JP2019006634A - 固体電解質の製造方法、及び固体電解質 - Google Patents

固体電解質の製造方法、及び固体電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】良好なイオン伝導率を維持しつつ電子伝導率を低く抑制可能な固体電解質の製造方法を提供する。【解決手段】リチウム原料と、ランタン原料と、ジルコニウム原料と、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む遷移金属原料とを、Li7−2xMxLa3Zr2O12(MはNi及びCuのうちの少なくとも一方であり、xは0<x≦0.2を満たす数である)で表される化合物を構成する各元素のモル比を満たす質量ずつ混合する混合工程と、当該混合工程を経て得られた混合物を焼成する焼成工程とを有し、当該焼成工程を経て得られた焼成物についてのCuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、立方晶が主相である。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質の製造方法、及び、その製造方法による固体電解質に関する。
リチウムイオン二次電池において、電解質を溶解させた非水電解液に代えて、固体電解質を使用した全固体電池が注目されている。全固体電池で使用される固体電解質として、特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1には、LiLaZr12(6≦x≦8)で表されるガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物は、Alを含み、さらに元素T(TはNi、Cu、Co、Feのいずれか1種以上)を有し、前記Alは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、Al換算で2.5mol%≦Al≦15mol%の量を含有し、前記元素Tは、前記ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物の総量に対し、25mol%≦T≦100mol%の量を含有することを特徴とするガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物が記載されている。
特開2016−169142号公報
特許文献1に記載の技術では、銅及びニッケルのうちの少なくとも一方が所定の含有量となるように使用され、ガーネット型リチウムイオン伝導性酸化物が製造されている(特許文献1の特に請求項1を参照)。そして、これにより、イオン伝導性が高められている(特許文献1の特に段落0053に記載の表2参照)。固体電解質のイオン伝導性を高めることができれば、それを使用した全固体電池の内部抵抗を低く抑えることができる。
しかし、本発明者らの検討したところによれば、特許文献1に記載の技術では、固体電解質の電子伝導率が大きいことがわかった(詳細は後記する)。この結果、特許文献1に記載の固体電解質を使用した全固体電池では、取り出し電力が小さくなることがわかった。
本発明はこの課題に鑑みて検討されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、良好なイオン伝導率を維持しつつ電子伝導率を低く抑制可能な固体電解質の製造方法、及び、その製造方法による固体電解質を提供することである。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下のようにすることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明の要旨は、リチウム原料と、ランタン原料と、ジルコニウム原料と、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む遷移金属原料とを、下記式(1)で表される化合物を構成する各元素のモル比を満たす質量ずつ混合する混合工程と、
Li7−2xLaZr12 ・・・式(1)
(式(1)中のMはNi及びCuのうちの少なくとも一方であり、xは0<x≦0.2を満たす数である)
当該混合工程を経て得られた混合物を焼成する焼成工程とを有し、当該焼成工程を経て得られた焼成物についてのCuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、立方晶が主相であることを特徴とする、固体電解質の製造方法に関する。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
本発明によれば、良好なイオン伝導率を維持しつつ電子伝導率を低く抑制可能な固体電解質の製造方法、及び、その製造方法による固体電解質を提供することができる。
本実施形態の固体電解質の製造方法を示すフローチャートである。 LCBOを含む本実施形態の固体電解質を製造する際のフローチャートである。 実施例2の固体電解質におけるXRDの結果を示すグラフである。 実施例3の固体電解質におけるXRDの結果を示すグラフである。 実施例5の固体電解質におけるXRDの結果を示すグラフである。 実施例6の固体電解質におけるXRDの結果を示すグラフである。 比較例1の固体電解質におけるXRDの結果を示すグラフである。 x=1.0の原料を使用して得られた酸化物についてのXRDの結果を示すグラフ(チャート)である。
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、以下の説明はあくまでも例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に変更して実施することができる。
まず、本発明者らは、本願発明の効果を検討するため、前記の特許文献1に記載の酸化物について検討を行った。この結果、酸化物に含まれるアルミニウムは前記酸化物の「LiLaZr12」に固溶するため、アルミニウムとニッケル又は銅との間において、異相生成反応は生じにくいことがわかった。そこで、本発明者らは、異相の生成を評価するため、アルミニウムではなく、特許文献1に記載の元素Tの含有量について検討した。
本発明者らは、特許文献1に記載の方法に沿って酸化物を作製した。酸化物の作製にあたり、使用したニッケルの量は100mol%(T=100mol%)、アルミニウムの量は2.5mol%(酸化アルミニウム換算で2.5mol%)とした。なお、本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の「25mol%≦T≦100mol%の量」は、下記式(1)における「0.25≦x≦1」と同義である。従って、特許文献1における「T=100mol%」及び「T=25mol%」は、それぞれ、前記式(1)における「x=1.0」及び「x=0.25」に相当する。
そして、得られた酸化物について、CuKαを用いた粉末X線結晶回折測定を行った。なお、以下の記載において、「CuKαを用いた粉末X線結晶回折」のことを単に「XRD」という。
図8は、x=1.0の原料を使用して得られた酸化物についてのXRDの結果を示すグラフ(チャート)である。このグラフでは、2θ=26°、27.5°、31°、34°及び38°付近に、五つのピークが観察された。これらのピークは、リチウムの一部がニッケルに置換したLiLaZr12に固有のピークである。そして、リチウムの一部が他元素で置換された化合物(ここではLi6.6Ni0.2LaZr12)であっても、同じピークが測定される。
