JP7246203B2 - 血液ろ過用補充液 - Google Patents
血液ろ過用補充液 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7246203B2 JP7246203B2 JP2019030748A JP2019030748A JP7246203B2 JP 7246203 B2 JP7246203 B2 JP 7246203B2 JP 2019030748 A JP2019030748 A JP 2019030748A JP 2019030748 A JP2019030748 A JP 2019030748A JP 7246203 B2 JP7246203 B2 JP 7246203B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid
- hemofiltration
- hydrogen
- replenisher
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
[1]炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含むA液、ならびに炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含むB液からなる用時混合型血液ろ過用補充液であり、B液が水素を含有する血液ろ過用補充液、
[2]連通可能な隔離手段で区画された少なくとも2室を有する複室容器の各室にA液およびB液がそれぞれ収容されている上記[1]記載の血液ろ過用補充液、
[3]少なくともB液がpH調整剤を含有する上記[1]または[2]記載の血液ろ過用補充液、
[4]複室容器の少なくとも一部または該複室容器を覆う外装材の少なくとも一部が金属を含む素材で形成されている上記[2]または[3]記載の血液ろ過用補充液、ならびに
[5]少なくとも収容されたB液はろ過滅菌により滅菌されている上記[2]~[4]のいずれかに記載の血液ろ過用補充液
に関する。
本明細書において「A液」は、炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含むものであり、これらは通常、炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムとして含有される。炭酸水素イオン(HCO3 -)と炭酸イオン(CO3 2-)とは水溶液中で平衡状態にあるので、A液中では、いずれか一方のみが存在する状態であってもよいし、両イオンが併存する状態であってもよい。
本明細書において「B液」は、「炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分」を含む水溶液である。「炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分」としては、上述の通りカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどが挙げられ、これら電解質成分は、通常、塩化カルシウム(塩化カルシウム二水和物、塩化カルシウム一水和物、塩化カルシウム無水物等)、塩化マグネシウム(塩化マグネシウム六水和物等)などとしてB液に含有させることができる。そして、B液には、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンは含有させないものとする。これにより、保存中の沈殿生成を回避することができる。
本発明におけるB液は、水素を含有(溶存)する。水素を溶存させる方法としては、B液に直接、水素ガスをバブリングする方法などが挙げられる。具体的には、水素ガスをバブリングする場合、溶液(B液)を入れた容器内に水素ボンベ用チューブを差し込み、一定時間、一定流量で撹拌しながらバブリングするとよい。
B液における水素の含有量(溶存水素濃度)は、酸化ストレスや炎症の抑制といった治療効果を得る上では高い方が好ましく、例えば、40ppb以上が好ましく、50ppb以上がより好ましく、60ppb以上がさらに好ましく、100ppb以上が最も好ましい。なお、溶存水素濃度は、例えば、実施例記載の方法で測定することができる。
本発明の血液ろ過用補充液は、流通可能な形態に包装されたものとすることが好ましい。具体的には、上述したように本発明の血液ろ過用補充液はA液とB液の少なくとも二液からなる用時混合型であり、例えば本発明の一実施態様としては、連通可能な隔離手段で区画された少なくとも2室を有する複室容器の各室にA液およびB液がそれぞれ収容されている態様が好ましく挙げられる。複室容器としては、具体的には、従来公知の用時混合型の血液ろ過用補充液製剤に使用されている、いわゆるダブルバッグ型容器を採用することができる。このような複室容器によれば、用時に、各室を区画する隔離手段を取り除き、各室を連通させることにより、血液ろ過用補充液を調製できる。
本発明の血液ろ過用補充液の滅菌方法としては、高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌、放射線滅菌、ろ過滅菌等が挙げられるが、B液に溶存させた水素の安定性を考慮すると、少なくともB液は、ろ過滅菌により滅菌することが好ましい。
本発明の血液ろ過用補充液を流通時に保存する場合、B液の溶存水素濃度を安定に保存させる上で、温度はできるだけ低い方が好ましい。具体的には、30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、10℃以下がより好ましく、さらに好ましくは1~4℃がよい。
本発明の血液ろ過用補充液は、血液ろ過(HF)および血液ろ過透析(HDF)における補充液として用いることができる。
市販の血液ろ過用補充液(ニプロ(株)製「サブパック(登録商標)Bi」、A液成分:塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、B液成分:塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、塩化マグネシウム、無水酢酸ナトリウム、ブドウ糖、塩酸)のB液1000mLを温度23±3℃(室温)とした後、水素ガスを1L/分で2分間バブリングさせ、200ppbの濃度で水素が溶存した水素溶存B液を得た(これを「B液-200ppb」とする)。
・グルコース:東芝メディカルシステムズ(株)製「TBA-120FR」
・Na、K、Ca、Mg:パーキンエルマー社製「OPTIMA8300」
・塩素:平沼産業(株)製「COM-1700」
