以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係る自動運転システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、自動運転システム100は、自動車等の車両Vに搭載される。自動運転システム100は、外部センサ1、内部センサ2、GPS[Global Positioning System]受信部3、地図データベース4、ナビゲーションシステム5、アクチュエータ6、HMI[Human Machine Interface]7、室内灯8、自動運転ECU[ElectronicControl Unit]10、及び、照明制御ECU20を備えている。
外部センサ1は、車両Vの周辺状況を検出する検出機器である。外部センサ1は、カメラ、レーダー[Radar]、及びライダー[LIDAR:LaserImaging Detection and Ranging]のうち少なくとも一つを含む。カメラは、車両Vの周辺状況を撮像する撮像機器である。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。レーダーは、電波(例えばミリ波)を利用して車両Vの周囲の周辺状況を検出する。ライダーは、光を利用して車両Vの周囲の周辺状況を検出する。
カメラ、ライダー及びレーダーは、必ずしも重複して備える必要はない。外部センサ1は、検出した周辺状況に関する情報を、自動運転ECU10へ送信する。周辺状況は、車両Vの周囲の他車両状況(例えば周囲の他車両の位置、速度等)、道路の形状(例えば走行車線及び隣接車線の曲率等)、及び、車両の周辺の障害物の状況(例えば障害物の位置、移動障害物の移動方向、速度等)の少なくとも何れかを含む。
内部センサ2は、車両Vの走行状態を検出する検出機器である。内部センサ2は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサのうち少なくとも一つを含む。車速センサは、車両Vの速度を検出する検出器である。車速センサとしては、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。加速度センサは、車両Vの加速度を検出する検出器である。加速度センサは、車両Vの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両Vの横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。ヨーレートセンサは、車両Vの重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、ジャイロセンサを用いることができる。
内部センサ2は、ステアリングセンサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ及びウィンカセンサのうち少なくとも一つを含む。ステアリングセンサは、運転者又は自動運転システム100によるステアリング操作を検出する。アクセルセンサは、運転者又は自動運転システム100によるアクセル操作を検出する。ブレーキセンサは、運転者又は自動運転システム100によるブレーキ操作を検出する。ウィンカセンサは、運転者又は自動運転システム100によるウィンカ(方向指示灯)の操作を検出する。
ステアリングセンサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ及びウィンカセンサのそれぞれとしては、特に限定されず、公知の種々のセンサを用いることができる。ステアリングセンサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ及びウィンカセンサは、必ずしも重複して備える必要はない。内部センサ2は、検出した車両Vの走行状態に関する情報を、自動運転ECU10へ送信する。走行状態は、車両Vの速度、加速度、ヨーレート、操舵角、アクセル開度、及び移動方向の少なくとも何れかを含む。
GPS受信部3は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両Vの位置(車両Vの緯度及び経度)を測定する。GPS受信部3は、測定した車両Vの位置に関する位置情報を自動運転ECU10及びナビゲーションシステム5へ送信する。なお、GPS受信部3に代えて、車両Vの緯度及び経度が特定できる他の手段を用いてもよい。
