JP2014198386A - インク吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル層の膜厚を大きくすることができると共に、ノズル層の基板からの剥がれを抑止することができるインク吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】基板のエネルギー発生素子が設けられた一方の面に、インク流路となる犠牲層と、第1レジストによって犠牲層の側壁部の上端部まで、又は、上端部よりも下側を囲んでインク室の下側側壁部16となる下側インク流路壁を形成する下側インク流路壁形成工程と、下側インク流路壁を露光し現像してインク室の下側側壁部を形成する下側側壁部形成工程と、下側側壁部と犠牲層の上側に、第2レジストによって犠牲層を囲んで、下側側壁部と共にインク室3を区画するインク流路壁を形成すると共に、犠牲層の上側にノズル層を形成するインク室部形成工程と、インク流路壁及びノズル層18を露光し現像してインク室とノズル層にインクを吐出するノズル2を形成するノズル形成工程と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェットプリンタ等に用いられるインク吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
従来より、インクジェットプリンタ等に用いられるインク吐出ヘッドの製造方法に関して種々提案されている。
例えば、インク吐出圧力発生素子が形成された基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路となる固体層を形成する工程と、この固体層にインク流路壁及びノズルとなるネガ型のエポキシ樹脂に光酸発生触媒あるいは光増感剤の添加量を変えて多層塗布し、各層を同時に露光することにより、所望のテーパ形状を有するノズルを形成する工程と、前記固体層を溶出してインク流路を形成する工程と、から構成されるインクジェット記録ヘッドの製造方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2008−30272号公報
前記した特許文献1に記載されたインクジェット記録ヘッドの製造方法では、インクを収容するインク室の流路壁は、ノズルを構成するネガ型のエポキシ樹脂と一度に露光し現像することによって形成される。
しかしながら、本願出願人は、インク室の流路壁とノズル層を構成するネガ型のエポキシ樹脂を一度に露光・現像することで基板上に形成し、このネガ型エポキシ樹脂の基板に対して垂直方向の高さ、つまり、ネガ型エポキシ樹脂の基板に対して垂直方向の膜厚を種々変化させてインク室の流路壁及びノズル層を形成する実験を行った。この結果、図11に示すように、基板に対してネガ型エポキシ樹脂の垂直方向の膜厚が40μm以上となるようにインク室の流路壁とノズル層を形成した場合には、インク室の流路壁とノズル層を構成するネガ型のエポキシ樹脂が、残留応力による歪みによって基板から剥がれる虞が高くなるという問題が発生した。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ノズル層の膜厚を大きくすることができると共に、ノズル層の基板からの剥がれを抑止することができるインク吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に係るインク吐出ヘッドの製造方法は、インクを吐出するために用いられるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が一方の面に設けられた板状の基板を準備する準備工程と、前記一方の面に、インク流路となる犠牲層と、第1レジストによって前記犠牲層の側壁部の基板に対して垂直方向の上端部まで、又は、前記垂直方向の上端部よりも下側を囲んでインクを収容するインク室の下側側壁部となる下側インク流路壁を形成する下側インク流路壁形成工程と、前記下側インク流路壁を露光し現像することによって前記インク室の下側側壁部を形成する下側側壁部形成工程と、前記下側側壁部と前記犠牲層の上側に、第2レジストによって前記犠牲層を囲んで、前記下側側壁部と共にインクを収容するインク室を区画するインク流路壁を形成すると共に、前記犠牲層の上側にノズル層