JP2018054507A - 熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法、及び測定装置 - Google Patents

熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法、及び測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】測定対象が膜厚の大きい熱伝導材料の場合であっても正確に熱輸送能力/熱伝導率の値を得る。【解決手段】本発明の測定方法は、熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定工程と、前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法、及び測定装置に関する。特に、熱伝導材料としてグラファイト材料を対象とした熱輸送能力または熱伝導率の測定方法、及び測定装置に関する。
従来、グラファイト材料の面方向の熱伝導率は、次式(1)によって算出することができる。
=α×d×Cp ・・・・(1)
ここで、Aは、グラファイト材料の熱伝導率、αは、グラファイト材料の熱拡散率、dは、グラファイト材料の密度、Cpは、グラファイト材料の比熱容量をそれぞれ表わしている。
ここで、グラファイト材料の熱拡散率、密度、および比熱容量のうち、熱拡散率は、光交流法または周期加熱法により測定される。光交流法は、グラファイト材料の片面にレーザ光の照射により交流加熱された熱源を形成し、該熱源によるグラファイト材料の所定箇所での温度変化を検出し、伝播時間から熱拡散率を求める方法である。また、周期加熱法は、グラファイト材料の一方の面に温度波を与え、グラファイト材料内部での位相差、または振幅の減衰比を測定することにより、熱拡散率を求める方法である。(特許文献1,2)
特開平8−261967号公報 特開2006-214921号公報
しかしながら、上述の光交流法及び周期加熱法では、いずれも、グラファイト材料にレーザ光を照射して測定するため、グラファイト材料の膜厚が比較的大きい場合にはレーザ強度を大きくし、長時間レーザ光を照射する必要がある。そのため、膜厚が大きいとレーザ光の影響を受けて測定するグラファイト材料の温度が高くなってしまう。
ここで、光交流法または周期加熱法にてグラファイト材料の熱拡散率を測定する場合、熱拡散率の実測値は、グラファイト材料の温度に依存する。すなわち、グラファイト材料の膜厚が大きいほど、レーザ強度を強くする必要があり、その結果グラファイト材料の温度が高くなるので、熱拡散率の実測値は真の熱拡散率の値から外れてしまう。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、熱伝導材料(例えばグラファイト材料)の膜厚が比較的大きい場合であっても、より正確に熱輸送能力または熱伝導率の測定が可能な、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法、及び測定装置を提供することを目的とする。
本発明の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法は、熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定工程と、前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含むことを特徴としている。
また、本発明の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法は、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により熱伝導材料の電圧を測定する電圧測定工程と、前記電圧に基づいて、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含むことを特徴としている。
本発明の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置は、熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定部と、前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出部と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置は、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により熱伝導材料の電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧に基づいて、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出部と、を備えることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、熱伝導材料の膜厚が比較的大きい場合や、熱伝導材料の表面に熱伝導性に劣る材料が形成されている場合であっても、短時間で熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定が可能であり、熱伝導材料の温度変化が小さく、より正確な熱伝導率の値を得ることができる。
グラファイトステッカーの被着体61への固定を説明するための側面図である。 熱伝導率の実測値と電気伝導率の実測値とのフィッティング、及び電気伝導率と熱伝導率との相関関係の導出を模式的に示した模式図である。 本発明の一実施形態に係るグラファイト材料の熱伝導率の測定装置1の構成を示すブロック図である。 図3に示す測定装置1の変形例を示すブロック図である。 本発明の他の実施形態に係るグラファイト材料の熱伝導率の測定装置1Bの構成を示すブロック図である。 図5に示す測定装置1Bの変形例を示すブロック図である。 本発明のさらに他の実施形態に係るグラファイト材料の熱伝導率の測定装置1Dの構成を示すブロック図である。 表1に示すグラファイト材料サンプル1〜30について、電気伝導値の測定値及び熱輸送能力の測定値をプロットしたグラフである。 表1に示すグラファイト材料サンプル1〜30について、電気伝導率の測定値及び熱伝導率の測定値をプロットしたグラフである。 表1に示すグラファイト材料サンプル1〜30について、熱輸送能力の測定値及び電圧の測定値をプロットしたグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全ては、本明細書中に参考として援用される。また、本明細書では特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔実施形態1〕
〔1〕グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法
上述したように、従来、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出するために、光交流法または周期加熱法により熱拡散率を測定していた。それら方法では測定の際にグラファイト材料にレーザ光を照射するが、膜厚が大きい場合にはレーザ強度を大きくする必要があり、その結果、グラファイト材料の温度が高くなってしてしまう。グラファイト材料の温度が異なれば熱拡散率の実測値も異なる結果となり(熱拡散率の実測値の温度依存性)、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率を正確に測定できないことを本願発明者らは独自に見出した。また、本願発明者らはグラファイト材料の表面に熱伝導性に劣る材料が形成されている場合であっても、グラファイト材料の温度に影響を与えず熱輸送能力または熱伝導率が短時間で測定可能な、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法について鋭意研究した。
その結果、本願発明者らは、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率と電気抵抗値または電気伝導率に相関性があることに着目し、本願発明を完成させた。すなわち、本発明の一実施形態に係るグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法は、グラファイト材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定工程と、前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいてグラファイト材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含む測定方法である。
