(第1実施形態)
以下、本発明に係るパーキングブレーキ装置及び張力検知ユニットを、張力検知ユニット30を有するパーキングブレーキ装置1に適用した実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(パーキングブレーキ装置の概略構成)
図1に示すように、第1実施形態に係るパーキングブレーキ装置1は、操作レバー10と、ベース部材20とを有しており、車両に固設されたベース部材20に回動可能に配設された操作レバー10を、運転者によって回動操作させることにより、ブレーキケーブルCを介して、パーキングブレーキの作動及び解除可能に構成されている。
尚、以下の説明においては、車両に配設された状態のパーキングブレーキ装置1を基準として、各方向を定義する。即ち、ベース部材20が固設された車両のフロア側を、下方向とし、その逆側を上方向とする。又、各図に示すように、当該パーキングブレーキ装置1が配設された車両の前後方向及び左右方向をもって、前後方向及び左右方向として定義して説明する。
ベース部材20は、車両のフロア(図示せず)に略垂直に固定された略平板形状の部材であり、回動軸25を介して、操作レバー10が回動可能に取り付けられている。即ち、ベース部材20は、第1実施形態に係るパーキングブレーキ装置1における基礎的構成として機能し、回動軸25は、操作レバー10の回動に関する回動中心として機能する。
図1等に示すように、第1実施形態に係るパーキングブレーキ装置1においては、操作レバー10の後部に対して、張力検知ユニット30が着脱可能に配設されている。当該張力検知ユニット30は、パーキングブレーキの作動・解除を行う際に、ブレーキケーブルCに発生した張力を検知する為のユニットであり、本発明における張力検知ユニットに相当する。当該張力検知ユニット30の具体的な構成については、後に詳細に説明する。
(パーキングブレーキ装置の基本的構成)
次に、第1実施形態に係るパーキングブレーキ装置1の基本的構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。第1実施形態においては、パーキングブレーキの作動・解除を行う為の構成を、パーキングブレーキ装置1の基本的構成とし、ブレーキケーブルCの張力を検知する為の構成は、これに含まれないものとする。
上述したように、操作レバー10は、パーキングブレーキ装置1において、運転者によって回動操作がなされる主要な構成部材であり、グリップ部11と、レバー本体部12とを有している。グリップ部11は、操作レバー10の一端側(前方端部側)において、略円筒形状に形成されており、当該操作レバー10を回動操作する際に運転者によって把持される。
そして、レバー本体部12は、操作レバー10における他端側(後方側の端部)を構成しており、車両のフロアに立設されたベース部材20に対して、回動軸25を軸として回動可能に支持されている。当該レバー本体部12には、ブレーキケーブルCの一端が連結されており、当該ブレーキケーブルCの他端側は、車両に搭載されたパーキングブレーキに対して接続されている。
そして、当該レバー本体部12には、第1係止孔13と、第2係止爪14とが形成されている。第1係止孔13及び第2係止爪14は、後述する張力検知ユニット30を操作レバー10に着脱可能に取り付ける際に用いられる。第1係止孔13は、レバー本体部12の上面における後端部に穿設されており、張力検知ユニット30を構成する第1プレート部材40の第1係止爪45が係止される(図2、図5参照)。第2係止爪14は、レバー本体部12の右側面における後端部に突出形成されており、張力検知ユニット30を構成する第1プレート部材40の第2係止孔46内に挿入される(図2、図5参照)。
操作レバー10において、円筒状のグリップ部11内部には、レリーズノブ15が先端に配設されたレリーズロッドと、当該レリーズロッドを付勢するスプリングが収容されている。レリーズノブ15は、レリーズロッドの前端部に取り付けられており、図1等に示すように、操作レバー10の前側端面から突出するように配設される。当該パーキングブレーキ装置1においては、レリーズノブ15の押込み操作を行うことによって、レリーズロッドをスライド移動させている。
そして、レバー本体部12内部には、ポール等の構成部材や、ラチェットを含むベース部材20が介在している。ポールは、操作レバー10のレバー本体部12内部における後方側に位置しており、揺動可能に配設されている。当該ポールは、レリーズロッドの後端部に連結されており、レリーズロッドのスライド移動に伴って揺動する。ポールの係止爪は、当該ポールの揺動に伴って、ベース部材20に形成されたラチェットの歯部に対して当接・離間する。
そして、ベース部材20は、前後一対の取付脚部21を、その下端側に有している。当該取付脚部21は、略垂直に立ち上がるベース部材20の主要部に対し、それぞれ側方に逆向きかつ略水平に延びるように折曲されている。そして、取付脚部21は、運転席近傍の据付け部位に対してボルト止めされることで、ベース部材20を据付け部位に固定する機能を果たす。
図1、図2に示すように、ベース部材20の前方右側には、ケーブルホルダ22が形成されている。当該ケーブルホルダ22は、操作レバー10のレバー本体部12に連結されたブレーキケーブルCを保持しており、操作レバー10の回動操作に伴うブレーキケーブルCの動きをガイドする。
ベース部材20の主要部には、ラチェットが固設されている。当該ラチェットは、回動軸25を中心とする円弧を描くように列設された複数の歯部を有している。ラチェットの歯部は、ポールの一端部に形成された係止爪がポールの揺動に伴って噛み合うように形成されている。当該パーキングブレーキ装置1においては、ポールの係止爪がラチェットの歯部に対して噛み合うことで、回動軸25を中心とした操作レバー10の解除方向への回動が制限される。そして、レリーズノブ15の押込み操作によって、レリーズロッドが後方にスライド移動し、ポールが揺動することで、ラチェットの歯部に対する噛み合いが解除される。従って、この場合においては、操作レバー10の解除方向への回動が許容されることになり、ブレーキケーブルCを介して、パーキングブレーキを解除し得る。
(パーキングブレーキの作動及び解除)
以上のように構成されたパーキングブレーキ装置1を用いて、パーキングブレーキを作動させる際又はパーキングブレーキの作動を解除する際の各部の動作について説明する。
先ず、パーキングブレーキを作動させ、車両に制動力を作用させる場合について説明する。この場合、運転者は、パーキングブレーキ装置1において、操作レバー10を上方へ引き起こす方向(以下、作動方向)へ、操作レバー10を回動操作する。具体的には、運転者は、操作レバー10のグリップ部11を把持し、上方に引き上げる。これにより、操作レバー10は、回動軸25を中心として、上方に向かって回動する。
