JP2006082331A - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Shuji Koyama
修司 小山
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謙児 藤井
Masanori Osumi
正紀 大角
Jun Yamamuro
純 山室
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Abstract

【課題】 ワイピング回数が増加しても、長期間にわたって撥水性能を維持することが可能となり、同時に、インク滴の安定した吐出も可能となるインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 インク吐出エネルギー発生素子と、流路となる部分を占有する型材とが設けられた基板上に、ノズル形成部材および撥水部材をパターニングすることによりインク吐出口を形成し、エッチング液を用いてインク供給口を形成し、型材を除去することによりノズル部を形成する工程を包含するインクジェット記録ヘッドにおいて、エッチング液から撥水部材を保護するための保護層と型材を同一材料とする。
【選択図】 図6

Description

本発明は、液体を噴射し飛翔液滴を形成して記録を行う液体吐出ヘッドに関するものである。また本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用できる発明である。
なお、本発明における『記録』とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することも意味する。
インク吐出エネルギー発生素子が設けられた基板に対して略垂直方向にインク滴を吐出する、いわゆるサイドシューター型のインクジェット記録ヘッドの場合、インク吐出エネルギー発生素子が設けられた基板に貫通口を形成することによりインク供給口が設けられる。このタイプのインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口を介して基板の裏側からインクを供給する方式がとられている。このようなインクジェット記録ヘッドの製造方法としては、特許文献1や、特許文献2に記載のものが知られている。
ここでは、インク吐出エネルギー発生素子の形成された基板に、サンドブラスト加工、あるいは、超音波研削加工といった機械的加工方法によって貫通口を形成している。また近年では、インクジェット記録ヘッドの小型化、高密度化に対応し、基板上にインク吐出エネルギー発生素子を駆動するための電気的駆動回路を形成したものも知られている。
このような基板を用いる際に、前述したサンドブラストや超音波研削のような機械的加工を施してインク供給口を形成すると、駆動回路が耐静電気、耐振動の点で非常に敏感であることから、回路特性に影響を与える要因となり、加工の取り扱いに大きな注意が必要となる。
そこで、基板の材料にSiを用いる場合、化学的エッチングにより貫通口を形成し、インク供給口を設ける方法が提案されている。Siに対する化学的エッチングは、形成する回路パターン等の高密度化の点で有利な、アルカリ系のエッチング液を使用した異方性エッチングが一般的に行われている。この方法では、高精度な加工が施せることに加え、ウェットエッチングにより大量のバッチ処理が行えるという生産性の点においても利点がある。しかし、このような化学的エッチングでは、基板表面がエッチング液にさらされるため、その表面特性に影響を及ぼす場合がある。
インクジェット記録ヘッドにおいては、インク吐出口周辺部のインクに対する濡れ性を低くすることにより、インク滴の大きさ、吐出方向、吐出速度等を安定化させ、高品位な印字を行うことを目的として、インク吐出口が形成されているノズル部の表面に撥水処理を施すことがあるが、前述したような化学的エッチングを行うと、撥水部材の材料や状態によっては、その撥水特性が低下してしまう可能性がある。
このような問題を改善する手段としては、特許文献3に記載されているような、デバイス表面をエッチング液から保護するための保護膜を形成する方法が提案されている。ここでは、環化ゴム系の樹脂で、デバイスの形成された基板表面を被覆し、この状態でアルカリ系のエッチング液に浸漬して異方性エッチングを行うことにより、デバイス表面の特性に影響を与えることなく、インク供給口を形成している。
以下、従来の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、従来のインクジェット記録ヘッドのノズル部を形成する基本的な製造工程の一部を示すための断面模式図である。図2−aに示されるSi基板1上には、発熱抵抗体等のインク吐出エネルギー発生素子2が複数個配置されており、この基板1上には、溶解可能な樹脂層でインク流路部となる型材3が形成されている。
