JP2018044979A - 反射型マスクおよびその製造方法 - Google Patents
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多重露光領域では、複数回露光されるため、露光光の大部分が吸収層に吸収されて1回の露光では実質的に解像に寄与しない露光量であったとしても、露光量が加算されて解像に寄与する量に達してしまう場合がある。その結果、不要なパターンが形成されることになり、高精度なパターンが得られないという問題が起こる。
このような影効果を抑制するためには、吸収層は薄い方が好ましい。しかしながら、吸収層の厚みを薄くすると、吸収層による露光光の吸収が少なくなるため、上述の多重露光領域でのパターン不良の問題が大きくなる。
例えば上記の遮光領域を有する反射型マスクでは、遮光領域にて基板表面が露出しているため、アウトオブバンド光が、基板表面で反射したり、基板を透過して基板の裏面に形成された導電膜で反射したりする。上述したように多重露光領域では複数回露光されるため、露光量が加算されるので、アウトオブバンド光の反射によりレジストが感光してしまうことが懸念される。
本発明の反射型マスクは、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上に形成された吸収層のパターンとを有するものであって、上記吸収層のパターンを有する転写パターン領域と、上記転写パターン領域の外周に配置され、上記多層膜および上記吸収層を有さず、上記基板が露出している遮光領域とを有し、上記遮光領域の上記基板表面に位相シフト構造が形成されていることを特徴とするものである。
図1(a)は本発明の反射型マスクの一例を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示するように、反射型マスク1は、基板2と、基板2上に形成された多層膜3と、多層膜3上に形成された保護層4と、保護層4上にパターン状に形成された吸収層5と、基板2の多層膜3が形成された面とは反対側の面に形成された導電膜6とを有する。また、反射型マスク1は、吸収層5のパターンを有する転写パターン領域11と、転写パターン領域11の外周に配置され、多層膜3、保護層4および吸収層5を有さず、基板2が露出している遮光領域12とを有する。この遮光領域12の基板2表面には位相シフト構造7が形成されている。位相シフト構造7は、凹凸構造であり、EUV光源に含まれるアウトオブバンド光に位相差を与えるものである。
本発明における位相シフト構造は、凹凸構造であり、遮光領域の基板表面に形成され、EUV光源に含まれるアウトオブバンド光に位相差を与えるものである。
d=(λ/4)/((n+1)/2)
ここで、凸部のピッチはアウトオブバンド光の中心波長λよりも十分に小さく、凹凸構造の部分の屈折率が基板の屈折率および真空の屈折率(1)の中間の値になると考えられるため、上記式では(n+1)/2としている。
凸部の高さまたは凹部の深さが上記式を満たす場合、凹凸構造の凹部で反射したアウトオブバンド光と凸部で反射したアウトオブバンド光とは位相が逆になり、これらの反射光の干渉によりアウトオブバンド光の反射を効果的に低減することができる。
なお、凹凸構造の凸部の高さおよび凹部の深さとは、図3においてdで示される距離をいう。
ここで、凹凸構造の凸部のピッチとは、凸部の中心からこれに隣接する凸部の中心までの距離をいい、図3においてpで示される距離をいう。
本発明における遮光領域は、多層膜および吸収層を有さず、基板が露出している領域である。反射型マスクにおいて、多層膜および吸収層の間に保護層やバッファ層が形成されている場合には、遮光領域は保護層およびバッファ層を有さない領域となる。この遮光領域の基板表面に位相シフト構造が形成される。
遮光領域の寸法は、多重露光領域での不良パターンの発生を防ぐことができれば特に限定されるものではなく、反射型マスクの寸法、本発明の反射型マスクを用いてステップアンドリピート方式の露光を行う場合の露光領域の寸法等により適宜調整される。
本発明における多層膜は、基板上に形成され、本発明の反射型マスクを用いたEUVリソグラフィにおいてEUV光を反射するものである。
多層膜の成膜方法としては、例えば、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法などが用いられる。
本発明における吸収層は、多層膜上にパターン状に形成され、本発明の反射型マスクを用いたEUVリソグラフィにおいてEUV光を吸収するものである。
吸収層をパターン状に形成する方法としては、通常、フォトリソグラフィ法や電子線リソグラフィ法等が用いられる。具体的には、多層膜が形成された基板上に吸収層を形成し、この吸収層上にレジスト層を形成し、レジスト層をパターニングし、レジストパターンをマスクとして吸収層をエッチングし、残存するレジストパターンを除去して、吸収層をパターン状に形成する。フォトリソグラフィ法および電子線リソグラフィ法としては、一般的な方法を用いることができる。
