JP2018040055A - 鉄‐ニッケル合金箔及びその製造方法 - Google Patents

鉄‐ニッケル合金箔及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、鉄‐ニッケル(Fe‐Ni)合金箔に関し、より詳細には、有機発光ダイオード(OLED)素材用に適した鉄‐ニッケル合金箔及びその製造方法に関する。【解決手段】電鋳めっき法により製造された鉄‐ニッケル合金箔であって、ニッケルの含量が36〜45重量%であり、残部として鉄(Fe)及び不可避不純物を含み、前記合金箔の組織が面心立方構造であって、(111)面、(200)面、(220)面の集合組織係数の総和に対する、(111)面及び(200)面の集合組織係数の和の割合が80〜98%、(111)面の集合組織係数の割合が60〜78%、(200)面の集合組織係数の割合が20〜30%、(220)面の集合組織係数の割合が20%以下(0%を含む)であることを特徴とする、鉄‐ニッケル合金箔;ならびに、鉄化合物及びニッケル化合物を含む電解液を用いて電鋳めっき法により鉄‐ニッケル合金箔を製造する方法が提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、鉄‐ニッケル(Fe‐Ni)合金箔に関し、より詳細には、有機発光ダイオード(OLED)素材用に適した鉄‐ニッケル合金箔及びその製造方法に関する。
現在、ディスプレイ市場では、LCD(Liquid Crystal Display)に代替可能な次世代ディスプレイとして有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)が脚光を浴びている。
OLEDは、自ら光と色を出し、光の量を調節することができるだけでなく、消費電力が少なく、応答速度が速くて残像がほとんど生じないという利点を有する。また、色感が濃く且つ明るいながらも、視野角が広い。
このような利点により、OLEDディスプレイ産業は、近年、自動車、モバイル及びTV市場に注力している状況である。
OLEDディスプレイの製造時に用いられる、RGBサブピクセル(sub‐pixel)で構成されたフルカラー(full color)素子の製作は、高温の蒸着装備で行われる。上記蒸着装備は、基板、蒸着マスク、フレームなどで構成されるが、蒸着工程が高温で行われるため、温度の影響を受けるようになり、熱膨張係数による寸法変化によって、位置差が生じるようになる。そのため、基板上に付着される蒸着材料の位置、寸法精度が低下するという問題がある。したがって、マスクの正確な位置制御、熱膨張の防止、及びマスクと基板の精度を満たすためには、基板の熱膨張係数と同等水準のマスク及びフレーム材料の選択が必須である。
一方、上記の蒸着マスクの素材としては、鉄‐ニッケル(Fe‐Ni)合金系のインバー合金(Fe‐36%Ni)が主に用いられる。従来の圧延(rolling)工程により製造されたインバー合金は、表面粗さの制御(突起、空洞)及び厚さの制御に困難性があり、これによって、素子の特性が低下して製造収率が著しく低くなるという問題がある。さらに、極箔の製品(18μm以下)を製造する場合には、不純物による表面不良が発生したり、製造コストが上昇したりする欠点がある。
このように圧延工程により製造された鉄‐ニッケル合金箔の熱膨張係数は図1のとおりである。
そこで、圧延工程に代替可能な方法として、電鋳めっき法(electroforming)により鉄‐ニッケル合金箔を製造している。
電鋳めっき法は、電解槽内に設けられた回転する円筒状の陰極ドラムと、これに対向する一対の円弧状の陽極とにより囲まれた間隙に、給液ノズルを介して電解液を供給して電流を通電することで、上記陰極ドラムの表面にFe‐Ni系合金を電着させ、これを巻き取ることで金属箔とする方法である。このような電鋳めっき法により製造されたFe‐Ni系合金の金属箔は、平均結晶粒サイズが微細であって機械的物性に優れるという利点があるとともに、低い製造コストでも製造が可能であって製造原価が低いという利点がある。
ところが、電鋳めっき法により鉄‐ニッケル合金箔を製造する場合にも、上記合金箔の結晶構造によって熱膨張係数が大きく変わり、OLED製品の性能が低下する恐れがあることを見出した。