を形成するインク室部形成工程と、前記インク流路壁及び前記ノズル層を露光し現像することによって前記インク室と前記ノズル層にインクを吐出するノズルを形成するノズル形成工程と、前記ノズル形成工程の後に、前記犠牲層を除去する犠牲層除去工程と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に係るインク吐出ヘッドの製造方法は、請求項1に記載のインク吐出ヘッドの製造方法において、前記インク室部形成工程において、前記下側側壁部の前記基板に対して垂直方向の第1厚さは、前記下側側壁部の前記基板に対して垂直方向の上端面から前記ノズル層の前記基板に対して垂直方向の上端面までの第2厚さよりも小さいことを特徴とする。
また、請求項3に係るインク吐出ヘッドの製造方法は、請求項1又は請求項2に記載のインク吐出ヘッドの製造方法において、前記下側流路壁形成工程において、前記下側インク流路壁の前記基板に対して垂直方向の厚さは、40μm未満であることを特徴とする。
更に、請求項4に係るインク吐出ヘッドの製造方法は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインク吐出ヘッドの製造方法において、前記下側インク流路壁形成工程において、前記下側インク流路壁を形成する第1レジストと、前記インク室部形成工程において、前記インク流路壁及び前記ノズル層を形成する第2レジストとは、同じレジスト材料であることを特徴とする。
請求項1に係るインク吐出ヘッドの製造方法では、エネルギー発生素子が形成された基板上に、インク流路となる犠牲層と、第1レジストによって犠牲層の側壁部の基板に対して垂直方向の上端部まで、又は、犠牲層の基板に対して垂直方向の上端部よりも下側を囲んでインクを収容するインク室の下側側壁部を形成する。その後、第2レジストによって下側側壁部の上側にインク流路壁及びノズル層を形成する。
これにより、下側側壁部の基板に対して垂直方向の高さは、犠牲層の基板に対して垂直方向の上端部の高さ以下に形成されるため、下側側壁部の膜厚を小さくすることができ、残留応力による歪みを小さくして下側側壁部の基板からの剥がれを抑止することができる。また、下側側壁部の上側にインク流路壁及びノズル層を形成することができ、インク室内の基板に対して垂直方向の高さを容易に高くし、インク室に収容可能なインク量の増大化を図ることができる。
また、請求項2に係るインク吐出ヘッドの製造方法では、下側側壁部の基板に対して垂直方向の第1厚さは、下側側壁部の基板に対して垂直方向の上端面からノズル層の基板に対して垂直方向の上端面までの第2厚さよりも小さいため、下側側壁部の第1厚さを確実に小さくすることができる。また、下側側壁部の基板に対して垂直方向の上端面からノズル層の基板に対して垂直方向の上端面までの第2厚さを大きくすることが可能となり、ノズル層の膜厚を容易に厚くすることができる。
また、請求項3に係るインク吐出ヘッドの製造方法では、下側インク流路壁の基板に対して垂直方向の厚さは、40μm未満であるため、下側側壁部の基板に対して垂直方向の厚さを40μm未満にすることができ、下側側壁部の基板からの剥がれを更に抑止することができる。
更に、請求項4に係るインク吐出ヘッドの製造方法では、下側インク流路壁を形成する第1レジストと、インク流路壁及びノズル層を形成する第2レジストとは、同じレジスト材料であるため、下側側壁部と、下側側壁部の上側に形成されるインク流路壁及びノズル層との密着性を高めることができる。また、インク流路壁及びノズル層を形成する製造工程の簡易化及び製造コストの削減化を図ることができる。
本実施形態に係るインク吐出ヘッドを示す斜視図である。 図1のX1−X1矢視断面図である。 本実施形態に係るインク吐出ヘッドの製造方法を示す工程断面図で、基板上にヒータと耐キャビテーション膜と密着層を形成した状態を模式的に示す図である。 図3に続いて、犠牲層を形成した状態を模式的に示す工程断面図である。 図4に続いて、下側流路壁形成層を形成して、フォトマスク介して露光した状態を模式的に示す工程断面図である。 図5に続いて、現像して下側側壁部を形成した状態を模式的に示す工程断面図である。 図6に続いて、インク室形成層を形成して、フォトマスク介して露光した状態を模式的に示す工程断面図である。 図7に続いて、現像してノズル及び上側ノズル層を形成した状態を模式的に示す工程断面図である。 図8に続いて、インク供給口を形成した状態を模式的に示す工程断面図である。 本発明の下側側壁部の膜厚と、上側ノズル層の膜厚とをそれぞれ変化させたときにおける、インク室部の基板からの剥がれ発生実験の実験結果の一例を示す図である。 従来の1回の露光、現像によってインク流路壁とノズル層を形成したときにおける、インク室部を形成するネガ型エポキシ樹脂の膜厚に対するインク室部の基板からの剥がれ発生実験の実験結果の一例を示す図である。
