JP6665430B2 - エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック表示素子 - Google Patents

エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック表示素子 Download PDF

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本発明は、エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック表示素子に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。前記エレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミック材料は、一般に対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。前記対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が生じるときには、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。
前記エレクトロクロミック材料を用いたデバイスにおいては、両極での発色が駆動電圧、色彩、光学濃度といった点で有効に働くことは明らかである。
前記エレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック表示素子において、透明な表示デバイスを得る場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを構築する場合には、無色透明の状態を有する材料により構成されていることが重要である。
前記エレクトロクロミック材料としては、中性状態が透明状態であり、還元状態で発色するエレクトロクロミック現象を示すビオロゲン化合物、下記構造式(A)で示される吸着基としてホスホン酸を有するトリアリールアミン化合物(例えば、非特許文献1参照)などが報告されている。
[構造式(A)]
しかしながら、前記非特許文献1で開示されているトリアリールルアミン化合物の発色は青色からシアン色又は緑色であり、イエロー(Y)やマゼンタ(M)の発色を安定に得ることは困難であり、また、消色時の逆電圧耐性等の繰り返し耐久性や光耐久性については不十分であった。
本発明は、良好な黄色発色を有し、繰り返し耐久性に優れたエレクトロクロミック化合物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(I)で示される。
[一般式(I)]
ただし、前記一般式(I)中、R及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記アルキル基、前記アリール基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよい。
からR15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記一価の有機基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよく、前記RからR15の少なくとも一つは重合性官能基、又は水酸基に対して結合することができる官能基を示す。
本発明によると、良好な黄色発色を有し、繰り返し耐久性に優れたエレクトロクロミック化合物を提供することができる。
図1は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例を示す概略図である。 図2は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の一例を示す概略図である。 図3は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の一例を示す概略図である。 図4は、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた表示素子の消色時及び発色時における吸収スペクトルである。
(エレクトロクロミック化合物)
本発明のエレクトロクロミック化合物は、下記一般式(I)で示される。
[一般式(I)]
ただし、前記一般式(I)中、R及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記アルキル基、前記アリール基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよい。
からR15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記一価の有機基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよく、前記RからR15の少なくとも一つは重合性官能基、又は水酸基に対して結合することができる官能基を示す。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、前記一般式(I)で表されるアクリダン骨格を有する化合物をエレクトロクロミック材料として用いると優れた特性が得られることを知見した。
前記アクリダン骨格を有する化合物については、有機感光体のホール輸送層としての利用することが知られている(例えば、特開平8−062870号公報、特開平9−512041号公報参照)。また、有機エレクトロルミネッセンス素子におけるホール輸送層としての利用が開示されている(国際公開第2012/147330号パンフレット及び国際公開第2011/155169号パンフレット参照)。
また、特許第4733334号公報には、アクリダン化合物を電気化学ルミネッセンスについて用いた場合について開示されている。
また、特開2005−220095号公報には、下記構造式(B)で示されるビアクリダン誘導体の電気化学的スイッチングについての記載がある。
しかしながら、前記アクリダン骨格を有する化合物を電気化学的用途、即ち、エレクトロクロミック材料として用いると、良好な黄色発色を有し、繰り返し耐久性に優れた効果を奏することについては何ら知られておらず、このことは本発明者による新知見である。
[構造式(B)]
ただし、前記構造式(B)中、Meはメチル基を表す。
前記一般式(I)において、前記R及びRにおける前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数が1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基が好適に挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。
前記一般式(I)において、前記R及びRにおける前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基などが挙げられる。
前記一般式(I)において、前記R及びRにおける前記重合性官能基としては、炭素−炭素2重結合を有し、重合可能な基であればいずれでもよい。前記重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。
[一般式(i)]
ただし、前記一般式(i)中、Xは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表される重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイル基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。
[一般式(ii)]
ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、Xは、前記一般式(i)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びXの少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。
前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表される重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記重合性官能基の中でも、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
前記重合性官能基としては、酸化還元に対する耐性が高い点から、例えば、炭素数1以上のアルキル基;炭素数6以上のアリール基;炭素数7以上のアルキル基で置換されたアリール基等の末端に置換されていることが好ましく、アルキル基の末端に置換されていることがより好ましい。
前記重合性官能基は、主骨格に少なくとも炭素数2以上のアルキル基を介して結合することが好ましい。
前記一般式(I)において、前記R及びRにおける前記水酸基に対して結合することができる官能基としては、例えば、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、スルホニル基、シリル基、シラノール基などが挙げられる。これらの中でも、合成の簡便さ、担持粒子への吸着性、及び化合物の安定性の点から、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましく、ホスホン酸基がより好ましい。
前記ホスホン酸基としては、例えば、メチルホスホン酸基、エチルホスホン酸基、プロピルホスホン酸基、ヘキシルホスホン酸基、オクチルホスホン酸基、デシルホスホン酸基、ドデシルホスホン酸基、オクタデシルホスホン酸基、ベンジルホスホン酸基、フェニルエチルホスホン酸基、フェニルプロピルホスホン酸基、ビフェニルホスホン酸基などが挙げられる。
前記リン酸基としては、例えば、メチルリン酸基、エチルリン酸基、プロピルリン酸基、ヘキシルリン酸基、オクチルリン酸基、デシルリン酸基、ドデシルリン酸基、オクタデシルリン酸基、ベンジルリン酸基、フェニルエチルリン酸基、フェニルプロピルリン酸基、ビフェニルリン酸基などが挙げられる。
前記カルボン酸基としては、例えば、メチルカルボン酸基、エチルカルボン酸基、プロピルカルボン酸基、ヘキシルカルボン酸基、オクチルカルボン酸基、デシルカルボン酸基、ドデシルカルボン酸基、オクタデシルカルボン酸基、ベンジルカルボン酸基、フェニルエチルカルボン酸基、フェニルプロピルカルボン酸基、ビフェニルカルボン酸基、4−プロピルフェニルカルボン酸基、4−プロピルビフェニルカルボン酸基などが挙げられる。
前記スルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、オクタデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、フェニルエチルスルホニル基、フェニルプロピルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基などが挙げられる。
前記シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、デシルシリル基、ドデシルシリル基、オクタデシルシリル基、ベンジルシリル基、フェニルエチルシリル基、フェニルプロピルシリル基、ビフェニルシリル基などが挙げられる。
前記シラノール基としては、例えば、メチルシラノール基、エチルシラノール基、プロピルシラノール基、ヘキシルシラノール基、オクチルシラノール基、デシルシラノール基、ドデシルシラノール基、オクタデシルシラノール基、ベンジルシラノール基、フェニルエチルシラノール基、フェニルプロピルシラノール基、ビフェニルシラノール基などが挙げられる。
前記水酸基に対して結合することができる官能基としては、酸化還元に対する耐性が高い点から、例えば、炭素数1以上のアルキル基;炭素数6以上のアリール基;炭素数7以上のアルキル基で置換されたアリール基等の末端に置換されていることが好ましく、アルキル基の末端に置換されていることがより好ましい。
