JP6056711B2 - 薄板ガラスの切断方法、およびガラス物品の製造方法 - Google Patents
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前記薄板ガラスは、例えば、オーバーフロー・ダウンドロー法によって長尺・帯状に成形される。この際、成形された薄板ガラスの幅方向の両側端部には、幅方向中央部に比べて厚肉なビードが形成される。
ここで、板ガラスの切断(割断)方法としては、従来から、カッターによりガラスにスクライブを形成して割断する方法が知られている。
具体的には、板ガラスのガラス面にカッター刃を押し当ててスクライブ線を形成し、該スクライブ線に沿って折り曲げることにより、板ガラスを切断(割断)している。
その結果、スクライブの形成時や折り曲げ時に板ガラスが破損し易くなるという問題があった。
また、板ガラスの板厚が薄いほど、カッター刃を押し当てた際に板ガラスが破損し易くなるため、押し圧を精密に制御する必要があった。
さらに、カッターによるスクライブはガラスに微小クラックが形成され易く、例えば、後工程において薄板ガラスをロール状に巻き取る際には、このような微小クラックが破損の原因となる問題があった。
レーザーによりスクライブを形成する割断方法においては、板ガラスにカッター刃を押し当てる必要がないため、カッター刃の押圧力に起因する板ガラスの破損が生じない。
例えば、前述したようにレーザーを用いて板ガラスにスクライブを安定して形成するためには、一般的に、レーザーの焦点に板ガラスの表面が位置するよう板ガラスを搬送する必要がある。しかしながら、板ガラスの板厚が薄くなり、撓み易くなると、ガラス面がレーザーの焦点から外れ易くなる。特に、前記特許文献1のように板ガラスを水平方向に搬送する場合、シート状の薄板ガラスに皺が発生し易くなるため、ガラス面の平面度が低下し、ガラス面がレーザーの焦点から外れ易くなる。即ち、板ガラスにスクライブを安定して形成することが困難となり、切断時に板ガラスが破損し易くなるという問題があった。
また、例えば、スクライブ線と交差するような皺が板ガラスに生じていると、折り割り時にクラックがスクライブ線から外れて皺に沿って進展したり、皺の箇所でクラックの進展が停止したりする場合がある。即ち、板ガラスを所望の位置で安定して切断することが困難となるという問題があった。
また、本発明の請求項1における薄板ガラスの切断方法によれば、搬送途中の薄板ガラスのガラス面に、撓みや皺などが発生していたとしても、アーチ形状に変形することにより、前記薄板ガラスの撓みや皺の発生を抑制しつつ、アーチ工程の下流側では前記薄板ガラスのガラス面を平坦な状態にすることができる。
また、上流へ向けて切断線が延びる不良が発生した場合であっても、アーチ部において幅方向に延びる応力分布帯が形成されるため、切断線の延長方向が応力分布に沿うよう端部へと誘導される。したがって、切断不良がアーチ部において食い止められ、アーチ部より上流へ切断不良の被害が拡大することを防ぐことができる。
また、レーザーにより加熱された薄板ガラスの温度が支持部材等により奪われ難くなるため、効率よく薄板ガラスを切断することができる。
先ず、本発明を具現化する搬送装置1の全体構成について、図1、図2、および図6を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図1、図2、および図6の上下方向を搬送装置1または薄板ガラス100の上下方向と規定して記述する。
また、図1、図2、および図6においては、矢印Aの方向を薄板ガラス100の搬送方向と規定して記述する。
搬送装置1は、図1に示すように、薄板ガラス100の搬送方向(矢印Aの方向)に沿って順に配置される、下降ゾーン11、第一カテナリーゾーン12、第一アーチゾーン13、第一切断ゾーン14、第二カテナリーゾーン15、第二アーチゾーン16、および第二切断ゾーン17などにより構成される。
下降ゾーン11の前記搬送方向の上流側、即ち搬送装置1の上流側且つ上方には、例えば、オーバーフロー・ダウンドロー法に基づく成形装置(図示せず)が配設される。
ここで、薄板ガラス100の中央部は、厚み寸法が0.2mm以下と極めて薄いため、肉厚差の大きな両側端部のビードまで横断するように、幅方向に一直線状のスクライブ線(割断線)を安定して形成することが困難である。
そして、後述するように、本実施形態における搬送装置1においては、第二切断ゾーン17の第二切断工程にて薄板ガラス100を所定寸法の枚葉に切断(割断)する以前に、第一切断ゾーン14の第一切断工程にて、切断(割断)後の品質向上を図りつつ、前記薄板ガラス100の両側端部を予め切断(割断)することとしている。