・酢酸:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「ULTIMATE3000」
・炭酸水素イオン:滴定法
水素溶存液の専用容器として市販されている加水素液体真空保存容器(ハジー物産(株)製「H2-BAG500mL」:アルミニウム層を含む多層フィルムからなる袋)に収容された「サブパック(登録商標)Bi」B液に約400ppbの濃度で水素を溶存させた水素溶存B液400mLを、真空密閉した状態で4℃の環境下、4週間保存した。1週間経過ごとに、一部を採取して2群に分け、一方をそのまま(試料1)、他方を開封直後の「サブパック(登録商標)Bi」A液(392mL)と混合した混合液(試料2)として、溶存水素濃度およびpHを測定した。なお、試料の採取は、加水素液体真空保存容器のキャップを一旦開けて素早く行い、直ちに真空密閉状態に戻して、保存を継続した。
実施例1と同様にして水素溶存B液「B液-400ppb」を作製し、市販のアルミ真空袋((株)ハギオス製の「べんけい1015」、内側から順に、ポリエチレン層(約51μm)、アルミニウム層(約7μm)、ポリエチレン層(約19μm)、ポリエチレンテレフタレート層(約16μm)が積層された多層フィルム(約93μm)からなる袋)に50mLずつ収容し、真空密閉装置((株)ハギオス製の「MZ-280-BC」)を用いて真空密閉して、保存安定性測定用サンプルを80個作製した。このうち、40個のサンプルを室温(20~27.5℃)保存し、40個のサンプルを冷蔵(4℃)の環境下で保存した。保存開始時と、保存開始から1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後にそれぞれ10個のサンプルから試料を採取し、試料採取後直ちに実施例2と同じ溶存水素濃度測定器を用いて溶存水素濃度を測定した。結果を図2に示す。
実施例1と同様にして、水素溶存B液「B液-400ppb」を作製し、孔径0.2μmの滅菌用ろ過フィルター(ニプロ(株)製のフィルターセット「FG-20ZY(2)P」)に通して滅菌した。滅菌前(滅菌用ろ過フィルター通過前)と滅菌後(滅菌用ろ過フィルター通過後)に、それぞれ試料を採取し、試料採取後直ちに、実施例2と同じ溶存水素濃度測定器を用いて溶存水素濃度を測定した(n=16)。結果を図3に示す。
Claims (6)
- 炭酸水素イオンおよび炭酸イオンの少なくともいずれかを含むA液、ならびに炭酸イオンと反応して沈殿を形成する可能性がある電解質成分を含むB液からなる用時混合型血液ろ過用補充液であり、B液のみに水素を溶存させた血液ろ過用補充液。
- 少なくともB液がpH調整剤を含有する請求項1記載の血液ろ過用補充液。
- B液はろ過滅菌により滅菌されている請求項1または2記載の血液ろ過用補充液。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の血液ろ過用補充液のA液およびB液が、連通可能な隔離手段で区画された少なくとも2室を有する複室容器の各室にそれぞれ収容されている血液ろ過用補充液充填複室容器。
- 複室容器の少なくともB液が収容されている部分が金属を含む素材で形成されている請求項4記載の血液ろ過用補充液充填複室容器。
- 請求項4記載の血液ろ過用補充液充填複室容器を外装材で覆った包装体であって、該複室容器の少なくともB液が収容されている部分を覆う外装材が金属を含む素材で形成されている包装体。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018031207 | 2018-02-23 | ||
JP2018031207 | 2018-02-23 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019142859A JP2019142859A (ja) | 2019-08-29 |
JP7246203B2 true JP7246203B2 (ja) | 2023-03-27 |
Family
ID=67773586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019030748A Active JP7246203B2 (ja) | 2018-02-23 | 2019-02-22 | 血液ろ過用補充液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7246203B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6906807B2 (ja) * | 2018-08-31 | 2021-07-21 | 一般社団法人クラインシュタイン医工学パースペクティブ | 透析装置 |
Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003002466A1 (fr) | 2001-06-29 | 2003-01-09 | Miz Co., Ltd. | Procede d'antioxydation et eau a fonction antioxydante |
JP2005329061A (ja) | 2004-05-20 | 2005-12-02 | Yasuei:Kk | 透析液調製法 |
JP3832458B2 (ja) | 2002-09-05 | 2006-10-11 | ニプロ株式会社 | ろ過型人工腎臓用補液収容複室容器 |
JP2007056013A (ja) | 2005-07-29 | 2007-03-08 | Ajinomoto Co Inc | 透析用補充液 |
JP3904030B2 (ja) | 2002-09-05 | 2007-04-11 | ニプロ株式会社 | 補液収容複室容器製剤 |
KR100822521B1 (ko) | 2004-02-27 | 2008-04-16 | 가부시키가이샤니혼트림 | 인공 생리적 염류 용액 및 그의 제조 방법 |
JP2010063629A (ja) | 2008-09-10 | 2010-03-25 | Nippon Torimu:Kk | 透析装置 |
JP4486157B1 (ja) | 2009-03-13 | 2010-06-23 | ミズ株式会社 | 水素含有生体適用液の製造方法及び製造装置 |
KR101183965B1 (ko) | 2007-10-05 | 2012-09-18 | 후소 야쿠힝 고교 가부시끼가이샤 | 안정한 탄산수소 이온 함유 약액 |
JP2015003871A (ja) | 2013-06-19 | 2015-01-08 | 扶桑薬品工業株式会社 | 酸化ストレス抑制型透析用剤およびその調製方法 |
