JP6056711B2 - 薄板ガラスの切断方法、およびガラス物品の製造方法 - Google Patents

薄板ガラスの切断方法、およびガラス物品の製造方法 Download PDF

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本発明は、長尺の帯状に成形された薄板ガラスを長手方向に搬送しながら切断(割断)する際の、薄板ガラスの切断方法、および該薄板ガラスを含むガラス物品の製造方法の技術に関する。
近年、板ガラスの利用分野は益々広がり、フラットパネルディスプレイやスマートフォンなどの分野においては、厚みの薄い(薄肉の)薄板ガラスの需要が急速に伸びている。
前記薄板ガラスは、例えば、オーバーフロー・ダウンドロー法によって長尺・帯状に成形される。この際、成形された薄板ガラスの幅方向の両側端部には、幅方向中央部に比べて厚肉なビードが形成される。
ところで、従来から、オーバーフロー・ダウンドロー法で成形された板ガラスは、長手方向に搬送されながら、ビードを有した状態のまま幅方向に切断(割断)されて所定寸法の枚葉に切断され、その後、前記ビードを含む両側端部が、前記薄板ガラスの長手方向に切断(割断)されて除去されることにより、均一な厚さのガラス基板に形成される。
ここで、板ガラスの切断(割断)方法としては、従来から、カッターによりガラスにスクライブを形成して割断する方法が知られている。
具体的には、板ガラスのガラス面にカッター刃を押し当ててスクライブ線を形成し、該スクライブ線に沿って折り曲げることにより、板ガラスを切断(割断)している。
しかしながら、水平搬送される板厚の薄い板ガラスに対してカッターによるスクライブ割断法を用いると、カッター刃を板ガラスに押し当てた際に板ガラスが撓むため、スクライブ線を安定して形成しにくくなる。
その結果、スクライブの形成時や折り曲げ時に板ガラスが破損し易くなるという問題があった。
また、板ガラスの板厚が薄いほど、カッター刃を押し当てた際に板ガラスが破損し易くなるため、押し圧を精密に制御する必要があった。
さらに、カッターによるスクライブはガラスに微小クラックが形成され易く、例えば、後工程において薄板ガラスをロール状に巻き取る際には、このような微小クラックが破損の原因となる問題があった。
このような問題点を考慮し、板ガラスの切断(割断)方法として、近年、レーザーによりスクライブを形成する割断方法が注目されている(例えば、「特許文献1」を参照)。
レーザーによりスクライブを形成する割断方法においては、板ガラスにカッター刃を押し当てる必要がないため、カッター刃の押圧力に起因する板ガラスの破損が生じない。
特開2000−335928号公報
しかしながら、板ガラスの板厚が薄くなるほど撓みや皺が生じ易くなるため、レーザーを用いた切断方法であっても、板ガラスを良好に切断できない場合があった。
例えば、前述したようにレーザーを用いて板ガラスにスクライブを安定して形成するためには、一般的に、レーザーの焦点に板ガラスの表面が位置するよう板ガラスを搬送する必要がある。しかしながら、板ガラスの板厚が薄くなり、撓み易くなると、ガラス面がレーザーの焦点から外れ易くなる。特に、前記特許文献1のように板ガラスを水平方向に搬送する場合、シート状の薄板ガラスに皺が発生し易くなるため、ガラス面の平面度が低下し、ガラス面がレーザーの焦点から外れ易くなる。即ち、板ガラスにスクライブを安定して形成することが困難となり、切断時に板ガラスが破損し易くなるという問題があった。
また、例えば、スクライブ線と交差するような皺が板ガラスに生じていると、折り割り時にクラックがスクライブ線から外れて皺に沿って進展したり、皺の箇所でクラックの進展が停止したりする場合がある。即ち、板ガラスを所望の位置で安定して切断することが困難となるという問題があった。
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、長尺の帯状に成形された薄板ガラスを長手方向に搬送しながら切断(割断)する際の、薄板ガラスの切断方法、および該薄板ガラスを含むガラス物品の製造方法であって、該薄板ガラスを安定的に切断(割断)することが可能であり、該切断(割断)箇所の品質向上を図ることが可能な、薄板ガラスの切断方法、および該薄板ガラスを含むガラス物品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明の請求項1に係る薄板ガラスの切断方法は、長尺の帯状に成形された薄板ガラスを、長手方向に搬送しつつ切断する、薄板ガラスの切断方法であって、前記薄板ガラスの所定箇所を、前記薄板ガラスの搬送方向の下流側が下方に位置する垂直姿勢または傾斜姿勢に保持しつつ搬送し、且つ前記薄板ガラスの垂直姿勢または傾斜姿勢に保持した箇所を、切断手段によって前記搬送方向に沿って切断する切断工程を備え、前記切断工程の直前の工程として、前記薄板ガラスを長手方向に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持しつつ搬送するアーチ工程をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る薄板ガラスの切断方法は、前記切断手段は、前記薄板ガラスの切断予定線上にレーザー光線を照射するとともに、前記レーザー光線の照射位置よりも前記搬送方向下流側の位置において、前記レーザー光線が照射されて加熱された箇所を冷却することにより前記薄板ガラスの割断を行うことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る薄板ガラスの切断方法は、前記レーザー光線照射される箇所から離間した箇所において前記薄板ガラスを支持し、且つ前記レーザー光線照射される箇所において前記薄板ガラスを支持することなく前記薄板ガラスを搬送および切断することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る薄板ガラスの切断方法は、前記薄板ガラスは、前記切断手段により、前記薄板ガラスの長手方向に沿って直線状に切断され、前記切断箇所に隣接して、前記薄板ガラスの長手方向に沿って延出するガイド部材を配置し、前記ガイド部材は、前記薄板ガラスの一方主面側と他方主面側に、前記薄板ガラスを挟んで配置される一対のガイド部材であることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る薄板ガラスの切断方法は、前記ガイド部材は、前記切断箇所における前記薄板ガラスの幅方向中央部側に設けられた第一ガイド部材と、前記切断箇所における前記薄板ガラスの幅方向側端部側に設けられた第二ガイド部材と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る薄板ガラスの切断方法は、前記第一ガイド部材および第二ガイド部材各々前記薄板ガラスの主面と対向する対向面を有し、前記第二ガイド部材の対向面は、前記薄板ガラスを幅方向に断面視した場合に、前記第一ガイド部材の対向面に対して傾斜していることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る薄板ガラスの切断方法は、前記第一ガイド部材および第二ガイド部材は前記薄板ガラスの搬送方向下流側に向かうにつれて、互いに前記薄板ガラスの厚み方向へ離間するように配設されることを特徴とする。
一方、本発明の請求項8に係る薄板ガラス基板の製造方法は、請求項1から7の何れか一項に記載の薄板ガラスの切断方法を用いて前記薄板ガラスの幅方向両端部を切断することにより製品となる前記薄板ガラスの中央部を得る工程を備え、前記薄板ガラスの中央部と端部とを互いに前記薄板ガラスの厚み方向へ離間するように搬送することを特徴とする。
さらに、本発明の請求項9に係るガラス基板の製造方法は、前記薄板ガラスの中央部を幅方向に切断して薄板ガラス基板を得る工程を備えることを特徴とする。
そして、本発明の請求項10に係るガラス物品の製造方法は、前記薄板ガラスの中央部を巻取ることによりガラスロール体を得る工程を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項11に係るガラス物品の製造方法は、前記端部を前記薄板ガラスの幅方向に切断して分離し、分離された前記端部を粉砕することを特徴とする。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明の請求項1における薄板ガラスの切断方法によれば、薄板ガラスを水平状態に支持する場合に見られるような、自重による撓みや皺などが、前記薄板ガラスの平面部に発生することを防止し、薄板ガラスの切断箇所の品質向上を図ることができる。