ただ、図8に示すグラフでは、これらのピークのほかに、例えば24°、29°、32°、38°等にも強いピークが検出された。これらのうち、例えば24°,32°のピークはランタン・ニッケル酸化物(LaNiO)及びニッケル酸リチウム(LiNiO)に起因するピークであることから、異相(後記する)が生成することが確認された。従って、ランタン・ニッケル酸化物(LaNiO)及びニッケル酸リチウム(LiNiO)が生成したことが確認されたため、単相ではないと判断した。そして、これらの異相は電子伝導率が高いことから、異相の生成により、電子伝導率が増加してしまうと考えられる。
ここで、本明細書において「単相」とは、測定対象となる試料中にガーネット型立方晶(LiLaZr12等。以下、単に「立方晶」という)のみが含まれている状態をいう。測定試料が単相であるか否かは、XRDにおいて立方晶以外のピークが測定されるか否かに基づいて判断することができる。従って、XRDにおいて、立方晶以外のピークが測定されなければ、その材料は立方晶の単相であると判断することができる。具体的には例えば、立方晶である「LiLaZr12」が得られる条件で固体電解質を製造し、その得られた固体電解質についてXRD測定を行って立方晶以外のピークが生じなければ、その固体電解質は「LiLaZr12」のみの単相であるといえる。
ただし、異相(主相以外の相、後記する)が発生した場合であっても、本発明の効果を著しく損なわないほどのわずかな量であれば単相と取り扱うものとし、わずかな異相の存在を必ずしも排除するものではない。具体的には例えば、本発明の効果を著しく損なわないほどのわずかな異相を含む場合とは、その異相が固体電解質内で過度に繋がらずほぼ孤立して存在している場合である。この場合には、繋がった異相に起因する電子伝導性が過度に高まることが抑制されることから、単相として取り扱うものとする。
また、本明細書において「主相」とは、ガーネット型立方晶のほかに異相が含まれている場合に、測定対象となる試料において主たる相のことをいう。ここでいう「主たる相」とは、その含有量が体積比で70%以上となっているものをいう。なお、異相の含有量は、XRDにおけるピーク強度に基づいて決定することができる。そして、主相のみにより構成される測定対象は、前記の単相となっている測定試料と同義である。また、本明細書において「異相」とは、主相以外、即ち、立方晶以外の構造を有する成分をいう。具体的には例えば、主相が「LiLaZr12」である場合には、異相は例えば「LaNiO」「LiNiO」等である。
なお、主相及び異相の別は、XRDでの最大ピーク高さに基づいて決定することができる。具体的には、XRDにおける最大ピークの高さが最も高いものが主相であり、それ以外のピークに起因する成分は異相である。また、主相の最大ピークの高さ比として0.1以下の高さのピークは、主相と比べて十分に小さいことから無視できるため、異相は存在せず主相のみ(即ち単相)と判断することができる。
また、グラフとして図示はしないが、T=50mol%(前記式(1)におけるx=0.5)、及び、T=25mol%(前記式(1)におけるx=0.25)の条件で作製した酸化物についても、同様に異相が生成することが確認された。
これらのように、前記の特許文献1に記載の技術では、Li6.6Ni0.2LaZr12のほか、多くの異相が生成することがわかった。そして、この異相は高い導電性を示すことから、全固体電池の正極と負極との間に挿入される固体電解質に適用した際に、電子伝導率が大きくなる。その結果、全固体電池内部での正極と負極との間の電子の移動が生じ易くなり、外部に取り出される電子の量が減るため、取り出し可能な電流が小さくなる。即ち、全固体電池の正極と負極との間に挿入される固体電解質の電子伝導率が大きいと、取り出し電力が小さくなることがわかった。そこで、本発明者らは、イオン伝導率を高めつつ電子伝導率を低く抑制可能な固体電解質について検討を行い、以下の知見を見出した。
本実施形態の固体電解質の製造方法は、リチウム原料と、ランタン原料と、ジルコニウム原料と、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む遷移金属原料とを、下記式(1)で表される化合物を構成する各元素のモル比を満たす質量ずつ混合する混合工程と、
Li7−2xLaZr12 ・・・式(1)
(式(1)中のMはNi及びCuのうちの少なくとも一方であり、xは0<x≦0.2を満たす数である)
当該混合工程を経て得られた混合物を焼成する焼成工程とを有し、当該焼成工程を経て得られた焼成物についてのCuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、立方晶が主相であるものである。そして、この製造方法により得られた固体電解質では、イオン伝導率が高められつつ、電子伝導率が低く抑制されている。以下、本実施形態の固体電解質の製造方法について初めに説明し、次いで、本実施形態の固体電解質について説明する。
図1は、本実施形態の固体電解質の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の固体電解質の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」という)は、混合工程S1と、仮焼工程S2と、本焼成工程S3とを有するものである。
混合工程S1は、リチウム原料と、ランタン原料と、ジルコニウム原料と、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む遷移金属原料とを、前記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という)を構成する各元素のモル比となる質量ずつ混合するものである
リチウム原料としては、特に制限されないが、例えば炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム等が挙げられる。これらのうち、製造コストの安価化の観点からは、炭酸リチウムが好ましい。リチウム原料は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで使用してもよい。
ランタン原料としては、特に制限されないが、例えば水酸化ランタン、酸化ランタン等が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで使用してもよい。
ジルコニウム原料としては、特に制限されないが、例えば酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらのうち、高純度原料の入手のし易さ、高反応性の粒度、及び製造コストの安価化を総合的に考慮すると、酸化ジルコニウムが好ましい。ジルコニウム原料は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで使用してもよい。
遷移金属原料としては、ニッケル及び銅のうちの少なくとも一方を含む単体又は化合物が挙げられる。具体的には、ニッケルを含む化合物としては、例えば酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル等が挙げられる。これらのうち、高純度原料の入手のし易さ、高反応性の粒度、及び製造コストの安価化を総合的に考慮すると、酸化ニッケルが好ましい。ニッケル原料は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで使用してもよい。
