JP6140189B2 - 導電ペースト及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀微粒子を含有する導電ペースト及びその製造方法に関する。
近年、銀微粒子は、電子部品の電極や回路パターンを形成するための導電ペーストの原料として多用されている。例えば、回路パターンは、基板に、銀微粒子を含有する導電ペーストを使用して、スクリーン印刷などで配線幅100μm程度のパターンを印刷した後、通常500℃以上の高温で焼成して導電膜が形成される。
最近、携帯電話をはじめとする分野で、ポリイミド製フレキシブル回路基板が使用される他に、より安価なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム等が使用される動きがある。これらの基板に使用される導電ペーストは、200℃以下の低温で焼成可能であることが要求される。
低温で焼成可能な導電ペーストは、金属微粒子が含まれる。金属微粒子は、例えば、金属化合物を含む水溶液中に還元剤を添加して、水溶液中で金属を還元し、金属微粒子を析出させる化学的還元法により製造される(特許文献1)。化学的還元法により製造される金属微粒子は、ほぼ単分散に近く、それぞれ独立した球状の粒子である。しかしながら、特許文献1に記載されている化学的還元法は、具体的に実施例で製造される銀微粒子の粒径が、約1μmと大きく、低温で焼成することが難しい。また、粒径が約1μmの銀粒子を導電ペーストに用いても、粒径が大きいため、より微細化する回路パターンを形成することが難しい。
低温で熱処理可能な金属微粒子として、本出願人は、(i)1次粒子の平均粒子径が40〜350nmであり、(ii)結晶子径が20〜70nmであり、かつ(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比が1.5〜5である銀微粒子を提案した(特許文献2)。この銀微粒子を含む導電ペーストは、200℃以下、具体的には180℃以下の低温の熱処理でも、十分な導電性を有する導電膜を形成できる導電ペーストを提案している(特許文献2)。
特開平10−317022号公報 特許第4487143号公報
本発明の目的は、上記のような状況に対応して、微細な回路パターンを形成する要求を満たしつつ、300℃以下、より好ましくは200℃以下の熱処理温度で、十分な導電性を有する導電膜を形成可能な導電ペースト及びその製造方法を提供することである。
本発明1は、(i)1次粒子の平均粒子径が40〜350nmであり、(ii)結晶子径が20〜70nmであり、かつ(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比が1〜5である銀微粒子(A)を100質量部と、脂肪族第一級アミン(B)を1〜40質量部と、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を1〜20質量部とを含む、導電ペーストに関する。
本発明2は、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合し、次いで還元剤(c)を添加し、反応させて得られる銀微粒子(A)を含む反応混合物に、該反応混合物中の銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合して得られる、導電ペーストに関する。
本発明3は、カルボン酸(C)が、75〜160の分子量を有するカルボン酸である、本発明1又は2記載の導電ペーストに関する。
本発明4は、カルボン酸(C)が、炭素数6〜9の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を含む脂肪族モノカルボン酸、及び炭素数2〜6の脂肪族ヒドロキシ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸である、本発明1〜3のいずれかに記載の導電ペーストに関する。
本発明5は、カルボン酸(C)が、ヘキサン酸、2−エチルへキサン酸、オクタン酸、4−メチル−n−オクタン酸、乳酸及びグリコール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸である、本発明1〜4のいずれかに記載の導電ペーストに関する。
本発明6は、脂肪族第一級アミン(B)が、3−メトキシプロピルアミン及び1,2−ジアミノシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族第一級アミンである本発明1〜5のいずれかに記載の導電ペーストに関する。
本発明7は、還元剤(c)が、ギ酸、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸及びヒドラジンからなる群より選ばれる少なくとも1種の還元剤である、本発明2〜6のいずれかに記載の導電ペーストに関する。
本発明8は、カルボン酸の銀塩(a)が、酢酸及びプロピオン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸の銀塩である、本発明2〜7のいずれかに記載の導電ペーストに関する。
本発明9は、更にバインダ樹脂(D)を1〜20質量部を含む、本発明1〜8のいずれかに記載の導電ペーストに関する。
本発明10は、バインダ樹脂(D)が、フタル酸系グリシジル型エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のバインダ樹脂である、本発明9記載の導電ペーストに関する。
