JP2017189724A - 水処理方法及び水処理システム - Google Patents

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【課題】フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水からフッ化物イオンを除去処理する場合に、最終的なスラッジの量を低減可能であると共に、より高い処理効率を実現可能な水処理技術を提供する。【解決手段】フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、前記被処理水中に懸濁物質を生成させるアルカリ添加工程と、前記フッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する固液分離工程と、固液分離された前記懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加工程と、前記酸を添加した後に、前記スラッジを所定時間撹拌する熟成工程と、を含む水処理方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水に対する水処理方法及び水処理システムに関する。
石炭火力発電所やコークス工場で実施されている排煙脱硫法としては、湿式石灰−石膏法が主流であるが、この方法では、多量に生成する石膏の処分が必要となることから小規模設備向きでないといった問題がある。このような問題に対し、石灰に代えて水酸化マグネシウムを使用して排ガスを処理する方法が実施されている。この方法は、排ガス中の硫黄分を、石膏のような固形物としてではなく、水への溶解度が大きい硫酸マグネシウムとして捕捉するものであり、生成される硫酸マグネシウムは、溶解した状態のため廃水と共に放流することが可能である。
その一方で、上記に挙げたような排煙脱硫装置からの廃水中にはフッ化物イオンが含まれているため、放流するにあたっては、その処理が問題となる。廃水中のフッ化物イオンを除去する方法としては、pH中性域の廃水中にカルシウムイオンを添加して、フッ化物イオンをフッ化カルシウムとして沈殿除去する方法が一般的である(特許文献1)。
しかし、この方法では、上記した水酸化マグネシウムを使用する排煙脱硫装置からの廃水のように、廃水中にマグネシウムイオンや硫酸イオンが存在していると、カルシウム法でのフッ化物イオンの除去率が低下するという問題があった。これは、このような廃水の場合、pH中性域では、多量のマグネシウムイオンとフッ化物イオンが錯体として溶解し、このことが原因してフッ化カルシウムが生成しなくなるためと考えられる。
この問題に対し、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する排水にカルシウムイオンを添加してフッ化物イオンを沈殿物として除去する際に、特許文献2では前記排水のpHを9.4〜9.8に調整すること、特許文献3では前記排水のpHを8〜10に調整することがそれぞれ提案されている。
特公昭58−013230号公報 特開平08−057486号公報 特開2000−301165号公報
上述の特許文献2及び3に開示されたような従来の方法では、廃水にカルシウムイオンを添加した際にフッ化カルシウムの沈殿とならずに、廃水のpHを9.4〜9.8又は8〜10などの範囲に調整することで、廃水中に錯体として溶解していたマグネシウムイオンが水酸化マグネシウムとして析出して沈殿すると考えられる。そして、廃水中に錯体として溶解していたフッ化物イオンは、水酸化マグネシウムの沈殿に取り込まれて沈殿し、さらに、存在しているカルシウムイオンとフリーのフッ化物イオンとが反応してフッ化カルシウムとして沈殿すると考えられる。このようにして、廃水中からのフッ化物イオンの除去率を向上させることができるものと考えられる。このことについて、本発明者らは、アルカリ域では、フッ化物イオンは、併存するマグネシウムイオンとの関係において、「フッ素とマグネシウムの錯体」になるよりも、「析出した水酸化マグネシウムに取り込まれた沈殿物」で存在する方が安定な状態になると考えており、フッ素の除去処理を考える上で、注目すべき点であると認識している。
従来の方法では、廃水へのカルシウムイオンの添加により生じたフッ化カルシウムの沈殿に加え、廃水のpHを高めることで、マグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして析出させている。そのため、スラッジの発生量が増加し、実用上、スラッジの処理コストの増大を招く可能性がある。本発明者らは、この点を改善することで、より良好で経済的な処理を行うことが必要であると認識するに至った。
また、特許文献2及び3に開示されたような方法は、フッ化物イオンの他、マグネシウムイオンなどを含有する廃水に対する処理の場合に、特許文献1に開示されたような方法よりもフッ化物イオンの除去率を向上させることができる。しかし、本発明者らは、さらなる検討の結果、フッ化物イオンの除去率をさらに向上させる余地があると考えた。
