JP2018028021A - スチレン系樹脂粒子とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スチレン系樹脂粒子中の残存モノマー量を300ppm以下で、且つ、スチレン系樹脂粒子の分子量低下を抑制した押出発泡ボード用のスチレン系樹脂粒子とその製造方法を提供することにある。【解決手段】少なくとも1種の特定のカーボネート系過酸化物を重合開始剤として用いたスチレン系樹脂粒子であって、カーボネート系過酸化物の残渣量が、スチレン系単量体100gに対して、1.0×10-6mol以下で、且つ、残存スチレン系単量体量が300ppm以下であることを特徴とするスチレン系樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明はスチレン系樹脂粒子とその製造方法関し、特に、押出発泡ボード用に使用されるスチレン系樹脂粒子に関するものである。
押出発泡ボードは、塊状重合で製造したスチレン系樹脂を押出機で溶融混連練させ、次いで、ブタン等の炭化水素系発泡剤を押出機内に圧入し、溶融したスチレン系樹脂と混合後、ダイスからの圧力解放によって発泡され、製造されている。
塊状重合で製造したスチレン系樹脂中には、残存スチレン量を極めて少ない為、最終製品中にも揮発性有機物が少なく、シックハウス問題等から住宅関連資材等に使用される発泡成形品に、多く使用されている。
又、水系懸濁重合で製造するスチレン系樹脂粒子も、押出発泡ボード用として用いられているが、水系懸濁重合で製造するスチレン系樹脂粒子は、主原料であるスチレン単量体中に、フェニルアセチレンが多いと、スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量が多くなり、最終製品である押出発泡ボードには、残存スチレン量が多くなってしまう。
この残存スチレン量を低減させるために、高価な低濃度のフェニルアセチレンを含有するスチレン単量体を原料として、発泡性スチレン系樹脂粒子を重合し、押出発泡ボードの原料に使用している。
水系懸濁重合でスチレン系樹脂粒子を製造するに際して、残存スチレン量を低減させる方法は、種々開示されている。
特許文献1では、水系懸濁重合で、カーボネート型構造開始剤を用い、発泡性スチレン系樹脂粒子を提案しているが、カーボネート型構造の開始剤残渣がスチレン系樹脂粒子中に多く存在している場合、押出機内での分子量低下が大きく、押出発泡ボードの強度が脆く、発泡ボードの色調が黄味を呈する。
特許文献2では、カーボネート型構造開始剤を用い、重合途中に反応温度を昇温する2段階の重合温度で、発泡性スチレン系樹脂粒子を提案しているが、昇温時点のスチレン系樹脂の重合転化率が低い場合、残存スチレン量が多くなる。
特許文献3では、スチレン系樹脂の重合転化率が60%以上で、反応温度を120℃以上に昇温した2段階温度で、スチレン系樹脂粒子を製造する方法が提案されているが、重合転化率60%程度では、十分に残存スチレンが低くならず、反応時間が長くなる。
特許文献4、5、6では、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のケタール構造の重合開始剤を使用することで、残存スチレン量を低下することが記載されているが、重合開始剤量が0.1〜0.2重量部と少なく、50ppm以上のフェニルアセチレンを含有するスチレン単量体を使用すると、最終製品中の残存スチレン量は、1000ppmを超えるものになる。
特開2015−140370号公報 特開2001−151805号公報 特開平7−278218号公報 特開平7−330943号公報 特開2000−143857号公報 特開2006−206830号公報
スチレン系樹脂粒子中の残存モノマー量を300ppm以下で、且つ、スチレン系樹脂粒子の分子量低下を抑制したスチレン系樹脂粒子とその製造方法を提供することにある。特に、押出機中での分子量低下を抑制した押出発泡ボード用のスチレン系樹脂粒子とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の過酸化物を重合開始剤として用い、その過酸化物の残渣量が特定値より以下であるスチレン系樹脂粒子が、スチレン系樹脂粒子の分子量低下を抑制し、残存スチレン系単量体量を効率良く低減することができることを見出し本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]少なくとも1種の一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を重合開始剤として用いたスチレン系樹脂粒子であって、カーボネート系過酸化物の残渣量が、スチレン系単量体100gに対して、1.0×10-6mol以下で、且つ、残存スチレン系単量体量が300ppm以下であることを特徴とするスチレン系樹脂粒子。
Figure 2018028021
(式中のR1は、t−ブチル基、t−アミル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。)。
[2]一般式(1)のR1構造がt−アミル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基であることを特徴とする[1]に記載のスチレン系樹脂粒子。
[3]フェニルアセチレン量が50ppm以上含有しているスチレン系単量体を用いて重合することを特徴とする[1]または[2]に記載のスチレン系樹脂粒子。
[4]スチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Aと、175℃で10分熱処理したスチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Bの比率B/Aが、0.80〜1.00であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂粒子。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂粒子の製造方法。
