JP2017522012A - 後酸性化の制御が改善された発酵乳製品の製造方法 - Google Patents

後酸性化の制御が改善された発酵乳製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、次の工程:(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、を含んで成る、発酵された乳製品の製造方法を提供する。さらに、本発明は、ホエーの少なくとも一部が、発酵乳製品から分離される工程を包含するそれぞれの方法を提供する。

Description

本発明は、乳が乳酸菌を含むスターター培養物により発酵される工程、及び発酵が、乳酸菌により代謝され得る炭水化物の濃度の低下により終結される工程を含んで成る、発酵乳製品の製造方法に関する。本発明の方法は、後酸性化(又は事後的酸性化:post acidification)、すなわち発酵の終結の後、例えばさらなる加工及び貯蔵の間、細菌により引き起こされる酸性化の改善された制御を提供する。
発酵乳製品を製造するための現在の方法のほとんどは、以下の一連の工程により特徴づけられ得る:
(a)乳が、その乳に存在するラクトースから得られるグルコースを代謝できる乳酸菌(又はLAB)を含むスターター培養物を用いて、発酵される工程;
(b)発酵が、最初の6.4〜6.8のpH(牛乳の場合)からpH3.8〜4.7の範囲のpHへの低下を引き起こす乳酸の生成を引き起こす工程;
(c)問題の発酵製品のために所望されるpHに達すると、発酵が発酵乳製品の急速冷却により終結される工程。
この方法は例えば、ヨーグルト及びヨーグルト飲料の製造に使用される。
所定のpH値の発酵乳製品の急速な冷却が、発酵を終結するために実施される。発酵製品を冷却しない場合、発酵は続くであろう。しかしながら、急速な冷却は、それがテクスチャーの損失を導くので、欠点である。急速な冷却工程の回避はまた、ユニット操作を余技なくされ、そして従って、製造費用を低減する。
急速冷却工程を含む方法においてさえ、後酸性化、すなわち発酵の終結の後、すなわち所望するpHに達した後、LABによる乳酸の生成が観察される。後酸性化は、今日、乳製品の発酵の間、最も重要な問題の1つであると思われる。発酵乳製品の加工及び貯蔵の間、pH値のさらなる低下が、酸性度の上昇及び貯蔵寿命の低下を伴う問題を導く。
従って、後酸性化はまた、ヨーグルトの貯蔵寿命に対して負の効果を有する。ヨーグルトの貯蔵寿命は、国に依存して、30〜50日である。この期間、後酸性化は、ヨーグルトの品質を変化させ、酸味のある製品及び高いホエー分離を引き起こす。通常、ヨーグルトの品質は、貯蔵の間、4〜8℃の温度で製品を維持することにより、可能な限り維持される。この温度で、細菌は単に低い活性を有するであろう。しかしながら、多くの国々においては、貯蔵の間、そのクールチェーンを維持することは困難である。
結果として、拡張された貯蔵寿命ヨーグルト(ESLヨーグルト)の製造は、特に、クールチェインを維持することが困難である国々においては、興味深いことである。ESLヨーグルトの従来の製造方法は、発酵の後、熱処理工程(通常、65℃/30秒)を包含する。この処理は、発酵のために使用される細菌の数、及び酵母及びカビの数の有意な低下を引き起こす。加熱工程はまた、ヨーグルトに存在する酵素の活性も阻害する。結果として、製品は9ヶ月までの拡張された貯蔵寿命を有し、ここでは、わずかに低い後酸性化及び風味の変化が観察されるか、又はまったく観察されない。
しかしながら、熱処理は、ヨーグルトの品質に負の効果を有し、そして風味及びテクスチャーの変化が得られる。熱処理のさらなる負の効果は、生存細菌を食することにより得られる健康上の利益が低められるか、又は損なわれる。
後酸性化を制御するためのアプローチの1つは、比較的酸性のpHを有する乳製品の製造にある。それらの方法においては、LABのさらなる増殖及び乳酸の製造が、その酸性pHにより阻害される。しかしながら、乳酸のさらなる生成は単に阻害され、そして完全には終結されず、そしてその方法はマイルドな味を有する発酵乳製品の製造には明らかに不適切である。
後酸性化は、L.ブルガリカス(L. bulgaricus)の代謝活性により制御され、そしてペプチド摂取により引き起こされることが想定され、そしてアミノ酸代謝の欠損を有する菌株が後酸性化を制御するために生成された(米国特許第2010/0021586号及び国際公開第2006/042862A1号)。後酸性化を制御するための他のアプローチは、従来技術に記載されており、そして弱後酸性化により特徴づけられる特定のLAB株の使用に基づく工程を包含する(国際公開第2010/139765号)。
後酸性化を最小限に抑えるための代謝アプローチは、タンパク質:ラクトースの比率の制御、緩衝能力の制御、及び発酵の間、所定範囲内での緩衝能力及びpHの維持に基づかれている(国際公開第2013/169205号)。しかしながら、このアプローチは、発酵の間、多くのプロセスパラメーターの決定を必要とし、そして発酵の間、所定の範囲の維持を確保するために、発酵培地へのタンパク質又はラクトース、又は緩衝液の添加を必要とする。
発酵乳製品中の後酸性化活性のより良好な制御を提供する、発酵乳製品の製造のための方法を改善するための必要性が明らかにまだある。
米国特許第2010/0021586号 国際公開第2006/042862A1号 国際公開第2010/139765号 国際公開第2013/169205号
この問題は現在、非常に低い後酸性化活性を有する乳製品を提供する本発明の方法により解決される。
特に、本発明は、発酵された乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は下記工程:
(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程を含んで成る。
本発明者は、発酵の終結が、発酵のために必要とされる効率又は時間に対して有意に影響を及ぼさないで、発酵される乳中の炭水化物の濃度により制御され得ることを、驚くべきことには見出した。発酵のためのLABに利用できる、乳に存在する炭水化物の低減が発酵工程を阻害するか、又は遅延し、そして従って、発酵乳製品、例えばヨーグルトの大規模製造のために使用され得ない非効率的工程をもたらすことが想定されるので、これは驚くべきことである。本発明者はさらに、発酵工程が、実質的にすべての炭水化物がLABにより消費され、そして次に、ほとんど完全に終結する点まで、急速に進行することを注目することで、驚かされた(図1;1%ラクトース)。LABのために利用できる非常に低い濃度の炭水化物の存在下での発酵工程が、拡張された時間にわたってLABの低酸性化活性をもたらすことが予想された。
あるいは、本発明は、スターター培養物を用いて発酵された乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は、下記工程:
(i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含む工程、
(ii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われる工程、
(iii)前記発酵が、発酵の間、炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、を含んで成り、
ここで前記発酵乳製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されることを特徴とする。これは、前記方法が、発酵乳製品が工程(ii)における発酵のために使用される温度で、発酵の後、20時間にわたって維持される工程を必然的に含むことを意味するものではない。これは、低後酸性化を確かめるために使用され得る単なる機能的試験である。発酵のための温度で貯蔵される場合、20時間にわたって0.3pH単位の範囲内での発酵乳製品のpH値の維持は、非常に低い後酸性化の指標である。
さらなる実施形態によれば、本発明は、実質的に後酸性化により特徴づけられない発酵乳製品の製造方法に向けられる。発酵乳製品の代表的製造方法は、スターター培養物を用いて発酵された乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は、下記工程:
(i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含む工程、
(ii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われる工程、
(iii)前記発酵が、発酵の間、炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、を含んで成り、
ここで前記発酵乳製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、0.1pH単位の範囲内に維持されることを特徴とする。発酵のための温度で貯蔵される場合、20時間にわたって0.1pH単位の範囲内での発酵乳製品のpH値の維持は、後酸性化の不在の指標である。
さらなる代替によれば、本発明は、発酵乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は、下記工程:
(a)乳がスターター培養物を用いて発酵される工程、ここで
(i)前記発酵が乳及びスターター培養物を用いて開始され、ここで前記乳におけるラクトース濃度が、発酵の開始で5〜100mg/gの範囲であり、
(ii)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcusthermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
(iii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われ、
(iv)前記発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結され
(v)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、及び
(b)前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程、を含んで成る。
低後酸性化のために、この方法は、発酵の後、冷却工程を必要としない。
本発明はさらに、それらの方法により得られる発酵乳製品を提供する。それらの発酵乳製品は、発酵のために使用される温度で貯蔵される場合、20時間にわたって0.3pH値の範囲内で製品のpH値を維持することにより特徴づけられる。製品はさらに、発酵するために使用されるLABにより代謝され得る、非常に低い濃度の炭水化物により特徴づけられる。他の炭水化物は、有意に高い濃度で存在することができる。
図1は、1%及び3%ラクトースを含む乳を接種するために使用される場合、S.サーモフィルス(S. thermophilus)株CHCC6008の酸性化活性を比較する。
図2は、スクロースにより補充された乳を発酵するために使用される場合、S.サーモフィルス(S. thermophilus)CHCC17862及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC18944の酸性化活性と、S.サーモフィルス(S. thermophilus)CHCC15914及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC10019の酸性化活性とを比較する。
図3は、スクロースにより補充された乳を発酵するために使用され、そしてS.サーモフィルス(S. thermophilus)CHCC15914の酸性化活性に比較される場合、異なった比率のS.サーモフィルス(S. thermophilus)CHCC17861及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC18944の酸性化活性を示す。
図4は、本発明の方法(Acidifix)及び従来技術の方法(YFL−904)を用いての発酵の後、後酸性化、すなわち2種の異なった発酵乳製品中のpHの進行を示す。
図5は、6℃で42日間、発酵の終結の後、Sweetyにより発酵された培養物中のpHの進行(すなわち、後酸性化)を示す。この図は、pHがそれらの条件下で0.1pH単位未満で変化することを示す。
図6は、冷却温度での48時間の貯蔵の間、ラクトースを伴って及びラクトースを伴わないで発酵された異なった培養物中のpHの進行を示す。
図7は、発酵の前、タンパク質の濃縮(左側)、及び遠心分離又は限外濾過を用いての分離により、発酵の後、タンパク質の濃縮(右側)を用いる方法の概要を示す。
図8は、SSC17と共に発酵した後、乳製品からホエーの分離の間、剪断応力に対するpHの効果を示す。
図9は、Mild2.0と共に発酵した後、乳製品からホエーの分離の間、剪断応力に対するpHの効果を示す。
図10は、SSC17と共に発酵した後、乳製品からホエーの分離の間、複素弾性率又はゲル硬度に対するpHの効果を示す。
図11は、Mild2.0と共に発酵した後、乳製品からホエーの分離の間、複素弾性率又はゲル硬度に対するpHの効果を示す。
一般的に、本発明は、発酵された乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は下記工程:
