JP2018036376A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能な電子写真感光体を提供する。【解決手段】電子写真感光体30は、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は、単層である。感光層32は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種である。電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種である。一般式(1)中、R1は、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基等である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体の一例において、電子写真感光体は、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。特許文献1に記載の多層型感光装置は、電子輸送材料として、化学式(ETM−A)で表される化合物を含有する。
Figure 2018036376
特開昭60−69657号公報
しかし、化学式(ETM−A)で表される化合物を感光層に含有させた電子写真感光体では、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が困難であった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。更に、本発明の目的は、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能な電子写真感光体を使用することで、良好な画像を形成できる画像形成方法を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、単層である。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。前記フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種である。前記電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む。
Figure 2018036376
前記一般式(1)中、R1は、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、ハロゲン原子を1つ以上有し炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、ハロゲン原子を1つ以上有する5員以上14員以下の複素環基、又はハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程とを含む。前記帯電工程では、上述の電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光工程では、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像工程では、前記静電潜像に重合トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写工程では、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の電子写真感光体によれば、耐フィルミング性を向上させ、転写メモリーの発生を抑制させることができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、耐フィルミング性を向上させ、転写メモリーの発生を抑制することができる。更に、本発明の画像形成方法によれば、このような電子写真感光体を使用することで、フィルミングの発生及び転写メモリーの発生を抑制して良好な画像を形成することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。 チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例であり、このチタニルフタロシアニンは本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 化学式(1−3)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 化学式(1−4)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられる。 評価用画像を示す図である。 画像ゴーストが発生した画像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。更に、反応式(R−1)〜(R−4)、(R−A)及び(R−B)で表される反応を各々、反応(R−1)〜(R−4)、(R−A)及び(R−B)と記載することがある。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数3以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン、シクロアルキリデン基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基、5員以上14員以下の複素環基、5員又は6員の複素環基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基及び炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。炭素原子数3以上5以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が3以上5以下である基である。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘプタンが挙げられる。
シクロアルキリデン基は、非置換である。シクロアルキリデン基の例は、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基の例は、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基又はシクロへプチリデン基が挙げられる。
5員以上14員以下の複素環基は、炭素原子以外にヘテロ原子を少なくとも1個含み、非置換である。ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選択される1種以上である。5員以上14員以下の複素環基は、例えば、炭素原子以外に1個以上3個以下のヘテロ原子を含む5員又は6員の単環の複素環基;このような単環の複素環が2個縮合した複素環基;このような単環の複素環と、5員又は6員の単環の炭化水素環とが縮合した複素環基;このような単環の複素環が3個縮合した複素環基;このような単環の複素環2個と、5員又は6員の単環の炭化水素環1個とが縮合した複素環基;又はこのような単環の複素環1個と、5員又は6員の単環の炭化水素環2個とが縮合した複素環基が挙げられる。5員以上14員以下の複素環基の具体例としては、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、イソインドリル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、プテリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、4H−キノリジニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、1,3−ベンゾジオキソリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基又はフェナントロリニル基が挙げられる。5員又は6員の複素環基の例は、5員以上14員以下の複素環基の例として述べた基のうち、5員又は6員の基である。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデシル基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。
<1.電子写真感光体>
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。本実施形態の感光体によれば、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能である。その理由は以下のように推測される。
理解を助けるために、フィルミングについて説明する。フィルミングは、感光体の表面に微小成分が付着して固着する現象である。微小成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。微小成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体(例えば、紙)の微小成分(例えば、紙粉)である。画像形成においてトナー又は遊離した外添剤が感光体の表面に付着することがある。また、画像形成において記録媒体と感光体の表面とが接触するときに、記録媒体の微小成分が感光体の表面に付着することがある。特に、記録媒体の微小成分が感光体によって摩擦されて微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電する場合に、フィルミングが発生し易い。
ここで、本実施形態の感光体では、電子輸送剤が一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を含む。化合物(1)は、ハロゲン原子を必須に有し、所定の骨格を有する。このような化合物(1)が含有されると、記録媒体の微小成分と感光体とが接触して感光体によって微小成分が摩擦されたときに、微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電されることを抑制できると考えられる。画像形成の帯電工程で正極性に帯電された感光体の表面と、所望の値以上の正極性を帯びる記録媒体の微小成分とは、電気的に反発する。これにより、感光体の表面に微小成分が付着し難くなる。その結果、フィルミングの発生を抑制することができる。
更に、本実施形態の感光体では、感光層がフィラー粒子であるシリカ粒子又は樹脂粒子を含む。これにより、感光層の表面に適度な凹凸形状が形成される傾向がある。これにより、感光層の表面と、感光体の表面に付着した微小成分との接触面積が小さくなる傾向がある。接触面積が小さいと、クリーニング部は感光体の表面に付着した微小な成分を感光層の表面から除去し易い。その結果、感光体の耐フィルミング性を向上させることができる。
次に、理解を助けるために、転写メモリーについて説明する。転写メモリーは、転写バイアスの影響によって、感光体表面において、前の周の非露光領域に対応する領域の帯電電位が、前の周の露光領域に対応する領域よりも低下する現象である。転写メモリーは、高速で画像を形成する場合に発生し易い。高速で画像を形成する場合には、強い転写バイアスを感光体へ印加する転写条件に設定されることが多いからである。また、高速で画像を形成する場合には、帯電時間及び感光層内で電荷を移動させる時間が不十分になり、感光層内に電荷(特に電子)が蓄積され易いからである。感光体に転写メモリーが発生すると、形成画像に画像ゴースト(特にネガゴースト)が発生する。ネガゴーストは、形成画像において、感光体の前の周の非露光領域に対応する領域が黒ずむ画像不良である。
ここで、本実施形態の感光体の感光層は、電子輸送剤である化合物(1)と、フィラー粒子であるシリカ粒子又は樹脂粒子を含む。これにより、感光層内における電子の蓄積を抑制することができる。その結果、転写メモリーの発生を抑制することができる。
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体30の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体30は、例えば、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は単層である。感光体30は、単層の感光層32を備えるいわゆる単層型感光体である。
図1(b)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32と、下引き層33(中間層)とを備えてもよい。下引き層33は、導電性基体31と感光層32との間に設けられる。図1(a)に示すように、感光層32は導電性基体31の上に直接配置されてもよい。また、導電性基体31の表面31aが酸化皮膜を有する場合には、感光層32は導電性基体31の上に酸化被膜を介して間接的に配置されてもよい。或いは、図1(b)に示すように、感光層32は導電性基体31の上に下引き層33を介して間接的に配置されてもよい。
図1(c)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32と、保護層34とを備えてもよい。保護層34は、感光層32上に設けられる。しかし、転写メモリーの発生及びフィルミングの発生を更に抑制するためには、感光体30は保護層34を備えないことが好ましい。感光体30は保護層34を備えない場合、感光層32が感光体30の最表面層として備えられる。
感光層32の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層32の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層32は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含有する。感光層32は、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子と、と必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)とは、一層(同じ層)に含有される。