そこで、本発明は、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水からフッ化物イオンを除去処理する場合に、最終的なスラッジの量を低減可能であると共に、より高い処理効率を実現可能な水処理技術を提供しようとするものである。
本発明は、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、前記被処理水中に懸濁物質を生成させるアルカリ添加工程と、前記フッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する固液分離工程と、固液分離された前記懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加工程と、前記酸を添加した後に、前記スラッジを所定時間撹拌する熟成工程と、を含む、水処理方法を提供する。
本発明によれば、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水からフッ化物イオンを除去処理する場合に、最終的なスラッジの量を低減可能であると共に、より高い処理効率を実現可能な水処理技術を提供することができる。
本発明の一実施形態の水処理方法を表す概略フロー図である。 本発明の別の一実施形態の水処理方法を表す概略フロー図である。 本発明のさらに別の一実施形態の水処理方法を表す概略フロー図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
フッ化物イオン(F-)及びマグネシウムイオン(Mg2+)を含有する被処理水に対し、上述の従来の方法では、pHを8.0〜10.0に調整することでマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして析出させて固液分離することにより、フッ化物イオンの除去率を高めている。このため、従来の方法では、スラッジの発生量が多くなる。そこで、本発明者らは、まず、最終処分が必要になるスラッジ(以下、本明細書において、「最終的なスラッジ」と称することがある。)の量を低減できれば、大量のスラッジ処理にかかる費用の低減が可能になり、実用上極めて有用であるとの認識を持った。
本発明者らは、上記認識の下、フッ化物イオンは、「フッ素とマグネシウムの錯体」になるよりも、「析出した水酸化マグネシウムに取り込まれた沈殿物」で存在する方が安定な状態である点に注目した。そして、被処理水にアルカリ剤を添加して、被処理水中に懸濁物質を生成させる工程(アルカリ添加工程)を行うこととした。この工程によって、被処理水中のマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして十分に析出させ、析出した水酸化マグネシウムにフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を積極的に生成させる。
そして、フッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を固液分離する工程(固液分離工程)を行い、固液分離された懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する工程(酸添加工程)を行う。この酸添加工程によって、スラッジを構成する主成分である水酸化マグネシウムを溶解し、最終的なスラッジの量を低減させる。スラッジ中に取り込まれていたフッ化物イオンは、フッ化マグネシウム(MgF2)として析出し、そのMgF2が最終的なスラッジ中に高濃度で残存することになる。そのため、最終的なスラッジの量を低減しつつ、フッ化物イオンの除去率を向上させることができるようになる。
しかしながら、実際の現場での工業的使用に沿った連続プロセス(continuous process)で試験(以下、「連続式試験」と記す。)を行った場合、酸が添加された後の最終的なスラッジとは固液分離された上澄液中のフッ素濃度が回分プロセス(batch process)で試験(以下、「回分式試験」と記す。)を行った場合の上澄液中のフッ素濃度よりも高いことが判明した。後述する通り、上澄液中にはフッ素が含有されているため、その上澄液をアルカリ添加工程に戻して、被処理水と共に再度処理することが好ましいが、上澄液中のフッ素濃度が高いと、フッ素の除去効率が低くなったり、アルカリ量が増えたりする可能性がある。そのため、上澄液中のフッ素濃度は低いことが望ましい。
本発明者らのさらなる検討の結果、連続式試験にて、酸添加工程でのスラッジへの酸の添加量を増やしても、また、酸を添加する時間を延ばしても、上澄液中のフッ素濃度を低下させる明確な効果は得られ難いことが判明した。そこで、本発明者らは、連続式試験にて上述の上澄液中のフッ素濃度が高くなる原因について、連続式試験と回分式試験との違いに着目して鋭意検討した。具体的には、スラッジへの酸の添加工程において、連続式試験では、ほぼ一定の速度で酸が添加される傾向にあるのに対し、回分式試験では、短時間のうちに大部分の酸が添加され、残りの時間には殆ど酸が添加されない傾向にあるという違いがある。この違いから、本発明者らは、前述の上澄液中のフッ素濃度をさらに低下させるためには、スラッジに酸が添加されていない時間が重要であると考え、スラッジへの酸の添加後、スラッジを所定時間撹拌する工程(スラッジの熟成工程)を行うこととした。その結果、最終的なスラッジとは固液分離された上澄液中のフッ素濃度を低下させることができることが分かった。
