JP2017218481A - 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法 - Google Patents
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Abstract
Description
尚、プライマーとしては一般的に溶剤系の1液湿気硬化型ウレタン材料が用いられるが、プライマーにより下地コンクリート中の水分を完全に遮蔽することはできない。また、プライマー塗布後防水層を塗布するまでの間隔が2〜3日間以上空いてしまうとウレタン防水材との接着力が低下してしまうし、プライマー塗布後に降雨や結露にあった場合にも、ウレタン防水材との接着力は低下することも知られており、施工現場で完全密着を望むことは難しいのが現状ともいえる。
また、下地であるコンクリートは、新築での打設時に表層の水分量が多い場合や押さえが不十分な場合には、表層の強度は非常に弱くなる。また、改修においては、既存コンクリート表面は風化して凹凸が激しいため、ラテックスモルタル系の下地調整材を1mm程度塗布し、その上にプライマーを塗布しウレタン防水層を施工するが、ラテックスモルタル系下地処理材は決して高伸張・高強度な材料ではないため、下地コンクリートのクラック発生と同時に破壊されてしまう。
ウレタン防水層としてウレタン床材のような硬くて高強度な材料を太陽光の当たる屋上に施工した場合、ウレタン床材自身の線膨張収縮力や硬化収縮力により下地コンクリート層の脆弱な部分やプライマーとの接着力が不十分な部分等から剥離・膨れが発生する危険性が増大する。また、ウレタン床材のような高強度材料はコストアップともなってしまう。以上より、汎用の防水材は比較的低強度・高伸張な材料が用いられており、低モジュラスとすることで剥離・膨れの発生を抑えている。
さらに、施工現場でガラスメッシュを挿入する作業は手間が掛かり、しかも熟練を要する作業であり、かえってガラスメッシュを挿入することにより、仕上がり性の悪化やピンホールの発生といった施工欠陥を起こす場合も多く、ガラスメッシュの挿入はウレタン防水材の効率性を損ねる原因ともなっている。一方、ガラスメッシュを挿入する作業が、ウレタン防水材の膜厚確保につながるというメリットがあり、クラック幅の少ない部分においては防水の安全性が確保されることから、現在でもこの方法が主流となっている。
尚、下地コンクリートにクラックが発生した場合、一般的にはゼロスパンクラックが発生するとされるが、実際にはコンクリートやモルタルの表面はある程度の粒径の粒子で構成されており、しかも粒子間の結合は脆いため、クラック発生近傍には少なからず微小の下地破壊が発生しており、厳密にはゼロスパンクラックではないため、伸び率の高い材料の方がクラック追従性に対し有効といえる。また、高硬度・高強度の材料を塗布した場合には塗膜の凝集力が高いことにより、クラック近傍の下地破壊や界面剥離が比較的多めに発生すると考えられる。
尚、抗張積=(引張強さ×伸び率)/5で示されるもので、塗膜の破壊エネルギー(引張試験)のバロメーター的な意味合いを持ち、抗張積を高くするためには、強度だけではなく伸び率をも高くする必要がある。
現在汎用化されている手塗用高伸長形ウレタン防水材は、トリレンジイソシアナート(以下、「TDI」と称す。)とポリオキシプロピレンポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを主剤とし、一方の硬化剤中の反応成分として、比較的低反応性の芳香族ポリアミンである、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」と称す。)を主成分とし、低反応性で低凝集性の2級ポリオールであるポリオキシプロピレンポリオールを併用している。また、低反応性のポリオキシプロピレンポリオールを反応促進させるためにカルボン酸鉛を促進剤として用いるのが一般的である。カルボン酸鉛がない場合は水分との反応も進行してしまい、副生する炭酸ガスにより発泡現象をおこしてしまう。上記の防水材はMOCA架橋型防水材と称せられており、MOCAは結晶性が激しくしかも溶解性に乏しい原料であるが、ポリオキシプロピレンポリオールにはある程度溶解し安定化させることができ、しかも全体的に穏やかな反応性で、手塗施工に適した可使時間を有するため、いまだに汎用防水材として用いられている。
また、ウレタン防水材を夕方に塗布し終わり、翌日朝には軽歩行できるほどに硬化することが望まれており、硬化時間は年間を通して17時間以内に調整できることが最良とされている。
また、主剤に用いられているTDIも特定化学物質に指定されており、汎用品の主剤には遊離TDIが上限値の1%を超えて存在するため、主剤も特化則該当品となってしまい、製造時および施工時に種々の制約を受けることとなる。さらに、促進剤として用いるカルボン酸鉛化合物は、世界的に使用が厳しく制限されている材料であり、化学物質排出把握管理法(通称化管法)の特定第1種指定化学物質に指定されており、環境面からは使用を避けたい材料である。
DETDAは高凝集性であるため、DETDAを多く用いることで高強度化は比較的容易であるが、DETDAを多くすることでさらに可使時間が短くなってしまい、特に夏場の作業性を悪化させてしまう。
ただし、DETDA架橋型防水材は、硬化剤には特化物を用いなくともよく、主剤中の遊離TDI含有量を1質量%以下とすることも可能であり(特許文献3)、またカルボン酸鉛を使用しなくともよいため、環境面ではMOCA架橋型よりも優れた防水材となる。
一方、超速硬化型スプレー材料は、主剤としてTDIよりも高反応性で高凝集性である、ジフェニルメタンジイソシアナート(以下、「MDI」と称す。)を用い、硬化剤にも高反応性のDETDAを用いるもので、衝突混合後数十秒でゲル化し数分で硬化するものである。