次に、図2−bに示すように、型材3上にノズル形成部材4をスピンコート等により形成する。さらに、ノズル形成部材4上にドライフィルムのラミネート等により撥水部材5を形成し、露光、現像を行って、インク吐出口6を形成する。
続いて、図2−cに示すように、撥水部材5上に保護膜7をスピンコート等により形成する。
この保護膜7は、異方性エッチングによりインク供給口を形成する際に、撥水部材5にエッチング液が触れることにより、その撥水特性が低下することを防ぐ役割を持っている。さらに、異方性エッチングにより、Si基板をエッチングして貫通口を形成し、インク供給口8を設ける。基板1の表面には、異方性エッチング時に深さ方向へのエッチングを停止させるためのエッチング停止膜層が設けられている。さらに、エッチング停止膜層をドライエッチング等により除去し、保護膜7を除去し、最後に型材3を除去することにより、図2−dに示すような、インクジェット記録ヘッドのノズル部が形成される。
特開昭63-264957号公報 米国特許第4789425号公報 特開2000-351214号公報
しかしながら、近年インクジェットプリンタにおいても高画質化のニーズが高まり、より高画質の印字を得るために、インク吐出口の大きさが小さくなりつつある。このような場合、デバイス表面をエッチング液から保護するための保護膜を塗布しても、インク吐出口内に保護膜が入らず空隙が発生する、あるいは、インク吐出口内に保護膜が入っても、型材との界面に気泡を抱き込んだ状態が発生する。このような状態で異方性エッチングを行うと、高温での長時間加熱により前述した空隙、あるいは気泡が熱膨張し、上部の保護膜を破裂させる。保護膜が破裂してしまうと、デバイス表面が剥き出しの状態となってしまい、後工程でデバイス表面に悪影響を与える場合がある。
以下、図3および図4に基づいて、さらに詳細に説明する。
図3−aは、インク吐出口6形成後の状態である。最表面には、撥水部材5が形成されている。インク吐出口6の下部では型材3が剥き出しになっている。ここに、図3−b−1に示すように、保護膜7を形成する。インク吐出口がある程度大きければ、保護膜はインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填することができる。しかし、インク吐出口が小さくなるにつれ、図3−b−22に示すように、保護膜がインク吐出口内に入っていきにくくなり、インク吐出口内に空隙9が発生する。
このような状態で異方性エッチングを行うと、図3−cに示すように、空隙9内の気体が熱膨張する。気体のさらなる熱膨張に保護膜が耐え切れなくなると、図3−dに示すように、インク吐出口上部の保護膜が破裂し、保護膜破裂部10が発生する。保護膜破裂部10では、撥水部材5上の保護膜がなく、撥水部材5が剥き出しの状態となる。さらに後工程を実施すると、異方性エッチングのエッチング停止膜層をドライエッチングで除去する工程において、保護膜破裂部10における剥き出しとなった撥水部材5もエッチングされ、図3−eに示すように、撥水部材破損部11が発生する。
また、インク吐出口が小さくなるにつれ、図4−b−2に示すように、インク吐出口内に気泡14を抱き込んだ状態も発生する。このような状態で異方性エッチングを行っても、図4−cに示すように、気泡14が熱膨張する。気泡のさらなる熱膨張に保護膜が耐え切れなくなると、図4−dに示すように、インク吐出口上部の保護膜が破裂し、保護膜破裂部10が発生する。さらに後工程を実施すると、異方性エッチングのエッチング停止膜層をドライエッチングで除去する工程において、保護膜破裂部10における剥き出しとなった撥水部材5もエッチングされ、図4−eに示すように、撥水部材破損部11が発生する。この状態で作製されたインクジェット記録ヘッドは、インク吐出口周辺の撥水部材がないため、印字を行うにつれ徐々にインク吐出口周辺にインクで濡れた領域が発生し、インク滴の吐出方向の安定性に影響を与える場合がある。インク吐出口内を空隙、あるいは気泡を発生させずに保護膜で充填するために、溶媒等で希釈した、より粘度の低い保護膜を使用すれば、保護膜はインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填することは可能である。
しかし、保護膜と型材とが接している界面では、保護膜の溶媒分が多いと型材との間で互いに相溶してしまい、保護膜でも型材でもない新たな反応生成物を発生させてしまう。この反応生成物は保護膜を除去する際の除去液にも、型材を除去する際の除去液にも溶解せず、インク吐出口内に残ってしまう可能性がある。インク吐出口内に反応生成物が残ってしまうと、インク滴の吐出方向に多大な影響を与え、高品位の印字を行う際に大きな障害となる。
本出願にかかる発明は、上記の問題に鑑みてなされたものである。
