JP2017203001A - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Description
前記エレクトロクロミック素子において、透明な表示デバイスを得ようとする場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを構築する場合には、無色透明の状態を有する材料により構成されていることが重要である。
また、イエロー、マゼンタ、及びシアンを発色することができるフタル酸化合物をエレクトロクロミック材料として用いることが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
本発明のエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(I)で表される。
前記一般式(I)において、R1、R2及びR3の置換又は無置換のアルコキシ基としては、前記アルキル基の結合位に酸素原子を挿入してアルコキシ基としたものなどが挙げられる。
L1及びL2の重合性官能基は、環員窒素原子に直接結合、又は二価の炭化水素残基を介して間接的に結合してもよく、前記炭化水素残基は置換基を有していてもよい。前記二価の炭化水素残基としては、置換基を有していてもよいアルキレニル基、置換基を有していてもよいアルケレニル基、置換基を有していてもよいアルキレニル基、置換基を有していてもよいアリーレニル基などが挙げられる。また、前記二価の炭化水素残基の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などが挙げられる。
前記対アニオンは、ピリジニウム構造のカチオン部と安定に対を成すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン、Clイオン、ClO4イオン、PF6イオン、BF4イオン、CF3SO3イオンなどが挙げられる。これらの中でも、合成の容易さの点から、Brイオン、Clイオンが好ましい。
前記一般式(I)で示される本発明のエレクトロクロミック化合物の製造方法について詳細に説明する。
前記一般式(I)で示される本発明のエレクトロクロミック化合物は、例えば、下記一般式(II)で示される窒素含有複素芳香環誘導体と、例えば、下記一般式(III)で示されるピリジン化合物を、パラジウム触媒又はニッケル触媒等を用いて適当な溶媒中でクロスカップリング反応することにより得ることができる。これらの反応は、鈴木−宮浦クロスカップリング、Stilleカップリング等の公知の方法が利用できる。
ここで、前記化合物A−B中Aは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基から選択される官能基を有していてもよい重合性基が挙げられ、これら重合性基は置換基を有していてもよい。前記化合物A−B中Bはハロゲン原子、又は、トシル基、メシル基、トリフィル基等が好ましい。
置換基Aを適切に変更することで化合物の溶解性を制御することができる。また、Bを適切に変更することでピリジン環への4級塩化反応の効率を制御することができる。
前記反応に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、極性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。具体的には、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
本発明のエレクトロクロミック組成物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物を含み、重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記他の重合性化合物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なり、少なくとも1つの重合性官能基を有する化合物である。
前記他の重合性化合物としては、例えば、1官能の重合性化合物、2官能の重合性化合物、3官能以上の重合性化合物、機能性モノマー、重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上の重合性化合物が特に好ましい。
前記他の重合性化合物における重合性官能基としては、本発明の前記エレクトロクロミック化合物における重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記本発明のエレクトロクロミック化合物の含有量は、前記エレクトロクロミック組成物の全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記エレクトロクロミック組成物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物との重合・架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に電解質とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
本発明においては、前記第1の電極が、本発明の前記エレクトロクロミック化合物、及び本発明の前記エレクトロクロミック組成物のいずれかを有する。
前記エレクトロクロミック層は、後述するエレクトロクロミック素子の製造方法により形成することができる。
前記エレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
前記第1の電極、及び前記第2の電極を構成する材料としては、例えば、透明導電基板などが挙げられる。前記透明導電基板としては、例えば、ガラス、プラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが好ましい。
前記第1の電極、及び前記第2の電極の各々の平均厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
前記第1の電極、及び前記第2の電極の材料としてITOを用いた場合、第1の電極、及び第2の電極の各々の平均厚みは、例えば、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記第1の電極、及び第2の電極の各々の材料の塗布方法としては、塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩、酸類、アルカリ類等の支持塩などが挙げられ、具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン液体を用いることが好ましい。
固体化手法としては、高いイオン伝導度と固体強度とが得られる点から、電解質と溶媒とをポリマー中に保持することが好ましい。
前記ポリマーとしては、熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できる点から、光硬化可能な樹脂が好ましい。
前記電解質を含む電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上100μm以下が好ましい。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、担持粒子、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば特に制限はなく、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板;ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板などが挙げられる。
前記支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記支持体としては、複数の重ね合わせてもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性、及びガスバリア性を高めることができる。
本発明の前記エレクトロクロミック化合物と他のエレクトロクロミック材料とを組み合わせる場合、担持粒子を用いることが好ましい。