本発明11は、(1)カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合する工程、(2)還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で反応させる工程、(3)反応生成物を層分離させて、銀微粒子(A)を含有する層を回収する工程、(4)回収した層中に含まれる銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む、導電ペーストの製造方法に関する。
本発明12は、(1)有機溶媒の存在下に、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合する工程、(2)還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で反応させる工程、(3)反応生成物を層分離させて、銀微粒子(A)を含有する層を回収する工程、(4)回収した層中に含まれる銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む、導電ペーストの製造方法に関する。
本発明は、300℃以下、好ましく200℃以下、例えば120〜180℃の熱処理温度で、導電膜の緻密性や表面平滑性が確保され、十分な導電性(例えば、体積抵抗率5.5μΩ・cm以下、より好ましくは5μΩ・cm未満レベル)を有する導電膜を形成することができる。また、本発明の銀微粒子を含有する導電ペーストは、銀微粒子の平均粒子径が小さいため、より微細化する回路パターンを形成する要求に応え得るものである。
実施例2及び比較例1の各導電ペーストを100℃で30分、150℃で30分、200℃で30分熱処理した後の、実施例2及び比較例1の導電膜の表面の状態をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡:Field Emission-Scanning Electron Microscope、倍率8万〜20万倍)で撮影した写真と、熱処理後の導電膜の体積抵抗率(Ω・cm)との関係を示す図。 実施例2と比較例1の各導電ペーストを90℃で30分、120℃で30分、150℃で30分、200℃で30分、300℃で30分熱処理した際の熱処理温度と、熱処理後の導電膜の体積抵抗率(Ω・cm)との関係を示すグラフ。
本発明は、(i)1次粒子の平均粒子径が40〜350nmであり、(ii)結晶子径が20〜70nmであり、かつ(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比が1〜5である銀微粒子(A)を100質量部と、脂肪族第一級アミン(B)を1〜40質量部と、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を1〜20質量部とを含む、導電ペーストである。
本明細書において、銀微粒子(A)の平均粒子径は、日本電子社製FE−SEM(JSM7500F)により計測し、任意に選んだ粒子300個の直径の算術平均値を求め、その値をもって平均粒子径とした。また、本明細書において、結晶子径は、CuのKα線を線源とした粉末X線回折法による測定から、面指数(1,1,1)面ピークの半値幅を求め、Scherrerの式より計算した結果の値をいう。
銀微粒子(A)は、(i)1次粒子の平均粒子径が40〜350nmであり、好ましくは50〜200nmであり、より好ましくは60〜180nmである。なお、本発明に用いる銀微粒子(A)は、通常、ほぼ球状である。1次粒子の平均粒子径が40〜350nmである銀微粒子(A)は、銀微粒子の凝集が抑制され、ペースト化した場合に保存安定性がよい。(i)1次粒子の平均粒子径が40〜350nmである銀微粒子(A)は、微細な回路パターン印刷用の導電ペーストの原料として好適である。
銀微粒子(A)は、(ii)結晶子径が20〜70nmであり、好ましくは20〜50nmである。(ii)結晶子径が20〜70nmである銀微粒子(A)を用いた導電ペーストは、熱処理時の体積収縮が抑制されるとともに、熱処理後に形成される導電膜の緻密性や表面平滑性が確保される。導電膜は、銀膜である。(ii)結晶子径が20〜70nmである銀微粒子(A)は、精密な電子回路の微細な回路パターン印刷用の導電ペーストの原料としても好適である。
銀微粒子(A)は、(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比(平均粒子径/結晶子径)が1〜5であり、好ましくは1.5〜4.5であり、より好ましくは2〜4である。(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比(1次粒子の平均粒子径/結晶子径)が1〜5である銀微粒子(A)を用いた導電ペーストは、300℃以下の熱処理温度で緻密性及び平滑性を確保した導電膜が形成できる。熱処理温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは120〜180℃、特に好ましくは120〜150℃である。(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比(1次粒子の平均粒子径/結晶子径)が1〜5である銀微粒子(A)は、十分な導電性を有する導電膜を形成可能な導電ペーストの原料として好適である。