これに応えるべく、電鋳めっき法により鉄‐ニッケル合金箔を製造するにあたり、熱膨張係数を低減することのできる結晶構造を有するOLED用鉄‐ニッケル合金箔の製造が求められている。
韓国特許出願公開第2016‐0077575号
本発明の一側面は、OLED用鉄‐ニッケル合金箔を提供するにあたり、特定の結晶構造を有することで、熱膨張係数を効果的に低減することができる鉄‐ニッケル合金箔及びそれを製造する方法を提供する。
本発明の一側面は、電鋳めっき法により製造された鉄‐ニッケル合金箔であって、ニッケルの含量が36〜45重量%であり、残部として鉄(Fe)及び不可避不純物を含み、上記合金箔の組織が面心立方構造(FCC、Face‐Centered Cubic)であって、(111)面、(200)面、(220)面の集合組織係数(Texture coefficient)の総和に対する、(111)面及び(200)面の集合組織係数の和の割合が80〜98%、(111)面の集合組織係数の割合が60〜78%、(200)面の集合組織係数の割合が20〜30%、(220)面の集合組織係数の割合が20%以下(0%を含む)であることを特徴とする、鉄‐ニッケル合金箔を提供する。
本発明の他の一側面は、鉄化合物及びニッケル化合物を含む電解液を用いて電鋳めっき法により鉄‐ニッケル合金箔を製造する方法であって、上記電解液中の鉄イオンとニッケルイオンの関係が下記式1で表され、下記式1のf_Ni2+値が72〜78を満たすことを特徴とする、鉄‐ニッケル合金箔の製造方法を提供する。
[数1]
f_Ni2+={[Ni2+]/([Ni2+]+[Fe2+])}×100
(ここで、[Ni2+]と[Fe2+]は、電解液中のニッケルイオンの濃度と鉄イオンの濃度をそれぞれ意味する。)
本発明によると、電鋳めっき法により製造される鉄‐ニッケル合金箔において、上記鉄‐ニッケル合金箔の結晶構造を制御することで熱膨張係数を効果的に低減した鉄‐ニッケル合金箔を提供することができ、これは、OLED用素材に好適に適用することができる効果がある。
図1は、従来の技術(圧延法)により製造された鉄‐ニッケル合金箔の熱膨張係数を示したグラフである。 図2は、電鋳めっき法により製造された鉄‐ニッケル合金箔の熱膨張係数を示したグラフである(●:FCC構造を有する鉄‐ニッケル合金箔(発明例)、■:FCC+BCC構造を有する鉄‐ニッケル合金箔(比較例))。 図3は、本発明の一実施例によるFCC構造を有する鉄‐ニッケル合金箔のX‐線回折分析の結果を示したものである。 図4は、本発明の一実施例によるFCC+BCC構造を有する鉄‐ニッケル合金箔のX‐線回折分析の結果を示したものである。
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
本発明者らは、電鋳めっき法(electroforming)を用いて製造された鉄‐ニッケル(Fe‐Ni)合金箔を提供するにあたり、上記鉄‐ニッケル合金箔の熱膨張係数を低減する方法について鋭意研究した。その結果、鉄‐ニッケル合金箔の熱膨張係数が、上記鉄‐ニッケル合金箔の有する結晶構造によって変化することを確認した。
そこで、本発明は、熱膨張係数を低減することのできる結晶構造を有する鉄‐ニッケル合金箔を提供する。
本発明について、以下で詳細に説明する。
本発明の一側面による鉄‐ニッケル(Fe‐Ni)合金箔は、電鋳めっき法により製造されたものであって、ニッケルの含量が36〜45重量%であり、残部として鉄(Fe)及び不可避不純物を含み、面心立方構造(FCC、Face‐Centered Cubic)を有することが好ましい。
上記鉄‐ニッケル合金箔の組織が面心立方構造(FCC)ではなく、面心立方構造(FCC)と体心立方構造(BCC)がともに形成されるか、体心立方構造(BCC)を有する場合、熱膨張係数を効果的に低減することができず、OLED用素材としての使用には適さないという問題がある。
より具体的に、本発明は、(111)面、(200)面、(220)面の集合組織係数(Texture coefficient)の総和に対する、(111)面及び(200)面の集合組織係数の和の割合が80〜98%、(111)面の集合組織係数の割合が60〜78%、(200)面の集合組織係数の割合が20〜30%、(220)面の集合組織係数の割合が20%以下(0%を含む)であることが好ましい。