以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明した。次に、感光体の要素について説明する。
<1−1.導電性基体>
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。また、導電性基体は、その表面にこれら導電性を有する材料の酸化皮膜を有してもよい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<1−2.感光層>
感光層は、電子輸送剤と、フィラー粒子と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤と、電荷発生剤とを含有する。
(電子輸送剤)
感光層は、電子輸送剤として、化合物(1)の少なくとも1種を含む。化合物(1)は、一般式(1)で表される。化合物(1)は、マロノニトリル誘導体である。感光層は、例えば、化合物(1)の1種又は2種を含むことができる。
Figure 2018036376
一般式(1)中、R1は、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基;ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基;ハロゲン原子を1つ以上有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;ハロゲン原子を1つ以上有する5員以上14員以下の複素環基:又はハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。
一般式(1)のR1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数3以上5以下のアルキル基がより好ましく、n−プロピル基、n−ブチル基又はネオペンチル基が特に好ましい。R1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、ハロゲン原子を1つ以上有する。R1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましく、クロロ基であることがより好ましい。R1で表される炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ又は2つであることが好ましい。
1で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、ハロゲン原子を1つ以上有する。R1で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。R1で表される炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ又は2つであることが好ましい。
1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。R1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子を1つ以上有する。R1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましく、クロロ基であることがより好ましい。R1で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子の数は、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子に加えて、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を更に有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
1で表される5員以上14員以下の複素環基としては、炭素原子以外に1個以上3個以下のヘテロ原子(好ましくは窒素原子)を含む5員又は6員の単環の複素環基が好ましく、ピリジル基がより好ましい。R1で表される5員以上14員以下の複素環基は、ハロゲン原子を1つ以上有する。R1で表される5員以上14員以下の複素環基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましく、クロロ基であることがより好ましい。R1で表される5員以上14員以下の複素環基が有するハロゲン原子の数は、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、フェニル基が結合した炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、フェニルメチル基(ベンジル基)又はフェニルエチル基がより好ましい。R1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、ハロゲン原子を1つ以上有する。R1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。R1で表される炭素原子数7以上20以下のアラルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ又は2つであることが好ましい。
一般式(1)中、一般式「−COOR1」で表される基の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。一般式「−COOR1」で表される基は、下記化学式中の1位、2位、3位及び4位の何れの位置に結合してもよい。一般式「−COOR1」で表される基は、下記化学式中の1位、2位又は4位に結合することが好ましい。
Figure 2018036376
転写メモリーの発生の抑制及び感光体の耐フィルミング性の向上の観点から、R1は、ハロゲン原子を1つ又は2つ有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基;ハロゲン原子を1つ又は2つ有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;ハロゲン原子を1つ又は2つ有する5員以上14員以下の複素環基;又はハロゲン原子を1つ又は2つ有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表すことが好ましい。
化合物(1)の好適な例としては、化学式(1−1)〜(1−9)で表される化合物が挙げられる。化学式(1−1)〜(1−9)で表される化合物の各々を、化合物(1−1)〜(1−9)と記載することがある。
Figure 2018036376
転写メモリーの発生を更に抑制するためには、化合物(1−1)〜(1−9)のうち、化合物(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−7)又は(1−9)が感光層に含有されることが好ましい。耐フィルミング性を更に向上させるためには、化合物(1−1)〜(1−9)のうち、化合物(1−1)、(1−3)(1−4)(1−5)(1−6)(1−7)(1−8)又は(1−9)が感光層に含有されることが好ましい。転写メモリーの発生の抑制及び耐フィルミング性の向上を更に両立させるためには、化合物(1−1)〜(1−9)のうち、化合物(1−1)、(1−3)、(1−7)又は(1−9)が感光層に含有されることが好ましい。
転写メモリーの発生の抑制及び感光体の耐フィルミング性の向上の観点から、化合物(1)は、一般式(1a)で表される化合物(以下、化合物(1a)と記載することがある)であることが好ましい。
Figure 2018036376
一般式(1a)中、R2は、ハロゲン原子を1つ又は2つ有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基;ハロゲン原子を1つ有する5員以上14員以下の複素環基;又はフッ素原子を1つ有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。化合物(1a)の好適な例は、化合物(1−1)、(1−3)、(1−7)又は(1−9)である。
化合物(1)の含有量は、感光層に含まれるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
感光層は化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の電子輸送剤を更に含んでもよい。化合物(1)以外の電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物(1)の含有量は、感光層に含有される電子輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
[化合物(1)の製造方法]
化合物(1)は、例えば、反応(R−1)及び(R−2)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。化学式(A)、一般式(B)、一般式(C)及び化学式(D)で表される化合物を、各々、化合物(A)、(B)、(C)及び(D)と記載することがある。化学式(B)及び(C)中のR1は、一般式(1)中のR1と同義である。
Figure 2018036376
反応(R−1)では、1モル当量の化合物(A)と、1モル当量の化合物(B)とを反応させて、1モル当量の化合物(C)を得る。1モルの化合物(A)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(B)を添加することが好ましい。反応(R−1)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−1)は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、例えば、酸触媒が挙げられ、より具体的には、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸又はピリジニウム−p−トルエンスルホン酸が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の添加量は、1モルの化合物(A)に対して、少量であり、具体的には0.01モル以上0.5モル以下であることが好ましい。
反応(R−1)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はジオキサン)、ハロゲン化炭化水素(具体的には、塩化メチレン、クロロホルム又はジクロロエタン)又は芳香族炭化水素(具体的には、ベンゼン又はトルエン)が挙げられる。
反応(R−2)では、1モル当量の化合物(C)と、1モル当量の化合物(D、マロノニトリル)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得る。1モルの化合物(C)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(D)を添加することが好ましい。反応(R−2)の反応温度は40℃以上120℃以下であることが好ましい。反応(R−2)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−2)は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、例えば、塩基触媒が挙げられ、より具体的には、ピペリジン、ピペラジンが挙げられる。
反応(R−2)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、極性溶媒が挙げられ、より具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、アセトン又はジオキサンが挙げられる。
反応(R−2)で得られた反応生成物を、必要に応じて精製することにより、目的化合物である化合物(1)を単離することができる。精製方法としては、公知の方法が適宜採用される。精製は、例えば晶析又はシリカゲルクロマトグラフィーにより行われてもよい。精製に使用する溶媒として、例えば、クロロホルムが挙げられる。
(フィラー粒子)
感光層は、フィラー粒子として、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種を含む。感光層は、例えば、シリカ粒子及び樹脂粒子のうちの1種又は2種を含むことができる。感光層がシリカ粒子及び樹脂粒子の2種以上を含む場合には、フィラー粒子は、2種以上のシリカ粒子であってもよく、2種以上の樹脂粒子であってもよく、1種以上のシリカ粒子と1種以上の樹脂粒子であってもよい。
樹脂粒子の例は、シリコーン樹脂粒子、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と記載することがある)粒子又はポリテトラフロオロエチレン樹脂(以下、PTFE樹脂と記載することがある)粒子である。感光体の耐フィルミング性を向上させる観点から、フィラー粒子としては、樹脂粒子が好ましく、シリコーン樹脂粒子又はPTFE樹脂粒子がより好ましく、PTFE樹脂粒子が特に好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させる観点から、樹脂粒子は、ハロゲン原子を含むことが好ましく、フッ素原子を含むことがより好ましい。フッ素原子を含む樹脂粒子の例は、PTFE樹脂粒子である。フィラー粒子は導電性を有しないことが好ましい。フィラー粒子が導電性を有しないことで、感光層の表面を均質に帯電し易くなる。
フィラー粒子の体積中位径D50は、感光体の耐フィルミング性を向上させつつ転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、5nm(即ち0.005μm)以上10μm以下であることが好ましく、0.500μm以上5.000μm以下であることが好ましく、0.500μm以上3.000μm以下であることが更に好ましい。
