JP2018020341A - プレス品搬送キャリアの製造方法および、プレス品搬送キャリア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明のプレス品搬送キャリアの製造方法は、プレス加工により成形された金属ストリップ1を、該金属ストリップ1の長手方向に沿って間欠的に送るとともに、その送り途中で、当該金属ストリップ1を所定の長さに切断することにより、金属ストリップ1からプレス品2を形成し、順次に形成される当該プレス品2を互いに間隔をおいて、キャリア部材3に連結していき、一方向に連続するストリップ状のプレス品搬送キャリア4を製造する方法であって、前記キャリア部材3に、キャリア部材3を貫通するパイロットホール6およびスリット7を、長手方向に所定の周期で形成する。
【選択図】図1
Description
すなわち、図28に示すこの方法によれば、はじめに、順送金型内で、一方向に向けて間欠送給される平坦面状の長尺金属板に対し、所要のプレス加工及びめっき処理等を施して、図28(a)に示すような金属ストリップ100を成形する。なおこの金属ストリップ100では、両側部101に、それらの側部101のそれぞれから、金属ストリップ100の幅方向内側に向けて互いに対向する向きに延びるコネクタ端子部分102の複数本を、金属ストリップ100の長手方向に狭い間隔で密集させて並べて設けている。
しかる後は、それらの端子列103ごとに、図28(c)に示すように、コネクタ端子部分102bの先端側を樹脂材料104で封止するインサート成形を実施し、そして、樹脂材料104の長手方向の両端部のそれぞれに支持金具105を配置し、それらの支持金具105により、樹脂材料104を、封止したコネクタ端子部分102bとともに押さえる。その後、かかる金属ストリップ100は、次工程を行う部分に搬送される。
そして、特許文献1に記載の方法によれば、「徒に高価な端子部材を廃材にすることが極端に減少し、省資源の達成とともにコストが低減され、効率よく生産性を向上させることができる。」とされている。
この特許文献2の方法では、「金属帯材から切断形成した端子列部材と、前記連結部材との連結が円滑に行われることになることから、製造能率を高めることができ、また、その連結が高精度で行われて、製品の品質を大きく向上させることができる。」、「この方法では、不要な端子部分の除去を行わないので、歩留まりの低下を招くことがない。」とされている。
そして、特許文献1及び2に記載された方法では、キャリアに、位置合わせ等のためのパイロットホールしか設けていないことから、この問題に対処することができなかった。なお固有振動数を変化させるには、キャリアの組成、全幅、厚み等を変更することも考えられるが、コネクタ端子の仕様を変更する度にキャリアの組成等を変えることは、手間および時間を要するとともにコストの増大を招く。
したがって、成形サイクルの短縮化とコネクタ端子部分の位置合わせ精度の向上は、相反するものであり、従来技術では、これらを両立し得なかった。
また、この発明の製造方法では、平面視で、キャリア部材の幅方向におけるスリットの長さを、キャリア部材の幅の0.85倍以下とすることが好ましい。
また、この発明の製造方法では、前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材の側部に開口するものとすることができる。
そしてまた、この発明の製造方法では、前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材内で終端するものとすることができる。
あるいは、この発明の製造方法では、前記キャリア部材を、互いに隣り合うプレス品の相互間に配置される複数個とし、前記キャリア部材をプレス品の相互間に送り、複数個の該キャリア部材のそれぞれで、互いに隣り合うプレス品を連結していくことが好ましい。
あるいは、この発明の製造方法では、前記キャリア部材が、複数個のプレス品を互いに間隔をおいて配置することが可能な長さを有し、複数個のプレス品を前記キャリア部材に連結し、複数個のプレス品が連結された当該キャリア部材の複数個を相互に、該キャリア部材の長手方向の端部で連結することが好ましい。
この場合、プレス品搬送キャリアの端子列部材のコネクタ端子部分を樹脂材料で封止するインサート成形を行うことができる。
また、この発明のプレス品搬送キャリアは、平面視で、キャリア部材の幅方向におけるスリットの長さが、キャリア部材の幅の0.85倍以下であることが好ましい。
また、この発明のプレス品搬送キャリアでは、前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材の側部に開口するものとすることができる。
そしてまた、この発明のプレス品搬送キャリアでは、前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材内で終端するものとすることができる。
