JP2017218481A - 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法 - Google Patents

高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017218481A
JP2017218481A JP2016112132A JP2016112132A JP2017218481A JP 2017218481 A JP2017218481 A JP 2017218481A JP 2016112132 A JP2016112132 A JP 2016112132A JP 2016112132 A JP2016112132 A JP 2016112132A JP 2017218481 A JP2017218481 A JP 2017218481A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
urethane
curing agent
polyol
waterproof material
hand
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016112132A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6799390B2 (ja
Inventor
喜章 古田
Yoshiaki Furuta
喜章 古田
尚人 谷澤
Naohito Tanizawa
尚人 谷澤
宏 猪俣
Hiroshi Inomata
宏 猪俣
直親 青山
Naochika Aoyama
直親 青山
恒 藤田
Hisashi Fujita
恒 藤田
石井 明
Akira Ishii
明 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ICK Corp
Original Assignee
ICK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ICK Corp filed Critical ICK Corp
Priority to JP2016112132A priority Critical patent/JP6799390B2/ja
Publication of JP2017218481A publication Critical patent/JP2017218481A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6799390B2 publication Critical patent/JP6799390B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】クラック追従性に優れ、環境に優しく施工性にも優れた、高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物を提供する。【解決手段】本発明のウレタン防水材組成物は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなり、ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、ポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超、5.5質量%以下であり、硬化剤は、全反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比[アミノ基(ミリ当量)/可塑剤量(g)]が1.6〜3.4である。【選択図】なし

Description

本発明は、高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびその組成物を用いたウレタン防水工法に関する。
ウレタン防水材は、不定形状および狭小部分の施工に適していることより、新築工事や改修工事を問わず、マンション等集合住宅のベランダ、バルコニー、解放廊下等の平場部分や、庇、巾木、側溝部分等に幅広く使用されている。比較的大面積の屋上においては、いわゆる通気緩衝工法が用いられる場合が多いが、立面、パラペット、架台廻りには密着工法を用いるのが一般的である。また、コンクリート系の比較的小面積の屋上においては、立面、パラペット、架台廻りはもとより、平場部分も密着工法が用いられる場合が多い。通気緩衝工法においては、下地と防水層の間に通気緩衝シートを設置するため、下地コンクリートに発生するクラックは遮蔽され、ウレタン防水層のクラック追従性はそれほど問題とはならないが、密着工法においてはウレタン防水層のクラック追従性が十分な防水性能を発揮するための重要な要素となってくる。
密着工法は、下地コンクリートやモルタル面等にプライマーを塗布した後ウレタン防水層を施工するものであり、コンクリート下地に直接ウレタン防水材を塗布しても接着力を得ることはできない。また、プライマーは一部コンクリート層に浸透して硬化するため、ある程度のピンホール防止効果やコンクリート中の湿分を遮蔽する効果も果している。しかし、プライマー層は0.1mm程度の薄膜であるため、下地コンクリートにクラックが発生した場合はほぼ同時に破壊されてしまう。プライマーとウレタン防水層との接着は完全密着を目指すのが原則となっており、接着性が不十分であると、施工後に太陽光の熱により下地コンクリート中の水分の蒸気圧が増大することや低温時との温度差等の外部環境の変化による接着界面へのストレスにより、剥離・膨れを発生させてしまう場合がある。
尚、プライマーとしては一般的に溶剤系の1液湿気硬化型ウレタン材料が用いられるが、プライマーにより下地コンクリート中の水分を完全に遮蔽することはできない。また、プライマー塗布後防水層を塗布するまでの間隔が2〜3日間以上空いてしまうとウレタン防水材との接着力が低下してしまうし、プライマー塗布後に降雨や結露にあった場合にも、ウレタン防水材との接着力は低下することも知られており、施工現場で完全密着を望むことは難しいのが現状ともいえる。
また、下地であるコンクリートは、新築での打設時に表層の水分量が多い場合や押さえが不十分な場合には、表層の強度は非常に弱くなる。また、改修においては、既存コンクリート表面は風化して凹凸が激しいため、ラテックスモルタル系の下地調整材を1mm程度塗布し、その上にプライマーを塗布しウレタン防水層を施工するが、ラテックスモルタル系下地処理材は決して高伸張・高強度な材料ではないため、下地コンクリートのクラック発生と同時に破壊されてしまう。
ウレタン防水層としてウレタン床材のような硬くて高強度な材料を太陽光の当たる屋上に施工した場合、ウレタン床材自身の線膨張収縮力や硬化収縮力により下地コンクリート層の脆弱な部分やプライマーとの接着力が不十分な部分等から剥離・膨れが発生する危険性が増大する。また、ウレタン床材のような高強度材料はコストアップともなってしまう。以上より、汎用の防水材は比較的低強度・高伸張な材料が用いられており、低モジュラスとすることで剥離・膨れの発生を抑えている。
しかし、現行の低強度・高伸張性である防水材は、低凝集性で破壊されやすいため、下地クラックへの追従性については不安なところがある。そのため下地クラックからの漏水が危惧されるような部位には、ガラスメッシュ等の補強材を用いることが原則となっている。ガラスメッシュを挿入することで高強度となり耐クリープ(クリープとは物体に持続応力が作用すると、時間の経過とともに歪みが増大する現象)性も向上するため、クラック幅が小さい場合には非常に有効となる。しかし、クラック幅が大きい場合には、ガラスメッシュ自身に伸張性がないため、クラック幅が2mm程度で破壊されてしまい、残った塗膜は低強度化し簡単に破断してしまうので、決して有効な方法とはならない。
さらに、施工現場でガラスメッシュを挿入する作業は手間が掛かり、しかも熟練を要する作業であり、かえってガラスメッシュを挿入することにより、仕上がり性の悪化やピンホールの発生といった施工欠陥を起こす場合も多く、ガラスメッシュの挿入はウレタン防水材の効率性を損ねる原因ともなっている。一方、ガラスメッシュを挿入する作業が、ウレタン防水材の膜厚確保につながるというメリットがあり、クラック幅の少ない部分においては防水の安全性が確保されることから、現在でもこの方法が主流となっている。
そのため、ガラスメッシュ等の補強材を用いない効率的な手塗り用のウレタン防水工法あるいはウレタン防水材についてはあまり提案がなされていないが、下層に比較的低強度・高伸張のウレタン防水材を施工し、その上層に比較的高硬度・高強度のウレタン材料を施工する方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、下地コンクリート層との破壊・剥離が少なく、下地ウレタン防水層がクラックの動きを緩和させるため、上層のウレタン材料は破断され難くなるという優れた方法であり、重歩行防水床や屋上駐車場床等の特殊用途には多く採用されている。しかし、一般的なウレタン防水材の施工部位である、ベランダ、バルコニー、庇、巾木、側溝等の施工において、2種類の材料を持ち込み塗り分けるのは効率的ではなくまた経済的にも見合わないため、あまり採用されていない。
防水材のクラック追従性および非破断性を評価する試験方法としては、建築工事標準仕様書JASS8防水工事(以下、「JASS8」と称す。)に規定された疲労試験(非特許文献1)あるいはゼロスパンテンション試験が挙げられる。
尚、下地コンクリートにクラックが発生した場合、一般的にはゼロスパンクラックが発生するとされるが、実際にはコンクリートやモルタルの表面はある程度の粒径の粒子で構成されており、しかも粒子間の結合は脆いため、クラック発生近傍には少なからず微小の下地破壊が発生しており、厳密にはゼロスパンクラックではないため、伸び率の高い材料の方がクラック追従性に対し有効といえる。また、高硬度・高強度の材料を塗布した場合には塗膜の凝集力が高いことにより、クラック近傍の下地破壊や界面剥離が比較的多めに発生すると考えられる。
現在使用されているウレタン防水材は、JIS A 6021、建築用塗膜防水材により、高伸張形と高強度形の2種類に分類されている。高伸張形は手塗用の汎用性のある防水材であり、破断時の伸び率(以下、「伸び率」と称す。)が450%以上、引張強さが2.3N/mm2以上、抗張積が280N/mm以上と規定されている。一方の高強度形は、高反応性の2成分を衝突混合させる専用のスプレー装置によりスプレー塗布する超速硬化性ウレタン材料が主体となっており、伸び率が200%以上、引張強さが10N/mm2以上、抗張積が700N/mm以上という規格になっており、駐車場用防水床、屋上緑化用耐根性防水材、金属屋根用防水材等の特殊な用途に使用される場合が多い。
尚、抗張積=(引張強さ×伸び率)/5で示されるもので、塗膜の破壊エネルギー(引張試験)のバロメーター的な意味合いを持ち、抗張積を高くするためには、強度だけではなく伸び率をも高くする必要がある。
しかし、一般的にウレタン防水材を高強度化するには高凝集性の材料を多く用いる必要があり、高凝集性にすることによって拘束力が増大するため、伸び率が低下してしまうのが通例である。スプレー塗布する超速硬化性ウレタン材料においても、高凝集性の材料を多く用いるため高強度化は比較的容易であるが高伸長化は難しく、伸び率が低下した硬い材料となる傾向があり、その結果防水材というよりは床材的な用途が多くなっている。
現在汎用化されている手塗用高伸長形ウレタン防水材は、トリレンジイソシアナート(以下、「TDI」と称す。)とポリオキシプロピレンポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを主剤とし、一方の硬化剤中の反応成分として、比較的低反応性の芳香族ポリアミンである、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」と称す。)を主成分とし、低反応性で低凝集性の2級ポリオールであるポリオキシプロピレンポリオールを併用している。また、低反応性のポリオキシプロピレンポリオールを反応促進させるためにカルボン酸鉛を促進剤として用いるのが一般的である。カルボン酸鉛がない場合は水分との反応も進行してしまい、副生する炭酸ガスにより発泡現象をおこしてしまう。上記の防水材はMOCA架橋型防水材と称せられており、MOCAは結晶性が激しくしかも溶解性に乏しい原料であるが、ポリオキシプロピレンポリオールにはある程度溶解し安定化させることができ、しかも全体的に穏やかな反応性で、手塗施工に適した可使時間を有するため、いまだに汎用防水材として用いられている。