上述の各手段を巧みに利用することによって、本発明者らは、最終的なスラッジの量を低減可能であると共に、被処理水中のフッ化物イオンの除去処理をさらに効率よく行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一実施形態の水処理方法は、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、被処理水中に懸濁物質を生成させるアルカリ添加工程を含む。そして、この水処理方法は、フッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質に由来するスラッジを固液分離する固液分離工程を含む。さらに、この水処理方法は、固液分離された懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加工程と、酸を添加した後に、スラッジを所定時間撹拌する熟成工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の一実施形態の水処理方法は、例えば、本発明の一実施形態の水処理システムによって実行することができる。その水処理システムは、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、被処理水中に懸濁物質を生成させる反応槽と、反応槽でフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質に由来するスラッジを固液分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離された懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加槽と、酸を添加した後に、スラッジを所定時間撹拌する熟成槽と、を備えることを特徴とする。
以下、本発明の一実施形態の水処理方法における各工程について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、図面において、各図で共通する部分については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図1は、本発明の一実施形態の水処理方法を表す概略フロー図である。図1に示すように、本実施形態の水処理方法では、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水(原水)にアルカリ剤を添加する工程(アルカリ添加工程)S11を行う。この工程S11で、被処理水中に懸濁物質を生成させる。具体的には、被処理水にアルカリ剤を添加することで、被処理水中のマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして析出させ、析出した水酸化マグネシウムにフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質(好ましくは沈殿物)をより積極的に生成させる。こうして、後述する固液分離によって懸濁物質を除去することで、被処理水中からフッ化物イオンを除去することができる。
アルカリ添加工程S11において、被処理水に添加する好適なアルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩、並びにアルカリ土類金属の水酸化物及び炭酸塩などを挙げることができる。アルカリ剤は1種又は2種以上を用いることができる。被処理水中のマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして十分に析出させやすい観点から、アルカリ剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム(苛性カリ)、及び水酸化カルシウム(消石灰)がより好ましい。アルカリ剤として、水酸化ナトリウムなどの苛性アルカリを用いた場合は、最終的なスラッジ中のフッ素含有率をより高めることができる。一方、アルカリ剤として、水酸化カルシウムなどのカルシウム塩を用いた場合は、最終的なスラッジの脱水性を高めることができる。
