JP2017197652A - 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びにコーティング材 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びにコーティング材 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素存在下においても常温で良好な硬化性を有し、優れた硬度の硬化物が得られる硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ラジカル重合性ビニル系単量体成分、(B)チオ尿素化合物成分、(C)下記式(1)の構造を有する過酸化物成分、及び(D)(A)成分以外の有機リン化合物成分を含む、硬化性樹脂組成物。【化1】(式(1)中、Rは、炭素数が1〜15の炭化水素基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びにその組成物からなるコーティング材に関する。
ベンゾイルパーオキサイドを硬化剤、第三級アミンを硬化促進剤として用いた常温硬化性の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、コーティング材や接着剤、人工大理石等の成形品向けのバインダー材として、広く使用されている。しかしながら、このような常温硬化性の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、硬化剤および硬化促進剤由来の生成物の影響で、硬化物が着色するため、無色透明材料へ適応することは困難であった。
この問題を解決する方法として、例えば、特許文献1には、ハイドロパーオキサイドを硬化剤、チオ尿素化合物を硬化促進剤として含む(メタ)アクリル系樹脂組成物が開示されており、常温で硬化し、無色透明の硬化物を提供できるとされている。
また、特許文献2には、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどのパーオキシモノカーボネート類を硬化剤、チオ尿素化合物を硬化促進剤として含む(メタ)アクリル系樹脂組成物が開示されており、常温で硬化し、優れた強度と透明性を有する硬化物が得られるとされている。
特開2011−32315号公報 国際公開第2012/137869号
しかし、特許文献1および2に開示されるような硬化剤と硬化促進剤の組み合わせは、酸素存在下だと、常温で十分な重合反応が進まないため、コーティング材として用いた場合、硬化不良となることがあった。
本発明は、酸素存在下においても常温で良好な硬化性を有し、優れた硬度の硬化物が得られる硬化性樹脂組成物及びその硬化物、その組成物からなるコーティング材を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
(A)ラジカル重合性ビニル系単量体成分、
(B)チオ尿素化合物成分、
(C)下記式(1)の構造を有する過酸化物成分、及び
(D)(A)成分以外の有機リン化合物成分を含む、硬化性樹脂組成物が提供される。
Figure 2017197652
(式(1)中、Rは、炭素数が1〜15の炭化水素基である。)
本発明の他の態様によれば、上記の硬化性樹脂組成物の硬化物が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の硬化性樹脂組成物からなるコーティング材が提供される。
本発明によれば、酸素存在下においても常温で良好な硬化性を有し、優れた硬度の硬化物が得られる硬化性樹脂組成物及びその硬化物、その組成物からなるコーティング材を提供することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称であり、CH2=C(R)−C(=O)−[Rは水素原子またはメチル基である。]で表される。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、(A)ラジカル重合性ビニル系単量体成分、(B)チオ尿素化合物成分、(C)式(1)の構造を有する過酸化物成分、及び(D)(A)成分以外の有機リン化合物成分を含む。本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、さらに(E)(メタ)アクリル系重合体成分を任意成分として含んでいてもよい。
この明細書においては、(A)ラジカル重合性ビニル系単量体成分を「(A)成分」、(B)チオ尿素化合物成分を「(B)成分」、(C)式(1)の構造を有する過酸化物成分を「(C)成分」、及び(D)(A)成分以外の有機リン化合物成分を「(D)成分」、(E)(メタ)アクリル系重合体成分を「(E)成分」という。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物において、(A)成分および(E)成分の含有量は、それぞれ、(A)成分と(E)成分との合計質量((E)成分を含まない場合は(E)成分の質量はゼロとする。以下同様。)に対して、(A)成分が5〜100質量%であり、(E)成分が0〜95質量%であることが好ましい。主に(A)成分由来の所望の硬化物の特性を得る点および組成物の粘度の点から、(A)成分が50質量%以上(すなわち(E)成分が0〜50質量%)がより好ましく、(A)成分が60質量%以上(すなわち(E)成分が0〜40質量%)がさらに好ましく、(A)成分が65質量%以上(すなわち(E)成分が0〜35質量%)が特に好ましい。
〔(A)成分〕