フィラー粒子の体積中位径D50は、転写メモリーの発生を抑制しつつ感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、5nm(即ち0.005μm)以上10μm以下であることが好ましく、0.010μm以上10.000μm以下であることがより好ましく、0.400μm以上10.000μm以下であることが更に好ましく、1.000μm以上10.000μm以下であることが一層好ましく、1.000μm以上5.000μm以下であることが特に好ましく、1.000μm以上3.000μm以下であることが最も好ましい。
フィラー粒子の体積中位径D50は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチタイザー3」)を用いて測定される。なお、体積中位径D50はコールターカウンター法を用いて体積基準で算出されたメディアン径を意味する。
フィラー粒子の含有量は、感光体の耐フィルミング性を更に向上させ、転写メモリーの発生を更に抑制する観点から、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上10質量部以下であることが更に好ましい。
フィラー粒子としては、市販品を使用することもできる。市販品のフィラー粒子の例は、表1に示すフィラー粒子(F1)〜(F10)である。表1はフィラー粒子の種類、材質、体積中位径、商品名及び製造元を示す。フィラー粒子(F7)〜(F10)の樹脂は、フッ素原子を含有する。なお、「AEROSIL」、「トレパール」及び「ルブロン」は登録商標である。
Figure 2018036376
感光層がシリカ粒子及び樹脂粒子の2種を含む場合には、感光層が1種のシリカ粒子及び1種の樹脂粒子を含むことが好ましく、シリカ粒子及びPTFE樹脂を含むことがより好ましく、フィラー粒子(F1)及び(F7)を含むことが特に好ましい。
感光層は、樹脂粒子及びシリカ粒子の少なくとも1種に加えて、樹脂粒子及びシリカ粒子以外のフィラー粒子(その他のフィラー粒子)を更に含んでもよい。樹脂粒子及びシリカ粒子の少なくとも1種の含有量は、感光層に含有されるフィラー粒子の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。更に、化合物(1)との相溶性が良好であり、化合物(1)の感光層中での分散性が向上する観点から、感光層は、一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(3)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂を少なくとも1種含有することがより好ましい。感光層は、例えば、一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(3)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂を1種又は2種含有することができる。また、感光層は、例えば、一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(3)で表される繰返し単位の1種を有する樹脂を1種又は2種含有することができる。
Figure 2018036376
一般式(2)中、R11及びR12は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R11及びR12は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよい。R11及びR12は、互いに同一であっても異なってもよい。R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R13及びR14は、互いに同一であっても異なってもよい。
Figure 2018036376
一般式(3)中、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R15及びR16は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよい。R15及びR16は、互いに同一であっても異なってもよい。R17及びR18は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R17及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(3)中の2つのカルボニル基の置換位置に関し、一のカルボニル基は、ベンゼン環に結合する他のカルボニル基に対して、オルト位(o位)、メタ(m位)又はパラ位(p位)に位置する。
バインダー樹脂が一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(3)で表される繰返し単位の2種以上を有する場合には、バインダー樹脂は、2種以上の一般式(2)で表される繰り返し単位を有していてもよく、2種以上の一般式(3)で表される繰り返し単位を有していてもよく、1種以上の一般式(2)で表される繰り返し単位及び1種以上の一般式(3)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
2種以上の一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、例えば、一般式(2)で表される繰り返し単位を形成するための2種以上のアルコールモノマーとホスゲンとを共重合させることにより、製造することができる。2種以上の一般式(3)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、例えば、一般式(3)で表される繰り返し単位を形成するための2種以上のアルコールモノマーと2種以上のカルボン酸モノマーとを共重合させることにより、製造することができる。1種以上の一般式(2)で表される繰り返し単位及び1種以上の一般式(3)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、例えば、一般式(2)で表される繰り返し単位を形成するための1種以上のアルコールモノマー及びホスゲンと、一般式(3)で表される繰返し単位を形成するための1種以上のアルコールモノマー及び1種以上のカルボン酸モノマーとを共重合させることにより、製造することができる。
一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(3)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂の例は、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂又は一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である。以下、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を、ポリカーボネート樹脂(2)と記載することがある。また、一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(3)と記載することがある。
感光層は、ポリカーボネート樹脂(2)及びポリアリレート樹脂(3)の少なくとも1種を含有することが好ましい。感光層は、例えば、ポリカーボネート樹脂(2)及びポリアリレート樹脂(3)の1種又は2種を含有することができる。感光層がポリカーボネート樹脂(2)及びポリアリレート樹脂(3)の2種以上を含む場合には、バインダー樹脂は、2種以上のポリカーボネート樹脂(2)であってもよく、2種以上のポリアリレート樹脂(3)であってもよく、1種以上のポリカーボネート樹脂(2)及び1種以上のポリアリレート樹脂(3)であってもよい。
以下、ポリカーボネート樹脂(2)について説明する。
一般式(2)中、R11及びR12の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(2)中のR11及びR12が互いに結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、このようなシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(2)中のR11及びR12が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(2)は一般式(2’)に相当する。一般式(2’)中のR13及びR14は、一般式(2)中のR13及び14と同義であり、環Aは炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表す。
Figure 2018036376
一般式(2)中、R11及びR12が水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すこと又はR11及びR12が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましい。R11及びR12が水素原子若しくはメチル基を表すこと又はR11及びR12が互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
一般式(2)中、R13及びR14の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を有してもよいメチル基が好ましく、メチル基又はフッ化メチル基がより好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基が更に好ましい。
一般式(2)中、R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基又はフッ化メチル基を表すことがより好ましく、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが更に好ましい。R13及びR14は互いに同一であることが好ましい。一般式(2)中、R11、R12、R13及びR14のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(2)の好適な例は、化学式(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)、(PC−4)又は(PC−5)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)と記載することがある)である。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
Figure 2018036376
Figure 2018036376
Figure 2018036376
ポリカーボネート樹脂(2)は、一般式(2)で表される繰り返し単位の1種を有していてもよく、一般式(2)で表される繰り返し単位の2種以上を有していてもよい。
ポリカーボネート樹脂(2)の全繰り返し単位のモル数に対する、一般式(2)で表される繰り返し単位のモル数の比率(モル分率)は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
感光層に含まれるバインダー樹脂の質量に対するポリカーボネート樹脂(2)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
以下、ポリアリレート樹脂(3)について説明する。
一般式(3)中、R15及びR16の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(3)中、R15及びR16の表すフェニル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。
一般式(3)中のR15及びR16が互いに結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、このようなシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(3)中のR15及びR16が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(3)は一般式(3’)に相当する。一般式(3’)中のR17及びR18は、一般式(3)中のR17及び18と同義であり、環Bは炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表す。
Figure 2018036376
一般式(3)中、R17及びR18の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(3)中、R15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R15及びR16は、互いに異なることが好ましい。R17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R17及びR18は互いに同一であることが好ましい。R19及びR20は水素原子を表すことが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、一般式(3)中、R15、R16、R17及びR18のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリアリレート樹脂(3)の好適な例は、化学式(PAR−1)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PAR−1)と記載することがある)である。
Figure 2018036376
ポリアリレート樹脂(3)は、一般式(3)で表される繰り返し単位の1種を有していてもよく、一般式(3)で表される繰り返し単位の2種以上を有していてもよい。
ポリアリレート樹脂(3)の全繰り返し単位のモル数に対する、一般式(3)で表される繰り返し単位のモル数の比率(モル分率)は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