また、本発明の請求項1における薄板ガラスの切断方法によれば、搬送途中の薄板ガラスのガラス面に、撓みや皺などが発生していたとしても、アーチ形状に変形することにより、前記薄板ガラスの撓みや皺の発生を抑制しつつ、アーチ工程の下流側では前記薄板ガラスのガラス面を平坦な状態にすることができる。
また、上流へ向けて切断線が延びる不良が発生した場合であっても、アーチ部において幅方向に延びる応力分布帯が形成されるため、切断線の延長方向が応力分布に沿うよう端部へと誘導される。したがって、切断不良がアーチ部において食い止められ、アーチ部より上流へ切断不良の被害が拡大することを防ぐことができる。
また、本発明の請求項における薄板ガラスの切断方法によれば、薄板ガラスの切断手段による切断が行われる箇所は、搬送方向下流側が下方に位置するとともに、レーザー光線が照射されて加熱された切断箇所の冷却を、レーザー光線の照射位置よりも搬送方向下流側の位置で行うため、薄板ガラスを水平状態に支持した場合のように、切断箇所を冷却する冷媒(例えば、水など)が、レーザー光線の照射箇所にまで及んで加熱不良を起こすなどの不具合を防止することができ、薄板ガラスのレーザー割断による切断箇所の品質向上を図ることができる。
また、本発明の請求項における薄板ガラスの切断方法によれば、切断手段からのレーザー照射部分には、ガラスのみが存在することとなるので、薄板ガラスのレーザー照射側とは反対側の箇所に配置された部材の損傷などに留意せずに、必要な出力にて薄板ガラスに対するレーザー照射を行うことができる。
また、レーザーにより加熱された薄板ガラスの温度が支持部材等により奪われ難くなるため、効率よく薄板ガラスを切断することができる。
また、本発明の請求項における薄板ガラスの切断方法によれば、例えば、搬送時において、薄板ガラスに与えられる振動などが切断箇所に与える影響を極力低減することが可能となり、薄板ガラスの切断箇所の品質向上を図ることができる。
また、本発明の請求項における薄板ガラスの切断方法によれば、例えば、搬送時において、薄板ガラスに与えられる振動などが切断箇所に与える影響をより低減することが可能となり、薄板ガラスの切断箇所のさらなる品質向上を図ることができる。
また、本発明の請求項における薄板ガラスの切断方法によれば、搬送される薄板ガラスの切断箇所に対して、第二ガイド部材によって適当な応力が付加されることとなり、レーザー割断を行う際の、亀裂の進行を容易にすることができる。
また、本発明の請求項における薄板ガラスの切断方法によれば、レーザー割断後の切断端部同士が接触することを防止でき、薄板ガラスの切断箇所の品質向上を図ることができる。
一方、本発明の請求項におけるガラス物品の製造方法によれば、レーザー割断直後のガラス物品(例えば、薄板ガラス)において、切断端部同士の接触を防止することができる。
また、本発明の請求項におけるガラス物品の製造方法によれば、水平状態に支持されたガラス物品(例えば、薄板ガラス)に多く見られるような、自重による影響を受けてガラス面に撓みや皺などが発生することも少なく、このような薄板ガラスを所定寸法の枚葉に切断することで、該切断箇所の品質向上を図った薄板ガラス基板を得ることができる。
また、本発明の請求項10におけるガラス物品の製造方法によれば、水平状態に支持された薄板ガラスに多く見られるような、自重による影響を受けてガラス面に撓みや皺などが発生することも少なく、このような薄板ガラスの両側端部を切断・破棄し、その後、巻取ることにより、該切断箇所の品質向上を図ったガラスロール体を得ることができる。
また、本発明の請求項11におけるガラス物品の製造方法によれば、薄板ガラスより切断・破棄された両側端部は、直ちに粉砕されるため、例えば、前記両側端部の一時的な保管場所も省スペースですみ、経済的である。
本発明に係る薄板ガラスの切断方法を具現化する、薄板ガラスの搬送装置の一実施形態であって、その全体的な構成を示した概略側面図。 同じく、搬送装置の全体的な構成を示した斜視図。 レーザー割断装置の近傍を示した図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)中の矢印Bから見た平面図。 レーザー割断装置の近傍を示した図であって、図3(b)の矢印Cから見た正面図。 ガイド部材の配置姿勢に関して異なる、別実施形態におけるレーザー割断装置の近傍を示した側面図。 薄板ガラスの搬送方向への撓みの状態を示した図であって、(a)は水平状態に保持された薄板ガラスの撓みの状態を示した側面図、(b)はアーチ状態に保持された薄板ガラスの撓みの状態を示した側面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
[搬送装置1]
先ず、本発明を具現化する搬送装置1の全体構成について、図1、図2、および図6を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図1、図2、および図6の上下方向を搬送装置1または薄板ガラス100の上下方向と規定して記述する。
また、図1、図2、および図6においては、矢印Aの方向を薄板ガラス100の搬送方向と規定して記述する。
本実施形態における搬送装置1は、例えば0.2[mm]以下の厚み寸法からなる、長尺の帯状に成形された薄板ガラス100を、長手方向に沿って連続的に搬送するとともに、該薄板ガラス100に切断加工(より具体的には、割断加工)を施すための装置である。
搬送装置1は、図1に示すように、薄板ガラス100の搬送方向(矢印Aの方向)に沿って順に配置される、下降ゾーン11、第一カテナリーゾーン12、第一アーチゾーン13、第一切断ゾーン14、第二カテナリーゾーン15、第二アーチゾーン16、および第二切断ゾーン17などにより構成される。
下降ゾーン11は、薄板ガラス100が搬送装置1に供給される際の導入路として設けられるゾーンである。
下降ゾーン11の前記搬送方向の上流側、即ち搬送装置1の上流側且つ上方には、例えば、オーバーフロー・ダウンドロー法に基づく成形装置(図示せず)が配設される。
そして、薄板ガラス100は、前記成形装置によって帯状に成形されながら鉛直下方へと引き出され、搬送装置1の下降ゾーン11に供給される。
なお、搬送装置1への薄板ガラス100の供給については、本実施形態に示されるような、前記成形装置によって成形された直後の薄板ガラス100を供給する場合に限定されず、例えば、予め巻回された薄板ガラス100のロール(図示せず)より、該薄板ガラス100を順次繰り出しながら供給することとしてもよく、その場合には製品を幅方向に分割することができる。
ところで、オーバーフロー・ダウンドロー法によって成形された薄板ガラス100の幅方向(搬送方向と直交する方向)の両側端部には、幅方向中央部に比べて肉厚なビードが形成される。
ここで、薄板ガラス100の中央部は、厚み寸法が0.2mm以下と極めて薄いため、肉厚差の大きな両側端部のビードまで横断するように、幅方向に一直線状のスクライブ線(割断線)を安定して形成することが困難である。
このようなことから、両側端部にビードを有する長尺・帯状の薄板ガラス100を、所定寸法の枚葉に切断(割断)する場合においては、前記両側端部を予め切断(割断)しておくことが考えられる。
そして、後述するように、本実施形態における搬送装置1においては、第二切断ゾーン17の第二切断工程にて薄板ガラス100を所定寸法の枚葉に切断(割断)する以前に、第一切断ゾーン14の第一切断工程にて、切断(割断)後の品質向上を図りつつ、前記薄板ガラス100の両側端部を予め切断(割断)することとしている。
次に、第一カテナリーゾーン12について説明する。
第一カテナリーゾーン12は、搬送装置1に供給され下降ゾーン11を通過した薄板ガラス100の、バッファー領域となるゾーンである。
第一カテナリーゾーン12において、薄板ガラス100は、搬送方向(長手方向)に沿って下方に湾曲するカテナリー形状となるように懸吊される。