(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程を含んで成る。
本出願においては、用語「乳(milk)」とは、動物の乳腺又は植物により生成される液体を言及するために、その一般的な意味で広く使用される。本発明によれば、乳は加工され得、そして用語「乳」は、全乳、スキムミルク、無脂肪v、低脂肪乳、全脂肪乳、ラクトース低減乳、又は濃縮乳を包含する。無脂肪乳は、無脂肪又はスキムミルク製品である。低脂肪乳は典型的には、約1%〜約2%の脂肪を含む乳として定義される。全脂肪乳はしばしば、2%又はそれ以上の脂肪を含む。用語「乳」とは、異なった哺乳類及び植物源からの乳を包含することを意図している。乳の哺乳類源は、牛、羊、ヤギ、水牛、ラクダ、ラマ、牝馬、及び鹿を包含するが、但しそれらだけには制限されない。乳の植物源は、大豆、エンドウマメ、ピーナッツ、大麦、米、オートムギ、キノア、アーモンド、カシュー、ココナッツ、ヘーゼルナッツ、大麻、ゴマ種子、及びヒマワリの種子から抽出された乳を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
本発明の方法及び製品においては、牛由来の乳が、最も好ましくは、発酵のための出発材料として使用される。
ラクトース減少乳は、本出願の実施例のいくつかに使用されており、そして市販されている(例えば、Select Milk Producers Inc., Texas, USAから)。ラクトース減少乳は、当業界において知られている任意の方法、例えば、ラクターゼ酵素によりラクトースをグルコース及びガラクトースに加水分解することにより、又はナノ濾過、電気透析、イオン交換クロマトグラフィー及び遠心分離により生成され得る。
用語「乳ベース(milk base)」とは、LABの増殖及び発酵のための培地として使用され得る乳又は乳成分に基づく生成物を言及するために、本出願に広く使用される。乳ベースは、LABを増殖するか又は発酵するために使用され得る、乳由来の成分及び何れか他の成分を含む。
本出願においては、用語「乳酸菌(lactic acid bacteria)」又は「LAB」は、炭水化物発酵の主代謝最終生成物として、乳酸を生成する食品グレードの細菌を言及するために使用される。それらの細菌は、それらの共通する代謝及び生理学的特徴により関連づけられ、そして通常、グラム陽性、低GC、耐酸性、非胞子形成性、非呼吸性、棒状の桿菌又は球菌である。発酵段階の間、それらの細菌によるラクトースの消費が、乳酸菌の形成を引き起こし、pHを低め、そしてタンパク質凝塊を導く。従って、それらの細菌は、乳の酸性化及び乳製品の質感を担当している。本明細書において使用される場合、用語「乳酸菌」とは、ラクトバチルスspp.(lactobacillus spp.)、ビフィドバクテリウムspp.(Bifidobacterium spp)、 ストレプトコーカスspp.(Streptococcus spp.)、 ラクトコッカスspp.(Lactococcus spp.)属、例えばラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、クトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)及びロイコノストックspp.(Leuconostoc spp.)に属する細菌を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
発酵乳製品を製造するための方法の発酵工程は、乳へのスターター培養物の添加を包含する。用語「スターター(starter)」又は「スターター培養物(starter culture)」とは、本明細書において使用される場合、乳ベースの酸性化を担当する、1又は2以上の食品グレードの微生物、特に乳酸菌の培養物を言及する。スターター培養物は、新鮮なもの、凍結されたもの又は凍結乾燥されたものであり得る。発酵乳製品の製造のためには、スターターは、乳の合計量の0.01〜3体積%、好ましくは0.01〜0.025体積%の量で添加され得る。
用語「乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる(capable of metabolizing one or several carbohydrates present in the milk)」とは、炭水化物発酵の主代謝最終生物として乳酸の生成を引き起こすLABの代謝活性を記載するために、本発明において使用される。下記により詳細に説明されるように、LABは、乳に存在する1つの、複数の又はすべての炭水化物を代謝することができる。炭水化物は、天然の乳に存在することができるし、又は乳に添加されて来た。
特定の実施形態によれば、本発明は、ラクトース及びグルコースを代謝できるLABを用いる方法を提供する。他の実施形態によれば、本発明は、他の炭水化物、例えばラクトース及びガラクトースを代謝できる、グルコース代謝における欠損を有するLABを用いる方法を提供する。さらなる代替によれば、本発明は、他の炭水化物、例えばグルコースを代謝できる、ラクトース代謝における欠損を有するLABを用いる方法を提供する。
本発明の方法は、乳が発酵され、そしてその発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低減により終結される工程により特徴づけられる。これは、発酵培地に存在するLABが、発酵され得る炭水化物の非常に低い濃度のために、有意な量の乳酸をもはや生成できないことを意味する。1つの実施形態によれば、発酵の終結は、培養物が20時間、発酵のために使用される温度で維持されながら、0.3pH単位未満の範囲内に維持されるpH値により特徴づけられ得る。例えば、乳が上記のように発酵される工程を包含する、発酵乳製品の製造方法が実施される場合、発酵の終結が、20時間、発酵のための温度で製品を維持することにより、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低減のためであるかどうかを容易に試験することができる。pHがその間、0.3pH単位以上、変化しない場合、発酵の終結は、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により引き起こされた。
所望するpHに達するとすぐに冷却により発酵を終結する従来技術の方法は、代謝活性のために利用できる残留炭水化物は発酵のために使用される温度で有意な後酸性化を引き起こすので、この試験を満たすことはできない(図1、3%曲線;図2及び3、最下部の曲線)。
本発明の方法はさらに、炭水化物の濃度の低下が乳酸菌の代謝活性により少なくともまた引き起こされることにおいて特徴づけられ得る。これは、他の成分、例えば酵素、例えばラクターゼがまた、発酵の間、代謝され得る炭水化物の低下に寄与することができるが、乳酸菌が炭水化物の低下に寄与することを意味する。
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程を包含する。上記に示されたように、従来技術の主問題の1つは、発酵を終結するために発酵製品の急速冷却の必要性にある。本発明の方法は、発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程を包含することができる。これは、従来技術の方法とは対照的に、急速冷却が絶対的に必要ではないことを示す。
1つの代替によれば、発酵の終結は、乳酸菌により代謝され得る1又は複数の炭水化物の濃度により特徴づけられ得る。発酵の終結で、乳酸菌により代謝される炭水化物の濃度は、100mg/g未満、例えば30mg/g未満の範囲、例えば25mg/g〜0.01mg/gの範囲、又は5mg/g〜0.01mg/gの範囲であり得る。
上記に示されたように、本発明に従って発酵乳製品を製造するための方法はさらに、貯蔵の間、特に安定したpH値により特徴づけられ得る。発酵製品は、発酵のために使用される温度で貯蔵される場合、20時間にわたって、0.3pH単位の範囲内で維持され得る。
さらなる代替によれば、本発明に従って発酵乳製品を製造するための方法は、発酵の間、22〜45℃の温度により特徴づけられ得る。この温度範囲は、中温性及び好熱性培養のために使用される範囲を包含する。本出願においては、用語「中温性(mesophilic)」とは、中位の温度、すなわち15℃〜40℃の温度で最良に増殖する微生物を言及する。産業的に最も有意な中温菌は、ラクトコッカスssp. (Lactococcus spp.)及びロイコノストックspp. (Leuconostoc spp.)を包含する。好熱性乳製品は、バターミルク、サワーミルク、培養ミルク、スメタナ、サワークリーム、及びフレッシュチーズ、例えばクォーク、トヴァロッグ及びクリームチーズのような乳製品を包含する。本出願においては、用語「好熱性(thermophilic)」とは、40℃以上の温度で最良に増殖する微生物を言及する。産業的に最も有用な好熱菌は、ストレプトコッカスspp. (Streptococcus spp.)及びラクトバチルスspp. (Lactobacillus spp.) を包含する。好熱性乳製品は、ヨーグルトのような乳製品を包含する。
1つの実施形態によれば、本発明は、中温性及び好熱性培養物が22〜45℃の温度で両者とも発酵される、上記のような方法を提供する。
本発明はさらに、上記のような方法により得られる発酵乳製品を提供する。本発明の発酵乳製品は好ましくは、発酵乳製品、例えばヨーグルト、フルーツヨーグルト、ヨーグルト飲料又はチーズである。
その最も好ましい実施形態によれば、本発明のすべての方法は、ヨーグルトとの製造方法であり、そして本発明の製品はヨーグルトである。
本出願においては、用語「ヨーグルト(yoghurt)」とは、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、及び任意には、他の微生物、例えばラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクチス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、又はそれらに由来する任意の微生物を含む製品を言及する。ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)以外の乳酸菌株は、最終製品に、種々の性質、例えば植物相の平衡を促進する性質を付与するために、含まれる。本明細書において使用される場合、用語「ヨーグルト」とは、セットヨーグルト、緊張ヨーグルト、飲用ヨーグルト、プチスイス(Petit Suisse)、熱処理されたヨーグルト、高タンパク質レベルにより特徴づけられた、緊張又はギリシャ風ヨーグルト及びヨーグルトのような製品を包含する。
特に、用語「ヨーグルト」とは、フランス及びヨーロッパ規制に従って定義されたヨーグルト、例えば同時に培養され、そして少なくとも1000万のCFU(コロニー形成単位)/gの量で、最終製品において生存することが見出されている特定の好熱性乳酸菌のみ(すなわち、ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus))による乳酸発酵により得られる凝固乳製品を包含するが、但しそれらだけには限定されない。ヨーグルトは任意には、添加される乳製品原料(例えば、クリーム)又は他の成分、例えば糖又は甘未剤、1又は2以上の風味剤、果物、穀物、又は栄養物質、特にビタミン、ミネラル、繊維、並びに安定剤及び増粘剤を含むことができる。1つの代替によれば、ヨーグルトは、AFNOR NF 04−600標準及び/又はコーデックスStanA−lla−1975標準の発酵乳及びヨーグルトのための仕様を満たす。AFNOR NF 04−600標準を満たすために、製品は、発酵の後、加熱されるべきではなく、そして乳製品原料は、最終製品の最少70%(m/m)を示すべきである。
チーズ、例えばモッツァレラ及びピザ用チーズ、並びにフェタはまた、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含むスターター培養物を用いて、発酵により調製され得る(Hoier et al. (2010) in The Technology of Cheesemaking, 2 nd Ed. Blackwell Publishing, Oxford; 166-192)。
本発明の方法は、多数の異なった選択肢を包含する。次の選択肢は、下記にいくらか詳細に記載されるであろう:
(A)低ラクトース含有量の乳を用いての発酵乳製品の製造方法。
(B)ラクトース欠損LAB、及びラクトース欠損LABを用いての発酵乳製品の製造方法。
(C)拡張された貯蔵寿命を有する発酵乳製品の製造方法。
(D)グルコース欠損LABを用いての発酵乳製品の製造方法。
(E)発酵にラクターゼを添加する、発酵乳製品の製造方法。
(F)方法(A)〜(E)の1つにより得られる製品に基づいての緊張発酵乳製品の製造方法。
(G)方法(A)〜(E)の1つを用いてのパスタ・フィラタチーズ製品の製造方法。
A:低ラクトース乳を用いての発酵乳製品の製造方法
この代替によれば、本発明は、発酵された乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は、下記工程:
