JP2018037326A - 固体電解質成形体の製造方法、複合体の製造方法、および電池の製造方法 - Google Patents

固体電解質成形体の製造方法、複合体の製造方法、および電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】固体電解質の形成材料などの無駄を省き、エネルギー消費を低減し、固体電解質成形体、複合体、および電池、の製造方法の提供。【解決手段】式(1)、(2)のいずれか一方の固体電解質の前駆体溶液2Xを、調製する第1の工程S1と、固体電解質の前駆体溶液2Xを加熱して、第1の焼成を施す第2の工程S2と、第2の工程S2で得られた生成物に、加圧を施して成形物を形成する第3の工程S3と、成形物に第2の焼成を施して、多孔質の焼成体を形成する第4の工程S4と、を備える。(Li7-3x+yGax)(La3-yCay)Zr2O12(1)(0.1≦x≦1、0.01≦y≦0.5)Li7-zLa3(Zr2-zAα)O12(2)(0.1≦z≦1;AはTa、Nb及びSbのうち少なくとも1種、0≦α<2)【選択図】図3

Description

本発明は、固体電解質成形体の製造方法、複合体体の製造方法、および電池の製造方法に関する。
従来、電解質として有機系電解液に代えて、固体電解質を用いた全固体電池が知られていた。例えば、特許文献1には、リチウム塩を含む電解質粒子を用いた固体電解質層によって、正極層と負極層との間のリチウムイオンの伝導を媒介するリチウム電池が提案されている。
このような固体電解質の粒子は硬度が高い場合が多く、加圧成形によって固体電解質層を形成すると、上記の粒子同士の接触が不十分となりやすい。そのため、接触面積の不足により、粒界抵抗が増加しやすい傾向がある。そこで、例えば、非特許文献1には、粒界抵抗を低減するために、共沈法を用いたジルコン酸ランタンリチウムにおいて、ジルコニウムのサイトをニオブで置換した固体電解質が検討されている。
特開2009−215130号公報
Solid State Ionics,262,(2014),pp.609−612
しかしながら、非特許文献1に記載の共沈法では、リチウム電池に用いる固体電解質の多孔質体(成形体)を製造する場合に、固体電解質などの形成材料が無駄になりやすいという課題があった。また、成形体を得るための焼成条件が、1000℃以上にて36時間であり、イオン伝導性を向上させるためのエネルギー消費が大きいという課題もあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る固体電解質成形体の製造方法において、下記式(1)、(2)のいずれか一方の固体電解質の前駆体が含まれる溶液を、調製する第1の工程と、
(Li7-3x+yGax)(La3-yCay)Zr212 ・・・(1)
(但し、0.1≦x≦1、0.01≦y≦0.5を満たす。)
Li7-zLa3(Zr2-zα)O12 ・・・(2)
(但し、0.1≦z≦1を満たし、AはTa、Nb、およびSbのうち少なくとも1種を表し、0≦α<2を満たす。)
固体電解質の前駆体が含まれる溶液を加熱して、第1の焼成を施す第2の工程と、第2の工程で得られた生成物に、加圧を施して成形物を形成する第3の工程と、成形物に第2の焼成を施して、多孔質の焼成体を形成する第4の工程と、を備える。
本適用例によれば、従来よりも固体電解質の形成材料などの無駄を省いて、固体電解質成形体を製造することができる。詳しくは、固体電解質の前駆体が含まれる溶液から、加熱によって固体電解質(生成物)が製造される。そのため、例えば、溶液中にて固体電解質を作製し、沈殿物として採取する共沈法と比べて、固体電解質の形成材料などの損失を低減することができる。また、共沈法における沈殿物(固体電解質)の洗浄やろ過などの工程を省くことが可能であり、洗浄やろ過操作における固体電解質の目減りの発生を防ぐことができる。
式(1)、(2)で表される、固体電解質を用いるため、粒界抵抗を抑えてイオン伝導性を向上させることができる。また、1000℃未満の比較的に低い温度で焼成が可能であることから、製造工程におけるエネルギー消費を従来よりも低減することができる。
上記適用例に記載の固体電解質成形体の製造方法において、加圧は、一軸プレスを用いて、0.50kN/mm2以上、0.64kN/mm2以下の圧力を5分間印加し、焼成体の嵩密度を45%以上、60%以下とすることが好ましい。
これによれば、加圧を施した成形物に第2の焼成を施すと、嵩密度が45%以上、60%以下の多孔質の焼成体を得ることができる。従来の相対密度(嵩密度)は75%程度であり、バルクとしては低く、複合体を形成するための多孔質としては高かった。これに比べて、多孔質の焼成体を嵩密度が45%以上、60%以下となるように形成することから、固体電解質成形体において、イオン伝導性を確保した上で、表面積を拡大することができる。また、上記成形物の型崩れを抑えて、形状を維持しやすくすることができる。
上記適用例に記載の固体電解質成形体の製造方法において、第1の焼成における焼成温度は、500℃以上、650℃以下であることが好ましい。
これによれば、固体電解質の前駆体が含まれる溶液中の、溶媒などの有機物の残存を低減して、固体電解質の純度を高めてイオン伝導性を向上させることができる。また、固体電解質の前駆体から、所望の組成の固体電解質を得ることができる。
上記適用例に記載の固体電解質成形体の製造方法において、第2の焼成における焼成温度は、800℃以上、950℃以下であることが好ましい。
これによれば、固体電解質における有機物の残存のいっそうの低減、および固体電解質の焼成を促進することができる。そのため、固体電解質の粒子同士の焼結が進み、固体電解質粒子(固体電解質の粒子)間の電気的な接続を良好とすることができる。また、温度の上限値を950℃とすることによって、固体電解質の変質を抑え、夾雑物の発生を抑制することができる。さらには、1000℃未満の比較的に低温にて焼成するため、製造工程におけるエネルギー消費を低減することができる。
[適用例]本適用例に係る複合体の製造方法において、上記の製造方法を用いて製造された固体電解質成形体に、正極活物質の前駆体が含まれる溶液を接触させて、少なくとも固体電解質成形体の孔内に正極活物質を形成する第5の工程を備える。
本適用例によれば、固体電解質成形体の孔の内部まで正極活物質が設けられて、固体電解質成形体と正極活物質とが複合化される。そのため、固体電解質成形体の孔内に正極活物質が設けられていない場合と比べて、固体電解質成形体と正極活物質との接触面積を増大させることができる。これにより、正極活物質層と固体電解質との界面抵抗が低減され、固体電解質成形体と正極活物質との界面において良好な電荷移動が可能となる。
上記適用例に記載の複合体の製造方法において、固体電解質成形体と正極活物質とを、加熱により乾燥、焼成する第6の工程を備えることが好ましい。
これによれば、正極活物質の前駆体が含まれる溶液の、溶媒などの有機物の残存を低減して、正極活物質の純度を高めてイオン伝導性を向上させることができる。
上記適用例に記載の複合体の製造方法において、第6の工程における焼成温度が、700℃以上、800℃以下であることが好ましい。
これによれば、正極活物質の前駆体が含まれる溶液の、溶媒などの有機物の残存をいっそう低減して、正極活物質の純度を高め、イオン伝導性を向上させることができる。また焼成温度を800℃以下とすることによって、正極活物質内のリチウムなどのイオンが過剰に揮発することを抑え、イオン伝導性の減衰を抑えることができる。
[適用例]本適用例に係る電池の製造方法において、上記の製造方法を用いて製造された複合体と、負極とを接合する工程を備える。
本適用例によれば、従来よりも固体電解質の形成材料などの無駄を省いて、電池を製造することができる。また、固体電解質のイオン伝導性を向上させながら、製造工程におけるエネルギー消費を低減した電池の製造方法を提供することができる。
実施形態1に係る電池としてのリチウム電池の構成を示す概略斜視図。 リチウム電池の構成を示す概略断面図。 リチウム電池の製造方法を示す工程フロー図。 固体電解質成形体の製造方法を示す模式図。 固体電解質成形体の製造方法を示す模式図。 固体電解質成形体の製造方法を示す模式図。 固体電解質成形体の製造方法を示す模式図。 固体電解質成形体の製造方法を示す模式図。 複合体の製造方法を示す模式図。 複合体の製造方法を示す模式図。 実施例および比較例に係る固体電解質の組成を示す図表。 実施例および比較例に係る固体電解質成形体の製造条件を示す図表。 実施例および比較例に係る評価結果を示す図表。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
(実施形態1)
<電池>
まず、本実施形態に係る電池について、図1を参照して説明する。本実施形態では、電池としてリチウム電池を例に挙げて説明する。図1は、実施形態1に係る電池としてのリチウム電池の構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のリチウム電池100は、複合体10、正極活物質層20、負極活物質層30、第1の集電極41、第2の集電極42を有している。複合体10は、正極活物質層20の第1の面20aと接して設けられている。正極活物質層20の第2の面20bは、第1の集電極41に接して設けられている。第2の集電極42は、負極活物質層30と接して設けられ、負極活物質層30と複合体10とは接している。換言すると、リチウム電池100では、正極活物質層20、複合体10、負極活物質層30が重畳された積層体を、一対の集電極としての第1の集電極41、第2の集電極42が挟持している。なお、本明細書において「層」とは、活物質や電解質などの物質が、ある一定の厚みをもって形成されたものを意味する。