また、銅を含む化合物としては、例えば、酸化銅(I)、酸化銅(II)等の酸化銅のほか、水酸化銅等が挙げられる。これらのうち、高純度原料の入手のし易さ、高反応性の粒度、及び製造コストの安価化を総合的に考慮すると、酸化銅(CuO、CuO)が好ましい。銅原料は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで使用してもよい。
さらに、銅及びニッケルの双方を含む化合物としては、例えば銅ニッケル合金粉末(具体的には例えばNi50Cu50合金粉末)等が挙げられる。
各原料の使用量としては、前記式(1)におけるxの値に応じて、各元素のモル比となる質量ずつ使用すればよい。即ち、使用量としては、リチウム原料に含まれるリチウムのモル量:遷移金属原料に含まれるニッケル及び銅の総モル量:ランタン原料に含まれるランタンのモル量:ジルコニウム原料に含まれるジルコニウムのモル量=(7−2x):x:3:2になるように、各原料を使用すればよい。例えば、x=0.1の場合、Li:M(Ni及びCuの総モル量):La:Zr=6.8:0.1:3:2となるように(即ち各元素のモル比を満たすように)各原料を秤量し、混合すればよい。
ただし、詳細は後記するが焼成工程において、リチウムの揮発が生じ易い。そこで、リチウム原料の使用量は、過剰量(例えば5質量%〜20質量%)多めにすることが好ましい。なお、リチウム原料の使用量が過剰であっても、他の元素と反応するリチウムのモル量が確保されているため、各元素のモル比が満たされているといえる。
なお、ニッケルを含む原料(ニッケル原料)と銅を含む原料(銅原料)とを併用する場合、即ち、前記式(1)におけるMがNi及びCuの場合、その相対的な使用量は任意である。従って、ニッケル原料及び銅原料に含まれるニッケル及び銅の総含有量が、前記のMの値を満たすように各原料が使用されればよい。
式(1)におけるxの値は、リチウム及び遷移金属元素の数を決定するものである。即ち、化合物(1)は、立方晶を有するLiLaZr12を構成するリチウムサイトの一部が、遷移金属元素Mで置換されたものである。そして、その置換量がxである。
xの値は0<x≦0.2である。xの値がこの範囲にあることで、固体電解質のイオン伝導率を高めつつ、電子伝導率を低く抑えることができる。特に、xが0.2以下(x≦0.2)であることで、製造中に異相の発生が抑制され、固体電解質の電子伝導率を十分に低く抑えることができる。
イオン伝導率が向上する理由は定かではないが、本発明者らの検討によれば、リチウムサイトがイオン半径の異なる遷移金属元素で置換されることで(即ち0<xとなることで)、リチウムの経路の格子間距離が、リチウムイオンの動き易い適正な距離になるためと考えられる。そして、x≦0.2となることで、固体電解質においてリチウムイオンが通る経路が十分に確保され、前記の遷移金属元素で置換してもイオン伝導率が高いまま維持される。さらには、x≦0.2として置換量を過剰にしないことで、立方晶の内部に遷移金属元素が取り込まれ易くなり、高い反応性を有する異相の発生が抑制される。
また、x≦0.2とすることで電子伝導率が低くなる理由は定かではないが、本発明者らの検討によれば、以下の理由と考えられる。即ち、前記の遷移金属元素を使用することで、結晶粒界の微小な領域に電子伝導率を有する相が生成し易くなる。そして、この相が連続して接続されると、固体電解質は高い電子伝導率が示されてしまう。しかし、x≦0.2とすることでそのような相の生成が抑制され、前記のようなイオン伝導率を高めつつ、電子伝導率が低いまま維持される。
xの下限値としては、前記のように0より大きくなるが、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。また、xの上限値としては、前記のように0.2以下であるが、好ましくは0.15以下である。
混合工程S1で行われる混合は、任意の方法により、任意の装置を使用して行うことができる。例えば、混合は、湿式又は乾式のいずれの方法で行ってもよい。ただし、混合は、原料が飛散することなく混合する観点からは湿式で行うことが好ましい。中でも、混合は、原料の反応を抑制する観点からは、エタノール、アセトン等の非水溶媒を使用した湿式で行うことがより好ましい。
また、混合工程S1では、粉砕も併せて行われることが好ましい。そこで、この観点から、混合は、例えば乳鉢、ボールミル等を使用して行うことができる。また、混合に使用する装置のうち、原料に接触する部分の材質が酸化マグネシウム(マグネシア)又は酸化ジルコニウム(ジルコニア)により構成されているものが好ましい。これらのような固い材質の装置を使用することで、原料中に不純物が混入することが防止される、特に、酸化ジルコニウムにより構成された装置を使用することで、仮に減量中に構成元素であるジルコニウムが混入したとしても、ジルコニウムは化合物(1)の構成元素であるため、混入の影響が十分に抑制される。
混合時間は特に制限されないが、原料が目視で粉末状になるまで行うことが好ましい。この点を踏まえ、混合時間は、混合装置の種類によっても異なるため一概にはいえないが例えばボールミルを使用する場合、好ましくは10時間以上、より好ましくは20時間以上である。また、混合時の温度も特に制限されないが、通常は室温(20℃〜25℃)で行われる。
また、混合工程S1では、前記の混合後、湿式混合であれば溶媒を除去した後に、例えば500μmメッシュの篩を使用して解砕することが好ましい。これにより、一様に粉末状になった原料混合物が得られる。
混合工程S1は、できるだけ水の少ない雰囲気、具体的には例えば除湿された気体中で行うことが好ましい。これにより、得られた混合物への水分の混入が抑制され、最終的な固体電解質において単相が生成し易くなる。
仮焼工程S2は、混合工程S1で得られた粉末状の原料混合物を仮焼することで焼成物を得る工程である。この仮焼は、焼成工程のうちの一段階目の焼成といえる。仮焼は、任意の方法で、任意の装置を使用して行うことができる。例えば、仮焼は、ある程度閉じられた空間を有し、対流の少ない閉空間を有する焼成装置を使用して行うことが好ましい。具体的には、例えば、仮焼は、前記の原料混合物を例えばるつぼに入れた後に電気炉を使用して行ったり、蓋をしたコウ鉢等を使用したりして行うことができる。
また、仮焼は、大気雰囲気(酸化性雰囲気)で行ってもよく、還元性雰囲気又は不活性雰囲気で行ってもよい。即ち、例えば前記の閉空間を有する焼成装置を使用して大気雰囲気で仮焼を行う場合、焼成前にその内部を別の気体(窒素等)で必ずしも置換する必要はない。ただし、各原料に酸素が含まれていない場合には、仮焼は、大気雰囲気(酸化性雰囲気)で行うことが好ましい。
仮焼の条件は特に制限されないが、焼成温度は、例えば750℃以上、好ましくは850℃以上、より好ましくは950℃以上、また、その上限は、例えば1250℃以下、好ましくは1050℃以下である。なお、ここでいう温度は、保持される温度のことをいう。さらに、焼成時間は、例えば2時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、また、その上限は、例えば50時間以下、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下である。なお、ここでいう時間は、保持される時間をいう。これのうち、焼成は、中でも1000℃程度で10時間程度行うことが特に好ましい。従って、1000℃程度で10時間程度保持されることで、仮焼が行われることが好ましい。
