JP2020140053A - エレクトロクロミック素子、表示素子、調光素子、エレクトロクロミック組成物及び硬化膜 - Google Patents

エレクトロクロミック素子、表示素子、調光素子、エレクトロクロミック組成物及び硬化膜 Download PDF

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大輔 後藤
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史育 金子
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Abstract

【課題】マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性及び連続駆動安定性が良好なエレクトロクロミック素子を提供する。【解決手段】エレクトロクロミック素子10Aは、第1の電極12と、第1の電極12に対向する第2の電極16と、第1の電極12と第2の電極16との間に形成されている電解質層14Aを有し、第1の電極12と電解質層14Aの間に、特定の化学式で表される化合物、又は、特定の化学式で表される化合物を含む組成物の硬化物を含む第1のエレクトロクロミック層13が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子、表示素子、調光素子、エレクトロクロミック組成物及び硬化膜に関する。
エレクトロクロミズムを引き起こすエレクトロクロミック材料の発色及び消色(以下、発消色ということがある)を用いたエレクトロクロミック素子は、電子ペーパー、遮光手段等の表示装置の有力な候補として、研究開発が進められている。
エレクトロクロミック素子は、一般に、一対の電極の間に、電解質層とエレクトロクロミック層が形成されている。エレクトロクロミック素子では、エレクトロクロミック層に順電圧又は逆電圧を印加することにより、エレクトロクロミック材料が発消色する。
エレクトロクロミック素子は、原理的に、無色の消色状態及びカラーの発色状態を、可逆的に変化させることができる。エレクトロクロミック素子は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等の多層の発色層を積層することによって、様々な色を発色することができる。このため、多色カラー表示が可能な素子として期待されている。
エレクトロクロミック素子を透明な表示デバイスや多色カラー表示が可能なデバイスに適用するためには、エレクトロクロミック材料は、消色状態において、無色透明である必要がある。
中性状態で無色透明であり、酸化状態で発色するエレクトロクロミック材料としては、例えば、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性及び連続駆動安定性を向上させることが望まれている。
本発明の一態様は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性及び連続駆動安定性が良好なエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、エレクトロクロミック素子において、第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されている電解質層を有し、一般式(1)
Figure 2020140053
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、Aは、一般式(1−1)〜(1−4)
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
(一般式(1−1)〜(1−4)中、R14、R16、R18又はR20は、窒素原子と結合する単結合であり、R15、R17、R19又はR21は、窒素原子と結合する単結合であり、R30、R32、R34又はR36は、窒素原子と結合する単結合であり、R31、R33、R35又はR37は、窒素原子と結合する単結合であり、R42、R43、R44又はR45は、窒素原子と結合する単結合であり、窒素原子と結合する単結合以外のR〜R52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は一般式(1−5)
Figure 2020140053
(一般式(1−5)中、R53、R54は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であり、R53とR54が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
で表される基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。)
のいずれかで表される基である。)
で表される化合物、又は、前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含む。
本発明の他の態様は、エレクトロクロミック素子において、第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されている電解質層を有し、セレン原子、硫黄原子又は酸素原子を有するトリアリールアミン化合物、又は、前記トリアリールアミン化合物を含む組成物の硬化物を含み、発色時に、マゼンタ、シアン又は緑色を呈する。
本発明の一態様によれば、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性及び連続駆動安定性が良好なエレクトロクロミック素子を提供することができる。
本実施形態のエレクトロクロミック素子の一例を示す断面図である。 本実施形態のエレクトロクロミック素子の他の例を示す断面図である。 実施例2−1のエレクトロクロミック素子の発色時における可視吸収スペクトルである。 実施例2−2のエレクトロクロミック素子の発色時における可視吸収スペクトルである。 実施例2−5のエレクトロクロミック素子の発色時における可視吸収スペクトルである。 実施例2−1〜2−5のエレクトロクロミック素子の発色時におけるaとbを示す図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
[エレクトロクロミック組成物]
本実施形態のエレクトロクロミック組成物は、一般式(1)
Figure 2020140053
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、Aは、一般式(1−1)〜(1−4)
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
(一般式(1−1)〜(1−4)中、R14、R16、R18又はR20は、窒素原子と結合する単結合であり、R15、R17、R19又はR21は、窒素原子と結合する単結合であり、R30、R32、R34又はR36は、窒素原子と結合する単結合であり、R31、R33、R35又はR37は、窒素原子と結合する単結合であり、R42、R43、R44又はR45は、窒素原子と結合する単結合であり、窒素原子と結合する単結合以外のR〜R52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は一般式(1−5)
Figure 2020140053
(一般式(1−5)中、R53、R54は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であり、R53とR54が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
で表される基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。)
のいずれかで表される基である。)
で表される化合物を含む。
(一般式(1)で表される化合物)
一般式(1)で表される化合物は、トリアリールアミン骨格を有する重合性化合物であるため、後述する本実施形態のエレクトロクロミック素子に適用することができる。
〜R52におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
〜R52における一価の有機基としては、例えば、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、スルホニル基、スルホンアミド基、アミノスルホニル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリール基、シリル基等が挙げられる。これらは、置換基を有していてもよい。
置換基を有する一価の有機基としては、例えば、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、モノアリールアミノカルボニル基、ジアリールアミノカルボニル基等のカルボニル基;アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、モノアルキルアミノスルホニル基、ジアルキルアミノスルホニル基、モノアリールアミノスルホニル基、ジアリールアミノスルホニル基等のスルホニル基;モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等のアルキルアミノ基;アルキル基、アルケニル基;アルキニル基;アリール基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオ基;アリールチオ基;ヘテロアリール基等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びヘテロアリールオキシ基が好ましい。
〜R54におけるアルキル基は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は環状のアルキル基である。
アルキル基の炭素数は、例えば、原料の入手性の点から、1以上30以下であることが好ましく、1以上18以下であることがより好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−ブチルオクチル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
〜R52におけるアルコキシ基としては、例えば、上記アルキル基と酸素原子が結合した基等が挙げられる。
〜R52におけるアルケニル基は、アルキル基と同様に、直鎖、分岐鎖又は環状のアルケニル基である。
アルケニル基の炭素数は、2以上30以下であることが好ましく、2以上18以下であることがより好ましい。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプタニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
〜R52におけるアルキニル基は、アルキル基と同様に、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキニル基である。
アルケニル基の炭素数は、2以上30以下であることが好ましく、2以上18以下であることがより好ましい。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基等が挙げられる。
〜R54におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾピレニル基、クリセニル基等が挙げられる。
〜R52におけるヘテロアリール基の炭素数は、2以上12以下であることが好ましい。
ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子等が挙げられる。これらの中でも、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が好ましい。
ヘテロアリール基としては、例えば、単環系ヘテロアリール基、多環系ヘテロアリール基等が挙げられる。
単環系ヘテロアリール基を構成する環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジン、チオフェン環、フラン環、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