原料面からも、高強度化には適しているが、伸び率を確保することおよび低モジュラス化が難しため、床材的な用途が多くなっている。
主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、主剤のポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤のポリオールが分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超、5.5質量%以下であり、
硬化剤は、全反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、該芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、無機充填剤を20〜80質量%含み、
可塑剤が、主剤中のプレポリマー100質量部に対し16〜80質量部となるよう、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.4であり、
主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9〜1.4であることを特徴とする。
[1]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、反応成分としての芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、主剤のポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤のポリオールが分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超〜5.5質量%であり、
硬化剤は、全反応成分中の80当量%以上が芳香族ポリアミンであり、該芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、無機充填剤を20〜80質量%含み、
可塑剤が、主剤中のプレポリマー100質量部に対し16〜80質量部となるよう、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.4であり、
主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9〜1.4である、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[2]芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.0である、[1]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[3]主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.92〜1.24である、[1]または[2]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[4]主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、反応促進剤として、有機第2錫化合物、カルボン酸金属塩、カルボン酸、酸無水物および3級アミンからなる群から選択された少なくとも1種が配合された、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[5]主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、有機第2錫化合物あるいはイミダゾール化合物が配合された、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[6]ポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートである、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[7]主剤のポリオールの50当量%超がポリオキシアルキレンポリオールである、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[8]芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンである、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[9]抗張積が600N/mm以上である、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[10]被着体に対し、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
[11]被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シートまたは高分子塗膜材を施したのちに、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
また、実用上の施工性にも優れ、特化則該当原料は使用していないため環境対応面にも優れている。
一般的には、ウレタン防水材を高強度化しようとすると、その凝集力による拘束により、伸び率は低下する傾向となってしまう。そのため、JIS高強度形防水材に該当させるために引張り強度を10N/mm2以上にすると、施工後に塗膜の剥離・膨れを発生させる危険性の高い材料になる傾向となってしまう。防水層の剥離・膨れは、小さければあまり問題にはならない場合もあるが、時間とともに拡大する傾向があり、その結果破れやすくなったり歩行の障害となったりして、防水材の信頼性を損ねてしまう。
