JP2018035081A - 標準試薬用、透析液用および人工腎臓用補液用の水溶液 - Google Patents

標準試薬用、透析液用および人工腎臓用補液用の水溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸水素イオン濃度およびpHの変化が防止された、安定性に優れた炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有する水溶液である、透析液分析用の標準試薬用B液、透析液用B剤濃縮液および人工腎臓用補液用B剤水溶液の提供。【解決手段】炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより透析液分析用の標準試薬として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5である水溶液、所定の透析液のための炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有するpHが8.6〜10.5である水溶液、ならびに所定の人工腎臓用補液のための炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有するpHが8.6〜10.5である水溶液。【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含む水溶液であって、透析液分析用の標準試薬、透析液または人工腎臓用補液に用いられる水溶液に関し、とりわけ経時安定性に優れた炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含む水溶液に関する。
腎機能が低下した患者に血液透析を実施する場合、患者の血液は人工腎臓中で浄化される。この人工腎臓の内部においては透析液が灌流し、透析膜を介して、該血液中の老廃物を透析液側に移行させることが一般に行われる。近年では、この透析液として、患者の負担を軽減させるために、従来の酢酸透析液に代わり、酢酸の使用量を低減させた重曹含有透析液が広く使用されている。
重曹含有透析液では、電解質成分(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム)と炭酸水素イオンとの反応により不溶性の化合物が生成されるため一剤化に適しておらず、通常、電解質成分およびpH調整剤(例えば酢酸)を含む製剤(以下、「A剤」という)濃縮液と、重曹を含む製剤(以下、「B剤」という)濃縮液を水と共に透析液供給装置へ投入し、混合・希釈することにより調製される。このA剤濃縮液およびB剤濃縮液については、それぞれ市販の粉剤を水に溶解して作製する場合、あるいは初めから液剤(水溶液)として市販されているものを使用する場合がある。
調製された透析液は、通常、使用前に電解質濃度、pH、浸透圧等について、適正範囲内にあるかを確認して使用される。具体的には、調製時の注意点として、1)使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認すること、2)透析液のpHは、希釈水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpHが7.2〜7.4の範囲内にあることを確認すること、および3)透析液の浸透圧測定に際しては、生理食塩液の浸透圧を測定し、実測値を補正することなどが挙げられている。また、透析液供給機器メーカー側も注意事項や警告として、1)治療開始前に浸透圧計、電導度計、炎光光度計等の検査機器によって透析液の実濃度が処方通りであることを確認すること、2)洗浄終了後、消毒用または酸洗浄用薬液が液回路内に残留していないことを試験紙や試験薬を使用して確認することなどが挙げられている。いずれにしても、調製済み透析液濃度の確認は重要事項である。
上述の調製済み透析液濃度の確認は、フレーム光度法、原子吸光法、イオン選択性電極法(ISE法)などにより行われており、それらに用いる測定機器の校正には、常用参照標準物質を基準に作製された校正液などが用いられている。例えば特許文献1には、電極法を原理とする電解質計測機器において、透析液濃度の正確さを担保し得る専用の校正液が開示されている。
特開2010−271102号公報
しかしながら、調製済み透析液をチェックするための測定機器用の校正液においては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の電解質成分(A剤成分)と炭酸水素ナトリウム(B剤成分)とが併存する状態にあるため、経時的に沈殿(CaCO3、MgCO3等)が析出したり、炭酸水素イオン含量が変化したりし易く、保存安定性が懸念される。特許文献1に開示された校正液では、保存性を考慮し、調製した校正液をガラスアンプルに2.0mL容量ずつ量り入れて熔封保存することとしているが、沈殿の析出や炭酸水素イオン含量の変化について十分な保存安定性は示されていない。
そこで、本発明者らは、透析液分析用の標準試薬における沈殿析出や炭酸水素イオン含量の変化を回避する手段として、A剤成分が充填されたバイアルAと、B剤成分が充填されたバイアルBと、用時に両バイアルの内容物を混合するためのトランスファーニードルとからなる透析液分析用の標準試薬キットを着想した。
