JP6848342B2 - エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック素子 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック素子に関する。
電圧印加による可逆的な酸化還元反応に伴い、色が可逆的に変化する現象をエレクトロクロミズムという。前記エレクトロクロミズムを利用した素子は、対向する2つの電極でエレクトロクロミック材料を挟み、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成をとる。エレクトロクロミック素子の対向する2つの電極のうちの一方の近傍では還元反応が、他方の電極の近傍では逆反応である酸化反応が起こり、これに伴って色彩や光学濃度が変化することにより、エレクトロクロミック素子として機能する。
前記エレクトロクロミック素子において、透明な表示デバイスを得る場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを構築する場合には、無色透明の状態を有する材料により構成されていることが重要である。
前記エレクトロクロミック材料としては、中性状態が無色透明状態であり、還元状態で発色するエレクトロクロミズムを示すビオロゲン化合物などが利用されている。デバイスの発色層として、前記ビオロゲン化合物を用いる場合、酸化チタン粒子が好適に用いられている。これらの中でも、積層構成において、エレクトロクロミック材料の担持粒子として、酸化チタン粒子を用いることで、高い光学濃度や高コントラスト比を実現できることが報告されている。
例えば、中性状態が透明であり、酸化状態で発色するエレクトロクロミック材料としては、トリアリールアミン化合物などが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、トリアリールアミン材料に重合性官能基を付与し、高分子化した化合物を用いたエレクトロクロミック素子が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、トリフェニルアミンの単量体は、酸化状態で青色に発色する材料であることが知られているが、トリフェニルアミン分子が光照射を受け、環化することでカルバゾールへと変化することが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
本発明は、良好な色彩が得られ、繰り返し耐久性に優れたエレクトロクロミック化合物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(I)で示される。
[一般式(I)]
Figure 0006848342
ただし、前記一般式(I)中、Xは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを示す。
からRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、及び重合性官能基のいずれかを示す。wは、0から3の整数を示し、p、y、及びzは、それぞれ独立して、0から4の整数を示す。前記w、p、y、及びzが2以上であり、R、R、R又はRがそれぞれ複数存在する場合、複数のR、R、R又はRは、それぞれ同一であってもよく異なってもよい。
本発明によると、良好な色彩が得られ、繰り返し耐久性に優れたエレクトロクロミック化合物を提供することができる。
図1は、本発明のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略図である。 図2は、本発明のエレクトロクロミック素子の他の一例を示す概略図である。 図3は、実施例9のエレクトロクロミック素子の発色時における吸収スペクトルを示すグラフである。 図4は、実施例17のエレクトロクロミック素子の消色時及び発色時における吸収スペクトルを示すグラフである。 図5は、実施例18のエレクトロクロミック素子の消色時及び発色時における吸収スペクトルを示すグラフである。
(エレクトロクロミック化合物)
本発明のエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(I)で示される。
[一般式(I)]
Figure 0006848342
ただし、前記一般式(I)中、Xは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを示す。
からRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、及び重合性官能基のいずれかを示す。wは、0から3の整数を示し、p、y、及びzは、それぞれ独立して、0から4の整数を示す。前記w、p、y、及びzが2以上であり、R、R、R又はRがそれぞれ複数存在する場合、複数のR、R、R又はRは、それぞれ同一であってもよく異なってもよい。
本発明のエレクトロクロミック化合物は、従来のトリフェニルアミン系材料を用いた青色発色エレクトロクロミック素子では、光耐久性が十分ではなく、エレクトロクロミック素子に求められる屋外での用途に対する期待に応えるものではないという知見に基づくものである。
前記一般式(I)において、Xは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを示し、これらの中でも、前記炭素原子及び前記窒素原子は、更に置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記一般式(I)において、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記一般式(I)において、前記一価の有機基としては、例えば、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、スルホニル基、スルホンアミド基、アミノスルホニル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリール基などが挙げられる。これらは、更に置換基を有していてもよい。
前記置換基を有してもよいものとしては、例えば、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基等の置換基を有していてもよいカルボニル基;置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基等の置換基を有していてもよいスルホニル基;置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基等のアルキルアミノ基;置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基;置換基を有していてもよいアルキニル基;置換基を有していてもよいアリール基;置換基を有していてもよいアルコキシ基;置換基を有していてもよいアリールオキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基;置換基を有していてもよいアリールチオ基;置換基を有していてもよいヘテロアリール基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が好ましい。
前記炭素数1以上のアルキル基としては、例えば、原料の入手性の点から、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数1以上30以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルキル基がより好ましい。
前記炭素数1以上のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−ブチルオクチル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
前記炭素数2以上のアルケニル基としては、例えば、前記炭素数1以上のアルキル基と同様に、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数2以上30以下のアルケニル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルケニル基がより好ましい。
