JP6969374B2 - 酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物 - Google Patents

酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物 Download PDF

Info

Publication number
JP6969374B2
JP6969374B2 JP2017253833A JP2017253833A JP6969374B2 JP 6969374 B2 JP6969374 B2 JP 6969374B2 JP 2017253833 A JP2017253833 A JP 2017253833A JP 2017253833 A JP2017253833 A JP 2017253833A JP 6969374 B2 JP6969374 B2 JP 6969374B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
garnet
type ion
ion conductive
conductive oxide
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017253833A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019119627A (ja
Inventor
慎吾 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2017253833A priority Critical patent/JP6969374B2/ja
Publication of JP2019119627A publication Critical patent/JP2019119627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6969374B2 publication Critical patent/JP6969374B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本開示は酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物に関する。
Liイオン電池に使用する固体電解質の材料として、少なくともLi、La、Zr及びOの元素で構成されるガーネット型イオン伝導性酸化物が、Liイオン伝導性の高さ等から注目されている。
例えば、特許文献1には、基本組成LiLa3−YZr2−Z12(式中、元素Aは、Sr,Ba,Ca,MgおよびYからなる群より選ばれた1種類以上の元素であり、元素Bは、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,GaおよびGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素であり、Xは、(La3−Y)の平均価数をa、(Zr2−Z)の平均価数をbとしたとき、X=24−3×a−2×bを満たし、且つ0<Y≦1.0,0<Z≦1.0を満たす)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物が開示されている。特許文献1には、上記基本組成のガーネット型イオン伝導性酸化物を焼結する場合において、伝導度の低下をできるだけ抑えると共に、焼成エネルギーをより低減することができる旨記載されている。
また、特許文献2には、Liの一部をHで置換したガーネット型イオン伝導性酸化物が開示されている。
特開2013−032259号公報 特開2012−096940号公報
特許文献1に記載されているように、ガーネット型イオン伝導性酸化物は、通常、結晶粒子を焼結して成形した焼結体の状態で使用する。しかしながら、従来使用されてきたガーネット型イオン伝導性酸化物は硬度が高く、成形性に劣るという問題があった。
本開示は、上記実情を鑑みなされたものであって、ガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる成形性の高い酸化物電解質焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法は、
下記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、
リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、
前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合して複合体とする工程と、
前記複合体を加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする。
一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγ
(上記一般式(1)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0.75≦z≦3.4、を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程が、
下記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物が得られる化学量論比となるように原料を混合し加熱することにより下記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得る工程と、
得られた一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のLiをプロトンで置換することにより前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物とする工程と、を有していてもよい。
一般式(2)(Lix−3y,E)Lαβγ
(上記一般式(2)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、yは、3≦x−3y≦7、0≦y<0.22を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記一般式(1)中、EがAlであり、0≦y≦0.13であってもよい。
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法において、前記一般式(1)中、0.8≦z≦3.4であってもよい。
本開示のガーネット型イオン伝導性酸化物は、一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されることを特徴とする。
(上記一般式(1)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0.75≦z≦3.4、を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)。
本開示のガーネット型イオン伝導性酸化物は、前記一般式(1)中、EがAlであり、0≦y≦0.13であってもよい。
本開示のガーネット型イオン伝導性酸化物は、前記一般式(1)中、0.8≦z≦3.4でであってもよい。
本開示の複合体は、酸化物電解質の結晶粒子とリチウムを含有するフラックスとの複合体であって、前記酸化物電解質の結晶粒子は、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子であることを特徴とする。