あるいは、この発明のプレス品搬送キャリアは、複数個のキャリア部材のそれぞれが、互いに隣り合うプレス品の相互間に配置されて、それらのプレス品を連結してなるものとすることが好ましい。
この場合、端子列部材のコネクタ端子部分が樹脂材料で封止されてなるものとすることが好ましい。
ここでは、プレス加工により成形されたプレス品を、相互に平行に延びる複数本のコネクタ端子部分が形成された端子列部材とした例について詳説するが、この発明は、このようなコネクタ端子以外の電子部品その他の部品に対しても適用することができる。
この金属ストリップ1は、たとえば順送金型内で、図1に矢印で示すように上下方向に沿って、たとえば、ワイヤーテンションもしくはコンベアベルトその他の搬送手段により、所定ピッチで間欠送給される。
こうして得られる端子列部材2は、図1に示す実施形態では金属ストリップ1に隣接してそれと平行に間欠送給されるストリップ状の金属製等のキャリア部材3の側部に、たとえばカシメ固定等の機械的な連結により、順次に所定の相互間隔をおいて取り付けられる。
また、平面視で、スリット7の、キャリア部材3の幅方向に沿う長さを、キャリア部材3の幅の0.85倍以下とする。
これにより、耐振動、耐熱膨張の効果を有効に発揮できるとともに、スリット7の形成による搬送時のキャリア部材3の意図しない変形を防止することができる。
ここで、パイロットホール6やスリット7の面積率は、キャリア部材3の平面視にて、キャリア部材3の単位長さ当たりで、パイロットホール6やスリット7の面積をキャリア部材3の面積で除して、これを百分率で表したものである。
図3(c)では、一方の側部Saおよび他方の側部Sbのそれぞれに開口して延びる矩形状のスリット7dおよび7cのそれぞれを、キャリア部材3の長手方向の等しい位置に対抗させて配置し、これらを長手方向に周期的に設けている。この場合、対抗周期と同期する成分のみが通過すると考えられる。
図3(e)では、キャリア部材3のほぼ幅方向中央付近から延びて他方の側部Sbに開口する矩形状のスリット7fと、同様に他方の側部Sbに開口するスリット7fより短い矩形状のスリット7gと、同様に他方の側部Sbに開口するスリット7gより短い矩形状のスリット7hとを、長手方向に並べて配置し、これらの三種類の長さの異なるスリット7f〜7hを、長手方向に周期的に設けている。これは共振防止の効果が高いと推測される。
図4(a)に示すスリット7A及び7Bは、キャリア部材3の幅方向の中央域で、幅方向に互いに若干オーバーラップする形態としている。
図4(d)のスリット7F及び7Gは、キャリア部材3の幅方向に対して傾斜することを除いて、図4(a)に示すスリット7A及び7Bとほぼ同様の構成を有するものである。かかるスリット7F及び7Gを設けたキャリア部材3では、たとえば図の右方向に進む進行波は、スリット7F及び7Gの間で逆行しないと先に伝播することができない。
以上に述べた矩形状のスリットはいずれも、キャリア部材3の長手方向に対して90°ないしその他の角度で傾斜する向きに延びるものとしている。但し、長手方向に対して傾斜せずに長手方向に沿って延びるスリットも考えられる。
図5に示す実施形態では、相互に平行に延びる複数本のコネクタ端子部分11aが形成された金属ストリップ11を、たとえば順送金型内で、所定の搬送手段により、所定のピッチで間欠送給し、その送給の途中で、金属ストリップ11を、カッター等を備える切断部Cpにて、所要の本数のコネクタ端子部分11aを含む所定の長さで、その幅方向(図5では左右方向)に沿って切断し、それにより得られる端子列部材12のそれぞれを、相互に所定の間隔dをおいて、たとえば両側の側方から搬送されるストリップ部材13aを所定の長さに切断して得られるキャリア部材13に順次に連結する。
その後、図示は省略するが、プレス品搬送キャリア14のコネクタ端子部分11aを樹脂材料で封止するインサート成形を行う。
この実施形態では、図7(a)に示すように、キャリア部材23は、複数個の端子列部材22を互いに間隔をおいて配置することが可能な長さLcを有する。
解析には、非線形構造解析ソフト(株式会社JSOL製のLS−DYNA)を用いた。
解析モデルは、図8に示すような、キャリア部材を表したストリップa〜fとした。これらのストリップa〜fは、スリットの有無、スリットの配設形態を、図示のように変更したものである。モデルの特性については、表1に示すとおりである。
計算条件としては、三次元シェル要素とし、形状は面であるが計算上は厚みのあるものとし、完全積分、厚み方向に5点積分とした。
剛性解析の方法としては、図9に示すように、図の左端節点の変位および回転を拘束した状態で、点Bに対してZ軸方向に荷重(F)を負荷して、点BでのZ軸方向の変位(d)を計算し、ばね乗数(k)を評価した。各ストリップa〜eにおける剛性解析の結果を、図10にグラフで示す。
