JP2017216222A - 酸化物電解質焼結体、及び、当該酸化物電解質焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
酸化物電解質を低温で焼結するために、添加剤の添加による焼結温度の低温化、焼結助剤の添加による粒成長の促進、共沈法等による原材料の微粒子化等が試みられている。
例えば、特許文献1には、基本組成Li7+X−Y(La3−X、AX(Zr2−Y、TY)O12(ただし、AはSr、Caのうち1種以上、TはNb、Taのうち1種以上、0≦X≦1.0、0≦Y<0.75を満たす)を主成分とする母材と、ホウ酸リチウム、及び、酸化アルミニウムを含む添加成分とを混合し、成形した成形体を900℃以下で焼結するガーネット型イオン伝導性酸化物の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、Liの一部をHで置換したガーネット型イオン伝導性酸化物が開示されている。
上記実情を鑑み、本願では、リチウムイオン伝導率の高い酸化物電解質焼結体を従来よりも低温の焼結により得ることが可能な酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、リチウムイオン伝導率の高い酸化物電解質焼結体を開示する。
リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、
前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合し、400℃以上650℃以下で加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記元素LはLaであり、前記元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記元素Mは、Zr、及び、Nbからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記フラックスが、LiNO3、及び、LiOHからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の化合物であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記焼結工程において、大気圧を超える加圧条件下で前記焼結をしてもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記焼結工程において、ホットプレス処理により前記焼結をしてもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記一般式が(Lix−3y−z,Aly,Hz)La3(Zr2−ε,Nbε)O12(3≦x−3y−z≦7、0≦y≦0.2、0<z≦2.8、0.25≦ε≦0.6)であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、5≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0<z≦2.0、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)であってもよい。
前記結晶粒子間の粒界三重点にリチウムを含有するフラックスが存在し、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたときに下記式1を満たすことを特徴とする。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6
本開示の酸化物電解質焼結体において、前記元素LはLaであり、前記元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体において、前記元素Mは、Zr、及び、Nbからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体において、前記フラックスが、LiNO3、及び、LiOHからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の化合物であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体において、前記一般式が(Lix−3y−z,Aly,Hz)La3(Zr2−ε,Nbε)O12(3≦x−3y−z≦7、0≦y≦0.2、0≦z<2.8、0.25≦ε≦0.6)であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体において、前記一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、5≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0≦z<2.0、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法は、Liと、Hと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Lと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Mとを含み、一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0<z≦2.8、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表される、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、
リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、
前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合し、400℃以上650℃以下で加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする。
図1に固相反応法で作製したガーネット型イオン伝導性酸化物(化学組成:Li6.8La3Zr1.7Nb0.3O12)のバルク体の合成温度に対するリチウムイオン伝導率の相関を示す。
図1から、上記固相反応法で作製したガーネット型イオン伝導性酸化物のリチウムイオン伝導率は、合成温度とほぼ直線関係にあることがわかる。
これは、図2に示すガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子(図2中においてLLZ粒子と表記)の焼結過程における粒子間の接合イメージで説明することができる。
一般的に酸化物電解質の粒子は、加熱時に外部の熱エネルギーによって元素の振動が起こり、これにより粒子間で元素の相互拡散・接合が行われる。このため、粒子間で十分な接合を実現するためには、ある程度の高温(例えば800℃以上)が必要となる。
しかし、上記したように、従来の添加材の添加による焼結温度の低温化、焼結助剤の添加による粒成長の促進、共沈法等による原材料の微粒子化等の、酸化物電解質の低温焼結の一般的な手法では、酸化物電解質の焼結温度の劇的な低温化は見込めないという問題がある。
