JP6679638B2 - 二液型アクリル系接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、二液型アクリル系接着剤に関する。
近年、電機、機械、建築などの諸工業において二液型アクリル系接着剤を用いて材料や部品の組み立てを行うことが広く普及してきた。この接着剤は(メタ)アクリル系モノマー(本発明においては、アクリルとメタクリルを合わせて「(メタ)アクリル」と略記する)、エラストマー、有機過酸化物および還元剤の組み合わせから構成されている(例えば、特許文献1,2)。同じ二液型のエポキシ系接着剤は幅広い建材に対する接着性を有しており、耐水性、耐熱性も良好であるが、作業性の面では二液の計量・混合が必要であり、接着強度の立ち上がりが遅いため、圧締して静置しておく時間が必要となる。また、硬化速度は気温によって大きく変化し、特に冬期は著しく遅くなるため、注意が必要となる。
一方、二液型アクリル接着剤は、エポキシ系接着剤に比べて二液のラフな計量・混合でも安定した接着性を示し、場合によってはハネムーン接着が可能なことが大きな特徴である。また、室温下、数分〜数十分で硬化することから作業性の面で優れている。しかも、はみ出し部分のように空気と接触する面の硬化性も良好であるため、金属や硬質プラスチックなどの接着に幅広く使用されている。
しかしながら、用途の広がりに伴ってさまざまな改良が必要とされている。通常の二液型アクリル接着剤は(メタ)アクリル系モノマーとしてメチルメタクリレートのような低沸点の(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルが使用されている。しかし、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルは、空気接触面の硬化が良好な半面、臭気が強く、また揮発性や引火性も大きいため、作業環境面で大きな問題となっている。これらの問題を解決するために、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルに代わる低揮発性のモノマーを使用した接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3〜12)。
特公昭55−1957号公報 特開昭56−74165号公報 特開昭55−71770号公報 特開昭57−87484号公報 特開昭57−90073号公報 特開昭57−100168号公報 特開昭61−34082号公報 特開平10−7753号公報 特開2001−55420号公報 特開2001−55421号公報 特開2001−55422号公報 特開2001−55423号公報
低揮発性のモノマーを用いることで、得られる接着剤の臭気及び揮発性や引火性は改善されるが、接着強度が(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルを使用したものに比べて低下するという問題があった。また、モノマーの種類によっては嫌気性が強いため、表面及び内部に多量の空気を保有している多孔質材料に対して硬化が十分に進行せず、結果として接着強度が不十分となるという問題もあった。
そこで、本発明は、低臭気で優れた接着性を有する二液型アクリル系接着剤を提供することを目的とした。
上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明者らは、ポリアクリル酸を配合することで、臭気を改善できるとともに、接着強度を向上させることが可能であることを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の二液型アクリル系接着剤は、水溶液でもよいポリアクリル酸と該ポリアクリル酸と相溶する少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと有機過酸化物とを配合してなるA剤と、水溶液でもよいポリアクリル酸と該ポリアクリル酸と相溶する少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと還元剤とを配合してなるB剤と、からなり、
前記A剤および前記B剤の前記(メタ)アクリル系モノマーは、単官能(メタ)アクリル系モノマーおよび/または多官能(メタ)アクリル系モノマーであって、前記A剤と前記B剤とで、少なくとも1対の前記単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記多官能(メタ)アクリル系モノマーとの組み合わせを含むように選択され、
前記単官能(メタ)アクリル系モノマーは、グリセリンモノ(メタ)アクリレートおよび/または以下の一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである、ことを特徴とする。
Figure 0006679638
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
本発明によれば、低臭気で優れた接着性を有する二液型アクリル系接着剤を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
実施の形態1
