JP2018022919A - Led素子 - Google Patents

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【課題】回折作用による光取り出し効率の向上を維持しつつ、強度分布のむらを抑制することのできるLED素子を提供する。【解決手段】周期的に凹部または凸部が形成された凹凸領域を素子表面に配置し、当該凹凸領域への入射光を回折作用を利用して素子外部へ取り出すLED素子1において、凹凸領域は、凹部または凸部の周期が、入射光の光学波長より大きく、入射光のコヒーレント長より小さい第1の凹凸領域10aと、第1の凹凸領域よりも凹部または凸部の周期が大きい第2の凹凸領域10bと、を有するようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、LED素子に関する。
発光層を含むIII族窒化物半導体がサファイア基板上に形成されたLED素子が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、LED素子の表面に、発光層から発せられる光の光学波長より大きくコヒーレント長より小さい周期で凹部又は凸部を形成することが記載されている。このLED素子では、凹部又は凸部の形成領域にて回折作用を利用して光を透過させることにより、光取り出し効率の向上を図っている。
国際公開第2011/027679号
しかしながら、特許文献1に記載のLED素子では、回折作用を利用することにより光取り出し効率が向上するものの、素子内外の界面にて回折条件を満たす特定の角度で光が透過するため、素子から取り出される光の角度が偏ってしまい、光の強度分布に過度のむらが生じるおそれがある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回折作用による光取り出し効率の向上を維持しつつ、強度分布のむらを抑制することのできるLED素子を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明では、周期的に凹部または凸部が形成された凹凸領域を素子表面に配置し、当該凹凸領域への入射光を回折作用を利用して素子外部へ取り出すLED素子において、前記凹凸領域は、前記凹部または前記凸部の周期が、前記入射光の光学波長より大きく、前記入射光のコヒーレント長より小さい第1の凹凸領域と、前記第1の凹凸領域よりも前記凹部または前記凸部の周期が大きい第2の凹凸領域と、を有するLED素子が提供される。
このLED素子によれば、凹凸領域への入射光は、第1の凹凸領域では回折作用を利用して素子外部へ取り出され、第2の凹凸領域では第1の凹凸領域と異なる作用で素子外部へ取り出される。
第2の凹凸領域における凹部または凸部の周期が入射光のコヒーレント長より小さい場合は、第2の凹凸領域においても回折作用を得ることができる。第2の凹凸領域における回折条件は、第1の凹凸領域における回折条件と異なるため、入射光は第1の凹凸領域と第2の凹凸領域とで異なる角度で素子外部へ出射する。
また、第2の凹凸領域における凹部または凸部の周期が入射光のコヒーレント長の半分以上の領域では、周期が大きくなるにつれて徐々に拡散作用が大きくなる。光が拡散する場合、入射光は回折作用のように特定の角度で出射するのでなく、全ての角度にわたって出射する。
すなわち、第2の凹凸領域にて、入射光は回折作用と拡散作用の少なくとも一方の作用を得ることとなるが、いずれの作用であっても第1の凹凸領域の出射角度と異なる角度で光が出射することとなる。
また、上記LED素子において、前記入射光は、波長が異なる複数の光を含み、前記第1の凹凸領域の前記凹部または前記凸部の周期は、当該全ての光の光学波長より大きく、当該全ての光のコヒーレント長の半分よりも小さく、前記第2の凹凸領域の前記凹部または前記凸部の周期は、当該全ての光のコヒーレント長の半分よりも大きいことが好ましい。
このLED素子によれば、素子にて生じた全ての波長の光について、第1の凹凸領域にて回折作用を得ることができるとともに、第2の凹凸領域にて少なくとも拡散作用を得ることができる。
また、上記LED素子において、前記第1の凹凸領域の前記凹部または前記凸部の周期は、当該全ての光の光学波長の2倍より大きいことが好ましい。
このLED素子によれば、凹部または凸部の周期が光学波長の2倍より大きいと、第1の凹凸領域において回折による透過モードの数が十分に増えるので好ましい。
また、上記LED素子において、ドナー不純物及びアクセプタ不純物が添加されSiC結晶からなるSiC基板と、前記SiC基板上に形成されたGaN系半導体層と、を備え、前記SiC基板は、ドナー不純物及びアクセプタ不純物が添加され前記GaN系半導体層から発せられる励起光により励起されると第1の可視光を発する第1SiC層と、前記第1SiC層と同じまたは異なる組み合わせのドナー不純物及びアクセプタ不純物が添加され前記励起光により励起されると前記第1の可視光よりも波長が長い第2の可視光を発する第2SiC層と、を含んでいてもよい。
また、上記LED素子において、前記第2SiC層は、前記第1SiC層と同じ組み合わせのドナー不純物及びアクセプタ不純物が添加され、当該アクセプタ不純物の濃度が前記第1SiC蛍光部のアクセプタ不純物の濃度よりも高くともよい。
また、上記LED素子において、前記ドナー不純物は窒素であり、前記アクセプタ不純物はホウ素であり、前記第1SiC層の前記アクセプタ不純物の濃度は、5×1018/cmより低く、前記第2SiC層の前記アクセプタ不純物の濃度は、5×1018/cmより高くともよい。