本開示によれば、ガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる酸化物電解質焼結体の成形性が高い製造方法、及び、当該製造方法に用いられるガーネット型イオン伝導性酸化物を提供することができる。
本開示の製造方法の焼結工程の概要を示した模式図である。 本開示の製造方法得られる酸化物電解質焼結体の粒界三重点のSEM画像である。 0.1MのHCl溶液に長時間浸漬した組成式LiLaZr12のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子のSEM画像である。 ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中のLiサイト等を示す模式図である。 ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中のH含有量比zと得られる酸化物電解質焼結体の相対密度の関係を示すグラフである。 実施例1(Z=0.75)で得られた酸化物電解質焼結体のプレス表面のSEM観察画像である。 実施例3(Z=0.91)で得られた酸化物電解質焼結体のプレス表面のSEM観察画像である。 実施例5(Z=3.4)で得られた酸化物電解質焼結体のプレス表面のSEM観察画像である。 比較例2(Z=0.13)で得られた酸化物電解質焼結体のプレス表面のSEM観察画像である。 比較例3(Z=0.4)で得られた酸化物電解質焼結体のプレス表面のSEM観察画像である。
1.酸化物電解質焼結体の製造方法
本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法は、
下記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、
リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、
前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合して複合体とする工程と、
前記複合体を加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする。
一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγ
(上記一般式(1)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0.75≦z≦3.4、を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
上述のように、従来、酸化物電解質焼結体の材料として用いられてきたLiLaZr12の組成式で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物は、高いLiイオン伝導度を有するが、硬く脆いため、成形性が低いという問題があった。
本研究者らは、LiLaZr12の組成式で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物中のLiイオンを、一定量以上プロトン(水素イオン)で置換した前記一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と、リチウムを含有するフラックスとを混合した複合体を用いて焼結することにより、得られる酸化物電解質焼結体のLiイオン伝導度を損なうことなく、焼結時の成形性を向上できることを見出した。
前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とリチウムを含有するフラックスとの複合体を用いることにより、焼結時の成形性を向上することができる理由は定かではないが、以下のように推測している。
本開示の製造方法で得られた酸化物電解質焼結体中のガーネット型イオン伝導性酸化物を分析すると、原料として使用した前記一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物よりも、Li元素の含有量比が増加し、プロトンの含有量比が減少することが分かる。
そのため、本開示の製造方法では、焼結工程で原料である前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中のプロトンと、フラックス中のLiイオンが置換していることが分かる。
本研究者らは以前の検討で、Liイオンが少量のプロトンと置換したガーネット型イオン伝導性酸化物(一般式(1)において0≦zの範囲である)の結晶粒子と、リチウムを含有するフラックスとを混合して得られた複合体を加熱することで、低いエネルギー(低温)でガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士の接合が可能となることを知見した。
比較的低いエネルギーでガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子同士の接合が可能となる理由を、図1を参照しながら説明する。
図1の左側の図は、Liイオン(Li)の一部を水素イオン(H)に置換したガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子(図1においてLLZ粒子と表記)と、固体状態のフラックスとの複合体の「加熱前」の状態を示す図である。
そして、図1の中央の図は、上記複合体の「加熱初期」の状態を示す図である。図1の中央の図に示されるように、フラックスの融点まで混合体を加熱すると、フラックス中のLiイオン(Li)とアニオン(X)の結合、及び、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中の水素イオン(H)と他の構成元素との結合は弱くなる。この時、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中の水素イオン(H)とフラックスのLiイオン(Li)の置換が起こる。
最後に、図1の右側の図は、上記混合体の「加熱末期」の状態を示す図である。図1の右側の図に示されるように、フラックスのLiイオン(Li)は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶内に取り込まれる。ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の結晶内から出た水素イオン(H)は、フラックスのアニオン(X)と結合し、反応生成物を形成し、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子中には残らない。なお、焼結工程に用いられたフラックス、及び、水素イオン(H)とフラックスのアニオン(X)と結合した反応生成物は、焼結工程時の加熱によりその大部分が蒸発するが、図2に示すように、酸化物電解質焼結体の粒界三重点には、焼結工程に用いられたフラックス、及び、水素イオン(H)とフラックスのアニオン(X)と結合した反応生成物が残存する。
しかし、上記一般式(1)において0≦z<0.75の範囲では、成形性を向上することはできなかった。
ここで、プロトンを含まない組成式LiLaZr12のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を0.1MのHCl溶液に長時間浸漬して経過を観察すると、ある時点で図3に示すように、粒子に割れが生じる。なお、図3において割れが生じた面は、特定の結晶面であった。
