JP2019125547A - 固体電解質粉末、並びにそれを用いてなる電極合材及び全固体ナトリウムイオン二次電池 - Google Patents

固体電解質粉末、並びにそれを用いてなる電極合材及び全固体ナトリウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性に優れ、また電極合材として使用した場合にイオン伝導パスを多くすることができ、高容量な全固体電池を得ることが可能な固体電解質粉末を提供する。【解決手段】一般式NasA1tA2uOv(A1はAl、Y、Yb、Zr、Nd、Nb、Ti、Hf、から選択される少なくとも1種、A2はSi、Pから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜12)で表されるナトリウムイオン伝導性結晶を含み、平均粒子径が0.01〜15μmであることを特徴とする固体電解質粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池等の蓄電デバイスに用いられる固体電解質粉末に関する。
リチウムイオン二次電池は、モバイル機器や電気自動車等に不可欠な、高容量で軽量な電源としての地位を確立している。しかし、現行のリチウムイオン二次電池には、電解質として可燃性の有機系電解液が主に用いられているため、発火等の危険性が懸念されている。この問題を解決する方法として、有機系電解液に代えて固体電解質を使用したリチウムイオン全固体電池の開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、リチウムは世界的な原材料の高騰の懸念がある。そこで、リチウムに代わる材料としてナトリウムが注目されており、固体電解質としてNASICON型のNaZrSiPO12からなるナトリウムイオン伝導性結晶を使用したナトリウムイオン全固体電池が提案されている(例えば特許文献2参照)。その他、β−アルミナやβ”−アルミナといったベータアルミナ系固体電解質も高いナトリウムイオン伝導性を示すことが知られており、これらの固体電解質はナトリウム−硫黄電池用固体電解質としても使用されている。
上記のような全固体電池は、正極層、負極層及び固体電解質層を有する。一般的に、固体電解質層はナトリウムイオン伝導性を有する固体電解質粉末で構成される。また、正極層と負極層は、充放電に伴いナトリウムイオン及び電子を吸蔵または放出する活物質粉末と、固体電解質粉末との合材(電極合材)で構成される。
ナトリウム全固体電池の高容量化、高出力化及び長寿命化を達成するためには、電極層内のナトリウムイオン伝導性を高める必要があり、電極合材の緻密化が要求される。特許文献3では、軟らかく変形しやすい硫化物系固体電解質粉末を用い、電極合材を加圧成型することで活物質粉末と固体電解質粉末の接触性を向上させている。また、特許文献4では、結晶性ガラス粉末を含む活物質前駆体粉末と固体電解質粉末からなる原料粉末(電極合材前駆体)を焼成し、各粉末を融着させるとともに非晶質相を残存させることで、緻密な電極合材が得られることが記載されている。
特開平5−205741号公報 特開2010−15782号公報 特開2014−143133号公報 国際公開第2015/087734号公報
特許文献3で用いられている硫化物系固体電解質粉末は、大気曝露した際に大気中の水分を吸湿し硫化水素ガスを発生するため安全性に課題がある。特許文献4に記載の固体電解質粉末は安全性の面では改善されているものの、それを用いた電極合材は、活物質粉末と固体電解質粉末間のイオン伝導パスが少なく、放電容量が小さいという問題がある。
以上に鑑み、本発明は、安全性に優れ、また電極合材として使用した場合にイオン伝導パスを多くすることができ、高容量な全固体電池を得ることが可能な固体電解質粉末を提供することを目的とする。
本発明の固体電解質粉末は、一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Zr、Nd、Nb、Ti、Hf、から選択される少なくとも1種、A2はSi、Pから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜12)で表されるナトリウムイオン伝導性結晶を含み、平均粒子径が0.01〜15μmであることを特徴とする。本発明者等の調査の結果、電極合材中におけるイオン伝導パスは、固体電解質粉末の平均粒子径に影響を受けることがわかった。そこで、固体電解質粉末の平均粒子径を上記の通り小さくすることにより、イオン伝導パスを多くすることができ、結果として放電容量を向上できることを見出した。また、本発明の固体電解質は、上記一般式で表されるNASICON型結晶からなるため、大気中で安定であり安全性に優れ、かつイオン伝導性に優れる、という特徴も有する。
本発明の別の局面の固体電解質粉末は、一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Zr、Nd、Nb、Ti、Hf、から選択される少なくとも1種、A2はSi、Pから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜12)で表されるナトリウムイオン伝導性結晶を含み、比表面積が1.5〜200m/gであることを特徴とする。固体電解質粉末の比表面積を上記の通り大きくすることによっても、電極合材中のイオン伝導パスを多くすることができ、結果として放電容量を向上させることができる。
本発明の固体電解質粉末は、ナトリウムイオン伝導性結晶が、単斜晶系または三方晶系のNASICON構造を有することが好ましい。このようにすれば、イオン伝導性をより一層高めることができる。
本発明の固体電解質粉末は、モル%でNaO 10〜40%、ZrO 10〜45%、SiO 10〜50%、P 2〜40%を含有することが好ましい。
本発明の固体電解質粉末は、さらに、モル%でAl+Y+TiO+Nb+HfO+Nd+Yb 0.1〜35%を含有することが好ましい。
本発明の固体電解質粉末は、ナトリウムイオン二次電池用であることが好ましい。
