JP2011179913A - 採血管及び血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】血液中の血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値を測定するのに用いられる採血管であって、採血管本体と、採血管本体内に収容された薬剤とを備え、該薬剤が、マルトースと、フッ化物塩とを、pH調整用酸とを含み、pHが3.0〜6.5の範囲とされている液状薬剤/または、更に、乾燥した状態で収容されている採血管。
【選択図】なし
Description
調整された血液試料を含む採血管を、直ちに冷蔵保存しなければならない。従って、多種多様な作業を強いられる医療現場における負担が大きい。
の公知の方法で実施できる。
本発明において、上記血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物は、マルトースと、フッ化物塩と、pH調整用酸とを含む。前述したように、フッ化物塩は、解糖阻止剤として知られている。しかしながら、フッ化物塩の解糖阻止効果が発現するには、2〜3時間の長時間を要する。従って、フッ化物塩を用いただけでは、採血直後の血液試料中のグルコース濃度の低下を抑制することはできない。
本発明に係る血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管は、採血管本体を
有する。この採血管本体内に、上記本発明に係る血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物が液状薬剤/または、更に、乾燥した状態で収容されている。上記採血管本体としては、特に限定されるわけではないが、有底であり、底部と反対側の端部に開口を有する円筒状の採血管本体が好適に用いられる。また、上記採血管本体の開口は、採血管本体内を液密封止し得る、より好ましくは気密封止し得る閉塞部材を備えていることが望ましい。このような閉塞部材としては、ゴム栓、ゴム栓の周囲に合成樹脂組成カバー部材が取り付けられた複合型栓体、アルミニウム箔のような金属箔に採血針を刺通させるゴム部材を積層してなるフィルム栓などを用いることができる。
クエン酸9.40g、クエン酸3ナトリウム0.53g、フッ化ナトリウム(NaF)1g及びマルトース10gを水に完全に溶解し、100mL量の薬剤溶液を調製した。この薬剤組成物のpHは3.7であった。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸8.93g、クエン酸3ナトリウム1.03g、フッ化ナトリウム(NaF)1g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは4.1)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸7.68g、クエン酸3ナトリウム2.94g、フッ
化ナトリウム(NaF)1g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは4.6)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸8.93g、クエン酸3ナトリウム1.03g、フッ化ナトリウム(NaF)4g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは5.1)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸3.07g、クエン酸3ナトリウム10.00g、フッ化ナトリウム(NaF)4g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは5.8)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸3.07g、クエン酸3ナトリウム10.00g、EDTA−2Kを1.00g、フッ化ナトリウム(NaF)4g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは5.5)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸7.68g、クエン酸3ナトリウム2.94g、フッ化ナトリウム(NaF)2g及びマルトース10gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは4.5)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、EDTA−2Kを5.00g、コハク酸10.0g、フッ化ナトリウム(NaF)2g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは4.6)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、EDTA−2Kを5.00g、リンゴ酸10.0g、フッ化ナトリウム(NaF)2g及びマルトース20gを水に完全に溶解し、100mLの薬剤溶液(pHは4.6)を調製したことを除いては、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸22.0gと、フッ化ナトリウム(NaF)1gと、マルトース20gとを水に完全に溶解し、100mLの薬剤組成物溶液(pHは2.7)を調製した以外は、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸3ナトリウム22.0gと、フッ化ナトリウム(NaF)1gと、マルトース20gとを水に完全に溶解し、100mLの薬剤組成物溶液(pHは7.5)を調製した以外は、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビン
A1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸8.93gと、クエン酸3ナトリウム1.03gと、フッ化ナトリウム(NaF)4gとを水に完全に溶解し、100mLの薬剤組成物溶液(pHは5.1)を調製した以外は、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
薬剤溶液の調製に際し、クエン酸8.93gと、クエン酸3ナトリウム1.03gと、フッ化ナトリウム(NaF)4gと、d−マンノース10gとを水に完全に溶解し、100mLの薬剤組成物溶液(pHは5.1)を調製した以外は、実施例1と同様にして血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管を得た。
実施例1〜9及び比較例1〜4で作製した血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用採血管に、同一人から採血した。採血量は全て2mLとした。採血後、採血管を5回転倒混和し、血液と上記薬剤組成物とを十分に混和した。5回転倒混和後直ちに、各採血管内に収容されている血液試料の血糖値及びヘモグロビンA1c値を測定した。血糖値は、和光純薬社製、試薬L−タイプワコーを用い、日本電子社製自動分析装置、品番:6010を用いて測定した。また、ヘモグロビンA1c値は、アークレイ株式会社製、品番:アダムスA1cHA−8160を用いて測定した。
1)血糖値
血糖値の初期値は実施例1〜9のいずれにおいても120mg/dLであったのに対し、室温で1日静置した後の血糖値は、実施例1〜9において、115〜118mg/dLの範囲であった。従って、1日静置後の血糖値変動量は、5%以内であり、室温に保存した場合であっても、血糖値の安定性は良好であった。
採血直後のヘモグロビンA1c値は、実施例1〜9のいずれにおいても5.5%であり、かつ室温で1日静置した後においても全て5.5%と一定の値であった。従って、ヘモグロビンA1c値が変動せず、安定性が非常に高いことがわかる。
1)血糖値
比較例1〜4では、採血直後の血糖値の初期値は、全て120mg/dLであった。しかしながら、室温で1日静置した後の採血管から取り出された検体中の血糖値は、比較例4を除いて、84〜110mg/dLであった。従って、比較例1〜3では、室温で1日静置した後の血糖値変動量は5%を超えていた。従って、室温保存では、血糖値の安定性が十分でないことがわかる。
比較例1では、ヘモグロビンA1c値の採血直後の値は5.8であったのに対し、1日静置した後には、6.0%と高くなった。同様に、比較例4においても、採血直後の検体のヘモグロビンA1c値は5.6%であったのに対し、室温で1日放置した後には、5.7%と高くなった。従って、比較例1及び4では、ヘモグロビンA1c値の安定性が低いことがわかる。
Claims (8)
- 血液中の血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値を測定するのに用いられる採血管であって、
採血管本体と、採血管本体内に収容された薬剤とを備え、該薬剤が、マルトースと、フッ化物塩と、pH調整用酸とを含み、pHが3.0〜6.5の範囲とされている液状試薬を含有する/または、更に、乾燥して収容した採血管。 - 前記pH調整用酸が、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、コハク酸及びリンゴ酸からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の採血管。
- 採取される血液1mLに対し、前記薬剤において、マルトースの含有量が1mg〜100mg、フッ化物塩の含有量が0.1mg〜3.0mgの範囲にある、請求項1または2に記載の採血管。
- 前記薬剤は、マルトース100重量部に対し、前記フッ化物塩を0.1〜300重量部含む、請求項1または2に記載の採血管。
- 血液中の血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値を測定するための薬剤であって、マルトースと、フッ化物塩と、pH調整用酸とを含み、pHが3.0〜6.5の範囲とされている液状試薬を含有する/または、更に、乾燥して収容した血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物。
- 前記pH調整用酸が、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、コハク酸及びリンゴ酸からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項5に記載の血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物。
- 採取される血液1mLに対し、前記薬剤において、マルトース含有量が1mg〜100mg、フッ化物塩の含有量が0.1mg〜3.0mgの範囲にある、請求項5または6に記載の血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物。
- マルトース100重量部に対し、前記フッ化物塩を0.1〜300重量部含む、請求項5または6に記載の血糖値及び/またはヘモグロビンA1c値測定用薬剤組成物。
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