感光層に含まれるバインダー樹脂の質量に対するポリアリレート樹脂(3)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
転写メモリーの発生を更に抑制するためには、ポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)、(PC−4)及び(PC−5)並びにポリアリレート樹脂(PAR−1)のうち、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−1)又は(PC−3)であることが好ましい。
耐フィルミング性を更に向上させるためには、ポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)、(PC−4)及び(PC−5)並びにポリアリレート樹脂(PAR−1)のうち、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)又は(PC−4)であることが好ましい。
転写メモリーの発生の抑制及び耐フィルミング性の向上を更に両立させるためには、ポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)、(PC−4)及び(PC−5)並びにポリアリレート樹脂(PAR−1)のうち、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−1)又は(PC−3)であることが好ましい。
感光体のフィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制を更に両立させる観点から、フィラー粒子、電子輸送剤及びバインダー樹脂の好適な組み合わせは、次のとおりである。フィラー粒子は、フッ素原子を含む樹脂粒子(好ましくは、PTFE)である。電子輸送剤は、化合物(1−1)、(1−3)、(1−7)又は(1−9)である。バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−1)又は(PC−3)である。この組み合わせにおいて、フィラー粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、20000以上であることが好ましく、30000以上70000以下であることがより好ましく、48500以上50000以下であることが更に好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が20000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が70000以下であると、感光層形成用の溶剤にバインダー樹脂が溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の好適な例は、一般式(HTM1)、一般式(HTM2)、一般式(HTM3)、一般式(HTM4)、一般式(HTM5)、一般式(HTM6)又は一般式(HTM7)で表される化合物(以下、化合物(HTM1)〜(HTM7)と記載することがある)である。
以下、化合物(HTM1)について説明する。
Figure 2018036376
一般式(HTM1)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。bは、0以上5以下の整数を表す。cは、0以上4以下の整数を表す。kは、0又は1を表す。
bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよい。cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM1)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。b及びcは0を表すことが好ましい。kは0を表すことが好ましい。化合物(HTM1)としては、例えば、化学式(HTM1−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM1−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
以下、化合物(HTM2)について説明する。
Figure 2018036376
一般式(HTM2)中、Q1は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいもよいフェニル基を表す。2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよい。Q2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を表してもよい。aは、0以上5以下の整数を表す。t及びuは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM2)中、Q1は水素原子を表すことが好ましい。Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表すことが好ましく、水素原子、n−ブチル基又はエトキシ基を表すことがより好ましい。aは0を表すことが好ましい。t及びuは1を表すことが好ましい。化合物(HTM2)としては、例えば、化学式(HTM2−1)又は(HTM2−2)で表される化合物(以下、化合物(HTM2−1)又は(HTM2−2)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
以下、化合物(HTM3)について説明する。
Figure 2018036376
一般式(HTM3)中、Q16、Q17、Q18及びQ19は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。Q16、Q17、Q18及びQ19は、各々独立に、メチル基又はn−ブチル基を表すことが好ましい。化合物(HTM3)としては、例えば、化学式(HTM3−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM3−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
以下、化合物(HTM4)について説明する。
Figure 2018036376
一般式(HTM4)中、Q20、Q21、Q22及びQ23は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。v1、v2、v3及びv4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
v1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ20は互いに同一でも異なっていてもよい。v2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ21は互いに同一でも異なっていてもよい。v3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ22は互いに同一でも異なっていてもよい。v4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ23は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM4)中、Q20、Q21、Q22及びQ23は、メチル基を表すことが好ましい。v1及びv2は、1を表すことが好ましい。v3及びv4は、0を表すことが好ましい。化合物(HTM4)としては、例えば、化学式(HTM4−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM4−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
以下、化合物(HTM5)について説明する。
Figure 2018036376
一般式(HTM5)中、Rd、Re及びRfは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。o、p及びrは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
oが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のReは、互いに同一であっても異なってもよい。pが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRfは、互いに同一であっても異なってもよい。rが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRdは、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(HTM5)中、Reは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。oは2を表すことが好ましい。p及びrは、0を表すことが好ましい。化合物(HTM5)としては、例えば、化学式(HTM5−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM5−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
化合物(HTM6)について説明する。
Figure 2018036376
一般式(HTM6)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。qは、0以上4以下の整数を表す。s及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよい。sが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM6)中、Ra及びRbは、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。s及びnは、各々独立に、0、1又は2を表すことが好ましい。s及びnの一方が0又は1を表し、s及びnの他方が2を表すことがより好ましい。qは0を表すことが好ましい。化合物(HTM6)としては、例えば、化学式(HTM6−1)又は(HTM6−2)で表される化合物(以下、化合物(HTM6−1)又は(HTM6−2)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
以下、化合物(HTM7)について説明する。
Figure 2018036376
前記一般式(HTM7)中、Q31、Q33及びQ35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q32、Q34及びQ36は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。d、e及びfは、各々独立に、0又は1を表す。g、h及びiは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
gが2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ31は互いに同一でも異なっていてもよい。hが2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ33は互いに同一でも異なっていてもよい。iが2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ35は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM7)中、Q31、Q33及びQ35は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。d、e及びfは0を表すことが好ましい。Q32、Q34及びQ36は、水素原子を表すことが好ましい。g、h及びiは、1を表すことが好ましい。化合物(HTM7)としては、例えば、化学式(HTM7−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM7−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018036376
転写メモリーの発生を抑制するためには、正孔輸送剤が化合物(HTM1)〜(HTM7)の何れかであることが好ましく、化合物(HTM1)、(HTM2)、(HTM4)又は(HTM6)であることがより好ましく、化合物(HTM1)又は(HTM2)であることが更に好ましく、化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)又は(HTM2−2)であることが特に好ましい。
耐フィルミング性を向上させるためには、正孔輸送剤が化合物(HTM1)〜(HTM7)の何れかであることが好ましく、化合物(HTM1)、(HTM2)、(HTM4)又は(HTM6)であることがより好ましく、化合物(HTM1)、(HTM2)又は(HTM4)であることがより好ましく、化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)、(HTM2−2)又は(HTM4−1)であることが更に好ましい。
転写メモリーの発生の抑制及び耐フィルミング性の向上を更に両立させるためには、正孔輸送剤が化合物(HTM1)〜(HTM7)の何れかであることが好ましく、化合物(HTM1)又は(HTM2)であることがより好ましく、化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)又は(HTM2−2)であることが更に好ましい。
