.01〜0.7モル)であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
前記アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていてもよい。銀インク組成物は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成できる。
前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素の1個又は2個以上の水素原子が、カルボキシ基で置換された構造を有する。換言すると、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1分子中の炭素数が8〜10で、かつ、1個又は2個以上のカルボキシ基が分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基に結合している化合物である。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を1個のみ有する一価(モノ)カルボン酸、及び1分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸、のいずれであってもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が1分子中に有するカルボキシ基の数は、1〜3個であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸において、カルボキシ基が結合している炭素原子の位置は、特に限定されない。例えば、カルボキシ基が結合している炭素原子は、分子の末端の炭素原子であってもよいし、分子の末端以外の炭素原子であってもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が多価カルボン酸である場合、すべてのカルボキシ基が、互いに異なる炭素原子に結合していてもよいし、2個又は3個のカルボキシ基が、同一の炭素原子に結合していてもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸において、分岐鎖が結合している、主鎖中の炭素原子の位置は、特に限定されない。例えば、分岐鎖が結合している前記炭素原子は、主鎖のカルボキシ基が結合している側の末端の炭素原子であってもよいし、主鎖のカルボキシ基が結合している側とは反対側の末端の炭素原子に隣接する炭素原子(前記反対側の末端から2番目の炭素原子)であってもよいし、上述のカルボキシ基が結合している側の末端の炭素原子と、上述のカルボキシ基が結合している側とは反対側の末端の炭素原子に隣接する炭素原子と、の間に位置する主鎖中の炭素原子であってもよい。
ここで、「主鎖」とは、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸中の鎖状構造のうち、炭素数が最大であるものを意味する。炭素数が最大である鎖状構造が複数ある場合には、いずれの鎖状構造を主鎖として取り扱ってもよい。主鎖の炭素数は、必ず分岐鎖の炭素数以上となる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、下記一般式(6)で表されるモノカルボン酸(本明細書においては、「モノカルボン酸(6)」と略記することがある)であることが好ましい。
31−C(=O)−OH (6)
(式中、R31は、炭素数7〜9の分岐鎖状のアルキル基である。)
31の炭素数7〜9の分岐鎖状のアルキル基(一価の飽和脂肪族炭化水素基)としては、例えば、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基等の炭素数7の分岐鎖状のアルキル基;
イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1,2,3−トリメチルペンチル基、1,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1,4,4−トリメチルペンチル基、3,4,4−トリメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,3−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,2,2−トリメチルペンチル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、1,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、3,3,4−トリメチルペンチル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基等の炭素数8の分岐鎖状のアルキル基;
1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、5−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、6,6−ジメチルヘプチル基、5,5−ジメチルヘプチル基、4,4−ジメチルヘプチル基、3,3−ジメチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2,3−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、3,4−ジメチルヘプチル基、3,5−ジメチルヘプチル基、3,6−ジメチルヘプチル基、4,5−ジメチルヘプチル基、4,6−ジメチルヘプチル基、5,6−ジメチルヘプチル基、1,2,3−トリメチルヘキシル基、1,2,4−トリメチルヘキシル基、1,2,5−トリメチルヘキシル基、2,3,4−トリメチルヘキシル基、2,3,5−トリメチルヘキシル基、3,4,5−トリメチルヘキシル基、1,1,2−トリメチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,4−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、1,2,2−トリメチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルヘキシル基、2,2,5−トリメチルヘキシル基、1,3,3−トリメチルヘキシル基、2,3,3−トリメチルヘキシル基、3,3,4−トリメチルヘキシル基、3,3,5−トリメチルヘキシル基、1,4,4−トリメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルヘキシル基、3,4,4−トリメチルヘキシル基、4,4,5−トリメチルヘキシル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、4,5,5−トリメチルヘキシル基、1,2,3,4−テトラメチルペンチル基、1,1,2,3−テトラメチルペンチル基、1,1,2,4−テトラメチルペンチル基、1,1,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,2,3−テトラメチルペンチル基、1,2,2,4−テトラメチルペンチル基、2,2,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,3,3−テトラメチルペンチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、1,3,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,4,4−テトラメチルペンチル基、2,3,4,4−テトラメチルペンチル基、1,3,4,4−テトラメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−エチル−2−メチルヘキシル基、1−エチル−3−メチルヘキシル基、1−エチル−4−メチルヘキシル基、1−エチル−5−メチルヘキシル基、2−エチル−1−メチルヘキシル基、2−エチル−2−メチルヘキシル基、2−エチル−3−メチルヘキシル基、2−エチル−4−メチルヘキシル基、2−エチル−5−メチルヘキシル基、3−エチル−1−メチルヘキシル基、3−エチル−2−メチルヘキシル基、3−エチル−3−メチルヘキシル基、3−エチル−4−メチルヘキシル基、3−エチル−5−メチルヘキシル基、4−エチル−1−メチルヘキシル基、4−エチル−2−メチルヘキシル基、4−エチル−3−メチルヘキシル基、4−エチル−4−メチルヘキシル基、4−エチル−5−メチルヘキシル基、1,1−ジエチルペンチル基、1,2−ジエチルペンチル基、1,3−ジエチルペンチル基、2,2−ジエチルペンチル基、2,3−ジエチルペンチル基、3,3−ジエチルペンチル基、1−エチル−1−プロピルブチル基、2−エチル−1−プロピルブチル基等の炭素数9の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸1分子中の分岐鎖の数は、1〜3本であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の1本の分岐鎖の炭素数は、1〜3であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、これらの条件をともに満たすもの、すなわち、1分子中の分岐鎖の数が1〜3本であり、かつ1本の分岐鎖の炭素数が1〜3個であるものがより好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、金属銀の光沢性の低下を抑制する適度な反応性を有し、かつ、銀インク組成物中から揮発し難い一方で、銀インク組成物の固化処理時には気化し易い、適度な沸点を有している。
例えば、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点は、180〜270℃であることが好ましく、200〜260℃であることがより好ましく、215〜255℃であることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、銀インク組成物中からの分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の揮発が抑制されて、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀インク組成物の固化処理によって得られた金属銀中での分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の残存が抑制され、光沢性、導電性等が高いなど、より好ましい特性の金属銀が得られる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(例えば、モノカルボン酸(6))で特に好ましいものとしては、ネオデカン酸(C19COOH)、2−プロピル吉草酸(2−プロピルペンタン酸、(CHCHCHCH(CHCHCH)COOH)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸((CHCCHCH(CH)CHCOOH)等が挙げられる。