仮焼工程S2は、排気を行いながら行うことが好ましい。即ち、仮焼により生じた気体(例えば二酸化炭素)が除去されながら、仮焼工程S2が行われることが好ましい。これにより、焼成中に生成した気体、例えば二酸化炭素がリチウムと反応することが抑制され、炭酸リチウム等の異相の生成が抑制される。この結果、最終的な固体電解質において化合物(1)が単相として得られ易くなる。
仮焼工程S2において、前記の化合物(1)の結晶粒子が生成する。なお、詳細は本焼成工程S3の説明時に併せて説明するが、仮焼中にリチウムの揮発に伴い、前記の式(1)で表される組成からずれた組成を有する結晶(異相)も形成し得る。そして、仮焼工程S2において、化合物(1)の結晶粒子は数μm程度にまで成長する。そこで、仮焼後には、後記する本焼成工程S3の前に、仮焼物は、前記の混合工程S1において説明した混合の条件と同様の条件にて粉砕されることが好ましい(粉砕工程)。これにより、結晶粒子は1μm未満の微粉となる。微粉化により、後記する本焼成工程S3において結晶粒子のそれぞれを十分に本焼成することができる。また、仮焼により得られた焼成物を焼成することで、均一な反応を促し、最終的に得られる固体電解質での単相化を促進することができる。
前記のように、この仮焼工程S2では、原料混合物同士が反応して、化合物(1)の基本骨格(結晶粒子)が生成する。即ち、リチウムと、遷移金属元素(ニッケル及び銅のうちの少なくとも一方)と、ランタンと、ジルコニウムとが結合し、リチウムサイトの一部が遷移金属元素で置換された立方晶を有する化合物(1)が生成する。なお、ここでいう立方晶には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、原子同士の結合は維持されているものの結晶構造が歪んだような立方晶も含まれる。
本焼成工程S3は、前記の仮焼工程S2を経て得られた仮焼物(好ましくは前記の粉砕工程を経て得られた粉砕物)について、再度焼成(本焼成)を行うものである。本焼成は、焼成工程のうちの二段階目の焼成といえる。なお、化合物(1)を含み、XRDにおいて立方晶が主相となっている固体電解質を得る観点からは前記の仮焼工程S2のみでもよいが、結晶成長を促す観点からは、この本焼成工程S3を行うことが好ましい。
本焼成は、固体電解質として二次電池に用いるために、大きな焼成体(多結晶焼成体)を形成する工程である。その方法としては様々な方法が考えられるが、ここでは前記の仮焼の温度以上で本焼成を行い、仮焼工程S2において得られた結晶粒子が所望の大きさに成長し、大きな焼成体(多結晶焼成体)により構成される固体電解質を得る方法を説明する。この場合、本焼成は、リチウムの揮発をできるだけ抑制するために、同じ材料中に埋めて行われることが好ましい。
本焼成の条件は特に制限されないが、焼成温度は、例えば1000℃以上、好ましくは1100℃以上、より好ましくは1150℃以上、また、その上限は、例えば1250℃以下、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1180℃以下である。なお、ここでいう温度は、保持される温度のことをいう。本焼成の温度が1000℃以上であることで、得られる固体電解質の緻密になる。また、本焼成の温度が1250℃以下であることで、仮焼時に生成した化合物が溶融してしまうことが防止される。さらに、焼成時間は、例えば0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、また、その上限は、例えば100時間以下、好ましくは20時間以下、より好ましくは5時間以下である。なお、ここでいう時間は、保持される時間をいう。
以上の工程を経ることで、イオン伝導率を高めつつ、かつ、電子伝導率を低く抑えた固体電解質(本実施形態の固体電解質)が得られる。ここで得られる固体電解質は、イオン伝導性の固体からなる固体電解質であって、前記式(1)で表される組成を有し、CuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、立方晶が主相であるものである。即ち、XRDにより確認される結晶構造として、立方晶が主相になっている。主相が立方晶であることでイオン伝導率が高いという利点が得られる。中でも、立方晶が単相である(即ち異相が存在しない)ことが好ましい。これにより、より確実に、高いイオン伝導率及び低い電子伝導率を両立させることができる。この立方晶に固溶した状態ではニッケル及び銅は2価となって電子伝導率を示さないため、得られる固体電解質は電子伝導率を示さない。
本実施形態の固体電解質には、本発明の効果を損なわない範囲でアルミニウムが含まれていても構わないものの、アルミニウムが含まれないことが好ましい。即ち、アルミニウムを含まない原料を使用して、固体電解質を製造することが好ましい。
また、前記の化合物(1)は濡れ性に優れる。そのため、化合物(1)と、例えば以下の式(2)で表される化合物(以下、「LCBO」という)とを併用して固体電解質を製造すると、固体電解質の緻密性が向上する。
Li2+y1−y ・・・式(2)
ただし、yは0<y≦1を満たす数である。
具体的には、前記の化合物(1)とLCBOとを混合した後、LCBOのみが溶融する温度(即ち、化合物(1)の融点未満で、かつ、LCBOの融点以上)に昇温すると、化合物(1)は溶融せずにLCBOのみが溶融する。そうすると、溶融したLCBOは、固体のままで、一次粒子が複数集合した二次粒子として存在する化合物(1)の隙間に浸入する。このとき、化合物(1)は濡れ性に優れるから表面張力が弱い。その結果、一次粒子が複数集合した二次粒子の隙間を所謂「毛細管現象」のようにしてLCBOが浸入し易くなり、冷却後の化合物(1)の隙間が埋められる。これにより、固体電解質の緻密性が向上する。
また、化合物(1)の濡れ性が優れることで、前記のように化合物(1)の表面張力が低くなる。そのため、化合物(1)の内部の空気が外部に追い出され易くなる。これにより、固体電解質の緻密性がさらに向上する。
また、本実施形態の固体電解質とLCBOとは化学反応が生じにくく、同一の系に併存していても相互に作用しない。そのため、本実施形態の固体電解質では、化学的に安定して緻密度を向上させることができる。
本実施形態の固体電解質とLCBOとの使用割合は特に制限されないが、例えば質量比で、LCBOと固体電解質との全体100質量%に対して、LCBOの質量が例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、また、その上限は、例えば40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。LCBOの使用量が10質量%以上であることで、化合物(1)に存在する隙間に十分に浸入し、固体電解質の緻密性がより向上する。また、LCBOの使用量が40質量%以下であることで、化合物(1)の使用量が十分に確保され、固体電解質としての機能が十分に発揮される。
本実施形態の製造方法において、LCBOの使用時期は任意であるが、LCBOは、前記の仮焼後かつ本焼成前に、仮焼物に添加されることが好ましい。そして、LCBOの添加後、LCBOを含む仮焼物は、前記の本焼成時の温度(即ちLCBOを含まない仮焼物に対する焼成温度)よりも低い温度で、本焼成が行われる。これらの点を含め、LCBOを使用した固体電解質の製造方法について、図2に示すフローを参照しながら説明する。