また、上記LED素子において、前記第2SiC層は、前記第1SiC層と異なる組み合わせのドナー不純物及びアクセプタ不純物が添加されてもよい。
また、上記LED素子において、前記第1SiC層の前記ドナー不純物は窒素であり、前記第1SiC層の前記アクセプタ不純物はアルミニウムであり、前記第2SiC層の前記ドナー不純物は窒素であり、前記第2SiC層の前記ドナー不純物はホウ素であってもよい。
本発明のLED素子によれば、第2の凹凸領域において第1の凹凸領域と異なる角度で光が取り出されるため、素子から取り出される光が特定の角度に偏ることを抑制して、光の強度分布にむらが生じることを抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態を示すLED素子の模式断面図である。 図2は、LED素子の底面説明図であり、(a)はSiC基板の裏面全体における第1モスアイ領域と第2モスアイ領域の配置状態を示し、(b)は第1モスアイ領域と第2モスアイ領域の境界部分における各モスアイ領域の凸部の形成状態を示す。 図3は、異なる屈折率の界面における光の回折作用を示す説明図である。 図4は、SiC基板へ入射した光が蛍光に変換される様子を模式的に示した説明図である。 図5は、ホウ素の濃度を変化させた場合の波長と発光強度の関係を示すグラフである。 図6は、試料体Bの一般演色指数(CRI:Color_Rendering_Index)を基準として、試料体Aと試料体Bを混合した場合に、どの程度一般演色指数が向上したかを示す表である。 図7は、アクセプタ不純物をアルミニウムとした場合の波長と発光強度の関係を示すグラフである。 図8は、第1SiC層、第2SiC層及び第3SiC層を有するSiC基板の波長と発光強度の関係を示すグラフである。 図9は、結晶成長装置の説明図である。 図10は、プラズマエッチング装置の概略説明図である。 図11は、SiC基板のエッチング方法を示すフローチャートである。 図12はSiC基板及びマスク層のエッチング方法の過程を示し、(a)は加工前のSiC基板を示し、(b)はSiC上にマスク層を形成した状態を示し、(c)はマスク層上にレジスト膜を形成した状態を示し、(d)はレジスト膜にモールドを接触させた状態を示し、(e)はレジスト膜にパターンが形成された状態を示す。 図13はSiC基板及びマスク層のエッチング方法の過程を示し、(f)はレジスト膜の残膜を除去した状態を示し、(g)はレジスト膜を変質させた状態を示し、(h)はレジスト膜をマスクとしてマスク層をエッチングした状態を示し、(i)はマスク層をマスクとしてサファイア基板をエッチングした状態を示す。 図14はSiC基板及びマスク層のエッチング方法の過程を示し、(j)はマスク層をマスクとしてSiC基板をさらにエッチングした状態を示し、(k)はSiC基板から残ったマスク層を除去した状態を示す。 図15は、変形例を示すLED素子の底面説明図である。 図16は、変形例を示すLED素子の底面説明図である。
図1から図14は本発明の一実施形態を示すものであり、図1はLED素子の模式断面図である。
図1に示すように、LED素子1は、ドナー不純物及びアクセプタ不純物を含むSiC基板10と、このSiC基板10上に形成されるGaN系半導体層20と、を備えている。GaN系半導体層20からSiC基板10へ光が入射すると、SiC基板10にて入射光が吸収されて不純物準位による蛍光が生じるようになっている。
SiC基板10は、6H型のSiC結晶によって形成され、ドナー不純物として窒素を含むとともに、アクセプタ不純物としてホウ素又はアルミニウムを含んでいる。SiC基板10は、窒素及びアルミニウムがドープされた第1SiC層11と、窒素及びホウ素がドープされた第2SiC層12及び第3SiC層13と、を有する。
第1SiC層11、第2SiC層12及び第3SiC層13は、いずれもドナー不純物の濃度がアクセプタ不純物の濃度よりも高く、これらの濃度の差が、1×1018/cm以下となっている。第1SiC層11、第2SiC層12及び第3SiC層13は、窒素の濃度の低い順に、GaN系半導体層20側から並んでいる。本実施形態においては、第2SiC層12のホウ素の濃度は5×1018/cmより低く、第3SiC層13のホウ素の濃度は5×1018/cmより高い。
SiC基板10の裏面14には、凹部又は凸部が周期的に形成される。本実施形態においては、裏面14には、周期的に凸部14a,14bが形成される。図1に示すように、裏面14には、互いに凸部14a,14bの周期が異なる第1モスアイ領域10aと第2モスアイ領域10bが形成される。本実施形態においては、図2(a)に示すように、第1の凹凸領域としての第1モスアイ領域10aが裏面14の中心側に形成され、第2の凹凸領域としての第2モスアイ領域10bが裏面14の外縁側に形成される。第1モスアイ領域10aの各凸部14a及び第2モスアイ領域10bの各凸部14bの形状は、円錐、多角錐等の錐状の他、錐の上部を切り落とした円錐台、多角錐台等の錐台状とすることができる。本実施形態においては、第1モスアイ領域10aと第2モスアイ領域10bの各凸部14a,14bはそれぞれ円錐状に形成される。
SiC基板10の製造方法は任意であるが、例えば昇華法、化学気相成長法によってSiC結晶を成長させて製造することができる。このとき、結晶成長中の雰囲気における窒素ガス(N)の分圧を適度に調整することにより、SiC基板10における窒素の濃度を任意に設定することができる。一方、ホウ素は、ホウ素単体またはホウ素化合物を原料に対して適量混合させることにより、SiC基板10におけるホウ素の濃度を任意に設定することができる。また、アルミニウムは、アルミニウム単体またはアルミニウム化合物を原料に対して適量混合させることにより、SiC基板10におけるアルミニウムの濃度を任意に設定することができる。ここで、不純物濃度の設定値が低い方が、不純物濃度の制御性が高くなる。