本実施の形態に係る二液型アクリル系接着剤は、ポリアクリル酸水溶液と該ポリアクリル酸水溶液と相溶する少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと有機過酸化物とを配合してなるA剤と、ポリアクリル酸水溶液と該ポリアクリル酸水溶液と相溶する少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと還元剤とを配合してなるB剤と、からなり、前記A剤および前記B剤の前記(メタ)アクリル系モノマーは、単官能(メタ)アクリル系モノマーおよび/または多官能(メタ)アクリル系モノマーであって、前記A剤と前記B剤とで、少なくとも1対の前記単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記多官能(メタ)アクリル系モノマーとの組み合わせを含むように選択され、前記単官能(メタ)アクリル系モノマーは、グリセリンモノ(メタ)アクリレートおよび/または以下の一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである、ことを特徴とするものである。
Figure 0006679638
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
本実施の形態では、ポリアクリル酸としてポリアクリル酸水溶液を用いる。ポリアクリル酸水溶液の固形成分であるポリアクリル酸は、重量平均分子量が1×10〜2×10、好ましくは3×10〜15×10である。重量平均分子量が1×10未満であると接着性に及ぼすポリアクリル酸の補強効果が不十分になるからである。また、2×10を超えると接着剤が糸引き性を示すようになって取扱いに支障をきたし、接着強度も低下する場合があるからである。
また、ポリアクリル酸水溶液のポリアクリル酸濃度(固形分濃度)は20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。ポリアクリル酸濃度が20重量%未満であるとポリアクリル酸の補強効果が不十分になるからである。また、ポリアクリル酸濃度が70重量%を超えると接着剤の粘度が高くなって取扱いがしにくくなり、接着強度も低下する場合があるからである。
また、A剤とB剤は、それぞれ、少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーを、ポリアクリル酸水溶液の固形分と少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーの合計量に対して、75〜98重量%含むことが好ましい。より好ましくは、80〜95重量%である。75重量%未満では接着強度が十分でなく、98重量%を超えると、接着強度が低下する場合があるからである。
また、ポリアクリル酸水溶液を配合することにより、A剤とB剤に含まれることになる水分量は、それぞれ、A剤またはB剤の全量の2〜25重量%、好ましくは3〜20重量%である。接着強度の観点からは、水分量は少ないことが好ましく、25重量%を超えると接着強度が低下する場合があるので好ましくない。
(メタ)アクリル系モノマーには、単官能(メタ)アクリル系モノマーと多官能(メタ)アクリル系モノマーが含まれるが、ポリアクリル酸水溶液に相溶する(メタ)アクリル系モノマーとしては、以下の単官能(メタ)アクリル系モノマーと多官能(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。
なお、本発明において、ポリアクリル酸水溶液に(メタ)アクリル系モノマーが相溶するとは、ポリアクリル酸水溶液100重量部と(メタ)アクリル系モノマー100重量部とを室温下で混合し、所定時間放置後に、目視観察により濁りや沈殿物を生じない状態をいう。
単官能(メタ)アクリル系モノマーは、グリセリンモノ(メタ)アクリレートおよび/または以下の一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。
Figure 0006679638
式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、接着強度の観点からは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、およびアルキレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレートから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートとしては、アルキレンオキサイド平均付加モル数が4以上のビスフェノールAまたはビスフェノールFジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。具体例としては、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド‐エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド‐エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。好ましくは、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートである。
