JP2018007539A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくとも電圧制御型半導体素子に供給する制御信号の電圧の上昇を抑制して電圧制御型半導体素子を電圧上昇から保護することができる半導体装置を提供する。【解決手段】入力される制御信号によって電圧制御型半導体素子の制御端子を制御するとともに、制御信号を電源として駆動される制御回路を有する素子駆動部31を備え、素子駆動部は、制御信号が入力される入力端子tg及び電圧制御型半導体素子の低電位側端子が接続される低電位側端子te間に接続され、第1分圧電圧が電圧制御型半導体素子及び制御回路を保護する設定電圧以下となるように設定された第1分圧回路42と、この第1分圧回路の分圧動作を制御する半導体スイッチ素子43と、入力端子に設定電圧を超える電圧が入力されたときに半導体スイッチ素子を導通させる第2分圧回路45とを備え、第1分圧電圧を電圧制御型半導体素子の制御端子及び制御回路に供給している。【選択図】図1

Description

本発明は、負荷を駆動する電圧制御型半導体素子を備えた半導体装置に関する。
この種の半導体装置では、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等で構成される電圧制御型半導体素子を備えている。
例えば特許文献1に記載されているように車両に搭載された内燃機関の点火装置として使用する場合には、点火コイルの一次側の一端がバッテリに接続され、他端が電圧制御型半導体素子を通じて接地される。そして、電圧制御型半導体素子をターンオンするには、外部の制御装置から所定電圧の点火信号をゲート信号としてゲート抵抗を通じて電圧制御型半導体素子のゲートに供給することにより、ゲート電圧を上昇させて電圧制御型半導体素子をターンオンさせる。
一方、電圧制御型半導体素子をターンオフするには、電圧制御型半導体素子のゲートに蓄積されたゲート容量を外部の制御装置側に放電する。
また、点火信号を電源電圧として作動する動作レベル設定回路、サーマル式シャットオフ回路、電流制限回路等の保護制御回路を備えている。
また、特許文献2に記載されているように、この保護制御回路を構成するデジタル回路、アナログ回路及びパワーデバイス駆動回路の電源電圧の瞬間的な低下を補償するために、個別にローパスフィルタ回路を設けることが提案されている。
特開2004−36438号公報 特開2016−1635号公報
ところで、上記特許文献1及び2に記載された従来例では、点火信号を電源電圧として各種制御回路を作動させ、この場合の電源電圧の瞬間的な低下にローパスフィルタ回路で対処することができる。
しかしながら、入力端子から電圧制御型半導体素子の制御端子との間に電圧が天絡等によって電圧制御型半導体素子及び各種制御回路を保護する設定電圧を超えた場合に、電圧制御型半導体素子及び各種制御回路を保護することはできない。
そこで、本発明は、上述した従来例の課題に着目してなされたものであり、少なくとも電圧制御型半導体素子に供給する制御信号の電圧の上昇を抑制して電圧制御型半導体素子および各種制御回路を電圧上昇から保護することができる半導体装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の一態様は、負荷を駆動する電圧制御型半導体素子と、電圧制御型半導体素子の制御端子に対する制御信号が入力され、この制御信号によって電圧制御型半導体素子の制御端子を制御するとともに、制御信号を電源として駆動される制御回路を有する素子駆動部とを備え、素子駆動部は、制御信号が入力される入力端子及び電圧制御型半導体素子の低電位側端子が接続される低電位側端子と、入力端子及び低電位側端子間に接続され、第1分圧電圧が電圧制御型半導体素子及び制御回路を保護する設定電圧以下となるように設定された第1分圧回路と、この第1分圧回路の分圧動作を制御する半導体スイッチ素子と、入力端子に前記設定電圧を超える電圧が入力されたときに半導体スイッチ素子を導通させる第2分圧電圧を半導体スイッチ素子の制御端子に出力する第2分圧回路とを備え、第1分圧電圧を電圧制御型半導体素子の制御端子及び制御回路に供給している。
本発明の一態様によれば、入力端子に天絡等が生じた場合に、電圧制御型半導体素子の制御端子及び入力端子間の制御電圧が設定電圧を超えて上昇することを抑制して電圧制御型半導体素子及び各種制御回路を確実に保護することができる。
本発明の第1の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火制御装置を示す回路図である。 個別天絡保護回路を示す回路図である。 本発明の第2の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火制御装置を示す回路図である。 本発明の第3の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火制御装置を示す回路図である。 本発明の第4の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火装置を示す回路図である。 本発明の第5の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火装置を示す回路図である。 本発明の第6の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火装置を示す回路図である。 本発明の第7の実施形態に従った半導体装置を備えた内燃機関の点火装置を示す回路図である。
次に、図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明に従った第1の実施形態に係る半導体装置を備えた内燃機関の点火制御装置について図1を伴って説明する。
内燃機関の点火制御装置10は、図1に示すように、一次側にバッテリ11から電源電圧が印加され、二次側に点火プラグで構成される点火装置12が接続された誘導性負荷となる点火コイル13を備えている。この点火コイル13の一次側のバッテリ11とは反対側に例えば2チップイグナイタを構成する半導体装置20が接続されている。この半導体装置20には外部の例えば制御装置から点火信号となる制御信号が供給される。