本発明の電極合材前駆体は、上記の固体電解質粉末と、活物質前駆体粉末とを含有することを特徴とする。
本発明の電極合材前駆体は、活物質前駆体粉末の平均粒子径が0.01〜15μmであることが好ましい。
本発明の電極合材前駆体は、固体電解質粉末の平均粒子径/活物質前駆体粉末の平均粒子径が0.5〜25であることが好ましい。このようにすれば、活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の間の空隙が小さくなって、両粉末の接触面積が確保しやすくなるため、電極合材のイオン伝導性が向上しやすくなる。
本発明の電極合材前駆体は、活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比が20:80〜95:5であることが好ましい。
本発明の電極合材は、上記の電極合材前駆体の焼結体からなることを特徴とする。
本発明の全固体ナトリウムイオン二次電池は、上記の電極合材を用いてなることを特徴とする。
本発明の固体電解質粉末は、安全性に優れ、また電極合材として使用した場合にイオン伝導パスを多くすることができ、高容量な全固体電池を得ることが可能となる。
(1)固体電解質粉末
本発明の固体電解質粉末は、一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Zr、Nd、Nb、Ti、Hfから選択される少なくとも1種、A2はSi、Pから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜12)で表されるナトリウムイオン伝導性結晶を含む。特に、単斜晶系または三方晶系のNASICON型結晶であればイオン伝導性に優れるため好ましい。
上記一般式における各係数の値を上記の通り定めた理由を以下に説明する。
sは1.4〜5.2であり、2〜4、特に2.8〜3.1であることが好ましい。sが小さすぎると、イオン伝導に寄与するナトリウムイオンが少なくなるためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、sが大きすぎると、余剰のナトリウムがナトリウムイオン伝導に寄与しない化合物(リン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウム等)を形成するため、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
tは1〜2.9であり、1.2〜2.1、特に1.3〜2であることが好ましい。tが小さすぎると、ナトリウムイオンが伝導する三次元構造チャネルが減少するため、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、tが大きすぎると、イオン伝導に寄与しない化合物(ジルコニアやアルミナ等)を形成するため、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
uは2.8〜4.1であり、2.9〜3.2、特に2.95〜3.1であることが好ましい。uが小さすぎると、ナトリウムイオンが伝導する三次元網目構造が減少するためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、uが大きすぎると、イオン伝導に寄与しない結晶を形成するためナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
vは9〜12であり、10〜12、特に11〜12であることが好ましい。vが小さすぎると、A1成分が低価数になるため電気絶縁性が低下しやすくなり、固体電解質として機能しなくなるおそれがある。一方、vが大きすぎると、過酸化状態となるためナトリウムイオンが酸素原子の孤立電子対から束縛され、結果としてナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
上記一般式NaA1A2で表される結晶の具体例としては、NaZrSiPO12、Na3.2Zr1.3Si2.20.810.5、NaZr1.6Ti0.4SiPO12、NaHfSiPO12、Na3.4Zr0.9Hf1.4Al0.6Si1.21.812、NaZr1.7Nb0.24SiPO12、Na3.6Ti0.20.8Si2.8、NaZr1.880.12SiPO12、Na3.12Zr1.880.12SiPO12、Na3.6Zr0.13Yb1.67Si0.112.912等が挙げられる。
本発明の固体電解質粉末は、モル%でNaO 10〜40%、ZrO 10〜45%、SiO 10〜50%、P 2〜40%を含有することが好ましい。各成分の含有量をこのように限定した理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量の説明において、「%」は「モル%」を意味する。
NaOは固体電解質にナトリウムイオン伝導性を付与する成分である。NaOの含
有量は10〜40%、20〜30%、特に25〜27%であることが好ましい。NaOが少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、NaOが多すぎると、余剰のナトリウムがNaAlO等のイオン伝導性に寄与しない化合物を形成するため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
ZrOは三次元構造を形成し、ナトリウムイオンが伝導するための空間を形成するための成分である。ZrOの含有量は10〜45%、20〜40%、特に25〜35%であることが好ましい。ZrOが少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、ZrOが多すぎると、ZrO結晶が析出しイオン伝導を阻害するためイオン伝導性が低下しやすくなる。
SiOは網目形成成分である。SiOの含有量は10〜50%、20〜45%、特に30〜35%であることが好ましい。SiOが少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、SiOが多すぎると、クリストバライトやケイ酸ナトリウム等のナトリウムイオン伝導に寄与しない結晶が析出するため、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