多環系ヘテロアリール基としては、例えば、キノリン基、イソキノリン基、キナリゾン基、フタラジン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチオジアゾール基、アクリジン基、フェノキサジン基、フェノチアジン基、カルバゾール基、ベンゾジチオフェン基、ベンゾジフラン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基等が挙げられる。
多環系ヘテロアリール基は、アリール基及びヘテロアリール基が共有結合を介して結合している基であってもよいし、アリール基及びヘテロアリール基が互いに縮環している基であってもよい。これらの基としては、例えば、ビフェニル基、ターフェニル基、1−フェニルナフタレン基、2−フェニルナフタレン基等が挙げられる。
〜R52における重合性官能基は、炭素−炭素二重結合を有し、重合することが可能な基であれば、特に限定されない。
重合性官能基としては、例えば、1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
1−置換エチレン官能基としては、例えば、一般式(i)
CH=CH−X−・・・(i)
(一般式(i)中、Xは、単結合、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、一般式
−CON(R100)−
(式中、R100は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される基又はチオ基である。)
で表される基が挙げられる。
におけるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
におけるアルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
100におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
100におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が挙げられる。
100におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(i)で表される基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、ビニルチオ基等が挙げられる。
一般式(i)で表される官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基又はビニルチオエーテル基が挙げられる。
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、一般式(ii)
CH=C(Y)−X−・・・(ii)
(一般式(ii)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は一般式
−COOR101
(式中、R101は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は一般式
−CONR102103
(式中、R102及びR103は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
で表される基であり、Xは、一般式(i)におけるX1と同一である基又はアルキレン基である。ただし、Y及びXの少なくとも一方が、オキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基又は芳香族環を含む。)
で表される基が挙げられる。
Y、R101、R102、R103におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
Y、R101、R102、R103におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が挙げられる。
Y、R101、R102、R103におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
Yにおけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ビス(オキシエチレン)基、ビス(オキシプロピレン)基、トリス(オキシエチレン)基、トリス(オキシプロピレン)基、テトラキス(オキシエチレン)基、テトラキス(オキシプロピレン)基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
一般式(ii)で表される基の具体例としては、α−クロロアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノビニル基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
一般式(i)、(ii)における置換基としては、例えば、ハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
重合性官能基は、合成が容易で安定に取り扱うことができ、光重合、熱重合の効率が高い点で、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることが好ましく、光重合の効率が高い点で、アクリロイルオキシ基であることが特に好ましい。
重合性官能基を含む一価の有機基は、酸化還元に対する耐性が高い点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されているアリール基が、重合性官能基で置換されている基であることが好ましく、炭素数2以上のアルキル基が重合性官能基で置換されている基であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、トリフェニルアミン骨格の窒素原子に対するパラ位が、水素原子以外であることが好ましい。これは、トリフェニルアミン骨格の窒素原子に対するパラ位は、電子密度が高く、反応活性が高いためである。
即ち、一般式(1)で表される化合物は、トリフェニルアミン骨格の窒素原子に対するパラ位が、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は重合性官能基を含む基であることが好ましい。これにより、一般式(1)で表される化合物は、色彩が変化しにくくなり、発色時に分子間の副反応が生じるのを抑制することができる。
一般式(1)で表される化合物は、Aが一般式(1−4)で表される基であり、R〜R、R48〜R52のうち、1個以上が、重合性官能基を含む基であることが好ましい。これは、本実施形態の化合物に重合性を付与すると共に、置換基を容易に導入することができるためである。
からR52における一価の有機基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はヘテロアリールオキシ基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基であることがより好ましい。
からR52における一価の有機基は、一個以上のアリール基又はヘテロアリール基が共有結合を介して結合している基であってもよいし、一個以上のアリール基又はヘテロアリール基が互いに縮環している基であってもよい。これらの基の炭素数は、通常、100以下であり、50以下であることが好ましく、36以下であることがより好ましい。また、これらの基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。エレクトロクロミック材料としての消色時の透明性を考慮すると、これらの基の単体での吸収端は、400nm以下であることが好ましく、380nm以下であることがより好ましい。一般式(1)で表される化合物が有するこれらの基の数は、通常、1〜6であるが、発色効率やコストの観点から、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
なお、一般式(1−2)〜(1−4)中、X〜Xは、4価の原子(例えば、炭素原子等)を含む基、酸素原子、カルコゲン原子(例えば、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等)、好ましくは、炭素原子を含む基、酸素原子又は硫黄原子であってもよい。ここで、炭素原子を含む基は、一般式(1−5)で表される基であることが好ましい。また、X〜Xは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(1)で表される化合物は、R〜R、R〜R13のうち、1個以上が重合性官能基を含む基であり、R〜R、R14〜R29のうち、1個以上が重合性官能基を含む基であり、R〜R、R30〜R41のうち、1個以上が重合性官能基を含む基であり、R〜R、R42〜R52のうち、1個以上が重合性官能基を含む基であることが好ましく、R〜R、R48〜R52のうち、1個以上が重合性官能基を含む基であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性がさらに良好であり、合成が容易である点で、一般式(2−1)〜(2−5)
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
のいずれかで表されることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性がさらに良好であり、合成が容易である点で、X及びXが同一であり、X及びXが同一であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、化合物の入手性及び毒性の点から、例えば、一般式(3)
Figure 2020140053
(一般式(3)中、Halは、ハロゲン原子又はトリフラート基である。)
で表される化合物と、一般式(3−1)、(3−2)、(3−3)又は(3−4)
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
で表される化合物とを、パラジウム触媒、ニッケル触媒、銅触媒等の金属触媒、必要に応じて、塩基の存在下、溶媒中で、逐次、炭素−窒素間のクロスカップリング反応させることにより、合成することができる。
重合性官能基を含む基は、一般式(3)で表される化合物に導入してもよいし、一般式(3−1)、(3−2)、(3−3)又は(3−4)で表される化合物に導入してもよい。これらは、公知の方法を用いて、容易に合成することができる。
一般式(3)におけるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、tert−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、キノリン等が挙げられる。
触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、銅、酸化銅等が挙げられる。
なお、触媒は、適当なリガンドと組み合わせてもよい。
リガンドとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等のリン系配位子;エチレンジアミン、シクロヘキシルジアミン、フェナントロリン、ビピリジル等の窒素系配位子等が挙げられる。
得られた粗生成物は、公知の精製方法を用いて、精製することができる。
精製方法としては、例えば、溶媒洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、昇華精製等が挙げられる。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例として、重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−1〜1−12、重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−1〜2−7を例示する。
Figure 2020140053
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本実施形態のエレクトロクロミック組成物中の一般式(1)で表される化合物の含有量は、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。本実施形態のエレクトロクロミック組成物中の一般式(1)で表される化合物の含有量が10質量%以上であると、後述するエレクトロクロミック素子のマゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性及び連続駆動安定性を向上させることができる。