半導体装置20は、点火コイル13の1次コイル13aのバッテリ11とは反対側に接続される高電位側端子となるコレクタ端子tcと、グランドに接続される低電位側端子となるエミッタ端子teと、外部の制御装置に接続される入力端子となるゲート端子tgとを備えている。
そして、コレクタ端子tc及びエミッタ端子te間には、電圧制御型半導体素子であるメインIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)21mが接続されている。この
メインIGBT21mは、高電位側端子となるコレクタがコレクタ端子tcに接続され、低電位側端子となるエミッタが低電位側配線22を介してエミッタ端子teに接続されている。また、メインIGBT21mは、制御端子となるゲート端子がゲート抵抗23を介し、制御信号の供給経路となる制御配線24を介してゲート端子tgに接続されている。
このゲート抵抗23は、メインIGBT21mの寄生ゲート容量とでフィルタを構成し、ゲート電圧を制御した際に発振が生じにくくなるように抑制する。
また、メインIGBT21mと並列に電流検出用のセンスIGBT21sが接続されている。このセンスIGBT21sは、コレクタがメインIGBT21mのコレクタに接続され、ゲートがメインIGBT21mのゲートに接続され、エミッタが後述する制御半導体チップ30に形成された電流検出用抵抗34を介して低電位側配線22に接続されている。
そして、メインIGBT21m、センスIGBT21s及びゲート抵抗23が1つのパワー半導体チップ25に形成されている。このパワー半導体チップ25は、パッケージ組立の際の機械的な接触や、製品としてパッケージ後に人間が触れることによる静電気放電(Electro-Static Discharge、以下ESDと称す)から保護する必要があり、ゲート抵抗23及びセンスIGBT21sのゲートとの間と低電位側配線22との間に例えば2つのツェナーダイオード26が接続されている。
そして、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sがパワー半導体チップ25とは異なる制御半導体チップ30に形成された素子駆動部31によって制御される。
この素子駆動部31は、制御配線24にゲート抵抗23と直列に接続されたゲート抵抗23の抵抗値より大きな抵抗値を有する抵抗32が接続されている。一例として、抵抗32の抵抗値は比較的大きい例えば数キロΩ程度に設定され、ゲート抵抗23の抵抗値は比較的小さい例えば数十Ω程度に設定されている。
抵抗32には、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのターンオフを速めるスピードアップ用のダイオード33が並列に接続されている。このダイオード33のアノードは、抵抗32及びゲート抵抗23間の制御配線24に接続され、カソードは抵抗32及びゲート端子tg間の制御配線24に接続されている。このダイオード33の一例はPN接合型のダイオードであるが、順方向電圧がPN接合型ダイオードより低いショットキバリアダイオードを適用することも可能である。
また、素子駆動部31は、一端がセンスIGBT21sのエミッタに接続され、他端がメインIGBT21mのエミッタ及びエミッタ端子te間に接続された電流検出用抵抗34を有する。
さらに、素子駆動部31は、抵抗32とゲート抵抗23側の制御配線24と、低電位側配線22のメインIGBT21mのエミッタ及びエミッタ端子te間との間に接続された電流制限用の例えばNチャネルMOSFETで構成される半導体スイッチ素子35を有する。
また、素子駆動部31は、抵抗32と後述する第1分圧回路の抵抗42aとの間の制御電圧(例えば5V)が電源電圧としてそれぞれ供給された制御回路としての入力判定回路36、保護制御回路37、ゲート制御回路38を備えている。
入力判定回路36は、ゲート端子tgに供給される外部の制御装置からのゲート信号に基づく制御電圧Vcoが予め設定されたイグナイタの閾値電圧Vth以上であるか否かを判定する。この入力判定回路36では、制御電圧Vcoが閾値電圧Vth未満であるときには、例えばローレベルの入力判定信号Sjを出力し、制御電圧Vcoが閾値電圧Vth以上であるときに例えばハイレベルの入力判定信号Sjを出力する。
保護制御回路37は、パワー半導体チップ25に内蔵させたダイオードなどの温度センサの検出信号を取り込むことにより、メインIGBT21mが設定温度以上の高温になった場合に、前記ゲート制御回路38に遮断信号Ssを出力する。
また、保護制御回路37は、入力判定回路36から入力される入力判定信号Sjに基づいて外部の制御装置に異常が発生し長すぎるゲート信号が入力された場合を検出する。すなわち、保護制御回路37では、タイマー回路で入力端子となるゲート端子tgに印加されるゲート信号のオン時間をカウントし、オン時間が一定時間に達したときに、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲート電圧Vgがローレベルとなるように半導体スイッチ素子35を制御する遮断信号Ssをゲート制御回路38に出力する。
ゲート制御回路38は、センスIGBT21sのエミッタ及び電流検出用抵抗34の接続点の端子電圧が電流検出値として入力されるとともに、入力判定回路36から出力される入力判定信号Sj及び保護制御回路37から出力される遮断信号Ssが入力されている。
このゲート制御回路38は、入力判定信号Sjがローレベルであるときには、半導体スイッチ素子35をオン状態に制御して、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲートに供給されるゲート電圧Vgを低電位に維持する。このため、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sがオフ状態に維持される。
一方、ゲート制御回路38は、入力判定信号Sjがハイレベルであるときには、半導体スイッチ素子35をオフ状態に制御し、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲートへのゲート信号の供給を許容する。
さらに、ゲート制御回路38は、保護制御回路37からハイレベルの遮断信号Ssが入力されたときに、半導体スイッチ素子35をオン状態に制御してメインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲートに供給されるゲート電圧Vgを低電位に維持する。このため、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sはターンオフされる。