本出願にかかる第1の発明は、インクを吐出するためのインク吐出エネルギー発生素子と、少なくとも流路となる部分を占有する型材とが設けられた基板上に、ノズル形成部材および撥水部材をパターニングすることによりインク吐出口を形成し、エッチング液を用いてインク供給口を形成し、前記型材を除去することによりノズル部を形成する工程を包含するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記エッチング液から前記撥水部材を保護するための第一の保護層を形成し、かつ前記第一の保護層と前記型材を同一材料とすることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。好ましくは、前記第一の保護層と前記型材が、ポリメチルイソプロペニルケトンであることである。
本出願にかかる第2の発明は、インクを吐出するためのインク吐出エネルギー発生素子と、少なくとも流路となる部分を占有する型材とが設けられた基板上に、ノズル形成部材および撥水部材をパターニングすることによりインク吐出口を形成し、エッチング液を用いてインク供給口を形成し、前記型材を除去することによりノズル部を形成する工程を包含するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記エッチング液から前記撥水部材を保護するための第一の保護層と前記第一の保護層上に第二の保護層を形成し、かつ前記第一の保護層と前記型材を同一材料とすることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。好ましくは、前記第一の保護層と前記型材が、ポリメチルイソプロペニルケトンであることである。より好ましくは、前記第二の保護層が、環化ゴム系のコーティング剤であることである。
本出願にかかる発明の構成によれば、ワイピング回数が増加しても、長期間にわたって撥水性能を維持することが可能となり、同時に、インク滴の安定した吐出も可能となる。
以上の説明から明らかなように、本出願にかかる発明によれば、インク吐出口の大きさが小さくなった場合にも、異方性エッチング時に撥水部材をエッチング液から保護するための保護層を型材と同一材料とすることにより、空隙、あるいは気泡を発生させずにインク吐出口内を充填し、かつ型材との間で新たな反応生成物が形成されることを防ぐことが可能となる。
さらに、保護層と型材とが同一材料なので各々を別々の工程で除去する必要はなく、両者を一括して除去可能なため、1工程削減の利点もある。
本出願にかかる発明の思想に沿うものであれば、実施形態は、本明細書の実施例やその他の具体的形状に限定されるものではない。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
上述したような課題を解決する手段として、撥水部材の上に第一の保護層を形成した状態で異方性エッチングを行い、かつ、第一の保護層を型材と同一の材料とすることが挙げられる。この場合、第一の保護層として、型材を溶媒で希釈して、より低粘度のものを使用すれば、インク吐出口が小さな場合でも、空隙、あるいは気泡を発生させずにインク吐出口内を充填することができる。また、第一の保護層と型材との界面においては、互いの粘度の違い、具体的には溶媒量の違いにより相溶が起こったとしても、構成材料は同一なため、相溶が原因で新たな反応生成物が形成されることもない。さらに、第一の保護層と型材が同一材料であれば、保護層と型材とを別々の工程で除去する必要はなく、型材を除去する工程で一括して除去可能なため、1工程削減の利点もある。また、ノズル形成部材4が厚い場合、低粘度の型材を第一の保護層として使用するだけでは厚みが不十分で基板全体を覆うことが困難な場合がある。このような場合、第一の保護層で空隙、あるいは気泡を発生させずにインク吐出口内を充填した後、第二の保護層を第一の保護層の上に形成し、デバイス表面を覆えば効果的である。
本実施例においては、第一の保護層として型材と同一の材料を使用し、図1および図5に示す製造工程によりノズル部を形成した。
まず、図1−aに示すように、インク吐出エネルギー発生素子2が設けられた基板1上に型材3(ODUR、東京応化工業(株)製)のパターンを厚さ14μmで形成した。
次に、図1−bに示すように、型材3上にノズル形成部材4をスピンコートにより厚さ10μmで塗布した。ノズル形成部材4は、エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤を溶剤に溶解して作製した。
続いて、ノズル形成部材4上にドライフィルムのラミネートにより撥水部材5を厚さ0.5μmで形成した。さらに、ミラー・プロジェクション・マスクアライナー(MPA-600 Super、キヤノン(株)製)を使用して0.2J/cm2の露光を行い、未露光部分を現像液で除去してインク吐出口6を形成した。インク吐出口6の大きさは、直径10μmであった。