は網目形成成分である。Pの含有量は2〜40%、5〜36%、特に7〜10%であることが好ましい。Pが少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Pが多すぎると、リン酸ナトリウム等のナトリウムイオン伝導に寄与しない結晶が析出するため、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
本発明の固体電解質粉末は、上記成分以外にモル%でAl+Y+TiO+Nb+HfO+Nd+Yb 0.1〜35%、特に0.5〜20%を含有することが好ましい。このようにすれば、これらの成分がドーパントの役割をしてイオン伝導性を向上させることができる。ただし、これらの成分が多すぎるとZrOの三次元構造の形成を阻害するためイオン伝導性が低下しやすくなる。なお、「Al+Y+TiO+Nb+HfO+Nd+Yb」はこれら各成分の含有量の合量を意味する。
本発明の固体電解質粉末の平均粒子径は0.01〜15μmであり、0.05〜10μm、特に0.1〜5μmであることが好ましい。固体電解質粉末の平均粒子径が大きすぎると、ナトリウムイオン伝導に要する距離が長くなりイオン伝導性が低下する傾向がある。また、活物質粉末と固体電解質粉末との間のイオン伝導パスが減少する傾向がある。結果として、放電容量が低下しやすくなる。一方、固体電解質粉末の平均粒子径が小さすぎると、ナトリウムイオンの溶出や炭酸ガスとの反応による劣化が起こってイオン伝導性が低下しやすくなる。また、電極合材において活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の間に空隙が形成されやすくなるため、電極密度が低下しやすくなる。結果として、放電容量が低下する傾向がある。
本発明において、平均粒子径はD50(体積基準の平均粒子径)を意味し、レーザー回折散乱法により測定された値を指すものとする。
また、平均粒子径とは別の観点で、本発明の固体電解質粉末の比表面積(BET比表面積)は1.5〜200m/gであり、2〜100m/g、特に2.5〜50m/gであることが好ましい。固体電解質粉末の比表面積が小さすぎると、ナトリウムイオン伝導に要する距離が長くなりイオン伝導性が低下する傾向がある。また、活物質粉末と固体電解質粉末との間のイオン伝導パスが減少する傾向がある。結果として、放電容量が低下しやすくなる。一方、固体電解質粉末の比表面積が大きすぎると、ナトリウムイオンの溶出や炭酸ガスとの反応による劣化が起こってイオン伝導性が低下しやすくなる。また、電極合材において活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の間に空隙が形成されやすくなるため、電極密度が低下しやすくなる。結果として、放電容量が低下する傾向がある。
なお、比表面積は、吸着質として窒素を使用したBET一点法により測定した値を指す。
本発明の固体電解質粉末の25℃におけるイオン伝導度は10−5S/cm以上、特に10−4S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導度が低すぎると、イオン伝導性物質として機能しなくなる。一方、イオン伝導度の上限は特に限定されないが、現実的には10S/cm以下、さらには1S/cm以下である。
本発明の固体電解質粉末は、例えば原料粉末を焼成して固相反応させて目的生成物を得た後、所定の平均粒子径または比表面積となるように粉砕することにより作製することができる。粉砕後の粉末を空気分級機等を用いて分級することにより、所望の平均粒子径を有する固体電解質粉末が得られやすくなる。
(2)電極合材
本発明の電極合材は、上記の固体電解質粉末と、活物質前駆体粉末とを含有する電極合材前駆体の焼結体からなることを特徴とする。具体的には、電極合材前駆体を焼成することにより、活物質前駆体粉末が例えば結晶化して活物質粉末になるとともに、固体電解質粉末と焼結することにより電極合材が得られる。
活物質前駆体粉末の平均粒子径は0.01〜15μm、0.05〜12μm、特に0.1〜10μmであることが好ましい。活物質前駆体粉末の平均粒子径が小さすぎると、活物質前駆体粉末同士の凝集力が強くなり、ペースト化した際に分散性に劣る傾向がある。その結果、電池の内部抵抗が高くなり作動電圧が低下しやすくなる。また、電極密度が低下して電池の単位体積あたりの容量が低下する傾向がある。一方、活物質前駆体粉末の平均粒子径が大きすぎると、ナトリウムイオンが拡散しにくくなるとともに、内部抵抗が大きくなる傾向がある。また、電極の表面平滑性に劣る傾向がある。
活物質前駆体粉末に対する固体電解質粉末の平均粒子径比(固体電解質粉末の平均粒子径/活物質前駆体粉末の平均粒子径)は0.5〜25、0.7〜20、特に1.0〜15であることが好ましい。上記平均粒子径比が小さすぎるまたは大きすぎると、活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の間の空隙が大きくなって両者の接触面積が小さくなるため、イオン伝導性が低下する傾向がある。
活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は20:80〜95:5、30:70〜90:10、特に35:65〜88:12であることが好ましい。活物質前駆体粉末の割合が少なすぎる(固体電解質粉末の割合が多すぎる)と、電極単位体積あたりの容量が低下し、電池のエネルギー密度が低下する傾向にある。一方、活物質前駆体粉末の割合が多すぎる(固体電解質粉末の割合が少なすぎる)と、イオン伝導パスが確保できず電極合材のイオン伝導性が低下するため、結果的に放電容量が低下する傾向がある。
