JP2018035428A - 下地層被覆基板、および下地層被覆基板の前処理方法 - Google Patents

下地層被覆基板、および下地層被覆基板の前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Niメッキ処理を施したときに、Niメッキが十分に成長して、均一なNiメッキ層を効率よく形成することができ、さらにはNiメッキとの密着性が良好な、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板を提供する。
【解決手段】基板と前記基板を被覆する下地層とからなり、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板であって、前記下地層はAl−Zn合金であり、前記基板の、前記下地層で被覆された面の算術平均粗さ(Ra)が30nm以上である下地層被覆基板。
【選択図】図2

Description

本発明は下地層被覆基板および下地層被覆基板に関し、より詳細には、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板および下地層被覆基板に関する。
Niメッキ処理として例えばNi−Pメッキ処理が挙げられ、特に無電解Ni−Pメッキ処理が施されたものとして、例えば磁気記録媒体用の磁気ディスク基板が挙げられる。
該磁気ディスク基板は例えば次の手順により製造される。
まず円環状の、例えば純AlまたはAl合金からなるAl系ブランク基板に、前処理として切削、研削、研磨、脱脂、エッチングを順に行う。次いで、上記Al系ブランク基板と、その上に形成されるNi−Pメッキとの密着性を高めるべく、ジンケート処理、即ちZn置換処理を施す。
次いで、上記無電解Ni−Pメッキ処理により硬質非磁性金属であるNi−Pメッキを形成し、このNi−Pメッキ表面に研磨を施す。その後、前記Ni−Pメッキ表面に磁性膜をスパッタリングで形成することにより、磁気ディスク基板が得られる。
ところで近年では、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間の距離が近接化してきており、そのため磁気記録媒体表面の、より高い平滑性が求められている。この高い平滑性を確保するには、Ni−Pメッキ後の研磨に加えて、研磨前のメッキ表面における欠陥低減も求められる。
該欠陥を低減する方法として、これまでに、ブランクであるAl系ブランク基板の検討が行われてきた。また、前記ジンケート処理の代わりに金属薄膜を物理蒸着法で形成する方法や、上記Ni−Pメッキの代わりにNi−Pスパッタリングを行う方法等が提案されてきた。
例えば特許文献1には、アルミニウム合金製基板の表面に、物理蒸着によりZnおよびNiのうちの少なくとも1種を含む金属薄膜を形成する工程と、金属薄膜を形成したアルミニウム合金製基板にNi−Pを無電解メッキする工程とを行うことを特徴とする磁気記録媒体用アルミニウム合金基板の製造方法が示されている。
また特許文献2には、スパッタ法または蒸着法を用いて、基材上に99.99%以上の純度および2.5μm以上の膜厚を有するアルミニウム層を形成する工程と、無電解メッキを用いて、前記アルミニウム層の上に無電解ニッケルメッキ膜を形成する工程とを含むことを特徴とする無電解ニッケルメッキ膜の製造方法が開示されている。さらには、基材上に99.99%以上の純度を有するチタン層を形成する工程と、スパッタ法または蒸着法を用いて、チタン層上に99.99%以上および2.5μm以上の純度を有するアルミニウム層を形成する工程と、無電解メッキを用いて、前記アルミニウム層の上に無電解ニッケルメッキ層を形成する工程とを含む無電解ニッケルメッキ層の製造方法も示されている。
更に特許文献3には、アルミニウム合金基板の表面上に、Zn層、Cu層及びNiPメッキ膜が順次形成されていることを特徴とする磁気ディスク用NiPメッキアルミニウム合金基板が示されている。
特許文献4には、磁気記録媒体用のAl合金基板であって、基板表面に物理蒸着により形成されたAl合金皮膜を有することを特徴とする磁気記録媒体用Al合金基板が示され、さらには、前記Al合金薄膜の上にCu薄膜またはCu合金薄膜が形成された磁気記録媒体用Al合金基板が示されている。