すなわち、本開示は、予め高温(例えば1000℃以上)でガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を合成し、得られたガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中のリチウムイオンの一部をプロトンで置換し、プロトンで部分置換したガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得る。その後、プロトンで部分置換したガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と、リチウムを含有するフラックスを混合し、得られた混合物を加熱することで、プロトンで部分置換したガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中のプロトンとフラックス中のリチウムイオンを再置換する。この再置換の際の化学反応を利用することで、従来よりも低温(400℃〜650℃)でのガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士の接合を行う。
また、焼結温度を低温化することで、電池作製時のプロセスコストを低減することができる。
酸化物電解質は一般的には硬いため荷重をかけると割れが発生する。
しかし、本開示の組成を有する酸化物電解質粒子は、ホットプレス処理を施すと粒子が塑性変形することで緻密化する。その結果、酸化物電解質焼結体としての密度が向上すると共に、粒子同士の接合が向上することでイオン伝導率が向上すると考えられる。
なお、本開示の酸化物電解質焼結体の粒子を0.1MのHCl溶液に漬け、Liの脱離を行った際、図11に示すような結晶面を有する粒子のSEM像が得られた。このことから、LiとHの交換は粒子表面で起こっているわけではなく粒子内の特定の結晶面を介して起こっていると予想される。したがって、LiとHの交換の際にホットプレス処理を施すことにより、酸化物電解質粒子が結晶面ですべることにより塑性変形が起こっていると推定される。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子としては、Liと、Hと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Lと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Mとを含み、一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0<z≦2.8、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表されるものであれば特に限定されない。
一方、上記一般式中のLiの組成がx−3y−z<3になる場合は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶構造中のLiが入る特有のサイトである96hサイトのポテンシャルが高くなり、結晶中にLiが入りにくくなることで、Li占有率が低下し、リチウムイオン伝導率が低下すると推察される。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中には元素Eとして、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素が含まれていてもよく、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素が含まれていてもよく、Al元素が含まれていてもよい。
元素Eの元素群:Al、Ga、Fe、Siの各元素は、宝石などで馴染のガーネット型酸化物に含まれる主要元素である。
本来の宝石等のガーネットに含まれる元素であるからこそ、Liのサイトに置換が可能となる。
LiサイトへのAl、Ga、Fe、Si等の元素置換は、結晶構造を安定化させる効果がある。
その一方で、Al、Ga、Fe、Si等の元素置換は、結晶の性質を宝石のガーネットに近づけていると推測される(宝石のガーネットのモース硬度は7.5)。
その結果、Al、Ga、Fe、Si等を大量に入れると、粒子は塑性変形せずに割れが生じると推測される。
したがって、Al、Ga、Fe、Si等は結晶構造の安定化のために少量添加することは許容されるが、塑性変形をおこすための上限値が存在するものと推測される。
本開示においては、元素Eが、上記一般式において0≦y<0.22の範囲で含まれることにより、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶構造の安定性を向上させることができ、また、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の合成が容易になる。
また、リチウムイオン伝導率向上の観点から、元素Eが、上記一般式において0≦y<0.12の範囲で含まれていてもよく、0≦y<0.04の範囲で含まれていてもよい。
元素Mとしては、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、Ge、Sn、Sb、及びBi等であってもよい。
上記元素Mの中でも、比較的イオン半径が大きく、結晶の格子定数の収縮を抑制し、リチウムイオン伝導率の低下を抑制できる観点から、元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素であってもよく、元素の物理的、及び/又は、化学的性質が似ているため同様の効果が得られるという観点から、Zr、及び、Nbからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の元素であってもよい。
ZrとNbの比率は、リチウムイオン伝導率の物性値と結晶構造に影響を及ぼす。また、Zrの割合が増えると、Li量が増える。
一般的にLiとHの合計量が6.75を超えると結晶構造が立方晶から正方晶に変化する。ガーネット型イオン伝導性酸化物は一般的に立方晶の方が、イオン伝導性が高いとされている。
よって、Zrの量が少ない方が、組成中のLiとHの合計量が少なくなるため立方晶を取りやすくなる。
しかし、Zrの量を減らすと格子体積の収縮が起こる。
その結果、リチウムイオンの伝導の際のボトルネックが狭くなるので伝導性が低下する。
以上のことから、Zrの量は1.4〜1.75であってもよい。
リチウムイオンの一部を水素イオンに置換する方法は、特に限定されず、例えば、原料となるガーネット型イオン伝導性酸化物の粉末を室温下、純水中で5日間程度撹拌する方法等が挙げられる。
リチウムイオンの一部が水素イオンに置換した量は、当該置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物の粉末について誘導結合プラズマ(ICP)分析を行うことによって、推定することができる。
