JP6613663B2 - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及びエレクトロクロミック表示素子 - Google Patents

エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及びエレクトロクロミック表示素子 Download PDF

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本発明は、エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及びエレクトロクロミック表示素子に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。前記エレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミック材料は、一般的に対向する2つの電極間に形成されており、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成において酸化還元反応する。前記対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が起こると場合、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が起こる。
すなわち、エレクトロクロミック材料を用いたデバイスにおいて、電圧印加により両極での発色が起こり、色彩、光学濃度に変化を与える。
前記エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック表示素子において、透明な表示デバイスを作成する場合、またフルカラー表示のため、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを作成する場合、消色状態にて無色透明の材料により構成されていることが必要である。
前記エレクトロクロミック材料としては、中性状態が無色透明状態であり、酸化状態で発色するエレクトロクロミック現象を示すフェノチアジン化合物が利用されている。
デバイスの発色層として前記フェノチアジン化合物を用いる場合、エレクトロクロミック化合物の担持粒子として、酸化チタンもしくは酸化スズ粒子を用いることで、高い光学的濃度や高コントラスト比を実現できることが報告されている。(例えば、非特許文献1参照)
また、前記フェノチアジン化合物を含むポリマー電解質を用いたエレクトロクロミック素子が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、前記非特許文献1に開示された、従来公知のフェノチアジン化合物は、エレクトロクロミック素子中に、少なくとも担持粒子の使用が必要となる。担持粒子の光散乱は、透明性の低下、すなわちヘイズを増大させることが考えられ、透明性が必須となる透明な表示デバイスへの適用が困難である。
また、前記非特許文献2においては、フェノチアジン化合物を電解質に溶解させるため、使用溶媒が限られる。さらに、電極表面に固定化されていないため電荷保持できず、発色維持が困難である。このメモリー性は、素子の大面積化に伴い、消費電力に大きく影響するため、メモリー性は担保すべき重要な特性のひとつとして挙げられる。
さらに加え、上記課題が、簡便なプロセスを用いたエレクトクロミック素子において実現できるのがより好ましい。
そこで、本発明者らは、特定の構造すなわち、フェノチアジン骨格に着目し、エレクロトロクロミック現象により、トリフェニルアミン系と同等の電気的耐久性を有し、さらに透明性に優れ、かつ種々の色彩を得ることができる材料を鋭意検討した。
つまり、本発明は高い発消色繰り返し耐久性と良好なメモリー性を持ち、素子の透明性を担保できるエレクトロクロミック化合物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明のエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(I)で示される化合物である。
(ただし、式中R乃至R13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、或いは重合性官能基を部分構造として有する基を示し、R乃至R13の少なくとも一つは重合性官能基を部分構造として有する基である。)
本発明によれば、高い発消色繰り返し耐久性と良好なメモリー性を持ち、素子の透明性を担保できるエレクトロクロミック化合物を提供することができる。
本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の一例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック表示素子のさらに他の一例を示す概略図である。 本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた表示素子の一例の消色時および発色時における吸収スペクトルである。
(エレクトロクロミック化合物)
本発明で用いられるエレクトロクロミック化合物は、前記一般式(I)で示される。
一般式(I)中、R乃至R13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、或いは重合性官能基を部分構造として有する基を示し、R乃至R13の少なくとも一つは重合性官能基を部分構造として有する基である。ここで、重合性官能基を部分構造として有する基とは、重合性官能基を全体構造のうちの一部として有していることを意味し、重合性官能基だけで構成された基は除かれる。
<ハロゲン原子>
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
<一価の有機基>
前記一価の有機基としては、例えば、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、スルホニル基、スルホンアミド基、アミノスルホニル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリール基などが挙げられる。これらは、置換基を有していてもよい。
前記置換基を有してもよいものとしては、例えば、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基等の置換基を有していてもよいカルボニル基;置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基等の置換基を有していてもよいスルホニル基;置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基等のアルキルアミノ基;置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基;置換基を有していてもよいアルキニル基;置換基を有していてもよいアリール基;置換基を有していてもよいアルコキシ基;置換基を有していてもよいアリールオキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基;置換基を有していてもよいアリールチオ基;置換基を有していてもよいヘテロアリール基などが挙げられる。
一価の有機基としては、上記の中でも、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数2以上のヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が好ましい。