上記の構成では、電気特性測定工程にて、グラファイト材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率(以下、電気特性値と記す)を測定している。そして、これら測定された電気特性値に基づいて、第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程にて熱輸送能力または熱伝導率を算出する。このように、本願発明のグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法では、熱輸送能力または熱伝導率を測定するために、グラファイト材料にレーザ光照射を行わず電気特性測定を行っている。よって、グラファイト材料の膜厚が比較的大きい場合やグラファイト材料の表面に熱伝導性に劣る材料が形成されている場合であっても、グラファイト材料の電気特性値を比較短時間で測定することができ、グラファイト材料の温度変化も小さく、より正確に熱輸送能力もしくは熱伝導率を得ることができる。それゆえ、本実施形態によれば、グラファイト材料の膜厚が比較的大きい場合であっても、正確にグラファイト材料の熱伝導率の測定が可能である。
(測定対象となるグラファイト材料について)
本願発明の測定方法の対象となるグラファイト材料は、電気伝導率を測定可能なものであれば、特に限定されない。
本願発明において測定の対象とするグラファイト材料の膜厚は、好ましくは、5μm〜2mmであり、より好ましくは8μm〜1.5mmであり、より好ましくは10μm〜1mmであり、特に好ましくは15μm〜500μmであり、さらに好ましくは30μm〜300μmである。グラファイト材料の膜厚が上記範囲内である場合、光交流法または周期加熱法により熱拡散率を測定すると、レーザ光照射によりグラファイト材料の温度が高くなるため、熱拡散率の正確な値が測定できない。しかし、本願発明の測定方法では、グラファイト材料の膜厚が上記範囲内であっても、グラファイト材料の温度が高くならないため、より正確な熱伝導率の測定が可能である。
また、グラファイト材料は、面方向の熱伝導率が、その面に対して垂直方向の熱伝導率よりも高い場合に本測定は好適である。面方向の熱伝導率と垂直方向の熱伝導率の異方性が大きい材料ほど面方向への熱伝導性に優れるため、従来の測定方法では熱伝導率を測定する際に、よりレーザ強度を高く、エネルギーを加えて測定する必要があるためである。このように熱伝導率について異方性を有するグラファイト材料に対して、本願発明の測定方法を好適に適用できる。
また、本実施形態に係る測定方法にて測定可能なグラファイト材料の熱伝導率の範囲は、200〜2000W/mKである。
グラファイト材料は、グラファイトブロック、グラファイトフィルム、複数のグラファイトフィルムを重ね合せた材料、複数のグラファイトフィルムを材料層で貼り合せたグラファイト積層体、グラファイトプレート等が挙げられる。ざらに、グラファイト材料には、先に例示した材料を材料本体として保護層、粘着層、剥離シート、アプリケーションシート等を貼り付けた複合フィルムも含まれる。
ここで、本願明細書では本発明の測定方法、測定装置における測定対象としてグラファイト材料を用いて説明しているが、測定対象はグラファイト材料に限られず、電磁誘導作用により発生する渦電流を利用して電気伝導率を測定することができる材料であれば、他の熱伝導材料も測定対象とすることができる。なお、グラファイト材料は上述のように面方向の熱伝導率と垂直方向の熱伝導率の間で異方性を有する性質を有することから、本発明の測定方法、測定装置における測定対象として好適であり、さらに薄膜のグラファイト材料は物理的に脆く、接触して電気特性を測定する場合にダメージを受けやすいことから、さらに測定対象として好適である。
(グラファイトフィルム)
グラファイトフィルムは、特に限定されず、高分子樹脂を炭化、黒鉛化して得られるグラファイトフィルム、または、天然黒鉛から得られるグラファイトフィルム、等を用いることができる。前者は強度が高く、かつ、高い熱伝導性を有しており、グラファイト積層体においても高い強度、および高い熱輸送能力を実現することができるため、より好ましい。
(グラファイトフィルムの製造方法)
本発明に用いられるグラファイトフィルムの製造方法は、特に限定されず、例えば、国際公開WO2015/080264号に記載の製造方法を用いることができる。
(グラファイトフィルムの面方向の熱伝導率)
本発明に使用されるグラファイトフィルムの面方向の熱伝導率は、1000W/(m・K)以上であることが好ましく、1100W/(m・K)以上であることがより好ましく、1200W/(m・K)以上であることがさらに好ましく、1300W/(m・K)以上であることがさらに好ましい。
面方向の熱伝導率が1000W/(m・K)以上のグラファイトフィルムを用いれば、より高い熱輸送能力を有するグラファイト積層体を得ることができる。また、面方向の熱伝導率が1000W/(m・K)以上のグラファイトフィルムは、金属材料(例えば、銅、アルミなど)に対して、3倍以上の熱伝導性を有することになる。それ故に、銅やアルミなどを用いた構成と同等の熱輸送能力になるように、グラファイト積層体に含まれるグラファイトフィルムの枚数を設定した場合、グラファイト積層体の重量を大幅に減少させることができ、その結果、放熱材料としてグラファイト積層体を利用する電子機器の軽量化にも貢献することができる。
(グラファイトフィルムの厚さ)
本発明に使用されるグラファイトフィルムの厚さは、特に限定されないが、好ましくは10μm〜200μmであり、より好ましくは12μm〜150μmであり、より好ましくは15μm〜100μmであり、より好ましくは20μm〜80μmである。グラファイトフィルムの厚さが10μm以上であれば、グラファイト積層体に含まれるグラファイトフィルムの積層枚数を削減することができ、熱伝導率の低い接着層の積層枚数を減らすことができる。また、グラファイトフィルムの厚さが、200μm以下であれば、グラファイト積層体の高い熱伝導率を実現することができる。
(グラファイト積層体)
グラファイト積層体は、グラファイトフィルムと、材料層とが、交互に積層されてなるものである。なお、グラファイトフィルムと材料層との間には、他の構成が挟まれていてもよいし、他の構成が挟まれていなくてもよい。
グラファイト積層体に含まれるグラファイトフィルムの積層数は、2層以上であり得るが、5層以上であることがより好ましく、10層以上であることがより好ましく、15層以上であることがより好ましく、20層以上であることがより好ましい。積層数の上限値は、特に限定されないが、1000層以下、500層以下、200層以下、100層以下、80層以下または50層以下であり得る。
積層数が3層以上であれば、熱輸送能力が高く、かつ、機械的強度に優れたグラファイト積層体を得ることができるので好ましい。
グラファイト積層体に含まれる材料層の積層数は、特に限定されず、グラファイトフィルムの積層数に合わせて、適宜設定することができる。例えば、グラファイト積層体では、(i)隣接するグラファイトフィルム間に、1枚の材料層は勿論のこと、2枚以上の材料層が配置されていてもよく、(ii)グラファイトフィルムが、グラファイト積層体の最上面のみに配置、グラファイト積層体の最下面のみに配置、または、グラファイト積層体の最上面および最下面の両方に配置されていてもよく、(iii)材料層が、グラファイト積層体の最上面のみに配置、グラファイト積層体の最下面のみに配置、または、グラファイト積層体の最上面および最下面の両方に配置されていてもよい。なお、本明細書における「グラファイトフィルムと材料層とが交互に積層」には、(a)隣接するグラファイトフィルム間に1枚の材料層が配置される場合、および、(b)隣接するグラファイトフィルム間に2枚以上の材料層が配置される場合、の両方が包含される。つまり、本発明では、接着層は、複数の材料層が積層されたものであってもよい。
(グラファイト積層体の厚さ)