なお、本明細書において、ネオデカン酸とは、炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の異性体の混合物を意味し、前記混合物には炭素数10の分岐鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸が必ず含まれる。このように、ネオデカン酸とは、1種の化合物だけを意味するものではない。
そして、ネオデカン酸中の、2種以上の炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量は、前記カルボン酸銀1モルに対して、0.01〜1モルであることが好ましく、0.02〜0.7モルであることがより好ましく、0.03〜0.4モルであることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の前記配合量がこのような範囲であることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成する効果がより高くなる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及び炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外の、その他の成分が配合された組成物でもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましい成分としては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(溶媒)
前記溶媒は、アルコール以外の溶媒(水酸基を有しない溶媒)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であることが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
銀インク組成物における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし、通常は、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが特に好ましく、例えば、20質量%以下及び15質量%以下のいずれかであってもよい。上述の溶媒の配合量の割合の下限値は、例えば、5質量%とすることができるが、これは一例である。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
[銀インク組成物の製造方法]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られた組成物をそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られた組成物を銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、前記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。ただし、本発明においては、前記還元剤は滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、金属銀の表面粗さをより低減できる傾向にある。 混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、前記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
好ましい銀インク組成物としては、例えば、含窒素化合物に、金属銀の形成材料を添加し、次いで還元剤を添加し、次いでアルコールを添加して得られた組成物が挙げられる。そして、このような添加順で得られた銀インク組成物の一例としては、含窒素化合物として、前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用した組成物も挙げられる。
このような添加順で得られた銀インク組成物を用いることにより、細線状の銀層をより安定して形成できる。
前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用する場合、銀インク組成物は、第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物の混合物に、金属銀の形成材料を配合する第1配合工程と、前記第1配合工程で得られた配合物(Q1)に、還元剤を配合する第2配合工程と、前記第2配合工程で得られた配合物(Q2)に、アルコール及び必要に応じて前記その他の成分を配合する第3配合工程と、を有する製造方法により得られた組成物が好ましい。
前記第1配合工程における金属銀の形成材料の配合量は、本製造方法で用いる金属銀の形成材料の全量であることが好ましい。
前記第2配合工程における還元剤の配合量は、本製造方法で用いる還元剤の全量であることが好ましい。
前記第3配合工程におけるアルコールの配合量は、本製造方法で用いるアルコールの全量であることが好ましい。
前記第3配合工程における前記その他の成分の配合量は、本製造方法で用いる前記その他の成分の全量であることが好ましい。
また、好ましい銀インク組成物としては、例えば、含窒素化合物に、アルコール以外の溶媒を添加し、次いで金属銀の形成材料を添加し、次いで還元剤を添加し、次いでアルコールを添加して得られた組成物が挙げられる。
このような添加順で得られた銀インク組成物を用いることにより、細線状の銀層をより安定して形成できる。
このような、アルコール以外の溶媒を用いる銀インク組成物は、例えば、アルコール以外の溶媒を配合する工程を有し、かつ、含窒素化合物として前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物の併用を必須としない点以外は、上述の第1配合工程〜第3配合工程を有する製造方法と同じ方法で得られる。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給された組成物でもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合された第1混合物に、二酸化炭素を供給して第2混合物とし、必要に応じて前記第2混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第1混合物及び第2混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
前記第1混合物は、配合成分が異なる点以外は、前記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。
第1混合物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第1混合物製造時の配合温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
第1混合物に供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第1混合物に溶け込み、第1混合物中の成分に作用することで、得られる第2混合物の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端(第一端)を第1混合物中に浸漬し、配管の他端(第二端)を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第1混合物に供給する方法等が挙げられる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性の部材など、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、第1混合物の製造時と同様の方法で、第1混合物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
二酸化炭素ガスの供給量は、供給先の第1混合物の量や、目的とする銀インク組成物又は第2混合物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。また、本明細書において「粘度」とは、特に断りのない限り、超音波振動式粘度計を用いて測定した値を意味する。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、第1混合物1gあたり0.5mL/分以上であることが好ましく、1mL/分以上であることがより好ましい。流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、混合物1gあたり40mL/分であることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の第1混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値(5℃)以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値(70℃)以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、(1)二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、(2)二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの(1)及び(2)の両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、(3)前記温度を高めにするか、(4)二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの(3)及び(4)の両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した前記数値範囲(5〜70℃)の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、第1混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に第1混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない前記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、第1混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、前記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。 ドライアイスの添加中及び添加後は、第1混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない前記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
第2混合物の粘度は、銀インク組成物又は第2混合物の取り扱い方法など、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、第2混合物の20〜25℃における粘度は、3Pa・s以上であることが好ましい。なお、ここでは第2混合物の20〜25℃における粘度について説明したが、第2混合物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