(a)発酵が、乳に存在するラクトースを両者とも代謝できるストレプトコッカス・サーモフィルス(ST)(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、及び乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、を含んで成り、
ここでスターター培養物の添加の前、乳中のラクトースの濃度が30mg/g以下であり、そして乳中のグルコースの濃度が15mg/g以下である。1つの代替によれば、ラクトースの濃度は25mg/g以下又は15mg/g以下であり、そしてグルコースの濃度は2mg/g以下である。
このアプローチの1つの側面によれば、本発明は、発酵された乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法は、下記工程:
(a)発酵が、乳に存在するラクトースを両者とも代謝できるストレプトコッカス・サーモフィルス(ST)(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、及び乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、を含んで成り、
ここで前記方法はさらに、発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程も含む。
1つの代替によれば、前記方法は、発酵製品のpH値が、20時間にわたって発酵のために使用される温度で、発酵の終結の後、貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に、又は0.1pH単位の範囲内で維持されることにおいて特徴づけられ得る。
ラクトースは天然においては、乳に存在するか、又は乳に添加されて来た。
この代替においては、発酵は、ラクトースを代謝できるLABにより引き起こされ、そして発酵の終結は、LABによる乳酸の発酵及び生成が終結されるほど低い濃度のラクトースにより引き起こされる。本発明者は、驚くべきことには、乳におけるそれらの非常に低い濃度のラクトースさえ、急速発酵のために十分な炭水化物源を提供することを見出した。ラクトースの濃度が一定の閾値以下に低められると、発酵は急速に終結されることがさらに見出された(実施例1、図1)。
乳における初期ラクトース濃度は、30mg/g以下、例えば30mg/g〜5mg/g、又は15mg/g〜5mg/g、又は10mg/g〜5mg/gであり得る。
低められたラクトース濃度の乳は、市販されているか、又は公知方法に従って、製造され得る。
この代替の1つの実施形態によれば、乳は、低められたラクトース含有量を含み、そして牛乳に自然に存在しない追加の炭水化物を含まない。従って、乳中の初期グルコース濃度は、有意に、15mg/g以下、例えば2mg/g以下であり得る。発酵は、低められたラクトース含有量を有し、そして天然の牛乳に添加される何れの炭水化物も有さない乳に対して実施され得る。
この代替の別の実施形態によれば、乳は、低められたラクトース含量、及び牛乳に天然で不在しない追加の炭水化物、例えばグルコース又はスクロースを含む。
B:ラクトース欠損LAB、及びラクトース欠損LABを用いての発酵乳製品の製造方法
さらなる実施形態によれば、本発明はラクトース欠損LABを提供する。
用語「ラクトース代謝における欠損(deficiency in lactose metabolism)」及び「ラクトース欠損(lactose deficient)」とは、細胞増殖又は細胞生存性の維持のための源としてラクトースを用いる能力を、部分的に又は完全に損なうLABを特徴づけるために、本発明において使用される。それぞれのLABは、スクロース、ガラクトース及び/又はグルコースから選択された1又は複数の炭水化物、又は別の発酵可能炭水化物を代謝することができる。炭水化物は、ラクトース欠損変異体による発酵を支持するのに十分な量で、乳に天然では存在しないので、乳にそれらの炭水化物を添加する必要がある。ラクトース欠損及び部分的欠損LABは、ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーとして特徴づけられ得る。
下記実施例2に詳細に記載されるように、本発明者は、多くのラクトース欠損LAB、特にストレプトコッカス・サーモフィルス(ST)(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(LB)(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の菌株を単離した。それらのラクトース欠損LABは、スクロースを代謝する。
前記菌株は、ラクトース欠損ではないCHCC15914菌株であった。従って、本発明は、受託番号DSM28909としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株である、単離されたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を提供する。
別の側面によれば、本発明は、次のラクトース欠損LAB株に関する:
(a)(i)受託番号DSM28952としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28952由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(b)(i)受託番号DSM28953としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28953由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(c)(i)受託番号DSM28910としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28910由来の菌株、であるラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)株。
本発明はさらに、本明細書に記載されるような発酵乳製品の製造方法へのそれらの菌株の使用に関する。さらに、本発明は、1又は複数の次の菌株を含む発酵食品に関する:
(a)(i)受託番号DSM28952としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28952由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(b)(i)受託番号DSM28953としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28953由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(c)(i)受託番号DSM28910としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28910由来の菌株、であるラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)株。
発酵食品は、ヨーグルト、フルーツヨーグルト、ヨーグルト飲料又はチーズであり得る。
このアプローチによれば、本発明はまた、下記工程を含んで成る、発酵乳製品の製造方法も提供する:
(a)発酵が、ラクトース代謝に欠損を有するストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)、及びラクトース代謝に欠損を有するラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)炭水化物が、(a)に定義されるようなストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)により代謝され得る乳に添加される工程、
(c)発酵が、乳に添加される炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(d)前記低下が、(a)において定義されるようなストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の代謝活性によっても少なくとも引き起こされる工程。
いくつかの実施形態によれば、前記方法はさらに、発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程を包含するものとして特徴づけられる。
他の代替によれば、前記方法は、発酵製品のpH値が、20時間にわたって発酵のために使用される温度で、発酵の終結の後、貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内又は0.1pH単位の範囲内で維持されることにより特徴づけられ得る。
(a)において定義されるようなストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)により代謝され得る炭水化物の全濃度は、30mg/g〜2mg/gの範囲、又は20mg/g〜3mg/gの範囲、又は10mg/g〜4mg/gの範囲にある。
この進行方法は、約5%(50mg/g)のラクトース濃度を有する普通の乳が製造工程に使用され得、そして発酵が添加される炭水化物の量により正確に制御され得る利点を有する。添加される炭水化物の濃度は、所望の発酵条件、例えば最終pH、温度、スターター培養物、等を試験する試行において決定され得る。
この代替の好ましい実施形態によれば、発酵は、スクロースを代謝でき(suc+)、としてスクロースが、発酵の前、乳に添加されるLABを用いて実施される。1つの代替によれば、スクロースの濃度は、30mg/g〜2mg/gの範囲、又は20mg/g〜3mg/gの範囲、又は10mg/g〜4mg/gの範囲にある。
1つの側面によれば、上記方法の工程(a)は、1又は複数の次の菌株を用いて実施される:
(a)(i)受託番号DSM28952としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28952由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(b)(i)受託番号DSM28953としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28953由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(c)(i)受託番号DSM28910としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28910由来の菌株、であるラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)株。
C:拡張された貯蔵寿命を有する発酵乳製品の製造方法
本発明の1つの実施形態によれば、上記後酸性化を制御するための方法、特に、上記セッションBに記載される方法が、拡張された貯蔵寿命を有する発酵乳製品を製造するために使用される。
発酵乳製品を製造するためのそれぞれの方法は、例えば下記工程を含み:
(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、
ここで前記発酵製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、発酵のために使用される温度で6ヶ月にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されること特徴とする。特に好ましい実施形態によれば、前記発酵製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、発酵のために使用される温度で12カ月にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されること特徴とする。製品は、2℃〜室温の温度で貯蔵され得る。冷蔵温度、すなわち4〜8℃での貯蔵が好ましい。
上記に示されたように、製品は数ヶ月間、貯蔵する必要はない。本発明に従って発酵乳製品を製造するための方法は、示される期間にわたって安定性を維持する方法により得られる製品により特徴づけられる。1つの側面によれば、本発明は、乳がスターター培養物を用いて発酵される工程を含む、発酵乳製品の製造方法を提供し、ここで前記方法により得られる製品は、6又は12ヶ月間、貯蔵される。
別の実施形態によれば、発酵乳製品の製造方法は、下記工程を包含する:
(i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含む工程、
(ii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われる工程、
(iii)前記発酵が、発酵の間、炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、
ここで前記発酵製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、発酵のために使用される温度で6又は12カ月間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されることを特徴とする。
さらなる代替によれば、下記工程を包含する発酵乳製品の製造方法が提供される:
(a)乳がスターター培養物を用いて発酵される工程、ここで
(i)前記発酵が乳及びスターター培養物を用いて開始され、ここで前記乳におけるラクトース濃度が、発酵の開始で5〜100mg/gの範囲であり、
(ii)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcusthermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
(iii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われ、
(iv)前記発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結され
(v)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、及び
(b)前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程、
ここで前記発酵製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、発酵のために使用される温度で6又は12カ月間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されることを特徴とする。
1つの実施形態によれば、それらの方法は、ラクトースを代謝できない発酵のための乳酸菌を使用する。乳酸菌は、スクロースを代謝することができる。特に好ましい実施形態によれば、それらの方法は、1又は複数の次の菌株を含むスターター培養物を使用する:
(a)(i)受託番号DSM28952としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28952由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(b)(i)受託番号DSM28953としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28953由来の菌株、であるストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株;
(c)(i)受託番号DSM28910としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
(ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28910由来の菌株、であるラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)菌株。
ヨーグルトの発酵のためには、上記のように、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)菌株を含むスターター培養物を用いることが好ましい。
前記方法はさらに、発酵の後、熱処理を包含することができる。熱処理は例えば、30〜65℃の範囲の温度で10〜30秒間、実施され、そして好ましくは、40〜55℃の範囲の温度で、10〜25秒間、実施され得る。
本発明はまた、上記方法により得られる発酵乳製品を提供する。発酵乳製品はヨーグルト、フルーツヨーグルト、ヨーグルト飲料又はチーズであり得る。従って、本発明は、セットヨーグルト、緊張ヨーグルト、飲用ヨーグルト、プチスイス(Petit Suisse)、熱処理されたヨーグルト、高タンパク質レベルにより特徴づけられた、緊張又はギリシャ風ヨーグルト及びそれらの方法により得られるヨーグルトのような製品を提供する。
D:グルコース欠損LABを用いての発酵乳製品の製造方法
この代替によれば、本発明は、下記工程を含んで成る、発酵乳製品の製造方法を提供する:
(a)発酵が、ラクトース代謝に欠損を有するストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)、及びラクトース代謝に欠損を有するラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程。
好ましい側面によれば、この方法はさらに、発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程を包含するものとして特徴づけられ得る。
他の代替によれば、前記方法は、発酵製品のpH値が、20時間にわたって、発酵のために使用される温度で、発酵の終結の後、貯蔵される場合、0.3pHの範囲内で又は0.1pH単位の範囲内で維持されることにおいて特徴づけられ得る。
用語「グルコース代謝における欠損(deficiency in glucose metabolism)」及び「グルコース欠損(glucose deficient)」とは、細胞増殖又は細胞生存性の維持のための源としてグルコースを用いる能力を、部分的に又は完全に損なうLABを特徴づけるために、本発明において使用される。グルコース代謝におけるそれぞれの欠損は例えば、グルコキナーゼタンパク質又はグルコーストランスポータータンパク質の発現又は活性を阻害するか、又は不活性化する遺伝子における突然変異により引き起こされ得る。グルコース代謝において欠損を有するLABは、炭水化物源としてラクトース上で増殖する場合、培養培地におけるグルコース濃度の上昇として特徴づけられ得る。グルコースの上昇は、グルコース欠損LAB中のグルコース分泌により引き起こされる。培養培地中のグルコース濃度の上昇は、Dionex CarboPac PA 20 3*150mm カラム(Thermo Fisher Scientific, 製品番号060142)を用いて、HPLC分析により決定され得る。
グルコース代謝において欠損を有するグルコースLABのいくつかの形、例えばラクトース及びガラクトースを代謝できるLABが従来技術に記載されている(国際公開第2013/160413号、Pool et al., 2006)。それぞれのLABは、乳に存在する主炭水化物、すなわちラクトースを消化し、従ってグルコース及びガラクトースを生成することができる。グルコース欠損菌株、例えば国際公開第2013/160413号に記載されるグルコース欠損ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)は、ガラクトースを代謝でき、そしてさらに、グルコースを分泌すると思われる。別の菌株、例えば2−デオキシグルコース耐性ラクトバチルス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)変異体LAB菌株(培地に存在するグルコース又はガラクトースを摂取することができない)が、国際公開第2013/160413号に記載されている。しかしながら、その菌株は、ラクトースを摂取し、ラクトースを消化し、そして増殖及び酸生成のためにラクトース消化から得られるグルコースを使用することができる。Pool et al., 2006の出版物は、グルコース代謝における欠損を有するLABを得るためのさらなる方法を開示している。それらの出版物に記載される一般的な原則を用いて、グルコース代謝において同じか又は類似する欠損を有する多くの他のLABが当業者により生成され得る。
グルコースの味はガラクトースの味よりも、はるかに甘いので、それらのグルコース欠損変異体を用いての乳の発酵は、発酵製品の甘さを高め、同時に、ラクトース濃度を有意に低め、そして炭水化物の合計濃度は高めない(国際公開第2013/160413号に、より詳細に記載されるように)。
1つの代替によれば、グルコース代謝において欠損を有する乳酸菌は、グルコース欠損性であるが、しかしガラクトース摂取に欠損を有するストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)菌株を包含できる。グルコース摂取に欠損を有するラクトバチルス・デルブルエッキ(Lactobacillus delbrueckii)菌株は、ラクトースを代謝でき、そして細胞内ラクトース加水分解に由来するグルコースを利用することができる。
スターター培養物は、追加のLABを含むことができるか、又はそれらの菌株の混合物から成ることができる。
従って、本発明は、下記工程を包含する、発酵乳製品の製造方法を提供する:
(a)発酵が、CHCC16731、 CHCC15757 及び CHCC16404から選択された1又は2以上のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)菌株、及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)菌株CHCC16159を含むスターター培養物により開示される工程、
(b)発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、乳酸菌の代謝活性により、少なくとも引き起こされる工程。
本発明の方法へのそれらのグルコース欠損LABの使用は、そのようにして製造された発酵乳製品が甘い味を有する追加の利点を提供する。
本発明のこの実施形態は、発酵の間、ラクトースの濃度の低下のために、発酵を終結するためには、発酵のための低減されたラクトース濃度を有する乳製品を使用することができる。従って、本発明はまた、下記工程を包含する、発酵乳製品の製造方法も提供する:
(a)発酵が、乳及びスターター培養物により開始される工程、ここでスターター培養物の添加の前、乳におけるラクトースの濃度は30mg/g以下であり、そして前記スターター培養物がグルコース代謝において欠損を有するストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、及びグルコース代謝において欠損を有するラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
(b)発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、乳酸菌の代謝活性により、少なくとも引き起こされる工程。
乳における初期グルコース濃度、すなわちスターター培養物の添加の前の濃度は、50mg/g〜5mg/g、又は25mg/g〜5mg/gであり得る。
低められたラクトース濃度を有する乳は、市販されているか、又は公知方法に従って製造され得る。
E.発酵にラクターゼを添加する発酵乳製品の製造方法
この代替によれば、本発明は、下記工程を含む、発酵乳製品の製造方法を提供する:
(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、
ここで発酵は、500〜5000NLU/Lの初期濃度でのラクターゼの存在下で実施される。
好ましい側面によれば、この方法はさらに、発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程を包含するものとして特徴づけられ得る。
別の代替によれば、前記方法は、前記発酵製品のpH値が、発酵の終結の後、発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする。
ラクターゼは、ラクトースを加水分解し、そしてグルコース及びガラクトースを生成する酵素である。ラクターゼは、多くの供給源から市販されており、そして公知方法に従って調製され得る。ラクターゼ活性は、中性ラクターゼ活性の単位(NLU)として決定され得る。本発明によれば、ラクターゼ活性は、Food Chemicals Codex (FCC) IV方法により記載されるような方法を用いて決定される。
F:方法(A)〜(E)の1つにより得られる製品に基づいての緊張発酵乳性品の製造方法
上記方法A〜Eは、緊張発酵乳製品、例えば緊張ヨーグルト(ギリシャヨーグルト、レブネ)、クオーク、フロマージュ・フレ及びクリームチーズの製造のために特に好都合である。緊張発酵乳製品は、ホエーが発酵の後、分離及び/又は濾過により発酵乳から除去され、高タンパク質濃度の比較的濃い製品をもたらす製品工程により特徴づけられる。
従来の発酵工程の後、限外濾過又は分離器を用いての発酵乳の濃縮は、濃縮工程の間、後酸性化を導くであろう。後酸性化は、分離工程の前及び後、いくつかの要因に影響を及ぼすであろう。まず第一に、後酸性化はpHのさらなる低下を引き起こすであろう。pH低下の結果として、ゲル硬さが増すであろう。pH低下のさらなる低下を引き起こすであろう。pH低下の結果として、ゲル硬さが増すであろう。pH低下のさらなる結果として、ヨーグルトの粒経が大きくなるであろう。最終的に、剪断反応が、LABによるエキソポリサッカリド(又は細胞外ポリマー物質又はEPS)の断続的生成及び分泌のために、上昇するであろう。
結果として、この方法により製造された発酵乳は、均質性を欠くであろう。これは、ストークス法則に直接関係する分離工程の主要パラメーター、例えば粒子サイズ、粒子水結合能、血清相の粘度、及びタンパク質マトリックス中の固定化された水に影響を及ぼすであろう。pH4.65からpH4.30へのさらなる低下のために、低製品収率が得られ、そして味、酸度及び質感の点からの製品品質の変動が観察されるであろう。従来技術においては、従って、緊張発酵乳製品は、最も頻繁には、冷却工程を用いて、後酸性化を抑制する工程を包含する方法を用いて製造される。しかしながら、冷却工程は、有意な量のエネルギーを要し、そして製品のさらなる処理に対して負の効果を有する。