(他の重合性化合物)
本実施形態のエレクトロクロミック組成物は、一般式(1)で表される化合物のうち、重合性官能基を有する化合物以外の重合性化合物(以下、他の重合性化合物という)をさらに含むことが好ましい。これにより、相溶性、イオン伝導性等の物性を向上させることができる。また、機械的強度及び耐溶剤性が高い硬化膜を形成することができる。
他の重合性化合物は、1個以上の重合性官能基を有する。
他の重合性化合物としては、例えば、1官能の重合性化合物、2官能の重合性化合物、3官能以上の重合性化合物、機能性モノマー、重合性オリゴマー等が挙げられる。これらの中でも、2官能以上の重合性化合物が好ましい。
他の重合性化合物における重合性官能基は、一般式(1)で表される化合物における重合性官能基と同様である。これらの中でも、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
1官能の重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2官能の重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
3官能以上の重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、EO変性は、エチレンオキシ変性を意味し、PO変性は、プロピレンオキシ変性を意味する。
機能性モノマーとしては、例えば、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレート等の含フッ素モノマー;特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載されているシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等の含ケイ素モノマーが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
硬化膜を形成する点から、一般式(1)で表される化合物及び/又は他の重合性化合物は、重合性官能基を2個以上有することが好ましい。
(フィラー)
本実施形態のエレクトロクロミック組成物は、フィラーをさらに含むことが好ましい。
フィラーは、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。
無機フィラーを構成する材料としては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属;酸化ケイ素(シリカ)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)又は錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性、安定性及び表面処理の容易性等の点から、金属酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ及びアンチモンをドープした酸化錫(ATO)が特に好ましい。
有機フィラーを構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、脂肪酸等の低分子化合物、フタロシアニン等の有機顔料が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性及び不溶性の点から、樹脂が好ましい。
フィラーの平均一次粒子径は、1μm以下であることが好ましく、10nm以上1μm以下であることがより好ましい。フィラーの平均一次粒子径が1μm以下であると、表面平滑性に優れる膜を形成することができる。
重合性化合物の総量に対するフィラーの質量比は、0.3%以上1.5%以下であることが好ましく、0.6%以上0.9%以下であることがより好ましい。重合性化合物の総量に対するフィラーの質量比が0.3%以上であると、成膜性が向上し、1.5%以下であると、後述するエレクトロクロミック素子の電気化学特性が向上する。
(重合開始剤)
本実施形態のエレクトロクロミック組成物は、硬化反応を効率よく進行させるために、重合開始剤をさらに含むことが好ましい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤等を用いることができるが、重合効率の観点から、光重合開始剤が好ましい。
熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進剤を光重合開始剤と併用してもよい。
光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
重合性化合物の総量に対する重合開始剤の質量比は、0.5%以上40%以下であることが好ましく、1%以上20%以下であることがより好ましい。
(架橋剤)
本実施形態のエレクトロクロミック組成物は、架橋剤をさらに含んでいてもよい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート類、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アミン類、エポキシ化合物等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート類が好ましく、イソシアネート基を複数有するポリイソシアネートが特に好ましい。
(他の成分)
本実施形態のエレクトロクロミック組成物は、必要に応じて、上記以外の成分(以下、他の成分という)をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤等が挙げられる。
[エレクトロクロミック素子]
本実施形態のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に形成されている電解質層を有し、必要に応じて、上記以外の部材(以下、他の部材という)をさらに有していてもよい。
本実施形態のエレクトロクロミック素子は、一般式(1)で表される化合物、若しくは、一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含む、又は、セレン原子、硫黄原子又は酸素原子を有するトリアリールアミン化合物、若しくは、トリアリールアミン化合物を含む組成物の硬化物を含み、発色時に、マゼンタ、シアン若しくは緑色を呈する。
本実施形態のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と電解質層の間に、一般式(1)で表される化合物、又は、一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含むエレクトロクロミック層が形成されている、又は、電解質層が、一般式(1)で表される化合物、又は、一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含むことが好ましい。
図1に、本実施形態のエレクトロクロミック素子の一例を示す。
エレクトロクロミック素子10Aは、第1の支持体11と、表示電極(第1の電極)12と、第1のエレクトロクロミック層13と、電解質層14Aと、第2のエレクトロクロミック層15と、対向電極(第2の電極)16と、第2の支持体17とを有する。これらの部材は、第1の支持体11の側から、この順に積層して構成される。
表示電極12は、第1の支持体11上に設けられており、第1のエレクトロクロミック層13は、表示電極12上に設けられている。一方、対向電極16は、第2の支持体17上に設けられており、第2のエレクトロクロミック層15は、対向電極16上に設けられている。表示電極12と対向電極16は、所定の間隔を隔てて対向して設けられており、電解質層14Aは、第1のエレクトロクロミック層13と第2のエレクトロクロミック層15の間に形成されている。
エレクトロクロミック素子10Aでは、第1のエレクトロクロミック層13に含まれるエレクトロクロミック材料が酸化還元することにより発消色し、第2のエレクトロクロミック層15に含まれるエレクトロクロミック材料が酸化還元することにより発消色する。
以下、エレクトロクロミック素子10Aを構成する各部材について説明する。
(第1のエレクトロクロミック層)
第1のエレクトロクロミック層13は、一般式(1)で表される化合物、又は、一般式(1)で表される化合物を含む組成物(本実施形態のエレクトロクロミック組成物)の硬化物を含む。
第1のエレクトロクロミック層13は、第1の電極12上に、一層積層されているが、複数層積層されていてもよい。
また、第1のエレクトロクロミック層13は、第1の電極12の全面に形成されているが、第1の電極12の一部に形成されていてもよい。
第1のエレクトロクロミック層13の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
第1のエレクトロクロミック層13を構成する材料が塗布液を形成することができる場合、第1のエレクトロクロミック層13の形成方法として、印刷法を用いることができる。
印刷法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等が挙げられる。
第1のエレクトロクロミック層13の平均厚さは、0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、0.4μm以上10μm以下であることがより好ましい。
(第1の電極及び第2の電極)
第1の電極12及び第2の電極16を構成する材料としては、導電性を有し、透明であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の電極12及び第2の電極16を構成する材料としては、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In及びZnOが好ましい。
第1の電極12及び/又は第2の電極16として、透明性を有するカーボンナノチューブ、Au、Ag、Pt、Cu等の導電性の非透明材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持した電極を用いてもよい。
第1の電極12及び第2の電極16の厚さは、第1のエレクトロクロミック層13及び第2のエレクトロクロミック層15における酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。例えば、第1の電極12及び第2の電極16を構成する材料として、ITOを用いる場合、第1の電極12及び第2の電極16厚さは、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
第1の電極12及び第2の電極16の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
第1の電極12及び第2の電極16を構成する材料が塗布液を形成することができる場合、第1の電極12及び第2の電極16の形成方法として、塗布法を用いることができる。
塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等が挙げられる。
(電解質層)
電解質層14Aは、第1のエレクトロクロミック層13と第2のエレクトロクロミック層15の間に、電解質を挟持することにより形成される。例えば、第1のエレクトロクロミック層13と第2のエレクトロクロミック層15の間に設けられている、複数の注入孔を有する封止材から、電解質液を充填する。
電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、酸類又はアルカリ類の支持塩を用いることができる。
電解質の具体例としては、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられる。
電解質としては、イオン性液体を用いてもよい。
イオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体であるため、有機のイオン性液体であることが好ましい。
有機のイオン性液体のカチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩等が挙げられる。