ところが、この標準試薬キットでは、沈殿析出を防止し、従来技術と比較して炭酸水素イオン含量の変化を抑制することができるものの、炭酸水素ナトリウム水溶液を充填したバイアルBについて、経時的に、二酸化炭素が発生して気相中に放出されてしまうことに伴い、内容物の炭酸水素イオン濃度やpHが変化してしまう場合があり、得られる標準試薬のpHや炭酸水素イオン濃度が所望の範囲から外れてしまうことが懸念された。そのため、炭酸水素イオン濃度およびpHの変化については、なお改善の余地がある。
一方、重曹含有透析液に用いるB剤(炭酸水素ナトリウム含有製剤)においても、液剤(濃縮液)として市販されているものについては、炭酸水素イオン濃度やpHの経時的変化が懸念される。
さらに、炭酸水素ナトリウム水溶液における炭酸水素イオン濃度やpHの経時的変化は、人工腎臓用補液においても生じ得る問題である。すなわち、人工腎臓による血液浄化の際には、混合後の重曹含有透析液とほぼ同等の成分組成を有する人工腎臓用補液が用いられることがあり、このような人工腎臓用補液は、一般に、隔壁によって2室に分離されたダブルバッグの各室に糖や電解質成分(透析液におけるA剤成分に相当。一般に市販されている人工腎臓用補液では、これを「B剤」と称することもあるが、本明細書では、便宜上「A剤成分」という。)を含む水溶液と炭酸水素ナトリウム(透析液におけるB剤成分に相当。一般に市販されている人工腎臓用補液では、これを「A剤」と称することもあるが、本明細書では、便宜上「B剤成分」という。)を含む水溶液とをそれぞれ充填しておき、用時に2室を連通させる形態で販売されている。このとき、炭酸水素ナトリウム含有水溶液を充填した室から二酸化炭素が発生し、成分濃度やpHが経時変化することが懸念される。
そのため、液剤である重曹含有透析液用B剤や人工腎臓用補液のB剤成分の経時変化を防止するため、従来、これらの市販品では、重曹含有透析液用B剤を充填したバッグ全体、あるいは人工腎臓用補液を充填したダブルバッグ全体を、ガスバリア包装で密封したり、さらにその密封空間に炭酸ガス発生型脱酸素剤を同梱しておくといった対策も取られている。
そこで、本発明は、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有する水溶液であって、炭酸水素イオン濃度およびpHの変化がより防止され、安定性に優れた、標準試薬用B液、透析液用B剤濃縮液および人工腎臓用補液のB剤水溶液を提供することを課題とする。
本発明者らは、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有する標準試薬用B液、透析液用B剤濃縮液および人工腎臓用補液用B剤水溶液において、そのpHを、8.6〜10.5に調整することにより、二酸化炭素の放出に伴う炭酸水素イオン濃度およびpHの変化を抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより透析液分析用の標準試薬として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5、好ましくは9.0〜10.2、より好ましくは9.2〜10.1である水溶液、
[2]バイアルに充填された上記[1]記載の水溶液、
[3]炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と、上記[1]または[2]記載の水溶液とを組み合わせてなる透析液分析用の標準試薬、
[4]炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより透析液として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5、好ましくは9.0〜10.2、より好ましくは9.2〜10.1である水溶液、
[5]炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより人工腎臓用補液として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5、好ましくは9.0〜10.2、より好ましくは9.2〜10.1である水溶液、
[6]連通可能な隔離手段で区画された少なくとも2室を有する複室容器における1室に充填された上記[5]記載の水溶液、ならびに
[7]炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と、上記[5]または[6]記載の水溶液とを組み合わせてなる人工腎臓用補液
に関する。
本発明によれば、pHを所定の範囲に調整することにより、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有する水溶液における経時的な炭酸水素イオン濃度およびpHの変化を防止し、透析液分析用の標準試薬のための安定性に優れた水溶液、透析液のための安定性に優れた水溶液および人工腎臓用補液のための安定性に優れた水溶液を提供することができる。これにより、例えば、透析液分析用の標準試薬用水溶液であれば、従来なかった透析液分析用の標準試薬を提供することが可能になり、透析液用濃縮水溶液や人工腎臓用補液用水溶液であれば、従来、施されていたガスバリア包装や炭酸ガス発生型脱酸素剤の同梱といった対策が不要となる。