銀微粒子(A)は、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)とを混合し、次いで還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で各成分を反応させ、銀微粒子を析出させることにより製造することができる。
はじめに、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)とを混合して、カルボン酸の銀塩を溶解させた溶液を得る。溶液中では、カルボン酸の銀塩に脂肪族第一級アミンが配位し、一種のアミン錯体を形成していると考えられる。
カルボン酸の銀塩(a)は、酢酸銀又はプロピオン酸銀が好ましく、酢酸銀が特に好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、又は2種を併用してもよい。
脂肪族第一級アミン(B)は、鎖状脂肪族第一級アミンであっても、環状脂肪族第一級アミンであってもよい。また、脂肪族第一級アミン(B)は、モノアミン化合物であっても、ジアミン化合物等の多価アミン化合物であってもよい。脂肪族第一級アミン(B)は、脂肪族炭化水素基が、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、で置換されたものも含む。脂肪族第一級アミン(B)は、好ましくは、3−メトキシプロピルアミン、3−アミノプロパノール及び1,2−ジアミノシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族第一級アミンである。脂肪族第一級アミン(B)は、より好ましくは、3−メトキシプロピルアミン及び1,2−ジアミノシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。脂肪族第一級アミン(B)は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
脂肪族第一級アミン(B)の使用量は、生成する銀微粒子の後処理等プロセス上の要請や使用する装置等の条件によって決められる。脂肪族第一級アミン(B)の使用量は、制御された粒子径の銀微粒子を得るために、カルボン酸の銀塩(a)1当量に対して、1当量以上であることが好ましい。また、過剰量の脂肪族第一級アミン(B)が存在したとしても安定した銀微粒子の製造は可能である。脂肪族第一級アミン(B)の使用量は、環境へのアミンの放出量を増加させないために、カルボン酸の銀塩(a)1当量に対して、好ましくは3.0当量以下、より好ましくは2.0当量以下、特に好ましくは1.6当量以下である。特に、後続の工程で、還元剤によって銀微粒子を析出させた液をそのまま、導電ペーストとして使用する場合、過剰量の脂肪族第一級アミンは加熱により気化する可能性がある。脂肪族第一級アミン(B)が過剰量とならないように、脂肪族第一級アミン(B)の使用量は、カルボン酸の銀塩(a)1当量に対して、1〜3当量であることが好ましい。
カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)との混合は、有機溶媒の非存在下又は存在下で行うことができる。有機溶媒を使用した場合は、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を容易に混合することができる。有機溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。有機溶媒の使用量は、混合の利便性、後続の工程での銀微粒子の生産性の点から、任意の量とすることができる。
カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)との混合は、例えば、第一級脂肪族アミン(B)、又は第一級脂肪族アミン(B)と有機溶媒の混合物を撹拌しながら、カルボン酸の銀塩(a)を添加して行う。カルボン酸の銀塩(a)の添加が終了した後も、必要に応じて、撹拌を続けることができる。カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)とを混合している間の温度は、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜60℃に維持する。
その後、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)の混合物に、還元剤(c)を添加して、銀微粒子を析出させる。還元剤は、反応の制御の点から、ギ酸、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸及びヒドラジンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。還元剤は、より好ましくはギ酸である。還元剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
還元剤(c)の使用量は、通常、カルボン酸の銀塩(a)に対して酸化還元当量以上であり、酸化還元当量が、0.5〜5倍であることが好ましく、より好ましくは1〜3倍である。カルボン酸の銀塩(a)がモノカルボン酸の銀塩であり、還元剤(c)としてギ酸を使用する場合、ギ酸のモル換算での使用量は、カルボン酸の銀塩(a)1モルに対して、好ましくは0.25〜2.5モル、より好ましくは0.5〜1.5モル、更に好ましくは0.5〜1.0モルである。
