JP7344737B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体に関する。
高純度で、かつ一定値以上の厚さの金属膜の表面は、その光反射率が高い場合、鏡面として利用可能である。そこで、このような金属膜をミラーとして利用することが検討されてきた。なかでも、金属銀膜は、比較的安価で高い光反射率を実現できるため、ミラーとしての利用価値が高い。
一方で、ある程度の光の透過性を有する金属膜は、これに対する光の当て方を調節することによって、光を反射させることと、光を透過させること、の両方(すなわち、光の半反射・半透過)を実現でき、ハーフミラーとして利用可能である。
さらに、金属膜を備えた積層体は、その適用対象物を加飾するための加飾ユニットとして利用可能である。
このような金属膜を備えた積層体としては、透明基材と、前記透明基材の片面上に形成された、熱接着性及びインク受容性を有する印刷層と、を備え、前記印刷層が金属微粒子を含み、さらに前記印刷層が透明着色層を含む積層体が開示されている(特許文献1参照)。
この積層体は、適用対象物にその印刷層を熱接着させることによって、適用対象物の表面にメタリック画像を形成するとともに、透明着色層によって、金色をはじめとする種々の着色を可能とする。
特開2009-107283号公報
しかし、特許文献1で開示されている積層体は、その色味を目的とするものに調節するためだけの理由で、透明着色層が必要であり、構成が複雑化しているという問題点があった。
本発明は、金属膜を備えた積層体であって、その色味を目的とするものに調節するための専用の着色層を備えていない積層体を提供することを課題とする。
本発明は、積層体であって、
前記積層体は、第1基材と、前記第1基材の一方の面上に設けられた金属銀膜と、前記金属銀膜の前記第1基材側とは反対側の面上に設けられた透明粘着剤層と、前記透明粘着剤層の前記金属銀膜側とは反対側の面上に設けられた第2基材と、を備えており、
前記第1基材が、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル製の透明基材、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材、又はゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル製の透明基材であり、前記第1基材が前記2層構造の透明基材である場合には、前記2層構造の透明基材は、前記積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が前記金属銀膜側に配置されており、
前記第2基材が透明基材であり、
前記金属銀膜が、下記一般式(1):
Figure 0007344737000001
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R-CY -」、「CY -」、「R-CHY-」、「RO-」、「RN-」、「(RO)CY-」若しくは「R-C(=O)-CY -」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO-」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N-フタロイル-3-アミノプロピル基、2-エトキシビニル基、又は一般式「RO-」、「RS-」、「R-C(=O)-」若しくは「R-C(=O)-O-」で表される基であり;
は、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
で表わされるβ-ケトカルボン酸銀、又は有機銀錯体を用いて形成されたものであり、
前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側からL表色系におけるL、a及びbを測定したとき、前記Lが75以上であり、前記aが-3~3であり、前記bが10.1以上である、積層体を提供する。
本発明の積層体においては、前記積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で加湿加熱処理し、前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側から全光線透過率を測定し、処理前の測定値をTとし、処理時間が255時間のときの測定値をT255とし、処理時間が585時間のときの測定値をT585としたとき、下記式
T255:ΔT255=(T255-T)/T×100
により算出される前記積層体の全光線透過率変化率ΔT255が-55~55%であり、下記式
T585:ΔT585=(T585-T)/T×100
により算出される前記積層体の全光線透過率変化率ΔT585が-200~200%であることが好ましい。
本発明の積層体においては、前記積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で加湿加熱処理し、前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側から20°光沢度を測定し、処理前の20°光沢度をGとし、処理時間が255時間のときの測定値をG255とし、処理時間が585時間のときの測定値をG585としたとき、下記式
G255:ΔG255=(G255-G)/G×100
により算出される前記積層体の20°光沢度変化率ΔG255が-30%以上であり、
G585:ΔG585=(G585-G)/G×100
により算出される前記積層体の20°光沢度変化率ΔG585が-60%以上であることが好ましい。
本発明によれば、金属膜を備えた積層体であって、その色味を目的とするものに調節するための専用の着色層を備えていない積層体が提供される。
本発明の一実施形態に係る積層体の一例を模式的に示す平面図である。 図1に示す積層体の、図1中のI-I線における断面図である。 図1に示す積層体の、図1中のII-II線における断面図である。 図1に示す積層体中の第2金属銀膜の例を、模式的に拡大して示す平面図である。 図1に示す積層体中の第3金属銀膜の例を、模式的に拡大して示す平面図である。 図1に示す積層体中の第4金属銀膜の例を、模式的に拡大して示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る積層体の他の例を模式的に示す平面図である。 図7に示す積層体の、図7中のIII-III線における断面図である。 図7に示す積層体の、図7中のIV-IV線における断面図である。 本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法の一例を模式的に説明するための断面図である。 図10に示す第2印刷層含有領域の例を、模式的に拡大して示す平面図である。 図10に示す第3印刷層含有領域の例を、模式的に拡大して示す平面図である。 図10に示す第4印刷層含有領域の例を、模式的に拡大して示す平面図である。
<<積層体>>
本発明の一実施形態に係る積層体は、第1基材と、前記第1基材の一方の面上に設けられた金属銀膜と、前記金属銀膜の前記第1基材側とは反対側の面上に設けられた透明粘着剤層と、前記透明粘着剤層の前記金属銀膜側とは反対側の面上に設けられた第2基材と、を備えており、
前記第1基材が、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル製の透明基材、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材、又はゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル製の透明基材であり、前記第1基材が前記2層構造の透明基材である場合には、前記2層構造の透明基材は、前記積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が前記金属銀膜側に配置されており、
前記第2基材が透明基材であり、
前記金属銀膜が、下記一般式(1):
Figure 0007344737000002
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R-CY -」、「CY -」、「R-CHY-」、「RO-」、「RN-」、「(RO)CY-」若しくは「R-C(=O)-CY -」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO-」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N-フタロイル-3-アミノプロピル基、2-エトキシビニル基、又は一般式「RO-」、「RS-」、「R-C(=O)-」若しくは「R-C(=O)-O-」で表される基であり;
は、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
で表わされるβ-ケトカルボン酸銀、又は有機銀錯体を用いて形成されたものであり、
前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側からL表色系におけるL、a及びbを測定したとき、前記Lが75以上であり、前記aが-3~3であり、前記bが10.1以上である。
本実施形態の積層体においては、第1基材が、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート又はポリメタクリル酸メチルを構成材料とする透明基材であることにより、積層体の色味を調節するための専用の着色層を備えていなくても、積層体の前記金属銀膜を備えている領域の色味が目的とするもの、より具体的には、黄色味を有するものになっている。そして前記積層体が、外観がメタリック調である前記金属銀膜を備えていることで、この金属銀膜を備えている領域は、金色を呈しているようにも認識できる。
以下、図面を参照しながら、本実施形態の積層体について、詳細に説明する。
なお、以降の説明で用いる図においては、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
また、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図1は、本実施形態の積層体の一例を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す積層体の、図1中のI-I線における断面図であり、図3は、図1に示す積層体の、図1中のII-II線における断面図である。
ここに示す積層体1は、第1基材11と、第1基材11の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11a上に設けられた第1金属銀膜121、第2金属銀膜122、第3金属銀膜123、第4金属銀膜124及び第5金属銀膜125と、を備えて構成されている。
図1~図2中、符号121a、122a、123a、124a及び125aは、それぞれ、第1金属銀膜121、第2金属銀膜122、第3金属銀膜123、第4金属銀膜124及び第5金属銀膜125の、第1基材11側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)を示す。
本明細書においては、第1金属銀膜121、第2金属銀膜122、第3金属銀膜123、第4金属銀膜124及び第5金属銀膜125を一纏めに「第1金属銀膜121~第5金属銀膜125」又は「金属銀膜12」と記載することがある。同様に、第1金属銀膜121の第1面121a、第2金属銀膜122の第1面122a、第3金属銀膜123の第1面123a、第4金属銀膜124の第1面124a、及び第5金属銀膜125の第1面125aを、一纏めに「第1金属銀膜121の第1面121a~第5金属銀膜125の第1面125a」又は「金属銀膜12の第1面12a」と記載することがある。これらは、後述する他の金属銀膜でも同様である。
また、符号11bは、第1基材11の第1面11a側とは反対側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)を示す。
第1基材11の第1面11a上において、第1基材11の対向する2辺の一方の辺から他方の辺へ向かう方向に、第1金属銀膜121、第2金属銀膜122、第3金属銀膜123、第4金属銀膜124及び第5金属銀膜125がこの順に、互いに接触せずに離間して配置されている。
また、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125は、第1基材111上の同一面内に存在するように配置されている。
第1金属銀膜121~第5金属銀膜125は、すべて大きさと形状の点で同じであるが、本実施形態においては、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の一部又はすべてが、大きさと形状のいずれか一方又は両方の点で互いに異なっていてもよい。
積層体1は、さらに、第1金属銀膜121の第1面121a~第5金属銀膜125の第1面125a(金属銀膜12の第1面12a)上に設けられた透明粘着剤層13と、透明粘着剤層13の第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)13a上に設けられた第2基材14と、を備えている。
すなわち、積層体1は、第1基材11、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)、及び第2基材14がこの順に、これらの厚さ方向において積層され、さらに、第1基材11の第1面11aのうち、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)が設けられていない領域と、第1金属銀膜121の第1面121a~第5金属銀膜125の第1面125a(金属銀膜12の第1面12a)と、を被覆するように、第1基材11と第2基材14との間に、透明粘着剤層13が配置されて、構成されている。
積層体1中、第1基材11、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)、透明粘着剤層13及び第2基材14のうち、これらの厚さ方向において、互いに隣接するもの同士は、互いに接触して配置されている。例えば、第1基材11の第1面11aのうち、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125が設けられていない領域には、透明粘着剤層13が直接接触して積層されている。
第1基材11は、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)と必ず接触している。これに対し、第2基材14は、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)の一部の領域又はすべての領域と接触しておらず、この点で第1基材11とは相違する。
図1は、第1基材11の第1面11aをその上方から見下ろすように、積層体1を平面視したときの平面図であり、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の配置形態を見易くするために、透明粘着剤層13及び第2基材14の図示を省略している。
図2中、符号121b、122b、123b、124b及び125bは、それぞれ、第1金属銀膜121、第2金属銀膜122、第3金属銀膜123、第4金属銀膜124及び第5金属銀膜125の、第1基材11側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)を示す。
本明細書においては、上述の第1面の場合と同様に、第1金属銀膜121の第2面121b、第2金属銀膜122の第2面122b、第3金属銀膜123の第2面123b、第4金属銀膜124の第2面124b、及び第5金属銀膜125の第2面125bを、一纏めに「第1金属銀膜121の第2面121b~第5金属銀膜125の第2面125b」又は「金属銀膜12の第2面12b」と記載することがある。
第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の1又は2以上は、ハーフミラーとして利用可能であり、すべてがハーフミラーとして利用可能であってもよく、これら金属銀膜は第1基材11によって固定されている。
第2基材14は、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125を保護する。
透明粘着剤層13は、 第1基材11と第1金属銀膜121~第5金属銀膜125に対して、第2基材14を固定している。
積層体1の、第1基材11の第2面11b側の外部に、光源(図示略)を配置し、この光源を発光させ、発光強度、光の照射角度等を調節するなど、光の当て方を調節することによって、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の1又は2以上は、光を反射させることと、光を透過させること、の両方を実現でき、ハーフミラーとして機能させることが可能である。
すなわち、積層体1は、ハーフミラーユニットとして、好適である。
また、積層体1は、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の光沢度や色味の違いを調節することによって、加飾ユニットとしても好適である。
第1金属銀膜121~第5金属銀膜125のうち、2以上の金属銀膜においては、下記式
:D=[金属銀膜中の金属銀の合計質量]/[金属銀膜の第1基材で覆われている領域の合計面積]
で算出される、金属銀膜の単位面積あたりの金属銀の量Dが、互いに異なっていてもよい。
その場合、積層体1においては、このように互いにDが異なるのは、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125のうち、いずれか2以上の金属銀膜であればよく、3の金属銀膜であってもよいし、4の金属銀膜であってもよいし、5(すべて)の金属銀膜であってもよい。
このように、Dが互いに異なる金属銀膜は、光源を発光させた場合に、一部は光を反射させるものとして機能させ、残りの一部は光を透過させるものとして機能させることが可能であり、光学特性を互いに異なるものとすることが可能である。
すなわち、積層体1は、同一の発光条件下で、光の反射領域と透過領域の両方を有するハーフミラーユニットとして、利用可能である。
このように、2以上の金属銀膜においてDが互いに異なる場合としては、例えば、(A)金属銀膜が、金属銀を含有する金属銀層以外に、空隙部を含んでいるか、又は、空隙部を含んでいないものの、金属銀層の一部の部位の厚さが他の部位の厚さよりも有意に薄くなっており、厚さが薄くなっていない金属銀層の合計表面積に対する、前記空隙部と、厚さが薄い金属銀層と、の合計表面積の割合が、2以上の金属銀膜の間で互いに異なる場合、(B)金属銀膜がほぼ又は完全に均一な厚さで形成されているものの、ほぼ均一な場合の金属銀膜の厚さの平均値、又は完全に均一な場合の金属銀膜の厚さが、2以上の金属銀膜の間で互いに異なる場合、が挙げられる。
ここで表面積とは、上述の対象物の、粘着剤層13が設けられている側の面の面積を意味する。金属銀膜中の前記空隙部としては、例えば、第1基材上に金属銀層が形成されずに、第1基材が露出している領域が挙げられる。
が互いに異なる金属銀膜は、後述する製造方法を採用することによって、形成される。
積層体1中の、第2金属銀膜122と、第3金属銀膜123と、第4金属銀膜124において、前記(A)により、Dが互いに異なる場合を例に挙げて、これら金属銀膜について、より具体的に説明する。
図4は、この場合の第2金属銀膜122を模式的に拡大して示す断面図であり、図5はこの場合の第3金属銀膜123を模式的に拡大して示す断面図であり、図6はこの場合の第4金属銀膜124を模式的に拡大して示す断面図である。
図4に示すように、第2金属銀膜122は、金属銀を含有する第2金属銀層1221を含む。
第2金属銀層1221は、厚さがほぼ均一で相対的に厚くなっている厚型部位1221Aと、厚さが相対的に薄くなっている薄型部位1221Bと、を有する。第2金属銀層1221は、厚さがほぼ均一であり、その中の一部の領域に、薄型部位1221Bを有していると見做せる。
薄型部位1221B上に設けられている粘着剤層13の厚さは、他の部位の(厚型部位1221A上に設けられている)粘着剤層13の厚さよりも、厚くなっている場合もあるし、薄型部位1221Bの形状に粘着剤層13の形状が追従して、他の部位の粘着剤層13の厚さと同等となっている場合もある。この部位の粘着剤層13の厚さは、粘着剤層13の物性や、粘着剤層13を設ける条件によって、変化し得る。
第2金属銀層1221の、厚型部位1221Aから薄型部位1221Bへと続く領域は、薄型部位1221Bの中心に向けて、その厚さが徐々に薄くなっており、このような形状は、後述する製造方法を採用した場合に典型的なものである。ただし、このような領域の形状は、これに限定されない。
ここに示すように、第2金属銀層1221中の同一箇所の薄型部位1221Bの厚さが一様でない場合には、薄型部位1221Bの厚さとしては、その最小値を採用する。これは、第2金属銀層1221に限らず、他の金属銀層でも同様である。
ここでは、1箇所の薄型部位1221Bを示しているが、第2金属銀層1221(第2金属銀膜122)は、薄型部位1221Bを多数有する。
第2金属銀層1221が有する薄型部位1221Bの大きさ、形状及び厚さは、すべての薄型部位1221Bで同じであってもよいし、すべての薄型部位1221Bで異なっていてもよいし、一部の薄型部位1221Bのみ同じであってもよい。
薄型部位1221Bは、第2金属銀層1221中で規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
図5に示すように、第3金属銀膜123も、金属銀を含有する第3金属銀層1231を含む。
第3金属銀層1231も、厚さがほぼ均一で相対的に厚くなっている厚型部位1231Aと、厚さが相対的に薄くなっている薄型部位1231Bと、を有する。第3金属銀層1231も、厚さがほぼ均一であり、その中の一部の領域に、薄型部位1231Bを有していると見做せる。
薄型部位1231B上に設けられている粘着剤層13の厚さと、他の部位の(厚型部位1231A上に設けられている)粘着剤層13の厚さと、の関係は、上述の第2金属銀層1221の場合と同じである。
第3金属銀層1231の、厚型部位1231Aから薄型部位1231Bへと続く領域も、薄型部位1231Bの中心に向けて、その厚さが徐々に薄くなっており、このような形状は、後述する製造方法を採用した場合に典型的なものである。ただし、このような領域の形状は、これに限定されない。
ここでは、1箇所の薄型部位1231Bを示しているが、第3金属銀層1231(第3金属銀膜123)は、薄型部位1231Bを多数有する。
第3金属銀層1231が有する薄型部位1231Bの大きさ、形状及び厚さは、すべての薄型部位1231Bで同じであってもよいし、すべての薄型部位1231Bで異なっていてもよいし、一部の薄型部位1231Bのみ同じであってもよい。
薄型部位1231Bは、第3金属銀層1231中で規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
ただし、第3金属銀層1231中の薄型部位1231Bの厚さは、第2金属銀層1221中の薄型部位1221Bの厚さよりも、薄くなっている。
また、第3金属銀層1231中の薄型部位1231Bの大きさ、例えば、薄型部位1231Bをその上方から見下ろして平面視したときの大きさは、第2金属銀層1221中の薄型部位1221Bの大きさよりも、大きくなっている。
図6に示すように、第4金属銀膜124も、金属銀を含有する第4金属銀層1241を含む。ただし、第4金属銀膜124は、さらに、第4金属銀層1241が設けられていない空隙部も含んでおり、この空隙部においては、粘着剤層13が設けられていない状態では、第1基材11の第1面11aが露出しており、第1基材11の第1面11aが粘着剤層13に直接接触可能となっている。
第4金属銀層1241の空隙部を囲んでいる領域は、空隙部の中心に向けて、その厚さが徐々に薄くなっており、このような形状は、後述する製造方法を採用した場合に典型的なものである。ただし、第4金属銀層1241の空隙部を囲んでいる領域の形状(換言すると、空隙部の外形)は、これに限定されない。一方、このような形状を有する第4金属銀層1241は、厚さがほぼ均一で相対的に厚くなっている厚型部位1241Aと、厚さが相対的に薄くなっている薄型部位1241Bと、を有すると見做すこともできる。第4金属銀層1241は、厚さがほぼ均一であり、その中の一部の領域に、薄型部位を有しており、ただし、この薄型部位の一部の領域で、底が抜けてしまっていると見做せる。
ここでは、1箇所の空隙部を示しているが、第4金属銀膜124は、空隙部を多数有する。
第4金属銀膜124が有する空隙部の大きさ、形状及び厚さは、すべての空隙部で同じであってもよいし、すべての空隙部で異なっていてもよいし、一部の空隙部のみ同じであってもよい。
空隙部は、第4金属銀膜124中で規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
なお、図4中の薄型部位1221Bと、図5中の薄型部位1231Bと、図6中の空隙部は、いずれも微小となることがある。したがって、これらの拡大平面図に対応している図2~図3の断面図においては、薄型部位1221B、薄型部位1231B及び空隙部の図示を省略している。
ここでは、第2金属銀膜122と第3金属銀膜123が、それぞれ金属銀層中に薄型部位を含む場合について説明したが、第2金属銀膜122と第3金属銀膜123は、薄型部位とともに空隙部を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく、薄型部位を含まずに、空隙部を含んでいてもよい。
また、ここでは、第4金属銀膜124が空隙部を含む場合について説明したが、第4金属銀膜124は、空隙部とともに、金属銀層中に薄型部位1221B又は薄型部位1231Bのような薄型部位を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく、空隙部を含まずに、薄型部位を含んでいてもよい。