なお電極合材前駆体の焼結体である電極合材において、活物質粉末に非晶質相が含まれることが好ましい。この場合、活物質粉末と固体電解質粉末との界面に非晶質相が介在しやすくなって、活物質粉末と固体電解質粉末の間の界面抵抗が低下しやすくなり、イオン伝導パスが多くなる。また、電極合材層と固体電解質層との界面に非晶質相が介在することにより、電極合材層と固体電解質層の接着強度が高くなる。以上により、放電容量が大きくなりやすい。また、急速充放電特性の向上が期待される。なお、活物質粉末と固体電解質粉末との界面に非晶質相が介在することにより、両者の間における原子拡散が抑制し、各粉末が化学的に分解することが抑制される。
電極合材前駆体の焼結体である電極合材において、下記の方法により算出される固体電解質粉末の分布密度は5000個/mm以上、10000個/mm以上、特に20000個/mm以上であることが好ましい。固体電解質粉末の分布密度が小さすぎると、イオン伝導パスが確保できず電極合材のイオン伝導性が低下するため、結果的に放電容量が低下する傾向がある。一方、分布密度の上限は特に限定されないが、現実的には500000個/mm以下、さらには300000個/mm以下である。
電極合材における固体電解質粉末の分布密度の求め方は以下の通りである。電極合材の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に10視野ずつ写真を撮影する。写真に撮影された固体電解質粉末の個数を計測してその平均値から分布密度(個/mm)を算出する。なお、固体電解質粉末の確認は、例えばSEMに付属している特性X線分析装置(EDX)を使用して行う。
以下、活物質粉末について詳細に説明する。活物質粉末には正極活物質粉末と負極活物質粉末があり、充放電の際にナトリウムイオンの吸蔵及び放出を行う。
正極活物質粉末として作用する活物質結晶としては、Na、M(MはCr、Fe、Mn、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素)、P及びOを含むナトリウム遷移金属リン酸塩結晶が挙げられる。具体例としては、NaFeP、NaFePO、Na(PO、NaNiP、Na3.64Ni2.18(P、NaNi(PO(P)等が挙げられる。当該ナトリウム遷移金属リン酸塩結晶は、高容量で化学的安定性に優れるため好ましい。なかでも空間群P1またはP−1に属する三斜晶系結晶、特に一般式Na(1.2≦x≦2.8、0.95≦y≦1.6、6.5≦z≦8)で表される結晶がサイクル特性に優れるため好ましい。その他に正極活物質として作用する活物質結晶としては、NaCrO、Na0.7MnO、NaFe0.2Mn0.4Ni0.4等の層状ナトリウム遷移金属酸化物結晶が挙げられる。
負極活物質粉末は、酸化物換算のモル%で、Bi 0〜90%、TiO 0〜90%、Fe 0〜90%、Nb 0〜90%、SiO+B+P 5〜75%、NaO 0〜80%を含有することが好ましい。上記構成にすることにより、活物質成分であるBiイオン、Tiイオン、FeイオンまたはNbイオンがSi、BまたはPを含有する酸化物マトリクス中に均一に分散した構造が形成される。また、NaOを含有することによりナトリウムイオン伝導性に優れた材料となる。結果として、ナトリウムイオンを吸蔵及び放出する際の体積変化を抑制でき、サイクル特性に優れた負極活物質を得ることが可能となる。
負極活物質の組成を上記の通り限定した理由を以下に説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。
Bi、TiO、Fe及びNbはアルカリイオンを吸蔵及び放出するサイトとなる活物質成分である。これらの成分を含有させることにより、負極活物質の単位質量当たりの放電容量が大きくなり、かつ、初回充放電時の充放電効率(充電容量に対する放電容量の比率)が向上しやすくなる。ただし、これらの成分の含有量が多すぎると、充放電時のナトリウムイオンの吸蔵及び放出に伴う体積変化を緩和できずに、サイクル特性が低下する傾向がある。以上に鑑み、各成分の含有量範囲は以下の通りとすることが好ましい。
Biの含有量は0〜90%、10〜70%、15〜65%、特に25〜55%であることが好ましい。TiOの含有量は0〜90%、5〜72%、10〜68%、12〜58%、15%〜49%、特に15〜39%であることが好ましい。Feの含有量は0〜90%、15〜85%、20〜80%、特に25〜75%であることが好ましい。Nbの含有量は0〜90%、7〜79%、9〜69%、11〜59%、13〜49%、特に15〜39%であることが好ましい。なお、Bi+TiO+Fe+Nbは0.1〜90%、5〜85%、特に10〜80%であることが好ましい。
SiO、B及びPは網目形成酸化物であり、上記活物質成分におけるナトリウムイオンの吸蔵及び放出サイトを取り囲み、サイクル特性を向上させる作用がある。なかでもSiO及びPはサイクル特性を向上させるだけでなく、ナトリウムイオン伝導性に優れるため、レート特性を向上させる効果がある。SiO+B+Pは5〜85%、6〜79%、7〜69%、8〜59、9〜49%、特に10〜39%であることが好ましい。SiO+B+Pが少なすぎると、充放電時のナトリウムイオンの吸蔵及び放出に伴う活物質成分の体積変化を緩和できず構造破壊を起こすため、サイクル特性が低下しやすくなる。一方、SiO+B+Pが多すぎると、相対的に活物質成分の含有量が少なくなり、負極活物質の単位質量当たりの充放電容量が小さくなる傾向がある。
なお、SiO、B及びPの各々の含有量の好ましい範囲は以下の通りである。
SiOの含有量は0〜75%、5〜75%、7〜60%、10〜50%、12〜40%、特に20〜35%であることが好ましい。SiOの含有量が多すぎると、放電容量が低下しやすくなる。
の含有量は5〜75%、7〜60%、10〜50%、12〜40%、特に20〜35%であることが好ましい。Pの含有量が少なすぎると、上記の効果が得られにくくなる。一方、Pの含有量が多すぎると、放電容量が低下しやすくなるとともに、耐水性が低下しやすくなる。また、水系電極ペーストを作製した際に、望まない異種結晶が生じてPネットワークが切断されるため、サイクル特性が低下しやすくなる。