還元剤(c)の添加時及びその後の反応においては、反応温度を20〜80℃に維持する。反応温度は、好ましくは20〜70℃であり、より好ましくは20〜60℃である。反応温度が20〜80℃であると、銀微粒子は、粒子成長が十分であり、生産性も高く、また二次凝集も抑制される。還元剤の添加時及びその後の反応に要する時間は、反応装置の大きさに依存するが、通常、10分〜10時間である。なお、還元剤の添加時及びその後の反応に際して、必要に応じて、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の芳香族炭化水素等の有機溶媒を添加することができる。
反応により析出した銀微粒子(A)を含む層は、そのまま導電ペーストとして使用することができる。反応により析出した銀微粒子(A)を含む層は、銀微粒子(A)を沈降させてデカンテーション等により上澄みを除去してから導電ペーストとして使用することもできる。銀微粒子(A)を沈降させる際、メタノールやエタノール等のアルコール類を、銀微粒子(A)を含む層に添加して銀微粒子(A)の沈降を早めることもできる。また、銀微粒子(A)を含む層は、必要に応じてエバポレーターによって残存するメタノールを留去して層に含まれる銀含有率を高めることもできる。反応により析出した銀微粒子(A)を含む層を導電ペーストとして使用する場合には、ペーストの粘度を調整するために、エバポレーターで層に含まれる溶媒を留去する直前に、銀微粒子(A)を含む層にジヒドロターピネオールやベンジルアルコール等の溶剤を加えておくこともできる。このようにして得られた導電ペーストの銀含有率は、好ましくは30〜95質量%であり、より好ましくは50〜92質量%である。
銀微粒子(A)の周囲には、脂肪族第一級アミン(B)が配位し、一種のアミン錯体を形成していると考えられる。銀微粒子の周囲に存在するアミン類は、サブミクロン以下の粒径を有する銀微粒子同士の凝集を防いでいる。一方、銀微粒子に配位しているアミン類は、導電ペーストを熱処理した際に、銀微粒子同士の融着を妨げ、導電性を低下する要因になると考えられる。
本発明は、銀微粒子(A)を100質量部及び脂肪族第一級アミン(B)を1〜40質量部を含む銀微粒子を含む層に、更に75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を1〜20質量部を加えて、導電ペーストとした。本発明の導電ペーストは、熱処理時に銀微粒子同士の融着の妨げとなっていた銀微粒子に配位しているアミン類を銀微粒子の周囲から除き、低温域の熱処理によって銀微粒子同士の融着を促進することができる。本発明の導電ペーストは、熱処理温度が300℃以下の低温の熱処理温度で、導電ペースト中に含まれる銀微粒子(A)同士の融着が進み、緻密性及び平滑性を確保しつつ、導電性がより改善された導電膜を形成することができる。熱処理温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは120〜180℃、特に好ましくは120〜150℃である。
導電ペーストとして使用可能な銀微粒子(A)を含む層には、未反応の脂肪族第一級アミン(B)、カルボン酸の銀塩(a)と還元剤(c)が反応して生じたカルボン酸、このカルボン酸と脂肪族第一級アミンが反応して生じた塩等が残存している。銀微粒子(A)を含む層に酢酸やプロピオン酸のような分子量の小さいカルボン酸が存在しても、このような分子量の小さいカルボン酸は、銀微粒子(A)に配位しているアミン類を銀微粒子(A)の周囲から除くことはできない。
カルボン酸(C)の分子量は、75〜200であり、より好ましくは75〜160である。酢酸やプロピオン酸のような75未満の分子量を有するカルボン酸は、沸点が低いため、熱処理時に銀微粒子(A)に配位しているアミン類を銀微粒子(A)の周囲から除く前にカルボン酸が揮発してしまい、銀微粒子同士の融着の妨げとなっていたアミン類を銀微粒子の周囲から除くことができない。200を超える分子量を有するカルボン酸では、沸点が高いか、又は熱分解温度が高いため、200℃以下の低温での熱処理時に、カルボン酸が銀微粒子同士の間に残存し、却って銀微粒子同士の融着を妨げる場合がある。
75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)は、銀微粒子(A)を100質量部と、脂肪族第一級アミン(B)1〜40質量部とを含む混合物に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜18質量部、より好ましくは3〜15質量部、特に好ましくは4〜12質量部添加する。75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)の使用量が、1質量部未満であると、加える量が少なすぎて、300℃以下、好ましくは200℃以下の低温で熱処理する際に銀微粒子(A)同士の融着の妨げとなっていたアミン類を除くことができない。75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)の使用量が、20質量部を超えると、銀微粒子(A)同士が凝集しやすくなり、導電ペーストとしての安定性が損なわれる。
75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)としては、炭素数が6〜9の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を含む脂肪族モノカルボン酸、及び炭素数2〜6の脂肪族ヒドロキシ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸であることが好ましい。炭素数が2〜6の脂肪族ヒドロキシ酸の融点は、120℃以下のものであることが好ましく、80℃以下のものであることが更に好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