次に、図1−cに示すように、撥水部材5上に第一の保護層12をスピンコートにより厚さ10μmで形成した。第一の保護層12には、型材と同一材料(ODUR、東京応化工業(株)製)を用い、型材に対して15%のキシレンで希釈して低粘度にしたものを使用した。さらに、TMAH 22wt%水溶液を約80℃に加熱温調し十数時間エッチングして貫通口を形成し、インク供給口8を設けた。基板表面のインク供給口が開口する部分には、異方性エッチング時に深さ方向へのエッチングを停止させるためのエッチング停止膜層が設けられている。エッチング停止膜層としてはプラズマCVDにより成膜されたSiO膜が形成されており、これにより基板の厚さ方向のエッチングが終了した状態で異方性エッチングは停止する。
続いて、インク供給口8と型材3とを隔てているエッチング停止膜層をドライエッチングにより除去し、インク供給口と型材とを貫通させた。最後に、型材と第一の保護層とを、除去液に浸漬させることにより一括除去した。除去液には乳酸メチル溶液を使用した。これにより、図1−dに示すような、インクジェット記録ヘッドのノズル部が形成された。
第一の保護層形成から異方性エッチングまでの工程を、図5を用いて、さらに詳細に示す。図5−aは、インク吐出口6形成後の状態である。最表面には、撥水部材5が形成されている。インク吐出口6の下部では型材3が剥き出しになっている。ここに、図5−bに示すように、第一の保護層12を形成する。第一の保護層形成後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、第一の保護層12はインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填されており、インク吐出口内に空隙や気泡は確認されなかった。
さらに、図5−c・dに示すように、異方性エッチングを行った。異方性エッチング終了後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、第一の保護層が破裂した部分は確認されなかった。このことからも、第一の保護層形成時に、空隙、あるいは気泡を発生させずにインク吐出口内を充填できていたことが示唆された。続いて、エッチング停止膜層の除去、型材および第一の保護層の除去を行った。除去後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、型材のノズル内部への残存、第一の保護層のノズル内部および基板表面への残存は確認されなかった。また型材と第一の保護層との界面で、除去液で除去できない新たな反応生成物が発生した痕跡も確認されなかった。
さらに、ノズル部が形成された基板1を、ダイシングソーにより分離切断、チップ化し、インク吐出エネルギー発生素子2を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドを完成させた。このインクジェット記録ヘッドを用い、顔料インクで印字耐久を行ったときの印字品位を確認した。印字枚数 3万枚の時点でも印字品位は良好であり、ヘッドのノズル部、特にインク吐出口周辺を観察したところ、インクによる濡れも確認されなかった。このことから、第一の保護層がデバイス表面、具体的には撥水部材5の撥水特性にも何ら悪影響を与えていないことが確認された。
本実施例においては、第一の保護層として型材と同一の材料を使用し、図6および図7に示す製造工程によりノズル部を形成した。
まず、図6−aに示すように、インク吐出エネルギー発生素子2が設けられた基板1上に型材3(ODUR、東京応化工業(株)製)のパターンを厚さ20μmで形成した。
次に、図6−bに示すように、型材3上にノズル形成部材4をスピンコートにより厚さ50μmで塗布した。ノズル形成部材4は、エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤を溶剤に溶解して作製した。続いて、ノズル形成部材4上にドライフィルムのラミネートにより撥水部材5を厚さ0.5μmで形成した。さらに、ミラー・プロジェクション・マスクアライナー(MPA-600 Super、キヤノン(株)製)を使用して0.7J/cm2の露光を行い、未露光部分を現像液で除去してインク吐出口6を形成した。インク吐出口6の大きさは、直径15μmであった。