[6]スチレン系単量体100重量部に対して、一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を0.05重量部以上0.35重量部以下を重合開始剤として、反応温度90℃〜100℃で重合させてなり、スチレン系単量体の転化率が80%以上97%以下に達した時点で、反応温度120℃〜135℃に昇温して、後重合して得られることを特徴とする[5]に記載のスチレン系樹脂粒子の製造方法。
[7][1]〜[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂粒子を押出発泡させたことを特徴とする押出発泡ボード。
本発明により、スチレン系樹脂粒子中の残存モノマー量を300ppm以下で、且つ、スチレン系樹脂粒子の分子量低下を抑制したスチレン系樹脂粒子が得られる。特に、押出機中での分子量低下を抑制した押出発泡ボード用のスチレン系樹脂粒子が得られる。
以下,本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
本発明のスチレン系樹脂粒子は、少なくとも1種の一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を重合開始剤として用いたスチレン系樹脂粒子であって、カーボネート系過酸化物の残渣量が、スチレン系単量体100gに対して、1.0×10-6mol以下で、且つ、残存スチレン系単量体量が300ppm以下であることを特徴とするスチレン系樹脂粒子である。
Figure 2018028021
(式中のR1は、t−ブチル基、t−アミル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。)。
本発明で使用する過酸化物は、一般式(1)で示されるカーボネート系過酸化物を重合開始剤として用い、R1は、t−ブチル基、t−アミル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基構造をもつものであり、具体的には、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等があげられる。
特に、一般式(1)の化合物の中で、R1構造がt−アミル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基であり、10時間半減期温度が96℃以上110℃以下である化合物が、最終製品であるスチレン系樹脂粒子の残存スチレン量を低減することができるため好ましい。例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度100℃)、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(99℃)などが挙げられる。 更に、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが、残存スチレン量を低減する効果が大きく好ましい。
本発明で示されるスチレン系樹脂粒子中のカーボネート系過酸化物の残渣量は、過酸化物の半減期を用い、過酸化物の仕込量、反応温度、反応時間から試算した値である。
過酸化物の半減期とは、元の過酸化物が分解して、活性酸素量が1/2になるまでに要する時間を示し、過酸化物を供給している各メーカーが、温度とその半減期時間を提示している。横軸に温度、縦軸(自然対数)にln(半減期)の関係をプロットして得られた直線から、実際の反応温度T℃における過酸化物の半減期を得ることができる。
反応温度T℃の反応中の過酸化物の消費量は、反応温度T℃の半減期と反応時間から、式(1)に示す、「((温度T℃の反応時間(分))/(温度T℃の半減期(分))」乗で、試算することができる。
Figure 2018028021
本発明の過酸化物の残渣量は、過酸化物の仕込量から、式(1)で得られた消費量を差し引くことによって得られる。
例えば、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(分子量260.4g/mol)は、1分の半減期温度は155℃、60分の半減期温度は117℃、600分の半減期温度は99℃であることから、温度とln(半減期)の関係のプロットから、反応温度98℃での半減期は、620分、反応温度125℃での半減期は、29分と読み取れる。
ここで、スチレン単量体100gに対して、当該過酸化物を0.1g(3.84×10-4mol)を仕込み、重合温度98℃で300分間反応させ、更に、130℃で240分反応させるような2段階昇温した場合について、最終製品に残存する過酸化物の残渣量の試算例を示す。昇温降温時にも過酸化物は消費されるが、消費量は少ないので無視する。
当該過酸化物の温度98℃の半減期は620分であり、300分反応した場合、この反応中に消費される過酸化物量は、式(1)から、1.08×10-4(mol)であり、残存する過酸化物量は、元の過酸化物量から、消費した過酸化物量を差し引き、2.75×10-4molとなる。
次いで、過酸化物量2.75×10-4molを基準として、反応温度125℃、240分で反応させた場合、温度125℃の半減期は29分であり、過酸化物の消費量を、前記と同様に試算し、基準とした過酸化物量から、消費量を差し引き、当該過酸化物の残渣量は、0.95×10-6molと試算する。
カーボネート系過酸化物の残渣量が、スチレン系単量体100gに対して、1.0×10-6molを超えると、熱劣化が大きく、特に、押出発泡ボードの作成時には押出発泡時の押出機内での熱劣化が大きく、押出発泡ボードの色調が茶褐色を呈し、強度が脆くなる。残渣量は、過酸化物の仕込量を多くすると、増加するが、重合工程の重合時間の延長、後処理工程の温度アップ、後処理時間の延長等によって、少なくすることができ、残渣量を、1.0×10-6mol以下に調整することができる。
本発明に用いるスチレン系単量体としては、スチレン、及び、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体が挙げられ、さらにスチレンと共重合が可能な成分、例えばメチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体も包含する。これら共重合が可能な成分を1種又は2種以上使用し共重合に供しても良い。