例えば、本発明のエレクトロクロミック化合物以外のエレクトロクロミック化合物が、結合又は吸着構造としてホスホン酸、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等を有するとき、前記エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れるエレクトロクロミック組成物となる。
前記ホスホン酸基、前記スルホン酸基、前記リン酸基、及び前記カルボキシル基としては、エレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、シリル基、シラノール基等を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されてその結合は強固なものとなり、安定なエレクトロクロミック組成物を得ることができる。前記シロキサン結合とは、ケイ素原子及び酸素原子を介した化学結合をいう。また、前記エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造をしていればよく、特にその結合方法・形態は限定しない。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性や導電性の点から、例えば、金属酸化物が挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケートなどを主成分とするものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性、光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが好ましく、酸化チタンがより好ましい。前記金属酸化物、又は前記金属酸化物の混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れる。
前記絶縁性多孔質層としては、第1の電極と第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性、及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料、無機材料、及びそれらの複合体が好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
前記劣化防止層は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物又は前記エレクトロクロミック組成物からなるエレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第1の電極、及び第2の電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することができる。なお、前記逆の化学反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む意味である。
前記保護層は、外的応力、及び洗浄工程の薬品からエレクトロクロミック素子を守ることができ、また、前記電解質の漏洩を防ぐことができ、更に大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐことができる。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などを用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
本発明で用いられるエレクトロクロミック素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、本発明の前記エレクトロクロミック化合物又は本発明の前記エレクトロクロミック組成物を含む塗布液を塗布する工程である。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
前記架橋工程は、塗布した本発明の前記エレクトロクロミック化合物又は本発明の前記エレクトロクロミック組成物を含む塗布液に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。
前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm2以上15,000mW/cm2以下が好ましい。
前記その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程、貼り合わせ工程などが挙げられる。
本発明のエレクトロクロミック化合物及びエレクトロクロミック組成物は、繰り返し耐久性に優れ、消色時には可視域に吸収帯を持たずに消色状態が無色であるので、例えば、エレクトロクロミック表示素子としてのエレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリ、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。これらの中でも、エレクトロクロミック表示素子として特に好適である。
前記エレクトロクロミック表示素子の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示素子を作製することができる。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示をおこなうことができる。対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることで容易にアクティブ駆動ができる。
<エレクトロクロミック化合物(実−1)の合成>
以下の合成スキーム(1)に従い、エレクトロクロミック化合物(実−1;例示化合物2)を合成した。
100mLフラスコに上記で得られた固体0.60g(2.5mmol)、ブロモヘキシルアクリル酸1.71g(7.3mmol)、及び乾燥DMF 5mLを入れ、アルゴン気流下、80℃で20時間撹拌した。室温(25℃)に戻して、酢酸エチルを加えた後、析出した固体を濾取した。メタノールからの再結晶により精製し、エレクトロクロミック化合物(実−1)を1.12g、収率63%で無色の固体として得た。
<エレクトロクロミック化合物(実−2)の合成>
以下の合成スキーム(2)に従い、(8−ブロモオクチル)アクリル酸を、(4−(ブロモメチル)フェニル)メチルアクリル酸に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−2;例示化合物3)を淡黄色色の固体として得た(2段階で収率42%)。
<エレクトロクロミック化合物(実−3)の合成>
以下の合成スキーム(3)に従い、2,5−ジブロモピリジンを、2,5−ジブロモピラジンに代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−3;例示化合物4)を無色の固体として得た(2段階で収率35%)。
<エレクトロクロミック化合物(実−4)の合成>
以下の合成スキーム(4)に従い、2,5−ジブロモピリジンを、2,5−ジブロモピリミジンに代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−4;例示化合物5)を無色の固体として得た(2段階で収率40%)。
<エレクトロクロミック化合物(実−5)の合成>
以下の合成スキーム(5)に従い、2,5−ジブロモピリジンを、2,5−ジブロモ−3−メチルピリジンに代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−5;例示化合物6)を無色の固体として得た(2段階で収率53%)。
<エレクトロクロミック化合物(実−6)の合成>
以下の合成スキーム(6)に従い、2,5−ジブロモピリジンを、3,6−ジブロモ−2−メチルピリジンに代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−6;例示化合物7)を無色の固体として得た(2段階で収率55%)。
<エレクトロクロミック化合物(実−7)の合成>
以下の合成スキーム(7)に従い、(8−ブロモオクチル)ホスホン酸を、(3−ブロモプロピル)ホスホン酸に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物(実−7;例示化合物1)を無色の固体として得た(2段階で収率32%)。