地図データベース4は、地図情報を備えたデータベースである。地図データベースは、車両Vに搭載されたHDD[Hard disk drive]内に形成されている。地図情報には、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、交差点及び分岐点の位置情報が含まれる。なお、地図データベース4は、車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
ナビゲーションシステム5は、車両Vの運転者によって設定された目的地まで、車両Vの運転者に対して案内を行う装置である。ナビゲーションシステム5は、GPS受信部3の測定した車両Vの位置情報と地図データベース4の地図情報とに基づいて、車両Vの走行するルートを算出する。ルートは、複数車線の区間において好適な車線を特定したものであってもよい。ナビゲーションシステム5は、車両Vの現在地から目的地に至るまでの目標ルートを演算する。ナビゲーションシステム5は、車両Vの目標ルートの情報を自動運転ECU10へ送信する。なお、ナビゲーションシステム5は、車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。
アクチュエータ6は、車両Vの走行制御を実行する装置である。アクチュエータ6は、エンジンアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。エンジンアクチュエータは、自動運転ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両Vの駆動力を制御する。なお、車両Vがハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに自動運転ECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。車両Vが電気自動車である場合には、動力源としてのモータに自動運転ECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ6を構成する。
ブレーキアクチュエータは、自動運転ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、車両Vの車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、自動運転ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、車両Vの操舵トルクを制御する。
HMI7は、車両Vの乗員(運転者を含む)と自動運転システム100との間で情報の出力及び入力を行うインターフェイスである。HMI7は、画像情報を表示するためのディスプレイパネル、音声出力のためのスピーカ、及び乗員が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネル等を備えている。HMI7では、乗員により各種機能の操作入力が行われる。HMI7に対する操作入力は、車両Vの運転を自動運転と手動運転との間で切り替える操作入力、後述する室内灯8の照明制御のON及びOFFに関する操作入力、並びに、ナビゲーションシステム5の目的地を設定する操作入力を含む。HMI7は、無線で接続された携帯情報端末を利用して、乗員に対する情報の出力を行ってもよく、携帯情報端末を利用して乗員による入力操作を受け付けてもよい。
室内灯8は、図2に示すように、車両Vの車室9内を照らす車両用照明機器である。室内灯8は、車室9内の天井に設けられた天井灯を含む。室内灯8は、インサイドミラーの周辺に設けられた前席室内灯を含む。室内灯8は、後部座席のドア上部の天井に設けられた後席室内灯を含む。室内灯8は、座席の足元に設けられた足元灯を含む。室内灯8としては、特に限定されず、種々の照明機器を用いることができる。室内灯8は、車室9内に1つ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
室内灯8としては、例えばLEDが用いられている。室内灯8は、その照度を調整可能に構成されている。例えば、室内灯8は、調光機能を有し、多段階又は無段階で照度を調整可能であってもよい。1つの室内灯8が複数のLEDにより構成されている場合、点灯するLED数を変えることで照度を調整可能であってもよい。室内灯8は、その遮光の程度を調整することで照度を調整可能であってもよい。室内灯8は、その周辺に配置されたスイッチに対する操作入力、HMI7に対する操作入力、又は音声入力等によって、消灯及び点灯可能である。