図2は、LCBOを含む本実施形態の固体電解質を製造する際のフローチャートである。まず、前記の図1を参照しながら説明した混合工程S1及び仮焼工程S2と同様にして、混合工程S1及び仮焼工程S2が行われる。また、必要に応じて、粉砕工程S2を経て得られた仮焼物に対して粉砕工程が行われてもよい。
そして、この仮焼工程S2を経て得られた仮焼物を使用して、ペーストが作製される。次いで、このペーストを基材上に印刷及び乾燥させることで、薄層が成型される(電解質成型工程S31)。具体的には、この工程では、まず、任意のビヒクルに対して仮焼物が分散され、ペーストが得られる。ここで使用されるビヒクルとしては、例えば、溶媒(エタノール等)に対し、バインダ(ポリビニルブチラール等)及び分散剤等を混合した溶液が使用可能である。次いで、このペーストが任意の基材に塗布及び乾燥された後、仮焼物の薄層が成型される。この薄層の厚さは、例えば5μm〜10μm程度である。
さらに、ここで作製した仮焼物の薄層とは別に、LCBOの粉末を使用して、前記の電解質成型工程S31と同様にして、薄層が成型される(LCBO成型工程S32)。そして、ここで得られたLCBOの薄層と、前記の仮焼物の薄層とが接触される(接触工程S33)。接触の態様としては制限されず、前記の仮焼物とLCBOとが接触すればどのような形態であってもよいが、例えば二枚を積層したり、横に並べて配置したりする等、二枚の薄層同士が少なくとも一部で接触していれば特に制限されない。尚、薄層の形成にはスクリーン印刷法でなくともドクターブレード法、スピンコート法等の適宜の方法を用いて適宜の厚さに形成することもできる。また、薄層を使用せずに、粉末状の仮焼物と粉末状のLCBOとを混合することでこれらが接触するようにしてもよい。
そして、LCBOの薄層と仮焼物の薄層との接触物(以下、一体物という)に対して、本焼成が行われる(本焼成工程S34)。ただし、ここで行われる本焼成は、前記の図1を参照しながら説明した本焼成工程S3よりも低温で行われる。ここでいう低温とは、LCBOの融点以上であり、かつ、仮焼物の融点未満となる温度である。なお、仮焼物の融点は、通常は、前記の化合物(1)の融点とほぼ同じである。そこで、例えば、LCBOを含む仮焼物は、例えば600℃以上、好ましくは700℃以上、また、その上限は、例えば900℃以下、好ましくは850℃以下で、本焼成することができる。なお、本焼成の条件は、焼成温度以外は、前記の図1に示した本焼成工程S3と同じ条件とすることができる。
このような低温で本焼成が行われることで、一体物においてLCBOの薄層が溶融し、溶融したLCBOが仮焼物の薄層に浸み込む。これにより、化合物(1)が一様に存在する仮焼物の薄層において、化合物(1)同士の隙間にLCBOが浸み込み、LCBOが均一に分散した仮焼物の薄層が得られる。このようにして作製された薄層は、全固体電池において正極層と負極層に挟みこまれて使用される固体電解質として適用可能である。
また、この図2に示す仮焼工程S2の後、かつ、接触工程S33の前に、仮焼物をさらに1000℃程度以下で焼成してもよい(二次仮焼)。これにより、本焼成工程S34の途中に化合物(1)の結晶が成長してしまうことが抑制され、粗大な結晶が生成することが防止される。
なお、LCBOは、例えば固相反応法で製造することができる。具体的には例えば、まず、リチウム源(炭酸リチウム(LiCO)等)とホウ素源(水酸化ホウ素(B(OH))等)とが、リチウムとホウ素との比率が所定割合(前記式(2)において(2+y):y)となるように秤量される。yは前記のように0<y<1を満たせば任意であるが、例えばyは0.3〜0.5程度とすることができる。そして、秤量された原料は、乳鉢にて混合後、アルミナ製のるつぼに入れて熱処理される。熱処理の条件は任意であるが、例えば500℃〜700℃で10時間〜30時間とすることができる。熱処理後には冷却し、乳鉢で粉砕することで、LCBOの粉末が得られる。
以上説明した本実施形態の製造方法により製造された固体電解質(少なくとも前記の仮焼工程S2を経て得られた仮焼物)についてXRD測定を行うと、立方晶が主相になっている。これにより、高いイオン伝導率及び低い電子伝導率を図ることができ、優れた性能を有する固体電解質が得られる。ただし、高いイオン伝導率及び低い電子伝導率の両立をより確実に図る観点からは、固体電解質において立方晶が単相になっていることが好ましい。
また、本実施形態の固体電解質は、前記式(1)の式で表される組成を有するものである。これにより、本実施形態の固体電解質は、固体電解質である「LiLaZr12」の基本構造(ガーネット型立方晶)を有する。また、リチウムの一部がニッケル及び銅のうちの少なくとも一方で置換されることでリチウムイオンが通り易くなり、イオン伝導率が高められる。
そして、本実施形態の固体電解質は、全固体電池を構成する固体電解質として好適である。全固体電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、固体電解質とを備えるものである。ここで、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極は、例えばコバルト酸リチウム等の正極活物質を含むものである。また、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極は、例えば金属リチウム等の負極活物質を含むものである。
全固体電池は、電解質として固体電解質を使用しているため、非水電解液を使用する場合と比べて取り扱い性に優れる。従って、本実施形態の製造方法により製造された固体電解質によれば、イオン伝導率を高めるとともに電子伝導率を低く抑えることができる。この結果、内部抵抗の低く抑えられ、かつ、大きな出力電力を取り出し可能で、しかも取り扱い性にも優れた全固体電池が提供される。
また、前記の図2を参照しながら説明したように、LCBOを使用して固体電解質を製造することができる。そして、全固体電池を構成する正極及び負極と固体電解質とをLCBOで結合されることで、正極と負極と固体電解質とが緻密になって接続することができる。この結果、リチウムイオンの伝導路が十分に確保され、内部抵抗がさらに低く抑えられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<固体電解質の作製及び物性の評価>
(実施例1)
以下の方法に従い、化合物(1)を含む固体電解質を作製した。まず、リチウム原料として炭酸リチウム(LiCO)を、ランタン原料として水酸化ランタン(La(OH))を、ジルコニウム原料として3Nの酸化ジルコニウム(ZrO)を、ニッケル原料として3Nの酸化ニッケル(NiO)を、銅原料として3Nの酸化銅(CuO)を用意した。
そして、これらの原料を使用して、前記式(1)における遷移金属元素がニッケル(M=Ni)、x=0.05の条件で固体電解質を作製した。具体的には、炭酸リチウム、水酸化ランタン、酸化ジルコニウム、及び酸化ニッケルのそれぞれを、リチウムとランタンとジルコニウムとニッケルとのモル比が6.9:3:2:0.05となるように、秤量した。ただし、後記する仮焼工程中にリチウムが揮発することを考慮し、最終産物(固体電解質)が前記式(1)の組成を有するようにするため、化学量論比から算出される理論量よりも15質量%多い量を秤量した。そして、これらを、ジルコニアボールに入れ、ボールミル混合を行った(図1における混合工程S1)。混合は、エタノールを使用した湿式で行い、20時間行った。