また、アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートとして、アルキレンオキサイド平均付加モル数が4以上の水素化ビスフェノールAまたはビスフェノールFのジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。具体例としてはエチレンオキサイド変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性水素化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性水素化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。好ましくは、エチレンオキサイド変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートである。
また、アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートとして、アルキレンオキサイド平均付加モル数が4以上のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。好ましくは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
なお、上記のアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートとして、特に好ましいのは、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートである。
アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートとしては、アルキレンオキサイド平均付加モル数が6以上のエトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。好ましくは、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレートである。
アルキレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレートとしては、アルキレンオキサイド平均付加モル数が10以上のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。好ましくは、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートである。
また、A剤とB剤とで、少なくとも1対の単官能(メタ)アクリル系モノマーと多官能(メタ)アクリル系モノマーとの組み合わせを含むように選択される必要がある。A剤とB剤とに含まれる(メタ)アクリル系モノマーの組み合わせとしては、例えば、(1)A剤が少なくとも1種の単官能(メタ)アクリル系モノマーを含み、B剤が少なくとも1種の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む場合、(2)A剤が少なくとも1種の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含み、B剤が少なくとも1種の単官能(メタ)アクリル系モノマーを含む場合、(3)A剤が少なくとも1種の単官能(メタ)アクリル系モノマーと少なくとも1種の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含み、B剤が少なくとも1種の単官能(メタ)アクリル系モノマーと少なくとも1種の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む場合を、挙げることができる。(3)の場合、A剤とB剤に含まれる単官能(メタ)アクリル系モノマーは同じであっても異なっていてもよく、またA剤とB剤に含まれる多官能(メタ)アクリル系モノマーも同じであっても異なっていてもよい。なお、A剤とB剤の両方が、単官能(メタ)アクリル系モノマーだけを含む場合や、多官能(メタ)アクリル系モノマーだけを含む場合は、接着強度が低下するので好ましくない。
また、A剤中に配合される有機過酸化物としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシデカノエートなどのパーオキシエステル類などを挙げることができるが、反応性の観点から、ハイドロパーオキサイド類が好ましい。
有機過酸化物の配合量は、ポリアクリル酸水溶液の固形分と(メタ)アクリル系モノマーの合計量100重量部に対して、2〜10重量部が好ましい。より好ましくは、3〜7重量部である。2重量部未満では接着強度が十分でなく、10重量部を超えると、A剤の保存安定性が低下するからである。
B剤に含まれる還元剤は、A剤に含まれる有機過酸化物とレドックス触媒系を形成する。還元剤としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の第3級アミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、モノベンゾイルチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素誘導体、およびナフテン酸コバルト、バナジウム化合物などの金属化合物を挙げることができる。好ましくはバナジウム化合物である。バナジウム化合物の具体例としては、五酸化バナジウムなどの金属酸化物、オクテン酸バナジル、ナフテン酸バナジル、ステアリン酸バナジルなどの金属石けん、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネートなどの金属キレートなどを挙げることができる。