例えば、第2金属銀膜122の体積と、第3金属銀膜123の体積と、第4金属銀膜124の体積が、見かけ上概ね同じであり、第2金属銀層1221中の薄型部位1221Bの数と、第3金属銀層1231中の薄型部位1231Bの数と、第4金属銀膜124中の空隙部の数が、同じであり、第2金属銀膜122と第3金属銀膜123が空隙部を含まず、第4金属銀膜124が、金属銀層中に薄型部位1221B又は薄型部位1231Bのような薄型部位を含まない場合であれば、第2金属銀膜122のDは第3金属銀膜123のDよりも大きく、第3金属銀膜123のDは第4金属銀膜124のDよりも大きい。
ここでは、第2金属銀膜122と、第3金属銀膜123と、第4金属銀膜124において、Dが互いに異なる場合について説明したが、Dが互いに異なる金属銀膜の組み合わせは、先の説明のとおり、これに限定されない。
第1金属銀膜121~第5金属銀膜125のDの程度は、目的に応じて任意に設定できる。
例えば、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125のうちの1の金属銀膜のDを基準にして、他の金属銀膜のDは、5~95%、7.5~90%、10~85%、及び12.5~80%のいずれかであってもよい。
第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の、これらを上方から見下ろしたときの表面積(例えば、第1金属銀膜121の第1面121a~第5金属銀膜125の第1面125aの面積)は、目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
例えば、積層体1の実用性が高くなる点では、前記表面積は1cm以上であることが好ましく、10cm以上であってもよい。
一方、前記表面積の上限値は特に限定されない。例えば、前記表面積は、1m以下であってもよい。
本実施形態の積層体は、図1に示すものに限定されない。例えば、前記積層体は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、図1に示すものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示す積層体1において、すべての金属銀膜(第1金属銀膜121~第5金属銀膜125)は、第1基材上で互いに離間して配置されているが、前記積層体は、一部又はすべての金属銀膜が第1基材上で互いに接触して配置されていてもよい。
図7は、このような前記積層体の例を模式的に示す平面図であり、図8は、図7に示す積層体の、図7中のIII-III線における断面図であり、図9は、図7に示す積層体の、図7中のIV-IV線における断面図である。
ここに示す積層体2は、第1基材11と、第1基材11の第1面11a上に設けられた第1金属銀膜221、第2金属銀膜222、第3金属銀膜223、第4金属銀膜224及び第5金属銀膜225と、を備えて構成されている。
図7中、符号221a、222a、223a、224a及び225aは、それぞれ、第1金属銀膜221、第2金属銀膜222、第3金属銀膜223、第4金属銀膜224及び第5金属銀膜225の第1面を示し、これらを一纏めに「金属銀膜22の第1面22a」として示している。
積層体2において、第1金属銀膜221と第2金属銀膜222は、これらの対向する領域が互いに接触して配置されている。第2金属銀膜222と第3金属銀膜223、第3金属銀膜223と第4金属銀膜224、及び第4金属銀膜224と第5金属銀膜225も、第1金属銀膜221と第2金属銀膜222の場合と同様に、互いに接触して配置されている。そして、第1金属銀膜221~第5金属銀膜225は、全体として一体に設けられている。
積層体2中の第1金属銀膜221~第5金属銀膜225は、構成材料、大きさ及び形状の点で、積層体1中の第1金属銀膜121~第5金属銀膜125と同じである。
積層体2は、上記のように、第1金属銀膜221~第5金属銀膜225の配置形態が、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125の配置形態と異なっている点を除けば、積層体1と同じである。
図1に示す積層体1が備えている金属銀膜の数は5であるが、前記積層体が備えている金属銀膜の数は、1以上であればよく、例えば、1~10であってもよい。
図1に示す積層体1が備えている金属銀膜の平面形状は、四角形であるが、前記積層体が備えている金属銀膜の平面形状は、例えば、三角形、五角形、六角形等の、四角形以外の多角形;円形;楕円形;前記多角形、円形又は楕円形の一部の領域が欠けた形状(以下、「欠損形状」と略記することがある);前記多角形、円形、楕円形及び欠損形状からなる群から選択される1種又は2種以上の形状が組み合わされた組み合わせ形状;不定形状等が挙げられる。
図1に示す積層体1、及び図7に示す積層体2においては、いずれも、第1基材11の第1面11aに、金属銀膜12(第1金属銀膜121~第5金属銀膜125)が設けられていない領域が存在するが、前記積層体においては、基材の第1面の全面に金属銀膜が設けられていてもよい。
次に、前記積層体の上記以外の構成について、詳細に説明する。
第1基材の全体形状は、シート状、フィルム状又はプレート状であることが好ましい。
第1基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の層とポリカーボネート(PC)の層とが積層された2層構造の透明基材、又はゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル(PMMA)製の透明基材である。
ただし、第1基材が、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材である場合には、前記2層構造の透明基材は、前記積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が前記金属銀膜側に配置されている。前記2層構造の透明基材の配置の向きが逆である場合には、前記積層体の色味が目的とするものにはならない。
ゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル製の透明基材を用いた場合には、ゴム粒子を含有していないポリメタクリル酸メチル製の透明基材を用いた場合よりも、この第1基材と、これに隣接する層(例えば、前記金属銀膜、前記透明粘着剤層等)と、の密着性が向上する傾向にある。
このような密着性向上の効果がより顕著に得られる点では、ゴム粒子の粒径は、0.1~1μmであることが好ましい。
また、同様の効果がより顕著に得られる点では、ゴム粒子を含有する第1基材は、JIS K 7127に準拠して測定された引張強さが、50~60MPaであるか、又は、JIS K 7127に準拠して測定された引張伸びが、10~30%であるものが好ましい。
ポリエチレンテレフタレート製の透明基材は、これに隣接する層(例えば、金属銀膜、粘着剤層)との接着力を向上させるための表面処理(本明細書においては、「易接着処理」と称することがある)が施されていてもよい。
透明基材の表面処理(易接着処理)は、例えば、メタクリ酸メチル若しくはその誘導体、又は、アクリル酸エチル若しくはその誘導体等の表面処理剤によって、行うことができる。ただし、これらは、表面処理の一例である。
なお、本明細書においては、ある特定の化合物において、1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された構造が想定される場合、このような置換された構造を有する化合物を、上述の特定の化合物の「誘導体」と称する。また、本明細書において、「基」とは、特に断りのない限り、複数個の原子が結合して構成された原子団だけでなく、1個の原子も包含するものとする。
第1基材が前記2層構造の透明基材以外である場合には、この第1基材は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。
後述する温度85℃、相対湿度85%での加湿加熱処理時において、前記積層体中での気泡の発生を抑制する効果が高くなる点では、第1基材は、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、又は、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材、であることが好ましい。
前記2層構造の第1基材において、ポリメタクリル酸メチルの層の厚さは、ポリカーボネートの層の厚さに対して、0.1~20%であることが好ましく、1~14%であることがより好ましい。
第1基材の厚さは、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
通常、第1基材の厚さは、10~400μmであることが好ましく、50~360μmであることがより好ましく、100~320μmであることが特に好ましい。第1基材の厚さが前記下限値以上であることで、前記積層体の構造をより安定して維持できる。第1基材の厚さが前記上限値以下であることで、前記積層体の厚さが過剰となることが避けられる。
第1基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい第1基材の厚さとなるようにするとよい。
第1基材は、公知の方法で製造できる。例えば、第1基材は、その樹脂等の構成材料を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。表面処理された第1基材は、例えば、第1基材とするための未処理の基材の表面を、表面処理剤で処理することで製造できる。複数層からなる第1基材は、例えば、各層を構成するフィルム又はシートをラミネートすることで、又は、各層を構成するための樹脂組成物を共押出成形することで、製造できる。
第1基材としては、市販品を用いてもよい。
前記金属銀膜は、β-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体を用いて形成されたものであり、金属銀を主要構成材料とする。
前記金属銀膜において、金属銀膜の総質量に対する、金属銀の質量の割合は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。前記割合の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかであってもよいが、これらに限定されない。
前記金属銀膜は、例えば、β-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体が配合されてなる銀インク組成物を用いて形成できる。
β-ケトカルボン酸銀(1)、前記有機銀錯体が及び前記銀インク組成物については、後ほど詳細に説明する。
前記金属銀膜の厚さは、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
通常、前記金属銀膜の厚さは、3~1000nmであることが好ましく、5~800nmであることがより好ましく、10~600nmであることが特に好ましい。金属銀膜の厚さが前記下限値以上であることで、金属銀膜の構造をより安定して維持できる。金属銀膜の厚さが前記上限値以下であることで、前記積層体の厚さが過剰となることが避けられる。
前記透明粘着剤層は、接着性樹脂を含有するものが好ましく、接着性樹脂からなるものであってもよい。
好ましい前記接着性樹脂としては、例えば、透明粘着剤(Optically Clear Adhesive、「OCA」と称することがある)が挙げられる。
好ましい前記接着性樹脂(透明粘着剤)として、より具体的には、例えば、アクリル系樹脂が挙げられる。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体からなる群から選択される1種のモノマーの単独重合体;前記群から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸アルキルエステル)等が挙げられる。
前記単独重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等が挙げられる。
前記共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
前記接着性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500~30000であることが好ましく、800~20000であることがより好ましく、1200~15000であることが特に好ましい。
本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
前記透明粘着剤層が含有する接着性樹脂以外の成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の、接着性樹脂以外の合成樹脂が挙げられる。
前記透明粘着剤層が含有する接着性樹脂と、それ以外の成分(例えば、前記合成樹脂)は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記透明粘着剤層が、接着性樹脂と、接着性樹脂以外の合成樹脂と、含有する場合、透明粘着剤層において、透明粘着剤層の総質量に対する、接着性樹脂の含有量の割合は、10~40質量%であり、かつ、接着性樹脂以外の合成樹脂の含有量の割合は、60~90質量%であることが好ましく、例えば、透明粘着剤層において、透明粘着剤層の総質量に対する、接着性樹脂の含有量の割合は、20~30質量%であり、かつ、接着性樹脂以外の合成樹脂の含有量の割合は、70~80質量%であってもよい。
上述のような組成の前記透明粘着剤層としては、例えば、透明粘着剤層の総質量に対する、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の含有量の割合が、20~30質量%であり、かつ、ポリエチレンテレフタレートの含有量の割合が、70~80質量%であるものが挙げられる。
このような透明粘着剤層の市販品(粘着剤フィルム)としては、例えば、パナック社製透明粘着剤フィルム「PDB1-50」(厚さ50μm)、パナック社製透明粘着剤フィルム「PDC3-50」(厚さ50μm)、パナック社製透明粘着剤フィルム「PDC3-100」(厚さ100μm)等が挙げられる。
前記透明粘着剤層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。透明粘着剤層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
本明細書においては、透明粘着剤層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
前記透明粘着剤層の厚さは、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
通常、前記透明粘着剤層の厚さは、10μm~200μmであることが好ましく、15μm~150μmであることがより好ましく、20μm~125μmであることが特に好ましい。透明粘着剤層の厚さが前記下限値以上であることで、透明粘着剤層を設けたことにより得られる効果がより高くなる。透明粘着剤層の厚さが前記上限値以下であることで、前記積層体の厚さが過剰となることが避けられる。
透明粘着剤層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい透明粘着剤層の厚さとなるようにするとよい。
前記透明粘着剤層は、例えば、その構成材料を含む粘着剤組成物を調製し、この粘着剤組成物を、透明粘着剤層の形成対象面に塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする箇所に形成できる。
また、前記透明粘着剤層は、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に、前記粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に予め形成しておき、次いで、この形成済みの透明粘着剤層の露出面(剥離フィルムを備えていない側の面)を、透明粘着剤層の配置対象面に貼り合わせることで、目的とする箇所に配置できる。
前記透明粘着剤層としては、市販品のフィルムを用いてもよい。
第2基材は透明基材である。
第2基材の全体形状は、シート状、フィルム状又はプレート状であることが好ましい。
第2基材は、その構成材料として樹脂を含有するものが好ましく、樹脂を主要構成材料とするものがより好ましく、このような第2基材としては、例えば、樹脂の含有量が50~100質量%であるものが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。
第2基材は、その主要構成材料以外に、添加剤を含有していてもよい。
第2基材が含有する主要構成材料(例えば、前記樹脂)と、前記添加剤は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
第2基材は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2基材が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第2基材は、少なくともその透明粘着剤層側の面に対して、表面処理が施されたものであってもよい。
前記表面処理としては、例えば、第2基材と、これに隣接する層(例えば、透明粘着剤層)との接着力を向上させるための表面処理(易接着処理)が挙げられる。
第2基材の表面処理としては、上述の第1基材の表面処理と同様のものが挙げられる。
第2基材は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー又はトリアセチルセルロースを構成材料とするものが好ましく、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート又はポリメタクリル酸メチルを構成材料とするものがより好ましく、表面処理が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
後述する温度85℃、相対湿度85%での加湿加熱処理時において、前記積層体中での気泡の発生を抑制する効果が高くなる点では、第2基材は、ポリカーボネート製の透明基材、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材、又は、これら3種のいずれかにおいて表面処理が施された透明基材、であることがさらに好ましい。
第2基材としての前記2層構造の透明基材は、第1基材としての、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材と同じである。
第2基材が、前記2層構造の透明基材である場合には、前記2層構造の透明基材は、前記積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が、前記透明粘着剤層側に配置されていてもよいし、前記透明粘着剤層側とは反対側に配置されていてもよいが、前記透明粘着剤層側とは反対側に配置されていることが好ましい。
第2基材の厚さは、第1基材の厚さと同様であってよい。
第2基材は、前記積層体をともに構成する第1基材と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2基材は、第1基材の場合と同じ方法で製造できる。
第2基材としては、市販品を用いてもよい。
前記積層体は、第1基材と、金属銀膜と、透明粘着剤層と、第2基材と、のいずれにも該当しない他の層をさらに備えていてもよい。
前記他の層としては、例えば、第1基材と金属銀膜との間、金属銀膜と透明粘着剤層との間、第1基材の金属銀膜が設けされていない領域と透明粘着剤層との間、又は透明粘着剤層と第2基材との間、のいずれかに設けられた中間層が挙げられる。
前記中間層としては、例えば、互いに隣接する層同士の密着性を向上させるための密着層等が挙げられるが、これに限定されない。ただし、中間層は、透明であることが好ましい。
前記他の層は、その種類に応じて、適した構成材料を含有していればよい。
前記他の層の厚さも、その種類に応じて、適したものとすればよく、特に限定されない。
前記他の層は、例えば、その構成材料を含有する組成物を用いて形成できる。
前記他の層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
ただし、前記積層体は前記他の層を備えていないこと、すなわち、前記積層体においては、第1基材と金属銀膜とが直接接触して積層され、金属銀膜と透明粘着剤層とが直接接触して積層され、第1基材の金属銀膜が設けされていない領域と透明粘着剤層とが直接接触して積層され、透明粘着剤層と第2基材とが直接接触して積層されていることが好ましい。このような積層体は、より簡略化された工程で製造でき、後述する高温高湿試験後でも発泡が抑制されるなど、より優れた特性を有する。
前記積層体の使用時には、前記積層体を、その第1基材側の外部から観察してもよいし、その第2基材側の外部から観察してもよいが、目的とする積層体の色味を認識し易い点では、その第2基材側の外部から観察することが好ましい。
<積層体の特性>
[L 、a 、b
前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した、L表色系におけるLは75以上であり、aは-3~3であり、bは10.1以上である。
本明細書においては、後述する前記積層体の加湿加熱処理時の処理時間t(t≧0)を考慮して、上述のように数値範囲を特定しているLをL と称し、aをa と称し、bをb と称することがある。
は、75以上であり、例えば、78以上、81以上、84以上、及び87以上のいずれかであってもよい。
は、92以下であることが好ましく、例えば、89以下、86以下、83以下、及び80以下のいずれかであってもよい。
は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、L は、75~92、78~92、81~92、84~92、及び87~92のいずれかであってもよいし、75~92、75~89、75~86、75~83、及び75~80のいずれかであってもよい。ただし、これらはL の一例である。
は-3~3であり、例えば、-2~3、-1~3、0~3、及び1~3のいずれかであってもよいし、-3~2、-3~1、-3~0、及び-3~-1のいずれかであってもよい。ただし、これらはa の一例である。
は、10.1以上であり、例えば、11.5以上、13以上、14.5以上、及び16以上のいずれかであってもよい。
は、20以下であることが好ましく、例えば、18以下、16以下、14以下、及び12以下のいずれかであってもよい。
は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、b は、10.1~20、11.5~20、13~20、14.5~20、及び16~20のいずれかであってもよいし、10.1~20、10.1~18、10.1~16、10.1~14、及び10.1~12のいずれかであってもよい。ただし、これらはb の一例である。
<積層体の他の特性>
前記積層体を温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下に一定時間以上置くという加湿加熱処理を行い、前記積層体の外観及び光学特性の変化の有無、並びに変化がある場合にはその程度を確認することによって、前記積層体の特性(耐候性)を評価できる。ここで、光学特性としては、例えば、全光線透過率、ヘーズ、光の反射率、光沢度、L、a、b及び色差(ΔE)等が挙げられる。
ただし、この加湿加熱処理条件は、厳しいものであり、この処理条件で良好な結果を示した前記積層体は、特に優れた特性を有しているといえるが、良好な結果を示さなかったすべての前記積層体が、特性の点で劣っている訳ではない。
以下、好ましい特性を有する前記積層体について説明する。
[L 、L 変化率ΔL
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した、L表色系におけるLをL としたとき、下記式
Lt:ΔL =(L -L )/L ×100
により、L 変化率ΔL (本明細書においては、単に「ΔL 」と略記することがある)(%)を算出できる。ここで、L は、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体のLであり、先に説明したとおりである。ΔL を算出するときのL は、0以外であるものとする。
前記加湿加熱処理を行う前(t=0)の前記積層体としては、例えば、製造直後の前記積層体と、製造終了後に大気下及び常温下で保管され、その保管期間が7日以内である前記積層体が挙げられる。ここで、特に断りのない限り「製造直後」とは、製造終了後24時間以内であることを意味する。
は、色差測定器を用いて測定できる。
255 は、80以上であることが好ましく、例えば、83以上、86以上、88以上、及び90以上のいずれかであってもよい。
255 は、93以下であることが好ましく、例えば、91以下、89以下、87以下、及び85以下のいずれかであってもよい。
255 は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、L255 は、80~93、83~93、86~93、88~93、及び90~93のいずれかであってもよいし、80~91、80~89、80~87、及び80~85のいずれかであってもよい。ただし、これらはL255 の一例である。
585 は、76以上であることが好ましく、例えば、79以上、82以上、84以上、及び86以上のいずれかであってもよい。
585 は、93以下であることが好ましく、例えば、90以下、87以下、85以下、及び83以下のいずれかであってもよい。
585 は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、L585 は、76~93、79~93、82~93、84~93、及び86~93のいずれかであってもよいし、76~90、76~87、76~85、及び76~83のいずれかであってもよい。ただし、これらはL585 の一例である。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔL255 は、0未満(すなわち負の値)、0、及び0超のいずれであってもよい。
ΔL255 は、-1以上であることが好ましく、例えば、-0.2以上、0.6以上、1.4以上、2.2以上、及び3以上のいずれかであってもよい。
ΔL255 は、4.5以下であることが好ましく、例えば、3.8以下、3.1以下、2.4以下、1.7以下、及び1以下のいずれかであってもよい。