前記炭素数2以上のアルケニル基としては、前記炭素数2以上のアルキル基の任意の水素を2つ取り去った置換基であり、例えば、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプタニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
炭素数2以上のアルキニル基としては、例えば、前記炭素数1以上のアルキル基と同様に、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数2以上30以下のアルキニル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルキニル基がより好ましい。
炭素数2以上のアルキニル基としては、前記炭素数2以上のアルキル基の任意の水素を4つ取り去った置換基であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基などが挙げられる。
前記炭素数6以上のアリール基としては、例えば、炭素数6以上18以下のアリール基が好ましい。
前記炭素数6以上のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基などが挙げられる。
前記ヘテロアリール基としては、例えば、炭素数2以上12以下のヘテロアリール基が好ましい。
前記ヘテロアリール基の構成元素としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子などが挙げられる。これらの中でも、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
前記ヘテロアリール基としては、例えば、単環系ヘテロアリール基、多環系ヘテロアリール基などが挙げられる。
前記単環系ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジン、チオフェン環、フラン環、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、トリアゾール環などが挙げられる。
前記多環系ヘテロアリール基としては、例えば、キノリン基、イソキノリン基、キナリゾン基、フタラジン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチオジアゾール基、アクリジン基、フェノキサジン基、フェノチアジン基、カルバゾール基、ベンゾジチオフェン基、ベンゾジフラン基などが挙げられる。
前記一般式(I)において、前記重合性官能基としては、重合可能な基であればいずれでもよく、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、以下に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基などが挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される重合性官能基などが挙げられる。
[一般式(i)]
Figure 0006848342
ただし、前記一般式(i)中、Xは置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔ただし、R100は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
前記一般式(i)中のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいナフチレン基などが挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表される重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニルチオエーテル基、アクリル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される重合性官能基などが挙げられる。
[一般式(ii)]
Figure 0006848342
ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔ただし、R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(ただし、R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、Xは、前記一般式(i)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びXの少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、又は芳香族環である。
前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表される重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリルアミド基などが挙げられる。
なお、X、X、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
前記重合性官能基としては、酸化還元に対する耐性が高い点から、例えば、炭素数1以上のアルキル基;炭素数6以上のアリール基;炭素数7以上のアルキル基で置換されたアリール基等の末端に置換されていることが好ましく、アルキル基の末端に置換されていることがより好ましい。
前記重合性官能基は、炭素数2以上のアルキル基を介して主骨格に結合することが好ましい。
前記一価の有機基及び前記重合性官能基は、置換基により更に置換されていてもよい。
前記一価の有機基及び前記重合性官能基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
以下に、前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物の具体例について例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。なお、下記式中、Meはメチル基を表す。
[エレクトロクロミック化合物1]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物2]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物3]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物4]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物5]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物6]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物7]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物8]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物9]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物10]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物11]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物12]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物13]
Figure 0006848342
−エレクトロクロミック化合物の製造方法−
前記エレクトロクロミック化合物は、化合物の入手性、及び毒性の点から、例えば、下記一般式(V)で示される縮合多環化合物と、下記一般式(VI)で示されるアミン化合物とを、パラジウム触媒、ニッケル触媒、銅触媒等の触媒と、必要に応じて塩基とを、適当な溶媒中で逐次、炭素−窒素間のクロスカップリング反応させることにより、前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物の骨格を得ることができる。
[一般式(V)]
Figure 0006848342
ただし、前記一般式(V)中、Xは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択され、Halは、ハロゲン原子又はトリフラート基を示す。
[一般式(VI)]
Figure 0006848342