20時間の混合後、ボールミルから取り出し、140℃で3時間、エタノールが完全に無くなるまで乾燥させた。乾燥後、500μmメッシュの篩を通した。得られた解砕物は、アルミナ製のセラミックるつぼに入れ、大気中、電気炉にて1000℃10時間で仮焼を行った(図1における仮焼工程S2)。
仮焼後、電気炉が室温になるまで自然冷却し、取り出した。その後、化合物(1)の単相化を促すために、500μmメッシュの篩を使用して、解砕した。得られた解砕物は、前記の混合装置を使用し、エタノールを使用した湿式で粉砕を20時間行った。この後、ボールミルから取り出し、前記の混合工程後に行った乾燥と同じようにして、エタノールが完全に無くなるまで乾燥させた。
固体電解質の物性の評価に使用するため、乾燥後に得られた粉末の一部を採取し、評価試料(円板状の固体電解質)を作製した。具体的には、まず、乾燥後に得られた粉末1g採取し、直径14mmの円形状の金型に入れた。そして、1cmあたり1.5トンの圧力でプレス成型を行った。得られた成型物は、リチウムの揮発をできるだけ避けるために成型前の粉末(即ち、仮焼後、解砕及び乾燥を経て得られた粉末)に埋めて、1200℃で2時間、大気中で本焼成を行った(図1における本焼成工程S3)。この本焼成は、前記の仮焼と同じ焼成装置を使用して行った。以上の手順により、円板状の固体電解質が作製された(実施例1の固体電解質)。なお、ここで作製された固体電解質の厚さは1.5mm、直径は11mmであった。
ここで作製した固体電解質について、XRD測定装置(スペクトリス社製)を使用し、結晶回折を測定した。ここで測定した結晶回折の結果は、図示はしないが、26°付近に(321)面のピークが、27.5°付近に(400)面のピークが、31°付近に(420)面のピークが、32.5°付近に(332)面のピークが、及び、34°付近に(422)面のピークが検出された。
そして、このグラフの形状(ピークの位置及び強度)と、International Centre for Diffraction Data(ICDD;http://www.icdd.com/)に掲載されているデータとを比較した。この結果、異相の生成は確認されず、立方晶の単相になっていることが確認された。ここで、原料の使用量は前記の化合物(1)を構成する各元素のモル比であることから、ここで生成した立方晶は前記の化合物(1)に由来するものといえる。
作製した固体電解質について、以下のようにしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。まず、作製した円板状の固体電解質の上面及び下面のそれぞれに、スパッタ(装置販売時は「日立製作所社製 E−101」、現在の「日立ハイテクノロジーズ社製 IE−101」に相当)を使用して直径6mmの金電極を形成し、実施例1の試料を得た。そして、この実施例1の試料について、インピーダンス法に基づくイオン伝導率測定装置(HIOKI社製 IM−3570、測定温度23℃)を使用し、イオン伝導率を測定した。この結果、イオン伝導率は2×10−6S/cmであった。
さらに、イオン電導率測定のために作製した試料の作製と同様の方法で、実施例1の試料をもう一つ作製した。そして、ここで新たに作製した実施例1の試料について、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R3840、測定温度23℃)を使用し、1Vの電圧印加時の時間変化で平衡となる電流を測定することで、電子伝導率を測定した。この結果、電子伝導率は4.5×10−8S/cmであった。
(実施例2)
リチウムとランタンとジルコニウムとニッケルとの比率が6.8:3:2:0.1となる量(即ち、前記式(1)においてx=0.1)の原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして固体電解質(実施例2の固体電解質)を作製した。作製した固体電解質について、実施例1と同様にしてXRDを測定したところ、図3に示すグラフが得られた。
このグラフは、前記の実施例1のグラフと同様の形状(ピークの位置及びピーク強度の相対比が同じ)であった。そして、実施例1と同様にし、作製した固体電解質が立方晶の単相であることを確認した。よって、実施例2においても、実施例1と同様に、化合物(1)の単相になっていることが確認された。
また、実施例1と同様にして金電極を形成し、実施例2の試料を作製した。作製した実施例2の試料について、実施例1と同様にしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。その結果、イオン伝導率は4×10−7S/cm、電子伝導率は3×10−8S/cmであった。
(実施例3)
リチウムとランタンとジルコニウムとニッケルとの比率が6.6:3:2:0.2となる量(即ち、前記式(1)においてx=0.2)の原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして固体電解質(実施例3の固体電解質)を作製した。作製した固体電解質について、実施例1と同様にしてXRDを測定したところ、図4に示すグラフが得られた。このグラフは、前記の実施例1のグラフと同様の形状(ピークの位置及びピーク強度の相対比が同じ)であった。そして、実施例1と同様にし、作製した固体電解質が立方晶の単相であることを確認した。よって、実施例3においても、実施例1と同様に、化合物(1)の単相になっていることが確認された。
また、実施例1と同様にして金電極を形成し、実施例3の試料を作製した。作製した実施例3の試料について、実施例1と同様にしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。その結果、イオン伝導率は6.7×10−7S/cm、電子伝導率は1×10−9S/cmであった。
(実施例4)
酸化ニッケルに代えて前記酸化銅(銅原料)を使用し、リチウムとランタンとジルコニウムと銅との比率が6.9:3:2:0.05となる量(即ち、前記式(1)においてx=0.05)の原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして固体電解質(実施例4の固体電解質)を作製した。作製した固体電解質について、実施例1と同様にしてXRDを測定したところ、グラフの図示はしないが、前記の実施例1のグラフと同様の形状(ピークの位置及びピーク強度の相対比が同じ)であった。そして、実施例1と同様にし、作製した固体電解質が立方晶の単相であることを確認した。よって、実施例4においても、実施例1と同様に、化合物(1)の単相になっていることが確認された。
また、実施例1と同様にして金電極を形成し、実施例4の試料を作製した。作製した実施例4の試料について、実施例1と同様にしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。その結果、イオン伝導率は2.2×10−6S/cm、電子伝導率は4.5×10−8S/cmであった。
(実施例5)
酸化ニッケルに代えて前記酸化銅(銅原料)を使用し、リチウムとランタンとジルコニウムと銅との比率が6.8:3:2:0.1となる量(即ち、前記式(1)においてx=0.1)の原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして固体電解質(実施例5の固体電解質)を作製した。作製した固体電解質について、実施例1と同様にしてXRDを測定したところ、図5に示すグラフが得られた。このグラフは、前記の実施例1のグラフと同様の形状(ピークの位置及びピーク強度の相対比が同じ)であった。そして、実施例1と同様にし、作製した固体電解質が立方晶の単相であることを確認した。よって、実施例5においても、実施例1と同様に、化合物(1)の単相になっていることが確認された。