グラファイト積層体の厚さ(換言すれば、図1のZ軸の方向の長さ)は、特に限定されないが、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。グラファイト積層体の厚さが0.05mm以上であれば、輸送できる熱量が多くなり、発熱量が大きな電子機器にも適用することができる。グラファイト積層体の厚さの上限値は、特に限定されないが、電子機器の薄型化という観点からは、10mm以下であってもよいし、7.5mm以下であってもよいし、5mm以下であってもよいし、2.5mm以下であってもよいし、1mm以下であってもよい。
更に、グラファイトフィルムの各々の厚さの合計(Tg)を材料層の各々の厚さの合計(Ta)で割った値(Tg/Ta)が、4.1〜40(更に好ましくは、8.0〜40、4.1〜27、または、8.0〜27)であり、かつ、グラファイト積層体の厚さが、0.5mm以上であることが好ましい。グラファイトフィルムは高い熱伝導性を有するが、厚さが80μm以下程度と薄く、一度に輸送できる熱量が多くない。そのため、一度に大きな熱量を輸送するためには、グラファイトフィルムを積層し、熱輸送能力を向上させることが好ましい。グラファイトフィルムの積層方法としては、グラファイトフィルムの表面の凹凸を吸収し、かつ、グラファイトフィルム同士の間の接触熱抵抗を低減させるために、材料層を介した積層が効果的である。
Tg/Taは、4.1以上であることが好ましく、8.0以上であることがより好ましい。Tg/Taが4.1以上であれば、グラファイトフィルムに比べて熱伝導率の低い材料層のグラファイト積層体内における存在比率が抑制され、グラファイト積層体の高い熱伝導性を実現すことができる。
Tg/Taは、40以下であることが好ましく、27以下であることがより好ましい。Tg/Taが40以下であれば、グラファイトフィルムの表面の凹凸を材料層によって吸収することができるため、グラファイトフィルム同士の間の接触熱抵抗を低減することができ、グラファイト積層体の高い熱伝導性を実現することができる。更に、Tg/Taが40以下であれば、グラファイトフィルム同士の間の接着力が良好になるため、切断や屈曲などの加工にも耐え得るグラファイト積層体を得ることができる。
また、切断中の力を材料層に適度に分散させて、切断箇所の厚さのばらつきを押さえるという観点からは、Tg/Taが、1〜50の範囲内であることが好ましい。
(材料層の種類)
前記材料層は、粘着剤を含む粘着層であってもよい。前記粘着層に用いられる粘着剤の材料としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。これらの材料は、耐熱性に優れ、グラファイト複合積層体を発熱部品及び/又は放熱部品と複合化して使用した場合にも、十分な長期信頼性が得られる。また、これらの材料は、繰り返し使用が可能であって長期信頼性に優れるため、再利用性及び再剥離性にも優れる。
また、前記材料層は、接着剤を含む接着層であってもよい。グラファイト積層体における接着層は、熱硬化性樹脂、または、熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、接着層の材料としては、フィルム状のものを用いることも可能であるし、ワニス状のものを用いることも可能である。
熱硬化性樹脂としては、例えば、国際公開WO2015/098890号([0162]段落)に記載の樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、国際公開WO2015/098890号([0163]段落)に記載の樹脂が挙げられる。
接着層としては、例えば、国際公開WO2015/098890号([0164]段落)に記載の材料が挙げられる。
(接着層の厚さ)
本発明における接着層の厚さは、15μm未満であり得る。具体的に、本発明における接着層の厚さは、0.1μm以上15μm未満が好ましく、1μm以上15μm未満がより好ましい。更に具体的に、本発明における接着層の厚さは、0.1μm以上10μm未満が好ましく、1μm以上10μm未満がより好ましく、1μm〜9μmがより好ましく、1μm〜7μmがより好ましい。接着層の厚さが15μm未満(より好ましくは、10μm未満)であれば、接着層の熱伝導率は、グラファイトシートの熱伝導率に比べて、はるかに小さくなる。そのため、接着層の厚さを15μm未満(より好ましくは、10μm未満)に制御することで、グラファイトシート同士の間の伝熱を阻害することなく良好に熱を伝達することができる。接着層の厚さが1μm以上であれば、接着層によってグラファイトシート表面の凹凸を吸収し、グラファイトシートと接着層との間の接触熱抵抗を低減することができ、効率的に熱を伝達することができる。また、接着層が1μm以上あれば、接着層が良好な接着性を示すことができる。また、上述した接着層の厚さであれば、グラファイト積層体の熱伝導率を、理論値に近い値にすることができる。
(グラファイトプレート)
グラファイトプレートは、複数枚の高分子フィルムまたは複数枚の炭素質フィルムを直接積層した積層体を2400℃以上まで加圧熱処理することによって得られたものである。
具体的には、高分子フィルムを1000℃程度の温度まで予備加熱し、炭素質フィルムを得る炭化工程と、炭化工程で作製された炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで加熱し、グラファイト化する黒鉛化工程とを経て、グラファイトプレートが得られる。炭化工程で得られる炭素質フィルムは、高分子フィルムの6割程度の重さとなり、ガラス状である。また、黒鉛化工程では、グラファイト層の再配列が起こり、高配向性が発現する。尚、炭化工程と黒鉛化工程とは連続しておこなっても、炭化工程を終了させて、その後黒鉛化工程のみを単独で行っても構わない。
(高分子フィルム)
本発明で使用する高分子フィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子フィルムである。特に、本願発明のグラファイトフィルムの原料フィルムとして好ましいのは、ポリイミドフィルムである。
また、本発明で使用するポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは13μm以下である。50μm以下のポリイミドフィルムを用いることで、炭化時に発生する分解ガスを排出するために必要な層間領域の数が多くなり、グラファイト層の浮きを抑制し、グラファイトプレートの吸水量を低減することができる。また、黒鉛化時にも2400℃以上の温度においては、グラファイトプレート内部にわずかに残存しているガスが膨張するため、層間領域を多くすることでその排出を促進し、グラファイト層の膨張を抑制できるため、吸水量の低いグラファイトプレートを得ることができる。
(複合フィルム)
複合フィルムは、グラファイトブロック、グラファイトフィルム、複数のグラファイトフィルムを重ね合せた材料、グラファイト積層体、またはグラファイトプレート等の材料を材料本体として保護層、粘着層、剥離シート、アプリケーションシート等を貼り付けたものである。複合フィルムとは、グラファイト材料を電子機器などに取り付ける際に、電気絶縁性や粉落ち防止などの機能性を付与する目的、取り付け作業性を高める目的などで他材料と複合させたシートを言う。
複合フィルムの構造は、保護層/材料本体/粘着層/剥離シート、アプリケーションシート/保護層/材料本体/粘着層/剥離シート、アプリケーションシート/保護層/材料本体/粘着層/材料本体/粘着層/剥離シート、などがある。
(保護層)
複合フィルムにおける保護層は、基材フィルムの片面に粘着剤または接着剤が形成されている。粘着剤または接着剤を介し材料本体の片面に貼り合わされる。グラファイトフィルムに電気絶縁性を付与する目的、黒鉛粉の発生を抑制する目的、コシのない材料本体を補強する目的などで使用する。また、本発明の保護層は、材料本体よりはみ出した部分で、保護層に付いている粘着剤または接着剤で、剥離シートや被着体と固定する役割も担う。
また、保護層の厚みは、好ましくは2μm〜200μm、さらに好ましくは6μm〜100μm、特に好ましくは10μm〜30μmである。基材フィルムの厚みが200μm以下であれば、材料本体の放熱特性を損なうことがない。一方、厚みが2μm以上であれば、保護層の機能を十分に発現できる。
保護層の基材フィルムは、特に制限を受けることなく様々なフィルムが使用可能である。PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどの高分子フィルムであれば、材料本体に電気絶縁性を付与できるために好ましい。
また、基材フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜100μm、好ましくは3μm〜50μm、さらに好ましくは4μm〜12μmである。基材フィルムの厚みが100μm以下であれば、グラファイトフィルムの放熱特性を損なうことがない。一方、厚みが1μm以上であれば、保護層の機能を十分に発現できる。