(A)成分であるラジカル重合性ビニル系単量体は、ラジカル重合性ビニル基を有する化合物である。分子構造内に1つのラジカル重合性ビニル基を有する単官能化合物であってもよく、分子構造内に2つ以上のラジカル重合性ビニル基を有する多官能化合物であってもよい。(A)成分としては、単官能の(メタ)アクリルモノマー、多官能の(メタ)アクリルモノマー、その他のビニル基含有モノマーなどが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1−ナフチル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン等の環状構造を含有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート及びヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能の(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他のビニル基含有モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどが挙げられる。
これらラジカル重合性ビニル系単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の実施形態によるコーティング材の必要特性によって異なるため、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の硬化性が良好となることから、アルキル(メタ)アクリレート、環状構造を含有する(メタ)アクリレートを(A)成分として用いることが好ましい。その中でも、硬化物の硬度の点からは、メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、単官能の(メタ)アクリレートと多官能の(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。
〔(B)成分〕
(B)成分であるチオ尿素化合物は硬化促進剤であり、(C)成分と反応してラジカルを発生させる。
(B)成分の具体例としては、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジプロピルチオ尿素、N,N’−ジブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−ベンゾイル−2−チオ尿素等が挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、硬化物の硬度の点から、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−ブチルチオ尿素が特に好ましい。
(B)成分の配合量は、(A)成分と(E)成分の合計量を100質量部とした場合、0.05〜5質量部が好ましく、より好ましくは、0.1〜4質量部、さらに好ましくは、0.2〜3質量部である。0.05質量部以上とすることで、本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物の硬化性が良好となる。5質量部以下とすることで、本発明の実施形態による硬化物の硬度が良好となる。
〔(C)成分〕
(C)成分である下記式(1)の構造を含有する過酸化物は硬化剤であり、(B)成分と反応してラジカルを発生する。
Figure 2017197652
式(1)中、Rは、炭素数が1〜15の炭化水素基である。Rは、飽和または不飽和でもよく、直鎖または分岐または環状でもよい。Rは(A)成分への溶解性の点から、炭素数4〜8の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜8の飽和炭化水素基であることがより好ましく、炭素数4〜8の飽和で分岐状の炭化水素基であることが好ましい。
(C)成分の具体例としては、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート等が挙げられる。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分としては、硬化物の硬度の点から、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネートが特に好ましい。
(C)成分の配合量は、(A)成分と(E)成分の合計量を100質量部とした場合、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜7質量部がより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましい。(C)成分の配合量を0.1質量部以上とすることで、本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物の硬化性が良好となる。(C)成分の配合量を10質量部以下とすることで、本発明の実施形態による硬化物の硬度が良好となる。
〔(D)成分〕
(D)成分である(A)成分以外の有機リン化合物は、炭素とリンの化学結合を有する有機化合物であり、酸素存在下における硬化性樹脂組成物の硬化性を向上し、硬化物の硬度を向上する成分である。
(D)成分の具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(C12〜15アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリラウリルチオホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト化合物;トリフェニルホスフィン、トリオルトトリルホスフィン、トリメタトリルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、トリスオルトメトキシフェニルホスフィン、トリスメタメトキシフェニルホスフィン、トリスパラメトキシフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−i−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、パラスチリルジフェニルホスフィン、ジ−t−ブチル(2−ブテニル)ホスフィン、ジ−t−ブチル(3−メチル−2−ブテニル)ホスフィン、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−t−ブチルホスフィン等のホスフィン化合物;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルピロアシッドホスフェート、トキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、アルキル(C12、C14、C16、C18)アシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート等のホスフェート化合物;エチルジエチルホスホノアセテート、ジエチルベンジルホスホネート、ジエチル(p−クロロベンジル)ホスホネート等のホスホネート化合物が挙げられる。