一般的には高強度化することで伸び率が低下してしまうのが通例であるため、伸び率を確保したうえで高抗張積化することができ、しかも実際の施工性にも優れ、環境面でも問題のない防水材を完成させることは、かなり難しい技術となる。
従来のMOCA架橋型防水材では、高強度化のためにMOCAの濃度を高くする必要があるが、MOCAの溶解性には限界があり、溶解性が改善された多官能性の変性MOCAを用いると伸び率を損ねてしまう。さらに、環境面での問題も残されてしまう。また、従来のTDIプレポリマーを主剤とするDETDA架橋型防水材においては、高強度化のためにはDETDAの濃度を高くする必要があるが、その場合可使時間がさらに短縮してしまうため、年間を通して施工性のよい防水材とすることはできない。
主剤については、NCO含有量を2.3質量%超、5.5質量%以下とすることが必要であり、3.0質量%超、5.0質量%以下であることが好ましい。NCO含有量が2.3質量%では、高抗張積化することが難しく、5.5質量%超では伸び率および施工に必要な可使時間を確保することが難しくなる。
本発明は、ポリイソシアナートとしてIPDIを含む必要があるが、一部その他のポリイソシアナートを併用することができる。併用できるイソシアナートとしては、反応性の穏やかな、脂肪族あるいは脂環族ポリイソシアナートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアナート、水添化トリレンジイソシアナート、水添化キシリレンジイソシアナート、水添化ジフェニルメタンジイソシアナート、水添化テトラメチルキシリレンジイソシアナート等が挙げられる。
また、トリレンジイソシアナート(TDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナートといった芳香族ポリイソシアナートも一部使用することができるが、トリレンジイソシアナートは労働安全衛生法の特定化学物質であり、環境的な面より好ましくない。一方、IPDIのヌレート体やTMPダクト体といった2官能を超える誘導体も商品化されているが、伸び率を拘束する傾向があるため多くは使用できず、全ポリイソシアナート成分中の2〜30当量%の範囲で用いることが好ましい。
主剤に用いるポリオールとして50当量%超のポリオキシアルキレンポリオールを含むことが好ましく、70当量%超であることがより好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールが50当量%以下では、施工性に優れた低粘性と伸び率を確保することが難しくなる。また、ポリオールとして分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%用いる必要がある。
分子量1500以上のジオールが20当量%未満では、伸び率に優れしかも低粘性で可使時間を確保することのできる主剤とすることが難しくなり、分子量1500未満のジオールおよび官能基数3以上のポリオールを合わせて3当量%以上用いないと耐熱性や耐アルカリ性が不十分となってしまう。
ポリオキシアルキレンポリオールの中でも、結晶性がなく低粘性で経済性にも優れたポリオキシプロピレンポリオールおよびポリオキシエチレンプロピレンポリオールであることが好ましい。高強度化のためには高凝集性であるポリエステルポリオールを用いる方法もあるが、ポリエステルポリオールは高粘性であるためプレポリマーも高粘性となり、缶からの取り出し時や2液混合時および塗布時の施工性が悪くなる。施工性改善のためには多量の溶剤が必要となるが、溶剤による環境汚染および硬化後の溶剤飛散による硬化物の収縮によるクラックや剥がれの発生といった問題が発生する。さらに、一般的である脂肪族ポリエステルポリオールは、耐候性や耐熱性には優れているが耐加水分解性、耐アルカリ性、耐バクテリア性には問題があることが認知されており、ウレタン防水材の用途には適していない。一方、ポリエーテルポリオールであるポリオキシアルキレンポリオールは低凝集性であるため、プレポリマーも比較的低粘性となり、溶剤量を5%以下にしても施工することができ、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐バクテリア性に優れており、ウレタン防水材に適した性能を発揮する。
ポリオキシアルキレンジオールとしては、やはり低結晶性で低粘度である一般的なポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシエチレンプロピレンジオールがより好ましく、主剤の粘度をあまり上昇させずにNCO含有量をたかくすることができ、伸び率を損ねずに高強度化を達成することができる。尚、開始剤をビスフェノーAとした分子量200〜800のポリエーテルポリオールはポリエーテルの中では凝集力が高く高強度化には有効であるため、より好ましく使用できる。また、ポリエステルポリオールの中でも、例えば2−メチル−1,3−プロパンジオールや3−メチル−1,5−ペンタンジオールのような非結晶性のポリオールを用いた分子量が300〜800の低結晶性芳香族ポリエステルポリオールは耐アルカリ性が良好であり高凝集性であるため使用することができる。ただし、高粘性であるため多量に使用することは難しい。また、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールといった分子量が200以下の短鎖ジオールも使用することができるが、使用量が多くなると伸び率を拘束し高強度化を妨げる傾向があるため、50当量%未満であることが好ましい。