つまり、薄板ガラス100は、第一カテナリーゾーン12を通過する際に、第一カテナリーゾーン12の上流側端部および下流側端部にて懸吊され、カテナリー形状に変形および保持される。
このように、第一カテナリーゾーン12は、後述する第一アーチ工程の直前の工程として、薄板ガラス100を、長手方向に沿って下方に湾曲するカテナリー形状に変形および保持する、第一カテナリー工程が実施されるゾーンである。
これにより、例えば、第一カテナリーゾーン12の上流側に位置する下降ゾーン11において、流下する薄板ガラス100の搬送速度が徐々に変動し、該薄板ガラス100の単位時間当たりの流量が変化したとしても、第一カテナリーゾーン12において、前記流量の変化に応じて薄板ガラス100のカテナリー形状の下端部が上下動することにより、途中の薄板ガラス100への応力の作用を抑制することができる。
即ち、薄板ガラス100の単位時間当たりの流量の変動による影響を、第一カテナリーゾーン12において吸収することができ、前記流量の変動による影響が、後述する下流側の第一アーチゾーン13等にまで及ぶのを防止することができる。
また、例えば、下降ゾーン11において、流下する薄板ガラス100に蛇行が生じたとしても、第一カテナリーゾーン12において、薄板ガラス100のカテナリー形状に捻りが発生することにより、前記蛇行による影響を、前記第一カテナリーゾーン12において吸収することができ、前記蛇行による影響が、後述する下流側の第一アーチゾーン13等にまで及ぶのを防止することができる。
このように、第一カテナリーゾーン12は、上流側の下降ゾーン11と、下流側の第一アーチゾーン13との間における単位時間当たりの流量の変動や蛇行などの、搬送状態の関係を断ち切るバッファー領域として設けられる。
次に、第一アーチゾーン13について説明する。
第一アーチゾーン13は、薄板ガラス100のガラス面に発生した皺などを矯正しつつ、有効面(後に製品として使用される面)に触れることなく両側端部のみで搬送するためのゾーンである。
第一アーチゾーン13には、第一保持装置31が備えられる。
ここで、前記第一保持装置31は、複数のボールキャスター31a・31a・・・を有している。ボールキャスター31a・31a・・・は、薄板ガラス100の搬送方向(長手方向)に沿って上方に湾曲するアーチ形状に一列に配列されるとともに、前記アーチ形状の列が、薄板ガラス100の幅方向(短手方向)に沿って互いに平行となる姿勢で複数列配列されるように配設される。
そして、第一アーチゾーン13において、薄板ガラス100は、第一保持装置31によって下方から支持されている。これにより、薄板ガラス100は、搬送方向(長手方向)に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持されている。
つまり、薄板ガラス100は、第一アーチゾーン13を通過する際に、第一保持装置31によって、アーチ形状に変形および保持される。
このように、第一アーチゾーン13は、薄板ガラス100の搬送経路上の所定位置において、薄板ガラス100の搬送方向における途中部を、長手方向に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持しながら搬送する、第一アーチ工程が実施されるゾーンである。
そして、第一アーチゾーン13にてアーチ形状に変形されることにより、薄板ガラス100の上側のガラス面には、搬送方向に沿った張力が加えられることとなり、該ガラス面に発生した皺などが効果的に矯正される。
また、第一アーチゾーン13にてアーチ形状に保持されることにより、薄板ガラス100の幅方向の撓みに対する剛性は一般的に向上するとともに、後述するように、搬送方向の撓みに対する剛性も向上することから、薄板ガラス100のガラス面上における新たな撓みや皺の発生が抑制される。
こうして、薄板ガラス100は、第一アーチゾーン13の下流側において、前記ガラス面を平坦な状態にすることができる。
ところで、このようなアーチ形状に変形されることにより、薄板ガラス100の幅方向における剛性は飛躍的に向上する。
即ち、水平状態に保持された薄板ガラス100は、幅方向における剛性が低いため、例えば、自重等によって、幅方向の中央部に撓みを生じやすい。
これに対して、アーチ形状に保持された薄板ガラス100は、幅方向における剛性が飛躍的に向上するため、例えば、自重や外部からの荷重などによっても幅方向の中央部に撓みを生じにくい。
なお、これらのことは、一般的に板状部材に比べて円筒部材等の方が、軸心方向への外力に対する剛性に優れていることからも明らかである。
一方、アーチ形状に保持されることにより、薄板ガラス100の搬送方向における剛性も飛躍的に向上するが、それは、以下の理由によるものと考えられる。
即ち、図6(a)に示すように、水平状態に保持された薄板ガラス100(以下、「薄板ガラス100X」と記載する)において、例えば、垂直荷重Wが付加されると、該薄板ガラス100Xの内部には、曲げ応力mが発生し、搬送方向に湾曲する撓みXが発生する。
一方、図6(b)に示すように、アーチ形状に保持された薄板ガラス100(以下、「薄板ガラス100Y」と記載する)において、例えば、垂直荷重Wが付加されると、該薄板ガラス100Yの内部には、圧縮応力pが発生し、該圧縮応力pが垂直荷重Wに抵抗するため撓みの発生が少なくなる。
このようなことから、撓みの発生を極力防ぎつつ保持可能な垂直荷重(耐荷重)Wの値は、水平状態の薄板ガラス100Xに比べて、アーチ形状の薄板ガラス100Yの方が大きいことから、アーチ形状に保持されることにより、薄板ガラス100の搬送方向における剛性は向上すると言える。
このように、アーチ形状に保持された薄板ガラス100Yにおいては、幅方向、および搬送方向における剛性が向上し、耐荷重も増加することから、不意に外部より加えられる、衝撃や振動などの外乱に対しても、十分に対抗することが可能となる。
なお、前記薄板ガラス100Yの、幅方向、および搬送方向における剛性の程度は、アーチ形状の半径寸法に基づき決定される。
このような点を踏まえ、本実施形態においては、図1に示すように、第一アーチゾーン13の下流側端部に第一繰出装置32を配設し、該第一繰出装置32によって、薄板ガラス100の幅方向の両側端部のみを支持しつつ、薄板ガラス100を、後述する第一切断ゾーン14に向かって搬送することとしている。
具体的には、図2に示すように、第一繰出装置32・32は、薄板ガラス100の幅方向の両側端部に配設される。
各第一繰出装置32には、二本の繰出ローラー32a・32bが備えられる。
前記二本の繰出ローラー32a・32bは、薄板ガラス100の幅方向の側端部を挟持するようにして、互いに対向して配置される。
また、前記二本の繰出ローラー32a・32bは、軸心を中心にして回転可能に支持されるとともに、一方の繰出ローラー32aには、図示せぬ駆動機構部が連結されている。
そして、前記駆動機構部より伝達される駆動力によって、繰出ローラー32aが回転駆動される。
これにより、薄板ガラス100は、二本の繰出ローラー32a・32bによって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第一切断ゾーン14(図1を参照)へと搬送される。
このように、本実施形態においては、薄板ガラス100を搬送する際、薄板ガラス100のガラス面全体を支持するのではなく、前記ガラス面の幅方向の両側端部のみを支持することとしている。
つまり、本実施形態においては、薄板ガラス100を支持する箇所として、有効面つまり幅方向中央部のガラス面を避ける一方、最終的に破棄されるビードを含んだ左右両側端部を支持していることから、前記ガラス面に対する傷の発生や粉塵の付着などが避けられ、薄板ガラス100の品質向上を図ることができるのである。
次に、第一切断ゾーン14について説明する。
第一切断ゾーン14は、薄板ガラス100におけるビードを含んだ幅方向の両側端部を、搬送方向に沿って切断(割断)するためのゾーンである。
第一切断ゾーン14の上流部において、薄板ガラス100の幅方向の両側端部には、後述する切断手段としてのレーザー割断装置41や、ガイド部材42が配設される。
そして、第一切断ゾーン14において、上流側の第一アーチゾーン13(図1を参照)より第一繰出装置32によって繰り出された薄板ガラス100は、ガイド部材42によって搬送方向を規制されつつ、斜め下方に向かって搬送される。