第一カテナリーゾーン12は、搬送装置1に供給され下降ゾーン11を通過した薄板ガラス100の、バッファー領域となるゾーンである。
つまり、薄板ガラス100は、第一カテナリーゾーン12を通過する際に、第一カテナリーゾーン12の上流側端部および下流側端部にて懸吊され、カテナリー形状に変形および保持される。
これにより、例えば、第一カテナリーゾーン12の上流側に位置する下降ゾーン11において、流下する薄板ガラス100の搬送速度が徐々に変動し、該薄板ガラス100の単位時間当たりの流量が変化したとしても、第一カテナリーゾーン12において、前記流量の変化に応じて薄板ガラス100のカテナリー形状の下端部が上下動することにより、途中の薄板ガラス100への応力の作用を抑制することができる。
即ち、薄板ガラス100の単位時間当たりの流量の変動による影響を、第一カテナリーゾーン12において吸収することができ、前記流量の変動による影響が、後述する下流側の第一アーチゾーン13等にまで及ぶのを防止することができる。
第一アーチゾーン13は、薄板ガラス100のガラス面に発生した皺などを矯正しつつ、有効面(後に製品として使用される面)に触れることなく両側端部のみで搬送するためのゾーンである。
ここで、前記第一保持装置31は、複数のボールキャスター31a・31a・・・を有している。ボールキャスター31a・31a・・・は、薄板ガラス100の搬送方向(長手方向)に沿って上方に湾曲するアーチ形状に一列に配列されるとともに、前記アーチ形状の列が、薄板ガラス100の幅方向(短手方向)に沿って互いに平行となる姿勢で複数列配列されるように配設される。
つまり、薄板ガラス100は、第一アーチゾーン13を通過する際に、第一保持装置31によって、アーチ形状に変形および保持される。
そして、第一アーチゾーン13にてアーチ形状に変形されることにより、薄板ガラス100の上側のガラス面には、搬送方向に沿った張力が加えられることとなり、該ガラス面に発生した皺などが効果的に矯正される。
また、第一アーチゾーン13にてアーチ形状に保持されることにより、薄板ガラス100の幅方向の撓みに対する剛性は一般的に向上するとともに、後述するように、搬送方向の撓みに対する剛性も向上することから、薄板ガラス100のガラス面上における新たな撓みや皺の発生が抑制される。
こうして、薄板ガラス100は、第一アーチゾーン13の下流側において、前記ガラス面を平坦な状態にすることができる。
即ち、水平状態に保持された薄板ガラス100は、幅方向における剛性が低いため、例えば、自重等によって、幅方向の中央部に撓みを生じやすい。
これに対して、アーチ形状に保持された薄板ガラス100は、幅方向における剛性が飛躍的に向上するため、例えば、自重や外部からの荷重などによっても幅方向の中央部に撓みを生じにくい。
なお、これらのことは、一般的に板状部材に比べて円筒部材等の方が、軸心方向への外力に対する剛性に優れていることからも明らかである。
即ち、図6(a)に示すように、水平状態に保持された薄板ガラス100(以下、「薄板ガラス100X」と記載する)において、例えば、垂直荷重Wが付加されると、該薄板ガラス100Xの内部には、曲げ応力mが発生し、搬送方向に湾曲する撓みXが発生する。
一方、図6(b)に示すように、アーチ形状に保持された薄板ガラス100(以下、「薄板ガラス100Y」と記載する)において、例えば、垂直荷重Wが付加されると、該薄板ガラス100Yの内部には、圧縮応力pが発生し、該圧縮応力pが垂直荷重Wに抵抗するため撓みの発生が少なくなる。
このようなことから、撓みの発生を極力防ぎつつ保持可能な垂直荷重(耐荷重)Wの値は、水平状態の薄板ガラス100Xに比べて、アーチ形状の薄板ガラス100Yの方が大きいことから、アーチ形状に保持されることにより、薄板ガラス100の搬送方向における剛性は向上すると言える。
なお、前記薄板ガラス100Yの、幅方向、および搬送方向における剛性の程度は、アーチ形状の半径寸法に基づき決定される。
各第一繰出装置32には、二本の繰出ローラー32a・32bが備えられる。
また、前記二本の繰出ローラー32a・32bは、軸心を中心にして回転可能に支持されるとともに、一方の繰出ローラー32aには、図示せぬ駆動機構部が連結されている。
これにより、薄板ガラス100は、二本の繰出ローラー32a・32bによって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第一切断ゾーン14(図1を参照)へと搬送される。