被処理水中にフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を十分に生成させる観点から、アルカリ添加工程S11では、被処理水にアルカリ剤を添加することで、被処理水のpHを8.5〜10.5の範囲内に調整することが好ましい。本明細書において、被処理水や後述するスラッジなどのpHは、25℃での値又は25℃での換算値である。例えば、被処理水の温度が25℃よりも高い場合には、アルカリ添加工程における被処理水のpH8.5〜10.5は、実際の測定値ではその範囲よりも低い範囲の値にシフトする。より具体的には、例えば被処理水の温度が50℃の場合には、アルカリ添加工程において被処理水のpHを8.5〜10.5に調整することは、被処理水の50℃でのpH値でおよそ8.0〜10.0に調整する程度となる。
アルカリ添加工程S11におけるアルカリ剤の添加量は特に限定されない。被処理水の水質などに応じて、被処理水のpHが8.5〜10.5の範囲内になるように適宜調整することが好ましい。アルカリ添加工程S11は、後述する固液分離工程などとは別個の槽としての反応槽11で行うことが好ましい。また、この反応槽11には、被処理水(原水)を反応槽11に供給するための原水供給部と、アルカリ剤を添加するためのアルカリ剤供給部とが設けられていることがより好ましい。原水供給部は、例えば、原水の貯留槽から原水を反応槽11に送る供給管、及びポンプなどで構成することができる。アルカリ剤供給部は、例えば、アルカリ剤の貯留槽からアルカリ剤を反応槽11に送る供給管、及びポンプなどで構成することができる。
図1に示すように、本実施形態の水処理方法では、アルカリ添加工程S11で生成された懸濁物質(被処理水中のフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質)を固液分離する工程(固液分離工程)S21を行う。この固液分離工程S21は、被処理水にアルカリ剤を添加する槽(前述の反応槽)11とは別個の槽(固液分離槽)21で行うことが好ましい。固液分離の処理としては、凝集・沈殿処理、膜分離・ろ過処理、浮上処理のいずれも用いることができる。これらのうち、フッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を沈殿物として固液分離可能である点から、凝集・沈殿処理を採用することが好ましく、この場合、シックナーなどの沈殿槽を用いて、固液分離工程S21を行うことが好ましい。
また、懸濁物質の凝集・沈殿処理を行う際には、懸濁物質の凝集・沈殿を促進させるために、凝集剤を用いてもよい。凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及び鉄塩系凝集剤などの公知の無機凝集剤、並びにポリアクリル酸エステル系凝集剤、ポリメタクリル酸エステル系凝集剤、及びポリアクリルアミド系凝集剤などの公知の高分子凝集剤を用いることができる。
固液分離工程S21によって、懸濁物質に由来するスラッジが得られる。この際、本実施形態における好適な水処理方法では、懸濁物質を固液分離して得られるスラッジとして、水酸化マグネシウムを主成分とする鉱物相で構成されていると共に、フッ素含有率が2〜10質量%程度のスラッジを得ることができる。
固液分離工程S21によって、懸濁物質由来のスラッジと上澄水とに分離されるが、まず、スラッジの処理方法について、次に述べる。
図1に示すように、本実施形態の水処理方法では、固液分離された懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する工程(酸添加工程)S31を行う。この工程S31によって、先述の通り、スラッジを構成する主成分である水酸化マグネシウムが溶解し、その結果、最終的なスラッジの量を低減することができる。また、スラッジ中に取り込まれていたフッ素分は、フッ化マグネシウム(MgF2)として析出し、フッ素分を減量されたスラッジ中に高濃度で残存させることができる。析出したフッ化マグネシウムは、最終的なスラッジから分離することができ、分離したフッ化マグネシウムは、工業原料としての再利用が期待できるものであるので、本実施形態の水処理方法は、資源の有効利用の観点からも有用である。
最終的なスラッジの量をより低減させる観点及びそのスラッジ中に残存するフッ素量をより高める観点から、酸添加工程S31では、スラッジに酸を添加することで、スラッジのpHを、好ましくは3.0〜8.5の範囲内、より好ましくは4.0〜8.0の範囲内、さらに好ましくは5.0〜7.5の範囲内に調整する。酸添加工程S31の際に、スラッジのpHを3.0よりも酸性側にすると、スラッジの水酸化マグネシウムは勿論溶解するものの、スラッジ中のフッ素分が、フッ化水素酸として高い濃度で溶解してしまい、スラッジ中にフッ素分を残存し難くなる場合がある。一方、スラッジのpHを8.5よりもアルカリ側にすると、フッ素分が殆ど溶解しなくなるが、この場合は、水酸化マグネシウムの溶解も進み難く、最終的なスラッジの量を低減させ難くなる場合がある。