次に、図6−cに示すように、第一の保護層12をスピンコートにより形成した。第一の保護層12には、型材と同一材料(ODUR、東京応化工業(株)製)を用い、型材に対して15%のキシレンで希釈して低粘度にしたものを使用した。続いて、図6−dに示すように、第一の保護層12に第二の保護層13をスピンコートにより形成した。第二の保護層13には、環化ゴム系の樹脂(OBC、東京応化工業(株)製)を用いた。さらに、TMAH 22wt%水溶液を約80℃に加熱温調し十数時間エッチングして貫通口を形成し、インク供給口8を設けた。基板表面のインク供給口が開口する部分には、異方性エッチング時に深さ方向へのエッチングを停止させるためのエッチング停止膜層が設けられている。エッチング停止膜層としてはプラズマCVDにより成膜されたSiO膜が形成されており、これにより基板の厚さ方向のエッチングが終了した状態で異方性エッチングは停止する。
続いて、インク供給口8と型材3とを隔てているエッチング停止膜層をドライエッチングにより除去し、インク供給口と型材とを貫通させた。 さらに、第二の保護層を除去液に浸漬させることにより除去した。除去液にはキシレンを使用した。最後に、型材と第一の保護層とを、除去液に浸漬させることにより一括除去した。除去液には乳酸メチル溶液を使用した。これにより、図6−eに示すような、インクジェット記録ヘッドのノズル部が形成された。
第一の保護層形成から異方性エッチングまでの工程を、図7を用いて、さらに詳細に示す。図7−aは、インク吐出口6形成後の状態である。最表面には、撥水部材5が形成されている。インク吐出口6の下部では型材3が剥き出しになっている。ここに、図7−bに示すように、第一の保護層12を形成した。第一の保護層形成後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、第一の保護層12はインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填されており、インク吐出口内に空隙や気泡は確認されなかった。ただし、ノズル形成部材4が厚いため、基板表面を完全に覆うには到っておらず、基板外周部では撥水部材が剥きだしの領域が存在した。
続いて、図7−cに示すように、第二の保護層13を形成した。第二の保護層形成後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、第一の保護層と第二の保護層との界面付近に空隙や気泡は確認されなかった。また、基板表面は、第二の保護層で完全に覆われている状態だった。さらに、図7−dに示すように、異方性エッチングを行った。異方性エッチング終了後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、第二の保護層が破裂した部分は確認されなかった。このことからも、第一の保護層形成時に、空隙、あるいは気泡を発生させずにインク吐出口内を充填できていたこと、さらに第一の保護層と第二の保護層との界面にも空隙や気泡が発生していなかったことが示唆された。
続いて、エッチング停止膜層の除去、第二の保護層の除去、型材および第一の保護層の除去を行った。除去後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、型材および第一の保護層のノズル内部への残存、第二の保護層のノズル内部および基板表面への残存は確認されなかった。また型材と第一の保護層との界面、第一の保護層と第二の保護層との界面で、除去液で除去できない新たな反応生成物が発生した痕跡も確認されなかった。
さらに、ノズル部が形成された基板1を、ダイシングソーにより分離切断、チップ化し、インク吐出エネルギー発生素子2を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドを完成させた。このインクジェット記録ヘッドを用い、顔料インクで印字耐久を行ったときの印字品位を確認した。印字枚数3万枚の時点でも印字品位は良好であり、ヘッドのノズル部、特にインク吐出口周辺を観察したところ、インクによる濡れも確認されなかった。このことから、第一の保護層および第二の保護層がデバイス表面、具体的には撥水部材5の撥水特性にも何ら悪影響を与えていないことが確認された。
(比較例1)
本比較例においては、図2に示す製造工程によりノズル部を形成した。
まず、図2−aに示すように、インク吐出エネルギー発生素子2が設けられた基板1上に型材3(ODUR、東京応化工業(株)製)のパターンを厚さ14μmで形成した。
次に、図2−bに示すように、型材3上にノズル形成部材4をスピンコートにより厚さ10μmで塗布した。ノズル形成部材4は、エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤を溶剤に溶解して作製した。
続いて、ノズル形成部材4上にドライフィルムのラミネートにより撥水部材5を厚さ0.5μmで形成した。さらに、ミラー・プロジェクション・マスクアライナー(MPA-600 Super、キヤノン(株)製)を使用して0.2J/cm2の露光を行い、未露光部分を現像液で除去してインク吐出口6を形成した。インク吐出口6の大きさは、直径10μmであった。