スチレン系単量体中に含有するフェニルアセチレンは、スチレン単量体の製造過程で副生産物として生成し、重合阻害物質として働き、フェニルアセチレン量が増加すると、最終製品のスチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量が高くなる。一方、フェニルアセチレン量が50ppm未満では、最終製品のスチレン系樹脂粒子の残存スチレン量が少なくなるが、本発明で使用する重合開始剤、製造方法を用いれば、フェニルアセチレンが50ppm以上含有するスチレン系単量体を用いても、残存スチレン量を、300ppm以下に抑制することができる。
本発明のスチレン系樹脂粒子は、スチレン系単量体100重量部に対して、一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を0.05重量部以上0.35重量部以下を重合開始剤として、反応温度90℃〜100℃で重合させてなり、スチレン系単量体の転化率が80%以上97%以下に達した時点で、反応温度120℃〜135℃に昇温して、後重合することにより、好適に得ることができる。
本発明のスチレン系樹脂粒子は、(1)反応温度90〜100℃の重合工程、(2)スチレン系単量体の重合転化率が80%〜97%に到達した時点で、反応温度を120℃〜135℃に昇温して、残存スチレンを低減させる後処理工程、(3)冷却・乾燥工程を経て、製造される。以下、製造例を示す。
(1)重合工程
水性懸濁媒体中に、スチレン系単量体100重量部に対して、一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を0.05重量部以上0.35重量部以下を重合開始剤として、反応温度90℃〜100℃で重合させてなり、スチレン系単量体の重合転化率が80%以上97%以下に達した時点で重合工程を完了させる。
スチレン系樹脂粒子の水系懸濁重合の分散剤としては、一般的に用いられている分散剤、例えば、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩が挙げられる。これら、難水溶性無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダなどのアニオン性界面活性剤を併用すると、分散安定性が増すので効果的である。また、難溶性無機塩は得られる押出発泡ボード用発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径を調節するために、重合中に1回以上追加することもある。
一般式(1)に示す過酸化物の使用量は、求めるスチレン系樹脂粒子の分子量により異なるが、スチレン系単量体100重量部に対して、0.05重量部以上0.35重量部以下であり、好ましくは0.1重量部以上0.3重量部以下である。一般式(1)に示す化合物の使用量が、当該範囲内であると、適度な分子量の樹脂が得られ、かつ、残存スチレン量を低減させることが出来る。 0.05重量部未満でも残スチレン量の低減効果を発揮するが、長い反応時間を要する場合がある。また、上限は0.35重量部であるが、残存スチレン系単量体量を低減させる効果は変わらないが、過酸化物の残渣が多くなり、押出発泡中に樹脂の分子量が低下する傾向がある。
本発明で使用する重合開始剤は、一般的には、主に樹脂を形成するための開始剤と、残存スチレン量を低下させるための開始剤を併用させることが通常行われている。そして、これらの開始剤の選定は重合温度、重合時間、および必要とする樹脂の分子量を勘案して適宜決められる。よって、本発明においても、一般式(1)に示される重合開始剤の他に、一般に用いられる他の重合開始剤を1種或いは2種以上併用することにより、重合温度、重合時間、樹脂の分子量等の選択幅をより広げた上で、残存スチレン量を低減した良好な製品を得ることができるので、併用することは極めて好ましい実施態様である。ここに、一般に用いられる他の重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、イソプロピル−t−ブチルパーオキシカーボネート、過安息香酸ブチルのような有機化酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが例示される。
重合工程における反応温度は、求めるスチレン系樹脂粒子の分子量により異なるが、90〜100℃である。反応温度90℃未満の場合、反応時間が長くなり、100℃を超えると、反応時間は短くなるが、反応中の内容物を重合機内から払い出す際に蒸発等が起こり、正確な重合転化率を測定することができない。
重合転化率が、80%〜97%に到達した時点で、重合工程を終了とする。
(2)後処理工程
スチレン系単量体の重合転化率が、80%〜97%に到達した時点で、反応温度を120℃以上135℃以下に上昇させ、一定時間の後処理重合を実施し、重合反応を促進させ、残存スチレンを消費させる。
重合転化率が80%未満で反応温度を昇温すると、樹脂粒子がアグロメすることがあり、好ましくなく、重合転化率97%を超えると、残存スチレン量が少なくなるものの、反応時間が長くなる。
後処理工程の温度が120℃未満の場合、一般式(1)で示す過酸化物の残渣量が多くなる傾向があり、押出機の熱劣化により、スチレン系樹脂粒子の分子量が大きくなってしまう。一方、135℃を超えた設定にすると、過酸化物の残渣量は、大きく低下するが、重合温度を上昇させることに時間を要してしまい、生産性に不利である。
(3)冷却・乾燥工程
後処理工程の所定時間が終了したら、内容物を冷却、乾燥工程を経て、本発明のスチレン系樹脂粒子が得られる。得られた当該樹脂粒子の残存スチレン系単量体量が300ppm以下である。下限は、実用的には0ppmになり難いので敢えて表示するなら1ppm以上である。
本発明のスチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Aと、175℃で10分熱処理したスチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Bの比率B/Aが、0.8〜1.0であることが好ましい。
押出発泡ボードは、スチレン系樹脂を押出機で溶融混連させ、次いで、ブタン等の炭化水素系発泡剤を押出機内に圧入し、溶融したスチレン系樹脂粒子と混合後、ダイスからの圧力解放によって発泡され、製造される。この場合、押出機内の樹脂温度は160℃〜190℃で、7分〜15分間押出機内で滞留する。この滞留中に、スチレン系樹脂粒子が熱劣化で、分子量が低下した場合、押出発泡ボードの強度の低下、色調の変化が見られる。