すなわち、誘導結合プラズマ(ICP)分析では、ガーネット型イオン伝導性酸化物中の水素イオン量は定量できないが、水素イオン置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物中のリチウムイオン量は定量できる。
そのため、当該置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物中のリチウムイオン量から、当該置換処理前後のリチウムイオン変化量を算出できるため、当該変化量からリチウムイオンがどの程度水素イオンに置換したかを推定することができる。
リチウムを含有するフラックスとしては、特に限定されないが、水素イオン部分置換処理したガーネット型イオン伝導性酸化物(以下、水素イオン部分置換後ガーネット型イオン伝導性酸化物と称する場合がある)の結晶粒子から水素イオンが離脱する温度付近に融点を持つものが好ましく、例えば、LiOH(融点:462℃)、LiNO3(融点:260℃)、Li2SO4(融点:859℃)等が挙げられる。焼結温度を低温化する観点から、LiOH、LiNO3であってもよい。
焼結工程は、前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合し、400℃以上650℃以下で加熱して焼結する工程である。
本発明によれば、400〜650℃での焼結であっても、所望のリチウムイオン伝導率を有する酸化物電解質焼結体を得ることができる。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとの混合比は、特に限定されないが、所望の酸化物電解質焼結体を効率よく得られるので、50:50(体積%)〜95:5(体積%)であってもよい。
焼結工程における、焼結時の雰囲気は、特に限定されない。
ここで、ホットプレス処理とは、雰囲気調整された炉内中で一軸方向に加圧しながら熱処理を行う方法である。
ホットプレス処理によれば、酸化物電解質粒子が塑性変形することで緻密化する。その結果、酸化物電解質焼結体としての密度が向上すると共に、粒子同士の接合が向上することでリチウムイオンイオン伝導率が向上すると考えられる。
ホットプレス処理の温度は、400〜650℃であってもよい。
ホットプレス処理の圧力は、1〜6ton/cm2(≒98〜588MPa)であってもよい。
ホットプレス処理の処理時間は、1〜600分であってもよい。
図3は、本開示で用いる固相フラックス反応法の概要を示した模式図である。
図3の左側の図は、リチウムイオン(Li+)の一部を水素イオン(H+)に置換したガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子(図3中においてLLZ粒子と表記)と、固体状態のフラックスとの混合体の「加熱前」の状態を示す図である。
そして、図3の中央の図は、上記混合体の「加熱初期」の状態を示す図である。図3の中央の図に示されるように、フラックスの融点まで混合体を加熱すると、フラックス中のリチウムイオン(Li+)とアニオン(X−)の結合は弱くなる。この時、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中の水素イオン(H+)とフラックスのリチウムイオン(Li+)の置換(元素拡散)が起こる。
最後に、図3の右側の図は、上記混合体の「加熱末期」の状態を示す図である。図3の右側の図に示されるように、フラックスのリチウムイオン(Li+)は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶内に取り込まれる。ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶内から出た水素イオン(H+)は、フラックスのアニオン(X−)と結合し、反応生成物を形成し、系外に出ることでガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間には残らない。
本開示の酸化物電解質焼結体は、Liと、Hと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Lと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Mとを含み、一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0≦z<2.8、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記結晶粒子間の粒界三重点にリチウムを含有するフラックスが存在し、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたときに下記式1を満たすことを特徴とする。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6
本発明の酸化物電解質焼結体は、1000℃以上で焼結したときの酸化物電解質や、プロトン置換だけ行った酸化物電解質と異なり、リチウムを含有するフラックスが結晶性の酸化物電解質の粒子同士の接合界面にはほとんど存在せず、結晶粒子間の空隙である粒界三重点に偏析し、且つ、酸化物電解質焼結体内のイオン伝導において、粒界抵抗の割合が全体抵抗(粒内抵抗+粒界抵抗)の60%以下(Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6)である。これにより、リチウムイオン伝導を阻害する要因が少なく、酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率が高い。
なお、粒内抵抗値Rbと粒界抵抗値Rgbとの和である全体抵抗値(Rb+Rgb=Rtotal)に対する粒界抵抗値Rgbの比であるRgb/(Rb+Rgb)は、交流インピーダンス測定法により算出することができる。
[ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程]
組成がLi6.8La3Zr1.7Nb0.3O12のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子が得られるように、出発原料としてLiOH(H2O)(Siguma−Aldrich社製)、La(OH)3(株式会社高純度化学研究所製)、ZrO2(株式会社高純度化学研究所製)、Nb2O5(株式会社高純度化学研究所製)を化学量論量用意し、各原料を混合し、当該混合物を1000℃で加熱した(出発原料組成は表1に示す)。そして、加熱後、得られた粉末をICP分析した。その結果、得られた水素イオン部分置換前のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成(表1においてH+部分置換前酸化物組成と表記)はLi6.8La3Zr1.7Nb0.3O12であることがわかった。
その後、得られた水素イオン部分置換前のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を室温下、純水中で5日間撹拌することで水素イオンとリチウムイオンの部分置換を行い、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得た。