図1に示すように、GaN系半導体層20は、AIGaNで構成されたバッファ層21と、n―GaNで構成された第1コンタクト層22と、n−AIGaNで構成された第1クラッド層23と、GalnN/GaNで構成された発光層24と、p―AIGaNで構成された電子ブロック層25と、p−AIGaNで構成された第2クラッド層26と、p―GaNで構成された第2コンタクト層27と、をSiC基板10側からこの順で連続的に有している。GaN系半導体層20は、SiC基板10上に、例えば有機金属化合物気相成長法によって積層される。
また、第2コンタクト層27の表面には、p電極31が形成される。本実施形態においては、p電極31は、ITO層31a、APC層31b、Ni層31c、Ti層31d及びAu層31eが、第2コンタクト層27側からこの順で形成される。ITO層31aは、ITO(Indium_Tin_Oxide)からなり、厚さは例えば20nmである。APC層31bは、Ag−Pd−Cu−Ge系の合金材料からなり、厚さは例えば500nmである。Ni層31cは、Niからなり、厚さは例えば30nmである。Ti層31dは、Tiからなり、厚さは例えば10nmである。Au層31eは、Auからなり、厚さは例えば500nmである。
また、第2コンタクト層27から第1コンタクト層22の所定位置まで厚さ方向にエッチングすることにより第1コンタクト層22を露出させ、この露出部分にn電極32が形成される。本実施形態においては、n電極32は、ITO層32a、APC層32b、Ni層32c、Ti層32d及びAu層32eが、第2コンタクト層27側からこの順で形成される。ITO層32aは、ITOからなり、厚さは例えば20nmである。APC層32bは、Ag−Pd−Cu−Ge系の合金材料からなり、厚さは例えば500nmである。Ni層31cは、Niからなり、厚さは例えば30nmである。Ti層32dは、Tiからなり、厚さは例えば10nmである。Au層32eは、Auからなり、厚さは例えば500nmである。
本実施形態においては、発光層24は、Ga0.95ln0.05N/GaNからなり、発光のピーク波長は385nmである。尚、発光層24におけるピーク波長は任意に変更することができる。また、第1導電型層、活性層及び第2導電型層を少なくとも含み、第1導電型層及び第2導電型層に電圧が印加されると、電子及び正孔の再結合により活性層にて光が発せられるものであれば、GaN系半導体層20の層構成は任意である。
以上のように構成されたLED素子1のp電極31とn電極32に順方向の電圧を印加すると、GaN系半導体層20に電流が注入され、発光層24において近紫外領域にピーク波長を有する光が放出される。放出された近紫外光は、アクセプタ不純物とドナー不純物がドープされたSiC基板10へ入射してほぼ全てが吸収される。SiC基板10では、近紫外光を励起光としてドナー電子とアクセプタ正孔が再結合することにより蛍光が生じ、第1SiC層11では青色から緑色に発光し、第2SiC12及び第3SiC層13では黄色から赤色にかけて発光する。
図3は、異なる屈折率の界面における光の回折作用を示す説明図である。
ブラッグの回折条件から、界面にて光が透過する場合において、入射角θinに対して透過角θoutが満たすべき条件は、
d・(n1・sinθin−n2・sinθout)=m・λ・・・(1)
である。ここで、n1は入射側の媒質の屈折率、n2は出射側の媒質の屈折率、mは整数である。例えばSiC基板10から素子外部の空気へ光が出射する場合、n2は空気の屈折率となる。図3に示すように、上記(1)式を満たす透過角θoutで、界面へ入射する光は透過される。
上記(1)式の回折条件を十分に満たす透過角θoutが存在するためには、SiC基板10の裏面14における凹凸の周期は、光学波長である(λ/n1)よりも大きくなければならない。従って、SiC基板10の第1モスアイ領域10aは、回折作用が十分に得られるように周期が(λ/n1)よりも大きく設定されている。また、第2モスアイ領域10bの各凸部14bの周期は、第1モスアイ領域10aと異なる光学作用が得られるように、第1モスアイ領域10aの各凸部14aの周期よりも大きく設定されている。
図2(b)に示すように、第1モスアイ領域10a及び第2モスアイ領域10bは、平面視にて、各凸部14a,14bの中心が正三角形の頂点の位置となるように、所定の周期で仮想の三角格子の交点に整列して形成される。第1モスアイ領域10aの各凸部14aの周期は、SiC基板10から発せられる光の光学波長より大きく、当該光のコヒーレント長より小さくなっている。尚、ここでいう周期とは、隣接する各凸部14a,14bにおける高さのピーク位置の距離をいう。また、光学波長とは、実際の波長を屈折率で除した値を意味する。さらに、コヒーレント長とは、所定のスペクトル幅のフォトン群の個々の波長の違いによって、波の周期的振動が互いに打ち消され、可干渉性が消失するまでの距離に相当する。コヒーレント長lcは、光の波長をλ、当該光の半値幅をΔλとすると、おおよそlc=(λ/Δλ)の関係にある。