前記第2混合物には、さらに、必要に応じて前記還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される1種以上を配合して、銀インク組成物とすることができる。 このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない前記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記還元剤配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
前記その他の成分は、先に説明したように、前記第1混合物及び第2混合物のいずれかの製造時に配合されてもよく、前記第1混合物及び第2混合物の両方の製造時に配合されてもよい。すなわち、第1混合物及び第2混合物を経て銀インク組成物を製造する過程において、二酸化炭素以外の配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合([その他の成分(質量)]/[金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及びその他の成分(質量)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
二酸化炭素が供給された銀インク組成物は、例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。
例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記金属銀の形成材料の分解促進作用によって、金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、導電体形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。このように、金属銀の形成材料の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、導電体を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。
なお、本発明における第2混合物は、前記のように二酸化炭素の供給によって、粘度が通常よりも高い。一方で、第2混合物への還元剤の配合時には、第2混合物又は還元剤の種類によっては、前記のように前記金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始され、金属銀が析出することがある。ここで、第2混合物の粘度が高い場合には、析出した金属銀の凝集が抑制され、得られた銀インク組成物中での金属銀の分散性が向上する。このような銀インク組成物を用いて、後述する方法で金属銀を形成して得られた導電体は、粘度が低い、すなわち二酸化炭素が供給されていない混合物に還元剤が配合されて得られた銀インク組成物を用いた場合の導電体よりも、導電性が高く(体積抵抗率が低く)、表面粗さも小さくなり、より好ましい特性を有する導電体となる。
また、本発明においては、前記金属銀の形成材料、アルコール及び含窒素化合物が配合された混合物に、二酸化炭素を供給して、銀インク組成物を製造することも好ましい。この場合、二酸化炭素の供給方法としては、前記と同様の方法が採用できる。
銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で第1基材上に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法等が挙げられる。
導電層形成工程においては、第1基材上に付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料の配合量を調節することで、導電層の厚さを調節できる。
銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、加熱(焼成)処理の条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、前記のように、従来の組成物より極めて低温で金属銀を形成できる。
後述するように、銀インク組成物を耐熱性が低い基材(第1基材)に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大された湿度であるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が例示できる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
後述するように、銀インク組成物を耐熱性が低い基材(第1基材)に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行う処理であるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、銀インク組成物の形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。 前記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、55〜130℃であることが好ましく、60〜125℃であることがより好ましい。また、一段階目の非加湿条件下での加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜40分であることがより好ましく、30秒〜25分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、二段階目の加湿条件下での加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
後述するように、銀インク組成物を耐熱性が低い基材(第1基材)に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでは、金属インク組成物として、金属銀の形成材料が配合された銀インク組成物を用いた場合の、導電層の形成方法について説明した。金属種が銀以外の場合の金属インク組成物等、その他の導電層用組成物を用いて導電層を形成する場合には、例えば、上述の銀インク組成物を用いた場合の製造方法において、導電層用組成物の種類に応じて、一部の構成を変更した方法を適用することで、導電層を形成できる。
<第1透明粘着剤層形成工程>
前記第1透明粘着剤層は、例えば、市販の透明粘着性樹脂等から形成された粘着フィルム(OCAフィルム)等を用いて形成することができる。
例えば、透明粘着剤の貼り合わせ装置として一般的なラミネート装置を用いて、室温(例えば、25℃)において、金属銀のメッシュパターンを形成した第1基材のパターン形成面の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第1透明粘着剤層)を前記第1基材の前記パターン形成面に貼り合わせることにより、第1透明粘着剤層を形成することができる。
なお、本実施形態では、市販の透明粘着性樹脂から形成された粘着フィルムを用いて、第1透明粘着剤層を形成する例を示したが、透明粘着性樹脂組成物を調製してフィルム状に形成したものを用いて第1透明粘着剤層を形成してもよい。
また、本実施形態では、市販の透明粘着性樹脂から形成された粘着フィルムを用いて、第1透明粘着剤層を形成する例を示したが、透明粘着性樹脂組成物を調製して導電層(銀層)が形成された第1基材上に、透明粘着剤を塗布し、必要に応じて乾燥させることにより、第1透明粘着剤層を形成してもよく、上述した例に限定されない。
<第2基材積層工程>
透明樹脂から形成された第2基材は、例えば、市販の透明樹脂から形成されたフィルム、市販の透明樹脂から形成された基板等を用いて、第1透明粘着剤層の上に積層することができる。
透明樹脂から形成された第2基材の積層方法としては、例えば、前記第1透明粘着剤層形成工程と同様に、貼り合わせ装置として一般的なラミネート装置を用いて、前記第1透明粘着剤層形成工程と同様の条件にて、室温(例えば、25℃)において、第2基材を第1透明粘着剤層上に積層することができる。
透明樹脂から形成されたフィルムとは、透明樹脂から形成されたフィルムであればよく、例えば、透明樹脂として、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)(シクロオレフィンコポリマー(COC)など共重合体を含む)、およびトリアセチルセルロース(TAC)からなる群より選ばれた1つ以上の樹脂を用いて形成されたフィルムでもよい。
透明樹脂から形成されたフィルムとは、ポリエチレンテレフタレートを含む透明樹脂から形成されたフィルムであってよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム等が挙げられる。
透明樹脂から形成され基板とは、透明樹脂から形成された基板であればよく、例えば、透明樹脂として、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)(シクロオレフィンコポリマー(COC)など共重合体を含む)、およびトリアセチルセルロース(TAC)からなる群より選ばれた1つ以上の樹脂を用いて形成された基板でもよい。
透明樹脂から形成され基板とは、ポリエチレンテレフタレートを含む透明樹脂から形成された基板であってよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製基板等が挙げられる。
なお、本実施形態では、市販の透明樹脂から形成されたフィルムを第2基材として用いて、第2基材を第1透明粘着剤層上に積層する例を示したが、ポリエステル化合物を含む樹脂組成物を調製してフィルム状に形成したものを用いて第1透明粘着剤層を形成してもよい。
また、本実施形態では、市販の透明樹脂から形成されたフィルムを第2基材として用いて、第2基材に第1透明粘着剤層上に積層する例を示したが、ポリエステル化合物を含む樹脂組成物を調製して、第1透明粘着剤層に当該樹脂組成物を塗布することにより、第2基材を積層するように形成してもよく、上述した例に限定されない。
<第2透明粘着剤層形成工程>
前記第2透明粘着剤層は、例えば、市販の透明粘着性樹脂等から形成された粘着フィルム(OCAフィルム)等を用いて形成することができる。
例えば、前記第1透明粘着剤層形成工程と同様に、透明粘着剤の貼り合わせ装置として一般的なラミネート装置を用いて、前記第1透明粘着剤層形成工程と同様の条件にて、室温(例えば、25℃)において、前記第2基材の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第2透明粘着剤層)を前記第2基材の表面に貼り合わせることにより、第2透明粘着剤層を形成することができる。
なお、本実施形態では、市販の透明粘着性樹脂等から形成された粘着フィルムを用いて、第2透明粘着剤層を形成する例を示したが、透明粘着性樹脂組成物を調製してフィルム状に形成したものを用いて第2透明粘着剤層を形成してもよい。
また、本実施形態では、市販の透明粘着性樹脂等から形成された粘着フィルムを用いて、第2透明粘着剤層を形成する例を示したが、透明粘着性樹脂組成物を調製して前記第2基材上に、透明粘着剤を塗布し、必要に応じて乾燥させることにより、第2透明粘着剤層を形成してもよく、上述した例に限定されない。