の含有量は0〜75%、5〜75%、7〜60%、10〜50%、12〜40%、特に20〜35%であることが好ましい。Bの含有量が多すぎると、放電容量が低下しやすくなるとともに、化学的耐久性が低下しやすくなる。
また負極活物質として、一般式Rx1R´x2MA(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも一種、R´はMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも一種、MはTi、V及びNbから選択される少なくとも一種、AはP、Si、B及びAlから選択される少なくとも一種、0≦x1≦6、0≦x2≦6、0<y≦12、0.2≦z≦87、但し、x1=0.5かつx2=0である場合、及び、x1=1.5かつx2=0である場合を含まない)で表される結晶相を含有するものが挙げられる。特に、一般式RTiP(RはLi、Na及びKから選択される少なくとも一種、0.5<x≦6、0.25≦y≦4、2.5≦z≦16、但しx=1.5を含まない)で表される結晶相を含有することが好ましい。以下、当該結晶相について詳細に説明する。
xの範囲は、0.5<x≦6、1≦x≦5.8、2≦x≦5.7、3≦x≦5.6、4≦x≦5.5、特に5≦x≦5.4であることが好ましい(但し、x=1.5を含まない)。xが小さすぎると、初回充電時にアルカリイオンが負極活物質中に吸収されやすくなり、初回充放電効率が低下しやすくなる。また、アルカリイオン伝導性が低下することで高抵抗化し、放電電圧が上昇する傾向にある。電池の作動電圧は正極の作動電圧と負極の作動電圧の差で決定されるため、負極の放電電圧が上昇すると、電池としての作動電圧が小さくなる傾向にある。一方、xが大きすぎると、アルカリイオンとPからなる異種結晶(例えばNa、NaPO)が多量に形成され、サイクル特性が低下しやすくなる。また、活物質成分の含有量が相対的に低下するため放電容量が低下する傾向にある。
yの範囲は、0.25≦y≦4、1≦y≦3.8、1.5≦y≦3.6、2≦y≦3.4、特に3≦y≦3.2であることが好ましい。yが小さすぎると、アルカリイオン伝導性が低下したり、サイクル特性が低下する傾向にある。一方、yが大きすぎると、耐水性が低下しやすくなって、水系電極ペーストを作製した際に望まない異種結晶が生じやすくなる。その結果、負極活物質中のPネットワークが切断されて、サイクル特性が低下しやすくなる。
zの範囲は、2.5≦z≦16、3≦z≦15、4≦z≦14、6≦z≦13、特に9≦z≦12であることが好ましい。zが小さすぎると、Tiが還元されて低価数化するため、充放電に伴うレドックス反応が起こりにくくなる。その結果、吸蔵及び放出されるアルカリイオンが少なくなり、蓄電デバイスの容量が低下する傾向にある。一方、zが大きすぎると、Pを含む異種結晶(例えばNa、NaPO)が多量に形成され、サイクル特性が低下しやすくなる。また、活物質成分の含有量が相対的に低下するため放電容量が低下する傾向にある。
一般式RTiPで表される結晶相としては、NaTiP[NaTiO(PO]、NaTiP12[NaTi(PO]、NaTiP8.5[Na(TiO)Ti(PO]、Na3.91TiP[Na3.91TiO(PO]、NaTiP1.676.67[NaTi(PO]、NaTiP[NaTi(PO]、NaTiP1.5[NaTi(PO]、NaTiP及びNaTiPO[NaTiOPO]から選択される少なくとも一種が好ましい([ ]内は示性式を示す)。これらの結晶相は、充放電に伴うTi4+/Ti3+の酸化還元電位を約1.2V(vs.Na/Na)まで低下させることができる上に、充放電に伴う電圧変動が小さく一定の作動電圧が得られやすい。なかでもNa3.91(TiP)、NaTiP、NaTiP12が好ましく、イオン伝導性に優れるNaTiP12が最も好ましい。なお、Na3.91TiP及びNaTiPは単斜晶系結晶であり空間群P21/cに属する。また、NaTiP12は六方晶系結晶であり空間群R32に属する。
さらに負極活物質として、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種、並びにOを含む結晶を含有するものが挙げられる。当該結晶はサイクル特性に優れるため好ましい。さらに、当該結晶がNaを含むと、充放電効率が高まり、高い放電容量を維持することができるため好ましい。なかでも当該結晶が斜方晶系結晶、六方晶系結晶、立方晶系結晶または単斜晶系結晶、特に空間群P2/mに属する単斜晶系結晶であれば、大電流で充放電しても容量の低下が起こりにくいため好ましい。斜方晶系結晶としては、NaTi等が挙げられる。六方晶系結晶としては、NaTiO、NaTi13、NaTiO、LiNbO、LiNbO、LiNbO、LiNbO、LiTi等が挙げられる。立方晶系結晶としては、NaTiO、NaNbO、LiTi12、LiNbO等が挙げられる。単斜晶系結晶としては、NaTi13、NaTi、NaTiO、NaTi12、NaTi、NaTi19、NaTi、NaTi、Li1.7Nb、Li1.9Nb、Li12Nb1333、LiNb等が挙げられる。空間群P21/mに属する単斜晶系結晶としては、NaTi等が挙げられる。
Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種、並びにOを含む結晶は、さらにB、Si、P及びGeから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの成分は、活物質結晶とともに非晶質相を形成させやすくし、ナトリウムイオン伝導性を向上させる効果を有する。
(3)全固体ナトリウムイオン二次電池
全固体ナトリウムイオン二次電池は、例えば正極層及び負極層と、その間に挟持されてなる固体電解質層とを有する。本発明の全固体ナトリウムイオン二次電池では、正極層または負極層として、上記の電極合材を使用する。
固体電解質層に使用する固体電解質と、電極合材に使用する固体電解質粉末は同じ物質からなることが好ましい。このようにすれば、固体電解質層と電極合材層の間での界面抵抗が小さくなり、イオン伝導性が向上しやすくなる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表1〜4は実施例1〜20及び比較例1〜4を示す。