感光体のフィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制を更に両立させる観点から、フィラー粒子、電子輸送剤、バインダー樹脂及び正孔輸送剤の好適な組み合わせは、次のとおりである。フィラー粒子は、フッ素原子を含む樹脂粒子(好ましくは、PTFE)である。電子輸送剤は、化合物(1−1)、(1−3)、(1−7)又は(1−9)である。バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−1)又は(PC−3)である。正孔輸送剤は、化合物(HTM1)又は(HTM2)(好ましくは、化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)又は(HTM2−2))である。この組み合わせにおいて、フィラー粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
正孔輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下であることが好ましく、10質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上100質量部以下であることが特に好ましい。
(電荷発生剤)
感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含むことが好ましい。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、例えば、化学式(CGM−B)で表される。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンは、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有する金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンが使用される。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。金属フタロシアニンの結晶としては、チタニルフタロシアニンの結晶が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。また、Y型チタニルフタロシアニンには、電荷発生効率が高く、感光層内に電荷が残留し難いという利点がある。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有しない。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
図2は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。図2において、横軸はブラッグ角2θ(°)を示し、縦軸は強度(cps)を示す。図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートから、測定されたチタニルフタロシアニンの結晶型がY型であることを推定できる。
(Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法)
Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法は、例えば、合成工程と、顔料化前処理工程と、顔料化工程とを含む。
(合成工程)
合成工程では、チタニルフタロシアニンを合成する。チタニルフタロシアニンの合成方法としては、例えば、反応(R−A)又は(R−B)が挙げられる。
一例である反応(R−A)では、フタロニトリル(21a)と、チタンアルコキシド(21b)とを反応させ、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を合成する。
Figure 2018036376
別の例である反応(R−B)では、1,3−ジイミノイソインドリン(21c)と、チタンアルコキシド(21b)とを反応させ、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を合成する。
Figure 2018036376
(顔料化前処理工程)
顔料化前処理工程では、攪拌処理及び静置処理を実行してチタニルフタロシアニン(CGM−A)を安定化させる。攪拌処理では、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を水溶性有機溶媒中に加え、溶液を調製する。溶液を加熱した状態で一定時間、溶液を攪拌する。加熱温度は、70℃以上200℃以下であることが好ましい。攪拌時間は、1時間以上3時間以下であることが好ましい。静置処理では、低温で一定時間、溶液を静置して安定化させる。低温とは、攪拌処理での温度よりも低い温度を示す。低温は、10℃以上50℃以下であることが好ましく、室温(例えば、23℃)がより好ましい。静置時間は、5時間以上10時間以下であることが好ましい。水溶性有機溶媒を除去することで、チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を得る。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン又はエチレングリコールが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(顔料化工程)
顔料化工程では、チタニルフタロシアニンを顔料化する。顔料化工程の一例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を溶媒に溶解させ、チタニルフタロシアニン溶液を調製する。この溶液を貧溶媒中に滴下して再結晶させる。次いで、ろ過、水洗、ミリング処理及び乾燥のような処理を経て顔料化する。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
粗結晶を溶解する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、臭化エチル、臭化ブチル、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸又は硫酸が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
再結晶のための貧溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はジオキサンが挙げられる。これらの貧溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせで使用することができる。
ミリング処理は、水洗後の固体を乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に分散して攪拌する処理である。ミリング処理のための非水系溶媒としては、例えば、ハロゲン系溶媒(より具体的には、クロロベンゼン又はジクロロメタン等)が挙げられる。
顔料化工程の別の例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を、アシッドペースト法によって処理する。具体的には、粗結晶を酸に溶解して酸溶液を調製する。酸溶液を氷冷下の水中に滴下させ、一定時間攪拌する。次いで、室温(例えば、23℃)で静置して再結晶させる。その結果、低結晶性チタニルフタロシアニンが得られる。アシッドペースト法に使用する酸としては、例えば、濃硫酸又はスルホン酸が挙げられる。
低結晶性チタニルフタロシアニンをろ過し水洗する。次いで、乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に低結晶性チタニルフタロシアニンを分散させミリング処理を実行する。ミリング処理後にろ別しろ過物(固体)を得る。ろ過物を乾燥させると、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
感光層は、電荷発生剤として、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに加えて、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン以外の別の電荷発生剤(以下、別の電荷発生剤と記載することがある)を更に含有してもよい。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに加えて、別の電荷発生剤を更に含んでもよい。別の電荷発生剤としては、例えば、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン顔料、スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料又はキナクリドン顔料が挙げられる。別の電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンの含有量は、電荷発生剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
<1−3.下引き層>
下引き層は、例えば、無機粒子及び下引き層に用いられる樹脂(下引き層用樹脂)を含有する。下引き層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
下引き層用樹脂としては、下引き層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。下引き層は、各種の添加剤を含有してもよい。
<1−4.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体の上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、フィラー粒子及び必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体の上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、下引き層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。下引き層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<2.画像形成装置及び画像形成方法>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る感光体30を備える画像形成装置100について説明する。また、本実施形態に係る感光体30を使用した画像形成方法について説明する。図3は画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。
画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用してもよいし、中間転写方式を採用してもよい。以下、直接転写方式を採用する画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、感光体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体30が設けられる。感光体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。画像形成ユニット40には、クリーニング部52が更に備えられてもよい。クリーニング部52が備えられる場合、感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48及びクリーニング部52が設けられる。また、画像形成ユニット40には、除電部(不図示、例えば除電器)が更に備えられてもよい。
画像形成方法は、帯電工程と露光工程と現像工程と転写工程とを含む。画像形成方法は、クリーニング工程を更に含んでいてもよい。
帯電工程において、帯電部42は、感光体30の表面(具体的には、周面)を正極性に帯電する。感光層32(図1参照)は、電子輸送剤である化合物(1)及びフィラー粒子であるシリカ粒子又は樹脂粒子を含有する。そのため、感光体30と記録媒体Pとが摩擦されて、記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が正極性に帯電される傾向が強い。帯電部42によって感光体30の表面が正極性に帯電されると、感光体30の表面と、正極性に摩擦帯電される記録媒体Pの微小成分とが、電気的に反発する。その結果、記録媒体Pの微小成分が感光体30の表面に付着し難く、フィルミングの発生を好適に抑制することができる。
帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
帯電部42が感光体30の表面と接触しながら、帯電部42は感光体30の表面を正極性に帯電することができる。つまり、帯電部42は、接触方式であり得る。
通常、接触方式の帯電部42(例えば帯電ローラー)を用いて感光体30の表面を帯電させる場合、非接触方式の帯電部42と比較して、帯電時間が短い。接触方式の帯電部42は感光体30の表面との接触時間が短く、接触方式の帯電部42は短い接触時間の中で感光体30を帯電させる。そのため、接触方式の帯電部42は感光体30を帯電させる能力が、非接触方式の帯電部42と比較して、低い傾向がある。そのため、感光体30の表面の非露光領域における電位低下の影響が残り易く、転写メモリーが発生し易い。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたように転写メモリーの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、好適に転写メモリーの発生を抑制することができる。
また、接触方式の帯電部42を備える画像形成装置100においては、感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)が固着するため、フィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
接触方式の帯電部42としては、帯電ローラーを好適に使用することができる。帯電ローラーは、例えば、感光体30の表面と接触しながら、感光体30の回転に従動して回転する。帯電ローラーは、例えば、少なくとも表面部が樹脂で形成される。帯電ローラーは、例えば、回転可能に軸支された芯金と、芯金上に形成された樹脂層と、芯金に電圧を印加する電圧印加部とを備える。このような帯電ローラーである帯電部42は、電圧印加部が芯金に電圧を印加することによって、樹脂層を介して接触する感光体30の表面を帯電させる。