第1の集電極41および第2の集電極42は、正極活物質層20および負極活物質層30と電気化学反応を生じず、かつ電子伝導性を有している形成材料であれば、いずれも好適に用いることができる。第1の集電極41および第2の集電極42の形成材料としては、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、およびパラジウム(Pd)からなる群から選ばれる1種の金属(金属単体)や、上記の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む合金、ITO(Tin-doped Indium Oxide)、ATO(Antimony-doped Tin Oxide)、およびFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)などの導電性金属酸化物、TiN(窒化チタン)、ZrN(窒化ジルコニウム)、TaN(窒化タンタル)などの金属窒化物などが挙げられる。
第1の集電極41および第2の集電極42の形態は、電子伝導性を有する上記形成材料の薄膜の他、金属箔、板状、導電体微粉末を粘結剤とともに混練したペーストなど、目的に応じて適当なものが選択可能である。第1の集電極41および第2の集電極42の形成は、複合体10、正極活物質層20、負極活物質層30の積層体を形成した後であっても、あるいは上記積層体を形成する前であってもよい。
複合体10は、固体電解質成形体としての固体電解質層2と、正極活物質3とを含んでいる。固体電解質層2は、後述する固体電解質粒子2bを有している。正極活物質層20は、正極活物質3を含み、固体電解質粒子2bを含んでいない。
正極活物質3の形成材料としては、通常知られているリチウム複合金属化合物を用いることができる。リチウム複合金属化合物とは、リチウムを含み、かつ全体として2種以上の金属元素を含む酸化物などの化合物であって、オキソ酸イオンの存在が認められないものを指している。
リチウム複合金属化合物としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、Li2Mn23、LiFePO4、Li2FeP27、LiMnPO4、LiFeBO3、Li32(PO43、Li2CuO2、LiFeF3、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、NMC(Li(NixMnyCo1-x-y)O2)、NCA(Li(NixCoyAl1-x-y)O2)などが挙げられる。また、本実施形態においては、これらのリチウム複合金属化合物の結晶内の一部原子が、他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲンなどで置換された固溶体もリチウム複合金属化合物に含むものとし、これらの固溶体も正極活物質として用いることができる。
正極活物質3の形成材料に、リチウム複合金属化合物を用いることにより、正極活物質3の内部で電子の受け渡しが行われ、正極活物質3と固体電解質層2との間でリチウムイオンの受け渡しが行われる。これによって、正極活物質3(複合体10)としての機能を良好に発揮することができる。
負極活物質層30は、負極活物質を含んでいる。負極活物質の形成材料としては、通常知られている、例えば、シリコン−マンガン合金(Si−Mn)、シリコン−コバルト合金(Si−Co)、シリコン−ニッケル合金(Si−Ni)、五酸化ニオブ(Nb25)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)、酸化ニッケル(NiO)、錫(Sn)が添加された酸化インジウム(ITO)、アルミニウム(Al)が添加された酸化亜鉛(AZO)、ガリウム(Ga)が添加された酸化亜鉛(GZO)、アンチモン(Sb)が添加された酸化錫(ATO)、フッ素(F)が添加された酸化錫(FTO)、炭素材料、炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質、TiO2のアナターゼ相、Li4Ti512,Li2Ti37などのリチウム複合酸化物、リチウム(Li)金属などが挙げられる。
正極活物質層20および負極活物質層30の厚さは、例えばおよそ50nmから100μm程度が好ましいが、所望の電池容量や材料特性に応じて任意に設計することが可能である。
リチウム電池100は、例えば円盤状であって、例えば外形の大きさは直径約10mm、厚さは約200μmである。小型、薄型であることに加え、充放電可能であって大きな出力エネルギーが得られることから、携帯情報端末などの電源として好適に用いることができる。なお、リチウム電池100の形状は円盤状であることに限定されず、例えば多角形の盤状であってもよい。このような薄型のリチウム電池100は、単体で用いてもよいし、複数のリチウム電池100を積層させて用いてもよい。積層させる場合には、リチウム電池100において、一対の集電極(第1の集電極41および第2の集電極42)は必ずしも必須な構成ではなく、一方の集電極を備える構成であってもよい。
<複合体>
次に、リチウム電池100に含まれる複合体10の構成について、図2を参照して説明する。図2は、リチウム電池の構成を示す概略断面図である。
複合体10は、固体電解質粒子2bを含む固体電解質層2(固体電解質成形体)と、正極活物質3とを有している。固体電解質層2は複数の固体電解質粒子2bの集合体であり、複数の孔を有する多孔質である。固体電解質層2の孔には、正極活物質3が設けられている。すなわち、固体電解質層2は、その孔の内部においても正極活物質3と接して複合化され、複合体10を構成している。そのため、固体電解質層2が多孔質でない場合や、孔内まで正極活物質3が設けられていない場合と比べて、固体電解質層2と正極活物質3との接触面積が大きくなる。これにより、界面抵抗が低減され、固体電解質層2と正極活物質3との界面において良好な電荷移動が可能となる。なお、図2は固体電解質粒子2bを模式的に示したものであり、実際の粒子の形状や大きさは必ずしも同じではない。
複合体10に含まれる正極活物質3についても、形成材料として、上述したリチウム複合金属化合物を用いることができる。
固体電解質層2(固体電解質粒子2b)は、下記式(1)、(2)の少なくとも一方の固体電解質を含んでいる。
(Li7-3x+yGax)(La3-yCay)Zr212 ・・・(1)
(但し、0.1≦x≦1、0.01≦y≦0.5を満たす。)
Li7-zLa3(Zr2-zα)O12 ・・・(2)
(但し、0.1≦z≦1を満たし、AはTa、Nb、およびSbのうち少なくとも1種を表し、0≦α<2を満たす。)
固体電解質層2における、リチウムイオン伝導性の指標としての、総イオン伝導率は、5.5×10-5S/cm以上であることが好ましい。固体電解質層2がこのようなイオン伝導率を有することにより、正極活物質3の表面から離れた位置の固体電解質層2に含まれるイオンが、正極活物質3の表面に到達することが容易になる。これにより、上記イオンも正極活物質3における電池反応に寄与することが可能となり、リチウム電池100をより高容量とすることができる。
ここで、固体電解質層2のイオン伝導率とは、固体電解質層2の粒子バルク内伝導率と、固体電解質層2が結晶質である場合に、結晶の粒子間の伝導率としての粒界伝導率と、それらの総和である総イオン伝導率とをいう。また、固体電解質層2における粒界抵抗の指標は粒界伝導率であり、粒界伝導率が増加すれば、粒界抵抗は低減される。固体電解質層2のイオン伝導率の測定方法は後述する。
リチウム電池100において、第2の集電極42から法線方向に遠ざかる方向(図2の上方)を上方向としたとき、複合体10の上側の表面は、正極活物質層20の第1の面20aと接している。複合体10の下側の表面は、負極活物質層30と接している。ここで、負極活物質層30において、複合体10と接する面を、表面30aとする。
複合体10は、上述したように正極活物質層20(第1の面20a)と接している。換言すれば、複合体10と第1の集電極41との間に正極活物質層20が介在する。そのため、固体電解質層2を介して、負極活物質層30と第1の集電極41とが電気的に接続されることがなく、短絡を防ぐことができる。
複合体10において、負極活物質層30(表面30a)と接する面(後述する面10a)には、固体電解質層2が露出している。そのため、固体電解質層2と負極活物質層30とは接して設けられ、双方は電気的に接続されている。
負極活物質層30は、表面30aにおいて、複合体10から露出する固体電解質層2と接触している。また、正極活物質3は、上述したように固体電解質層2の孔内まで設けられて、固体電解質層2の孔内を含む、負極活物質層30と接する面以外の固体電解質層2の表面と接している。このような構成の複合体10では、負極活物質層30と固体電解質層2との接触面積(第1の接触面積)より、固体電解質層2と正極活物質3との接触面積(第2の接触面積)が大きくなる。これによって、固体電解質層2と正極活物質3との界面が、電荷移動のボトルネックとなりにくく、そのため、複合体10として良好な電荷移動を確保しやすく、複合体10を用いたリチウム電池100において、高容量化や高出力化が可能になる。
<電池の製造方法>