この際、薄板ガラス100は、レーザー割断装置41の直下を通過することにより、該レーザー割断装置41によってレーザー割断される。
その結果、薄板ガラス100は、レーザー割断装置41によって形成された割断線100aを境にして、幅方向の中央部に位置し、後に製品として使用される有効面(以下、適宜「製品部薄板ガラス100A」と記載する)と、幅方向の両側端部に位置し、最終的に破棄されるビードを含んだ部分(以下、適宜「破棄部薄板ガラス100B」と記載する)とに分断される。
そして、分断された製品部薄板ガラス100Aは、第一切断ゾーン14の下流側端部、且つ製品部薄板ガラス100Aの幅方向の両側端部に配設される第二繰出装置43・43によって、後述する第二カテナリーゾーン15(図1を参照)へと搬送される。
一方、分断された破棄部薄板ガラス100Bは、例えば、ベルトコンベア44および駆動ローラー45などによって、強制的に斜め下方に向かって搬送され、その後、自重によって折り割りされ、スクラップとして破棄される。
つまり、第一切断ゾーン14において、薄板ガラス100の端部(幅方向の両側端部)は、切断されて該薄板ガラスの幅方向に分離され、分離された前記端部(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)は粉砕されて、スクラップとして破棄される。
なお、破棄部薄板ガラス100Bを折り割る際には、カッターによりスクライブを成形した後に折り割ってもよいし、スクライブを形成することなく折り割ってもよい。
また、破棄部薄板ガラス100Bを折り割る際には、自重により折り割ってもよいし、棒状部材を押し当てる等して機械的に折り割ってもよい。
このように、第一切断ゾーン14は、薄板ガラス100の搬送経路上の所定位置において、薄板ガラス100の所定箇所を、該薄板ガラス100の搬送方向の下流側が下方に位置する傾斜姿勢(斜め下方に延出した状態)に保持しつつ搬送し、且つ該薄板ガラス100の傾斜姿勢に保持した箇所を、レーザー割断装置41によって前記搬送方向に沿って切断する第一切断工程が実施されるゾーンである。
つまり、第一切断ゾーン14においては、後述するレーザー割断装置41によるレーザー割断方法(切断方法)を用いて、薄板ガラス100の幅方向の両端部(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)を切断および分離することにより、前記薄板ガラス100の中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を得る第一切断工程が実施される。
換言すると、第一切断ゾーン14において、薄板ガラス100は、第一繰出装置32によって繰り出された後、斜め下方に向かって搬送され、レーザー割断装置41によって、幅方向の両側端部を割断される構成となっている。
よって、薄板ガラス100は、第一繰出装置32からレーザー割断装置41の直前に渡って、斜め下方に延出した状態に保持されるため、自重による影響を受け難く、ガラス面における新たな撓みや皺の発生が抑制され、第一アーチゾーン13によって矯正された、平坦な状態にガラス面が維持される。
従って、本実施形態における搬送装置1においては、このような平坦な状態にガラス面が維持された薄板ガラス100に対して、レーザー割断を行うことができるため、割断後の薄板ガラス100の品質向上を図ることができるのである。
また、前述したように、第一切断ゾーン14の上流側に配設される、第一カテナリーゾーン12や第一アーチゾーン13(図1を参照)において、薄板ガラス100は、カテナリー形状およびアーチ形状に、連続して保持されることにより、搬送方向に沿って、各々下方および上方に向かって湾曲されることとなる。
従って、第一切断ゾーン14において、たとえ、レーザー割断装置41によるレーザー割断に、切断ミスが発生したとしても、該切断ミスの悪影響(例えば、亀裂など)を、第一カテナリーゾーン12や第一アーチゾーン13にて堰き止めて、上流側の下降ゾーン11(図1を参照)にまで伝達するのを防止することができる。
なお、本実施形態においては、第一切断ゾーン14における、薄板ガラス100の搬送姿勢を傾斜姿勢としているが、これに限定されず、例えば、搬送方向の下流側が下方に位置する垂直姿勢としてもよい。
また、第一カテナリーゾーン12や第一アーチゾーン13を形成しない構成としてもよい。
ところで、第二繰出装置43は、前述した第一繰出装置32と略同等に構成される。
即ち、第二繰出装置43には、互いに対向して配置される二本の繰出ローラー43a・43bが備えられるとともに、一方の繰出ローラー43aには、図示せぬ駆動機構部が連結される。
そして、前記駆動機構部より伝達される駆動力によって、繰出ローラー43aが回転駆動される。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、二本の繰出ローラー43a・43bによって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第二カテナリーゾーン15(図1を参照)へと搬送される。
なお、第二繰出装置43によって繰り出された製品部薄板ガラス100Aは、第二カテナリーゾーン15に搬送されることなく、直ちに巻回されて、ロール100Cを形成することとしてもよい。
この場合、後述する第二カテナリーゾーン15に代替して、薄板ガラスの中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を所定の長さで巻取りおよび切断することによりロール(ガラスロール体)100Cを得る巻取り切断工程が実施されるゾーンが、第一切断ゾーンの下流部に配設されることとなる。
次に、第二カテナリーゾーン15について説明する。
第二カテナリーゾーン15は、前述した第一切断ゾーン14によって切断(割断)された製品部薄板ガラス100Aの、バッファー領域となるゾーンである。
第二カテナリーゾーン15は、前述した第一カテナリーゾーン12と略同等に構成される。
即ち、図1に示すように、第二カテナリーゾーン15において、製品部薄板ガラス100Aは、搬送方向(長手方向)に沿って下方に湾曲するカテナリー形状となるように懸吊される。
つまり、製品部薄板ガラス100Aは、第二カテナリーゾーン15を通過する際に、第二カテナリーゾーン15の上流側端部および下流側端部にて懸吊されて、カテナリー形状に変形および保持される。
このように、第二カテナリーゾーン15は、後述する第二アーチ工程の直前の工程として、製品部薄板ガラス100Aを、長手方向に沿って下方に湾曲するカテナリー形状に変形および保持する、第二カテナリー工程が実施されるゾーンである。
これにより、例えば、第二カテナリーゾーン15の下流側に位置する第二切断ゾーン17の第二切断工程によって製品部薄板ガラス100Aの搬送が停止し、または搬送速度が変動したとしても、カテナリー形状の下端部が上下動することにより、搬送途中の製品部薄板ガラス100Aへの応力の作用を抑制することができる。
また、例えば、第一切断ゾーン14の下流側において、搬送途中の製品部薄板ガラス100Aに蛇行が生じたとしても、第二カテナリーゾーン15において、製品部薄板ガラス100Aのカテナリー形状に捻りが発生することにより、前記蛇行による影響を、前記第二カテナリーゾーン15において吸収することができる。
このように、第二カテナリーゾーン15は、上流側の第一切断ゾーン14と、下流側の第二アーチゾーン16との間における搬送速度の変動や蛇行などの搬送状態の関係を断ち切るバッファー領域として設けられる。
そして、図2に示すように、第二カテナリーゾーン15の下流側端部、且つ幅方向の両側端部には、前述した第二繰出装置43・43と同等な構成からなる第三繰出装置51・51が配設される。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、これらの第三繰出装置51・51によって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第二アーチゾーン16(図1を参照)へと搬送される。
次に、第二アーチゾーン16について説明する。
第二アーチゾーン16は、後述する第二切断工程で発生する振動等の、前記第一切断工程への伝達を防止するためのゾーンである。
また、第二アーチゾーン16は、製品部薄板ガラス100Aを持ち上げることによって、第二切断工程を設けるスペースを確保する機能も有する。
