JP2023016639A - 固体電解質およびリチウムイオン電池 - Google Patents

固体電解質およびリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】900℃未満の低温焼結で高リチウムイオン伝導性を実現可能な固体電解質、また、これを用いたリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】固体電解質1は、固体電解質粒子10と、非溶融相11とを有する。固体電解質粒子10は、ガーネット型の結晶構造を有し、BiおよびSbのうち少なくとも一方からなるM3元素を含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される。非溶融相11は、上記リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成されており、固体電解質粒子10の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に存在する。リチウムイオン電池2は、固体電解質1を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質およびリチウムイオン電池に関する。
近年、電解質に固体電解質を用いるリチウムイオン電池(全固体電池と称されることがある。)が知られている。リチウムイオン電池に用いられる固体電解質としては、例えば、Li、La、Zr、および、Oを含むガーネット型の結晶構造を有する固体電解質などが知られている。
先行する特許文献1には、Al、Gaなどがドープされたジルコン酸ランタンリチウムからなるガーネット型結晶質の第1電解質と、Nb、Ta、Sb、Biの中から選ばれる2種およびLiを含むイオン伝導性で非晶質の第2電解質と、を含む固体電解質が開示されている。同文献では、上記固体電解質をリチウムイオン電池の固体電解質層、つまり、セパレータ層として用いる点が記載されている。また、同文献では、900℃以上1000℃未満の温度で本焼成を行うことにより、上記固体電解質が得られる点が記載されている。
特開2017-168396号公報
リチウムイオン電池の高出力化を図るため、固体電解質には、高いリチウムイオン伝導性が要求される。しかしながら、上述した特許文献1の固体電解質は、粒界抵抗を減じてリチウムイオン伝導性を確保するために900℃以上の高温焼結が必要であり、エネルギロスが大きい。また、上述した固体電解質は、正極活物質と混合し、焼結する場合に、その高い焼結温度が故に、異相が生成してしまう。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、900℃未満の低温焼結で高リチウムイオン伝導性を実現可能な固体電解質、また、これを用いたリチウムイオン電池を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、ガーネット型の結晶構造を有し、BiおよびSbのうち少なくとも一方からなるM3元素を含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子(10)と、
上記リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成されており、上記固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に存在する非溶融相(11)と、を有する、
固体電解質(1)にある。
本発明の他の態様は、上記固体電解質を有するリチウムイオン電池(2)にある。
上記固体電解質は、上記構成を有している。そのため、上記固体電解質は、900℃未満の低温焼結であっても、高リチウムイオン伝導性を実現することができる。
上記リチウムイオン電池は、上記固体電解質を有しているので、高出力化に有利である。
なお、特許請求の範囲および課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、実施形態1の固体電解質の微構造の一例を模式的に示した説明図である。 図2は、実施形態1の固体電解質の微構造の他の例(変形例)を模式的に示した説明図である。 図3は、実施形態2のリチウムイオン電池の一例を模式的に示した断面図である。 図4は、実験例1にて得られた、試料2C、試料1、および、試料2の固体電解質のSEM-EDX分析結果を示した説明図であり、(a)は試料2CのSEM像、(b)は試料2CのZr元素マッピング像、(c)は試料1のSEM像、(d)は試料1のZr元素マッピング像、(e)は試料2のSEM像、(f)は試料2のZr元素マッピング像である。 図5は、実験例2にて得られた、試料4の固体電解質のSEM-EDX分析結果を示した説明図であり、(a)はSEM像、(b)はZr元素マッピング像、(c)はSb元素マッピング像である。 図6は、実験例2にて得られた、試料7の固体電解質のSEM-EDX分析結果を示した説明図であり、(a)はSEM像、(b)はZr元素マッピング像、(c)はSb元素マッピング像、(d)はB元素マッピング像である。 図7は、実験例3にて得られた、非溶融相の面積割合(%)(横軸)と、リチウムイオン伝導率(S/cm)(縦軸)との関係を示したグラフである。 図8は、実験例4にて得られた、Li-M3-O相の面積割合(%)(横軸)とリチウムイオン伝導率(S/cm)(縦軸)との関係を示したグラフである。 図9は、実験例4にて得られた、Li-M3-O相の面積割合(%)(横軸)と、相対密度(%)(縦軸)との関係を示したグラフである。 図10は、実験例5にて得られた、Li-B-O相の面積割合(%)(横軸)と、リチウムイオン伝導率(S/cm)(縦軸)との関係を示したグラフである。 図11は、実験例5にて得られた、Li-B-O相の面積割合(%)(横軸)と、相対密度(%)(縦軸)との関係を示したグラフである。 図12は、実験例7にて得られた、固体電解質の表面にリチウム金属を接触させて190℃で熱処理した後の交流インピーダンス測定結果を示した図である。
本実施形態の固体電解質は、ガーネット型の結晶構造を有し、BiおよびSbのうち少なくとも一方からなるM3元素を含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子と、
上記リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成されており、上記固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に存在する非溶融相と、を有している。
本実施形態の固体電解質は、非溶融相を有している。非溶融相は、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成されているため、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物とは化学ポテンシャルが異なる。本実施形態の固体電解質は、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物とは化学ポテンシャルが異なる非溶融相が固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に分散されることにより、部分的に欠陥濃度が上昇し、リチウムイオンのホッピングが生じやすくなり、リチウムイオン伝導性が向上する。また、本実施形態の固体電解質は、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物がBiおよびSbのうち少なくとも一方からなるM3元素を含んでいる。そのため、本実施形態の固体電解質は、900℃未満の低温焼結で密度を高めやすく、固体電解粒子同士の界面の増加に寄与することができる。そのため、本実施形態の固体電解質は、900℃未満の低温焼結であっても、高リチウムイオン伝導性を実現することができる。なお、上記焼結温度は、固体電解質の本焼成時の最高温度を意味する。
また、本実施形態のリチウムイオン電池は、本実施形態の固体電解質を有しているので、高出力化に有利である。
以下、本実施形態の固体電解質およびリチウムイオン電池について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態の固体電解質およびリチウムイオン電池は、以下の例示によって限定されるものではない。
(実施形態1)
実施形態1の固体電解質について、図1および図2を用いて説明する。図1および図2に例示されるように、本実施形態の固体電解質1は、固体電解質粒子10と、非溶融相11と、を有している。
固体電解質1において、固体電解質粒子10は、ガーネット型の結晶構造を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される。リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物は、Bi(ビスマス)およびSb(アンチモン)のうち少なくとも一方からなるM3元素を含んでいる。リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物がM3元素を含むことにより、固体電解質1の製造時に焼結温度が900℃未満であっても、固体電解質1の密度を高めやすくなる。M3元素は、固体電解質1の低温での焼結性向上、固体電解質1とリチウム金属との接触による反応に起因する固体電解質1の分解抑制効果が大きいいなどの観点から、好ましくは、Sbであるとよい。