前記水酸基に対して結合することができる官能基は、前記水酸基に対して直接結合してもよいし、間接的に結合してもよく、間接的に結合する場合には、少なくとも炭素数2以上のアルキル基を介して結合することが好ましい。
前記水酸基に対して結合することができる官能基の数としては、1つ以上2つ以下が好ましい。前記官能基の数が、少なくとも1つ導入されていると、水酸基に対して結合することができ、偶数である2つ以下導入されていると、分子が対称分子になりやすく、合成、及び精製の点で有利であり、その極性により精製が困難になったり、主骨格の安定性、及び、例えば、ホスホン酸基が導入されている場合に、ドナーであるアクリダンを過剰にドーピングし、消色時の着色、駆動時の劣化が生じる等の電気的特性が損なわれることがない。
前記アルキル基、前記アリール基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよい。
前記アルキル基、前記アリール基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記一般式(I)において、前記RからR15における前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記重合性官能基としては、前記R及びRと同様のものを用いることができ、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
前記水酸基に対して結合することができる官能基としては、前記R及びRと同様のものを用いることができ、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましい。
前記一般式(I)において、前記RからR15における前記一価の有機基としては、例えば、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、スルホニル基、スルホンアミド基、アミノスルホニル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリール基などが挙げられる。これらは、更に置換基で置換されていてもよい。これらの中でも、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びヘテロアリールオキシ基のいずれかであることが好ましい。
前記置換基を有してもよい前記一価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基等の置換基を有していてもよいカルボニル基;置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基等の置換基を有していてもよいスルホニル基;置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基等のアルキルアミノ基;置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基;置換基を有していてもよいアルキニル基;置換基を有していてもよいアリール基;置換基を有していてもよいアルコキシ基;置換基を有していてもよいアリールオキシ基;置換基を有していてもよいアルキルチオ基;置換基を有していてもよいアリールチオ基;置換基を有していてもよいヘテロアリール基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が好ましい。
前記炭素数1以上のアルキル基としては、例えば、原料の入手性の点から、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数1以上30以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルキル基がより好ましい。
前記炭素数1以上のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−ブチルオクチル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などが挙げられる。
前記炭素数2以上のアルケニル基としては、例えば、前記炭素数1以上のアルキル基と同様に、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数2以上30以下のアルケニル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルケニル基がより好ましい。
前記炭素数2以上のアルケニル基としては、前記炭素数1以上のアルキル基の任意の水素を2つ取り去った置換基であり、例えば、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプタニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
前記炭素数2以上のアルキニル基としては、例えば、前記炭素数1以上のアルキル基と同様に、直鎖又は分岐鎖、或いは環状の炭素数2以上30以下のアルキニル基が好ましく、炭素数1以上18以下のアルキニル基がより好ましい。
前記炭素数2以上のアルキニル基としては、前記炭素数1以上のアルキル基の任意の水素を4つ取り去った置換基であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基などが挙げられる。
前記炭素数6以上のアリール基としては、例えば、炭素数6以上18以下のアリール基が好ましい。
前記炭素数6以上のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−トリフルオロフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基が挙げられる。
前記ヘテロアリール基としては、例えば、炭素数2以上12以下のヘテロアリールが好ましい。
前記ヘテロアリール基の構成元素としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子などが挙げられる。これらの中でも、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子から選択されるいずれか1種を含んでいることが好ましい。
前記ヘテロアリール基としては、例えば、単環系ヘテロアリール基、多環系ヘテロアリール基などが挙げられる。
前記単環系ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジン、チオフェン環、フラン環、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール、オキサジアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、トリアゾール環などが挙げられる。
前記多環系ヘテロアリール基としては、例えば、キノリン基、イソキノリン基、キナゾリン基、フタラジン基、インドール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチオジアゾール基、アクリジン基、フェノキサジン基、フェノチアジン基、カルバゾール基、ベンゾジチオフェン基、ベンゾジフラン基などが挙げられる。
前記一価の有機基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物としては、下記一般式(II)で示される化合物が好適に挙げられる。
[一般式(II)]
ただし、前記一般式(II)中、R及びRが、ハロゲン原子、一価の有機基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであるか、又は前記R11からR15から選択される少なくとも一つが、水酸基に対して結合することができる官能基であることが好ましい。その他は前記一般式(I)と同義である。
前記RからRから選択される少なくとも一つが、ハロゲン原子、一価の有機基、又は重合性官能基を部分構造として有する基で示される場合、アクリダン骨格のパラ位に前記置換基が導入されるため、化合物の結晶性、及び安定性が増す点から好適である。
具体的には、前記一般式(II)中のアクリダン骨格のパラ位は、電子密度が高く、反応性が高いため、酸化還元状態で、二量化や環化、分解反応等の予期せぬ副反応を招く可能性が非常に大きい。そこで、前記アクリダン骨格のパラ位には水素原子以外の前記一価の有機基で置換されていることが好ましいためである。
前記水酸基に対して結合することができる官能基の置換位置が、前記化合物のアクリダン骨格ではなく、前記R11からR15の少なくとも一つに限定することで、アクリダン骨格を構築した後、前記化合物の合成における最終段階において水酸基に対して結合することができる官能基を導入することができ、合成がより簡便となる。
前記一般式(II)で示されるエレクトロクロミック化合物としては、下記一般式(III)で示される化合物などが好適に挙げられる。
[一般式(III)]
ただし、前記一般式(III)中、前記RからR15における一価の有機基が、炭素数1以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、炭素数2以上のアルキニル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数2以上のヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基であることを示す。前記一般式(III)中、その他は前記一般式(II)と同義である。
より好ましくは、R及びRが水素原子ではなく、ハロゲン原子又は前記一価の有機基である。
からR15における一価の有機基は色調の著しい変化、化合物の安定性を大きく損なうことが少ない場合が多い。特に、R及びRが水素原子以外で置換されている場合、電子密度の高く、反応性が高いため、酸化還元状態で、二量化や環化、分解反応等の予期せぬ副反応を招く可能性が非常に大きいアクリダン骨格の2,7位が保護されるため好適である。
前記一般式(III)で示されるエレクトロクロミック化合物としては、下記一般式(IV)で示される化合物などが更に好適に挙げられる。
[一般式(IV)]
前記一般式(IV)中、前記重合性官能基が、アルキル基、アリール基、又はアルキル基で置換されたアリール基を含む構造を有することが好ましく、アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれかがより好ましい。
以下に、前記一般式(I)で表されるエレクトロクロミック化合物の具体例について例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。ただし、下記構造式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。
<例示化合物A1>
<例示化合物A2>
<例示化合物A3>
<例示化合物A4>
<例示化合物A5>
<例示化合物A6>
<例示化合物A7>
<例示化合物A8>
<例示化合物A9>
<例示化合物A10>
<例示化合物A11>
<例示化合物B1>
<例示化合物B2>
<例示化合物B3>
<例示化合物B4>
<例示化合物B5>
<例示化合物B6>
<例示化合物B7>
<例示化合物B8>
<例示化合物B9>
<例示化合物B10>
<例示化合物B11>
<例示化合物B12>
−製造方法−
前記エレクトロクロミック化合物は、化合物の入手性、及び毒性の点から、例えば、下記一般式(V)で示されるフェニル化合物と、例えば、一般式(VI)で示されるアクリダン化合物とを、例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、銅触媒等の金属触媒と、必要に応じて塩基とを、適当な溶媒中で逐次、炭素−窒素間のクロスカップリング反応させることにより前記一般式(I)で示される本発明のエレクトロクロミック化合物を得ることができる。
[一般式(V)]