以下、本発明に係るインク吐出ヘッドの製造方法について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るインク吐出ヘッド1の概略構成について図1及び図2に基づいて説明する。尚、以下の説明において、図1の上方向、下方向が、それぞれインク吐出ヘッド1の上方向、下方向である。
[インク吐出ヘッド1の概略構成]
図1及び図2に示すように、インク吐出ヘッド1は、インクを吐出する複数のノズル2が、所定のピッチで一方向に2列に並んで形成されている。各ノズル2は、それぞれインク室3に連通している。各インク室3内には、インクを吐出するためのエネルギー発生素子として機能するヒータ5がそれぞれ設けられ、保護膜6が積層されてノズル2に対応する部分に耐キャビテーション膜7が形成されている。
また、インク供給口8が、インク吐出ヘッド1の下面からシリコン製の基板11の表裏面を上下方向に貫通して、2列のヒータ5の間に開口し、各インク室3へインクが供給される。各インク室3に供給されたインクは、ヒータ5の加熱によりその一部が気泡となって、インク室3内のインクを押し出し、ノズル2から吐出される。尚、ヒータ5に替えて、ピエゾ素子を設け、このピエゾ素子に電圧をかけて変形させ、インク室3内のインクをノズル2から吐出するようにしてもよい。
図2に示すように、インク吐出ヘッド1の層構造は、各ヒータ5を駆動する駆動回路12等が形成された基板11と、ヒータ5と、インク室部15とから主に構成されている。インク室部15は、基板11の一方の面(例えば、上面)に形成される。インク室部15は、下側側壁部16と上側ノズル層17とから構成されている。
下側側壁部16は、基板11から上方に立設されてインク室3を区画するインク流路壁19の基板11に対して垂直方向の上端部までの部分、又は、上端部よりも低い部分を構成する。上側ノズル層17は、下側側壁部16の上側に形成されて、下側側壁部16と共にインク室3を区画するインク流路壁19を形成すると共に、インク流路壁19の上端から横方向に延出されてインク流路の天井部を構成するノズル層18を形成する。
下側側壁部16は各ヒータ5及び各耐キャビテーション膜7を囲み、エポキシ樹脂からなる密着層21を介してヒータ5上に形成された保護膜6に接合されている。また、下側側壁部16の上側に形成された上側ノズル層17に形成された各ノズル2は、ヒータ5のほぼ真上に設けられている。尚、下側側壁部16と上側ノズル層17とによって形成されるインク流路壁19は、ヒータ5及びインク供給口8を全周に渡って囲む態様であっても、一部や一辺が開口した状態で囲む態様であっても、どちらでも差し支えない。尚、上側ノズル層17の上端面17Aにおいて、各ノズル2の吐出口を囲む面上にのみ撥水層を形成してもよい。
基板11は、結晶方位が<100>面のシリコンからなる。但し、結晶方位は<100>面に限定されるわけではなく、例えば、<110>面等の他の結晶方位でもよい。各ヒータ5は、上下に電極22が積層され、駆動回路12から駆動電流が供給され発熱駆動される。また、両側縁部の各電極22上には、駆動回路12に対して駆動信号や電力を供給するための電極パッド23が形成されている。
[インク吐出ヘッド1の製造方法]
以下、インク吐出ヘッド1の製造方法を図3乃至図9と図2に基づいて説明する。
先ず、図3に示すように、シリコン製の基板11の上に駆動回路12を形成し、この駆動回路12の両側縁部に各電極22を形成する。続いて、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、駆動回路12等の上側に、絶縁膜25となる酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiNx)を、1μm〜5μmの厚さになるように形成する。また、基板11の裏面の全面に、酸化膜26となる酸化シリコン(SiO)を、プラズマCVD、若しくは、駆動回路12を形成する工程中の熱酸化により1μm〜5μmの厚さになるように形成する。