<ガラス基材積層工程>
ガラス基材は、市販の透明なガラス基板、ガラスフィルム等を用いて、第2透明粘着剤層の上に積層することができる。
ガラス基材の積層方法としては、例えば、前記第1透明粘着剤層形成工程と同様に、貼り合わせ装置として一般的なラミネート装置を用いて、前記第1透明粘着剤層形成工程と同様の条件にて、室温(例えば、25℃)において、ガラス基材を第2透明粘着剤層上に積層することができる。
例えば、ガラス基材は、スマートフォンやパソコン等のタッチパネル用途に一般的に使用されるガラス基板、ガラスフィルムであってよい。
<密着処理工程>
また、本発明に係る積層体の製造方法は、前記ガラス基材積層工程の後に、積層体を、一般的なオートクレーブ装置等を用いて加熱加圧処理して積層体中の各層を密着させる工程(密着処理工程)を有することが好ましい。
密着処理工程における加熱温度は、例えば、40〜80℃であることが好ましい。
密着処理工程において積層体を加圧する圧力は、例えば、0.3〜1.0MPaであることが好ましい。
密着処理工程における加熱加圧処理の時間は、例えば、5〜120分であることが好ましい。
密着処理工程としての加熱加圧処理を行うことにより、積層体の各層の密着性を向上させることが可能となり、高温高湿条件で積層体を長期保存した場合には、ヘーズ変化が小さく、ヘーズ変化率も小さい積層体を得ることができる。
<その他の層の形成工程>
本発明の積層体として、第1基材上に導電層、第1透明粘着剤層、第2基材、第2透明粘着剤層、およびガラス基材以外のその他の層が設けられた積層体を製造する場合には、前記の製造方法において、所定のタイミングでその他の層を形成する工程を適宜追加して行えばよい。
<<電子機器、透明導電膜>>
前記積層体は、各種電子機器、透明導電膜等を構成するのに好適である。
例えば、電子機器は、前記積層体を用い、前記第1基材を筐体(外装材)として備えるように構成でき、前記積層体中の第1基材で筐体(外装材)の少なくとも一部を構成した点以外は、公知の電子機器と同様の構成とすることができる。例えば、携帯電話機等の通信機器における外装材の平面又は曲面部分を前記第1基材とし、この外装材(第1基材)上に前記金属銀から構成される細線を形成し、この細線を回路とすることで、前記積層体を回路基板として用いることができる。そして、例えば、前記積層体に加え、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。
携帯電話機の中でも、例えば、スマートフォンにおいて、前記積層体はタッチパネルを構成することができる。
また、前記積層体は、タブレット型、ノート型等のパソコンおよびモニターなど等に使用されるタッチパネルを構成することができる。
また、透明導電膜は、前記積層体を用い、銀層を極微細配線又は極薄配線として備えるように構成でき、銀層を極微細配線又は極薄配線として備えた点以外は、公知の透明導電膜と同様の構成とすることができる。特に前記積層体は、タッチパネルや光学ディスプレイ等を構成するのに好適である。
極微細配線の線幅は、1〜160μmであることが好ましく、1〜20μmであることが好ましく、1.3〜15μmであることがより好ましく、1.5〜13μmであることが特に好ましい。
また、極微細配線の断面形状は、好ましくは楕円の短軸方向のほぼ半分の領域が切り取られた半楕円形状である。
一方、極薄配線の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、7nm〜5μmであることがより好ましく、10nm〜1μmであることが特に好ましい。
極薄配線の断面形状は、前記極微細配線の断面形状と同様である。
前記透明導電膜は、銀層がこのような線幅及び厚さの少なくとも一方を満たしていることが好ましい。銀層がこのような線幅又は厚さであれば、目視によってその存在が認識困難となるので、透明導電膜として好ましい。
また、前記積層体においては、銀層を低温で形成することも可能であり、第1基材等の材質を幅広く選択できるので、設計の自由度が飛躍的に向上し、電子機器、透明導電膜等をより合理的な構造とすることも可能である。
さらに、前記積層体によれば、電子機器、透明導電膜等を長期使用した場合において、発泡等の劣化を抑制可能であり、長期に渡って視認性等の性能が確保される。
前記のような電子機器、透明導電膜等は、長期に渡って高い性能を維持することが可能である。
以下、具体的に実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
以下に示す実施例および比較例で用いた、ポリカーボネートから形成された第1基材、透明樹脂から形成された第2基材、およびガラス基材を、表1に示す。
具体的に、表1に示したように、ポリカーボネートから形成された第1基材としては、帝人社製「パンライトシートPC−1151(材質:ポリカーボネート(PC)、厚み:0.4mm)」、および、帝人社製「パンライトシートPC−2151(材質:ポリカーボネート(PC)、厚み:0.18mm)を用いた。
また、表1に示したように、透明樹脂から形成された第2基材としては、MCK社製「HC−PET(材質:ハードコート/PET、厚み:ハードコート層(HC層)0.03mm/PET層0.25mm)」、および、東洋紡社製「コスモシャインSRF80(材質:PET、厚み:0.08mm)」を用いた。
さらに、表1に示したように、ガラス基材としては、松浪硝子工業社製「青板強化品(材質:ガラス、厚み:1.1mm)」を用いた。
Figure 2019111812
以下に示す実施例および比較例において、第1透明粘着剤層、および、第2透明粘着剤層に用いた透明粘着剤(OCA)を表2に示す。
また、表2においては、透明粘着剤の製品名、厚み、メーカーのカタログ値(透過率、ヘーズ(%)、ポリカーボネート対応性)、ガラスに対する粘着力(N/25mm、実測値)、ポリカーボネートに対する粘着力(N/25mm、実測値)、メーカー名等も示した。
具体的に、透明粘着剤として、パナック社製「パナック耐発泡(厚さ50μm、透過率92.9%、ヘーズ0.6%、組成:ポリエチレンテレフタレート70〜80%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体20〜30%)」、パナック社製「PDC3−50(厚さ50μm、透過率92.5%、ヘーズ0.3%、組成:ポリエチレンテレフタレート70〜80%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体20〜30%)」、パナック社製「PDC3−100(厚さ100μm、組成:ポリエチレンテレフタレート70〜80%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体20〜30%)」、パナック社製「PDWB1(厚さ50μm、透過率92.2%、ヘーズ0.5%、組成:ポリエチレンテレフタレート70〜80%、スチレン系共重合体15〜20%、芳香族系炭化水素樹脂1〜5%、ポリオレフィン系樹脂1〜5%)」、3M社製「8171CL(厚さ25μm、透過率>99%、ヘーズ0.6%、組成:アクリル系樹脂)」、3M社製「8172CL(厚さ50μm、透過率>99%、ヘーズ0.8%、組成:アクリル系樹脂)」、3M社製「8146−2(厚さ50μm、透過率>99%、ヘーズ0.5%、組成:アクリル系樹脂)」、グンゼ社製「NNX50(厚さ50μm、透過率90.6%、組成:アクリル系樹脂)、グンゼ社製「NNX75(厚さ75μm、透過率90.6%、組成:アクリル系樹脂)、リンテック社製「MO−T015I MG3(厚さ100μm、透過率>99%、ヘーズ0.3%、組成:アクリル系樹脂)、リンテック社製「MO−T015G MG3(厚さ50μm、透過率>99%、ヘーズ0.3%、組成:アクリル系樹脂)、岩谷産業社製「ISR−SOC TK025(厚さ20μm、透過率93.3%、ヘーズ0.4%、組成:シリコン系樹脂)、共同技研化学社製「MGCS5(厚さ50μm、透過率92%、ヘーズ0.3%、組成:アクリル系樹脂)、および共同技研化学社製「MGCS10(厚さ100μm、透過率92%、ヘーズ0.3%、組成:アクリル系樹脂)を用いた。
Figure 2019111812
なお、表2における透明粘着剤のガラス製基材に対する粘着力(N/25mm)、透明粘着剤のポリカーボネート製基材に対する粘着力(N/25mm)を測定する際の条件(粘着力測定条件)を表3に示す。
Figure 2019111812
表3に示すように、粘着力測定試験には、測定装置として島津製作所製EZ−Lを用い、試験条件として180°ピール試験、300mm/minの条件にて、粘着力の測定を行った。
なお、透明粘着剤のガラス製基材に対する粘着力(N/25mm)の測定試験の際は、評価層構成として、0.18mmPC製基材上にOCAを設け、OCA上に1.1mmガラス製基材を設けた、「1.1mmガラス製基材/OCA(透明粘着剤)/0.18mmPC製基材」を用いた。
また、透明粘着剤のポリカーボネート製基材に対する粘着力(N/25mm)の測定試験の際は、評価層構成として、0.18mmPC製基材上にOCAを設け、OCA上に0.4mmPC製基材を設けた、「0.4mmPC製基材/OCA(透明粘着剤)/0.18mmPC製基材」を用いた。
[実施例1]
<積層体の製造(積層体構成1の作製)>
(銀インク組成物の製造)
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、n−ヘキサン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)と、をこの順に加えて、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が50℃以下となるように、ビーカー中に52.9gの2−メチルアセト酢酸銀を添加した。
2−メチルアセト酢酸銀の添加終了後、同様の状態を維持したまま、ビーカー中にシリンジポンプを用いて、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を10分かけて滴下し、ギ酸の滴下終了後、さらにそのままの状態で1.5時間撹拌した。
次いで、アセチレンアルコール(2)である3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.032倍モル量)及びアセチレンアルコール(2)である4−エチル−1−オクチン−3−オール(以下、「EOO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)の混合物をビーカー中に添加し、添加終了後、さらにそのままの状態で5分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、EOOとしては、東京化成工業社製のものを用いた。
DMHOとしては、日信化学社製「サーフィノール61」を用いた。
各配合成分の種類と配合比を表4に示す。
表4中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
「還元剤(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。 「アセチレンアルコール(2)(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりのアセチレンアルコール(2)の配合量(モル数)([アセチレンアルコール(2)のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