ただし、前記一般式(V)中、R13からR15は、前記一般式(I)中のR13からR15と同様であり、Halはハロゲン原子又はトリフラート基を示す。
[一般式(VI)]
ただし、前記一般式(VI)中、RからR10は、前記一般式(I)中のRからR10と同様である。
前記アクリダン化合物は、Sci.Technol.Adv.Mater.15(2014)034202等の文献に準拠した方法で構築し用いることができる。
前記フェニル化合物についても、文献に準拠した方法で構築し、用いることができる。
前記重合性官能基は、芳香族ハロゲン化物又はトリフラート体に導入しておいてもよいし、アクリダン化合物に導入しておいてもよい。
前記水酸基に対して結合することができる官能基は、アクリダン化合物、芳香族ハロゲン化物又はトリフラート体に導入しておいてもよいし、カップリング後に導入してもよい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
前記塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、強塩基などが挙げられる。
前記強塩基としては、例えば、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムなどが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、ジオキサン、tert−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、キノリンなどが挙げられる。
前記触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム、ビスベンジリデンアセトンパラジウム、銅、酸化銅などが挙げられる。前記触媒は、適当なリガンドと組み合わせてもよい。
前記リガンドとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等のリン配位子;エチレンジアミンやシクロヘキシルジアミン、フェナントロリン、ビピリジル等の窒素系配位子などが挙げられる。
前記水酸基に対して結合することができる官能基としては、例えば、ホスホン酸の場合、前記ハロゲン化アルキルを有する芳香族ハロゲン化物又はトリフラート体をクロスカップリングした後、ハロゲン化アルキルに対して、亜リン酸トリエチルとのミカエリス・アルブーゾフ反応によりホスホネート体を得る。次に、前記ホスホネート体を、例えば、酸、シラン化合物等と反応させることでエステルを加水分解し、目的とするホスホン酸誘導体が得られる。
前記ホスホン酸の場合と同様にして、リン酸基、カルボン酸基、スルホニル基、シリル基、及びシラノール基に付いても公知の反応を用いることで誘導化できる。
前記酸としては、例えば、塩酸、硫酸などが挙げられる。
前記シラン化合物としては、例えば、トリメチルシリルブロミド、トリメチルシリルクロリドなどが挙げられる。
前記反応後に得られたエレクトロクロミック化合物の粗生成物の精製は、各種既存の精製方法で行うことができる。
前記精製方法としては、例えば、溶媒洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、昇華精製などが挙げられる。
(第一の形態のエレクトロクロミック組成物)
本発明の第一の形態のエレクトロクロミック組成物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含有し、重合開始剤及びフィラーを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記エレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたとき、黄色発色を呈し、更に画像のメモリ性、即ち、発色画像の保持特性に優れるものとなる。
<他の重合性化合物>
前記他の重合性化合物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なり、少なくとも1つの重合性官能基を有する化合物である。
前記他の重合性化合物としては、例えば、1官能の重合性化合物、2官能の重合性化合物、3官能以上の重合性化合物、機能性モノマー、重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上の重合性化合物が特に好ましい。
前記他の重合性化合物における重合性官能基としては、本発明の前記エレクトロクロミック化合物における重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイル基、メタクリロイル基が特に好ましい。
前記1官能の重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能の重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上の重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
本発明の前記エレクトロクロミック化合物、及び本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物の少なくともいずれか一方が重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋構造体を形成する点から好ましい。
本発明のエレクトロクロミック化合物の含有量は、エレクトロクロミック組成物の全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
<重合開始剤>
前記エレクトロクロミック組成物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物との重合・架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の点から、光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<フィラー>
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;酸化ケイ素(シリカ)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性、安定性、及び表面処理の容易性の点から、金属酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)が特に好ましい。
前記有機フィラーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリオレフィン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、脂肪酸等の低分子化合物、フタロシアニン等の顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性及び不溶性の点から、樹脂が好ましい。
前記フィラーの平均一次粒径は、1μm以下が好ましく、10nm以上1μm以下がより好ましい。前記フィラーの平均一次粒径が、1μm以下であると、粗大粒子が存在せず、得られる膜の表面状態が良好であり、表面平滑性に優れている。
前記フィラーの含有量は、前記重合性化合物の全量100質量部に対して、固形分濃度で、0.3質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.6質量部以上0.9質量部以下がより好ましい。
前記含有量が、0.3質量部以上であると、フィラー添加効果が充分に得られ、製膜性が良好であり、1.5質量部以下であると、作製したエレクトロクロミック表示素子の良好な電気化学特性が得られる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、担持粒子、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
(第二の形態のエレクトロクロミック組成物)
前記第二の形態のエレクトロクロミック組成物は、本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、導電性乃至半導体性ナノ構造体とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記エレクトロクロミック化合物は、前記導電性乃至半導体性ナノ構造体に結合又は吸着可能である。
前記第二の形態のエレクトロクロミック組成物は、エレクトロクロミック表示素子に用いたとき、黄色発色を呈し、更に画像のメモリ性、即ち、発色画像保持特性に優れるものとなる。
前記一般式(I)中のRからRから選択される少なくとも一つが、水酸基に対して結合することができる官能基である場合、例えば、本発明のエレクトロクロミック化合物が、結合又は吸着構造としてホスホン酸、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等を有するとき、前記エレクトロクロミック化合物は容易に前記ナノ構造体と複合化し、発色画像保持性に優れるエレクトロクロミック組成物となる。前記ホスホン酸基、前記スルホン酸基、前記リン酸基、及び前記カルボキシル基としては、エレクトロクロミック化合物中に複数有していてもよい。また、本発明のエレクトロクロミック化合物が、シリル基、シラノール基等を有するとき、シロキサン結合を介して前記ナノ構造体と結合されてその結合は強固なものとなり、安定なエレクトロクロミック組成物を得ることができる。前記シロキサン結合とは、ケイ素原子及び酸素原子を介した化学結合をいう。また、前記エレクトロクロミック組成物は、前記エレクトロクロミック化合物と前記ナノ構造体がシロキサン結合を介して結合した構造をしていればよく、その結合方法及び形態については特に制限されない。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体とは、ナノ粒子又はナノポーラス構造体等のナノスケールの凹凸を有する構造体をいう。
前記導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体を構成する材質としては、透明性及び導電性の点から、金属酸化物が好適に挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化インジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケートなどを主成分とするものが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性、光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが好ましく、酸化チタンがより好ましい。前記金属酸化物、又は前記金属酸化物の混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れる。
前記金属酸化物の形状としては、平均一次粒子径が30nm以下の金属酸化物微粒子が好ましい。前記平均一次粒子径が小さいほど金属酸化物に対する光の透過率が向上でき、単位体積当たりの表面積(以下、「比表面積」という。)が大きい形状が用いられる。大きな比表面積を有することで、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比に優れた多色カラー表示することができる。ナノ構造の比表面積は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100m/g以上が好ましい。
−用途−
本発明のエレクトロクロミック化合物及びエレクトロクロミック組成物は、安定動作が可能であり、良好な黄色発色と繰り返し耐久性に優れているので、例えば、エレクトロクロミック表示素子、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリ、電子ペーパー、電子アルバムなどの各種用途に好適に使用することができる。これらの中でも、エレクトロクロミック表示素子が特に好ましい。