また、実施例1と同様にして金電極を形成し、実施例5の試料を作製した。作製した実施例5の試料について、実施例1と同様にしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。その結果、イオン伝導率は4.1×10−6S/cm、電子伝導率は5×10−8S/cmであった。
(実施例6)
酸化ニッケルに代えて前記酸化銅(銅原料)を使用し、リチウムとランタンとジルコニウムと銅との比率が6.6:3:2:0.2となる量(即ち、前記式(1)においてx=0.2)の原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして固体電解質(実施例6の固体電解質)を作製した。作製した固体電解質について、実施例1と同様にしてXRDを測定したところ、図6に示すグラフが得られた。このグラフは、前記の実施例1のグラフと同様の形状(ピークの位置及びピーク強度の相対比が同じ)であった。そして、実施例1と同様にし、作製した固体電解質が立方晶の単相であることを確認した。よって、実施例6においても、実施例1と同様に、化合物(1)の単相になっていることが確認された。
また、実施例1と同様にして金電極を形成し、実施例6の試料を作製した。作製した実施例6の試料について、実施例1と同様にしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。その結果、イオン伝導率は4.0×10−6S/cm、電子伝導率は9.3×10−9S/cmであった。
(比較例1)
x=0とした(即ち、酸化ニッケル及び酸化銅のいずれも使用していない)こと以外は実施例1と同様にして固体電解質(比較例1の固体電解質)を作製した。作製した固体電解質について、実施例1と同様にしてXRDを測定したところ、図7に示すグラフが得られた。このグラフは、前記の実施例1のグラフと同様の形状(ピークの位置及びピーク強度の相対比が同じ)であった。そして、実施例1と同様にし、作製した固体電解質が立方晶の単相であることを確認した。だだし、比較例1の固体電解質には、ニッケル及び銅のいずれも含まれていない。
また、実施例1と同様にして金電極を形成し、比較例1の試料を作製した。作製した比較例1の試料について、実施例1と同様にしてイオン伝導率及び電子伝導率を測定した。その結果、イオン伝導率は8.1×10−8S/cm、電子伝導率は3×10−8S/cmであった。
以上の結果を以下の表1に纏めた。
Figure 2019006634
また、この表1の結果に基づき、イオン伝導率及び電子伝導率のそれぞれにおいて、比較例1を基準とした相対比を算出した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 2019006634
前記のように、イオン伝導率は高いことが好ましい。一方で、電子伝導率は低いことが好ましい。そこで、表2に示す結果においても、イオン伝導率の相対比が大きいほど良好であるといえる。一方で、電子伝導率の相対比が小さいほど良好であるといえる。
表2に示す結果から、リチウムサイトの一部をニッケル又は銅で置換した場合に(即ち、0<x≦0.2を満たす実施例1〜6)、イオン伝導率を比較例1よりも高めることができた。また、電子伝導率については、実施例4及び5で比較例1よりも大きくなったが、比較例1と比べて2倍以下に抑制された。特に、実施例4及び5では、イオン伝導率が比較例1と比べて数十倍になったことから、実施例4及び5では、電子伝導率の上昇をできるだけ抑制しつつ、イオン伝導率を大幅に向上させることができたといえる。
<固体電解質の緻密性評価>
次に、本発明の固体電解質にLCBOを含有させ、固体電解質の緻密性の向上を評価した。
まず、前記の実施例2と同様の条件で、仮焼までの工程を行った。そして、前記の実施例2と同様の条件で冷却後、解砕した。次いで、解砕により得られた粉末を、エタノール溶媒中でボールミル粉砕を20時間行った。これを取り出して乾燥、解砕した粉末について、仮焼に使用した焼成装置と同じ焼成装置を使用して、900℃で2時間再度仮焼(二次仮焼)した。二次仮焼後、室温(20℃程度)で放置することで冷却した。以下、ここで得られた焼成物を便宜的に「二次仮焼物(1)」という。
次に、固相反応法によりLCBOを作製した。LCBOは以下の手順で作製した。まず、炭酸リチウムと水酸化ホウ素とを、リチウムとホウ素との比率が2.2:0.2となるように秤量し、乳鉢にて混合後、アルミナ製のるつぼに入れて600℃で20時間熱処理した。熱処理後、これを取り出し冷却後、乳鉢で粉砕することで、LCBO(Li2.20.80.2;前記の式(2)においてy=0.2)の粉末を得た。そして、このLCBOの粉末と、前記の二次仮焼物(1)とを、乳鉢で十分に粉砕混合した。これらの使用量は、質量比で、LCBO:二次仮焼物(1)=15:85となるようにした。また、粉砕混合は、目視で粉末状になるまで行った。
十分に粉砕混合して得られた混合物と、ブチルカルビトールアセテートを溶媒とした10質量%エチルセルロース溶液とを、乳鉢で混合した。ここで使用した溶液の量は、当該混合物に対して質量比で50:50(即ち等量)となる量とした。また、混合は、目視で一様なペースト状になるまで行った。そして、これらの手順により、電解質印刷用ペーストを作製した。なお、ここで作製した電解質印刷用ペーストの一部を採取して塗布後、前記の固体電解質の作製と同様にして焼成して前記のXRDで確認したところ、異相は検出されなかった。
次に、正極印刷用ペーストを、以下の手順で作製した。
まず、正極活物質としてコバルト酸リチウム(レーザ回折式粒度分布装置により測定された平均粒径として5μm)と、前記電解質印刷用ペーストの作製時に使用したLCBOと同じ種類のLCBOとを、乳鉢で十分に粉砕混合した。これらの使用量は、質量比で、正極活物質:LCBO=75:25となるようにした。また、粉砕混合は、目視で均一になるまで行った。そして、ここで得られた混合物を使用したこと以外は前記の電解質印刷用ペーストの作製と同じようにして、正極印刷用ペーストを作製した。
そして、直径8mmの円形状の金シートの表面に、スクリーン印刷により、正極印刷用ペーストを印刷した。スクリーン印刷に使用したスクリーンメッシュは#250である。印刷は、正極印刷用ペーストをAuシート上に0.2mg塗布した。そして、印刷された正極印刷用ペーストを150℃で0.1時間放置することで乾燥させた。次いで、乾燥した正極印刷用ペーストの上に、同じ印刷装置を使用して電解質印刷用ペーストを印刷した。即ち、この操作により、正極印刷用ペーストと電解質用ペーストとが接触したことになる(接触工程)。ここでの印刷は、電解質印刷用ペーストを0.2mg塗布して行った。印刷後、正極印刷用ペーストと同様にして乾燥させた。
そして、金シート、正極印刷用ペースト及び電解質ペーストがこの順で配置された一体物を、大気中、700℃で1時間焼成した(本焼成工程S34)。焼成後の正極印刷用ペースト(即ち正極)の厚さ、及び、焼成後の電解質印刷用ペースト(即ち電解質)の厚さは、いずれも5μmであった。焼成後の一体物を切断し、金シート、正極及び電解質を含む断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。そして、観察された断面において、SEM画像における緻密な部分の面積(白と灰色部分)に対する空孔の部分の面積(黒くなっている部分)の割合(以下、この値を百分率で表した値を「空孔率」という)を測定した。SEMは、日本電子社製 JCM−6000を用いた。この結果、ここで空孔率は5%であった。