また、保護層の粘着剤は、特に制限を受けることなく様々な粘着剤が使用可能である。シリコーン系、アクリル系、合成ゴム系などが挙げられるが、耐熱性、耐久性、不純物の発生などの観点からアクリル系が好ましい。
また、保護層の粘着剤の厚みは、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μm、特に好ましくは6μm〜18μmである。基材フィルムの厚みが100μm以下であれば、材料本体の放熱特性を損なうことがない。一方、厚みが1μm以上であれば、保護層の機能を十分に発現できる。
保護層の接着剤は、特に制限を受けることなく様々な接着剤が使用可能である。エポキシ系、ポリイミド系などが挙げられる。
保護層の接着剤の厚みは、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μm、特に好ましくは6μm〜18μmである。基材フィルムの厚みが100μm以下であれば、材料本体の放熱特性を損なうことがない。一方、厚みが1μm以上であれば、保護層の機能を十分に発現できる。
保護層に形成される粘着剤と接着剤では、圧力だけで貼り合わせが可能な粘着剤の方が好ましい。
(粘着層)
複合フィルムにおける粘着層は、基材フィルムの両面に粘着剤または接着剤が形成されている層、あるいは粘着剤または接着剤の単層からなる部材を指す。複合フィルムでは、従来、グラファイトフィルムを剥離シートまたは被着体と接合する目的で使用される。しかし、本発明に用いる複合フィルムにおいて、粘着層は、必ずしもこのような目的で使用されていなくてもよい。
(剥離シート)
複合フィルムにおける剥離シートは、基材フィルムに離形材が形成されたシートである。材料本体からはみ出した、保護層の粘着剤または接着剤部分でグラファイトステッカーに固定される。剥離シートはグラファイトステッカーの使用時に剥離されるもので、保護層の粘着剤または接着剤を使用時までカバーすることを目的としている。図1は、グラファイトステッカーの被着体61への固定を説明するための側面図である。図1に示されるように、グラファイトステッカーは、材料本体11、保護層12、及び剥離シート14を備えている。使用時には、図1のように、剥離シート14はグラファイトステッカーから引き剥がして、被着体61に固定する。
なお、図1では、保護層12の側面部分に存在する粘着剤又は接着剤によって保護層と被着体が接合する場合を示しているが、保護層12のグラファイトシート接触部の同一平面に存在する粘着剤又は接着剤によって保護層と被着体が接合する場合についても、同様に本発明の対象である。
剥離シートの厚みは、好ましくは2μm〜200μm、さらに好ましくは6μm〜100μm、特に好ましくは10μm〜80μmである。剥離シートの厚みが200μm以下であれば、剥離シートを剥離する際にグラファイトステッカーにダメージを与えない。一方、厚みが2μm以上であれば、剥離シートをハンドリングしやすい。
剥離シートの基材フィルムは、特に制限を受けることなく様々なフィルムが使用可能である。PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。
剥離シートの基材フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜100μm、好ましくは3μm〜80μm、さらに好ましくは4μm〜60μmである。基材フィルムの厚みが100μm以下であれば、剥離シートを剥離する際にグラファイトステッカーにダメージを与えない。一方、厚みが1μm以上であれば、剥離シートのハンドリング性が十分である。
剥離シートの離形材は、特に制限を受けることなく様々な離形材が使用可能である。シリコーン系、フッ素系などが挙げられるが、耐久性、コストの観点からシリコーン系が好ましい。
剥離シートの離形材の厚みは、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μm、特に好ましくは6μm〜18μmである。離形材の厚みが100μm以下であれば、グラファイトステッカーを剥離シート上に固定できる。一方、厚みが1μm以上であれば、グラファイトステッカーを剥離シートから剥離できる。
(アプリケーションシート)
複合フィルムにおけるアプリケーションシートは、基材フィルムに再剥離が可能な程度の微粘着剤が形成されているシートである。本発明のアプリケーションシートはグラファイトステッカーの使用時に剥離されるもので、グラファイトステッカーの貼り合わせの作業性を高めることを目的としている。
(電気特性測定工程)
本発明の測定方法では、電気特性測定工程にて、上述の測定対象となるグラファイト材料に対して、電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定している。
電気特性値を測定する方法は、特に限定されず、接触式の測定法であってもよいし、非接触式の測定法であってもよい。特に、非接触式の測定方法は測定対象となるグラファイト材料に物理的ダメージを与えないので好ましい。非接触式の測定方法は、例えば、コロナ放電法、高周波静電結合法、高周波渦電流法、パルス電圧励磁法が挙げられる。これらの非接触式の測定方法の中でも、測定対象のグラファイト材料がグラファイトフィルムと当該グラファイトフィルムに接した絶縁層とを含む積層体である場合、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により電気特性値を測定することが好ましい。
高周波渦電流法は、電磁誘導作用により発生する渦電流を利用することにより電気特性値を測定する方法である。具体的には、励磁コイルを有する回路に高周波の電流を流すことによりグラファイト材料に磁界を印加し、グラファイト材料の面内に高周波の渦電流を発生させる。このとき、この渦電流により、グラファイト材料内で電流消費され、電力損失が生じる。そして、この電力損失に比例して回路内の電流が減少する。この減少した電流値を検出し、検出した電流値に基づいて、グラファイト材料の電気特性値を測定する。
また、パルス電圧励磁法は、特開2011−163908号公報に開示された技術を応用した電気特性値の測定方法である。パルス電圧励磁法は、高周波渦電流法と同様に、グラファイト材料の面内に渦電流を発生させることにより生じる電力損失に基づいて、電気特性値を測定する方法である。
また、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法では、グラファイト材料の面内に発生する渦電流値を検出することにより、検出された渦電流値からグラファイト材料の電圧を求めることができる。そして、この電圧の値から電気抵抗値、及び電気伝導率を算出することができる。
このように高周波渦電流法及びパルス電圧励磁法では、グラファイト材料の面内の渦電流値に基づき電気抵抗値または電気伝導率を測定している。それゆえ、グラファイトフィルムと絶縁層とを含む積層体であるグラファイト材料では、積層体の各グラファイトフィルム面内に発生した渦電流値に基づいて電気抵抗値または電気伝導率を測定するので、正確な電気抵抗値を測定できる。
また、電気抵抗/電気伝導率測定工程にて使用される電気抵抗測定器の電気抵抗値(シート抵抗)の測定可能な範囲は、好ましくは40μΩ/□〜3kΩ/□であり、より好ましくは、50μΩ〜2kΩであり、特に好ましくは60μΩ〜1kΩである。
また、グラファイト材料の電気抵抗値または電気伝導率の測定環境は、使用する電気抵抗測定器の構成などに応じて適宜設定される。例えば、測定対象のグラファイト材料の温度は、20℃であり、測定環境の温度は15℃〜45℃である。
また、電気伝導率は、グラファイト材料の電気抵抗値(Ω/□)から算出することができる。ここで、グラファイト材料の電気抵抗率(Ω・cm)は、電気抵抗値(Ω/□)×(グラファイト材料の厚さ(cm))である。そして、グラファイト材料の電気伝導率(S/cm)は、電気抵抗率(Ω・cm)の逆数、すなわち1/電気抵抗率(Ω・cm)である。それゆえ、グラファイト材料の厚さ、及び電気抵抗値を測定すれば、グラファイト材料の電気伝導率を算出することができる。
また、電気伝導値(S)は、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により測定することができるが、電気伝導率及びグラファイト材料の厚さから算出することもでき、(電気伝導率(S/cm))×(グラファイト材料の厚さ(cm))である。