(エレクトロクロミック表示素子)
本発明のエレクトロクロミック表示素子は、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記第一の電極が、本発明の前記エレクトロクロミック化合物、又は本発明の前記エレクトロクロミック組成物を有する。
ここで、前記「第1の電極が、本発明の前記エレクトロクロミック化合物、又は本発明の前記エレクトロクロミック組成物を有する」とは、エレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含むエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。
−第一の電極、及び第二の電極−
前記第一の電極、及び前記第二の電極を構成する材料としては、例えば、透明導電基板などが挙げられる。前記透明導電基板としては、例えば、ガラス、プラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが好ましい。
前記透明導電薄膜の材料としては、導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」ともいう)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」ともいう)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」ともいう)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが好ましい。
更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の各々の平均厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の材料としてITOを用いた場合、第一の電極、及び第二の電極の各々の平均厚みは、例えば、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記第一の電極、及び前記第二の電極の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
前記第一の電極、及び第二の電極の各々の材料の塗布方法としては、塗布形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
−電解質−
前記電解質は、前記第一の電極と前記第二の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩、酸類、アルカリ類等の支持塩などが挙げられ、具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。
前記室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造としては、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩などが挙げられ、アニオン成分としては、大気中での安定性の点から、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。
前記イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させた溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記電解質としては、低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型などの様々な形態をとることができる。前記電解質は、ゲル状、固体状に形成することで、素子強度向上、信頼性向上などの点から有利である。
固体化手法としては、高いイオン伝導度と固体強度とが得られる点から、電解質と溶媒とをポリマー中に保持することが好ましい。
前記ポリマーとしては、熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できる点から、光硬化可能な樹脂が好ましい。
前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100nm以上100μm以下が好ましい。
前記エレクトロクロミック層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、本発明の前記エレクトロクロミック化合物を溶媒に分散乃至溶解した塗布液を前記第1の電極表面に塗布する方法、本発明の前記第1の形態のエレクトロクロミック組成物を前記第1の電極表面塗布する方法、本発明の前記第2の形態のエレクトロクロミック組成物を前記導電性乃至半導体性ナノ構造体に担持させる方法、後述するエレクトロクロミック表示素子の製造方法などにより好適に形成することができる。
前記エレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
−その他の部材−
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
−−支持体−−
前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板;ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板などが挙げられる。
前記支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、長方形であっても、丸型であってもよい。
前記支持体としては、複数の重ねあわせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック表示素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性、及びガスバリア性を高めることができる。
−−絶縁性多孔質層−−
前記絶縁性多孔質層としては、第一の電極と第二の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性、及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料、無機材料、及びそれらの複合体が好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
−−劣化防止層−−
前記劣化防止層は、前記エレクトロクロミック組成物からなるエレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第一の電極、及び第二の電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することができる。なお、前記逆の化学反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む意味である。
前記劣化防止層の材料としては、第一の電極、及び第二の電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性金属酸化物、あるいは半導体性金属酸化物を用いることができる。
前記劣化防止層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性金属酸化物微粒子又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第二の電極に固定化することで、電解質の浸透性、及び劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
前記劣化防止層として、エレクトロクロミック組成物を構成する導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体と同じものを用いると、第一の電極、及びエレクトロクロミック組成物の製造工程と、第二の電極、及び劣化防止層の製造工程とを一部共有化できるため好ましい。
−−保護層−−
前記保護層は、外的応力、及び洗浄工程の薬品からエレクトロクロミック表示素子を守ることができ、また、前記電解質の漏洩を防ぐことができ、更に大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック表示素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐことができる。
前記保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などを用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
<エレクトロクロミック表示素子の製造方法>
前記エレクトロクロミック表示素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック表示素子の製造方法であって、
塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
−塗布工程−
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、本発明のエレクトロクロミック化合物と、前記本発明のエレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含む第2の形態のエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
本発明の前記エレクトロクロミック化合物、及び本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物としては、前記エレクトロクロミック表示素子で説明したものと同様のものを用いることができる。
本発明の前記エレクトロクロミック化合物と、本発明の前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物とを含有する塗布液を塗布する。塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
−架橋工程−
前記架橋工程は、塗布した前記エレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記第1の電極上に前記エレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、エレクトロクロミック層を形成する。前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm以上15,000mW/cm以下が好ましい。
−その他の工程−
前記その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程、貼り合わせ工程などが挙げられる。
ここで、図1は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の一例を示す概略図である。この図1に示すように、前記エレクトロクロミック表示素子8は、第一の電極1と、前記第一の電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた第二の電極2と、前記第一の電極1及び前記第二の電極2の両電極間に配置し、前記エレクトロクロミック化合物4を溶解させた電解質3とを備える。前記エレクトロクロミック表示素子では、前記エレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。
図2は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の一例を示す概略図である。この図2に示すように、エレクトロクロミック表示素子18は、第一の電極10と、前記第一の電極10に対して間隔をおいて対向して設けた第二の電極12と、前記第一の電極10及び前記第二の電極12の両電極間に配置された電解質13とを備え、前記第一の電極10の表面に、前記エレクトロクロミック組成物14aを含む表示層15を備える。