JP6189562B1 (ja) | 2017-03-17 | 2017-08-30 | 株式会社熊本アイディーエム | 治療装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3271650B2 (ja) * | 1995-10-26 | 2002-04-02 | 清水製薬株式会社 | 重炭酸イオン含有無菌性配合液剤又は製剤及びその製造方法 |
JP3375518B2 (ja) * | 1997-06-23 | 2003-02-10 | 清水製薬株式会社 | 注射剤 |
-
2019
- 2019-02-22 JP JP2019030748A patent/JP7246203B2/ja active Active
Patent Citations (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003002466A1 (fr) | 2001-06-29 | 2003-01-09 | Miz Co., Ltd. | Procede d'antioxydation et eau a fonction antioxydante |
JP3832458B2 (ja) | 2002-09-05 | 2006-10-11 | ニプロ株式会社 | ろ過型人工腎臓用補液収容複室容器 |
JP3904030B2 (ja) | 2002-09-05 | 2007-04-11 | ニプロ株式会社 | 補液収容複室容器製剤 |
KR100822521B1 (ko) | 2004-02-27 | 2008-04-16 | 가부시키가이샤니혼트림 | 인공 생리적 염류 용액 및 그의 제조 방법 |
JP2005329061A (ja) | 2004-05-20 | 2005-12-02 | Yasuei:Kk | 透析液調製法 |
JP2007056013A (ja) | 2005-07-29 | 2007-03-08 | Ajinomoto Co Inc | 透析用補充液 |
KR101183965B1 (ko) | 2007-10-05 | 2012-09-18 | 후소 야쿠힝 고교 가부시끼가이샤 | 안정한 탄산수소 이온 함유 약액 |
JP2013224327A (ja) | 2007-10-05 | 2013-10-31 | Chiba Univ | 安定な炭酸水素イオン含有薬液 |
JP2010063629A (ja) | 2008-09-10 | 2010-03-25 | Nippon Torimu:Kk | 透析装置 |
JP4486157B1 (ja) | 2009-03-13 | 2010-06-23 | ミズ株式会社 | 水素含有生体適用液の製造方法及び製造装置 |
JP2010241787A (ja) | 2009-03-13 | 2010-10-28 | Mizu Kk | 水素含有生体適用液の製造方法及び製造装置 |
JP2015003871A (ja) | 2013-06-19 | 2015-01-08 | 扶桑薬品工業株式会社 | 酸化ストレス抑制型透析用剤およびその調製方法 |
JP6189562B1 (ja) | 2017-03-17 | 2017-08-30 | 株式会社熊本アイディーエム | 治療装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019142859A (ja) | 2019-08-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI583378B (zh) | 透析酸前驅物組成物、其用途、以及提供透析酸濃縮物溶液之方法 | |
TWI389681B (zh) | And a manufacturing apparatus for producing a suitable liquid for a living body containing hydrogen | |
TWI500424B (zh) | 透析前驅物組成物 | |
EP2720678B1 (en) | Dialysis precursor composition | |
JP4984033B2 (ja) | 重炭酸塩含有薬液を充填した容器収納体 | |
EP2720700B1 (en) | Dialysis precursor composition | |
JP2015003871A (ja) | 酸化ストレス抑制型透析用剤およびその調製方法 | |
JP7246203B2 (ja) | 血液ろ過用補充液 | |
CN101366710A (zh) | 用于血液过滤术或血液透析术之医药组合物 | |
JP3832458B2 (ja) | ろ過型人工腎臓用補液収容複室容器 | |
RU2568846C2 (ru) | Кислотный диализный концентрат | |
US10172881B2 (en) | Dialysis precursor composition | |
JP3904030B2 (ja) | 補液収容複室容器製剤 | |
CA2855890C (en) | Dialysis precursor composition | |
JPH08164186A (ja) | 還元糖と重炭酸を含有する一剤化された液剤の滅菌法 | |
JP2001192069A (ja) | 重炭酸塩含有薬液充填容器包装体 | |
JP6681408B2 (ja) | クエン酸塩およびグルコースを含有する酸性透析液濃縮物のためのパッケージ | |
ES2831258T3 (es) | Composición precursora de diálisis |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221101 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20221223 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230208 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230307 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230314 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7246203 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |