JP2017193166A - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板上に流路を形成するドライフィルムを貼り付けて液体吐出ヘッドを製造する場合であっても、貼り付けたドライフィルムの形状が場所によって異なることを抑制すること。【解決手段】 液体吐出ヘッドの製造方法であって、供給部の開口が内側に設けられており、配列方向に沿って配列する複数の開口と、配列方向における外側に開口する複数の開口とは別の開口と、を有する層を、表面上に有する基板を用意する工程と、基板及び層上に、流路を形成するドライフィルムを貼り付ける工程と、を有することを特徴とする。【選択図】 図4

Description

本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
インクジェットプリンタに代表される液体吐出装置は、液体吐出ヘッドから液体を吐出し、記録媒体上に画像や文字を記録する。液体吐出ヘッドとして、供給口が形成された基板上に、流路及び吐出口が形成された部材が設けられたものがある。このような液体吐出ヘッドの製造方法として、特許文献1には、供給口が形成された基板に対して、供給口を覆うようにドライフィルムを貼り付ける工程を有する方法が記載されている。基板上に貼り付けられたドライフィルムには、フォトリソグラフィー等によって流路が形成される。
米国特許第8083324号明細書
本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載のようにして基板上にドライフィルムを貼り付けると、貼り付けたドライフィルムの形状が場所によって異なる場合があることが分かった。ドライフィルムには流路を形成するので、ドライフィルムの変形によって流路の形状や基板から吐出口までの高さが場所によって異なると、液体の吐出に影響が出て、記録媒体上に所望の画像を形成できない場合がある。
従って本発明は、基板上に、流路を形成するドライフィルムを貼り付けて液体吐出ヘッドを製造する場合であっても、貼り付けたドライフィルムの形状が場所によって異なることを抑制することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。即ち本発明は、表面に液体の供給部が開口した基板と、前記基板の表面上に設けられた層と、前記層上に設けられた部材であって、前記供給部から液体が供給され液体を吐出する吐出口に連通する流路を形成する部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記供給部の開口が内側に設けられており、配列方向に沿って配列する複数の開口と、前記配列方向における前記複数の開口のうち最も外側に開口する開口よりも外側に開口する、前記複数の開口とは別の開口と、を有する層を、表面上に有する基板を用意する工程と、前記基板及び前記層上に、前記流路を形成するドライフィルムを貼り付ける工程と、を有することを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、基板上に流路を形成するドライフィルムを貼り付けて液体吐出ヘッドを製造する場合であっても、貼り付けたドライフィルムの形状が場所によって異なることを抑制することができる。
液体吐出ヘッドの構成を示す図。 液体吐出ヘッドの製造方法を示す図。 液体吐出ヘッドの構成及び製造方法を示す図。 液体吐出ヘッドの構成及び製造方法を示す図。 液体吐出ヘッドの構成を示す図。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法で製造する液体吐出ヘッドの構成の一例を、図1に示す。
基板1は、シリコン等で形成されたものであり、その表面上にエネルギー発生素子2を有する。エネルギー発生素子は、TaSiNで形成された発熱抵抗体や、圧電素子で形成されている。エネルギー発生素子2は、所定のピッチで配列方向に配列している。吐出口3とエネルギー発生素子2との間には、液体の流路4が形成されている。エネルギー発生素子2の上方には、吐出口3が形成されている。吐出口3や流路4を形成する部材5は、図1においては一層で形成されているが、多層で形成されていてもよい。例えば、流路4を形成する部材と、吐出口3を形成する部材とは、別の部材であってもよい。別の部材である場合、両者を合わせて部材5と呼ぶ。また、図示していないが、基板1と部材5との間(中間)には、基板1と部材5の密着性を高める層が形成されている。部材5は、この層上に設けられている。