続いて、絶縁膜25の上に、スパッタリング法によって、ヒータ5の発熱抵抗体となるタンタルアルミニウム(Ta−Al)を30nm〜100nmの厚さに形成し、その後、ヒータ5の電極22となるアルミ銅(Al−Cu)を200nm〜1000nmの厚さに形成する。そして、フォトリソグラフィ法によって、タンタルアルミニウム層とアルミ銅層とを予め定められた形状にパターニングする。タンタルアルミニウム層とアルミ銅層は、ドライエッチングによって同時に配線パターンの形状が形成される。
その後、フォトリソグラフィ法によって、ヒータ5の配置部分等をパターニングする。ヒータ5の配置部分等に対応するアルミ銅層は、ウエットエッチングにより除去されて、ヒータ5の配置部分をパターニングした形状が形成される。
更に、プラズマCVD法によって、保護膜6となる窒化シリコン(SiNx)を200nm〜1000nmの厚さに形成する。その後、保護膜6の上に、スパッタリング法によって、耐キャビテーション膜7となるタンタル(Ta)を100nm〜500nmの厚さに形成する。そして、フォトリソグラフィ法によって、タンタル膜及び保護膜6をパターニングする。耐キャビテーション膜7及び電極パッド23の配置部分に対応する保護膜6は、ドライエッチングによって除去する。続いて、メッキバンプ等によって、電極パッド23を形成する。
続いて、保護膜6の上に、例えば、スピンコートによって、密着層21となるエポキシ樹脂をベースとして感光した部分が残るネガ型レジスト(例えば、日本化薬株式会社製の光硬化エポキシ樹脂SU−8等である。)を1μm〜3μmの厚さに形成し、加熱(以下、「ベーク」という。)により乾燥させる。そして、フォトリソグラフィ法によって、密着層21に対応する予め定められた形状にパターニングし、密着層21を形成する。その後、高温でベークにより硬化させ、基板との密着性を高める。
次に、図4に示すように、保護膜6の上に、例えば、スピンコートによって、犠牲層27となる感光した部分が溶解するポジ型レジスト(例えば、東京応化工業株式会社製のPMER P−LA900PM等である。)を、例えば、20μm〜40μmの厚さに形成し、ベークにより乾燥する。そして、フォトリソグラフィ法により、ポジ型レジストをインク流路となる形状にパターニングした後、弱アルカリ水溶液で現像して犠牲層27を形成する。
次に、図5に示すように、犠牲層27の側壁部27Aの基板11に対して垂直方向の上端部まで、又は、垂直方向の上端部よりも下側を囲むように、例えば、スピンコートによって、ネガ型レジスト(例えば、日本化薬株式会社製の光硬化エポキシ樹脂SU−8等である。)を、密着層21の上端面21Aから40μm未満の厚さ、好ましくは、20μm〜35μmの厚さになるように形成する。ネガ型レジストは、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等にシランカップリング剤、光重合開始剤を混合し、キシレンやトルエン等の炭化水素系溶剤に溶解したものである。
その後、70℃前後でベークにより乾燥させ、下側側壁部16となる下側流路壁形成層28を保護膜6の全面を覆うように形成する。従って、下側側壁部16の厚さT1は、犠牲層27の上端面27Bを上側に超えない厚さで、且つ、密着層21の上端面21Aから40μm未満の厚さ、好ましくは、約20μm〜35μmの厚さになるように形成される。
続いて、フォトマスク31を下側流路壁形成層28の上に載置し、紫外線露光を行って、下側側壁部16をパターニングする。このフォトマスク31は、下側側壁部16よりも外側の部分を遮光する遮光部31Aと、犠牲層27に対向する部分を遮光する遮光部31Bと、下側側壁部16に対向する部分が透過する透過部31Cとから構成されている。これにより、下側流路壁形成層28の各遮光部31A、31Bに対向する部分は、紫外線が遮光され、感光されない。そして、透過部31Cに対向する部分は、密着層21に達する深さまで紫外線によって感光される。