特開2008−282432号公報 特開2012−021178号公報 特開2003−272130号公報 特開2006−302358号公報
しかしながら、これらの技術では、無電解Ni−Pメッキ処理の速度やNi−Pメッキとの密着性などの実用性に関しては、十分に鋭意検討されたものではない。
例えば特許文献4には、Ni−Pメッキとの密着性向上のために、Al合金薄膜の上にCu薄膜またはCu合金薄膜を形成しておくことが望ましい旨が開示されているものの、無電解NiPメッキ処理後の密着性に関して、十分に鋭意検討されたものではなく、改善が望まれていた。
本発明は上記の事情に着目してなされたものであって、その目的は、Niメッキ処理を施したときに、Niメッキが十分に成長して、均一なNiメッキ層を効率よく形成することができ、さらにはNiメッキとの密着性が良好な、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下地層被覆基板における下地層をAl−Zn合金とし、当該下地層被覆基板の、下地層形成前であって、メッキ処理に供される側の面を高粗度化することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 基板と前記基板を被覆する下地層とからなり、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板であって、
前記下地層はAl−Zn合金であり、前記基板の、前記下地層で被覆された面の算術平均粗さ(Ra)が30nm以上である下地層被覆基板。
[2] 前記下地層で被覆された前記基板がアルミニウム合金である前記[1]に記載の下地層被覆基板。
[3] 磁気記録媒体に用いられる前記[1]又は[2]に記載の下地層被覆基板。
[4] 基板と前記基板を被覆する下地層とからなり、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板の前処理方法であって、
前記基板の、前記下地層で被覆される面を、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸又は混酸により処理し、前記面の算術平均粗さ(Ra)を30nm以上とする下地層被覆基板の前処理方法。
本発明に係るNiメッキ処理に用いられる下地層被覆基板は、メッキ処理を施した際にNiメッキが十分に成長して、均一なNiメッキ層を効率よく形成することができ、さらには、Niメッキとの密着性を良好なものとすることができる。
図1は、本発明に係る下地層被覆基板にNi−Pメッキ層を形成(浸漬時間90分)した際の、表面形状の測定結果を示すプロファイルである。 図2は、本発明に係る下地層被覆基板にNi−Pメッキ層を形成する際の、基板の浸漬時間と算術平均粗さ(Ra)との関係を示すグラフである。
本発明に係る下地層被覆基板は、基板と前記基板を被覆する下地層とからなり、Niメッキ処理に用いられる。下地層はAl−Zn合金であり、当該基板のメッキ処理がなされる側の面の算術平均粗さ(Ra)が30nm以上であることを特徴とする。
なお、本明細書では、下地層であるAl−Zn合金膜で被覆される前の基板を「ブランク基板」といい、該ブランク基板の表面に下地層(Al−Zn合金膜)が被覆された後の基板を「下地層被覆基板」と区別する。
本発明に係る下地層被覆基板は、ブランク基板がAl−Zn合金膜で被覆されることで、該Al−Zn合金膜直上にNiメッキが十分成長し、該Niメッキを均一かつ効率よく形成できるようになる。
さらに、ブランク基板の、メッキ処理がなされる側の面を高粗度化することにより、ブランク基板と下地層(Al−Zn合金膜)との界面での剥離を抑制することができる。さらには、ブランク基板を下地層で被覆した下地層被覆基板表面にNiメッキ成長させる際には、下地層被覆基板とNiメッキとの間でアンカー効果が発生し、高い密着性が得られるようになる。
ブランク基板の高粗度化の方法は特に限定されないが、酸を用いた処理によりブランク基板の表面を高粗度化することが好ましく、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸又はそれらの混酸により処理(高粗度化)することがより好ましい。なお、これら硝酸等に、酢酸やリン酸が含まれていてもよい。