また、電気抵抗率(Ω・cm)は、電気伝導率(S/cm)の逆数、すなわち1/電気伝導率(S/cm)である。
(第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程)
第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、前記電気特性測定工程にて測定された電気特性値に基づいてグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する。すなわち、第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいてグラファイト材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する。
ここで、熱輸送能力とは、(熱伝導率)×(グラファイト材料の膜厚)として定義される。それゆえ、熱伝導率が算出されれば、熱輸送能力も算出される。それゆえ、第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、前記電気抵抗率または電気伝導率に基づいてグラファイト材料の熱伝導能力を算出することもできる。
以下、グラファイト材料の熱伝導率の算出方法について、詳述する。電気抵抗率または電気伝導率に基づいて算出することが可能であれば、グラファイト材料の熱伝導率の算出方法は特に限定されない。
かかるグラファイト材料の熱伝導率は、例えば、複数のグラファイト材料サンプルに対して、熱伝導率の値と電気伝導率の値を事前に測定して求め、それらをフィッティングして得られた、熱伝導率と電気伝導率の相関式等に基づき算出することができる。すなわち、事前に求めた、熱伝導率の実測値と電気伝導率の実測値との相関曲線または相関直線に基づき、グラファイト材料の熱伝導率を算出することができる。ここでいう「相関曲線または相関直線」とは、複数のグラファイト材料サンプルについて熱伝導率の実測値及び電気伝導率の実測値をプロットし、該プロットを近似して得られた曲線または直線を意味し、「複数の」とは2点以上の点数を意味し、好ましくは3点以上、さらに点数が多い方が正確性の観点で好ましい。
第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、事前に測定した熱伝導率及び電気伝導率をフィッティングし、熱伝導率と電気伝導率との相関関係を導き出している。そして、導き出された相関関係に基づいて、電気伝導率から熱伝導率を算出している。図2は、熱伝導率の実測値と電気伝導率の実測値とのフィッティング、及び電気伝導率と熱伝導率との相関曲線の導出を模式的に示した模式図である。
例えば7つのグラファイト材料サンプルそれぞれについて、電気伝導率a及び熱伝導率bを測定する。そして、図2に示されるように、測定された電気伝導率a及び熱伝導率bを、座標上にプロットする。図2に示される(a,b)〜(a,b)の座標点が、測定された電気伝導率a及び熱伝導率bのプロットである。そして、(a,b)〜(a,b)の座標点にフィットする相関曲線または相関直線の関数f(a,b)を導出る。関数f(a,b)へのフィッティング方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、最小二乗法を用いることができる。
このようなフィッティングによって得られた関数f(a,b)は、電気伝導率から熱伝導率への換算式となり得る。第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、例えば、前記電気抵抗/電気伝導率測定工程にて測定された電気伝導率と関数f(a,b)とから、熱伝導率を換算している。
また、グラファイト材料の熱伝導能力は、例えば、事前に測定して得られた複数のグラファイト材料サンプルに対する熱伝導能力の実測値と電気抵抗値または電気伝導値の実測値とをフィッティングして得られた、熱伝導能力と電気抵抗値または電気伝導値との相関式等に基づき算出することができる。すなわち、事前に得られた熱伝導能力の実測値と電気抵抗値または電気伝導値の実測値との相関曲線に基づき、熱輸送能力を算出することができる。なお、フィッティング方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、最小二乗法を用いることができる。
〔2〕グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置
本発明に係るグラファイト材料の熱伝導率の測定装置は、上述した熱輸送能力または熱伝導率の測定方法を実現可能な構成であれば特に限定されない。図3は、本発明の一実施形態に係るグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置1の構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置1は、計算処理部2と、インターフェイス部3と、グラファイト材料に対し、電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定部4と、を備えている。
電気特性測定部4は、電気特性測定器4Aを備えている。電気特性測定器4Aは、グラファイト材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する機器であり、例えば非接触式の電気抵抗測定器が挙げられる。また、電気特性測定部4は、グラファイト材料に対し磁界を印加し、グラファイト材料内に渦電流を発生させる渦電流発生部4Bを備えている。このような構成により、グラファイト材料の電気特性値(例えば電気抵抗値)を高周波渦電流法及びパルス電圧励磁法を用いて測定することができる。
インターフェイス部3は、測定装置1のユーザの操作入力を受け付けて計算処理部2に送信する。また、インターフェイス部3は、計算処理部2から出力される計算結果等を表示する。インターフェイス部3は、表示部5及び操作・入力部6を備えている。
表示部5は、熱伝導率、熱輸送能力等を表示するものであり、公知の液晶ディスプレイ等で構成することができる。操作・入力部6は、インターフェイス部3に設けられた、図示しない入力手段に入力された入力データを計算処理部2に送信する。なお、入力データとは、例えば電気特性測定部4の測定値を示すデータを指す。また、操作・入力部6の入力手段は、ユーザが電気特性測定部4の測定値等を入力できるものであればよく、例えば、入力キーやタッチパネルで構成することができる。
計算処理部2は、インターフェイス部3が送信する入力データを受信し、該入力データに基づいて所定の処理を行い、該処理結果をインターフェイス部3に返す。計算処理部2は、熱輸送能力/熱伝導率算出部7(第1の熱輸送能力/熱伝導率算出部)、及び記憶部8を備えている。
熱輸送能力/熱伝導率算出部7は、インターフェイス部3から送信された電気特性値のデータから熱伝導能力または熱伝導率を算出する。熱輸送能力/熱伝導率算出部7は、電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいてグラファイト材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する。熱輸送能力/熱伝導率算出部7による熱伝導能力または熱伝導率の算出方法については、上述した第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と同様である。
記憶部8は、例えばRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を備えて、各種データ及び各種プログラムを記憶するものである。具体的には、記憶部8は、測定装置1を動作させるプログラム等を記憶している。
図4は、図3に示す測定装置1の変形例を示すブロック図である。図4に示されるように、測定装置1Aは、電気特性測定部4が電気特性測定器4Aの代わりに電気特性算出部4Cを備えた点で図3に示す測定装置1と異なる。電気特性算出部4Cは、渦電流発生部4Bによりグラファイト材料の面内に発生した渦電流により生じる電力損失に基づいて、電気特性値を算出し、算出された電気特性値データを計算処理部2へ送信する。
図4に示す測定装置1Aにおいて、熱輸送能力/熱伝導率算出部7は、電気特性算出部4Cから送信された電気特性値のデータから熱伝導能力または熱伝導率を算出する。すなわち、電気特性算出部4Cから計算処理部2への電気特性値データの送信は、インターフェイス部3を介さない。