次に、図2−cに示すように、撥水部材5上に保護膜7をスピンコートにより厚さ10μmで形成した。保護膜7には、環化ゴム系の樹脂(OBC、東京応化工業(株)製)を用いた。保護膜形成後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行うと、インク吐出口内に気泡のようなものが確認された。これは、保護膜7がインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填していないことを示唆していると考えられた。さらに、TMAH 22wt%水溶液を約80℃に加熱温調し十数時間エッチングして貫通口を形成し、インク供給口8を設けた。基板表面のインク供給口が開口する部分には、異方性エッチング時に深さ方向へのエッチングを停止させるためのエッチング停止膜層が設けられている。エッチング停止膜層としてはプラズマCVDにより成膜されたSiO膜が形成されており、これにより基板の厚さ方向のエッチングが終了した状態で異方性エッチングは停止する。異方性エッチング終了後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、インク吐出口付近の保護膜が破裂した部分が確認された。このことは、保護膜7がインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填しておらず、ここで発生した空隙、あるいは気泡が異方性エッチング中に熱膨張し、耐え切れなくなった保護膜が破裂して発生したと考えられる。
続いて、インク供給口8と型材3とを隔てているエッチング停止膜層をドライエッチングにより除去し、保護膜を除去した。除去液にはキシレンを使用した。最後に、型材を、除去液に浸漬させることにより除去した。除去液には乳酸メチル溶液を使用した。
これにより、図2−dに示すような、インクジェット記録ヘッドのノズル部が形成された。ノズル部形成後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行うと、インク吐出口周辺に撥水部材が破損、あるいは消失している部分が確認された。これは、異方性エッチング時に保護膜が破裂したことにより剥き出しとなった撥水部材が、エッチング停止膜層のドライエッチング時に一緒にエッチングされ発生したと考えられた。
さらに、ノズル部が形成された基板1を、ダイシングソーにより分離切断、チップ化し、インク吐出エネルギー発生素子2を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドを完成させた。このインクジェット記録ヘッドを用い、顔料インクで印字耐久を行ったときの印字品位を確認した。印字枚数 数十枚の時点で印字品位が悪化し、ヘッドのノズル部、特にインク吐出口周辺を観察したところ、インクによる濡れが確認された。これは、インク吐出口周辺の撥水部材が破損、あるいは消失している部分にインク溜りのようなものが発生し、インク滴の吐出方向の安定性に影響を与えていることが原因と考えられた。
(比較例2)
本比較例においては、図2に示す製造工程によりノズル部を形成した。
まず、図2−aに示すように、インク吐出エネルギー発生素子2が設けられた基板1上に型材3(ODUR、東京応化工業(株)製)のパターンを厚さ14μmで形成した。
次に、図2−bに示すように、型材3上にノズル形成部材4をスピンコートにより厚さ10μmで塗布した。ノズル形成部材4は、エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤を溶剤に溶解して作製した。
続いて、ノズル形成部材4上にドライフィルムのラミネートにより撥水部材5を厚さ0.5μmで形成した。さらに、ミラー・プロジェクション・マスクアライナー(MPA-600 Super、キヤノン(株)製)を使用して0.2J/cm2の露光を行い、未露光部分を現像液で除去してインク吐出口6を形成した。インク吐出口6の大きさは、直径10μmであった。次に、図2−cに示すように、撥水部材5上に保護膜7をスピンコートにより厚さ10μmで形成した。保護膜7には、[比較例1]で使用した環化ゴム系の樹脂(OBC、東京応化工業(株)製)を、キシレンで50%に希釈して使用した。保護膜形成後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、保護膜はインク吐出口を通って下部の型材までの空間を完全に充填されており、インク吐出口内に空隙や気泡は確認されなかった。さらに、TMAH 22wt%水溶液を約80℃に加熱温調し十数時間エッチングして貫通口を形成し、インク供給口8を設けた。基板表面のインク供給口が開口する部分には、異方性エッチング時に深さ方向へのエッチングを停止させるためのエッチング停止膜層が設けられている。エッチング停止膜層としてはプラズマCVDにより成膜されたSiO膜が形成されており、これにより基板の厚さ方向のエッチングが終了した状態で異方性エッチングは停止する。異方性エッチング終了後、金属顕微鏡によりインク吐出口の観察を行ったが、保護膜が破裂した部分は確認されなかった。