一方で、二次焼成物(1)を使用しないこと以外(即ち、本焼成後に本実施形態の固体電解質が電解質印刷用ペーストに含まれないこと以外)は前記の例と同様にして、電解質印刷用ペースト及び正極印刷用ペーストを作製した。そして、前記の例と同様にして一体物を作製し、空孔率を測定した。この結果、空孔率は10%であった。
これらの結果から、本実施形態の固体電解質とLCBO(Li2.20.80.2)とを併用することで、固体電解質における空孔率が低減することが確認された。これは、LCBOと二次焼成物(1)の濡れ性が向上して空孔が埋められる結果、空孔率が低下したものと考えられる。
また、以上のようにして作製した金シート、正極及び固体電解質がこの順で積層された一体物に対し、固体電解質の表面に樹脂電解質としてポリエチレンオキサイド、及び負極金属としてリチウム板を重ねて、密着させた。これにより、全固体電池が得られた。そして、C=0.01レートにて充放電を試みた。なお、全固体電池の全容量を1時間で放電させる電流量を1Cレートとした。その結果、問題なく充放電を行うことができた。従って、イオン伝導率を高くしつつ、かつ、電子伝導率を低く抑えた固体電解質を使用し、全固体電池を製造可能なことが確認された。
本発明の固体電解質に異なる組成のLCBOを含有させた場合についても評価した。
まず、前記の方法と同じ方法により「二次仮焼物(1)」を作製した。次に、前記の方法と同じ固相反応法により、LCBOとしてLiBO(前記の式(2)においてy=1)を作製した。具体的には、炭酸リチウムと水酸化ホウ素とをリチウムとホウ素との比率が3:1となるように秤量したこと以外は前記のLi2.20.80.2の製造方法と同じようにして、LCBO(LiBO)を得た。
そして、ここで得られたLCBOを使用したこと以外は前記のLi2.20.80.2を使用した電解質印刷用ペーストの作製方法と同じようにして、電解質印刷用ペーストを作製した。なお、ここで作製した電解質印刷用ペーストの一部を採取して塗布後、前記の固体電解質の作製と同様にして焼成して前記のXRDで確認したところ、異相は検出されなかった。また、ここで得られたLCBOを使用したこと以外は前記のLi2.20.80.2を使用した正極印刷用ペーストの作製方法と同じようにして、正極印刷用ペーストを作製した。
そして、前記のLi2.20.80.2を使用した場合と同様にして、金シート、正極印刷用ペースト及び電解質ペーストがこの順で配置された一体物を作製し、同様の条件にて焼成した(本焼成工程S34)。焼成後の正極印刷用ペースト(即ち正極)の厚さ、及び、焼成後の電解質印刷用ペースト(即ち電解質)の厚さは、いずれも5μmであった。次いで、前記のLi2.20.80.2を使用した場合と同様にして断面を観察したところ、空孔率は5%であった。一方で、LiBOを使用しつつ、かつ二次焼成物(1)を使用しない焼成体についても、前記の場合と同様にして作製し、空孔率を測定した。この結果、空孔率は10%であった。
これらの結果から、本実施形態の固体電解質とLCBO(LiBO)とを併用することで、前記のLi2.20.80.2を使用した場合と同様、固体電解質における空孔率が低減することが確認された。これは、LiBOと二次焼成物(1)の濡れ性が向上して空孔が埋められる結果、空孔率が低下したものと考えられる。
また、LCBOとして前記のLi2.20.80.2を使用した全固体電池と同様にして、LCBOとしてLiBOを使用した全固体電池を作製した。その結果、問題なく充放電を行うことができた。従って、イオン伝導線を高くしつつ、かつ、電子伝導率を低く抑えた固体電解質を使用し、全固体電池を製造可能なことが確認された。
以上の実施例により、本発明の固体電解質の製造方法によれば、イオン伝導率は高く、かつ、電子伝導率を低く抑えることが可能な固体電解質を製造することができる。また、この製造方法により製造した固体電解質を使用した全固体電池では、良好な電池特性が奏されることが期待される。特に、LCBO(例えばLi2.20.80.2、LiBO等)により、固体電解質の空孔率が低下して固体電解質が緻密になる。そのため、この固体電解質を使用して製造された全固体電池では、導通不良が抑制され、かつ、内部抵抗の上昇を抑制することができる。

Claims (8)

  1. リチウム原料と、ランタン原料と、ジルコニウム原料と、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む遷移金属原料とを、下記式(1)で表される化合物を構成する各元素のモル比を満たす質量ずつ混合する混合工程と、
    Li7−2xLaZr12 ・・・式(1)
    (式(1)中のMはNi及びCuのうちの少なくとも一方であり、xは0<x≦0.2を満たす数である)
    当該混合工程を経て得られた混合物を焼成する焼成工程とを有し、
    当該焼成工程を経て得られた焼成物についてのCuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、立方晶が主相であることを特徴とする、固体電解質の製造方法。
  2. 前記粉末X線結晶回折において、立方晶が単相であることを特徴とする、請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
  3. 前記焼成工程において、焼成は750℃以上1250℃以下の温度で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
  4. 前記焼成工程は、750℃以上1250℃以下の温度で仮焼を行う仮焼工程と、
    当該仮焼工程を経て得られた仮焼物を粉砕する粉砕工程と、
    当該粉砕工程により得られた粉砕物について本焼成を行う本焼成工程と、を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
  5. 前記焼成工程は、750℃以上1250℃以下の温度で仮焼を行う仮焼工程と、
    当該仮焼工程を経て得られた仮焼物と、下記式(2)を満たす化合物と接触させる接触工程と、
    Li2+y1−y ・・・式(2)
    ただし、yは0<y≦1を満たす数であり、
    当該接触工程後に600℃以上900℃以下の温度で本焼成を行う本焼成工程とを有することを特徴とする、請求項4に記載の固体電解質の製造方法。
  6. 前記混合工程は、非水溶媒を使用して湿式で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
  7. イオン伝導性の固体からなる固体電解質であって、下記式(1)で表される組成を有し、
    Li7−2xLaZr12 ・・・式(1)
    式(1)中のMはNi及びCuのうちの少なくとも一方であり、xは0<x≦0.2を満たす数であり、
    CuKα線を用いた粉末X線結晶回折において、立方晶が主相であることを特徴とする、固体電解質。
  8. 前記粉末X線結晶回折において、立方晶が単相であることを特徴とする、請求項7に記載の固体電解質。
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