基板1には、流路4に液体を供給する液体の供給部6が形成されている。供給部6は、基板1を貫通しており、基板1の表面に開口している。図1においては、供給部6は、基板の表面側では幅が狭く、基板の表面と反対の裏面側では幅が広い、多段の形状となっている。液体は、供給部6から流路4に供給される。流路4は吐出口3に連通している。流路4のうち、エネルギー発生素子2を内包する領域は圧力室ともよばれる。圧力室に供給された液体は、エネルギー発生素子2からエネルギーを与えられる。このエネルギーにより、液体は吐出口3から吐出され、記録媒体に着弾する。このようにして、記録媒体上に画像等が記録される。圧力室には供給部6が2つ接続されているが、この2つの供給部6から圧力室に液体が供給される構成であってもいいし、一方の供給部6から圧力室に液体が供給され、他方の供給部6から圧力室内の液体が出ていく構成であってもいい。また、圧力室の内部の液体は、圧力室の外部との間で、2つの供給部を通って循環するものであってもよい。
このような液体吐出ヘッドの製造方法を、図2を用いて説明する。図2は、図1のA−A´における液体吐出ヘッドの断面を用い、液体吐出ヘッドが製造される様子を示した図である。
まず、図2(a)に示すように、表面上にエネルギー発生素子2を有する基板1を用意する。基板1の表面上には、エネルギー発生素子2の他に、層7や層8が形成されている。層7や層8は、図1においては図示しなかった不図示の層である。層7は、絶縁性の層であり、例えばSiNやSiC、SiO、SiCNで形成されており、エネルギー発生素子2を覆う層である。層8は、例えばエポキシ樹脂やポリエーテルアミドで形成されており、基板1と後の工程で形成する部材との中間に配される層である。層8は、基板1と部材との密着力を向上させる層である。
基板1の表面上において、層8はパターニングされており、開口8aを有する。層8のパターニングの方法は、特に限定されるものではない。例えば、フォトリソグラフィーで形成したマスクを用意し、このマスクを用いて反応性イオンエッチングを行うことでパターニングを行う。このようにして、層8に開口8aを形成する。
次に、図2(b)に示すように、基板1に、基板1の表面と裏面とを貫通する供給部6を形成する。供給部6は、例えばシリコンで形成された基板1に対して反応性イオンエッチングを行うことで形成する。他にも、供給部6は、レーザー照射やウェットエッチング、これらの組み合わせ等によって形成してもよい。図2(b)では、供給部6を形成した際に、層7に開口7aが形成されている。これによって、基板1と層7と層8とが1つの穴によって貫通した状態となっている。
尚、図2(a)に示す工程と、図2(b)に示す工程とは、工程の順序が逆であってもよい。即ち、供給部6を形成した後で、層7や層8を形成し、これらに開口7aや開口8aを形成してもよい。
次に、図2(c)に示すように、基板1の表面に、支持部材9で支持されたドライフィルム10を貼り付ける。支持部材9は熱に対して安定した材料とすることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートやポリイミド等で形成する。ドライフィルム10は、基板上に流路や吐出口を形成する部材であり、最終的に図1に示す部材5(または部材5の一部)となるものである。流路や吐出口を形成するという点から、ドライフィルム10は感光性樹脂で形成されていることが好ましく、特にネガ型感光性樹脂で形成されていることが好ましい。ネガ型感光性樹脂としては、ビスアジド化合物を含有する環化ポリイソプレンやアジドピレンを含有するクレゾールノボラック樹脂、ジアゾニウム塩やオニウム塩を含有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
次に、ドライフィルム10から、支持部材9を剥離する。剥離後、図2(d)に示すように、マスク11を用いてドライフィルム10に露光を行い、ドライフィルム10に潜像を形成する。ここでは、ドライフィルム10としてネガ型感光性樹脂を用い、露光した部分10aを最終的に流路の壁とし、露光しなかった部分10bを流路とする構成を示している。露光後には、ドライフィルム10に熱処理を行う。熱処理によって、ドライフィルム10への潜像の形成が完了する。
次に、図2(e)に示すように、潜像させたドライフィルム10上に、ドライフィルム12を形成する。ドライフィルム12は、ドライフィルム10と同様に、支持部材を用いて形成すればよい。但し、ドライフィルム12を感光性樹脂で形成し、露光する場合、ドライフィルム12の露光工程においてドライフィルム10が感光してしまわないよう、ドライフィルム12とドライフィルム10との間に感度差を持たせる必要がある。
次に、図2(f)に示すように、マスク13を用いてドライフィルム12に露光を行い、ドライフィルム12に潜像を形成する。ここでは、ドライフィルム12としてネガ型感光性樹脂を用い、露光した部分12aを最終的に吐出口の壁(吐出口形成部材)とし、露光しなかった部分12bを吐出口とする構成を示している。その後、ドライフィルム12に熱処理を行う。熱処理によって、ドライフィルム12への潜像の形成が完了する。