操作レバー10の作動方向への回動に伴って、操作レバー10に連結されたブレーキケーブルCが引っ張られる為、ブレーキケーブルCの他端側に連結されたパーキングブレーキが作動し、車両に対して制動力が付与される。
そして、操作レバー10の作動方向の回動に伴って、レバー本体部12内部のポールは揺動し、ラチェットの歯部を順次乗り越える。その後、当該ポールは、操作レバー10の作動方向への回動が停止された時点で、ラチェットの歯部との噛み合いを維持し、操作レバー10の解除方向への回動を規制する。こうして、操作レバー10の回動が規制されることにより、ブレーキケーブルCの状態も維持され、パーキングブレーキの作動状態が維持される。
続いて、作動しているパーキングブレーキを解除し、車両に作用している制動力を除去する場合について説明する。この場合、運転者は、操作レバー10を一度作動方向に回動操作しつつ、レリーズノブ15の押込み操作を行い、レリーズノブ15を操作レバー10に押し込んだ状態で、操作レバー10を下方向(以下、解除方向)へ回動操作する。
操作レバー10を作動方向に回動操作しつつ、レリーズノブ15の押込み操作を行った場合、レリーズロッドは、スプリングの付勢力に抗して、操作レバー10の後方側にスライド移動する。これにより、ポールが揺動し、ポールの係止爪とラチェットの歯部との噛み合いが解除される。この状態になることで、操作レバー10は、解除方向への回動操作が可能な状態となる。
操作レバー10の解除方向への回動に伴って、操作レバー10に連結されたブレーキケーブルCが緩められる為、ブレーキケーブルCの他端側に連結されたパーキングブレーキの作動が解除され、車両に対する制動力が除去される。
(張力検知ユニット30の具体的構成)
第1実施形態に係る張力検知ユニット30の具体的構成について、図3、図4を参照しつつ詳細に説明する。当該張力検知ユニット30は、パーキングブレーキの作動・解除する為に、ブレーキケーブルCに発生した張力を検知する為のユニットであり、図1、図2に示すように、操作レバー10の後端部に対して着脱可能に取り付けられる。
当該張力検知ユニット30は、第1プレート部材40と、第2プレート部材50と、コイルスプリング80と、張力検知スイッチ90と、を有して構成されており、ブレーキケーブルCの一端部が接続されている。そして、ブレーキケーブルCは、第1プレート部材40の前方側から張力検知ユニット30へ取り込まれており、コイルスプリング80内部、第2プレート部材50を通過した後、ブレーキケーブルCの端部に抜け止め部材(図示せず)を固着して接続されている。
操作レバー10の引き起こしによって、張力検知ユニット30がパーキングブレーキ装置1における後方に移動すると、ブレーキケーブルCの端部が接続された第2プレート部材50及びコイルスプリング80の協働により、張力検知ユニット30における前方へ第2プレート部材50が移動し、ブレーキケーブルCが後方に引っ張られる。これにより、当該パーキングブレーキ装置1においては、パーキングブレーキによって車両に制動力が発生した制動状態がもたらされる。そして、張力検知ユニット30の第1プレート部材40に対する第2プレート部材50の位置が変化することによって、張力検知スイッチ90は、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知する。
図4に示すように、第1プレート部材40は、金属板材によって構成されており、プレート本体部41と、スイッチ取付部44と、第1係止爪45と、第2係止孔46とを有している。当該第1プレート部材40は、当該張力検知ユニット30の前側部分を構成し、操作レバー10の後端部分に対して直接取り付けられる。(図1、図5参照)。
プレート本体部41は、金属板材によって平板状に形成されており、第1プレート部材40の主要部を構成する。当該プレート本体部41は、操作レバー10におけるレバー本体部12の後端に略垂直を為すように取り付けられる。図4に示すように、プレート本体部41には、ケーブル挿通孔42と、スリット43と、第2係止孔46とが形成されている。
図4等に示すように、当該プレート本体部41における上部には、ケーブル挿通孔42が形成されている。ケーブル挿通孔42には、プレート本体部41の前面側から第1カラー部材60が取り付けられる。第1カラー部材60は、円筒形状の円筒部61と、当該円筒部61の一端部から径方向外側に向かって突出形成されたフランジ部62とを有している。ケーブル挿通孔42の内径は、第1カラー部材60における円筒部61の外径よりも大きな径をもって形成されている。
第1カラー部材60は、プレート本体部41の前面側から円筒部61をケーブル挿通孔42に挿通させて、フランジ部62をケーブル挿通孔42の周縁に溶接等することによって取り付けられる。これにより、円筒部61は、ケーブル挿通孔42の開口縁に沿って、第2プレート部材50側(車両後方側)に向かって伸びるように配設される。そして、当該円筒部61の内径は、ブレーキケーブルCの外径よりも大きな径をもって形成されている。従って、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42及び第1カラー部材60の円筒部61の内部に対して、ブレーキケーブルCをスライド移動可能に挿通することができる。
プレート本体部41におけるケーブル挿通孔42の右側には、スリット43が形成されている。図3、図4に示すように、スリット43には、後述する第2プレート部材50のプレートガイド片53が挿入される。スリット43は、第2プレート部材50のプレートガイド片53と協働することで、操作レバー10の回動操作に伴って、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50を所定方向へスライド移動させる。そして、スイッチ取付部44は、プレート本体部41の右下部分に形成されており、張力検知ユニット30を構成する張力検知スイッチ90がスイッチ固定部材93を介して取り付けられる。
図4、図5に示すように、第1係止爪45は、プレート本体部41の左上端縁に形成されており、レバー本体部12の上面に形成された第1係止孔13と協働することにより、操作レバー10に対して第1プレート部材40を着脱可能に固定する。当該第1係止爪45は、プレート本体部41の左上端縁から上方に伸びた後、プレート本体部41表面よりもやや前方において下方に伸びるように形成されている。従って、第1プレート部材40を操作レバー10の後端部に引っ掛けるようにして、第1係止爪45を第1係止孔13に対して上方から進入させることができ、第1プレート部材40をレバー本体部12の後端に着脱可能に取り付けることができる。
そして、第2係止孔46は、プレート本体部41におけるケーブル挿通孔42の右下方に形成されており、レバー本体部12の後端部における右側面に形成された第2係止爪14と協働することにより、操作レバー10に対して第1プレート部材40を着脱可能に固定する。図5に示すように、第1プレート部材40は、第1係止爪45と第1係止孔13による係止部分と、第2係止孔46と第2係止爪14による係止部分との2カ所によって、操作レバー10の後端部に取り付けられる為、操作レバー10に対する所定位置に精度よく取り付けることができる。