有機のイオン性液体のアニオン成分は、大気中における安定性を考慮すると、フッ素原子を含むことが好ましい。
有機のイオン性液体のアニオン成分としては、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO、テトラシアノボロンアニオン(B(CN) )等が挙げられる。
イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。
なお、イオン性液体の溶解性が低い場合は、イオン性液体が溶媒に溶解している溶液を、光重合性モノマー、オリゴマー及び液晶材料のいずれかと混合すればよい。
溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解質層4Aの形態としては、例えば、ゲル状、高分子架橋型、液晶分散型等が挙げられる。
電解質層4Aをゲル状又は固体状とすることで、エレクトロクロミック素子10Aの強度、信頼性を向上させることができる。
電解質層4Aを形成する際には、電解質液を樹脂中に保持することが好ましい。これにより、エレクトロクロミック素子10Aのイオン伝導度と強度を向上させることができる。
樹脂は、光硬化型樹脂であることが好ましい。これにより、低温環境下、短時間でエレクトロクロミック素子10Aを製造することができる。
電解質層4Aの平均厚さは、100nm以上10μm以下であることが好ましい。
(第2のエレクトロクロミック層)
第2のエレクトロクロミック層15は、第2の電極16上に、一層形成されているが、複数層積層されていてもよい。
また、第2のエレクトロクロミック層15は、第2の電極16の全面に形成されているが、第2の電極16の一部に形成されていてもよい。
第2のエレクトロクロミック層15は、エレクトロクロミック化合物として、一般式(I)
Figure 2020140053
(一般式(I)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数10までの分岐アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基又は水酸基に対して結合することが可能な官能基であり、n、mは、それぞれ独立に、0〜10の整数であり、Xは、1価のアニオンである。)
で表されるビオロゲン化合物を含むことが好ましい。ビオロゲン化合物は、エレクトロクロミック素子に適用されると、主に青色を発光する。
また、第2のエレクトロクロミック層15は、エレクトロクロミック化合物として、特開2017−111434号公報に記載されている一般式(II)
Figure 2020140053
で表されるホスホン酸化合物、直鎖アルキルホスホン酸等の化合物を、単独又はビオロゲン化合物と共に、含んでいてもよい。
第2のエレクトロクロミック層15の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
第2のエレクトロクロミック層15を構成する材料が塗布液を形成することができる場合、第2のエレクトロクロミック層15の形成方法として、印刷法を用いることができる。
印刷法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等が挙げられる。
第2のエレクトロクロミック層15の平均厚さは、0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましい。第2のエレクトロクロミック層15の平均厚さが0.2μm以上であると、発色濃度が向上し、5.0μm以下であると、製造コストの増大が抑えられると共に、着色による視認性の低下を抑制することができる。
(ビオロゲン化合物)
ビオロゲン化合物は、R及び/又はRが、水酸基と結合することが可能な官能基であることが好ましい。これにより、第2の電極16(例えば、ITO電極)に、ビオロゲン化合物を結合させることができる。また、第2の電極16上に、後述する劣化防止層を形成する場合は、劣化防止層に、ビオロゲン化合物を結合させることができる。
水酸基と結合することが可能な官能基としては、例えば、ホスホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、スルホニル基、シリル基、シラノール基等が挙げられる。これらの中でも、合成の簡便さ、金属酸化物粒子に対する吸着性及び化合物の安定性の点から、ホスホン酸基、リン酸基及びカルボキシル基が好ましく、ホスホン酸基がより好ましい。
また、ビオロゲン化合物がシリル基又はシラノール基を有する場合、ビオロゲン化合物は、シロキサン結合を介して、第2の電極16(例えば、ITO電極)又は劣化防止層と結合することができる。
ホスホン酸基としては、例えば、メチルホスホン酸基、エチルホスホン酸基、プロピルホスホン酸基、ヘキシルホスホン酸基、オクチルホスホン酸基、デシルホスホン酸基、ドデシルホスホン酸基、オクタデシルホスホン酸基、ベンジルホスホン酸基、フェニルエチルホスホン酸基、フェニルプロピルホスホン酸基、ビフェニルホスホン酸基等が挙げられる。
リン酸基としては、例えば、メチルリン酸基、エチルリン酸基、プロピルリン酸基、ヘキシルリン酸基、オクチルリン酸基、デシルリン酸基、ドデシルリン酸基、オクタデシルリン酸基、ベンジルリン酸基、フェニルエチルリン酸基、フェニルプロピルリン酸基、ビフェニルリン酸基等が挙げられる。
カルボキシル基としては、例えば、メチルカルボキシル基、エチルカルボキシル基、プロピルカルボキシル基、ヘキシルカルボキシル基、オクチルカルボキシル基、デシルカルボキシル基、ドデシルカルボキシル基、オクタデシルカルボキシル基、ベンジルカルボキシル基、フェニルエチルカルボキシル基、フェニルプロピルカルボキシル基、ビフェニルカルボキシル基、4−プロピルフェニルカルボキシル基、4−プロピルビフェニルカルボキシル基等が挙げられる。
スルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、オクタデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、フェニルエチルスルホニル基、フェニルプロピルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基等が挙げられる。
シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、デシルシリル基、ドデシルシリル基、オクタデシルシリル基、ベンジルシリル基、フェニルエチルシリル基、フェニルプロピルシリル基、ビフェニルシリル基等が挙げられる。
シラノール基としては、例えば、メチルシラノール基、エチルシラノール基、プロピルシラノール基、ヘキシルシラノール基、オクチルシラノール基、デシルシラノール基、ドデシルシラノール基、オクタデシルシラノール基、ベンジルシラノール基、フェニルエチルシラノール基、フェニルプロピルシラノール基、ビフェニルシラノール基等が挙げられる。
における1価のアニオンとしては、例えば、臭化物イオン(Br)、塩化物イオン(Cl)、ヨウ化物イオン(I)、トリフラートイオン(OTf)、過塩素酸イオン(ClO )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )等が挙げられる。
ビオロゲン化合物は、m及びnが同一であり、4以上10以下であることが好ましい。
以下に、ビオロゲン化合物の具体例として、水酸基と結合することが可能な官能基を有するビオロゲン化合物A〜Kを示す。
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
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Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
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(第1の支持体及び第2の支持体)
第1の支持体11及び第2の支持体17は、第1の電極12、第1のエレクトロクロミック層13、第2の電極16、第2のエレクトロクロミック層15を支持する機能を有する。
第1の支持体11及び第2の支持体17を構成する材料としては、透明であれば、特に制限はなく、有機材料及び無機材料を用いることができる。
無機材料としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラスが挙げられる。
有機材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の樹脂が挙げられる。
第1の支持体11及び第2の支持体17は、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、視認性等を向上させるために、透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等が表面に形成されていてもよい。
第1の支持体11及び第2の支持体17の平面形状としては、例えば、長方形、円形等が挙げられる。
第1の支持体11及び第2の支持体17は、積層体であってもよい。例えば、2枚のガラス基板の積層体にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を向上させることができる。
(他の部材)
他の部材としては、例えば、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層等が挙げられる。
(絶縁性多孔質層)
絶縁性多孔質層は、第1の電極12と第2の電極16が電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質層14Aを保持する機能を有する。
絶縁性多孔質層を構成する材料としては、特に制限はなく、絶縁性及び耐久性が高く、成膜性に優れる有機材料、無機材料及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(有機粒子又は無機粒子に、バインダ等を添加して部分的に融着させ、粒子間に細孔を形成する)、抽出法(溶剤に可溶な有機材料又は無機材料と、溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機材料又は無機材料を溶解させ、細孔を形成する)、発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子化合物の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して、細孔を形成する放射線照射法等が挙げられる。
(劣化防止層)
劣化防止層は、導電性又は半導性のナノ構造体であり、第1のエレクトロクロミック層13及び第2のエレクトロクロミック層15とは逆の反応を起こし、電荷のバランスをとって、第1の電極12、第2の電極16が不可逆的な酸化還元反応により、腐食したり、劣化したりすることを抑制する機能を有する。
なお、導電性又は半導性のナノ構造体とは、ナノ粒子、ナノポーラス構造体等のナノスケールの凹凸を有する構造体を意味する。
また、逆の反応とは、劣化防止層が酸化還元反応する場合に加え、キャパシタとして作用する場合も含む。
導電性又は半導性のナノ構造体は、透明であることが好ましい。
ナノ粒子の平均一次粒子径は、30nm以下であることが好ましい。これにより、ナノ構造体に対する光の透過率が向上し、ナノ構造体の単位体積当たりの表面積、即ち、比表面積が大きくなる。ナノ構造体の比表面積が大きくなると、エレクトロクロミック化合物がナノ構造体に効率的に結合し、発消色の表示コントラスト比が向上する。ナノ構造体の比表面積は、100m/g以上であることが好ましい。
なお、ナノ粒子の平均一次粒子径を求める際には、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、任意に100個のナノ粒子の投影面積を測定し、投影面積から円相当径を計算して粒子径を求める。
劣化防止層を構成する材料としては、透明性及び導電性の点から、金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化インジウム、アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発消色の応答速度に優れることから、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム及び酸化タングステンが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