酸添加工程S31において、スラッジのpHを調整した際に、スラッジのF-濃度が、フッ化マグネシウムの被処理水に対する溶解度よりも高ければ、その溶解度を超えるフッ素はフッ化マグネシウムとして析出し、溶解度以下のフッ素は水中に存在することになる。溶解度について、本発明者らが検討実験を行ったところ、被処理水として好適な排煙脱硫装置から排出された廃水のように、F-の他、Mg2+及び硫酸イオン(SO4 2-)を高濃度に含有する被処理水を用いた場合、スラッジのpH3.0〜8.5の範囲では、およそ200〜600mg/L程度の範囲でフッ素分が液中に溶解することが分かった。このことから、酸添加工程S31によって、スラッジの主成分である水酸化マグネシウムと共に200〜600mg/Lの範囲内でフッ素分が液中に溶解し、これによってスラッジの量をより減少でき、その一方で、減量されたスラッジ中にフッ素分がフッ化マグネシウムとして析出し、これによってフッ素分を高濃度で残存させることが可能になると考えられる。上述のF-、Mg2+、及びSO4 2-を高濃度に含有する被処理水としては、具体的には、F濃度が30〜300mg/L、Mg濃度が2000〜20000mg/L、SO4濃度が8000〜80000mg/Lの被処理水を挙げることができる。
また、固液分離されたスラッジは、主成分の水酸化マグネシウムの他、析出した水酸化マグネシウムにフッ化物イオンが取り込まれたフッ化マグネシウム(MgF2)や水酸化フッ化マグネシウム(MgFOH)などを含むフッ素化合物を含有している可能性がある。スラッジ中に含まれるフッ素分の大半は、MgF2やMgFOHであると考えられる。しかし、上述のフッ化マグネシウムの溶解度の観点から、酸添加工程S31でスラッジのpHを3.0〜8.5の範囲内のいずれかのpH値に調整した場合、このpH値に対応する溶解度の分だけMgFOHからフッ素分が溶解し、その他の大部分のフッ素分は、フッ化マグネシウムとして析出すると考えられる。この結果、酸添加工程S31で酸を添加した後のスラッジを固液分離して得られる最終的なスラッジ中には、フッ化マグネシウムが高濃度で残存することとなると考えられる。
使用する酸としては、特に限定されず、スラッジのpHを3.0〜8.5の範囲に調整可能なものを好適に用いることができる。好適な酸としては、例えば、塩酸、硫酸、及び硝酸などを挙げることができる。スラッジに対する酸の添加量は、特に限定されず、SS濃度に応じて、適宜調整することができる。例えば、スラッジに対して、75質量%硫酸水溶液の場合、10〜100g/L程度の量にて酸を添加することができる。
酸添加工程S31は、後述する熟成工程S41などとは別個の槽としての酸添加槽31で行うことが好ましい。図示しないが、酸添加槽31には、固液分離されたスラッジを酸添加槽31に供給するためのスラッジ供給部と、酸を添加するための酸供給部とが設けられていることが好ましい。スラッジ供給部は、例えば、スラッジが通る管、及びポンプなどで構成することができる。酸供給部は、例えば、酸の貯留槽から酸を酸添加槽31に送る供給管、及びポンプなどで構成することができる。
図1に示すように、本実施形態の水処理方法では、酸を添加した後に、酸が添加された後のスラッジを所定時間撹拌する工程(熟成工程)S41を行う。この工程S41では、スラッジへの酸の添加が解除された状態で、酸が添加された後のスラッジを所定時間撹拌する。撹拌には、機械式撹拌装置や散気装置などを用いることができ、撹拌羽根を備える機械式撹拌装置を用いることが好ましい。熟成工程S41によって、その後、減量化されたスラッジを固液分離することで最終的なスラッジとは分離された上澄液中のフッ素濃度を低下させることができる。酸が添加されていない状態でフッ素化合物における結晶の成長が進み、上澄液中のフッ素濃度が低下するものと考えられる。なお、熟成工程S41では、スラッジを所定時間撹拌するが、前述のアルカリ添加工程S11、固液分離工程S21、及び酸添加工程S31などにおいても撹拌操作が行われてもよい。
本実施形態の水処理方法は、処理効率が良い観点から、実際の現場での工業的使用に沿った連続式試験によって行われることが好適である。連続式試験では、通常、酸が連続的に供給される酸添加槽31にて前述の酸添加工程S31が行われることから、熟成工程S41を、前述の酸添加工程S31とは別個の槽(熟成槽)41で行うことが好ましい。すなわち、本実施形態の水処理方法では、前述の酸添加工程S31を酸添加槽31にて行い、酸を添加した後のスラッジ(減量化されたスラッジ)を酸添加槽31から熟成槽41に移送して、熟成工程S41を行うことが好ましい。熟成工程S41を酸添加槽31と分けた熟成槽41にて行うことで、その後、最終的なスラッジとは分離された上澄液中のフッ素濃度をより低下させることが可能であると共に、固液分離工程S21の後のスラッジの合計の滞留時間を短縮することができる。
熟成工程S41の時間(撹拌時間)は、その後の最終的なスラッジとは分離された上澄液中のフッ素濃度を有効に低下させる観点から、10〜300分間であることが好ましく、30〜180分間であることがより好ましく、60〜120分間であることがさらに好ましい。また、酸を添加した後のスラッジを撹拌する熟成槽41を複数用い、熟成槽41ごとに連続して熟成工程S41を行うようにすれば、前記上澄液中のフッ素濃度をさらに低下させることが可能であると共に、熟成工程S41における合計の時間をさらに短縮することができる。これらの観点から、熟成工程S41を1〜5個の熟成槽41にて行うことが好ましく、2〜3個の熟成槽41にて行うことが好ましい。