本実施形態に係る電池としてのリチウム電池100の製造方法について、図3、図4A、図4B、図4C、図4D、図4E、図4F、図4Gを参照して説明する。リチウム電池100の製造方法は、固体電解質層2(固体電解質成形体)の製造方法、および複合体10の製造方法を含んでいる。図3は、リチウム電池の製造方法を示す工程フロー図である。図4Aから図4Eは、固体電解質成形体の製造方法を示す模式図である。図4Fおよび図4Gは、複合体の製造方法を示す模式図である。なお、図3に示した工程フローは一例であって、これに限定されるものではない。
[固体電解質成形体の製造方法]
固体電解質成形体としての固体電解質層2の製造方法は、下記式(1)、(2)のいずれか一方の固体電解質の前駆体が含まれる溶液2Xを、調製する第1の工程S1と、
(Li7-3x+yGax)(La3-yCay)Zr212 ・・・(1)
(但し、0.1≦x≦1、0.01≦y≦0.5を満たす。)
Li7-zLa3(Zr2-zα)O12 ・・・(2)
(但し、0.1≦z≦1を満たし、AはTa、Nb、およびSbのうち少なくとも1種を表し、0≦α<2を満たす。)
固体電解質の前駆体が含まれる溶液2X(以降、単に「前駆体溶液2X」とも言う。)を加熱して、第1の焼成を施す第2の工程S2と、第2の工程S2で得られた生成物に、加圧を施して成形物を形成する第3の工程S3と、成形物に第2の焼成を施して、多孔質の焼成体を形成する第4の工程S4と、を備える。
第1の工程S1(前駆体溶液2Xの調製工程)では、固体電解質の前駆体が含まれる溶液2Xを調製する。固体電解質の前駆体としては、以下の(A),(B),(C),(D)の少なくとも1種を用いることができる。この中で(B)はゾル・ゲル法を用いて固体電解質を形成する場合の前駆体である。本実施形態においては(D)の前駆体を用いる。
(A)固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により固体電解質となる金属塩を有する組成物。
(B)固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含む金属アルコキシド化合物を有する組成物。
(C)固体電解質の微粒子、または固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含む微粒子ゾルを溶剤に分散させた分散液。
(D)固体電解質が有する金属原子を、固体電解質の組成式に従った割合で含み、酸化により固体電解質となる金属塩および金属アルコキシド化合物を有する組成物。
本実施形態の固体電解質の前駆体には、リチウム化合物、ランタン化合物、ジルコニウム化合物、ガリウム化合物、カルシウム化合物、タンタル化合物、ニオブ化合物、アンチモン化合物を形成材料として用いる。これらの化合物の種類は特に限定されないが、それぞれ、リチウム、ランタン、ジルコニウム、ガリウム、カルシウム、タンタル、ニオブ、アンチモンの金属元素を含む金属塩または金属アルコキシドの少なくとも1種であることが好ましい。
このようなリチウム化合物としては、例えば、塩化リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウムなどのリチウム金属塩、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムノルマルブトキシド、リチウムイソブトキシド、リチウムセカンダリーブトキシド、リチウムターシャリーブトキシド、ジピバロイルメタナトリチウムなどのリチウムアルコキシドが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ランタン化合物としては、例えば、塩化ランタン、硝酸ランタン、酢酸ランタンなどのランタン金属塩、ランタントリメトキシド、ランタントリエトキシド、ランタントリプロポキシド、ランタントリイソプロポキシド、ランタントリノルマルブトキシド、ランタントリイソブトキシド、ランタントリセカンダリーブトキシド、ランタントリターシャリーブトキシド、トリス(ジピバロイルメタナト)ランタンなどのランタンアルコキシドなどが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ジルコニウム化合物としては、例えば、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウムなどのジルコニウム金属塩、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラセカンダリーブトキシド、ジルコニウムテトラターシャリーブトキシド、テトラキス(ジピバロイルメタナト)ジルコニウムなどのジルコニウムアルコキシドなどが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ガリウム化合物としては、例えば、臭化ガリウム、塩化ガリウム、沃化ガリウム、硝酸ガリウムなどのガリウム金属塩、ガリウムトリメトキシド、ガリウムトリエトキシド、ガリウムトリノルマルプロポキシド、ガリウムトリイソプロポキシド、ガリウムトリノルマルブトキシドなどのガリウムアルコキシドなどが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
カルシウム化合物としては、例えば、臭化カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、沃化カルシウム、硝酸カルシウム、蓚酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム金属塩、カルシウムジメトキシド、カルシウムジエトキシド、カルシウムジイソプロポキシド、カルシウムジノルマルプロポキシド、カルシウムジイソブトキシド、カルシウムジノルマルブトキシド、カルシウムジセカンダリーブトキシドなどのカルシウムアルコキシドなどが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
タンタル化合物としては、例えば、塩化タンタル、臭化タンタルなどのタンタル金属塩、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタノルマルプロポキシド、タンタルペンタイソブトシキド、タンタルペンタノルマルブトキシド、タンタルペンタセカンダリーブトキシド、タンタルペンタターシャリーブトキシドなどのタンタルアルコキシドが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
ニオブ化合物としては、例えば、塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、蓚酸ニオブ、ニオブアセチルアセトンなどのニオブ金属塩、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタプロポキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタセカンダリーブトキシドなどのニオブアルコキシドが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
アンチモン化合物としては、例えば、臭化アンチモン、塩化アンチモン、フッ化アンチモンなどのアンチモン金属塩、アンチモントリメトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリイソプロポキシド、アンチモントリノルマルプロポキシド、アンチモントリイソブトキシド、アンチモントリノルマルブトキシドなどのアンチモンアルコキシドが挙げられ、この群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前駆体溶液2Xが含む溶媒としては、上述した金属塩または金属アルコキシドを溶解可能な、水あるいは有機溶媒の単溶媒、または混合溶媒を用いる。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、アリルアルコール、エチレングルコールモノブチルエーテル(2−n−ブトキシエタノール)などのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、ギ酸、酢酸、2−エチル酪酸、プロピオン酸などの有機酸類、トルエン、o−キシレン、p−キシレンなどの芳香族類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類などが挙げられる。
上述した金属化合物を、以上の溶媒に溶解して、前駆体溶液2Xを調製する。このとき、前駆体溶液2Xには、所望の固体電解質の組成式(上記式(1)または(2))に従った割合で、各金属元素を含有させる。本実施形態では、各金属元素の金属塩または金属アルコキシドを含む金属化合物溶液を個別に作製し、それらを所望の固体電解質の組成(上記式(1)、(2))に従った割合で混合して、前駆体溶液2Xを調製する。
なお、高温による焼成によって、上記組成中のリチウムが脱離することがある。そのため、焼成条件にあわせて、あらかじめ前駆体溶液2Xのリチウムの含有量を、上記組成に対して0.05質量%から20質量%程度過剰に配合してもよい。
具体的には、まず、上述した金属化合物および溶媒をパイレックス(Pyrex:CORNING社商標)製の試薬瓶に入れ、撹拌しながら金属化合物を溶媒に完全に溶解して、各金属化合物溶液を作製する。このとき、必要に応じて加温下で行ってもよい。
次に、図4Aに示すように、パイレックス製のビーカーAに、各金属化合物溶液および磁石式撹拌子Bを入れ、マグネチックスターラーCにて撹拌しながら各金属化合物溶液を混合して、前駆体溶液2Xを調製する。