一般的なウレタン防水材は、2液の液状物を攪拌機で混合した後、コテ、ヘラ、ローラー、刷毛等で手塗り施工するものであり、攪拌機で混合した後少なくとも30分程度の使用可能時間(以下、「可使時間」と称す。可使時間については、23℃において2液混合後から粘度が6万mPa・sに到達するまでの時間とするのが一般的である。)が必要とされている。手塗り用2液型ウレタン防水材は、冬季の施工と夏季の施工では外気温が大幅に異なるため、夏季の30℃前後での施工に適した夏用配合と、冬季の5℃前後の施工に適した冬用配合が用意されているのが一般的であり、各季節の施工温度において、できるだけ可使時間が30分以上となるよう工夫されている。
また、ウレタン防水材を夕方に塗布し終わり、翌日朝には軽歩行できるほどに硬化することが望まれており、硬化時間は年間を通して17時間以内に調整できることが最良とされている。
MOCA架橋型防水材をより高強度化させるためには、高凝集性であるMOCAの濃度を高くし低凝集性であるポリオールの量を低くする必要があるが、MOCAは溶解力がないため限界がある。また、変性MOCAと称される溶解性が改善されたるものもあるが、変性により多官能化されているため伸び率を低下させてしまう。そのため、ウレタン床材のように主剤のNCO含有量を高くすることで高強度化はある程度可能であるが、伸び率は低下してしまう。
なお、MOCA架橋型防水材には環境面での大きな問題がある。硬化剤に用いられているMOCAは労働安全衛生法で特定化学物質第2類物質に指定されており、硬化剤には上限値の1%を超えて使用されているため、特定化学物質等障害予防規則(以下、「特化則」と称す。)該当品となってしまう。またMOCAは、IARC(国際がん研究機関)による発がん性評価でグループ1(ヒトに対して発がん性を示す)に分類されている。
また、主剤に用いられているTDIも特定化学物質に指定されており、汎用品の主剤には遊離TDIが上限値の1%を超えて存在するため、主剤も特化則該当品となってしまい、製造時および施工時に種々の制約を受けることとなる。さらに、促進剤として用いるカルボン酸鉛化合物は、世界的に使用が厳しく制限されている材料であり、化学物質排出把握管理法(通称化管法)の特定第1種指定化学物質に指定されており、環境面からは使用を避けたい材料である。
また、MOCAの替わりに高反応性の芳香族ポリアミンであるジエチルトルエンジアミン(以下、「DETDA」と称す。)を用いた、DETDA架橋型ウレタン防水材も開発されている。この方法は、DETDAが高反応性であるため可使時間を確保することに問題があり、特殊なTDIを使用した主剤を用いる方法や硬化剤に特殊なポリオールを用いる方法等が提案されている。(特許文献2)
DETDAは高凝集性であるため、DETDAを多く用いることで高強度化は比較的容易であるが、DETDAを多くすることでさらに可使時間が短くなってしまい、特に夏場の作業性を悪化させてしまう。
ただし、DETDA架橋型防水材は、硬化剤には特化物を用いなくともよく、主剤中の遊離TDI含有量を1質量%以下とすることも可能であり(特許文献3)、またカルボン酸鉛を使用しなくともよいため、環境面ではMOCA架橋型よりも優れた防水材となる。
一方、超速硬化型スプレー材料は、主剤としてTDIよりも高反応性で高凝集性である、ジフェニルメタンジイソシアナート(以下、「MDI」と称す。)を用い、硬化剤にも高反応性のDETDAを用いるもので、衝突混合後数十秒でゲル化し数分で硬化するものである。
原料面からも、高強度化には適しているが、伸び率を確保することおよび低モジュラス化が難しため、床材的な用途が多くなっている。
また、主剤として、イソホロンジイソシアナート(以下、「IPDI」と称す。)と特殊なポリオールを用いたIPDIプレポリマーに対し、DETDA、水、ポリオールを必須反応成分とし、特殊な可塑剤を少量用いたノンブリード・高強度・高伸長形手塗りウレタン防水材組成物の技術(特許文献4)も開示されているが、物性についてはJIS規格(建築用塗膜防水材、JIS A 6021)に規定されている23℃の養生条件ではなく、60℃の加熱により高強度化する方法が示されており、主にアスファルト系下地への塗工を目的とした防水材の技術である。
特開2000−7986号公報 特許第3114557号公報 特開2013−139559号公報 特開2014−227522号公報
日本建築学会、「建築工事標準仕様書・同解説JASS8」 参考資料1 メンブレン防水層の性能評価試験方法、3.3疲労試験(A型) 2000年改定(第4次)、p.423〜425
今まで、ウレタン防水材単体の塗膜性能とクラック追従性との関係についてあまり検討がなされておらず、ガラスメッシュ等の補強材を挿入することが解決策となってきた。しかし、この方法は、高伸張性のウレタン防水材に対し非伸張性のガラスメッシュを挿入するというもので、合理性に欠けており、ややクラック幅が大きくなると簡単にガラスメッシュの破壊が起こり塗膜の破断を誘発してしまう。
さらに、施工現場でガラスメッシュを適切に挿入するにはかなりの熟練を必要とし、ピンホールや仕上がり性悪化といった不良箇所を誘発しやすくなり、熟練技術者が少ない昨今おいては、より合理的で簡便な工法および材料が望まれる。また、どのような組成の防水材が実用上の施工性を確保したうえで、クラック追従性に優れ、しかも施工後に剥離・膨れといった問題を発生させ難いのかに対しても十分な検討がなされていない。
本願は、どのような塗膜性能のウレタン防水材が実用上の施工性を確保したうえで、クラック追従性に優れ、しかも施工後に剥離・膨れといった問題を発生させにくいのかという課題について、疲労試験(JASS8)およびゼロスパンテンション試験により考察を行った。その結果、高強度形の防水材ではなく、高伸張性を保持した上で高抗張積な性能を持つウレタン防水材が適していることを見出した。同時に、上記の性能を満たし、しかも実際の施工性にも優れ、環境対応の面からも問題のないウレタン防水材組成について検討した。その結果、主剤としてイソホロンジイソシアナートとポリオキシアルキレンポリオールを含むプレポリマーを用い、硬化剤に反応成分としてのDETDA、特定量の可塑剤および充填剤を含む2液型防水材において、DETDAを含む芳香族ポリアミンのアミノ基当量と可塑剤の使用量との比率を特定の範囲とし、主剤のイソシアンート基と硬化剤の活性水素基を特定の範囲で配合することで完成するに至った。
本発明は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、反応成分としての芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、主剤のポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤のポリオールが分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超、5.5質量%以下であり、
硬化剤は、全反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、該芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、無機充填剤を20〜80質量%含み、
可塑剤が、主剤中のプレポリマー100質量部に対し16〜80質量部となるよう、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.4であり、
主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9〜1.4であることを特徴とする。
本発明は、次の態様を含む。
[1]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、反応成分としての芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、主剤のポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤のポリオールが分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超〜5.5質量%であり、
硬化剤は、全反応成分中の80当量%以上が芳香族ポリアミンであり、該芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、無機充填剤を20〜80質量%含み、
可塑剤が、主剤中のプレポリマー100質量部に対し16〜80質量部となるよう、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.4であり、
主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9〜1.4である、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[2]芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.0である、[1]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[3]主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.92〜1.24である、[1]または[2]に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[4]主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、反応促進剤として、有機第2錫化合物、カルボン酸金属塩、カルボン酸、酸無水物および3級アミンからなる群から選択された少なくとも1種が配合された、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[5]主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、有機第2錫化合物あるいはイミダゾール化合物が配合された、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[6]ポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートである、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[7]主剤のポリオールの50当量%超がポリオキシアルキレンポリオールである、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[8]芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンである、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[9]抗張積が600N/mm以上である、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
[10]被着体に対し、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
[11]被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シートまたは高分子塗膜材を施したのちに、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