前記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、強塩基などが挙げられる。
前記強塩基としては、例えば、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムなどが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、tert−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、キノリンなどが挙げられる。
前記触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム、ビスベンジリデンアセトンパラジウム、銅、酸化銅などが挙げられる。前記触媒は、適当な配位子と組み合わせてもよい。
前記配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等のリン配位子;エチレンジアミンやシクロヘキシルジアミン、フェナントロリン、ビピリジル等の窒素系配位子などが挙げられる。
前記反応後に得られたエレクトロクロミック化合物の粗生成物の精製は、各種既存の精製方法で行うことができる。
前記精製方法としては、例えば、溶媒洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、昇華精製などが挙げられる。
(エレクトロクロミック組成物)
本発明のエレクトロクロミック組成物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含有し、重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<他の重合性化合物>
前記他の重合性化合物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なり、少なくとも1つの重合性官能基を有する化合物である。
前記他の重合性化合物としては、例えば、1官能の重合性化合物、2官能の重合性化合物、3官能以上の重合性化合物、機能性モノマー、重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上の重合性化合物が特に好ましい。
前記他の重合性化合物における重合性官能基としては、本発明の前記エレクトロクロミック化合物における重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリル基、メタクリル基が特に好ましい。
前記1官能の重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能の重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上の重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレート等のフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等のポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
本発明の前記エレクトロクロミック化合物、及び本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物の少なくともいずれか一方が重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋構造体を形成する点から好ましい。
本発明のエレクトロクロミック化合物の含有量は、前記エレクトロクロミック組成物の全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、電圧印加による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要である電解質液との相溶性が低くなる場合があるため、電圧印加による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気的特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気的特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
<重合開始剤>
前記エレクトロクロミック組成物は、本発明のエレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物との重合・架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、重合効率の点から、光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、などが挙げられる。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、担持粒子、フィラー、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
−担持粒子−
本発明のエレクトロクロミック化合物以外のエレクトロクロミック化合物と組み合わせる場合には、ナノ構造体からなる担持粒子を用いることが好ましい。本発明のエレクトロクロミック化合物以外のエレクトロクロミック化合物が、結合又は吸着構造としてホスホン酸、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等を有するとき、前記エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れるエレクトロクロミック組成物となる。前記ホスホン酸基、前記スルホン酸基、前記リン酸基、及び前記カルボキシル基としては、エレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、シリル基、シラノール基等を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されてその結合は強固なものとなり、安定なエレクトロクロミック組成物を得ることができる。前記シロキサン結合とは、ケイ素原子及び酸素原子を介した化学結合をいう。また、前記エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造を有していればよく、その結合方法及び形態については特に限定しない。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子又はナノポーラス構造体等のナノスケールの凹凸を有する構造体をいう。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性及び導電性の点から、例えば、金属酸化物などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケートなどを主成分とするものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性、光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが好ましく、酸化チタンがより好ましい。
前記金属酸化物の形状としては、平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物微粒子が好ましい。前記平均一次粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上でき、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することで、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色カラー表示することができる。ナノ構造の比表面積は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100m/g以上が好ましい。
−フィラー−
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;酸化ケイ素(シリカ)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性、安定性、及び表面処理の容易性の点から、金属酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)が特に好ましい。
