JP2018046761A - ベーカリー製品に適したチョコレート - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の第2の発明は、前記チョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱して使用される第1の発明に記載のチョコレートである。
本発明の第3の発明は、前記チョコレートがソフトチョコレートである第1の発明又は第2の発明に記載のチョコレートである。
本発明の第4の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか1つの発明に記載のチョコレートを使用して得られるベーカリー製品である。
本発明の第5の発明は、前記チョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱された第4の発明に記載のベーカリー製品である。
本発明の第6の発明は、前記チョコレートがソフトチョコレートである第4の発明又は第5の発明に記載のベーカリー製品である。
なお、本発明において、油脂とは、チョコレートに含まれる全油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。しかし、後述するシーディング剤は、本発明における油脂には含まれない。本発明において、ベーカリー製品生地とは、ベーカリー製品の加熱前の生地のことである。
なお、本発明において、シーディング剤とは、シーディング法でチョコレートに添加される3鎖長β型の油脂結晶を含有する組成物のことである。シーディング法は、テンパリング型チョコレートの製造時に行われるテンパリング操作を代替する方法として知られており、3鎖長β型の油脂結晶を含有するシーディング剤を添加することにより、テンパリング型チョコレートの油脂に含まれる対称型トリグリセリドを安定な3鎖長β型の結晶形にすることである。シーディング剤は、市販品を使用することができる。シーディング剤に含まれる3鎖長β型の油脂結晶は、3鎖長β型のStOSt(1,3位にステアリン酸、2位にオレイン酸が結合したトリグリセリド)、BOB(1,3位にベヘン酸、2位にオレイン酸が結合したトリグリセリド)等が挙げられる。
なお、本発明において、液状油とは、25℃で液状の油脂のことである。また、本発明において、ソフトチョコレートとは、性状が25℃においてカスタードクリームのようなクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかいチョコレートのことである。ソフトチョコレートは、一般的にチョコレートクリームと呼ばれることもある。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造する。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはテンパリング操作を行わずに製造する。なお、本発明において、テンパリング操作には、シーディング法は含まれない。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ココアバターを多く含むにもかかわらず、ブルームが発生しにくい。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、耐熱性を有する。従って、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるチョコレートに適しており、好ましくはベーカリー製品生地と共に加熱して使用される。なお、本発明において、チョコレートが耐熱性を有するとは、ベーカリー製品生地と共に加熱した後に、チョコレートのベーカリー製品への染み出し、チョコレートの形状の変化及びチョコレートの食感の変化が少ないことである。
よって、本発明によると、ココアバターを多く含み、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるソフトチョコレートに適したチョコレートが得られる。
なお、本発明において、ベーカリー製品とは、穀粉(小麦粉等)、油脂(ショートニング、マーガリン、バター等)、糖類(砂糖等)、乳製品(牛乳、粉乳、クリーム等)、卵類(全卵、卵黄、卵白等)、塩類(食塩等)、膨張剤(重曹、ベーキングパウダー等)、乳化剤(レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、イースト、水等を原料としたベーカリー製品生地を、加熱して得られる製品のことである。また、ベーカリー製品生地を加熱する手段としては、焼き、蒸し、揚げ(フライ)等が挙げられる。なお、前述したように、本発明において、ベーカリー製品生地とは、ベーカリー製品の加熱前の生地のことである。
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、好ましくは本発明の実施の形態に係るチョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱されている。
油脂のX線回折は、X線回折装置UltimaIV(株式会社リガク社製)を用いて、CuKα(λ=1.542Å)を線源とし、Cu用フィルタ使用、出力1.6kW、操作角0.96〜30.0°、測定速度2°/分の条件で測定した。
X線回折の測定により得られる回折ピークから、使用したシーディング剤は、油脂結晶型が3鎖長β型であった。また、使用したシーディング剤は、4.1〜4.3Åの面間隔に対応する回折ピークの強度G’と4.5〜4.7Åの面間隔に対応する回折ピークの強度Gとの強度比(G’/G)が0だった。また、使用したシーディング剤は、β型StOSt結晶含量が37.0質量%であった。
表1〜3に示された配合でチョコレートを製造した(配合及び配合量の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である。)。実施例1〜6のチョコレートは、シーディング剤以外の原料を混合、微粒化、精練した後、シーディング剤を添加して十分に撹拌した後に冷却することで製造した。比較例1〜6のチョコレートは、原料を混合、微粒化、精練後、冷却することで製造した。比較例7〜12のチョコレートは、原料を混合、微粒化、精練後、テンパリング操作を行った後に冷却することで製造した。得られた全てのチョコレートは、性状が25℃においてクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかく、ソフトチョコレートであった。なお、使用した大豆油、パームスーパーオレイン、ソフトチョコ用油脂は、全て25℃で液状であった。また、得られた全てのチョコレートは、水分含有量が3質量%であった。
得られた全てのチョコレートを20℃で保存し、製造直後、1週間保存後及び8週間保存後のブルームの有無を評価した。評価結果を表1〜3に示した。
一方、表2〜3から分かるように、シーディング剤を添加せずに製造した比較例のチョコレートは、経時的にブルームが発生した。特に、比較例7〜12から分かるように、シーディング剤を添加していないチョコレートは、テンパリング操作を行っても、経時的にブルームが発生した。
フライ前のドーナツ生地のセンターに、実施例1〜6のチョコレートを包餡した後、チョコレートが包餡されたドーナツ生地をフライすることで、ドーナツを製造した。
フライした直後のドーナツについて、チョコレートのドーナツへの染み出し、チョコレートの形状、チョコレートの食感を以下の評価基準で評価した。評価結果を表4に示した。
○:染み出していない
△:やや染み出している
×:染み出している
<チョコレートの形状の評価基準>
○:フライ前と比べて、変化がない
△:フライ前と比べて、やや変化している
×:フライ前と比べて、変化している
<チョコレートの食感の評価基準>
○:軟らかい
△:やや軟らかい
×:軟らかくない
表5に示された配合のチョコレートを、シーディング剤以外の原料を混合、微粒化、精練した後、シード剤を添加して十分に撹拌した後に冷却することで製造した(配合及び配合量の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である。)。得られた全てのチョコレートは、性状が25℃においてクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかく、ソフトチョコレートであった。なお、使用した大豆油、パームスーパーオレイン、ソフトチョコ用油脂は、全て25℃で液状であった。また、得られた全てのチョコレートは、水分含有量が3質量%であった。
フライ前のドーナツ生地のセンターに、得られた各チョコレートを包餡した後、チョコレートが包餡されたドーナツ生地をフライすることで、ドーナツを製造した。
フライした直後のドーナツについて、チョコレートのドーナツへの染み出し、チョコレートの形状、チョコレートの食感を前記の評価基準で評価した。評価結果を表5に示した。
一方、表5から分かるように、比較例13〜14のチョコレートは、耐熱性がなかった。
Claims (6)
- 油脂を25〜44質量%、ココアバターを18〜35質量%含有し、油脂100質量部に対してシーディング剤を0.1〜5質量部配合したチョコレートであって、該チョコレートに含まれる油脂がココアバターを30〜75質量%、25℃で液状の油脂を15〜65質量%含有するチョコレート。
- 前記チョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱して使用される請求項1に記載のチョコレート。
- 前記チョコレートがソフトチョコレートである請求項1又は請求項2に記載のチョコレート。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のチョコレートを使用して得られるベーカリー製品。
- 前記チョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱された請求項4に記載のベーカリー製品。
- 前記チョコレートがソフトチョコレートである請求項4又は請求項5に記載のベーカリー製品。
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