本発明の、炭酸水素イオンおよび/または炭酸イオンを含有する透析液分析用の標準試薬用水溶液は、重曹透析液における重曹を含む製剤であり、本明細書においては、標準試薬用B液、または単にB液ともいう。また、本発明の炭酸水素イオンおよび/または炭酸イオンを含有する透析液用濃縮水溶液は、重曹透析液における重曹を含む製剤であり、本明細書においては、透析液用B剤濃縮液、あるいは単にB剤濃縮液ともいう。さらに、本発明の炭酸水素イオンおよび/または炭酸イオンを含有する人工腎臓用補液用水溶液は、人工腎臓用補液における重曹を含む製剤であり、本明細書においては、人工腎臓用補液用B剤水溶液、あるいは単に補液用B剤水溶液ともいう。
本発明の標準試薬用B液、透析液用B剤濃縮液および人工腎臓用補液用B剤水溶液は、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5である。B液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液のpHは8.6以上であるが、9.0以上が好ましく、9.2以上がより好ましい。B液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液のpHを8.6以上とすることにより、B液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液のpHの変化、炭酸水素イオン濃度の変化および二酸化炭素の放出が長期にわたって抑制され、安定なB液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液を得ることができる。また、B液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液のpHの上限は特に制限されないが、取り扱い上の安全性、製造装置への影響などの観点から、10.5以下であり、好ましくは10.2以下、より好ましくは10.1以下である。pHの調整は、当技術分野において一般的なpH調整剤を用いることもできるが、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを用い、その比率を調整することにより行うことが、調整作業が容易である点で、好ましい。
B液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液には、炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分以外の成分を含有させてもよい。例えば、所定のpHに調整するために、水酸化ナトリウム等の塩基性成分を含有させることができる。炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを併用することが、pHの制御が容易である点からより好ましい。
B液、B剤濃縮液および補液用B剤水溶液における炭酸水素イオン濃度は、目的に応じて適宜設定すればよく、特に制限されない。なお、本明細書においてB液、B剤濃縮液、補液用B剤水溶液、標準試薬、透析液および人工腎臓用補液における炭酸水素イオン濃度とは、炭酸水素イオンが塩基性条件下で可逆的に炭酸イオンとしても存在するため、炭酸水素イオンと炭酸イオンの和としての濃度を意味する。
B液の容量は、片手でA液との混合操作が可能となる程度の量が好ましく、例えば、2〜8mLが好ましく、4〜6mLがより好ましく、5mL程度が最も良い。
B液はバイアルに充填して保存することが好ましい。バイアルの容量は、B液を充填することができれば、特に限定されるものではないが、片手でバイアルAと混合できる程度の大きさであることが好ましい。
なお、バイアルの容量とB液充填量との関係でバイアル空間部の容積が大きくなると、通常、経時的にpHが上昇しやすくなる傾向があるが、本発明ではpHを8.6以上とすることにより、バイアル空間部の容積に関わらず良好な経時的安定性を確保することができる。よって、バイアル空間部の容積は、特に制限されないが、例えば、バイアル全満量の20〜70%程度が好ましい。
本発明のB液は、炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含む透析液分析用の標準試薬用水溶液(本明細書においては、標準試薬用A液、または単にA液ともいう。)と組み合わせて透析液分析用の標準試薬とすることができる。炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられ、これら電解質成分は、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等としてA液に含有させることができる。塩化カルシウム、塩化マグネシウムを用いる場合には、A液に電解質として含有させる。そして、もちろん、本発明においては、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンはA液に含有させないものとする。