なお、ブランク基板の高粗度化の前処理として、当該ブランク基板に対して研削処理を行うこともできる。研削方法としては特に限定されるものではないが、グラインド研磨やダイヤモンドターニング加工等が挙げられる。
酸処理による高粗度化は、酸によってブランク基板の、メッキ処理がなされる側の面を溶解することで、当該面を結晶粒レベルで高粗度化することができる。
(下地層)
本発明における下地層はAl−Zn合金の膜(Al−Zn合金膜)である。下地層としてZnを含むことにより触媒機能を発揮しやすくなり、その結果、Al−Zn合金膜直上にNiメッキ層が形成され易くなるものと考えられる。
Al−Zn合金は、Znを12原子%以上含んでいることが均一なNiメッキ成長の点から好ましく、15原子%以上がより好ましく、20原子%以上がさらに好ましい。また、ブランク基材との密着性の点から、80原子%以下が好ましく、40原子%以下がより好ましい。なお、不可避不純物としては、C,Pb,Mn等を挙げることができる。
Al−Zn合金には、AlとZn以外のその他の金属元素を含んでいてもよい。その他の金属元素は、合計で10原子%以上が自己触媒機能を発現する点から好ましく、また、40原子%以下が成膜レートや放電電圧の点から好ましい。
その他の金属元素としては、周期表の第8〜12族元素、Co、Ni、Fe等が挙げられる。特に、周期表の第8〜12族元素は触媒機能を発揮すると考えられるため、Niメッキ層が形成され易いと考えられる。中でも第10〜12族の元素が、第8族や第9族の元素よりもNiメッキの成長速度が速いため好ましい。
Al−Zn合金の好ましい膜厚は用途によって異なる。例えば磁気記録媒体に用い、ブランク基板を円環状とする場合において、上記Al−Zn合金膜の形成に通常用いるスパッタリングターゲットのサイズが外径100〜200mm、上記ブランク基板のサイズが外径50〜100mmの場合、該円環状のブランク基板の内外周、つまりテーパー部や垂直形状の端部のAl−Zn合金膜の膜厚は、データ面である平坦部の約1/10以下となることが好ましい。
また、いずれの部位においても、Al−Zn合金膜の膜厚が薄すぎると、Niメッキが十分に成長せず、該メッキが均一に形成されないため、Al−Zn合金膜の膜厚は1nm以上とすることが好ましい。また、Al−Zn合金膜に含まれるZnの絶対量が少ないとNiとZnとの置換が十分でなく、密着性の確保が困難になることから、Al−Zn合金膜の膜厚は160nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。
上限はAl−Zn合金膜の組成によって異なるものの、密着性の観点からは1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。また、Niメッキの均一な成長の観点からは500nm未満が好ましく、400nm以下がより好ましい。
Niメッキの均一な成長に関し、膜厚が大きすぎると、下地層の表面荒れのためにNiメッキの均一な成長がしにくくなる。
なお、Al−Zn合金膜の膜厚は段差計や蛍光X線分析法により測定することができる。
Al−Zn合金膜は、面内の膜厚と成分組成の均一な膜を形成できる点から、物理蒸着法により形成されることが好ましい。物理蒸着法として、スパッタリングを行うことがより好ましい。
前記スパッタリングに用いるターゲットとしては、成膜するAl−Zn合金膜と成分組成とが同一のAl−Zn合金ターゲットを用いたり、純Alターゲット上またはAl合金ターゲット上に、純Znやその他の合金元素の純金属が配置された複合ターゲットを用いたりすることができる。
前記スパッタリングの条件として、例えば、到達真空度:1×10−3Pa以下、Arガス圧:0.1〜10mtorr、成膜時投入電力密度:0.5〜100W/cm等とすることができる。
(ブランク基板)
本発明におけるブランク基板は特に限定されず、ガラス基板、Al系基板、Cu系基板、シリコン基板、SiC基板、樹脂基板等が挙げられる。これらブランク基板の表面には、本発明におけるAl−Zn合金膜以外の金属薄膜が形成されていてもよい。
ブランク基板として、中でも、Niメッキと下地層被覆基板との密着性が良好となる点からアルミニウム合金基板がより好ましい。
Al−Zn合金膜以外の金属薄膜としては、表面に自然酸化膜を形成しやすくNiメッキの困難な純Cu膜、Cu合金膜、純Al膜等が挙げられる。前記金属薄膜は、例えば膜厚50〜1000nmの範囲内とすることが好ましく、物理蒸着法等により形成することができる。