ここで、各凸部14a,14bの周期は光学波長の1倍以上で臨界角以上の角度の入射光に対して徐々に回折作用が有効に働き出し、SiC基板10から発せられる光の光学波長の2倍より大きいと、透過モードの数が十分に増えるので好ましい。また、各凸部14a,14bの周期を、SiC基板10から発せられる光のコヒーレント長の半分未満とすると、回折作用が比較的大きくなる。一方、各凸部14a,14bの周期を、SiC基板10から発せられる光のコヒーレント長の半分以上とすると、徐々に拡散作用が大きくなる。
本実施形態においては、第1モスアイ領域10aの各凸部14aの周期は460nmであり、第2モスアイ領域10bの各凸部14bの周期は1000nmである。SiC基板10の第1SiC層11から発せられる光の波長は484nmであり、第2SiC層12から発せられる光の波長は571nmであり、第3SiC層13から発せられる光の波長は605nmである。ここで、SiCの屈折率は、484nmで2.71、571nmで2.67、605nmで2.65である。コヒーレント長を考慮する上での屈折率は入射側と出射側の媒質の屈折率の平均とすることができ、SiC基板10の裏面14の外側が空気である場合、空気の屈折率は1.00であることから、484nmで1.855、571nmで1.835、605nmで1.825である。従って、コヒーレント長を考慮する上での、第1SiC層11から発せられる光の光学波長は261nm、第2SiC層12から発せられる光の光学波長は311nm、第3SiC層13から発せられる光の光学波長は332nmである。
また、コヒーレント長を考慮する上でのSiC基板10の第1SiC層11から発せられる光の光学的な半値幅は36nmであり、第2SiC層12から発せられる光の光学的な半値幅は61nmであり、第3SiC層13から発せられる光の光学的な半値幅は68nmである。すなわち、第1SiC層11から発せられる光のコヒーレント長は1892nm、第2SiC層12から発せられる光のコヒーレント長は1586nm、第3SiC層13から発せられる光のコヒーレント長は1621nmである。
すなわち、第1モスアイ領域10aの各凸部14aの周期は、SiC基板10から発せられる全ての光の光学波長の2倍より大きく、かつ、コヒーレント長の半分以下となっている。また、第2モスアイ領域10bの各凸部14bの周期は、SiC基板10から発せられる全ての光のコヒーレント長の半分よりも大きい。
ここで、SiC基板10における蛍光作用について、図4を参照して説明する。図4は、SiC基板へ入射した光が蛍光に変換される様子を模式的に示した説明図である。
SiC基板10は主にSiC結晶で構成されているため、6H型SiC結晶のバンドギャップエネルギーEが形成されている。
SiC基板10に光を入射させると、価電子帯E2から伝導帯E1に自由電子aが励起され、E2には自由正孔bが生成される。そして、数nsから数μsの短時間のうちに、自由電子aはドナー準位NSD,NDDへ緩和してドナー電子a’,a’となり、自由正孔bはアクセプタ準位Nへと緩和してアクセプタ正孔b’となる。尚、アクセプタ準位Nは、シリコンサイトとカーボンサイトで異なる。
ここで、キュービックサイトのドナーは深いドナー準位NDDを形成し、ヘキサゴナルサイトのドナーは浅いドナー準位NSDを形成することが判明している。
深いドナー準位NDDへ緩和したドナー電子a’は、ドナー・アクセプタ・ペア(DAP)発光に用いられ、アクセプタ正孔b’と再結合する。そして、その遷移エネルギー(E−EDD−E)に相当するエネルギーを有する光子cがSiC基板10の外部へ放出される。SiC基板10の外部へ放出された光子cの波長は、遷移エネルギー(E−EDD−E)に依存する。
一方、浅いドナー準位NSDへ緩和したドナー電子a’は、Γバンドとのバンド内吸収に用いられ、アクセプタ正孔b’と再結合しない。すなわち、発光には寄与しない。
ドナー・アクセプタ・ペア発光を的確に行うためには、SiC結晶中の室温でのキャリア濃度が、ドナー濃度とアクセプタ濃度の差よりも小さいことが好ましい。
さらに、窒素のイオン化エネルギーはホウ素及びアルミニウムよりも小さいため、室温において、ある程度の窒素がイオン化する。すると、励起されたドナー電子a’が再度伝導帯E1に遷移することとなり、アクセプタ正孔b’と対になるドナー電子a’が不足することとなる。対となるドナー電子a’がないアクセプタ正孔b’は、蛍光発光に寄与することができず、そのアクセプタ正孔b’を励起するためのエネルギーが無駄に消費されたこととなる。すなわち、ドナー電子a’とアクセプタ正孔b’が過不足なく再結合できるように予めイオン化する窒素量を見越してホウ素濃度よりも窒素濃度を多めに設定しておくことにより、高い蛍光量子効率を実現することができる。
ここで、ホウ素が炭素空孔に隣接するシリコンサイトに配置されるか、カーボンサイトに配置されるかによりアクセプタ準位Nが変化し、発光波長が変化する。ここで、ホウ素がどちらのサイトに配置されるかは、ホウ素濃度によると考えられる。図5は、ホウ素の濃度を変化させた場合の波長と発光強度の関係を示すグラフである。ここで試料体Aは、ホウ素の濃度を3.5×1018/cm、窒素の濃度を4.5×1018/cmとして作製し、試料体Bは、ホウ素の濃度を9×1018/cm、窒素の濃度を1×1019/cmとして作製した。
図5に示すように、試料体Aではピーク波長が571nmとなり、試料体Bではピーク波長が605nmとなった。試料体Aにおいては、炭素空孔に隣接するシリコンサイトに配置されるホウ素が比較的多く、試料体Bにおいては、カーボンサイトに配置されるホウ素が比較的多いと考えられる。ホウ素の濃度を5×1018/cmとするとピーク波長が596.5nmであり、ホウ素の濃度を5×1018/cmより低くすればホウ素が炭素空孔に隣接するシリコンサイトに配置されやすく、高くすればホウ素がカーボンサイトに配置されやすくなると考えられる。ホウ素の濃度がおおよそ5×1017〜5×1018/cmであれば比較的短い波長で発光し、おおよそ5×1018〜5×1019/cm程度であれば比較的長い波長で発光するといえる。