<エレクトロクロミック素子の作製>
−第1の電極及びエレクトロクロミック層の形成−
まず、30mm×30mmのガラス基板を準備し、その上面の16mm×23mmの領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚みになるように成膜することによって、第1の電極を形成した。この第1の電極の電極端部間のシート抵抗をロレスタGX(三菱アナリテック株式会社製)により測定したところ、約200Ωであった。
次に、第1の電極が形成されたガラス基板上に、2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに実施例1で合成したエレクトロクロミック化合物(実−1;例示化合物2)を20質量%溶解させ、重合開始剤として0.5質量%イルガキュア184(BASF社製)を混合させた。この塗布液をスピンコート法により塗布し、UV光を照射させることで、厚み2μmのエレクトロクロミック層を形成した。
一方、先ほどのガラス基板とは別に30mm×30mmのガラス基板を準備し、その上面の全面に、ITO膜をスパッタ法により約150nmの厚みになるように成膜することによって、第2の電極を形成した。
次に、酸化チタンナノ粒子分散液(昭和タイタニウム株式会社製、SP210)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、第2の電極を形成した。
第1の電極が形成されたガラス基板と第2の電極が形成されたガラス基板を、高さ75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。次に、過塩素酸テトラブチルアンモニウムをジメチルスルホキシドに20質量%を溶解させた電解質溶液を調製した。この電解質溶液をセル内に封入することにより、エレクトロクロミック化合物(実−1)を用いたエレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、以下のようにして、発消色性及び繰り返し耐久性の評価を実施した。
実施例8のエレクトロクロミック素子の第1の電極に負極を、第2の電極に正極を繋ぎ、−2.0Vの電圧を印加したところ、エレクトロクロミック素子は良好な発色をした。
−2.0Vと+1.0Vの印加を繰り返し、発消色に伴うエレクトロクロミック素子の劣化を測定した。500回程度の繰り返しでは、殆ど劣化が観測されなかった。実施例8の吸収スペクトル変化を図2に示した。
実施例8において、表1に示すエレクトロクロミック化合物に代えた以外は、実施例8と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製し、同様にして、発消色性及び繰り返し耐久性を評価した。実施例9〜14は、いずれも実施例8と同様の良好な発消色性及び繰り返し耐久性が得られた。
実施例8において、エレクトロクロミック化合物(実−1)の代わりに、以下に示すエレクトロクロミック化合物(比−1)を用いた以外は、実施例8と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
エレクトロクロミック反応に伴い、570nmに吸収極大を有するブロードな発色を示したが、3回程度の反応の繰り返しによりエレクトロクロミック素子は殆ど発色しなくなってしまい、耐久性は非常に乏しかった。
実施例8において、エレクトロクロミック化合物(実−1)の代わりに、以下に示すエレクトロクロミック化合物(比−2)を用いた以外は、実施例8と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
実施例8において、エレクトロクロミック化合物(実−1)の代わりに、以下に示すエレクトロクロミック化合物(比−2)を用いた以外は、実施例8と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
エレクトロクロミック反応に伴い、850nm及び450nmに吸収極大を有する発色を示したが、繰り返し耐久性に乏しく、3回程度の繰り返しで素子が消色しなくなってしまった。
<1> 下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物である。
[一般式(I)]
<2> L1及びL2が、置換又は無置換の重合性官能基である前記<1>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<3> 前記重合性官能基が、アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<4> 前記対イオンが、Brイオン、Clイオン、ClO4イオン、PF6イオン、BF4イオン、及びCF3SO3イオンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<5> 前記対イオンが、Brイオン又はClイオンである前記<4>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<6> 前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物が、下記構造式で表される例示化合物1から14のいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
[例示化合物1]
<8> 前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物を含有する前記<7>に記載のエレクトロクロミック組成物である。
<9> 前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物が、少なくとも1つの重合性官能基を有する化合物である前記<8>に記載のエレクトロクロミック組成物である。
<10> 重合開始剤を含有する前記<7>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物である。
<11> 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極が、前記<1>から<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、及び前記<7>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物のいずれかを有することを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<12> エレクトロクロミック表示装置として用いられる前記<11>に記載のエレクトロクロミック素子である。
2 第1の電極
3 エレクトロクロミック層
4 電解質層
5 第2の電極
6 第2の支持体
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
[一般式(I)]
- 前記重合性官能基が、アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれかである請求項1に記載のエレクトロクロミック化合物。
- 前記対イオンが、Brイオン、Clイオン、ClO4イオン、PF6イオン、BF4イオン、及びCF3SO3イオンから選択される少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物。
- 請求項1から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物を含有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
- 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極が、請求項1から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、及び請求項4に記載のエレクトロクロミック組成物のいずれかを有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
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