本発明においては、多層膜と吸収層との間に保護層が形成されていてもよい。保護層は、多層膜の酸化防止や、反射型マスクの洗浄時の保護のために設けられるものである。保護層が形成されていることにより、多層膜の最表面がSi膜やMo膜である場合には、Si膜やMo膜が酸化されるのを防ぐことができる。Si膜やMo膜が酸化されると、多層膜の反射率が低下するおそれがある。
多層膜上に後述のバッファ層が形成されている場合には、通常、多層膜上に保護層およびバッファ層の順に積層される。
また、保護層の厚みとしては、例えば2nm以上15nm以下程度とすることができる。
保護層の成膜方法としては、スパッタリング法等を挙げることができる。
本発明においては、多層膜と吸収層との間にバッファ層が形成されていてもよい。バッファ層は、下層の多層膜に損傷を与えるのを防止するために設けられるものである。バッファ層が形成されていることにより、吸収層をドライエッチング等の方法でパターンエッチングする際に、下層の多層膜がダメージを受けるのを防止することができる。
このようなバッファ層の材料としては、例えば、SiO2、Al2O3、Cr、CrN等が挙げられる。
バッファ層の成膜方法としては、例えば、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法などが挙げられる。Crを用いる場合は、RFマグネトロンスパッタ法によりCrターゲットを用いてArガス雰囲気下で、多層膜上にCrを成膜するのが好ましい。
本発明においては、吸収層上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層は、マスクパターン検査時の検出感度を上げるために設けられるものである。
低反射層の材料としては、検査光に対して低反射となるものであればよく、例えばタンタルの酸化物(TaO)、酸窒化物(TaNO)、タンタルホウ素酸化物(TaBO)等が挙げられる。
低反射層の膜厚は5nm以上30nm以下程度とすることができる。
本発明に用いられる基板としては、一般的に反射型マスクの基板に使用されるものを用いることができ、例えば、ガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板は、良好な平滑性および平坦度が得られるので、特に反射型マスク用基板として好適である。ガラス基板の材料としては、例えば、石英ガラス、低熱膨張係数を有するアモルファスガラス(例えばSiO2−TiO2系ガラス等)、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等が挙げられる。また、シリコン、Fe−Ni系のインバー合金等の金属基板も使用することができる。
本発明においては、基板の多層膜および吸収層が形成されている面の反対面に導電膜が形成されていてもよい。導電膜は、本発明の反射型マスクを露光装置の静電チャックに吸着させるために設けられるものである。このような導電膜を有することにより、露光時に反射型マスクを容易、かつ、強固に露光装置に固定することが可能となり、パターン転写精度および製造効率を向上させることができる。
また、導電膜の厚みとしては、例えば30nm以上150nm以下程度とすることができる。
本発明の反射型マスクは、EUVを露光光として用いたリソグラフィ用の反射型マスクとして好ましく用いられる。
本発明の反射型マスクの製造方法は、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上に形成された吸収層のパターンとを有し、上記吸収層のパターンを有する転写パターン領域と、上記転写パターン領域の外周に配置され、上記多層膜および上記吸収層を有さず、上記基板が露出している遮光領域とを有し、上記遮光領域の上記基板表面に位相シフト構造が形成されている反射型マスクの製造方法であって、上記転写パターン領域の外周に、上記多層膜および上記吸収層が除去され、上記基板が露出している上記遮光領域を形成する遮光領域形成工程と、上記遮光領域の上記基板表面に位相シフト構造を形成する位相シフト構造形成工程とを有することを特徴とする製造方法である。
本発明においては、通常、遮光領域形成工程前に、基板と、上記基板上に形成された多層膜と、上記多層膜上に形成された吸収層とを有するマスクブランクを準備するマスクブランク準備工程、および、上記吸収層をパターニングする吸収層パターニング工程が行われる。
本発明における遮光領域形成工程は、上記転写パターン領域の外周に、上記多層膜および上記吸収層が除去され、上記基板が露出している上記遮光領域を形成する工程である。
本発明における位相シフト構造形成工程は、上記遮光領域の上記基板表面に位相シフト構造を形成する工程である。