図3に示すように、第2プレート部材50は、ブレーキケーブルCによって挿通された状態で、張力検知ユニット30の前後方向に移動可能に、第1プレート部材40に対して取り付けられており、第1プレート部材40に取り付けられた張力検知スイッチ90によって、ブレーキケーブルCの張力の検知する際に用いられる。当該第2プレート部材50は、金属板材に対して折り曲げ加工等を施すことによって構成されており、プレート本体部51と、プレートガイド片53と、ボルト支持部55と、を有している。
プレート本体部51は、金属板材によって平板状に形成されており、第2プレート部材50の主要部を構成する。当該プレート本体部51は、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50を取り付けた場合に、第1プレート部材40のプレート本体部41に対して略平行を為すように配設される。
そして、図4等に示すように、プレート本体部51には、ケーブル挿通孔52が形成されている。ケーブル挿通孔52には、プレート本体部51の後面側から第2カラー部材70が取り付けられる。第2カラー部材70は、円筒形状の円筒部71と、当該円筒部71の一端部から径方向外側に向かって突出形成されたフランジ部72とを有している。ケーブル挿通孔52の内径は、第2カラー部材70における円筒部71の外径よりも大きな径をもって形成されている。
第2カラー部材70は、プレート本体部51の後面側から円筒部71をケーブル挿通孔52に挿通させて、フランジ部72をケーブル挿通孔52の周縁に溶接等することによって取り付けられる。これにより、円筒部71は、ケーブル挿通孔52の開口縁に沿って、第1プレート部材40側(車両前方側)に向かって伸びるように配設される。
そして、当該円筒部71の内径は、ブレーキケーブルCの外径及び円筒部61の外径よりも大きな径をもって形成されており、ブレーキケーブルCの端部に固設された抜け止め部材(図示せず)よりも小径をもって形成されている。図3等に示すように、張力検知ユニット30を構成した場合に、第2カラー部材70における円筒部71の内部に対して、第1カラー部材60の円筒部61及びブレーキケーブルCを挿通させることができる。
従って、当該張力検知ユニット30は、ブレーキケーブルCを、ある程度、スライド移動可能に挿通させることができ、第2プレート部材50等と、抜け止め部材とが接触した時点で、ブレーキケーブルCの張力を第2プレート部材50に作用させることができる。即ち、当該第2プレート部材50は、ブレーキケーブルCからの張力に従って、コイルスプリング80を圧縮し、コイルスプリング80の付勢力に対抗しながら、張力が付勢力よりも大きくなった時点で、張力検知ユニット30の前方側(張力検知スイッチ90側)に向かって移動し得る。
図3、図4に示すように、プレートガイド片53は、プレート本体部51の右側端縁に形成されており、金属板材を張力検知ユニット30の前方側に折り曲げることによって、前方に突出するように形成されている。当該プレートガイド片53は、第1プレート部材40のスリット43を挿通して組み付けられる。従って、スリット43とプレートガイド片53とを協働させることで、第1プレート部材40に対する第2プレート部材50のスライド移動の方向を一定の範囲に限定することができる。
そして、プレートガイド片53の先端には、保持部材54が取り付けられている(図3参照)。当該保持部材54は、スリット43の開口面積よりも大きく形成されており、スリット43を挿通した状態のプレートガイド片53の先端部に取り付けられる。従って、保持部材54は、第1プレート部材40に対する第2プレート部材50のスライド移動量を所定範囲に制限することができ、張力検知ユニット30をユニット化することができる。
プレート本体部51における右下側には、ボルト支持部55が延出形成されており、作動用ボルト56を取り付け可能に構成されている。当該ボルト支持部55は、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50を組み付けた場合に、スイッチ取付部44に対向するように形成されている。従って、ボルト支持部55は、スイッチ取付部44に固定された張力検知スイッチ90の検知軸92に対向するように、作動用ボルト56を保持し得る。
そして、作動用ボルト56は、ナット57及びウェルドナット58を用いて、ボルト支持部55に取り付けられる。ナット57及びウェルドナット58を用いて、作動用ボルト56を取り付けることによって、ボルト支持部55に対する作動用ボルト56の取付態様を加減することができる。これにより、車種の違いによる張力検知スイッチ90の取付位置の違いを吸収するほか、ブレーキケーブルCから第2プレート部材50に加えられる張力の検知タイミングを微調整することができる。
コイルスプリング80は、第1プレート部材40と第2プレート部材50の間に配設されており、本発明における弾性部材として機能する。当該コイルスプリング80は、第2カラー部材70における円筒部71の外径よりもやや大きな巻径で形成されている。従って、図4に示すように、コイルスプリング80は、第2プレート部材50に固設された円筒部71、第1プレート部材40に固設された円筒部61及びブレーキケーブルCによって挿通される。当該コイルスプリング80は、第1プレート部材40と第2プレート部材50の間において、第1プレート部材40から第2プレート部材50を後方側へ付勢している。
そして、張力検知スイッチ90は、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知する為の機械式スイッチ(所謂、プッシュスイッチ)であり、ハウジング91と、検知軸92を有している。張力検知スイッチ90において、検知軸92は、ハウジング91に対して変位可能に配設されており、ブレーキケーブルCに生じた張力によって、第1プレート部材40と第2プレート部材50の相対的な距離が所定値以下となった場合に、作動用ボルト56によって押圧される。
当該張力検知スイッチ90は、検知軸92が張力検知ユニット30の後方側を向くように、スイッチ固定部材93を介して、第1プレート部材40のスイッチ取付部44に対して固定される。図3等に示すように、このように取り付けることで、張力検知スイッチ90の検知軸92が第2プレート部材50のボルト支持部55に支持された作動用ボルト56と対向する。
(レバー本体部の後部に対する張力検知ユニットの取付作業)
次に、上述した構成の張力検知ユニット30を、操作レバー10におけるレバー本体部12の後部に取り付ける際の取付作業について図面を参照しつつ説明する。