帯電ローラーの樹脂層を形成する樹脂は、感光体30の表面を良好に帯電できる限り特に限定されない。樹脂層に含有される樹脂の具体例は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はシリコーン変性樹脂である。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
露光工程において、露光部44は、帯電された感光体30の表面を露光する。これにより、感光体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像工程において、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体30は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。
現像部46が供給するトナーの例は、重合トナー又は粉砕トナーである。画像形成装置100においては、重合トナーを使用することができる。重合トナーは、高い円形度を有し、粒径が揃っている傾向がある。画像形成装置100がクリーニング部52を備える場合、感光体30の表面とクリーニング部52との間を重合トナーがすり抜け易い。そのため、感光体30の表面にクリーニング部52によってクリーニングされなかった重合トナーが残り、フィルミングが発生する傾向がある。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100において重合トナーが使用される場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
重合トナーは、例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法又はエステル伸長重合法によって得られる。重合トナーは、球形を有する。重合トナーは、高い円形度を有する。例えば、重合トナーの数平均円形度は、0.94以上0.99以下であることが好ましい。重合トナーの数平均円形度の測定方法の一例を説明する。試料(重合トナー)0.1gと分散液(シース液)20mLとを混合し、重合トナーの懸濁液を得る。得られた懸濁液中に含有される重合トナー粒子の個数及び各重合トナー粒子の円形度を、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて測定する。測定された重合トナー粒子の円形度の和を、測定された重合トナー粒子の個数で除算する。これにより、重合トナー粒子の数平均円形度を算出する。
転写ベルト50は、感光体30と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写工程において、転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体30から被転写体へ転写する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、被転写体は記録媒体Pに相当する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、感光体30から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、感光体30は記録媒体Pと接触している。転写部48は、例えば転写ローラーである。
通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、感光体が記録媒体Pに接触するため、感光体の表面に記録媒体Pの微小成分が付着し易く、フィルミングに起因する画像不良が発生し易い。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたように、耐フィルミング性に優れる。よって、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、感光体30を備える画像形成装置100は、フィルミングに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
転写工程の後、クリーニング工程が行われてもよい。クリーニング工程において、クリーニング部52は、被転写体(記録媒体Pに相当)へトナー像が転写された後の感光体30の表面をクリーニングする。クリーニング部52は、感光体30の表面に残留する成分(以下、「残留成分」と記載することがある)をクリーニングする。残留成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。残留成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)である。
画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々は、クリーニング部52を少なくとも1つ備えることができる。クリーニング部52の例は、クリーニングブレード、クリーニングローラー、ファーブラシ、超音波クリーニング装置、エアジェットクリーニング装置、磁気ブラシクリーニング装置又は静電ブラシクリーニング装置である。
クリーニング部52は、クリーニングブレードであってもよい。クリーニングブレードは感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)を押圧するため、感光体30の表面にフィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100がクリーニング部52としてクリーニングブレードを備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。なお、画像形成装置100にクリーニング部52が複数備えられる場合には、複数のクリーニング部52のうちの1つは、クリーニングブレードであり得る。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、図3を参照して、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置100について説明した。
<3.プロセスカートリッジ>
図3を引き続き参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを備える。プロセスカートリッジには、クリーニング部52が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電部(不図示)が更に備えられてもよい。しかし、プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図3を参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<電子輸送剤の調製>
以下の方法で、感光層に含有させるための電子輸送剤である化合物(1−1)〜(1−9)の各々を調製した。
(化合物(1−1)の製造)
反応(R−3)及び(R−4)に従って、化合物(1−1)を製造した。
Figure 2018036376
反応(R−3)では、化合物(A−1)と化合物(B−1)とを反応させて化合物(C−1)を得た。以下、化合物(A−1)を反応(R−3)の第一原料と、化合物(B−1)を反応(R−3)の第二原料と記載することがある。フラスコに、化合物(A−1)2.24g(0.01モル)、化合物(B−1)3.26g(0.03モル)及びトルエン(100mL)を加え、フラスコの内容物を溶解させた。フラスコ内に、p−トルエンスルホン酸(0.001モル)を加えた。フラスコをディーン・スターク装置にセットした。フラスコの内容物を、90℃で5時間、脱水しながら還流した。得られたフラスコの内容物を減圧し、トルエンを留去した。減圧留去後の混合物にイオン交換水を加え、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を乾燥した後、有機層を減圧しクロロホルムを留去した。その結果、化合物(C−1)が粗生成物として得られた。化合物(C−1)の収量は2.84gであり、化合物(A−1)からの化合物(C−1)の収率は90mol%であった。
反応(R−4)では、化合物(C−1)と化合物(D、マロノニトリル)とを反応させて化合物(1−1)を得た。以下、化合物(C−1)を反応(R−4)の第一原料と、化合物(D)を反応(R−4)の第二原料と記載することがある。化合物(C−1)1.57g(0.005モル)及び化合物(D)0.66g(0.01モル)をメタノール(100mL)に加えて、メタノール溶液を得た。メタノール溶液に、ピペリジン0.08g(0.001モル)を加えて、混合物を得た。混合物を還流しながら80℃で3時間攪拌した。続いて、混合物をイオン交換水(200mL)に加えて固体を析出させ、固体をろ取した。得られた固体を、展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。その結果、化合物(1−1)が得られた。化合物(1−1)の収量は1.45gであり、化合物(C−1)からの化合物(1−1)の収率は80mol%であった。
(化合物(1−2)〜(1−9)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(C−1)の製造と同じ方法で、反応(R−3)を行った。続けて、以下の点を変更した以外は、化合物(1−1)の製造と同じ方法で、反応(R−4)を行った。その結果、化合物(1−2)〜(1−9)が得られた。
反応(R−3)の第一原料を、化合物(C−1)の製造における化合物(A−1)から、表2に示す第一原料に変更した。反応(R−3)の第二原料を、化合物(C−1)の製造における化合物(B−1)から、表2に示す第二原料に変更した。反応(R−3)の第二原料の添加質量を、化合物(C−1)の製造における3.26gから、表2に示す第二原料の添加質量に変更した。なお、化合物(C−2)〜(C−9)の製造において使用される各原料のモル数は、化合物(C−1)の製造において使用される対応する原料のモル数と同じであった。その結果、反応(R−3)の反応生成物として、化合物(C−1)の代わりに、化合物(C−2)〜(C−9)が得られた。反応(R−3)で得られた化合物(C−2)〜(C−9)の収量を表2に示す。また、反応(R−3)の第一原料からの化合物(C−2)〜(C−9)の収率を表2に示す。
Figure 2018036376
表2中の化合物(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−3)、(B−5)〜(B−9)及び(C−1)〜(C−9)の各々は、下記の化学式(A−1)〜(A−3)、(B−1)〜(B−3)、(B−5)〜(B−9)及び(C−1)〜(C−9)で表される化合物である。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
Figure 2018036376
次に、反応(R−4)の第一原料を、化合物(1−1)の製造における化合物(C−1)から、表3に示す第一原料に変更した。反応(R−4)の第一原料の添加質量を、化合物(1−1)の製造における1.57gから、表3に示す第一原料の添加質量に変更した。なお、化合物(1−2)〜(1−9)の製造において使用される各原料のモル数は、化合物(1−1)の製造において使用される対応する原料のモル数と同じである。その結果、反応(R−4)の反応生成物として、化合物(1−1)の代わりに、最終目的化合物である化合物(1−2)〜(1−9)が得られた。反応(R−4)で得られた化合物(1−2)〜(1−9)の収量を表3に示す。また、反応(R−4)の第一原料からの化合物(1−2)〜(1−9)の収率を表3に示す。
Figure 2018036376
次に、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光計)を用いて、製造した化合物(1−1)〜(1−9)の1H−NMRスペクトルを測定した。磁場強度は300MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。
化合物(1−1)〜(1−9)のうちの代表例として、化合物(1−1)、(1−3)及び(1−4)の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。また、化合物(1−3)及び(1−4)の1H−NMRスペクトルを、各々、図4及び図5に示す。測定された1H−NMRスペクトル及び化学シフト値から、化合物(1−1)、(1−3)及び(1−4)の各々が得られていることを確認した。他の化合物(1−2)及び(1−5)〜(1−9)についても、測定された1H−NMRスペクトル及び化学シフト値から、化合物(1−2)及び(1−5)〜(1−9)の各々が得られていることを確認した。
化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.53(dd,1H),8.39(d,1H),8.18(d,1H),7.85(dd,1H),7.49(dt,1H),7.35(t,1H),7.34(dt,1H),4.45(t,2H),3.63(t,2H),1.90−2.07(m,4H).
化合物(1−3):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.62(dd,1H),8.46(d,1H),8.21(d,1H),7.92(dd,1H),7.53(dt,1H),7.35−7.45(m,2H),4.69−4.85(m,2H),4.38−4.47(m,1H),3.80−3.93(m,2H).
化合物(1−4):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.30(d,1H),7.68−7.72(m,2H),7.47−7.60(m,3H),7.36(dt,1H),4.47(t,2H),3.62(t,2H),1.90−2.03(m,4H).