前記有機フィラーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリオレフィン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂;脂肪酸等の低分子化合物;フタロシアニン等の顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性及び不溶性の点から、樹脂が好ましい。
前記フィラーの平均一次粒径は、1μm以下が好ましく、10nm以上1μm以下がより好ましい。前記フィラーの平均一次粒径が、1μm以下であると、粗大粒子が存在せず、得られる膜の表面状態が良好であり、表面平滑性に優れている。
前記フィラーの含有量は、重合性化合物の全量100質量部に対して、固形分濃度で、0.3質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.6質量部以上0.9質量部以下がより好ましい。
前記含有量が、0.3質量部以上であると、フィラー添加効果が充分に得られ、製膜性が良好であり、1.5質量部以下であると、作製したエレクトロクロミック素子の良好な電気化学特性が得られる。
本発明のエレクトロクロミック化合物及び本発明のエレクトロクロミック組成物は、例えば、エレクトロクロミック素子、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリ、電子ペーパー、電子アルバムなどの各種用途に好適に使用することができる。これらの中でも、エレクトロクロミック素子が特に好ましい。
(エレクトロクロミック素子)
本発明のエレクトロクロミック素子は、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記電解質中に本発明のエレクトロクロミック化合物、又は本発明のエレクトロクロミック組成物を含む。
ここで、前記「電解質中に本発明のエレクトロクロミック化合物、又は本発明のエレクトロクロミック組成物を含む」とは、電解質中にエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が保持されていればよく、エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が電解質中に溶解している態様、エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物が電解質中に分散している態様などが挙げられる。
前記第一の電極が、本発明のエレクトロクロミック化合物、又は本発明のエレクトロクロミック組成物を有する。
ここで、前記「第1の電極が、本発明のエレクトロクロミック化合物、又は本発明のエレクトロクロミック組成物を有する」とは、エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含むエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。
−第一の電極、及び第二の電極−
前記第一の電極、及び前記第二の電極を構成する材料としては、例えば、透明導電基板などが挙げられる。前記透明導電基板としては、例えば、ガラス、プラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが好ましい。
前記透明導電薄膜の材料としては、導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称することもある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称することもある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称することもある)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが好ましい。
更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cu等の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の各々の平均厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の材料としてITOを用いた場合、第一の電極、及び第二の電極の各々の平均厚みは、例えば、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
前記第一の電極、及び第二の電極の各々の材料の塗布方法としては、塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
−電解質−
前記電解質は、前記第一の電極と前記第二の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩、酸類、アルカリ類等の支持塩などが挙げられ、具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、イオン液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため好ましい。
前記室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造としては、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩などが挙げられる。アニオン成分としては、大気中での安定性の点から、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン液体を用いることが好ましい。
前記イオン液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させた溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質としては、低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型などの様々な形態をとることができる。前記電解質は、ゲル状、固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上などの点から有利である。
固体化手法としては、高いイオン伝導度と固体強度とが得られる点から、電解質と溶媒とをポリマー中に保持することが好ましい。
前記ポリマーとしては、熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できる点から、光硬化可能な樹脂が好ましい。
前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100nm以上100μm以下が好ましい。
前記エレクトロクロミック層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の前記エレクトロクロミック化合物を溶媒に分散乃至溶解した塗布液を前記第1の電極表面に塗布する方法、本発明の前記エレクトロクロミック組成物を前記導電性乃至半導体性ナノ構造体に担持させる方法、後述するエレクトロクロミック素子の製造方法などにより好適に形成することができる。
前記エレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
−その他の部材−
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1の基材、第2の基材、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
−第1の基材、第2の基材−
前記基材としては、各層を支持できる透明材料であれば特に制限はなく、公知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記基材としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。
前記基材としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
これらの中でも、加工性と透明性の点から、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