また、この場合には、自己組織化材料膜形成工程およびガイドパターン形成工程前に、吸収層のパターンを保護するために、遮光領域以外の領域に保護層としてレジスト層を形成する。遮光領域以外の領域に形成するレジスト層については、遮光領域の形成時に用いたレジストパターンをそのまま使用してもよい。
以下、自己組織化リソグラフィの場合の位相シフト構造形成工程について説明する。
ガイドパターン形成工程は、基板上にガイドパターンを形成する工程である。ガイドパターン形成工程を行う場合には、後述の相分離工程にてガイドパターンに沿ってポリマーの配向が制御されるため、容易に相分離構造を制御することができ、所望の自己組織化パターンを得ることができる。
物理ガイドでは、基板上に凹凸構造を形成し、凹凸構造の凹部に自己組織化材料膜を形成することにより、凹凸構造に沿ってポリマーの配向を促すことができる。具体的には、相分離工程において、ブロックコポリマーを構成するポリマーのうち、凹凸構造と親和性が高いポリマーは凸部の側面に沿って相を形成し、凹凸構造と親和性が低いポリマーは凸部から離れた位置に相を形成する。これにより所望の相分離構造を形成することができる。
化学ガイドでは、基板上に表面エネルギーの異なる領域を形成し、表面エネルギーの異なる領域上に自己組織化材料膜を形成することにより、これらの領域に沿ってポリマーの配向を促すことができる。具体的には、相分離工程において、ブロックコポリマーを構成するポリマーのうち、所定の表面エネルギーを有する領域と親和性が高いポリマーはその領域にピン止めされて相を形成し、その領域と親和性が低いポリマーは他の領域に相を形成する。これにより所望の相分離構造を形成することができる。
下地層をパターン状に形成する方法としては、例えば基板上に下地層を形成し、フォトリソグラフィにより下地層をパターニングする方法が挙げられる。
自己組織化材料膜形成工程は、基板上に自己組織化材料を塗布して自己組織化材料膜を形成する工程である。上記のガイドパターン形成工程を行う場合であって、物理ガイドの場合には、凹凸構造の凹部に自己組織化材料膜を形成する。また、上記のガイドパターン形成工程を行う場合であって、化学ガイドの場合には、ガイドパターンを覆うように自己組織化材料膜を形成する。
ポリスチレン−ポリメタクリル酸、ポリスチレン−ポリビニルピリジン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−alt−プロピレン)、ポリスチレン−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリビニルメチルエーテル、ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート、ポリブタジエン−ポリ−t−ブチルメタクリレート、ポリブタジエン−ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン−ポリビニルピリジン、ポリブタジエン−ポリエチレンオキシド、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリビニルピリジン、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリスチレン、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリエチレンオキシド、ポリエチレン−ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン−ポリビニルピリジン、ポリジメチルシロキサン−ポリイソブテン、ポリエチレンオキシド−ポリ(シアノビフェニルオキシ)ヘキシルメタクリレート、ポリエチレンオキシド−ポリビニルピリジン、ポリイソプレン−ポリビニルピリジン等が挙げられる。
なお、「alt」は、交互に繰り返し単位を有するポリマーを意味する。すなわち、ポリ(エチレン−alt−プロピレン)は、その主鎖にエチレン単位とプロピレン単位とを交互に有するポリマーを意味する。
相分離工程は、上記自己組織化材料の相分離構造を形成する工程である。
熱処理の方法としては、例えばオーブンやホットプレートを用いる方法が挙げられる。加熱温度は、所望の相分離構造が得られる温度であって、多層膜の周期構造が破壊されない程度の温度であればよく、自己組織化材料の種類等に応じて適宜選択される。
パターン形成工程は、上記相分離構造の一部の相を選択的に除去して上記自己組織化材料膜のパターンを形成する工程である。パターン形成工程では、ブロックコポリマーを構成するポリマーのエッチング耐性の違いを利用して、自己組織化材料膜のパターンを形成することができる。
また、エッチング処理の他にも、例えば酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV照射処理、熱分解処理、化学分解処理等を用いることができる。
エッチング工程は、上記自己組織化材料膜のパターンをマスクとして上記基板をエッチングし、上記基板表面に上記位相シフト構造を形成する工程である。