前記炭素数1以上のアルキル基としては、例えば、原料の入手性の点から、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数1以上30以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルキル基がより好ましい。
前記炭素数1以上のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−ブチルオクチル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
前記炭素数2以上のアルケニル基としては、例えば、前記炭素数1以上のアルキル基と同様に、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数2以上30以下のアルケニル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルケニル基がより好ましい。
前記炭素数2以上のアルケニル基としては、前記炭素数1以上のアルキル基の任意の水素を2つ取り去った置換基であり、例えば、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプタニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
炭素数2以上のアルキニル基としては、例えば、前記炭素数1以上のアルキル基と同様に、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数2以上30以下のアルキニル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルキニル基がより好ましい。
炭素数2以上のアルキニル基としては、前記炭素数1以上のアルキル基の任意の水素を4つ取り去った置換基であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基などが挙げられる。
前記炭素数6以上のアリール基としては、例えば、炭素数6以上18以下のアリール基が好ましい。
前記炭素数6以上のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基が挙げられる。
前記炭素数2以上のヘテロアリール基としては、例えば、炭素数2以上12以下のヘテロアリール基が好ましい。
前記炭素数2以上のヘテロアリール基の構成元素としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子などが挙げられる。これらの中でも、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子から選択されるいずれか1種を含んでいることが好ましい。
前記炭素数2以上のヘテロアリール基としては、例えば、単環系ヘテロアリール基、多環系ヘテロアリール基などが挙げられる。
前記単環系ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジン、チオフェン環、フラン環、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール、オキサジアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、トリアゾール環などが挙げられる。
前記多環系ヘテロアリール基としては、例えば、キノリン基、イソキノリン基、キナリゾン基、フタラジン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチオジアゾール基、アクリジン基、フェノキサジン基、カルバゾール基、ベンゾジチオフェン基、ベンゾジフラン基などが挙げられる。
<重合性官能基を部分構造として有する基>
前記重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、重合可能な基であればいずれでもよい。前記重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(i)中、Xは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表される重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、Xは、前記一般式(i)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びXの少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。
前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表される重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基(アクリル基とも称する。)、メタクリロイルオキシ基(メタクリル基とも称する。)が特に好ましい。
前記重合性官能基としては、酸化還元に対する耐性が高い点から、例えば、炭素数1以上のアルキル基;炭素数6以上のアリール基;構成炭素数7以上の、アルキル基で置換されたアリール基等の末端に置換されていることが好ましく、アルキル基の末端に置換されていることがより好ましい。
特に、前記重合性官能基が、本願の主骨格に少なくとも炭素数2以上のアルキル基を介して結合することが好ましい。
前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物としては、次の化合物がより好適に挙げられる。
即ち、前記一般式(I)中、一価の有機基がハロゲン原子、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数2以上のヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基であることが好ましい。
さらに、前記一般式(I)中、R3、R4及びR13がハロゲン原子、一価の有機基または重合性官能基を部分構造として有する基のいずれかであることがより好ましい。
前記R3、R4及びR13から選択される少なくとも一つが、ハロゲン原子、一価の有機基または重合性官能基を部分構造として有する基で示される場合、トリフェニルアミン骨格のパラ位に前記置換基が導入されるため、化合物の結晶性、及び安定性が増す点から好適である。
またR13が重合性官能基を部分構造として有する基であることが好ましい。
具体的には、前記一般式(I)中のトリフェニルアミン骨格のパラ位は、電子密度が高く、反応性が高いため、酸化還元状態で、二量化や環化、分解反応等の予期せぬ副反応を招く可能性が非常に大きい。そこで、前記トリフェニルアミン骨格のパラ位には水素原子以外の前記一価の有機基で置換されていることが好ましいためである。
一般式(I)中前記重合性官能基を部分構造として含む基が、アルキル基で置換されたアリール基、又はアルキル基、又はアリール基、の末端に前記重合性官能基を含む構造を有する基であることが好ましく、より好ましくは前記重合性官能基が、アクリル基またはメタクリル基のいずれかであることである。
以下に、本発明の好ましい化合物の構造を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
(エレクトロクロミック化合物の製造方法)
前記エレクトロクロミック化合物は、化合物の入手性、及び毒性の点から、例えば、ハロゲン化合物である下記一般式(II)で示されるフェニル化合物と、例えば、一般式(III)で示されるアミン化合物とを、例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、銅触媒等の金属触媒と、必要に応じて塩基とを、適当な溶媒中で逐次、炭素−窒素間のクロスカップリング反応させることにより前記一般式(I)で示される本発明のエレクトロクロミック化合物を得ることができる。
ただし、前記一般式(II)中、RからR13は、前記一般式(I)中のRからR13と同様であり、Halはハロゲン原子又はトリフラート基を示す。
ただし、前記一般式(III)中、RからRは、前記一般式(I)中のRからRと同様である。
前記Halのハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
前記塩基としては、特に制限はなく、例えば、強塩基などが挙げられる。
前記強塩基としては、例えば、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムなどが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、tert−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、キノリンなどが挙げられる。
前記触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム、ビスベンジリデンアセトンパラジウム、銅、酸化銅などが挙げられる。前記触媒は、適当なリガンドと組み合わせてもよい。
前記リガンドとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等のリン配位子;エチレンジアミンやシクロヘキシルジアミン、フェナントロリン、ビピリジル等の窒素系配位子などが挙げられる。
前記反応後に得られたエレクトロクロミック化合物の粗生成物の精製は、各種既存の精製方法で行うことができる。
前記精製方法としては、例えば、溶媒洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、昇華精製などが挙げられる。
<エレクトロクロミック組成物>
本発明のエレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物と、このエレクトロクロミック化合物とは異なる一つ以上の他の重合性化合物を含むものである。
前記エレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたとき、黄色発色を呈することが可能で、さらに画像のメモリー性、すなわち発色画像保持特性に優れるものとなる。
<<他の重合性化合物>>
前記他の重合性化合物は、本発明の化合物を有する合物とは異なり、少なくとも1つの重合性官能基を有する化合物である。
前記他の重合性化合物としては、例えば、1官能の重合性化合物、2官能の重合性化合物、3官能以上の重合性化合物、機能性モノマー、重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上の重合性化合物が特に好ましい。
前記他の重合性化合物における重合性官能基としては、前記本発明の化合物における重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記1官能の重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能の重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上の重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
前記本発明の化合物および前記本発明の化合物とは異なる他の重合性化合物の少なくともいずれか一方が重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋構造体を形成する点から好ましい。
前記本発明の化合物の含有量は、エレクトロクロミック組成物の全量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
<<重合開始剤>>
前記エレクトロクロミック組成物は、前記本発明の化合物と、前記本発明の化合物とは異なる他の重合性化合物との重合・架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;IRGACURE184等のヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<<フィラー>>
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;酸化ケイ素(シリカ)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性、安定性、及び表面処理の容易性などの点から、金属酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)が特に好ましい。
前記有機フィラーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリオレフィン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、脂肪酸等の低分子化合物、フタロシアニン等の顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性及び不溶性の点から、樹脂が好ましい。
前記フィラーの平均一次粒径は、1μm以下が好ましく、10nm以上1μm以下がより好ましい。前記フィラーの平均一次粒径が、1μm以下であると、粗大粒子が存在せず、得られる膜の表面状態が良好であり、表面平滑性に優れている。
前記フィラーの含有量は、前記重合性化合物の全量100質量部に対して、固形分濃度で、0.3質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.6質量部以上0.9質量部以下がより好ましい。
前記含有量が、0.3質量部以上であると、フィラー添加効果が充分に得られ、製膜性が良好であり、1.5質量部以下であると、トリアリールアミン化合物の割合が適切であり作製したエレクトロクロミック素子の良好な電気化学特性が得られる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
前記エレクトロクロミック層は、後述するエレクトロクロミック素子の製造方法により形成することができる。
前記第1のエレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
<<担体>>
他のエレクトロクロミック材料と組み合わせる場合、担持粒子を用いることができる。
例えば、本発明のエレクトロクロミック化合物以外のエレクトロクロミック化合物が、結合又は吸着構造としてホスホン酸、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等を有するとき、前記エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れるエレクトロクロミック組成物となる。前記ホスホン酸基、前記スルホン酸基、前記リン酸基、及び前記カルボキシル基としては、エレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、シリル基、シラノール基等を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されてその結合は強固なものとなり、安定なエレクトロクロミック組成物を得ることができる。前記シロキサン結合とは、ケイ素原子及び酸素原子を介した化学結合をいう。また、前記エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造をしていればよく、特にその結合方法・形態は限定しない。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子又はナノポーラス構造体等のナノスケールの凹凸を有する構造体をいう。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性や導電性の点から、例えば、金属酸化物が挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケートなどを主成分とするものが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性、光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが好ましく、酸化チタンがより好ましい。前記金属酸化物、又は前記金属酸化物の混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れる。
前記金属酸化物の形状としては、平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物微粒子が好ましい。前記平均一次粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上でき、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という。)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することで、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色カラー表示することができる。ナノ構造の比表面積は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100m/g以上が好ましい。
(エレクトロクロミック表示素子)
本発明のエレクトロクロミック表示素子は、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質とを有し、前記第一の電極上であって前記第二の電極側に前記エレクトロクロミック化合物またはエレクトロクロミック組成物を有し、必要に応じてその他の成分を有する。
<第一の電極、及び第二の電極>
前記第一の電極、及び前記第二の電極を構成する材料としては、例えば、透明導電基板などが挙げられる。前記透明導電基板としては、例えば、ガラス、プラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが好ましい。
前記透明導電薄膜の材料としては、導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」ともいう)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」ともいう)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」ともいう)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが好ましい。
さらに、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の各々の平均厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の材料としてITOを用いた場合、第一の電極、及び第二の電極の各々の平均厚みは、例えば、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の各々の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
前記第一の電極、及び第二の電極の各々の材料の塗布方法としては、塗布形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<電解質>
前記電解質は、前記第一の電極と前記第二の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩、酸類、アルカリ類等の支持塩などが挙げられ、具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。
前記室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造としては、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩などが挙げられ、アニオン成分としては、大気中での安定性の点から、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。
前記イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させた溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記電解質としては、低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型などの様々な形態をとることができる。電解質は、ゲル状、固体状に形成することで、素子強度向上、信頼性向上などの点から有利である。
固体化手法としては、高いイオン伝導度と固体強度とが得られる点から、電解質と溶媒とをポリマー樹脂中に保持することが好ましい。
前記ポリマー樹脂としては、熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できる点から、光硬化可能な樹脂が好ましい。
前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100nm以上100μm以下が好ましい。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
<<支持体>>
前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板;ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板などが挙げられる。
前記支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、長方形であっても、丸型であってもよい。
前記支持体としては、複数の重ねあわせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック表示素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性、及びガスバリア性を高めることができる。
<<絶縁性多孔質層>>
前記絶縁性多孔質層としては、第一の電極と第二の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性、及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料、無機材料、及びそれらの複合体が好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