本発明の2液型手塗り用ウレタン防水材は、ガラスメッシュ等の補強材なしでも破断し難く優れたクラック追従性を示し、しかも施工後に剥離・膨れを起こし難い。そのため、従来よりも大幅に施工が簡略化され施工の効率化を達成することができる。
また、実用上の施工性にも優れ、特化則該当原料は使用していないため環境対応面にも優れている。
図1は、ゼロスパンテンションの試験体の平面図と正面図である。 図2は、JASS8疲労試験の試験工程を示す。
様々な検討を行った結果、伸び率が高くしかも従来の防水材よりも高強度である、いわゆる高抗張積の防水材が下地亀裂追従性に優れていることが分かった。ゼロスパンテンション試験での「破断時の伸び」および「破壊エネルギー」に着目し詳細な検討を行ったところ、従来からの低強度・高伸張性防水材よりも高伸張・高抗張積性防水材とすることでゼロスパンテンション試験での「破断時の伸び」」および「破壊エネルギー」が大きく上昇することが確認された。また、従来からのガラスメッシュを挿入する工法においては、クラック幅が2mm程度でガラスメッシュが破壊してしまい、「破壊エネルギー」も低いことが分かった。一方、高強度であっても伸び率が低い低伸張・高強度性防水材においては、「破壊エネルギー」が高くなり破断し難くはなるが、下地スレート板と防水材との界面に剥離や下地破壊が発生する傾向となり実用場面でも憂慮される塗膜の剥離・膨れが発生し易くなると推察される。尚、ゼロスパンテンション試験は、高分子の耐クリープ性を配慮し、比較的低速(0.5mm/min)での引張り試験を行った。
次に、「JASS8 T501 メンブレン防水層の性能評価試験方法 3.3疲労試験」(以下、「JASS8疲労試験」と称す。)に則った疲労試験(A型)での評価を行ったところ、高伸張・高抗張積性防水材は良好な結果となるが、低伸張・高強度性防水材においては塗膜に亀裂が発生したり、接着界面に剥離や下地破壊が発生する傾向となった。
一般的には、ウレタン防水材を高強度化しようとすると、その凝集力による拘束により、伸び率は低下する傾向となってしまう。そのため、JIS高強度形防水材に該当させるために引張り強度を10N/mm2以上にすると、施工後に塗膜の剥離・膨れを発生させる危険性の高い材料になる傾向となってしまう。防水層の剥離・膨れは、小さければあまり問題にはならない場合もあるが、時間とともに拡大する傾向があり、その結果破れやすくなったり歩行の障害となったりして、防水材の信頼性を損ねてしまう。
尚、モルタルやコンクリートの表面は十分な填圧があれば高強度となるが、実現場においては填圧不十分で脆弱な部分もあり、またプライマー塗布後防水材塗布までの間隔が空いた場合等施工の条件によっては、十分な接着力を得られない部分もある。また、改修工事でのモルタルやコンクリート下地においても、風化や中性化により表面は劣化しているため、比較的低強度の下地処理材(ラテックスモルタル系)が施工される場合や、下地にすでに比較的低強度の塗料や異種塗膜材が施工されている場合もある。そのような場合に、低伸張・高強度性防水材を施工することにより、下地材料との界面剥離や下地材料の破壊が発生する危険性が高くなる。
一方、従来の低強度・高伸張性防水材においては、クラックにはある程度追従するが、「破壊エネルギー」が小さいため、非伸張性のガラスメッシュ等の補強材を挿入する方法が一般的に採用されている。この方法はウレタン防水材の長所である高伸張性を拘束するものであるが、施工現場での防水材の施工厚みが確保できることおよび、ガラスメッシュの拘束によりクリープ現象が防止でき、外部応力にも強くなるというメリットがある。しかし、ウレタン樹脂とガラスメッシュとの接着性は悪いため、「破壊エネルギー」も決して高くはなく、クラック幅が2mm程度以上に大きくなると簡単に破断してしまう。
従来の低強度・高伸張性防水材は、伸び率が600%前後で、抗張積が300〜500N/mm程度、引張強度が3〜4N/mm2であり、一方の高強度形は、伸び率が400%前後、抗張積が900N/mm前後、引張り強度が12N/mm2前後であるのが一般的である。それに対し、本願のクラック追従性に優れしかも実現場での剥がれ・膨れが発生し難い防水材は、伸び率が従来の高伸張形防水材と同様に500%以上であることが好ましく600%以上であることがより好ましく、抗張積は600N/mm以上であることが好ましく、700N/mm以上であることがより好ましく、800N/mm以上であることがさらに好ましい。また、引張強度は無理に10N/mm2以上とすることは好ましくはなく、5〜10N/mm2未満であることが好ましく、6〜9N/mm2であることがより好ましい。
以上のように、伸び率を保持した上で高抗張積化することにより、ゼロスパンテンション試験での「破断時の伸び」および「破壊エネルギー」が大幅に向上し、ガラスメッシュ等の補強材を挿入せずに施工できる範囲を従来よりも拡大することができ、省力化や施工の効率化を達成することができる。また、施工時の塗膜の平均厚みは1mm以上であることが好ましく、高伸張・高抗張積の材料であっても、塗膜厚みが少ないとその効果は十分に発揮できない。防水材の塗布は1回だけでも従来よりは効果的であるが、平均膜厚を確保するためには2回以上に分けて施工することが好ましい。また、トップコートについては、現在汎用化されているが、比較的軟質で伸び率が高いトップコートの方が好ましく、ウレタン防水層のクラック追従性に悪影響を及ぼしにくい。本願の防水材は無機系下地での密着工法において威力を発揮するが、改修工事等での既存ウレタン防水層への上掛けにも適しており(プライマーを介する場合が多い)通気緩衝シート、高分子シート、高分子塗膜材の上にも用いることもできる。また、出隅・入隅部分や、塗膜厚を確保し難い部位の施工においては、テープ状あるいは短冊状の補強材を挿入することで、施工性をあまり損ねることなしに防水の安全性を増すこともでき、従来のガラスメッシュや高分子系メッシュ等の補強材を部分的に使用することもできる。
次に、高伸張・高抗張積性に適したウレタン材料についての検討を行った。
一般的には高強度化することで伸び率が低下してしまうのが通例であるため、伸び率を確保したうえで高抗張積化することができ、しかも実際の施工性にも優れ、環境面でも問題のない防水材を完成させることは、かなり難しい技術となる。
従来のMOCA架橋型防水材では、高強度化のためにMOCAの濃度を高くする必要があるが、MOCAの溶解性には限界があり、溶解性が改善された多官能性の変性MOCAを用いると伸び率を損ねてしまう。さらに、環境面での問題も残されてしまう。また、従来のTDIプレポリマーを主剤とするDETDA架橋型防水材においては、高強度化のためにはDETDAの濃度を高くする必要があるが、その場合可使時間がさらに短縮してしまうため、年間を通して施工性のよい防水材とすることはできない。
種々検討の結果、主剤のポリイソシアナートとしてIPDIを用い、硬化剤の反応成分として高反応性芳香族ポリアミンであるDETDAを用いることで、目的が達成されることが分かった。IPDIはTDIよりもかなり低反応性であるが、DETDAとは比較的速やかに反応し施工に必要とされる可使時間を確保することもでき、高抗張積化を達成できることも分かった。
(主剤NCO含有量)
主剤については、NCO含有量を2.3質量%超、5.5質量%以下とすることが必要であり、3.0質量%超、5.0質量%以下であることが好ましい。NCO含有量が2.3質量%では、高抗張積化することが難しく、5.5質量%超では伸び率および施工に必要な可使時間を確保することが難しくなる。
(ポリイソシアナート)
本発明は、ポリイソシアナートとしてIPDIを含む必要があるが、一部その他のポリイソシアナートを併用することができる。併用できるイソシアナートとしては、反応性の穏やかな、脂肪族あるいは脂環族ポリイソシアナートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアナート、水添化トリレンジイソシアナート、水添化キシリレンジイソシアナート、水添化ジフェニルメタンジイソシアナート、水添化テトラメチルキシリレンジイソシアナート等が挙げられる。
また、トリレンジイソシアナート(TDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナートといった芳香族ポリイソシアナートも一部使用することができるが、トリレンジイソシアナートは労働安全衛生法の特定化学物質であり、環境的な面より好ましくない。一方、IPDIのヌレート体やTMPダクト体といった2官能を超える誘導体も商品化されているが、伸び率を拘束する傾向があるため多くは使用できず、全ポリイソシアナート成分中の2〜30当量%の範囲で用いることが好ましい。
(主剤ポリオール)
主剤に用いるポリオールとして50当量%超のポリオキシアルキレンポリオールを含むことが好ましく、70当量%超であることがより好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールが50当量%以下では、施工性に優れた低粘性と伸び率を確保することが難しくなる。また、ポリオールとして分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%用いる必要がある。
分子量1500以上のジオールが20当量%未満では、伸び率に優れしかも低粘性で可使時間を確保することのできる主剤とすることが難しくなり、分子量1500未満のジオールおよび官能基数3以上のポリオールを合わせて3当量%以上用いないと耐熱性や耐アルカリ性が不十分となってしまう。
(主剤ポリオールの分子量と官能基数)
ポリオキシアルキレンポリオールの中でも、結晶性がなく低粘性で経済性にも優れたポリオキシプロピレンポリオールおよびポリオキシエチレンプロピレンポリオールであることが好ましい。高強度化のためには高凝集性であるポリエステルポリオールを用いる方法もあるが、ポリエステルポリオールは高粘性であるためプレポリマーも高粘性となり、缶からの取り出し時や2液混合時および塗布時の施工性が悪くなる。施工性改善のためには多量の溶剤が必要となるが、溶剤による環境汚染および硬化後の溶剤飛散による硬化物の収縮によるクラックや剥がれの発生といった問題が発生する。さらに、一般的である脂肪族ポリエステルポリオールは、耐候性や耐熱性には優れているが耐加水分解性、耐アルカリ性、耐バクテリア性には問題があることが認知されており、ウレタン防水材の用途には適していない。一方、ポリエーテルポリオールであるポリオキシアルキレンポリオールは低凝集性であるため、プレポリマーも比較的低粘性となり、溶剤量を5%以下にしても施工することができ、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐バクテリア性に優れており、ウレタン防水材に適した性能を発揮する。
また主剤のポリオールとして、伸び率確保のために分子量1500以上のジオールを20当量%以上用いることが必要であり、さらには30当量%以上用いることが好ましい。ただし、分子量1500以上のジオールのみでは、硬化物中に分技点を作れなくなりウレタン結合の濃度も低下するため、強度発現性および硬化性の低下、さらには最終強度の低下を引き起こしてしまう。この問題を解決するために、分子量1500以下のジオールあるいは官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%用いること必要であり、5〜60当量%用いることがさらに好ましい。分子量1500以下のジオールを用いることで、硬化物中のウレタン結合およびウレア結合の濃度が高くなるため、伸び率をあまり損ねずに高抗張積化させることができる。また、官能基数が3以上のポリオールを用いることで、硬化物中に分枝点を作ることができるため、強度発現性および硬化性を向上させることができ、高強度化が容易となる。
分子量1500以上のジオールとしては、一般的なポリオキシアルキレンジオールを用いることができ、結晶性が少なく低粘度であるポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシエチレンプロピレンジオールを用いることが好ましい。分子量1500未満のジオールとしては、分子量200〜1200のポリオキシアルキレンジオールおよび短鎖ポリオールを使用することが好ましい。