図1に戻り、自動運転ECU10及び照明制御ECU20は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。自動運転ECU10及び照明制御ECU20は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。自動運転ECU10及び照明制御ECU20は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
自動運転ECU10は、運転制御部12及び切替タイミング設定部14を有している。運転制御部12は、車両Vの周辺状況、走行状態、位置、地図データ及び目標ルートの少なくとも何れかに基づいて、車両Vを自動運転させる自動運転制御を実行する。一例として、運転制御部12は、次のようにして自動運転制御を実行する。
運転制御部12は、目標ルート、車両Vの位置及び周辺状況に基づいて、車両Vの進路を生成する。進路は、目標ルートにおいて車両Vが進む軌跡である。目標ルート上において車両Vが安全、法令順守、走行効率等の基準に照らして好適に走行するように進路を生成する。なお、目標ルートには、目的地の設定が運転者から明示的に行われていない際に、周辺状況又は地図情報に基づき自動的に生成される走行ルートも含まれる。
運転制御部12は、周辺状況と地図情報とに少なくとも基づいて、予め設定された目標ルートに沿った走行計画を生成する。運転制御部12は、生成する走行計画を、車両Vの進路を車両Vに固定された座標系での目標位置pと各目標点での速度vとの二つの要素からなる組、すなわち配位座標(p、v)を複数持つものとして出力してもよい。それぞれの目標位置pは、少なくとも車両Vに固定された座標系でのx座標、y座標の位置もしくはそれと等価な情報を有する。なお、走行計画は、車両Vの挙動を記すものであれば特に限定されるものではない。走行計画は、速度vの代わりに目標時刻tを用いてもよいし、目標時刻tとその時点での車両Vの方位とを付加したものでもよい。
走行計画は、現在時刻から微小時間経過後までにおいての走行制御の目標とすべき車両Vの位置、速度及び加速度等の運動プロファイルを含む。運動プロファイルは、壁や周辺車とのマージンを確保しつつ、乗り心地を考慮して運動限界の範囲で算出される。走行計画は、概ね現在時刻から数秒先の将来のデータで充分であるが、交差点の右折、車両Vの追い越し等の状況によっては数十秒のデータが必要となるので、走行計画の配位座標の数は可変、且つ配位座標間の距離も可変としてもよい。さらに、配位座標をつなぐ曲線をスプライン関数等で近似し、当該曲線のパラメータを走行計画としてもよい。走行計画の生成としては、車両Vの挙動を記すことができるものであれば、任意の公知手法を用いることができる。走行計画は、目標ルートに沿った進路を車両Vが走行する際における、車両Vの車速、加減速度及び操舵トルク等の推移を示すデータとしてもよい。走行計画は、車両Vの速度パターン、加減速度パターン及び操舵パターンを含んでいてもよい。
速度パターンとは、進路上に所定間隔で設定された目標制御位置に対して、目標制御位置ごとに時間に関連付けられて設定された目標車速からなるデータである。加減速度パターンとは、進路上に所定間隔で設定された目標制御位置に対して、目標制御位置ごとに時間に関連付けられて設定された目標加減速度からなるデータである。操舵パターンとは、進路上に所定間隔で設定された目標制御位置に対して、目標制御位置ごとに時間に関連付けられて設定された目標操舵トルクからなるデータである。
運転制御部12は、生成した走行計画に基づいて車両Vの走行を自動で制御する。運転制御部12は、走行計画に応じた制御信号をアクチュエータ6に出力する。これにより、運転制御部12は、走行計画に沿って車両Vを自動運転させる自動運転制御を実行する。
なお、運転制御部12の自動運転制御は、上記の一例に限定されない。運転制御部12は、路車間通信又は車車間通信を行う車載通信ユニットを車両Vが備えている場合、この車載通信ユニットを介した遠隔操作により車両Vを自動運転させる自動運転制御を実行してもよい。運転制御部12は、車載通信ユニットを介して取得した先行他車両に関する情報に基づいて、当該先行他車両に追従するように車両Vを自動運転させる走行制御を実行してもよい。これらの自動運転制御では、車両Vの周辺状況、走行状態、位置、地図データ及び目標ルートの少なくとも何れかを利用してもよい。