上述の通り、熟成工程S41によって、その後、最終的なスラッジとは分離された上澄液中のフッ素濃度を低下させることが可能となる結果、上澄液を前述のアルカリ添加工程S11に戻して処理する場合に、アルカリ剤の添加量の少量化につながり、ランニングコストの低減に寄与することができる。また、熟成工程S41によって、固液分離後のスラッジの合計の滞留時間を短縮できれば、使用する槽の容積を小さくでき、その結果、槽の設置面積が小さくなるため、設備の敷地面積の抑制に寄与することができる。さらに、熟成工程S41を酸添加工程S31とは別個の槽(熟成槽)41にて行うこととすれば、酸添加槽31でのスラッジの滞留時間を短縮できるため、酸添加工程S31における酸の添加量の少量化につながり、ランニングコストの低減に寄与することができる。
図1に示すように、本実施形態の水処理方法は、前述の熟成工程S41の後、酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程S51をさらに含むことが好ましい。この工程S51では、酸が添加された後のスラッジ(減量化されたスラッジ)を固液分離することで、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液が得られる。この際、上澄液には、溶解した水酸化マグネシウムと共に、酸添加工程S31で調整されたpH値に対応する溶解度で溶解した水酸化フッ化マグネシウムに由来するフッ素が含有されている。そのため、最終的なスラッジとは分離された上澄液を、前述のアルカリ添加工程S11を行うために戻し、被処理水と共に再度の処理を行うことが好ましい(図1〜3中の長破線参照)。また、図2に示すように、スラッジの固液分離工程S51で得られた最終的なスラッジ(汚泥)の一部を熟成工程S41(熟成槽41)に返送しても良い(図2中の短破線参照)。スラッジの固液分離工程S51で生じた汚泥を熟成工程S41に返送することによって、汚泥に含まれるフッ化マグネシウムなどの熟成を促進させることにより、上澄液中のフッ素濃度を低下させることができる場合がある。なお、スラッジの固液分離工程S51は、固液分離槽(沈殿槽)51にて行うことが好ましい。
本実施形態の水処理方法は、酸が添加された後のスラッジを固液分離して得られる最終的なスラッジを、脱水処理する工程(脱水工程)S61を含むことが好ましい。この脱水工程により、最終的なスラッジを脱水ケーキとして処理することができる。また、脱水工程S61で生じた脱水ろ液は、アルカリ添加工程S11に戻し、被処理水と共に再度処理することが好ましい。脱水処理に用いる脱水機61は、ろ過式及び遠心分離式のいずれでもよいが、ろ過式が好ましい。好適な脱水機61としては、フィルタープレス型脱水機、及び真空脱水機を挙げることができ、フィルタープレス型脱水機を用いることがさらに好ましい。本発明者らの検討によれば、アルカリ添加工程S11におけるアルカリ剤として水酸化カルシウムなどのカルシウム塩を用いた場合、最終的なスラッジの脱水性が向上することが分かった。すなわち、この場合、最終的なスラッジの含水率が減少するため、脱水ケーキ量が少なくなり、脱水機のコンパクト化や、脱水機の稼働時間の短縮化に寄与することができる。なお、脱水処理の際には、スラッジ(汚泥)に含まれる水を分離しやすい状態にする、調質処理や濃縮処理などの前処理を行ってもよい。
これまで、前述の固液分離工程S21で分離された懸濁物質由来のスラッジの処理を述べてきたが、次に、その固液分離工程S21で分離された上澄水の処理について述べる。
懸濁物質の固液分離工程S21で得られた上澄水中のフッ素濃度が排出基準を満足する場合、その上澄水を、必要に応じてpH調整して処理水として放流することができる(図1中のS7、S8参照)。また、上澄水を別の排水で希釈した際に希釈後の上澄水中のフッ素濃度が排出基準を満足する場合には、その希釈後の上澄水を、必要に応じてpH調整して処理水として放流することができる。
また、例えば、被処理水中のフッ素濃度が高い場合など、1段での処理では、上澄水のフッ素濃度が、そのまま、或いは、別の排水で希釈しても放流できる排出基準を満足できない場合や、そのようなことが懸念される場合には、より確実なフッ素の除去処理を目的として、2段で処理することが好ましい。2段で処理する場合の本発明の一実施形態の水処理方法を表す概略フロー図を図3に示す。