第二アーチゾーン16は、前述した第一アーチゾーン13と略同等に構成される。
即ち、図1に示すように、第二アーチゾーン16には、前述した第一保持装置31と略同等の構成からなる第二保持装置61が備えられる。
そして、製品部薄板ガラス100Aは、第二アーチゾーン16において、第二保持装置61によって下方から支持されている。これにより、製品部薄板ガラス100Aは、搬送方向(長手方向)に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持されている。
つまり、製品部薄板ガラス100Aは、第二アーチゾーン16を通過する際に、第二保持装置61によって、アーチ形状に変形および保持される。
このように、第二アーチゾーン16は、製品部薄板ガラス100Aの搬送経路上の所定位置において、製品部薄板ガラス100Aの搬送方向における途中部を、長手方向に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持しながら搬送する、第二アーチ工程が実施されるゾーンである。
そして、第二アーチゾーン16にてアーチ形状に保持されることにより、製品部薄板ガラス100Aの幅方向の撓みに対する剛性は一般的に向上するとともに、前述したように、搬送方向の撓みに対する剛性も向上することから、製品部薄板ガラス100Aのガラス面上における新たな撓みや皺の発生が抑制される。
こうして、製品部薄板ガラス100Aは、第二アーチゾーン16の下流側において、前記ガラス面を平坦な状態にすることができる。
このような点を踏まえ、本実施形態においては、図1に示すように、第二アーチゾーン16の下流側端部に第四繰出装置62を配設し、該第四繰出装置62によって、製品部薄板ガラス100Aのガラス面の中央部を避ける一方、幅方向の両側端部のみを支持し、製品部薄板ガラス100Aを、後述する第二切断ゾーン17に向かって搬送することとしている。
これにより、製品部薄板ガラス100Aのガラス面に対する傷の発生や粉塵の付着などが避けられ、製品部薄板ガラス100Aの品質向上を図ることができる。
具体的には、図2に示すように、第二アーチゾーン16の下流側端部、且つ幅方向の両側端部には、前述した第二繰出装置43・43と同等な構成からなる第四繰出装置62・62が配設される。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、これらの第四繰出装置62・62によって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第二切断ゾーン17(図1を参照)へと搬送される。
次に、第二切断ゾーン17について説明する。
第二切断ゾーン17は、製品部薄板ガラス100Aを、所定寸法の枚葉に切断(割断)して、薄板ガラス基板を得るためのゾーンである。
第二切断ゾーン17の上流部には、図1に示すように、カッター割断装置71が配設される。
前記カッター割断装置71は、ホイール工具71Aを用いた割断装置であて、ホイール工具71Aを押し当てながら移動させてスクライブ線100b(図2を参照)を形成し、該スクライブ線100bに沿って折り曲げることにより、製品部薄板ガラス100Aを割断する装置である。
なお、本実施形態においては、第二切断ゾーン17における製品部薄板ガラス100Aの切断(割断)方法として、カッター割断装置71によるカッター切断(割断)を採用するが、これに限定されるものではなく、例えば、従来から周知である、レーザー光によるレーザー切断(割断)を採用することとしてもよい。
カッター割断装置71は、軸心を中心にして回転可能に支持されるホイール工具71Aや、製品部薄板ガラス100Aを保持する複数の保持手段71B・71B・・・などにより構成される。
なお、本実施形態においては、前記各保持手段71Bとして、既知のチャッキング機構をもって構成することとしているが、これに限定されず、例えば吸着パッドなど、別の機構をもって構成することとしてもよい。
そして、図2に示すように、第二切断ゾーン17の上流部において、ホイール工具71Aは、軸心方向を上下方向に向けて、製品部薄板ガラス100Aの幅方向、および該製品部薄板ガラス100Aとの近接離間方向に、それぞれ往復移動可能に配設される。
また、保持手段71B・71B・・・は、製品部薄板ガラス100Aの幅方向両側において、上下方向に所定の間隔を有して互いに配設されるとともに、製品部薄板ガラス100Aの側端部を各々挟持可能に配設される。
このような構成からなる第二切断ゾーン17において、製品部薄板ガラス100Aは、第四繰出装置62によって、前述した第二アーチゾーン16より繰り出され、直下方向に向かって搬送される。
そして、製品部薄板ガラス100Aの搬送距離が、予め定められた所定の距離に到達すると、第四繰出装置62は一旦停止する。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、第四繰出装置62より所定の長手方向寸法分だけ繰り出された状態によって、吊設される。
第四繰出装置62が停止すると、製品部薄板ガラス100Aは、保持手段71B・71B・・・によって両側端部を挟持され、垂直状態に保持される。
その後、ホイール工具71Aの押圧動作によって、製品部薄板ガラス100Aの上流側に、幅方向に延出する一直線状のスクライブ線100bが形成される。
製品部薄板ガラス100Aにスクライブ線100bが形成されると、保持手段71B・71B・・・は、互いに同調しながら、所定の方向(例えば、本実施形態においては、製品部薄板ガラス100Aの厚み方向)に僅かに移動を開始する。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、スクライブ線100bに沿って折り曲げられ、所定寸法の枚葉に切断(割断)され、薄板ガラス基板が得られるのである。
その後、製品部薄板ガラス100Aの切断(割断)が終了すると、再び、第四繰出装置62が駆動され、製品部薄板ガラス100Aの搬送および切断(割断)が繰返される。
このように、第二切断ゾーン17は、薄板ガラス100の搬送経路上の最下流側の位置において、カッター割断装置71によって、製品部薄板ガラス100Aを所定寸法の枚葉に切断(割断)する第二切断工程が実施されるゾーンである。
つまり、第二切断ゾーン17においては、カッター割断装置71による割断方法(切断方法)を用いて、薄板ガラス100の中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を幅方向に切断して、所定寸法の枚葉からなる薄板ガラス基板を得る切断工程が実施される。
換言すると、第二切断ゾーン17において、製品部薄板ガラス100Aは、第四繰出装置62によって繰り出されつつ直下方向に搬送された後、垂直状態に保持され、カッター割断装置71によって、所定寸法の枚葉に切断(割断)される構成となっている。
よって、製品部薄板ガラス100Aは、自重による影響を受け難く、ガラス面に新たな皺など発生することが殆どないばかりか、前記第二アーチゾーン16(図1を参照)によって矯正された、きれいな状態にガラス面が維持される。
従って、本実施形態における搬送装置1においては、このようなきれいな状態にガラス面が維持された製品部薄板ガラス100Aに対して、スクライブによる割断を行うことができるため、割断後の製品部薄板ガラス100の品質向上を図ることができるのである。
なお、第二切断ゾーン17において、第四繰出装置62を停止させて、製品部薄板ガラス100Aの切断(割断)を行う際は、第二アーチゾーン16における製品部薄板ガラス100Aの弛みの発生を防止するために、第三繰出装置51も、あわせて停止させる。
この際、第二繰出装置43は、依然として駆動状態にあり、製品部薄板ガラス100Aが、第一切断ゾーン14より継続して繰り出される。
ここで、第二カテナリーゾーン15において、カテナリー形状にある製品部薄板ガラス100Aの下端部の位置が下降することにより、新たに第一切断ゾーン14より繰り出された分の製品部薄板ガラス100Aを、第二カテナリーゾーン15にて吸収することができるため、第三繰出装置51および第四繰出装置62を停止させたことによる影響が、第一切断ゾーン14を含む上流側の各ゾーン11・12・13にまで及ぶのを防止することができる。