次に、主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーのNCO基とポリオールのOH基の当量比である(NCO基/OH基)は1.5〜2.5であることが好ましく、1.6〜2.3であることがより好ましい。(NCO基/OH基)が1.5未満となると主剤の増粘が激しくなり、2.5を超えるとフリーのIPDIが多くなるため、伸び率の低下や可使時間の短縮といった問題が生じやすくなる。
イソシアナート基末端プレポリマーの合成方法であるが、単に加熱するだけでは反応が促進しにくいため、触媒を用いることが好ましい。一般的なウレタン化触媒が使用できるが、なかでもDBTDLやDOTDLといった有機第2錫触媒が好ましく、0.0001〜0.1質量%といった少量の添加で効率的に反応を促進させることができる。反応温度は60℃〜100℃であることが好ましく、2〜6時間程度で反応を完結させることができる。尚、反応終了後には、リン酸等により触媒を失活させておく方が好ましい。
硬化剤としては、高抗張積化を達成するためには反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであることが必要であり、90当量%超であることが好ましい。反応成分としてのポリオールは伸び率を確保する効果はある程度あるが、芳香族ポリアミンよりは低凝集性であるため、高抗張積化にはあまり効果的でない。
また、ポリオールはIPDIのイソシアナート基との反応性が低いため、反応促進剤を用いないと常温で反応させることは難しいが、反応促進剤として従来使用されているカルボン酸鉛のようなカルボン酸金属塩を用いると、DETDAとの反応も促進してしまうため、逆に可使時間が短くなってしまう場合がある。また、芳香族ポリアミン中の70当量%超がDETDAであることが好ましく、80当量%超であることがより好ましく、90当量%超であることが最も好ましい。非結晶性で高反応性であるDETDAが70当量%以下では、IPDIとの良好な反応性による硬化性の確保および高抗張積化が難しくなる。
尚、芳香族ポリエステルポリオールは、クラポール(株式会社クラレ製)のように低結晶性のポリオールを用いた液状品であるものが好ましい。
また、分子量が1500以上のポリオールも使用することができ、低粘度であるポリオキシプロピレンポリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレンポリオールが挙げられるが、低凝集性であるため高抗張積化の面からは好ましくはない。
硬化剤には無機充填剤を20質量%〜80質量%配合する必要がある。無機充填剤の補強効果なしでは、高抗張積化は非効率となってしまい、実用性のある防水材とはならない。無機充填剤が20質量%以下では補強効果が不十分となり、80質量%以上では増粘のために施工性が悪化する。
次に、年間を通して施工に必要な可使時間を有し、高伸張性・高抗張積な性能を確保するためには、主剤中のプレポリマー100質量部に対し、可塑剤を16質量部〜80質量部必要とし、さらには20質量部〜70質量部であることが好ましい。可塑剤が16質量部以下では、可使時間および伸び率の確保が難しくなり、80質量部以上では高抗張積化することが難しくなる。尚、可塑剤は硬化剤に配合するのが原則であるが、一部を主剤側に配合することも可能である。
中でも、引火点が200℃以上である、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)は長期的にも重量減少を起こし難く、芳香族ポリエステルであり加水分解も起こし難いため、好ましく使用することができる。なお、硬化剤中に溶剤を使用することもできるが、施工後の揮発により収縮を起こす危険性や無機充填剤を沈降しやすくする傾向があり、環境面での問題もあるため、5質量%以内で用いることが好ましく、使用しないことがより好ましい。
同時に重要なことは、主剤と硬化剤を混合した状態で、芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比、アミノ基(ミリ当量)/可塑剤(g)(以下、「可塑剤当たりのアミノ基当量」とも称す。)を、1.6〜3.4の範囲にする必要があり、さらには1.6〜3.0とすることが好ましい。「可塑剤当たりのアミノ基当量」が1.6未満では芳香族ポリアミンの濃度が低くなり高抗張積化を達成することは難しく、3.4超になると可使時間の確保および伸び率の確保が難しくなる。伸び率を確保した上での高抗張積化を達成するには、反応成分としてのポリオールの役割はあまり重要ではなく、可塑剤の使用量および「可塑剤当たりのアミノ基当量」が重要な役割を果たす。
また、従来の主剤にTDIを用いたDETDA架橋型防水材は、少しでも可使時間を長くするために主剤のイソシアナート基とDETDAの芳香族アミノ基との当量比(イソシアナート基/芳香族アミノ基)を、1.2〜1.5程度となるようDETDAを少なく配合しNCO基を過剰気味にするのが一般的に行われている。このような場合、DETDAと反応せずに残った過剰なNCO基は、硬化剤に配合された無機充填剤に付着する水分、2液混合時に空気中より取り込まれる水分(湿分)、さらには塗布した後の塗膜表面より吸収される水分(湿分)等と穏やかに反応し自己架橋して、数日後には硬化物がより高分子量化し高強度化する。また、NCO基が上記のように過剰であっても、イソシアナート基とDETDAとの反応性が高いため、比較的速硬化性を示し、低温においても翌日硬化が可能となる。なお、JIS A 6021(建築用塗膜防水材)において、塗膜防水材の養生条件が23±2℃、湿度50±10%の標準状態で7日以後に物性を測定することが規定されているが、従来のTDIプレポリマーを主剤とするMOCA架橋型防水材やDETDA架橋型防水材では、7日の養生期間で過剰なイソシアナート基と水分との反応による自己架橋は大方終了するため、ほぼ最大強度に到達している。そのため、標準状態で7日養生後、直ちに物性測定することが一般的となっている。