炭素数が6〜9の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を含む脂肪族モノカルボン酸としては、ヘキサン酸、3−メチルペンタン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、オクタン酸、2−メチルヘプタン酸、6−メチルヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、2−メチル−n−オクタン酸、4−メチル−n−オクタン酸、7−メチル−n−オクタン酸等が挙げられる。
炭素数が2〜6の脂肪族ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸等が挙げられる。
分子量が75〜200のカルボン酸(C)は、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、4−メチル−n―オクタン酸、乳酸及びグリコール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸であることが好ましい。中でも、2−エチルヘキサン酸が好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、又は2種を併用してもよい。
本発明の導電ペーストは、銀微粒子(A)を100質量部及び脂肪族第一級アミン(B)を1〜40質量部を含む銀微粒子を含む層に、更にバインダ樹脂(D)を1〜20質量部含むことが好ましい。導電ペースト中のバインダ樹脂(D)の含有量は、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは2〜12質量部、特に好ましくは3〜10質量部である。導電ペースト中にバインダ樹脂(D)を含有することにより、基板への印刷性や密着性を向上させることができる。
バインダ樹脂(D)は、エステル結合を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エステル結合を含有するエポキシ樹脂は、分子内にエステル結合を1個以上含有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。分子内のエステル結合の個数は、銀微粒子の焼結を阻害しないようにするために、好ましくは2個である。バインダ樹脂は、例えば、良好な導電性を得るために、フタル酸系グリシジルエステル型エポキシ樹脂が好ましい。フタル酸系グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル及びこれらのアルキル置換体;例えば、ジメチルグリシジルフタレート、メチルグリシジル・グリシジルフタレート、ジエチルグリシジルフタレート、ジプロピルグリシジルフタレート、ジブチルグリシジルフタレート等が挙げられる。中でも、特にヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルが好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂(D)は、例えばフタル酸系グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエステル結合を含有するエポキシ樹脂に限定されるものではなく、他にもオキセタン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化型樹脂を使用することもでき、これらは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
導電ペーストにバインダ樹脂(D)を含む場合には、更に硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤は、バインダ樹脂(D)がエステル結合を有するエポキシ樹脂である場合には、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば、特に限定されず、例えば、カチオン重合開始剤、アミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール系硬化剤などを使用することができる。硬化剤は、銀粒子同士の融着が進行し、良好な導電性を得るために、カチオン重合開始剤が特に好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
カチオン重合開始剤としては、ルイス酸塩、オニウム塩、脂肪酸金属等が挙げられる。中でも、カチオン重合開始剤は、オニウム塩が好ましい。オニウム塩は、例えば、4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニル]ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、のようなジアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩が特に好ましい。
導電ペースト中の硬化剤の含有量は、硬化剤の種類やバインダ樹脂との組合せによって大きく変わるため、特には制限されない。例えば導電ペースト中のバインダ樹脂がエステル結合を含有するエポキシ樹脂で、硬化剤がカチオン重合開始剤の場合、硬化剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは2.5〜8質量部添加する。