金属酸化物以外の劣化防止層を構成する材料としては、例えば、酸化ホウ素、リン酸カルシウム等が挙げられる。
劣化防止層は、例えば、金属酸化物粒子を、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより、第1の電極12、第2の電極16に固定化することで、形成することができる。
(保護層)
保護層は、外的応力や洗浄工程の薬品からエレクトロクロミック素子10Aを保護すること、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分、酸素等のエレクトロクロミック素子10Aが安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等の機能を有する。
保護層を構成する材料としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等の紫外線硬化型又は熱硬化型の樹脂を用いることができる。
保護層の平均厚さは、1μm以上200μm以下であることが好ましい。
(エレクトロクロミック素子の製造方法)
エレクトロクロミック素子10Aの製造方法の一例を説明する。
まず、第1の支持体11上に、第1の電極12を形成する。その後、一般式(1)で表される化合物と、他の重合性化合物と、重合開始剤を含む塗布液を、第1の電極12上に塗布する。これにより、第1の支持体11上に、順次、第1の電極12、第1のエレクトロクロミック層13が積層されている第1の積層体を作製する。
塗布液は、必要に応じて、溶媒で希釈する。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、溶媒による希釈率は、一般式(1)で表される化合物の溶解性、塗布液の塗布方法、第1のエレクトロクロミック層13の厚さ等に応じて、適宜選択することができる。
塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法等が挙げられる。
また、第1の電極12上に、塗布液を塗布した後、外部からエネルギーを付与して、硬化させて、第1のエレクトロクロミック層13を形成してもよい。
エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線等が挙げられる。
外部から熱を付与する方法としては、例えば、空気、窒素等の気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波等を用いて、加熱する方法等が挙げられる。
加熱温度は、60℃以上170℃以下であることが好ましい。
外部から光を付与する際には、主に紫外線(UV)に発光波長を有する高圧水銀灯、メタルハライドランプ等のUV照射光源を用いることができるが、一般式(1)で表される化合物、他の重合性化合物、光重合開始剤等の吸収波長に応じて、可視光照射光源を用いることもできる。
UVの照射光量は、5mW/cm以上15,000mW/cm以下であることが好ましい。
次に、第2の支持体17上に、第2の電極16を形成する。その後、エレクトロクロミック化合物を含む塗布液を、第2の電極16上に塗布する。これにより、第2の支持体17上に、順次、第2の電極16、第2のエレクトロクロミック層15が積層されている第2の積層体を作製する。
次に、第1の積層体と第2の積層体の間に、電解質液を挟持して、電解質層14Aを形成し、エレクトロクロミック素子10Aが製造される。光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含む電解質液を用いる場合、電解質液を挟持した後に、硬化性樹脂を硬化させる。
なお、エレクトロクロミック素子10Aの製造方法は、必要に応じて、上記以外の工程をさらに含んでいてもよい。
例えば、エレクトロクロミック素子10Aが絶縁性多孔質層を有する場合、第1のエレクトロクロミック層13上、及び/又は、第2のエレクトロクロミック層15上に、絶縁性多孔質層を形成する。
また、エレクトロクロミック素子10Aが劣化防止層、保護層を有する場合、エレクトロクロミック素子10Aに、劣化防止層、保護層を形成する。
図2に、本実施形態のエレクトロクロミック素子の他の例を示す。
第2の実施形態に係るエレクトロクロミック素子について説明する。本実施形態に係るエレクトロクロミック素子10Bは、上述の図1に示す第1の実施形態に係るエレクトロクロミック素子10Aの第1のエレクトロクロミック層13及び第2のエレクトロクロミック層15を設けていないものである。そして、本実施形態に係るエレクトロクロミック素子10Bは、第1の実施形態に係るエレクトロクロミック素子10Aの電解質層14Aに代えて、本実施形態に係るエレクトロクロミック組成物を含んだ電解質層を用いたものである。
図2は、第2の実施形態に係るエレクトロクロミック素子の構成の一例を示す図である。
エレクトロクロミック素子10Bは、第1のエレクトロクロミック層13、第2のエレクトロクロミック層15を省略し、電解質層14Aの代わりに、一般式(1)で表される化合物を含む電解質層14Bが形成されている以外は、エレクトロクロミック素子10Aと同様である。
(エレクトロクロミック素子の製造方法)
エレクトロクロミック素子10Bの製造方法の一例を説明する。
第1の支持体11上に、第1の電極12を形成し、第1の積層体を作製する。
次に、第2の支持体17上に、第2の電極16を形成し、第2の積層体を作製する。
次に、表示電極12と対向電極16の間に、一般式(1)で表される化合物及び電解質を含む電解質液を挟持して、電解質層14Bを形成し、エレクトロクロミック素子10Bが製造される。
(エレクトロクロミック素子の用途)
本実施形態のエレクトロクロミック素子は、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板等の表示素子、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子に適用することができる。
また、本実施形態のエレクトロクロミック素子は、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバム等に適用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1−1]
(エレクトロクロミック組成物の調製)
重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−1(50質量部)、光重合開始剤IRGACURE184(BASFジャパン社製)(5質量部)、両末端にアクリロイルオキシ基を有するポリエチレングリコールPEG400DA(日本化薬社製)(50質量部)、メチルエチルケトン(900質量部)を混合し、エレクトロクロミック組成物を得た。
(第1の積層体の作製)
膜厚約100nmのITO膜付きガラス基板(40mm×40mm×0.7mm)上に、スピンコート法により、エレクトロクロミック組成物を塗布した。得られた塗布膜に、UV照射装置SPOT CURE(ウシオ電機社製)を用いて、10mWで60秒間、波長250nmの紫外線を照射した後、60℃で10分間アニール処理し、平均厚さ400nmの第1のエレクトロクロミック層を形成し、第1の積層体を得た。
(第2の積層体の作製)
膜厚約100nmのITO膜付きガラス基板(40mm×40mm×0.7mm)上に、スピンコート法により、平均一次粒子径約20nmの酸化チタンナノ粒子分散液SP210(昭和タイタニウム社製)を塗布した後、120℃で15分間アニール処理し、厚さ1.0μmの劣化防止層を形成した。
水酸基と結合することが可能な官能基を有するビオロゲン化合物A(20質量部)、テトラフルオロプロパノール(980質量部)を混合して、塗布液を得た。
劣化防止層上に、スピンコート法により、塗布液を塗布して吸着させた後、メタノールで洗浄し、第2のエレクトロクロミック層を形成し、第2の積層体を得た。
(電解質液の調製)
光重合開始剤IRGACURE184(BASFジャパン社製)(5質量部)、両末端にアクリロイルオキシ基を有するポリエチレングリコールPEG400DA(日本化薬社製)(100質量部)、電解質1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製)(50質量部)を混合し、電解質液を得た。
(エレクトロクロミック素子の作製)
マイクロピペットで30mg測り取った電解質液を、第2の積層体の第2のエレクトロクロミック層に滴下した後、電極の引き出し部分があるように、第1の積層体の第1のエレクトロクロミック層と貼り合わせた。次に、UV照射装置SPOT CURE(ウシオ電機社製)を用いて、10mWで60秒間、波長250nmの紫外線を照射し、エレクトロクロミック素子を得た。
[実施例1−2〜1−9]
重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−1を、重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−2〜1−9に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
[比較例1−1〜1−6]
重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−1を、重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−1'〜1−6'に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
Figure 2020140053
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Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
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なお、化合物1−1及び1−4については、以下のようにして、合成することができる。また、化合物1−1'については、特開2017−008025号公報に記載されている方法で合成することができる。さらに、化合物1−6'については、特開2018−070475号公報に記載されている方法で合成することができる。その他の化合物については、本実施例に記載されている方法に準じて、市販の中間体より容易に合成することができる。
[重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−1の合成]
中間体1−1(10−(4−(3−クロロプロピル)フェニル)−10H−フェノセレナジン)の合成
50mLのシュレンクフラスコに、10H−フェノセレナジン(393mg,1.6mmol)、1−ブロモ−4−(3−クロロプロピル)ベンゼン(373mg,1.6mmol)、酢酸パラジウム(II)(10.6mg,0.047mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(41.9mg,0.14mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(308mg,3.2mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、脱水トルエン(15mL)を加えた後、100℃で5時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:トルエン=2:1,v/v)により、精製し、中間体1−1(薄い黄色のオイル状)を得た(収量:617mg、収率:97%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.34(dd,J=6.5,2.0Hz,2H),7.23−7.28(m,2H),7.14−7.19(m,2H),6.97−7.01(m,2H),6.89(ddd,J=7.5,7.5,1.3Hz,2H),6.58(dd,J=8.2,1.1Hz,2H),3.59(t,J=6.4Hz,2H),2.85(t,J=7.5Hz,2H),2.11−2.18(m,2H).