本願ではイソシアナート基との反応において湿気硬化促進効果があるとされている、有機第2錫系化合物、3級アミン、カルボン酸金属塩等が反応促進剤として使用できる。
有機第2錫系化合物としては、例えばジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ2−エチルへキサノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプタイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫オキシラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ビスブチルマレート、ジオクチル錫2−エチルヘキシルマレート等が挙げられ、中でもジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートが好ましい。有機第2錫系化合物は硬化剤中に0.001〜0.1質量%使用する事が好ましい。
また、イミダゾール化合物は、金属系触媒が多量に添加すると熱劣化を促進する傾向が強いのに対して、多目に添加してもほとんど熱劣化を促進しないという特徴があるため、更に好ましい。なお、湿気硬化促進剤は硬化剤に配合することが原則であるが、相当量を施工現場で2液混合時に添加しても構わない。一方、主剤側に配合することも可能ではあるが、貯蔵安定性を損ねる可能性があるため、あまり好ましくはない。
カルボン酸としては、例えばプロピオン酸、2−メチルペンタン酸、オクチル酸、イソノナン酸、ナフテン酸等が挙げられ、中でもオクチル酸が好ましい。
酸無水物としては、例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、中でもメチル−テトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
カルボン酸および酸無水物は、硬化剤中に0.05〜2.0質量%使用する事が望ましく、その一部或いは全量を主剤側に配合しても構わない。
その他、硬化剤には、湿潤剤、消泡剤、顔料、耐候性付与剤等の添加剤類を必要に応じて配合することができる。
主剤と硬化剤の配合比は特に限定はされないが、質量比で1/1〜1/2の範囲であることが好ましい。ただし、一般的に1/2配合とした場合には可塑剤量が多くなり、高抗張積化には不利となるため、1/1〜1/2未満であることが好ましく、1/1〜3/4であることがより好ましい。
また、本願の高抗張積性ウレタン防水材は、コンクリート等の無機系下地に対し直接塗布することはできない。無機系下地の場合はウレタン防水材とは接着しないため、下地の水分をある程度遮蔽し接着性を確保することのできるプライマーを塗布した後に、施工することができる。また改修時を含め、既存ウレタン防水層の上に場合によっては仲介プライマーを施し施工することができる。また、無機系下地に対し通気緩衝シート、塩ビシート等高分子系シート、ゴムシート、不織布シートをプライマー、接着剤、機械固定、置き敷き等で固定した上に施工することができる。さらに、金属系下地の場合も直接本願の高強度形ウレタン防水材を塗布しても接着性は確保できないため、専用のプライマーを塗布した後に塗布することができる。
本発明は、アスファルト系防水層の改修を目的とはしておらず、コンクリート等の無機下地、金属系下地、高分子系樹脂下地、ゴム下地の防水および保護を目的としたものである。また、本願の高強度形ウレタン防水材は日光が直接当たるような部分に使用する場合はトップコートを塗布することが原則となる。
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
〔イソシアナート〕
IPDI: VESTANAT(登録商標)IPDI、イソホロンジイソシアナート単体、NCO含有量37.8質量%、NCO官能基数約2.0、エボニック・ジャパン株式会社製
T−80: コロネートT−80、2,4−トリレンジイソシアナート/2,6−トリレンジイソシアナート=80/20(質量比)の混合物、NCO含有量48.3質量%、東ソー株式会社製
T−100: コロネートT−100、2,4−トリレンジイソシアナート100%含有品、NCO含有量48.3質量%、東ソー株式会社製
MDI: ミリオネートMT、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、NCO含有量33.6質量%、日本ポリウレタン工業株式会社製
〔ポリオール〕
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−3000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、OH価:56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
ニューポールBP−5P: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量500、OH価:209mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスPP−400: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量400、OH価280.5mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