<感光体の材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及びフィラー粒子を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニンである電荷発生剤(CGM1)を使用した。電荷発生剤(CGM1、Y型チタニルフタロシアニン)は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2°、14.5°、18.1°、24.1°、27.2°にピークを有しており、主ピークは27.2°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニンである電荷発生剤(CGM2)を使用した。
電荷発生剤として、α型チタニルフタロシアニンである電荷発生剤(CGM3)を使用した。電荷発生剤(CGM3、α型チタニルフタロシアニン)は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいてブラッグ角2θ±0.2°=7.5°、10.2°、12.6°、13.2°、15.1°、16.3°、17.3°、18.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°にピークを有しており、主ピークは28.6°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
(正孔輸送剤)
実施形態で説明した化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)、(HTM2−2)、(HTM4−1)及び(HTM6−1)を準備した。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、電子輸送剤の調製で得られた化合物(1−1)〜(1−9)を準備した。
電子輸送剤として、化学式(ETM−A)及び(ETM−B)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(ETM−A)及び(ETM−B)と記載することがある)も準備した。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)(粘度平均分子量:それぞれ50000、48500、49800、50000、50000)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)(粘度平均分子量50000)を準備した。
(フィラー粒子)
フィラー粒子として、実施形態で述べたフィラー粒子(F1)、(F3)、(F4)、(F6)、(F7)、(F9)及び(F10)を準備した。
フィラー粒子として、フィラー粒子(F11)(シーアイ化成株式会社製「NanoTek Al23」、金属粒子、フィラーの材質:アルミナ、体積中位径:0.030μm)も準備した。
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−A1)〜(P−A32)及び感光体(P−B1)〜(P−B4)を製造した。感光体(P−A1)〜(P−A32)は実施例であり、感光体(P−B1)〜(P−B4)は比較例であった。
(感光体(P−A1)の製造)
電荷発生剤(CGM1)3質量部、正孔輸送剤としての化合物(HTM1−1)60質量部、電子輸送剤としての化合物(1−1)40質量部、フィラー粒子(F7)5質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に添加した。棒状音波発振子を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合させ、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、容器内の材料と溶剤とを50時間混合して、材料を溶剤に分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体の上に、感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、感光体(P−A1)が得られた。感光体(P−A1)において、導電性基体は酸化被覆を有しており、感光層は導電性基体の上に酸化被覆を介して間接的に配置されていた。
(感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の製造)
下記(1)〜(7)の点を変更した以外は、感光体(P−A1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々を製造した。
(1)感光体(P−A1)の製造では電荷発生剤(CGM1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す種類の電荷発生剤を使用した。
(2)感光体(P−A1)の製造では正孔輸送剤として化合物(HTM1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
(3)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す種類の電子輸送剤を使用した。
(4)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤を40質量部添加したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す量の電子輸送剤を添加した。
(5)感光体(P−A1)の製造ではフィラー粒子としてフィラー粒子(F7)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す種類のフィラー粒子を使用した。
(6)感光体(P−A1)の製造ではフィラー粒子を5質量部添加したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す量のフィラー粒子を添加した。
(7)感光体(P−A1)の製造ではバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(PC−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表4〜表6に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
<転写メモリー抑制の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、転写メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。転写メモリーの発生が抑制されているか否かの評価は、温度10℃且つ相対湿度20%RHの環境下で行った。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を用いた。この評価機は、帯電部として接触帯電方式の帯電ローラーを備えていた。また、帯電ローラーが感光体の表面を帯電する電位を正極性(+600V)に設定した。この評価機は、直接転写方式の転写部を備えていた。この評価機は、クリーニング部としてクリーニングブレードを備えていた。評価機のトナーコンテナにトナー(一成分現像剤である重合トナー、試作品、数平均円形度0.95)を投入した。
評価機を用いて、15秒間隔で、画像I(印字率4%のパターン画像)を1000枚の用紙(A4サイズ紙)に印刷した。1000枚の用紙に画像Iを印刷した後、評価用画像を1枚の用紙に印刷した。なお、評価用画像については、図6を参照して後述する。次に、印刷された評価用画像を肉眼で観察し、画像ゴーストの有無を確認した。なお、画像ゴーストについては、図7を参照して後述する。感光体に転写メモリーが発生すると、形成画像に画像ゴースト(特にネガゴースト)が発生する。画像ゴーストの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、転写メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表4〜表6に示す。評価がA〜Cである感光体を、転写メモリーの発生が抑制されていると評価した。
図6を参照して、評価用画像70を説明する。図6は、評価用画像70を示す図である。評価用画像70は、第一領域72及び第二領域74を含む。第一領域72は、感光体1周分に相当する領域である。第一領域72は、第一画像76を含む。第一画像76は、ドーナツ型のソリッド画像(画像濃度100%)から構成される。このソリッド画像は、2つの同心円1組から構成される。第二領域74は、感光体1周分に相当する領域である。第二領域74は第二画像78を含む。第二画像78は、全面ハーフトーン画像(画像濃度40%)から構成される。はじめに第一領域72の第一画像76を形成し、その後、第二領域74の第二画像78を形成した。第一画像76は感光体1周分に相当する画像であり、第二画像78は第一画像76を形成する周を基準として次周回1周分に相当する画像である。
図7を参照して、画像ゴーストが発生した画像60を説明する。図7は、画像ゴーストが発生した画像60を示す図である。この画像60は、第一領域72及び第三領域64を含む。第三領域64は、第四領域68と第五領域69とを含む。画像60においては、図6に示すように第二領域74に第二画像78(画像濃度40%の全面ハーフトーン画像)が形成されるべきところ、図7に示すように第三領域64に画像ゴーストが現れる。詳しくは、第三領域64に、第四領域68と第五領域69とが現れる。第五領域69の画像濃度は、第四領域68に比べて濃くなっている。第五領域69の画像濃度は、設定された画像濃度よりも濃くなっている。第五領域69は、第一領域72の非露光領域に対応する領域である。以上、図6及び図7を参照して、評価用画像70及び画像ゴーストが発生した画像60を説明した。
(転写メモリー抑制の評価基準)
評価A:画像ゴーストが観察されなかった。
評価B:画像ゴーストがわずかに観察された。
評価C:画像ゴーストが観察されたが、実用上問題のない水準であった。
評価D:画像ゴーストが明確に観察され、実用上問題のある水準であった。
<耐フィルミング性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。フィルミングの発生が抑制されているか否かの評価は、温度10℃且つ相対湿度15%RHの環境下で行った。耐フィルミング性の評価で使用した評価機及びトナーは、転写メモリー抑制の評価で使用した評価機及びトナーと同じであった。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機を用いて、15秒間隔で、5000枚の用紙(A4サイズ紙)に画像II(画像濃度1%の印字パターン画像)を印刷した。5000枚の用紙に画像IIを印刷した後、画像IIIを1枚の用紙に印刷した。画像IIIは、全面グレー色の画像(画像濃度50%)であった。
得られた画像IIIを肉眼で観察し、筋及びダッシュマークの有無を確認した。なお、感光体にフィルミングが発生すると、形成画像に筋及びダッシュマークが発生する。筋は、画像が印刷される方向に対して平行な黒線が現れる画像不良である。ダッシュマークは、画像が印刷される方向に対して平行に配列した黒点が現れる画像不良である。筋及びダッシュマークの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表4〜表6に示す。評価がA〜Cである感光体を、フィルミングの発生が抑制されていると評価した。
(耐フィルミング性の評価基準)
評価A:筋及びダッシュマークが、全く確認されなかった。
評価B:軽微な筋及びダッシュマークが、わずかに確認された。
評価C:軽微な筋及びダッシュマークが、確認された。しかし、実用上問題のない水準であった。
評価D:筋及びダッシュマークが、明確に確認され、実用上問題のある水準であった。
<感度特性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A32)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、感光体の感度特性を評価した。感光体の感度特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+600Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、光エネルギー0.6μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから50ミリ秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位:+V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表4〜表6に示す。なお、感度電位(VL)が小さい正の値であるほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。
表4〜表6中、CGM、HTM、ETM、樹脂、部及びVLは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂、質量部及び感度電位を示す。表5の実施例30における「F7/F1」及び「2.5/2.5」は、2.5質量部のフィラー粒子(F7)及び2.5質量部のフィラー粒子(F1)を使用したことを示す。表6の実施例31における「1−1/1−7」及び「20/20」は、20質量部の化合物(1−1)及び20質量部の化合物(1−7)を使用したことを示す。表6の実施例32における「PC−1/PC−5」及び「50/50」は、50質量部のポリカーボネート樹脂(PC−1)及び50質量部のポリカーボネート樹脂(PC−5)を使用したことを示す。
Figure 2018036376
Figure 2018036376
Figure 2018036376
感光体(P−A1)〜(P−A32)では、感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含んでいた。フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種であった。具体的には、感光層はフィラー粒子(F1)、(F3)、(F4)、(F6)、(F7)、(F9)及び(F10)の少なくとも1種を含んでいた。電子輸送剤は、化合物(1)の少なくとも1種であった。具体的には、感光層は、電子輸送剤として化合物(1−1)〜(1−9)の少なくとも1種を含んでいた。そのため、表4〜表6から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A32)では、転写メモリー抑制の評価がA〜Cであり、転写メモリーの発生が抑制されていた。また、感光体(P−A1)〜(P−A32)では、耐フィルミング性の評価がA〜Cであり、フィルミングの発生が抑制されていた。更に、表4〜表6から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A32)では、感光体の感度特性が維持されつつ、耐フィルミング性が向上し、転写メモリーの発生が抑制されていた。
一方、感光体(P−B1)では、感光層がフィラー粒子を含んでいなかった。感光体(P−B2)及び(P−B3)の各々では、感光層が電子輸送剤としての化合物(1)を含んでいなかった。詳しくは、感光体(P−B2)の感光層は、電子輸送剤としての化合物(ETM−A)を含有していたが、化合物(ETM−A)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。感光体(P−B3)の感光層は、電子輸送剤としての化合物(ETM−B)を含有していたが、化合物(ETM−B)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。感光体(P−B4)では、感光層に含まれるフィラー粒子がシリカ粒子及び樹脂粒子ではなく、金属粒子であった。そのため、表6から明らかなように、感光体(P−B1)〜(P−B4)では、転写メモリー抑制の評価がDであり、転写メモリーが明らかに発生していた。また、感光体(P−B1)〜(P−B4)では、耐フィルミング性の評価がDであり、フィルミングが明らかに発生していた。