上記H NMRの分析結果より、中間体1−1の構造と矛盾がないことを確認することができた。
化合物1−1(3−(4−(10H−フェノセレナジン−10−イル)フェニル)プロピルアクリレート)の合成
25mLのシュレンクフラスコに、中間体1−1(101mg,0.25mmol)、アクリル酸(56.3mg,0.78mmol)、炭酸カリウム(126mg,0.91mmol)、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール(0.1mg,1crystal)、脱水DMF(1.25mL)を入れた後、遮光下、90℃で17時間加熱攪拌し、室温まで降温した。次に、得られた生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバポレーターを用いて、遮光下、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=4:1,v/v)により、精製し、化合物1−1を得た(収量:88.9mg、収率:81%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.34(dd,J=6.3,2.0Hz,2H),7.25−7.28(m,4H),6.88(ddd,J=7.4,7.4,1.3Hz,2H),6.56(dd,J=8.3,1.3Hz,2H),6.43(dd,J=17.3,1.5Hz,1H),6.15(dd,J=17.4,10.4Hz,1H),5.85(dd,J=10.3,1.5Hz,1H),4.24(t,J=6.5Hz,2H),2.79(t,J=7.7Hz,2H),2.04−2.11(m,2H).
上記H NMRの分析結果より、化合物1−1の構造と矛盾がないことを確認することができた。
[重合性官能基を有するトリアリールアミン化合物1−4の合成]
中間体1−4−1(N−(4−(3−クロロプロポキシ)フェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−2−アミン)の合成
30mLのシュレンクフラスコに、ジベンゾ[b,d]フラン−2−アミン(458mg,2.5mmol)、1−ブロモ−4−(3−クロロプロポキシ)ベンゼン(620mg,2.5mmol)、酢酸パラジウム(II)(16.8mg,0.075mmol)、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(141mg,0.23mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(361mg,3.8mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、脱水トルエン(5mL)を加えた後、110℃で14時間半加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:ジクロロメタン=1:1,v/v)により、精製し、中間体1−4−1(白色の固体)を得た(収量:562mg、収率:64%)。
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ[ppm]=8.05(d,J=7.5Hz,1H),7.91(s,1H),7.62−7.70(m,2H),7.53(d,J=8.8Hz,1H),7.45−7.49(m,1H),7.33(dd,J=7.4,7.4Hz,1H),7.05−7.13(m,2H),6.90(d,J=9.0Hz,2H),4.05(t,J=5.9Hz,2H),3.80(t,J=6.5Hz,2H),2.12−2.19(m,2H).
上記H NMRの分析結果より、中間体1−4−1の構造と矛盾がないことを確認することができた。
中間体1−4−2(N−(4−(3−クロロプロポキシ)フェニル)−N−(ジベンゾ[b,d]フラン−2−イル)ジベンゾ[b,d]フラン−2−アミン)の合成
50mlのシュレンクフラスコに、中間体1−4−1(352mg,1.0mmol)、2−ブロモジベンゾ[b,d]フラン(248mg,1.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(9.50mg,0.010mmol)、エスフォス(8.10mg,0.020mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(192mg,2.0mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、脱水トルエン(12mL)を加えた後、100℃で18時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:ジクロロメタン=4:1,v/v)により、精製し、中間体1−4−2(黄色の固体)を得た(収量:430mg、収率:93%)。
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ[ppm]=8.07(d,J=7.8Hz,2H),7.81(s,2H),7.66(m,4H),7.48−7.52(m,2H),7.32(dd,J=7.7,7.7Hz,2H),7.18−7.21(m,2H),7.06(d,J=9.0Hz,2H),6.95(d,J=8.8Hz,2H),4.08(t,J=6.0Hz,2H),3.81(t,J=6.3Hz,2H),2.17(t,J=6.1Hz,2H).
上記H NMRスペクトルの分析結果より、中間体1−4−2の構造と矛盾がないことを確認することができた。
化合物1−4(3−(4−(ビス(ジベンゾ[b,d]フラン−2−イル)アミノ)フェノキシ)プロピルアクリレート)の合成
25mlのシュレンクフラスコに、中間体1−4−2(103mg,0.20mmol)、アクリル酸(43.5mg,0.60mmol)、炭酸カリウム(99.7mg,0.72mmol)、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール(0.1mg,1crystal)、脱水DMF(1mL)を入れた後、遮光下、90℃で19時間加熱攪拌し、室温まで降温した。得られた生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバポレーターを用いて、遮光下、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=4:1,v/v)により、精製し、化合物1−4(黄色の固体)を得た(収量:77.7mg、収率:70%)。
1H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.78−7.80(m,2H),7.64(d,J=2.0Hz,2H),7.52−7.56(m,2H),7.41−7.46(m,4H),7.19−7.31(m,4H),7.09(d,J=8.8Hz,2H),6.83−6.87(m,2H),6.43(dd,J=17.3,1.5Hz,1H),6.14(dd,J=17.3,10.3Hz,1H),5.83−5.86(m,1H),4.38(t,J=6.3Hz,2H),4.05−4.13(m,2H),2.15−2.21(m,2H).