クラレポリオールP−530: 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとイソフタル酸との反応によって得られる芳香族系ポリエステルジオール、平均分子量500、OH価:224.4mgKOH/g、株式会社クラレ製
1,4−ブタンジオール: 試薬、ナカライテスク株式会社製
2−メチル−1,3−プロパンジオール: MPDiol Glycol、クラレトレーディング株式会社製
〔ポリアミン〕
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、アルベマール日本株式会社製
エタキュア420: 4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、芳香族二級ジアミン、アルベマール社製
キュアハードMED:4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン、イハラケミカル工業株式会社製
〔触媒〕
ジオクチル錫ジラウレート: KS−1200A−1、共同薬品株式会社製
1−イソブチル−2−メチルイミダゾール: DABCO NC−IM、エアープロダクツジャパン株式会社製
ニッカオクチックスCa 5%TK: ニッカオクチックスカルシウム5%(TK)、2−エチルヘキシル酸カルシウムとイソパラフィン系溶剤との混合物、Caとして5%含有、日本化学産業株式会社製
テトラヒドロメチルフタル酸無水物: HN−2200R、テトラヒドロメチル無水フタル酸、日立化成株式会社製
〔溶剤〕
MC−2000ソルベント: ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製
〔可塑剤〕
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
〔無機充填剤〕
炭酸カルシウム NS#100: NS#100、炭酸カルシウム、日東粉化工業株式会社製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
〔市販防水材〕
オルタックスカイ:田島ルーフィング株式会社製
オルタックスカイUC:田島ルーフィング株式会社製
オルタックスカイEX:田島ルーフィング株式会社製
オルタックスプレーFF:田島ルーフィング株式会社製
表1および3〜11の配合に従って、四つ口フラスコに所定のポリオール、溶剤およびジオクチル錫ジラウレートを仕込み、次いで所定のポリイソシアナート化合物を仕込んだ。その後攪拌しながら80〜95℃で3〜7時間反応させて各主剤を得た。
表1および3〜11の配合に従って、金属容器に所定の液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウムを所定量配合し1500rpmで15分間混合して各硬化剤を得た。
実施例1、2および比較例1は表1の配合に従って、主剤と硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を実施例1は質量比2:3、実施例2は質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
可塑剤当たりのアミノ基当量が2.15meq/gの実施例1、2.39meq/gの実施例2は、抗張積が各々824、991N/mmと十分に高く、ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーおよび破断時の伸びも十分に高く、JASS8疲労試験のA4区分において合格(工程IIIで3体とも破断なし)していた。また、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。一方、可塑剤当たりのアミノ基当量が3.63meq/gの比較例1は、抗張積は1053N/mmと十分に高いものの、引張強さが10N/mm2を超える一方で破断時の伸び率が450%と低いため、ゼロスパンテンション試験およびJASS8疲労試験のA4区分において一部界面剥離が観察された。さらに、比較例1の防水材は可使時間が24分と短く、夏季の施工においては不適であった。
比較例2〜5は市販のウレタン防水材料を使用し、各主剤および硬化剤を所定の混合比で混合しウレタン防水材組成物を得た。
汎用手塗型ウレタン防水材料を使用した比較2、3は引張強さが低いため抗張積は600N/mm未満であった。ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーは各々2.5、1.7Jと低く、JASS8疲労試験のA3区分で不合格となった。
高強度形スプレー材料を使用した比較例4は引張強さが10N/mm2を超える一方で破断時の伸び率が360%と低いため、ゼロスパンテンション試験およびJASS8疲労試験のA3区分において一部界面剥離等の異常が観察された。
速硬化型手塗型ウレタン防水材料を使用した比較例4は、ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーおよび破断時の伸びも十分に高く、JASS8疲労試験のA4区分において合格していた。しかしながら、可使時間は27分と短く、夏季の施工においては不適であった。
実施例3〜7は、表3の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