次に、図6に示すように、犠牲層27を溶解しないキシレン若しくはトルエンを用いて下側流路壁形成層28を現像した後、70℃前後でベークすることによって、犠牲層27の側壁部27Aの上端を超えないように囲む下側側壁部16が形成される。従って、密着層21の上面に、犠牲層27の側壁部27Aの上端を超えない、40μm未満の厚さ、好ましくは、20μm〜35μmの厚さT1の下側側壁部16が形成される。
次に、図7に示すように、下側側壁部16と犠牲層27の上側に、例えば、スピンコートによって、下側側壁部16を形成したネガ型レジストと同じネガ型レジスト(例えば、日本化薬株式会社製の光硬化エポキシ樹脂SU−8等である。)を犠牲層27の上端面27Bから20μm〜60μmの厚さになるように形成する。つまり、下側側壁部16と犠牲層27の上側に、ネガ型レジストを下側側壁部16の上端面から25μm〜80μmの厚さT2、即ち、下側側壁部16の厚さT1よりも大きい厚さT2になるように形成する。
その後、70℃前後でベークにより乾燥させ、上側ノズル層17となるインク室形成層32を犠牲層27、下側側壁部16及び保護膜6の全面を覆うように形成する。従って、ノズル層18の厚さは、犠牲層27の上端面27Bから20μm〜60μmの厚さに形成される。また、下側側壁部16の上端面から上側ノズル層17の上端面17Aまでの厚さT2は、25μm〜80μmの厚さに形成される。
続いて、フォトマスク33をインク室形成層32の上に載置し、紫外線露光を行って、上側ノズル層17をパターニングする。このフォトマスク33は、上側ノズル層17よりも外側、つまり、インク室部15(図2参照)よりも外側の部分を遮光する遮光部33Aと、各ノズル2の吐出口に対応する部分を遮光する遮光部33Bと、上側ノズル層17に対向する部分が透過する透過部33Cとから構成されている。これにより、インク室形成層32の各遮光部33A、33Bに対向する部分は、紫外線が遮光され、感光されない。そして、透過部33Cに対向する部分は、下側側壁部16及び犠牲層27に達する深さまで紫外線によって感光される。
次に、図8に示すように、犠牲層27を溶解しないキシレン若しくはトルエンを用いてインク室形成層32を現像した後、70℃前後でベークすることによって、下側側壁部16と犠牲層27の上側に、犠牲層27を囲む上側ノズル層17が、下側側壁部16の厚さT1よりも大きい厚さT2で形成される。従って、基板11の上面に、下側側壁部16と上側ノズル層17とから構成される厚さ(T1+T2)のインク室部15が形成される。
つまり、犠牲層27を囲んでインク室3を区画するインク流路壁19と、このインク流路壁19と犠牲層27との上側に形成されたノズル層18とから構成される厚さ(T1+T2)のインク室部15が形成される。また、各ノズル2が犠牲層27の上側に形成されたノズル層18に形成される。
次に、図9に示すように、基板11の下面の酸化膜26上に、例えば、スピンコートによって、ポジ型レジスト(例えば、東京応化工業株式会社製のOFPR−800等である。)を1μm程度の厚さに形成し、ベークにより硬化する。そして、フォトリソグラフィ法により、ポジ型レジストをインク供給口8に対応する形状に現像してパターニングした後、酸化膜26をドライエッチング、またはウエットエッチング等によってインク供給口8に対応する形状にパターニングした後、ポジ型レジストを除去する。
続いて、水酸化カリウム(KOH)水溶液やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ溶液を用いたウエットエッチングによって、酸化膜26から基板11の上面に向かってSi異方性エッチング(化学的エッチング)を行う。基板11の異方性は<100>又は<110>であるため、基板11の裏面から進行するSi異方性エッチングは、基板11の上面に形成された絶縁膜25に容易に到達し、インク供給口8が形成される。その後、ドライエッチング等により、インク供給口8の上に位置する絶縁膜25、保護膜6を除去する。
次に、図2に示すように、全体をアセトンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の有機溶剤に浸すことによって、犠牲層27を有機溶剤に溶解させ、インク供給口8から流出させて除去し、乾燥する。これにより、インク室部15内に、各インク室3及び各インク室3とインク供給口8とを連通するインク流路が形成される。その後、基板11をダイシングソー等によって切断分離することによって、インク吐出ヘッド1がチップ化される。