つまり、本実施形態においては、薄板ガラス100を支持する箇所として、有効面つまり幅方向中央部のガラス面を避ける一方、最終的に破棄されるビードを含んだ左右両側端部を支持していることから、前記ガラス面に対する傷の発生や粉塵の付着などが避けられ、薄板ガラス100の品質向上を図ることができるのである。
第一切断ゾーン14は、薄板ガラス100におけるビードを含んだ幅方向の両側端部を、搬送方向に沿って切断(割断)するためのゾーンである。
第一切断ゾーン14の上流部において、薄板ガラス100の幅方向の両側端部には、後述する切断手段としてのレーザー割断装置41や、ガイド部材42が配設される。
この際、薄板ガラス100は、レーザー割断装置41の直下を通過することにより、該レーザー割断装置41によってレーザー割断される。
つまり、第一切断ゾーン14において、薄板ガラス100の端部(幅方向の両側端部)は、切断されて該薄板ガラスの幅方向に分離され、分離された前記端部(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)は粉砕されて、スクラップとして破棄される。
また、破棄部薄板ガラス100Bを折り割る際には、自重により折り割ってもよいし、棒状部材を押し当てる等して機械的に折り割ってもよい。
つまり、第一切断ゾーン14においては、後述するレーザー割断装置41によるレーザー割断方法(切断方法)を用いて、薄板ガラス100の幅方向の両端部(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)を切断および分離することにより、前記薄板ガラス100の中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を得る第一切断工程が実施される。
換言すると、第一切断ゾーン14において、薄板ガラス100は、第一繰出装置32によって繰り出された後、斜め下方に向かって搬送され、レーザー割断装置41によって、幅方向の両側端部を割断される構成となっている。
従って、本実施形態における搬送装置1においては、このような平坦な状態にガラス面が維持された薄板ガラス100に対して、レーザー割断を行うことができるため、割断後の薄板ガラス100の品質向上を図ることができるのである。
従って、第一切断ゾーン14において、たとえ、レーザー割断装置41によるレーザー割断に、切断ミスが発生したとしても、該切断ミスの悪影響(例えば、亀裂など)を、第一カテナリーゾーン12や第一アーチゾーン13にて堰き止めて、上流側の下降ゾーン11(図1を参照)にまで伝達するのを防止することができる。
また、第一カテナリーゾーン12や第一アーチゾーン13を形成しない構成としてもよい。
即ち、第二繰出装置43には、互いに対向して配置される二本の繰出ローラー43a・43bが備えられるとともに、一方の繰出ローラー43aには、図示せぬ駆動機構部が連結される。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、二本の繰出ローラー43a・43bによって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第二カテナリーゾーン15(図1を参照)へと搬送される。
この場合、後述する第二カテナリーゾーン15に代替して、薄板ガラスの中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を所定の長さで巻取りおよび切断することによりロール(ガラスロール体)100Cを得る巻取り切断工程が実施されるゾーンが、第一切断ゾーンの下流部に配設されることとなる。
第二カテナリーゾーン15は、前述した第一切断ゾーン14によって切断(割断)された製品部薄板ガラス100Aの、バッファー領域となるゾーンである。
即ち、図1に示すように、第二カテナリーゾーン15において、製品部薄板ガラス100Aは、搬送方向(長手方向)に沿って下方に湾曲するカテナリー形状となるように懸吊される。
つまり、製品部薄板ガラス100Aは、第二カテナリーゾーン15を通過する際に、第二カテナリーゾーン15の上流側端部および下流側端部にて懸吊されて、カテナリー形状に変形および保持される。
これにより、例えば、第二カテナリーゾーン15の下流側に位置する第二切断ゾーン17の第二切断工程によって製品部薄板ガラス100Aの搬送が停止し、または搬送速度が変動したとしても、カテナリー形状の下端部が上下動することにより、搬送途中の製品部薄板ガラス100Aへの応力の作用を抑制することができる。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、これらの第三繰出装置51・51によって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第二アーチゾーン16(図1を参照)へと搬送される。