ブランク基板としてのアルミニウム合金は、Alを95質量%以上含んでいることが好ましい。また、アルミニウム合金には、強度や耐熱性を付与するためAl以外のその他の金属元素を含んでいてもよい。その他の金属元素は、合計で2質量%以上が添加による強度や耐熱性を発現させる点から好ましく、また、10質量%以下が加工の容易性や製造コストの点から好ましい。
その他の金属元素としては、Mg、Cr、Mn、Zr、Cu、Zn、Si、Fe等が挙げられる。
なお、本明細書において、質量を基準とする百分率(質量%)は、重量を基準とする百分率(重量%)と同義である。
アルミニウム合金基板としてより具体的には、例えば特開2012−99179号公報に記載の通り、Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金基板;Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、かつCrを0.05質量%以上、Mnを0.05質量%以上、およびZrを0.05質量%以上の群から選択される少なくとも一つを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金基板;Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、かつCrを0.05質量%以上0.3質量%以下、Mnを0.05質量%以上0.5質量%以下、およびZrを0.05質量%以上0.5質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有するとともに、Cuを0.01質量%以上0.2質量%以下およびZnを0.01質量%以上0.4質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、さらに前記不可避的不純物のうちSiが0.03質量%以下、Feが0.05質量%以下に規制されたアルミニウム合金基板;等が好ましく挙げられる。
(ブランク基板の算術平均粗さRa)
本発明に係るブランク基板の、メッキ処理がなされる側の面における算術平均粗さRaを30nm以上とすることにより、ブランク基板と下地層(Al−Zn合金膜)との界面での剥離を抑制することができ、さらには、下地層被覆基板とNiメッキ間でアンカー効果が発生し、高い密着性が得られるようになる。
算術平均粗さRaは50nm以上が好ましく、60nm以上がより好ましい。また、上限はメッキ後のメッキ面の平滑性確保の点から2μm以下が好ましい。
なお、ブランク面のメッキ処理がなされる側の面の算術平均粗さRaは段差測定装置を用いて測定することができる。
(Niメッキ処理)
本発明に係る下地層被覆基板はNiメッキ処理に用いられる。
Niメッキ処理としては、Ni−Pメッキの他、Ni−Bメッキ等が挙げられる。また、無電解メッキと電解メッキが挙げられる。本発明に係る下地層被覆基板は、特に無電解メッキの場合に十分優れたメッキ性が発揮され、無電解Ni−Pメッキがより好適に用いられる。
Niメッキ層の形成は、一般的に行われているNiメッキ処理法で行えばよい。またNiメッキ層の厚さは、例えば3〜20μmの範囲内とすることが好ましい。本発明に係る下地層被覆基板は、後述する実施例に示すとおり、速いメッキ形成速度で効率よく所望の厚さのNiメッキ層を形成することができる。
Ni−Pメッキとしては、該メッキ中のP量が2〜4質量%である低Pメッキ、8〜10質量%である中Pメッキ、11〜13質量%である高Pメッキが挙げられる。前記メッキの種類は、例えば下地層被覆基板を磁気記録媒体に用いる場合、要求される磁性や硬度、耐食性に応じて選択することができる。
(Niメッキ層含有積層体)
本発明に係る下地層被覆基板がNiメッキ処理された後のNiメッキ層含有積層体は、例えばハードディスク等の磁気記録媒体に好適に使用することができる。
磁気記録媒体以外の用途としては、例えば、電力の制御に用いられるパワーモジュールが挙げられる。より具体的には、例えば電極上に上記Niメッキ層、特にはNi−Pメッキ層の形成されうる、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)やパワーMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(下地層被覆基板の作製)