前記エレクトロクロミック組成物中のエレクトロクロミック化合物は、分子構造中に重合性官能基を有し、前記重合性官能基を結合基として導電性ナノ構造体又は半導体性ナノ構造体に結合して、エレクトロクロミック組成物を構成することができる。そして、前記エレクトロクロミック組成物が第一の電極10上に層状に設けられて、表示層15が形成されている。
図3は、本発明のエレクトロクロミック表示素子の他の一例を示す概略図である。この図3に示すように、エレクトロクロミック表示素子28は、第一の電極20と、前記第一の電極20に対して間隔をおいて対向して設けた第二の電極22と、前記第一の電極20及び前記第二の電極22の両電極間に配置された電解質23とを備え、前記第一の電極20の表面に、前記エレクトロクロミック組成物24aを含む表示層25を有する。また、第二の電極22の第一の電極側に、白色粒子からなる白色反射層26を備える。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の各実施例における原料から生成される一段階目の中間体をそれぞれ中間体X−Yと呼称する(Xは実施例の番号、Yは工程数)。なお、最終生成物については中間体ではないため、この限りではない。
(実施例A1)
<エレクトロクロミック化合物A1の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物A1の合成を行った。
原料として用いた9,9−ジメチルアクリダンは、Sci.Technol.Adv.Mater.15(2014)034202に記載の方法で合成した化合物を用いた。
−中間体A1−1の合成−
窒素置換したフラスコに、9,9−ジメチル−9,9−ジヒドロアクリジン(17.4g、83mmol)、1−ブロモ−4−(3−クロロプロピル)ベンゼン(19.4g、83mmol)、酢酸パラジウム(187mg、0.83mmol)、t−ブトキシナトリウム(12.0g、125mmol)、及びo−キシレン(348mL)を、アルゴンガスで溶液をバブリングした後、テトラキストリt−ブチルホスフィン(520mg、2.57mmol)を加え、115℃で2時間加熱撹拌を行った。反応溶液を室温に戻し、セライト濾過を行った。次に、分離した有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:ヘキサン/トルエン)で精製を行い、淡黄色油状物として、中間体A1−1を得た(収量28.2g、収率94質量%)。
−エレクトロクロミック化合物A1の合成−
窒素置換したフラスコに、前記中間体A1−1(6.00g、16.6mmol)、アクリル酸(2.75g、38.2mmol)、炭酸カリウム(3.07g、22.2mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、32mL)を入れ、80℃で20時間加熱撹拌を行った。溶液を室温まで冷却した後、酢酸エチルと水を加えて、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を水、続けて飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:ヘキサン/酢酸エチル)で精製を行い、白色固体として、エレクトロクロミック化合物A1を得た(収量6.22g、収率94質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物A1のMSスペクトル(ESI)をWaters社製(米国)、装置名:LCT Premier、測定モード:ESI、ASAPプローブにより測定したところ、理論値397.51、実測値397.28であり、下記構造式A(I)で示されるエレクトロクロミック化合物A1であることが確認された。
[構造式A(I)]
(実施例A2)
<エレクトロクロミック化合物A2の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物A2の合成を行った。
−中間体A2−1の合成−
氷冷下、ジメチルホルムアミド(100mL)に前記中間体A1−1(5.41g、15mmol)を溶解させ、N−ブロモスクシンイミド(5.61g、32mmol)を徐々に加えた。その後、室温に戻して10時間撹拌を行った。反応溶液に水、続けてトルエンを加え有機相を分離した。水相をトルエンで3回抽出し、合わせた有機相を水、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン/ヘキサン)で精製し、淡黄色の固体として、中間体A2−1を得た(収量7.90g、収率98質量%)。
−エレクトロクロミック化合物A2の合成−
前記中間体A1−1の代わりに、前記中間体A2−1を用いた以外は、実施例A1のエレクトロクロミック化合物A1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物A2を得た(収率95質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物A2のMSスペクトルを実施例A1と同様にして測定したところ、理論値553.30、実測値562.96であり、下記構造式A(II)で示されるエレクトロクロミック化合物A2であることが確認された。
[構造式A(II)]
(実施例A3)
<エレクトロクロミック化合物A3の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物A3の合成を行った。
−中間体A3−1の合成−
窒素置換したフラスコに、前記中間体A2−1(5.19g、10mmol)、フェニルボロン酸(3.65g、30mmol)、炭酸カリウム(8.28g、60mmol)、トルエン(100mL)、水(30mL)、及びエタノール(10mL)を入れ、アルゴンガスでバブリングを行った後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(116mg、0.1mmol)を加えて、80℃で8時間加熱撹拌を行った。
反応溶液に水、続けてトルエンを加え有機相を分離した。水相をトルエンで3回抽出し、合わせた有機相を水、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン)で精製し、淡黄色の固体として、中間体A3−1を得た(収量4.1g、収率80質量%)。
−エレクトロクロミック化合物A3の合成−
前記中間体A1−1を前記中間体A3−1に変更した以外は、実施例A1のエレクトロクロミック化合物A1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物A3を得た(収率95質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物A3のMSスペクトルを実施例A1と同様にして測定したところ、理論値549.70、実測値549.50であり、下記構造式A(III)で示されるエレクトロクロミック化合物A3であることが確認された。
[構造式A(III)]
(実施例A4)
<エレクトロクロミック化合物A4の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物A4の合成を行った。
実施例A1と同様の方法で、2,7,9,9−テトラメチルアクリダンを合成し、以下の実施例で用いた。
−中間体A4−1の合成−
実施例A1の中間体A1−1の合成において、9,9−ジメチルアクリダンに替えて、2,7,9,9−テトラメチルアクリダンを用いた以外は、実施例A1の中間体A1−1の合成と同様にして、中間体A4−1を得た(収率95質量%)。
−エレクトロクロミック化合物A4の合成−
前記中間体A1−1を、前記中間体A4−1に変更した以外は、実施例A1のエレクトロクロミック化合物A1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物A4を得た(収率95質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物A4のMSスペクトル(ESI)を実施例A1と同様にして測定したところ、理論値425.56、実測値425.23であり、下記構造式A(IV)で示されるエレクトロクロミック化合物A4であることが確認された。
[構造式A(IV)]
(実施例A5)
<エレクトロクロミック化合物A5の合成例>
−エレクトロクロミック化合物A5の合成−
エレクトロクロミック化合物A1の合成において、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を用いた以外は、同様の手順で反応を行い、無色の結晶としてエレクトロクロミック化合物A5を得た(収量2.46g、収率90質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物A5のMSスペクトル(ESI)を実施例A1と同様にして測定したところ、理論値411.54、実測値411.78であり、下記構造式A(V)で示されるエレクトロクロミック化合物A5であることが確認された。
[構造式A(V)]
(実施例A6)
<エレクトロクロミック化合物A6の合成例>
−エレクトロクロミック化合物A6の合成−
実施例A1のエレクトロクロミック化合物A1の合成において、用いる化合物を中間体A4−1に変え、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を用いた以外は、実施例A1と同様の手順にて反応を行い、無色の結晶としてエレクトロクロミック化合物A6を得た(収量2.46g、収率90質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物A6のMSスペクトル(ESI)を実施例A1と同様にして測定したところ、理論値439.59、実測値439.82であり、下記構造式A(VI)で示されるエレクトロクロミック化合物A6であることが確認された。
[構造式A(VI)]
(実施例A7)
<エレクトロクロミック表示素子A1の合成例>
<第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成>
第1の電極上にエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有する前記エレクトロクロミック化合物A1:50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400ジアクリレート(PEG400DA、日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み400μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−第2の電極上への劣化防止層の形成−
第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
−電解質の充填−
以下に示す組成の電解質液を調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記劣化防止層を有するITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック表示素子A1を作製した。
<発消色駆動>
作製したエレクトロクロミック表示素子A1の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層の引き出し部分と第2の電極層の引き出し部分との間に、−2Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分に、エレクトロクロミック架橋層の本発明の前記エレクトクロミック化合物A1に由来する黄色の発色が確認できた。