換言すると、第二カテナリーゾーン15において、第一切断ゾーン14より繰り出される製品部薄板ガラス100Aを、一時的に留めることによって、上流側の各ゾーン11・12・13・14における稼動を停止させることなく、第二切断ゾーン17にて、製品部薄板ガラス100Aを停止させて、所定寸法の枚葉に切断(割断)することが可能になる。
また、前述したように、第二切断ゾーン17の上流側に配設される、第二カテナリーゾーン15や第二アーチゾーン16(図1を参照)において、製品部薄板ガラス100Aは、カテナリー形状およびアーチ形状に、連続して保持されるところ、この際、製品部薄板ガラス100Aは、搬送方向に沿って、各々下方および上方に向かって湾曲される。
従って、第二切断ゾーン17において、たとえ、カッター割断装置71による切断(割断)によって振動が発生したとしても、該振動の悪影響(例えば、共鳴など)を、第二カテナリーゾーン15や第二アーチゾーン16を介して堰き止められることとなり、上流側の第一切断ゾーン14(図1を参照)にまで伝達するのを防止することができる。
[レーザー割断装置41]
次に、レーザー割断装置41の構成について、図3を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図3(a)の上下方向を、レーザー割断装置41を備えた搬送装置1の上下方向と規定して記述する。
また、図3(a)(b)においては、矢印Aの方向を薄板ガラス100の搬送方向と規定して記述する。
レーザー割断装置41は、レーザー光線を利用した割断装置であって、レーザー光線の照射によって熱応力を発生させた直後に、該熱応力の発生箇所を急激に冷却して亀裂を発生させることにより、薄板ガラス100を割断する装置である。
ここで、レーザー割断装置41によるレーザー割断方法のメカニズムについて説明する。
図3(a)に示すように、レーザー割断装置41には、図示せぬレーザー光線照射手段が内装されており、搬送途中の薄板ガラス100の切断予定線(より具体的には、後に割断線100a(図3(b)を参照)が形成される予定の線)上において、前記薄板ガラス100の該当箇所が所望の温度となるように、前記レーザー光線照射手段によってレーザー光線Lが継続的に照射される。
これにより、図3(b)に示すように、薄板ガラス100の幅方向の側端部には、レーザー光線Lによるビーム痕C・C・・・が、該薄板ガラス100の搬送方向に沿って直線状に複数形成される。
ここで、薄板ガラス100の表面は、ビーム痕Cの形成によって溶融または破壊しない程度に局部的に加熱されて膨張しようとするが、前記ビーム痕Cの周囲の加熱されていない領域によって、前記膨張は拘束される。
その結果、薄板ガラス100の表面のビーム照射部には、強い圧縮応力qが作用する。
一方、ビーム痕Cを介して薄板ガラス100の表面上に加えられた熱量は、時間の経過とともに薄板ガラス100の幅方向、および内部へと徐々に伝導される。
そして、図3(a)に示すように、レーザー割断装置41には、図示せぬ冷媒照射手段が内装されており、該冷媒照射手段によって、例えば水などからなる冷媒Rが、レーザー光線Lの照射終了位置Caより搬送方向下流側に向かって寸法xだけ離間した位置Jに、局部的に照射されることにより、薄板ガラス100の表面のビーム照射部は冷却される。
その結果、薄板ガラス100の表面温度は急激に下降する一方、該薄板ガラス100の内部温度が高温のままとなり、前記薄板ガラス100の厚み方向に向かって、温度勾配が形成される。
こうして、前記温度勾配が形成されることにより、薄板ガラス100の表面には、図3(b)に示すような引張応力tが作用することとなる。
そして、前記温度勾配の形成が、薄板ガラス100の表面から内部の深層にまで進むにつれて、該薄板ガラス100の表面に作用する引張応力tも益々強くなる。ここで、予めカッターなどでレーザー照射位置の上流側にて亀裂を入れておくことにより、薄板ガラス100の破壊靭性値を超えて、亀裂kが進行していく。
この亀裂kが割断線100a(図2を参照)となって、薄板ガラス100を分断すると考えられている。
以上のように、第一切断ゾーン14(図1を参照)に配設される、切断手段としてのレーザー割断装置41は、薄板ガラス100の切断予定線上にレーザー光線Lを照射するとともに、前記レーザー光線Lの照射位置よりも前記搬送方向下流側の位置において、前記レーザー光線Lが照射されて加熱された箇所を冷却することにより、薄板ガラス100の割断を行う構成となっている。
この際、従来のように、例えば熱伝導性に優れた金属などからなる保持部材を用いて、薄板ガラス100の背面(レーザー割断装置41側との対向側の面)を保持することとすれば、レーザー光線Lによる熱量の殆どが、前記薄板ガラス100を通過して前記保持部材に吸収されることとなる。
よって、必要な温度勾配が薄板ガラス100に形成され難く、該薄板ガラス100に対して十分なレーザー割断を行うことは、困難であった。
これに対して、本実施形態における搬送装置1においては、前述したように、例えば第一繰出装置32・32によって、薄板ガラス100の幅方向の両側端部のみを支持する構成となっている。
換言すると、少なくともレーザー割断装置41によるレーザー照射位置の周辺に、接触物を設けることなく薄板ガラス100を保持することが可能であり、レーザー光線Lが照射される箇所において前記薄板ガラス100を支持することなく、前記薄板ガラス100を安定的に搬送および切断することができる。
また、レーザー割断装置41によるレーザー照射位置の周辺には、薄板ガラス100以外の物が存在しないため、該薄板ガラス100の前記背面近傍の損傷など気にすることなく、十分な高出力をもって前記レーザー光線Lを照射することが可能となる。
さらに、本実施形態における搬送装置1においては、第一切断ゾーン14(図1を参照)にて、レーザー割断装置41によるレーザー割断を行うところ、前述したように、割断される薄板ガラス100は、斜め下方に延出した状態に保持されるため、水平状態に保持された場合のように、不意に冷媒Rがビーム痕Cに及ぶことも少なく、レーザー光線Lが照射される箇所の加熱障害を防止することができる。
[ガイド部材42]
次に、ガイド部材42の構成について、図1、図3、図4、および図5を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図4、および図5の上下方向を、ガイド部材42を備えた搬送装置1の上下方向と規定して記述する。
また、図5においては、矢印Aの方向を薄板ガラス100の搬送方向と規定して記述する。
ガイド部材42は、レーザー割断装置41によって薄板ガラス100を割断する際、該薄板ガラス100の姿勢を保持して、該薄板ガラス100に発生する振動を極力抑えることにより、高品質な切断面(割断面)を確保するための部材である。
具体的には、図1において、第一切断ゾーン14を通過する際の薄板ガラス100には、例えば、第一繰出装置32(または、第二繰出装置43)や、第一切断ゾーン14の上流側(より具体的には、第一アーチゾーン13)または下流側(より具体的には、第二カテナリーゾーン15)にて各々実施される第一アーチ工程または第二カテナリー工程などの影響により、振動が発生する場合がある。
よって、このような振動を確実に抑えることができれば、第一切断ゾーン14において、高品質な切断面(割断面)を確保しつつ、レーザー割断装置41によって薄板ガラス100にレーザー割断を行うことが可能となる。
ここで、本実施形態における搬送装置1によって行われる各切断工程(第一切断工程および第二切断工程)は、何れもさらに後の工程によって所定の製品寸法に切断するための粗切工程であり、第一切断ゾーン14における薄板ガラス100においては、例えば、支持部材などの他の部材が任意に接触可能な領域(より具体的には、割断線100aの近傍、およびビードを含む両側端部)が存在する。
そこで、本実施形態においては、第一切断ゾーン14における薄板ガラス100が、斜め下方に延出した状態によって保持されることから、例えば、水平状態に保持される場合のような、薄板ガラス100のガラス面全体を支持する必要もなく、前述した、他の部材が任意に接触可能な領域を利用して、ガイド部材42によって、確実に薄板ガラスを保持することとしている。