図3で表す水処理方法では、前述のアルカリ添加工程と、そのアルカリ添加工程で生成された、フッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を固液分離する固液分離工程S21とをそれぞれ2回行って2段で処理する。すなわち、この水処理方法では、前述のアルカリ添加工程(1段目)S11で生成された懸濁物質の固液分離工程(1段目)S21で懸濁物質とは分離された上澄水にアルカリ剤を添加して、上澄水中に懸濁物質を生成させる2段目のアルカリ添加工程S12をさらに含む。また、この水処理方法では、2段目のアルカリ添加工程S12により、前記上澄水中のフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を固液分離する2段目の固液分離工程S22をさらに含む。2段目のアルカリ添加工程S12は、第2の反応槽12で行われることが好ましく、2段目の固液分離工程S22は、第2の沈殿槽22で行われることが好ましい。2段目のアルカリ添加工程S12は、1段目のアルカリ添加工程S11と同様に行うことができ、2段目の固液分離工程S22は、1段目の固液分離工程S21と同様に行うことができる。
2段で処理する場合、各段の固液分離工程S21、S22で得られたスラッジに対するその後の処理は、図3に示すように一緒に前述の酸添加工程S31を行うことが好ましいが、それぞれ別々に酸添加工程を行ってもよい。酸添加工程後には、前述の図1を用いて説明した方法と同様、熟成工程S41を行う。また、熟成工程S41の後には、酸が添加された後のスラッジ(減量化されたスラッジ)を固液分離する工程S51を行うことが好ましい。この場合においても、図示を省略するが、前述の通り、スラッジの固液分離工程S51で得られた最終的なスラッジ(汚泥)の一部を熟成工程S41(熟成槽41)に返送しても良い。
1段目のアルカリ添加工程S11で生成された懸濁物質を固液分離する1段目の固液分離工程S21において、懸濁物質とは分離された上澄水を、1段目のアルカリ添加工程S11に戻す方法も好ましい。すなわち、1段目の固液分離工程S21で得られた上澄水を、1段目又は2段目のアルカリ添加工程S11、S12(反応槽11、12)に導入するように構成することが好ましい。なお、1段で処理するか2段で処理するかは、処理現場の状況に即して決定すればよい。
本実施形態の水処理方法は、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水として、排煙脱硫装置から排出された廃水に好適であり、水酸化マグネシウムを用いて排ガス中の硫黄を除去処理する方式の排煙脱硫装置から排出された廃水により好適である。
具体的には、本実施形態の水処理方法は、フッ化物イオン及びマグネシウムイオンの他、硫酸イオンを含有する被処理水に対する処理として、より好適である。このような被処理水としては、例えば、石炭火力発電所又はコークス工場で実施されている排煙脱硫法による排煙脱硫装置から排出された廃水を挙げることができる。石炭火力発電所やコークス工場からの排煙脱硫後の廃水は大量に排出されるため、本実施形態の水処理方法によって、脱水処理などが必要になる最終的なスラッジの減量化、さらにはその最終的なスラッジ中に、従来技術では達成できなかった高濃度でフッ素分を含有させることは、実用上、極めて大きな効果をもたらす。
以上詳述した本実施形態の水処理方法は、前述した、アルカリ添加工程S11、酸添加工程S31、及び熟成工程S41を含むため、最終的なスラッジの量を低減可能であると共に、被処理水からフッ化物イオンをより高い効率で除去することができる。より具体的には、本実施形態の水処理方法では、アルカリ添加工程S11によって、被処理水中に析出した水酸化マグネシウムにフッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質を積極的に生成させ、この懸濁物質を固液分離することで、被処理水中からフッ化物イオンを除去することができる。そして、固液分離されたスラッジに酸を添加することで、最終的なスラッジの量を低減することができ、さらに、熟成工程S41によって、その後、最終的なスラッジを固液分離することでそのスラッジとは分離された上澄液中のフッ素濃度を低下させることができる。したがって、最終的なスラッジとは分離した上澄液をアルカリ添加工程S11に戻し、被処理水と共に再度の処理を行う連続プロセスをより好適に行うことができ、さらに高い処理効率を実現することができる。
上述の通り、本実施形態の水処理方法は、次の構成をとることが可能である。
[1]フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、前記被処理水中に懸濁物質を生成させるアルカリ添加工程と、前記フッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する固液分離工程と、固液分離された前記懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加工程と、前記酸を添加した後に、前記スラッジを所定時間撹拌する熟成工程と、を含む、水処理方法。
[2]前記アルカリ添加工程において、前記被処理水に前記アルカリ剤を添加することで、前記被処理水のpHを8.5〜10.5の範囲内に調整する前記[1]に記載の水処理方法。
[3]前記酸添加工程において、前記スラッジに前記酸を添加することで、前記スラッジのpHを3.0〜8.5の範囲内に調整する前記[1]又は[2]に記載の水処理方法。