次に、実施例1−1〜1−9、比較例1−1〜1−6のエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。
[発消色]
第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、−2Vの電圧を5秒間印加したところ、第1の電極と第2の電極の重なった部分に、第1のエレクトロクロミック層に由来する発色、第2のエレクトロクロミック層に由来する青色発色が確認された。次に、第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、+2Vの電圧を5秒間印加したところ、第1の電極と第2の電極の重なった部分が無色透明になり、消色が確認された。
次に、実施例1−1〜1−9、比較例1−1〜1−6のエレクトロクロミック素子の色彩の再現性を、後述する実施例2−1〜2−6のエレクトロクロミック素子の色彩の再現性と同様にして、評価した。なお、第1のエレクトロクロミック層の発色時における可視吸収スペクトルは、エレクトロクロミック素子の発色時における可視吸収スペクトルから、第2のエレクトロクロミック層の発色時における可視吸収スペクトル及び第1のエレクトロクロミック層の消色時における可視吸収スペクトルを減じることにより得られる。
次に、実施例1−1〜1−9、比較例1−1〜1−6のエレクトロクロミック素子の繰り返し耐久性、連続駆動安定性を評価した。
[繰り返し耐久性]
第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、−2Vの電圧を5秒間印加した後、+2Vの電圧を5秒間印加する発消色駆動操作を10000回繰り返した。このとき、小型ファイバ光学分光器USB4000(オーシャンオプティクス社製)を用いて、可視領域(波長400〜800nm)の極大吸収波長λmaxの吸光度の変化を測定し、下記基準で判定した。
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて、90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて、80%以上90%未満である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて、70%以上80%未満である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて、70%未満である場合
[連続駆動安定性]
第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、−2Vの電圧を印加し、発色状態を48時間維持した。このとき、小型ファイバ光学分光器USB4000(オーシャンオプティクス社製)を用いて、電圧を印加する前後の可視領域(波長400〜800nm)の吸光度を測定した後、イエローインデックス(YI)の差分ΔYIを算出し、下記基準で判定した。
◎:ΔYIが1未満である場合
○:ΔYIが1以上5未満である場合
△:ΔYIが5以上10未満である場合
×:ΔYIが10以上である場合
表1に、エレクトロクロミック素子の繰り返し耐久性、連続駆動安定性の評価結果を示す。
Figure 2020140053
表1から、実施例1−1〜1−9のエレクトロクロミック素子は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性、連続駆動安定性に優れることがわかる。
これに対して、比較例1−1〜1−6のエレクトロクロミック素子は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性、連続駆動安定性のいずれかが不十分である。
[実施例2−1]
(第1の積層体の作製)
膜厚約100nmのITO膜付きガラス基板(40mm×40mm×0.7mm)上に、平均粒子径80μmのギャップ制御粒子ミクロパールGS(積水化学社製)のイソプロパノール分散液を塗布した後、80℃で3分間乾燥させ、第1の積層体を得た。
(第2の積層体の作製)
膜厚約100nmのITO膜付きガラス基板(40mm×40mm×0.7mm)上に、スピンコート法により、平均一次粒子径約20nmの酸化チタンナノ粒子分散液SP210(昭和タイタニウム社製)を塗布した後、120℃で15分間アニール処理し、厚さ1.0μmの劣化防止層を形成し、第2の積層体を得た。
(電解質液の調製)
重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−1(50質量部)、電解質1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミド(メルク社製)(100質量部)、炭酸プロピレン(600質量部)を混合し、電解質液を得た。
(エレクトロクロミック素子の作製)
第1の積層体と、第2の積層体を、電極の引き出し部分があるように、5mmずらした状態で、電極が形成されている側の面を対向させて、貼り合わせた。次に、2箇所の注入孔を除いて端面に封止材TB3050B(スリーボンド社製)を塗布した後、UV照射装置SPOT CURE(ウシオ電機社製)を用いて、10mWで60秒間、波長250nmの紫外線を照射した。
マイクロピペットで30mg測り取った電解質液を注入孔から注入し、注入孔を封止材で塞いだ後、UV照射装置SPOT CURE(ウシオ電機社製)を用いて、10mWで60秒間、波長250nmの紫外線を照射し、エレクトロクロミック素子を得た。
[実施例2−2〜2−7]
重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−1を、重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−2〜2−7に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
[比較例2−1〜2−6]
重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−1を、重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−1'〜2−6'に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
Figure 2020140053
なお、化合物2−1〜2−5については、以下のようにして、合成することができる。その他の化合物については、本実施例に記載されている方法に準じて、市販の中間体より容易に合成することができる。
[重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−1(10−(p−トリル)−10H−フェノセレナジン)の合成]
25mLのシュレンクフラスコに、10H−フェノセレナジン(48mg,0.20mmol)、4−ヨードトルエン(49mg,0.22mmol)、酢酸パラジウム(II)(2.6mg,0.012mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(9.1mg,0.031mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(39mg,0.40mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、脱水トルエン(2mL)を加えた後、100℃で16時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバボレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:トルエン=3:1,v/v)により、精製し、化合物2−1(白色固体)を得た(収量:52mg、収率:79%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.34(d,J=8.0Hz,2H),7.27−7.22(m,4H),6.94(dd,J=8.0Hz,8.0Hz,2H),6.85(dd,J=8.0Hz,8.0Hz,2H),6.51(d,J=8.0Hz),2.44(s,3H).
MS(MALDI−TOF):calcd for C19H15NSe:337.04 [M]:found 336.98.
[重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−2(N−(ジベンゾ[b,d]フラン−2−イル)−N−(p−トリル)ジベンゾ[b,d]フラン−2−アミン)の合成]
50mlのシュレンクフラスコに、p−トルイジン(108mg,1.01mmol)、2−ブロモジベンゾ[b,d]フラン(618mg,2.50mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.9mg,0.0056mmol)、トリフェニルホスフィン(2.9mg,0.011mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(289mg,3.01mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、窒素バブリングにより、脱酸素したo−キシレン(8ml)を加えた後、155℃で17時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバボレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:ジクロロメタン=4:1,v/v)で精製した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、化合物2−2(白色固体)を得た(収量:308mg,収率:70%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.78−7.81(m,2H),7.69(d,J=2.0Hz,2H),7.52−7.56(m,2H),7.41−7.47(m,4H),7.24−7.29(m,4H),7.08(d,J=8.0Hz,2H),7.00−7.03(m,2H),2.33(s,3H).
MS(MALDI−TOF):calcd for C31H21NO2:439.16 [M]:found 439.08.
[重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−3(N−(ジベンゾ[b,d]フラン−3−イル)−N−(p−トリル)ジベンゾ[b,d]フラン−3−アミン)の合成]
50mlのシュレンクフラスコに、p−トルイジン(107mg,1.00mmol)、3−ブロモジベンゾ[b,d]フラン(617mg,2.50mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.9mg,0.0056mmol)、トリフェニルホスフィン(3.1mg,0.012mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(291mg,3.02mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、窒素バブリングにより、脱酸素したo−キシレン(8ml)を加えた後、155℃で20時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバボレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:ジクロロメタン=4:1,v/v)で精製した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、化合物2−3(白色固体)を得た(収量:132mg,収率:30%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.85−7.87(m,2H),7.76−7.79(m,2H),7.48−7.50(m,2H),7.36−7.40(m,2H),7.28−7.33(m,4H),7.09−7.15(m,6H),2.36(s,3H).
MS(MALDI−TOF):calcd for C31H21NO2:439.16 [M]:found 439.24.
[重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−4の合成]
100mlのシュレンクフラスコに、p−トルイジン(109mg,1.02mmol)、2−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン(683mg,2.50mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.8mg,0.0054mmol)、トリフェニルホスフィン(2.5mg,0.0095mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(289mg,3.01mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、窒素バブリングにより、脱酸素したo−キシレン(8ml)を加えた後、155℃で20時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバボレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:ジクロロメタン=4:1,v/v)で精製した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、化合物2−4(白色固体)を得た(収量:417mg,収率:83%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=7.63(d,J=7.5Hz,2H),7.56(d,J=8.3Hz,2H),7.37(d,J=7.5Hz,2H),7.30(ddd,J=7.4,7.4,1.3Hz,2H),7.24−7.26(m,2H),7.22(d,J=2.0Hz,2H),7.10(s,4H),7.03(dd,J=8.2,2.1Hz,2H),2.35(s,3H),1.40(s,12H).
MS(MALDI−TOF):calcd for C37H33N:491.26 [M]:found 491.08.
[重合性官能基を有さないトリアリールアミン化合物2−5の合成]
50mlのシュレンクフラスコに、p−トルイジン(108mg,1.00mmol)、2−ブロモ−9,9−スピロビ[フルオレン](988mg,2.50mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(3.6mg,0.0051mmol)、トリフェニルホスフィン(2.8mg,0.011mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(289mg,3.00mmol)を入れた後、窒素置換した。次に、窒素バブリングにより、脱酸素したo−キシレン(8ml)を加えた後、155℃で18時間加熱撹拌した。次に、室温まで降温した後、塩化アンモニウム水溶液を加えた。得られた生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。次に、ろ過により、硫酸ナトリウム水和物を除いた後、エバボレーターを用いて、ろ液を濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)で精製した後、ゲル浸透クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、化合物2−5(白色固体)を得た(収量:628mg,収率:85%)。
H NMR(400MHz,CDCl):δ[ppm]=7.74(d,J=7.3Hz,4H),7.68(d,J=7.5Hz,2H),7.54(dd,J=8.4,8.4Hz,2H),7.26−7.33(m,6H),7.09(ddd,J=7.5,7.5,1.0Hz,4H),6.98−7.02(m,2H),6.88(dd,J=8.3,2.0Hz,2H),6.70−6.74(m,6H),6.59−6.62(m,4H),6.43(d,J=2.0Hz,2H),2.13(s,3H).