なお、前記基材の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形であっても丸型であってもよい。
前記基材は複数の重ね合わせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を高めることが可能である。
−−絶縁性多孔質層−−
前記絶縁性多孔質層としては、前記第一の電極と前記第二の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性、及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料、無機材料、又はそれらの複合体が好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
−−劣化防止層−−
前記劣化防止層は、前記エレクトロクロミック組成物からなるエレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって前記第一の電極、及び前記第二の電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することができる。なお、前記逆の化学反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む意味である。
前記劣化防止層の材料としては、前記第一の電極、及び前記第二の電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性金属酸化物、又は半導体性金属酸化物を用いることができる。
前記劣化防止層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性金属酸化物微粒子又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより前記第二の電極に固定化することで、電解質の浸透性、及び劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
前記劣化防止層として、エレクトロクロミック組成物を構成する導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体と同じものを用いると、前記第一の電極及びエレクトロクロミック組成物の製造工程と、前記第二の電極及び劣化防止層の製造工程とを一部共有化できるため好ましい。
−−保護層−−
前記保護層は、外的応力、及び洗浄工程の薬品からエレクトロクロミック素子を守ることができ、また、前記電解質の漏洩を防ぐことができ、更に大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐことができる。
前記保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
<エレクトロクロミック素子の製造方法>
前記エレクトロクロミック素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
−塗布工程−
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、本発明のエレクトロクロミック化合物と、前記本発明のエレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
本発明のエレクトロクロミック化合物、及び本発明のエレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物としては、前記エレクトロクロミック素子で説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明のエレクトロクロミック化合物と、本発明のエレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含有する塗布液を塗布する。塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
−架橋工程−
前記架橋工程は、塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記第1の電極上にエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、エレクトロクロミック層を形成する。前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm以上15,000mW/cm以下が好ましい。
−その他の工程−
その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程、貼り合わせ工程、などが挙げられる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリ、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。
ここで、図1は、本発明のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略図である。この図1の前記エレクトロクロミック素子8は、第一の電極1と、前記第一の電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた第二の電極2と、前記第一の電極1及び前記第二の電極2の両電極間に配置し、前記エレクトロクロミック化合物4を溶解させた電解質3とを備える。前記エレクトロクロミック素子では、前記エレクトロクロミック化合物4は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。なお、図1中5、5は第一の基材、第二の基材を表す。
図2は、本発明のエレクトロクロミック素子の他の一例を示す概略図である。この図2のエレクトロクロミック素子18は、第一の電極10と、前記第一の電極10に対して間隔をおいて対向して設けた第二の電極12と、前記第一の電極10及び前記第二の電極12の両電極間に配置された電解質13とを備え、前記第一の電極10の表面に、エレクトロクロミック重合体を含むエレクトロクロミック層11を有し、第二の電極12の表面に担持体14に担持されたエレクトロクロミック化合物15を有している。なお、図2中16、16は第一の基材、第二の基材を表す。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<エレクトロクロミック化合物4の合成>
下記のスキームに従って、エレクトロクロミック化合物4の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−エレクトロクロミック化合物4の合成−
フラスコに、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン(0.871g,3.80mmol)(東京化成工業株式会社製、製品番号:D0632)、2−ブロモジベンゾチオフェン(1.000g,3.80mmol)(東京化成工業株式会社製、製品番号:B3525)、酢酸パラジウム(8.5mg,0.038mmol)(東京化成工業株式会社製、製品番号:A1424)、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(33.1mg,0.114mmol)(東京化成工業株式会社製、製品番号:T2584)、ナトリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製、製品番号:S0450)、及びキシレン14mLを入れ、窒素気流下120℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷した後、トルエンを加えてセライト濾過した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:トルエン)で精製を行い、無色のアモルファス固体としてエレクトロクロミック化合物を得た(収率85%)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトル(ESI)をWaters社製(米国)、装置名:LCT Premier、測定モード:ESI、ASAPプローブにより測定したところ、理論値411.13、実測値411.56であり、目的物とするエレクトロクロミック化合物4であることが確認された。
(実施例2)
<エレクトロクロミック化合物2の合成>