エッチングガスとしては、例えば、基板の材質を基本にしてエッチング耐性を有する自己組織化材料膜のパターンを構成するポリマーを考慮しつつ、エッチングの選択比が大きくなるような組み合わせを適宜選択すればよい。
光学研磨された大きさ6インチ角、厚さ0.25インチの低熱膨張係数をもつ合成石英基板を用い、合成石英基板の一方の主面上に、イオンビームスパッタ法により、Siターゲットを用いてSi膜を4.2nm成膜し、続いてMoターゲットを用いてMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として40周期積層してMoとSiの多層膜からなる反射層を形成した。その後、多層膜の最表面のMo膜の上にRu膜を2.5nm成膜して保護層を形成した。次に、上記のRu膜上に、吸収層として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を55nmの厚さで形成した。次いで、上記のTaN膜上に、低反射層として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと酸素の混合ガス雰囲気下で、TaO膜を15nmの厚さで形成した。
一方、合成石英基板の他方の主面上には、DCマグネトロンスパッタ法により、Crターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、CrN膜を30nm成膜して導電膜とし、反射型マスクブランクを得た。
また、使用した合成石英基板についても反射率を測定したところ、波長200nmでは4.5%、波長250nmでは4.1%であり、反射型マスクの裏面(導電膜)からのアウトオブバンド光の反射よりも、反射型マスクの基板の表面からのアウトオブバンド光の反射が大きいことがわかった。これは、低熱膨張係数をもつガラス基板のアウトオブバンド光の吸収が大きいためである。
位相シフト構造を構成する凹凸構造の凹部の深さおよび凸部のピッチが反射率へ及ぼす影響についてシミュレーションにより求めた。
また、シミュレーションは、実際の反射型マスク構造およびEUVリソグラフィ装置の光学系をモデルに実施した。反射型マスクの構造は、大きさ6インチ角、厚さ0.25インチの低熱膨張係数をもつ合成石英基板上にSi膜およびMo膜(厚さ4.2nm/2.8nm)の40対からなる多層膜が形成され、多層膜上にRu膜(厚さ2.5nm)からなる保護層が形成され、保護層上にTaN膜(厚さ55nm)からなる吸収層およびTaO膜(厚さ15nm)からなる低反射層がラインアンドスペースパターンで形成され、さらに低反射層、吸収層、保護層および多層膜が除去されて基板が露出した幅5mmの枠状の遮光領域を有し、さらに遮光領域の基板表面に1:1のラインアンドスペースパターンの凹凸構造を有するものとした。凹凸構造の凸部のピッチは75nm〜210nmまたは75nm〜260nm、凹部の深さは20nm〜70nmの条件でモデリングした。また、EUV光源に含まれるアウトオブバンド光の中心波長は200nmおよび250nm、合成石英基板の屈折率は1.54とした。
2 …基板
3 …多層膜
4 …保護層
5 …吸収層
6 …導電膜
7 …位相シフト構造
11 …転写パターン領域
12 …遮光領域
Claims (4)
- 基板と、前記基板上に形成された多層膜と、前記多層膜上に形成された吸収層のパターンとを有する反射型マスクであって、
前記吸収層のパターンを有する転写パターン領域と、前記転写パターン領域の外周に配置され、前記多層膜および前記吸収層を有さず、前記基板が露出している遮光領域とを有し、
前記遮光領域の前記基板表面に位相シフト構造が形成されていることを特徴とする反射型マスク。 - 前記基板の前記多層膜が形成された面とは反対側の面に導電膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスク。
- 基板と、前記基板上に形成された多層膜と、前記多層膜上に形成された吸収層のパターンとを有し、前記吸収層のパターンを有する転写パターン領域と、前記転写パターン領域の外周に配置され、前記多層膜および前記吸収層を有さず、前記基板が露出している遮光領域とを有し、前記遮光領域の前記基板表面に位相シフト構造が形成されている反射型マスクの製造方法であって、
前記転写パターン領域の外周に、前記多層膜および前記吸収層が除去され、前記基板が露出している前記遮光領域を形成する遮光領域形成工程と、
前記遮光領域の前記基板表面に位相シフト構造を形成する位相シフト構造形成工程と
を有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。 - 前記位相シフト構造形成工程では、自己組織化リソグラフィを用いて前記位相シフト構造を形成することを特徴とする請求項3に記載の反射型マスクの製造方法。
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