ΔL255 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔL255 は、-1~4.5、-0.2~4.5、0.6~4.5、1.4~4.5、2.2~4.5、及び3~4.5のいずれかであってもよいし、-1~4.5、-1~3.8、-1~3.1、-1~2.4、-1~1.7、及び-1~1のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔL255 の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔL585 は、0未満(すなわち負の値)、0、及び0超のいずれであってもよい。
ΔL585 は、-3以上であることが好ましく、例えば、-1以上、0以上、1以上、2以上、及び3以上のいずれかであってもよい。
ΔL585 は、4.8以下であることが好ましく、例えば、4以下、3.2以下、2.4以下、1.6以下、及び0.8以下のいずれかであってもよい。
ΔL585 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔL585 は、-3~4.8、-1~4.8、0~4.8、1~4.8、2~4.8、及び3~4.8のいずれかであってもよいし、-3~4.8、-3~4、-3~3.2、-3~2.4、-3~1.6、及び-3~0.8のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔL585 の一例である。
[a 、a 変化率Δa
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した、L表色系におけるaをa としたとき、下記式
at:Δa =(a -a )/a ×100
により、a 変化率Δa (本明細書においては、単に「Δa 」と略記することがある)(%)を算出できる。ここで、a は、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体のaであり、先に説明したとおりである。Δa を算出するときのa は、0以外であるものとする。
は、色差測定器を用いて測定できる。
255 は、-1以上であることが好ましく、例えば、-0.5以上、0以上、0。5以上、及び1以上のいずれかであってもよい。
255 は、1.8以下であることが好ましく、例えば、1.3以下、0.8以下、0.3以下、及び-0.2以下のいずれかであってもよい。
255 は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、a255 は、-1~1.8、-0.5~1.8、0~1.8、0。5~1.8、及び1~1.8のいずれかであってもよいし、-1~1.8、-1~1.3、-1~0.8、-1~0.3、及び-1~-0.2のいずれかであってもよい。ただし、これらはa255 の一例である。
585 は、-2.2以上であることが好ましく、例えば、-1.5以上、-0.8以上、-0.1以上、及び0.6以上のいずれかであってもよい。
585 は、1.8以下であることが好ましく、例えば、1.1以下、0.4以下、-0.3以下、及び-1以下のいずれかであってもよい。
585 は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、a585 は、-2.2~1.8、-1.5~1.8、-0.8~1.8、-0.1~1.8、及び0.6~1.8のいずれかであってもよいし、-2.2~1.1、-2.2~0.4、-2.2~-0.3、及び-2.2~-1のいずれかであってもよい。ただし、これらはa585 の一例である。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔa255 は、0未満(すなわち負の値)、0、及び0超のいずれであってもよい。
Δa255 は、-1.9以上であることが好ましく、例えば、-1.5以上、-1.1以上、-0.7以上、-0.3以上、及び0.1以上のいずれかであってもよい。
Δa255 は、1以下であることが好ましく、例えば、0.5以下、0以下、-0.4以下、-0.8以下、及び-1.2以下のいずれかであってもよい。
Δa255 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Δa255 は、-1.9~1、-1.5~1、-1.1~1、-0.7~1、-0.3~1、及び0.1~1のいずれかであってもよいし、-1.9~1、-1.9~0.5、-1.9~0、-1.9~-0.4、-1.9~-0.8、及び-1.9~-1.2のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔa255 の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔa585 は、0未満(すなわち負の値)、0、及び0超のいずれであってもよい。
Δa585 は、-2.6以上であることが好ましく、例えば、-2.1以上、-1.6以上、-1.2以上、-0.8以上、及び-0.4以上のいずれかであってもよい。
Δa585 は、1.7以下であることが好ましく、例えば、1以下、0.3以下、-0.4以下、-1.1以下、及び-1.8以下のいずれかであってもよい。
Δa585 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Δa585 は、-2.6~1.7、-2.1~1.7、-1.6~1.7、-1.2~1.7、-0.8~1.7、及び-0.4~1.7のいずれかであってもよいし、-2.6~1.7、-2.6~1、-2.6~0.3、-2.6~-0.4、-2.6~-1.1、及び-2.6~-1.8のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔa585 の一例である。
[b 、b 変化率Δb
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した、L表色系におけるbをb としたとき、下記式
bt:Δb =(b -b )/b ×100
により、b 変化率Δb (%)(本明細書においては、単に「Δb 」と略記することがある)を算出できる。ここで、b は、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体のbであり、先に説明したとおりである。Δb を算出するときのb は、0以外であるものとする。
は、色差測定器を用いて測定できる。
255 は、上記のΔb255 の条件を満たす値であることが好ましい。
255 は、12以上であることが好ましく、例えば、13.5以上、15以上、16.5以上、及び18以上のいずれかであってもよい。
255 は、24以下であることが好ましく、例えば、21以下、19以下、17以下、及び15以下のいずれかであってもよい。
255 は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、b255 は、12~24、13.5~24、15~24、16.5~24、及び18~24のいずれかであってもよいし、12~24、12~21、12~19、12~17、及び12~15のいずれかであってもよい。ただし、これらはb255 の一例である。
585 は、12以上であることが好ましく、例えば、13.5以上、15以上、16.5以上、及び18以上のいずれかであってもよい。
585 は、26以下であることが好ましく、例えば、23以下、20以下、17以下、及び15以下のいずれかであってもよい。
585 は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、b585 は、12~26、13.5~26、15~26、16.5~26、及び18~26のいずれかであってもよいし、12~26、12~23、12~20、12~17、及び12~15以下のいずれかであってもよい。ただし、これらはb585 の一例である。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔb255 は、0未満(すなわち負の値)、0、及び0超のいずれであってもよい。
Δb255 は、-2以上であることが好ましく、例えば、-0.5以上、1以上、2以上、3以上、及び4以上のいずれかであってもよい。
Δb255 は、7以下であることが好ましく、例えば、6以下、5以下、4以下、3以下、及び2以下のいずれかであってもよい。
Δb255 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Δb255 は、-2~7、-0.5~7、1~7、2~7、3~7、及び4~7のいずれかであってもよいし、-2~6、-2~5、-2~4、-2~3、及び-2~2のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔb255 の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔb585 は、0未満(すなわち負の値)、0、及び0超のいずれであってもよい。
Δb585 は、-2以上であることが好ましく、例えば、-0.5以上、1以上、2以上、3以上、及び4以上のいずれかであってもよい。
Δb585 は、8.4以下であることが好ましく、例えば、7.4以下、6以下、5以下、4以下、及び3以下のいずれかであってもよい。
Δb585 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Δb585 は、-2~8.4、-0.5~8.4、1~8.4、2~8.4、3~8.4、及び4~8.4のいずれかであってもよいし、-2~7.4、-2~6、-2~5、-2~4、及び-2~3のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔb585 の一例である。
[ΔE
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行ったときの、上記のL 、a 及びb の測定結果から、下記式
Et:ΔE=[(L -L +(a -a +(b -b 1/2
により、色差ΔE(本明細書においては、単に「ΔE」と略記することがある)を算出できる。ここで、L 、a 及びb は、すべて同時期の測定値である。例えば、製造直後に同時に測定した前記積層体のL 、a 、b を、それぞれL 、a 、b として採用できる。ただし、L 、a 及びb の測定時期は、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)であれば、これに限定されない。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔE255 は、0以上である。
ΔE255 は、0.8以上であることが好ましく、例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、及び5以上のいずれかであってもよい。
ΔE255 は、7.5以下であることが好ましく、例えば、7以下、6以下、5以下、4以下、及び3以下のいずれかであってもよい。
ΔE255 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔE255 は、0.8~7.5、1~7.5、2~7.5、3~7.5、4~7.5、及び5~7.5のいずれかであってもよいし、0.8~7、0.8~6、0.8~5、0.8~4、及び0.8~3のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔE255 の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔE585 は、0以上である。
ΔE585 は、1.1以上であることが好ましく、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、及び6以上のいずれかであってもよい。
ΔE585 は、8.7以下であることが好ましく、例えば、8以下、7以下、6以下、5以下、及び4以下のいずれかであってもよい。
ΔE585 は、上述のいずれかの下限値と、上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔE585 は、1.1~8.7、2~8.7、3~8.7、4~8.7、5~8.7、及び6~8.7のいずれかであってもよいし、1.1~8.7、1.1~8、1.1~7、1.1~6、1.1~5、及び1.1~4のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔE585 の一例である。
上述のL 、a 、b 、ΔL 、Δa 、Δb 及びΔEは、いずれも、例えば、透明粘着剤層として他の層へ品質上の悪影響を与えないものを選択すること、第1基材及び第2基材として高温高湿条件下での品質安定性が高いものを選択すること、によって、好ましい範囲に調節できる。
[気泡の有無]
通常の積層体は、前記加湿加熱処理の前後において、その中、特に隣接する層同士の間に、気泡が存在することがある。前記加湿加熱処理を行う前の積層体中に気泡が存在しなくても、前記加湿加熱処理中での、積層体中への水分の侵入、積層体中のいずれかの層の劣化によるガスの発生、又は、積層体中のいずれかの層からの水分の発生、等が原因となり、ガスが隣接する層同士の間に滞留することによって、気泡として認識されることがある。例えば、第1基材は、前記加湿加熱処理中に、劣化によるガスの発生、又は水分の発生を生じ易い。
これに対して、前記加湿加熱処理の処理時間をt時間(t≧0)としたとき、本実施形態の製造方法によって得られた前記積層体は、前記加湿加熱処理を行っていない(すなわちt=0の)段階で、その中に気泡が全く存在しないものとすることが可能である。
さらに、前記積層体は、例えば、処理時間が255時間(t=255)、585時間(t=585)の段階でも、その中での気泡の発生を抑制でき、気泡が全く存在しないか、又は、存在したとしても、その量が僅かであり、実用上問題がない程度のものとすることが可能である。
前記積層体は、特に第1基材として、その構成材料が好ましいのを選択することによって、前記加湿加熱処理中での気泡の発生を抑制する高い効果が得られる。
[全光線透過率T、全光線透過率変化率ΔT
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した全光線透過率をTとしたとき、下記式
Tt:ΔT=(T-T)/T×100
により、前記積層体の全光線透過率変化率ΔT(本明細書においては、単に「ΔT」と略記することがある)(%)を算出できる。ここで、Tは、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体の全光線透過率であり、ΔTを算出するときのTは、0以外であるものとする。
は、JIS K7361に準拠して測定できる。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔT255は、-55~55%であることが好ましい。ΔT255がこのような範囲であることで、積層体の色味が、より明りょうに、目的とする黄色味を有するものとなる。
このような効果がより顕著に得られる点では、例えば、一実施形態において、ΔT255は、-45~45%、-35~35%、-25~25%、-15~15%、及び-5~5%のいずれかであってもよい。また、一実施形態において、ΔT255は、-5~55%であってもよい。ただし、これらはΔT255の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔT585は、-200~200であることが好ましい。ΔT585がこのような範囲であることで、積層体の色味が、より明りょうに、目的とする黄色味を有するものとなる。
このような効果がより顕著に得られる点では、例えば、一実施形態において、ΔT585は、-160~160%、-120~120%、-80~80%、-60~60%、-40~40%、-20~20%、及び-10~10%のいずれかであってもよい。また、一実施形態において、ΔT585は、-10~200%、-10~160%、-10~120%、-10~80%、及び-10~60%のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔT585の一例である。
前記積層体は、上述のΔT255及びΔT585の条件を共に満たすものが好ましい。
好ましい前記積層体の一例としては、例えば、ΔT255が-55~55%であり、かつΔT585が-200~200%であるものが挙げられる。
は、上記のΔT255及びΔT585の条件を満たす値であることが好ましい。
は、70%以下であることが好ましく、例えば、50%以下、30%以下、10%以下、及び5%以下のいずれかであってもよい。
は、0%以上であり、例えば、0.1%以上であってもよい。
は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Tは、0.1~70%、0.1~50%、0.1~30%、0.1~10%、及び0.1~5%のいずれかであってもよい。ただし、これらはTの一例である。
255は、上記のΔT255の条件を満たす値であることが好ましい。
255は、60%以下であることが好ましく、例えば、45%以下、30%以下、15%以下、及び5%以下のいずれかであってもよい。
255は、0%以上であり、例えば、0.1%以上であってもよい。
255は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、T255は、0.1~60%、0.1~45%、0.1~30%、0.1~15%、及び0.1~5%のいずれかであってもよい。ただし、これらはT255の一例である。
585は、上記のΔT585の条件を満たす値であることが好ましい。
585は、65%以下であることが好ましく、例えば、45%以下、25%以下、10%以下、及び5%以下のいずれかであってもよい。
585は、0%以上であり、例えば、0.1%以上であってもよい。
585は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、T585は、0.1~65%、0.1~45%、0.1~25%、0.1~10%、及び0.1~5%のいずれかであってもよい。ただし、これらはT585の一例である。
及びΔTは、例えば、前記積層体中での気泡の発生を抑制すること、透明粘着剤層として他の層へ品質上の悪影響を与えないものを選択すること、第1基材及び第2基材として高温高湿条件下での品質安定性が高いものを選択すること、によって、好ましい範囲に調節できる。
[20°光沢度G、20°光沢度変化率ΔG
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した20°光沢度をGとしたとき、下記式
Gt:ΔG=(G-G)/G×100
により、前記積層体の20°光沢度変化率ΔG(本明細書においては、単に「ΔG」と略記することがある)(%)を算出できる。ここで、Gは、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体の20°光沢度であり、ΔGを算出するときのGは、0以外であるものとする。
本明細書において、「20°光沢度」とは、その測定対象物の表面に対する光の入射角が20°である場合の光沢度を意味する。したがって、ここでのGとは、より具体的には、積層体の第2基材側の最表面(換言すると露出面)に対する、光の入射角が20°である場合の光沢度を意味する。
は、JIS Z 8741:1997に準拠して測定できる。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔG255は、0%未満(すなわち負の値)、0%、及び0%超のいずれであってもよく、-30%以上であることが好ましく、例えば、-23%以上、-16%以上、-9%以上、-2%以上、及び5%以上のいずれかであってもよい。
一方、ΔG255は、15%以下であることが好ましい。
ΔG255は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔG255は、-30~15%であることが好ましく、例えば、-23~15%、-16~15%、-9~15%、-2~15%、及び5~15%のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔG255の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔG585は、0%未満(すなわち負の値)、0%、及び0%超のいずれであってもよく、-60%以上であることが好ましく、例えば、-45%以上、-30%以上、-15%以上、-5%以上、及び5%以上のいずれかであってもよい。
一方、ΔG585は、20%以下であることが好ましい。
ΔG585は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔG585は、-60~20%、-45~20%、-30~20%、-15%~20%、-5~20%、及び5~20%のいずれかであってもよい。
前記積層体は、上述のΔG255及びΔG585の条件を共に満たすものが好ましい。
好ましい前記積層体の一例としては、例えば、ΔG255が-30%以上であり、かつΔG585が-60%以上であるものが挙げられる。
は、上記のΔG255及びΔG585の条件を満たす値であることが好ましい。
は、350以上であることが好ましく、例えば、500以上、800以上、1100以上、及び1400以上のいずれかであってもよい。
は、1750以下であることが好ましく、例えば、1600以下、1400以下、1200以下、及び1000以下のいずれかであってもよい。
は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Gは、350~1750、500~1750、800~1750、1100~1750、及び1400~1750のいずれかであってもよいし、350~1600、350~1400、350~1200、及び350~1000のいずれかであってもよい。ただし、これらはGの一例である。
255は、上記のΔG255の条件を満たす値であることが好ましい。
255は、320以上であることが好ましく、例えば、500以上、800以上、1100以上、及び1400以上のいずれかであってもよい。
255は、1700以下であることが好ましく、例えば、1500以下、1300以下、1100以下、及び900以下のいずれかであってもよい。
255は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、G255は、320~1700、500~1700、800~1700、1100~1700、及び1400~1700のいずれかであってもよいし、320~1500、320~1300、330~1100、及び320~900のいずれかであってもよい。ただし、これらはG255の一例である。
585は、上記のΔG585の条件を満たす値であることが好ましい。
585は、250以上であることが好ましく、例えば、400以上、750以上、1100以上、及び1400以上のいずれかであってもよい。
585は、1800以下であることが好ましく、例えば、1600以下、1400以下、1200以下、及び1000以下のいずれかであってもよい。
585は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、G585は、250~1800、400~1800、750~1800、1100~1800、及び1400~1800のいずれかであってもよいし、250~1600、250~1400、250~1200、及び250~1000のいずれかであってもよい。ただし、これらはG585の一例である。
及びΔGは、例えば、前記積層体中での気泡の発生を抑制すること、透明粘着剤層として他の層へ品質上の悪影響を与えないものを選択すること、第1基材及び第2基材として高温高湿条件下での品質安定性が高いものを選択すること、によって、好ましい範囲に調節できる。
[ヘーズH、ヘーズ変化率ΔH
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定したヘーズをHとしたとき、下記式
Ht:ΔH=(H-H)/H×100
により、前記積層体のヘーズ変化率ΔH(本明細書においては、単に「ΔH」と略記することがある)(%)を算出できる。ここで、Hは、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体のヘーズであり、ΔHを算出するときのHは、0以外であるものとする。
は、JIS K7136に準拠して測定できる。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔH255は、270%以下であることが好ましく、例えば、220%以下、170%以下、120%以下、70%以下、及び20%以下のいずれかであってもよい。
一方、ΔH255は、-270%以上であることが好ましく、例えば、-220%以上、-170%以上、-120%以上、-70%以上、及び-20%以上のいずれかであってもよい。
ΔH255は、0未満、0、及び0超のいずれであってもよいが、0超となり易い。
ΔH255は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔH255は、-270~270%、-220~220%、-170~170%、-120~120%、-70~70%、及び-20~20%のいずれかであってもよい。また、一実施形態において、ΔH255は、-70~270%であってもよい。ただし、これらはΔH255の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔH585は、300%以下であることが好ましく、例えば、250%以下、200%以下、150%以下、100%以下、及び50%以下のいずれかであってもよい。
一方、ΔH585は、-50%以上であることが好ましく、例えば、0%以上、50%以上、100%以上、150%以上、及び180%以上のいずれかであってもよい。
ΔH585は、0未満、0、及び0超のいずれであってもよいが、0超となり易い。