第2の工程S2(第1の焼成工程)では、図4Bに示すように、前駆体溶液2Xを加熱して第1の焼成を施す。具体的には、前駆体溶液2Xをチタン製シャーレD(内径50mmφ×高さ20mmt)に入れてホットプレートEに載せ、ホットプレートEの設定温度を180℃として1時間加熱し、溶媒を除去する。続いて、ホットプレートEの設定温度を360℃として30分間加熱し、前駆体溶液2Xに含まれる有機成分の大部分を燃焼により分解させる。次いで、第1の焼成として、ホットプレートEの設定温度を540℃とし、1時間加熱、焼成する。これによって、残存する有機成分を燃焼、分解させる。その後、室温(約20℃)まで徐冷して、生成物(仮焼成体)を得る。
ここで、第1の焼成における焼成温度は、500℃以上、650℃以下であることが好ましい。これによれば、前駆体溶液2X中の、溶媒などの有機物の残存を低減して、固体電解質の純度を高めてイオン伝導性を向上させることができる。さらには、固体電解質の前駆体から、所望の組成の固体電解質を得ることができる。また、第1の焼成における焼成時間は、1時間以上であることが好ましい。該焼成時間を1時間以上とすることによって、前駆体溶液2X中の、有機物の残存をいっそう低減することができる。
第3の工程S3(成形物の形成工程)では、上記生成物に加圧を施して成形物を形成する。具体的には、まず、図4Cに示すように、上記生成物をメノウ乳鉢Gおよびメノウ乳棒Hを用いて、充分に粉砕、混合し、固体電解質粒子2bを作製する。
ここで、固体電解質粒子2bの粒径(平均粒子径)は、0.3μm以上、5μm以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5μm以上、1μm以下である。固体電解質粒子2bの平均粒子径を調節することにより、後述する固体電解質層2(固体電解質成形体)の嵩密度を調節することができる。固体電解質粒子2bの平均粒子径は、例えば、固体電解質粒子2bをn−オクチルアルコールに0.1質量%以上、10質量%以下の範囲の濃度となるように分散させ、光散乱式粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX250(日機装社)を用いて、メジアン径を求めることにより測定可能である。
次に、図4Dに示すように、ハンディープレス機(図示せず)を用いて、固体電解質粒子2bに加圧を施す。具体的には、固体電解質粒子2bを0.2000g秤量して、10mmφの錠剤成型器Iに入れる。続いて、ハイディープレス機を用い、錠剤成型器Iに一軸プレス(加圧)を行って固体電解質粒子2bの成形物を得る。このとき、上記加圧は、一軸プレスを用いて、0.50kN/mm2以上、0.64kN/mm2以下の圧力を5分間印加し、後述する焼成体の嵩密度を45%以上、60%以下とすることが好ましい。ここで、加圧を施す時間は、おおよそ5分間以上が確保されればよく、例えば、4分間以上、7分間以下であればよい。
これによれば、固体電解質粒子2bの成形物に後述する第2の焼成を施すと、嵩密度が45%以上、60%以下の多孔質の焼成体を得ることができる。すなわち、硬度が比較的に高い固体電解質粒子2bを加圧成形するため、上記成形物は複数の孔を有している。
第4の工程S4(第2の焼成工程)では、上記成形物に第2の焼成を施して、多孔質の焼成体を形成する。具体的には、図4Eに示すように、上記成形物を、酸化マグネシウム製の蓋つきルツボKに入れて蓋をし、電気マッフル炉にて第2の焼成を施す。第2の焼成における焼成温度は、800℃以上、950℃以下であることが好ましい。これによれば、固体電解質における有機物の残存のいっそうの低減、および固体電解質の焼成を促進することができる。そのため、固体電解質粒子2b同士の焼結が進み、固体電解質粒子2b間の電気的な接続を良好とすることができる。また、温度の上限値を950℃とすることによって、固体電解質の変質を抑え、夾雑物の発生を抑制することができる。さらには、1000℃未満の比較的に低温にて焼成するため、エネルギー消費を低減することができる。また、第2の焼成における焼成時間は、上記の焼結が充分に進行すれば特に限定されないが、焼成時間を長くすると嵩密度が上昇するため、上記加圧の条件にあわせて調節することが好ましい。具体的な焼成時間は、例えば、6時間以上、12時間以下とすることができる。
次いで、電気マッフル炉を室温まで徐冷して、複数の孔を有する多孔質の焼成体を得る。ここで、本実施形態では、該焼成体が固体電解質層2(固体電解質成形体)となる。したがって、以上の製造工程を経て、固体電解質層2(固体電解質成形体)が製造される。
上述したように、固体電解質層2(焼成体)は、嵩密度が45%以上、60%以下である。より好ましくは、45%以上、55%以下である。固体電解質層2がこのような嵩密度を有することによって、固体電解質層2の孔内の表面積を広げ、固体電解質層2と正極活物質3との接触面積を大きくしやすくなる。これにより、複合体10を用いたリチウム電池100において、従来よりも高容量化が容易となる。
上記の嵩密度をβ(%)、固体電解質層2の孔も含めた見かけの体積をv、固体電解質層2の質量をw、固体電解質粒子2bの密度をρとすると、下記数式(A)が成り立つ。これにより嵩密度を求めることができる。
β={w/(v・ρ)}×100 ・・・(A)
固体電解質層2の嵩密度を上記の範囲とするためには、固体電解質粒子2bの平均粒子径、第3の工程S3における加圧条件、第4の工程S4における第2の焼成の条件などを、上述した範囲に調節することにより可能となる。また、固体電解質層2の嵩密度は、第3の工程S3において、増孔材を用いることによって制御してもよい。
[複合体の製造方法]
複合体10の製造方法は、上記の製造方法を用いて製造された固体電解質層2(固体電解質成形体)に、正極活物質3の前駆体が含まれる溶液3Xを接触させて、少なくとも固体電解質層2の孔に正極活物質3を形成する第5の工程を備えている。
まず、正極活物質3の前駆体が含まれる溶液3X(以降、単に「前駆体溶液3X」とも言う。)を調製する。正極活物質3の前駆体の形成材料としては、リチウム化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物、鉄化合物、リン化合物、ボロン化合物、バナジウム化合物、銅化合物、フッ素化合物、シリコン化合物などの、上述したリチウム複合金属化合物の構成元素を含む化合物が挙げられる。これらの化合物の種類は特に限定されないが、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、リン、ボロン、バナジウム、銅、フッ素、シリコンなどの元素を含む既存の化合物を用いることができる。
前駆体溶液3Xが含む溶媒としては、上記化合物を溶解可能であれば、特に限定されない。具体的には、上述した前駆体溶液2Xと同様な溶媒を用いることができる。
上記化合物を、以上の溶媒に溶解して、前駆体溶液3Xを調製する。このとき、前駆体溶液3Xには、所望の正極活物質3の組成に従った割合で、各元素を含有させる。
具体的には、上述した前駆体溶液2Xの調製工程(第1の工程S1)と同様な方法を用いて、前駆体溶液3Xを調製する。なお、本実施形態においては、正極活物質3の形成方法として、前駆体溶液3Xを用いる方法を例示したが、これに限定されない。正極活物質3の形成方法として、上記以外の公知の形成方法を用いてもよい。
次いで、第5の工程S5(正極活物質の形成工程)では、固体電解質層2に前駆体溶液3Xを接触させて、固体電解質層2の孔に前駆体溶液3Xを浸透させ、正極活物質3を形成する。本実施形態では、図4Fに示すように、基板などに載置した固体電解質層2に、ディスペンサーJを用いて、前駆体溶液3Xを滴下し接触させる塗布方法を用いる。前駆体溶液3Xは流動性を有するため、固体電解質層2の孔の内部へも到達しやすくなっている。
前駆体溶液3Xの塗布方法としては、上記の滴下による方法の他に、例えば、浸漬、吹き付け、毛細管現象による浸透、スピンコートなどの手段を用いることが可能であり、これらを組み合わせて実施してもよい。また、前駆体溶液3Xに焼成を施して、正極活物質3の粒子を製造した後、該粒子を固体電解質層2の孔に充填してもよい。あるいは、該粒子を加熱溶融させた融液を、固体電解質層2の孔に浸透させてもよい。
ここで、複合体10および正極活物質層20は、正極活物質3を含むため、双方の正極活物質3を同時に形成してもよい。すなわち、複合体10の製造工程において、固体電解質層2における正極活物質3の形成と、正極活物質層20の形成とを一度に行ってもよい。具体的には、固体電解質層2に滴下する前駆体溶液3Xの量を調節して、固体電解質層2の上方(図4Fにおける上方)へ、過剰に前駆体溶液3Xを塗布する。これにより、正極活物質3に固体電解質層2が完全に埋没して、正極活物質層20を形成することができる。なお、上述した滴下以外の塗布方法においても、同様に正極活物質層20が形成可能である。
次いで、第6の工程S6(複合体の焼成工程)では、固体電解質層2と正極活物質3とを、加熱により乾燥、焼成する。これによれば、前駆体溶液3Xの、溶媒などの有機物の残存を低減して、正極活物質3の純度を高めてイオン伝導性を向上させることができる。
第6の工程S6における上記複合体の焼成温度は、700℃以上、800℃以下であることが好ましい。これによれば、前駆体溶液3Xに含まれていた、溶媒などの有機物の残存をいっそう低減して、正極活物質3の純度を高め、イオン伝導性を向上させることができる。また焼成温度を800℃以下とすることによって、正極活物質3内のリチウムなどのイオンが過剰に揮発することを抑え、イオン伝導性の減衰を抑えることができる。具体的な加熱、焼成の方法としては、図4Eで示した第2の焼成(第4の工程S4)と同様に、ルツボKおよび電気マッフル炉などを用いて行うことができる。