上記集合組織係数の数値範囲を満たさないと、鉄‐ニッケル合金箔の幅方向に熱膨張係数差が多く発生し、これによって、蒸着工程時に基板とマスクの寸法差が生じるという問題が発生し得る。
ここで、集合組織係数(TC)は、X線回折法(XRD)を適用して、図2に示されたように各結晶面の回折強度ピーク(Peak)値を得た後、基準ピーク値と比較し、下記の式2による範囲内で換算することで決定される。下記式2において、I(hkl)は(hkl)面に対して測定した回折強度を示し、I(hkl)はASTM(American Society of Testing Materials)標準粉末形状回折データの標準回折強度を示す。
[数2]
TC(hkl)≧{I(hkl)/I(hkl)}/[1/nΣ{I(hkl)/I(hkl)}]
上記のような集合組織係数を有する本願の鉄‐ニッケル合金箔は、ニッケルの含量が36〜45重量%であることが好ましい。
ニッケルの含量が低い場合には、熱膨張係数が急激に増加するという問題があるため、上記ニッケルの含量が36重量%以上であることが好ましい。但し、その含量が過度に高くて45重量%を超える場合、合金箔の熱膨張係数がガラスなどに比べて過度に大きくなって、OLED用素材としての使用には適さないという問題がある。
したがって、本発明では、鉄‐ニッケル合金箔のニッケルの含量を36〜45重量%に制限することが好ましい。
上述のニッケルの含量を除いた残りの成分はFeである。但し、通常の製造過程では、原料または周囲環境から意図しない不純物が不可避に混入し得るため、それを排除することはできない。これら不純物は、当技術分野における通常の技術者であれば理解するものであるため、本明細書ではその全ての内容に特に言及しない。
上述の集合組織を有し、且つニッケルの含量が制御された本願の鉄‐ニッケル合金箔は、熱膨張係数が3.0〜5.0ppm/Kを満たすことで、目標とする低い熱膨張係数を達成することができる。
また、本発明の鉄‐ニッケル合金箔は、表面粗さ(Rz)が2μm以下で、OLED用素材に要求される条件(JIS規格)を満たし、さらに、幅方向及び/または長さ方向の重量ばらつきが3%以下である特性を有する。
もし、表面粗さ(Rz)が2μmを超える場合には、表面が不均一で、エッチング工程時にエッチング深さの差が生じる恐れがある。
また、合金箔の幅及び長さ方向の重量ばらつきが3%を超える場合には、表面に物性ばらつきが発生してカールが増加し、熱膨張係数が不均一になるという問題がある。
ここで、重量ばらつきは、鉄‐ニッケル合金箔を5.8cm×5cmの面積に切り出して試験片を製造し、その試験片の重量を測定して単位面積当たりの鉄‐ニッケル合金の重量値を換算した後、鉄‐ニッケル合金箔の幅方向に沿って上記試験片を切り出す過程を繰り返して行って、各試験片の鉄‐ニッケル合金箔の重量値を測定した後、標準偏差を計算することで算出する。
上記のように、鉄‐ニッケル合金箔の組織を面心立方構造に形成し、この際、各面の割合を制御することで、引張強度及び延性(伸び率)をそれぞれ1.0〜1.5GPa、1〜5%確保することができる。
上述の物性を有する本願の鉄‐ニッケル合金箔は、4〜50μmの厚さを有することが好ましい。
一方、本発明の鉄‐ニッケル合金箔は、電鋳めっき法により製造することができる。具体的には、鉄化合物及びニッケル化合物を含む電解液を収容する電解槽に陰極と陽極を設け、電流装置を用いて電位を加えることで、陰極の表面にFe‐Ni合金が電着されるようにすることで製造される。
本発明では、電鋳めっき法により鉄‐ニッケル合金箔を製造する方法に特に限定されないが、好ましい一例として、5〜20g/Lの鉄、20〜50g/Lのニッケル、20g/L以下(0は除く)の塩素、5g/L以下(0は除く)のボロン、100ppm以下(0は除く)のサッカリンを含む電解液を用いることが好ましい。
上記電解液成分のうちボロンとサッカリンは、平滑で光沢性に優れた合金箔を得るために添加する成分であり、特にサッカリンは、合金箔の表面に光沢を付与して微細な薄膜層を得るための光沢剤であり、且つ応力を緩和させることができる応力緩和剤である。
ここで、電解液の酸化を防止するための目的として、微量のアスコルビン酸化合物を添加することができる。
上記電解液の残りの溶媒は純水であることが好ましく、超純水を用いることがより好ましい。