バナジウム化合物の含有量は、ポリアクリル酸水溶液の固形分と(メタ)アクリル系モノマーの合計量100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。より好ましくは、0.1〜3重量部である。0.05重量部未満では硬化速度が遅くなり、十分な接着性能が得られず、また5重量部を超えると保存安定性が低下するからである。
また、本発明においては、接着剤の性能を向上させるため、必要に応じて、以下の化合物を添加することもできる。
(硬化促進剤)
速硬化性と密着性を向上させるため、以下のような化合物をA剤及び/またはB剤に添加することができる。例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの酸性リン化合物、ヒドロキシアセトン、ジヒドロキシアセトン、アセトイン、ベンゾイン、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸エチルなどを挙げることができる。配合量は、ポリアクリル酸水溶液の固形分と(メタ)アクリル系モノマーの合計量100重量部に対して、1〜10重量部、好ましくは2〜5重量部である。
(重合禁止剤)
また、A剤及び/またはB剤に以下のような重合禁止剤を添加することもできる。例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、キンヒドロン、p−ベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノ―ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などを挙げることができる。配合量は、ポリアクリル酸水溶液の固形分と(メタ)アクリル系モノマーの合計量100重量部に対して、0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部である。
さらに、必要に応じてA剤及び/またはB剤に、揺変性を付与させるために、フュームドシリカ、ベントナイトなどの揺変性付与剤、空気接触部の硬化をより促進するためにパラフィン類やワックス類、及び顔料や着色剤などを添加することもできる。
また、本発明においては、使用目的に応じてA剤とB剤の粘度を設定することができる。すなわち、同粘度型となるようにA剤とB剤の組成を決めたり、プライマー型の場合には、例えばB剤を低粘度の組成にし、B剤に上記の揺変性付与剤を加えて高粘度にすることができる。
本実施の形態の接着剤は、低臭気で接着性に優れており、種々の用途に用いることができるが、多孔質の建築材料に好適に用いることができる。多孔質の建築材料としては、集成材、合板などの木材、花崗岩、大理石、人造石などの石材、瓦、レンガ、タイルなどの粘土焼成品、スレート板、石膏板、ケイ酸カルシウム板などの繊維強化セメント板、ポリスチレン樹脂フォーム、ポリウレタン樹脂フォーム、ポリメタクリル酸エステル樹脂フォームなどの合成樹脂発泡体等を挙げることができる。
実施の形態2
本実施の形態に係る二液型アクリル系接着剤は、ポリアクリル酸粉末と該ポリアクリル酸粉末と相溶する少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと有機過酸化物とを配合してなるA剤と、ポリアクリル酸粉末と該ポリアクリル酸粉末と相溶する少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーと還元剤とを配合してなるB剤と、からなり、前記A剤および前記B剤の前記(メタ)アクリル系モノマーは、単官能(メタ)アクリル系モノマーおよび/または多官能(メタ)アクリル系モノマーであって、前記A剤と前記B剤とで、少なくとも1対の前記単官能(メタ)アクリル系モノマーと前記多官能(メタ)アクリル系モノマーとの組み合わせを含むように選択され、前記単官能(メタ)アクリル系モノマーは、グリセリンモノ(メタ)アクリレートおよび/または以下の一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである、ことを特徴とするものである。
本実施の形態に係る二液型アクリル系接着剤、ポリアクリル酸としてポリアクリル酸粉末を用いた以外は、実施の形態1と同様の構成を有している。共通する構成については適宜説明を省略し、構成の異なる部分について説明を行う。
本実施の形態に用いるポリアクリル酸粉末としては、重量平均分子量が1×10〜2×10、好ましくは3×10〜15×10のものを用いることができる。例えば、東亞合成社製ポリアクリル酸(商品名ジュリマーAC10P)や、和光純薬工業社製ポリアクリル酸(商品名ポリアクリル酸25,000)等を用いることができる。
また、A剤とB剤は、それぞれ、少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーを、ポリアクリル酸粉末と少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーの合計量に対して、70〜98重量%含むことが好ましい。より好ましくは、75〜95重量%である。70重量%未満では接着強度が十分でなく、98重量%を超えると、接着強度が低下する場合があるからである。
なお、本発明において、ポリアクリル酸粉末と(メタ)アクリル系モノマーが相溶するとは、ポリアクリル酸50重量部と(メタ)アクリル系モノマー100重量部とを40〜80℃で混合し、所定時間放置後に、目視観察により濁りや沈殿物を生じない状態をいう。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、各成分の使用量を示す部はすべて重量部を示す。