図6は、試料体Bの一般演色指数(CRI:Color_Rendering_Index)を基準として、試料体Aと試料体Bを混合した場合に、どの程度一般演色指数が向上したかを示す表である。ここで、図6における試料体Aと試料体Bの混合比率は、各試料体の発光ピーク波長の発光強度を基準に設定した。尚、各試料体の発光強度は、例えば、各試料体が板状であるならば板厚を変化させたり、各試料体が粉末状であるならば粉末の量を変化させることにより調整することができる。図6に示すように、試料体Aを基準とすると試料体Bを混合した場合にCRIが向上することが理解される。
図7は、アクセプタ不純物をアルミニウムとした場合の波長と発光強度の関係を示すグラフである。この試料体は、アルミニウムの濃度を1×1018/cm、窒素の濃度を2×1018/cmとして作製した。図7に示すように、この試料体では中心波長が484nmであり、467nm及び486nmの2つのピーク波長が存在する。
図8は、第1SiC層、第2SiC層及び第3SiC層を有するSiC基板の波長と発光強度の関係を示すグラフである。ここで、第1SiC層11の不純物濃度は図7で示した試料体と同様とし、第2SiC層12の不純物濃度は試料体Aと同様とし、第3SiC層13の不純物濃度は試料体Bと同様にした。図8に示すように、SiC基板10は、青色から赤色にかけての発光スペクトルを有している。特に、黄色から赤色にかけては、第2SiC層12と第3SiC層13の発光スペクトルが重なり合っている。
次いで、図9を参照してSiC基板10の製造方法について説明する。図9は、結晶成長装置の説明図である。
図9に示すように、この結晶成長装置100は、種結晶基板110及び原料120が配置される内部容器130と、内部容器130を収容する収容管140と、内部容器130を覆う断熱容器150と、収容管140内へ気体を導入する導入管160と、導入管160から導入される気体の流量を計る流量計170と、収容管140内の圧力を調整するポンプ180と、収容管140の外側に配置され種結晶基板110を加熱するためのRFコイル190と、を有している。
内部容器130は、例えば黒鉛からなり、上方を開口した坩堝131と、坩堝131の開口を閉塞する蓋132と、を有する。蓋132の内面には、単結晶SiCからなる種結晶基板110が取り付けられる。また、坩堝131の内部には、昇華再結晶の原料120が収容される。本実施形態においては、原料120は、SiC結晶の粉末と、B源又はAl源となる粉末とが用いられる。
SiC蛍光材料を製造するにあたっては、まず、原料120を充填した坩堝131を蓋132で閉じ、黒鉛製の支持棒により収容管140の内部に設置した後、内部容器130を断熱容器150で被覆する。そして、雰囲気ガスとして、Arガス、Nガス及びHガスを、流量計170を介して導入管160により収容管140の内部へ流す。続いて、RFコイル190を用いて、原料120を加熱するとともに、ポンプ180を用いて収容管140内の圧力を制御する。
具体的には、収容管140内の圧力を0.03Paから600Paの間とし、種結晶基板110の初期温度を少なくとも1100℃とする。初期温度は、1500℃以下が好ましく、1400℃以下がより好ましい。そして、原料120と種結晶基板110の間の温度勾配を1℃から10℃の間に設定する。
次いで、種結晶基板110を初期温度から、15℃/分から25℃/分の割合で加熱していき、成長温度まで上昇させる。成長温度は、1700℃から1900℃の間が好ましい。成長レートは、10μm/時から200μm/時の間とすることが好ましい。
これにより、原料120は、昇華後、温度勾配に基づき形成される濃度勾配により、種結晶基板110の方向に拡散して輸送される。SiC蛍光材料の成長は、種結晶基板110に到着した原料ガスが種結晶上に再結晶することにより実現される。尚、SiC結晶のドーピング濃度は、結晶成長時の雰囲気ガス中への不純物ガスの添加、並びに、原料粉末への不純物元素またはその化合物の添加により制御することができる。すなわち、ドーピング元素及び濃度の異なる第1SiC11、第2SiC層12及び第3SiC層13を連続的に作製することができる。
ただし、設定されるドナー不純物及びアクセプタ不純物の濃度が高くなると、添加される不純物元素またはその化合物が増えるため、不純物濃度の制御の精度が悪くなる。不純物濃度の誤差が大きくなると、フリーキャリアによる吸収等が生じて発光効率が落ちるおそれがある。すなわち、設定される不純物濃度が高いほど、不純物濃度の誤差に起因するフリーキャリア吸収が生じやすくなる。
本実施形態においては、Nガスが結晶成長時の雰囲気ガス中に添加され、B又はAlの単体又は化合物が原料120に添加される。さらに、Hガスが結晶成長時の雰囲気ガス中に添加されており、これによりドナー不純物のヘキサゴナルサイトの炭素原子との置換を抑制し、キュービックサイトの炭素原子との置換を促進する。
このようにして作製されたSiC結晶は、外周研削、スライス、表面研削、表面研磨等の工程を経て、凹凸加工前のSiC基板10となる。次いで、図10から図14を参照してSiC基板10の加工方法について説明する。図10は、SiC基板を加工するためのプラズマエッチング装置の概略説明図である。