ドライフィルム12上には、撥水処理、または親水処理をしてもよい。これらの処理に用いる材料は、ドライフィルム12の潜像に影響が出ないような材料であることが好ましい。
次に、図2(g)に示すように、ドライフィルム10の露光しなかった部分10aと、ドライフィルム12の露光しなかった部分12aを、現像液によって現像する。このようにして、吐出口3と流路4とが形成され、部材5が得られる。尚、ここでは露光及び現像によって吐出口3や流路4を形成することを前提として説明したが、これらは例えば反応性イオンエッチングやレーザー照射によって形成することもできる。
最後に、必要に応じて基板1の切断やエネルギー発生素子2を駆動させる電気配線の接合等を行い、液体吐出ヘッドが製造される。
このような液体吐出ヘッドの製造方法において発生する課題を説明する。上述の通り、図2(c)の工程において、基板1の表面上にドライフィルム10を貼り付ける。基板1の表面には、開口8aを有する層8が形成されている。本発明者らは、このドライフィルム10の貼り付けの際に、ドライフィルム10が開口8aに落ち込み、これによってドライフィルム10の形状が変化してしまう場合があることを見出した。
ドライフィルム10の開口8aへの落ち込みを、図3を用いて説明する。図3(a)は、図1に示す液体吐出ヘッドの基板を上方から見た図であり、部材5を省略して図示している。基板の表面には、層8(図1では不図示)がある。層8には開口8aが設けられている。開口8aは、供給部6の開口と、エネルギー発生素子2とに対応するように開口している。図3(a)では、1つの開口8aの中に、1つのエネルギー発生素子2と、2つの供給部6とが設けられている。開口8aは、図3(a)の上下方向と左右方向の2つの配列方向に沿って配列している。
図3(b)は、図1のA−A´断面を示す図2に対応しており、図3(a)で示した基板に対して、ドライフィルム10を貼り付け、その後にパターン露光及び加熱を行い、潜像させた様子を示している。図3(b)に示すように、ドライフィルム10は層8の開口8aに落ち込み、その上面の高さにばらつきが出ている。ここで、図3(b)の中心部では落ち込み量が均一に近く、ドライフィルム10の上面の高さに大きな差はないが、端部では上面の高さにばらつきがある。特に、最も端の開口8a上においては、ドライフィルム10の上面の高さが大きく傾斜している。
尚、1つの開口8aの面積は2500μm以上10000μm以下程度であるのに対して、その中の供給部6の1つの開口の面積はこれよりも小さい。供給部6の1つの開口の面積は、大きくても2300μm程度であり、概ね300μm以上2000μm以下である。従って、ドライフィルム10の供給部6内への落ち込みの影響は、開口8aへの落ち込みの影響と比べると小さく、無視してもよい。また、層8の厚みは0.5μm以上3.0μm以下である。よって、開口8aの深さも同様に0.5μm以上3.0μm以下となり、この深さによってもドライフィルム10の変形が発生しやすい。
図3(c)に、図3(b)の状態から、ドライフィルム10上にドライフィルム12を貼り付け、ドライフィルム12に吐出口3を形成し、ドライフィルム10を現像して流路4を形成した様子を示す。ドライフィルム10の上面の高さがばらついている結果、ドライフィルム12に形成する吐出口3の位置にも場所によってばらつきが生じており、基板1の表面から吐出口3までの高さが場所によって異なっている。また、現像によって形成された流路4の形状も場所によって異なっている。このようなことが起こると、液体の吐出量や供給速度に影響が出てしまい、吐出口3から吐出した液体によって所望の画像を形成できない場合がある。
また、例えば吐出口3をフォトリソグラフィーによって形成する際に、ドライフィルム10の変形によって基板側から乱反射が発生しやすくなり、吐出口3の形状が変形することがある。さらに、ドライフィルム10の変形によって、ドライフィルム10とドライフィルム12との間に空隙ができ、熱をかけることでこの空隙が膨張し、やはり吐出口3や流路4が変形することがある。
以上のような課題に対して、本発明者らが鋭意検討した結果、このようなドライフィルム10の変形は、端の開口8aの外側に層8の開口がないことにより発生するものであることを見出した。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を、図4を用いて説明する。図4(a)は、図3(a)と同様に、図1の液体吐出ヘッドの基板を、部材5を省略し、上方から見た図である。本発明では、図4(a)に示すように、層8に対して、開口8aに加えて開口8aの配列方向の外側に開口8bを形成する。即ち、配列方向における複数の開口8aのうち最も外側に開口する開口8aよりも外側に、開口8bを形成する。図4では、開口8bは開口8aの配列方向の両方の外側(両端)に開口している。開口8aは、供給部6の開口が内側に設けられている、複数の開口である。また、この複数の開口8aの外側に、複数の開口8aとは別の開口8bが設けられている。