ΔH585は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔH585は、-50~300%、0~300%、50~300%、100~300%、150~300%、及び180~300%のいずれかであってもよいし、-50~250%、-50~200%、-50~150%、-50~100%、及び-50~50%のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔH585の一例である。
は、上記のΔH255及びΔH585の条件を満たす値であることが好ましい。
は、10%以下であることが好ましく、例えば、8%以下、6%以下、4%以下、及び2%以下のいずれかであってもよい。
は、0%以上であり、例えば、0.1%以上であってもよい。
は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Hは、0.1~10%、0.1~8%、0.1~6%、0.1~4%、及び0.1~2%のいずれかであってもよい。ただし、これらはHの一例である。
255は、上記のΔH255の条件を満たす値であることが好ましい。
255は、12%以下であることが好ましく、例えば、9%以下、7%以下、5%以下、及び3%以下のいずれかであってもよい。
255は、0%以上であり、例えば、0.5%以上であってもよい。
255は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、H255は、0.5~12%、0.5~9%、0.5~7%、0.5~5%、及び0.5~3%のいずれかであってもよい。ただし、これらはH255の一例である。
585は、上記のΔH585の条件を満たす値であることが好ましい。
585は、15%以下であることが好ましく、例えば、12%以下、9%以下、6%以下、及び3%以下のいずれかであってもよい。
585は、0%以上であり、例えば、0.5%以上であってもよい。
585は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、H585は、0.5~15%、0.5~12%、0.5~9%、0.5~6%、及び0.5~3%のいずれかであってもよい。ただし、これらはH585の一例である。
及びΔHは、例えば、前記積層体中での気泡の発生を抑制すること、透明粘着剤層として他の層へ品質上の悪影響を与えないものを選択すること、第1基材及び第2基材として高温高湿条件下での品質安定性が高いものを選択すること、によって、好ましい範囲に調節できる。
[光(550nm)反射率R、光(550nm)反射率変化率ΔR
前記積層体に対して、前記加湿加熱処理をt時間(t≧0)行い、このときの前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その第2基材側から測定した、波長が550nmの光の反射率(本明細書においては、「光(550nm)反射率」と略記することがある)をRとしたとき、下記式
Rt:ΔR=(R-R)/R×100
により、前記積層体の光(550nm)反射率変化率ΔR(本明細書においては、単に「ΔR」と略記することがある)(%)を算出できる。ここで、Rは、前記加湿加熱処理を行う前(t=0)、例えば、製造直後の前記積層体の光(550nm)反射率であり、ΔRを算出するときのRは、0%以外であるものとする。
は、積分球分光測色計を用いて測定できる。
前記積層体において、処理時間が255時間(t=255)のときのΔR255は、0%未満(すなわち負の値)、0%、及び0%超のいずれであってもよいが、-20%以上であることが好ましい。ΔR255がこのような範囲であることで、積層体の色味が、より明りょうに、目的とする黄色味を有するものとなる。
このような効果がより顕著に得られる点では、ΔR255は、例えば、-10%以上、0%以上、5%以上、及び10%以上のいずれかであってもよい。
ΔR255の上限値は、特に限定されない。例えば、ΔR255は、15%以下であってもよい。
ΔR255は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔR255は、-20~15%、-10~15%、0~15%、5~15%、及び10~15%のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔR255の一例である。
前記積層体において、処理時間が585時間(t=585)のときのΔR585は、0%未満(すなわち負の値)、0%、及び0%超のいずれであってもよく、-10%以上であることが好ましく、例えば、-6%以上、-2%以上、2%以上、6%以上、及び8%以上のいずれかであってもよい。
ΔR585の上限値は、特に限定されない。例えば、ΔR585は、17%以下であってもよい。
ΔR585は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、ΔR585は、-10~17%、-6~17%、-2~17%、2~17%、6~17%、及び8~17%のいずれかであってもよい。ただし、これらはΔR585の一例である。
は、上記のΔR255及びΔR585の条件を満たす値であることが好ましい。
は、85%以下であることが好ましく、例えば、75%以下、65%以下、55%以下、及び45%以下のいずれかであってもよい。
は、50%以上であることが好ましく、例えば、55%以上、60%以上、65%以上、及び70%以上のいずれかであってもよい。
は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、Rは、50~85%、50~75%、50~65%、50~55%、及び50~45%のいずれかであってもよいし、55~85%、60~85%、65~85%、及び70~85%のいずれかであってもよい。ただし、これらはRの一例である。
255は、上記のΔR255の条件を満たす値であることが好ましい。
255は、85%以下であることが好ましく、例えば、75%以下、65%以下、55%以下、及び45%以下のいずれかであってもよい。
255は、50%以上であることが好ましく、例えば、60%以上、65%以上、70%以上、及び75%以上のいずれかであってもよい。
255は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、R255は、50~85%、50~75%、50~65%、及び50~55%のいずれかであってもよいし、60~85%、65~85%、70~85%、及び75~85%のいずれかであってもよい。ただし、これらはR255の一例である。
585は、上記のΔR255の条件を満たす値であることが好ましい。
585は、85%以下であることが好ましく、例えば、75%以下、65%以下、55%以下、及び45%以下のいずれかであってもよい。
585は、50%以上であることが好ましく、例えば、60%以上、65%以上、70%以上、及び75%以上のいずれかであってもよい。
585は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値とを、下限値<上限値となるように任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、R585は、50~85%、50~75%、50~65%、及び50~55%のいずれかであってもよいし、60~85%、65~85%、70~85%、及び75~85%のいずれかであってもよい。ただし、これらはR585の一例である。
及びΔRは、例えば、前記積層体中での気泡の発生を抑制すること、透明粘着剤層として他の層へ品質上の悪影響を与えないものを選択すること、第1基材及び第2基材として高温高湿条件下での品質安定性が高いものを選択すること、によって、好ましい範囲に調節できる。
次に、本実施形態の積層体の製造方法について説明する。
前記積層体は、例えば、前記第1基材上に銀インク組成物の印刷層を形成する工程(本明細書においては、「印刷層形成工程」と略記することがある)と、前記印刷層から金属銀層を形成することにより、前記金属銀層を含む前記金属銀膜を形成する工程(本明細書においては、「金属銀膜形成工程」と略記することがある)と、前記金属銀膜の第1基材側とは反対側の面(すなわち第1面)上に、透明粘着剤層を介して、第2基材を設ける工程(本明細書においては、「第2基材設置工程」と称することがある)と、を有し、前記銀インク組成物がβ-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体が配合されてなる製造方法により製造できる。
前記製造方法の前記印刷層形成工程においては、例えば、前記第1基材上に、前記銀インク組成物を付着させていない、前記銀インク組成物の印刷層で囲まれた非印刷部位を形成してもよく、前記非印刷部位を形成していない場合の、前記印刷層からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、前記印刷層及び非印刷部位からなる印刷層含有領域として、下記式
:D=[印刷層含有領域中の印刷層の合計質量]/[印刷層含有領域の第1基材で覆われている領域の合計面積]
で算出される、前記印刷層含有領域の単位面積あたりの印刷層の量Dが、互いに異なる2以上の前記印刷層含有領域を形成できる。
その場合には、前記金属銀膜形成工程において、前記Dが互いに異なる前記印刷層含有領域で、前記印刷層から前記金属銀層を形成することにより、前記Dが互いに異なる前記金属銀膜を形成できる。
以下、図1に示す積層体1を例に挙げて、前記積層体の製造方法について説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法の一例を模式的に説明するための断面図であり、断面の位置は、図2の場合と同じである。
<印刷層形成工程>
前記印刷層形成工程においては、図10(a)~(b)に示すように、第1基材11上に、β-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体が配合されてなる銀インク組成物の印刷層に相当する、第1印刷層1211’、第2印刷層1221’、第3印刷層1231’、第4印刷層1241’及び第5印刷層1251’を形成する。
本明細書においては、第1印刷層1211’、第2印刷層1221’、第3印刷層1231’、第4印刷層1241’及び第5印刷層1251’を一纏めに「第1印刷層1211’~第5印刷層1251’」又は「印刷層12’」と記載することがある。
前記印刷層形成工程において、第1印刷層1211’~第5印刷層1251’(印刷層12’)は、公知の印刷層により形成でき、インクジェット印刷法により形成することが好ましい。
図11は、本工程で形成した第2印刷層1221’を模式的に拡大して示す断面図であり、先に説明したように、前記(A)により、積層体1中の第2金属銀膜122と、第3金属銀膜123と、第4金属銀膜124において、Dが互いに異なる場合に対応している。
印刷層形成工程においては、このとき、第2印刷層1221’を例に挙げると、図11に示すように、第1基材11上に、厚さがほぼ均一で相対的に厚くなっている厚型部位1221A’と、厚さが相対的に薄くなっている薄型部位1221B’と、を有する第2印刷層1221’(印刷層12’)を形成する。
第2印刷層1221’は、厚さがほぼ均一であり、その中の一部の領域に、薄型部位1221B’を有していると見做せる。
ここに示すように、第2印刷層1221’中の同一箇所の薄型部位1221B’の厚さが一様でない場合には、薄型部位1221B’の厚さとしては、その最小値を採用する。これは、第2印刷層1221’に限らず、他の印刷層でも同様である。
第2印刷層1221’の、厚型部位1221A’から薄型部位1221B’へと続く領域は、薄型部位1221B’の中心に向けて、その厚さが徐々に薄くなっており、このような形状は、本実施形態で典型的なものである。その理由は、インクジェット印刷法により、第1基材11上に吐出した銀インク組成物が、第1基材11の第1面11a上で、程度の差はあるものの、通常滲むためである。例えば、第1基材11上の厚型部位1221A’の形成位置に銀インク組成物を吐出し、薄型部位1221B’の形成位置に銀インク組成物を吐出しないように、印刷条件を設定することによって、第2印刷層1221’には上記のような形状が発現し易い。
ただし、第2印刷層1221’の、厚型部位1221A’から薄型部位1221B’へと続く領域の形状は、これに限定されない。
ここでは、1箇所の薄型部位1221B’を示しているが、第2印刷層1221’は、薄型部位1221B’を多数有する。
第2金属銀層1221が有する薄型部位1221B’の大きさ、形状及び厚さは、すべての薄型部位1221B’で同じであってもよいし、すべての薄型部位1221B’で異なっていてもよいし、一部の薄型部位1221B’のみ同じであってもよい。
薄型部位1221B’は、第2印刷層1221’中で規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
第2印刷層1221’中の薄型部位1221B’は、後の工程で、上述の第2金属銀層1221中の薄型部位1221Bとなる部位であり、薄型部位1221Bと同様に微小となることがある。したがって、この拡大断面図に対応している図10の断面図においては、薄型部位1221Bの図示を省略している。これは、第2印刷層1221’に限らず、他の印刷層でも同様である。
印刷層形成工程においては、第1基材11上に、前記銀インク組成物を付着させていない、第2印刷層1221’で囲まれた非印刷部位(図示略)を形成してもよい。前記非印刷部位は、後の工程で、上述の第2金属銀膜122中の空隙部となる部位である。
本実施形態においては、前記非印刷部位を形成した場合には、第2印刷層1221’及び前記非印刷部位からなるものを、第2印刷層含有領域122’と称し、前記非印刷部位を形成していない場合には、第2印刷層1221’からなるものを第2印刷層含有領域122’と称する(第2印刷層1221’は第2印刷層含有領域122’と同義である)。
図11においては、第2印刷層1221’と第2印刷層含有領域122’は、見かけ上同じであり、符号1221’に対して符号122’を併記している。
ここでは、第2印刷層1221’を例に挙げて説明したが、印刷層形成工程においては、第1印刷層1211’、第3印刷層1231’、第4印刷層1241’及び第5印刷層1251’の形成時にも、第2印刷層1221’の形成時と同様に、これら印刷層で囲まれた非印刷部位を形成してもよく、前記非印刷部位を形成していない場合の、印刷層からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、印刷層及び非印刷部位からなる印刷層含有領域、を形成する。
すなわち、印刷層形成工程においては、前記非印刷部位を形成していない場合の、第1印刷層1211’からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、第1印刷層1211’及び非印刷部位からなる印刷層含有領域を形成し、前記非印刷部位を形成していない場合の、第2印刷層1221’からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、第2印刷層1221’及び非印刷部位からなる印刷層含有領域を形成し、前記非印刷部位を形成していない場合の、第3印刷層1231’からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、第3印刷層1231’及び非印刷部位からなる印刷層含有領域を形成し、前記非印刷部位を形成していない場合の、第4印刷層1241’からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、第4印刷層1241’及び非印刷部位からなる印刷層含有領域を形成し、前記非印刷部位を形成していない場合の、第5印刷層1251’からなる印刷層含有領域、又は、前記非印刷部位を形成した場合の、第5印刷層1251’及び非印刷部位からなる印刷層含有領域を形成する。
図10においては、第1印刷層1211’、第3印刷層1231’、第4印刷層1241’及び第5印刷層1251’についても、それぞれ、対応する第1印刷層含有領域、第3印刷層含有領域、第4印刷層含有領域及び第5印刷層含有領域を示す、符号121’、123’、124’及び125’を併記している。
本明細書においては、第1印刷層含有領域121’、第2印刷層含有領域122’、第3印刷層含有領域123’、第4印刷層含有領域124’及び第5印刷層含有領域125’を一纏めに「第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’」と記載することがある。
印刷層形成工程においては、これら第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’の形成時に、下記式
:D=[印刷層含有領域中の印刷層の合計質量]/[印刷層含有領域の第1基材で覆われている領域の合計面積]
で算出される、印刷層含有領域の単位面積あたりの印刷層の量Dが、互いに異なる2以上の印刷層含有領域を形成する。
すなわち、第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’のうちの2以上においては、Dが互いに異なっている。
第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’の、第1基材11で覆われている領域の面積とは、第1印刷層含有領域121’~ 第5印刷層含有領域125’を、その第1基材11側から見下ろしたときの、第1印刷層含有領域121’~ 第5印刷層含有領域125’の面積と同じである。
上記のようにDが互いに異なることについて、第2印刷層含有領域122’、第3印刷層含有領域123’ 及び第4印刷層含有領域124’において、Dが互いに異なる場合を例に挙げて、より具体的に説明する。
図12は、第3印刷層含有領域123’を模式的に拡大して示す断面図である。
第3印刷層1231’は、厚さがほぼ均一で相対的に厚くなっている厚型部位1231A’と、厚さが相対的に薄くなっている薄型部位1231B’と、を有する。第3印刷層1231’は、厚さがほぼ均一であり、その中の一部の領域に、薄型部位1231B’を有していると見做せる。
第3印刷層1231’の、厚型部位1231A’から薄型部位1231B’へと続く領域は、薄型部位1231B’の中心に向けて、その厚さが徐々に薄くなっており、このような形状は、本実施形態で典型的なものである。その理由は、上述の第2印刷層1221’の場合と同じである。
ただし、第3印刷層1231’の、厚型部位1231A’から薄型部位1231B’へと続く領域の形状は、これに限定されない。
ここでは、1箇所の薄型部位1231B’を示しているが、第3印刷層1231’は、薄型部位1231B’を多数有する。
第3金属銀層1231が有する薄型部位1231B’の大きさ、形状及び厚さは、すべての薄型部位1231B’で同じであってもよいし、すべての薄型部位1231B’で異なっていてもよいし、一部の薄型部位1231B’のみ同じであってもよい。
薄型部位1231B’は、第3印刷層1231’中で規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
第3印刷層1231’中の薄型部位1231B’は、後の工程で、上述の第3金属銀層1231中の薄型部位1231Bとなる部位であり、薄型部位1221B’と同様に微小となることがある。
印刷層形成工程においては、第1基材11上に、前記銀インク組成物を付着させていない、第3印刷層1231’で囲まれた非印刷部位(図示略)を形成してもよい。前記非印刷部位は、後の工程で、上述の第3金属銀膜123中の空隙部となる部位である。
本実施形態においては、前記非印刷部位を形成した場合には、第3印刷層1231’及び前記非印刷部位からなるものを、第3印刷層含有領域123’と称し、前記非印刷部位を形成していない場合には、第3印刷層1231’からなるものを第3印刷層含有領域123’と称する(第3印刷層1231’は第3印刷層含有領域123’と同義である)。
図12においては、第3印刷層1231’と第3印刷層含有領域123’は、見かけ上同じであり、符号1231’に対して符号123’を併記している。
図13は、第4印刷層含有領域124’を模式的に拡大して示す断面図である。
第4印刷層1241’は、前記銀インク組成物を付着させていない非印刷部位を囲んでいる。この非印刷部位においては、第1基材11の第1面11aが露出している。
すなわち、第4印刷層含有領域124’は、第4印刷層1241’及び非印刷部位からなる。
第4印刷層1241’の非印刷部位を囲んでいる領域は、非印刷部位の中心に向けて、その厚さが徐々に薄くなっており、本工程において典型的なものである。その理由は、上述の第2印刷層1221’の場合と同じであり、インクジェット印刷法により、第1基材11上に吐出した銀インク組成物が、第1基材11の第1面11a上で、程度の差はあるものの、通常滲むためである。第1基材11の第1面11a上に吐出した銀インク組成物は、滲みによって、第1基材11の第1面11a上における、銀インク組成物を吐出していない領域にも広がっていく。その結果、第4印刷層1241’には上記のような形状が発現し易い。
ただし、第4印刷層1241’の非印刷部位を囲んでいる領域の形状(換言すると、非印刷部位の外形)は、これに限定されない。一方、このような形状を有する第4印刷層1241’は、厚さがほぼ均一で相対的に厚くなっている厚型部位1241A’と、厚さが相対的に薄くなっている薄型部位1241B’と、を有すると見做すこともできる。第4印刷層1241’は、厚さがほぼ均一であり、その中の一部の領域に、薄型部位を有しており、ただし、この薄型部位の一部の領域で、底が抜けてしまっていると見做せる。
ここでは、1箇所の非印刷部位を示しているが、第4印刷層1241’で囲まれている非印刷部位は、多数存在する。
第4印刷層1241’で囲まれている非印刷部位の大きさ、形状及び厚さは、すべての非印刷部位で同じであってもよいし、すべての非印刷部位で異なっていてもよいし、一部の非印刷部位のみ同じであってもよい。
非印刷部位は、第4印刷層含有領域124’中で規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
第4印刷層含有領域124’中の前記非印刷部位は、後の工程で、上述の第4金属銀膜124中の空隙部となる部位である。
第4印刷層1241’中の薄型部位1241B’は、後の工程で、上述の第4金属銀層1241中の薄型部位1241Bとなる部位である。
第4印刷層含有領域124’中の前記非印刷部位と、第4印刷層1241’中の薄型部位1241B’は、後の工程で、上述の第4金属銀膜124中の空隙部と、第4金属銀層1241中の薄型部位1241B’と同様に、微小となることがある。したがって、この拡大断面図に対応している図10の断面図においては、薄型部位1241B’と前記非印刷部位の図示を省略している。
印刷層形成工程においては、第1基材11上に、前記非印刷部位を形成しなくてもよい。その場合には、第4印刷層1241’からなるものを第4印刷層含有領域124’と称する(第4印刷層1241’は第4印刷層含有領域124’と同義である)。
ここでは、第2印刷層含有領域122’と第3印刷層含有領域123’が、それぞれ印刷層中に薄型部位を含む場合について説明したが、第2印刷層含有領域122’と第3印刷層含有領域123’は、薄型部位とともに非印刷部位を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく、薄型部位を含まずに、非印刷部位を含んでいてもよい。
また、ここでは、第4印刷層含有領域124’が非印刷部位を含む場合について説明したが、第4印刷層含有領域124’は、非印刷部位とともに、印刷層中に薄型部位1221B’又は薄型部位1231B’のような薄型部位を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく、非印刷部位を含まずに、薄型部位を含んでいてもよい。
例えば、第2印刷層含有領域122’の体積と、第3印刷層含有領域123’の体積と、第4印刷層含有領域124’の体積が、見かけ上概ね同じであり、第2印刷層含有領域122’中の薄型部位1221B’の数と、第3印刷層含有領域123’中の薄型部位1231B’の数と、第4印刷層含有領域124’中の非印刷部位の数が、同じであり、第2印刷層含有領域122’と第3印刷層含有領域123’が非印刷部位を含まず、第4印刷層含有領域124’が、印刷層中に薄型部位1221B’又は薄型部位1231B’のような薄型部位を含まない場合であれば、第2印刷層含有領域122’のDは第3印刷層含有領域123’のDよりも大きく、第3印刷層含有領域123’のDは第4印刷層含有領域124’のDよりも大きい。
ここでは、第2印刷層含有領域122’と、第3印刷層含有領域123’と、第4印刷層含有領域124’において、Dが互いに異なる場合について説明したが、Dが互いに異なる印刷層含有領域の組み合わせは、先の説明のとおり、これに限定されない。
ここまでは、先に説明したように、前記(A)により、第1金属銀膜121~第5金属銀膜125のうち、2以上の金属銀膜において、Dが互いに異なるようにするための印刷層形成工程について説明したが、印刷層形成工程は、2以上の金属銀膜においてDが互いに異なる態様に応じて、その内容を決定すればよい。
例えば、前記(B)により、2以上の金属銀膜においてDが互いに異なるようにするためには、印刷層形成工程において、第1印刷層1211’~第5印刷層1251’のいずれか2以上において、それらの厚さ又は厚さの平均値が互いに有意に異なるように、第1印刷層1211’~第5印刷層1251’を形成すればよい。
第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’のDの程度は、目的に応じて任意に設定できる。
例えば、第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’のうちの1の印刷層含有領域のDを基準にして、他の印刷層含有領域のDは、5~95%、7.5~90%、10~85%、及び12.5~80%のいずれかであってもよい。
印刷層形成工程においては、前記銀インク組成物として、前記β-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体が配合されてなるものを用いる。前記銀インク組成物については、後ほど詳細に説明する。
印刷層形成工程においては、前記銀インク組成物を用いることによって、インクジェット印刷法による、第1印刷層1211’~第5印刷層1251’(印刷層12’)の形成時に、インクジェット印刷装置中のノズル等を含むすべての箇所において、銀インク組成物の詰まりの発生が高度に抑制される。すなわち、本工程でのインクジェット印刷法の適用は、前記銀インク組成物の採用によって、可能となっている。