A液には、塩化カルシウム、塩化マグネシウムの他に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウムなどのその他の電解質や有機酸塩などを含有させることができる。また、pH調整剤として塩酸や有機酸を使用することができ、有機酸としては、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、アスコルビン酸、オキサロ酢酸、グルコン酸、イソクエン酸、リンゴ酸および/またはクエン酸を使用することが好ましい。さらに、A液には必要に応じてブドウ糖を混合することが好ましい。
塩化カルシウムとしては、塩化カルシウム二水和物、塩化カルシウム一水和物、塩化カルシウム無水物などが用いられる。塩化マグネシウムとしては、塩化マグネシウム六水和物などが好ましく用いられる。
酢酸ナトリウムとしては、無水酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物などが好ましく用いられる。また、酢酸(氷酢酸)と水酸化ナトリウムとを添加することにより、結果的に酢酸ナトリウムとすることもできる。
A液の容量は、片手でB液との混合操作が可能となる程度の量が好ましく、例えば、2〜8mLが好ましく、4〜6mLがより好ましく、5mL程度が最も良い。
A液のpHは、B液のpHに応じて、A液およびB液を合わせた標準試薬のpHが7.2〜7.4となるように調整されるが、製造装置等への腐食等の影響を考慮すると、pH3以上が好ましく、pH4以上がより好ましい。また、A液のpHは6以下が好ましく、pH5以下がより好ましい。A液のpHが高すぎると、B液と混合して得られる標準試薬のpHを所定の範囲に維持するために、B液のpHを低く設定せざるを得なくなり、その結果、炭酸水素イオン含量の変化を抑制できなくなる。
A液もバイアルに充填して保存することが好ましい。バイアルの容量は、A液を充填することができれば、特に限定されるものではないが、バイアルA内でA液とB液とを混合させ得るよう、A液とB液の合計容量以上とすることが好ましく、A液とB液との合計容量の1.1倍以上とすることがより好ましい。
A液およびB液を合わせた標準試薬の容量は、特に制限されないが、調製後の透析液のチェックに必要な最低限の量として、通常、3mL以上が好ましく、5mL以上がより好ましい。また、本発明のキットにより調製された標準試薬は、原則1回の使用で使い切ることが望ましく、この点から、標準試薬の容量は、50mL以下が好ましく、30mL以下がより好ましい。
透析液分析用の標準試薬は、対象とする調製後透析液と基本的に同じ成分組成であることが理想的である。よって、上述したB液中の「炭酸水素イオンおよび/または炭酸イオン」とA液中の「炭酸イオンが反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分」の他に適宜A液またはB液に含有させるその他の成分は、対象とする透析液や透析の目的等に合わせて決定すればよい。具体的には、A液およびB液を混合した後の透析液(標準試薬)の好ましい電解質組成は、次の表1のとおりである。そして、例えば、標準試薬の電解質組成の一例をあげると、人工腎臓用透析液粉末製剤「リンパック(登録商標)透析剤TA3」(ニプロ(株)製)用の試薬であれば、表2のとおりである。
Figure 2018035081
Figure 2018035081
本発明の透析液分析用の標準試薬は、A液を含むバイアルとB液を含むバイアルとを、例えばトランスファーニードルなどにより連通させて用時にA液とB液とを混合して使用することができる。そのようなトランスファーニードルとしては、A液を含むバイアルとB液を含むバイアルを連通するための中空針を両側に備えた連通部材であれば特に限定することなく使用することができる。また、トランスファーニードルに代えて、例えば、ホールピペット等を用いて各バイアルの内容物を正確に量りとり、別容器内で両者を混合する等の手段でA液とB液を混合してもよい。
本発明の透析液用のB剤濃縮液は、通常、バッグに充填して保存することが好ましい。
本発明のB剤濃縮液は、炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含む透析液用の製剤(本明細書においては、透析液用A剤、または単にA剤ともいう。)と組み合わせて重曹透析用製剤とすることができる。A剤は液剤であっても固形製剤であってもよく、固形製剤である場合には、炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分をその塩として含有し、用時に水溶液としたのち、B剤と組み合わせることとなる。炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられ、これら電解質成分は、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等としてA剤に含有させることができる。塩化カルシウム、塩化マグネシウムを用いる場合には、A剤に電解質として含有させる。そして、もちろん、本発明においては、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンはA剤に含有させないものとする。A剤には、その他に、標準試薬用A液に含有させてもよい成分として上述した他の電解質や有機酸塩、ブドウ糖等を含有させることもできる。B剤濃縮液は、通常、用時に適宜希釈し、A剤(必要に応じて溶解、希釈して用いる)と組み合わせて透析液を調製する。