なお、例えば、電気特性算出部4Cが電気特性値として電気伝導値または電気抵抗値を算出する場合、電気伝導率または電抵抗率のデータを送信するためにグラファイト材料の厚さが必要である。このような場合、電気特性算出部4Cは、操作・入力部6により入力されたグラファイト材料の厚さデータに基づき、電気伝導値または電気抵抗値から電気伝導率または電気抵抗率を算出する。そして、算出した電気伝導率または電気抵抗率のデータを計算処理部2へ送信する。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、説明する。
本実施形態に係るグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法は、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法によりグラファイト材料の電圧を測定する電圧測定工程を含む点で、前記実施形態1と異なる。
本願発明者らは、上述した課題を解決する測定方法について鋭意研究した結果、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率と電圧との相関性に着目し、本願発明を完成させた。すなわち、本実施形態に係るグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法は、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法によりグラファイト材料の電圧(電磁誘導作用によりグラファイト材料に発生する誘導電圧)を測定する電圧測定工程と、その電圧に基づいて、グラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含む測定方法である。
上記の構成では、電圧測定工程にて、グラファイト材料の電圧を測定している。そして、この測定された電圧値に基づいて、第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程にて熱輸送能力または熱伝導率を算出している。このように、本実施形態のグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法では、グラファイト材料の温度上昇の原因となるレーザ光照射を行わずに熱輸送能力または熱伝導率を測定している。よって、グラファイト材料の膜厚が比較的大きい場合や、グラファイト材料の表面に熱伝導性に劣る材料が形成されている場合であっても、グラファイト材料の電圧値を比較的短時間で測定することができる。それゆえ、本実施形態の測定方法によれば、グラファイト材料の膜厚が比較的大きい場合であっても、グラファイト材料の温度変化が小さく、より正確にグラファイト材料熱伝導能力または熱伝導率の測定することができる。
前記電圧測定工程では、電圧測定工程にてグラファイト材料の電圧を測定する測定器は、前記実施形態1の(電気特性測定工程)の項にて説明した電気抵抗測定器と同様に、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法によって電圧を測定する機器を用いる。
第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、前記電圧測定工程にて測定された電圧値に基づいてグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する。ここで、熱輸送能力とは、(熱伝導率)×(グラファイト材料の膜厚)として定義される。それゆえ、熱伝導率が算出されれば、熱輸送能力も算出される。それゆえ、第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、前記電気抵抗率または電気伝導率に基づいてグラファイト材料の熱伝導能力を算出することもできる。
かかるグラファイト材料の熱伝導率は、例えば、複数のグラファイト材料サンプルに対して、事前に熱伝導率の値と電圧の値を測定し、それらの実測値をフィッティングして得られた、熱伝導率と電圧の相関式等に基づき算出することができる。すなわち、事前に求めた、熱伝導率の実測値と電圧の実測値との相関曲線に基づき、グラファイト材料の熱伝導率を算出することができる。なお、フィッティング方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、最小二乗法を用いることができる。
図5は、本実施形態に係るグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置1Bの構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した各部と同じ機能を有するものについては、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図5では、本実施形態に係る測定装置1Bは、グラファイト材料の電圧を測定する電圧測定部9を備えている点が、前記実施形態1の測定装置と異なる。
電圧測定部9は、非接触式の電圧測定器9Aを備えている。また、電圧測定部9は、グラファイト材料に対し磁界を印加し、グラファイト材料内に渦電流を発生させる渦電流発生部9Bを備えている。このような構成により、グラファイト材料の電圧値を高周波渦電流法及びパルス電圧励磁法を用いて測定することができる。
本実施形態に係る測定装置1Bでは、計算処理部2は、熱輸送能力/熱伝導率算出部7A(第2の熱輸送能力/熱伝導率算出部)、及び記憶部8を備えている。
熱輸送能力/熱伝導率算出部7Aは、インターフェイス部3から送信された電圧値のデータから熱伝導能力または熱伝導率を算出する。
図6は、図5に示す測定装置1Bの変形例を示すブロック図である。図6に示されるように、測定装置1Cは、電圧測定部9が電圧測定器9Aの代わりに電圧算出部9Cを備えた点で図5に示す測定装置1Bと異なる。電圧算出部9Cは、渦電流発生部9Bによりグラファイト材料の面内に発生した渦電流値から電圧を算出し、算出された電圧値のデータを計算処理部2へ送信する。
図6に示す測定装置1Cにおいて、熱輸送能力/熱伝導率算出部7Aは、電圧算出部9Cから送信された電圧値のデータから熱伝導能力または熱伝導率を算出する。すなわち、電圧算出部9Cから計算処理部2への電気特性値データの送信は、インターフェイス部3を介さない。
〔実施形態3〕
本発明のさらなる他の実施形態について、説明する。図7は、本実施形態に係るグラファイト材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置1Dの構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した各部と同じ機能を有するものについては、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図7では、本実施形態に係る測定装置1Dは、グラファイト材料の電気特性値を測定する電気特性測定部4が電圧測定部9を備えている点が、前記実施形態1の測定装置と異なる。
電圧測定部9の構成は、図6に示された構成と同様であるので、説明を省略する。本実施形態に係る測定装置1Dの電気特性測定部4において、電気特性算出部4Dは、電圧測定部9の電圧算出部9Cにより算出された電圧値を用いて、グラファイト材料の電気特性値を算出する。そして、算出された電気特性値データを計算処理部2へ送信する。
熱輸送能力/熱伝導率算出部7は、電気特性算出部4Dから送信された電気特性値のデータから熱伝導能力または熱伝導率を算出する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。特に測定対象としてグラファイト材料について本発明を説明したが、測定対象はグラファイト材料に限られず、電磁誘導作用により発生する渦電流を利用することにより電気伝導率を測定することができる材料であれば、測定の対象とすることができる。
本発明は、以下の(1)〜(12)の態様を包含する。
(1)熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定工程と、その電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、その電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含む、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