その結果、薄板ガラス100に発生し得る振動は、ガイド部材42によって効果的に抑制されることから、本実施形態における搬送装置1によれば、高品質な切断面(割断面)を確保しつつ、レーザー割断装置41によって、薄板ガラス100にレーザー割断を行うことが可能なのである。
ガイド部材42は、図3(a)および図3(b)に示すように、例えば矩形状の板状部材によって形成される。
なお、ガイド部材42は、薄板ガラス100と接触する表面が滑らに、また該薄板ガラス100に傷を付けにくい材質を用いて形成されることが望ましい。
そして、薄板ガラス100の幅方向の各側端部には、複数本(本実施形態においては、四本)のガイド部材42・42・42・42が、前記薄板ガラス100の搬送方向に沿って斜め下方に延出しつつ、第一繰出装置32の下流側近傍に配設される。
また、薄板ガラス100の各側端部の背面側(下面側)、且つ第一繰出装置32の下流側近傍には、前述したベルトコンベア44の従動軸44a(図3(a)を参照)が配置されており、ビードへの応力の発生等を考慮して、前記側端部の背面側を、前記ベルトコンベア44の搬送側ベルトを介して、極力広い面積によって支持することとしている。
このように、これらのガイド部材42・42・42・42は、二本一組として二組備えられ、各組における二本のガイド部材42・42は、間に薄板ガラス100を挟みつつ、互いに対向するようにして上下に配設される。
具体的には、一方の組のガイド部材42・42(以下、適宜「内側ガイド部材42A・42A」と記載する)は、薄板ガラス100の幅方向における割断線100aよりも内側に配置され、薄板ガラス100(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を間に挟みつつ、上下方向に互いに対向して配置される。
また、他方のガイド部材42・42(以下、適宜「外側ガイド部材42B・42B」と記載する)は、薄板ガラス100の幅方向における割断線100aよりも外側に配置されるとともに、前記薄板ガラス100の下方に位置する外側ガイド部材42Bが、ベルトコンベア44の搬送側ベルトの下方に配置され、薄板ガラス100(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)および前記搬送側ベルトを同時に間に挟みつつ、上下方向に互いに対向して配置される。
そして、図3(b)に示すように、薄板ガラス100の表面側(レーザー割断装置41が配設される側)においては、内側ガイド部材42Aおよび外側ガイド部材42Bが、割断線100aを間に挟みつつ、互いに平行、且つ該割断線100aに沿って配設される。
この際、内側ガイド部材42Aおよび外側ガイド部材42Bの幅寸法aは、各々15[mm]程度であって、前記内側ガイド部材42Aおよび外側ガイド部材42B間の離間寸法bは、レーザー光線Lおよび冷媒Rの照射範囲を考慮して、割断線100aを中心にして薄板ガラス100の幅方向にそれぞれ5[mm](合計10[mm])程度となるように設定されている。
一方、薄板ガラス100の背面側(レーザー割断装置41が配設される側との対向側)においても、内側ガイド部材42Aおよび外側ガイド部材42Bが、割断線100aを間に挟みつつ、互いに平行、且つ該割断線100aに沿って配設される。
このように、薄板ガラス100の幅方向における割断線100aよりも内側においては、内側ガイド部材42A・42Aが薄板ガラス100を間隙に挟んだ状態で対向して配置され、薄板ガラス100の幅方向における割断線100aよりも外側においては、外側ガイド部材42B・42Bが薄板ガラス100およびベルトコンベア44の搬送側ベルトを間隙に挟んだ状態で対向して配置されている。
この際、前記間隙の寸法については、例えば、0.1[mm]の厚み寸法からなる薄板ガラス100に対して、0.4[mm]程度に設定されている。
なお、本実施形態における複数のガイド部材42・42・・・の配置構成としては、割断線100aに対して、薄板ガラス100の幅方向の中央部側(内側)に位置する二本一組の内側ガイド部材42A・42Aと、前記幅方向の側端部側(外側)に位置する二本一組の外側ガイド部材42B・42Bとをもって構成することとしているが、薄板ガラス100の姿勢を安定できればこれに限定されることはない。
以上のように、本実施形態における搬送装置1の第一切断ゾーン14において、薄板ガラス100は、レーザー割断装置(切断手段)41により、該薄板ガラス100の搬送方向(長手方向)に沿って直線状に切断されて割断線100aを形成し、少なくとも、該割断線(切断箇所)100aにおける前記薄板ガラス100の幅方向中央部側に、前記割断線(切断箇所)100aに隣接して、前記薄板ガラス100の搬送方向(長手方向)に沿って延出する内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aが配置される。
そして、これらの内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aは、薄板ガラス100の厚み方向における一側(例えば、表面側)と他側(例えば、背面側)に、前記薄板ガラス100を挟んで配置される一対のガイド部材として構成される。
また、第一切断ゾーン14において、割断線(切断箇所)100aにおける薄板ガラス100の幅方向側端部側には、該割断線(切断箇所)100aに隣接して、前記薄板ガラス100の搬送方向(長手方向)に沿って延出する外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bが配置される。
そして、これらの外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bは、薄板ガラス100の厚み方向における一側(例えば、表面側)と他側(例えば、背面側)に、前記薄板ガラス100およびベルトコンベア44の搬送側ベルトを挟んで配置される一対のガイド部材として構成される。
このような構成からなる、複数のガイド部材42・42・42・42(より具体的には、内側ガイド部材42A・42Aおよび外側ガイド部材42B・42B)を用いることによって、第一切断ゾーン14を通過する際の薄板ガラス100の振動を、極力抑制することが可能であることが確認されている。
ところで、図4に示すように、ガイド部材42の配置構成に関する第一の別実施形態として、前述した二本一組の外側ガイド部材42B・42Bを、薄板ガラス100に対して幾分傾倒するように配置した構成としてもよい。
具体的には、前述した二本一組の内側ガイド部材42A・42Aは、薄板ガラス100に対して平行に配設されており、二本一組の外側ガイド部材42B・42Bは、薄板ガラス100の幅方向の断面視において、その下面が薄板ガラス100の幅方向の中央部側に向く方向へ傾斜するように配設される。
換言すると、それぞれ二枚一組の、内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aおよび外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bは、薄板ガラス100の主面(より具体的には、薄板ガラス100の表面および背面)と対向する対向面を有し、前記外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bの対向面が、前記薄板ガラス100を幅方向に断面視した場合に、前記内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aの対向面に対して傾斜する構成となっている。
このようなガイド部材42の配置構成とすることにより、薄板ガラス100がガイド部材42の部分を通過する際に、外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bの間に配置される薄板ガラス100が、内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aの間に配置される薄板ガラス100に対して屈曲され、薄板ガラス100の割断線100a(図3(b)を参照)上に適切な応力を発生させることが可能となり、レーザー割断装置41によるレーザー割断の安定化を図ることができる。
具体的には、通常、熱応力を利用したレーザー割断においては、先ず始めに初亀裂を形成することが必要であり、該初亀裂は、例えば、ダイヤモンドカッターなどの加工手段によって形成される。