プロトンを含まない組成式LiLaZr12のガーネット型イオン伝導性酸化物の粒子を、プロトンを含有する溶液に浸漬すると、ガーネット型イオン伝導性酸化物の粒子中のLiイオンがプロトンに置換されることが知られている。また、組成式LiLaZr12のガーネット型イオン伝導性酸化物では、Liイオンがプロトンに置換される量が一定量を超えると、結晶構造を維持できなくなることが知られている。
このような理由から、図3に示すように粒子中の特定の結晶面に沿って割れが生じた理由は、特定の結晶面においてLiイオンが一定量を超えてプロトンで置換されたことにより、当該結晶面に沿って結晶構造を維持できなくなったためであると推定される。
本開示の製造方法の焼結工程のように、ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のプロトンとLiイオンが置換することが可能な環境では、Liイオン又はプロトンと他の構成元素との結合が一時的に切断される。このような状態で結晶粒子に荷重を加えると、Liイオンとプロトンの交換が生じている粒子内の特定の結晶面にすべりが生じ、結晶構造を維持したまま塑性変形すると推定される。
ここで、一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子において、0≦z<0.75の範囲では、プロトンは粒子表面に存在するが、特定の結晶面におけるプロトン含有量が少ないため、焼結工程で結晶面にすべりが生じにくく、成形性を向上することができないと考えられる。
これに対し、本開示の製造方法で使用する0.75≦z≦3.4の範囲の前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子では、表面のみならず、前記特定の結晶面にもプロトンが存在していることから、焼結工程で粒子中の特定の結晶面に存在するプロトンがフラックス中のLiと再置換する際に、当該結晶面ですべりが生じやすくなるため、成形性が向上すると推定される。
(1)ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程
本開示の製造方法は、一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程を有する。
一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγ
(上記一般式(1)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、0≦y<0.22、0.75≦z≦3.4、を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
本開示の製造方法において、Liイオンを、後述するE元素イオン又はプロトンで置換した前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。Liイオンをプロトンで特定量置換することで、成形性を向上することが可能となる。
ここで、図4に示すように、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造では、24dと96hに、Liイオンが存在する。本開示では、このLiサイトを、E元素又はプロトンで特定量置換したガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。
本開示の製造方法では、図4に示す24dと96hサイトにおけるLi、E元素、及びプロトンの各組成比から求められるx−3y−zの値が、3≦x−3y−z≦7の範囲であるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。x−3y−z>7である場合は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造が立方晶から正方晶に変化し、結晶の対称性が損なわれ、Liイオン伝導率が低下する場合がある。また、上記一般式中のLiの組成がx−3y−z<3である場合は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶構造中のLiが入る特有のサイトである96hサイトのポテンシャルが高くなり、結晶中にLiが入りにくくなることで、Li占有率が低下し、Liイオン伝導率が低下する場合がある。
本開示の製造方法において、上記一般式(1)中、元素Eとして、Liと同じ配位数である4配位をとり、且つ、Liと近いイオン半径(Li:0,59Å)を有する元素である、Al、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。
本開示の製造方法において、元素EイオンによるLiイオンの置換量を示すyが、0≦y<0.22の範囲であるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。yを0以上とすることで結晶構造の安定性を向上させることができるが、yを0.22以上とすると、粒子が硬くなりすぎて成形性に影響が生じる場合がある。
また、結晶構造の安定性と成形性のバランスの観点から、上記一般式(1)中、EがAlである場合には、0≦y≦0.13の範囲としてもよい。
本開示の製造方法において、上記一般式(1)中、プロトンによるLiイオンの置換量を示すzが、0.75≦z≦3.4の範囲であるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。上記一般式(1)中、zが、0.75≦z≦3.4の範囲であれば、結晶構造を大きく変化させることなく、成形性を向上することができるためである。
成形性を高める観点から、0.8≦z≦3.4であってもよいし、0.91≦z≦3.4であってもよい。
上記一般式(1)中、プロトンによるLiイオンの置換量を示すzの測定方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
例えば、後述するように、プロトンを含有しないガーネット型イオン伝導性酸化物中のLiイオンをプロトンで置換して製造する場合には、当該置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物について誘導結合プラズマ(ICP)分析を行うことによって、間接的にzを算出することができる。
すなわち、ICP分析では、ガーネット型イオン伝導性酸化物中のプロトン量を直接定量することはできないが、プロトン置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物中のLiイオン量は定量できる。
置換処理前後のLiイオンの定量値の変化量は、プロトンによるLiイオンの置換量を示すため、置換処理前の分析値から置換処理後の分析値を減じた値を、zの値とすることができる。
また、例えば、質量分析(MS)装置と熱重量測定(Tg)装置を使用する方法によって、ガーネット型イオン伝導性酸化物試料中のz値を直接測定することもできる。
本開示の製造方法において、上記一般式(1)中、元素Lとして、アルカリ土類金属及びランタノイド元素のうち少なくとも1種の元素が、2.5≦α≦3.5の範囲で含まれるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。前記一般式(1)中、前記元素Lの含有量比を示すαが、2.5≦α≦3.5の範囲であれば、結晶構造の安定性とイオン伝導性が高い酸化物電解質の焼結体が得られるためである。なお、本開示において、アルカリ土類金属とは、Ca、Sr、Ba、Raを含む概念である。より高いイオン伝導性を有する酸化物電解質の焼結体が得られる観点から、元素LはLaであってもよい。