(1)A剤及びB剤に用いたポリアクリル酸水溶液は、以下の通りである。
1−1:東亞合成社製ポリアクリル酸(商品名ジュリマーAC10P、重量平均分子量9,000)を水に溶解させて50%水溶液としたもの(AC10Pと略す)。また、水溶液とせず、粉末としても用いた。
1−2:東亞合成社製ポリアクリル酸(重量平均分子量50,000)の40%水溶液(商品名ジュリマーAC10L)(AC10Lと略す)
(2)A剤及びB剤に用いたポリアクリル酸水溶液に可溶な(メタ)アクリル系モノマーは、以下の通りである。
2−1:三菱ケミカル社製2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMAと略す)
2−2:新中村化学工業社製エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート(BPE−900と略す)(エチレンオキサイド平均付加モル数:m+n=17)
2−3:日油社製グリセリンモノメタクリレート(GLMと略す)
2−4:三菱ケミカル社製2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMAと略す)
2−5:共栄社化学社製2−ヒドロキシブチルメタクリレート(HOBと略す)
2−6:三菱ケミカル社製メタクリル酸(MAAと略す)
2−7:日油社製ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PE−200)(エチレンオキサイド平均付加モル数:n=4.5)
2−8:日油社製メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PME−200)(エチレンオキサイド平均付加モル数:n=4)
2−9:日油社製ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(PP−1000)(プロピレンオキサイド平均付加モル数:n=4〜6)
2−10:新中村化学工業社製エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート(BPE−500と略す)(エチレンオキサイド平均付加モル数:m+n=10)
2−11:第一工業製薬社製水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジアクリレート(HBPE−4と略す)(エチレンオキサイド平均付加モル数:m+n=4)
2−12:第一工業製薬社製エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート(BPEM−4と略す)(エチレンオキサイド平均付加モル数:m+n=4)
2−13:共栄社化学社製ポリエチレングリコールジアクリレート(A−400)(エチレンオキサイド平均付加モル数:n=9)
2−14:新中村化学工業社製エトキシ化グリセリントリアクリレート(A−GLY−20Eと略す)(エチレンオキサイド平均付加モル数:l+m+n=20)
(3)A剤に用いた有機過酸化物
化薬アクゾ社製t−ブチルハイドロパーオキサイド(H−70と略す)
(4)B剤に用いた還元剤
五酸化バナジウム16.2重量部を、ブチルアシッドホスフェート180重量部に110℃で2時間加熱溶解させて用いた(VPと略す)。
(5)その他
硬化促進剤としてA剤にグリコール酸(GAと略す)、重合禁止剤としてA剤にp−ベンゾキノン(PBQと略す)、B剤にハイドロキノン(HQと略す)を添加した。
以下の実施例および比較例において硬化速度、各被着体に対する接着強度、臭気評価及び引火点は以下の条件で測定した。
<硬化速度>
23℃でA剤及びB剤各0.5gを混合し、混合開始からゲル化して固化するまでの時間を測定した。
<三点曲げ接着強度>
被着体として寸法が20×40×50mmのポリスチレン樹脂フォーム(EPSと略す)を用いた。23℃で、20×40mmの一方にA剤を塗布し、他方の面にB剤を塗布した後、こすり合わせて貼り合わせた。24時間後にJIS K7171に準拠して支点間距離70mm、試験速度20mm/分で三点曲げ接着強度(N/cm)を測定した。
三点曲げ接着強度は、以下の基準に基づいて評価した。
○:接着部分の20%以上が材料破壊している。
△:接着部分の材料破壊が0%である。
×:硬化しているが強度が出ない。
<引張剪断強度>
被着体として寸法が3×25×100mmのケイ酸カルシウム板(ケイカル板と略す)、スレート板およびラワン合板を用いた。23℃で同種の板同士をラップ長さ12.5mmで接着し、24時間後に試験速度25mm/分で引張剪断強度(N/mm)を測定した。
引張剪断強度は、以下の基準に基づいて評価した。
○:接着部分の100%が材料破壊している。
△:接着部分の材料破壊が0%である。
×:硬化しているが強度が出ない。
<臭気評価>
下記の臭気強度表示法により、臭気指数を評価した。
0:無臭
1:やっと感知できる臭い
2:何の臭いであるかがわかる弱い臭い
3:楽に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
<引火点>
A剤についてJIS K2265−4に規定のクリーブランド開放法に従って測定し、試料の表面に明らかな引火が認められた温度を引火点とした。
<相溶性試験>
表1に示す水溶性ポリマーの水溶液100重量部と水溶性(メタ)アクリル系モノマーとしてエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業社製 BPE−900 エチレンオキサイド平均付加モル数:m+n=17)100重量部を室温下で撹拌・混合し、相溶性を観察した。その結果を表1に示す。