次いで、電気マッフル炉を室温まで徐冷して、複合体10が得られる。すなわち、以上の製造工程を経て、複合体10が製造される。
ここで、複合体10では、固体電解質粒子2b同士をつなぎ合わせるバインダー(結着剤)や、固体電解質層2の導電性を担保するための導電助剤などが含まれる量は、可能な限り低減することが好ましい。特に、バインダーは複合体10の中に残存すると、電気特性に悪影響をおよぼす場合があるため、後工程の加熱を入念に実施して除去する必要がある。具体的には、本実施形態では、複合体10において、400℃で30分加熱した場合の質量減少率を、5質量%以下としている。上記質量減少率は3質量%以下がより好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、質量減少が観測されない、または測定誤差範囲内であることがより好ましい。複合体10がこのような質量減少率を有すると、所定の加熱条件において、蒸発する溶媒や吸着水、燃焼または酸化されて気化する有機物などの量が低減される。これによって、複合体10をリチウム電池100としたときに、リチウム電池100の電気特性(充放電特性)をより向上させることができる。
複合体10の質量減少率は、示差熱−熱重量同時測定装置(TG−DTA)を用い、所定の加熱条件における加熱前後の複合体10の質量値から求めることができる。
複合体10では、固体電解質層2が有する複数の孔が内部で網目状に連通している。したがって、例えば、固体電解質層2における結晶のイオン伝導性に異方性がある場合に、上記の孔が機械加工で形成されたような、特定の方向に孔が延在しているような構成では、結晶におけるイオン伝導性の方向によっては、イオン伝導性が低下することがある。これに対して、本実施形態では、固体電解質層2が網目構造であるため、結晶のイオン伝導性の異方性によらず、電気化学的に活性な連続表面を形成することができる。そのため、良好なイオン伝導を担保することができる。
[電池の製造方法]
リチウム電池100の製造方法は、上記の製造方法を用いて製造された複合体10と、負極としての第2の集電極42とを接合する工程を備えている。
図3に示した集電極の形成工程(工程S7)では、負極活物質層30および、第1の集電極41、第2の集電極42を、複合体10に形成する。まず、図4Gに示すように、複合体10の一面10aを研磨する。ここで、一面10aとは、例えば第5の工程S5(図4F)において、基板と接していた面である。このとき、研磨によって、固体電解質層2を一面10aに確実に露出させる。なお、上述した工程において、一面10aに固体電解質層2が十分に露出している場合は、上記研磨を省略することも可能である。
次に、一面10aに負極活物質層30を形成する。このとき、負極活物質層30は、一面10aに対して、表面30a(図2参照)が接して設けられる。負極活物質層30の形成方法としては、有機金属化合物の加水分解反応などを伴う、所謂ゾル・ゲル法や、有機金属熱分解法などの溶液プロセスの他、適切な金属化合物とガス雰囲気を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、固体電解質粒子のスラリーを使用したグリーンシート法やスクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法、適切なターゲットとガス雰囲気を用いたスパッタリング法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、真空蒸着法、めっき、溶射など、を用いることができる。また、負極活物質層30の形成材料には上述したものが採用できる。
次に、第1の集電極41および第2の集電極42を形成する。第1の集電極41は正極活物質層20の第2の面20bに、第2の集電極42は負極活物質層30の表面30aと対向する面に、それぞれ設けられる。第1の集電極41および第2の集電極42の形成方法としては、適当な接着層を別途設けて接着する方法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD法、PLD法、ALD法およびエアロゾルデポジション法などの気相堆積法、ゾル・ゲル法、有機金属熱分解法およびめっきなどの湿式法など、集電極形成面との反応性や電気回路に望まれる電気伝導性、電気回路設計に応じて、適当な方法を用いることができる。また、第1の集電極41および第2の集電極42の形成材料としては、上述したものを採用できる。以上の工程を経て、リチウム電池100(図1参照)が製造される。
以上に述べたように、上記実施形態に係る固体電解質層2(固体電解質成形体)の製造方法、複合体10の製造方法、リチウム電池100の製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
従来よりも固体電解質の形成材料などの無駄を省いて、固体電解質層2、複合体10、リチウム電池100を製造することができる。詳しくは、前駆体溶液2Xから、加熱によって固体電解質(生成物)が製造されため、例えば、共沈法と比べて、固体電解質の形成材料などの損失を低減することができる。また、共沈法における沈殿物(固体電解質)の洗浄やろ過などの工程を省くことが可能であり、洗浄やろ過操作における固体電解質の目減りの発生を防ぐことができる。
式(1)、(2)で表される固体電解質を用いるため、固体電解質層2の粒界抵抗を抑えて、イオン伝導性を向上させることができる。また、950℃以下の比較的に低い温度で焼成が可能であるため、製造工程におけるエネルギー消費を従来よりも低減することができる。
嵩密度が45%以上、60%以下の多孔質の焼成体が形成されることから、固体電解質層2において、従来と比べてイオン伝導性を確保した上で、表面積を拡大することができる。これにより、固体電解質層2、複合体10を含むリチウム電池100において、従来よりもイオン伝導性を向上させることができる。
固体電解質層2の孔の内部まで正極活物質3が形成されて、固体電解質層2と正極活物質3とが複合化される。そのため、固体電解質層2の孔内に正極活物質3が形成されていない場合と比べて、固体電解質層2と正極活物質3との接触面積を増大させることができる。これにより、正極活物質3と固体電解質層2との界面抵抗が低減され、固体電解質層2と正極活物質3との界面において良好な電荷移動が可能となる。
製造工程において、リチウムなどのイオンが過剰に揮発することを抑えながら、内部に残存する有機物を低減して、固体電解質層2や正極活物質3の純度を高め、固体電解質層2、複合体10、リチウム電池100におけるイオン伝導性を向上させることができる。
次に、上記実施形態について、実施例と比較例とを示し、上記実施形態の効果をより具体的に説明する。図5は、実施例および比較例に係る固体電解質の組成を示す図表である。なお、下記の実験における秤量は、分析用天秤ME204T(メトラー・トレド社)を用いて0.1mgの単位まで行った。
(実施例)
<金属化合物溶液の調製>
まず、金属化合物として、リチウム化合物、ガリウム化合物、ランタン化合物、カルシウム化合物、ジルコニウム化合物、ニオブ化合物、タンタル化合物、アンチモン化合物と、溶媒とを用いて、それぞれの金属化合物溶液を調製した。
[1mol/kg 硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバー(磁石式撹拌子)を入れた30gのパイレックス製試薬瓶へ、純度99.95%の硝酸リチウム(関東化学 3N5)1.3789gと、2−n−ブトキシエタノール(エチレングルコールモノブチルエーテル)(関東化学 鹿特級)18.6211gとを秤量した。次いで、ホットプレート機能付きマグネチックスターラーに載せ、190℃にて1時間撹拌しながら、硝酸リチウムを2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解し、室温(約20℃)まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。なお、硝酸リチウムの純度は、イオンクロマトグラフィー質量分析計を用いて測定することが可能である。
[1mol/kg 硝酸ガリウム・n水和物のエチルアルコール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた20gのパイレックス製試薬瓶へ、硝酸ガリウム・n水和物(n=五.五:高純度化学研究所 3N)3.5470gと、エチルアルコール6.4530gとを秤量した。次いで、ホットプレート機能付きマグネチックスターラーに載せ、90℃にて1時間撹拌しながら、硝酸ガリウム・n水和物(n=五.五)をエチルアルコールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸ガリウム・n水和物(n=五.五)のエチルアルコール溶液を得た。なお、用いた硝酸ガリウム・n水和物の水和数nは、燃焼実験による質量減少の結果から、5.5(五.五)であった。
[1mol/kg 硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた30gのパイレックス製試薬瓶へ、硝酸ランタン・六水和物(関東化学 4N)8.6608gと、2−n−ブトキシエタノール11.3392gとを秤量した。次いで、ホットプレート機能付きマグネチックスターラーに載せ、140℃にて30分間撹拌しながら、硝酸ランタン・六水和物を2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。