また、印刷層形成工程においては、前記銀インク組成物の吐出箇所及び吐出条件を調節することによって、例えば、銀インク組成物(インク)の種類を変える(換言すると、銀インク組成物を交換する)ことなく、連続して第1印刷層1211’~第5印刷層1251’(印刷層12’)を形成できる。そして、工程を簡略化できる。
また、印刷層形成工程においては、前記銀インク組成物を用いることによって、第1印刷層1211’~第5印刷層1251’(印刷層12’)の厚さを精密に調節でき、その結果、これらから形成する第1金属銀膜121~第5金属銀膜125(金属銀膜12)の厚さも、精密に調節できる。このような効果は、例えば、蒸着等の手法によって金属銀膜を形成するときには、決して得られない。
前記(A)により、2以上の金属銀膜において、Dが互いに異なるようにする場合には、第1印刷層含有領域121’~第5印刷層含有領域125’において、Dは、例えば、非印刷部位、又は、第1印刷層1211’~ 第5印刷層1251’中の薄型部位について、大きさ及び数のいずれか一方又は両方を調節することによって、調節できる。
これらの大きさ及び数は、例えば、前記銀インク組成物のインクジェット印刷画像を編集するためのソフトウエアにおいて、印刷層の形成条件を調節することによって、調節できる。このときの印刷層の形成条件は、例えば、データ密度というパラメータによって表現されることがある。データ密度が100%の場合には、第1基材11上の目的とする領域全面に、印刷層12’が形成される(換言すると、前記銀インク組成物がべた印刷される)。データ密度が小さいほど、印刷層含有領域中の非印刷部位と、印刷層中の薄型部位と、の合計表面積が大きくなる。
前記(B)により、2以上の金属銀膜において、Dが互いに異なるようにする場合には、データ密度の調節によって、第1印刷層1211’~第5印刷層1251’のいずれか2以上において、それらの厚さ又は厚さの平均値が互いに有意に異なるように、調節することが可能である。
<金属銀膜形成工程>
前記金属銀膜形成工程においては、図10(c)に示すように、第1印刷層1211’から第1金属銀層1211を形成することにより、第1金属銀層1211を含む第1金属銀膜121を形成し、第2印刷層1221’から第2金属銀層1221を形成することにより、第2金属銀層1221を含む第2金属銀膜122を形成し、第3印刷層1231’から第3金属銀層1231を形成することにより、第2金属銀層1221を含む第3金属銀膜123を形成し、第4印刷層1241’から第4金属銀層1241を形成することにより、第4金属銀膜124を形成し、第5印刷層1251’から第5金属銀層1251を形成することにより、第5金属銀層1251を含む第5金属銀膜125を形成する。
本明細書においては、第1金属銀層1211、第2金属銀層1221、第3金属銀層1231、第4金属銀層1241及び第5金属銀層1251を一纏めに「第1金属銀層1211~第5金属銀層1251」と記載することがある。
金属銀膜形成工程においては、上記のように、印刷層12’から金属銀膜12を構成する金属銀層(第1金属銀層1211~第5金属銀層1251)を形成することにより、Dが互いに異なる2以上の印刷層含有領域で、印刷層から金属銀層を形成することになり、その結果、Dが互いに異なる金属銀膜12を形成することになる。
例えば、先に図11~図13を参照して説明したように、第2印刷層含有領域122’と、第3印刷層含有領域123’と、第4印刷層含有領域124’において、Dが互いに異なる場合には、先に図4~図6を参照して説明したように、第2金属銀膜122と、第3金属銀膜123と、第4金属銀膜124において、Dが互いに異なるものとなる。ただし、これは、Dが互いに異なる金属銀膜の組み合わせの一例である。
金属銀膜形成工程において、金属銀層(第1金属銀層1211~第5金属銀層1251)は、例えば、印刷層12’(換言すると、前記銀インク組成物)に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を行うことで形成できる。
前記銀インク組成物の前記固化処理については、後ほど詳細に説明する。
<第2基材設置工程>
前記第2基材設置工程においては、図10(d)に示すように、金属銀膜12の第1面12a上に、透明粘着剤層13を介して、第2基材14を設ける。
以上により、図1に示す積層体1が得られる。
第2基材設置工程においては、例えば、第1基材11の第1面11aの露出面と、金属銀膜12の第1面12aと、を覆うように、これらに透明粘着剤層13を設けた後、この透明粘着剤層13の第1面13aを、第2基材14の他方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)14bと貼り合わせることにより、積層体1を作製できる。
また、第2基材設置工程においては、例えば、第2基材14の第2面14b上に透明粘着剤層13を設けた後、第1基材11の第1面11aの露出面と、金属銀膜12の第1面12aと、を覆うように、これらに、透明粘着剤層13の第2基材14側とは反対側の第2面13bを、貼り合わせることでも、積層体1を作製できる。
第1基材11、金属銀膜12、透明粘着剤層13及び第2基材14の製造方法は、先に説明したとおりである。
図1に示す積層体1以外の前記積層体も、その構成に応じて、上述と同様の方法で製造できる。積層体1以外の前記積層体は、積層体1との構成の相違に基づいて、必要に応じて、前記印刷層形成工程と、前記金属銀膜形成工程と、前記第2基材設置工程と、のいずれにも該当しない他の工程をさらに有する上述の製造方法によって、製造してもよい。前記他の工程は、目的とする前記積層体の構成を考慮して、適したタイミングで、適した箇所に対して、上述の製造方法に適宜追加して行うことができる。
前記他の工程としては、例えば、先に説明した他の層を設ける工程が挙げられる。
次に、前記銀インク組成物について詳細に説明する。
◎銀インク組成物
前記銀インク組成物は、β-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体が配合されてなる。
好ましい前記銀インク組成物としては、例えば、β-ケトカルボン酸銀(1)と、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、が配合されてなる銀インク組成物(本明細書においては、「銀インク組成物(I)」と称することがある);β-ケトカルボン酸銀(1)が配合されてなり、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていない銀インク組成物(本明細書においては、「銀インク組成物(II)」と称することがある);有機銀錯体と、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、含窒素化合物と、が配合されてなる銀インク組成物(本明細書においては、「銀インク組成物(III)」と称することがある)等が挙げられる。
以下、各銀インク組成物について、詳細に説明する。
〇銀インク組成物(I)
[β-ケトカルボン酸銀(1)]
β-ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表わされる。
一般式(1)中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R-CY -」、「CY -」、「R-CHY-」、「RO-」、「RN-」、「(RO)CY-」若しくは「R-C(=O)-CY -」で表される基である。
Rにおける炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、3-エチルブチル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、4,4-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、4-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、1-プロピルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、5-エチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、5,5-ジメチルヘキシル基、1,2,3-トリメチルペンチル基、1,2,4-トリメチルペンチル基、2,3,4-トリメチルペンチル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、1,4,4-トリメチルペンチル基、3,4,4-トリメチルペンチル基、1,1,2-トリメチルペンチル基、1,1,3-トリメチルペンチル基、1,1,4-トリメチルペンチル基、1,2,2-トリメチルペンチル基、2,2,3-トリメチルペンチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、1,3,3-トリメチルペンチル基、2,3,3-トリメチルペンチル基、3,3,4-トリメチルペンチル基、1-プロピルペンチル基、2-プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C-C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、-CH=CH)、アリル基(2-プロペニル基、-CH-CH=CH)、1-プロペニル基(-CH=CH-CH)、イソプロペニル基(-C(CH)=CH)、1-ブテニル基(-CH=CH-CH-CH)、2-ブテニル基(-CH-CH=CH-CH)、3-ブテニル基(-CH-CH-CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C-C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(-C≡CH)、プロパルギル基(-CH-C≡CH)等が挙げられる。
Rにおける炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、前記脂肪族炭化水素基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1~16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(-OH)、シアノ基(-C≡N)、フェノキシ基(-O-C)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R-CY -」、「CY -」及び「R-C(=O)-CY -」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1~19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C-)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1~16の脂肪族炭化水素基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1~18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、R及びRにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO-」で表される基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、一般式「R-C(=O)-CY -」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO-」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C-CH-)、シアノ基、N-フタロイル-3-アミノプロピル基、2-エトキシビニル基(C-O-CH=CH-)、又は一般式「RO-」、「RS-」、「R-C(=O)-」若しくは「R-C(=O)-O-」で表される基である。
における炭素数1~20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(-NO)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びベンジル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS-)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C-C-)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基が有する前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びジフェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2-チエニル基及び3-チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよい。このようなXとしては、例えば、式「=CH-C-NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R-C(=O)-」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β-ケトカルボン酸銀(1)は、2-メチルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CH)-C(=O)-OAg)、アセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、2-エチルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CHCH)-C(=O)-OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、2-n-ブチルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CHCHCHCH)-C(=O)-OAg)、2-ベンジルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CH)-C(=O)-OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC-C(=O)-CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、2-アセチルピバロイル酢酸銀((CHC-C(=O)-CH(-C(=O)-CH)-C(=O)-OAg)、2-アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH-C(=O)-CH(-C(=O)-CH)-C(=O)-OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO-C(=O)-CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)であることが好ましい。
β-ケトカルボン酸銀(1)を用いて、銀インク組成物(I)の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)においては、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。このような導電体においては、原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β-ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60~210℃、より好ましくは60~200℃という低温で分解し、金属銀を形成できる。そして、β-ケトカルボン酸銀(1)は、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本実施形態において、β-ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
β-ケトカルボン酸銀(1)は、2-メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2-エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2-n-ブチルアセト酢酸銀、2-ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2-エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
そして、これらの中でも、2-メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、イソブチリル酢酸銀及びピバロイル酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物(I)の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物(I)の総質量に対する、銀インク組成物(I)中のβ-ケトカルボン酸銀(1)に由来する銀の合計質量の割合(換言すると、銀インク組成物(I)の、β-ケトカルボン酸銀(1)に由来する銀の含有量)は、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、形成された導電体(金属銀)は、より優れた品質となる。前記割合の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、銀インク組成物(I)の取り扱い性等を考慮すると、25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「β-ケトカルボン酸銀(1)に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物(I)の製造時に配合されたβ-ケトカルボン酸銀(1)中の銀と同義であり、配合後も引き続きβ-ケトカルボン酸銀(1)を構成している銀と、配合後にβ-ケトカルボン酸銀(1)の分解で生じた分解物中の銀と、配合後にβ-ケトカルボン酸銀(1)の分解で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
[炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸]
銀インク組成物(I)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(本明細書においては、「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸」と略記することがある)が配合されていることで、光沢性と導電性がより高い金属銀を形成できる。
前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素の1個又は2個以上の水素原子が、カルボキシ基で置換された構造を有する。換言すると、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1分子中の炭素数が8~10で、かつ、1個又は2個以上のカルボキシ基が分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素基に結合している化合物である。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を1個のみ有する一価(モノ)カルボン酸、及び1分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸、のいずれであってもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が1分子中に有するカルボキシ基の数は、1~3個であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸において、カルボキシ基が結合している炭素原子の位置は、特に限定されない。例えば、カルボキシ基が結合している炭素原子は、分子の末端の炭素原子であってもよいし、分子の末端以外の炭素原子であってもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が多価カルボン酸である場合、すべてのカルボキシ基が、互いに異なる炭素原子に結合していてもよいし、2個又は3個のカルボキシ基が、同一の炭素原子に結合していてもよい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸において、分岐鎖が結合している、主鎖中の炭素原子の位置は、特に限定されない。例えば、分岐鎖が結合している前記炭素原子は、主鎖のカルボキシ基が結合している側の末端の炭素原子であってもよいし、主鎖のカルボキシ基が結合している側とは反対側の末端の炭素原子に隣接する炭素原子(前記反対側の末端から2番目の炭素原子)であってもよいし、上述のカルボキシ基が結合している側の末端の炭素原子と、上述のカルボキシ基が結合している側とは反対側の末端の炭素原子に隣接する炭素原子と、の間に位置する主鎖中の炭素原子であってもよい。
ここで、「主鎖」とは、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸中の鎖状構造のうち、炭素数が最大であるものを意味する。炭素数が最大である鎖状構造が複数ある場合には、いずれの鎖状構造を主鎖として取り扱ってもよい。主鎖の炭素数は、必ず分岐鎖の炭素数以上となる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、下記一般式(6)で表されるモノカルボン酸(本明細書においては、「モノカルボン酸(6)」と略記することがある)であることが好ましい。
31-C(=O)-OH ・・・・(6)
(式中、R31は、炭素数7~9の分岐鎖状のアルキル基である。)
31の炭素数7~9の分岐鎖状のアルキル基(一価の飽和脂肪族炭化水素基)としては、例えば、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、4,4-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、4-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、1-プロピルブチル基等の炭素数7の分岐鎖状のアルキル基;
イソオクチル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、5-エチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、5,5-ジメチルヘキシル基、1,2,3-トリメチルペンチル基、1,2,4-トリメチルペンチル基、2,3,4-トリメチルペンチル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、1,4,4-トリメチルペンチル基、3,4,4-トリメチルペンチル基、1,1,2-トリメチルペンチル基、1,1,3-トリメチルペンチル基、1,1,4-トリメチルペンチル基、1,2,2-トリメチルペンチル基、2,2,3-トリメチルペンチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、1,3,3-トリメチルペンチル基、2,3,3-トリメチルペンチル基、3,3,4-トリメチルペンチル基、1-プロピルペンチル基、2-プロピルペンチル基等の炭素数8の分岐鎖状のアルキル基;
1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、5-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、6,6-ジメチルヘプチル基、5,5-ジメチルヘプチル基、4,4-ジメチルヘプチル基、3,3-ジメチルヘプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、1,4-ジメチルヘプチル基、1,5-ジメチルヘプチル基、1,6-ジメチルヘプチル基、2,3-ジメチルヘプチル基、2,4-ジメチルヘプチル基、2,5-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチルヘプチル基、3,4-ジメチルヘプチル基、3,5-ジメチルヘプチル基、3,6-ジメチルヘプチル基、4,5-ジメチルヘプチル基、4,6-ジメチルヘプチル基、5,6-ジメチルヘプチル基、1,2,3-トリメチルヘキシル基、1,2,4-トリメチルヘキシル基、1,2,5-トリメチルヘキシル基、2,3,4-トリメチルヘキシル基、2,3,5-トリメチルヘキシル基、3,4,5-トリメチルヘキシル基、1,1,2-トリメチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,4-トリメチルヘキシル基、1,1,5-トリメチルヘキシル基、1,2,2-トリメチルヘキシル基、2,2,3-トリメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルヘキシル基、2,2,5-トリメチルヘキシル基、1,3,3-トリメチルヘキシル基、2,3,3-トリメチルヘキシル基、3,3,4-トリメチルヘキシル基、3,3,5-トリメチルヘキシル基、1,4,4-トリメチルヘキシル基、2,4,4-トリメチルヘキシル基、3,4,4-トリメチルヘキシル基、4,4,5-トリメチルヘキシル基、1,5,5-トリメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、4,5,5-トリメチルヘキシル基、1,2,3,4-テトラメチルペンチル基、1,1,2,3-テトラメチルペンチル基、1,1,2,4-テトラメチルペンチル基、1,1,3,4-テトラメチルペンチル基、1,2,2,3-テトラメチルペンチル基、1,2,2,4-テトラメチルペンチル基、2,2,3,4-テトラメチルペンチル基、1,2,3,3-テトラメチルペンチル基、2,3,3,4-テトラメチルペンチル基、1,3,3,4-テトラメチルペンチル基、1,2,4,4-テトラメチルペンチル基、2,3,4,4-テトラメチルペンチル基、1,3,4,4-テトラメチルペンチル基、1-エチル-1-メチルヘキシル基、1-エチル-2-メチルヘキシル基、1-エチル-3-メチルヘキシル基、1-エチル-4-メチルヘキシル基、1-エチル-5-メチルヘキシル基、2-エチル-1-メチルヘキシル基、2-エチル-2-メチルヘキシル基、2-エチル-3-メチルヘキシル基、2-エチル-4-メチルヘキシル基、2-エチル-5-メチルヘキシル基、3-エチル-1-メチルヘキシル基、3-エチル-2-メチルヘキシル基、3-エチル-3-メチルヘキシル基、3-エチル-4-メチルヘキシル基、3-エチル-5-メチルヘキシル基、4-エチル-1-メチルヘキシル基、4-エチル-2-メチルヘキシル基、4-エチル-3-メチルヘキシル基、4-エチル-4-メチルヘキシル基、4-エチル-5-メチルヘキシル基、1,1-ジエチルペンチル基、1,2-ジエチルペンチル基、1,3-ジエチルペンチル基、2,2-ジエチルペンチル基、2,3-ジエチルペンチル基、3,3-ジエチルペンチル基、1-エチル-1-プロピルブチル基、2-エチル-1-プロピルブチル基等の炭素数9の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸1分子中の分岐鎖の数は、1~3本であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の1本の分岐鎖の炭素数は、1~3であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、これらの条件をともに満たすもの、すなわち、1分子中の分岐鎖の数が1~3本であり、かつ1本の分岐鎖の炭素数が1~3個であるものがより好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、導電体(金属銀)の光沢性と導電性の低下を抑制する適度な反応性を有し、かつ、銀インク組成物(I)中から揮発し難い一方で、銀インク組成物(I)の固化処理時には気化し易い、適度な沸点を有しており、先に説明した効果を向上させるものとして、特に適した特性を有する。