本開示の製造方法において、前記一般式(1)中、元素Mとして、酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素のうち少なくとも1種の元素が1.5≦β≦2.5の範囲で含まれるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。一般式(1)中、前記元素Mの含有量比を示すβが、1.5≦β≦2.5の範囲であれば、結晶構造の安定性とイオン伝導性が高い酸化物電解質の焼結体が得られるためである。
元素Mとしては、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、Ge、Sn、Sb、及びBi等が挙げられる。
上記元素Mの中でも、より高い結晶構造の安定性とイオン伝導性を有する酸化物電解質の焼結体が得られる観点から、元素Mは、Zr、Nb、及び、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってもよく、ZrとNb又はTaとの組み合わせであってもよい。
元素Mが、ZrとNb又はTaとの組み合わせである場合の上記組成中のZrの量は1.4〜1.75、Nb又はTaの量は0.25〜0.6であってもよい。
本開示の製造方法において、前記一般式(1)中、酸素Oの含有比を示すγが、11≦γ≦13の範囲で含まれるガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。γが上記範囲外である場合には、結晶構造が不安定になるためである。結晶構造安定化の観点からγ=12であってもよい。
本開示の製造方法において、通常、常温で結晶として存在し、粒子形状である前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物を用いる。
本開示の製造方法において、前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.1〜100μmの範囲内であってもよく、0.1〜3.0μmの範囲内であってもよい。
本開示における粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、適切な倍率(例えば、5万〜100万倍)の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;以下、TEMと称する。)画像又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;以下、SEMと称する。)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察又はSEM観察による粒径の算出を、同じ種類の10〜100個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
本開示の製造方法では、前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程において、前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物は、市販の結晶粒子を使用してもよいし、合成した結晶粒子を用いてもよい。
合成した結晶粒子を使用する場合には、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程が、下記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物が得られる化学量論比となるように原料を混合し加熱することにより下記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得る工程と、得られた一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のLiをプロトンで置換することにより前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物とする工程を有していてもよい。
一般式(2)(Lix−3y,E)Lαβγ
(上記一般式(2)中、
EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
Mは酸素と6配位をとることが可能な遷移元素及び第12族〜第15族に属する典型元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
x、yは、3≦x−3y≦7、0≦y<0.22を満たす実数である。
α、β、γは、それぞれ、2.5≦α≦3.5、1.5≦β≦2.5、11≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
前記一般式(2)(Lix−3y,E)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物は、前記一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物のプロトンがすべてLiイオンに置換されたプロトンを含まない化合物である。プロトンを含まないこと以外に関する説明は、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の説明と重複するため、ここでは記載を省略する。
一般式(2)(Lix−3y,E)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物としては、例えば、LiLaZr12、Li6.4LaZr1.4Nb0.612、Li6.5LaZr1.7Nb0.312、Li6.8LaZr1.7Nb0.312、(Li6.2Al0.2)LaZr1.7Nb0.312、(Li5.8Al0.2)La(Zr1.4Nb0.6)O12、(Li6.1Al0.13)La(Zr1.4Nb0.6)O12、(Li6.3Al0.02)La(Zr1.4Nb0.6)O12、(Li6.2Ga0.2)LaZr1.7Nb0.312等が挙げられる。
本開示の製造方法において前記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物中のLiイオンをプロトンに置換する方法は、一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型イオン伝導性酸化物を得ることができれば、特に限定されないが、置換量の制御を容易にする観点から、例えば、前記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の粉末を室温下、数分〜5日間、純水中で撹拌及び/又は純水中に浸漬する方法等を用いてもよい。
上述のように、Liイオンがプロトンに置換した量は、当該置換処理前後のガーネット型イオン伝導性酸化物中のLiイオン量から推定することができる。
(2)フラックス準備工程
本開示の製造方法は、リチウムを含有するフラックスを準備する工程(フラックス準備工程)を有する。
本開示で使用するフラックスは、リチウムを含有するものであれば、特に限定されないが、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子からプロトンが離脱する温度付近に融点を持つものが好ましく、例えば、LiOH(融点:462℃)、LiNO(融点:260℃)、LiSO(融点:859℃)等が挙げられる。焼結温度を低温化する観点から、比較的融点が低いフラックスであるLiOH、LiNOであってもよい。