タンパク質濃縮の工程を用いて発酵乳製品を製造する異なった方法の概要が図7により提供される。図7の左手部分は、発酵の前、濃縮工程を用いる方法を示し、そして図6の右手部分は、遠心分離又は限外濾過を用いての分離による、発酵の後の濃縮工程を用いての方法を示す。
図8〜11は、上記のような後酸性化を低める方法と、ホエーが分離及び/又は濾過により発酵乳から除去され、高タンパク質濃度の比較的濃いヨーグルトをもたらす工程を包含する、発酵乳製品の製品の製造方法とを組合すことにより達成され得る利点を示す原則実験の証明の結果を示す。それらの結果は、次の実験的セットアップにより得られた:
市販の培養物の次の2種のバッチが、同タイプの乳ベースで発酵された:
・マイルド2.0(Mild 2.0)(Chr. Hansen, Denmarkからの);
・培養タイププレミアム1.0(70%)+培養タイプSSC17(30%)(両者ともChr. Hansen, Denmarkからの)。
使用される乳ベースはスキムミルクであり;発酵は40℃の温度で実施された。
両バッチは、pH4.60まで発酵された。サンプルが、質感分析のために採取され、そして発酵が、4.45のpHに達するまで、続けられた。再び、製品の質感が分析された。4種のヨーグルト凝乳(2種の異なったpH値、4.60及び4.45での2種の異なった培養物)が、特定pHに達した後、後処理ユニット(FH Scandinox)において処理される。異なった背圧、すなわち4〜9又は4〜12バールが培養物に適用された。剪断応力及び複素弾性率がレオメーターを用いて決定された。
図8〜11は、両剪断応力及び複素弾性率がpH4.60でよりもpH4.45で高いことを示す。さらに、発酵乳製品の質感は、4.60から4.45へのpHの低下の結果として上昇する。
培養プレミアム1.0+SSC17は、両pHレベルで、Mild2.0に比較して、より高い剪断応力及び複素弾性率を生成した。
その質感は、4〜9又は4〜12バールの背圧が適用される場合、有意に低下した。
従って、原則実証実験は、上記のような後酸性化を制御するための方法により、より低い剪断応力及び複素弾性率を用いて発酵乳製品からホエーを分離することは可能であり、そして好都合であることを示す。質感は、培養物のタイプ、pH、及び分離器又はUF中に、入口の前、処理の間に適用される背圧に依存する。高い背圧がヨーグルト凝乳に適用されたとしても、pH4.45での質感を、pH4.60での質感まで下げることは不可能であった。
従って、後酸性化を制御する方法は、発酵のために添加される炭水化物に依存して、LAB培養物を用いて、乳を特定のpHまで発酵する可能性を提供する。それらの方法は、後発酵工程の間、ヨーグルトにおけるpHの改善された制御を提供し、そして従って、分離工程を特に改善するであろう。さらに、速度が、冷却が不必要であるので、最適化され得、そして製造の収率が上昇する。
本発明のこの側面に従って、以下の実施形態がとりわけ提供される:
1.下記工程を包含する、緊張発酵乳製品の製造方法:
(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、
(d)ホエーの少なくとも一部が、発酵乳製品から分離される工程。
2.下記工程を包含する、スターター培養物を用いて発酵された緊張発酵乳製品の製造方法:
i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含む工程、
(ii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われる工程、
(iii)前記発酵が、発酵の間、炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、
(v)ホエーの少なくとも一部が、発酵乳製品からの分離される工程、
ここで前記発酵乳製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵され,処理されるか、又は維持される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする。
3.下記工程を包含する、発酵乳製品の製造方法:
(a)乳がスターター培養物を用いて発酵される工程、ここで
(i)前記発酵が乳及びスターター培養物を用いて開始され、ここで前記乳におけるラクトース濃度が、発酵の開始で5〜100mg/gの範囲であり、
(ii)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcusthermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
(iii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われ、
(iv)前記発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結され
(v)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、及び
(b)ホエーの少なくとも一部が、15〜45℃の温度で発酵乳製品から分離される工程、
(c)前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程、
ここで前記発酵乳製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする。
4.前記分離が、ノズル分離器、遠心分離器、又はスパイラルフィルター又はセラミックフィルターを有する限外濾過を用いての濾過を包含する濾過により実施される、実施形態1〜3の何れか1つに記載の方法。
5.前記緊張発酵乳製品が、6〜13%のタンパク質含有率及び0〜10%の脂肪含有率により特徴づけられる、実施形態1〜4の何れか1つに記載の方法。
6.前記緊張発酵乳製品が、6〜10%のタンパク質含有率により特徴づけられる、実施形態1〜5の何れか1つに記載の方法。
7.前記緊張発酵乳製品が、ヨーグルト、ギリシャヨーグルト、ラブネ、クォーク、フロマージュ・フレ又はクリームチーズである、実施形態1〜6の何れか1つに記載の方法。
8.前記発酵乳製品からのホエーの少なくとも一部の分離が発酵乳製品の能動的冷却を伴わなで実施される、実施形態1〜7の何れか1つに記載の方法。
9.前記スターター培養物がラクトース陰性菌株を含む、実施形態1〜8の何れか1つに記載の方法。
10.前記スターター培養物が、菌株CHCC18944、 CHCC17861及びCHCC17862から選択された1又は2以上のLABを含む、実施形態1〜9の何れか1つに記載の方法。
11.実施形態1〜10の何れか1つに記載の方法により得られる発酵乳製品。
12.前記発酵乳製品が、ヨーグルト、フルーツヨーグルト、ヨーグルト飲料又はチーズである、実施形態11の発酵乳製品。
ホエーの分離は、発酵乳製品からホエーを分離するために当業界で通常使用されるノズル分離器(遠心分離器)を用いて実施され得る。他方では又はさらに、限外濾過システム、典型的には、スパイラルフィルター又はセラミックスフィルターが使用され得る。さらなる代替によれば、プレート及びフレームフィルターが、高い固体タンパク質及び脂肪含有率の用途、例えば全脂肪クロームチーズのために使用される。
緊張ヨーグルトは、6〜13%のタンパク質含有率により特徴づけられる。製品はさらに、0〜10%の脂肪含有率を有する。
他方では、発酵乳製品は、クォーク又はフロマージュ・フレであり得る。クォーク及びフロマージュ・フレは一般的に、6〜10%のタンパク質含有率により特徴づけられる。クォーク及びフロマージュ・フレはさらに、6〜10%のタンパク質含有率により特徴づけられる。クォーク及びフロマージュ・フレはさらに、6〜10%の脂肪含有率により特徴づけられ得る。
さらなる代替によれば、発酵製品は、クリームチーズである。クリームチーズは、6〜13%のタンパク質含有率により特徴づけられ得る。クリームチーズはさらに、0〜35%の脂肪含有率により特徴づけられ得る。
本発明の側面の好ましい実施形態によれば、発酵乳製品からのホエーの少なくとも一部の分離は、発酵乳製品の能動的冷却なしに、実施される。これは、製品が発酵のために使用される温度で維持されることを意味せず、しかし単純に、製品が冷却されないことを意味する。
さらなる実施形態によれば、発酵乳製品を製造するための上記方法は、ラクトース陰性菌株を含むスターター培養物を用いて実施される。上記パートBに説明されたように、後酸性化を制御するためへのラクトース陰性菌株の使用は特に、好都合である。従って、緊張発酵乳製品の製造方法が提供され、ここで前記方法は、菌株CHCC18944、 CHCC17861及びCHCC17862から選択された1又は2以上のLABを含むスターター培養物を用いる。
この実施形態は、ギリシャヨーグルト、クォーク又はクリームチーズの製造のために特に適切である。
(G):方法(h)〜(E)の1つを用いてのパスタフィラータチーズの製造方法
上記セクション(A)〜(E)の記載されるような本発明の方法は、パスタフィラータチーズの製造のために特に適切である。パスタフィラータチーズは、カードの熱処理工程を含む方法により製造されるチーズである。熱処理は、温水又はホエーにカードを浸すことを包含する多くの異なった手段で実施され得る。別の代替によれば、蒸気がカードに注入される。熱処理工程は、完成したチーズに、繊維構造及び特定の伸長特性を付与する。典型的なバスタフィラータチーズは、モッツァレラ及びプロボロン、カシオカバッロ、パロネ・ディ・グラヴィーナ、及びスカ・モルザである。
本発明のこの側面によれば、次の実施形態が特に提供される:
1.下記工程を包含する、乳が発酵されているパスタフィラータチーズの製造方法:
(a)前記発酵が、前記乳に存在する1又は複数の炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により開始される工程、
(b)前記発酵が、発酵の間、1又は複数の炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程;
(d)発酵製品が、温水に発酵製品を配置するか、又は発酵製品中に蒸気を注入することにより、熱処理にゆだねられる工程。
2.下記工程を包含する、乳が発酵されているパスタフィラータチーズの製造方法:
i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含む工程、
(ii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われる工程、
(iii)前記発酵が、発酵の間、炭水化物の濃度の低下により終結される工程、及び
(iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる工程、
ここで前記発酵乳製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とし;そして
発酵製品が、温水に発酵製品を配置するか、又は発酵製品中に蒸気を注入することにより、熱処理にゆだねられる。
3.下記工程を包含する、乳が発酵されているパスタフィラータチーズの製造方法:。
(a)乳がスターター培養物を用いて発酵される工程、ここで
(i)前記発酵が乳及びスターター培養物を用いて開始され、ここで前記乳におけるラクトース濃度が、発酵の開始で5〜100mg/gの範囲であり、
(ii)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcusthermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
(iii)前記発酵が22〜45℃の温度で行われ、
(iv)前記発酵が、発酵の間、ラクトースの濃度の低下により終結され、
(v)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、及び
(b)前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程、
ここで前記発酵乳製品は、前記製品のpH値が、発酵の終結の後、工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とし;そして
発酵製品が、温水に発酵製品を配置するか、又は発酵製品中に蒸気を注入することにより、熱処理にゆだねられる。
4.前記乳酸菌がラクトース及びグルコースを代謝でき、そしてスターター培養物の添加前、乳中のラクトースの濃度が、200mg/g以下、例えば100mg/g〜5mg/g、又は50mg/g〜5mg/g、又は25mg/g〜5mg/gである、実施形態1〜3の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
5.前記乳酸菌ラクトースを代謝することができず、そしてスターター培養物の添加の前、乳中の乳酸菌により代謝され得る炭水化物の合計濃度が45mg/g以下である、実施形態1〜3の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
6.前記乳酸菌が、ラクトース及びガラクトースを代謝することができるが、しかしグルコース欠損である、実施形態1〜3の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