次いで、前記第1の電極層の引き出し部分と前記第2の電極層の引き出し部分との間に、+2Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分が消色し、透明になることが確認できた。その際の発色時及び消色時の吸収スペクトルをOcean Optics社製 USB4000で測定し、図4に示した。
<試験1:繰返し試験>
作製したエレクトロクロミック表示素子A1について、−2Vで5秒間、+2Vで5秒間の発消色駆動を500回繰り返した。そのときの可視領域(400nm〜800nm)の吸収極大をλmax(この場合470nm)とした。その時の吸光度変化をOcean Optics社製 USB4000で測定し、下記基準で評価した。結果を表1に示した。
[評価基準]
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて80%以上90%未満である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%以上80%未満である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%未満である場合
(実施例A8〜A14)
実施例A7において、前記エレクトロクロミック化合物A1を、表1に示すエレクトロクロミック化合物A2からA8に変更した以外は、実施例A7と同様にして、実施例A8〜A14のエレクトロクロミック表示素子A2〜A10を作製し、色彩、及び繰り返し耐久性を同様にして評価した。結果を表1に示す。
(比較例A1)
実施例A7において、前記エレクトロクロミック化合物A1を、下記構造式A(VII)で示される化合物に変更した以外は、実施例A7と同様にして、比較例A1のエレクトロクロミック表示素子を作製し、色彩、及び繰り返し耐久性を同様にして評価した。結果を表1に示す。
[構造式A(VII)]
(比較例A2)
実施例A7において、前記エレクトロクロミック化合物A1を下記構造式A(VIII)で示される化合物に変更した以外は、実施例A7と同様にして、比較例A2のエレクトロクロミック表示素子を作製し、色彩、及び繰り返し耐久性を同様にして評価した。結果を表1に示す。
[構造式A(VIII)]
表1の結果から、実施例A7〜A14は、従来公知の比較化合物を用いた比較例A1及びA2に比べて、良好な黄色発色が得られ、繰り返し耐久性に優れていることがわかった。
(実施例B1)
<エレクトロクロミック化合物B1の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物B1の合成を行った。
原料として用いた9,9−ジメチルアクリダンは、Sci.Technol.Adv.Mater.15(2014) 034202に記載の方法で合成した化合物を用いた。
−中間体B1−1の合成−
窒素置換したフラスコに、9,9−ジメチルアクリダン(2.09g、10mmol)、1−ブロモ−4−(3−クロロプロピル)ベンゼン(2.33g、10mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(3.84g、40mmol)、酢酸パラジウム(67mg、0.3mmol)、及びトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(261mg、0.9mmol)を入れ、アルゴンガスで置換した後、アルゴンガスで脱気したオルトキシレン(40mL)を加えて、115℃で3時間加熱撹拌を行った。反応溶液を室温に戻し、セライト濾過を行った。次に、ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン/ヘキサン)で精製を行い、淡黄色の液体として、中間体B1−1を得た(収量3.40g、収率94質量%)。
−中間体B1−2の合成−
窒素置換したフラスコに、前記中間体B1−1(3.40g、9.4mmol)、及び亜リン酸トリエチル(50g)を入れ、内温156℃で48時間加熱撹拌を行った。過剰の亜リン酸トリエチルを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン/酢酸エチル)で精製し、無色の液体として、中間体B1−2を得た(収量4.27g、収率98質量%)。
−エレクトロクロミック化合物B1の合成−
窒素置換したフラスコに前記中間体B1−2(4.20g)、及び脱水クロロホルム(70mL)を加え、トリメチルシリルブロミド(18mL)を滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、再度減圧留去した。この作業を3回繰り返し、得られた固体をメタノールに分散し、固体を濾取し、無色の固体として、エレクトロクロミック化合物B1を得た(収量1.80g、収率48質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物B1のMSスペクトル(ESI)をWaters社製(米国)、装置名:LCT Premier、測定モード:ESI、ASAPプローブにより測定したところ、理論値407.17、実測値407.20であり、下記構造式B(I)で示されるエレクトロクロミック化合物B1であることが確認された。
[構造式B(I)]
(実施例B2)
<エレクトロクロミック化合物B2の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物B2の合成を行った。
−中間体B2−1の合成−
氷冷下、ジメチルホルムアミド(50mL)に前記中間体B1−1(3.61g、10mmol)を溶解させ、N−ブロモスクシンイミド(3.74g、21mmol)を徐々に加えた。その後、室温に戻して16時間撹拌を行った。反応溶液に水、続けてトルエンを加え有機相を分離した。水相をトルエンで3回抽出し、合わせた有機相を水、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン/ヘキサン)で精製し、淡黄色の固体として、中間体B2−1を得た(収量5.09g、収率98質量%)。
−中間体B2−2の合成−
前記中間体B1−1の代わりに、前記中間体B2−1を用いた以外は、実施例B1の中間体B1−2の合成と同様にして、中間体B2−2を得た(収率95質量%)。
−エレクトロクロミック化合物B2の合成−
実施例B1において、前記中間体B1−2の代わりに前記中間体B2−2を用いた以外は、実施例B1と同様にして、淡黄色の固体としてのエレクトロクロミック化合物B2を得た(収率90質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物B2のMSスペクトルを実施例B1と同様にして測定したところ、理論値562.98、実測値562.96であり、下記構造式B(II)で示されるエレクトロクロミック化合物B2であることが確認された。
[構造式B(II)]
(実施例B3)
<エレクトロクロミック化合物B3の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物B3の合成を行った。
−中間体B3−1の合成−
窒素置換したフラスコに、前記中間体B2−1(5.19g、10mmol)、フェニルボロン酸(3.65g、30mmol)、炭酸カリウム(8.28g、60mmol)、トルエン(100mL)、水(30mL)、及びエタノール(10mL)を入れ、アルゴンガスでバブリングを行った後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(116mg、0.1mmol)を加えて、80℃で8時間加熱撹拌を行った。
反応溶液に水、続けてトルエンを加え有機相を分離した。水相をトルエンで3回抽出し、合わせた有機相を水、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン)で精製し、淡黄色の固体として、中間体B3−1を得た(収量4.1g、収率80質量%)。
−中間体B3−2の合成−
前記中間体B1−1を前記中間体B3−1に変更した以外は、実施例B1の中間体B1−2の合成と同様にして、中間体B3−2を得た(収率60質量%)。
−エレクトロクロミック化合物B3の合成−
前記中間体B1−2を前記中間体B3−2に変更した以外は、実施例B1のエレクトロクロミック化合物B1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物B3を得た(収率95質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物B3のMSスペクトルを実施例B1と同様にして測定したところ、理論値559.23、実測値559.25であり、下記構造式B(III)で示されるエレクトロクロミック化合物B3であることが確認された。
[構造式B(III)]
(実施例B4)
<エレクトロクロミック化合物B4の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物B4の合成を行った。
実施例B1と同様の方法で、2,7,9,9−テトラメチルアクリダンを合成し、以下の実施例で用いた。
−中間体B4−1の合成−
実施例B1の前記中間体B1−1の合成において、9,9−ジメチルアクリダンに替えて、2,7,9,9−テトラメチルアクリダンを用いた以外は、実施例B1の前記中間体B1−1の合成と同様にして、中間体B4−1を得た(収率95質量%)。
−中間体B4−2の合成−
前記中間体B1−1を前記中間体B4−1に変更した以外は、実施例B1の中間体B1−2の合成と同様にして、中間体B4−2を得た(収率90質量%)。
−エレクトロクロミック化合物B4の合成−
前記中間体B1−3を、前記中間体B4−2に変更した以外は、実施例B1のエレクトロクロミック化合物B1の合成と同様にして、エレクトロクロミック化合物B4を得た(収率95質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物B4のMSスペクトルを実施例B1と同様にして測定したところ、理論値435.20、実測値435.21であり、下記構造式B(IV)で示されるエレクトロクロミック化合物B4であることが確認された。
[構造式B(IV)]
(実施例B5)
<エレクトロクロミック化合物B5の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物B5の合成を行った。
−エレクトロクロミック化合物B5の合成−
十分に乾燥させたフラスコに、Mg片(132mg、5.5mmol)を入れ、アルゴン雰囲気下、脱水テトラヒドロフラン(30mL)を加えた。前記中間体B4−1(1.95g、5mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、溶液を60℃で1時間加熱撹拌した。
続けて溶液を−78℃に冷却し、ドライアイス(1.0g)を一度に加えた。溶液を1時間かけて室温に戻し、室温で12時間撹拌を行った。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた後、クロロホルムを加えて有機相を分離した。水相をクロロホルムで3回抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し、ろ液濃縮して、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:クロロホルム/メタノール)で精製し、淡黄色の固体として、下記のエレクトロクロミック化合物B5を得た(収量1.2g、収率60質量%)。
前記エレクトロクロミック化合物B5のMSスペクトルを実施例B1と同様にして測定したところ、理論値399.22、実測値399.20であり、下記構造式B(V)で示されるエレクトロクロミック化合物B5であることが確認された。
[構造式B(V)]
(実施例B6)
<エレクトロクロミック化合物B6の合成例>
下記スキームに従って、エレクトロクロミック化合物B6の合成を行った。
−中間体B6−1の合成−