[1mol/kg 硝酸カルシウム・四水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた20gのパイレックス製試薬瓶へ、硝酸カルシウム・四水和物(関東化学 3N)2.3600gと、2−n−ブトキシエタノール7.6400gとを秤量した。次いで、ホットプレート機能付きマグネチックスターラーに載せ、100℃にて30分間撹拌しながら、硝酸カルシウム・四水和物を2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸カルシウム・四水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。
[1mol/kg ジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた20gのパイレックス製試薬瓶へ、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド(関東化学 GC:ガスクロマトグラフィー純度87.5質量%)3.8368gと、2−n−ブトキシエタノール6.1632gとを秤量した。次いで、マグネチックスターラーに載せ、室温にて30分間撹拌しながら、ジルコニウムテトラノルマルブトキシドを2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。なお、上記ジルコニウムテトラノルマルブトキシドについて、GC純度における他成分12.5質量%は、n−ブチルアルコールである。また、イオンクロマトグラフィー質量分析計を用いて測定した純度は3Nである。
[1mol/kg ニオブペンタエトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた20gのパイレックス製試薬瓶へ、ニオブペンタエトキシド(高純度化学研究所 3N)3.1821gと、2−n−ブトキシエタノール6.8179gとを秤量した。次いで、マグネチックスターラーに載せ、室温にて30分間撹拌しながら、ニオブペンタエトキシドを2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のニオブペンタエトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。
[1mol/kg タンタルペンタノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた20gのパイレックス製試薬瓶へ、タンタルペンタノルマルブトキシド(高純度化学研究所 5N)5.4640gと、2−n−ブトキシエタノール4.5360gとを秤量した。次いで、マグネチックスターラーに載せ、室温にて30分間撹拌しながら、タンタルペンタノルマルブトキシドを2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のタンタルペンタノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。
[1mol/kg アンチモントリノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液]
マグネチックスターラーバーを入れた20gのパイレックス製試薬瓶へ、アンチモントリノルマルブトキシド(高純度化学研究所 5N)3.4110gと、2−n−ブトキシエタノール6.5890gとを秤量した。次いで、マグネチックスターラーに載せ、室温にて30分間撹拌しながら、アンチモントリノルマルブトキシドを2−n−ブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のアンチモントリノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液を得た。
<固体電解質の前駆体を含む溶液の調製>
次に、第1の工程S1として、式(1):(Li7-3x+yGax)(La3-yCay)Zr212におけるx、y、または式(2):Li7-zLa3(Zr2-zα)O12におけるz、A、αが、図5に示した組成となるように、以上の金属化合物溶液を用いて、実施例1から実施例7、比較例1から比較例6の固体電解質の前駆体を含む溶液(以降、単に「前駆体溶液」とも言う。)を調製した。
[実施例1、2のLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512の前駆体溶液]
実施例1では、式(2)において、zが0.25、AがNb(ニオブ)、αが0.25のリチウム複合酸化物の前駆体を含む溶液を調製する。まず、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液8.1000g、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液3.0000g、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液2.0000g、1mol/kg濃度のニオブペンタエトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液0.2500gを秤量し、マグネチックスターラーバーを投入した。次いで、マグネチックスターラーを用いて、室温にて30分間撹拌し、実施例1の前駆体溶液を得た。なお、実施例2の前駆体溶液は、実施例1と同一組成であるため、実施例1と同様に調製した。
[実施例3のLi6.5La3Zr1.5Ta0.512の前駆体溶液]
実施例3では、式(2)において、zが0.50、AがTa(タンタル)、αが0.50のリチウム複合酸化物の前駆体を含む溶液を調製する。まず、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液7.8000g、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液3.0000g、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液1.7143g、1mol/kg濃度のタンタルペンタノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液0.5000gを秤量し、マグネチックスターラーバーを投入した。次いで、マグネチックスターラーを用いて、室温にて30分間撹拌し、実施例3の前駆体溶液を得た。
[実施例4のLi6.5La3Zr1.5Sb0.512の前駆体溶液]
実施例1では、式(2)において、zが0.50、AがSb(アンチモン)、αが0.50のリチウム複合酸化物の前駆体を含む溶液を調製する。まず、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液7.8000g、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液3.0000g、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液1.7143g、1mol/kg濃度のアンチモントリノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液0.5000gを秤量し、マグネチックスターラーバーを投入した。次いで、マグネチックスターラーを用いて、室温にて30分間撹拌し、実施例4の前駆体溶液を得た。
[実施例5、6、7のLi5.55Ga0.5La2.95Ca0.05Zr212の前駆体を含む溶液]
実施例5では、式(1)において、xが0.50、yが0.05のリチウム複合酸化物の前駆体を含む溶液を調製する。まず、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液6.6600g、1mol/kg濃度の硝酸ガリウム・n水和物(n=五.五)のエチルアルコール溶液0.5000g、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液2.9500g、1mol/kg濃度の硝酸カルシウム・四水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液0.0500g、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液2.2857gを秤量し、マグネチックスターラーバーを投入した。次いで、マグネチックスターラーを用いて、室温にて30分間撹拌し、実施例5の前駆体溶液を得た。なお、実施例6および実施例7の前駆体溶液は、実施例5と同一組成であるため、実施例5と同様に調製した。
[比較例1のLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512の前駆体溶液]
比較例1の前駆体溶液は、実施例1と同一組成であるため、実施例1と同様に調製した。
[比較例2のLi5.5Ga0.5La3Zr212の前駆体を含む溶液]