<<劣化防止層>>
前記劣化防止層は、エレクトロクロミック組成物からなるエレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第一の電極、及び第二の電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することができる。なお、前記逆の化学反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む意味である。
前記劣化防止層の材料としては、第一の電極、及び第二の電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性金属酸化物、又は半導体性金属酸化物を用いることができる。
前記劣化防止層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性金属酸化物微粒子又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第二の電極に固定化することで、電解質の浸透性、及び劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
前記劣化防止層として、エレクトロクロミック組成物を構成する導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体と同じものを用いると、第一の電極、及びエレクトロクロミック組成物の製造工程と、第二の電極、及び劣化防止層の製造工程とを一部共有化できるため好ましい。
<<保護層>>
前記保護層は、外的応力、及び洗浄工程の薬品からエレクトロクロミック表示素子を守ることができ、また、前記電解質の漏洩を防ぐことができ、さらに大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック表示素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐことができる。
前記保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などを用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
図1は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の構成例である。図1に示すように、前記エレクトロクロミック表示素子8は、第一の電極1と、前記第一の電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた第二の電極2と、前記第一の電極及び前記第二の電極の両電極間に配置し、少なくとも前記エレクトロクロミック化合物4を溶解させた電解質3とを備える。前記エレクトロクロミック表示素子では、前記エレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。
図2は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の構成例である。図2に示すように、エレクトロクロミック表示素子18は、第一の電極10と、前記第一の電極10に対して間隔をおいて対向して設けた第二の電極12と、前記第一の電極10及び前記第二の電極の両電極間に配置された電解質13とを備え、前記第一の電極10の表面に、前記エレクトロクロミック組成物14aを含む表示層15を備える。
図3は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の構成例である。図3に示すように、エレクトロクロミック表示素子28は、第一の電極20と、前記第一の電極20に対して間隔をおいて対向して設けた第二の電極22と、前記第一の電極20及び前記第二の電極の両電極間に配置された電解質23とを備え、前記第一の電極20の表面に、前記エレクトロクロミック組成物24aを含む表示層25を有する。また、第二の電極22の第一の電極21側に、白色粒子からなる白色反射層26を備える。
前記エレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に重合性官能基を部分構造として有する基を有し、前記重合性官能基を部分構造として有する基を結合基として導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、前記エレクトロクロミック組成物が第一の電極10上に層状に設けられて、表示層25が形成されている。
(エレクトロクロミック表示素子の製造方法)
本発明のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、第1の電極上に、本発明のエレクトロクロミック組成物を塗布する塗布工程と、塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する架橋工程を含む。
<塗布工程>
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、本発明の化合物と、前記本発明の化合物とは異なる他の重合性化合物と、必要に応じてフィラーとを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
前記本発明の化合物、前記本発明の化合物とは異なる他の重合性化合物、及び前記フィラーとしては、前記エレクトロクロミック素子で説明したものと同様のものを用いることができる。
前記本発明の化合物と、前記本発明の化合物とは異なる他の重合性化合物と、前記フィラーとを含有する塗布液を塗布する。塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
<架橋工程>
前記架橋工程は、塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記第1の電極上にエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、エレクトロクロミック層を形成する。前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm以上15,000mW/cm以下が好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程、貼り合わせ工程、などが挙げられる。
(用途)
本発明のエレクトロクロミック化合物は、安定動作が可能であり、かつ応答速度と光耐久性に優れているので、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り、「質量部」及び「質量%」を示す。
以下、各合成例における原料から生成される各段階の中間体をそれぞれ中間体X-Yと呼称する(Xは実施例の番号、Yは工程数)。なお、最終生成物については中間体ではないため、この限りではない。
(実施例1)
<エレクトロクロミック化合物1の作製>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物1の合成を行った。
(1)中間体1−1の合成
窒素置換したフラスコに、フェノチアジン(19.9g、100mmol)、1-ブロモ-4-(3-クロロプロピル)ベンゼン(23.4g,100mmol)、酢酸パラジウム(225mg,1.0mmol)、t-ブトキシナトリウム(14.4g,150mmol),O-キシレン(420mL)、アルゴンガスで溶液をバブリングした後、テトラキストリt-ブチルホスフィン(624 mg,3.08mmol)を加え、115℃で2時間加熱撹拌を行った。反応溶液を室温に戻し、セライト濾過を行った。次に、分離した有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:ヘキサン/トルエン)で精製を行い、淡黄色油状物として、上記中間体1−1を得た(収量29.8g、収率85%)。