第二アーチゾーン16は、後述する第二切断工程で発生する振動等の、前記第一切断工程への伝達を防止するためのゾーンである。
また、第二アーチゾーン16は、製品部薄板ガラス100Aを持ち上げることによって、第二切断工程を設けるスペースを確保する機能も有する。
即ち、図1に示すように、第二アーチゾーン16には、前述した第一保持装置31と略同等の構成からなる第二保持装置61が備えられる。
つまり、製品部薄板ガラス100Aは、第二アーチゾーン16を通過する際に、第二保持装置61によって、アーチ形状に変形および保持される。
そして、第二アーチゾーン16にてアーチ形状に保持されることにより、製品部薄板ガラス100Aの幅方向の撓みに対する剛性は一般的に向上するとともに、前述したように、搬送方向の撓みに対する剛性も向上することから、製品部薄板ガラス100Aのガラス面上における新たな撓みや皺の発生が抑制される。
こうして、製品部薄板ガラス100Aは、第二アーチゾーン16の下流側において、前記ガラス面を平坦な状態にすることができる。
これにより、製品部薄板ガラス100Aのガラス面に対する傷の発生や粉塵の付着などが避けられ、製品部薄板ガラス100Aの品質向上を図ることができる。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、これらの第四繰出装置62・62によって、幅方向の各側端部を支持されつつ搬送方向に繰り出され、第二切断ゾーン17(図1を参照)へと搬送される。
第二切断ゾーン17は、製品部薄板ガラス100Aを、所定寸法の枚葉に切断(割断)して、薄板ガラス基板を得るためのゾーンである。
前記カッター割断装置71は、ホイール工具71Aを用いた割断装置であて、ホイール工具71Aを押し当てながら移動させてスクライブ線100b(図2を参照)を形成し、該スクライブ線100bに沿って折り曲げることにより、製品部薄板ガラス100Aを割断する装置である。
なお、本実施形態においては、前記各保持手段71Bとして、既知のチャッキング機構をもって構成することとしているが、これに限定されず、例えば吸着パッドなど、別の機構をもって構成することとしてもよい。
また、保持手段71B・71B・・・は、製品部薄板ガラス100Aの幅方向両側において、上下方向に所定の間隔を有して互いに配設されるとともに、製品部薄板ガラス100Aの側端部を各々挟持可能に配設される。
そして、製品部薄板ガラス100Aの搬送距離が、予め定められた所定の距離に到達すると、第四繰出装置62は一旦停止する。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、第四繰出装置62より所定の長手方向寸法分だけ繰り出された状態によって、吊設される。
その後、ホイール工具71Aの押圧動作によって、製品部薄板ガラス100Aの上流側に、幅方向に延出する一直線状のスクライブ線100bが形成される。
これにより、製品部薄板ガラス100Aは、スクライブ線100bに沿って折り曲げられ、所定寸法の枚葉に切断(割断)され、薄板ガラス基板が得られるのである。
つまり、第二切断ゾーン17においては、カッター割断装置71による割断方法(切断方法)を用いて、薄板ガラス100の中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を幅方向に切断して、所定寸法の枚葉からなる薄板ガラス基板を得る切断工程が実施される。
換言すると、第二切断ゾーン17において、製品部薄板ガラス100Aは、第四繰出装置62によって繰り出されつつ直下方向に搬送された後、垂直状態に保持され、カッター割断装置71によって、所定寸法の枚葉に切断(割断)される構成となっている。
従って、本実施形態における搬送装置1においては、このようなきれいな状態にガラス面が維持された製品部薄板ガラス100Aに対して、スクライブによる割断を行うことができるため、割断後の製品部薄板ガラス100の品質向上を図ることができるのである。
この際、第二繰出装置43は、依然として駆動状態にあり、製品部薄板ガラス100Aが、第一切断ゾーン14より継続して繰り出される。