「溶媒(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの溶媒の配合量(モル数)([溶媒のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
Figure 2019111812
(銀層の形成)
ポリカーボネート製基材(厚さ0.4mm、帝人製パンライトシートPC−1151)(ポリカーボネートから形成された第1基材)の一方の主面(表面、第1の主面)上に、グラビアオフセット印刷法により、前記で得られた銀インク組成物を塗工して、印刷パターンを形成した。印刷パターンは、同じ幅のラインが所定の間隔を空けて多数配置されているラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成されたメッシュパターンとした。
次いで、上述の印刷パターンが形成された第1基材を、オーブン内において、(1)65℃で5分間熱風を当て、120℃で5分間熱風を当てた後に、100℃で10分間予備加熱し、(2)相対湿度70〜100%の加湿条件下において120℃で10分加熱(焼成)処理することにより、幅4μm、隣り合う同方向のライン間の距離が200μmであり、スキュー角度が45°の金属銀のラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成された、金属銀のメッシュパターンを形成した。このメッシュパターンを形成している金属銀(銀層)の厚さは0.06〜0.07μmであった。
なお、実施例1と同様に、後述する実施例2〜8、比較例1〜23においても、前記銀層が形成された第1基材を用いた。
(第1透明粘着剤層の形成)
金属銀のメッシュパターンを形成した前記第1基材の前記パターン形成面の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第1透明粘着剤層)として、表2に示したパナック社製「パナック耐発泡」を前記第1基材の前記パターン形成面に貼り合わせた。
以下の表5に示すように、透明粘着剤の貼り合わせ装置として、アコ・ブランズ・ジャパン社製のマルチラミネータ モデルNo.EXCELAM−PULUS355RMを用いた。
また、表5に示すような、貼り合わせ条件(ローラー速度:1メモリ、ローラー温度:25℃、ローラー間ギャップ:5mm)にて、第1基材のパターン形成面に透明粘着剤を貼りつけた。
Figure 2019111812
(第2基材の積層)
前記第1透明粘着剤層の全面を覆うように、透明樹脂から形成された第2基材として、表1に示した東洋紡社製「コスモシャインSRF80(材質:PET、厚み:0.08mm)」(PETから形成された第2基材)を、第1透明粘着剤層に積層した。
積層装置および積層条件については、前記表5に示すように、アコ・ブランズ・ジャパン社製のマルチラミネータ モデルNo.EXCELAM−PULUS355RMを用い、貼り合わせ条件(ローラー速度:1メモリ、ローラー温度:25℃、ローラー間ギャップ:5mm)にて、第1透明粘着剤層に第2基材を積層した。
(第2透明粘着剤層の形成)
前記第2基材の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA,第2透明粘着剤層)として、表2に示した「パナック耐発泡」を前記第2基材に貼り合わせた。
第2透明粘着剤層の貼り付けには、前記第1透明粘着剤層の貼り付けと同様に、表5に示すアコ・ブランズ・ジャパン社製のマルチラミネータ モデルNo.EXCELAM−PULUS355RMを用い、貼り合わせ条件(ローラー速度:1メモリ、ローラー温度:25℃、ローラー間ギャップ:5mm)にて、第2基材に透明粘着剤を貼りつけた。
(ガラス基材の積層)
前記第2透明粘着剤層上に、表1に示した松浪硝子工業社製「青板強化品(材質:ガラス、厚み:1.1mm)」を積層した。
積層装置および積層条件については、前記表5に示すように、アコ・ブランズ・ジャパン社製のマルチラミネータ モデルNo.EXCELAM−PULUS355RMを用い、貼り合わせ条件(ローラー速度:1メモリ、ローラー温度:25℃、ローラー間ギャップ:5mm)にて、第2透明粘着剤層にガラス基材を積層した。
以上により、ポリカーボネートから形成された第1基材上に、前記導電層としてのメッシュ状の銀層が形成され、前記銀層と、前記第1基材上の前記銀層が設けられていない領域と、に、第1透明粘着剤層が形成され、第1透明粘着剤層上に前記PETで形成された第2基材層が積層され、前記第2基材層上に第2透明粘着剤層が形成され、第2透明粘着剤層上に前記ガラス基材が積層された積層体(実施例1〜8に係る積層体構成1:1.1mmガラス/2ndOCA/PET/1stOCA/銀/0.4mmPC)を得た。
なお、積層体構成1は、図1に示す層構成となる。
<積層体の評価>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
前記で得られた積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を確認した。結果を表6に示す。
表6において、積層体において気泡の発生が観察されなかった場合(発泡が観察されなかった場合)には、良好であるとして、「A」と示した。
また、表6においては、積層体において気泡の発生が観察された場合は、不良であるとして、「B」と示した。
(高温高湿試験における積層体のヘーズ変化、および、ヘーズ変化率の確認)
前記「発泡の有無の確認」において、積層体に発泡が確認できなかった場合(「A」であった場合)には、前記積層体について、第1基材側(第1基材外面)から、JIS K7136に従って、ヘーズメータ(日本電色工業製、NDH7000SP)を用いてヘーズH(%)を測定した。
ヘーズ変化の結果を表7に示す。なお、表7に示すヘーズHt(%)は、絶対値である。
処理開始前(t=0)のヘーズHと、処理開始後t時間でのヘーズHとから、前記式(I:ΔH(H−H)/H×100(%))により前記積層体のヘーズ変化率ΔH(%)を算出した。
ヘーズ変化率の結果を表8に示す。
なお、積層体の初期ヘーズが3.0%以下であり、かつ、温度60℃、相対湿度90%(90%RH)雰囲気下で、加熱加湿処理開始から303時間後における積層体のヘーズ変化率が、80%以下であった場合、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果が良好である(規定値以内)と判断して、表6中において「A」と示した。
なお、積層体の初期ヘーズが3.0%以下であっても、温度60℃、相対湿度90%(90%RH)雰囲気下で、加熱加湿処理開始から303時間後におけるヘーズ変化率が、80%を超えてしまった場合、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果が良好ではない(規定値を超えてしまった)と判断して、表6中において「B」と示した。
<積層体の製造及び評価>
[実施例2]
(積層体の製造)
実施例2においては、実施例1と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置(オートクレーブ装置)を用いて、積層体を加熱加圧処理(オートクレーブ処理)した他は、実施例1の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
加熱加圧処理の条件は、表6に示すように、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件であり、加熱加圧処理により、積層体中の各層の密着性をより向上させた積層体を得た。
[実施例3]
(積層体の製造)
実施例3においては、実施例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8171CL」に変更し、かつ、実施例1における第2透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から3M社製「8171CL」に変更した他は、実施例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例4]
(積層体の製造)
実施例4においては、実施例3と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、実施例3の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
加熱加圧処理の条件は、表6に示すように、実施例2と同様に、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件であり、加熱加圧処理により、積層体中の各層の密着性をより向上させた積層体を得た。
[実施例5]
(積層体の製造)
実施例5においては、実施例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8172CL」に変更し、かつ、実施例1における第2透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から3M社製「8172CL」に変更した他は、実施例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例6]
(積層体の製造)
実施例6においては、実施例5と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、実施例5の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
加熱加圧処理の条件は、表6に示すように、実施例2と同様に、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件であり、加熱加圧処理により、積層体中の各層の密着性をより向上させた積層体を得た。
[実施例7]
(積層体の製造)
実施例7においては、実施例1における第2透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したパナック社製「PDC3−50」に変更した他は、実施例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例8]
(積層体の製造)
実施例8においては、実施例7と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、実施例7の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
加熱加圧処理の条件は、表6に示すように、実施例2と同様に、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件であり、加熱加圧処理により、積層体中の各層の密着性をより向上させた積層体を得た。
<積層体の評価(実施例2〜8)>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
実施例1と同様に、前記で得られた実施例2〜8に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を確認した。結果を表6に示す。