押出機内での分子量低下の度合は、押出機に投入する前のスチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Aと、175℃で10分間オーブンで、熱処理した平均重量分子量Bとしたとき、分子量比率B/Aが、0.8〜1.0の場合、押出機内での分子量低下が抑制され、目標する押出発泡ボードの強度、外観をえることができる。しかし、分子量比率0.8未満の場合、分子量低下が大きく、目標とする品質を得ることができない。
押出発泡ボードの製造は、従来公知の方法でよく、特に限定されない。例えば、発泡性スチレン系樹脂粒子に、種々添加剤を加えた後、ヘンシェルミキサー等で混合し、これを押出機のフィーダーに連続的に供給し、押出機内で溶融混連し、ダイスから連続的に押出し、押出と同時に、ボード厚みを調整、冷却することによって得られる。
押出発泡ボードの製造で使用される種々の添加剤は、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤(滑剤)、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有されてもよい。
押出発泡ボードは、建築や土木用の断熱資材等々に、幅広く使用される。
以下に実施例、及び比較例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例、及び比較例中の樹脂の分子量、及び樹脂中の残存スチレン量、スチレン単量体中のフェニルアセチレン量は以下の方法で測定した。なお、「部」「%」は特に断りのない限り重量基準である。
(スチレン単量体中のフェニルアセチレン測定法)
フェニルアセチレン量0ppmのスチレンを用いて、フェニルアセチレン量とシクロペンタノール量の比から導いたフェニルアセチレン量の検量線を作成した。
スチレンに、内部標準シクロペンタノールを溶解し、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−2014(キャピラリーカラム:GLサイエンス製Rtx−1、カラム温度条件:50→70℃(3℃/min)へ昇温し、70℃で30分保持後。70→170℃(10℃/min)へ昇温、キャリアガス:ヘリウム)を用いて、スチレン中のフェニルアセチレン量(ppm)を定量した。
(分子量測定)
スチレン系樹脂粒子をテトラヒドロフランに溶解し、GPC(東ソー(株)製HLC−8020、カラム:TSKgel Super HZM−H、カラム温度:40℃、流速:0.35ml/1min.)にて測定した。
(残存スチレン測定)
スチレン系樹脂粒子を塩化メチレン(内部標準シクロペンタノール)に溶解し、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−2014(キャピラリーカラム:GLサイエンス製Rtx−1、カラム温度条件:50→80℃(3℃/min)後、80→180℃昇温(10℃/min)、キャリアガス:ヘリウム)を用いて、スチレン系樹脂粒子中に含まれる残存スチレン量(ppm)を定量した。
(スチレン系単量体の重合転化率の測定)
重合容器からスチレン系樹脂粒子を採取し、ろ紙で、樹脂粒子表面の水分を拭き取った後、上記残存スチレン測定方法に従い、ガスクロマトグラフィーにて測定した。重合転化率は、残存スチレン量から算出した。
(スチレン系樹脂粒子の熱処理前後の分子量比率>
スチレン系樹脂粒子10gを、175℃のオーブンに、10分間熱処理し、平均重量分子量を測定した。熱処理前の平均重量分子量Aを、熱処理後の平均重量分子量Bとし、その比率B/Aを求めた。
(実施例1)
予め、スチレン中のフェニルアセチレン量を測定し、100ppmになるように、フェニルアセチレン純品を添加した。
撹拌機付きオートクレーブに水96重量部、第3リン酸カルシウム0.14重量部、α−オレインスルフォン酸ソーダ0.003重量部、過酸化ベンゾイル0.23部、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.1重量部を仕込んだ後、フェニルアセチレン量を100ppmに調整したスチレン100重量部を仕込み、昇温し、98℃で4時間重合を行った。このときの重合転化率は、92%であった。次いで、125℃に昇温し、4時間の後処理を実施後、40℃まで冷却し、スチレン系樹脂粒子を取り出し乾燥し、スチレン系樹脂粒子を得た。
最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.95×10-6molである。
得られたスチレン系樹脂粒子の平均重量分子量は31万、残存スチレン量は、200ppmであった。175℃のオーブンで10分間熱処理したスチレン系樹脂粒子の平均重量分子量は、26.4万で、分子量比B/Aは0.85である。
表1に、開始剤処方、重合条件、過酸化物の残渣量、分子量の測定結果をまとめた。
(実施例2)
後処理温度を130℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.01×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(実施例3)
フェニルアセチレン量が0ppmのスチレンを用いた以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.01×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(実施例4)
過酸化ベンゾイル0.2部、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.2重量部に変更し、後処理温度を130℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.03×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(実施例5)