図10に示すように、プラズマエッチング装置91は、誘導結合型(ICP)であり、SiC基板10を保持する平板状の基板保持台92と、基板保持台92を収容する容器93と、容器93の上方に石英板96を介して設けられたコイル94と、基板保持台92に接続された電源95と、を有している。コイル94は立体渦巻形のコイルであり、コイル中央から高周波電力を供給し、コイル外周の末端が接地されている。エッチング対象のSiC基板10は直接或いは搬送用トレーを介して基板保持台92に載置される。基板保持台92にはSiC基板10を冷却するための冷却機構が内蔵されており、冷却制御部97によって制御される。容器93は供給ポートを有し、Oガス、Arガス等の各種ガスが供給可能となっている。
このプラズマエッチング装置91でエッチングを行うにあたっては、基板保持台92にSiC基板10を載置した後、容器93内の空気を排出して減圧状態とする。そして、容器93内に所定の処理ガスを供給し、容器93内のガス圧力を調整する。その後、コイル94及び基板保持台92に高出力の高周波電力を所定時間供給して、反応ガスのプラズマ98を生成させる。このプラズマ98によってSiC基板10のエッチングを行う。
次いで、図11、図12、図13及び図14を参照して、プラズマエッチング装置91を用いたエッチング方法について説明する。
図11は、エッチング方法を示すフローチャートである。図11に示すように、本実施形態のエッチング方法は、マスク層形成工程S1と、レジスト膜形成工程S2と、パターン形成工程S3と、残膜除去工程S4と、レジスト変質工程S5と、マスク層のエッチング工程S6と、SiC基板のエッチング工程S7と、マスク層除去工程S8と、を含んでいる。
図12はSiC基板及びマスク層のエッチング方法の過程を示し、(a)は加工前のSiC基板を示し、(b)はSiC基板上にマスク層を形成した状態を示し、(c)はマスク層上にレジスト膜を形成した状態を示し、(d)はレジスト膜にモールドを接触させた状態を示し、(e)はレジスト膜にパターンが形成された状態を示す。
図13はSiC基板及びマスク層のエッチング方法の過程を示し、(f)はレジスト膜の残膜を除去した状態を示し、(g)はレジスト膜を変質させた状態を示し、(h)はレジスト膜をマスクとしてマスク層をエッチングした状態を示し、(i)はマスク層をマスクとしてSiC基板をエッチングした状態を示す。尚、変質後のレジスト膜は、図中、塗りつぶすことで表現している。
図14はSiC基板及びマスク層のエッチング方法の過程を示し、(j)はマスク層をマスクとしてSiC基板をさらにエッチングした状態を示し、(k)はSiC基板から残ったマスク層を除去した状態を示す。
尚、図12から図14は、SiC基板の一部分を示しており、第1モスアイ領域10aを図示している。
まず、図12(a)に示すように、加工前のSiC基板10を準備する。エッチングに先立って、SiC基板10を所定の洗浄液で洗浄しておく。本実施形態においては、SiC基板10はSiC基板である。
次いで、図12(b)に示すように、SiC基板10にマスク層230を形成する(マスク層形成工程:S1)。本実施形態においては、マスク層230は、SiC基板10上のSiO層231と、SiO層231上のNi層232と、を有している。各層231,232の厚さは任意であるが、例えばSiO層を1nm以上30nm以下、Ni層232を10nm以上100nm以下とすることができる。尚、マスク層230は、単層とすることもできる。マスク層230は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等により形成される。
次に、図12(c)に示すように、マスク層230上にレジスト膜240を形成する(レジスト膜形成工程:S2)。本実施形態においては、レジスト膜240として熱可塑性樹脂が用いられ、スピンコート法により均一な厚さに形成される。レジスト膜240は、例えばエポキシ系樹脂からなり、厚さが例えば70nm以上150nm以下である。尚、レジスト膜240として、光硬化性樹脂を用いることもできる。
そして、レジスト膜240をSiC基板10ごと加熱して軟化させ、図12(d)に示すように、モールド250でレジスト膜240をプレスする。モールド250の接触面には凹凸構造251が形成されており、レジスト膜240が凹凸構造251に沿って変形する。
この後、プレス状態を保ったまま、レジスト膜240をSiC基板10ごと冷却して硬化させる。そして、モールド250をレジスト膜240から離隔することにより、図12(e)に示すように、レジスト膜240に凹凸構造241が転写される(パターン形成工程:S3)。ここで、凹凸構造241の周期は1μm以下となっている。本実施形態においては、凹凸構造241の周期は、第1モスアイ領域10aについては例えば460nm、第2モスアイ領域10bについては例えば1000nmである。また、本実施形態においては、凹凸構造241の凸部243の直径は150nm以上250nm以下となっており、例えば200nmである。また、凸部243の高さは200nm以上250nm以下となっており、例えば230nmである。この状態で、レジスト膜240の凹部には残膜242が形成されている。
以上のようにレジスト膜240が形成されたSiC基板10を、プラズマエッチング装置91の基板保持台92に取り付ける。そして、例えばプラズマアッシングにより残膜242を取り除いて、図13(f)に示すように被加工材であるマスク層230を露出させる(残膜除去工程:S4)。本実施形態においては、プラズマアッシングの処理ガスとしてOガスが用いられる。このとき、レジスト膜240の凸部243もアッシングの影響を受け、凸部243の側面244は、マスク層230の表面に対して垂直でなく、所定の角度だけ傾斜する。