固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物としては、具体的には、例えば、LiLaZr12(LLZと称されることがある。)の基本組成において、少なくとも、Zr(ジルコニウム)の一部がBiおよびSbのうち少なくとも一方からなるM3元素に置換されたもの、これに加えて、Li(リチウム)の一部がAl(アルミニウム)およびGa(ガリウム)のうち少なくとも一方であるM1元素に置換されたもの、La(ランタン)の一部がCa(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Mg(マグネシウム)、Y(イットリウム)、および、Rb(ルビジウム)からなる群より選択される少なくとも1種の元素であるM2元素に置換されたもの、Zrの一部がTa(タンタル)、Nb(ニオブ)、Ge(ゲルマニウム)、Te(テルル)、Sc(スカンジウム)、および、Hf(ハフニウム)からなる群より選択される少なくとも1種の元素であるM4元素に置換されたもの、これらの組み合わせからなるものなどを例示することができる。
固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物は、より具体的には、Li7-3x+αy-z+βg(M1)La3-y(M2)Zr2-z-g(M3)(M4)12±δの組成を有する構成とすることができる。但し、上記組成において、M1元素は、AlおよびGaのうち少なくとも一方である。M2元素は、Ca、Sr、Ba、Mg、Y、および、Rbからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。M3元素は、BiおよびSbのうち少なくとも一方である。M4元素は、Ta、Nb、Ge、Te、Sc、および、Hfからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。αは、M2元素の価数によって0≦α≦2をとる。βは、M4元素の価数によって-2≦β≦1をとる。xは、0≦x≦0.4を満たす。yは、0<y≦2.8を満たす。zは、0<z<2を満たす。gは、0≦g<2を満たす。δは、酸素不定比量である。なお、上記組成における酸素部分は、「O12」、「O12+δ」、「O12-δ」のいずれであってもよい。リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物が上記組成を有する場合には、上述した効果を確実なものとすることができる。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、M1元素はGaとすることができる。この構成によれば、M1元素がAlである場合に比べて、リチウムイオン伝導性や相対密度を向上させやすいなどの利点がある。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、xは、好ましくは、0とすることができる。この場合(M1元素がドープされていない場合)には、0<xの場合(M1元素がドープされている場合)に比べ、リチウムキャリア濃度を高めやすく、また、リチウム伝導パスにドープ元素がないことにより、リチウムイオン伝導性を高めやすいなどの利点がある。0<xの場合、xは、高伝導な結晶構造であるI-43dを有する空間群を安定化させるなどの観点から、好ましくは、0.1以上、より好ましくは、0.125以上、さらに好ましくは、0.15以上とすることができる。また、xは、リチウムキャリア濃度の確保、リチウム伝導パス中の異元素を低減させるなどの観点から、好ましくは、0.3以下、より好ましくは、0.2以下、さらに好ましくは、0.175以下とすることができる。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、M2元素は、好ましくは、Ca、Sr、Baなどとすることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。M2元素がCa、Sr、および、Baからなる群より選択される少なくとも1種である場合には、M2元素がMg、Y、Rbなどである場合に比べ、低温で焼結を進行させることができる。上記M2元素の内、特に好ましくは、Caである。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、yは、M1元素やM3元素ドープによるリチウムキャリア濃度を確保するなどの観点から、好ましくは、0.01以上、より好ましくは、0.02以上とすることができる。また、yは、固溶限界を超えた異相形成を回避するなどの観点から、好ましくは、0.5以下、より好ましくは、0.4以下、さらに好ましくは、0.3以下とすることができる。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、M3元素は、固体電解質1の低温での焼結性向上、固体電解質1とリチウム金属との接触による反応に起因する固体電解質1の分解抑制効果が大きいなどの観点から、好ましくは、Sbであるとよい。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、zは、焼結性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、0.1以上、より好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、0.5以上とすることができる。また、zは、リチウムキャリア濃度を過度に減少させないなどの観点から、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.0以下、さらに好ましくは、0.8以下とすることができる。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、M4元素は、リチウムキャリア濃度調整元素であり、必要に応じて添加できる。M4元素は、リチウムキャリア濃度を高めやすいなどの観点から、好ましくは、Hf、Sc、Geなどを用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらの内、特に好ましくは、Scである。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、gは、格子定数や焼結性を低下させないなどの観点から、好ましくは、0であるとよい。これは次の理由が考えられるためである。イオン半径の観点から、Sc以外は格子定数の低下を招く。詳細な理由は明確ではないが、格子定数低下を招かないScを入れた場合には、焼結性が低下する。これは、Sc-OとZr-Oの結合力を考えた場合、Sc-Oの結合力の方が弱いので、それによって、Zr-Oの結合力が、Scをドープしない場合よりも高まり、焼結時に原子拡散しなくなるためであると考えられる。また、0<gとする場合、gは、好ましくは、0.01以上、より好ましくは、0.02以上、さらに好ましくは、0.05以上とすることができる。この場合には、M3元素のドープによって減ったリチウムキャリア濃度を増やすことが可能になるなどの利点がある。また、gは、好ましくは、0.15以下、より好ましくは、0.14以下、さらに好ましくは、0.1以下とすることができる。この場合には、過度なM4元素のドープによる不純物生成による抵抗低下を回避しながらリチウムキャリア濃度を調整することができるなどの利点がある。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、αは、M2元素の価数によって0≦α≦2をとる。具体的には、M2がCa、Sr、Ba、Mgのように価数2+の元素である場合には、αは1である。また、M2がRbのように価数1+の元素である場合には、αは2である。また、M2がYのように価数3+の場合には、αは0である。つまり、M2元素の価数をaとすると、α=La価数(つまり、3)-aの値をとる。これは、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物中においては、Laが3の価数をとるので、別価数の元素をM2元素として選択した場合に、電荷補償のためにLiを増減させていることを意味する。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、βは、M4元素の価数によって-2≦β≦1をとる。具体的には、M4元素がTeのように価数6+の元素である場合には、βは-2である。また、M4元素がTa、Nb、Sbのように価数5+の元素である場合には、βは-1である。また、M4元素がGe、Hfのように価数4+の場合には、βは0である。また、M4元素がScのように価数3+の場合には、βは1である。つまり、M4元素の価数をbとすると、β=Zr価数(つまり、4)-bの値をとる。これは、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物中においては、Zrが4の価数をとるので、別価数の元素をM4元素として選択した場合に、電荷補償のためにLiを増減させていることを意味する。
リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物が上記組成を有する場合、固体電解質1に含まれるLi量は、上記組成におけるLi量を示す7-3x+αy-z+βgよりも多い構成とすることができる。また、固体電解質1に含まれるM3量は、上記組成におけるZr量を示す2-z-gと、上記組成におけるM3元素量を示すzとの合計量が2よりも大きい構成とすることができる。これらの場合には、LiとM3成分とがリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物中に入りきらず固体電解質粒子10の粒界付近に偏析するため、これが液相成分として働き、焼結性向上、粒界のリチウムイオン伝導を発現させ、リチウムイオン伝導率を高めやすいなどの利点がある。また、製造時に揮発によって固体電解質粒子10がLi欠損組成になるのを抑制しやすいなどの利点もある。
なお、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成は、理論上の化学量論組成であるが、特に、Liは、固体電解質1の製造時に高温にて揮発し、組成ズレを生じさせすい元素である。したがって、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の上記組成において、7-3x+αy-z+βgによって定まるLi量は、7-3x+αy-z+βgで算出される値の0.85倍~1.2倍までの範囲を含むことができるものとする。