ブランク基板として、組成がAl−4.0Mg−0.15Zn−0.06Cr−0.04Cu(質量%)であるアルミニウム合金基板を用い、該ブランク基板の表面をダイヤモンドターニング研削により鏡面処理をした。次いで、ブランク基板をリン酸・硝酸・酢酸の混合液(硝酸3.4質量%、酢酸15.5質量%、残部リン酸)に時間を変えて浸漬し、表面粗度の異なる各種ブランク基板を用意した。
次いでこの基板上に、厚み300nmのAl−Zn合金をスパッタリングにより形成することで、下地層被覆基板の作製を行った。
スパッタリングは、組成がAl−20Zn(原子%)で直径150mmのスパッタリングターゲットを用い、以下の条件で行った。
・スパッタ装置:ULVAC社製 SH−450
・到達真空度:1×10−4Pa以下
・Arガス圧:2mtorr
・成膜時投入電力:550W
・成膜パワー密度:3.0W/cm
・形成する膜の厚さ:50nm
・基板温度:室温(22℃)
(Niメッキ層含有積層体の作製)
上記で得られた下地層被覆基板に対して、上村工業製Ni−PメッキHDX−7G及びHDX−Aに超純水を加えて加熱し、pH=4.4、温度90℃に保持した溶液に、上記サンプルを10秒〜90分間浸漬して厚さ約10μmのNi−Pメッキ層をそれぞれ形成した。その後、取り出して超純水リンス及び窒素ブローを行うことでNiメッキ層含有積層体を得た。
酸洗処理後の試料(ブランク基板のNiメッキがなされた側の面)を段差測定装置(KLA−Tencor社製 AlphaStepIq サーフェイスプロファイラ)を用いて線長2μmで表面形状を測定し、表面粗さを算出した。段差測定装置により得られる表面プロファイルの計測例として、酸洗処理90分間の際における、試料(ブランク基板)のNiメッキ処理がなされた側の面の、表面プロファイルを図1に示す。また、酸洗処理時間と、基板表面の算術平均粗さ(Ra)との関係を図2のグラフに示した。
なお、図2の結果から、酸洗処理時間を適宜選択することにより、算術平均粗さ(Ra)を算出することができる。
得られたNiメッキ層含有積層体に対し、さらにクロスカット試験を行い、メッキの密着性の評価を行った。
すなわち、Niメッキ層含有積層体にカッターナイフを用いて1mm×1mmサイズの切り込みを5×5か所の計25か所に入れた後、3M社製 8422B ポリエステルテープでNiメッキ層を剥離し、実際に剥離した個数をカウントした。
その結果、剥離が10個以下だったものを○(良好)とし、11個以上だったものを×(不良)とした。クロスカット試験の結果と、メッキ浴への浸漬時間、ブランク基板のメッキ処理がなされる側の面の算術平均粗さとの関係を表1にまとめた。
Figure 2018035428
その結果、下地層をAl−Zn合金膜とすることでNiメッキ層を均一に効率よく形成することができ、さらには、メッキ処理するブランク基板の表面(メッキ処理に供される面)の算術平均粗さRaを30nm以上とすることで、Ni−Pメッキとの密着性を良好なものとすることができることが分かった。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。

Claims (4)

  1. 基板と前記基板を被覆する下地層とからなり、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板であって、
    前記下地層はAl−Zn合金であり、前記基板の、前記下地層で被覆された面の算術平均粗さ(Ra)が30nm以上である下地層被覆基板。
  2. 前記下地層で被覆された前記基板がアルミニウム合金である請求項1に記載の下地層被覆基板。
  3. 磁気記録媒体に用いられる請求項1又は2に記載の下地層被覆基板。
  4. 基板と前記基板を被覆する下地層とからなり、Niメッキ処理に用いられる下地層被覆基板の前処理方法であって、
    前記基板の、前記下地層で被覆される面を、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む酸又は混酸により処理し、前記面の算術平均粗さ(Ra)を30nm以上とする下地層被覆基板の前処理方法。
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