また、5〜20g/Lの鉄は、硫酸鉄、塩化鉄、スルファミン酸鉄などの塩の形態で溶かして用いるか、または電解鉄、鉄粉末を塩酸や硫酸に溶かして供給することができる。そして、上記20〜50g/Lのニッケルは、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケルなどの塩の形態で用いるか、または酸にフェロニッケルなどを溶かして供給することができる。
上記電鋳めっき法により製造されるFe‐Ni合金箔は、電解液中のFe、Niの濃度だけでなく、その他にも、添加される成分の種類と含量、工程条件などによっても変わり得る。例えば、電解液中の鉄の濃度が高くなると、合金のFe成分が高くなり、電流密度が低くなると、Fe成分が高くなるなどの関係を有するため、それらを制御することが重要である。
特に、本発明において、電解液中の鉄及びニッケルの濃度と、電鋳めっき時の工程条件は、鉄‐ニッケル合金箔の製造時に集合組織係数を意図通りに得るための重要な手段であって、特に上記電解液中の鉄イオンとニッケルイオンが、下記式1で表されるf_Ni2+値が72〜78を満たす関係を有することが好ましい。
[数1]
f_Ni2+={[Ni2+]/([Ni2+]+[Fe2+])}×100
(ここで、[Ni2+]と[Fe2+]は、電解液中のニッケルイオンの濃度と鉄イオンの濃度をそれぞれ意味する。)
電鋳めっき法を用いた鉄‐ニッケル合金箔の製造では、卑金属である鉄が貴金属であるニッケルより優先的に析出する異常共析(anomalous codeposition)現象によって複雑な様相を呈する。所望の組成を得ようとする場合にも、実際に溶液中に溶解されているイオンの比を考慮すると、Niイオンの濃度が、電着される電着物の組成に鑑みてFeイオンの濃度よりも相対的に多くなければならない。
したがって、上記式1で表されるf_Ni2+値が72〜78を満たす場合、面心立方構造(FCC)を有し、且つ所望のニッケル含量を有する鉄‐ニッケル合金箔を得ることができる。
もし、f_Ni2+値が72未満であるか、78を超える場合には、FCC+BCC混合結晶構造を有する鉄‐ニッケル合金箔が形成され、目標水準の熱膨張係数を確保することができなくなる。
本願の鉄‐ニッケル合金箔を得るために上記のように制御された電解液を用いる場合、1.5〜2.5のpH、45〜70℃の温度、10〜40A/dmの電流密度、及び20〜45m/hrの流量の条件下で実施することが好ましい。
この際、pHが低すぎる場合には、鉄‐ニッケル合金箔の製造時に表面にピット(pit)が発生して連続操業が不可能であり、ニッケルの組成が低くなって、所望の組成の鉄‐ニッケル合金箔を生産することが困難となる問題がある。これに対し、pHが高すぎる場合には、電解液汚泥の発生によって同様に連続操業が不可能となるという問題があり、ニッケル組成が過度に上昇して、所望の組成の鉄‐ニッケル合金箔を生産することができなくなるという問題がある。
これを考慮して、上記pHは1.5〜2.5を満たすことが好ましい。
電流密度が低すぎるか、高すぎる場合には、FCC+BCCの混合結晶構造が形成され、合金箔のニッケル組成が目標水準を満たさないという問題がある。
したがって、上記電流密度は、10〜40A/dmの範囲内でFCC結晶構造が形成されるように設定することが好ましい。
また、温度が高すぎるか、流量が低すぎる場合にも、FCC+BCCの混合結晶構造が形成される。
そして、温度が高すぎるか、流量が低すぎる場合にはニッケル組成が低くなり、反対に温度が低すぎるか、流量が高すぎる場合にはニッケル組成が増加するという問題がある。
したがって、上記温度は45〜70℃に制御し、上記流量は20〜45m/hrに制御し、その範囲でFCC結晶構造が形成されるように設定することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示して具体化するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を制限するためのものではないという点に留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載の事項と、それから合理的に類推される事項によって決定されるためである。