さらに、ゲート制御回路38は、電流制限回路としても動作する。すなわち、ゲート制御回路38では、メインIGBT21mのコレクタ電流Icが電流制限値ILIMに達すると、この電流制限値ILIMを維持するように半導体スイッチ素子35をオン状態に制御する。これにより、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲート電圧Vgを低下制御し、メインIGBT21mの発熱による破壊から保護する。
また、素子駆動部31は、入力端子となるゲート端子tg側の制御配線24と低電位側端子となるエミッタ端子te側の低電位側配線22との間に接続されたプルダウン抵抗39を有する。このプルダウン抵抗39は、ゲート端子tgの入力インピーダンスを決定する。
さらに、制御半導体チップ30も、パワー半導体チップ25と同様に、パッケージ組立の際の機械的な接触や、製品としてパッケージ後に人間が触れることによる静電気放電(ESD)から保護する必要があり、プルダウン抵抗39と並列に例えば3つのツェナーダイオードを直列に接続したツェナーダイオード群40が接続されている。
また、素子駆動部31は、接続されているメインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38が5V系の制御系で構成されている。このため、入力端子となるゲート端子tgや制御配線24にバッテリ11の電源系統に接続される天絡が生じて、5V制御系の定格電圧又は許容上限電圧でなる保護すべき設定電圧を超えた場合に半導体素子及び各種回路が破壊される虞がある。特に、内燃機関の点火装置では、天絡から素子駆動部31の構成部品を確実に保護する必要がある。
このため、本実施形態では、入力判定回路36及びツェナーダイオード群40間に、メインIGBT21m、センスIGBT21s及び素子駆動部31の構成部品を天絡から保護する天絡保護回路41が設けられている。
この天絡保護回路41は、第1分圧回路42と例えばNチャネルMOSFETで構成される半導体スイッチ素子43との直列回路44と、この直列回路44と並列に接続された第2分圧回路45とで構成されている。
ここで、第1分圧回路42は、直列に接続された2つの抵抗42a及び42bで構成されている。抵抗42aは、ツェナーダイオード群40と入力判定回路36との間の制御配線24に介挿されている。抵抗42bは、抵抗42aと入力判定回路36との間の制御配線24と低電位側配線22との間に半導体スイッチ素子43と直列に接続されている。
そして、第1分圧回路42の抵抗42a及び42bの接続点Aが制御配線24に接続されている。つまり、制御配線24が第1分圧回路42の抵抗42aを介して入力端子となるゲート端子tgに接続され、第1分圧回路42の抵抗42bが半導体スイッチ素子43を介して低電位側配線22に接続されている。
このため、半導体スイッチ素子43がオフ状態であるときには、第1分圧回路42は分圧回路としては機能せず、入力端子としてのゲート端子tgに印加されるゲート信号がそのまま抵抗42aを介してセンスIGBT21s側の制御配線24に供給される。
これに対して、半導体スイッチ素子43がオン状態であるときには、第1分圧回路42が分圧回路として機能し、抵抗42aの抵抗値と抵抗42bの抵抗値及び半導体スイッチ素子43のオン抵抗との合成抵抗値とで決まる第1分圧電圧VaがセンスIGBT21s側の制御配線24に供給される。
したがって、抵抗42a及び42bの抵抗値は、ゲート端子tg又は制御配線24に天絡が生じてゲート端子tg側の制御配線24にバッテリ11のバッテリ電圧VBとして例えば16Vとなる過電圧が印加されたときに、第1分圧回路42の抵抗42a及び42b間の接続点Aから出力される第1分圧電圧VaがメインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38を構成する半導体素子の定格電圧又は許容電圧でなる設定電圧Vs未満となるように設定される。
また、第2分圧回路45は、第1分圧回路42の抵抗42aと入力端子となるゲート端子tgとの接続点と低電位側配線22との間に直列に接続された2つの抵抗45a及び45bで構成されている。そして、抵抗45a及び45bの接続点が半導体スイッチ素子43の制御端子であるゲートに接続されている。
この第2分圧回路45は、抵抗45a及び45bの抵抗値が、抵抗42a及びゲート端子tg間に前述した設定電圧Vs以上の高電圧が印加されたときに、抵抗45a及び45bの接続点から出力される第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43を導通状態とするゲート閾値電圧以上となるように設定されている。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、入力端子となるゲート端子tg及び制御配線24が天絡状態ではない正常状態であるものとする。この正常状態では、制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vs未満となる。このため、天絡保護回路41では、第2分圧回路45の抵抗45a及び45bの接続点Bの第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧未満となる。このため、半導体スイッチ素子43はオフ状態を維持し、第1分圧回路42は分圧動作を停止している。
この正常状態で、ゲート端子tgに外部の制御装置から印加されるゲート信号がローレベルであるときには、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sの寄生ゲート容量に蓄積されている電荷が放電されている。このため、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sはオフ状態を維持し、点火コイル13の1次コイル13aに対するバッテリ11のバッテリ電圧VBの供給が停止されている。また、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38は、ゲート信号がローレベルであるので、電源電圧が入力されず、動作停止状態にある。