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)成分としては、硬化性樹脂組成物の硬化性の点から、ホスファイト化合物、ホスフィン化合物が好ましく、硬化物の硬度の点から、特にトリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリラウリルチオホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスフィンが好ましい。
(D)成分の配合量は、(A)成分と(E)成分の合計量を100質量部とした場合、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜7質量部がより好ましく、0.5〜4質量部がさらに好ましい。(D)成分の配合量を0.1質量部以上とすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性が良好となる。(D)成分の配合量を10質量部以下とすることで、硬化物の硬度が良好となる。
〔(E)成分〕
(E)成分である(メタ)アクリル系重合体は任意成分であるが、(E)成分をさらに加えることで、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上することができる。
この(メタ)アクリル系重合体は、組成中に(メタ)アクリル系モノマー単位を50質量%以上含む重合体である。単位は、重合体を構成する繰り返し単位である。
(E)成分に用いられる(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、(A)成分の具体例としてとして挙げられた単官能の(メタ)アクリルモノマー、多官能の(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。(A)成分への溶解性の点から、単官能の(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
(E)成分に含まれる(メタ)アクリル系モノマー単位は、1種でもよく、2種以上でもよい。
また、(E)成分は、(メタ)アクリル系モノマー単位以外の他のモノマー単位を含んでいてもよい。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なものであればよく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマーが挙げられる。
(E)成分中の(メタ)アクリル系モノマー単位の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。この割合の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
(E)成分は、本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物において、(A)成分に溶解した状態で用いられる。(A)成分へ溶解する方法としては、常温での撹拌、加熱下での撹拌等が挙げられる。短時間で溶解することができることから、加熱下での撹拌が特に好ましく、その場合は、40〜100℃で0.5〜5時間かけて行うことが好ましい。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物における(E)成分の配合量は、(A)成分と(E)成分の合計量を100質量%とした場合、(E)成分の含有率は1質量%〜50質量%が好ましく(従って(A)成分の含有率は50〜99質量%が好ましく)、(E)成分の含有率は2質量%〜40質量%がより好ましく(従って(A)成分の含有率は60〜98質量%がより好ましく)、(E)成分の含有率は3質量%〜35質量%がさらに好ましい(従って(A)成分の含有率は65〜97質量%がさらに好ましい)。(E)成分の含有率はを1質量%以上とすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上することができる。また、硬化物強度を向上できる。(E)成分の含有率を50質量%以下とすることで、粘度が適度となり、コーティング材の作業性が良好となる。
(E)成分の好ましい具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、メチルメタクリレート単位とn−ブチルメタクリレート単位とからなる共重合体、メチルメタクリレート単位とn−ブチルアクリレート単位とからなる共重合体等が挙げられる。これらの中でも、(A)成分への溶解性と硬化物の透明性の点から、メチルメタクリレート単位とn−ブチルメタクリレート単位からなる共重合体が好ましい。
(E)成分の質量平均分子量は、10,000〜500,000であることが好ましく、30,000〜200,000であることがより好ましい。質量平均分子量が10,000以上であると、硬化物の硬度が良好となる。500,000以下であると、(A)成分への溶解性が良好となる。
〔その他の成分〕
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでも良い。その他の成分の含有量は、特に限定されないが、(A)〜(E)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