図4(b)は、図4(a)の液体吐出ヘッドの断面図である。尚、ここでは絶縁性の層(層7)を設けない例で説明しているが、絶縁性の層を設けても構わない。図4(a)で説明したように、開口8aの外側に開口8bが設けられている。開口8aの内側にはエネルギー発生素子2や供給部6の開口が設けられているが、開口8bの内側にはエネルギー発生素子2や供給部6の開口は設けられていない。
図4(a)、(b)で示した液体吐出ヘッドの基板に対して、ドライフィルムを貼り付ける。即ち、基板1と、開口8aと開口8bとを有する層8上に、ドライフィルムを貼り付ける。図4(c)に、基板1にドライフィルム10を貼り付け、ドライフィルム10から支持部材を剥離し、ドライフィルム10に露光及び熱処理を行った状態を示す。
ドライフィルム10は、開口8aに落ち込むものの、その外側に形成された開口8bにも落ち込む。従って、開口8a上のドライフィルム10の落ち込みは、全体として均一に近くなる。特に、図3(b)に示したように、最も外側の開口の上方と、そのさらに外側の領域の上方とでは、落ち込み量の差が大きくなる。従って、開口8aのうち最も外側の開口8aの外側に開口8bを設けると、開口8aのうち最も外側の開口8aへの落ち込みによるドライフィルム10の高さの変化が抑制される。
図4(c)において、ドライフィルム10には、露光及び熱処理によって潜像が形成されている。ここで、上述の通り、開口8bを形成したことにより、開口8a上のドライフィルム10の上面の高さは、ほぼ一定となっている。尚、図4(c)で示す領域のさらに外側においては、ドライフィルム10の高さが高くなっている場合もあるが、その外側の部分は流路や吐出口の形状に影響を与えない部分である。
図4(d)に、図4(c)の状態から、ドライフィルム10上にドライフィルム12を貼り付け、ドライフィルム12に吐出口を潜像させた状態を示す。ドライフィルム10の上面の高さがばらついていないので、その上に形成したドライフィルム12の形状や上面の高さも安定している。
尚、ドライフィルム10を貼り付ける際には、ドライフィルム10が適度に軟化して開口8aや開口8bを埋め、層8の段差を良好に被覆することが好ましい。この為、ドライフィルムの形成材料や大きさにもよるが、一般的な樹脂材料やドライフィルムの大きさを想定すると、貼り付ける際のドライフィルムの温度は50℃以上140℃以下とすることが好ましい。また、貼り付ける際にドライフィルム10にかける圧力は、0.1MPa以上1.5MPa以下とすることが好ましい。ドライフィルム12を貼り付ける際には、ドライフィルム12の温度は60℃以上90℃以下とすることが好ましい。また、貼り付ける際にドライフィルム12にかける圧力は0.1MPa以上0.6MPa以下とすることが好ましい。
最後に、図4(e)に示すように、図4(d)の液体吐出ヘッドを現像し、吐出口3及び流路4を形成する。ドライフィルム10の上面の高さが一定なので、流路4の高さも場所によって異ならず一定となっている。さらに、ドライフィルム12の形状も場所によって異なることが抑制されているので、吐出口3の基板からの距離や吐出口3の形状も一定となっている。従って、液体の吐出が安定し、記録媒体上に所望の画像を形成することができる。
ここで、開口8bの形成パターンについて説明する。開口8bは、開口8aの外側に、疑似的に開口8aがもう一つあるような状態を作り出す為に形成されたものである。この点から、基本的には開口8aと同様なものであることが好ましい。例えば、図4で示す液体吐出ヘッドの断面において、開口8aの幅(図4(a)中、左右方向の長さ)と開口8bの幅とは同様であることが好ましい。具体的には開口8aの幅に対して開口8bの幅は80%以上120%以下であることが好ましい。奥行き方向(図4(a)中、上下方向)の開口8a、開口8bの幅についても同様である。
また、開口8aと開口8bの面積も同様であることが好ましい。具体的には1つの開口8aの面積に対して1つの開口8bの面積は80%以上120%以下であることが好ましい。さらに、開口8aのピッチ(隣接する開口8a間の距離)と開口8bのピッチ(隣接する開口8b間の距離)も同様であることが好ましい。具体的には、開口8aのピッチに対して開口8bのピッチは80%以上120%以下であることが好ましい。
開口8aの外側にダミーとなるダミー開口(開口8b)を形成するにあたり、そのダミー開口が開口8aに対して小さすぎると、ダミー開口としての役割を十分に果たしにくくなる。これは、ダミー開口へのドライフィルムの落ち込みが開口8aへのドラフィルムの落ち込みに対して少なすぎるからである。一方、ダミー開口が開口8aに対して大きすぎると、今度はダミー開口8aへのドライフィルムの落ち込みが多くなりすぎ、やはりダミー開口としての役割を十分に果たしにくくなる。これらを考慮し、なるべく開口8aに近いものを開口8bとすることが好ましい。