表6において、積層体において気泡の発生が観察されなかった場合(発泡が観察されなかった場合)には、良好であるとして、「A」と示した。
また、表6においては、積層体において気泡の発生が観察された場合は、不良であるとして、「B」と示した。
(高温高湿試験における積層体のヘーズ変化、および、ヘーズ変化率の確認)
実施例1と同様に、前記「発泡の有無の確認」において、積層体に発泡が確認できなかった場合には、前記積層体について、第1基材側(第1基材外面)から、JIS K7136に従って、ヘーズメータ(日本電色工業製、NDH7000SP)を用いてヘーズH(%)を測定した。
ヘーズ変化の結果を表7に示す。
処理開始前(t=0)のヘーズHと、処理開始後t時間でのヘーズHとから、前記式(I:ΔH(H−H)/H×100(%))により前記積層体のヘーズ変化率ΔH(%)を算出した。
ヘーズ変化率の結果を表8に示す。
なお、積層体の初期ヘーズが3.0%以下であり、かつ、温度60℃、相対湿度90%(90%RH)雰囲気下で、加熱加湿処理開始から303時間後における積層体のヘーズ変化率が、80%以下であった場合、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果が良好である(規定値以内)と判断して、表6中において「A」と示した。
なお、積層体の初期ヘーズが3.0%以下であっても、温度60℃、相対湿度90%(90%RH)雰囲気下で、加熱加湿処理開始から303時間後におけるヘーズ変化率が、80%を超えてしまった場合、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果が良好ではない(規定値を超えてしまった)と判断して、表6中において「B」と示した。
[比較例1]
<積層体の製造(積層体構成2の作製)>
(銀インク組成物の製造、銀層の形成)
比較例1に係る銀インク組成物は、実施例1と同様の方法により製造した。
また、比較例1においても、実施例1と同様に、銀層が形成された第1基材(ポリカーボネート製基材(厚さ0.4mm、帝人製パンライトシートPC−1151)上に銀層を形成した第1基材)を用いた。
(第1透明粘着剤層の形成)
比較例1においても、実施例1と同様に、金属銀のメッシュパターンを形成した前記第1基材の前記パターン形成面の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第1透明粘着剤層)として、表2に示したパナック社製「パナック耐発泡」を前記第1基材の前記パターン形成面に貼り合わせた。
なお、表5に示すように、透明粘着剤の貼り合わせ装置および貼り合わせ条件は、実施例1と同様である。
(ガラス基材の積層)
比較例1においては、表5に示した装置および条件にて、前記第1透明粘着剤層上に、表1に示した松浪硝子工業社製「青板強化品(材質:ガラス、厚み:1.1mm)」を積層した。
以上により、ポリカーボネートから形成された第1基材上に、前記導電層としてのメッシュ状の銀層が形成され、前記銀層と、前記第1基材上の前記銀層が設けられていない領域と、に、第1透明粘着剤層が形成され、第1透明粘着剤層上に前記ガラス基材が積層された積層体(比較例1〜20に係る積層体構成2:1.1mmガラス/1stOCA/銀/0.4mmPC)を得た。
なお、積層体構成2を図4に示す。
<積層体の評価>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
前記で得られた比較例1に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を確認した。結果を表6に示す。
表6において、積層体において気泡の発生が観察されなかった場合(発泡が観察されなかった場合)には、良好であるとして、「A」と示した。
また、表6においては、積層体において気泡の発生が観察された場合は、不良であるとして、「B」と示した。
<積層体の製造及び評価>
[比較例2]
(積層体の製造)
比較例2においては、比較例1と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、比較例1の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
比較例2における加熱加圧処理の条件は、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:10分の条件とした。
[比較例3]
(積層体の製造)
比較例3においては、比較例1と同様に積層体を作成した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、比較例1の手順と同様の手法により、積層体を作成した。
比較例3における加熱加圧処理の条件は、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件とした。
[比較例4]
(積層体の製造)
比較例4においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8171CL」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例5]
(積層体の製造)
比較例5においては、比較例4と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、比較例4の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
比較例5における加熱加圧処理の条件は、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:10分の条件とした。
[比較例6]
(積層体の製造)
比較例6においては、比較例4と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、比較例4の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
比較例6における加熱加圧処理の条件は、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件とした。
[比較例7]
(積層体の製造)
比較例7においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8172CL」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例8]
(積層体の製造)
比較例8においては、比較例7と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、比較例7の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
比較例8における加熱加圧処理の条件は、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:10分の条件とした。
[比較例9]
(積層体の製造)
比較例9においては、比較例7と同様に積層体を作製した後に、チヨダエレクトリック社製TBR−200卓上型加圧脱泡装置を用いて、積層体を加熱加圧処理した他は、比較例7の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
比較例9における加熱加圧処理の条件は、温度:50℃、圧力:0.5MPa、時間:30分の条件とした。
[比較例10]
(積層体の製造)
比較例10においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したパナック社製「PDC3−50」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例11]
(積層体の製造)
比較例11においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したパナック社製「PDC3−100」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例12]
(積層体の製造)
比較例12においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したパナック社製「PDWB1」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例13]
(積層体の製造)
比較例13においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8146−2」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例14]
(積層体の製造)
比較例14においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したグンゼ社製「NNX50」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例15]
(積層体の製造)
比較例15においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したグンゼ社製「NNX75」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例16]
(積層体の製造)
比較例16においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したリンテック社製「MO−T015I MG3」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例17]
(積層体の製造)
比較例17においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示したリンテック社製「MO−T015G MG3」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例18]
(積層体の製造)
比較例18においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した岩谷産業社製「ISR−SOC TK025」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例19]
(積層体の製造)
比較例19においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した共同技研化学社製「MGCS5」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例20]
(積層体の製造)
比較例20においては、比較例1における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した共同技研化学社製「MGCS10」に変更した他は、比較例1と同様の手法により、積層体を作製した。
<積層体の評価>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