その他の成分の具体例としては、パラフィンワックス、ゴム、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、骨材、顔料、揺変剤、消泡剤、重合禁止剤、シランカップリング剤等の各種添加剤等が挙げられる。硬化性樹脂組成物の硬化性をより向上するために、(C)成分以外の過酸化物やアゾ化合物等の熱重合開始剤や光重合開始剤などのラジカル重合開始剤を加えても良い。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、酸素による硬化阻害を抑制するために、パラフィンワックスを加えてもよい。パラフィンワックスは、融点の異なる2種以上を併用することが好ましい。パラフィンワックスの融点は、40〜80℃が好ましい。パラフィンワックスの具体例としては、パラフィン115(カタログ記載の融点:47℃、日本精蝋社製)、パラフィン130(カタログ記載の融点:55℃、日本精蝋社製)、パラフィン150(カタログ記載の融点:66℃、日本精蝋社製)などが挙げられる。パラフィンワックスの融点が40℃以上であれば、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に十分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。一方、パラフィンワックスの融点が80℃以下であれば、樹脂組成物を調製する際、パラフィンワックスの硬化性樹脂組成物への溶解性が良好となる。また、融点の異なるパラフィンワックスを併用することによって、温度が変わったときであっても、十分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。併用する際には、融点の差が5℃〜20℃程度のものを併用することが好ましい。
パラフィンワックスとしては、表面硬化性を向上させる点で、有機溶剤に分散したワックスを使用しても良い。ワックスが有機溶剤に分散状態にあり、分散状態のワックスの粒子径が0.1μm〜50μmに微粒子化されていることが好ましい。これにより、空気遮断作用を効果的に発現することができる。分散状態のパラフィンワックスは、市販されており、そのワックスをそのまま添加することができる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化物の強度、伸度を向上するために、ゴムを加えてもよい。ゴムの具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化物の酸化劣化を防止するために、酸化防止剤を加えてもよい。酸化防止剤の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤;ジヘキシルスルフィド、ジラウリルー3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチルー3,3’−チオジプロピオネート、ジステリアルー3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等の硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化物の伸度を向上するために可塑剤を加えてもよい。可塑剤の具体例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、オクチルアゼレート等のアゼラインエステル類等の2塩基性脂肪酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化物の光劣化を抑制するために、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノンなどの2―ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体或いは2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリイブチルフェニル)ベンゾトリアゾール或いはこれらのハロゲン化物或いはフェニルサリシレート、p−ターシャリイブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、骨材を配合して、モルタル組成物として使用してもよい。骨材の具体例としては、砂、硅砂、川砂、寒水石、エメリー、大理石、炭酸カルシウム、カオリン、ベントナイト、マイカ、タルク、炭化珪素粉、窒化珪素粉、窒化ほう素粉、アルミナ、スラグ、ガラス粉末、セラミック骨材、陶器屑、着色骨材等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、着色のために、顔料を配合してもよい。顔料の具体例としては、アゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料;セラミック顔料、酸化鉄、酸化チタン等の無機顔料等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、骨材や顔料を配合した際の沈降を抑制するために、揺変剤を加えてもよい。揺変剤の具体例としては、ウレタンウレア系、脂肪酸アマイド、有機ベントナイト、酸化ポリエチレンワックス、有機変性セピオライトなど有機系揺変剤や微粒子シリカなど無機系揺変剤等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化性樹脂組成物中の気泡を取り除くために、消泡剤を加えてもよい。消泡剤の具体例としては、特殊アクリル系重合物を溶剤に溶解させたアクリル系消泡剤、特殊ビニル系重合物を溶剤に溶解させたビニル系消泡剤等が挙げられる。消泡剤の具体的な製品名としては、楠本化成社製ディスパロンシリーズ(製品名:OX−880EF、OX−881、OX−883、OX−77EF、OX−710、OX−8040、1922、1927、1950、P−410EF、P−420、P−425、PD−7、1970、230、230HF、LF−1980、LF−1982、LF−1983、LF−1984、LF−1985等。)