図5は、液体吐出ヘッドの基板を図3(a)や図4(a)と同様にして見た図である。本発明の液体吐出ヘッドの基板の形状は、図5に示すように平行四辺形であってもよい。図5(a)に示すように、基板の形状が平行四辺形である場合にも、開口8aの外側に開口8bを設ける。尚、図5(a)においては、A−A´の線の位置にも開口8bを形成している。A−A´の線は、基板の切断位置である。即ち、図5(a)は2つの液体吐出ヘッドの切断前の状態を示す図である。このとき、切断位置であるA−A´線の部分には、開口8aが形成されていない。よって、この部分に隣接する開口8aでは、やはりドライフィルムの形状変化が発生する。従って、本発明では、基板の切断位置、またはその周辺に、開口8bを形成することが好ましい。図5(a)において、左の液体吐出ヘッドから見ると、両方の外側(両端)の最も外側の開口8aの外側に、開口8bを設けている。その開口8bのうち右側の開口8bが、A−A´線の位置に配置されている。
尚、図5(a)では、開口8bが開口する位置で、基板を切断する例を用いて説明したが、開口8bが設けられている位置で基板を切断しなくてもよい。例えば、開口8bから少しずれた位置において、基板を切断してもよい。ある基板の開口8aを含む領域と、別の基板の開口8aを含む領域との間に、開口8bが存在していることが好ましい。この場合、開口8bから少し離れた位置で基板の切断を行っても、2つの基板はそれぞれの開口8aを含みながら2つに切断されることになる。
また、これまで開口8bについては、開口8aと同様の形状で複数開口するものを用いて説明してきた。しかし、これに限られるものではなく、図5(b)に示すように、独立した複数の開口8aに対して、延在するような開口8bを設けてもよい。即ち、開口8bは、開口8aの配列方向と交わる方向に延在している。尚、この場合、開口8bの面積が大きくなりすぎないように、例えば図5(b)の左右方向の幅に関しては、開口8bの幅は開口8aの幅よりも小さくすることが好ましい。
開口8bは、開口8aよりも外側に設ける(開口する)。開口8aの外側に関して、例えば図5においては開口8aの左右方向の外側に開口8bを設けている。図5においては、上下方向が基板の長手方向、左右方向が基板の短手方向である。このとき、基板の短手方向における外側の開口8aの方が、基板の長手方向における外側の開口8aよりも、ドライフィルムの落ち込みによる変形量が小さかった。この為、開口8aの配列方向の、基板の短手方向の外側にだけ、開口8bを設けている。基板の長手方向の外側には、開口8bを設けないことによって、スペースを確保している。勿論、長手方向の外側にも開口8bを設ければ、長手方向の端の開口8aへの落ち込みによるドライフィルムの変形を抑制できる為、その点においては好ましい。
また、ドライフィルムの開口への落ち込みは、ドライフィルムの貼り付ける方向も一因であると考えられる。図5においては、ドライフィルムは、図中左側から右側にかけて貼り付けていく。即ち、ドライフィルムの貼り付け方向は左側から右側である。そのような貼り付け方をした場合、左右方向の端部の開口8a上において、ドライフィルムの落ち込みによる変形が発生しやすい。この点からも、図5においては、左右方向における端部の開口8aの外側に、開口8bを設けている。即ち、ドライフィルムの貼り付け方向に関して、開口8aの配列方向の手前側と奥側に開口8bを設けている。開口8bは、開口8aの配列方向の手前側にだけ設けてもよいし、奥側だけに設けてもよい。或いは、本例のように手前側と奥側に設けてもよく、ドライフィルムの落ち込みをより制御するという点では、手前側と奥側の両方に設けることが好ましい。
以下、本発明を具体的な例で説明する。
<実施例>
まず、図4(a)、(b)に示すような液体吐出ヘッドの基板を用意した。基板1はシリコンで形成されたシリコン基板である。基板1には、複数の供給部6が設けられている。供給部6は、基板を表面(上面)側から裏面(下面)まで貫通しており、基板1に2段階の反応性イオンエッチングを行うことで形成されたものである。
基板1の表面上には、TaSiNで形成されたエネルギー発生素子2が設けられている。また、基板1の表面上には、ポリエーテルアミドで形成された層8が設けられている。層8の厚みは2.0μmである。層8には、開口8aと開口8bとが設けられている。開口8aはエネルギー発生素子2及び供給部6の開口に対応する位置に開口しており、開口8aの内部に、エネルギー発生素子2及び供給部6の開口がある。開口8aの配列方向の外側には、ダミーの開口である開口8bがある。開口8bは開口8aと同じ形状、面積、及びピッチで形成されている。開口8a及び開口8bの面積は3000μmとした。また、その内部に開口する供給部6の開口の面積は300μmとした。層8への開口8a及び開口8bの形成は、反応性イオンエッチングによって行った。反応性イオンエッチングの際のマスクは、プラズマCVD装置で成膜したSiO及びSiNで形成した。尚、ここでの反応性イオンエッチングは、ボッシュプロセスを用いて行った。