上述したように、張力検知ユニット30においては、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42の周縁に対しては、第1カラー部材60が溶接等により固定されており、スイッチ取付部44に対しては、スイッチ固定部材93を介して、張力検知スイッチ90が固定されている。従って、第1プレート部材40は、第1カラー部材60及び張力検知スイッチ90と一体化されている。
一方、第2プレート部材50のケーブル挿通孔52の周縁に対しては、第2カラー部材70が溶接等により固定されており、ボルト支持部55に対しては、ナット57及びウェルドナット58を介して、作動用ボルト56が取り付けられている。従って、第2プレート部材50は、第2カラー部材70及び作動用ボルト56と一体化されている。
このように構成部材が取り付けられた第1プレート部材40と第2プレート部材50の間に、コイルスプリング80を配設すると同時に、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50を組み付ける。この時、コイルスプリング80の前端側から、第1プレート部材40の円筒部61を挿入し、コイルスプリング80の後端側から、第2プレート部材50の円筒部71を挿入した状態で、スリット43に挿通したプレートガイド片53の先端に保持部材54を取り付ける。これにより、構成部材が取り付けられた第1プレート部材40及び第2プレート部材50と、コイルスプリング80との相対的な位置関係が固定され、張力検知ユニット30をユニット化することができる。
又、コイルスプリング80に挿入する際に、第1プレート部材40の円筒部61は、第2プレート部材50の円筒部71内部に挿入される。これにより、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42と、第1カラー部材60の円筒部61と、第2プレート部材50のケーブル挿通孔52と、第2カラー部材70の円筒部71とについて、全ての軸心を容易に合わせることができる。これにより、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42と、第1カラー部材60の円筒部61と、第2プレート部材50のケーブル挿通孔52と、第2カラー部材70の円筒部71と、コイルスプリング80に対して、ブレーキケーブルCを挿通する作業に関する作業性を向上させることができる。
そして、このようにユニット化された張力検知ユニット30を、レバー本体部12の後端部に取り付ける場合、張力検知ユニット30を構成する第1プレート部材40の第2係止孔46に対して、レバー本体部12の後端部における右側面部に形成された第2係止爪14を挿通させつつ、第1プレート部材40の第1係止爪45を、レバー本体部12の上面に形成された第1係止孔13に引っ掛ける(図5参照)。当該パーキングブレーキ装置1によれば、第1係止爪45等による係止と、第2係止孔46等による係止という簡単な作業で、張力検知ユニット30を、レバー本体部12の後端部における所定位置に精度よく取り付けることができる。
又、第1プレート部材40は、第1係止爪45と第1係止孔13との協働と、第2係止孔46と第2係止爪14との協働とにより、レバー本体部12の後端部における所定位置に精度よく固定される。上述したように、張力検知ユニット30はユニット化されている為、第1プレート部材40に対する張力検知ユニット30の他の構成部材の位置関係も定まっている。即ち、第1プレート部材40をレバー本体部12の後端部における所定位置に精度よく固定することによって、張力検知ユニット30を、レバー本体部12の後端部における所定位置に精度よく取り付けることができる。
又、レバー本体部12の後部から張力検知ユニット30を取り外す作業について、図面を参照しつつ詳細に説明する。この場合、作業者は、張力検知ユニット30の第2係止孔46から、レバー本体部12に形成された第2係止爪14を引き抜きつつ、レバー本体部12の後端部に取り付けられている張力検知ユニット30を持ち上げる。当該張力検知ユニット30を持ち上げることで、第1係止孔13から第1係止爪45が抜け出すことになる為、第1係止爪45等による係止と、第2係止孔46等による係止の何れも解除することができ、簡単な作業で、レバー本体部12の後部から張力検知ユニット30を取り外すことができる。
(パーキングブレーキの作動及び解除に伴う張力検知ユニットの動作)
上述したように、操作レバー10を引き上げ、作動方向に回動操作すると、ブレーキケーブルCによってコイルスプリング80に加えられる張力が増加し始める。そして、ブレーキケーブルCの張力がコイルスプリング80の付勢力を超えると、ブレーキケーブルCの引っ張りによって、コイルスプリング80が圧縮し、第2プレート部材50が前方へ変位していく。そして、第1プレート部材40に対する第2プレート部材50の位置が前方側の所定位置に移動すると、張力検知スイッチ90の検知軸92は、第2プレート部材50に取り付けられた作動用ボルト56によって押圧される。これにより、張力検知スイッチ90の接点は導通状態となる為、張力検知ユニット30は、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知し得る。
尚、第2プレート部材50の作動用ボルト56が張力検知スイッチ90の検知軸92を押し始めるタイミングは、ボルト支持部55に対する作動用ボルト56の螺着量で調節できる。又、ブレーキケーブルCの張力に対抗するコイルスプリング80の付勢力によっても、張力検知スイッチ90による検知タイミングを調整することができる。即ち、コイルスプリング80の付勢力を、コイル巻きにする線材の断面形状、大きさ、巻半径、巻数又はピッチの選択によって調整してもよい。又、第1プレート部材40のスイッチ取付部44に対する張力検知スイッチ90の位置関係によっても調節できる。
ブレーキケーブルCの張力がコイルスプリング80の付勢力を大きく超え、コイルスプリング80を圧縮していくと、第1プレート部材40と第2プレート部材50との間隔が更に狭まっていく。この時、コイルスプリング80の内部において、円筒部71の端部がケーブル挿通孔42の周囲を構成するプレート本体部41に当接する。この円筒部71の先端と第1プレート部材40のプレート本体部41との当接により、第1プレート部材40に対する第2プレート部材50の前方移動は、円筒部71によって規制される。
第1プレート部材40と第2プレート部材50の間隔が規制されるので、第1プレート部材40に取り付けられた張力検知スイッチ90と、第2プレート部材50に支持された作動用ボルト56との位置関係も規制される。即ち、ブレーキケーブルCの張力がコイルスプリング80の付勢力を大きく超えた場合であっても、張力検知スイッチ90の検知軸92が、第2プレート部材50の作動用ボルト56との当接によって、必要以上に押し込まれることはなく、張力検知スイッチ90を含む張力検知ユニット30の破損や故障を防止し得る。