この状態から、ゲート信号がハイレベル(例えば5V)に立ち上がると、このゲート信号が制御電圧Vcoとして第1分圧回路42の抵抗42aを介して入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38に電源電圧として供給されて、これらが動作状態となる。
このとき、入力判定回路36に入力される制御電圧Vcoが閾値電圧Vth未満であるときには、入力判定信号Sjがローレベルを維持し、ゲート制御回路38によって半導体スイッチ素子35がオン状態に制御される。このため、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲートに供給されるゲート電圧Vgが低電位に維持され、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sがオフ状態に維持される。
その後、入力判定回路36に入力される制御電圧Vcoが閾値電圧Vth以上となると、ハイレベルの入力判定信号Sjが保護制御回路37及びゲート制御回路38に出力される。
保護制御回路37では、ハイレベルの入力判定信号Sjに基づいてタイマー回路がカウントを開始する。ゲート制御回路38では、ハイレベルの入力判定信号Sjに基づいて半導体スイッチ素子35をオフ状態とする。このため、制御電圧Vcoがゲート電圧VgとしてメインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲートに印加されてメインIGBT21m及びセンスIGBT21sがターンオン状態となる。
したがって、バッテリ11から点火コイル13の1次コイル13aを介し、半導体装置20のコレクタ端子tcを経てメインIGBT21mのコレクタにコレクタ電流Icが流れ始める。このコレクタ電流Icは、インダクタンスと点火コイル13の1次コイル13aに印加される電圧でdI/dtが決定される。
また、コレクタ電圧Vcは、点火コイル13のインダクタンスの変化率L(di/dt)によってコレクタ電圧Vcが緩やかに立ち上がり、その後例えば3〜5Vの低電圧で一定電圧を維持する。
そして、メインIGBT21mがオン状態に制御されている間、点火コイル13の1次コイル13aに電磁エネルギが蓄積される。その後、ゲート信号が所定の点火期間Tsが経過した時点で、ローレベルに復帰すると、これに応じてメインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲート電圧がスピードアップ用のダイオード33を介して外部の制御装置側に迅速に引き抜かれる。これによって、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sがターンオフする。
このため、メインIGBT21mのコレクタ電流Icは急激に減少し、このコレクタ電流Icの急激な変化により、点火コイル13の1次コイルの両端電圧は自己誘導作用により数百Vまで急激に上昇する。同時に、2次コイル13bの両端電圧も相互誘導作用により数10kVまで上昇し、その電圧が点火装置12に印加される。点火装置12では印加電圧が数10kV以上で火花放電を発生させて内燃機関を駆動する。
この通常の点火動作では、コレクタ電流Icが電流制限値ILIMに達することがないようにゲート信号のオン時間が設定されている。このため、ゲート制御回路38ではゲート信号がローレベルとなっており、半導体スイッチ素子35はオフ状態を維持し、電流制限動作は停止している。同様に、保護制御回路37で過熱状態を検出しておらず、ゲート信号のオン時間が設定時間未満であるときには、保護制御回路37から遮断信号Ssがゲート制御回路38に出力されず、半導体スイッチ素子35はオフ状態を維持している。
以上が通常の点火動作であるが、外部の制御装置に異常が発生し、ゲート端子tgに入力されるゲート信号のオン時間幅が通常時のオン時間幅を超える状態となると、以下の保護動作が実行される。
すなわち、ゲート信号がオン状態となって、入力判定回路36に入力される制御電圧Vcoが閾値電圧Vth以上となると、ハイレベルの入力判定信号Sjが保護制御回路37入力される。このため、保護制御回路37のタイマー回路でカウントを開始する。
そして、ゲート信号のオン状態が、通常時の所定の点火期間Tsを超えて継続すると、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのオン時間が長くなり、コレクタ電流Icが増加する。このコレクタ電流IcがセンスIGBT21sのエミッタに接続された電流検出用抵抗34で電圧信号として検出され、検出された電圧信号がゲート制御回路38に入力されることにより、電流制限動作が開始される。
この電流制限動作は、コレクタ電流Icが制限電流Is(例えば12A)を維持するように、半導体スイッチ素子35をオン・オフ制御する。この電流制限動作によって、パワー半導体チップ25の発熱を抑制する。
この電流制限動作状態となっても、ゲート信号のオン状態が継続される場合には、保護制御回路37で、タイマー回路がタイムアップするか、または過熱検出部での検出温度が設定温度に達することになる。このため、タイマー回路のタイムアップ時点または過熱検出時点で保護制御回路37からハイレベルの遮断信号Ssがゲート制御回路38に出力される。したがって、ゲート制御回路38からハイレベルのゲート信号が半導体スイッチ素子35に出力されて、この半導体スイッチ素子35かオン状態なり、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sが直ちにターンオフされる。
さらに、入力端子となるゲート端子tg及び制御配線24の一方がバッテリ11の電源系統に接続される天絡状態となると、制御配線24の制御電圧Vcoが例えば16Vまで上昇する。このため、制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vsを超えると、第2分圧回路45の抵抗45a及び45bの接続点Bの第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧Vgth以上となる。したがって、半導体スイッチ素子43がオン状態となり、第1分圧回路42の抵抗42bが半導体スイッチ素子43を通じて低電位側配線22に接続される。