A剤は、一般に重曹透析液用のA剤として使用されているものを、本発明のB剤濃縮液のpHに合わせて適宜調整して用いることができる。A剤のpHについては、標準試薬用A液のpHと同様であり、上述したとおりである。A剤とB剤濃縮液とを混合して得られる透析液の電解質組成は、透析目的等に応じて決定すればよく、例えば上述の表1に示す組成とすることが好ましく、一例をあげると、表2のとおりである。
本発明の補液用B剤水溶液は、炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含む人工腎臓用補液用製剤(本明細書においては補液用A剤、または単に補液用A剤水溶液ともいう。)と組み合わせて人工腎臓用補液とすることができる。炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられ、これら電解質成分は、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等としてA液に含有させることができる。塩化カルシウム、塩化マグネシウムを用いる場合には、補液用A剤に電解質として含有させる。そして、もちろん、本発明においては、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンはA液に含有させないものとする。補液用A剤には、その他に、標準試薬用A液に含有させてもよい成分として上述した他の電解質や有機酸塩、ブドウ糖等を含有させることもできる。
通常、人工腎臓用補液は、補液用A剤水溶液と補液用B剤水溶液との二液からなる用時混合型であり、例えば、連通可能な隔離手段で区画された少なくとも2室を有する複室容器に、補液用A剤水溶液および補液用B剤水溶液をそれぞれ第1室および第2室に収容してなる複室容器製剤とすることが好ましい。このような複室容器としては、例えばポリプロピレン製などのプラスチック製のダブルバッグ型容器が好ましく、従来のろ過型人工腎臓用補充液に使用されているものを使用することができ、充填方法、使用方法などについても同様に適用することができる。
補液用A剤水溶液は、一般に人工腎臓用の補液用A剤として使用されているものを、本発明の補液用B剤水溶液のpHに合わせて適宜調整して用いることができる。補液用A剤水溶液のpHについては、標準試薬用A液のpHと同様であり、上述したとおりである。補液用A剤水溶液と補液用B剤水溶液とを混合して得られる補液の電解質組成は、例えば上述の表1に示す組成とすることが好ましく、一例をあげると、表2のとおりである。
例えば、本発明の複室容器製剤は、複室容器に補液用A剤水溶液および補液用B剤水溶液を各室に充填したのち、それぞれ注入口を密封する。その後、日本薬局方の最終滅菌法の指標に準じ、高圧蒸気滅菌処理を行うことにより最終製品とする。
滅菌後、複室容器は、外気との接触を避けるため、ガスバリア性の包装材を用いて外装することが好ましい。外装は、ガスバリア性の包装材からなる包装容器に密封収納してもよく、また包装材がフィルムの場合には、密封包装してもよい。ガスバリア性の包装材としては、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム等、多数の材料および製品が知られており、一般に市販されているものを用いることができる。
また、複室容器を外装する際には、外装内を無酸素状態とするため、脱酸素剤を併せて収納したり、窒素ガスや炭酸ガスなどで置換してもよく、脱酸素剤を収納することが好ましい。さらに外装のピンホールを検出する目的で酸素検知剤などを併せて収納することが好ましい。脱酸素剤や酸素検知剤としては、一般に市販されているものを用いることができる。
なお、本発明の人工腎臓用補液は、補液用B剤水溶液のpHを所定の値とすることにより、上述のガスバリア性の包装材を用いた外装や、炭酸ガス発生型の脱酸素剤の同梱、窒素ガスや炭酸ガスなどによる置換といった対策は必須ではない。
以下、本発明を実施例にもとづき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることを意図するものではない。
実施例1〜8および比較例1〜3
表3の組成にしたがい、炭酸水素ナトリウムを注射用水に溶解し、水酸化ナトリウムを加えて表3に示す所定のpHに調整し、B液を調製した。得られたB液をバイアルに5mLずつ充填し、ゴム栓をした後、アルミシールで巻き締めすることにより密封してB液のバイアルを得た。このとき、バイアルの空間部容積はバイアル全満量の43%であった。なお、比較例1においては、水酸化ナトリウムを使用しなかった。
Figure 2018035081