上述したように、ケーブル挿通孔42の周縁におけるプレート本体部41の前側には、第1カラー部材60のフランジ部62が溶接固定されている。従って、ブレーキケーブルCの張力がコイルスプリング80の付勢力を大きく超えた場合に、円筒部71の先端によって加えられた荷重を、ケーブル挿通孔42の周縁におけるプレート本体部41だけでなく、第1カラー部材60のフランジ部62によって受けることができる。これにより、ケーブル挿通孔42の周縁におけるプレート本体部41の変形を抑制することができ、張力検知スイッチ90を含む張力検知ユニット30の破損や故障を防止し得る。
そして、操作レバー10を下げ、解除方向に回動操作すると、ブレーキケーブルCによってコイルスプリング80に加えられる張力が減少していく為、第2プレート部材50は、コイルスプリング80の付勢力によって、第1プレート部材40に対して後方側へ変位していく。これにより、第2プレート部材50における作動用ボルト56は、張力検知スイッチ90の検知軸92から離間していく為、張力検知ユニット30は、ブレーキケーブルCに生じた張力が所定値未満に低下したことを検知し得る。
以上説明したように、第1実施形態に係るパーキングブレーキ装置1は、操作レバー10と、ベース部材20と、張力検知ユニット30とを有しており、操作レバー10を回動軸25周りに回動させた場合にブレーキケーブルCを引っ張ることにより車両の制動装置を作動させ、張力検知ユニット30によって、前記操作レバー10の回動に伴って前記ブレーキケーブルCに生じた張力を検知するように構成されている。
当該パーキングブレーキ装置における張力検知ユニット30は、第1プレート部材40と、第2プレート部材50と、コイルスプリング80と、張力検知スイッチ90とを有しており、操作レバー10の回動に伴ってブレーキケーブルCに生じた張力によって、コイルスプリング80の付勢力に抗して前記第1プレート部材40と第2プレート部材50との相対的な距離を変化させて、前記張力検知スイッチ90の検知軸92を介して、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知するように構成されている。
当該張力検知ユニット30は、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50、コイルスプリング80、張力検知スイッチ90等の構成部材を組み付けて構成されており(図3、図4参照)、第1プレート部材40は、第1係止爪45及び第2係止孔46と、レバー本体部12に形成された第1係止孔13及び第2係止爪14とを協働させることで、レバー本体部12に対して着脱可能に取り付けられる(図5参照)。従って、当該パーキングブレーキ装置1によれば、第1プレート部材40を介して、張力検知ユニット30を前記操作レバー10における後端部に対して着脱することができるので、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能の有無を容易に変更することができる。つまり、当該パーキングブレーキ装置1によれば、張力検知ユニット30の着脱によって、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能の要否についてのユーザの希望に対応することができ、パーキングブレーキ装置1の利便性や低コスト化に貢献し得る。
当該パーキングブレーキ装置1において、第1プレート部材40は、第1係止部としての第1係止爪45と、第2係止部としての第2係止孔46とを有しており、第1係止部と第2係止部とによって、前記操作レバー10の後端における上面を含む2カ所(即ち、第1係止孔13及び第2係止爪14の形成位置)をもって着脱可能に固定される。即ち、当該パーキングブレーキ装置1によれば、操作レバー10の後端部における2カ所をもって、第1プレート部材40を係止する為、操作レバー10の後端部に対して、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30を、所定の位置に精度よく取り付けることができ、張力検知ユニット30等の組付作業時の作業性を高め得る。
当該パーキングブレーキ装置1において、前記第1プレート部材40の前記ケーブル挿通孔42には、円筒部61が形成されており、前記第2プレート部材50の前記ケーブル挿通孔52には、異なる径の円筒部71が形成されている。即ち、当該パーキングブレーキ装置1においては、第2プレート部材50の円筒部71に対して、第1プレート部材40の円筒部61を挿入することで、第1プレート部材40におけるケーブル挿通孔42及び円筒部61と、第2プレート部材50におけるケーブル挿通孔52及び円筒部71の中心に係る軸合わせが可能となり、ブレーキケーブルCを配設する際の作業性を高めることができる。
又、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50がスライド移動した場合に、円筒部71の先端をケーブル挿通孔42の周辺に当接させることができる為、第1プレート部材40と第2プレート部材50との間隔が所定未満になることを防止することができる。そして、当該パーキングブレーキ装置1によれば、第1プレート部材40と第2プレート部材50との間隔が所定未満になることを防止することで、張力検知スイッチ90の検知軸92に対して過剰な押圧荷重が作用することを防止でき、張力検知スイッチ90及び張力検知ユニット30の故障を抑制し得る。
当該パーキングブレーキ装置1において、円筒部61及びフランジ部62を有する第1カラー部材60が、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42に配設され、円筒部71及びフランジ部72を有する第2カラー部材70が、第2プレート部材50のケーブル挿通孔52に配設されている。従って、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50がスライド移動した場合に、円筒部71の先端をケーブル挿通孔42の周辺に当接させた場合の荷重を、ケーブル挿通孔42の周辺及びフランジ部62で受けることができ、ケーブル挿通孔42の周辺における変形を抑制することができる。
当該張力検知ユニット30は、操作レバー10と、ベース部材20とを有するパーキングブレーキ装置1に対して配設され、操作レバー10の回動に伴って車両の制動装置を作動させる際に、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知し得る。張力検知ユニット30は、第1プレート部材40と、第2プレート部材50と、コイルスプリング80と、張力検知スイッチ90とを有しており、操作レバー10の回動に伴ってブレーキケーブルCに生じた張力によって、コイルスプリング80の付勢力に抗して前記第1プレート部材40と第2プレート部材50との相対的な距離を変化させて、前記張力検知スイッチ90の検知軸92を介して、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知するように構成されている。