比較例2では、式(1)において、xが0.50、yが0.00のリチウム複合酸化物の前駆体を含む溶液を調製する。まず、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液6.6000g、1mol/kg濃度の硝酸ガリウム・n水和物(n=5.5)のエチルアルコール溶液0.5000g、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液3.0000g、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液2.2857gを秤量し、マグネチックスターラーバーを投入した。次いで、マグネチックスターラーを用いて、室温にて30分間撹拌し、比較例2の前駆体溶液を得た。なお、比較例2はyが0.00であって、式(1)において、0.01≦y≦0.5を満たさない。
[比較例3のLi7La3Zr212の前駆体溶液]
比較例3では、式(2)において、zが0.00、Aを含まないリチウム複合酸化物の前駆体を含む溶液を調製する。まず、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液8.4000g、1mol/kg濃度の硝酸ランタン・六水和物の2−n−ブトキシエタノール溶液3.0000g、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2−n−ブトキシエタノール溶液2.2857gを秤量し、マグネチックスターラーバーを投入した。次いで、マグネチックスターラーを用いて、室温にて30分間撹拌し、比較例3の前駆体溶液を得た。なお、比較例3はzが0.00であり、Aを含まない(αが0.00)ことから、式(2)において、0.1≦z≦1、AはTa、Nb、およびSbのうち少なくとも1種を満たさない。
[比較例4のLi6.5La3Zr1.5Sb0.512の前駆体溶液]
比較例4の前駆体溶液は、実施例4と同一組成であるため、実施例4と同様に調製した。
[比較例5のLi5.55Ga0.5La2.95Ca0.05Zr212の前駆体溶液]
比較例5の前駆体溶液は、実施例5と同一組成であるため、実施例5と同様に調製した。
[比較例6のLi6.5La3Zr1.5Ta0.512の前駆体溶液]
比較例6の前駆体溶液は、実施例3と同一組成であるため、実施例3と同様に調製した。
なお、上記の実施例1から実施例7、比較例1から比較例6の前駆体溶液では、焼成時のリチウムの抜け量を勘案し、式(1)または式(2)の本来の理論組成に対して、モル比で1.2倍となるように、リチウム源としての1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2−n−ブトキシエタノール溶液を配合した。他の金属元素源としての金属化合物溶液は、上記理論組成に対して、等モル比となるように配合した。
<固体電解質成形体の製造>
次に、実施例および比較例の前駆体溶液を用いて、実施例および比較例の固体電解質成形体を製造する。図6は、実施例および比較例に係る固体電解質成形体の製造条件を示す図表である。
上記の実施例1から実施例7、比較例1から比較例6の前駆体溶液を用いて、各固体電解質成形体を作製する。まず、内径50mmφ×高さ20mmのチタン製シャーレに、前駆体溶液を入れた。これをホットプレートに載せ、ホットプレートの設定温度を180℃として1時間加熱し、溶媒を除去した。続いて、ホットプレートの設定温度を360℃として30分間加熱し、含まれる有機成分の大部分を燃焼により分解させた。その後、第2の工程S2として、ホットプレートの設定温度を540℃とし、1時間加熱、焼成を施して、残存する有機成分を燃焼、分解させた。その後、ホットプレート上で室温まで徐冷して、生成物(540℃仮焼成体)を得た。
次に、540℃仮焼成体をメノウ乳鉢に移して充分に粉砕、混合して固体電解質粒子とした。そこから0.2000gを秤量して10mmφの成形型(内径10mmの排気ポート付きダイス)に入れ、ハンディープレス機を用い、第3の工程S3として加圧を施し成形物を形成した。上記加圧は、図6に示した加圧条件(加圧圧力および加圧時間)にて一軸プレスを行った。
さらに、第4の工程S4(第2の焼成工程)として、成形物に第2の焼成を施す。成形物を酸化マグネシウム製のルツボに入れ、酸化マグネシウム製の蓋をし、電気マッフル炉を用いて、図6に示した第2の焼成の条件にて焼成を実施した。次いで、電気マッフル炉を室温まで徐冷して取り出し、直径約9.5mm、厚さ約800μmの焼成体(固体電解質成形体)を得た。なお、比較例2および比較例4においては、第3の工程S3における加圧圧力を0.64kN/mm2超とした。比較例5においては、上記の加圧圧力を、0.50kN/mm2以未満とした。比較例1および比較例6においては、第4の工程S4における第2の焼成の焼成時間を、36時間(比較例1)、24時間(比較例6)とした。
<評価用複合体の作製>
まず、正極活物質を形成するための、正極活物質の前駆体が含まれる溶液を調製する。正極活物質の形成材料として、上述したリチウム複合金属化合物のLiCoO2を用いた。LiCoO2の前駆体が含まれる溶液の調製には、公知の方法を用いることができる。本実施形態では、リチウム化合物およびコバルト化合物を溶媒に溶解する方法を用いた。具体的には、炭酸リチウム(リチウム源)、炭酸コバルト(コバルト源)、2−エチル酪酸を、上記の順でモル比を1:1:7として反応容器に入れた。次に、窒素ガス雰囲気中で還流して反応させ、2−エチル酪酸リチウムおよび2−エチル酪酸コバルトが合成された溶液を得た。その後、上記溶液に減圧蒸留を施して副生成物を除去し、金属酸化物換算で5質量%濃度となるように、ブチルアルコールを用いて希釈溶液とした。さらに、希釈溶液にろ過を施して、粒子状の副生成物を除去することにより、LiCoO2の前駆体が含まれる溶液(以降、単に「LiCoO2前駆体溶液」とも言う。)を得た。
続いて、第5の工程S5として、固体電解質成形体にLiCoO2前駆体溶液を接触させて、固体電解質成形体の孔内にLiCoO2前駆体溶液を浸透させる。実施例および比較例の固体電解質成形体に、ディスペンサーを用いてLiCoO2前駆体溶液を滴下、含浸させた。その後、真空脱泡を施して、固体電解質成形体に塗布されたLiCoO2前駆体溶液の脱気処理を行って、複合体を得た。
第6の工程として、上記複合体に焼成を施す。まず、上記複合体を540℃で2時間加熱した後、焼成温度を800℃として8時間かけて加熱、焼成を行った。これらの操作を各実施例および各比較例について行い、固体電解質成形体と正極活物質とが複合化した実施例および比較例の複合体を得た。
<固体電解質成形体および評価用複合体の評価>
実施例および比較例の固体電解質成形体および評価用複合体について、以下の方法にて評価を行い、その結果を図7に記載した。図7は、実施例および比較例に係る評価結果を示す図表である。
固体電解質成形体の直径および厚さを、デジタルノギスCD67−S15PS(ミツトヨ社)を用いて測定した。固体電解質成形体の質量を、分析用天秤ME204T(メトラー・トレド社)を用いて測定した。固体電解質の密度ρを4800kg/m3として、上述した固体電解質層2の嵩密度の計算式(数式A)を用いて、固体電解質成形体の嵩密度を計算した。
評価用電極複合体の表裏両面に、金スパッタにて8mmφの金電極(イオンブロッキング電極)を作製した。次いで、インピーダンスアナライザーSI1260(ソーラトロン社)を用いて、交流インピーダンス測定を行った。その後、評価用複合体表裏両面の上記金電極上に、リチウム金属箔を押し当て、活性化電極での交流化インピーダンス測定を行った。なお、測定時のAC振幅は10mV、測定周波数は107Hzから10-1Hzとした。得られたインピーダンススペクトルであるCole−Coleプロットから、評価用複合体におけるリチウムイオン伝導性の指標として、総イオン伝導率を算出した。
なお、実施例1の評価用複合体について、片面の金電極を剥離した後、起電力を測定した結果、3.95Vであった。
<評価結果>
上記評価の結果について、図7を参照して説明する。
[嵩密度]
図7に示したように、実施例1から実施例7のいずれにおいても、45%以上、60%以下の嵩密度が確保できている。一方、比較例1から比較例6については、比較例3が49%となった他は、比較例1、2、4、6が60%を超え、比較例5が45%未満となった。これにより、比較例1から比較例6は、比較例3を除き、嵩密度が45%以上、60%以下の範囲から外れていた。
[総イオン伝導率]
図7に示したように、実施例1から実施例7の総イオン伝導率は、2.2×10-4S/cmから1.2×10-4S/cmと良好な数値が得られた。一方、比較例1から比較例6では、固体電解質の組成が上記式(1)、(2)を満たさない比較例3において、1.5×10-6S/cmとなった。
以上から、比較例3以外の比較例1から比較例6は、総イオン伝導率が実施例と同等であったが、嵩密度が45%以上、60%以下の範囲から外れており、リチウム電池に用いた場合に高容量化が難しくなることが示された。また、比較例3は、嵩密度が45%以上、60%以下の範囲内であったが、総イオン伝導率が実施例と比べて小さく、リチウムイオン伝導性が実施例よりも劣っていることが示された。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
(変形例1)
上記実施形態においては、上記式(1)、(2)のいずれかの固体電解質を、それらの前駆体が含まれる溶液2Xから製造する製造方法を説明した。固体電解質の製造方法は、このような湿式法に限定されない。例えば、固相合成法、ゾル・ゲル法、金属有機化合物分解法(MOD:Metal Organic Decomposition法)などを用いてもよい。本変形例では、固相合成法を用いた固体電解質粒子(固体電解質)の製造方法について、一例を挙げて説明する。