本発明の導電ペーストは、その他に、チタンカップリング剤(例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタナート等のチタン酸エステル)、シランカップリング剤、難燃剤、レベリング剤、チキソトロピック剤、消泡剤、イオン捕捉剤等を含有することができる。
本発明の導電ペーストの製造方法は、(1)カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合する工程、(2)還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で反応させる工程、(3)反応生成物を層分離させて、銀微粒子(A)を含有する層を回収する工程、(4)回収した層中に含まれる銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む。
本発明の導電性ペーストの製造方法は、(1)有機溶媒の存在下に、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合する工程、(2)還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で反応させる工程、(3)反応生成物を層分離させて、銀微粒子(A)を含有する層を回収する工程、(4)回収した層中に含まれる銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む。なお、(1)〜(4)工程において、還元剤の添加及びその後の反応に際して、必要に応じて、有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
本発明の導電ペーストが(D)バインダ樹脂や、硬化剤等のその他の添加剤を含む場合には、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を混合する工程と同時に、(D)バインダ樹脂や硬化剤等を添加することができる。又は、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を混合する工程の前若しくは後に、(D)バインダ樹脂や硬化剤等を添加することができる。
上記方法により製造された導電ペーストを用いて、基材等に、スクリーン印刷等の従来公知の方法で印刷又は塗布した後、熱処理することにより導電膜を形成することができる。熱処理温度は、好ましくは60〜300℃であり、より好ましくは100〜250℃、更に好ましくは120〜200℃、特に好ましくは120〜180℃、最も好ましくは120〜150℃である。また、導電ペースト中に含まれる銀微粒子は、平均粒子径が小さく、より微細化する回路パターンを形成する要求に応えることができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
〔銀微粒子(AI)を含有するペースト〕
反応容器に3−メトキシプロピルアミン4kg(45mol)を入れ、撹拌しながら反応温度を40℃以下に保持しつつ、酢酸銀5kg(30mol)を添加すると、酢酸銀は微黄色澄明な溶液となって溶解した。そこへ95重量%のギ酸0.7kg(15mol)をゆっくり滴下し、その間、反応温度を30〜40℃に保持すると、ギ酸の添加とともに銀微粒子が生成していき、微黄色澄明な溶液が次第に黒色へと変化した。ギ酸を全量滴下して反応を終了させた後、得られた反応混合物に撹拌しながらメタノールを添加し、その後25℃で静置すると二層に分かれた。上層は黄色澄明な液であり、下層には黒色の銀微粒子(AI)が沈降した。上層の液をデカンテーションで除去し、更にメタノール添加と静置、そしてデカンテーションを繰り返して得られたペーストに、ジヒドロターピネオール0.3kgを加えて混合し、エバポレーターによって残存するメタノールを留去して、銀微粒子(AI)を含む銀含有率90質量%の導電ペーストを得た。
〔銀微粒子(AII)を含有するペースト〕
反応容器にトルエン1.5kgを入れ、1,2−ジアミノシクロヘキサン0.9kg(8.0mol)を添加した後、撹拌しながら、反応温度を45℃以下に保持しつつ、酢酸銀2.5kg(15.0mol)を添加した。反応系がほぼ均一になったことを確認した後、撹拌しながら、ギ酸0.5kg(10.5mol)を少量ずつ添加した。その間、反応温度を40〜45℃に保持した。ギ酸を全量滴下して反応を終了させた後、得られた反応混合物に撹拌しながらメタノールを添加し、その後20℃で静置すると二層に分かれた。上層の液をデカンテーションで除去したペーストに、ジヒドロターピネオール40gを加えて混合し、エバポレーターで残存するメタノールを留去して、銀含有率52質量%の銀微粒子(AII)を含む導電ペーストを得た。
銀微粒子を含有するペースト中の銀微粒子(AI)及び(AII)について、粒子特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
銀微粒子の測定・評価は、次のようにして行った。
平均粒子径:日本電子社製FE−SEM(JSM7500F)により計測し、任意に選んだ粒子300個の直径の算術平均値を求め、その値をもって平均粒子径とした。