運転制御部12は、実行中の自動運転制御を終了させて、車両Vの運転を自動運転から手動運転へ切替え可能である。運転制御部12には、切替タイミング設定部14から切替タイミングが入力される。運転制御部12は、現時点が当該切替タイミングに達した場合、実行中の自動運転制御を終了させて、車両Vの運転を自動運転から手動運転へ切替える。運転制御部12は、切替えタイミングが入力された場合、運転を自動運転から手動運転へ切り替える旨をHMI7から出力させる。
切替タイミング設定部14は、自動運転制御の実行中、運転制御部12で車両Vの運転を自動運転から手動運転へ切り替えるタイミングである切替タイミングを設定する。切替タイミング設定部14は、設定した切替タイミングを運転制御部12及び照明制御ECU20へ出力する。例えば切替タイミング設定部14は、次のように切替タイミングを設定する。
切替タイミング設定部14は、車両Vが自動運転制御で自動運転中、車両Vの周辺状況、走行状態、位置及び地図データの少なくとも何れかに基づいて、自動運転が許可されていないエリアへ車両Vが進入するタイミングを、切替タイミングとして予測して設定する。この場合、切替タイミングの予測は、運転制御部12で生成した走行計画に基づき行ってもよい。
切替タイミング設定部14は、自動運転が許可された特定道路(高速道路等)を車両Vが自動運転制御で自動運転中、ナビゲーションシステム5又は車載通信ユニットの車載通信情報によって目標ルートを取得できるとき、この目標ルートに基づいて、自動運転が許可されていない一般道路へ車両Vが退出予定であるか否かを判定する。切替タイミング設定部14は、一般道路へ車両Vが退出予定である場合、当該退出時のタイミングを、切替タイミングとして予測して設定する。この場合、切替タイミングの予測は、車両Vの周辺状況、走行状態、位置及び地図データの少なくとも何れかに基づき行ってもよいし、運転制御部12で生成した走行計画に基づき行ってもよい。
切替タイミング設定部14は、自動運転が許可された特定道路を車両Vが自動運転制御で自動運転中、目標ルートを取得できないとき、特定道路の退出口の近くで車両Vが車線変更し且つ車両Vが減速した場合に、当該退出口からの退出時のタイミングを、切替タイミングとして予測して設定する。この場合、切替タイミングの予測は、車両Vの周辺状況、走行状態、位置及び地図データの少なくとも何れかに基づき行ってもよいし、運転制御部12で生成した走行計画に基づき行ってもよい。
切替タイミング設定部14は、車両Vが自動運転制御で自動運転中、車両Vの運転を自動運転から手動運転とで切り替える操作入力(自動運転のキャンセルスイッチのON操作)がHMI7においてなされたとき、この操作入力の時点から予め設定された所定待機時間後のタイミングを、切替タイミングとして設定する。所定待機時間は、予め設定されて自動運転ECU10に記憶されている時間である。所定待機時間は、固定値であってもよいし、例えば車両Vの走行状態等に応じた可変値であってもよい。
切替タイミング設定部14は、先行他車両に追従するように車両Vを走行させる自動運転制御で自動運転中には、自動運転が不能となるまで先行他車両が離れる(先行他車両をロストする)ことが予測できたとき、自動運転が不能となるタイミングの直前を、切替タイミングとして設定する。自動運転が不能となるタイミングは、車両Vの周辺状況、走行状態、位置、地図データ、及び、車載通信ユニットの車載通信情報の少なくとも何れかに基づき予測できる。
切替タイミング設定部14は、車載通信ユニットを介した遠隔操作で車両Vを自動運転中には、遠隔操作が不能なエリアに車両Vが進入することが予測できたとき、遠隔操作が不能なエリアに車両Vが進入するタイミングの直前を、切替タイミングとして設定する。遠隔操作が不能なエリアに車両Vが進入するタイミングは、車両Vの周辺状況、走行状態、位置、地図データ、及び、車載通信ユニットの車載通信情報の少なくとも何れかに基づき予測できる。切替タイミング設定部14は、自動運転システム100の異常を検知した場合、異常の検知時点の直後のタイミングを切替タイミングとして設定する。