このことからも、保護膜形成時に、空隙、あるいは気泡を発生させずにインク吐出口内を充填できていたことが示唆された。続いて、インク供給口8と型材3とを隔てているエッチング停止膜層をドライエッチングにより除去し、保護膜を除去した。除去液にはキシレンを使用した。最後に、型材を、除去液に浸漬させることにより除去した。除去液には乳酸メチル溶液を使用した。これにより、図2−dに示すような、インクジェット記録ヘッドのノズル部が形成された。
さらに、ノズル部が形成された基板1を、ダイシングソーにより分離切断、チップ化し、インク吐出エネルギー発生素子2を駆動させるための電気的接合を行った後、インク供給のためのチップタンク部材を接続して、インクジェット記録ヘッドを完成させた。このインクジェット記録ヘッドを用い、顔料インクで印字耐久を行ったときの印字品位を確認した。印字初期の時点で印字品位は悪く、ヘッドのノズル部、特にインク吐出口周辺を観察したところ、インクによる濡れは確認されなかったが、インク吐出口内の壁部にひさし上に残存物が確認された。
これは、保護膜の溶媒分が多いため型材との間で互いに相溶してしまい、その後の高熱がかかる工程を経る過程で、保護膜でも型材でもない新たな反応生成物を形成したと予想された。この反応生成物が保護膜を除去する際の除去液にも、型材を除去する際の除去液にも溶解せず、インク吐出口内に残ってしまい、インク滴の吐出方向に大きな影響を与えたと考えられた。
本発明のインクジェット記録ヘッドのノズル部断面模式図 従来のインクジェット記録ヘッドの基本的な製造工程の一例を示す断面模式図 従来のインクジェット記録ヘッドの基本的な製造工程の一例を示す断面模式図 従来のインクジェット記録ヘッドの基本的な製造工程の一例を示す断面模式図 本発明のインクジェット記録ヘッドの基本的な製造工程の一例を示す断面模式図 本発明のインクジェット記録ヘッドの基本的な製造工程の一例を示す断面模式図 本発明のインクジェット記録ヘッドの基本的な製造工程の一例を示す断面模式図
符号の説明
1 Si基板
2 インク吐出エネルギー発生素子
3 型材
4 ノズル形成部材
5 撥水部材
6 インク吐出口
7 保護膜
8 インク供給口
9 空隙
10 保護膜破裂部
11 撥水部材破損部
12 第一の保護層
13 第二の保護層
14 気泡

Claims (5)

  1. インクを吐出するためのインク吐出エネルギー発生素子と、少なくとも流路となる部分を占有する型材とが設けられた基板上に、ノズル形成部材および撥水部材をパターニングすることによりインク吐出口を形成し、エッチング液を用いてインク供給口を形成し、前記型材を除去することによりノズル部を形成する工程を包含するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記エッチング液から前記撥水部材を保護するための第一の保護層を形成し、かつ前記第一の保護層と前記型材を同一材料とすることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記第一の保護層と前記型材が、ポリメチルイソプロペニルケトンであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. インクを吐出するためのインク吐出エネルギー発生素子と、少なくとも流路となる部分を占有する型材とが設けられた基板上に、ノズル形成部材および撥水部材をパターニングすることによりインク吐出口を形成し、エッチング液を用いてインク供給口を形成し、前記型材を除去することによりノズル部を形成する工程を包含するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記エッチング液から前記撥水部材を保護するための第一の保護層と前記第一の保護層上に第二の保護層を形成し、かつ前記第一の保護層と前記型材を同一材料とすることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記第一の保護層と前記型材が、ポリメチルイソプロペニルケトンであることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 前記第二の保護層が、環化ゴム系のコーティング剤であることを特徴とする請求項3または4記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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