そして、図13(g)に示すようにレジスト膜240を変質用条件にてプラズマに曝して、レジスト膜240を変質させてエッチング選択比を高くする(レジスト変質工程:S5)。本実施形態においては、レジスト膜240の変質用の処理ガスとして、Arガスが用いられる。また、本実施形態においては、変質用条件として、プラズマをSiC基板10側に誘導するための電源95のバイアス出力が、後述のエッチング用条件よりも低くなるよう設定される。
この後、エッチング用条件にてプラズマに曝し、エッチング選択比が高くなったレジスト膜240をマスクとして被加工材としてのマスク層230のエッチングを行う(マスク層のエッチング工程:S6)。本実施形態においては、レジスト膜240のエッチング用の処理ガスとして、Arガスが用いられる。これにより、図13(h)に示すように、マスク層230にパターン233が形成される。
ここで、変質用条件とエッチング用条件について、処理ガス、アンテナ出力、バイアス出力等を適宜に変更できるが、本実施形態のように同一の処理ガスを用いてバイアス出力を変えることが好ましい。具体的に、変質用条件について、処理ガスをArガスとし、コイル94のアンテナ出力を350W、電源95のバイアス出力50Wとすると、レジスト膜240の硬化が観察された。そして、エッチング用条件について、処理ガスをArガスとし、コイル94のアンテナ出力を350W、電源95のバイアス出力を100Wとすると、マスク層230のエッチングが観察された。尚、エッチング用条件に対してバイアス出力を低くする他、アンテナ出力を低くしたり、ガス流量を少なくしても、レジストの硬化が可能である。
次に、図13(i)に示すように、マスク層230をマスクとして、SiC基板10のエッチングを行う(SiC基板のエッチング工程:S7)。本実施形態においては、マスク層230上にレジスト膜240が残った状態でエッチングが行われる。また、処理ガスとしてSF等のフッ素系ガスを用いたプラズマエッチングが行われる。
そして、図14(j)に示すように、エッチングが進行していくと、SiC基板10に各凸部14a,14bが形成される。本実施形態においては、各凸部14a,14bの高さは、500nmである。尚、凹凸構造の高さを500nmより大きくすることもできる。ここで、凹凸構造の高さが、例えば300nmのように比較的浅くするのならば、図13(i)に示すように、レジスト膜240が残留した状態でエッチングを終了しても差し支えない。
本実施形態においては、マスク層230のSiO層231により、サイドエッチングが助長されて、各凸部14a,14bの側面が傾斜している。また、レジスト膜240の側面244の傾斜角によっても、サイドエッチングの状態を制御することができる。尚、マスク層230をNi層232の単層とすれば、各凸部14a,14bの側面を主面に対してほぼ垂直にすることができる。
この後、図14(k)に示すように、所定の剥離液を用いてSiC基板10上に残ったマスク層230を除去する(マスク層除去工程:S8)。本実施形態においては、王水(硝酸(1):塩酸(3))を用いることでNi層232を除去した後、バッファード弗酸を用いてSiO層231を除去する。尚、レジスト膜240がマスク層230上に残留していても、王水でNi層232とともに除去することができるが、レジスト膜240の残留量が多い場合はOアッシングにより予めレジスト膜240を除去しておくことが好ましい。以上の工程を経て、表面に凹凸構造を有するSiC基板10が作製される。
以上のように作製されたSiC基板10にIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させる。本実施形態においては、例えば有機金属化合物気相成長法によってバッファ層21、第1コンタクト層22、第1クラッド層23、発光層24、電子ブロック層25、第2クラッド層26及び第2コンタクト層27を成長させる。窒化物半導体層を形成した後、各電極31,32を形成し、ダイシングにより複数のLED素子1に分割することにより、LED素子1が製造される。
以上のように構成されたLED素子1によれば、SiC基板10の裏面14への入射光は、第1モスアイ領域10aでは回折作用を利用して素子外部へ取り出され、第2モスアイ領域10bでは第1モスアイ領域10aと異なる作用で素子外部へ取り出される。第1モスアイ領域10aへの入射光は、上記式(1)を満たす角度で取り出されるために、特定の角度でのみ光の強度が強くなる。
一方、第2モスアイ領域10bへの入射光は、回折作用及び拡散作用により取り出される。第2モスアイ領域10bにおける回折条件は、第1モスアイ領域10aにおける回折条件と異なるため、回折作用を受けた光は、第1モスアイ領域10aと異なる角度で素子外部へ出射する。また、第2モスアイ領域10bにおいて拡散作用を受けた光は、回折作用のように特定の角度で出射するのでなく、全ての角度にわたって出射する。このように、第2モスアイ領域10bにて、入射光は回折作用と拡散作用の両方の作用を得ることとなるが、いずれの作用においても第1モスアイ領域10aの出射角度と異なる角度で光が出射することとなる。これにより、LED素子1から取り出される光が特定の角度に偏ることを抑制して、光の強度分布にむらが生じることを抑制することができる。