換言すると、第二カテナリーゾーン15において、第一切断ゾーン14より繰り出される製品部薄板ガラス100Aを、一時的に留めることによって、上流側の各ゾーン11・12・13・14における稼動を停止させることなく、第二切断ゾーン17にて、製品部薄板ガラス100Aを停止させて、所定寸法の枚葉に切断(割断)することが可能になる。
従って、第二切断ゾーン17において、たとえ、カッター割断装置71による切断(割断)によって振動が発生したとしても、該振動の悪影響(例えば、共鳴など)を、第二カテナリーゾーン15や第二アーチゾーン16を介して堰き止められることとなり、上流側の第一切断ゾーン14(図1を参照)にまで伝達するのを防止することができる。
次に、レーザー割断装置41の構成について、図3を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図3(a)の上下方向を、レーザー割断装置41を備えた搬送装置1の上下方向と規定して記述する。
また、図3(a)(b)においては、矢印Aの方向を薄板ガラス100の搬送方向と規定して記述する。
図3(a)に示すように、レーザー割断装置41には、図示せぬレーザー光線照射手段が内装されており、搬送途中の薄板ガラス100の切断予定線(より具体的には、後に割断線100a(図3(b)を参照)が形成される予定の線)上において、前記薄板ガラス100の該当箇所が所望の温度となるように、前記レーザー光線照射手段によってレーザー光線Lが継続的に照射される。
これにより、図3(b)に示すように、薄板ガラス100の幅方向の側端部には、レーザー光線Lによるビーム痕C・C・・・が、該薄板ガラス100の搬送方向に沿って直線状に複数形成される。
その結果、薄板ガラス100の表面のビーム照射部には、強い圧縮応力qが作用する。
その結果、薄板ガラス100の表面温度は急激に下降する一方、該薄板ガラス100の内部温度が高温のままとなり、前記薄板ガラス100の厚み方向に向かって、温度勾配が形成される。
そして、前記温度勾配の形成が、薄板ガラス100の表面から内部の深層にまで進むにつれて、該薄板ガラス100の表面に作用する引張応力tも益々強くなる。ここで、予めカッターなどでレーザー照射位置の上流側にて亀裂を入れておくことにより、薄板ガラス100の破壊靭性値を超えて、亀裂kが進行していく。
この亀裂kが割断線100a(図2を参照)となって、薄板ガラス100を分断すると考えられている。
この際、従来のように、例えば熱伝導性に優れた金属などからなる保持部材を用いて、薄板ガラス100の背面(レーザー割断装置41側との対向側の面)を保持することとすれば、レーザー光線Lによる熱量の殆どが、前記薄板ガラス100を通過して前記保持部材に吸収されることとなる。
よって、必要な温度勾配が薄板ガラス100に形成され難く、該薄板ガラス100に対して十分なレーザー割断を行うことは、困難であった。
換言すると、少なくともレーザー割断装置41によるレーザー照射位置の周辺に、接触物を設けることなく薄板ガラス100を保持することが可能であり、レーザー光線Lが照射される箇所において前記薄板ガラス100を支持することなく、前記薄板ガラス100を安定的に搬送および切断することができる。
次に、ガイド部材42の構成について、図1、図3、図4、および図5を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図4、および図5の上下方向を、ガイド部材42を備えた搬送装置1の上下方向と規定して記述する。
また、図5においては、矢印Aの方向を薄板ガラス100の搬送方向と規定して記述する。
具体的には、図1において、第一切断ゾーン14を通過する際の薄板ガラス100には、例えば、第一繰出装置32(または、第二繰出装置43)や、第一切断ゾーン14の上流側(より具体的には、第一アーチゾーン13)または下流側(より具体的には、第二カテナリーゾーン15)にて各々実施される第一アーチ工程または第二カテナリー工程などの影響により、振動が発生する場合がある。
よって、このような振動を確実に抑えることができれば、第一切断ゾーン14において、高品質な切断面(割断面)を確保しつつ、レーザー割断装置41によって薄板ガラス100にレーザー割断を行うことが可能となる。
なお、ガイド部材42は、薄板ガラス100と接触する表面が滑らに、また該薄板ガラス100に傷を付けにくい材質を用いて形成されることが望ましい。
また、薄板ガラス100の各側端部の背面側(下面側)、且つ第一繰出装置32の下流側近傍には、前述したベルトコンベア44の従動軸44a(図3(a)を参照)が配置されており、ビードへの応力の発生等を考慮して、前記側端部の背面側を、前記ベルトコンベア44の搬送側ベルトを介して、極力広い面積によって支持することとしている。