例えば、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点は、180~270℃であることが好ましく、200~260℃であることがより好ましく、215~255℃であることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、銀インク組成物(I)中からの分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の揮発が抑制されて、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀インク組成物(I)の固化処理によって得られた金属銀中での分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の残存が抑制され、光沢性、導電性等が高いなど、より好ましい特性の金属銀が得られる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(例えば、モノカルボン酸(6))で特に好ましいものとしては、ネオデカン酸(C19COOH)、2-プロピル吉草酸(2-プロピルペンタン酸、(CHCHCHCH(CHCHCH)COOH)、3,5,5-トリメチルヘキサン酸((CHCCHCH(CH)CHCOOH)等が挙げられる。
なお、本明細書において、ネオデカン酸とは、炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の異性体の混合物を意味し、前記混合物には炭素数10の分岐鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸が必ず含まれる。このように、ネオデカン酸とは、1種の化合物だけを意味するものではない。
そして、ネオデカン酸中の、2種以上の炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
上述のとおり、銀インク組成物(I)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、銀インク組成物(I)の固化処理によって、光沢性と導電性がより高い金属銀を形成できる。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、金属銀の形成対象面に付着した銀インク組成物(I)中においては、カルボン酸銀から銀イオン(Ag)が生じる。この場合、銀インク組成物(I)の初期の固化処理によって、銀イオンに酸素が配位する(Ag・・・O)。次いで、金属銀を形成するための、銀インク組成物(I)の乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理によって、酸素が配位した銀イオンから酸化銀(AgO)が生じる。ここで、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていない銀インク組成物の場合には、この銀インク組成物の固化処理によって最終的に生成した金属銀中に、副生した酸化銀が不純物として混入し、金属銀の光沢性が低下してしまい、導電性も低下してしまうと推測される。一方で、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されている銀インク組成物(I)の場合には、この分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が酸化銀と反応することで、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の銀塩(本明細書においては、「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸銀」と略記することがある)が生じる。この分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸銀は、β-ケトカルボン酸銀(1)と同様に、銀インク組成物(I)の固化処理によって最終的に金属銀(銀層)を生成する。このように、銀インク組成物(I)を用いることにより、銀インク組成物(I)の固化処理が原因となって生じた酸化銀が、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の作用によって、金属銀の光沢性と導電性の低下原因である不純物ではなく、金属銀そのものに転換されることによって、光沢性と導電性がより高い金属銀を形成できると推測される。
銀インク組成物(I)において、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量は、β-ケトカルボン酸銀(1)中の銀原子の配合量1モルあたり、0.01~1モルであることが好ましく、0.02~0.7モルであることがより好ましく、0.03~0.4モルであることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の前記配合量がこのような範囲であることで、光沢性と導電性が高い金属銀を形成する効果がより高くなる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外のカルボン酸にも、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と同様に、光沢性と導電性がより高い金属銀の形成を可能とするものがある。
このような分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外のカルボン酸(本明細書においては「他のカルボン酸」と称することがある)は、一価カルボン酸であってもよいし、二価以上の多価カルボン酸であってもよく、脂肪族カルボン酸であってもよいし、芳香族カルボン酸であってもよい。
前記他のカルボン酸は、ホルミル基(-C(=O)-H)等の還元力を有する基を含まないものが好ましい。このような基を含まない他のカルボン酸が配合されてなる銀インク組成物(I)は、その保存中にカルボン酸銀由来の不溶物の生成が抑制され、取り扱い性がより高い。
前記他のカルボン酸の炭素数は、5~17であることが好ましく、例えば、5~15、5~13及び5~11のいずれかであってもよい。
前記他のカルボン酸の沸点は、150~290℃であることが好ましく、例えば、155~280℃、160~270℃及び160~260℃のいずれかであってもよい。他のカルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、銀インク組成物(I)中からの他のカルボン酸の揮発が抑制されて、他のカルボン酸を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、他のカルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀インク組成物(I)の固化処理によって得られた金属銀中での他のカルボン酸の残存が抑制され、光沢性、導電性等が高いなど、より好ましい特性の金属銀が得られる。
前記他のカルボン酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物(I)において、前記他のカルボン酸の配合量は、上述の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量と同じとすることができる。
[含窒素化合物]
銀インク組成物(I)は、β-ケトカルボン酸銀(1)及び分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1~25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4~25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(-NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、このようなアルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。前記アルキル基は、炭素数が1~19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n-ブチルアミン、n-へキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、3-アミノペンタン、3-メチルブチルアミン、2-ヘプチルアミン(2-アミノヘプタン)、2-アミノオクタン、2-エチルヘキシルアミン、1,2-ジメチル-n-プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。前記アリール基の炭素数は、6~10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3~12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1~4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1~5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1~3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(-NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1~10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N-メチル-n-ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2-エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6~10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6~12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6~10であることが好ましい。
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(-CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1~5のアルキル基を有する、炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2-フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3-ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2-ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6~10のアリール基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N-メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-へキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、3-アミノペンタン、3-メチルブチルアミン、2-ヘプチルアミン、2-アミノオクタン、2-エチルヘキシルアミン、2-フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、N-メチル-n-ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルベンジルアミン、ジ(2-エチルへキシル)アミン、1,2-ジメチル-n-プロピルアミン、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン又はN,N-ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2-エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物(I)の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩である。前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n-プロピルアミン塩酸塩、N-メチル-n-ヘキシルアミン塩酸塩、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩である。ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
本実施形態においては、例えば、前記含窒素化合物として、炭素数が8以上の第1含窒素化合物と、炭素数が7以下の第2含窒素化合物と、を併用してもよい。
前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用する場合、銀インク組成物(I)において、第1含窒素化合物の配合量に対する第2含窒素化合物の配合量の割合は、0モル%より大きく、18モル%未満であることが好ましく、1~17モル%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、例えば、細線状の銀層をより安定して形成できる。
前記含窒素化合物を用いる場合、銀インク組成物(I)において、前記含窒素化合物の配合量は、β-ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.3~15モルであることが好ましく、0.3~12モルであることがより好ましく、0.3~8モルであることが特に好ましく、例えば、1~8モル、2.5~8モル、及び4~8モルのいずれかであってもよい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(I)は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。
[アルコール]
銀インク組成物(I)は、前記カルボン酸銀及び分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外に、さらにアルコールが配合されてなるものが好ましい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 0007344737000003
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1~16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられる。これら前記置換基は、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様のものである。そして、置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、2-プロピン-1-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3-エチル-1-ヘプチン-3-オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物(I)において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、β-ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.01~0.7モルであることが好ましく、0.02~0.5モルであることがより好ましく、0.02~0.3モルであることが特に好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(I)の安定性がより向上する。
前記アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[他の成分]
銀インク組成物(I)は、β-ケトカルボン酸銀(1)と、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、含窒素化合物と、アルコールと、のいずれにも該当しない、その他の成分(本明細書においては、「他の成分」と略記することがある)が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物(I)における前記他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。前記他の成分で、好ましいものとしては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物(I)において、前記他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(溶媒)
前記溶媒は、アルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
銀インク組成物(I)における前記他の成分の配合量は、前記他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物(I)の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし通常は、銀インク組成物(I)において、配合成分の総質量に対する、前記溶媒の配合量の割合は、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
例えば、前記他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物(I)において、配合成分の総質量に対する、前記他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総質量に対する、前記他の成分の配合量の割合が0質量、すなわち他の成分を配合しなくても、銀インク組成物(I)は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物(I)においては、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
○銀インク組成物(I)の製造方法
銀インク組成物(I)は、前記カルボン酸銀、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸、及び、必要に応じて、これら以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られた配合物をそのまま銀インク組成物(I)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られた精製物を銀インク組成物(I)としてもよい。本実施形態においては、β-ケトカルボン酸銀(1)を用いることで、上記の各成分の配合時において、光沢性及び導電性を低下させる不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できる。したがって、精製操作を行っていない銀インク組成物(I)を用いても、十分な光沢性及び導電性を有する金属銀が得られる。
各成分の配合順序は、特に限定されない。各成分の好ましい配合方法の一例としては、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を最後に配合する方法が挙げられる。すなわち、前記銀インク組成物(I)の好ましい製造方法の一例としては、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外の成分をすべて配合した後、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を最後に配合する製造方法が挙げられる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物(I)において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用することが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、-5~60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分~36時間であることが好ましい。
〇銀インク組成物(II)
銀インク組成物(II)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていない点以外は、銀インク組成物(I)と同じであってよい。
すなわち、銀インク組成物(II)の配合成分としては、β-ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物、アルコール、及び他の成分が挙げられる。
銀インク組成物(II)における、β-ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物、アルコール、及び他の成分の配合量は、銀インク組成物(I)の場合と同じであってよい。
○銀インク組成物(II)の製造方法
銀インク組成物(II)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を配合しない点以外は、銀インク組成物(I)の場合と同じ方法で製造できる。
すなわち、銀インク組成物(II)は、β-ケトカルボン酸銀(1)、及び、必要に応じて任意成分を配合することで得られる。ここで「任意成分」とは、β-ケトカルボン酸銀(1)に該当しない成分を意味する。例えば、銀インク組成物(II)の製造時においては、各成分の配合順序は、特に限定されない。
○銀インク組成物(III)
銀インク組成物(III)は、有機銀錯体と、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸)と、含窒素化合物と、が配合されてなる。
このような銀インク組成物(II)としては、例えば、有機銀錯体の前駆体化合物と、これ以外の含窒素化合物と、の反応によって、有機銀錯体が形成され、かつ余剰の前記含窒素化合物が残存している反応液と、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、を含むものが挙げられる。このような銀インク組成物(III)として、より具体的には、特許第5243409号公報に記載のものに、さらに分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されてなるものが挙げられる。
すなわち、銀インク組成物(III)としては、例えば、下記一般式(91)で表される銀化合物(本明細書においては、「銀化合物(91)」と略記することがある)と、下記一般式(92)で表される化合物(本明細書においては、「含窒素化合物(92)」と略記することがある)及び下記一般式(93)で表される化合物(本明細書においては、「含窒素化合物(93)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上の含窒素化合物と、を反応させて得られた有機銀錯体を含有し、さらに、前記含窒素化合物と、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、を含有する液状組成物が挙げられる。
Figure 0007344737000004
(式中、n101は、1~3の整数であり;X101は、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、シアノ基、シアネート基、カーボネート基、ニトレート基、ニトライト基、サルフェート基、ホスフェート基、チオシアネート基、クロレート基、パークロレート基、テトラフルオロボレート基、アセチルアセトネート基、カルボキシレート基、及びこれらの誘導体からなる群よから選択される基であり;R101~R111は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族若しくは脂環族アルキル基又はアリール基、官能基が置換されたアルキル基又はアリール基、及びヘテロ環式基からなる群から選択される基であり、ただし、R101~R111がすべて水素原子になることはない。)