そして、当該張力検知ユニット30は、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50、コイルスプリング80、張力検知スイッチ90等の構成部材を組み付けて構成されており(図3、図4参照)、第1プレート部材40は、第1係止爪45及び第2係止孔46と、レバー本体部12に形成された第1係止孔13及び第2係止爪14とを協働させることで、レバー本体部12に対して着脱可能に取り付けられる(図5参照)。
従って、当該張力検知ユニット30によれば、第1プレート部材40を介して、パーキングブレーキ装置1における操作レバー10の後端部に対して着脱することができるので、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能を容易に付加することができる。つまり、当該張力検知ユニット30によれば、パーキングブレーキ装置1に対する張力検知ユニット30の着脱によって、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能の要否についてのユーザの希望に対応することができる。
当該張力検知ユニット30において、第1プレート部材40は、第1係止部としての第1係止爪45と、第2係止部としての第2係止孔46とを有しており、第1係止部と第2係止部とによって、前記操作レバー10の後端における上面を含む2カ所(即ち、第1係止孔13及び第2係止爪14の形成位置)をもって着脱可能に固定される。即ち、当該張力検知ユニット30によれば、操作レバー10の後端部における2カ所をもって、第1プレート部材40を係止する為、操作レバー10の後端部に対して、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30を、所定の位置に精度よく取り付けることができ、張力検知ユニット30等の組付作業の作業性を高め得る。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)に係るパーキングブレーキ装置1の概略構成について、図6を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1は、操作レバー10におけるレバー本体部12の構成や、張力検知ユニット30に係る第1プレート部材40の構成を除き、上述した第1実施形態に係るパーキングブレーキ装置1と同様の構成を有している。従って、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成についての説明を省略し、相違する構成について詳細に説明する。
(第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置の概略構成)
第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1は、第1実施形態と同様に、操作レバー10と、ベース部材20とを有しており、車両に固設されたベース部材20に回動可能に配設された操作レバー10を、運転者によって回動操作させることにより、ブレーキケーブルCを介して、パーキングブレーキの作動及び解除可能に構成されている。
図6に示すように、第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1においても、操作レバー10の後部に対して、張力検知ユニット30が着脱可能に配設されている。当該張力検知ユニット30は、パーキングブレーキの作動・解除を行う際に、ブレーキケーブルCに発生した張力を検知する。
そして、第2実施形態に係る操作レバー10は、パーキングブレーキ装置1において、運転者によって回動操作がなされる主要な構成部材であり、グリップ部11と、レバー本体部12とを有している。
レバー本体部12には、第1実施形態と同様に、第1係止孔13が形成されており、張力検知ユニット30を操作レバー10に着脱可能に取り付ける際に用いられる。第1係止孔13は、レバー本体部12の上面における後端部に穿設されており、張力検知ユニット30を構成する第1プレート部材40の第1係止爪45が係止される(図6参照)。尚、第2実施形態に係るレバー本体部12は、その右側面における後端部に第2係止爪14が突出形成されていない点で、第1実施形態に係るレバー本体部12と異なっている(図5、図6参照)。
(第2実施形態に係る張力検知ユニットの具体的構成)
次に、第2実施形態に係る張力検知ユニット30の具体的構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。第2実施形態においても、張力検知ユニット30は、パーキングブレーキの作動・解除する為に、ブレーキケーブルCに発生した張力を検知する為のユニットであり、図6に示すように、操作レバー10の後端部に対して着脱可能に取り付けられる。
そして、第2実施形態に係る張力検知ユニット30は、第1実施形態と同様に、第1プレート部材40と、第2プレート部材50と、コイルスプリング80と、張力検知スイッチ90と、を有して構成されており、ブレーキケーブルCの一端部が接続されている。操作レバー10の引き起こしによって、張力検知ユニット30がパーキングブレーキ装置1における後方に移動すると、ブレーキケーブルCの端部が接続された第2プレート部材50及びコイルスプリング80の協働により、張力検知ユニット30における前方へ第2プレート部材50が移動し、ブレーキケーブルCが後方に引っ張られる。
これにより、当該パーキングブレーキ装置1においては、パーキングブレーキによって車両に制動力が発生した制動状態がもたらされる。そして、張力検知ユニット30の第1プレート部材40に対する第2プレート部材50の位置が変化することによって、張力検知スイッチ90は、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知する。
図6に示すように、第2実施形態に係る第1プレート部材40は、金属板材によって構成されており、プレート本体部41と、スイッチ取付部44と、第1係止爪45とを有している。尚、第2実施形態に係る第1プレート部材40は、プレート本体部41におけるケーブル挿通孔42の右下方に第2係止孔46が形成されていない点で、第1実施形態に係る第1プレート部材40と相違している(図5、図6参照)。