下記スキームに従い、エレクトロクロミック化合物2の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−エレクトロクロミック化合物2の合成−
実施例1において、2−ブロモジベンゾチオフェンを2−ブロモジベンゾフラン(東京化成工業株式会社製、製品番号:B4459)に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物を合成した(収率80%、無色アモルファス固体)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、理論値395.15、実測値395.83であり、エレクトロクロミック化合物2であることが確認された。
(実施例3)
<エレクトロクロミック化合物3の合成>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物3の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−エレクトロクロミック化合物3の合成−
実施例1において、2−ブロモジベンゾチオフェンを3−ブロモ−9−フェニルカルバゾール(東京化成工業株式会社製、製品番号:B3908)に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物を合成した(収率76%、無色アモルファス固体)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、理論値470.20、実測値471.21であり、エレクトロクロミック化合物3であることが確認された。
(実施例4)
<エレクトロクロミック化合物6の合成>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物6の合成を行った。
Figure 0006848342
−エレクトロクロミック化合物6の合成−
フラスコに、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(1.000g,4.75mmol)(東京化成工業株式会社製、製品番号:A1508)、4−ヨードトルエン(3.110g,14.27mmol)(東京化成工業株式会社製、製品番号:I0218)、炭酸カリウム(2.629g,19.03mmol)、銅粉(0.136g,2.14mmol)、及びo−ジクロロベンゼン3mLを入れ、5時間還流した。反応溶液を室温に戻し、トルエンを加えた後、セライト濾過した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:30質量%トルエン/ヘキサン)で精製を行い、無色のアモルファス固体としてエレクトロクロミック化合物を得た(収率76%)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトル(ESI)を実施例1と同様にして測定したところ、理論値390.21、実測値391.19であり、エレクトロクロミック化合物6であることが確認された。
(実施例5)
<エレクトロクロミック化合物10の合成>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物10の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−エレクトロクロミック化合物10の合成−
実施例1において、2−ブロモジベンゾチオフェンを2−クロロ−8−フルオロジベンゾフラン(The Journal of Organic Chemistry 2008,73,2951−2954.に記載の方法で合成した)に代えた以外は、実施例1と同様の方法によりエレクトロクロミック化合物10を合成した(収率68%、無色アモルファス固体)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、理論値413.14、実測値414.10でありエレクトロクロミック化合物10であることが確認された。
(実施例6)
<エレクトロクロミック化合物8の合成>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物8の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−エレクトロクロミック化合物8の合成−
実施例1において、2−ブロモジベンゾチオフェンを4−ブロモジベンゾフラン(東京化成工業株式会社製、製品番号:B4345)に代えた以外は、実施例1と同様の方法によりエレクトロクロミック化合物を合成した(収率72%、無色アモルファス固体)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、理論値395.15、実測値396.18であり、エレクトロクロミック化合物8であることが確認された。
(実施例7)
<エレクトロクロミック化合物11の合成>
下記スキームに従って、中間体7−1の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−中間体7−1の合成−
実施例1において、2−ブロモジベンゾチオフェンを2−ブロモ−4−メトキシトルエン(東京化成工業株式会社製、製品番号:B1782)に、4,4’−ジメトキシジフェニルアミンを4−メトキシ−2−メチルアニリン(東京化成工業株式会社製、製品番号:M1474)に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、中間体7−1を合成した(収率40%、無色液体)。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
−エレクトロクロミック化合物11の合成−
実施例1において、2−ブロモジベンゾチオフェンを2−ブロモジベンゾフランに、4,4’−ジメトキシジフェニルアミンを中間体7−1に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、エレクトロクロミック化合物を合成した(収率69%、無色アモルファス固体)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、理論値423.18、実測値424.20であり、エレクトロクロミック化合物11であることが確認された。
(実施例8)
<エレクトロクロミック化合物12の合成>
下記スキームに従って、中間体8−1の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基を表す。
−中間体8−1の合成−
フラスコに、実施例2で合成したエレクトロクロミック化合物2(0.880g,2.22mmol)及びジクロロメタン15mLを入れ、−15℃に冷却した。この溶液に三臭化ホウ素の1Mジクロロメタン(MDC)溶液をゆっくりと滴下し、滴下終了後−15℃で2時間撹拌した。この溶液にメタノールをゆっくりと加えた後、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤を濾別し溶媒を減圧留去した(粗収率95%、無色アモルファス固体)。
下記スキームに従って、中間体8−2の合成を行った。
Figure 0006848342
ただし、Meはメチル基を表す。
−中間体8−2の合成−
フラスコに、中間体8−1(0.850g,2.11mmol)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(1.660g,10.55mmol)、炭酸カリウム(1.820g,13.27mmol)、及びアセトン15mLを入れ、20時間還流した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:40質量%トルエン/ヘキサン)で精製を行い、淡黄色のオイルとして中間体8−2を得た(収率90%)。
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物12の合成を行った。
Figure 0006848342
−エレクトロクロミック化合物12の合成−
フラスコに、中間体8−2(1.050g,2.03mmol)、アクリル酸(0.732g,10.15mmol)、炭酸カリウム(1.680g,12.18mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を6mL入れ、90℃で5時間撹拌した。放冷後水を加え、酢酸エチルで抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:10質量%酢酸エチル/ヘキサン)で精製を行い、淡黄色のオイルとしてエレクトロクロミック化合物を得た(収率94%)。