(a)固体電解質の作製
(a−1)固体電解質粉末の作製
炭酸ナトリウム(NaCO)、イットリウムの含有率が3.0%のイットリア安定化ジルコニア((ZrO0.97(Y0.03))、二酸化ケイ素(SiO)、メタリン酸ナトリウム(NaPO)を用いて、モル%で、NaO 25.3%、ZrO 31.6%、Y 1.0%、SiO 33.7%、P 8.4%の組成となるように原料粉末を調合した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。そして、エタノールを蒸発させ、原料粉末を1100℃で8時間仮焼成した後、粉砕し空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS−3型)を使用して空気分級した。分級した粉末はφ20mmの金型を用いて40MPaで一軸プレスにより成型し、1220℃、40時間熱処理を行うことでNASICON結晶を含有する固体電解質を得た。なお、いずれの作業も露点−40℃以下の雰囲気で行った。
得られた固体電解質をアルミナ乳鉢乳棒で粉砕し、目開き300μmのメッシュを通過させた。通過した粉末を、φ5mmのZrO玉石を投入したFritsch社製遊星ボールミルP6を用いて300rpm−30分間(15分毎に15分間休止)粉砕し、目開き20μmのメッシュを通過させた。その後、空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS−3型)を使用して空気分級することにより、NASICON結晶を含有する固体電解質粉末を得た。なお、比較例1〜4では、NASICON結晶を含有する固体電解質をアルミナ乳鉢乳棒で粉砕し、目開き63μmのメッシュを通過させて得られた固体電解質粉末を用いた。得られた固体電解質粉末の平均粒子径及びBET比表面積を表1〜4に示す。なお、いずれの作業も露点−40℃以下の雰囲気で行った。
(a−2)固体電解質層Aの作製
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化アルミニウム(Al)及び酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)を原料とし、モル%で、NaO 14.2%、Al 75.4%、MgO 5.4%、ZrO4.9%、Y 0.1%となるように原料粉末を調製した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。エタノールを蒸発させた後、原料粉末を1250℃で4時間仮焼成した後、粉砕し空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS−3型)を使用して空気分級した。分級した粉末は、バインダーとしてアクリル酸エステル系共重合体(共栄社化学製オリコックスKC−7000)、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチルを用い、原料粉末:バインダー:可塑剤=83.5:15:1.5(質量比)となるように秤量し、N−メチルピロリドン中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
PETフィルム上に、間隙350μmのドクターブレードを用いて上記で得られたスラリーを塗布し、70℃で乾燥することによりグリーンシートを得た。
得られたグリーンシートを、等方圧プレス装置を用いて90℃、40MPaで5分間プレスした。プレス後のグリーンシートを露点−40℃以下の雰囲気で1600℃で30分間焼成することにより厚さ70μmのβ−アルミナ及びβ”−アルミナを含む固体電解質層を得た。
(a−3)固体電解質層Bの作製
炭酸ナトリウム(NaCO)、イットリウムの含有率が3.0%のイットリア安定化ジルコニア((ZrO0.97(Y0.03))、二酸化ケイ素(SiO)、メタリン酸ナトリウム(NaPO)を用いて、モル%で、NaO 25.3%、ZrO 31.6%、Y 1.0%、SiO 33.7%、P 8.4%の組成となるように原料粉末を調合した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。そして、エタノールを蒸発させ、原料粉末を1100℃で8時間仮焼成した後、粉砕し空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS−3型)を使用して空気分級した。分級した粉末は、バインダーとしてアクリル酸エステル系共重合体(共栄社化学製オリコックスKC−7000)、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチルを用い、原料粉末:バインダー:可塑剤=83.5:15:1.5(質量比)となるように秤量し、N−メチルピロリドン中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
PETフィルム上に、間隙350μmのドクターブレードを用いて上記で得られたスラリーを塗布し、70℃で乾燥することによりグリーンシートを得た。
得られたグリーンシートを、等方圧プレス装置を用いて90℃、40MPaで5分間プレスした。プレス後のグリーンシートを露点−40℃以下の雰囲気で1220℃で40時間焼成することにより厚さ70μmのNASICON結晶を含有する固体電解質からなる固体電解質層を得た。
(b)活物質前駆体粉末の作製
(b−1)正極活物質前駆体粉末の作製
メタリン酸ナトリウム(NaPO)、酸化第二鉄(Fe)及びオルソリン酸(HPO)を原料とし、モル%で、NaO 40%、Fe 20%、P 40%の組成となるように原料粉末を調合し、1250℃にて45分間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対の冷却ローラーに溶融ガラスを流し込み、急冷しながら成形することによりフィルム状ガラスを作製した。