比較例1と同様に、前記で得られた比較例2〜20に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を確認した。結果を表6に示す。
表6において、積層体において気泡の発生が観察されなかった場合(発泡が観察されなかった場合)には、良好であるとして、「A」と示した。
また、表6においては、積層体において気泡の発生が観察された場合は、不良であるとして、「B」と示した。
[比較例21]
<積層体の製造(積層体構成3の作製)>
(銀インク組成物の製造、銀層の形成)
比較例21に係る銀インク組成物は、実施例1と同様の方法により製造した。
また、比較例21においても、実施例1と同様に、銀層が形成された第1基材(ポリカーボネート製基材(厚さ0.4mm、帝人製パンライトシートPC−1151)上に銀層を形成した第1基材)を用いた。
(第1透明粘着剤層の形成)
比較例21においても、実施例1と同様に、金属銀のメッシュパターンを形成した前記第1基材の前記パターン形成面の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第1透明粘着剤層)として、表2に示したパナック社製「パナック耐発泡」を前記第1基材の前記パターン形成面に貼り合わせた。
なお、表5に示すように、透明粘着剤の貼り合わせ装置および貼り合わせ条件は、実施例1と同様である。
(第2基材の積層)
比較例21においては、表5に示した装置および条件にて、前記第1透明粘着剤層の全面を覆うように、透明樹脂から形成された第2基材として、表1に示したMCK社製「HC−PET(材質:ハードコート(HC)/PET、厚み:0.03mm(HC層)、0.25mm(PET層))」(PETから形成された第2基材に相当)を、第1透明粘着剤層に積層した。
(第2透明粘着剤層の形成)
比較例21においては、第1基材の裏面(第1基材の第2の主面11b、第1基材の外面)に、透明粘着剤(OCA,第2透明粘着剤層)として、表2に示した「パナック耐発泡」を貼り合わせた。
第2透明粘着剤層の貼り付けには、前記第1透明粘着剤層の貼り付けと同様に、表5に示すアコ・ブランズ・ジャパン社製のマルチラミネータ モデルNo.EXCELAM−PULUS355RMを用い、貼り合わせ条件(ローラー速度:1メモリ、ローラー温度:25℃、ローラー間ギャップ:5mm)にて、第1基材の裏面に透明粘着剤を貼りつけた。
(ガラス基材の積層)
前記第1基材の裏面に設けた前記第2透明粘着剤層上に、表1に示した松浪硝子工業社製「青板強化品(材質:ガラス、厚み:1.1mm)」を積層した。
以上により、ガラス基材上に第2透明粘着剤層が形成され、第2透明粘着剤層上にポリカーボネートから形成された第1基材が設けられ、前記第1基材上に前記導電層としてのメッシュ状の銀層が形成され、前記銀層と、前記第1基材上の前記銀層が設けられていない領域と、に、第1透明粘着剤層が形成され、第1透明粘着剤層上に前記PETで形成された第2基材層が積層された積層体(比較例21〜23に係る積層体構成3:HC−PET/1stOCA/銀/0.4mmPC/2ndOCA/1.1mmガラス)を得た。
なお、比較例21、以下に示す比較例22、および、比較例23に係る積層体構成3を図5に示す。
<積層体の評価>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
前記で得られた比較例21に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を確認した。結果を表6に示す。
表6において、積層体において気泡の発生が観察されなかった場合(発泡が観察されなかった場合)には、良好であるとして、「A」と示した。
また、表6においては、積層体において気泡の発生が観察された場合は、不良であるとして、「B」と示した。
<積層体の製造及び評価>
[比較例22]
(積層体の製造)
比較例22においては、比較例21における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8171CL」に変更し、比較例21における第2透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8171CL」に変更した他は、比較例21と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例23]
(積層体の製造)
比較例23においては、比較例21における第1透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8172CL」に変更し、比較例21における第2透明粘着剤層を、パナック社製「パナック耐発泡」から、表2に示した3M社製「8172CL」に変更した他は、比較例21と同様の手法により、積層体を作製した。
<積層体の評価>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
比較例21と同様に、前記で得られた比較例22および比較例23に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を確認した。結果を表6に示す。
表6において、積層体において気泡の発生が観察されなかった場合(発泡が観察されなかった場合)には、良好であるとして、「A」と示した。
また、表6においては、積層体において気泡の発生が観察された場合は、不良であるとして、「B」と示した。
Figure 2019111812
Figure 2019111812
Figure 2019111812
前記結果から明らかなように、積層体構成1を有する実施例1〜8に係る積層体は、60℃、相対湿度90%で19時間の加湿加熱処理を行った後においても、気泡の発生が観察されず、良好な結果が得られた。
すなわち、積層体構成1を有する実施例1〜8に係る積層体(本発明に係る積層体)によれば、発泡が抑制され、タッチパネル等の光学部材として、良好に使用可能であることが確認できた。
また、実施例2〜8に係る積層体においては、積層体の初期ヘーズが3.0%以下であり、かつ、温度60℃、相対湿度90%(90%RH)雰囲気下で、加熱加湿処理開始から303時間後における積層体のヘーズ変化率が、80%以下であり、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果が良好(規定値以内)であった。
すなわち、実施例2〜8に係る積層体は、発泡抑制効果に加えて、ヘーズ変化およびヘーズ変化率の観点においても好ましい結果が得られる傾向にあった。
また、実施例1と2の結果より、積層体構成1を有する積層体に、加熱加圧処理を行うことにより、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果がより良好なものとなることを確認できた。
これに対して、積層体構成2を有する比較例1〜20に係る積層体は、60℃、相対湿度90%で19時間の加湿加熱処理を行った後に、積層体中の一部または全面に気泡が発生してしまった(積層体中で発泡を確認した)。
そのため、積層体構成2を有する比較例1〜20においては、ヘーズ変化を測定する試験を行うことが出来なかった。
さらに、積層体構成3を有する比較例21〜23に係る積層体も、60℃、相対湿度90%で19時間の加湿加熱処理を行った後に、積層体中の一部または全面に気泡が発生してしまった(積層体中で発泡を確認した)。
そのため、積層体構成3を有する比較例21〜23においては、ヘーズ変化を測定する試験を行うことが出来なかった。
これらの結果に示すように、ポリカーボネートから形成された第1基材とガラス基材との間に、導電層(銀層)、透明粘着剤層(第1の透明粘着剤層、第2の透明粘着剤層)、および透明樹脂から形成された第2基材を備えた積層体構成1によれば、高温高湿試験後においても積層体の発泡が抑制され、かつ、光学特性が良好となる傾向にあった。
また、ポリカーボネートから形成された第1基材とガラス基材とが、透明粘着剤層を介して対向するような積層体構成2および積層体構成3によれば、積層体に発泡が生じやすい傾向にあった。
[実施例9]
<積層体の製造(積層体構成1の作製)>
(銀インク組成物の製造)
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、DMHO(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)と、を加えて、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が40℃以下となるように、ビーカー中に20.65gの2−メチルアセト酢酸銀を添加した。各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、ネオデカン酸(ジャパンケムテック社製「バーサティック10」)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類と配合比を表9に示す。
表9中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
「ネオデカン酸(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりのネオデカン酸の配合量(モル数)([ネオデカン酸のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
「アセチレンアルコール(2)(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりのアセチレンアルコール(2)の配合量(モル数)([アセチレンアルコール(2)のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
Figure 2019111812
(銀層の形成)
ポリカーボネート製基材(厚さ0.4mm、帝人製パンライトシートPC−1151)(ポリカーボネートから形成された第1基材)の一方の主面(表面、第1の主面)上に、インクジェット装置(IJCS−1、コニカミノルタ製)及びインクジェットヘッド(KM512MH、コニカミノルタ製)を用いたインクジェット印刷法により、前記で得られた銀インク組成物を塗工して、印刷パターンを形成した。印刷パターンは、同じ幅のラインが所定の間隔を空けて多数配置されているラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成されたメッシュパターンとした。
次いで、上述の印刷パターンが形成された第1基材を、オーブン内において、(1)130℃で10分間熱風を当てて加熱処理することにより、幅150μm、隣り合う同方向のライン間の距離が7950μmであり、スキュー角度が45°の金属銀のラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成された、金属銀のメッシュパターンを形成した。このメッシュパターンを形成している金属銀(銀層)の厚さは0.02〜0.03μmであった。
(第1透明粘着剤層の形成)
前記実施例1と同様に、金属銀のメッシュパターンを形成した前記第1基材の前記パターン形成面の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第1透明粘着剤層)として、パナック社製「パナック耐発泡」を前記第1基材の前記パターン形成面に貼り合わせた。
(第2基材の積層)