過酸化ベンゾイル0.18部、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.3重量部に変更し、後処理温度を130℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.04×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(実施例6)
過酸化ベンゾイル0.1部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.23重量部に変更し、後処理温度を130℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.02×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(実施例7)
フェニルアセチレン量が200ppm含有のスチレンを用いた以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.95×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(比較例1)
後処理温度を120℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、16.0×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(比較例2)
フェニルアセチレン量がNDのスチレンを用い、後処理温度120℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、16.0×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(比較例3)
後処理温度を125℃に変更した以外は、実施例4と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、1.9×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(比較例4)
後処理温度を120℃に変更した以外は、実施例5と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、49×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(比較例5)
後処理温度を125℃に変更した以外は、実施例5と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、2.9×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
(比較例6)
過酸化ベンゾイル0.15部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.4重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、3.8×10-6molである。その評価結果を表1に示す
(比較例7)
過酸化ベンゾイル0.26部、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.01重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、0.95×10-6molである。その評価結果を表1に示す
(比較例8)
過酸化ベンゾイル0.23重量部、1,1-ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.05重量部、後処理温度120℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂粒子を得た。最終のカーボネート系過酸化物の残渣量は、20×10-6molである。その評価結果を表1に示す。
Figure 2018028021

Claims (7)

  1. 少なくとも1種の一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を重合開始剤として用いたスチレン系樹脂粒子であって、カーボネート系過酸化物の残渣量が、スチレン系単量体100gに対して、1.0×10-6mol以下で、且つ、残存スチレン系単量体量が300ppm以下であることを特徴とするスチレン系樹脂粒子。
    Figure 2018028021
    (式中のR1は、t−ブチル基、t−アミル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基を表す。)
  2. 一般式(1)のR1構造がt−アミル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系樹脂粒子。
  3. フェニルアセチレン量が50ppm以上含有しているスチレン系単量体を用いて重合することを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂粒子。
  4. スチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Aと、175℃で10分熱処理したスチレン系樹脂粒子の平均重量分子量Bの比率B/Aが、0.80〜1.00であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系樹脂粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  6. スチレン系単量体100重量部に対して、一般式(1)に示されるカーボネート系過酸化物を0.05重量部以上0.35重量部以下を重合開始剤として、反応温度90℃〜100℃で重合させてなり、スチレン系単量体の転化率が80%以上97%以下に達した時点で、反応温度120℃〜135℃に昇温して、後重合して得られることを特徴とする請求項5に記載のスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のスチレン系樹脂粒子を押出発泡させたことを特徴とする押出発泡ボード。
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