得られたフィルム状ガラスについて、φ20mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を5時間行い、目開き120μmの樹脂製篩に通過させ、平均粒子径3〜15μmのガラス粗粉末を得た。次いで、このガラス粗粉末に対し、粉砕助剤にエタノールを用い、φ3mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を80時間行うことで、平均粒子径0.7μmのガラス粉末(正極活物質前駆体粉末)を得た。なお、実施例4、9では、上記のガラス粗粉末を空気分級機を使用して空気分級することにより正極活物質前駆体粉末を得た。
析出する活物質結晶を確認するため、質量%で、正極活物質前駆体粉末 93%、アセチレンブラック(TIMCAL社製 SUPER C65) 7%を十分に混合した後、窒素と水素の混合ガス雰囲気(窒素96体積%、水素4体積%)中550℃にて1時間熱処理を行った。熱処理後の粉末について粉末X線回折パターンを確認したところ、空間群P−1に属する三斜晶系結晶(NaFeP)由来の回折線が確認された。なお、粉末X線回折パターンは、X線回折装置(RIGAKU社 RINT2000)を用いて測定した。
(b−2)負極活物質前駆体粉末の作製
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化チタン(TiO)及び無水ホウ酸(B)を原料とし、モル%で、NaO 36%、TiO 49%、B 15%となるように原料粉末を調合し、1300℃にて1時間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対の冷却ローラーに溶融ガラスを流し込み、急冷しながら成形することによりフィルム状ガラスを得た。
得られたフィルム状ガラスについて、φ20mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を5時間行い、目開き120μmの樹脂製篩に通過させ、平均粒子径3〜15μmのガラス粗粉末を得た。次いで、このガラス粗粉末に対し、粉砕助剤にエタノールを用い、φ3mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を80時間行うことで、平均粒子径0.7μmのガラス粉末(負極活物質前駆体粉末)を得た。なお、実施例14、19では、上記のガラス粗粉末を空気分級機を使用して空気分級することにより負極活物質前駆体粉末を得た。
析出する活物質結晶を確認するため、得られた負極活物質前駆体粉末を大気雰囲気中800℃にて1時間熱処理を行った。熱処理後の粉末について粉末X線回折パターンを確認したところ、空間群P2/mに属する単斜晶系結晶(NaTi)由来の回折線が確認された。
(c)電極合材層の作製
(c−1)正極合材層の作製
質量%で、正極活物質前駆体粉末 72%、(a−1)で作製した固体電解質粉末 25%、アセチレンブラック 3%(正極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は76:24)となるように秤量し、メノウ製の乳鉢及び乳棒を用いて約2時間混合した。なお、実施例5及び10では、質量%で、正極活物質前駆体粉末 56%、固体電解質粉末 41%、アセチレンブラック 3%(正極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は60:40)となるように秤量し、混合した。得られた混合粉末100質量部に対し、N−メチルピロリドンを20質量部(10質量%のポリプロピレンカーボネート(住友精化株式会社製)を含有)添加して、自転公転ミキサーを用いて十分に撹拌し、スラリー化した。なお、上記の操作はすべて露点−40℃以下の環境で行った。
得られたスラリーを、(a−2)で作製した固体電解質層Aの一方の表面に、1cmの面積、70μmの厚さで塗布し、70℃で3時間乾燥させた。次に、窒素と水素の混合ガス雰囲気(窒素96体積%、水素4体積%)中550℃にて1時間焼成した。これにより、固体電解質層の一方の表面に正極合材層が形成されてなる実施例1〜5及び比較例1の試料を得た。また、実施例6〜10及び比較例2では、(a−3)で作製した固体電解質層Bの一方の表面に同様の方法で正極合材層を形成することにより試料を作製した。得られた正極合材層についてX線回折パターンを確認したところ、活物質結晶である空間群P−1に属する三斜晶系結晶(NaFeP)、及び、ナトリウムイオン伝導性結晶である空間群R−3cに属する三方晶系結晶(NASICON[Na3.05ZrSi2。060.9512])由来の回折線が確認された。また、得られた正極合材層を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、一部の領域において結晶構造に相当する格子像は見られず、非晶質相の存在が確認された。
(c−2)負極合材層の作製
質量%で、負極活物質前駆体粉末 72%、(a−1)で作製した固体電解質粉末 25%、アセチレンブラック 3%(正極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は76:24)となるように秤量し、メノウ製の乳鉢及び乳棒を用いて約2時間混合した。なお、実施例15及び20では、質量%で、正極活物質前駆体粉末 56%、固体電解質粉末 41%、アセチレンブラック 3%(正極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は60:40)となるように秤量、混合した。得られた混合粉末100質量部に対し、N−メチルピロリドン(10質量%のポリプロピレンカーボネート(住友精化株式会社製)を含有)を20質量部添加して、自転公転ミキサーを用いて十分に撹拌し、スラリー化した。なお、上記の操作はすべて露点−40℃以下の環境で行った。