7.前記発酵が、500〜5000NLU/Lの初期濃度でのラクターゼの存在下で実施される、実施形態1〜6の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
8.前記発酵の終結が、乳酸菌により代謝され得る1又は複数の炭水化物の合計濃度の30mg/g未満の値、例えば25mg/g〜0.01mg/gの範囲、又は5mg/g〜0.01mg/gの範囲の値への低下により引き起こされる、実施形態1〜7の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
9.前記発酵製品のpH値が、発酵のための温度で貯蔵される場合、20時間にわたって0.3pH単位の範囲内で維持される、実施形態1〜8の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
10.前記発酵が、30〜45℃の温度で実施される、実施形態1〜9の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
11.発酵の終結の後、前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる、実施形態1〜10の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
12.前記発酵製品が、その製品のpH値が6ヶ月、発酵の終結の後、貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されることを特徴とし、又はその製品のpH値が12ヶ月、発酵の終結の後、貯蔵される場合、0.3pH単位の範囲内に維持されることを特徴とする、実施形態1〜11の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
13.前記乳製品がパスタフィラータチーズである、実施形態1〜12の何れか1つに記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
14.前記パスタフィラータチーズがモッツァレラ及びプロボロン、カシオカバッロ、パロネ・ディ・グラヴィーナ、及びスカ・モルザから選択される、実施形態13に記載されるパスタフィラータチーズの製造方法。
より詳細には、本発明のパスタフィラータチーズの製造方法は、次の工程を包含することができる:
・標準化されたタンパク質、脂肪及び固体を有する乳製品を得る工程;
・温度を凝固温度(32−38℃)に調節する工程;
・Acidifix培養物(ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) CHCC17861及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus) CHCC18944)を添加する工程;
・凝固剤を添加する工程;
・15−60分での乳を凝固し、切断し、そしてカードを攪拌する工程;
・任意には、カードを加熱(熱湯消毒)する工程;
・カードを酸性化(ホエーにより被覆されるか、又はホエーから排出される)する工程;
・温水において、又は蒸気注入により(乾燥ストレチャー)、カードを延伸するか、又はカードを加熱及び機械的作業の他の手段により延伸する工程;
・チーズを形成し、そして冷却する工程;
・チーズを冷却し、そして塩漬けする工程;
・チーズをパッケージングする工程。
別の実施形態によれば、本発明のパスタフィラータチーズの製造方法は、次に工程を包含することができる:
・標準化されたタンパク質、脂肪及び固体を有する乳製品を得る工程;
・酸性化培養のために十分なスクロースを添加する工程;
・温度を凝固温度(32−38℃)に調節する工程;
・Acidifix培養物(ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) CHCC17861及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus) CHCC18944)を添加する工程;
・凝固剤を添加する工程;
・15−60分での乳を凝固し、切断し、そしてカードを攪拌する工程;
・任意には、カードを加熱(熱湯消毒)する工程;
・カードを酸性化(ホエーにより被覆されるか、又はホエーから排出される)する工程;
・酸性化されたカードを冷却する工程;
・温水において、又は蒸気注入により(乾燥ストレチャー)、カードを延伸するか、又はカードを加熱及び機械的作業の他の手段により延伸する工程;
・チーズを形成し、そして冷却する工程;
・チーズを冷却し、そして塩漬けする工程;
・チーズをパッケージングする工程。
別の実施形態によれば、本発明のパスタフィラータチーズの製造方法は、次の工程を包含することができる:
・標準化されたタンパク質、脂肪及び固体を有する乳製品を得る工程;
・酸性化培養のために十分なスクロースを添加する工程;
・温度を凝固温度(32−38℃)に調節する工程;
・Acidifix培養物(ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) CHCC17861及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus) CHCC18944)を添加する工程;
・凝固剤を添加する工程;
・15−60分での乳を凝固し、切断し、そしてカードを攪拌する工程;
・任意には、カードを加熱(熱湯消毒)する工程;
・カードを酸性化(ホエーにより被覆されるか、又はホエーから排出される)する工程;
・酸性化されたカードを、6〜25℃オン温度で貯蔵する工程;
・温水において、又は蒸気注入により(乾燥ストレチャー)、カードを延伸するか、又はカードを加熱及び機械的作業の他の手段により延伸する工程;
・チーズを形成し、そして冷却する工程;
・チーズを冷却し、そして塩漬けする工程;
・チーズをパッケージングする工程。
すべての実施形態によれば、チーズは、パッケージングする前、他の手段により、スライスされ、シュレッドされ、塊状化され、さいの目に切られるか、又は他の手段により分けられ得る。
LAB菌株:
次の実施例は、CH菌株を用い、それらのいくつかは、Chr. Hansenの先の特許出願のために寄託されている。それらの菌株についてのさらなる情報は、それぞれの特許出願及び次のような寄託により提供される:
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC6008を、受託番号DSM1811として、DSMZ- Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig on 2006-03-23に、国際公開第2001/000879号のために寄託した。
ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC10019を、受託番号DSM19252として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D- 38124 Braunschweig on 2007-04-03に、国際公開第2001/000879号のために寄託した。
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC16757を、受託番号DSM25850として、DSMZ- Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig on 2012-04-03に、国際公開第2013160413号のために寄託した。
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC16404を、受託番号DSM26722として、DSMZ- Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig on 2012-12-12に、国際公開第2013160413号のために寄託した。
ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC16159を、受託番号DSM26420として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig on 2012-09-06に、国際公開第2013160413号のために寄託した。
実施例1:低ラクトース乳を用いての発酵乳製品の製造方法
1%ラクトース(10g/l)を含むカスタマイズされた乳を、Select Milk Producers, Inc., Texas, USAから入手した。3%ラクトース(30g/l)を含む乳を、1%ラクトース乳に、2%ラクトース(20g/l)を添加することにより調製した。
乳を、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)菌株CHCC6008(0.01%F−DVS)により接種し、そして37℃の温度で20時間、維持した。酸性化(pH値)を、時間の経過と共に自動的に決定した。
結果は図1に示される。1%ラクトースを用いての発酵は、理想的酸性化プロフィールに近いことを示す。理想的には、製品を高速度で酸性化するが、しかし酸性化は、約6時間後、pH4.8で絶対的に停止し、そして培養物のpHは、その培養は37℃の温度で維持されたけれども、次の14時間、未変化のままであった。これは、酸性化が完全に停止されたことを示す。
3%ラクトースを用いての発酵を、対照として使用した。最初に、製品を、1%ラクトースに基づく発酵と同じ速度で酸化する。これは、1%(10mg/g)のラクトース濃度が初期相において発酵を阻害するには低過ぎないことを示す。
しかし、3%ラクトースを用いての発酵は、pH4.8で終結されず、しかし約4.5のpHに達するまで酸性化を継続し、この状態で、細菌により生成される酸の存在はさらに、発酵を阻害する。結果として、発酵は、約4.2のpHに達するまで、低速度で進行する。
それらの結果は、炭水化物(ここで、ラクトース)濃度が驚くべきことには、発酵の終結を制御するために使用され得ることを証明している。この進行手段は、所望するpH値が発酵により得られ、そして後酸性化がこの後、観察されない工程を可能にする。
実施例2:ラクトース欠損LABを用いての乳製品の製造方法
ラクトース欠損変異体を、EPS陽性菌株ストレプトコッカス・サーモフィルス(ST)(Streptococcus thermophilus)CHCC15914及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(LB)(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC10019から単離した。それらの菌株を、それぞれ、CHCC15914について1%ラクトース及び200mg/mlのX−Galを含むM17及びCHCC10019について1%ラクトース及び200mg/mlのX−Galを含むMRS寒天プレート上で、白色コロニー(ラクトース欠損表現型を示す)として、UV−突然変異誘発の後、選択した。
両野生型菌株は、β−ガラクトシダーゼ活性を有し、そして野生型コロニーは、βガラクトシダーゼの活性のために青色になる。
CHCC10019から、1つのラクトース欠損変異体を単離し、そしてCHCC18944(この変異体は欧州特許出願第14173196号においては、CHCC18994として同定され;しかし出願人の国際受託番号は変更され、そして現在、CHCC18944であり;DSMA受胎番号は変更されず、そして従って、まだDSM28910である)と命名した。
CHCC15914から、2種のラクトース欠損変異体を単離し、それぞれ、CHCC17861及びCHCC17862と命名した。
単離されたラクトース欠損変異体の増殖特性を、次の通りに決定した:
LB CHCC18944の表現型: lac-、 sue-、 gal-、 glc+
ST CHCC17861の表現型: lac-、 suc+、 gal+、 glc+
ST CHCC17862の表現型: lac-、 suc+、 gal+、 glc+。
完全なラクトースオペロンを、すべての3種の変異体について配列決定し、そしてそれぞれの野生型菌株と比較し、突然変異型を示した。
母株CHCC15914との比較は、CHCC17861がlacZ遺伝子(β−ガラクトシダーゼをコードする)の開始に余分な「T」ヌクレオチドを有し、このコード配列の終止コドンが突然変異の数個のヌクレオチド下流に達したことを示した。CHCC17862は、lacZ遺伝子のコード配列を中断する、1つのヌクレオチドの欠失を示した。
CHCC18944については、lacZ遺伝子内の突然変異が同定された。これは、8個のヌクレオチド(から5’−CTT CCA AGC−3’ 、5’−CGC TAC TAT− 3’へ)の交換、及び結果として、lacZ内の3種のアミノ酸(からLeu−Pro−Ser、Arg−Tyr−Tyrへ)の変更をもたらし、これは、ラクトース欠損表現型を説明する。
単一の菌株として又は組合して(ST+LB)、使用される場合、すべての変異体は、ラクトースとは異なる発酵可能炭水化物の添加に依存して、乳を酸化する。ラクトース欠損培養物の酸性化活性を例えば、MRS(LB wt及びLB lac-変異体);1%ラクトースを有するM17(ST wt);又は異なった濃度のスクロースを有するM17(1%及び0.5%;ST lac-変異体との発酵)における一晩の培養を用いて決定した。乳を接種し、そして発酵を、37℃でのpH進行によりモニターした。