以上のことから、本発明に係る感光体によれば、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能であることが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制が可能であることが示された。更に、本発明に係る画像形成方法によれば、耐フィルミング性の向上及び転写メモリーの発生の抑制可能な感光体を使用することで、良好な画像を形成できることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
30 電子写真感光体
31 導電性基体
32 感光層
33 下引き層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
52 クリーニング部
100 画像形成装置
P 記録媒体

Claims (24)

  1. 導電性基体と感光層とを備える、電子写真感光体であって、
    前記感光層は、単層であり、
    前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含み、
    前記フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種であり、
    前記電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む、電子写真感光体。
    Figure 2018036376
    前記一般式(1)中、R1は、
    ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、
    ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、
    ハロゲン原子を1つ以上有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    ハロゲン原子を1つ以上有する5員以上14員以下の複素環基、又は
    ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。
  2. 前記一般式(1)中、R1は、
    ハロゲン原子を1つ又は2つ有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、
    ハロゲン原子を1つ又は2つ有し、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    ハロゲン原子を1つ又は2つ有する5員以上14員以下の複素環基、又は
    ハロゲン原子を1つ又は2つ有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物は、化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)又は(1−9)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018036376
  4. 前記フィラー粒子の体積中位径は、5nm以上10μm以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記フィラー粒子の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して0.5質量部以上30質量部以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記フィラー粒子は、前記樹脂粒子であり、
    前記樹脂粒子は、シリコーン樹脂粒子、ポリフェニレンスルフィド樹脂粒子又はポリテトラフロオロエチレン樹脂粒子である、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記フィラー粒子は、前記樹脂粒子であり、
    前記樹脂粒子は、フッ素原子を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記電荷発生剤は、無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンである、請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記電荷発生剤は、金属フタロシアニンであり、
    前記金属フタロシアニンは、チタニルフタロシアニン結晶であり、
    前記チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する、請求項1〜8の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記バインダー樹脂は、一般式(2)で表される繰り返し単位及び一般式(3)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂を少なくとも1種含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    前記一般式(2)中、
    11及びR12は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    11及びR12は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよく、
    11及びR12は、互いに同一であっても異なってもよく、
    13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    13及びR14は、互いに同一であっても異なってもよく、
    前記一般式(3)中、
    15及びR16は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
    15及びR16は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよく、
    15及びR16は、互いに同一であっても異なってもよく、
    17及びR18は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    17及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。
  11. 前記一般式(2)で表される繰り返し単位及び前記一般式(3)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂は、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂、又は前記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である、請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記一般式(2)中、
    11及びR12は水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すか、又はR11及びR12は互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表し、
    13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表し、
    13及びR14は、互いに同一であり、
    前記一般式(3)中、
    15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    15及びR16は、互いに異なり、
    17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    17及びR18は、互いに同一である、請求項10又は11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂は、化学式(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)、(PC−4)又は(PC−5)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂であり、
    前記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂は、化学式(PAR−1)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂である、請求項11又は12に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
  14. 前記フィラー粒子の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して3質量部以上10質量部以下であり、
    前記フィラー粒子は、前記樹脂粒子であり、
    前記樹脂粒子は、フッ素原子を含み、
    前記バインダー樹脂は、化学式(PC−1)又は(PC−3)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂であり、
    前記一般式(1)で表される化合物は、化学式(1−1)、(1−3)、(1−7)又は(1−9)で表される化合物である、請求項1〜13の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
    Figure 2018036376
  15. 前記正孔輸送剤は、一般式(HTM1)、(HTM2)、(HTM3)、(HTM4)、(HTM5)、(HTM6)又は(HTM7)で表される化合物を含む、請求項1〜14の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM1)中、
    8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
    9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
    bは、0以上5以下の整数を表し、
    cは、0以上4以下の整数を表し、
    kは、0又は1を表す。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM2)中、
    1は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、
    2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよく、
    2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
    3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を表してもよく、
    aは、0以上5以下の整数を表し、
    t及びuは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM3)中、
    16、Q17、Q18及びQ19は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM4)中、
    20、Q21、Q22及びQ23は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
    v1、v2、v3及びv4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM5)中、
    d、Re及びRfは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    o、p及びrは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM6)中、
    a、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    qは、0以上4以下の整数を表し、
    s及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 2018036376
    前記一般式(HTM7)中、
    31、Q33及びQ35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
    32、Q34及びQ36は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表し、
    d、e及びfは、各々独立に、0又は1を表し、
    g、h及びiは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
  16. 前記正孔輸送剤は、前記一般式(HTM1)、(HTM2)、(HTM4)又は(HTM6)で表される化合物を含む、請求項15に記載の電子写真感光体。
  17. 前記感光層は、前記導電性基体の上に直接配置されるか、又は下引き層若しくは酸化皮膜を介して配置される、請求項1〜16の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  18. 請求項1〜17の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  19. 請求項1〜17の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する、画像形成装置。
  20. 前記被転写体は、記録媒体であり、
    前記転写部が前記電子写真感光体から前記記録媒体へ前記トナー像を転写するときに、前記電子写真感光体は前記記録媒体と接触している、請求項19に記載の画像形成装置。
  21. 前記帯電部が前記電子写真感光体の前記表面と接触しながら、前記帯電部は前記電子写真感光体の前記表面を正極性に帯電する、請求項19又は20に記載の画像形成装置。
  22. クリーニング部を更に備え、
    前記クリーニング部は、前記被転写体へ前記トナー像が転写された前記電子写真感光体の前記表面をクリーニングし、
    前記クリーニング部は、クリーニングブレードである請求項19〜21の何れか一項に記載の画像形成装置。
  23. 前記トナーは、重合トナーである、請求項19〜22の何れか一項に記載の画像形成装置。
  24. 請求項1〜17の何れか一項に記載の電子写真感光体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、
    帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する露光工程と、
    前記静電潜像に重合トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、
    前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する転写工程と
    を含む、画像形成方法。
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