第2実施形態に係る第1係止爪45は、プレート本体部41の左上端縁に形成されており、レバー本体部12の上面に形成された第1係止孔13と協働することにより、操作レバー10に対して第1プレート部材40を着脱可能に固定する。当該第1係止爪45は、プレート本体部41の左上端縁から上方に伸びた後、プレート本体部41表面よりもやや前方において下方に伸びるように形成されている。従って、第1プレート部材40を操作レバー10の後端部に引っ掛けるようにして、第1係止爪45を第1係止孔13に対して上方から進入させることができ、第1プレート部材40をレバー本体部12の後端に着脱可能に取り付けることができる。
図6に示すように、第2実施形態に係る第1係止爪45の先端には、抜け止め部45Aが形成されている。当該抜け止め部45Aは、プレート本体部41表面よりもやや前方において下方に伸びる略平板状の第1係止爪45の先端部を、前方(即ち、プレート本体部41表面から離れる方向)に向かって折り曲げることで形成される。第1係止爪45の先端に形成された抜け止め部45Aは、操作レバー10に取り付けられた第1プレート部材40及び張力検知ユニット30を直線状に一方向(例えば、単に上方向)に動かしただけでは、操作レバー10の第1係止孔13に接触する為、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30の抜け止めとして機能する。
第2実施形態においては、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30を、操作レバー10の後端部から、第1係止孔13及び第1係止爪45を中心として引き上げるように回動させれば、抜け止め部45Aによって妨げられることなく、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30を、操作レバー10から取り外すことができる。
(第2実施形態に係る張力検知ユニットの取付作業)
次に、第2実施形態に係る張力検知ユニット30を、操作レバー10におけるレバー本体部12の後部に取り付ける際の取付作業について図面を参照しつつ説明する。
第2実施形態張力検知ユニット30においても、第1プレート部材40は、第1実施形態と同様に、第1カラー部材60及び張力検知スイッチ90と一体化されている。又、第2プレート部材50に関しても、第1実施形態と同様に、第2カラー部材70及び作動用ボルト56と一体化されている。
第2実施形態においても、それぞれ構成部材が取り付けられた第1プレート部材40と第2プレート部材50の間に、コイルスプリング80を配設すると同時に、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50が組み付けられる。この時、コイルスプリング80の前端側から、第1プレート部材40の円筒部61を挿入し、コイルスプリング80の後端側から、第2プレート部材50の円筒部71を挿入した状態で、スリット43に挿通したプレートガイド片53の先端に保持部材54を取り付ける。これにより、構成部材が取り付けられた第1プレート部材40及び第2プレート部材50と、コイルスプリング80との相対的な位置関係が固定され、張力検知ユニット30をユニット化できる。
又、第2実施形態に係る張力検知ユニット30においても、コイルスプリング80に挿入する際に、第1プレート部材40の円筒部61は、第2プレート部材50の円筒部71内部に挿入される。これにより、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42と、第1カラー部材60の円筒部61と、第2プレート部材50のケーブル挿通孔52と、第2カラー部材70の円筒部71とについて、全ての軸心を容易に合わせることができる。
ユニット化された第2実施形態に係る張力検知ユニット30を、レバー本体部12の後端部に取り付ける場合、第1係止爪45の抜け止め部45Aを、第1係止孔13内に進入させて、第1プレート部材40の第1係止爪45を、レバー本体部12の上面に形成された第1係止孔13に引っ掛ける(図6参照)。当該パーキングブレーキ装置1によれば、第1係止爪45等による係止という簡単な作業で、張力検知ユニット30を、レバー本体部12の後端部における所定位置に取り付けることができる。
又、第2実施形態においても、張力検知ユニット30はユニット化されている為、第1プレート部材40に対する張力検知ユニット30の他の構成部材の位置関係も定まっている。即ち、第1プレート部材40をレバー本体部12の後端部における所定位置に固定することによって、張力検知ユニット30を、レバー本体部12の後端部における所定位置に精度よく取り付けることができる。
次に、第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1において、レバー本体部12の後部から張力検知ユニット30を取り外す作業について、図面を参照しつつ詳細に説明する。この場合、作業者は、張力検知ユニット30からブレーキケーブルCを取り外した後、レバー本体部12の後端部に取り付けられている張力検知ユニット30を、第1係止孔13及び第1係止爪45を中心として引き上げるように回動させつつ持ち上げる。
第2実施形態に係る張力検知ユニット30を、このように回動させつつ持ち上げることで、第1係止爪45は、抜け止め部45Aによって妨げられることなく、第1係止孔13から抜け出すことになる。このように、第2実施形態においては、張力検知ユニット30を回動させつつ引き上げることで、第1係止爪45等による係止を解除することができ、簡単な作業で、レバー本体部12の後部から張力検知ユニット30を取り外すことができる。
以上説明したように、第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1は、操作レバー10と、ベース部材20と、張力検知ユニット30とを有しており、操作レバー10を回動軸25周りに回動させた場合にブレーキケーブルCを引っ張ることにより車両の制動装置を作動させ得る。又、当該パーキングブレーキ装置1は、張力検知ユニット30によって、前記操作レバー10の回動に伴って前記ブレーキケーブルCに生じた張力を検知するように構成されている。
そして、第2実施形態に係る張力検知ユニット30は、第1実施形態と同様に、第1プレート部材40と、第2プレート部材50と、コイルスプリング80と、張力検知スイッチ90とを有している。当該張力検知ユニット30は、操作レバー10の回動に伴ってブレーキケーブルCに生じた張力によって、コイルスプリング80の付勢力に抗して前記第1プレート部材40と第2プレート部材50との相対的な距離を変化させることで、前記張力検知スイッチ90の検知軸92を介して、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知するように構成されている。
当該張力検知ユニット30は、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50、コイルスプリング80、張力検知スイッチ90等の構成部材を組み付けて構成されており、第1プレート部材40は、第1係止爪45を、レバー本体部12に形成された第1係止孔13に対して挿入することによって、レバー本体部12に対して着脱可能に取り付けられる(図6参照)。