可塑剤当たりのアミノ基当量が各々1.98、2.18、2.27、2.50、3.00meq/gの実施例3〜7は、抗張積が600N/mm以上であり、ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーおよび破断時の伸びも十分に高く、JASS8疲労試験のA4区分において全て合格(工程IIIで3体とも破断なし)していた。また、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例8〜11は、表4の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤にポリオールとしてサンニックスPP−2000/ニューポールBP−5P/サンニックスGH−5000=46/34/20(当量比)を使用した実施例8、同じく41/39/20(当量比)を使用した実施例9、同じく56/34/10(当量比)を使用した実施例10、同じく46/44/10(当量比)を使用した実施例11は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例12〜14は、表5の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤に官能基数が3以上のポリオールを使用せずに、サンニックスPP−2000/ニューポールBP−5P=66/34(当量比)を使用した実施例12、同じく75/25(当量比)を使用した実施例13、同じく90/10(当量比)を使用した実施例14はいずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例15〜17は、表6の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤に平均分子量1500未満のジオールとしてクラレポリオールP−530を使用した実施例15、1,4−ブタンジオールを使用した実施例16、2−メチル−1,3−プロパンジオールを使用した実施例17はいずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例18〜20は、表7の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤に硬化促進剤として1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.10質量%使用した実施例18、ジブチル錫ジラウレートを0.01質量%使用した実施例19、ニッカオクチックスCa5%TKを0.10質量%使用した実施例20はいずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例21〜23は、表8の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
酸無水物の硬化促進剤として、テトラヒドロメチルフタル酸無水物を硬化剤に0.10質量%添加した実施例21、テトラヒドロメチルフタル酸無水物を主剤と硬化剤の混合物中に0.10質量%添加した実施例22および1.00は質量%添加した実施例23、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。特に、テトラヒドロメチルフタル酸無水物を主剤と硬化剤の混合物中1.00質量%添加した実施例23は十分な可使時間を確保しながら、当日中に次工程が施工可能な速硬化性となった。
実施例24〜27は、表9の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比2:3で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が0.95の実施例24、1.05の実施例25、1.10の実施例26、1.15の実施例22は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例28〜31は、表10の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比2:3で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.15で硬化剤に1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.50質量%使用した実施例28、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.20で硬化剤に1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.50質量%使用した実施例29、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.20で硬化剤にジブチル錫ジラウレートを0.01質量%使用した実施例30、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.27で硬化剤に1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.50質量%使用した実施例31は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
硬化剤にエタキュア420を1.96質量%使用し、硬化剤の芳香族ポリアミン中のDETDA(当量%)が85、芳香族ポリアミン/他の活性水素(当量比)が100/0、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.05の実施例32、硬化剤にキュアハードMEDを1.14質量%使用し、硬化剤の芳香族ポリアミン中のDETDA(当量%)が85、芳香族ポリアミン/他の活性水素(当量比)が100/0、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.05の実施例33、硬化剤にクラレポリオールP−530を2.04質量%使用し、硬化剤の芳香族ポリアミン中のDETDA(当量%)が100、芳香族ポリアミン/他の活性水素(当量比)が85/15、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.24の実施例34は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル重量