ポリオキシアルキレンジオールとしては、やはり低結晶性で低粘度である一般的なポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシエチレンプロピレンジオールがより好ましく、主剤の粘度をあまり上昇させずにNCO含有量をたかくすることができ、伸び率を損ねずに高強度化を達成することができる。尚、開始剤をビスフェノーAとした分子量200〜800のポリエーテルポリオールはポリエーテルの中では凝集力が高く高強度化には有効であるため、より好ましく使用できる。また、ポリエステルポリオールの中でも、例えば2−メチル−1,3−プロパンジオールや3−メチル−1,5−ペンタンジオールのような非結晶性のポリオールを用いた分子量が300〜800の低結晶性芳香族ポリエステルポリオールは耐アルカリ性が良好であり高凝集性であるため使用することができる。ただし、高粘性であるため多量に使用することは難しい。また、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールといった分子量が200以下の短鎖ジオールも使用することができるが、使用量が多くなると伸び率を拘束し高強度化を妨げる傾向があるため、50当量%未満であることが好ましい。
官能基数が3以上のポリオールとしては、分子量が1500以上のポリオキシアルキレンポリオールを使用することができ、一般的なポリオキシプロピレントリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましい。尚、官能基数が4以上のポリオキシプロピレンポリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレンポリオールは伸び率を拘束する傾向があるため、少量に限り使用することができる。分子量が1500以下のポリオキシアルキレントリオールも使用することができ、ポリオキシプロピレントリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましいが、伸び率を拘束する傾向が強いため、少量であれば使用することができる。また、トリメチロールプロパン、グリセリンといった3官能ポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールといった4官能以上のポリオールも伸び率を拘束する傾向があるため、少量に限って使用することができる。
(主剤NCO基/OH基当量比)
次に、主剤中のイソシアナート基末端プレポリマーのNCO基とポリオールのOH基の当量比である(NCO基/OH基)は1.5〜2.5であることが好ましく、1.6〜2.3であることがより好ましい。(NCO基/OH基)が1.5未満となると主剤の増粘が激しくなり、2.5を超えるとフリーのIPDIが多くなるため、伸び率の低下や可使時間の短縮といった問題が生じやすくなる。
(主剤合成法)
イソシアナート基末端プレポリマーの合成方法であるが、単に加熱するだけでは反応が促進しにくいため、触媒を用いることが好ましい。一般的なウレタン化触媒が使用できるが、なかでもDBTDLやDOTDLといった有機第2錫触媒が好ましく、0.0001〜0.1質量%といった少量の添加で効率的に反応を促進させることができる。反応温度は60℃〜100℃であることが好ましく、2〜6時間程度で反応を完結させることができる。尚、反応終了後には、リン酸等により触媒を失活させておく方が好ましい。
(硬化剤中の活性水素)
硬化剤としては、高抗張積化を達成するためには反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであることが必要であり、90当量%超であることが好ましい。反応成分としてのポリオールは伸び率を確保する効果はある程度あるが、芳香族ポリアミンよりは低凝集性であるため、高抗張積化にはあまり効果的でない。
また、ポリオールはIPDIのイソシアナート基との反応性が低いため、反応促進剤を用いないと常温で反応させることは難しいが、反応促進剤として従来使用されているカルボン酸鉛のようなカルボン酸金属塩を用いると、DETDAとの反応も促進してしまうため、逆に可使時間が短くなってしまう場合がある。また、芳香族ポリアミン中の70当量%超がDETDAであることが好ましく、80当量%超であることがより好ましく、90当量%超であることが最も好ましい。非結晶性で高反応性であるDETDAが70当量%以下では、IPDIとの良好な反応性による硬化性の確保および高抗張積化が難しくなる。
硬化剤において、併用できる芳香族ポリアミンとしては、DETDAと同様の高反応性であるイハラケミカル工業株式会社製のキュアハードMED(4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤハードAA(4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤボンドC−300(4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤボンドC−400(4,4′−メチレンビス(2,6−ジiso−プロピルアニリン))等が挙げられる。また、低反応性の芳香族ポリアミンではあるが、アルベマール社製のエタキュア420(4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン))、アルベマール社製のエタキュア300(ジメチルチオトルエンジアミン)等が使用できる。
反応成分として用いられるポリオールとしては、分子量1500未満のポリオールが好ましく、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の短鎖ポリオール類、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールといった比較的高凝集性のポリオールが挙げられる。その中でも1級水酸基ポリオールの方が反応性は高く未反応で残りにくいためより好ましく、中でも、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、および分子量300〜800の芳香族含有ポリエステルポリオールが高強度化のためにさらに好ましい。
尚、芳香族ポリエステルポリオールは、クラポール(株式会社クラレ製)のように低結晶性のポリオールを用いた液状品であるものが好ましい。
また、分子量が1500以上のポリオールも使用することができ、低粘度であるポリオキシプロピレンポリオールあるいはポリオキシエチレンプロピレンポリオールが挙げられるが、低凝集性であるため高抗張積化の面からは好ましくはない。
(無機充填剤)
硬化剤には無機充填剤を20質量%〜80質量%配合する必要がある。無機充填剤の補強効果なしでは、高抗張積化は非効率となってしまい、実用性のある防水材とはならない。無機充填剤が20質量%以下では補強効果が不十分となり、80質量%以上では増粘のために施工性が悪化する。
また、本願では硬化剤側に可塑剤を多く配合することで、無機充填材も多く配合することができ、経済性のある防水材とすることができる。無機充填剤としては炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムは経済効果が高いと同時に、硬化剤製造時の分散性が良好であり多量に配合しても増粘性が少なく、硬化剤貯蔵時の沈降性を少なくすることも容易であり、物性面でも悪影響が少ない。なお、炭酸カルシウムには、重質酸炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、表面処理コロイダル炭酸カルシウム等種々の炭酸カルシウムがあるが、いずれの炭酸カルシウムも使用することができ、表面処理コロイダル炭酸カルシウムによりチクソ性を付与した立面用防水材として使用することもできる。また、シリカ、カオリン、タルク、ベントナイト、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム等の無機充填剤を一部使用することができる。尚、上記のような無機充填剤には付着水を含有するため、硬化剤中の水分量が1000ppm〜3000ppm程度となり、この付着水が2液混合後に過剰なイソシアナート基と徐々に反応し、高物性化に寄与すると推察される。
(可塑剤)
次に、年間を通して施工に必要な可使時間を有し、高伸張性・高抗張積な性能を確保するためには、主剤中のプレポリマー100質量部に対し、可塑剤を16質量部〜80質量部必要とし、さらには20質量部〜70質量部であることが好ましい。可塑剤が16質量部以下では、可使時間および伸び率の確保が難しくなり、80質量部以上では高抗張積化することが難しくなる。尚、可塑剤は硬化剤に配合するのが原則であるが、一部を主剤側に配合することも可能である。
可塑剤としては、ウレタン樹脂に一般的に配合できる可塑剤を使用することができる。例として、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)などのフタル酸エステル類、脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシ脂肪酸エステル類、グリコールエステル類、動植物油系脂肪酸エステル類、石油・鉱物油系可塑剤、アルキレンオキサイド重合系可塑剤等が挙げられる。
中でも、引火点が200℃以上である、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)は長期的にも重量減少を起こし難く、芳香族ポリエステルであり加水分解も起こし難いため、好ましく使用することができる。なお、硬化剤中に溶剤を使用することもできるが、施工後の揮発により収縮を起こす危険性や無機充填剤を沈降しやすくする傾向があり、環境面での問題もあるため、5質量%以内で用いることが好ましく、使用しないことがより好ましい。
(可塑剤当たりのアミノ基当量)
同時に重要なことは、主剤と硬化剤を混合した状態で、芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比、アミノ基(ミリ当量)/可塑剤(g)(以下、「可塑剤当たりのアミノ基当量」とも称す。)を、1.6〜3.4の範囲にする必要があり、さらには1.6〜3.0とすることが好ましい。「可塑剤当たりのアミノ基当量」が1.6未満では芳香族ポリアミンの濃度が低くなり高抗張積化を達成することは難しく、3.4超になると可使時間の確保および伸び率の確保が難しくなる。伸び率を確保した上での高抗張積化を達成するには、反応成分としてのポリオールの役割はあまり重要ではなく、可塑剤の使用量および「可塑剤当たりのアミノ基当量」が重要な役割を果たす。
(イソシアナート基/芳香族アミノ基 当量比)
また、従来の主剤にTDIを用いたDETDA架橋型防水材は、少しでも可使時間を長くするために主剤のイソシアナート基とDETDAの芳香族アミノ基との当量比(イソシアナート基/芳香族アミノ基)を、1.2〜1.5程度となるようDETDAを少なく配合しNCO基を過剰気味にするのが一般的に行われている。このような場合、DETDAと反応せずに残った過剰なNCO基は、硬化剤に配合された無機充填剤に付着する水分、2液混合時に空気中より取り込まれる水分(湿分)、さらには塗布した後の塗膜表面より吸収される水分(湿分)等と穏やかに反応し自己架橋して、数日後には硬化物がより高分子量化し高強度化する。また、NCO基が上記のように過剰であっても、イソシアナート基とDETDAとの反応性が高いため、比較的速硬化性を示し、低温においても翌日硬化が可能となる。なお、JIS A 6021(建築用塗膜防水材)において、塗膜防水材の養生条件が23±2℃、湿度50±10%の標準状態で7日以後に物性を測定することが規定されているが、従来のTDIプレポリマーを主剤とするMOCA架橋型防水材やDETDA架橋型防水材では、7日の養生期間で過剰なイソシアナート基と水分との反応による自己架橋は大方終了するため、ほぼ最大強度に到達している。そのため、標準状態で7日養生後、直ちに物性測定することが一般的となっている。