固体電解質1において、非溶融相11は、焼結後に固体電解質1中に溶けずに残っている相であり、結晶質であることができる。非溶融相11は、例えば、析出物や残存添加物などであることができる。非溶融相11は、固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成されている。非溶融相11は、固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりも低いリチウムイオン伝導性を有していてもよいし、絶縁性であってもよい。また、固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料は、1種または2種以上併用することができる。なお、本明細書において、リチウムイオン伝導率は、温度298Kにおける値とする。
非溶融相11は、固体電解質粒子10の粒内および粒子間(粒界)のうち少なくとも一方に存在している。図1では、非溶融相11が、固体電解質粒子10の粒子間に存在している例が示されている。また、図2では、非溶融相11が、非溶融相11の粒内および粒子間の両方に存在している例が示されている。
非溶融相11は、少なくとも固体電解質粒子10の粒子間に存在しているとよい。この構成によれば、リチウムイオン電池の電解質として固体電解質1を用いた場合に次の利点がある。リチウムイオン電池の負極にリチウム金属を用いる場合、通常、ガーネット型の固体電解質と負極のリチウム金属とが反応し、固体電解質が分解する。これに対して、少なくとも固体電解質粒子10の粒子間に非溶融相11が存在している場合には、非溶融相11によって固体電解質粒子10が保護されるため、固体電解質1と負極のリチウム金属との反応が抑制される。そのため、この場合には、負極のリチウム金属との接触による固体電解質1の分解を抑制することができる。したがって、この場合には、リチウムイオン電池の負極にリチウム金属を使用しやすくなり、高容量のリチウムイオン電池を得ることが可能になる。この際、非溶融相11が、固体電解質1の焼成時に析出した析出物である場合には、非溶融相11を原料として別途添加しなくても、固体電解質粒子10の粒子間に自己形成された非溶融相11により、負極のリチウム金属との接触による固体電解質1の分解を抑制することができる。
非溶融相11を構成する材料は、好ましくは、絶縁材(絶縁体)であるとよい。この場合には、固体電解質1内における欠陥濃度が向上し、リチウムイオン伝導性を向上させやすくなる。絶縁材は、好ましくは、ZrとOとを含む材料であるとよい。この場合には、リチウムイオン伝導率の向上を確実なものとすることができる。また、この場合には、例えば、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量およびM3量が過剰とされた過剰組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量、または、Li量およびM3量が過剰とされた過剰組成を有しており、B(ホウ素)元素を含有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物などからなる固体電解質粉末を含む原料粉末を、900℃未満の低温で焼結して固体電解質1を製造することにより、固体電解質1中にZrとOとを含む材料からなる非溶融相11を自己形成することができる。絶縁体を構成するZrとOとを含む材料としては、例えば、ZrとOとを含む化合物(ZrOなどのZr-O化合物)、ZrとM3元素とOとを含む化合物(Zr-M3-O化合物)、ZrとM3元素とCとOとを含む化合物(Zr-M3-C-O化合物)、ZrとCとOとを含む化合物(Zr-C-O化合物)、LiとZrとOとを含む化合物(LiZrOなどのLi-Zr-O化合物)、LiとZrとM3元素とOとを含む化合物(Li-Zr-M3-O化合物)、LiとZrとM3元素とCとOとを含む化合物(Li-Zr-M3-C-O化合物)、LiとZrとCとOとを含む化合物(Li-Zr-C-O化合物)などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていてもよい。
非溶融相11の面積割合は、1%以上10%以下とすることができる。この場合には、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上効果を高めることができ、リチウムイオン電池の高出力化に有利である。非溶融相11の面積割合は、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上などの観点から、好ましくは、1.2%以上、より好ましくは、1.4%以上、さらに好ましくは、1.6%以上、さらにより好ましくは、1.8%以上とすることができる。非溶融相11の面積割合は、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上などの観点から、好ましくは、9.5%以下、より好ましくは、9%以下、さらに好ましくは、8.5%以下、さらにより好ましくは、8%以下とすることができる。
非溶融相11は、粒子状であることができる。非溶融相11の粒子径は、固体電解質粒子10の粒子径よりも小さい構成とすることができる。非溶融相11は、固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成される。そのため、上記構成によれば、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の低下を抑制しやすくなる。特に、非溶融相11を構成する材料が絶縁材である場合には、上記構成を採用したことによる効果を高めることができる。
なお、上述した非溶融相11の面積割合、非溶融相11の粒子径、固体電解質粒子10の粒子径などは、固体電解質1の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察、EDX分析(エネルギー分散型X線分析)、画像解析などを組み合わせることにより、測定することができる。詳しくは、実験例にて詳述する。
固体電解質1は、さらに、固体電解質粒子10間を結着する溶融相12を有する構成とすることができる。なお、溶融相12は、焼結時に液相となり、その後に固まった相であり、非晶質または結晶質であることができる。溶融相12は、LiとM3元素とOとを含む材料より構成されるLi-M3-O相を含むことができる。Li-Bi-O相やLi-Sb-O相などのLi-M3-O相は低融点のLi酸化物であるため、低温で液相化し、固体電解質の焼結を進行させることができ、その結果、固体電解質1の密度の向上を図ることができる。そのため、この構成によれば、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上を図ることができる。なお、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物がM3元素としてBiを含む場合には、Li-M3-O相はLi-Bi-O相とすることができ、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物がM3元素としてSbを含む場合には、Li-M3-O相はLi-Sb-O相とすることができる。
溶融相12は、具体的には、図1および図2に例示されるように、固体電解質粒子10間の隙間(気孔)を埋めるように存在することができる。また、溶融相12は、固体電解質1の全体に存在していてもよいし、固体電解質1の一部の領域に存在していてもよい。
固体電解質1がLi-M3-O相を含む溶融相12を有している場合、固体電解質1は、ZrとOとを含む材料より構成されている非溶融相11を有していることが好ましい。この場合には、溶融相12に含まれるLi-M3-O相によるM3元素(BiやSb)と、非溶融相11に含まれるZrとの間の元素交換が起こりやすくなる。また、上述のようにLi-M3-O相は、低融点のLi酸化物である。そのため、この場合には、より低温で固体電解質の焼結を進行させることができ、固体電解質1の密度向上、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上を図りやすくなる。
溶融相12は、Li-M3-O相以外にも、さらに、LiとB(ホウ素)とOとを含む材料より構成されるLi-B-O相を含むことができる。溶融相12に含まれるLi-M3-O相が過少または過剰になるとリチウムイオン伝導率が低下する傾向が見られる。溶融相12がLi-B-O相を含む場合には、Li-M3-O相の過少または過剰によるリチウムイオン伝導率の低下を抑制することができる。
Li-M3-O相の面積割合は、5%以上35%以下とすることができる。この場合には、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上効果を高めることができ、リチウムイオン電池の高出力化に有利である。Li-M3-O相の面積割合は、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上などの観点から、好ましくは、6%以上、より好ましくは、7%以上、さらに好ましくは、8%以上とすることができる。Li-M3-O相の面積割合は、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上などの観点から、好ましくは、34%以下、より好ましくは、33%以下、さらに好ましくは、32%以下、さらにより好ましくは、31%以下とすることができる。