前記中間体B1−1(796mg、2.2mmol)、4−ヒドロキシ安息香酸エチル(1.83g、11.0mmol)、炭酸カリウム(1.82g)、及びDMF(24mL)をフラスコに入れ、80℃で7時間撹拌した。次に、室温まで冷却した後、水、酢酸エチルを加え、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄、続けて硫酸ナトリウムで乾燥させた。これを濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(固定相:中性シリカゲル、移動相:トルエン→トルエン/酢酸エチル)で精製を行い、無色の固体として、中間体B6−2を得た(収量876mg、収率81質量%)。
−エレクトロクロミック化合物B6の合成−
フラスコに、前記中間体B6−1(737mg、1.5mmol)、THF(30mL)、メタノール(10mL)、水(10mL)、及び水酸化リチウム1水和物(441mg、10.53mmol)を入れ、90℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、1M塩酸(25mL)を加え、析出した固体を濾取し、これを水、続けてヘキサンで洗浄し、真空下乾燥を行い、無色の固体として、エレクトロクロミック化合物B6を得た(収量597mg、収率86質量%)。
エレクトロクロミック化合物B6のMSスペクトルを実施例B1と同様にして測定したところ、理論値463.22、実測値463.22であり、下記構造式B(VI)で示されるエレクトロクロミック化合物B6であることが確認された。
[構造式B(VI)]
(実施例B7)
<エレクトロクロミック表示素子B1の作製>
−第一の電極、及びエレクトロクロミック層の作製−
第一の電極としてのスズをドープした酸化インジウム(ITO)導電膜付きガラス基板(40mm×40mm、厚み:0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和電工セラミックス株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子膜を形成した。前記酸化チタン粒子膜に実施例B1で作製した前記エレクトロクロミック化合物B1を含有する2質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を塗布液としてスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって酸化チタン粒子表面に前記エレクトロクロミック化合物B1を吸着させた平均厚みが1.0μmのエレクトロクロミック層を形成した。
−第二の電極上への劣化防止層の形成−
第二の電極としてのITO導電膜付きガラス基板(40mm×40mm、厚み:0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、平均厚みが1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
−エレクトロクロミック表示素子1の作製−
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製)5質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:PEG400DA、日本化薬株式会社製)100質量部、及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製)50質量部からなる電解質液を得た。得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記劣化防止層を有する前記ITO導電膜付きガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、エレクトロクロミック層を有するITO導電膜付きガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。前記貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(商品名:SPOT CURE、ウシオ電機株式会社製)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック表示素子B1を作製した。
<応答速度>
作製したエレクトロクロミック表示素子B1について、−2Vの電圧を1秒間印加して発色させた。これに重水素タングステンハロゲン光(商品名:DH−2000、オーシャンオプティクス株式会社製)を照射し、透過した光をスペクトロメータ(商品名:USB4000、オーシャンオプティクス株式会社製)で検出し、透過スペクトルを測定した。そのときの可視領域(400nm以上800nm以下)の透過率が最小となる波長をλmaxとした。その時の透過率を、下記基準で評価した。結果を表2に示した。
またその際、同時に吸収スペクトルを測定したところ、図4に示すように黄色に発色した。
[評価基準]
○:λmaxの透過率が30%未満である場合
×:λmaxの透過率が30%以上である場合
<繰り返し耐久性>
作製したエレクトロクロミック表示素子B1について、−2Vで5秒間、+1.5Vで5秒間の発消色駆動を500回繰り返した。そのときの可視領域(400nm以上800nm以下)の吸収極大をλmaxとした。その時の吸光度変化をスペクトロメータ(商品名:USB4000、オーシャンオプティクス株式会社製)で測定し、下記基準で評価した。結果を表2に示した。
[評価基準]
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて80%以上90%未満である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%以上80%未満である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%未満である場合
<耐光性>
作製したエレクトロクロミック表示素子B1について、−2Vで5秒間、+1.5Vで5秒間の発消色駆動を500回繰り返し、その間、可視光(フィルタ;UV、IR、熱線カット:光量;50000Lx)を照射し続け、可視光の照射前後のλmaxの吸光度変化をスペクトロメータ(商品名:USB4000、オーシャンオプティクス株式会社製)で測定し、下記基準で耐光性を評価した。結果を表2に示した。
−評価基準−
○:照射後のλmaxの吸光度が照射前のλmaxと比較して80%以上
△:照射後のλmaxの吸光度が照射前のλmaxと比較して50%以上80%未満
×:照射後のλmaxの吸光度が照射前のλmaxと比較して50%未満
(実施例B8〜B17)
実施例B7において、前記エレクトロクロミック化合物B1を、表2に示すエレクトロクロミック化合物B2からB11に変更した以外は、実施例B7と同様にして、実施例B8〜B17のエレクトロクロミック表示素子B2〜B11を作製し、応答速度、繰り返し耐久性、及び耐光性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例B1)
実施例B7において、前記エレクトロクロミック化合物B1を、「Org.Electron.2014,15,428−434.」に記載の下記構造式B(VII)で示される化合物に変更した以外は、実施例B7と同様にして、比較例B1のエレクトロクロミック表示素子を作製し、応答速度、繰り返し耐久性、及び耐光性を評価した。結果を表2に示す。なお、比較例B1のエレクトロクロミック表示素子は青色に発色した。
[構造式B(VII)]
(比較例B2)
第一の電極としてのスズをドープした酸化インジウム(ITO)導電膜付きガラス基板(40mm×40mm、厚み:0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、下記構造式B(VIII)50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製)5質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:PEG400DA、日本化薬株式会社製)100質量部、及びメチルエチルケトン900質量部からなるエレクトロクロミック組成物をスピンコート法により塗布し、UV(波長250nm)照射装置(商品名:SPOT CURE、ウシオ電機株式会社製)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック層を形成した。
実施例B7において、前記エレクトロクロミック層に変更した以外は、実施例B7と同様にして、比較例B2のエレクトロクロミック表示素子を作製し、応答速度、繰り返し耐久性、及び耐光性を評価した。結果を表2に示す。なお、比較例B2のエレクトロクロミック表示素子は青色に発色した。
[構造式B(VIII)]
ただし、前記構造式B(VIII)中、Meはメチル基を表す。
(比較例B3)
第一の電極としてのスズをドープした酸化インジウム(ITO)導電膜付きガラス基板(40mm×40mm、厚み:0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上に、下記構造式B(IX)50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製)5質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:PEG400DA、日本化薬株式会社製)100質量部、及びメチルエチルケトン900質量部からなるエレクトロクロミック組成物をスピンコート法により塗布し、UV(波長250nm)照射装置(商品名:SPOT CURE、ウシオ電機株式会社製)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック層を形成した。
実施例B7において、前記エレクトロクロミック層に変更した以外は、実施例B7と同様にして、比較例B3のエレクトロクロミック表示素子を作製し、応答速度、繰り返し耐久性、及び耐光性を評価した。結果を表2に示す。なお、比較例B3のエレクトロクロミック表示素子は青色に発色した。
[構造式B(IX)]
表2の結果から、実施例B7〜B17は、従来公知の比較化合物を用いた比較例B1〜B3に比べて、良好な黄色発色が得られ、応答速度及び繰り返し耐久性に優れていることがわかった。
比較例B1及び比較例B2のエレクトロクロミック化合物は色彩が青色であった。また、応答速度及び繰り返し耐久性のいずれかに問題があることがわかった。比較例B3のエレクトロクロミック化合物は、色彩は従来公知の青色ではないが、繰り返し耐久性及び応答速度が劣ることが分かった。
(実施例B18)
<担持粒子を用いない形態>
実施例B7において、−第一の電極、及びエレクトロクロミック層の作製−において、ITO基板表面に酸化チタンを形成せず、実施例B1で合成したエレクトロクロミック化合物B1を含有する2質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を塗布した以外は、実施例B7と同様にして、エレクトロクロミック表示素子を作製し、応答速度、及び繰り返し耐久性を評価した。結果を表3に示す。
(実施例B19〜B28)
<担持粒子を用いない形態>
実施例B18において、前記エレクトロクロミック化合物B1を、表3に示すエレクトロクロミック化合物B2〜B11に変更した以外は、実施例B18と同様にして、実施例B19〜B28のエレクトロクロミック表示素子を作製し、応答速度、及び繰り返し耐久性を同様にして評価した。結果を表3に示す。
(比較例B4〜B6)
実施例B18において、前記エレクトロクロミック化合物B1を、比較例B1〜B3で用いた化合物に代えた以外は、実施例B18と同様にして、比較例B4〜B6のエレクトロクロミック表示素子を作製し、応答速度、及び繰り返し耐久性を同様にして評価した。結果を表3に示す。
表3の結果から、実施例B18〜B28は、酸化チタンなどの担持粒子を用いない場合であっても従来公知の比較化合物を用いた比較例B4〜B6に比べて、良好な黄色発色が得られ、応答速度及び繰り返し耐久性に優れていることがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(I)で示されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物である。