水素イオン部分置換前後の上記結晶粒子についてICP分析を実施した結果を表1に示す。
表1に示すように、水素イオン量は定量できないが、リチウム元素の変化量からリチウムイオンのうち1.4程度が水素イオンに置換したと考えられる。すなわち、得られた水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成(表1においてH+部分置換後酸化物組成と表記)は、Li5.4H1.4La3Zr1.7Nb0.3O12であると推定される。
上記ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において準備したLi5.4H1.4La3Zr1.7Nb0.3O12の結晶粒子について、加熱発生ガス分析法(TPD−mass)により、当該結晶粒子から発生するガスを検知した。結果を図4に示す。
図4に示すように、Li5.4H1.4La3Zr1.7Nb0.3O12の結晶粒子は280℃でH2Oを発生することがわかった。よって、260℃に融点を持つLiNO3をフラックスとして用いることにした。
Li5.4H1.4La3Zr1.7Nb0.3O12の結晶粒子とLiNO3粉末を体積比が75:25となるように秤量した後、乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末を室温で圧粉し(荷重1ton/cm2(≒98MPa))、得られた圧粉体を500℃で20時間、常圧条件下で加熱して酸化物電解質の焼結体を得た。
なお、加熱前の圧粉体と得られた焼結体についてXRD測定を行った。その結果、加熱前後でピークに変化がなく、変質等は見受けられなかった。
焼結工程において、圧粉体を、400℃、12時間、加圧条件下(荷重1ton/cm2(≒98MPa))で加熱して焼結体を得たこと以外は、実施例1と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
フラックス準備工程において、LiOHをフラックスとして準備して、その後の焼結工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換をしていないLi6.8La3Zr1.7Nb0.3O12の結晶粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
実施例1〜3及び比較例1で製造した酸化物電解質焼結体について、リチウムイオン伝導率の測定を行った。リチウムイオン伝導率は、交流インピーダンス測定法により、ポテンシオスタット1470(Solartron社製)、及び、インピーダンスアナライザーFRA1255B(Solartron社製)を用いて、電圧振幅25mV、測定周波数F:0.1Hz〜1MHz、測定温度25℃、常圧条件下で測定した。リチウムイオン伝導率測定結果を表2に示す。
また、交流インピーダンス測定結果を図5(実施例1)、図6(実施例2)、図7(実施例3)、図8(比較例1)に示す。図5〜8は、実施例1〜3、比較例1の酸化物電解質焼結体について、縦軸に虚数成分の面抵抗R’(Ωcm2)を、横軸に実数成分の面抵抗R(Ωcm2)をとったグラフである。
さらに、交流インピーダンス測定結果から、実施例1〜3及び比較例1で製造した酸化物電解質焼結体について、粒内抵抗値Rbと粒界抵抗値Rgbとの和である全体抵抗値(Rb+Rgb=Rtotal)に対する粒界抵抗値Rgbの比Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)を算出した。結果を表2に示す。
また、実施例1〜3及び比較例1で製造した酸化物電解質焼結体について、相対密度D(%)を算出した。相対密度D(%)はサンプルとして採取した酸化物電解質焼結体の質量と外寸から算出した。結果を表2に示す。
また、焼結工程において、大気圧を超える加圧条件下で加熱した実施例2は、常圧条件下で加熱した実施例1と比較して、相対密度が高く、さらに、リチウムイオン伝導率が13.75倍高いことが明らかとなった。
実施例1〜3のリチウムイオン伝導率が、比較例1と比較して向上した原因としては、表2に示すように、全体抵抗値(Rtotal)に占める粒界抵抗値(Rgb)の比Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)が0.6以下に低下していることが挙げられる。
粒界抵抗の割合が低下した理由としては、図5〜8に示すように、粒界抵抗成分を示す円弧終端周波数(Hz)が違うことから、比較例1と実施例1〜3の酸化物電解質焼結体の粒界の状態が異なることが推測される。
実施例2及び比較例1の酸化物電解質焼結体の断面(イオンミリングにより4kVで加工)のSEM画像を図9(実施例2)、及び図10(比較例1)に示す。
図10に示すように、比較例1の酸化物電解質焼結体断面では、酸化物電解質焼結体の粒子同士の接合界面(粒界)にLiNO3が残存している。そのため粒界におけるリチウムイオンの伝導が阻害されることが推測される。
一方、図9に示すように実施例2の酸化物電解質焼結体断面では酸化物電解質焼結体の粒子同士の接合界面(粒界)にLiNO3が存在しておらず、且つ、結晶粒子間の空隙である粒界三重点にのみ、LiNO3が偏析している。したがって、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士が良好に接合していることがわかり、粒界におけるリチウムイオンの伝導の阻害が抑制されていることがわかる。
以下のことを行った以外は、実施例1と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li3.0H2.8Al0.2)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子のSEM画像を図12に示す。
図12に示すように、結晶粒子組成中のLiの2.8量分をHに置換した場合であっても、ガーネット型イオン伝導性酸化物は、結晶粒子として存在することを確認することができた。
また、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子のXRD測定結果を図13に示す。
焼結工程において、(Li3.0H2.8Al0.2)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(2.8)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(3.08LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を480分行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
得られた酸化物電解質焼結体のXRD測定結果を図14に示す。