次に、図4(c)に示すように、基板1上にドライフィルム10を貼り付けた。まず、離型処理されたPETフィルムで形成された支持部材上に、ドライフィルムとして感光性樹脂組成物を設けたものを用意した。この感光性樹脂組成物は、以下の混合物である。
・エポキシ樹脂(商品名;EHPE3150、ダイセル化学工業製)100質量部
・光カチオン重合開始剤(商品名;SP−172、旭電化工業製)6質量部
・バインダー樹脂(商品名;jER1007、三菱化学製)20質量部
ドライフィルム10の貼り付けは、転写装置(商品名;VTM―200、タカトリ製)によって行い、ドライフィルム10の基板1の表面上の厚みを14.0μmとした。転写の際のドライフィルム10の温度は70℃、ドライフィルム10にかける圧力は0.5MPaとした。続いて、支持部材を剥離速度5mm/secで剥離し、さらにドライフィルム10をパターン露光及び加熱した。パターン露光は露光装置(商品名;FPA−3000i5+、キヤノン製)にてi線を用いて行い、露光量は8000J/mとした。露光の際、マスクを用い、ドライフィルム10に図4に示す潜像を形成した。加熱はホットプレートにて50℃4minとし、ドライフィルム10の硬化反応を促進した。
このようにして基板上に形成したドライフィルム10の上面の高さを電子顕微鏡で観察したところ、基板上の高さはほぼ均一であることが確認された。
次に、図4(d)に示すように、ドライフィルム10上にドライフィルム12を貼り付け、ドライフィルム12に吐出口を潜像させた。まず、離型処理されたPETフィルムで形成された支持部材上に、ドライフィルムとして感光性樹脂組成物を設けたものを用意した。この感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(商品名;EHPE3150、ダイセル化学工業製)100質量部、光カチオン重合開始剤オニウム塩3質量部の混合物である。光カチオン重合開始剤オニウム塩は、ドライフィルム10中の光カチオン重合開始剤(SP−172)よりも高い光感度を有し、低露光量においてもカチオンを生成することができる。ドライフィルム12の貼り付けは、転写装置(商品名;VTM―200、タカトリ製)によって行い、ドライフィルム12のドライフィルム10上の厚みを10.0μmとした。転写の際のドライフィルム12の温度は40℃、ドライフィルム12にかける圧力は0.3MPaとした。続いて、支持部材を剥離速度5mm/secで剥離し、ドライフィルムをパターン露光及び加熱した。パターン露光は露光装置(商品名;FPA−3000i5+、キヤノン製)にてi線を用いて行い、露光量は1000J/mとした。露光の際、マスクを用い、ドライフィルム12に図4に示す潜像を形成した。加熱はホットプレートにて90℃5minとし、ドライフィルム12の硬化反応を促進した。尚、ドライフィルム12の露光の際にドライフィルム10も露光されることになるが、ドライフィルム10の形成材料の影響でドライフィルム10に硬化反応は認められなかった。
最後に、図4(e)に示すように、ドライフィルム10及びドライフィルム12をプロピレングリコールモノメチルアセテートによって現像し、吐出口3及び流路4を形成した。
製造された液体吐出ヘッドを電子顕微鏡にて観察したところ、流路4の形状や基板1から吐出口3までの高さは、基板1上のどの場所でも均一であった。
さらに、液体吐出ヘッドに、電気配線の接合等を行い、液体吐出装置に装着した。この液体吐出ヘッドを用いて画像を記録したところ、吐出が安定しており、良好な画像が形成できた。
<比較例>
開口8bを形成しなかった以外は実施例と同様にして、液体吐出ヘッドを製造した。
製造された液体吐出ヘッドを電子顕微鏡にて観察したところ、流路4の形状が、場所によって異なっていた。特に、端部の供給部上と、その外側において、高さの変化が大きくなっていた。また、流路4の高さと同様に、吐出口3の高さも場所によって異なっていた。
この液体吐出ヘッドを液体吐出装置に装着し、画像を記録したところ、液体の吐出が安定せず、所望の画像を形成できないことがあった。

Claims (20)

  1. 表面に液体の供給部が開口した基板と、前記基板の表面上に設けられた層と、前記層上に設けられた部材であって、前記供給部から液体が供給され液体を吐出する吐出口に連通する流路を形成する部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記供給部の開口が内側に設けられており、配列方向に沿って配列する複数の開口と、前記配列方向における前記複数の開口のうち最も外側に開口する開口よりも外側に開口する、前記複数の開口とは別の開口と、を有する層を、表面上に有する基板を用意する工程と、