この結果、第1分圧回路42で分圧動作を開始し、抵抗42a及び42bの接続点Aから出力される第1分圧電圧Vaがバッテリ電圧VBとはならず、メインIGBT21m、センスIGBT21s及び素子駆動部31の各構成部品の定格電圧又は許容上限電圧となる設定電圧Vs以下に制限される。この設定電圧Vsが制御配線24を通じてメインIGBT21m及びセンスIGBT21sのゲートに印加されるとともに、半導体スイッチ素子35、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38を構成する半導体スイッチ素子に印加される。
したがって、入力端子となるゲート端子tg及び制御配線24の何れかに天絡が生じた場合でも、メインIGBT21m、センスIGBT21s及び素子駆動部31の各構成部品に印加される電圧は設定電圧Vs以下に制限される。よって、メインIGBT21m、センスIGBT21s及び素子駆動部31の各構成部品が破壊されることを確実に防止することができる。
このように、上記第1の実施形態によると、制御配線24に印加される電圧が設定電圧Vsを超えると、半導体スイッチ素子43が導通状態となって第1分圧回路42が分圧動作を開始して、制御配線に印加する制御電圧を設定電圧Vs以下に制限するので、メインIGBT21m、センスIGBT21s、素子駆動部31の各構成部品を確実に保護することができる。
ちなみに、本実施形態による天絡保護回路41を設けない場合には、少なくとも入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38のそれぞれに個別に天絡保護回路を設ける必要がある。この場合の天絡保護回路は、図2に示すように、入力端子tin及び出力端子tout間に設けた前述した特許文献2に記載された抵抗R1及びコンデンサC1で構成されるローパスフィルタLPFと、コンデンサC1と並列に接続された制御電圧Vcoを設定電圧Vsに制限するツェナーダイオードZDとで構成される。したがって、天絡保護回路数が増加し、制御半導体チップ30のチップサイズが大きくなる。
これに対して、本実施形態では、第1分圧回路42及び第2分圧回路45を構成する4つの抵抗と1つの半導体スイッチ素子43とで構成される1つの天絡保護回路を設けるだけでよく、半導体チップサイズを縮小することができる。
また、本実施形態では、センスIGBT21s側の制御配線24に印加される制御電圧Vcoが設定電圧Vsを超えることがないので、例えば耐圧7Vのスピードアップ用のダイオード33を1つ設ければよく、ダイオード33の導通抵抗がメインIGBT21m及びセンスIGBT21sのターンオフに影響を与えることはない。
これに対して、天絡保護回路41を設けない場合には、制御配線24に例えば16Vが印加されることになるので、スピードアップ用のダイオード33は耐圧7Vのダイオードを3段接続する必要が生じる。このようにスピードアップ用ダイオードを3段構成とすると、ダイオードの順方向電圧Vfを0.7Vとしたときに、ダイオードを3段直列に接続する場合には、0.7V×3=2.1Vとなり、メインIGBT21m及びセンスIGBT21sのオン閾値以上の電圧が掛かることで速やかにメインIGBT21m及びセンスIGBT21sのコレクタ電流を遮断できない可能性がある。
次に、本発明の第2の実施形態について図3を伴って説明する。
この第2の実施形態では、第2分圧回路45の構成をツェナーダイオードと抵抗の直列回路に変更したものである。
すなわち、第2の実施形態では、図3に示すように、前述した第1の実施形態における第2分圧回路45の抵抗45aが省略され、これに代えて,ツェナーダイオード45cが設けられている。このツェナーダイオード45cの耐圧は制御配線24にメインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38の定格電圧又は許容上限電圧に設定された設定電圧Vsと等しい例えば7Vに設定されている。
このツェナーダイオード45cは、カソードが第1分圧回路42の抵抗42a及び入力端子となるゲート端子tg間に接続され、アノードが抵抗45bと半導体スイッチ素子43のゲートとの接続点Bに接続されている。
そして、第2分圧回路45のツェナーダイオード45cの動作抵抗値と抵抗45bの抵抗値とは、設定電圧Vs以下であるときに接続点Bから出力される第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43のオン閾値電圧未満となり、設定電圧Vsを超えたときに第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43のオン閾値電圧以上となるように設定されている。
その他の構成については、第1の実施形態と同様の構成を有し、図3において図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態によると、入力端子となるゲート端子tg及び制御配線24に供給される制御電圧が設定電圧Vs以下である正常状態では、第2分圧回路45のツェナーダイオード45cが非導通状態を維持する。このため、ツェナーダイオード45c及び抵抗45bの接続点Bから出力される第2分圧電圧Vbが低電位側配線22の低電位となる。
したがって、正常時には、前述した第1の実施形態と同様の動作を行ない、ゲート信号のオン時間が長くなったときの電流制限動作も前述した第1の実施形態と同様の動作を行なう。
一方、正常状態から入力端子としてのゲート端子tg又は制御配線24がバッテリ11の電源系統に接続される天絡状態となると、ゲート信号のオン・オフにかかわらず制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vs(例えば7V)を超えて16Vまで急増することになる。このため、第2分圧回路45が制御配線24の制御電圧Vcoを監視しており、制御電圧Vcoが設定電圧Vsを超えた時点で第2分圧回路45のツェナーダイオード45cが導通状態となる。したがって、接続点Bから出力される第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43のオン閾値電圧以上となり、半導体スイッチ素子43が直ちにオン状態となる。
このため、第1分圧回路42では、抵抗42bが半導体スイッチ素子43を介して低電位側配線22に接続されるので分圧動作を開始し、抵抗42a及び42bの接続点Aから出力される第1分圧電圧Vaが設定電圧Vs以下に制御される。この第1分圧電圧Vaが制御配線24を通じてメインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38に供給される。