前記有機銀錯体としては、例えば、下記一般式(95)-1で表される化合物(本明細書においては、「有機銀錯体(95)-1」と略記することがある)、及び下記一般式(95)-2で表される化合物(本明細書においては、「有機銀錯体(95)-2」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 0007344737000005
(式中、R101~R111は、上記と同じであり;m101及びm102は、それぞれ独立に、0.5~1.5である。)
[銀化合物(91)]
銀化合物(91)としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀等が挙げられる。
銀化合物(91)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物(III)において、銀化合物(91)に由来する銀の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。前記銀の含有量がこのような範囲であることで、形成された導電体(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、銀インク組成物(III)の取り扱い性等を考慮すると、20質量%であることが好ましい。
なお、ここで、「銀化合物(91)に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物(III)の製造時に配合された銀化合物(91)中の銀と同義であり、配合後も引き続き銀化合物(91)を構成している銀と、配合後に銀化合物(91)の反応で生じた反応物中の銀と、配合後に銀化合物(91)の反応で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
[含窒素化合物(92)]
含窒素化合物(92)は、アンモニウムカルバメート系化合物である。
含窒素化合物(92)において、R101~R105は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、シアノエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、ヘキサメチレンイミニル基、モルホリノ基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジニル基、カルボキシメチル基、トリメトキシシリルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、フェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、トリル基、ベンジル基、又はこれらの基において一部が置換された基であることが好ましい。ただし、R101~R105がすべて水素原子になることはない。
含窒素化合物(92)としては、例えば、エチルアンモニウム エチルカルバメート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカルバメート、n-ブチルアンモニウム n-ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウム イソブチルカルバメート、tert-ブチルアンモニウム tert-ブチルカルバメート、2-エチルヘキシルアンモニウム 2-エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2-メトキシエチルアンモニウム 2-メトキシエチルカルバメート、2-シアノエチルアンモニウム 2-シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリノアンモニウム モルホリノカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート等が挙げられる。
そして、これら含窒素化合物(92)の中でも、2-エチルヘキシルアンモニウム 2-エチルヘキシルカルバメートは、銀化合物(91)との相溶性に優れ、銀インク組成物(III)の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
含窒素化合物(92)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
含窒素化合物(92)は、公知の方法で製造でき、例えば、米国特許第4542214号明細書に記載の方法で製造できる。
[含窒素化合物(93)]
含窒素化合物(93)は、アンモニウムカーボネート系化合物である。
含窒素化合物(93)において、R106~R111は、含窒素化合物(92)におけるR101~R105と同様のものである。ただし、R106~R111がすべて水素原子になることはない。
含窒素化合物(93)としては、例えば、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、n-ブチルアンモニウム n-ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、tert-ブチルアンモニウム tert-ブチルカーボネート、2-エチルヘキシルアンモニウム 2-エチルヘキシルカーボネート、2-メトキシエチルアンモニウム 2-メトキシエチルカーボネート、2-シアノエチルアンモニウム 2-シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミニルアンモニウム ヘキサメチレンイミニルカーボネート、モルホリノアンモニウム モルホリノカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート等が挙げられる。
含窒素化合物(93)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
含窒素化合物(93)は、公知の方法で製造でき、例えば、米国特許第4542214号明細書に記載の方法で製造できる。
銀化合物(91)と反応させる含窒素化合物は、1種又は2種以上の含窒素化合物(92)のみであってもよいし、1種又は2種以上の含窒素化合物(93)のみであってもよいし、1種又は2種以上の含窒素化合物(92)と、1種又は2種以上の含窒素化合物(93)と、の両方であってもよい。
銀化合物(91)と、含窒素化合物(92)及び含窒素化合物(93)からなる群から選択される1種又は2種以上と、の反応は、例えば、窒素雰囲気下において、常圧の状態で又は加圧した状態で、溶媒を用いずに行うことができる。
[溶媒]
前記反応は、溶媒を用いて行ってもよい。このときの溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、グリセリン等のグリコール;エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート等のアセテート;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記溶媒は、銀インク組成物(III)の配合成分であってもよい。
前記反応時において、含窒素化合物(92)及び含窒素化合物(93)の合計使用量は、使用する銀化合物(91)中の銀原子の量に対して、1~4倍モル量である([含窒素化合物(92)及び含窒素化合物(93)の合計使用量(モル)]/[使用する銀化合物(91)中の銀原子の量(モル)]の値が1~4である)ことが好ましい。
[炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸]
銀インク組成物(III)における、炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、銀インク組成物(I)における炭素数8~10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸)と同じである。
銀インク組成物(III)における前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、銀インク組成物(I)における前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸と、同様の作用を示すと推測される。
銀インク組成物(III)において、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量は、前記有機銀錯体中の銀原子の配合量1モルあたり、0.01~1モルであることが好ましく、0.02~0.7モルであることがより好ましく、0.03~0.4モルであることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の前記配合量がこのような範囲であることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(III)の製造時に、前記有機銀錯体の前駆体化合物を用いる場合には、前記前駆体化合物中の銀原子の配合量1モルあたりの、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量を、上述の数値範囲とすることができる。
上述のとおり、前記銀インク組成物(III)は、前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されていることで、印刷対象物を加熱しながら印刷を行った場合であっても、光沢性が高い金属銀を形成できる。その理由は定かではないが、上述の銀インク組成物(I)の場合と同じであると推測される。
○銀インク組成物の使用方法
前記印刷層形成工程においては、銀インク組成物(I)、銀インク組成物(II)及び銀インク組成物(III)の場合に限定されず、前記銀インク組成物を用い、印刷法、好ましくはインクジェット印刷法により、前記第1基材上に銀インク組成物の印刷層を形成する。
前記印刷層形成工程においては、例えば、第1基材上への銀インク組成物の付着量、又は、銀インク組成物におけるβ-ケトカルボン酸銀(1)又は有機銀錯体の配合量、を調節することで、前記金属銀膜の厚さを調節できる。
銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよい。すなわち前記乾燥処理は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれであってもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18~30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60~370℃であることが好ましく、70~280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分~24時間であることが好ましく、1分~12時間であることがより好ましい。β-ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物を耐熱性が低い目的物に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されない。前記加熱処理は、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱、高周波照射による加熱、誘電加熱等で行うことができる。また、前記加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、前記加熱処理は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
実施例において、第1基材若しくは第2基材として用いた基材、並びに、比較例で用いた基材及び積層フィルムを表1に示す。
Figure 0007344737000006
[実施例1]
<<積層体の製造>>
銀インク組成物(I)を用い、以下に示す手順により、図1~図3に示す積層体を製造した。
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2-エチルヘキシルアミン(後述する2-メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(後述する2-メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2-メチルアセト酢酸銀を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、ネオデカン酸(2-メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物として銀インク組成物(I)-1を得た。
なお、DMHOとしては、日信化学社製「サーフィノール61」を用い、ネオデカン酸としては、ジャパンケムテック社製「バーサティック10」を用いた。これは、以降の実施例及び比較例でも同様である。
各配合成分の種類と配合比を表2に示す。表2中、「含窒素化合物(モル比)」とは、β-ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[β-ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。「アルコール(モル比)」も同様に、β-ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりのアルコールの配合量(モル数)([アルコールのモル数]/[β-ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(モル比)」も同様に、β-ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりの分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の配合量(モル数)([分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸のモル数]/[β-ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。
<印刷層の形成(印刷層形成工程)>
インクジェット印刷装置(コニカミノルタ社製「IJCS-1」、インクジェットヘッド「KM512MH」)と、上記で得られた銀インク組成物(I)-1と、を用いて、インクジェット印刷法により、第1基材である基材(S)-3の表面上に、第1印刷層含有領域~第5印刷層含有領域を形成し、印刷層を形成した。このとき、第1印刷層含有領域のデータ密度を90%とし、第2印刷層含有領域のデータ密度を70%とし、第3印刷層含有領域のデータ密度を50%とし、第4印刷層含有領域のデータ密度を30%とし、第5印刷層含有領域のデータ密度を15%とした。このようにすることで、第1印刷層含有領域~第5印刷層含有領域において、前記式Zで算出されるDが、互いに異なるように調節した。また、基材(S)-3のPMMA層の表面上に、印刷層を形成した。
データ密度を90%とするときには、まず、画像編集ソフトウエア(「Adobe Photoshop CC」)を用いて、モノクロ2諧調のビットマップデータである元データ(データ密度が100%である場合に相当)を、グレースケールに変換した(サイズ比:1)。次いで、データ密度を90%とする領域を選択し、トーンカーブにおいて、入力を100%、出力を90%に設定した。次いで、選択を解除し、必要な出力解像度の値を入力(ここでは720dpi)し、データをモノクロ2階調に変換した。このとき、変換方法として、パターンディザ、誤差拡散法(ディザ)及びハーフトーンスクリーンから、パターンディザを選択し、データの間引き方法を変更して、データ密度を90%とした。
データ密度を70%とするときには、上記のデータ密度を90%とするときと同じ方法で、元データ(データ密度が100%である場合に相当)を、グレースケールに変換し(サイズ比:1)た。次いで、データ密度を70%とする領域を選択し、トーンカーブにおいて、入力を100%、出力を70%に設定した。次いで、選択を解除し、必要な出力解像度の値を入力(ここでは720dpi)し、データをモノクロ2階調に変換した。このとき、変換方法としてパターンディザを選択し、データの間引き方法を変更して、データ密度を70%とした。
データ密度を50%とするときには、上記のデータ密度を90%とするときと同じ方法で、元データ(データ密度が100%である場合に相当)を、グレースケールに変換し(サイズ比:1)た。次いで、データ密度を50%とする領域を選択し、トーンカーブにおいて、入力を100%、出力を50%に設定した。次いで、選択を解除し、必要な出力解像度の値を入力(ここでは720dpi)し、データをモノクロ2階調に変換した。このとき、変換方法としてパターンディザを選択し、データの間引き方法を変更して、データ密度を50%とした。
データ密度を30%とするときには、上記のデータ密度を90%とするときと同じ方法で、元データ(データ密度が100%である場合に相当)を、グレースケールに変換し(サイズ比:1)た。次いで、データ密度を30%とする領域を選択し、トーンカーブにおいて、入力を100%、出力を30%に設定した。次いで、選択を解除し、必要な出力解像度の値を入力(ここでは720dpi)し、データをモノクロ2階調に変換した。このとき、変換方法としてパターンディザを選択し、データの間引き方法を変更して、データ密度を30%とした。
データ密度を15%とするときには、上記のデータ密度を90%とするときと同じ方法で、元データ(データ密度が100%である場合に相当)を、グレースケールに変換し(サイズ比:1)た。次いで、データ密度を15%とする領域を選択し、トーンカーブにおいて、入力を100%、出力を15%に設定した。次いで、選択を解除し、必要な出力解像度の値を入力(ここでは720dpi)し、データをモノクロ2階調に変換した。このとき、変換方法としてパターンディザを選択し、データの間引き方法を変更して、データ密度を15%とした。
<金属銀膜の形成(金属銀膜形成工程)>
次いで、第1印刷層含有領域(第1印刷層)~第5印刷層含有領域(第5印刷層)に対して、130℃の熱風を20分吹き付けて、これら印刷層(すなわち銀インク組成物)を加熱処理することにより、これら印刷層から金属銀を形成して、基材(S)-3上に、金属銀膜(第1金属銀膜~第5金属銀膜)を形成した。
金属銀膜(第1金属銀膜~第5金属銀膜)の厚さは、10~450nmであった。
形成した金属銀膜において、前記式ZによりDを算出したところ、第1金属銀膜のD/第2金属銀膜のD/第3金属銀膜のD/第4金属銀膜のD/第5金属銀膜のDの比率は、上記のデータ密度の比率と同じ、すなわち90/70/50/30/15であった。
<積層体の製造(第2基材設置工程)>
次いで、基材(S)-3の前記金属銀膜が形成されている面の全面(すなわち、基材(S)-3の前記金属銀膜が形成されている側の露出面全面と、前記金属銀膜の露出面全面)を覆うように、透明粘着剤フィルム(パナック社製「PDB1-50」、厚さ50μm)を貼り合わせることにより、基材(S)-3及び前記金属銀膜上に透明粘着剤層を設けた。このとき、前記透明粘着剤フィルムの貼り合わせ装置としては、アコ・ブランズ・ジャパン社製「ロールラミネーター35A3」を用い、ローラー速度:2メモリ、ローラー温度:25℃、ローラー間ギャップ:4mmの条件で、前記透明粘着剤フィルムを上記の面に貼り合わせた。
なお、前記透明粘着剤フィルムは、その総質量に対する、ポリエチレンテレフタレートの含有量の割合が70~80質量%であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の含有量の割合が20~30質量%のものである。
次いで、前記透明粘着剤層の露出面全面を覆うように、第2基材である基材(S)-1を前記透明粘着剤層に貼り合わせることにより、前記透明粘着剤層上に基材(S)-1を設けた。このとき用いた貼り合わせ装置と、貼り合わせ条件は、上記と同じとした。
以上により、目的とする積層体を得た。製造した積層体は、PC層(第1基材)、PMMA層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層及びPC層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。
<<積層体の評価>>
<高温高湿試験後における積層体中の気泡の有無の確認>
上記で得られた積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下に置くことによって、継続的に積層体に対して加湿加熱処理を行った。そして、処理開始前(t=0)と、処理開始後255時間(t=255)と、処理開始後585時間(t=585)の段階で、目視により、積層体中の気泡の有無(積層体での発泡の有無)を確認した。このときの下記基準に従った確認結果を表11に示す。
(積層体中の気泡の有無)
A:積層体中に気泡が全く存在しない。
B:積層体中に僅かに気泡が存在するが、実用上問題がない程度である。
C:積層体中に多くの気泡が存在し、実用上問題がある。
<高温高湿試験後における積層体のL 、a 、b 、L 変化率ΔL 、a 変化率Δa 、及びb 変化率Δb の確認>
上記の「積層体中の気泡の有無の確認」時に、あわせて積層体の金属銀膜を備えている領域のL、a、bを測定した。より具体的には、色差測定器(エックスライト社製「X-rite 530」)を用い、積層体の第2基材側から、積層体のL、a、bを測定した。そして、処理開始前(t=0)のL と、処理開始後255時間(t=255)でのL255 と、処理開始後585時間(t=585)でのL585 とから、前記式(FLt:ΔL =(L -L )/L ×100)により、積層体のL 変化率ΔL (%)を算出した。
同様に、処理開始前(t=0)のa と、処理開始後255時間(t=255)でのa255 と、処理開始後585時間(t=585)でのa585 とから、前記式(Fat:Δa =(a -a )/a ×100)により、積層体のa 変化率Δa (%)を算出した。
同様に、処理開始前(t=0)のb と、処理開始後255時間(t=255)でのb255 と、処理開始後585時間(t=585)でのb585 とから、前記式(Fbt:Δb =(b -b )/b ×100)により、積層体のb 変化率Δb (%)を算出した。
これらの結果を表3及び表7に示す。
<高温高湿試験後における積層体の色差ΔEの確認>
さらに、上記のL 、a 、b の測定結果から、前記式(FEt:ΔE=[(L -L +(a -a +(b -b 1/2)により、積層体の色差ΔEを算出した。結果を表7に示す。
<高温高湿試験後における積層体の全光線透過率T、及び全光線透過率変化率ΔTの確認>
上記の「積層体中の気泡の有無の確認」時に、あわせて積層体の金属銀膜を備えている領域の全光線透過率を測定した。より具体的には、ヘーズメータ(日本電色工業社製「NDH 7000SP」)を用いて、積層体の第2基材側から、JIS K7361に準拠して、積層体の全光線透過率(%)を測定した。このとき、上記の「積層体中の気泡の有無の確認」時に、気泡が存在した積層体の場合には、その気泡が存在しない部位において、全光線透過率を測定した。そして、処理開始前(t=0)の全光線透過率Tと、処理開始後255時間(t=255)での全光線透過率T255と、処理開始後585時間(t=585)での全光線透過率T585とから、前記式(FTt:ΔT=(T-T)/T×100)により、積層体の全光線透過率変化率ΔT(%)を算出した。果を表11に示す。
<高温高湿試験後における積層体のヘーズH、及びヘーズ変化率ΔHの確認>
上記の「積層体の全光線透過率T」の測定時に、あわせて積層体の金属銀膜を備えている領域のヘーズ(%)を測定した。より具体的には、ヘーズメータ(日本電色工業社製「NDH 7000SP」)を用いて、積層体の第2基材側から、JIS K7136に準拠して、積層体のヘーズを測定した。このとき、上記の「積層体中の気泡の有無の確認」時に、気泡が存在した積層体の場合には、その気泡が存在しない部位において、ヘーズを測定した。そして、処理開始前(t=0)のヘーズHと、処理開始後255時間(t=255)でのヘーズH255と、処理開始後585時間(t=585)でのヘーズH585とから、前記式(FHt:ΔH=(H-H)/H×100)により、積層体のヘーズ変化率ΔH(%)を算出した。結果を表11に示す。
<高温高湿試験後における積層体の光(550nm)反射率R、及び光(550nm)反射率変化率ΔRの確認>
上記の「積層体の全光線透過率T」の測定時に、あわせて積層体の金属銀膜を備えている領域の光(550nm)反射率(%)を測定した。より具体的には、積分球分光測色計(エックスライト社製「X-Rite model SP60」)を用いて、測定モードをSCI(正反射光を含む)とし、光源をD65として、積層体の第2基材側から、積層体の光(550nm)反射率を測定した。そして、処理開始前(t=0)の光(550nm)反射率Rと、処理開始後255時間(t=255)での光(550nm)反射率R255と、処理開始後585時間(t=585)での光(550nm)反射率R585とから、前記式(FRt:ΔR=(R-R)/R×100)により、積層体の光(550nm)反射率変化率ΔR(%)を算出した。結果を表15に示す。
<高温高湿試験後における積層体の20°光沢度G、及び20°光沢度変化率ΔGの確認>
上記の「積層体の全光線透過率T」の測定時に、あわせて積層体の20°光沢度を測定した。より具体的には、20°光沢度計(日本電色工業社製「PG-IIM」)を用いて、JIS Z 8741:1997に準拠して、積層体の第2基材側から、20°光沢度を測定した。そして、処理開始前(t=0)の20°光沢度Gと、処理開始後255時間(t=255)での20°光沢度G255と、処理開始後585時間(t=585)での20°光沢度G585とから、前記式(FGt:ΔG=(G-G)/G×100)により、積層体の20°光沢度変化率ΔG(%)を算出した。結果を表15に示す。
<<積層体の製造及び評価>>
[実施例2]
第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。結果を表3、表7、表11及び表15に示す。