MS(MALDI−TOF):calcd for C57H37N:735.29 [M]:found 735.28
次に、実施例2−1〜2−7、比較例2−1〜2−6のエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。
[発消色]
第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、−2Vの電圧を5秒間印加したところ、第1の電極と第2の電極の重なった部分に、電解質層に由来する発色が確認された。次に、第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、+2Vの電圧を5秒間印加したところ、第1の電極と第2の電極の重なった部分が無色透明になり、消色が確認された。
次に、実施例2−1〜2−5のエレクトロクロミック素子の色彩の再現性を評価した。
[色彩の再現性]
第1の電極の引き出し部分と、第2の電極の引き出し部分の間に、−2Vの電圧を印加し、発色時における可視領域(波長380〜800nm)の吸光度を、小型ファイバ光学分光器USB4000(オーシャンオプティクス社製)を用いて、測定した。
図3〜6に、実施例2−1、2−2、2−5のエレクトロクロミック素子の発色時における可視吸収スペクトルを示す。なお、可視吸収スペクトルは、極大吸収波長を1として、規格化した。
また、実施例2−1〜2−5のエレクトロクロミック素子の発色時における可視吸収スペクトルをCIE Lab色座標に変換し、(a,b)をプロットした(図6参照)。
なお、図6には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)のCIE Lab色空間における基準値の(a,b)も示す。このとき、Lは固定値とする。
さらに、式
/a
で表されるY値を求めた。なお、図6において、原点と、各色の基準値又は各実施例のエレクトロクロミック素子の(a,b)を結ぶ直線の傾きがY値に相当する。
表2に、実施例2−1〜2−5のエレクトロクロミック素子のY値の測定結果を示す。なお、表2には、各色の基準値のY値も示す。
Figure 2020140053
表2より、実施例2−1のエレクトロクロミック素子は、マゼンタの再現性が良好であることがわかる。
実施例2−2のエレクトロクロミック素子は、シアンの再現性が良好であることがわかる。
実施例2−3のエレクトロクロミック素子は、緑色の再現性が良好であることがわかる。
実施例2−4、2−5のエレクトロクロミック素子は、緑色の再現性が良好であることがわかる。
したがって、本実施形態のエレクトロクロミック素子のY値は、0.16〜−0.096(マゼンタの基準値)、0.9〜1.46(シアンの基準値)、−1.3〜−0.395(緑色の基準値)のいずれかの範囲内であるといえる。
なお、本実施形態のエレクトロクロミック素子は、原点と各実施例のエレクトロクロミック素子の(a,b)を結ぶ直線、原点と各実施例のエレクトロクロミック素子の再現性が良好な色の基準値(a,b)を結ぶ直線、各色の基準値をR、M、B、C、G、Y、Rの順に結ぶ六角形がなす線から形成される三角形の内部に、(a,b)が存在することが好ましい。
表3に、エレクトロクロミック素子の色彩の再現性、繰り返し耐久性、連続駆動安定性の評価結果を示す。
Figure 2020140053
表3より、実施例2−1〜2−7のエレクトロクロミック素子は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性、連続駆動安定性に優れることがわかる。
これに対し、比較例2−1〜2−6のエレクトロクロミック素子は、マゼンタ、シアン又は緑色の再現性、繰り返し耐久性、連続駆動安定性のいずれかが不十分である。
10A、10B エレクトロクロミック素子
11 第1の支持体
12 表示電極(第1の電極)
13 第1のエレクトロクロミック層
14A、14B 電解質層
15 第2のエレクトロクロミック層
16 対向電極(第2の電極)
17 第2の支持体
特開2016−38572号公報

Claims (15)

  1. 第1の電極と、
    前記第1の電極に対向する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されている電解質層を有し、
    一般式(1)
    Figure 2020140053
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、Aは、一般式(1−1)〜(1−4)
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    (一般式(1−1)〜(1−4)中、R14、R16、R18又はR20は、窒素原子と結合する単結合であり、R15、R17、R19又はR21は、窒素原子と結合する単結合であり、R30、R32、R34又はR36は、窒素原子と結合する単結合であり、R31、R33、R35又はR37は、窒素原子と結合する単結合であり、R42、R43、R44又はR45は、窒素原子と結合する単結合であり、窒素原子と結合する単結合以外のR〜R52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は一般式(1−5)
    Figure 2020140053
    (一般式(1−5)中、R53、R54は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であり、R53とR54が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
    で表される基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。)
    のいずれかで表される基である。)
    で表される化合物、又は、前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含む、エレクトロクロミック素子。
  2. 前記第1の電極と前記電解質層の間に、前記一般式(1)で表される化合物、又は、前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含むエレクトロクロミック層が形成されている、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記電解質層は、前記一般式(1)で表される化合物、又は、前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含む、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記R〜R、R〜R13のうち、1個以上が重合性官能基を含む一価の有機基であり、
    前記R〜R、R14〜R29のうち、1個以上が重合性官能基を含む一価の有機基であり、
    前記R〜R、R30〜R41のうち、1個以上が重合性官能基を含む一価の有機基であり、
    前記R〜R、R42〜R52のうち、1個以上が重合性官能基を含む一価の有機基であり、
    前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の硬化物を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記組成物は、前記一般式(1)で表される化合物以外の重合性化合物をさらに含む、請求項4に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記重合性官能基を含む一価の有機基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されているアリール基が、前記重合性官能基で置換されている基である、請求項4又は5に記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 前記重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記一般式(1)で表される化合物は、一般式(2−1)〜(2−5)
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    のいずれかで表される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 前記X及び前記Xが同一であり、
    前記X及び前記Xが同一である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 第1の電極と、
    前記第1の電極に対向する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されている電解質層を有し、
    セレン原子、硫黄原子又は酸素原子を有するトリアリールアミン化合物、又は、前記トリアリールアミン化合物を含む組成物の硬化物を含み、
    発色時に、マゼンタ、シアン又は緑色を呈する、エレクトロクロミック素子。
  11. 前記マゼンタ、前記シアン及び前記緑色は、式
    /a
    で表されるY値が、それぞれ0.16〜−0.096、0.9〜1.46及び−1.3〜−0.395である、請求項10に記載のエレクトロクロミック素子。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子を有する、表示素子。
  13. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子を有し、
    前記第1の電極、前記第2の電極及び前記電解質層が透明である、調光素子。
  14. 一般式(1)
    Figure 2020140053
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、Aは、一般式(1−1)〜(1−4)
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    Figure 2020140053
    (一般式(1−1)〜(1−4)中、R14、R16、R18又はR20は、窒素原子と結合する単結合であり、R15、R17、R19又はR21は、窒素原子と結合する単結合であり、R30、R32、R34又はR36は、窒素原子と結合する単結合であり、R31、R33、R35又はR37は、窒素原子と結合する単結合であり、R42、R43、R44又はR45は、窒素原子と結合する単結合であり、窒素原子と結合する単結合以外のR〜R52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は一般式(1−5)
    Figure 2020140053
    (一般式(1−5)中、R53、R54は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であり、R53とR54が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
    で表される基であり、X、Xは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。)
    のいずれかで表される基である。)
    で表される化合物を含む、エレクトロクロミック組成物。
  15. 請求項14に記載のエレクトロクロミック組成物が硬化している、硬化膜。
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