Li-B-O相の面積割合は、1%以上12.5%以下とすることができる。この場合には、Li-M3-O相の過少または過剰によるリチウムイオン伝導率の低下抑制効果を確実なものとすることができる。Li-B-O相の面積割合は、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上などの観点から、好ましくは、1.2%以上、より好ましくは、1.4%以上、さらに好ましくは、1.6%以上とすることができる。Li-B-O相の面積割合は、固体電解質1のリチウムイオン伝導率の向上などの観点から、好ましくは、12%以下、より好ましくは、11.5%以下、さらに好ましくは、11%以下、さらにより好ましくは、10.5%以下とすることができる。
なお、上述したLi-M3-O相の面積割合、Li-B-O相の面積割合は、固体電解質1の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察、EDX分析(エネルギー分散型X線分析)、画像解析などを組み合わせることにより、測定することができる。詳しくは、実験例にて詳述する。
固体電解質1は、固体電解質粒子10を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物に含まれるM3元素がSbであり、かつ、固体電解質1の表面にリチウム金属を接触させて190℃で熱処理した後の交流インピーダンス測定において、固体電解質粒子10に由来する抵抗成分とは異なる抵抗成分が検出される構成とすることができる。
この構成によれば、リチウム金属との接触による固体電解質1の分解を抑制することができる。また、固体電解質1は、高いリチウムイオン伝導性を有する。そのため、この構成によれば、固体電解質1に接合される負極にリチウム金属を用いる、つまり、リチウム金属を負極活物質として用いることができ、高容量、かつ、固体電解質1の分解が抑制されたリチウムイオン電池を構成することが可能になる。
固体電解質粒子10に由来する抵抗成分は、具体的には、上記交流インピーダンス測定において検出される固体電解質粒子10に由来する粒内抵抗および粒界抵抗である。固体電解質粒子10に由来する抵抗成分とは異なる抵抗成分は、上記交流インピーダンス測定において検出される固体電解質粒子10に由来する抵抗成分の周波数領域よりも低周波数領域に発現される抵抗成分である。
固体電解質1は、例えば、以下に示す第1~第3の製造方法にて製造することができるが、これに限定されるものではない。
先ず、固体電解質1の第1の製造方法について説明する。第1の製造方法は、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される第1の固体電解質粉末と、Liと上記M3元素とOとを含むLi-M3-O粉末と、必要に応じて、LiとBとOとを含むLi-B-O粉末とが混合された混合原料粉末を出発原料粉末として用い、この出発原料粉末を成形し、得られた成形体を900℃未満の焼結温度で焼結させる方法である。
第1の固体電解質粉末の合成では、例えば、Li源、M1源、La源、M2源、Zr源、M3源、M4源の各原料を、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の組成となるように秤量する。各原料は、固相反応により合成する場合には、酸化物、水酸化物、炭酸化物などの形で準備することができ、湿式合成する場合には、硝酸塩などの形で準備することができる。次いで、所定の各原料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合する。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝などに入れて大気雰囲気中にて700℃~950℃で焼成する。次いで、得られた材料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離する。これにより、第1の固体電解質粉末を合成することができる。
Li-M3-O粉末としては、例えば、LiBiO粉末、LiSbO粉末などを用いることができる。Li-M3-O粉末としては、好ましくは、第1の固体電解質粉末のM3元素がBiのとき、LiBiO粉末、第1の固体電解質粉末のM3元素がSbのとき、LiSbO粉末などを用いることができる。Li-M3-O粉末は、例えば、Li源、M3源の各原料を、所望のLi-M3-O粉末の組成となるように秤量する。各原料は、例えば、固相反応により合成することができ、酸化物、水酸化物、炭酸化物などの形で準備することができる。次いで、所定の各原料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合する。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝などに入れてアルゴン雰囲気中または大気雰囲気中にて600℃~900℃で焼成する。次いで、得られた材料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離する。これにより、Li-M3-O粉末を合成することができる。
Li-B-O粉末としては、例えば、LiBO粉末などを用いることができる。Li-B-O粉末は、例えば、Li源、B源の各原料を、所望のLi-B-O粉末の組成となるように秤量する。各原料は、例えば、固相反応により合成することができ、酸化物、水酸化物、炭酸化物などの形で準備することができる。次いで、所定の各原料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合する。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝などに入れてアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気中にて500℃~600℃で焼成する。次いで、得られた材料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離する。これにより、Li-B-O粉末を合成することができる。
固体電解質1の製造時における焼結温度は、好ましくは、890℃以下、より好ましくは、870℃以下、さらに好ましくは、860℃以下、さらにより好ましくは、850℃以下とすることができる。なお、固体電解質1の製造時における焼結温度は、焼結促進などの観点から、好ましくは、640℃以上、より好ましくは、690℃以上、さらに好ましくは、720℃以上、さらにより好ましくは、730℃以上とすることができる。また、焼結時間は、2~72時間とすることができる。なお、出発原料粉末には、必要に応じて、バインダーや造孔材等の添加剤を添加することができる。また、成形体の成形方法としては、例えば、公知の圧粉法やスラリーキャスト法などを例示することができる。また、成形体は、複数の層から構成することもできる。
第1の製造方法によれば、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される固体電解質粒子10の粒子間や粒内、粒子間および粒内に、ZrとOとを含む材料より構成される非溶融相11が析出した固体電解質1を得ることができる。出発原料粉末がLi-M3-O粉末やLi-B-O粉末を含む場合には、焼結時にこれらが液相化し、固体電解質粒子間がLi-M3-O相やLi-B-O相を含む溶融相にて結着された固体電解質1を得ることができる。
次に、固体電解質1の第2の製造方法について説明する。第2の製造方法は、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量およびM3量が過剰となるように各原料を仕込んで合成された第2の固体電解質粉末と、必要に応じて、LiとBとOとを含むLi-B-O粉末とが混合された混合原料粉末を出発原料粉末として用い、この出発原料粉末を成形し、得られた成形体を900℃未満の焼結温度で焼結させる方法である。つまり、第2の製造方法では、出発原料粉末はLi-M3-O粉末を含んでいない。第2の製造方法は、出発原料粉末が異なる点以外は第1の製造方法と同様であるので、異なる点のみ説明する。
第2の製造方法では、第2の固体電解質粉末が合成される。第2の固体電解質粉末は、具体的には、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量およびM3量が過剰とされた過剰組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成されることができる。
第2の固体電解質粉末の合成では、例えば、Li源、M1源、La源、M2源、Zr源、M3源、M4源の各原料を、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量およびM3量が過剰となるように秤量する。各原料は、固相反応により合成する場合には、酸化物、水酸化物、炭酸化物などの形で準備することができ、湿式合成する場合には、硝酸塩などの形で準備することができる。次いで、所定の各原料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合する。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝などに入れて大気雰囲気中にて700℃~950℃で焼成する。次いで、得られた材料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離する。これにより、第2の固体電解質粉末を合成することができる。
第2の製造方法によれば、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される固体電解質粒子10の粒子間や粒内、粒子間および粒内に、ZrとOとを含む材料より構成される非溶融相11が析出した固体電解質1を得ることができる。また、焼結時に、出発原料粉末に含まれていた第2の固体電解質粉末よりLi-M3-O相の液相が生じる。そのため、第2の製造方法によれば、固体電解質粒子間がLi-M3-O相を含む溶融相にて結着された領域を含む固体電解質1を得ることができる。この際、出発原料粉末がLi-B-O粉末を含んでいる場合には、焼結時にこれが液相化する。そのため、この場合には、固体電解質粒子間がLi-M3-O相とLi-B-O相とを含む溶融相にて結着された領域を含む固体電解質1を得ることができる。