尚、基板11をダイシングソー等によって切断分離する前に、上側ノズル層17の上端面17Aにおいて、各ノズル2の吐出口を囲む面上にのみ撥水層を形成してもよい。具体的には、スプレーコートによって、感光性を有する撥水材料を液体微粒子にして、ノズル層18の上に、基板11の上面に対して略垂直に吹き付け、30nm〜200nmの厚さに形成してもよい。
その後、70℃前後でベークにより乾燥させ、上記フォトマスク33を、インク室部15の上に載置し、紫外線露光を行って、撥水層をパターニングする。次に、全体をアセトンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の有機溶剤に浸すことによって、硬化していない撥水材料を除去し、ノズル層18の上端面において、各ノズル2の吐出口を囲む面上にのみ撥水層を形成するようにしてもよい。
ここで、前記インク吐出ヘッド1の製造方法によって、下側側壁部16と上側ノズル層17の基板11に対して垂直方向の各厚さT1、T2を変化させたときにおける、インク室部15の基板11からの剥がれ発生実験の実験結果の一例について図10に基づいて説明する。尚、犠牲層27の基板11に対して垂直方向の厚さは、40μmの厚さに形成した。
図10に示すように、下側側壁部16の厚さT1を32μm、上側ノズル層17の厚さT2を40μmとし、合計厚さを72μmとした場合には、インク室部15の基板11からの剥がれは、発生しなかった。また、下側側壁部16の厚さT1を30μm、上側ノズル層17の厚さT2を60μmとし、合計厚さを90μmとした場合にも、インク室部15の基板11からの剥がれは、発生しなかった。更に、下側側壁部16の厚さT1を20μm、上側ノズル層17の厚さT2を80μmとし、合計厚さを100μmとした場合にも、インク室部15の基板11からの剥がれは、発生しなかった。
従って、厚さT1が20μmの厚さの下側側壁部16の上側に、厚さT2が80μmの上側ノズル層17を形成して、インク室部15の厚さが100μmに達しても、基板11からの剥がれは、発生していない。これは、下側側壁部16の厚さT1を、20μm〜32μm程度の厚さにすることによって、上側ノズル層17の基板11との熱膨張係数の差に基づく歪み変形量が緩和されるため、インク室部15の厚さを40μm以上に形成しても、インク室部15の基板11からの剥がれが抑止されるものと考えられる。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るインク吐出ヘッド1の製造方法では、ヒータ5が形成された基板11上に、インク流路となる犠牲層27と、エポキシ樹脂等によるネガ型レジストによって犠牲層27の側壁部27Aの上端を超えない、40μm未満の厚さT1、好ましくは、20μm〜35μmの厚さT1の下側側壁部16を形成する。その後、下側側壁部16を形成したネガ型レジストと同じネガ型レジストによって下側側壁部16の上端面から25μm〜80μmの厚さT2、即ち、下側側壁部16の厚さT1よりも大きい厚さT2の上側ノズル層17を形成して、インク流路壁19及びノズル層18から構成されるインク室部15を形成する。
これにより、下側側壁部16の基板11に対して垂直方向の厚さT1は、犠牲層27の基板に対して垂直方向の上端部の厚さ以下、つまり、厚さT1は40μm未満に形成されるため、下側側壁部16の厚さT1を小さくすることができ、残留応力による歪みを小さくして下側側壁部16の基板11からの剥がれを抑止することができる。また、下側側壁部16の上側にインク流路壁19及びノズル層18となる上側ノズル層17を、下側側壁部16の厚さT1よりも大きい厚さT2で形成することができ、インク室3内の基板11に対して垂直方向の高さを容易に高くし、インク室3に収容可能なインク量の増大化を図ることができる。
また、下側側壁部16の基板11に対して垂直方向の厚さT1は、下側側壁部16の基板11に対して垂直方向の上端面から上側ノズル層17の基板に対して垂直方向の上端面までの厚さT2よりも小さいため、下側側壁部16の厚さT1を確実に小さくすることができる。また、下側側壁部16の基板11に対して垂直方向の上端面から上側ノズル層17の基板11に対して垂直方向の上端面までの厚さT2を25μm〜80μmの厚さに大きくすることが可能となり、ノズル層18の膜厚を容易に厚くすることができる。