前記実施例1と同様に、前記第1透明粘着剤層の全面を覆うように、透明樹脂から形成された第2基材として、東洋紡社製「コスモシャインSRF80(材質:PET、厚み:0.08mm)」(PETから形成された第2基材)を、第1透明粘着剤層に積層した。
(第2透明粘着剤層の形成)
前記実施例1と同様に、前記第2基材の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA,第2透明粘着剤層)として、パナック社製「パナック耐発泡」を前記第2基材に貼り合わせた。
(ガラス基材の積層)
前記実施例1と同様に、前記第2透明粘着剤層上に、松浪硝子工業社製「青板強化品(材質:ガラス、厚み:1.1mm)」を積層した。
以上により、ポリカーボネートから形成された第1基材上に、前記導電層としてのメッシュ状の銀層が形成され、前記銀層と、前記第1基材上の前記銀層が設けられていない領域と、に、第1透明粘着剤層が形成され、第1透明粘着剤層上に前記PETで形成された第2基材層が積層され、前記第2基材層上に第2透明粘着剤層が形成され、第2透明粘着剤層上に前記ガラス基材が積層された積層体を得た。
[実施例10]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を4875μmとした他は、前記実施例9の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例11]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を9950μmとした他は、前記実施例9の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例12]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を3875μmとした他は、前記実施例9の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例13]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を7950μmとし、第2透明粘着剤層をパナック社製「PDC3−50」に変更した他は、前記実施例9の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例14]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を3875μmとし、第2透明粘着剤層をパナック社製「PDC3−50」に変更した他は、前記実施例9の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[実施例15]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を4875μmとし、第2透明粘着剤層をパナック社製「PDC3−50」に変更した他は、前記実施例9の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
<積層体の評価(実施例9〜15)>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
実施例1と同様に、前記で得られた実施例9〜15に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を評価した。結果を表10に示す。
(高温高湿試験における積層体のヘーズ変化、および、ヘーズ変化率の確認)
実施例1と同様に、前記「発泡の有無の確認」において、積層体に発泡が確認できなかった場合には、前記積層体について、第1基材側(第1基材外面)から、JIS K7136に従って、ヘーズメータ(日本電色工業製、NDH7000SP)を用いてヘーズH(%)を測定した。
ヘーズ変化の結果を表11に示す。
処理開始前(t=0)のヘーズHと、処理開始後t時間でのヘーズHとから、前記式(I:ΔH(H−H)/H×100(%))により前記積層体のヘーズ変化率ΔH(%)を算出した。
ヘーズ変化率の結果を表12に示す。
なお、表10におけるヘーズ変化は、実施例1と同様に評価した。
[比較例24]
<積層体の製造(積層体構成2の作製)>
(銀インク組成物の製造、銀層の形成)
前記実施例9と同様の方法により銀インク組成物を製造した。
また、前記実施例9と同様に、銀層が形成された第1基材(ポリカーボネート製基材(厚さ0.4mm、帝人製パンライトシートPC−1151)上に銀層を形成した第1基材)を用いた。
(第1透明粘着剤層の形成)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を7950μmとした他は、前記実施例9と同様に、前記第1基材の前記パターン形成面の全面を覆うように、透明粘着剤(OCA、第1透明粘着剤層)として、パナック社製「パナック耐発泡」を前記第1基材の前記パターン形成面に貼り合わせた。
(ガラス基材の積層)
前記比較例1と同様に、前記第1透明粘着剤層上に、松浪硝子工業社製「青板強化品(材質:ガラス、厚み:1.1mm)」を積層した。
以上により、ポリカーボネートから形成された第1基材上に、前記導電層としてのメッシュ状の銀層が形成され、前記銀層と、前記第1基材上の前記銀層が設けられていない領域と、に、第1透明粘着剤層が形成され、第1透明粘着剤層上に前記ガラス基材が積層された積層体を得た。
[比較例25]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を4875μmとした他は、前記比較例24の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例26]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を9950μmとした他は、前記比較例24の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
[比較例27]
(積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンにおいて、隣り合う同方向のライン間の距離を3875μmとした他は、前記比較例24の手順と同様の手法により、積層体を作製した。
<積層体の評価>
(高温高湿試験後における積層体の発泡の有無の確認)
実施例1と同様に、前記で得られた比較例24〜27に係る積層体を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下において継続的に加湿加熱処理を行い、処理開始前と、処理開始後19時間が経過した段階で、目視により、積層体の気泡の発生の有無(発泡の有無)を評価した。結果を表10に示す。
Figure 2019111812
Figure 2019111812
Figure 2019111812
前記結果から明らかなように、積層体構成1を有する実施例9〜15に係る積層体は、60℃、相対湿度90%で19時間の加湿加熱処理を行った後においても、気泡の発生が観察されず、良好な結果が得られた。
すなわち、積層体構成1を有する実施例9〜15に係る積層体(本発明に係る積層体)によれば、発泡が抑制され、タッチパネル等の光学部材として、良好に使用可能であることが確認できた。
また、実施例9〜15に係る積層体においては、積層体の初期ヘーズが3.0%以下であり、かつ、温度60℃、相対湿度90%(90%RH)雰囲気下で、加熱加湿処理開始から303時間後における積層体のヘーズ変化率が、80%以下であり、高温高湿試験後のヘーズ変化の結果が良好(規定値以内)であった。
すなわち、実施例9〜15に係る積層体は、発泡抑制効果に加えて、ヘーズ変化およびヘーズ変化率の観点においても好ましい結果が得られる傾向にあった。
これに対して、積層体構成2を有する比較例24〜27に係る積層体は、60℃、相対湿度90%で19時間の加湿加熱処理を行った後に、積層体中の一部または全面に気泡が発生してしまった(積層体中で発泡を確認した)。
そのため、積層体構成2を有する比較例24〜27においては、ヘーズ変化を測定する試験を行うことが出来なかった。
これらの結果に示すように、ポリカーボネートから形成された第1基材とガラス基材との間に、導電層(銀層)、透明粘着剤層(第1の透明粘着剤層、第2の透明粘着剤層)、および透明樹脂から形成された第2基材を備えた積層体構成1によれば、高温高湿試験後においても積層体の発泡が抑制され、かつ、光学特性が良好となる傾向にあった。
また、ポリカーボネートから形成された第1基材とガラス基材とが、透明粘着剤層を介して対向するような積層体構成2によれば、積層体に発泡が生じやすい傾向にあった。
なお、前記実施形態では、透明樹脂から形成された第2基材として、PETを用いた例を示したが、他のポリエステル、シクロオレフィンポリマー、およびトリアセチルセルロースなどの透明樹脂を用いてもよい。
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されない。
本発明は、基材上に導電層を備えた各種電子機器に利用可能であり、例えば、タッチパネルや光学ディスプレイ等の光学用途での利用に好適である。
1,2,3,4・・・積層体
11・・・第1基材(ポリカーボネートから形成された第1基材)
11a・・・第1基材の一方の主面(表面、第1の主面)
11b・・・第1基材の他方の主面(裏面、第2の主面)
12,22・・・導電層
12a,22a・・・導電層の表面
13、23・・・透明粘着剤層(第1透明粘着剤層)
14・・・第2基材(透明樹脂から形成される第2基材)
15・・・透明粘着剤層(第2透明粘着剤層)
16・・・ガラス基材

Claims (4)

  1. 積層体であって、
    ポリカーボネートから形成された第1基材と、
    ガラス基材と、
    少なくとも1つの透明粘着剤層と、
    導電層と、
    透明樹脂から形成された第2基材と、を備え、
    前記第1基材と前記ガラス基材との間に、前記透明粘着剤層と、前記導電層と、前記第2基材とが配置されている、
    積層体。
  2. 前記透明粘着剤層として、第1透明粘着剤層と第2透明粘着剤層を備え、
    前記第1基材と前記ガラス基材との間に、前記第1基材側から、前記導電層、前記第1透明粘着剤層、前記第2基材、および前記第2透明粘着剤層が、この順で積層されている、
    請求項1に記載の積層体。
  3. 前記透明樹脂が、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー、およびトリアセチルセルロースからなる群より選ばれた1つ以上の樹脂である、
    請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記積層体は、前記第1基材側から測定した第1ヘーズHが3.0%以下であり、 前記積層体を温度60℃、90%RH雰囲気下で、303時間保存する試験後における前記積層体の第2ヘーズH303を前記第1基材側から測定したときに、
    式I303:ΔH303(%)=(H303−H)/H×100により算出される前記積層体のヘーズ変化率ΔH303が80%以下である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
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