20及び40時間にわたっての発酵温度下でのpH直行が、それぞれ図2及び3に示されており、そしてスクロースがラクトース欠損菌株により代謝され、ラクトースを代謝する能力を有する親LABにより引き起こされる工程とほぼ同じ速度である発酵速度を生成することを示す。スクロース駆動発酵工程は、すぐに終結され、そしてスクロースが枯渇される場合、平垣なラインに入る。炭水化物枯渇により引き起こされた発酵の終結の後、pHは約pH4.5で安定して存続する。非常に安定した最終pHが、CHCC17861、CHCC17862又はCHCC18944が、単一菌株として、又はLB変異体と共にST変異体の1つとの混合物(混合物は、図3に示される)として使用される場合、見出された。これは、典型的なヨーグルトを製造するための発酵方法に使用されるスターター培養物に類似する。
菌株CHCC17861とCHCC17862との間に有意な差異は観察され得なかった。従って、スクロースの添加は、酸性化活性の非常に正確な制御を提供する。
いくつかの発酵においては、「肩(shoulder)」の形成が混合された培養物のpH曲線内に観察され、これは、酸生成の前、シフトされた代謝が完全に停止したことを示唆する(図3)。これを調べるために、さらに、ST:LBの比を変更し、そしてこれは、肩の形成の変化を導いた。lac-STの濃度の低下及びlac-菌株の上昇がpH肩及びさらに、水平pH−「曲線」の低下をもたらした。
興味あることには、他方では、100%ST CHCC17861の使用は、スクロースが枯渇される場合、完全に中断された酸生成を導き、そしてpH肩を排除するが、しかしpH低下は、0.3点高いpH値で停止する(図3)。
すべての場合、pHは、発酵期間(48時間)の最後まで、4.75で安定して存続した。
ST/LB同時発酵においては、ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)部分は、最終pH低下及びまた、後酸性化の主要部分を担当できる。この理由のために、LBの濃度は、ほとんどのヨーグルト発酵工程においてSTの濃度よりも低い。
これは、pH値が、Lb.ブルガリカスは容易に高められ得るので、添加されるスクロース又は別の発酵可能炭水化物の濃度により、完全に制御され得ることを示す。
lac-培養物は、例えば6時間後、より高い最終pHをもたらすのみならず、また有意に低い後酸性化も有し、そして従って、延長された貯蔵寿命も有するであろう。
いくつかの実験によれば、pHは、発酵の終結の後、約5時間、非常に安定し、そして次に、次の時間にわたって、わずかに低下することが観察された(データは示されていない)。これは明らかに、自発的復帰変異、すなわちLABが自発的変異によりラクトースを利用する能力を得るためである。
実施例3:延長された貯蔵寿命を有する発酵乳製品の製造方法
延長された貯蔵寿命を有するヨーグルト(ESLヨーグルト)を、市販のFD−DVS YFL−904と共に乳を発酵することにより、及び新規培養物F−DVS Acidifix 2.0(実施例2に記載される、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC17861及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC18944を含む)と共に別々の発酵において製造した。
ミルクスキャン分析:脂肪:3.70%、タンパク質:3.05%
12%糖シロップを、発酵の後、白色塊状物に添加した。
次のパラメーターを、発酵及び処理のために使用した:
混合温度:45℃−50℃
水和時間:20分
工程:
均質化圧力:150バール+30バール(合計180バール)
低温殺菌条件:95℃/4分
冷却温度:10℃未満
発酵:
発酵温度:YF−L904について43℃及びAcidifixについて39℃
最終pH:4.35±0.05
所望するpHに達したら、カードを手動で破る。
88%の波高乳ベース中に12%の糖シロップを添加する。それを十分に混合するために、手動で攪拌する。
GEAパイロットプラントによりヨーグルトを温める:
ホモ圧力:0バール
温め条件:65℃/30秒
ボトル中に充填する(充填温度:28℃−33℃)。
後酸性化活性を、発酵の後、温めの後、及び異なった温度での6日間の貯蔵の後、両製品について、直接的に分析した。結果は図4に示され、そして処理及び貯蔵の間、Acidifixにより得られた製品のpHの高い安定性を示す。
実施例4:グルコース欠損LABを用いての発酵乳製品の製造方法
材料及び方法:
乳ベース(1.0%脂肪及び4.5%タンパク質):
成分:市販の乳(1.5%脂肪+0.5%脂肪+必要とされる脂肪及びタンパク質レベルに達するための脱脂粉乳)、9.5%w/w脱脂粉乳+90.5%水道水の混合
市販の乳:Aria Harmonie minimeelk (0.5%脂肪) 及び Aria Harmonie letmeelk (1.5% 脂肪)
脱脂粉乳:Aria Foods, Gin 990214
手順:乳及び粉末を混合し、攪拌し、90℃で20分、熱処理する。
ラクトース:
製品:ラクトース水和物(Gin 500449, バッチ 0005078607)
製造者:German Lac-Sachsenmilch
ヨーグルトベースに19%w/w溶液として添加し、規定通りのレベルを得る
レシピ:0.6kgのラクトース一水和物+2.4kgの水道水
工程:殺菌の前、攪拌しながら加熱する(95℃、5分)
スターター培養物:
F−DVS Sweety1.0は、次の菌株のブレンドから成る:
2−デオキシ−グルコース耐性菌株
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC16731 (CHCC11976の超乳糖発酵及びグルコース分泌変異体)。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC15757 (CHCC14944の2−デオキシグルコース耐性変異体)。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC16404 (CHCC15757の超乳糖発酵及びグルコース分泌変異体)。
ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)CHCC16159 (CHCC10019の2−デオキシグルコース耐性変異体)。
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の超ラクトース発酵及びグルコース分泌変異体の低後酸性化性質:
ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の超ラクトース発酵及びグルコース分泌変異体の選択を、「高められた天然甘味を有する発酵食品を調製するためへの乳酸菌の使用」の表題の国際公開第2013/160413号に記載のようにして実施した。
ヨーグルト製造のための標準的セットアップにおいて培養物の低後酸性化性質を示すために、Sweety 1.0培養物ブレンドのFrozen Direct Vat Set培養物(F-DVS)の0.024%を用いて、3Lの乳ベースを接種し、そして乳を43℃で発酵した。
酸性化を、標準のpH電極及びCINAC4.0ソフトウェアを備えたCINAC pHロガー(Alliance Instruments)により追跡した。pHが43℃で4.55に達した場合、乳の凝固が起こった。続いて、ヨーグルトを冷却し、そして7±1.5℃で42日間インキュベートした。pHの進行を、続いて、42日間にわたって追跡した(図5)。図5から見られるように、7±1.5℃での42日間の貯蔵の後のpH進行は、0.1pH単位未満であり、これは極度に低レベルの後酸性化を確認した。
このデータは、グルコース分泌菌株のヨーグルトブレンド及び本発明の方法の使用が乳を凝固し、最終pHを、7±1.5℃で43日間、非常に安定して維持し、そして発酵製品の甘未を高めることを示す。
グルコース分泌ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の混合された培養物が、発酵の間、乳に存在するすべての又はほとんどすべてのラクトースを代謝する。結果として、LABは後酸性化をもはや引起さない。
実施例5:ヨーグルトの発酵においてラクターゼを用いる場合の低後酸性化
驚くべきことには、ヨーグルトの製造方法へのラクターゼの添加が、ラクターゼなしで製造されたヨーグルトに比較して、後酸性化を優位に低めることが見出された。
材料及び方法
乳ベース(1.0%脂肪及び4.5%タンパク質):
成分:市販の乳(1.5%脂肪)及びタンパク質レベルに達するための脱脂粉乳の混合
市販の乳:Aria Harmonie minimeelk (0.1%脂肪)
脱脂粉乳:Milex 240、Aria Foods、ロット990214
手順:乳及び粉末を混合し、5℃で一晩、水和化し、90℃/20分、熱処理する。
ラクターゼ:
製品: Ha-Lactase 5200 (Gin 450805)
製造者: Chr. Hansen A/S
スターター培養物:
F-DVS YF-L706、 Gin 685141
F-DVS YF-L901、 Gin 685142
F-DVS YoFlex (登録商標) Mild 1.0、 Gin 702897
F-DVS YoFlex(登録商標) Creamy 1.0、 Gin 706168
F-DVS YoFlex (登録商標)Premium 1.0、 Gin 706161
すべては、 Chr. Hansen A/Sからである。
発酵を、3L規模で行った。培養物を0.02%で接種し、そしてサンプルを43℃で発酵した。3500NLU/Lの用量でのラクターゼを、前記培養物と共に、乳ベースに添加した。酸性化を、pH-Meter 1120 (Mettler- Toledo AG, 52120653)によりモニターし、そして発酵はpH4.55で停止した。発酵乳製品を、標準化された手段で攪拌し、そしてさらに、6℃での貯蔵の前、加圧し、そして冷却した(2バール、25℃)。次に、サンプルのpHを、pH-Meter 1120 (Mettler- Toledo AG, 52120653)を用いて、1、7、14、21及び48日でモニターした。発酵の後、1日でのヨーグルト中のラクトース、グルコース及びガラクトースの濃度(mg/g)を、Dionex CarboPac PA 20 3*150mm カラム (Thermo Fisher Scientific、 製品番号060142)を備えたHPLCを用いて決定した。
結果は図6に示され、この図は、貯蔵の間、pH値の進行、及び従って、後酸性化を示す。さらなる結果が表1に示されており、以下に、異なった培養物と共に、ラクターゼにより、及びラクターゼを伴わないで製造されたヨーグルトにおいて得られたpH値の差異の概要を提供する。その差異は、後酸性化により引き起こされ、そして例として、F-DVS YoFlex (登録商標) Mild 1.0ヨーグルトを用いて決定され:3500NLU/Lラクターゼを有するF-DVS YoFlex (登録商標) Mild 1.0ヨーグルトは21日後、4.44のpHを有し、そしてラクターゼを有さないF-DVS YoFlex (登録商標) Mild 1.0ヨーグルトは、4.36のpHを有した。発酵を、両ヨーグルトについて、4.55で停止した。ラクターゼ処理されたヨーグルトについての後酸性化は、4.55−4.44=0.11であり、ラクターゼを有さないヨーグルトについての後酸性化は、4.55−4.36=0.19であった。従って、F-DVS YoFlex (登録商標) Mild 1.0、及び3500NLU/Lラクターゼと共に、及びラクターゼを伴わないで発酵されたヨーグルト間の後酸性化の差異は、0.19−0.11=0.08である。
提供されるデータは、ラクターゼと組合してのChr.Hansenの市販の培養物が、低められた後酸性化を有するヨーグルトを得るために使用され得ることを示す。F-DVS YoFlex (登録商標)Mild 1.0、 F-DVS YoFlex (登録商標) Creamy 1.0 及び F-DVS YoFlex (登録商標)Premium 1.0のすべては、低い後酸性化を示す。後酸性化の低減は、培養物YF-L901ではあまり顕著ではなく、そして後酸性化の低減は、F-DVS YF-L706については観察されていない。
表3は、ラクターゼの存在下で発酵された培養物は、非常に低い残留ラクトースを有するが、しかしより高い残留グルコース及びガラクトース濃度を有することを示す。従って、後酸性化が前記菌株について観察される事実は、LABの代謝のために利用できる炭水化物の高い合計残留量により説明され得る。
後酸性化の程度は依然として非常に低く、そして従って、炭水化物の残留濃度の観点から驚くべきことである。低後酸性化は、微生物における炭水化物源の代謝シフトの必要性に起因すると思われる。換言すれば、低後酸性化を示す培養物は、炭水化物源としてのラクトースからグルコースへのシフトと闘う菌株を含む。
寄託及び専門的解決策
本出願人は、下記に記載されるような本出願のために寄託された微生物のサンプルが、特許が付与される日まで、専門家によってのみ利用可能にされることを要求する。