図10に示すところから、スリットを設けることにより剛性が低下すること、剛性は、スリットの間隔が広いストリップb、cよりも狭いストリップd、eのほうが低下し、また、スリットを一方の側部に設けたストリップb、dよりも両側部に千鳥状に設けたストリップc、eのほうが低下することが解かる。
固有振動数解析は、図9に示すように、図の左端節点の変位および回転を拘束した状態で、固有振動数を計算することにより行った。その結果を図11に示す。
図11に示す結果より、スリットを所定の形態で設けることにより固有振動数が変化することが解かる。したがって、たとえば、装置の周波数が400Hzである場合、ストリップaでは共振が生じるが、ストリップb〜dでは共振を回避することができる。そして、ストリップeは400Hzで共振が生じるが、スリットの形態(形状等)のみを別の形態に変更すれば、共振は回避できる。しかし、スリットを設けない従来のストリップaでは、発明が解決しようとする課題の項目で説明したように、キャリアの組成、全幅、厚み等を変更することとなり、手間および時間を要するとともにコストの増大を招くことが明らかである。
そのうち、二次モードの固有振動数とばね定数との関係を、図12にグラフで示す。図12より、スリットを設けることで剛性が低下し、同一モードの固有振動数も低下することが解かる。
過渡応答の共振解析は、図13に示すように、ストリップの固定端を上下に強制的に変位させて行った。減衰係数は0.2とした。固定端に入力した正弦波は、周波数が75.00Hz、振幅が0.020mmのものとした。その結果を、図14および図15に示す。
図14及び図15に示すところから、この入力正弦波では、スリット無しのストリップaでは共振が生じたが、スリット有りのストリップb〜eでは共振が生じなかったことが解かる。なお、図14に示すところにおいて、ストリップeの変位は、入力正弦波の変位と重なった結果となった。
図17および図18より、スリットを設けることによって、特定の周波数帯の振幅が低減されることが解かり、それにより共振を軽減できると考えられる。
過渡応答の落下衝撃解析は、図19に示すように、左端を固定した状態で、モデル全体に、Z軸方向に443mm/sの初速度を与え、その後の点Bの振動を観察することにより行った。なお、この初速度は、10mmの高さから落下したときの着地速度を想定したものである。減衰係数は0.2とした。
また、速度振幅は両者で特に大差がなかったが、加速度振幅では、スリット無しのストリップaの振幅が大きくなった。加速度振幅は、剛性が低いほど、固有振動数が小さいことから減少するためである。図21に示すところからも、スリットを設けることにより加速度振幅が減少することが解かる。この結果より、スリットの配設によって、キャリア部材に搭載させるプレス品への慣性力が減少すると推察される。
伝熱解析は、図22に示すように、左端エッジの節点の温度を100℃とするとともに、左端以外の節点の温度を20℃とし、表面から大気への伝熱は生じないと仮定した上で、所定の時間の経過後に、点A〜Dの幅方向中心の温度を出力した。
ストリップd、eおよびfのそれぞれについて、加熱端からの距離と温度の関係をグラフで表すと、図23に示すように、スリットの配設位置で温度が急変していることが解かる。したがって、スリットは熱抵抗として作用することが解かった。
また、各点において、ストリップaとストリップfとの最大温度差および最大熱膨張差は、表2に示すとおりであり、7秒経過後のストリップaとストリップfとの最大温度差および最大熱膨張差は、表3に示すとおりであった。
1a、11a、21a コネクタ端子部分
2、12、22 端子列部材(プレス品)
3、13、23 キャリア部材
13a ストリップ部材
4、14、24 プレス品搬送キャリア
5 樹脂材料
6、16、26 パイロットホール
7、7a〜7h、7A〜7I、17、27 スリット
28 キャリア連結部材
Sa キャリア部材の一方の側部
Sb キャリア部材の他方の側部
Cs スリット形成周期
Cp 切断部
Lc キャリア部材23の長さ
Claims (21)
- プレス加工により成形された金属ストリップを、該金属ストリップの長手方向に沿って間欠的に送るとともに、その送り途中で、当該金属ストリップを所定の長さに切断することにより、金属ストリップからプレス品を形成し、順次に形成される当該プレス品を互いに間隔をおいて、キャリア部材に連結していき、一方向に連続するストリップ状のプレス品搬送キャリアを製造する方法であって、