*炭酸水素イオンは塩基性条件下で可逆的に炭酸イオンとしても存在するため、炭酸水素イオンと炭酸イオンの和としての濃度が「炭酸水素イオン濃度」を意味する。
実施例9〜12および比較例3〜6
表4の組成にしたがい、水酸化ナトリウムに代えて炭酸ナトリウムを用い、炭酸水素イオン濃度を高くするか、バイアル容量と充填液量を変更して空間部の容積を小さくした以外は、実施例1と同様にしてB液のバイアルを得た。なお、比較例においては、炭酸ナトリウムを使用しなかった。
Figure 2018035081
*炭酸水素イオンは塩基性条件下で可逆的に炭酸イオンとして存在するため、炭酸水素イオンと炭酸イオンの和としての濃度が「炭酸水素イオン濃度」を意味する。
試験例1:B液の安定性試験
実施例1〜8ならびに比較例1および2で得られたバイアルについては調製から2日後(その間は室温保存)、実施例9〜12および比較例3〜6で得られたバイアルについては調製から17日後(その間は室温保存)に、pH、空間部の二酸化炭素濃度を測定した。その後、各バイアルを、40℃で保存し、40℃での保存開始から2週間後および4週間後に、再度、pH、空間部の二酸化炭素濃度を測定した。各測定の方法をつぎに示す。
(A)pH測定(n=各3)
バイアル中の液2mLを試験管にとり、pHメーターを用いて測定した。結果を表5に示す。
(B)空間部の二酸化炭素濃度(n=各3)
バイアル内の空間部のガスを0.1mLとり、ガスクロマトグラフィーを用いて分析することにより、空間部に占める二酸化炭素の割合(%)を求めた。なお、空間部に占める初期の二酸化炭素濃度は、大気中の二酸化炭素濃度と同様、0.04%である。結果を表5に示す。
Figure 2018035081
上記結果から、比較例では、調製後2日乃至17日経過後には、調製時のpHより0.1以上のpH上昇が認められたのに対し、実施例ではいずれも、調製後のpHの変動が少なく、高温状態においても経時的な変動はほとんど認められないことが確認された。また、pHを所定の範囲としていない比較例3〜6では、バイアル空間部の容積が大きくなると調整後のpH変動が顕著に大きくなる傾向が認められるが(比較例3VS比較例5、比較例4VS比較例6)、実施例9〜12では空間容積の影響をほとんど受けることなく、空間部の容積が大きくなっても調製後のpH変動は抑えられることが確認された(実施例9VS実施例11、実施例10VS実施例12)。
実施例13
表6の組成にしたがい、A液の成分を注射用水に混合・溶解し、全量100mLとなるように注射用水を加えてA液を調製した。このとき、塩酸を適宜混合することにより、A液のpHが4.7になるように調整した。得られたA液をバイアルに、5mLずつ充填してA液のバイアルを得た。
同様に、表7の組成にしたがい、B液の成分を注射用水に溶解し、全量100mLとなるように注射用水を加えてB液を調製した。得られたB液を容量10mLのバイアルに5mLずつ充填してB液のバイアルを得た。B液のバイアルの空間部の容積は、バイアル全満量の65%であった。
得られたA液のバイアルおよびB液のバイアルを、トランスファーニードル(ニプロ(株)製)で連通させ、混合して標準試薬を得た。A液およびB液の混合液(n=3)のpHは7.3であり、混合後の液は問題なく目標pH(pH7.2〜7.4)となることが確認された。得られた標準試薬の組成を表8に示す。
Figure 2018035081
Figure 2018035081
Figure 2018035081

Claims (7)

  1. 炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより透析液分析用の標準試薬として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5である水溶液。
  2. バイアルに充填された請求項1記載の水溶液。
  3. 炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と、請求項1または2記載の水溶液とを組み合わせてなる透析液分析用の標準試薬。
  4. 炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより透析液として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5である水溶液。
  5. 炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と組み合わせることにより人工腎臓用補液として用いられる水溶液であって、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含有し、pHが8.6〜10.5である水溶液。
  6. 連通可能な隔離手段で区画された少なくとも2室を有する複室容器における1室に充填された請求項5記載の水溶液。
  7. 炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含有する水溶液と、請求項5または6記載の水溶液とを組み合わせてなる人工腎臓用補液。
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