(3)ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとを混合して複合体とする工程
本開示の製造方法では、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記Liを含有するフラックスとを混合して複合体とする工程を有する。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとを混合する方法に、特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
本工程で得られるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとの複合体にも特に制限はないが、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスが均一に混合された複合体としてもよいし、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の表面がフラックスで被覆された複合体としてもよい。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとの混合比は、特に限定されないが、所望の酸化物電解質焼結体を効率よく得られるので、50:50(体積%)〜95:5(体積%)であってもよい。
(4)焼結工程
本開示の製造方法は、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記Liを含有するフラックスとの複合体を加熱して焼結する工程を有する。
焼結温度は、フラックスの融点温度以上であればよく、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のプロトンとフラックス中のLiイオンの置換を促進して、粒子間の結着及び形成性を向上する観点から、350℃以上であってもよく、400℃以上であってもよく、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶安定性を維持できれば、1000℃以下であってもよく、850℃以下であってもよい。
焼結時にガーネット型イオン伝導性酸化物とフラックス以外の材料を含む場合には、当該材料とガーネット型イオン伝導性酸化物が反応しない温度を選択すればよく、650℃以下であってもよく、550℃以下であってもよい。
本開示によれば、従来よりも低温(例えば350℃)での焼結であっても、所望の形状とLiイオン伝導率を有する酸化物電解質焼結体を得ることができる。
焼結工程において、複合体または焼結体に付与する圧力に、特に限定はないが、成形性及び酸化物電解質焼結体のLiイオン伝導率を向上とさせる観点から、大気圧を超える加圧条件下で加熱してもよい。加熱時の圧力の上限値は特に限定されないが、例えば、6ton/cm(≒588MPa)以下としてもよい。
焼結工程における、雰囲気は、特に限定されない。
焼結工程において焼結は、ホットプレス処理により行ってもよい。
ここで、ホットプレス処理とは、雰囲気調整された炉内で一軸方向に加圧しながら熱処理を行う方法である。
ホットプレス処理することで、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子が塑性変形するため、成形性が向上するとともに、得られる酸化物電解質焼結体が緻密化し密度が向上する。結果として、酸化物電解質焼結体粒子同士の接合が向上するため、Liイオン伝導率が向上する。
ホットプレス処理の圧力は、1〜6ton/cm(≒98〜588MPa)であってもよい。また、ホットプレス処理の処理時間は、1〜600分であってもよい。
2.本開示の製造方法により得られる酸化物電解質焼結体
本開示の酸化物電解質焼結体は、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子間に結晶粒子同士が焼結した粒界を有し、この粒界においても高いLiイオン伝導性を有する。上述のように、本開示の製造方法は、成形性に優れていることから、得られる酸化物電解質焼結体の形状を自由に設計できるため、本開示の製造方法で得られる酸化物電解質焼結体は、電極材料、電解質材料として広い用途で使用することができる。
3.一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物
本開示の酸化物電解質焼結体製造用ガーネット型イオン伝導性酸化物は、前記一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表される。
本開示の前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物は、酸化物電解質の焼結体を得るための原料としてLiを含有するフラックスと共に用いることにより、焼結時の成形性を向上することができる。前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物については、1.酸化物電解質焼結体の製造方法において詳細に説明したことから、ここでは記載を省略する。
本開示の前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物は、通常、常温で結晶として存在し、上記本開示の酸化物電解質の焼結体の製造方法に用いる場合には、当該結晶は粒子形状であってもよい。
本開示の前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.1〜100μmの範囲内であってもよく、0.1〜3.0μmの範囲内であってもよい。
本開示のガーネット型イオン伝導性酸化物は、種々の電池の電極材料、及び、電解質材料等として用いることができ、全固体電池の電極材料、及び、電解質材料等として用いることができる。
4.酸化物電解質の結晶粒子と、リチウムを含有するフラックスとの複合体
本開示の酸化物電解質焼結体製造に用いる、酸化物電解質の結晶粒子とリチウムを含有するフラックスとの複合体は、前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とLiを含有するフラックスとの複合体である。
本開示の複合体は、前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とLiを含有するフラックスとを含有するものであれば、特に制限はないが、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスが均一に混合された複合体であってもよいし、ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子の表面がフラックスで被覆されたフラックスであってもよい。
前記一般式(1)のガーネット型イオン伝導性酸化物、及び、前記Liを含有するフラックス、については、1.酸化物電解質焼結体の製造方法において詳細に説明したことから、ここでは記載を省略する。
ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子とフラックスとの混合比も特に限定されないが、所望の酸化物電解質焼結体を効率よく得られるので、50:50(体積%)〜95:5(体積%)であってもよい。
(1)酸化物電解質の焼結体の製造
(実施例1)
[ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子準備工程]
Li6.75LaZr1.4Nb0.612の組成を有するガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子が得られるように、出発原料としてLiOH(HO)(Sigma−Aldrich社製)、La(OH)(株式会社高純度化学研究所製)、ZrO(株式会社高純度化学研究所製)、Nb(株式会社高純度化学研究所製)を化学量論量秤量し、各原料を混合し、混合物を得た。
フラックス中に溶融する上記混合物が2.5モル%となるように、上記混合物をフラックス(NaCl)とともに8時間かけて室温から950℃まで加熱し、950℃で20時間保持して、組成がLi6.75LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。得られた結晶粒子の個数平均粒径は2.8μmであった。
上述のように得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水100mL中に60分浸漬させ、Liイオンとプロトンとの置換を行い、実施例1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、水素イオン部分置換前に6.75であったLiイオン含有量比は水素イオン部分置換前に6.00であったことから、ガーネット型イオン伝導性酸化物の組成中のLiがHと置換した量は0.75であると考えられた。
以上より、実施例1のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li6.00.75LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
[フラックス準備工程]
260℃に融点を持つLiNOをフラックスとして用いた。
[ガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの混合工程]
実施例1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とLiNO粉末を体積比が75:25となるように秤量した後、乾式で乳鉢にて混合することにより、実施例1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体を得た。
[焼結工程]
実施例1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体を室温で圧粉し(荷重1ton/cm(≒98MPa))、得られた圧粉体に対して、ホットプレス(400℃、荷重3.2ton/cm(≒313MPa)、4時間)を行い実施例1の酸化物電解質の焼結体を得た。
(実施例2)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び実施例2の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水200mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、実施例2のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
実施例1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、実施例2のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li5.60.80LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
(実施例3)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び実施例3の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水300mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、実施例3のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
実施例1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、実施例3のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li5.480.91LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
(実施例4)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び実施例4の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水400mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、実施例4のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
実施例1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、実施例4のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li4.61.8LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
(実施例5)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び実施例5の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で、個数平均粒径が2.8μm、組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水500mL中に48時間浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、実施例5のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
実施例1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、実施例5のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li3.03.4LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
(比較例1)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び比較例1の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子は、水素置換を行わず、そのまま比較例1のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子として用いた。