また、第1モスアイ領域10aの凸部の周期が、SiC基板10から発せられる全ての光の光学波長より大きく、全ての光のコヒーレント長の半分よりも小さいことから、素子にて生じた全ての波長の光について、第1モスアイ領域10aにて回折作用を得ることができる。さらに、第2モスアイ領域10bの凸部の周期が、SiC基板10から発せられる全ての光のコヒーレント長の半分よりも大きいことから、素子にて生じた全ての波長の光について、第2モスアイ領域10bにて拡散作用を得ることができる。
特に本実施形態においては、素子にて複数の波長域の光が生じており、出射角度によらず各波長域の光を的確に混合することができる。すなわち、第1モスアイ領域10aに加えて第2モスアイ領域10bを形成することにより、第1モスアイ領域10aのみ形成された場合のように特定の角度に特定の波長域の光が偏ることを抑制することができる。これにより、素子から出射される光が角度ごとに分光されたような状態とはならず、外部に各波長域の光を混合するための拡散部等を設ける必要はない。
尚、前記実施形態においては、第1モスアイ領域10aを裏面14の中央側に配置し、第2モスアイ領域10bを裏面14の外縁側に配置したものを示したが、凹凸周期が異なる各領域の配置状態はこれに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、第1モスアイ領域310aと第2モスアイ領域310bとをそれぞれ正方形として格子状に配置したLED素子301としてもよい。
また、前記実施形態においては、凹凸の周期が異なる2つの領域を形成したものを示したが、周期の異なる3以上の領域が形成されてもよい。例えば、図16に示すように、周期の異なる複数の領域を中央側から外縁側に並べて形成したLED素子401とすることができる。図16のLED素子401では、周期が異なる4つの領域が中央側から外縁側へ向かって並んで形成され、中央に形成される第1モスアイ領域410aは最も周期が小さく、第1モスアイ領域410aに隣接する第2モスアイ領域410bは第1モスアイ領域410aに次いで周期が小さく、第2モスアイ領域410bに隣接する第3モスアイ領域410cは第2モスアイ領域に次いで周期が小さく、第3モスアイ領域410cに隣接して最も外側に配置される第4モスアイ領域410dが最も周期が大きくなっている。
また、前記実施形態においては、第1モスアイ領域10a及び第2モスアイ領域10bを周期的に形成された凸部で構成するものを示したが、周期的に形成された凹部で構成してもよいことは勿論である。また、凸部又は凹部を、三角格子の交点に整列して形成する他、例えば、仮想の正方格子の交点に整列して形成することもできる。
また、前記実施形態においては、SiC基板10の裏面14に第1モスアイ領域10a及び第2モスアイ領域10bが形成されたものを示したが、例えば凹部又は凸部が半導体層や電極の表面に形成されたものであってもよい。
また、前記実施形態においては、第2モスアイ領域10bの凸部の周期が入射光の光学波長のコヒーレント長の半分より大きいものを示したが、第1モスアイ領域10aの凸部の周期よりも大きければ、コヒーレント長の半分より小さくともよい。
また、前記実施形態においては、SiC基板10が異なる波長を発する3つの蛍光層からなるものを示したが、SiC基板10の蛍光層の数は任意である。さらには、LED素子1の基板としてSiC以外の基板を用いてもよいことは勿論である。例えば、サファイア基板上に発光層を含むIII族窒化物半導体が形成され、発光層から発せられる青色光がサファイア基板の裏面から取り出されるLED素子に本発明を適用することもできる。
1 LED素子
10 SiC基板
10a 第1モスアイ領域
10b 第2モスアイ領域
11 第1SiC層
12 第2SiC層
13 第3SiC層
14 裏面
14a 凸部
14b 凸部
20 GaN系半導体層
21 バッファ層
22 第1コンタクト層
23 第1クラッド層
24 発光層
25 電子ブロック層
26 第2クラッド層
27 第2コンタクト層
31 p電極
31a ITO層
31b APC層
31c Ti層
31d Au層
32 n電極
32a ITO層
32b APC層
32c Ti層
32d Au層
91 プラズマエッチング装置
92 基板保持台
93 容器
94 コイル
95 電源
96 石英板
97 冷却制御部
98 プラズマ
100 結晶成長装置
110 種結晶基板
120 原料
130 内部容器
131 坩堝
132 蓋
140 収容管
150 断熱容器
160 導入管
170 流量計
180 ポンプ
190 RFコイル
230 マスク層
231 SiO
232 Ni層
233 パターン
240 レジスト膜
241 凹凸構造
242 残膜
243 凸部
244 側面
250 モールド
251 凹凸構造
301 LED素子
310a 第1モスアイ領域
310b 第2モスアイ領域
401 LED素子
410a 第1モスアイ領域
410b 第2モスアイ領域
410c 第3モスアイ領域
410d 第4モスアイ領域

Claims (2)

  1. 周期的に凹部または凸部が形成された凹凸領域を素子表面に配置し、当該凹凸領域への入射光を回折作用を利用して素子外部へ取り出すLED素子において、
    前記凹凸領域は、
    前記凹部または前記凸部の周期が、前記入射光の光学波長より大きく、前記入射光のコヒーレント長の半分より小さい第1の凹凸領域と、
    前記凹部または前記凸部の周期が、前記入射光のコヒーレント長の半分より大きい第2の凹凸領域と、を有するLED素子。
  2. 前記第1の凹凸領域の前記凹部または前記凸部の周期は、前記入射光の光学波長の2倍より大きい請求項1に記載のLED素子。
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