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m2塗布し、完全には硬化していないが、靴で歩行が可能となり、次工程の作業を開始できる時間を測定した。
JIS A 6021に基づいて測定を行った。
JIS A 6021に基づいて測定を行った。
JIS A 6021に基づいて測定を行った。
上記の引張強さと破断時の伸び率を用いて、JIS A 6021に基づいて計算を行った。
JIS K 6253に基づいて測定を行った。
400mm×150mm×8mmの石綿スレートフレキシブル板の裏面の長手方向の中央に幅5mmのスリットを深さ6mmまで入れる。次に石綿スレートフレキシブル板の表面にプライマーを塗布する。プライマーが乾燥後、ウレタン防水材組成物を300mm×100mm×2mm(塗膜厚み)で塗布し、23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、1週間養生させた後、試験体とした。
試験体の模式図を図1に示す。(a)は平面図、(b)は正面図である。1は試験体、2は石綿スレートフレキシブル板、3はウレタン塗膜防水層、4はスリット、5は下地亀裂位置、6は固定用の穴である。
試験体のスリット部を折って石綿スレートフレキシブル板にクラックを入れる。引張試験機にセットして、1分間0.5mmの低速度で石綿スレートフレキシブル板の両端を長手方向に引っ張り破断するまでの距離=破断時伸び(mm)および破断するまでの総エネルギー=破壊エネルギー(J)を測定した。
「JASS8 T501 メンブレン防水層の性能評価試験方法 3.3疲労試験」に基づいてA形試験体(塗膜厚み2mm)を使用し評価を行った。試験工程図を図2に示す。
2 石綿スレートフレキシブル板
3 ウレタン塗膜防水層
4 スリット
5 下地亀裂位置
6 固定用の穴
Claims (11)
- ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、反応成分としての芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、主剤のポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤のポリオールが分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超、5.5質量%以下であり、
硬化剤は、全反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、該芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、無機充填剤を20〜80質量%含み、
可塑剤が、主剤中のプレポリマー100質量部に対し16〜80質量部となるよう、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.4であり、
主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9〜1.4である、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。 - 芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.0である、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.92〜1.24である、請求項1または2に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、反応促進剤として、有機第2錫化合物、カルボン酸金属塩、カルボン酸、酸無水物および3級アミンからなる群から選択された少なくとも1種が配合された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、有機第2錫化合物あるいはイミダゾール化合物が配合された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- ポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 主剤のポリオールの50当量%超がポリオキシアルキレンポリオールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 抗張積が600N/mm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 被着体に対し、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
- 被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シート、防根シートまたは高分子塗料膜材を施したのちに、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
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