具体的には、一方の組のガイド部材42・42(以下、適宜「内側ガイド部材42A・42A」と記載する)は、薄板ガラス100の幅方向における割断線100aよりも内側に配置され、薄板ガラス100(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)を間に挟みつつ、上下方向に互いに対向して配置される。
また、他方のガイド部材42・42(以下、適宜「外側ガイド部材42B・42B」と記載する)は、薄板ガラス100の幅方向における割断線100aよりも外側に配置されるとともに、前記薄板ガラス100の下方に位置する外側ガイド部材42Bが、ベルトコンベア44の搬送側ベルトの下方に配置され、薄板ガラス100(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)および前記搬送側ベルトを同時に間に挟みつつ、上下方向に互いに対向して配置される。
この際、内側ガイド部材42Aおよび外側ガイド部材42Bの幅寸法aは、各々15[mm]程度であって、前記内側ガイド部材42Aおよび外側ガイド部材42B間の離間寸法bは、レーザー光線Lおよび冷媒Rの照射範囲を考慮して、割断線100aを中心にして薄板ガラス100の幅方向にそれぞれ5[mm](合計10[mm])程度となるように設定されている。
この際、前記間隙の寸法については、例えば、0.1[mm]の厚み寸法からなる薄板ガラス100に対して、0.4[mm]程度に設定されている。
そして、これらの内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aは、薄板ガラス100の厚み方向における一側(例えば、表面側)と他側(例えば、背面側)に、前記薄板ガラス100を挟んで配置される一対のガイド部材として構成される。
そして、これらの外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bは、薄板ガラス100の厚み方向における一側(例えば、表面側)と他側(例えば、背面側)に、前記薄板ガラス100およびベルトコンベア44の搬送側ベルトを挟んで配置される一対のガイド部材として構成される。
換言すると、それぞれ二枚一組の、内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aおよび外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bは、薄板ガラス100の主面(より具体的には、薄板ガラス100の表面および背面)と対向する対向面を有し、前記外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bの対向面が、前記薄板ガラス100を幅方向に断面視した場合に、前記内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aの対向面に対して傾斜する構成となっている。
そして、本実施形態に示すような、長尺・帯状の薄板ガラス100に対して、レーザー割断を行う場合、連続する薄板ガラス100の途中部より初亀裂を容易に発生させることができれば、作業効率の向上化を図ることができる。
これに対して、本実施形態に示すような、薄板ガラス100の途中部を起点としてレーザー割断を行うのであれば、閉じられた領域内にて前記加工手段を突きたてて初亀裂を形成したうえで、前記薄板ガラス100にレーザー割断を行うことが必要となる。
これにより、たとえ薄板ガラス100の途中部であっても、割断線100a上であれば、容易に初亀裂から亀裂を屈曲部に沿って安定して進展させることができ、前記薄板ガラス100にレーザー割断を行う際の作業効率を向上することができるのである。
本実施形態においては、例えば、各外側ガイド部材42Bの幅方向における、折り曲げ寸法(図4における寸法h)が、0.1〜0.3[mm]程度に設定されることにより、レーザー割断装置41によるレーザー割断が確実に実行されることが確認されている。
つまり、それぞれ二枚一組の、内側ガイド部材(第一ガイド部材)42A・42Aおよび外側ガイド部材(第二ガイド部材)42B・42Bを、薄板ガラス100の搬送方向の下流側に向かうにつれて、互いに該薄板ガラス100の厚み方向へ離間するように配置するのである。