[一般式(I)]
ただし、前記一般式(I)中、R及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記アルキル基、前記アリール基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよい。
からR15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記一価の有機基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよく、前記RからR15の少なくとも一つは重合性官能基、又は水酸基に対して結合することができる官能基を示す。
<2> 前記一価の有機基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びヘテロアリールオキシ基のいずれかである前記<1>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<3> 前記R及びRが、ハロゲン原子、一価の有機基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<4> 前記R及びRが、ハロゲン原子及び一価の有機基のいずれかである前記<3>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<5> 前記重合性官能基が、アルキル基、アリール基、及びアルキル基で置換されたアリール基のいずれかを含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<6> 前記重合性官能基が、アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<7> 前記R11からR15の少なくとも一つが、水酸基に対して結合することができる官能基である前記<1>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<8> 前記水酸基に対して結合することができる官能基が、アルキル基、アリール基、及びアルキル基で置換されたアリール基のいずれかを有する前記<1>から<4>、及び<7>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<9> 前記水酸基に対して結合することができる官能基が、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、スルホニル基、シリル基、及びシラノール基のいずれかである前記<1>から<4>、及び<7>から<8>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物である。
<10> 前記水酸基に対して結合することができる官能基が、ホスホン酸基である前記<9>に記載のエレクトロクロミック化合物である。
<11> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物と、を含有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物である。
<12> 前記他の重合性化合物が、少なくとも1つの重合性官能基を有する重合性化合物である前記<11>に記載のエレクトロクロミック組成物である。
<13> 前記他の重合性化合物が、2官能以上の重合性化合物である前記<11>から<12>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物である。
<14> 更に光重合開始剤を含有する前記<11>から<13>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物である。
<15> 前記<1>から<4>、及び<7>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、導電性乃至半導体性ナノ構造体とを含有し、
前記エレクトロクロミック化合物が、前記導電性乃至半導体性ナノ構造体に結合又は吸着可能であることを特徴とするエレクトロクロミック組成物である。
<16> 前記導電性乃至半導体性ナノ構造体が、酸化チタン粒子を含む前記<15>に記載のエレクトロクロミック組成物である。
<17> 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質と、を有するエレクトロクロミック表示素子であって、
前記第一の電極が、前記<1>から<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は前記<11>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を有することを特徴とするエレクトロクロミック表示素子である。
<18> 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質と、を有するエレクトロクロミック表示素子であって、
前記第一の電極が、前記<1>から<4>、及び<7>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は前記<15>から<16>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を有することを特徴とするエレクトロクロミック表示素子である。
<19> 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック表示素子の製造方法であって、
前記第1の電極上に、前記<11>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物を塗布する工程を含むことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の製造方法である。
<20> 塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程を含む前記<19>に記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、前記<11>から<16>のいずれかに記載のエレクトロクロミック組成物、前記<17>及び<18>のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子、及び前記<19>及び<20>のいずれかに記載のエレクトロクロミック表示素子の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記エレクトロクロミック化合物、前記エレクトロクロミック組成物、前記エレクトロクロミック表示素子、及び前記エレクトロクロミック表示素子の製造方法は、良好な黄色発色を有し、繰り返し耐久性に優れたエレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック表示素子を提供することを目的とする。
Org.Electron.2014,15,428−434.
1 第一の電極
2 第二の電極
3 電解質
4 エレクトロクロミック化合物
8 エレクトロクロミック表示素子
10 第一の電極
12 第二の電極
13 電解質
14a エレクトロクロミック組成物
15 表示層
18 エレクトロクロミック表示素子
20 第一の電極
22 第二の電極
23 電解質
24a エレクトロクロミック組成物
25 表示層
26 白色反射層
28 エレクトロクロミック表示素子

Claims (8)

  1. エレクトロクロミック表示素子に用いられるエレクトロクロミック化合物であって、
    下記一般式(I)で示されることを特徴とするエレクトロクロミック化合物。
    [一般式(I)]
    ただし、前記一般式(I)中、R及びRは、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかであり、前記アルキル基、及び前記アリール基は、置換基により更に置換されていてもよい。
    からR15は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、重合性官能基、及び水酸基に対して結合することができる官能基のいずれかであり、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルコキシ基、前記重合性官能基、及び前記水酸基に対して結合することができる官能基は、置換基により更に置換されていてもよく、前記R12からR15の少なくとも一つは重合性官能基、又は水酸基に対して結合することができる官能基を示す。
    前記重合性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれかであり、
    前記水酸基に対して結合することができる官能基は、ホスホン酸基、リン酸基、及びカルボン酸基のいずれかである。
  2. 前記R 15 が、重合性官能基、又は水酸基に対して結合することができる官能基である請求項1に記載のエレクトロクロミック化合物。
  3. 前記R12からR15の少なくとも一つが、水酸基に対して結合することができる官能基である請求項に記載のエレクトロクロミック化合物。
  4. 前記一般式(I)で示されるエレクトロクロミック化合物が、以下の構造式で表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物。
    <例示化合物A1>
    <例示化合物A2>
    <例示化合物A3>
    <例示化合物A4>
    <例示化合物A5>
    <例示化合物A6>
    <例示化合物A7>
    <例示化合物A8>
    <例示化合物A10>
    <例示化合物B1>
    <例示化合物B2>
    <例示化合物B3>
    <例示化合物B4>
    <例示化合物B5>
    <例示化合物B6>
    <例示化合物B7>
    <例示化合物B8>
    <例示化合物B9>
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、前記エレクトロクロミック化合物とは異なる他の重合性化合物と、を含有することを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物と、導電性乃至半導体性ナノ構造体とを含有し、
    前記エレクトロクロミック化合物が、前記導電性乃至半導体性ナノ構造体に結合又は吸着可能であることを特徴とするエレクトロクロミック組成物。
  7. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質と、を有するエレクトロクロミック表示素子であって、
    前記第一の電極が、請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は請求項5に記載のエレクトロクロミック組成物を有することを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
  8. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極の間に電解質と、を有するエレクトロクロミック表示素子であって、
    前記第一の電極が、請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック化合物、又は請求項6に記載のエレクトロクロミック組成物を有することを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
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