    前記基板及び前記層上に、前記流路を形成するドライフィルムを貼り付ける工程と、
    を有することを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記層はエポキシ樹脂で形成された層である請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記層はポリエーテルアミドで形成された層である請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記ドライフィルムは感光性樹脂で形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記供給部の開口が内側に設けられている開口の内側には、前記吐出口から液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記供給部の開口が内側に設けられている1つの開口の面積は2500μm以上10000μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記供給部の1つの開口の面積は300μm以上2000μm以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記層の厚みは0.5μm以上3.0μm以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記供給部の開口が内側に設けられている1つの開口の幅は、前記別の1つの開口の幅の80%以上120%以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記供給部の開口が内側に設けられている1つの開口の面積は、前記別の1つの開口の面積の80%以上120%以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記別の開口は、前記複数の開口のうち前記配列方向における両方の最も外側の開口の外側に開口している請求項1乃至10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記ドライフィルムを前記基板及び前記層上に貼り付ける際の貼り付け方向に関して、前記配列方向の手前側に前記別の開口が開口している請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記ドライフィルムを前記基板及び前記層上に貼り付ける際の貼り付け方向に関して、前記配列方向の奥側に前記別の開口が開口している請求項1乃至12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記配列方向の、前記基板の短手方向における外側に、前記別の開口が開口する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記ドライフィルムの上に、前記吐出口を形成するドライフィルムを貼り付ける請求項1乃至14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  16. 前記別の開口は複数開口している請求項1乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  17. 前記供給部の開口が内側に設けられている開口のピッチは、前記別の開口のピッチの80%以上120%以下である請求項1乃至16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  18. 前記別の開口は、前記供給部の開口が内側に設けられている開口の配列方向と交わる方向に延在している請求項1乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 前記別の開口が開口する位置で前記基板を切断する請求項1乃至18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  20. 前記供給部の開口が内側に設けられている開口を含む基板と、前記基板とは別の前記供給部の開口が内側に設けられている開口を含む基板との間に、前記別の開口が開口している請求項1乃至18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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