得られたスラリーを、(a−2)で作製した固体電解質層Aの一方の表面に、1cmの面積、70μmの厚さで塗布し、70℃で3時間乾燥させた。次に、窒素雰囲気中800℃にて1時間焼成した。これにより、固体電解質層の一方の表面に負極合材層が形成されてなる実施例11〜15及び比較例3の試料を得た。また、実施例16〜20及び比較例4では、(a−3)で作製した固体電解質層Bの一方の表面に同様の方法で負極合材層を形成することにより試料を作製した。得られた負極合材層についてX線回折パターンを確認したところ、活物質結晶である空間群P2/mに属する単斜晶系結晶(NaTi)、及び、ナトリウムイオン伝導性結晶である空間群R−3cに属する三方晶系結晶(NASICON[Na3.05ZrSi2。060.9512])由来の回折線が確認された。また、得られた負極合材層を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、一部の領域において結晶構造に相当する格子像は見られず、非晶質相の存在が確認された。
(d)全固体電池の作製
(c)で得られた固体電解質層と電極合材層の積層体について、電極合材層の固体電解質層とは反対側の表面に、スパッタ装置(サンユー電子株式会社製 SC−701AT)を用いて厚さ300nmの金電極からなる集電体層を形成した。その後、露点−60℃以下のアルゴン雰囲気中にて、固体電解質層の電極合材層とは反対側の表面に、対極となる金属ナトリウムを圧着し、コインセルの下蓋の上に載置した後、上蓋を被せてCR2032型試験電池を作製した。
(e)充放電試験
得られた試験電池を用いて60℃で充放電試験を行い、放電容量及び平均放電電圧を測定した。なお、充放電試験において、正極活物質を用いた電池については、充電(正極活物質からのナトリウムイオン放出)は、開回路電圧(OCV)から4.3VまでCC(定電流)充電により行い、放電(正極活物質へのナトリウムイオン吸蔵)は、4.3Vから2VまでCC放電により行った。一方、負極活物質を用いた電池については、充電(負極活物質へのナトリウムイオン吸蔵)は、開回路電圧(OCV)から0VまでCC充電により行い、放電(負極活物質からのナトリウムイオン放出)は、0Vから2VまでCC放電により行った。Cレートは0.01C及び0.1Cとした。なお、放電容量は、正極合材層に含まれる正極活物質の単位質量当たりに対して放電された電気量とした。結果を表1、〜4に示す。
表1、2から明らかなように、正極活物質を用いた実施例1〜10の電池は、固体電解質粉末の粒子径が1〜4μm、BET比表面積が2.9〜6.7m/gであり、放電容量は0.01Cで50〜68mAh/g、0.1Cで20〜32mAh/gと良好であった。一方、比較例1、2では固体電解質粉末の平均粒子径が25μm、BET比表面積が0.9m/gであり、放電容量は0.01Cで15〜17mAh/g、0.1Cで2〜3mAh/gと小さくなった。また、表3、4から明らかなように、負極活物質を用いた実施例11〜20の電池では、放電容量は0.01Cで45〜60mAh/g、0.1Cで17〜24mAh/gと良好であったのに対し、比較例3、4では放電容量は0.01Cで12〜13mAh/g、0.1Cで3mAh/gと小さくなった。

Claims (12)

  1. 一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Zr、Nd、Nb、Ti、Hf、から選択される少なくとも1種、A2はSi、Pから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜12)で表されるナトリウムイオン伝導性結晶を含み、平均粒子径が0.01〜15μmであることを特徴とする固体電解質粉末。
  2. 一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Zr、Nd、Nb、Ti、Hfから選択される少なくとも1種、A2はSi、Pから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜12)で表されるナトリウムイオン伝導性結晶を含み、比表面積が1.5〜200m/gであることを特徴とする固体電解質粉末。
  3. ナトリウムイオン伝導性結晶が、単斜晶系または三方晶系のNASICON構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解質粉末。
  4. モル%でNaO 10〜40%、ZrO 10〜45%、SiO 10〜50%、P 2〜40%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体電解質粉末。
  5. さらに、モル%でAl+Y+TiO+Nb+HfO+Nd+Yb 0.1〜35%を含有することを特徴とする請求項4に記載の固体電解質粉末。
  6. ナトリウムイオン二次電池用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体電解質粉末。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体電解質粉末と、活物質前駆体粉末とを含有することを特徴とする電極合材前駆体。
  8. 活物質前駆体粉末の平均粒子径が0.01〜15μmであることを特徴とする請求項7に記載の電極合材前駆体。
  9. (固体電解質粉末の平均粒子径)/(活物質前駆体粉末の平均粒子径)が0.5〜25であることを特徴とする請求項7または8に記載の電極合材前駆体。
  10. 活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比が20:80〜95:5であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の電極合材前駆体。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載の電極合材前駆体の焼結体からなることを特徴とする電極合材。
  12. 請求項11に記載の電極合材を用いてなることを特徴とする全固体ナトリウムイオン二次電池。
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