上記の構成では、熱伝導率を測定するために、熱伝導材料の温度上昇の原因となるレーザ光照射を行わず、前記電気特性測定工程にて熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定している。よって、熱伝導材料の膜厚が比較的大きい場合や、熱伝導材料の表面に熱伝導性に劣る材料が形成されている場合であっても、比較短時間で熱伝導材料の電気特性値を測定することができる。それゆえ、上記の構成では、熱伝導材料の膜厚が比較的大きい場合であっても、熱伝導材料の温度変化は小さく、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を正確に測定することができる。
(2)第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、事前に求めた、複数の熱伝導材料サンプルに対する、熱伝導率の実測値と電気伝導率の実測値との相関曲線または相関直線に基づき、熱輸送能力または熱伝導率を算出する、(1)記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
(3)電気抵抗測定工程では、非接触式の抵抗測定器を用いて、電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する、(1)または(2)に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
上記の構成では、非接触式の抵抗測定器を用いて電気特性値を測定するので、測定対象となる熱伝導材料に物理的ダメージを与えない。
(4)電気抵抗測定工程では、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により電気抵抗値を測定する、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
高周波渦電流法及びパルス電圧励磁法では、熱伝導材料面内の渦電流値に基づき電気抵抗値を測定している。それゆえ、上記の構成おいては、熱伝導材料がグラファイトフィルムと絶縁層とを含む積層体である場合、積層体の各グラファイトフィルム面内に発生した渦電流値に基づいて電気抵抗値を測定するので、正確に電気抵抗値を測定することができる。
(5)高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により熱伝導材料の電圧を測定する電圧測定工程と、その電圧に基づいて、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含む、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
これにより、熱伝導材料の膜厚が比較的大きい場合であっても、熱伝導材料の温度変化は小さく、正確に熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定をすることができる。
(6)熱伝導材料の厚さは、5μm以上2mm以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
上記のような比較的膜厚が大きい熱伝導材料に対しても、熱伝導材料の温度変化は小さく、正確に熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定をすることができる。
(7)熱伝導材料は、グラファイトフィルムと、材料層とが、交互に積層されてなるグラファイト積層体である、(1)〜(6)のいずれかに記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
上記のように熱伝導材料が積層体である場合でも、熱伝導材料の温度変化は小さく、正確に熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定することができる。
(8)熱伝導材料は、面方向の熱伝導率が、その面方向に対する垂直方向の熱伝導率よりも高い、(1)〜(7)のいずれかに記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
上記のように面内方向と該面内方向に対する垂直方向において熱伝導率の異方性がある熱伝導材料に対しても、熱伝導材料の温度変化は小さく、より正確に熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定することができる。
(9)熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定部と、その電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、その電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出部と、を備える熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
上記の構成では、熱伝導材料の膜厚が比較的大きい場合であっても、熱伝導材料の温度変化は小さく、正確に熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定をすることができる。
(10)電気特性測定部は、非接触式の抵抗測定器を備える、(9)に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
上記の構成では、熱伝導材料に接触しないため、測定対象となる熱伝導材料に物理的ダメージを与えない。
(11)電気特性測定部は、熱伝導材料に対し磁界を印加し、熱伝導材料内に渦電流を発生させる渦電流発生部を備えている、(9)または(10)に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
上記の構成では、熱伝導材料の電気抵抗値を高周波渦電流法及びパルス電圧励磁法を用いて測定することができる。
(12)高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により熱伝導材料の電圧を測定する電圧測定部と、その電圧に基づいて、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出部と、を備えている熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
上記の構成によれば、熱伝導材料の膜厚が比較的大きい場合であっても、正確に熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定をすることができる。
以下に本発明を説明するためにいくつかの実施例を示すが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
1.グラファイト材料サンプル
厚さの異なる5種類のグラファイトフィルムGS−1〜GS−5を使用した。表1に示すGS−1〜GS−5の組合せ及び層数にて、グラファイトフィルムを5μmの接着層により貼り合わせて、グラファイト積層体としてのグラファイト材料サンプル1〜30を作製した。なお、グラファイト材料サンプル1、7、13、19、25はそれぞれ、GS−1、GS−2、GS−3、GS−4、GS−5の単層グラファイトフィルムである。
2.グラファイト材料サンプルの各種物性測定
<グラファイトフィルムの厚さ測定>
グラファイトフィルムの厚さは、マイクロメータ((株)ミツトヨ・デジマチック標準外側マイクロメータMDC−25MX)を用いて測定した。50mm×50mmのサンプルを用意し、20℃の雰囲気にて、任意の10点を測定した。そして、得られた厚さの10点の測定値の平均値を、グラファイトフィルムの厚さとした。
<グラファイトフィルムの密度測定>
グラファイトフィルムの密度は、グラファイトフィルムの質量(g)をグラファイトフィルムの縦、横、厚さの積で算出した体積(cm)で割り算することにより算出された。なお、グラファイトフィルムの厚さは、任意の10点で測定した値の平均値を使用し、以下においても同様である。
<グラファイトフィルムの熱拡散率測定>
グラファイトフィルムの熱拡散率は、熱物性測定装置((株)ベテル・サーモウェーブアナライザーTA3)を用いて測定した。40×40mmのサンプルを用意し、20℃の雰囲気下にて測定を行った。
<グラファイトフィルムの熱伝導率の算出>