次に、固体電解質1の第3の製造方法について説明する。第3の製造方法は、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量、または、Li量およびM3量が過剰であり、かつ、B元素を含むように合成された第3の固体電解質粉末と、必要に応じて、LiとM3とOとを含むLi-M3-O粉末とを含む混合原料粉末を出発原料粉末として用い、この出発原料粉末を成形し、得られた成形体を900℃未満の焼結温度で焼結させる方法である。つまり、第3の製造方法では、出発原料粉末はLi-B-O粉末を含んでいない。第3の製造方法は、出発原料粉末が異なる点以外は第1の製造方法と同様であるので、異なる点のみ説明する。
第3の製造方法では、第3の固体電解質粉末が合成される。第3の固体電解質粉末は、具体的には、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量、または、Li量およびM3量が過剰とされた過剰組成を有しており、B元素を含有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成されることができる。
第3の固体電解質粉末の合成では、例えば、Li源、M1源、La源、M2源、Zr源、M3源、M4源、B源の各原料を、上記組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の化学量論比と比較してLi量、または、Li量およびM3量が過剰であり、所望添加量のLi-B-O化合物を含有する組成となるように秤量する。各原料は、固相反応により合成する場合には、酸化物、水酸化物、炭酸化物などの形で準備することができ、湿式合成する場合には、硝酸塩などの形で準備することができる。次いで、所定の各原料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合する。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝などに入れて大気雰囲気中にて700℃~950℃で焼成する。次いで、得られた材料を、エタノール等の有機溶媒とジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離する。これにより、第3の固体電解質粉末を合成することができる。
第3の製造方法によれば、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される固体電解質粒子10の粒子間や粒内および粒子間に、ZrとOとを含む材料より構成される非溶融相11が析出した固体電解質1を得ることができる。また、焼結時に、出発原料粉末に含まれていた第3固体電解質粉末よりLi-B-O相の液相が生じる。M3量を過剰とした場合には、第3固体電解質粉末よりLi-M3-O相も生じる。そのため、第3の製造方法によれば、固体電解質粒子間がLi-B-O相、または、Li-M3-O相とLi-B-O相とを含む溶融相にて結着された領域を含む固体電解質1を得ることができる。
(実施形態2)
実施形態2のリチウムイオン電池について、図3を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図3に例示されるように、本実施形態のリチウムイオン電池2は、いわゆる、全固体電池(全固体リチウムイオン二次電池と称されることもある。)であり、電解質として実施形態1の固体電解質1を有している。
リチウムイオン電池2は、具体的には、セル20と、集電層3とを有している。図3では、セル20が一対の集電層3にて挟まれてなるリチウムイオン電池2が例示されている。図示はしないが、リチウムイオン電池2は、セル20を複数有しており、複数のセル20が集電層3を介して積層された積層構造(セル20と集電層3とが交互に積層された積層構造)を有していてもよい。セル20は、具体的には、層状の固体電解質1と、固体電解質1の一方面に設けられた正極層21と、固体電解質1の他方面に設けられた負極層22とを備えている。なお、層状の固体電解質1は、セパレータ層として機能する。層状の固体電解質1、正極層21、および、負極層22は、焼成によって一体化されることができる。つまり、正極層21、負極層22は、いずれも層状の固体電解質1に接合されることができる。集電層3は、正極層21または負極層22と焼成によって一体化されることができる。つまり、集電層3は、正極層21または負極層22に接合されることができる。
正極層21は、例えば、Liを含む正極活物質(不図示)と、リチウムイオン伝導性を示す正極層内固体電解質(不図示)とを含む構成とすることができる。正極活物質は、リチウムイオン電池2の充電時にリチウムイオンを放出し、リチウムイオン電池2の放電時にリチウムイオンを取り込むことができる物質である。正極活物質としては、例えば、LiCoO等のコバルト酸リチウム(リチウムコバルト酸化物)、LiNiMnCo(x+y+z=1)等のニッケルマンガンコバルト酸リチウム(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物)、LiMn等のマンガン酸リチウム(リチウムマンガン酸化物)などのLiと遷移金属との複合酸化物や、LiFePO等のリン酸鉄リチウムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。正極層内固体電解質としては、例えば、ガーネット型の結晶構造を有する公知のリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される固体電解質、実施形態1の固体電解質1などを例示することができる。
負極層22は、例えば、Liを含む負極活物質(不図示)からなる構成とすることができ、また、Liを含む負極活物質と、リチウムイオン伝導性を示す負極内固体電解質(不図示)とを含む構成とすることもできる。負極活物質としては、例えば、リチウム金属、または、リチウム合金、あるいは、リチウム含有複合酸化物等のリチウム化合物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。負極活物質としては、電位差をより大きくでき、高容量のリチウムイオン電池2が得られるなどの観点から、リチウム金属を好適に用いることができる。負極内固体電解質としては、例えば、ガーネット型の結晶構造を有する公知のリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成される固体電解質、実施形態1の固体電解質1などを例示することができる。本実施形態のリチウムイオン電池2において、正極層内固体電解質および負極層内固体電解質は、実施形態1の固体電解質1より構成することができる。
集電層3を構成する材料としては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、カーボン、導電性ガラス、金、リチウム金属、これらの材料と絶縁性ガラスとを混合したものなどを例示することができる。なお、正極層21側の集電層3と、負極層22側の集電層3とは、同じ材料より形成されていてもよいし、異なる材料より形成されていてもよい。
本実施形態のリチウムイオン電池2は、本実施形態1の固体電解質1を用いているので、高出力化に有利である。とりわけ、固体電解質1のM3元素がSbであり、負極層22の負極活物質としてリチウム金属を用いた場合には、高容量、かつ、固体電解質1の分解が抑制された耐久性の高いリチウムイオン電池を構成することが可能になる。
なお、リチウムイオン電池2は、正極層21のみが正極層内固体電解質として固体電解質1を用いていてもよいし、セパレータ層のみが固体電解質1を用いていてよいし、負極層22のみが負極層内固体電解質として固体電解質1を用いていてよい。また、リチウムイオン電池2は、正極層21およびセパレータ層が固体電解質1を用いていてもよいし、負極層22およびセパレータ層が固体電解質1を用いていてもよいし、正極層21、セパレータ層、および、負極層22が固体電解質1を用いていてもよい。
(実験例1)
<固体電解質の作製>
上述した第1の製造方法に従い、試料1、試料2、試料1C、試料2Cの固体電解質を作製した。
-試料1-
Li源:LiOH(HO)、La源:La(OH)、M2源:CaCO、Zr源:ZrO、M3源:Biを準備した。各原料を、表1に示した組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物(具体的にはLi6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Bi0.612)の組成となるように秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れて大気雰囲気中にて900℃で12時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて10時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Bi0.612より構成される固体電解質粉末を合成した。
また、非溶融相材料として、LiZrO粉末を合成した。具体的には、LiOH(HO)と、ZrOとを準備した。各原料を、LiZrOの組成となるように秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れて大気雰囲気中にて600℃で12時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて10時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、LiZrO粉末を合成した。