図13と図14を見比べると、図13に比べて図14では、16.74°のピークが強まっていることが確認できる。これにより、焼結によって、HがLiと置換したことがわかる。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.0H0.8Al0.2)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、(Li5.0H0.8Al0.2)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(0.8)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(0.88LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.1H1.0Al0.13)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、(Li5.1H1.0Al0.13)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(1.0)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(1.1LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.14H0.9Al0.12)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、(Li5.14H0.9Al0.12)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(0.9)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(0.99LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.2H1.1Al0.05)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、(Li5.2H1.1Al0.05)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(1.1)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(1.2LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.38H0.9Al0.04)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、(Li5.38H0.9Al0.04)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(0.9)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(1.1LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.3H1.0Al0.02)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、(Li5.3H1.0Al0.02)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(1.0)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(1.1LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
以下のことを行った以外は、実施例4と同様に酸化物電解質焼結体を製造した。
ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程において、水素イオン部分置換後のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の組成が、(Li5.5H0.9)La3(Zr1.4Nb0.6)O12である、結晶粒子を準備した。
焼結工程において、((Li5.5H0.9)La3(Zr1.4Nb0.6)O12の結晶粒子組成中のH量(0.9)に対し、LiNO3粉末が1.1倍量(0.99LiNO3)となるように、結晶粒子とLiNO3粉末を秤量した後、結晶粒子とLiNO3粉末を乾式で乳鉢にて混合した。この混合粉末に対して、400℃、1ton/cm2の条件でホットプレス処理を行い、酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例4〜11で製造した酸化物電解質焼結体について、上記実施例1〜3と同様の方法でリチウムイオン伝導率の測定を行った。リチウムイオン伝導率測定結果を表3に示す。
また、実施例4の交流インピーダンス測定結果を図15に示す。図15は、実施例4の酸化物電解質焼結体について、縦軸に虚数成分の面抵抗R’(Ωcm2)を、横軸に実数成分の面抵抗R(Ωcm2)をとったグラフである。
さらに、交流インピーダンス測定結果から、実施例4で製造した酸化物電解質焼結体について、円弧終端周波数は、1000Hzであり、粒内抵抗値Rbと粒界抵抗値Rgbとの和である全体抵抗値(Rb+Rgb=Rtotal)に対する粒界抵抗値Rgbの比Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)を算出したところ、0.44であった。
したがって、実施例4で製造した酸化物電解質焼結体は、Rgb/(Rb+Rgb=Rtotal)が0.6以下であることが明らかとなった。
また、実施例5〜11で製造した酸化物電解質焼結体の組成中のAl量とリチウムイオン伝導率との関係を図16に示す。
また、実施例5〜11で製造した酸化物電解質焼結体について、上記実施例1〜3と同様の方法で相対密度D(%)を算出した。結果を表3に示す。
また、実施例5〜11で製造した酸化物電解質焼結体の組成中のAl量と相対密度との関係を図17に示す。
また、表3に示すように、実施例4〜11の酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率は、実施例4が4.7×10−5S/cm、実施例5が2.6×10−6S/cm、実施例6が3.91×10−5S/cm、実施例7が7.34×10−5S/cm、実施例8が2.2×10−4S/cm、実施例9が2.6×10−4S/cm、実施例10が1.5×10−4S/cm、実施例11が4.5×10−4S/cmであった。
また、焼結体中のAl量が0であり、フラックスとしてLiNO3を用いた実施例1〜2、実施例11に関しては、実施例11のホットプレス処理により得た酸化物電解質焼結体のリチウムイオン伝導率は、実施例1〜2のホットプレス処理していない酸化物電解質焼結体と比較して、4.1〜56.3倍向上していることがわかる。
図16、図17に示すように、リチウムイオン伝導率及び酸化物電解質焼結体の相対密度は、酸化物電解質焼結体の組成中のAl量に大きく依存することが明らかとなった。
具体的には、酸化物電解質焼結体の組成中のAl量が減少するにつれて、相対密度が高くなり、リチウムイオン伝導率も高くなる傾向にあることが明らかとなった。これは、酸化物電解質焼結体の組成中のAl量が減少するにつれて、酸化物電解質粒子が所望の塑性変形をし易くなり、緻密化し易くなるためであると考えられる。