結晶子径:マックサイエンス社製X線回折測定装置(M18XHF22)による測定によって、CuのKα線を線源とした面指数(1,1,1)面ピークの半値幅を求め、Scherrerの式より結晶子径を計算した。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
比較例1は、銀微粒子(AI)を含むペースト(銀含有率90質量%)をそのまま導電ペーストとした。
また、実施例1〜6は、銀微粒子(AI)を含むペースト(銀含有率90質量%)に、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、4−メチル−n−オクタン酸、乳酸、グリコール酸を、銀微粒子100質量部に対して各々5.6質量部ずつ添加して、導電ペーストを得た。尚、この銀微粒子(AI)を含む銀含有率90質量%の導電ペースト中には、3-メトキシプロピルアミンが銀微粒子100質量部に対して2.2部、溶剤としてジヒドロターピネオールが銀微粒子100質量部に対して9部含まれる。
比較例2は、銀微粒子(AI)を含むペースト(銀含有率90質量%)に、ギ酸(分子量:46)を5.6質量部添加し、導電ペーストを得た。
比較例3は、銀微粒子(AI)を含むペースト(銀含有率90質量%)に、酢酸(分子量:60)を5.6質量部添加し、導電ペーストを得た。
表2に、実施例1〜6及び比較例1〜3の導電ペーストの配合を示す。表2〜4中、単位の記載のない数値は、質量部を示す。
体積抵抗率:各実施例及び比較例の導電ペーストを用い、幅26mm、長さ76mm、厚さ1.2〜1.5mmのスライドガラスに、各導電ペーストを幅10mm、長さ50mm、厚さ約0.05mmのパターンに塗布した。導電ペーストを塗布した試験片を200℃で30分熱処理した後、導電ペーストから得られた導電膜の厚さと抵抗値を以下のように測定した。
表面粗さ形状測定機(東京精密社製、SURFCOM 1500SD2−12)を用いて、薄膜の厚みを測定した。また、デジタルマルチメーター(東陽テクニカ社製、2001型)を用いて抵抗値を測定した。測定結果から、下記式(1)により、体積低効率を求めた。
体積抵抗率(Ω・cm)=R×W×t/(L×10000) (1)
R:抵抗値〔Ω〕, t:厚み〔μm〕
W:パターン幅 10mm, L:パターン長さ50mm
実施例1〜6及び比較例1〜3の導電ペーストについて、体積抵抗率の測定結果を表2に示す。なお、表2中、体積抵抗率は、10のべき乗数(例えば、実施例1の2.7×10−6)を、E(例えば、実施例1の2.7E−06)を用いて表すものとする。
表2に示すように、本発明の導電ペーストは、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を含むことにより、200℃の熱処理温度で、体積抵抗率が3μΩ・cm未満となり、優れた導電性を改善した導電膜が形成できた。導電膜は銀膜である。一方、カルボン酸(C)を含んでいない比較例1の導電ペースト、及び75未満の分子量を有するカルボン酸を含む比較例2及び3の導電ペーストは全て体積抵抗率が3μΩ・cmを超えていた。
更に、実施例2及び比較例1の導電ペーストについて、実施例1と同様にして、スライドガラス上にパターンを塗布して複数の試験片を作製し、各試験片をそれぞれ90〜300℃で30分間熱処理した後、実施例1と同様にして、抵抗値と膜厚を測定し、体積抵抗率を求めた。結果を表3に示す。
図1は、銀微粒子(AI)を含有する層を、そのまま使用した導電ペースト(比較例1)と、これに2−エチルヘキサン酸を添加した導電ペースト(実施例2)を塗布した試験片を、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃で30分間熱処理した後のFE−SEM写真と、体積抵抗率(Ω・cm)の数値とを示す。また、図2は、実施例2または比較例1の導電ペーストの熱処理温度と、各導電ペーストを熱処理して得られた導電膜の体積抵抗率(Ω・cm)の関係を示すグラフである。
表3、図1及び図2に示すとおり、実施例2の導電ペーストは、150℃の熱処理温度で、体積抵抗率が4μΩ・cm以下の優れた導電性を有する導電膜を形成することができた。また、実施例2の導電ペーストは、120℃の熱処理温度で、体積抵抗率が5μΩ・cm以下の優れた導電性を有する導電膜を形成することができた。実施例2の導電ペーストは、100℃の熱処理温度で、体積抵抗率が30μΩ・cm程度の導電性を有する導電膜を形成することができた。実施例2の導電ペーストは、180℃以下、好ましくは150℃以下の低温の熱処理温度でも、導電ペースト中に含まれる銀微粒子同士の融着が進み、導電性がより改善された導電膜を形成することができた。実施例2の導電ペーストは、図1のFE−SEM写真に示すように、好ましくは120〜180℃、より好ましくは120〜150℃の熱処理温度で、緻密性及び平滑性に優れた導電膜を形成できることが確認できた。実施例2の導電膜は、銀膜である。
(実施例7)
実施例2の導電ペーストに、更にバインダ樹脂としてヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルを3.3質量部、硬化剤として4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニル]ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートを0.17質量部添加して、実施例7の導電ペーストを得た。表4に、実施例7及び比較例1の導電ペーストの配合を示す。
<体積抵抗率の測定>