固体電解質を固相合成法で得るためには、リチウムを含む原料の少なくとも1種と、ランタンを含む原料の少なくとも1種と、ジルコニウムを含む原料の少なくとも1種とが用いられる。これに加えて、ガリウム、カルシウム、タンタル、ニオブ、アンチモンを含む各原料を選択し、上記式(1)または上記式(2)の組成に合わせた比率にて配合して出発原料とする。この出発原料を、大気下やアルゴン−酸素混合気などの、少なくとも酸素が存在する雰囲気中で加熱することによって、所望の固体電解質を合成することができる。
リチウムを含む原料としては、上述したリチウム化合物に加えて、酸化リチウム、リチウム有機酸塩、フッ化リチウムなどのハロゲン化リチウム、窒化リチウムなどのリチウム無機化合物、リチウム金属、リチウム合金などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともリチウムを含み、リチウム以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
ランタンを含む原料としては、上述したランタン化合物に加えて、酸化ランタン、ランタン有機酸塩、フッ化ランタンなどのハロゲン化リチウム、窒化ランタンなどのランタン無機化合物、ランタン金属、ランタン合金などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともランタンを含み、ランタン以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
ジルコニウムを含む原料としては、上述したジルコニウム化合物に加えて、酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムなどのハロゲン化ジルコニウム、窒化ジルコニウムなどのジルコニウム無機化合物、ジルコニウム金属、ジルコニウム合金などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともジルコニウムを含み、ジルコニウム以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
ガリウムを含む原料としては、上述したガリウム化合物などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともガリウムを含み、ガリウム以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
カルシウムを含む原料としては、上述したカルシウム化合物などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともカルシウムを含み、カルシウム以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
タンタルを含む原料としては、上述したタンタル化合物に加えて、酸化タンタル、タンタル有機酸塩、水酸化タンタル、ハロゲン化タンタル、窒化タンタルなどのタンタル無機化合物、タンタル金属、タンタル合金などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともタンタルを含み、タンタル以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
ニオブを含む原料としては、上述したニオブ化合物に加えて、酸化ニオブ、ニオブ有機酸塩、水酸化ニオブ、ハロゲン化ニオブ、窒化ニオブなどのニオブ無機化合物、ニオブ金属、ニオブ合金などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともニオブを含み、ニオブ以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
アンチモンを含む原料としては、上述したアンチモン化合物に加えて、酸化アンチモン、アンチモン有機酸塩、ハロゲン化アンチモン、窒化アンチモンなどのアンチモン無機化合物、アンチモン金属、アンチモン合金などが挙げられ、その少なくとも1種を用いることができる。また、上記式(1)または上記式(2)の固体電解質の構成元素のうち、少なくともアンチモンを含み、アンチモン以外の元素を1種以上含む複酸化物を用いてもよい。
まず、上述した各元素を含む原料の紛体を用いて、上記式(1)または上記式(2)を満たすように上記原料の紛体を秤量して混合する。このとき、上記原料の紛体の粒径や粒度分布には特に制限はなく、粒径を揃えるために整粒を施したものや、あらかじめ乾燥雰囲気中で粒子表面の吸着水を取り除く処理を行ったものを用いてもよい。また、所望の固体電解質の収率を向上させるため、上記紛体の混合では撹拌を充分に行うことが好ましい。秤量作業は、必要に応じて乾燥雰囲気中や不活性ガスの雰囲気中で行ってもよい。なお、リチウムは高温焼成時に脱離することがあるため、焼成する条件に合わせて、上記式(1)または上記式(2)の組成に対して、リチウム化合物を0.05質量%から20質量%程度過剰に配合してもよい。
また、秤量して混合した原料紛体について、固相反応を促進して均一性を向上させるため、原料紛体の粒子間が密着するようにペレットに成形してもよい。成形される形状や方法は特に限定されず、例えば錠剤成型器によるプレス加工や、CIP(Cold Isostatic Pressing)などを利用した公知の方法を用いることができる。このとき、成形性を補助する目的で、高分子化合物を含むバインダーを適宜添加してもよい。
次に、上記の混合した原料紛体、または上記ペレットについて、熱処理を施す。熱処理は、焼結温度や結晶性などに応じ、540℃から1300℃の温度範囲で行うことができる。熱処理における雰囲気は特に限定されないが、少なくとも熱処理の一定時間は、大気または酸素を含む混合気とすることが好ましい。また、添加剤や元素の脱離反応を制御するため、一定時間または一定の温度範囲にて不活性ガスの雰囲気中で処理を行ってもよい。
上記の熱処理によって固相合成を進行させ、所望の固体電解質を得ることができる。得られた固体電解質を、実施形態1における生成物(仮焼成体)と同様に、メノウ乳鉢などを用いて粉砕、混合し、固体電解質粒子を製造することができる。
以上述べたように、本変形例によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。固体電解質の前駆体が含まれる溶液の調製工程を省くことができる。上記溶液から、溶媒を除去する操作が不要となる。また、上記溶液に用いる溶媒が不要となる。これらにより、固体電解質の形成材料などの無駄がさらに省けることに加えて、製造工程を簡略化することができる。
2…固体電解質層(固体電解質成形体)、2b…固体電解質粒子、2X…固体電解質の前駆体が含まれる溶液(前駆体溶液)、3…正極活物質、3X…正極活物質3の前駆体が含まれる溶液(前駆体溶液)、10…複合体、10a…一面、20…正極活物質層、20a…第1の面、20b…第2の面、30…負極活物質層、30a…表面、41…第1の集電極、42…第2の集電極、100…リチウム電池、S1…第1の工程、S2…第2の工程、S3…第3の工程、S4…第4の工程、S5…第5の工程、S6…第6の工程、S7…工程。

Claims (8)

  1. 下記式(1)、(2)のいずれか一方の固体電解質の前駆体が含まれる溶液を、調製する第1の工程と、
    (Li7-3x+yGax)(La3-yCay)Zr212 ・・・(1)
    (但し、0.1≦x≦1、0.01≦y≦0.5を満たす。)
    Li7-zLa3(Zr2-zα)O12 ・・・(2)
    (但し、0.1≦z≦1を満たし、AはTa、Nb、およびSbのうち少なくとも1種を表し、0≦α<2を満たす。)
    前記固体電解質の前駆体が含まれる溶液を加熱して、第1の焼成を施す第2の工程と、
    前記第2の工程で得られた生成物に、加圧を施して成形物を形成する第3の工程と、
    前記成形物に第2の焼成を施して、多孔質の焼成体を形成する第4の工程と、を備え
    た固体電解質成形体の製造方法。
  2. 前記加圧は、一軸プレスを用いて、0.50kN/mm2以上、0.64kN/mm2以下の圧力を5分間印加し、前記焼成体の嵩密度を45%以上、60%以下とする請求項1に記載の固体電解質成形体の製造方法。
  3. 前記第1の焼成における焼成温度は、500℃以上、650℃以下である、請求項1または請求項2に記載の固体電解質成形体の製造方法。
  4. 前記第2の焼成における焼成温度は、800℃以上、950℃以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固体電解質成形体の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された固体電解質成形体に、正極活物質の前駆体が含まれる溶液を接触させて、少なくとも前記固体電解質成形体の孔内に前記正極活物質を形成する第5の工程を備えた複合体の製造方法。
  6. 前記固体電解質成形体と前記正極活物質とを、加熱により乾燥、焼成する第6の工程を備えた請求項5に記載の複合体の製造方法。
  7. 前記第6の工程における焼成温度が、700℃以上、800℃以下である請求項6に記載の複合体の製造方法。
  8. 請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の複合体の製造方法を用いて製造された複合体と、負極とを接合する工程を備えた電池の製造方法。
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