したがって、入力端子となるゲート端子tg及び第1分圧回路42間の制御配線24に天絡が生じても、メインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38に供給される制御電圧Vcoは設定電圧Vs以下に確実に制限される。この結果、天絡発生時にメインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38を確実に保護することができる。したがって、第2の実施形態でも前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態について図4を伴って説明する。
この第3の実施形態は、第1の実施形態における第2分圧回路45を、制御半導体チップ30を静電気放電(ESD)から保護するツェナーダイオードに接続するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図4に示すように、上述した第1の実施形態における第2分圧回路45を構成する抵抗45aを制御配線24に接続する場合に代えて、制御半導体チップ30を静電気放電(ESD)から保護するツェナーダイオード群40の制御配線24側のツェナーダイオード40aとこれに隣接するツェナーダイオード40bの接続点Cに接続されている。ここで、第2分圧回路45の抵抗45a及び45bの抵抗値は、ツェナーダイオード40aを介して設定電圧Vsを超える過電圧が入力されたときに、第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43のオン閾値電圧以上となるように設定されている。
その他の構成については第1の実施形態と同様の構成を有し、図4において図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第3の実施形態によると、第2分圧回路45を構成する抵抗45aが制御半導体チップ30を静電気放電(ESD)から保護するツェナーダイオード群40の制御配線24側のツェナーダイオード40aとこれに隣接するツェナーダイオード40bとの接続点Cに接続されている。この第2分圧回路45の分圧動作自体は、前述した第1の実施形態と変わりはないが、第2分圧回路45には制御配線24の制御電圧がツェナーダイオード40aの耐圧である設定電圧Vsを超えたときにのみ電圧が供給されることになる点が異なる。このため、制御配線24の制御電圧が設定電圧Vsを超えたときに、半導体スイッチ素子43がオン状態に制御される。したがって、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも、正常時に第2分圧回路45を通じてエミッタ端子teに流れる電流を抑制することができる。このため、第1の実施形態のように第2分圧回路45をプルダウン抵抗39と並列に接続する場合には、プルダウン抵抗39以外に新たな電流路が形成されて入力端子となるゲート端子tgの入力インピーダンスがプルダウン抵抗39より下がってしまうことになる。しかしながら、第3の実施形態によると、正常時にプルダウン抵抗39と並列に電流路が形成されることがないので、正確な入力インピーダンスを決定することができる。
次に、本発明の第4の実施形態について図5を伴って説明する。
この第5の実施形態では、第2分圧回路を前述した入力端子となるゲート端子tgの入力インピーダンスを決定するプルダウン抵抗を利用して構成するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、図5に示すように、プルダウン抵抗39を2つの第1抵抗39a及び第2抵抗39bに分割して、これらを直列に配置することで第2分圧回路45を形成している。そして、第1抵抗39a及び第2抵抗39bの接続点Dを半導体スイッチ素子43のゲートに接続している。
また、第1抵抗39a及び第2抵抗39bの抵抗値は、合成抵抗値がプルダウン抵抗39の抵抗値と同じ値で、制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vs以下であるときに、接続点Dから出力される第2分圧電圧Vdが半導体スイッチ素子43のオン閾値電圧未満となり、制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vsを超えたときに接続点Dから出力される第2分圧電圧Vdが半導体スイッチ素子43のオン閾値電圧以上となるように設定されている。
この第4の実施形態によると、第2分圧回路45がプルダウン抵抗39を利用して構成されていることを除いては前述した第1の実施形態と実質的に同一の構成となるので、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも、第4の実施形態では、前述した第1の実施形態のように第2分圧回路45をプルダウン抵抗39と並列に接続する必要がない。このため、第2分圧回路45を構成する部品点数を減少させることができる。その上、第1の実施形態のように第2分圧回路45をプルダウン抵抗39と並列に接続する場合には、プルダウン抵抗39以外に新たな電流路が形成されて入力端子となるゲート端子tgの入力インピーダンスがプルダウン抵抗39より下がってしまうことになる。しかしながら、第4の実施形態によると、プルダウン抵抗39a及び39bと並列に電流路が形成されることがないので、正確な入力インピーダンスを決定することができる。
次に、本発明の第5の実施形態について図6を伴って説明する。
この第5の実施形態では、第1分圧回路に対する半導体スイッチ素子の接続位置を変更したものである。
すなわち、第5の実施形態では、前述した第1〜第4の実施形態における半導体スイッチ素子43の接続位置が、抵抗42bと低電位側配線22との間に直列に接続する場合から抵抗42bと制御配線24との間に直列に接続する場合に変更されている。
この第5の実施形態でも、第1分圧回路42としては、制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vs以下であるときには、第2分圧回路45の第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43の閾値電圧未満となる。このため、半導体スイッチ素子43はオフ状態を維持し、接続点Aと低電位側配線22との間の電流路が遮断されて分圧動作が停止される。