(2)エレクトロクロミック化合物1の合成
窒素置換したフラスコに前記中間体1−1(10.5g、29.8mmol)、アクリル酸(4.29g,59.6mmol),炭酸カリウム(6.21g,45.0mmol),N,N-ジメチルホルムアミド(以下DMF,32mL)を入れ、80℃で20時間加熱撹拌を行った。溶液を室温まで冷却した後、酢酸エチルと水を加えて、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水、続けて飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:ヘキサン/酢酸エチル)で精製を行い、白色固体として、下記エレクトロクロミック化合物1を得た(収量10.2g、収率82%)。
前記エレクトロクロミック化合物1のMSスペクトル(ESI)を測定したところ、理論値387.13、実測値387.1であり、下記構造式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物1であることが確認された。
(実施例2)
<エレクトロクロミック化合物2の作製>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物2の合成を行った。
(1)中間体2−1の合成
氷冷下、ジメチルホルムアミド(100mL)に前記中間体1−1(5.28g、15mmol)を溶解させ、N-ブロモスクシンイミド(5.61g、32mmol)を徐々に加えた。その後、室温に戻して10時間撹拌を行った。反応溶液に水、続けてトルエンを加え有機層を分離した。水層をトルエンで3回抽出し、合わせた有機層を水、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン/ヘキサン)で精製し、淡黄色の固体として、上記中間体2−1を得た(収量4.97g、収率65%)。
(2)エレクトロクロミック化合物2の合成
中間体1−1の代わりに、中間体2−1を用いた以外は、実施例1のエレクトロクロミック化合物1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物2を得た(収率85%)。
前記エレクトロクロミック化合物2のMSスペクトルを測定したところ、理論値542.95、実測値543.0であり、下記構造式(II)で示されるエレクトロクロミック化合物2であることが確認された。
(実施例3)
<エレクトロクロミック化合物3の作製>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物3の合成を行った。
(1)中間体3−1の合成
窒素置換したフラスコに、前記中間体2−1(5.07g, 10mmol), フェニルボロン酸(3.65g, 30mmol), 炭酸カリウム(8.28g,60mmol). トルエン(100mL), 水(30mL), エタノール(10mL)を入れ、アルゴンガスでバブリングを行った後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (116mg, 0.1mmol)を加えて、80℃で8時間加熱撹拌を行った。
反応溶液に水、続けてトルエンを加え有機層を分離した。水層をトルエンで3回抽出し、合わせた有機層を水、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン)で精製し、淡黄色の固体として、上記中間体3−1を得た(収量4.5g、収率90%)。
(2)エレクトロクロミック化合物3の合成
中間体1−1を中間体3−1に変更した以外は、実施例1のエレクトロクロミック化合物1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物3を得た(99%)。
前記エレクトロクロミック化合物3のMSスペクトルを測定したところ、理論値539.19, 実測値539.2であり、下記構造式(III)で示されるエレクトロクロミック化合物3であることが確認された。
(実施例4)
<エレクトロクロミック化合物4の作製>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物4の合成を行った。
(1)中間体4−1の合成
実施例1の中間体1−1の合成において、9,9-ジメチルフェノキサジンに替えて、2,7,9,9-テトラメチルフェノキサジンを用いた以外は実施例1と同様にして上記中間体4−1を得た。(収率90%)
(2)エレクトロクロミック化合物4の合成
中間体1−1を、中間体4−1に変更した以外は、エレクトロクロミック化合物1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物4を得た(定量的)。
前記エレクトロクロミック化合物4のMSスペクトル(ESI)を測定したところ、理論値415.16、実測値415.2であり、下記構造式(IV)で示されるエレクトロクロミック化合物4であることが確認された。
(実施例5)
<エレクトロクロミック化合物5の作製>
エレクトロクロミック化合物1の合成において、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を用いた以外は同様の手順で反応を行い、無色の結晶としてエレクトロクロミック化合物5を得た。(収率68%)
前記エレクトロクロミック化合物5のMSスペクトル(ESI)を測定したところ、理論値401.14、実測値401.1であり、下記構造式(V)で示されるエレクトロクロミック化合物5であることが確認された。
(実施例6)
<エレクトロクロミック化合物6の作製>
エレクトロクロミック化合物1の合成において、用いる化合物を中間体4−1に変え、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を用いた以外は同様の手順にて反応を行い、無色の結晶としてエレクトロクロミック化合物6を得た。(収率90%)
前記エレクトロクロミック化合物6のMSスペクトル(ESI)を測定したところ、理論値429.18、実測値429.2であり、下記構造式(VI)で示されるエレクトロクロミック化合物6であることが確認された。
(実施例7)
<エレクトロクロミック表示素子1の作製>
<第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成>
第1の電極上にエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するエレクトロクロミック化合物1:50質量部
・α―ヒドロキシアルキルフェノン(IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400ジアクリレート(以下PEG400DA, 日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−第2の電極上への劣化防止層の形成−
第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
−電解質の充填−
以下に示す組成の電解質液を調製した。