得られたエレクトロクロミック化合物のMSスペクトルを実施例1と同様にして測定したところ、理論値591.23、実測値592.25であり、エレクトロクロミック化合物12であることが確認された。
(実施例9)
<エレクトロクロミック素子1の作製>
ITO付ガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、スピンコート法により酸化チタンナノ粒子(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)を膜厚1μmで塗布した電極と、ITO付ガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)の電極同士を80μmのスペーサー(商品名:ミクロパールGS、積水化学工業株式会社製)を介して貼り合わせ、サンドウィッチセルを作製した。
得られたセルに、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を注入し、周囲を封止材(商品名:TB3050B、株式会社スリーボンド製)で封止した。以上により、エレクトロクロミック素子1を作製した。
[組成]
・前記エレクトロクロミック化合物4・・・50質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(メルク社製)・・・100質量部
・プロピレンカーボネート・・・900質量部
<発消色駆動>
作製した実施例9のエレクトロクロミック素子1の発消色を確認した。作製した素子に−2Vの電圧を2秒間印加させたところ、前記エレクトロクロミック化合物4のエレクトロクロミック反応に由来する発色が確認できた。
次いで、作製した素子に+2Vの電圧を2秒間印加させたところ、前記発色は退色し、透明になった。その際の発色時及び消色時の透過スペクトルをOcean Optics社製 USB4000で測定した。実施例9のエレクトロクロミック素子1の発色時における吸収スペクトルを図3に示した。
<試験1:連続発色試験>
作製した実施例9のエレクトロクロミック素子1に1.6Vの電圧を印加し、発色状態を48時間連続で維持した。印加前後の可視領域(380nm〜800nm)の吸光度をUSB4000で測定し、イエローインデックス(YI)を算出し、前後のYIの差分をΔYIとし、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
○:ΔYIが5未満
△:ΔYIが5以上10未満
×:ΔYIが10以上
<試験2:光耐久性試験>
作製した実施例9のエレクトロクロミック素子1に1.6Vの電圧を印加して発色状態を保持しながら、紫外線カットフィルター(商品名:ルミクール1501UH、リンテック株式会社製)を通して、人工太陽照明(商品名:SOLAX XC−100W、セリック株式会社製、照度15万lux)により、48時間連続で光照射した。
エレクトロクロミック化合物の光劣化を、エレクトロクロミック反応による発色が維持できる割合で以下のように評価した。48時間連続光照射後の素子に、重水素タングステンハロゲン光(商品名:DH−2000、オーシャンオプティクス株式会社製)を照射し、透過した光をUSB4000で検出し、透過スペクトルを測定した。そのときの可視領域(400nm以上800nm以下)の透過率が最小となる波長における透過率Tminを下記基準で評価した。結果を表1に示した。
[評価基準]
○:Tminの透過率が30%未満
△:Tminの透過率が30%以上50%未満
×:Tminの透過率が50%以上
(実施例10〜16)
−エレクトロクロミック素子2〜8の作製−
実施例9におけるエレクトロクロミック化合物4を、エレクトロクロミック化合物2、3、6、10、8、11及び12にそれぞれ変更した以外は、実施例9と同様にして、エレクトロクロミック素子2〜8を作製し、同様にして評価した。結果を表1に示した。
(比較例1〜3)
−エレクトロクロミック素子9〜11の作製−
実施例9におけるエレクトロクロミック化合物4を、以下に示す比較例化合物(比−1)、(比−2)、及び(比−3)にそれぞれ変更した以外は、実施例9と同様にして、エレクトロクロミック素子9〜11を作製し、同様にして評価した。結果を表1に示した。
(比−1)
Figure 0006848342
ただし、前記式中、Meはメチル基を表す。
(比−2)
Figure 0006848342
ただし、前記式中、Meはメチル基を表す。
(比−3)
Figure 0006848342
Figure 0006848342
(実施例17)
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
第1の電極上にエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクト
ロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・前記エレクトロクロミック化合物12:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400ジアクリレート(PEG400DA、日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−第2の電極上への劣化防止層の形成−
第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
<第2の電極上への第2のエレクトロクロミック層の形成>
第2の電極上に第2のエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成の第2のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・下記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物:20質量部
Figure 0006848342
・テトラフルオロプロパノール:980質量部
得られた第2のエレクトロクロミック組成物を、第2の電極に形成された前記酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料上に、スピンコート法により塗布した後、メタノールで洗浄することにより、第2のエレクトロクロミック層を形成した。
−電解質の充填−
以下に示す組成の電解質液を調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記劣化防止層を有するITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間照射した。以上により、実施例17のエレクトロクロミック素子を作製した。
<発消色駆動>
作製したエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層の引き出し部分と第2の電極層の引き出し部分との間に、−2Vの電圧を2秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分に、エレクトロクロミック層の前記エレクトロクロミック化合物12に由来するシアン色の発色が確認できた。
次いで、前記第1の電極層の引き出し部分と前記第2の電極層の引き出し部分との間に、+2Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分が消色し、透明になることが確認できた。その際の発色時及び消色時の透過スペクトルをOcean Optics社製 USB4000で測定した。実施例17のエレクトロクロミック素子の消色時及び発色時における透過スペクトルを図4に示した(実線:消色時、破線:発色時)。
(実施例18)
実施例17におけるエレクトロクロミック化合物12を、エレクトロクロミック化合物13に変更した以外は、実施例17と同様にして、実施例18のエレクトロクロミック素子を作製し、同様にして評価した。実施例18のエレクトロクロミック素子の消色時及び発色時における透過スペクトルを図5に示した(実線:消色時、破線:発色時)。