一方、制御配線24の制御電圧Vcoが設定電圧Vsを超えると、第2分圧回路45の第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43の閾値電圧以上となる。このため、半導体スイッチ素子43はオン状態となり、この半導体スイッチ素子43を通じて抵抗42bが接続点Aに接続される。したがって、第1分圧回路42が分圧動作を開始し、接続点Aから出力される第1分圧電圧Vaが設定電圧Vs以下に制御される。
したがって、入力端子となるゲート端子tg及び制御配線24に天絡が発生して、設定電圧Vsを超える過電圧が印加された場合に、この過電圧を第1分圧回路42で設定電圧Vs以下に抑制することができる。このため、過電圧がメインIGBT21m、センスIGBT21s、入力判定回路36、保護制御回路37及びゲート制御回路38に供給されることを確実に防止して、これらを保護することができる。
次に、本発明の第6の実施形態について図7を伴って説明する。
この第6の実施形態では、第2分圧回路に半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧の温度依存性を打ち消す機能を付加したものである。
すなわち、第6の実施形態では、図7に示すように、第2分圧回路45の抵抗45bと低電位側配線22との間に、半導体スイッチ素子43のゲート閾電圧の温度依存性を打ち消すダイオード46がアノードを抵抗45b側とし、カソードを低電位側配線22側として順方向に接続されている。ここで、ダイオード46は、半導体スイッチ素子43のゲート閾電圧の温度依存性を打ち消せるように、順方向電圧Vf、サイズ、直列数、並列数などの定数が設定されている。
そして、ゲート端子tgとエミッタ端子te間に前述した設定電圧Vs以上の高電圧が印加されたときに、第2分圧回路45において、抵抗45a及び抵抗45bで発生する電圧とダイオード46順方向電圧Vfとの和で表される第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43を導通状態とするゲート閾値電圧以上となるように設定されている。
その他の構成については前述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第6の実施形態によると、半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧Vgthは負の温度依存性を持っているが、ダイオード46の順方向電圧Vfも負の温度係数を持っているため、ダイオード46の定数(順方向電圧Vf、サイズ、直列数、並列数)を適正に設定することで半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧Vgthの温度依存性を打ち消すことができる。
したがって、デバイスの温度に依存しない天絡保護回路を提供することができる。
次に、本発明の第7の実施形態について図8を伴って説明する。
この第7の実施形態では、上述した第6の実施形態における半導体スイッチ素子のゲート閾値電圧の温度依存性を打ち消す素子としてダイオードに代えてダイオード接続の半導体スイッチ素子を適用したものである。
すなわち、第7の実施形態では、図8に示すように、前述した第7の実施形態におけるダイオードが省略され、これに代えてダイオード接続の半導体スイッチ素子47が接続されている。
ダイオード接続の半導体スイッチ素子47としては、半導体スイッチ素子43と同種のNチャネルMOSFETを適用し、チャンネル幅Wとチャンネル長Lの比W/Lも半導体スイッチ素子43と同じに設定されている。この半導体スイッチ素子47は、ドレインが抵抗45bに接続され、ソースが低電位側配線22に接続され、ゲートがドレインに接続されている。
この第7の実施形態でも、ゲート端子tgとエミッタ端子te間に前述した設定電圧Vs以上の高電圧が印加されたときに、第2分圧回路45において、抵抗45a及び抵抗45bで発生する電圧とダイオード接続した半導体スイッチ素子47の順方向電圧Vfとの和で表される第2分圧電圧Vbが半導体スイッチ素子43を導通状態とするゲート閾値電圧以上となるように設定されている。
その他の構成については前述した第6の実施形態と同様の構成を有し、図7との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第7の実施形態によると、半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧Vgthの温度依存性を打ち消す素子として、半導体スイッチ素子43と同種で、同一のチャンネル幅とチャンネル長の比W/Lを有する半導体スイッチ素子47をダイオード接続して適用している。このため、半導体スイッチ素子47が半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧Vgthの温度依存性と同じ温度依存性を有するので、半導体スイッチ素子43のゲート閾値電圧Vgthの温度依存性を正確に打ち消すことができる。
なお、第2分圧回路45の構成は、第1の実施形態の構成に限定されるものではなく、第2〜第5の実施形態の構成であっても、低電位側の抵抗と低電位側配線22との間にダイオード又はダイオード接続された半導体スイッチ素子を順方向に接続すればよい。
また、上記第1〜第7の実施形態では、メインIGBT21mの保護機能として、メインIGBT21mの電流制限機能、パワー半導体チップ25の過熱保護機能、入力信号のオン時間が長くなったときのタイマー遮断機能の3つを備えた場合について説明した。しかしながら、本発明は、上記3つの保護機能に限定されるものではなく、3つの内の1つ又は複数の保護機能を持たせることもできる他、他の保護機能を追加することもできる。
また、上記第1〜第7の実施形態では、電圧制御型半導体素子としてIGBTを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、パワーMOSFETやSiC、GaN系、ダイヤモンド半導体等のワイドバンドギャップ半導体素子を適用することができる。