即ち、第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1によれば、前記操作レバー10のレバー本体部12における第1係止孔13に対して、第1係止爪45を挿入する又は抜去する簡単な作業を行うことで、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30を、所定の位置に着脱することができる。これにより、当該パーキングブレーキ装置1によれば、張力検知ユニット30等の組付作業時の作業性を高めると同時に、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能の要否についてのユーザの希望に容易かつ迅速に対応することができ、パーキングブレーキ装置1の利便性や低コスト化に貢献し得る。
又、第2実施形態に係るパーキングブレーキ装置1においては、第1プレート部材40における第1係止爪45の先端部に抜け止め部45Aを有している為、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30が不用意に外れることはなく、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能を有する状態を維持することができ、ユーザの意図を反映させることができる。
第2実施形態においても、前記第1プレート部材40の前記ケーブル挿通孔42には、円筒部61が形成されており、前記第2プレート部材50の前記ケーブル挿通孔52には、異なる径の円筒部71が形成されている。即ち、当該パーキングブレーキ装置1においては、第2プレート部材50の円筒部71に対して、第1プレート部材40の円筒部61を挿入することで、第1プレート部材40におけるケーブル挿通孔42及び円筒部61と、第2プレート部材50におけるケーブル挿通孔52及び円筒部71の中心に係る軸合わせが可能となり、ブレーキケーブルCを配設する際の作業性を高めることができる。
そして、この場合においても、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50がスライド移動した場合に、円筒部71の先端をケーブル挿通孔42の周辺に当接させることができる為、第1プレート部材40と第2プレート部材50との間隔が所定未満になることを防止することができる。これにより、当該パーキングブレーキ装置1は、張力検知スイッチ90の検知軸92に対して過剰な押圧荷重が作用することを防止でき、張力検知スイッチ90及び張力検知ユニット30の故障を抑制し得る。
当該パーキングブレーキ装置1においても、円筒部61及びフランジ部62を有する第1カラー部材60が、第1プレート部材40のケーブル挿通孔42に配設され、円筒部71及びフランジ部72を有する第2カラー部材70が、第2プレート部材50のケーブル挿通孔52に配設されている。従って、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50がスライド移動した場合に、円筒部71の先端をケーブル挿通孔42の周辺に当接させた場合の荷重を、ケーブル挿通孔42の周辺及びフランジ部62で受けることができ、ケーブル挿通孔42の周辺における変形を抑制することができる。
第2実施形態に係る張力検知ユニット30は、第1実施形態と同様に、操作レバー10と、ベース部材20とを有するパーキングブレーキ装置1に対して配設され、操作レバー10の回動に伴って車両の制動装置を作動させる際に、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知し得る。張力検知ユニット30は、第1プレート部材40と、第2プレート部材50と、コイルスプリング80と、張力検知スイッチ90とを有している。当該張力検知ユニット30は、操作レバー10の回動に伴ってブレーキケーブルCに生じた張力によって、コイルスプリング80の付勢力に抗して前記第1プレート部材40と第2プレート部材50との相対的な距離が変化すると、前記張力検知スイッチ90の検知軸92を介して、ブレーキケーブルCに生じた張力を検知するように構成されている。
そして、第2実施形態に係る張力検知ユニット30は、第1実施形態と同様に、第1プレート部材40に対して第2プレート部材50、コイルスプリング80、張力検知スイッチ90等の構成部材を組み付けて構成されており、第1プレート部材40は、第1係止爪45を、レバー本体部12に形成された第1係止孔13に対して挿入することによって、レバー本体部12に対して着脱可能に取り付けられる(図6参照)。
即ち、第2実施形態に係る張力検知ユニット30によれば、前記操作レバー10のレバー本体部12における第1係止孔13に対して、第1係止爪45を挿入する又は抜去する簡単な作業を行うことで、第1プレート部材40を介して、パーキングブレーキ装置1における操作レバー10の後端部に対して着脱することができるので、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能を容易に付加することができる。つまり、当該張力検知ユニット30によれば、パーキングブレーキ装置1に対する張力検知ユニット30の着脱によって、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能の要否についてのユーザの希望に対応することができる。
又、第2実施形態に係る張力検知ユニット30においては、第1プレート部材40における第1係止爪45の先端部に抜け止め部45Aを有している為、第1プレート部材40及び張力検知ユニット30が不用意に、レバー本体部12から外れることはなく、ブレーキケーブルCの張力に係る検知機能を有する状態を維持することができ、ユーザの意図を反映させることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、第1実施形態においては、操作レバー10の後端部における右側面部に、第2係止爪14が形成されており、第1プレート部材40におけるプレート本体部41に、第2係止孔46が形成されている。この操作レバー10の後端部における第2係止爪14の形成位置と、第1プレート部材40における第2係止孔46の形成位置については、操作レバー10の後端部側と、第1プレート部材40側が相互に対応していれば、この態様に限定されるものではない。本発明における第2係止部については、上述した実施形態に限定されるものではなく、第1係止部とは異なる位置であれば、種々の位置に形成することができる。
又、本発明に係るパーキングブレーキ装置及び張力検出ユニットを構成する各構成部材の形状は、上述した実施形態における形状等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。