次に、実施例17及び18について、実施例9と同様にして、<試験1:連続発色試験>、及び<試験2:光耐久性試験>を行ったところ、いずれも実施例9と同レベルの良好な結果が得られた。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(I)で示されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物である。
[一般式(I)]
Figure 0006848342
ただし、前記一般式(I)中、Xは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを示す。
からRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、及び重合性官能基のいずれかを示す。wは、0から3の整数を示し、p、y、及びzは、それぞれ独立して、0から4の整数を示す。前記w、p、y、及びzが2以上であり、R、R、R又はRがそれぞれ複数存在する場合、複数のR、R、R又はRは、それぞれ同一であってもよく異なってもよい。
<2> 前記一価の有機基が、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びヘテロアリールオキシ基のいずれかである前記<1>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<3> 前記RからRのいずれか1つ以上が、重合性官能基である前記<1>から<2>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<4> 前記重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基のいずれかである前記<3>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<5> 前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物が、下記構造式で表されるエレクトロクロミック化合物のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
[エレクトロクロミック化合物1]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物2]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物3]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物4]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物5]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物6]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物7]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物8]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物9]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物10]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物11]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物12]
Figure 0006848342
[エレクトロクロミック化合物13]
Figure 0006848342
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物である。
<7> 前記他の重合性化合物が、2官能以上の重合性化合物である前記<6>に記載のエレクトロクロミック組成物である。
<8> 更に重合開始剤を含有する前記<6>から<7>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物である。
<9> 更に担持粒子を含有する前記<6>から<8>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物である。
<10> 第1の電極と、前記第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記電解質中に前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は前記<6>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<11> 第1の電極と、前記第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極が、前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は前記<6>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、前記<6>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物、及び前記<10>から<11>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 第一の電極
2 第二の電極
3 電解質
4 エレクトロクロミック化合物
5 基板
8 エレクトロクロミック素子
10 第一の電極
11 エレクトロクロミック層
12 第二の電極
13 電解質
14 多孔質電極
15 エレクトロクロミック化合物
16 基板
18 エレクトロクロミック素子
特開平11−183938号公報 国際公開第1999/32926号パンフレット
Org.Electron.2014,15,428−434. Tetrahedron Letters 55(2014)2932−2935

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で示されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
    [一般式(I)]
    Figure 0006848342
    ただし、前記一般式(I)中、Xは、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを示し、前記窒素原子は、置換基により更に置換されていてもよく、前記置換基は、炭素数1−18のアルキル基、フェニル基、のいずれかであり、
    、及びR は、それぞれ独立して、炭素数1−18のアルコキシ基、炭素数1−18のアルキル基、アクリロイルオキシ基で置換された炭素数1−18のアルキル基、及びアクリロイルオキシ基で置換された炭素数1−18のアルコキシ基のいずれかであり、
    、及びR は、それぞれ独立して、水素、及びハロゲン原子のいずれかであり、
    pが1から4の整数を示し、
    yが1から4の整数を示し、
    wが0から2の整数を示し、zが0から2の整数を示し、zとwの合計が2以下であり、
    、R、R又はRがそれぞれ複数存在する場合、複数のR、R、R又はRは、それぞれ同一であってもよく異なってもよい。
  2. 前記アクリロイルオキシで置換された炭素数1−18のアルコキシ基が、アクリロイルオキシプロピルオキシ基である請求項に記載のエレクトロクロミック組成物。
  3. 前記他の重合性化合物が、2官能以上の重合性化合物である請求項1からに記載のエレクトロクロミック組成物。
  4. 第1の電極と、前記第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記電解質中に請求項1からのいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  5. 第1の電極と、前記第1の電極に対して間隔をおいて対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられる電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記第1の電極が、請求項1からのいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
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