5〜20g/Lの鉄、20〜50g/Lのニッケル、20g/L以下の塩素、5g/L以下のボロン、100ppm以下のサッカリンを含む電解液が含有された電解槽で、1.5〜2.5のpH、45〜70℃の温度、10〜40A/dmの電流密度、及び20〜45m/hrの流量で上記電解液を供給して鉄‐ニッケル合金箔を製造した。
製造されたそれぞれの鉄‐ニッケル合金箔の結晶構造と熱膨張係数を測定し、その結果を下記表1に示した。この際、結晶構造はX線回折分析により確認し、集合組織係数は上述のように求めた。
また、機械的物性を測定するために、引張強度測定用試験片をASTM‐SUBに準じて製作し、Strain Speed 1μm/secを基準として微細引張試験機を用いて測定した。
そして、電解液中の金属イオンの含量による割合(f_Ni2+)と、製造された鉄‐ニッケル合金箔のニッケルの含量を測定し、下記表1にともに示した。
Figure 2018040055
Figure 2018040055
本願の条件を全て満たして製造された発明例1〜12の鉄‐ニッケル合金箔は、何れもFCC構造を有しており、低い熱膨張係数の結果を示すことを確認することができる。
これに対し、f_Ni2+値が本願の条件を満たさない比較例1〜8は、何れもFCCとBCCの混合構造が形成されており、これによって、熱膨張係数が高いため、OLED用素材としての使用には適さないという特性を示した。
上記発明例1〜12と比較例1〜8のニッケル含量による熱膨張係数をグラフで示した(図2)。
図2に示したように、FCC構造を有する発明例の熱膨張係数が、FCC+BCC構造を有する比較例に比べて低いことを確認することができる。
図3は本発明による鉄‐ニッケル合金箔のX‐線回折分析の結果を示したものであって、(111)、(200)及び(220)ピークが現われることを確認することができる。
また、図4はFCC‐BCC構造を有する鉄‐ニッケル合金箔のX‐線回折分析の結果を示したものであって、FCC構造のピークだけでなく、BCC構造のピークがともに現われることを確認することができる。

Claims (9)

  1. 電鋳めっき法により製造された鉄‐ニッケル合金箔であって、
    ニッケルの含量が36〜45重量%であり、残部として鉄(Fe)及び不可避不純物を含み、
    前記合金箔の組織が面心立方構造であって、(111)面、(200)面、(220)面の集合組織係数の総和に対する、(111)面及び(200)面の集合組織係数の和の割合が80〜98%、(111)面の集合組織係数の割合が60〜78%、(200)面の集合組織係数の割合が20〜30%、(220)面の集合組織係数の割合が20%以下(0%を含む)であることを特徴とする、鉄‐ニッケル合金箔。
  2. 熱膨張係数(CTE)が3.0〜5.0ppm/Kである、請求項1に記載の鉄‐ニッケル合金箔。
  3. 表面粗さ(Rz)が2μm以下である、請求項1に記載の鉄‐ニッケル合金箔。
  4. 幅方向または長さ方向の重量ばらつきが3%以下である、請求項1に記載の鉄‐ニッケル合金箔。
  5. 引張強度が1.0〜1.5GPaであり、伸び率が1〜5%である、請求項1に記載の鉄‐ニッケル合金箔。
  6. 4〜50μmの厚さを有する、請求項1に記載の鉄‐ニッケル合金箔。
  7. 鉄化合物及びニッケル化合物を含む電解液を用いて電鋳めっき法により鉄‐ニッケル合金箔を製造する方法であって、
    前記電解液中の鉄イオンとニッケルイオンとの関係が下記式1で表され、下記式1のf_Ni2+値が72〜78を満たすことを特徴とする、鉄‐ニッケル合金箔の製造方法。
    [数1]
    f_Ni2+={[Ni2+]/([Ni2+]+[Fe2+])}×100
    (ここで、[Ni2+]と[Fe2+]は、電解液中のニッケルイオンの濃度と鉄イオンの濃度をそれぞれ意味する。)
  8. 前記電解液は、5〜20g/Lの鉄、20〜50g/Lのニッケル、20g/L以下の塩素、5g/L以下のボロン、100ppm以下のサッカリンを含む、請求項7に記載の鉄‐ニッケル合金箔の製造方法。
  9. 前記電鋳めっき法によりFe‐Ni合金箔を製造する時に、1.5〜2.5のpH、45〜70℃の温度、10〜40A/dmの電流密度、及び20〜45m/hrの流量で行う、請求項7に記載の鉄‐ニッケル合金箔の製造方法。
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