前記キャリア部材に、キャリア部材を貫通するパイロットホールおよびスリットを、長手方向に所定の周期で形成する、プレス品搬送キャリアの製造方法。 - 平面視で、スリット形成周期の一周期当たりにおいて、キャリア部材の面積をS、パイロットホールの面積をP、キャリア部材とプレス品との連結領域の面積をKとしたとき、スリットの面積Aが、P≦A≦(S−P−K)×0.60の関係を満たす、請求項1に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 平面視で、キャリア部材の幅方向におけるスリットの長さを、キャリア部材の幅の0.85倍以下とする、請求項1又は2に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、長手方向に対して傾斜する向きに延びる矩形状をなす、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材の側部に開口する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材内で終端する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記キャリア部材を一枚のストリップ状とし、ストリップ状の前記キャリア部材の長手方向に互いに間隔をおいて、プレス品を連結していく、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記キャリア部材を、互いに隣り合うプレス品の相互間に配置される複数個とし、前記キャリア部材をプレス品の相互間に送り、複数個の該キャリア部材のそれぞれで、互いに隣り合うプレス品を連結していく、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記キャリア部材が、複数個のプレス品を互いに間隔をおいて配置することが可能な長さを有し、複数個のプレス品を前記キャリア部材に連結し、複数個のプレス品が連結された当該キャリア部材の複数個を相互に、該キャリア部材の長手方向の端部で連結する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- 前記金属ストリップに、相互に平行に延びる複数本のコネクタ端子部分が形成され、前記プレス品を、互いに平行に延びる複数本のコネクタ端子部分を有する端子列部材とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- プレス品搬送キャリアの端子列部材のコネクタ端子部分を樹脂材料で封止するインサート成形を行う、請求項10に記載のプレス品搬送キャリアの製造方法。
- プレス加工により成形された複数個のプレス品と、前記プレス品が互いに間隔をおいて連結されてプレス品を保持するキャリア部材とを備え、一方向に連続するストリップ状のプレス品搬送キャリアであって、
前記キャリア部材に、キャリア部材を貫通するパイロットホールおよびスリットが、長手方向に所定の周期で形成されてなるプレス品搬送キャリア。 - 平面視で、スリット形成周期の一周期当たりにおいて、キャリア部材の面積をS、パイロットホールの面積をP、キャリア部材とプレス品との連結領域の面積をKとしたとき、スリットの面積Aが、P≦A≦(S−P−K)×0.60の関係を満たす請求項12に記載のプレス品搬送キャリア。
- 平面視で、キャリア部材の幅方向におけるスリットの長さが、キャリア部材の幅の0.85倍以下である請求項12又は13に記載のプレス品搬送キャリア。
- 前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、長手方向に対して傾斜する向きに延びる矩形状をなす請求項12〜14のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリア。
- 前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材の側部に開口してなる請求項12〜15のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリア。
- 前記キャリア部材のスリット形成周期内における少なくとも一本のスリットが、キャリア部材内で終端してなる請求項12〜16のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリア。
- 一枚のストリップ状のキャリア部材に、複数個のプレス品が長手方向に間隔をおいて連結されてなる請求項12〜17のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリア。
- 複数個のキャリア部材のそれぞれが、互いに隣り合うプレス品の相互間に配置されて、それらのプレス品を連結してなる請求項12〜17のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリア。
- 前記プレス品が、相互に平行に延びる複数本のコネクタ端子部分を有する複数個の端子列部材である請求項12〜19のいずれか一項に記載のプレス品搬送キャリア。
- 端子列部材のコネクタ端子部分が樹脂材料で封止されてなる請求項20に記載のプレス品搬送キャリア。
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