実施例7及び比較例1の導電ペーストを用い、幅26mm、長さ76mm、厚さ1.2〜1.5mmのスライドガラスに、各導電ペーストを幅10mm、長さ50mm、厚さ約0.05mmのパターンに塗布した。そのようにして塗布した試験片を80〜200℃で30分間熱処理した後、導電ペーストから得られた薄膜の厚さと抵抗値を測定し、更に実施例2と同様にして、体積抵抗率を求めた。結果を表4に示す。
表4に示すとおり、実施例7の導電ペーストは、バインダ樹脂及び硬化剤を含む場合であっても、150℃の熱処理温度で、体積抵抗率が4μΩ・cm以下の優れた導電性を有する導電膜を形成することができた。実施例7の導電ペーストは、バインダ樹脂及び硬化剤を含む場合であっても、120℃の熱処理温度で、体積抵抗率が5.5μΩ・cm以下の優れた導電性を有する導電膜を形成することができた。実施例7の導電ペーストは、バインダ樹脂及び硬化剤を含む場合であっても、100℃の低温の熱処理温度でも、20μΩ・cm以下の導電性を有する導電膜を形成することができた。実施例7の導電膜は、銀膜である。
本発明の導電ペーストによれば、300℃以下、好ましくは200℃以下、例えば120〜180℃の低温の熱処理温度で、導電膜の緻密性や表面平滑性が確保され、十分な導電性(例えば、体積抵抗率5.5μΩ・cm以下、より好ましくは5μΩ・cm未満レベル)を示す導電膜を形成することができる。本発明の導電ペーストは、より微細化する回路パターンを形成する要求に応えることができる。更に、現在、携帯電話をはじめとする分野で、基板として、ポリイミド製フレキシブル回路基板から、更により安価なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム等に変更したいという市場要求に、本発明の導電ペーストは応えることができ、産業上の極めて有用である。

Claims (10)

  1. (i)1次粒子の平均粒子径が40〜350nmであり、(ii)結晶子径が20〜70nmであり、かつ(iii)結晶子径に対する1次粒子の平均粒子径の比が1〜5である銀微粒子(A)を100質量部と、脂肪族第一級アミン(B)を1〜40質量部と、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)を1〜20質量部とを含む、導電ペースト。
  2. カルボン酸(C)が、75〜160の分子量を有するカルボン酸である、請求項1記載の導電ペースト。
  3. カルボン酸(C)が、炭素数6〜9の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を含む脂肪族モノカルボン酸、及び炭素数2〜6の脂肪族ヒドロキシ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸である、請求項1又は2記載の導電ペースト。
  4. カルボン酸(C)が、ヘキサン酸、2−エチルへキサン酸、オクタン酸、4−メチル−n−オクタン酸、乳酸及びグリコール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸である、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電ペースト。
  5. 脂肪族第一級アミン(B)が、3−メトキシプロピルアミン及び1,2−ジアミノシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族第一級アミンである請求項1〜4のいずれか1項記載の導電ペースト。
  6. 更にバインダ樹脂(D)を1〜20質量部を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の導電ペースト。
  7. バインダ樹脂(D)が、フタル酸系グリシジル型エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のバインダ樹脂である、請求項6記載の導電ペースト。
  8. (1)カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合する工程、
    (2)還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で反応させる工程、
    (3)反応生成物を層分離させて、銀微粒子(A)を含有する層を回収する工程、
    (4)回収した層中に含まれる銀微粒子100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む、導電ペーストの製造方法。
  9. (1)有機溶媒の存在下に、カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合する工程、
    (2)還元剤(c)を添加して、反応温度20〜80℃で反応させる工程、
    (3)反応生成物を層分離させて、銀微粒子(A)を含有する層を回収する工程、
    (4)回収した層中に含まれる銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む、導電ペーストの製造方法。
  10. カルボン酸の銀塩(a)と脂肪族第一級アミン(B)を混合し、次いで還元剤(c)を添加し、反応させて得られる銀微粒子(A)を含む反応混合物に、該反応混合物中の銀微粒子(A)100質量部に対して、75〜200の分子量を有するカルボン酸(C)1〜20質量部を混合する工程を含む、導電ペーストの製造方法。
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