・α―ヒドロキシアルキルフェノン(IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記劣化防止層を有するITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック素子を作製した。
<発消色駆動>
作製したエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層の引き出し部分と第2の電極層の引き出し部分との間に、−2Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分に、エレクトロクロミック架橋層の本発明のエレクトクロミック化合物1に由来する赤色の発色が確認できた。
次いで、前記第1の電極層の引き出し部分と前記第2の電極層の引き出し部分との間に、+2Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分が消色し、透明になることが確認できた。その際の発色時および消色時の吸収スペクトルをOcean Optics社製 USB4000 で測定し、図4に示した。消色状態を実線、発色状態を破線で示した。
<試験1:繰返し耐久性試験>
作製したエレクトロクロミック素子について、−2V、5s、+2V、5sの発消色駆動を500回繰り返した。そのときの可視領域(400〜800nm)の吸収極大をλmax(この場合550nm)とした。その時の吸光度変化をOcean Optics社製 USB4000 で測定し、下記基準で評価した。
[評価基準]
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて80%以上である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%以上である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%未満である場合
<試験2:メモリー性評価>
作製したエレクトロクロミック素子について、−2V、5s印加して発色させ、開放回路にした。回路開放時の可視領域の透過率をOcean Optics社製 USB4000 で測定し、下記基準でメモリー性を評価した。
[評価基準]
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて80%以上である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%以上である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%未満である場合
<試験3:ヘイズ値測定>
作製したエレクトロクロミック素子について、日本電色製 NDH5000を用い、JIS規格に則って消色状態のヘイズ測定を行った。下記基準でヘイズ値を評価した。
[評価基準]
○:ヘイズ値が2%以下の場合
×:ヘイズ値が2%より大きい場合
試験1〜3の結果を表1に示した。
(実施例8〜14)
例示化合物1で示されるエレクトロクロミック化合物1を、表1に示す本明細書の例示化合物で示されるエレクトロクロミック化合物に変更した以外は、実施例7と同様にして、実施例8〜14のエレクトロクロミック表示素子2〜8を作製した。実施例7と同様にして、繰り返し耐久性、メモリー性、ヘイズ値を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
非特許文献1に記載の、下記構造式(VII)で示される化合物を用いて比較例1のエレクトロクロミック表示素子を作製した。 第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、酸化スズナノ粒子分散液をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化スズ粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。ここに、2wt%化合物水溶液を0.15cc滴下し、スピンコート(1500rpm)で色素を吸着させ、純水0.15ccを同様にスピンコートしてリンスした。これ以外は、実施例7と同様にして、比較例1のエレクトロクロミック素子を作製した。実施例7と同様にして、繰り返し耐久性、メモリー性、ヘイズ値を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
下記構造式(VIII)で示される化合物を用いて、非特許文献2に記載の方法でエレクトロクロミック素子を作製した。実施例7と同様にして、繰り返し耐久性、メモリー性、ヘイズ値を評価した。結果を表1に示す。
以上、表1より、従来公知の比較化合物を用いた場合では、繰り返し耐久性、メモリー性、透明性を満足する素子が提供されないのに対して、本願のエレクトロクロミック化合物を用いることで、上記特性を兼ね備えたエレクトロクロミック素子を提供できることが分かった。
J. Phys. Chem. B 2000, 104, 11449−11459. Displays 2010, 31, 150−154.
(図1について)
1 第一の電極
2 第二の電極
3 電解質
4 エレクトロクロミック化合物
8 エレクトロクロミック表示素子
(図2について)
10 第一の電極
12 第二の電極
13 電解質
14a エレクトロクロミック組成物
15 表示層
18 エレクトロクロミック表示素子
(図3について)
20 第一の電極
22 第二の電極
23 電解質
24a エレクトロクロミック組成物
25 表示層
26 白色反射層
28 エレクトロクロミック表示素子

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック材料。
    (ただし、式中R乃至R13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、或いは末端にアクリル基又はメタクリル基を含む構造を有する基を示し、R乃至R13の少なくとも一つは末端にアクリル基又はメタクリル基を含む構造を有する基である。ただし、前記一価の有機基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はヘテロアリールオキシ基である。また末端にアクリル基又はメタクリル基を含む構造を有する基は、末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリロイルオキシアルキル基又は末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基である。
  2. 前記一般式(I)中、R、R及びR13のうちの少なくとも一つの基がハロゲン原子、一価の有機基または末端にアクリル基又はメタクリル基を含む構造を有する基のいずれかである請求項1に記載のエレクトロクロミック材料。
  3. 前記一般式(I)中、R13が末端にアクリル基又はメタクリル基を含む構造を有する基である請求項2に記載のエレクトロクロミック材料。
  4. 前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック材料とは異なる他の重合性化合物をさらに含む請求項1からのいずれかに記載のエレクトロクロミック材料。
  5. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質とを有し、
    前記第一の電極上であって前記第二の電極側に請求項1からのいずれかに記載のエレクトロクロミック材料を有するエレクトロクロミック表示素子。
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