次いで、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Bi0.612より構成される固体電解質粉末に対し、LiZrO粉末を1.5重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表1に示す焼結温度850℃にて5時間焼結した。これにより試料1の固体電解質(厚み1000μm)を作製した。
-試料2-
Li源:LiOH(HO)、La源:La(OH)、M2源:CaCO、Zr源:ZrO、M3源:Sbを準備した。各原料を、表1に示した組成を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物(具体的にはLi6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612)の組成となるように秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れて大気雰囲気中にて900℃で12時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて10時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末を合成した。
次いで、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末に対し、LiZrO粉末を1.5重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表1に示す焼結温度850℃にて5時間焼結した。これにより試料2の固体電解質(厚み1000μm)を作製した。
-試料1C-
試料1の作製において、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Bi0.612より構成される固体電解質粉末のみを圧粉し、焼結させた点以外は同様にして、試料1Cの固体電解質を作製した。
-試料2C-
試料2の作製において、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末のみを圧粉し、焼結させた点以外は同様にして、試料2Cの固体電解質を作製した。
<固体電解質の微構造観察>
-非溶融相-
樹脂包埋した固体電解質のサンプルをクライオ条件下にてCP(クロスセクションポリッシャ)加工し、厚み方向に沿う断面出しを行った。次いで、固体電解質の断面について、SEM-EDX分析をすることにより、元素マッピングを求めた。具体的には、固体電解質の断面について、電解放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)(日立ハイテク社製、「S-4800」)にて観察した。また、SEM観察部分についてEDX分析(エネルギー分散型X線分析、Bruker AXS社製、「QUANTAX Flat QUAD System Xflash5060FQ」使用)を実施し、元素マッピングを求めた。本実験例では、非溶融相は、ZrとOとを含む材料より構成されているため、非溶融相の面積割合の算出、粒子径の算出には、Zr元素マッピング像を用いる。
具体的には、画像解析ソフト(米国国立衛生研究所製、ImageJ)を用い、本ソフトにてZr元素マッピングデータを取り込んだ後、必要に応じて、コントラストを調整しZr輝度の高い部分がクローズアップされるようにした。次いで、輝度に対するヒストグラムを作成し、輝度の明るい部分に相当するボクセル数、全体のボクセル数を求めた。次いで、(輝度の明るい部分に相当するボクセル数)/(全体のボクセル数)×100×相対密度/100の式を計算することにより、非溶融相の面積割合(%)を算出した。なお、相対密度(%)は、固体電解質サンプルの体積と重量、材料の比重、材料の混合比率を用いて算出した。なお、上記のように相対密度を乗じることにより、空隙部分を除外することができる。
また、上記Zr元素マッピング像より、輝度の明るい部分の粒子径をn数=20で測定し、得られた各粒子径測定値の平均値を、非溶融相の粒子径として算出した。なお、固体電解質の粒子径は、上記画像解析ソフト(ImageJ)により算出した。そして、固体電解質の粒子径と非溶融相の粒子径の大小関係を求めた。なお、ImageJによる粒子径分析の基本操作は、https://www.nims.go.jp/tem/download/Image_J.pdfに詳説される手順により実施した。
-Li-B-O相-
各固体電解質について、Li-B-O相の面積割合を算出した。本実験例では、上述したSEM-EDX分析において、Bが検出される部分をLi-B-O相とし、溶融相の面積割合の算出と同様にして、Li-B-O相の面積割合を算出した。具体的には、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物中にはBはドープされないため、固体電解質粒子内部にはBが検出されない。但し、EDXにおいて、軽元素であるBの検出感度は低い。そのため、EDXにてBの存在位置を確認した後、SEMの反射電子像と照らし合わせてLi-B-O相に該当するコントラストの部分を抽出した。Li-B-O相は、軽元素で構成されているので、一番暗く映る。そして、溶融相の面積割合の算出と同様にして、画像解析ソフトによる解析を行い、Li-B-O相の面積割合を算出した。
-Li-M3-O相-
各固体電解質について、Li-M3-O相の面積割合を算出した。本実験例では、Li-M3-O相は、Li-Sb-O相またはLi-Bi-O相である。Li-M3-O相の面積割合を算出は、上述したLi-B-O相の面積割合の算出とほぼ同様である。具体的には、M3元素は、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物内部にも存在するため、固体電解質粒子間と固体電解質粒子内に検出される。そのため、EDXにより、溶融相であってM3元素が検出される部分を特定し、SEMの反射電子像と照らし合わせてLi-M3-O相に該当するコントラストの部分を抽出した。構成元素の重さから、Li-M3-O相は、Li-B-O相よりも明るく、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より暗く映る。そして、溶融相の面積割合の算出と同様にして、画像解析ソフトによる解析を行い、Li-M3-O相の面積割合を算出した。
<固体電解質のリチウムイオン伝導率、相対密度の測定>
各固体電解質について、298Kにおけるリチウムイオン伝導率(S/cm)、相対密度(%)を測定した。なお、固体電解質のリチウムイオン伝導率の測定は、固体電解質の両面に電極としてAuスパッタ層を500nm以上の厚みで形成し、インピーダンスアナライザー(キーサイト製、「E4990A」)にて測定した。また、相対密度は、サンプルの体積と重量、材料の比重、材料の混合比率を用いて算出した。なお、材料の比重は、島津製作所製「アキュピック1340-1CC」を用いて測定した。
表1に、各試料の固体電解質の構成、製造条件、測定結果などをまとめて示す。また、図4に、試料2C、試料1、および、試料2の固体電解質のSEM-EDX分析結果を示す。
Figure 2023016639000002
表1、図4によれば、以下のことがわかる。図4(a)、(b)に示されるように、試料2Cの固体電解質は、固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に非溶融相が見られなかった。図示はしないが、試料1Cの固体電解質も同様の結果であった。これに対し、図4(c)、図4(d)の比較、図4(e)、図4(f)の比較からわかるように、試料1、試料2の固体電解質は、固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に、粒子状の非溶融相が見られた。図4(d)、(f)のZr元素マッピング像から、非溶融相(図4(d)、図4(f)における輝度が明るい粒状の部分に相当)は、ZrとOとを含む材料、具体的には、LiZrOより構成されていた。この非溶融相を構成する材料は絶縁材であり、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料である。また、非溶融相の粒子径は、固体電解質粒子の粒子径よりも小さかった。なお、試料1、試料2の固体電解質では、固体電解質粒子間の隙間(気孔)が確認され、固体電解質粒子間を結着する溶融相は、観察範囲からは確認されなかった。
表1に示されるように、試料1C、試料2Cの固体電解質は、特定の組成を有する固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に、非溶融相が存在しないため、リチウムイオン伝導率が低かった。これに対し、試料1、試料2の固体電解質は、特定の組成を有する固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に、非溶融相が存在しているため、900℃未満の低温焼結であっても、高リチウムイオン伝導性を実現することができた。
(実験例2)
<固体電解質の作製>
上述した第1の製造方法に従い、試料3~試料6の固体電解質を作製した。また、焼結温度が900℃を超える従来製法により、試料3C、試料4Cの固体電解質を作製した。
-試料3~試料6-
実験例1の試料2の固体電解質の作製と同様にして、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末を合成した。
また、実験例1の試料2の固体電解質の作製と同様にして、Li-M3-O粉末としてLiSbO粉末を合成した。
また、Li-M3-O粉末として、LiSbO粉末を合成した。