等やビックケミー・ジャパン社製BYK−052、BYK−1752等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、貯蔵安定性を向上するために、重合禁止剤を加えてもよい。重合禁止剤の具体例としては、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2−6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、骨材や充填剤との密着性を向上するために、シランカップリング剤を加えてもよい。シランカップリング剤の具体例としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化性を向上するために、(C)成分以外の熱重合開始剤を加えてもよい。熱重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル等の過酸化物および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物等が挙げられる。
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物には、硬化性を向上するために、光重合開始剤を加えてもよい。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型化合物;t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン等のアントラキノン型化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド型化合物;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型化合物などが挙げられる。
その他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔製造方法〕
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、作業性の点から、予め(A)成分及び(D)成分の撹拌混合、または(A)成分、(D)成分及び(E)成分の撹拌混合を行い、樹脂液としておくことが好ましい。(E)成分を用いない場合、(A)成分及び(D)成分を常温または40〜80℃程度の加熱下で、1〜30分かけて撹拌混合を行うことが好ましい。(E)成分を用いる場合、(A)成分、(D)成分及び(E)成分を40〜100℃程度の加熱下で0.5〜5時間かけて撹拌混合することが好ましい。
(B)成分は、(A)成分及び(D)成分の混合攪拌時、または(A)成分、(D)成分及び(E)成分の撹拌混合時に同時に混合してもよいし、硬化性樹脂組成物を硬化する直前に樹脂液に常温で撹拌混合してもよい。(C)成分は、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性の点から、硬化性樹脂組成物を硬化する直前に常温で撹拌混合することが好ましい。
〔作用効果〕
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、促進剤である(B)成分、すなわちチオ尿素化合物に、硬化剤である(C)成分、すなわち式(1)の構造を含有する過酸化物を組み合わせている。このような特定の組み合わせの重合開始系に、更に(D)成分である有機リン化合物を加えることで、常温でタックフリーとなる良好な硬化性を有し、優れた硬度の硬化物が得られる硬化性樹脂組成物を得ることができる。
<硬化物>
本発明の実施形態による硬化物は、本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物を硬化して得られるものである。
硬化方法としては、特に限定されないが、(B)成分を溶解した樹脂液((C)成分を除く他の成分を含む)に(C)成分を加える方法、(C)成分を溶解した樹脂液((B)成分を除く他の成分を含む)に(B)成分を加える方法、(B)成分を溶解した樹脂液((C)成分を除く他の成分を含む)と(C)成分を溶解した樹脂液((B)成分を除く他の成分を含む)とを混合する方法等が挙げられる。作業性および貯蔵安定性の点から、(B)成分を溶解した樹脂液に(C)成分を加える方法が好ましい。
本発明の実施形態による硬化物は、(B)成分と(C)成分を含む全ての成分を含む本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物を静置することで、硬化させて製造することができる。静置する雰囲気温度としては、特に限定はされないが、5〜45℃が好ましく、10〜40℃がより好ましく、25〜35℃がさらに好ましい。雰囲気温度を5℃以上とすることで、硬化性樹脂組成物の硬化性が良好になる。また、硬化物の硬度が良好になる。雰囲気温度を45℃以下とすることで、硬化までの時間が長くなり、塗工作業等が行いやすくなる。静置時間は、硬化反応の進行速度が、雰囲気温度、(B)成分の量、(C)成分の量によって大きく異なるため一概にはいえないが、静置温度が5〜45℃であると、静置時間を0.5〜30時間とすると硬化反応はおおよそ終了する。
<コーティング材>
本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、酸素存在下においても常温で良好な硬化性を有し、優れた硬度の硬化物が得られるため、コーティング材として好適に使用できる。
コーティング材の具体例としては、例えば、壁面用塗料や床用塗料、屋根用塗料、橋梁用塗料、プラント用塗料、鉄構造物用塗料、コンクリート用塗料などの土木建築用コーティング材、滑り止め塗料や排水塗料、遮熱塗料、道路マーキング用塗料、床版防水工法用塗料などの道路用コーティング材、家具用コーティング材、装飾品用コーティング材、電子機器・モバイル用コーティング材、家電用コーティング材、防水用コーティング材、自動車用コーティング材、バイク用コーティング材、重機用コーティング材、鉄道車両用コーティング材、船舶用コーティング材などが挙げられる。