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC16731が、受託番号DSM28889として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig, on 2014- 06-04に寄託された。
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC15914が、受託番号DSM28909として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig, on 2014- 06-12に寄託された。
ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)が、受託番号DSM28910として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig, on 2014-06-12に寄託された。
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC17861が、受託番号DSM28952として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig, on 2014- 06-12に寄託された。
ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)CHCC17862が、受託番号DSM28953として、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig, on 2014- 06-12に寄託された。
寄託は、特許手続上の微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて行われた。
参考文献
米国特許第2010/0021586号
国際公開第2006/042862A1号
国際公開第2010/139765号
国際公開第2013/169205号
国際公開第2011/000879号
Pool et al., Metabolic Engineering, vol. 8, 2006, 456-464

Claims (18)

  1. 乳を発酵する工程を含む発酵乳製品の製造方法であって、
    (a)乳に存在する1又は幾つかの炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により発酵を開始し、
    (b)発酵の間、1又は幾つかの炭水化物の濃度の低下により発酵が終結され、そして
    (c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされる、前記製造方法。
  2. スターター培養物を用いて乳を発酵する工程を含む、発酵乳製品の製造方法であって、
    (i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
    (ii)22〜45℃の温度で発酵を行い、
    (iii)発酵の間、炭水化物の濃度の低下により発酵が終結され、そして
    (iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、
    ここで、前記発酵乳製品は、発酵の終結の後、工程(ii)の発酵に使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、前記製品のpH値が0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする、前記製造方法。
  3. 発酵乳製品の製造方法であって、下記工程:
    (a)乳をスターター培養物を用いて発酵する工程、ここで
    (i)前記発酵を乳及びスターター培養物を用いて開始し、ここで前記乳におけるラクトース濃度が、発酵の開始時に5〜100mg/gの範囲であり、
    (ii)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcusthermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
    (iii)前記発酵を22〜45℃の温度で行い、
    (iv)発酵の間、ラクトースの濃度の低下により前記発酵が終結され、
    (v)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、及び
    (b)前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる工程、
    を含んで成り、ここで前記発酵乳製品は、発酵の終結の後、工程(ii)の発酵に使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、前記製品のpH値が0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする、方法。
  4. 前記乳酸菌がラクトース及びグルコースを代謝することができ、そしてスターター培養物の添加の前、乳中のラクトースの濃度が、200mg/g以下、例えば100mg/g〜5mg/g、又は50mg/g〜5mg/g、又は25mg/g〜5mg/gである、請求項1〜3の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  5. 前記乳酸菌がラクトースを代謝することができず、そしてスターター培養物の添加の前、乳中の乳酸菌により代謝され得る炭水化物の合計濃度が45mg/g以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  6. 前記乳酸菌が、ラクトース及びガラクトースを代謝できるが、しかしグルコース欠損である、請求項1〜3の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  7. 前記発酵が、500〜5000NLU/Lの初期濃度でのラクトースの存在下で実施される、請求項1〜6の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  8. 前記発酵の終結が、30mg/g未満の値、例えば25mg/g〜0.01mg/gの範囲の値、又は5mg/g〜0.01mg/gの範囲の値まで、乳酸菌により代謝され得る1又は複数の炭水化物の合計濃度の低下により引き起こされる、請求項1〜7の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  9. 前記発酵製品のpH値が、発酵のための温度で貯蔵される場合、20時間にわたって0.3pH単位の範囲内に維持される、請求項1〜8の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  10. 前記発酵が、30〜45℃の温度で実施される、請求項1〜9の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  11. 発酵の終結の後、前記発酵製品が15〜45℃の温度でパッケージングされる、請求項1〜10の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  12. 前記発酵製品が、発酵の終結の後6ヶ月間貯蔵される場合、前記製品のpH値が0.3pH単位の範囲内で維持されることを特徴とするか、又は発酵の終結の後12ヶ月間貯蔵される場合、前記製品のpH値が0.3pH単位の範囲内で維持されることを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の発酵乳製品の製造方法。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の方法により得られる発酵乳製品。
  14. 前記発酵乳製品がヨーグルト、フルーツヨーグルト、ヨーグルト飲料又はチーズである、請求項13に記載の発酵乳製品。
  15. (a)ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株であって、以下の:
    (i)2014年6月12日に受託番号DSM28952としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
    (ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28952由来の菌株;
    (b)ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株であって、
    (i)2014年6月12日に受託番号DSM28953としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
    (ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28953由来の菌株;
    (c)ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)株であって、
    (i)2014年6月12日に受託番号DSM28910としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
    (ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28910由来の菌株、
    として特徴づけられる単離LAB株。
  16. 1又は複数の以下の菌株:
    (a)ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株であって、以下の:
    (i)2014年6月12日に受託番号DSM28952としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
    (ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28952由来の菌株;
    (b)ストレプトコーカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)株であって、
    (i)2014年6月12日に受託番号DSM28953としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
    (ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28953由来の菌株;
    (c)ラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)株であって、
    (i)2014年6月12日に受託番号DSM28910としてDSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganis- men und Zellkulturen GmbH, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweigに寄託された菌株;又は
    (ii)ラクトース及びX−Galを含む培地上で白色コロニーを生成する能力を有するものとしてさらに特徴づけられる、DSM28910由来の菌株、
    、を含む発酵食品。
  17. 乳を発酵する工程を含む、発酵された乳製品の製造方法であって、
    (a)前記乳に存在する1又は幾つかの炭水化物を代謝できる乳酸菌を含むスターター培養物により発酵を開始し、
    (b)1又は幾つかの炭水化物の濃度の低下により発酵を終結し、
    (c)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、
    (d)ホエーの少なくとも一部を、前記発酵乳製品から分離し、
    ここで前記発酵乳製品は、発酵の終結の後、工程(b)の発酵に使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、前記製品のpH値が0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする、方法。
  18. スターター培養物を用いて乳を発酵する工程を含む、発酵乳製品の製造方法であって、
    (i)前記スターター培養物が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・デルブルエッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を含み、
    (ii)前記発酵を22〜45℃の温度で行い、
    (iii)発酵の間、炭水化物の濃度の低下により前記発酵が終結され、そして
    (iv)前記低下がまた、前記乳酸菌の代謝活性により少なくとも引き起こされ、
    (v)ホエーの少なくとも一部が、前記発酵乳製品からの分離される
    を含んで成り、
    ここで前記発酵乳製品は、発酵の終結の後工程(ii)での発酵のために使用される温度で20時間にわたって貯蔵される場合、前記製品のpH値が0.3pH単位の範囲内に維持されるか、又は0.1pH単位内に維持されることを特徴とする、方法。
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