Figure 0006679638
No.1: 東亞合成社製ポリアクリル酸(分子量50,000 商品名ジュリマーAC−10L)
No.2: 東亞合成社製ポリアクリル酸ナトリウム(分子量6,000 商品名ジュリマーAC−10NPD)
No.3:明成化学工業社製ポリエチレンオキサイド(分子量100,000〜200,000 商品名アルコックスR−150)
No.4:第一工業製薬社製ポリビニルピロリドン(分子量45,000 商品名ピッツコールK−30)
No.5:昭和電工社製ポリ−N−ビニルアセトアミド(商品名GE191−104)
No.6:日清紡ケミカル社製ポリカルボジライト(商品名V−02)
No.7:クラレ社製ポリビニルアルコール(商品名K01)
表1に示すように、No.1のポリアクリル酸の水溶液を用いたものだけが、良好な相溶性を示した。
(結果)
表2、表3、表4および表5にA剤とB剤の組成と評価結果を示す。
Figure 0006679638
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実施例1〜3は、ポリアクリル酸水溶液の添加量の影響を検討したものである。ポリアクリル酸水溶液を添加しなかったもの(比較例1)や水のみを添加したもの(比較例1,2)に比べ、実施例1〜3は、優れた接着性を示した。また、実施例1〜3は、臭気指数1であり、低臭気であった。また、実施例1〜3のA剤の引火点は認められなかった。また、1分以内の速い硬化速度が得られた。
実施例4〜7は、単官能(メタ)アクリル系モノマー種の影響を検討したものである。比較例4〜7に比べ、実施例4〜7は、優れた接着性を示した。また、実施例4〜7は、臭気指数1であり、低臭気であった。また、実施例4〜7のA剤の引火点は認められなかった。また、1分以内の速い硬化速度が得られた。
実施例8〜11は、多官能(メタ)アクリル系モノマー種の影響を検討したものである。実施例8〜11は、優れた接着性を示した。また、実施例8〜11は、臭気指数1であり、低臭気であった。また、実施例8〜11のA剤の引火点は認められなかった。また、1分以内の速い硬化速度が得られた。なお、多官能(メタ)アクリル系モノマーのみでは(比較例8)では、接着強度が顕著に低下した。
実施例12〜14は、ポリアクリル酸粉末を用いた実施例である。実施例12〜14では、ポリアクリル酸粉末AC10Pを、単官能(メタ)アクリル系モノマーであるHEMAに70℃で加熱溶解後、室温に冷却した後、他成分を加えてA剤とB剤を調製した。実施例12〜14は、優れた接着性を示した。また、実施例12〜14は、臭気指数1であり、低臭気であった。また、1分以内の速い硬化速度が得られた。
本発明によれば、低臭気で、多孔質の建築材料に対する接着性に優れた二液アクリル系接着剤を提供することができる。さらに、硬化速度が速く、引火性が低いので、作業の効率化や作業環境の改善に大きく寄与することができる。

Claims (5)

  1. 水溶液でもよいポリアクリル酸と該ポリアクリル酸と相溶する少なくとも種の(メタ)アクリル系モノマーと有機過酸化物とを配合してなるA剤と、
    水溶液でもよいポリアクリル酸と該ポリアクリル酸と相溶する少なくとも種の(メタ)アクリル系モノマーと還元剤とを配合してなるB剤と、からなり、
    前記A剤および前記B剤の前記少なくとも2種の(メタ)アクリル系モノマーは、少なくとも1種の単官能(メタ)アクリル系モノマーと少なくとも1種の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含むように選択され、
    前記単官能(メタ)アクリル系モノマーは、グリセリンモノ(メタ)アクリレートおよび/または以下の一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであ
    前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、1×10 〜2×10 である、二液型アクリル系接着剤。
    Figure 0006679638
    (式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
  2. 前記水溶液でもよいポリアクリル酸がポリアクリル酸水溶液である、請求項1記載の二液型アクリル系接着剤。
  3. 前記水溶液でもよいポリアクリル酸がポリアクリル酸粉末である、請求項1記載の二液型アクリル系接着剤。
  4. 前記多官能(メタ)アクリル系モノマーが、アルキレンオキサイド付加モル数が4以上のジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加モル数が6以上のトリ(メタ)アクリレート、およびアルキレンオキサイド付加モル数が10以上のテトラ(メタ)アクリレートから成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1から3のいずれか1項に記載の二液型アクリル系接着剤。
  5. 前記A剤と前記B剤は、前記少なくとも種の(メタ)アクリル系モノマーを、前記ポリアクリル酸水溶液の固形分と前記少なくとも種の(メタ)アクリル系モノマーの合計量に対して、75〜98重量%含む、請求項2,4のいずれか1項に記載の二液型アクリル系接着剤。
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