一方、本願のIPDIプレポリマーを主剤としたDETDA架橋型防水材では、硬化過程が従来とは大きく異なり、主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比(以下、「イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比」とも称す。)を高くした場合には、過剰なIPDIのイソシアナート基と水分との反応性が低いために硬化性および強度発現が遅くなり最終強度も低下する傾向があり、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が1.0〜1.1で強度発現性が良くなり最大強度となることが分かった。さらに検討を進めた結果、湿気硬化の促進剤を用いることで、強度発現性および最終強度がある程度改善されることが分かった。この効果は、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が1.1を超えた場合に顕著となり、同時に標準状態で7日の物性よりも14日後の物性の方が高くなる傾向にもなるため、湿気硬化の進行によるものと推察される。
また、ポリオールや水を併用することによりイソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が高くなった場合でも、湿気硬化促進剤がポリオールとの反応も促進させるため、強度発現性および最終強度を高くすることが分かった。このことにより、従来の防水材のようにイソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が1.3前後となっても実用性のある防水材にすることができる。尚、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比を1.0程度に設計した場合、施工現場での若干の配合比のズレ(特に小分けして使用する場合)により、アミノ基過剰の状態に陥る確率が高くなり、硬化不良を発生し易くなってしまう。尚、従来のTDIを用いた防水材においては、湿気硬化促進性触媒を用いると発泡性が激しくなる場合があるが、IPDIを用いた主剤の場合には水分との反応が穏やかであるため、そのような現象は発生し難い。
次に、硬化剤に配合される反応成分としてのポリオールや水についてさらに検討をおこなった。ポリオールを用いる場合、分子量が1500以上の高分子ポリオールは相対的に低凝集性となるため高抗張積化には適しておらず、分子量1500未満の比較的低分子量のポリオールの方が好ましい。また、ポリオキシプロピレンポリオールのような低反応性の2級ポリオールよりも、反応性が高い1級ポリオールの方が好ましい。水についてもポリオールと同様、高抗張積化への寄与は少なく、IPDIプレポリマーとの反応性も低い。また、水やポリオールを併用する場合、反応促進剤としては前述の湿気硬化促進と同様、従来用いられているカルボン酸鉛のようなカルボン酸金属塩よりも、有機第2錫化合物あるいは1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物を用いることが好ましいく、可使時間を短くせずに反応促進することができる。可使時間や硬化時間等の施工性の調整、伸び率や強度等の性能調整のために、ポリオールや水を一部併用することもできるが、高抗張積化のためには、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が1.4を超えてはならない。
以上より本願は、従来標準状態7日の養生条件を、場合によっては14日まで延長すること、および、場合によっては湿気硬化促進性触媒を用いることで、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比を0.9〜1.4の広い範囲で実施することができる。イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が1.4を超えると高抗張積化は難しくなり、0.9以下では硬化過程で末端アミノ基が多くなり低物性化してしまう。さらに、高抗張積化のためには、芳香族アミノ基の量および濃度が重要となるため、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が0.92〜1.30であることが好ましく、さらには0.95〜1.24であることがより好ましい。
(硬化促進剤)
本願ではイソシアナート基との反応において湿気硬化促進効果があるとされている、有機第2錫系化合物、3級アミン、カルボン酸金属塩等が反応促進剤として使用できる。
有機第2錫系化合物としては、例えばジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ2−エチルへキサノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプタイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫オキシラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ビスブチルマレート、ジオクチル錫2−エチルヘキシルマレート等が挙げられ、中でもジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートが好ましい。有機第2錫系化合物は硬化剤中に0.001〜0.1質量%使用する事が好ましい。
3級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、N−エチルモルフォリン、ビス(2−モルホリノエチル)エーテル、ジアザビシクロウンデセン等の一般的な3級アミンを使用する事ができるが、特殊な3級アミンであるイミダゾール化合物が発泡抑制および高強度発現促進効果の面より好ましく、イミダゾール化合物としては、例えば1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールのような1位と2位に置換基を有する化合物や、1−メチルイミダゾール、1−アリルイミダゾールのような1位に置換基を有する化合物が使用できる。中でも、1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物は高強度発現促進効果が高くより好ましい。3級アミンは、硬化剤中に0.01〜2.0質量%使用する事が好ましい。
また、一般的にはウレタン化触媒であるカルボン酸金属塩も使用することができる。カルボン酸金属塩は湿気硬化促進効果は弱いが、芳香族ポリアミンとの反応を強く促進し、可使時間および硬化時間を短くするため、夏季用触媒よりも冬季用触媒として用いることが好ましい。カルボン酸金属塩としては、例えば2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、樹脂酸の鉛塩、亜鉛塩、ビスマス塩、ジルジルコニウム塩、錫塩、銅塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等が挙げられ、中でも、2−エチルヘキサン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛は高強度発現促進効果が高いため好ましい。カルボン酸金属塩は硬化剤中に0.1〜4.0質量%使用する事が好ましい。一方、カルボン酸鉛は可使時間と硬化時間の短縮効果は高いが高強度発現促進効果はあまり認められず、また環境面から見ても使用することは好ましくはない。
以上のように、湿気硬化を促進すると思われる化合物を用いることができるが、中でも有機第2錫系化合物およびイミダゾール化合物は、いずれも可使時間を短縮することなしに高強度化を促進することができ、発泡抑制性にも優れており、特に夏季用触媒として好ましく使用できる。
また、イミダゾール化合物は、金属系触媒が多量に添加すると熱劣化を促進する傾向が強いのに対して、多目に添加してもほとんど熱劣化を促進しないという特徴があるため、更に好ましい。なお、湿気硬化促進剤は硬化剤に配合することが原則であるが、相当量を施工現場で2液混合時に添加しても構わない。一方、主剤側に配合することも可能ではあるが、貯蔵安定性を損ねる可能性があるため、あまり好ましくはない。
一方、カルボン酸或いは酸無水物は、IPDIプレポリマーと芳香族ポリアミンとの反応を促進するため、可使時間および硬化時間の短縮に有効であり、カルボン酸金属塩のような熱劣化促進もほとんどないため、特に冬用促進剤として好ましく使用できる。但し、湿気硬化促進効果は殆どないため、イソシアナート基/芳香族アミノ基当量比が高い配合においては高強度発現促進効果があまり望めない。
カルボン酸としては、例えばプロピオン酸、2−メチルペンタン酸、オクチル酸、イソノナン酸、ナフテン酸等が挙げられ、中でもオクチル酸が好ましい。
酸無水物としては、例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、中でもメチル−テトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
カルボン酸および酸無水物は、硬化剤中に0.05〜2.0質量%使用する事が望ましく、その一部或いは全量を主剤側に配合しても構わない。
さらに、IPDIプレポリマーと芳香族ポリアミンとの反応を促進する酸無水物触媒について詳しく検討してみたところ、従来の触媒のように硬化剤に配合した場合は、硬化剤中のアミノ基、水酸基、水分等の活性水素と付加しカルボン酸基を発生すると思われ、硬化促進性はあるが同時に可使時間も短縮させる促進剤となる。しかし、主剤側に配合した場合には酸無水物は活性水素に付加されずに安定状態を保つことができ、硬化剤と混合した時に硬化剤中のアミノ基、水酸基、水分等と付加し、カルボン酸基を発生させ促進効果を発揮するものと考えられる。その際、アミノ基、水酸基、水分等との付加反応にはある程度の時間を必要とするためか、硬化剤側に配合した場合よりも、主剤側に配合した方が可使時間を長く取れ、しかも硬化性は同等とすることができる。結果として理想的な潜在性触媒としての効果を発揮することができるため、ウレタン防水材として非常に好ましいことが分かった。尚、施工現場において主剤と硬化剤を混合する際に酸無水物を添加することでも、同様の潜在性を示すことが分かった。従って、本願では、酸無水物を主剤側にあらかじめ配合するか、主剤と硬化剤を混合するときに酸無水物を配合することが好ましい。ただし、施工現場で施工の都度に酸無水物を添加する方法では、酸無水物の貯蔵性や管理上の問題、施工現場での煩雑さに伴う計量ミスといった問題があるため、酸無水物をあらかじめ主剤側に配合する方法がより好ましい。
(その他添加剤)
その他、硬化剤には、湿潤剤、消泡剤、顔料、耐候性付与剤等の添加剤類を必要に応じて配合することができる。
(主剤/硬化剤 配合比)
主剤と硬化剤の配合比は特に限定はされないが、質量比で1/1〜1/2の範囲であることが好ましい。ただし、一般的に1/2配合とした場合には可塑剤量が多くなり、高抗張積化には不利となるため、1/1〜1/2未満であることが好ましく、1/1〜3/4であることがより好ましい。
(防水工法)
また、本願の高抗張積性ウレタン防水材は、コンクリート等の無機系下地に対し直接塗布することはできない。無機系下地の場合はウレタン防水材とは接着しないため、下地の水分をある程度遮蔽し接着性を確保することのできるプライマーを塗布した後に、施工することができる。また改修時を含め、既存ウレタン防水層の上に場合によっては仲介プライマーを施し施工することができる。また、無機系下地に対し通気緩衝シート、塩ビシート等高分子系シート、ゴムシート、不織布シートをプライマー、接着剤、機械固定、置き敷き等で固定した上に施工することができる。さらに、金属系下地の場合も直接本願の高強度形ウレタン防水材を塗布しても接着性は確保できないため、専用のプライマーを塗布した後に塗布することができる。