(比較例2)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び比較例2の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で、個数平均粒径は2.8μm、組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水50mL中に30分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、比較例2のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
実施例1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、比較例2のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li6.270.13LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
(比較例3)
以下のようにガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子とフラックスとの複合体及び比較例3の酸化物電解質の焼結体を得た。
実施例1と同様の方法で、個数平均粒径が2.8μm、組成がLi6.4LaZr1.4Nb0.612であるガーネット型イオン伝導性酸化物粒子を得た。
得られたガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子2.0gを室温下、純水100mL中に60分浸漬させ、水素イオンとLiイオンの部分置換を行い、比較例3のガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子を得た。
実施例1と同様に水素イオン部分置換前後の結晶粒子についてICP分析を実施したところ、比較例3のガーネット型イオン伝導性酸化物粒子は、Li6.00.4LaZr1.4Nb0.612の組成を有することが明らかとなった。
(2)酸化物電解質の焼結体の評価
(2−1)相対密度の測定
実施例1〜5、比較例1〜3の酸化物電解質の焼結体の密度を測定し、一般的なガーネット酸化物の真密度である5.10g/cmを100%とした場合の相対密度を算出した。
相対密度が高いほど、酸化物電解質が塑性変形しやすく、成形性が高いと評価することができる。
(2−2)電子顕微鏡観察
実施例1〜5、比較例1〜3の酸化物電解質の焼結体表面に対し、SEM観察を行った。
SEM観察では、粒子の形状による塑性変形の度合いを評価した。
(2−3)X線結晶回折(XRD)
実施例1〜5、比較例1〜3の酸化物電解質の焼結体に対し、X線結晶回折を行った。X線結晶回折では、結晶性を評価した。
表1に、原料として用いたガーネット型酸化物電解質結晶粒子の特性と酸化物電解質の焼結体の評価結果とまとめて示す。また、図5には原料として用いた一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型酸化物電解質結晶粒子中のHの含有量比であるzと得られた酸化物電解質の焼結体の相対密度の関係を示す。
Figure 0006969374
表1及び図5に示すように、(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型酸化物電解質結晶粒子のうち、Hを含有していない比較例1のガーネット型酸化物電解質結晶粒子を原料として用いた、比較例1の焼結体は相対密度が70%と低かった。また、Hの含有量比zが0.13であるガーネット型酸化物電解質結晶粒子を用いた比較例2、及び、zが0.4であるガーネット型酸化物電解質結晶粒子を用いた比較例3の焼結体も相対密度が80%未満と低かった。図9及び図10に示すように比較例2及び比較例3の焼結体のプレス表面のSEM画像から、ガーネット型酸化物電解質結晶粒子がほとんど変形しておらず、空隙が大きいことが分かる。
従って、(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型酸化物電解質結晶粒子では、zが0.4以下では、成形性に劣ることが明らかとなった。
これに対し、表1及び図5に示すように、(Lix−3y−z,E,H)Lαβγで表されるガーネット型酸化物電解質結晶粒子のうち、Hの含有量比が0.75≦z≦3.4の範囲であるガーネット型酸化物電解質結晶粒子を用いた実施例1〜5の焼結体は相対密度が85%以上と高かった。図6〜8に示すように実施例1〜5の焼結体のプレス表面のSEM画像から、ガーネット型酸化物電解質結晶粒子が程よく変形し、空隙が狭いことが分かる。また、結晶構造も維持されていた。
以上より、一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合して複合体とする工程と、前記複合体を加熱して焼結する工程と、を有する本開示の酸化物電解質焼結体の製造方法は成形性に優れていることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 酸化物電解質焼結体の製造方法であって、
    下記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程と、
    リチウムを含有するフラックスを準備する工程と、
    前記ガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子と前記フラックスとを混合して複合体とする工程と、
    前記複合体を加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする酸化物電解質焼結体の製造方法。
    一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lα Zr 1.4 Nb 0.6 γ
    (上記一般式(1)中、
    EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
    Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す
    x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、y=01.8≦z≦3.4、を満たす実数である。
    αγは、それぞれ、2.5≦α≦3.511≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
  2. 前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を準備する工程が、
    下記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物が得られる化学量論比となるように原料を混合し加熱することにより下記一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子を得る工程と、
    得られた一般式(2)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物結晶粒子中のLiをプロトンで置換することにより前記一般式(1)で表されるガーネット型イオン伝導性酸化物とする工程と、を有する請求項1に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
    一般式(2)(Lix−3y,E)Lα Zr 1.4 Nb 0.6 γ
    (上記一般式(2)中、
    EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
    Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す