更に、下側側壁部16を形成するネガ型レジストと、上側ノズル層17を形成するネガ型レジストとは、同じレジストであるため、下側側壁部16と、下側側壁部16の上側に形成される上側ノズル層17との密着性を高めることができる。また、下側側壁部16及び上側ノズル層17、つまり、インク流路壁19及びノズル層18から構成されるインク室部15を形成する製造工程の簡易化及び製造コストの削減化を図ることができる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)例えば、図7に示すインク室形成層32に替えて、下側側壁部16と犠牲層27の上側に、例えば、スピンコートによって、下側側壁部16を形成したネガ型レジストと同じネガ型レジストに光酸発生触媒あるいは光増感剤の添加量を変えて多層塗布し、フォトマスク33によって各層を同時に紫外線露光を行うようにしてもよい。その後、犠牲層27を溶解しないキシレン若しくはトルエンを用いて現像した後、70℃前後でベークすることによって、所望のテーパ形状を有するノズルを形成するようにしてもよい。
(B)また、例えば、下側側壁部16を基板11に対して複数層積層すると共に、密着層21の上端面21Aからの総厚さが40μm未満になるように形成してもよい。これにより、下側側壁部16の基板11との熱膨張係数の差に基づく歪み変形量が緩和されるため、インク室部15の厚さを40μm以上に形成しても、インク室部15の基板11からの剥がれを更に抑止することができる。
1 インク吐出ヘッド
2 ノズル
3 インク室
5 ヒータ
11 基板
15 インク室部
16 下側側壁部
17 上側ノズル層
18 ノズル層
19 インク流路壁
27 犠牲層
28 下側流路壁形成層
31、33 フォトマスク
32 インク室形成層

Claims (4)

  1. インクを吐出するために用いられるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が一方の面に設けられた板状の基板を準備する準備工程と、
    前記一方の面に、インク流路となる犠牲層と、第1レジストによって前記犠牲層の側壁部の基板に対して垂直方向の上端部まで、又は、前記垂直方向の上端部よりも下側を囲んでインクを収容するインク室の下側側壁部となる下側インク流路壁を形成する下側インク流路壁形成工程と、
    前記下側インク流路壁を露光し現像することによって前記インク室の下側側壁部を形成する下側側壁部形成工程と、
    前記下側側壁部と前記犠牲層の上側に、第2レジストによって前記犠牲層を囲んで、前記下側側壁部と共にインクを収容するインク室を区画するインク流路壁を形成すると共に、前記犠牲層の上側にノズル層を形成するインク室部形成工程と、
    前記インク流路壁及び前記ノズル層を露光し現像することによって前記インク室と前記ノズル層にインクを吐出するノズルを形成するノズル形成工程と、
    前記ノズル形成工程の後に、前記犠牲層を除去する犠牲層除去工程と、
    を備えたことを特徴とするインク吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記インク室部形成工程において、前記下側側壁部の前記基板に対して垂直方向の第1厚さは、前記下側側壁部の前記基板に対して垂直方向の上端面から前記ノズル層の前記基板に対して垂直方向の上端面までの第2厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記下側流路壁形成工程において、前記下側インク流路壁の前記基板に対して垂直方向の厚さは、40μm未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記下側インク流路壁形成工程において、前記下側インク流路壁を形成する第1レジストと、前記インク室部形成工程において、前記インク流路壁及び前記ノズル層を形成する第2レジストとは、同じレジスト材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインク吐出ヘッドの製造方法。
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