本発明は、アスファルト系防水層の改修を目的とはしておらず、コンクリート等の無機下地、金属系下地、高分子系樹脂下地、ゴム下地の防水および保護を目的としたものである。また、本願の高強度形ウレタン防水材は日光が直接当たるような部分に使用する場合はトップコートを塗布することが原則となる。
原材料
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
〔イソシアナート〕
IPDI: VESTANAT(登録商標)IPDI、イソホロンジイソシアナート単体、NCO含有量37.8質量%、NCO官能基数約2.0、エボニック・ジャパン株式会社製
T−80: コロネートT−80、2,4−トリレンジイソシアナート/2,6−トリレンジイソシアナート=80/20(質量比)の混合物、NCO含有量48.3質量%、東ソー株式会社製
T−100: コロネートT−100、2,4−トリレンジイソシアナート100%含有品、NCO含有量48.3質量%、東ソー株式会社製
MDI: ミリオネートMT、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、NCO含有量33.6質量%、日本ポリウレタン工業株式会社製
〔ポリオール〕
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−3000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、OH価:56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
ニューポールBP−5P: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量500、OH価:209mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスPP−400: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量400、OH価280.5mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
クラレポリオールP−530: 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとイソフタル酸との反応によって得られる芳香族系ポリエステルジオール、平均分子量500、OH価:224.4mgKOH/g、株式会社クラレ製
1,4−ブタンジオール: 試薬、ナカライテスク株式会社製
2−メチル−1,3−プロパンジオール: MPDiol Glycol、クラレトレーディング株式会社製
〔ポリアミン〕
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、アルベマール日本株式会社製
エタキュア420: 4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、芳香族二級ジアミン、アルベマール社製
キュアハードMED:4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン、イハラケミカル工業株式会社製
〔触媒〕
ジオクチル錫ジラウレート: KS−1200A−1、共同薬品株式会社製
1−イソブチル−2−メチルイミダゾール: DABCO NC−IM、エアープロダクツジャパン株式会社製
ニッカオクチックスCa 5%TK: ニッカオクチックスカルシウム5%(TK)、2−エチルヘキシル酸カルシウムとイソパラフィン系溶剤との混合物、Caとして5%含有、日本化学産業株式会社製
テトラヒドロメチルフタル酸無水物: HN−2200R、テトラヒドロメチル無水フタル酸、日立化成株式会社製
〔溶剤〕
MC−2000ソルベント: ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製
〔可塑剤〕
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
〔無機充填剤〕
炭酸カルシウム NS#100: NS#100、炭酸カルシウム、日東粉化工業株式会社製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
〔市販防水材〕
オルタックスカイ:田島ルーフィング株式会社製
オルタックスカイUC:田島ルーフィング株式会社製
オルタックスカイEX:田島ルーフィング株式会社製
オルタックスプレーFF:田島ルーフィング株式会社製
主剤の調製
表1および3〜11の配合に従って、四つ口フラスコに所定のポリオール、溶剤およびジオクチル錫ジラウレートを仕込み、次いで所定のポリイソシアナート化合物を仕込んだ。その後攪拌しながら80〜95℃で3〜7時間反応させて各主剤を得た。
硬化剤の調製
表1および3〜11の配合に従って、金属容器に所定の液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウムを所定量配合し1500rpmで15分間混合して各硬化剤を得た。
実施例1、2、比較例1(表1 疲労試験およびゼロスパンテンション試験)
実施例1、2および比較例1は表1の配合に従って、主剤と硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を実施例1は質量比2:3、実施例2は質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
可塑剤当たりのアミノ基当量が2.15meq/gの実施例1、2.39meq/gの実施例2は、抗張積が各々824、991N/mmと十分に高く、ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーおよび破断時の伸びも十分に高く、JASS8疲労試験のA4区分において合格(工程IIIで3体とも破断なし)していた。また、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。一方、可塑剤当たりのアミノ基当量が3.63meq/gの比較例1は、抗張積は1053N/mmと十分に高いものの、引張強さが10N/mm2を超える一方で破断時の伸び率が450%と低いため、ゼロスパンテンション試験およびJASS8疲労試験のA4区分において一部界面剥離が観察された。さらに、比較例1の防水材は可使時間が24分と短く、夏季の施工においては不適であった。
比較例2〜5(表2 疲労試験およびゼロスパンテンション試験 市販品)
比較例2〜5は市販のウレタン防水材料を使用し、各主剤および硬化剤を所定の混合比で混合しウレタン防水材組成物を得た。
汎用手塗型ウレタン防水材料を使用した比較2、3は引張強さが低いため抗張積は600N/mm未満であった。ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーは各々2.5、1.7Jと低く、JASS8疲労試験のA3区分で不合格となった。
高強度形スプレー材料を使用した比較例4は引張強さが10N/mm2を超える一方で破断時の伸び率が360%と低いため、ゼロスパンテンション試験およびJASS8疲労試験のA3区分において一部界面剥離等の異常が観察された。
速硬化型手塗型ウレタン防水材料を使用した比較例4は、ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーおよび破断時の伸びも十分に高く、JASS8疲労試験のA4区分において合格していた。しかしながら、可使時間は27分と短く、夏季の施工においては不適であった。
実施例3〜7(表3 可塑剤当たりのアミノ基当量)
実施例3〜7は、表3の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
可塑剤当たりのアミノ基当量が各々1.98、2.18、2.27、2.50、3.00meq/gの実施例3〜7は、抗張積が600N/mm以上であり、ゼロスパンテンション試験における破壊エネルギーおよび破断時の伸びも十分に高く、JASS8疲労試験のA4区分において全て合格(工程IIIで3体とも破断なし)していた。また、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例8〜11(表4 主剤ポリオール配合)
実施例8〜11は、表4の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤にポリオールとしてサンニックスPP−2000/ニューポールBP−5P/サンニックスGH−5000=46/34/20(当量比)を使用した実施例8、同じく41/39/20(当量比)を使用した実施例9、同じく56/34/10(当量比)を使用した実施例10、同じく46/44/10(当量比)を使用した実施例11は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例12〜14(表5 主剤ポリオール配合)
実施例12〜14は、表5の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤に官能基数が3以上のポリオールを使用せずに、サンニックスPP−2000/ニューポールBP−5P=66/34(当量比)を使用した実施例12、同じく75/25(当量比)を使用した実施例13、同じく90/10(当量比)を使用した実施例14はいずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例15〜17(表6 主剤ポリオール配合、分子量1500未満のジオール)
実施例15〜17は、表6の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。これら主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤に平均分子量1500未満のジオールとしてクラレポリオールP−530を使用した実施例15、1,4−ブタンジオールを使用した実施例16、2−メチル−1,3−プロパンジオールを使用した実施例17はいずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例18〜20(表7 硬化促進剤)
実施例18〜20は、表7の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤に硬化促進剤として1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.10質量%使用した実施例18、ジブチル錫ジラウレートを0.01質量%使用した実施例19、ニッカオクチックスCa5%TKを0.10質量%使用した実施例20はいずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例21〜23(表8 硬化促進剤 酸無水物)
実施例21〜23は、表8の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比1:1で混合しウレタン防水材組成物を得た。
酸無水物の硬化促進剤として、テトラヒドロメチルフタル酸無水物を硬化剤に0.10質量%添加した実施例21、テトラヒドロメチルフタル酸無水物を主剤と硬化剤の混合物中に0.10質量%添加した実施例22および1.00は質量%添加した実施例23、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。特に、テトラヒドロメチルフタル酸無水物を主剤と硬化剤の混合物中1.00質量%添加した実施例23は十分な可使時間を確保しながら、当日中に次工程が施工可能な速硬化性となった。
実施例24〜27(表9 主剤NCO/硬化剤NH2(当量比))
実施例24〜27は、表9の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比2:3で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が0.95の実施例24、1.05の実施例25、1.10の実施例26、1.15の実施例22は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例28〜31(表10 主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)、硬化促進剤使用)