また、本発明の実施形態による硬化性樹脂組成物は、注型材料、バインダー材、接着剤、補修材、目地材としても好適に使用できる。
注型材料の具体例としては、例えば、発光ダイオードモジュール、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、カメラ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、プロジェクター等に用いられるフィルム、シート、レンズ、光導波路、封止材などの光学部品などが挙げられる。
バインダー材の具体例としては、例えば、人工大理石やFRP、点字タイルなどのバインダーが挙げられる。
接着剤の具体例としては、例えば、ガラス用接着剤、樹脂用接着剤、金属用接着剤などが挙げられる。特に(メタ)アクリル樹脂の接着性に優れるため、(メタ)アクリル水槽用などの(メタ)アクリル樹脂用接着剤として好適に使用できる。また、第二世代のアクリル系接着剤(SGA)としても使用することができる。
補修材の具体例としては、例えば、コンクリート用補修材、道路用補修材などが挙げられる。
目地材の具体例としては、例えば、タイル用目地材、石材用目地材、コンクリート用目地材、アスファルト用目地材などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例中、「部」は「質量部」を意味する。本実施例における測定および評価は、以下の方法にしたがって実施した。
(質量平均分子量)
質量平均分子量は、ポリマーを溶剤であるテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量をポリスチレン換算して求めた。
(硬化性の評価)
PETフィルム上に、厚さ2mmの粘着剤付きウレタンスポンジで10cm×15cmの枠を設け、硬化性樹脂組成物を枠内に厚さ約2mmとなるように流し込んだ。(C)成分を配合した時間を起点とし、枠内に流し込んだ硬化性樹脂組成物表面のタックを各時間で確認した。以下の基準で硬化性を評価した。
○:2時間未満でタックフリーとなった。
△:2時間以上、12時間以内にタックフリーとなった。
×:12時間後もタックフリーとならなかった。
(硬度の評価)
約2mm厚の硬化物の表面硬度を「JIS K5600―5−4、引っかき硬度(鉛筆法)」に記載の手法で23℃において評価した。
〔製造例1〕ポリマー1の製造
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置内に、脱イオン水145部、分散安定剤として、ポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。ポリビニルアルコールを完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート60部、n−ブチルメタクリレート40部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、n−オクチルメルカプタン0.5部を加えて再度撹拌した。撹拌下で重合装置内の雰囲気を窒素置換し、70℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、98℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、40℃に冷却した。得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。脱水後、40℃で20時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(以下、「ポリマー1」という。)を得た。ポリマー1の質量平均分子量(Mw)は42,000であった。
〔実施例1〕
冷却器を備えた反応容器内に、(A)成分としてメチルメタクリレート(MMA)を58部、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)を10部、トリエチレングリコールジメタクリレート(アクリエステル3ED)を2部、(B)成分としてN,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素(ジブチルチオ尿素)を1部、(D)成分としてトリデシルホスファイト(アデカスタブ3010)を3部、重合禁止剤としてBHTを0.03部、パラフィンワックスとして、パラフィン115を0.4部、パラフィン130を0.3部、パラフィン150を0.2部加え、反応容器内のこれらの成分を撹拌しながら、(E)成分として製造例1で製造したポリマー1を30部加えた。次いで、反応容器内の溶液を60℃に昇温し、温度を維持したまま2時間撹拌した。ポリマー1が完全に溶解したことを確認した後、23℃まで冷却した。更に(C)成分としてt−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート(パーヘキシルI)を3部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。
PETフィルム上に、厚さ2mmの粘着剤付きウレタンスポンジで10cm×15cmの枠を設け、硬化性樹脂組成物を枠内に厚さ約2mmとなるように流し込み、23℃雰囲気に12時間静置して、約2mm厚の硬化物を得た。
硬化性樹脂組成物の硬化性と、約2mm厚の硬化物の硬度を評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜16〕
組成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に、硬化性樹脂組成物および2mm厚の硬化物を作製し、各評価を行った。
〔比較例1〕