そして、本実施形態に示すような、長尺・帯状の薄板ガラス100に対して、レーザー割断を行う場合、連続する薄板ガラス100の途中部より初亀裂を容易に発生させることができれば、作業効率の向上化を図ることができる。
ここで、例えば、薄板ガラス100の長手方向端部を起点としてレーザー割断を行うのであれば、前記加工手段をもって容易に初亀裂を形成し、前記薄板ガラス100にレーザー割断を行うことが可能である。
これに対して、本実施形態に示すような、薄板ガラス100の途中部を起点としてレーザー割断を行うのであれば、閉じられた領域内にて前記加工手段を突きたてて初亀裂を形成したうえで、前記薄板ガラス100にレーザー割断を行うことが必要となる。
そこで、本実施形態においては、前述したように、二本の外側ガイド部材42B・42Bを内側ガイド部材42A・42Aに対して傾倒させて配置し、該薄板ガラス100の割断線100a上に適切な応力を常に発生させることとしている。
これにより、たとえ薄板ガラス100の途中部であっても、割断線100a上であれば、容易に初亀裂から亀裂を屈曲部に沿って安定して進展させることができ、前記薄板ガラス100にレーザー割断を行う際の作業効率を向上することができるのである。
なお、割断線100a上に発生させる応力が必要以上に大きな値になると、レーザー割断装置41の熱応力によって亀裂が進展するより先に、前記応力の影響のみによって亀裂が進展する。よって、前記応力が適切な値となるように、外側ガイド部材42B・42Bの傾倒具合を設定することが好ましい。
本実施形態においては、例えば、各外側ガイド部材42Bの幅方向における、折り曲げ寸法(図4における寸法h)が、0.1〜0.3[mm]程度に設定されることにより、レーザー割断装置41によるレーザー割断が確実に実行されることが確認されている。
ところで、図5に示すように、ガイド部材42の配置構成に関する第二の別実施形態として、二本の外側ガイド部材42B・42Bが、薄板ガラス100の搬送方向の下流側に向かうにつれて、二本の内側ガイド部材42A・42Aに対してガラス分離点(製品部薄板ガラス100Aと破棄部薄板ガラス100Bとの分離の開始点)より徐々に上下方向に離間するような姿勢に配置される構成としてもよい。
つまり、それぞれ二枚一組の、内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aおよび外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bを、薄板ガラス100の搬送方向の下流側に向かうにつれて、互いに該薄板ガラス100の厚み方向へ離間するように配置するのである。
換言すると、第一切断ゾーン14においては、薄板ガラス100の中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)と、端部(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)とが、これら複数のガイド部材42・42・42・42(より具体的には、内側ガイド部材42A・42Aおよび外側ガイド部材42B・42B)によって、互いに前記薄板ガラス100の厚み方向へ離間するように搬送される。
このようなガイド部材42の配置構成とすることにより、レーザー割断後における、製品部薄板ガラス100Aと破棄部薄板ガラス100Bとの割断部分における側端部同士の接触を防いで、製品部薄板ガラス100Aの側端部にクラックが発生することを効果的に防止することができる。
なお、本実施形態において、ガイド部材42の周囲に十分な設置空間が確保可能であれば、該ガイド部材42の代替品として、例えばベルトなどの無端状部材を全てのガイドに用いてもよく、この場合、隙間無く薄板ガラス100を挟持することが可能となる。
14 第一切断ゾーン
41 レーザー割断装置(切断手段)
42 ガイド部材
42A 内側ガイド部材(第一ガイド部材)
42B 外側ガイド部材(第二ガイド部材)
100 薄板ガラス
100A 製品部薄板ガラス
100B 破棄部薄板ガラス
100C ロール(ガラスロール体)
100a 割断線(切断箇所)
C ビーム痕
Ca 位置
L レーザー光線
R 冷媒
J 位置

Claims (11)

  1. 長尺の帯状に成形された薄板ガラスを、長手方向に搬送しつつ切断する、薄板ガラスの切断方法であって、
    前記薄板ガラスの所定箇所を、前記薄板ガラスの搬送方向の下流側が下方に位置する垂直姿勢または傾斜姿勢に保持しつつ搬送し、且つ前記薄板ガラスの垂直姿勢または傾斜姿勢に保持した箇所を、切断手段によって前記搬送方向に沿って切断する切断工程を備え、
    前記切断工程の直前の工程として、前記薄板ガラスを長手方向に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持しつつ搬送するアーチ工程をさらに備える、
    ことを特徴とする薄板ガラスの切断方法。
  2. 前記切断手段は、
    前記薄板ガラスの切断予定線上にレーザー光線を照射するとともに、
    前記レーザー光線の照射位置よりも前記搬送方向下流側の位置において、前記レーザー光線が照射されて加熱された箇所を冷却することにより前記薄板ガラスの割断を行う
    ことを特徴とする、請求項1に記載の薄板ガラスの切断方法。
  3. 記レーザー光線照射される箇所から離間した箇所において前記薄板ガラスを支持し、且つ前記レーザー光線照射される箇所において前記薄板ガラスを支持することなく前記薄板ガラスを搬送および切断する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の薄板ガラスの切断方法。
  4. 記薄板ガラスは、前記切断手段により、前記薄板ガラスの長手方向に沿って直線状に切断され、
    前記切断箇所に隣接して、前記薄板ガラスの長手方向に沿って延出するガイド部材を配置し、
    前記ガイド部材は、前記薄板ガラスの一方主面側と他方主面側に、前記薄板ガラスを挟んで配置される一対のガイド部材である
    ことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の薄板ガラスの切断方法。
  5. 前記ガイド部材は、
    前記切断箇所における前記薄板ガラスの幅方向中央部側に設けられた第一ガイド部材と、
    前記切断箇所における前記薄板ガラスの幅方向側端部側に設けられた第二ガイド部材と、
    を備える、
    ことを特徴とする、請求項4に記載の薄板ガラスの切断方法。
  6. 前記第一ガイド部材および第二ガイド部材各々前記薄板ガラスの主面と対向する対向面を有し、
    前記第二ガイド部材の対向面は、
    前記薄板ガラスを幅方向に断面視した場合に、前記第一ガイド部材の対向面に対して傾斜している、
    ことを特徴とする、請求項5に記載の薄板ガラスの切断方法。
  7. 前記第一ガイド部材および第二ガイド部材は
    前記薄板ガラスの搬送方向下流側に向かうにつれて、
    互いに前記薄板ガラスの厚み方向へ離間するように配設される、
    ことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の薄板ガラスの切断方法。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の薄板ガラスの切断方法を用いて前記薄板ガラスの幅方向両端部を切断することにより製品となる前記薄板ガラスの中央部を得る工程を備え、
    前記薄板ガラスの中央部と端部とを互いに前記薄板ガラスの厚み方向へ離間するように搬送する、
    ことを特徴とするガラス物品製造方法。
  9. 前記薄板ガラスの中央部を幅方向に切断して薄板ガラス基板を得る工程を備える、
    ことを特徴とする、請求項8に記載のガラス物品の製造方法。
  10. 前記薄板ガラスの中央部を巻取ることによりガラスロール体を得る工程を備える、
    ことを特徴とする請求項に記載のガラス物品の製造方法。
  11. 前記端部を前記薄板ガラスの幅方向に切断して分離し、分離された前記端部を粉砕する、
    ことを特徴とする請求項8〜請求項10の何れか一項に記載のガラス物品の製造方法。
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