換言すると、第一切断ゾーン14においては、薄板ガラス100の中央部(より具体的には、製品部薄板ガラス100A)と、端部(より具体的には、破棄部薄板ガラス100B)とが、これら複数のガイド部材42・42・42・42(より具体的には、内側ガイド部材42A・42Aおよび外側ガイド部材42B・42B)によって、互いに前記薄板ガラス100の厚み方向へ離間するように搬送される。
41 レーザー割断装置(切断手段)
42 ガイド部材
42A 内側ガイド部材(第一ガイド部材)
42B 外側ガイド部材(第二ガイド部材)
100 薄板ガラス
100A 製品部薄板ガラス
100B 破棄部薄板ガラス
100C ロール(ガラスロール体)
100a 割断線(切断箇所)
C ビーム痕
Ca 位置
L レーザー光線
R 冷媒
J 位置
Claims (11)
- 長尺の帯状に成形された薄板ガラスを、長手方向に搬送しつつ切断する、薄板ガラスの切断方法であって、
前記薄板ガラスの所定箇所を、前記薄板ガラスの搬送方向の下流側が下方に位置する垂直姿勢または傾斜姿勢に保持しつつ搬送し、且つ前記薄板ガラスの垂直姿勢または傾斜姿勢に保持した箇所を、切断手段によって前記搬送方向に沿って切断する切断工程を備え、
前記切断工程の直前の工程として、前記薄板ガラスを長手方向に沿って上方に湾曲するアーチ形状に変形および保持しつつ搬送するアーチ工程をさらに備える、
ことを特徴とする薄板ガラスの切断方法。 - 前記切断手段は、
前記薄板ガラスの切断予定線上にレーザー光線を照射するとともに、
前記レーザー光線の照射位置よりも前記搬送方向下流側の位置において、前記レーザー光線が照射されて加熱された箇所を冷却することにより前記薄板ガラスの割断を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の薄板ガラスの切断方法。 - 前記レーザー光線が照射される箇所から離間した箇所において前記薄板ガラスを支持し、且つ前記レーザー光線が照射される箇所において前記薄板ガラスを支持することなく前記薄板ガラスを搬送および切断する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の薄板ガラスの切断方法。 - 前記薄板ガラスは、前記切断手段により、前記薄板ガラスの長手方向に沿って直線状に切断され、
前記切断箇所に隣接して、前記薄板ガラスの長手方向に沿って延出するガイド部材を配置し、
前記ガイド部材は、前記薄板ガラスの一方主面側と他方主面側に、前記薄板ガラスを挟んで配置される一対のガイド部材である、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の薄板ガラスの切断方法。 - 前記ガイド部材は、
前記切断箇所における前記薄板ガラスの幅方向中央部側に設けられた第一ガイド部材と、
前記切断箇所における前記薄板ガラスの幅方向側端部側に設けられた第二ガイド部材と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項4に記載の薄板ガラスの切断方法。 - 前記第一ガイド部材および第二ガイド部材は各々前記薄板ガラスの主面と対向する対向面を有し、
前記第二ガイド部材の対向面は、
前記薄板ガラスを幅方向に断面視した場合に、前記第一ガイド部材の対向面に対して傾斜している、
ことを特徴とする、請求項5に記載の薄板ガラスの切断方法。 - 前記第一ガイド部材および第二ガイド部材は、
前記薄板ガラスの搬送方向下流側に向かうにつれて、
互いに前記薄板ガラスの厚み方向へ離間するように配設される、
ことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の薄板ガラスの切断方法。 - 請求項1から7の何れか一項に記載の薄板ガラスの切断方法を用いて前記薄板ガラスの幅方向両端部を切断することにより製品となる前記薄板ガラスの中央部を得る工程を備え、
前記薄板ガラスの中央部と端部とを互いに前記薄板ガラスの厚み方向へ離間するように搬送する、
ことを特徴とするガラス物品の製造方法。 - 前記薄板ガラスの中央部を幅方向に切断して薄板ガラス基板を得る工程を備える、
ことを特徴とする、請求項8に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記薄板ガラスの中央部を巻取ることによりガラスロール体を得る工程を備える、
ことを特徴とする、請求項8に記載のガラス物品の製造方法。 - 前記端部を前記薄板ガラスの幅方向に切断して分離し、分離された前記端部を粉砕する、
ことを特徴とする、請求項8〜請求項10の何れか一項に記載のガラス物品の製造方法。
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