また、第1分圧回路42と直列に接続する半導体スイッチ素子43についてもMOSFETに限定されるものではなく、他の任意の半導体スイッチ素子を適用することができる。
また、上記第1〜第7の実施形態では、半導体装置20をパワー半導体チップ25と制御半導体チップ30との2つのチップで構成する場合について説明したが、パワー半導体チップ25と制御半導体チップ30とを一体化してワンチップ構成とすることもできる。
また、第2分圧回路45を構成するツェナーダイオードをダイオード接続したMOSFETに置換することもできる。
また、上記第1〜第7の実施形態では、本発明を点火制御装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の誘導性負荷を駆動する制御装置にも本発明を適用することができる。
10…点火制御装置、11…バッテリ、12…点火装置、13…点火コイル、20…半導体装置、21m…メインIGBT、21s…センスIGBT、22…低電位側配線、23…ゲート抵抗、24…制御配線、25…パワー半導体チップ、30…制御半導体チップ、31…素子駆動部、32…抵抗、33…スピードアップ用ダイオード、34…電流検出用抵抗、35…半導体スイッチ素子、36…入力判定回路、37…保護制御回路、38…ゲート制御回路、39…プルダウン抵抗、39a,39b…抵抗、40…ツェナーダイオード群、40a,40b,40c…ツェナーダイオード、41…天絡保護回路、42…第1分圧回路、42a,42b…抵抗、43…半導体スイッチ素子、45…第2分圧回路、45a,45b…抵抗、45c…ツェナーダイオード、46…ダイオード、47…ダイオード接続された半導体スイッチ素子

Claims (14)

  1. 負荷を駆動する電圧制御型半導体素子と、
    前記電圧制御型半導体素子の制御端子に対する制御信号が入力され、当該制御信号によって前記電圧制御型半導体素子の制御端子を制御するとともに、制御信号を電源として駆動される制御回路を有する素子駆動部とを備え、
    前記素子駆動部は、
    前記制御信号が入力される入力端子及び前記電圧制御型半導体素子の低電位側端子が接続される低電位側端子と、
    前記入力端子及び前記低電位側端子間に接続され、第1分圧電圧が前記電圧制御型半導体素子及び前記制御回路を保護する設定電圧以下となるように設定された第1分圧回路と、
    該第1分圧回路の分圧動作を制御する半導体スイッチ素子と、
    前記入力端子に前記設定電圧を超える電圧が入力されたときに前記半導体スイッチ素子を導通させる第2分圧電圧を前記半導体スイッチ素子の制御端子に出力する第2分圧回路とを備え、
    前記第1分圧電圧を前記電圧制御型半導体素子の制御端子及び前記制御回路に供給することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記第1分圧回路は、前記入力端子と前記電圧制御型半導体素子及び前記制御回路との間に接続された第1抵抗と、該第1抵抗と前記電圧制御型半導体素子及び前記制御回路との接続点と前記低電位側端子との間に接続された第2抵抗とを備え、前記第1抵抗及び前記第2抵抗の接続点から前記第1分圧電圧を出力することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記半導体スイッチ素子は、前記第2抵抗と直列に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記第2分圧回路は、2つの抵抗が直列に接続されて構成され、前記抵抗間の接続点が前記半導体スイッチ素子の制御端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記第2分圧回路は、前記入力端子及び前記第1分圧回路間にカソードが接続されたツェナーダイオードと、該ツェナーダイオードのアノードと前記低電位側端子との間に接続された抵抗とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記第2分圧回路は、前記入力端子及び低電位側端子間に直列に接続された複数のツェナーダイオードの前記入力端子側のツェナーダイオードと、該ツェナーダイオードと隣接するツェナーダイオードの接続点と前記低電位側端子との間に接続された抵抗とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記第2分圧回路は、前記入力端子及び低電位側端子に接続された当該入力端子の入力インピーダンスを決定するプルダウン抵抗を分割した第1抵抗及び第2抵抗で構成され、前記第1抵抗及び前記第2抵抗の接続点が前記半導体スイッチ素子の制御端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記電圧制御型半導体素子と、前記素子駆動部とが異なる半導体チップに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  9. 前記第2分圧回路の前記低電圧側端子側に前記半導体スイッチ素子のゲート閾値電圧の温度依存性を打ち消す半導体素子を接続したことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  10. 前記半導体素子は、順方向接続されるダイオードで構成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
  11. 前記半導体素子は、ダイオード接続された半導体スイッチ素子で構成されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
  12. 前記半導体スイッチ素子及び前記ダイオード接続された半導体スイッチ素子は、同種のNチャネルMOSFETで構成されていることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
  13. 前記電圧制御型半導体素子と前記素子駆動部とが同一の半導体チップに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  14. 前記電圧制御型半導体素子は、IGBT及びMOSFETの何れかで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
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