実施例28〜31は、表10の配合に従って、主剤及び硬化剤を得た。この主剤と硬化剤を質量比2:3で混合しウレタン防水材組成物を得た。
主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.15で硬化剤に1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.50質量%使用した実施例28、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.20で硬化剤に1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.50質量%使用した実施例29、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.20で硬化剤にジブチル錫ジラウレートを0.01質量%使用した実施例30、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.27で硬化剤に1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを0.50質量%使用した実施例31は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
実施例32〜34(表11 DETDA以外の活性水素化合物併用)
硬化剤にエタキュア420を1.96質量%使用し、硬化剤の芳香族ポリアミン中のDETDA(当量%)が85、芳香族ポリアミン/他の活性水素(当量比)が100/0、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.05の実施例32、硬化剤にキュアハードMEDを1.14質量%使用し、硬化剤の芳香族ポリアミン中のDETDA(当量%)が85、芳香族ポリアミン/他の活性水素(当量比)が100/0、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.05の実施例33、硬化剤にクラレポリオールP−530を2.04質量%使用し、硬化剤の芳香族ポリアミン中のDETDA(当量%)が100、芳香族ポリアミン/他の活性水素(当量比)が85/15、主剤NCO/硬化剤NH2(当量比)が1.24の実施例34は、いずれも抗張積が600N/mm以上であり、2液型手塗り用ウレタン防水材として良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しながら翌日施工が可能であった。
なお、各評価項目の測定方法は次のとおりである。
[NCO(質量%)]
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル重量
[可使時間(分)]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
[施工可能時間(時間)]
23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m2塗布し、完全には硬化していないが、靴で歩行が可能となり、次工程の作業を開始できる時間を測定した。
[引張強さ(N/mm2)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った。
[破断時の伸び率(%)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った。
[引裂き強さ(N/mm)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った。
[抗張積(N/mm)]
上記の引張強さと破断時の伸び率を用いて、JIS A 6021に基づいて計算を行った。
[硬度(タイプAデュロメーター)]
JIS K 6253に基づいて測定を行った。
[ゼロスパンテンションの試験体の作製]
400mm×150mm×8mmの石綿スレートフレキシブル板の裏面の長手方向の中央に幅5mmのスリットを深さ6mmまで入れる。次に石綿スレートフレキシブル板の表面にプライマーを塗布する。プライマーが乾燥後、ウレタン防水材組成物を300mm×100mm×2mm(塗膜厚み)で塗布し、23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、1週間養生させた後、試験体とした。
試験体の模式図を図1に示す。(a)は平面図、(b)は正面図である。1は試験体、2は石綿スレートフレキシブル板、3はウレタン塗膜防水層、4はスリット、5は下地亀裂位置、6は固定用の穴である。
[ゼロスパンテンションの試験方法]
試験体のスリット部を折って石綿スレートフレキシブル板にクラックを入れる。引張試験機にセットして、1分間0.5mmの低速度で石綿スレートフレキシブル板の両端を長手方向に引っ張り破断するまでの距離=破断時伸び(mm)および破断するまでの総エネルギー=破壊エネルギー(J)を測定した。
[JASS8疲労試験]
「JASS8 T501 メンブレン防水層の性能評価試験方法 3.3疲労試験」に基づいてA形試験体(塗膜厚み2mm)を使用し評価を行った。試験工程図を図2に示す。
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
Figure 2017218481
本発明の組成物は、高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材として、建築物の屋上やマンション等の集合住宅のベランダ等の防水に好適に使用することができる。
1 試験体
2 石綿スレートフレキシブル板
3 ウレタン塗膜防水層
4 スリット
5 下地亀裂位置
6 固定用の穴

Claims (11)

  1. ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、反応成分としての芳香族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる2液型手塗り用ウレタン防水材組成物であって、
    主剤のポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートを含み、主剤のポリオールがポリオキシアルキレンポリオールを含み、主剤のポリオールが分子量1500以上のジオールを20〜97当量%および分子量1500未満のジオールと官能基数3以上のポリオールを合わせて3〜80当量%含み、イソシアナート基末端プレポリマーのNCO含有量が2.3質量%超、5.5質量%以下であり、
    硬化剤は、全反応成分中の80当量%超が芳香族ポリアミンであり、該芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、無機充填剤を20〜80質量%含み、
    可塑剤が、主剤中のプレポリマー100質量部に対し16〜80質量部となるよう、硬化剤に、または主剤と硬化剤の両方に分けて、配合され、
    芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.4であり、
    主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.9〜1.4である、2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  2. 芳香族ポリアミンのアミノ基量(ミリ当量)と可塑剤量(g)との比が1.6〜3.0である、請求項1に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  3. 主剤のイソシアナート基と硬化剤中の反応成分である芳香族ポリアミンのアミノ基との当量比が0.92〜1.24である、請求項1または2に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  4. 主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、反応促進剤として、有機第2錫化合物、カルボン酸金属塩、カルボン酸、酸無水物および3級アミンからなる群から選択された少なくとも1種が配合された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  5. 主剤、硬化剤または主剤と硬化剤との混合物中に、有機第2錫化合物あるいはイミダゾール化合物が配合された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  6. ポリイソシアナートの70当量%超がイソホロンジイソシアナートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  7. 主剤のポリオールの50当量%超がポリオキシアルキレンポリオールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  8. 芳香族ポリアミンの70当量%超がジエチルトルエンジアミンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  9. 抗張積が600N/mm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物。
  10. 被着体に対し、プライマー層を施した後、またはプライマー層とウレタン防水材層を施した後に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
  11. 被着体に対し、通気緩衝シート、高分子シート、防根シートまたは高分子塗料膜材を施したのちに、請求項1〜9のいずれか1項に記載の2液型手塗り用ウレタン防水材組成物を塗布する工程を含む、ウレタン防水工法。
JP2016112132A 2016-06-03 2016-06-03 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法 Active JP6799390B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016112132A JP6799390B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016112132A JP6799390B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017218481A true JP2017218481A (ja) 2017-12-14
JP6799390B2 JP6799390B2 (ja) 2020-12-16

Family

ID=60657300

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016112132A Active JP6799390B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6799390B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101926654B1 (ko) * 2018-06-04 2019-02-26 (주)거주건설 폴리우레아 수지조성물 및 이를 이용한 콘크리트 구조물 코팅방법
KR101997905B1 (ko) * 2018-06-04 2019-07-11 우백건설 주식회사 플루오르 조성물 모르타르와 이를 이용한 콘크리트 구조물 단면보수 및 표면보호 시공방법
KR101999713B1 (ko) * 2018-06-04 2019-07-17 우백건설 주식회사 폴리우레아 조성물 모르타르와 이를 이용한 콘크리트 구조물 단면보수 및 표면보호 시공방법