具体的には、Li源:LiOH(HO)、M3源:Sbを準備した。各原料を、LiSbOの組成となるように秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れて大気雰囲気中にて850℃で24時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて12時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、LiSbO粉末を合成した。
また、Li-B-O粉末として、LiBO粉末を合成した。
具体的には、Li源:LiOH(HO)、B源:Bを準備した。各原料を、LiBOの組成となるように秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れてAr雰囲気中にて510℃で6時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて12時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、LiBO粉末を合成した。
次いで、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度850℃にて5時間焼結することより、試料3の固体電解質を作製した。同様に、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度800℃にて5時間焼結することより、試料4の固体電解質を作製した。
また、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%、LiBO粉末を4.75重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度750℃にて5時間焼結することより、試料5の固体電解質を作製した。同様に、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612より構成される固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%、LiBO粉末を9.5重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度750℃にて5時間焼結することより、試料6の固体電解質を作製した。
-試料3C、試料4C-
実験例1の試料2の固体電解質の作製において、M2源を用いず、M1源:Ga、M4源:Nbを追加して用いた点以外は同様にして、Li5.45Ga0.5LaZr1.95Sb0.025Nb0.02512より構成される固体電解質粉末を合成した。また、試料3~試料6の固体電解質と同様にして、Li-M3-O粉末としてLiSbO粉末、Li-B-O粉末としてLiBO粉末を合成した。
Li6.5Ga0.15LaZr1.95Sb0.025Nb0.02512より構成される固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度900℃にて5時間焼結することより、試料3Cの固体電解質を作製した。また、Li6.5Ga0.15LaZr1.95Sb0.025Nb0.02512より構成される固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%、LiBO粉末を3重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度900℃にて5時間焼結することより、試料4Cの固体電解質を作製した。
実験例1と同様にして、各試料の固体電解質の微構造観察、リチウムイオン伝導率、相対密度の測定を行った。表2に、各試料の固体電解質の構成、製造条件、測定結果などをまとめて示す。また、図5に、試料4の固体電解質のSEM-EDX分析結果を示す。また、図6に、試料6の固体電解質のSEM-EDX分析結果を示す。
Figure 2023016639000003
表2、図5および図6によれば、以下のことがわかる。試料3、試料4、試料3Cの固体電解質同士を比較すると、試料3、試料4の固体電解質は、900℃未満の低温焼結であっても、高いリチウムイオン伝導性を確保できていることがわかる。同様に、試料5、試料6、試料4Cの固体電解質同士を比較すると、試料5、試料6の固体電解質は、900℃未満の低温焼結であっても、高いリチウムイオン伝導性を確保できていることがわかる。これは、試料3~試料6の固体電解質では、図5(b)、図6(b)、表2に示されるように非溶融相が存在するのに対し、試料3C、試料4Cの固体電解質では、表2に示されるように非溶融相が存在していないことによる。また、試料3~試料6の固体電解質では、図5(a)、図6(a)に示されるように、固体電解質粒子同士の隙間を埋めるように溶融相が形成された領域が確認された。Li-M3-O粉末を添加し、Li-B-O粉末を添加しなかった試料3、4の固体電解質では、図5(a)、図5(c)に示されるように、溶融相がLi-M3-O相(ここでは、非結晶質のLi-Sb-O相)を含んでいることが確認された。また、Li-M3-O粉末とLi-B-O粉末の両方を添加した試料5、6の固体電解質では、図6(a)、図6(c)、図6(d)に示されるように、溶融相がLi-M3-O相(ここでは、非結晶質のLi-Sb-O相)と、Li-B-O相を含んでいることが確認された。
(実験例3)
<固体電解質の作製>
上述した第1の製造方法に従い、試料7~試料14の固体電解質を作製した。
-試料7~試料14-
実験例2の試料5、試料6の固体電解質の作製と同様にして、M3元素としてSbを含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子と、ZrとOとを材料より構成された非溶融相と、Li-Sb-O相とLi-B-O相とを含む溶融相とを有する、試料7~試料14の固体電解質を作製した。なお、本実験例では、合成したリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物にZrO粉末を混合し、その割合やのZrO粒子径を変更することにより、非溶融相の面積割合を変化させた。
実験例1と同様にして、各試料の固体電解質の微構造観察、リチウムイオン伝導率、相対密度の測定を行った。表3に、各試料の固体電解質の構成、製造条件、測定結果などをまとめて示す。また、図7に、非溶融相の面積割合(%)と、リチウムイオン伝導率(S/cm)との関係を示
Figure 2023016639000004
表3、図7によれば、以下のことがわかる。表3、図7に示されるように、非溶融相11の面積割合が1%以上10%以下の範囲にある場合には、リチウムイオン伝導率の向上効果を高めることができることわかる。したがって、この場合には、リチウムイオン電池の高出力化に有利な固体電解質が得られるといえる。また、試料7~試料13の固体電解質と試料14の固体電解質とを比較すると、非溶融相の粒子径を固体電解質粒子の粒子径よりも小さい構成とすることにより、固体電解質のリチウムイオン伝導率の低下を抑制しやすくなることがわかる。特に、非溶融相11を構成する材料が絶縁材である場合には、上記構成を採用したことによる効果を高めることができるといえる。
(実験例4)
<固体電解質の作製>
上述した第1の製造方法に従い、試料15~試料20の固体電解質を作製した。
-試料15~試料20-
実験例2の試料5、試料6の固体電解質の作製と同様にして、M3元素としてSbを含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子と、ZrとOとを材料より構成された非溶融相と、Li-M3-O相(本実験例では、Li-Sb-O相)とLi-B-O相とを含む溶融相とを有する、試料15~試料20の固体電解質を作製した。なお、本実験例では、混合するLiSbO粉末の割合を変更することにより、溶融相に含まれるLi-M3-O相の面積割合を変化させた。
実験例1と同様にして、各試料の固体電解質の微構造観察、リチウムイオン伝導率、相対密度の測定を行った。表4に、各試料の固体電解質の構成、製造条件、測定結果などをまとめて示す。また、図8に、Li-M3-O相の面積割合(%)と、リチウムイオン伝導率(S/cm)との関係を示す。図9に、Li-M3-O相の面積割合(%)と、相対密度(%)との関係を示す。
Figure 2023016639000005
表4、図8、図9によれば、以下のことがわかる。表4、図8に示されるように、Li-M3-O相の面積割合が5%以上35%以下の範囲にある場合には、リチウムイオン伝導率の向上効果を高めることができることわかる。これは、表4、図9に示されるように、Li-M3-O相の面積割合が上記特定範囲とされることにより、焼結時に液相が濡れ拡がって固体電解質粒子が最密充填化されやすくなり、高密度化が促進され、相対密度の向上が図られるためであると考えられる
(実験例5)
<固体電解質の作製>
上述した第1の製造方法に従い、試料21~試料25の固体電解質を作製した。
-試料21~試料25-
実験例2の試料5、試料6の固体電解質の作製と同様にして、M3元素としてSbを含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子と、ZrとOとを材料より構成された非溶融相と、Li-M3-O相(本実験例では、Li-Sb-O相)とLi-B-O相とを含む溶融相とを有する、試料21~試料25の固体電解質を作製した。なお、本実験例では、混合するLiBO粉末の割合を変更することにより、溶融相に含まれるLi-B-O相の面積割合を変化させた。
実験例1と同様にして、各試料の固体電解質の微構造観察、リチウムイオン伝導率、相対密度の測定を行った。表5に、各試料の固体電解質の構成、製造条件、測定結果などをまとめて示す。また、図10に、Li-B-O相の面積割合(%)と、リチウムイオン伝導率(S/cm)との関係を示す。図11に、Li-B-O相の面積割合(%)と、相対密度(%)との関係を示す。
Figure 2023016639000006