グラファイトフィルムの熱伝導率は、グラファイトフィルムの熱拡散率とグラファイトフィルムの密度とグラファイトフィルムの熱容量(789J/kg・K)との積により算出した。
<グラファイト材料サンプル1〜30の熱輸送能力の算出>
グラファイト材料サンプル1〜30の熱輸送能力は、各サンプルにおけるグラファイトフィルムの種類の組合せ、及び層数に基づいて算出した。具体的には、各サンプルにおけるグラファイトフィルムの熱伝導率とグラファイトフィルムの厚さとグラファイトフィルムの層数との積により算出した。グラファイト材料サンプルが異なる種類のグラファイトフィルムから構成される場合には、各種類のグラファイトフィルムについて熱伝導率・厚み・層数の積を算出し、得られた積の和を熱輸送能力とした。
<グラファイト材料サンプル1〜30の熱伝導率の算出>
グラファイト材料サンプル1〜30の熱伝導率は、グラファイト材料サンプル1〜30の熱輸送能力をグラファイト材料サンプル1〜30の厚さで割り算することにより算出した。
<グラファイト材料サンプル1〜30の電圧及び電気伝導値の測定>
グラファイト材料サンプル1〜30の電圧及び電気伝導値は、高周波渦電流法もしくはパルス電圧励磁法を用いて測定した。15×15mmのサンプルを用意し、20℃の雰囲気下にて、電圧および電気伝導値を測定した。
<グラファイト材料サンプル1〜30の電気伝導率の算出>
グラファイト材料サンプル1〜30の電気伝導率は、グラファイト材料サンプル1〜30の電気伝導値をグラファイト材料サンプル1〜30の厚さで割り算することにより算出した。
表1は、グラファイト材料サンプル1〜30について、各種物性を事前に測定した結果を示す。また、図8は、表1の測定結果に基づき、グラファイト材料サンプル1〜30について、電気伝導値の測定値及び熱輸送能力の測定値をプロットしたグラフである。図8では、熱輸送能力をy軸とし、電気伝導値をx軸としている。また、図9は、表1の測定結果に基づき、グラファイト材料サンプル1〜30について、電気伝導率の測定値及び熱伝導率の測定値をプロットしたグラフである。図9では、熱伝導率をy軸とし、電気伝導率をx軸としている。また、図10は、表1の測定結果に基づき、グラファイト材料サンプル1〜30について、熱輸送能力の測定値及び電圧の測定値をプロットしたグラフである。図10では、熱輸送能力をy軸とし、電圧をx軸としている。
Figure 2018054507
図8に示されるように、熱輸送能力の測定値及び電気伝導性の測定値は、有意に直線関数(y=1.0791x−0.0985)にフィッティングすることができることがわかった。また、図9に示されるように、熱伝導率の測定値及び電気伝導率の測定値は、有意に直線関数(y=0.107x+9.1602)にフィッティングすることができることがわかった。また、図10に示されるように、熱輸送能力の測定値及び電圧の測定値は、有意に直線関数(y=153.26x+0.742)にフィッティングすることができることがわかった。なお、図8〜図10には、プロットした測定値の直線関数に対する当てはまり具合を示す決定係数Rも付記している。
<複合材料、グラファイトプレートでの試験結果>
グラファイト材料サンプル(グラファイト積層体)における材料層(接着層)に、粘着層を用いた場合であっても、熱輸送能力、熱伝導率を適切に算出することができた。すなわち、電気伝導性の測定値と熱輸送能力の測定値とのプロットが図8に示す直線関数にフィッティングした。同様に、電気伝導率の測定値と熱伝導率の測定値とのプロットが図9に示す直線関数にフィッティングした。また、熱輸送能力の測定値と電圧の測定値とのプロットが図10に示す直線関数にフィッティングした。
また、グラファイト材料サンプルに保護層、粘着層、剥離シート、またはアプリケーションシートを貼り付けた複合フィルムにおいても、熱輸送能力、熱伝導率を正確に算出することができた。さらに、100μm、200μm、300μm、400μmのグラファイトプレートにおいても、熱輸送能力、熱伝導率を正確に算出することができた。
本発明は、電子機器内における放熱部材の性能を測定する技術において好適に用いられる。
1、1A 測定装置
2 電気特性測定部
2A 電気抵抗測定器
2B 渦電流発生部
3 インターフェイス部
4 計算処理部
5 表示部
6 入力部
7 熱輸送能力/熱伝導率算出部(第1の熱輸送能力/熱伝導率算出部)
7A 熱輸送能力/熱伝導率算出部(第2の熱輸送能力/熱伝導率算出部)
8 記憶部
9 電圧測定部
9A 電圧測定器
9B 渦電流発生部

Claims (12)

  1. 熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定工程と、
    前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含むことを特徴とする熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  2. 前記第1の熱輸送能力/熱伝導率算出工程では、事前に求めた、複数の熱伝導材料サンプルに対する、熱伝導率の実測値と電気伝導率の実測値との相関曲線または相関直線に基づき、熱輸送能力または熱伝導率を算出することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  3. 前記電気特性測定工程では、非接触式の抵抗測定器を用いて、前記電気抵抗値もしくは電気伝導値、または前記電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  4. 前記電気特性測定工程では、高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により前記電気抵抗値または電気伝導率を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  5. 高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により熱伝導材料の電圧を測定する電圧測定工程と、
    前記電圧に基づいて、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出工程と、を含むことを特徴とする熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  6. 前記熱伝導材料の厚さは、5μm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  7. 前記熱伝導材料は、グラファイトフィルムと、材料層とが、交互に積層されてなるグラファイト積層体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  8. 前記熱伝導材料は、面方向の熱伝導率が、当該面方向に対する垂直方向の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定方法。
  9. 熱伝導材料の電気抵抗値もしくは電気伝導値、または電気抵抗率もしくは電気伝導率を測定する電気特性測定部と、
    前記電気抵抗値もしくは電気伝導値に基づいて熱伝導材料の熱輸送能力を算出するか、あるいは、前記電気抵抗率もしくは電気伝導率に基づいて熱伝導率を算出する第1の熱輸送能力/熱伝導率算出部と、を備えることを特徴とする熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
  10. 前記電気特性測定部は、非接触式の抵抗測定器を備えることを特徴とする請求項9に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
  11. 前記電気特性測定部は、前記熱伝導材料に対し磁界を印加し、前記熱伝導材料内に渦電流を発生させる渦電流発生部を備えていることを特徴とする請求項9または10に記載の熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
  12. 高周波渦電流法またはパルス電圧励磁法により熱伝導材料の電圧を測定する電圧測定部と、
    前記電圧に基づいて、熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率を算出する第2の熱輸送能力/熱伝導率算出部と、を備えることを特徴とする熱伝導材料の熱輸送能力または熱伝導率の測定装置。
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