比較例1では、表1に示すように、(D)成分を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物および2mm厚の硬化物を作製し、評価を行った。なお、硬化性の評価において、12時間後もタックフリーとならなかったため、硬度は評価しなかった。
〔比較例2〕
比較例2では、表1に示すように、(C)成分を配合せず、硬化剤としてハイドロパーオキサイドであるカヤクメンHを用いた以外は、実施例1と同様に、硬化性樹脂組成物および2mm厚の硬化物を作製し、各評価を行った。なお、硬度の評価において、6Bでも傷がついたため、評価結果を「6B>」とした。
表1に示すとおり、実施例1〜16はいずれも硬化性樹脂組成物の硬化性、硬化物の硬度が良好だった。一方、比較例1は、硬化性が悪く、タックフリーとならなかった。また、比較例2は、硬化物の硬度が著しく低い結果となった。
Figure 2017197652
表中の略語は下記の通りである。
MMA:メチルメタクリレート、三菱レイヨン社製、アクリエステルM(商品名)。
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、三菱化学社製、別名:アクリル酸−2−エチルヘキシル。
アクリエステル3ED(商品名):トリエチレングリコールジメタクリレート、三菱レイヨン社製。
ジブチルチオ尿素:N,N´−ジブチルチオ尿素、和光純薬工業社製。
ジエチルチオ尿素:N,N´−ジエチルチオ尿素、和光純薬工業社製。
パーヘキシルI(商品名):t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、日油社製。
トリゴノックス117(商品名):t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、化薬アクゾ社製。
カヤレン6−70(商品名):1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、化薬アクゾ社製。
ルペロックスTAIC M75(商品名):t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、アルケマ吉富社製。
ルペロックスTAEC(商品名):t−アミルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、アルケマ吉富社製。
アデカスタブ3010(商品名):トリデシルホスファイト、ADEKA社製。
JP−308E(商品名):トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、城北化学工業社製。
JP−318−O(商品名):トリオレイルホスファイト、城北化学工業社製。
JPS−312(商品名):トリラウリルトリチオホスファイト、城北化学工業社製。
ホクコーTPP(商品名):トリフェニルホスフィン、北興化学工業社製。
ポリマー1:製造例1で製造したポリマー、メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート=60/40(モノマー質量比)の共重合体、Mw=42,000。
BHT:2−6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、本州化学社製、商品名:「H−BHT」。
パラフィン115:パラフィンワックス(カタログ記載の融点:47℃)、日本精蝋社製。
パラフィン130:パラフィンワックス(カタログ記載の融点:55℃)、日本精蝋社製。
パラフィン150:パラフィンワックス(カタログ記載の融点:66℃)、日本精蝋社製。
カヤクメンH(商品名):クメンハイドロパーオキサイド、化薬アクゾ社製。
本発明の実施形態によれば、酸素存在下においても常温で良好な硬化性を有し、優れた硬度の硬化物が得られる硬化性樹脂組成物及びその硬化物、その硬化物からなるコーティング材を提供することができるため、産業上極めて有用である。

Claims (7)

  1. (A)ラジカル重合性ビニル系単量体成分、
    (B)チオ尿素化合物成分、
    (C)下記式(1)の構造を有する過酸化物成分、及び
    (D)(A)成分以外の有機リン化合物成分を含む、硬化性樹脂組成物。
    Figure 2017197652
    (式(1)中、Rは、炭素数が1〜15の炭化水素基である。)
  2. さらに(E)(メタ)アクリル系重合体成分を任意成分として含んでいてもよく、
    (A)成分の含有量は、(A)成分と(E)成分との合計量に対して、5〜100質量%であり、
    (E)成分の含有量は、(A)成分と(E)成分との合計量に対して、0〜95質量%であり、
    (B)成分の含有量は、(A)成分と(E)成分との合計量100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、
    (C)成分の含有量は、(A)成分と(E)成分との合計量を100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、
    (D)成分の含有量は、(A)成分と(E)成分との合計量を100質量部に対して、0.1〜10質量部である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. (E)成分の含有量が、(A)成分と(E)成分との合計量に対して、1〜50質量%である、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. (D)成分として、ホスファイト化合物又はホスフィン化合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. (A)成分として、(メタ)アクリルモノマーを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物からなるコーティング材。
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