照明制御ECU20は、室内灯制御部22及び減光パターン生成部24を有している。室内灯制御部22は、室内灯8を制御する。室内灯制御部22は、自動運転制御の実行中において室内灯8が点灯状態の場合、運転制御部12で車両の運転が自動運転から手動運転へ切り替えられる前に減光制御を実行する。具体的には、室内灯制御部22は、自動運転制御の実行中において室内灯8が点灯状態の場合、切替タイミング設定部14で設定した切替タイミングより前に減光制御を実行する。より具体的には、室内灯制御部22は、自動運転制御の実行中において室内灯8が点灯状態の場合、切替タイミング設定部14で設定した切替タイミングまでの残時間が予め設定された一定時間以下のとき、減光制御を実行する。
自動運転制御が実行中か否かについては、例えば、自動運転フラグが立っているか否か、又は、自動運転制御の実行中を示す自動運転実行信号が自動運転ECU10から入力されているか等で判断してもよい。自動運転フラグは、運転制御部12により自動運転制御の実行中に成立される。室内灯8が点灯状態か否かについては、例えば、室内灯8の点灯フラグが立っているか否か、室内灯8へ供給する電力、又は、室内灯8の点灯状態を示す点灯状態信号が室内灯8から入力されているか等により判断してもよい。点灯フラグは、室内灯8により当該室内灯8が点灯状態のときに成立される。
点灯状態は、室内灯8が点灯しており、車室内を照らしている状態である。点灯状態は、室内灯8の照度が0よりも大きい状態である。切替タイミングは、切替タイミング設定部14から入力されて取得される。切替タイミングまでの残時間は、現時点と切替タイミングとの間の時間であり、切替タイミングに達するまでに残された時間である。一定時間は、予め設定されて照明制御ECU20に記憶されている時間である。一定時間は、固定値であってもよいし、例えば車両Vの走行状態等に応じた可変値であってもよい。
減光制御は、室内灯8の照度(明るさ)を低下させる制御である。減光制御は、減光パターン生成部24で生成した減光パターンに応じて照度が低下するように、室内灯8を調光する。減光制御は、室内灯8の照度を0、すなわち、室内灯8を消灯する制御も含む。室内灯制御部22により室内灯8を制御する際の具体的な手法又は方式は、特に限定されず、室内灯8の照度を低下できれば種々の公知手法又は公知方式であってもよい。
室内灯制御部22は、自動運転制御の実行中において室内灯8が点灯状態の場合、切替タイミング設定部14で設定した切替タイミングまでの残時間が、予め設定された僅少時間以下のとき、室内灯8を消灯させる。僅少時間は、予め設定されて照明制御ECU20に記憶されている時間である。僅少時間は、上記一定時間よりも短い。僅少時間は、固定値であってもよいし、例えば車両Vの走行状態等に応じた可変値であってもよい。なお、室内灯制御部22は、切替タイミングまでの残時間が僅少時間以下のときに室内灯8を消灯させたが、室内灯8を薄暗く点灯を残す状態にしてもよい。
減光パターン生成部24は、室内灯制御部22の減光制御で用いる減光パターンを生成する。減光パターンは、室内灯8の照度を低下させる際の当該照度低下に係るパターンである。減光パターンは、室内灯8の減光のさせ方である。減光パターンは、時間の経過とともに、予め定めた一定比率又は変動する比率で照度を低下させるパターンであってもよい。減光パターンは、時間の経過とともに、多段階で照度を低下させるパターンであってもよい。減光パターンは、照度を緩やかに低下させた後に急に低下させるパターン、又は、その逆パターンであってもよい。減光パターンは、最終的に照度を0(消灯)するパターンであってもよい。
減光パターンは、運転者の操作入力(好み)に応じたパターンであってもよい。減光パターンの当該操作入力は、HMI7を介して入力できる。減光パターンは、運転者に応じたパターンであってもよい。この場合、例えば運転者が高齢者の場合には緩やかな比率で照度を低下させる減光パターンとし、運転者が若年者の場合には急な比率で照度を低下させる減光パターンとしてもよい。運転者の情報は、HMI7に対する操作入力又は車内カメラにより取得できる。減光パターンは、周辺状況に応じたパターンであってもよい。減光パターンは、車両Vの周辺が夜間でも明るい市街地の場合、急な比率で照度を低下させるパターンとしてもよい。なお、「緩やかな比率」及び「急な比率」とは、任意の基準比率に対して、緩やか及び急であることを意味する。