    x、yは、3≦x−3y≦7、y=0を満たす実数である。
    αγは、それぞれ、2.5≦α≦3.511≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
  3. 前記一般式(1)中、2.8<z≦3.4である請求項に記載の酸化物電解質焼結体の製造方法。
  4. 一般式(1)(Lix−3y−z,E,H)Lα Zr 1.4 Nb 0.6 γで表されることを特徴とするガーネット型イオン伝導性酸化物。
    (上記一般式(1)中、
    EはAl、Ga、Fe及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
    Lはアルカリ土類金属及びランタノイド元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す
    x、y、zは、3≦x−3y−z≦7、y=01.8≦z≦3.4、を満たす実数である。
    αγは、それぞれ、2.5≦α≦3.511≦γ≦13の範囲内にある実数である。)
  5. 前記一般式(1)中、2.8<z≦3.4である請求項に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物。
  6. 酸化物電解質の結晶粒子と、リチウムを含有するフラックスとの複合体であって、
    前記酸化物電解質の結晶粒子は、請求項4又は5に記載のガーネット型イオン伝導性酸化物の結晶粒子であることを特徴とする複合体。
JP2017253833A 2017-12-28 2017-12-28 酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物 Active JP6969374B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017253833A JP6969374B2 (ja) 2017-12-28 2017-12-28 酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017253833A JP6969374B2 (ja) 2017-12-28 2017-12-28 酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019119627A JP2019119627A (ja) 2019-07-22
JP6969374B2 true JP6969374B2 (ja) 2021-11-24

Family

ID=67306914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017253833A Active JP6969374B2 (ja) 2017-12-28 2017-12-28 酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6969374B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022107824A1 (ja) * 2020-11-17 2022-05-27

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5316512B2 (ja) * 2010-10-29 2013-10-16 株式会社豊田中央研究所 ガーネット型イオン伝導性酸化物及びその製造方法
US10669159B2 (en) * 2015-08-21 2020-06-02 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Proton-conductive complex oxide and fuel cell using same as electrolyte
JP6620770B2 (ja) * 2016-05-27 2019-12-18 トヨタ自動車株式会社 酸化物電解質焼結体、及び、当該酸化物電解質焼結体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019119627A (ja) 2019-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10847794B2 (en) Oxide electrolyte sintered body and method for producing the same
JP6620770B2 (ja) 酸化物電解質焼結体、及び、当該酸化物電解質焼結体の製造方法
JP7017079B2 (ja) 電極の製造方法、電極、及び、電極-電解質層接合体
JP6962094B2 (ja) ガーネット型イオン伝導性酸化物、及び、酸化物電解質焼結体の製造方法
US11955596B2 (en) Solid electrolyte and all solid state battery
JP2019149374A (ja) 固体電解質及び全固体電池
JP6995135B2 (ja) 二次電池
JP6735425B2 (ja) イオン伝導性粉末、イオン伝導性成形体および蓄電デバイス
CN111193061A (zh) 复合固体电解质
JP6735083B2 (ja) イオン伝導体およびリチウム電池
JP6180852B2 (ja) 固体電解質セラミックス材料の製造方法
WO2020044897A1 (ja) ガーネット型複合金属酸化物粒子とその製造方法、及びガーネット型複合金属酸化物の圧縮成形物
TW201251060A (en) Oxide sinter and tablet processed from the same
JP2019006634A (ja) 固体電解質の製造方法、及び固体電解質
JP2019121462A (ja) 酸化物電解質焼結体で被覆された電極活物質の製造方法、酸化物電解質焼結体で被覆された電極活物質、及び、硫化物固体電池
JP2019125547A (ja) 固体電解質粉末、並びにそれを用いてなる電極合材及び全固体ナトリウムイオン二次電池
CN108002832A (zh) 一种低温共烧压电陶瓷材料及其制备方法
WO2014038521A1 (ja) 固体電解質セラミックス材料
JP6969374B2 (ja) 酸化物電解質焼結体の製造方法、及び、その製造方法に用いるガーネット型イオン伝導性酸化物
WO2018131181A1 (ja) イオン伝導体、リチウム電池、および、イオン伝導体の製造方法
WO2021049477A1 (ja) Liイオン伝導体およびその製造方法
JP2020091967A (ja) 固体電解質の製造方法、および電極用固体電解質
JP2023016639A (ja) 固体電解質およびリチウムイオン電池
JP2015183269A (ja) 固体電解質薄膜形成用スパッタリングターゲット及び薄膜
CN116683020A (zh) 一种具有玻璃晶界的石榴石型固体电解质及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210406

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211011

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6969374

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151