[実施例3]
第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-3を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、第2基材となる基材(S)-3を、そのPC層が透明粘着剤層側となり、PMMA層が積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した積層体は、PC層(第1基材)、PMMA層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層、PC層(第2基材)及びPMMA層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表4、表8、表12及び表16に示す。
[実施例4]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、金属銀膜(第1金属銀膜~第5金属銀膜)を設けた。結果を表4、表8、表12及び表16に示す。
[実施例5]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-2を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-2を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、第1基材となる基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。また、第2基材となる基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。結果を表5、表9、表13及び表17に示す。
[実施例6]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-2を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-3を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。また、基材(S)-3を、そのPC層が透明粘着剤層側となり、PMMA層が積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した積層体は、PET層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層、PC層(第2基材)及びPMMA層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表5、表9、表13及び表17に示す。
[実施例7]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-4を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。結果を表5、表9、表13及び表17に示す。
[実施例8]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-4を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-2を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。結果を表5、表9、表13及び表17に示す。
[実施例9]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-4を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-3を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-3を、そのPC層が透明粘着剤層側となり、PMMA層が積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した積層体は、PMMA層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層、PC層(第2基材)及びPMMA層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表5、表9、表13及び表17に示す。
[実施例10]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-5を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[実施例11]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-5を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-2を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[実施例12]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-5を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-3を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-3を、そのPC層が透明粘着剤層側となり、PMMA層が積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した積層体は、PMMA層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層、PC層(第2基材)及びPMMA層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例1]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-1を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。結果を表3、表7、表11及び表15に示す。
[比較例2]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-1を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-2を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。結果を表3、表7、表11及び表15に示す。
[比較例3]
第1基材として、基材(S)-3に代えて基材(S)-1を用いた点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-3を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-3を、そのPC層が透明粘着剤層側となり、PMMA層が積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した積層体は、PC層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層、PC層(第2基材)及びPMMA層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表3、表7、表11及び表15に示す。
[比較例4]
第1基材である基材(S)-3の配置の向きを逆にした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。すなわち、製造した積層体は、PMMA層(第1基材)、PC層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層及びPC層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表3、表7、表11及び表15に示す。
[比較例5]
第1基材である基材(S)-3の配置の向きを逆にした点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-2を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、基材(S)-2の易接着処理面上に、透明粘着剤層を設けた。すなわち、製造した積層体は、PMMA層(第1基材)、PC層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層及びPET層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表4、表8、表12及び表16に示す。
[比較例6]
第1基材である基材(S)-3の配置の向きを逆にした点と、第2基材として、基材(S)-1に代えて基材(S)-3を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、目的とする積層体を製造し、評価した。積層体の製造時には、第2基材である基材(S)-3を、そのPC層が透明粘着剤層側となり、PMMA層が積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した積層体は、PMMA層(第1基材)、PC層(第1基材)、金属銀膜、透明粘着剤層、PC層(第2基材)及びPMMA層(第2基材)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表4、表8、表12及び表16に示す。
[比較例7]
積層フィルム(F)-1において、最外層の剥離フィルムを取り除き、これにより生じた接着層の露出面に、基材(S)-1を貼り合わせることにより、比較用積層体を得た。この比較用積層体は、PC層、接着層、PET層、接着層、Al蒸着層、PET層及びハードコート層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。
得られた比較用積層体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例8]
基材(S)-1に代えて、基材(S)-2を用いた点以外は、比較例7の場合と同じ方法で、比較用積層体を製造し、評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例9]
基材(S)-1に代えて、基材(S)-3を用いた点以外は、比較例7の場合と同じ方法で、比較用積層体を製造し、評価した。比較用積層体の製造時には、基材(S)-3を、そのPC層が積層フィルム(F)-1側となり、PMMA層が比較用積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した比較用積層体は、PMMA層(基材)、PC層(基材)、接着層、PET層、接着層、Al蒸着層、PET層及びハードコート層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例10]
積層フィルム(F)-2において、最外層の剥離フィルムを取り除き、これにより生じた接着層の露出面に、基材(S)-1を貼り合わせることにより、比較用積層体を得た。この比較用積層体は、PC層、接着層、PET層、接着層、Alスパッタ層、PET層及びハードコート層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。
得られた比較用積層体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例11]
基材(S)-1に代えて、基材(S)-2を用いた点以外は、比較例10の場合と同じ方法で、比較用積層体を製造し、評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例12]
基材(S)-1に代えて、基材(S)-3を用いた点以外は、比較例10の場合と同じ方法で、比較用積層体を製造し、評価した。比較用積層体の製造時には、基材(S)-3を、そのPC層が積層フィルム(F)-2側となり、PMMA層が比較用積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した比較用積層体は、PMMA層(基材)、PC層(基材)、接着層、PET層、接着層、Alスパッタ層、PET層及びハードコート層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例13]
積層フィルム(F)-3において、最外層の剥離フィルムを取り除き、これにより生じた接着層の露出面に、基材(S)-1を貼り合わせることにより、比較用積層体を得た。この比較用積層体は、PC層、接着層、PET層、接着層、Agスパッタ層、PET層及びハードコート層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。
得られた比較用積層体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例14]
基材(S)-1に代えて、基材(S)-2を用いた点以外は、比較例13の場合と同じ方法で、比較用積層体を製造し、評価した。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
[比較例15]
基材(S)-1に代えて、基材(S)-3を用いた点以外は、比較例13の場合と同じ方法で、比較用積層体を製造し、評価した。比較用積層体の製造時には、基材(S)-3を、そのPC層が積層フィルム(F)-3側となり、PMMA層が比較用積層体での一方の最外層となるように、配置した。すなわち、製造した比較用積層体は、PMMA層(基材)、PC層(基材)、接着層、PET層、接着層、Agスパッタ層、PET層及びハードコート層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものである。結果を表6、表10、表14及び表18に示す。
Figure 0007344737000007
Figure 0007344737000008
Figure 0007344737000009
Figure 0007344737000010
Figure 0007344737000011
Figure 0007344737000012
Figure 0007344737000013
Figure 0007344737000014
Figure 0007344737000015
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Figure 0007344737000017
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Figure 0007344737000019
Figure 0007344737000020
Figure 0007344737000021
Figure 0007344737000022
Figure 0007344737000023
実施例1~12の積層体においては、その第1金属銀膜~第5金属銀膜の少なくとも一部を備えている領域が、上述のL 、a 及びb の条件(L が75以上、a が-3~3、b が10.1以上)をすべて満たしていた。積層体(t=0)のこの領域は、黄色味を有しており、積層体の色味を調節するための専用の着色層を備えていなくても、色味が目的とするものになっていた。なお、実施例1~12においては、第1金属銀膜~第5金属銀膜の少なくとも一部をハーフミラーとして利用可能な積層体が得られた。
実施例1~12の積層体において、第1基材は、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル製の透明基材、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材(ただし、積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が金属銀膜側に配置されているもの)、又はゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル製の透明基材であった。
実施例1~12の積層体(t=0)で、色味が目的とするものになっていた領域においては、L が79.86以上(79.86~90.59)であり、a が-1.75~1.79であり、b が10.47以上(10.47~18.78)であった。
実施例1~12の積層体(t=0)で、色味が目的とするものになっていた領域においては、ΔG255は-65~11%であり、ΔG585は-67~15%であった。
実施例1~12の中でも、実施例9のデータ密度が30%のもの以外の積層体においては、ΔG255が-26~11%であり、ΔG585が-35~15%であって、前記加湿加熱処理後の色味も良好であった。
実施例1~12の積層体(t=0)で、色味が目的とするものになっていた領域においては、ΔT255は-3~53%であり、ΔT585は-4~58%であった。
実施例1~12の中でも、実施例9のデータ密度が30%のもの以外の積層体においては、ΔT255は-3~53%であり、ΔT585は1~58%であった。
実施例1~12の積層体(t=0)で、色味が目的とするものになっていた領域においては、ΔR255は-3~13%であった。
実施例1~12の中でも、実施例9のデータ密度が30%のもの以外の積層体においても、ΔR255は-3~13%であった。
実施例1~12の積層体の中でも、第1基材がポリエチレンテレフタレート製の透明基材、又は、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材(ただし、積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が金属銀膜側に配置されているもの)であるもの、すなわち、実施例1~6の積層体においては、前記加湿加熱処理の処理時間が585時間の段階でも、気泡の発生が抑制されているものがあり、これら積層体は特に優れた特性を有していた。
一方、実施例1~12の積層体のうち、前記加湿加熱処理の処理時間が255時間の段階で、気泡の発生が認められたものは、これよりも緩和された条件での加湿加熱処理であれば、気泡の発生が抑制される見込みのあるものであった。
これに対して、比較例1~15の積層体においては、上述のL 、a 及びb の条件(L が75以上、a が-3~3、b が10.1以上)をすべて満たす領域を有するものはなかった。これら積層体のすべての領域は、色味が目的とするもの(黄色味)ではなかった。なお、比較例1~15のうち、比較例1~6においては、第1金属銀膜~第5金属銀膜の少なくとも一部をハーフミラーとして利用可能な積層体が得られた。
比較例1~6の積層体において、第1基材は、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル製の透明基材、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材(ただし、積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が金属銀膜側に配置されているもの)、及びゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル製の透明基材、のいずれでもなかった。比較例7~15の積層体においては、上述の積層フィルム(F)-1、(F)-2、又は(F)-3を用いていた。
本発明は、意匠性を有する加飾ユニットとして利用可能である。
1,2・・・積層体、
11・・・第1基材、11a・・・第1基材の第1面(一方の面)、
12,22・・・金属銀膜、121,221・・・第1金属銀膜、122,222・・・第2金属銀膜、123,223・・・第3金属銀膜、124,224・・・第4金属銀膜、125,225・・・第5金属銀膜、12a,22a・・・金属銀膜の第1面(一方の面)、121a,221a・・・第1金属銀膜の第1面(一方の面)、122a,222a・・・第2金属銀膜の第1面(一方の面)、123a,223a・・・第3金属銀膜の第1面(一方の面)、124a,224a・・・第4金属銀膜の第1面(一方の面)、125a,225a・・・第5金属銀膜の第1面(一方の面)、
12’・・・印刷層、1211’・・・第1印刷層、1221’・・・第2印刷層、1231’・・・第3印刷層、1241’・・・第4印刷層、1251’・・・第5印刷層、
1220’,1230’・・・非印刷部位、
121’・・・第1印刷層含有領域、122’・・・第2印刷層含有領域、123’・・・第3印刷層含有領域、124’・・・第4印刷層含有領域、125’・・・第5印刷層含有領域、
1211・・・第1金属銀層、1221・・・第2金属銀層、1231・・・第3金属銀層、1241・・・第4金属銀層、1251・・・第5金属銀層、
14・・・第2基材

Claims (3)

  1. 積層体であって、
    前記積層体は、第1基材と、前記第1基材の一方の面上に設けられた金属銀膜と、前記金属銀膜の前記第1基材側とは反対側の面上に設けられた透明粘着剤層と、前記透明粘着剤層の前記金属銀膜側とは反対側の面上に設けられた第2基材と、を備えており、
    前記第1基材が、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、ポリメタクリル酸メチル製の透明基材、ポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材、又はゴム粒子を含有しているポリメタクリル酸メチル製の透明基材であり、前記第1基材が前記2層構造の透明基材である場合には、前記2層構造の透明基材は、前記積層体中において、そのポリメタクリル酸メチルの層が前記金属銀膜側に配置されており、
    前記第2基材が、ポリカーボネート製の透明基材、ポリエチレンテレフタレート製の透明基材、又はポリメタクリル酸メチルの層とポリカーボネートの層とが積層された2層構造の透明基材であり、前記第2基材が前記2層構造の透明基材である場合には、前記2層構造の透明基材は、前記積層体中において、そのポリカーボネートの層が前記透明粘着剤層側に配置されており、
    前記第1基材と前記金属銀膜とが直接接触して積層され、前記金属銀膜と前記透明粘着剤層とが直接接触して積層されており、
    前記金属銀膜が、下記一般式(1):
    Figure 0007344737000024
    (式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R-CY -」、「CY -」、「R-CHY-」、「RO-」、「RN-」、「(RO)CY-」若しくは「R-C(=O)-CY -」で表される基であり;
    はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO-」で表される基であり;
    はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N-フタロイル-3-アミノプロピル基、2-エトキシビニル基、又は一般式「RO-」、「RS-」、「R-C(=O)-」若しくは「R-C(=O)-O-」で表される基であり;
    は、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
    で表わされるβ-ケトカルボン酸銀、又は有機銀錯体を用いて形成されたものであり、
    前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側からL表色系におけるL、a及びbを測定したとき、前記Lが75以上であり、前記aが-3~3であり、前記bが10.1以上であり、
    前記積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で加湿加熱処理し、前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側から全光線透過率を測定し、処理前の測定値をT とし、処理時間が255時間のときの測定値をT 255 としたとき、下記式
    T255 :ΔT 255 =(T 255 -T )/T ×100
    により算出される前記積層体の全光線透過率変化率ΔT 255 が-55~55%であり、
    前記積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で加湿加熱処理し、前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側から20°光沢度を測定し、処理前の20°光沢度をG とし、処理時間が255時間のときの測定値をG 255 としたとき、下記式
    G255 :ΔG 255 =(G 255 -G )/G ×100
    により算出される前記積層体の20°光沢度変化率ΔG 255 が-30%以上である、積層体。
  2. 前記積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で加湿加熱処理し、前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側から全光線透過率を測定し、処理前の測定値をTとし、理時間が585時間のときの測定値をT585としたとき、記式
    T585:ΔT585=(T585-T)/T×100
    により算出される前記積層体の全光線透過率変化率ΔT585が-200~200%である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記積層体を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で加湿加熱処理し、前記積層体の前記金属銀膜を備えている領域について、その前記第2基材側から20°光沢度を測定し、処理前の20°光沢度をGとし、理時間が585時間のときの測定値をG585としたとき、下記式
    G585:ΔG585=(G585-G)/G×100
    により算出される前記積層体の20°光沢度変化率ΔG585が-60%以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
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