また、上述した通り、実施例4の酸化物電解質焼結体のRgb/(Rb+Rgb=Rtotal)の値は、0.44であり、0.6以下であることから、実施例4と同様の条件で焼結した、実施例5〜11の酸化物電解質焼結体のRgb/(Rb+Rgb=Rtotal)の値も0.6以下であると推定される。
実施例5〜11の酸化物電解質焼結体の断面(イオンミリングにより4kVで加工)のSEM画像を図18(実施例5)、図19(実施例6)、図20(実施例7)、図21(実施例8)、図22(実施例9)、図23(実施例10)、及び、図24(実施例11)に示す。
図18〜24に示すように実施例5〜11の酸化物電解質焼結体断面では酸化物電解質焼結体の粒子同士の接合界面(粒界)にLiNO3がほとんど存在しておらず、且つ、結晶粒子間の空隙である粒界三重点に、LiNO3が偏析している。したがって、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士が良好に接合していることがわかり、粒界におけるリチウムイオンの伝導の阻害が抑制されていることがわかる。
なお、図18中の矢印はプレス時に発生したクラックを示している。
Claims (16)
- Liと、Hと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Lと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Mとを含み、一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0<z≦2.8、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表される、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、
リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、
前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合し、400℃以上650℃以下で加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする酸化物電解質焼結体の製造方法。 - 前記元素EはAlである、請求項1に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記元素LはLaであり、前記元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素である、請求項1又は2に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記元素Mは、Zr、及び、Nbからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記フラックスが、LiNO3、及び、LiOHからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の化合物である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記焼結工程において、大気圧を超える加圧条件下で前記焼結をする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記焼結工程において、ホットプレス処理により前記焼結をする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記一般式が(Lix−3y−z,Aly,Hz)La3(Zr2−ε,Nbε)O12(3≦x−3y−z≦7、0≦y≦0.2、0<z≦2.8、0.25≦ε≦0.6)で表される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- 前記一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、5≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0<z≦2.0、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表される、請求項1に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
- Liと、Hと、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種以上の元素Lと、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種以上の元素Mとを含み、一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0≦z<2.8、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に粒界を有し、
前記結晶粒子間の粒界三重点にリチウムを含有するフラックスが存在し、
前記結晶粒子の内部におけるイオン伝導抵抗である粒内抵抗値をRbとし、前記結晶粒子間の粒界におけるイオン伝導抵抗である粒界抵抗値をRgbとしたときに下記式1を満たすことを特徴とする酸化物電解質焼結体。
式1:Rgb/(Rb+Rgb)≦0.6 - 前記元素EはAlである、請求項10に記載の酸化物電解質焼結体。
- 前記元素LはLaであり、前記元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素である、請求項10又は11に記載の酸化物電解質焼結体。
- 前記元素Mは、Zr、及び、Nbからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素である、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体。
- 前記フラックスが、LiNO3、及び、LiOHからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の化合物である、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体。
- 前記一般式が(Lix−3y−z,Aly,Hz)La3(Zr2−ε,Nbε)O12(3≦x−3y−z≦7、0≦y≦0.2、0≦z<2.8、0.25≦ε≦0.6)で表される、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の酸化物電解質焼結体。
- 前記一般式が(Lix−3y−z,Ey,Hz)LαMβOγ(E:Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素、5≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0≦z<2.0、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13)で表される、請求項10に記載の酸化物電解質焼結体。
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