CN114479644A (zh) * 2022-02-18 2022-05-13 雨中情防水技术集团股份有限公司 一种高弹双组份聚氨酯防水涂料及其制备方法
WO2022260180A1 (ja) * 2021-06-11 2022-12-15 日本発條株式会社 コーティング剤、及び、ばね
CN116676036A (zh) * 2023-05-11 2023-09-01 湖南神宇新材料有限公司 两用型环保无溶剂双组分聚氨酯防水涂料及其制备方法与应用

Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07289989A (ja) * 1994-04-25 1995-11-07 Dainippon Ink & Chem Inc 土木建築物防水構造体および防水工法
JPH08143816A (ja) * 1994-04-21 1996-06-04 Hodogaya Chem Co Ltd 常温硬化型速硬化性ポリウレタン塗膜防水材の製造方法
JPH08170409A (ja) * 1994-10-18 1996-07-02 Nisshin Kogyo Kk 植栽用防根防水施工法
JPH09183942A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Hodogaya Chem Co Ltd 常温硬化型ポリウレタン塗膜材
JPH1017819A (ja) * 1996-06-28 1998-01-20 Hodogaya Chem Co Ltd ポリウレタン塗膜材の製造方法
JPH1046103A (ja) * 1996-07-31 1998-02-17 I C K Kk ポリウレタン塗膜防水材用常温硬化性二液型組成物
JPH11152860A (ja) * 1997-11-20 1999-06-08 Asahi Glass Co Ltd 防水工法および防水構造体
JPH11240932A (ja) * 1997-03-14 1999-09-07 Hodogaya Chem Co Ltd 常温硬化型ポリウレタン防水材の製造方法
JP2008050389A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The 建築用ウレタン塗膜防水材用接着剤、通気緩衝複合防水工法および通気緩衝複合防水工法を用いて製造される構造体
JP2008297338A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Dyflex Corp ウレタンゴム系塗膜防水材施工用二液型ウレタン組成物及びこれを用いたウレタンゴム系塗膜防水材の施工方法
JP2011202018A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キット
JP2014227522A (ja) * 2013-05-24 2014-12-08 株式会社ダイフレックス ノンブリード高強度・高伸張形手塗ウレタン塗膜防水材組成物
JP2015007241A (ja) * 2011-12-07 2015-01-15 アイシーケイ株式会社 2液型環境対応ウレタン防水材組成物
JP2017043740A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 アイシーケイ株式会社 高強度2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法

Patent Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08143816A (ja) * 1994-04-21 1996-06-04 Hodogaya Chem Co Ltd 常温硬化型速硬化性ポリウレタン塗膜防水材の製造方法
US5688892A (en) * 1994-04-21 1997-11-18 Hodogaya Chemical Co., Ltd. Process for producing rapidly curable cold-setting polyurethane coating waterproofer
JPH07289989A (ja) * 1994-04-25 1995-11-07 Dainippon Ink & Chem Inc 土木建築物防水構造体および防水工法
JPH08170409A (ja) * 1994-10-18 1996-07-02 Nisshin Kogyo Kk 植栽用防根防水施工法
JPH09183942A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Hodogaya Chem Co Ltd 常温硬化型ポリウレタン塗膜材
JPH1017819A (ja) * 1996-06-28 1998-01-20 Hodogaya Chem Co Ltd ポリウレタン塗膜材の製造方法
JPH1046103A (ja) * 1996-07-31 1998-02-17 I C K Kk ポリウレタン塗膜防水材用常温硬化性二液型組成物
JPH11240932A (ja) * 1997-03-14 1999-09-07 Hodogaya Chem Co Ltd 常温硬化型ポリウレタン防水材の製造方法
JPH11152860A (ja) * 1997-11-20 1999-06-08 Asahi Glass Co Ltd 防水工法および防水構造体
JP2008050389A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The 建築用ウレタン塗膜防水材用接着剤、通気緩衝複合防水工法および通気緩衝複合防水工法を用いて製造される構造体
JP2008297338A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Dyflex Corp ウレタンゴム系塗膜防水材施工用二液型ウレタン組成物及びこれを用いたウレタンゴム系塗膜防水材の施工方法
JP2011202018A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キット
JP2015007241A (ja) * 2011-12-07 2015-01-15 アイシーケイ株式会社 2液型環境対応ウレタン防水材組成物
JP2014227522A (ja) * 2013-05-24 2014-12-08 株式会社ダイフレックス ノンブリード高強度・高伸張形手塗ウレタン塗膜防水材組成物
US20160096976A1 (en) * 2013-05-24 2016-04-07 Dyflex Corporation Urethane composition for coating film waterproof material
JP2017043740A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 アイシーケイ株式会社 高強度2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101926654B1 (ko) * 2018-06-04 2019-02-26 (주)거주건설 폴리우레아 수지조성물 및 이를 이용한 콘크리트 구조물 코팅방법
KR101997905B1 (ko) * 2018-06-04 2019-07-11 우백건설 주식회사 플루오르 조성물 모르타르와 이를 이용한 콘크리트 구조물 단면보수 및 표면보호 시공방법
KR101999713B1 (ko) * 2018-06-04 2019-07-17 우백건설 주식회사 폴리우레아 조성물 모르타르와 이를 이용한 콘크리트 구조물 단면보수 및 표면보호 시공방법
WO2022260180A1 (ja) * 2021-06-11 2022-12-15 日本発條株式会社 コーティング剤、及び、ばね
JP7447361B2 (ja) 2021-06-11 2024-03-11 日本発條株式会社 コーティング剤、及び、ばね
CN114479644A (zh) * 2022-02-18 2022-05-13 雨中情防水技术集团股份有限公司 一种高弹双组份聚氨酯防水涂料及其制备方法
CN116676036A (zh) * 2023-05-11 2023-09-01 湖南神宇新材料有限公司 两用型环保无溶剂双组分聚氨酯防水涂料及其制备方法与应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP6799390B2 (ja) 2020-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6799390B2 (ja) 高抗張積2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法
JP6706887B2 (ja) 高強度2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法
US9080087B2 (en) Reduction in modulus of polyurethane sealants and adhesives
KR102079572B1 (ko) 이중 복합 방수 시트 및 이를 이용한 방수 시공 방법
KR101833450B1 (ko) 폴리우레탄 도막 방수제, 그 제조방법 및 이를 이용한 복합방수공법
WO2011152450A1 (ja) コンクリート片及びタイルの剥落防止用一成分型ポリウレタン樹脂組成物及びこれを用いたコンクリート片及びタイルの剥落を防止する方法
KR101188321B1 (ko) 친환경 탄성접착제용 습기경화형 폴리우레탄 수지 조성물 및 그 제조방법
JP6213954B2 (ja) 速硬化性2液型環境対応ウレタン防水材組成物
JP4074877B2 (ja) 一液型ポリウレタン防水材組成物を用いた防水工法ならびに塗膜積層体、一液型ポリウレタン防水材組成物
US9410062B1 (en) Moisture cure asphaltic material and methods of use
JP7104967B2 (ja) 下地処理剤及びそれを用いた接着方法
JP6735598B2 (ja) 速硬化性ウレタン防水材組成物および施工方法
JP2019199544A (ja) 樹脂組成物、硬化物、土木建築構造物、及びコーティング方法
KR101058777B1 (ko) 폴리머 일액형 수용성 우레탄 방수제 제조방법 및 그 시공방법
JP2007169432A (ja) 無溶剤型ポリウレタン組成物およびその硬化生成物
JP6820787B2 (ja) 2液型手塗り用ウレタン防水材組成物
JP6839947B2 (ja) 速硬化性2液型ウレタン防水材組成物およびその製造方法
JP2012041411A (ja) 硬化性組成物およびプライマー
JP2019199541A (ja) 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、硬化物、土木建築構造物、及びコーティング方法
JP6305097B2 (ja) 2液型環境対応ウレタン防水材組成物
JP6879712B2 (ja) 2液型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法
JP6914127B2 (ja) 2液常温硬化型環境対応手塗り用ウレタン防水材組成物およびウレタン防水工法
JP2002194281A (ja) 二液型ポリウレタン系塗膜防水材組成物
JP4051638B2 (ja) ウレタン組成物及びそれを含む防水材
JP6991036B2 (ja) 手塗り用速硬化性ウレタン防水材組成物、キットおよび施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6799390

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250