次に、自動運転システム100において車両Vの自動運転時に実行される、室内灯8の照明制御に関する処理の一例について、図3のフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。
自動運転システム100では、運転制御部12で自動運転制御が実行中で、且つ、室内灯8が点灯状態の場合において、HMI7に対して運転者により照明制御がONにされているとき(照明制御の作動が要求されているとき)、照明制御ECU20において次の処理を実行する。
室内灯制御部22により、自動運転から手動運転への切替タイミングを、切替タイミング設定部14から取得する(ステップS1)。室内灯制御部22により、切替タイミングまでの残時間が一定時間以下か否かを判定する(ステップS2)。上記ステップS2でYESの場合、室内灯制御部22により、減光パターン生成部24で生成した減光パターンに基づく減光制御を実行する(ステップS3)。上記ステップS3と同時に、運転を自動運転から手動運転へ切り替える旨、及び、減光制御を実行する旨をHMI7から出力させてもよい。
室内灯制御部22により、切替タイミングまでの残時間が僅少時間以下か否かを判定する(ステップS4)。上記ステップS4でYESの場合、室内灯制御部22により室内灯8を消灯し、処理を終了する。上記ステップS2でNO又は上記ステップS4でNOの場合、上記ステップS1に戻る。なお、室内灯8が乗員により消灯状態とされた場合、又は、HMI7に対して乗員により照明制御がOFFにされた場合には、処理を終了する。
図4は、室内灯8の照度の時間変化の一例を示すグラフである。夜間において車両Vが自動運転で運転中、運転者は、室内灯8を点灯させて車室9内を明るくし、車室9内で活動する場合(例えば、高速道路を自動運転で走行中に運転者が読書をするために室内灯8を点灯している場合)がある。この場合、図4に例示されるように、車両Vの運転が自動運転とされていると共に、一定の照度L1で室内灯8が点灯状態とされている。
そして、切替タイミング設定部14により切替タイミングt3が設定されると、図示する例では、この切替タイミングt3よりも一定時間前の時刻t1のときから、一定比率で照度を低下させる減光パターンの減光制御が実行され、室内灯8の照度が時間経過とともに直線的に低下される。切替タイミングt3よりも僅少時間前の時刻t2のとき、室内灯8が消灯される。その後、切替タイミングt3に達すると、車両Vの運転が自動運転から手動運転へ移行されることとなる。
以上、自動運転システム100では、車両Vが自動運転で運転中に室内灯8が点灯状態の場合、車両Vの運転が自動運転から手動運転へ切り替えられる前に、室内灯8の照度を低下させ、運転者の目を暗い車外に順応させやすくすることができる。自動運転から手動運転へ切り替えられる前に、明るい車室9内に慣れていたために狭くなっていた瞳孔を大きくなりやすくし、暗い車外に対する視界を向上できる。これにより、車両Vの運転が自動運転から手動運転へ切り替わった際に、運転者が車外を見難くなる可能性を低減することが可能となる。
自動運転システム100では、車両Vが自動運転で運転中に室内灯8が点灯状態の場合、設定した切替タイミングの一定時間前から、室内灯8の照度を低下させて運転者の目を暗い車外に順応させやすくできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
上記実施形態では、自動運転ECU10及び照明制御ECU20の各機能の一部は、車両Vと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータにおいて実行されてもよい。上記実施形態では、照明制御ECU20により実行される図3の処理は、外部センサ1からの周辺状況に基づいて現在が夜間であると判定された場合に、実行してもよい。
上記実施形態では、自動運転システム100の異常を検知したとき、又は、車両Vの運転を自動運転から手動運転とで切り替える操作入力がなされたとき、室内灯制御部22により室内灯8を直ちに消灯させると共に、運転制御部12で運転を手動運転に直ちに切り替えてもよい。
上記実施形態は、自動運転制御の実行中において、車両Vの運転を自動運転から手動運転へ切り替える切替地点を設定する切替地点設定部を備えていてもよい。この場合、室内灯制御部22は、自動運転制御の実行中において室内灯8が点灯状態の場合、切替地点設定部で設定した切替地点までの残距離が予め設定された一定距離以下のとき、上記減光制御を実行してもよい。