表5、図10、図11によれば、以下のことがわかる。表5、図10に示されるように、Li-B-O相の面積割合が1%以上12.5%以下の範囲にある場合には、Li-M3-O相の過少または過剰によるリチウムイオン伝導率の低下抑制を図ることができることわかる。これは、表5、図11に示されるように、Li-B-O相の面積割合が上記特定範囲とされることにより、焼結時に液相が濡れ拡がって固体電解質粒子が最密充填化されやすくなり、高密度化が促進され、相対密度の向上が図られるためであると考えられる
(実験例6)
<固体電解質の作製>
上述した第3の製造方法に従い、試料26の固体電解質を作製した。また、上述した第1の製造方法に従い、試料27の固体電解質を作製した。
-試料26-
Li源:LiOH(HO)、La源:La(OH)、M2源:CaCO、Zr源:ZrO、M3源:Sb、B源:Bを準備した。組成が、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612+4.75wt%LiBOになるように各原料を秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れて大気雰囲気中にて900℃で12時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて10時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612の化学量論比と比較してLi量が過剰とされた過剰組成を有しており、B元素を含有する固体電解質粉末を合成した。
また、試料3~試料6の固体電解質と同様にして、Li-M3-O粉末としてLiSbO粉末を合成した。
上記作製した固体電解質粉末に対し、LiSbO粉末を2重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度750℃にて5時間焼結することより、試料26の固体電解質を作製した。
-試料27-
実験例2の試料5、試料6の固体電解質の作製と同様にして、M3元素としてSbを含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子と、ZrとOとを材料より構成された非溶融相と、Li-Sb-O相とLi-B-O相とを含む溶融相とを有する、試料27の固体電解質を作製した。

-試料28-
Li源:LiOH(HO)、La源:La(OH)、M2源:CaCO、Zr源:ZrO、M3源:Sb、B源:Bを準備した。組成が、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612+2wt%LiSbOになるように各原料を秤量した。次いで、各原料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた遊星ボールミルなどを用いて粉砕、混合した。次いで、得られた材料を乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離し、アルミナ製坩堝に入れて大気雰囲気中にて900℃で12時間焼成した。次いで、得られた材料を、エタノールとジルコニアボールとを入れた一軸ボールミルなどを用いて10時間粉砕し、乾燥後、篩がけしてジルコニアボールと分離した。これにより、Li6.5La2.9Ca0.1Zr1.4Sb0.612の化学量論比と比較してLi量およびSb量が過剰とされた過剰組成を有している固体電解質粉末を合成した。
上記作製した固体電解質粉末に対し、LiBO粉末を4.75重量%加え、乳鉢で混合することにより、混合原料粉末を作製した。この混合原料粉末を、98MPaで層状に圧粉成形し、得られた成形体を表2に示す焼結温度750℃にて5時間焼結することより、試料28の固体電解質を作製した。
実験例1と同様にして、各試料の固体電解質の微構造観察、リチウムイオン伝導率、相対密度の測定を行った。表6に、各試料の固体電解質の構成、製造条件、測定結果などをまとめて示す。
Figure 2023016639000007
表6によれば、以下のことがわかる。表6に示されるように、試料26~試料28の固体電解質は、いずれも、900℃未満の低温焼結で高リチウムイオン伝導性を実現できた。また、試料26の固体電解質は、溶融相がLi-B-O相を含んでいた。試料26では、固体電解質の焼結時に、固体電解質粉末を構成する材料からLiBOが溶け出て、これにより焼結性を向上させることができた。
(実験例7)
上述した実験例1~実験例6にて作製した試料のうち、試料23の固体電解質を準備した。なお、準備した各試料の固体電解質は、いずれも、固体電解質粒子を構成するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物に含まれるM3元素はSbである。
固体電解質の一方表面にリチウム金属を接触させて190℃で熱処理することにより、Li電極を形成した。また、固体電解質の他方表面にAu電極を形成した。そして、アルゴン雰囲気下にて密閉ホルダーに固体電解質をいれた後、交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定には、インピーダンスアナライザー(キーサイト製、「E4990A」)を用い、測定温度は298K、周波数域は20~19Hzとした。また、交流インピーダンス測定は、初回測定後、サンプルを100℃環境下にて保管し、5日後、10日後、30日後に同様の測定を行った。
図12に、上記交流インピーダンス測定の結果を示す。その結果、各試料の固体電解質は、固体電解質粒子10に由来する粒内抵抗および粒界抵抗とは異なる抵抗成分Aが検出された。この抵抗成分Aは、固体電解質粒子10に由来する抵抗成分の周波数領域よりも低周波数領域に確認された。
上記固体電解質は、高いリチウムイオン伝導性を有しており、かつ、リチウム金属との接触による固体電解質の分解を抑制することができる。そのため、上記固体電解質によれば、固体電解質に接合される負極にリチウム金属を用いる、つまり、リチウム金属を負極活物質として用いることができ、高容量、かつ、固体電解質の分解が抑制されたリチウムイオン電池を構成することが可能になるといえる。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
1 固体電解質
10 固体電解質粒子
11 非溶融相
2 リチウムイオン電池

Claims (11)

  1. ガーネット型の結晶構造を有し、BiおよびSbのうち少なくとも一方からなるM3元素を含むリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物より構成された固体電解質粒子(10)と、
    上記リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物よりもリチウムイオン伝導率が低い材料より構成されており、上記固体電解質粒子の粒内および粒子間のうち少なくとも一方に存在する非溶融相(11)と、を有する、
    固体電解質(1)。
  2. 上記非溶融相を構成する材料は、絶縁材である、
    請求項1に記載の固体電解質。
  3. Liと上記M3元素とOとを含む材料より構成されるLi-M3-O相を含み、上記固体電解質粒子間を結着する溶融相(12)を有しており、
    上記非溶融相は、ZrとOとを含む材料より構成されている、
    請求項1または請求項2に記載の固体電解質。
  4. 上記溶融相は、LiとBとOとを含む材料より構成されるLi-B-O相を含む、
    請求項3に記載の固体電解質。
  5. 上記非溶融相の面積割合が、1%以上10%以下である、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固体電解質。
  6. 上記非溶融相の粒子径が、上記固体電解質粒子の粒子径よりも小さい、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の固体電解質。
  7. 上記Li-M3-O相の面積割合が、5%以上35%以下である、
    請求項3または請求項4に記載の固体電解質。
  8. 上記Li-B-O相の面積割合が、1%以上12.5%以下である、
    請求項4に記載の固体電解質。
  9. 上記リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物は、
    Li7-3x+αy-z+βg(M1)La3-y(M2)Zr2-z-g(M3)(M4)12±δの組成を有する、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の固体電解質。
    但し、上記組成において、上記M1元素は、AlおよびGaのうち少なくとも一方、
    上記M2元素は、Ca、Sr、Ba、Mg、Y、および、Rbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、
    上記M3元素は、BiおよびSbのうち少なくとも一方、
    上記M4元素は、Ta、Nb、Ge、Te、Sc、および、Hfからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、
    上記M2元素の価数によって0≦α≦2をとり、上記M4元素の価数によって-2≦β≦1をとり、
    0≦x≦0.4、0<y≦2.8、0<z<2、0≦g<2を満たし、
    δは、酸素不定比量である。
  10. 上記M3元素は、Sbであり、
    上記固体電解質の表面にリチウム金属を接触させて190℃で熱処理した後の交流インピーダンス測定において、
    上記固体電解質粒子に由来する抵抗成分とは異なる抵抗成分が検出される、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の固体電解質。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の固体電解質を有するリチウムイオン電池(2)。
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