[4]前記酸添加工程を酸添加槽にて行い、前記酸を添加した後の前記スラッジを前記酸添加槽から熟成槽に移送して、前記熟成工程を行う前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水処理方法。
[5]前記熟成槽を複数用い、熟成槽ごとに連続して前記熟成工程を行う前記[4]に記載の水処理方法。
[6]前記熟成工程の後、前記酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程をさらに含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水処理方法。
[7]前記酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程で、そのスラッジとは分離した上澄液を、前記アルカリ添加工程を行うために戻し、前記被処理水と共に再度の処理を行う前記[6]に記載の水処理方法。
[8]前記酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程で得られる最終的なスラッジの一部を、前記熟成工程を行うために返送する前記[6]又は[7]に記載の水処理方法。
[9]前記懸濁物質の前記固液分離工程で前記フッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質由来のスラッジとは分離された上澄水にアルカリ剤を添加して、前記上澄水中に懸濁物質を生成させる2段目のアルカリ添加工程と、該2段目のアルカリ添加工程により、前記上澄水中のフッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する2段目の固液分離工程と、をさらに含む前記[1]〜[8]のいずれかに記載の水処理方法。
[10]前記被処理水が、排煙脱硫装置から排出された廃水である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の水処理方法。
上記[1]〜[10]のいずれかに記載の水処理方法は、次の水処理システムによって実行することも可能である。
[11]フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、前記被処理水中に懸濁物質を生成させる反応槽と、前記反応槽で前記フッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する固液分離槽と、前記固液分離槽で分離された前記懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加槽と、前記酸を添加した後に、前記スラッジを所定時間撹拌する熟成槽と、を備える、水処理システム。
上記水処理システムでは、前述の水処理方法における各工程(手順)を、例えば被処理水のpH及びフッ素濃度などの水質を管理するための装置(例えばパーソナルコンピュータなど)のCPUなどを含む制御部によって実現させることも可能である。また、上記水処理システムでは、前述の水処理方法における各工程(手順)を実行可能なプログラムを各種記憶媒体又はネットワーク上などに格納し、前記制御部がプログラムを読み出して実行することで、前述の水処理方法を実現させることも可能である。
以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
(人工廃水の調製)
本試験例では、処理対象である被処理水として、人工廃水を用意した。具体的には、水酸化マグネシウムを用いて排ガス中の硫黄を除去処理する方式の排煙脱硫装置からの廃水を想定し、フッ素濃度が150mg/L、硫酸マグネシウムが40000mg/L、pHが8.2である人工廃水を用意した。
(試験例1:スラッジの生成方法とスラッジの性状)
調製した上記人工廃水を反応槽に移送し、反応槽にて、人工廃水に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を添加して、人工廃水のpHを9.7に上昇させ、人工廃水中に懸濁物質を生成させた。懸濁物質を生成させた人工廃水を凝集・沈殿処理を行う沈殿槽に移送し、沈殿槽にて懸濁物質を沈殿させて固液分離を行い、上澄水とスラッジとに分離し、それぞれについて分析を行ってその性状を調べた。その結果、分離した上澄水(処理水)中のフッ素濃度は7mg/Lであった。また、分離したスラッジのスラッジ濃度は50000mg/Lであった。固液分離したスラッジ中の全フッ素濃度は1430mg/Lであり、スラッジのpHは9.7であった。なお、フッ素についての河川への排出基準は、フッ素濃度で8mg/Lである。
(試験例2)
試験例2では、試験例1と同様の方法で生成し、分離したスラッジに対して、通水を伴わない水槽を用いた回分式試験にて、硫酸(75質量%の硫酸水溶液)を添加してスラッジのpHを7.0に調整した。この酸添加工程を60分(滞留時間:60分)かけて行った。この際、硫酸水溶液の添加量は、34g/Lであった。その後、熟成工程を実行せず、酸が添加された後のスラッジを沈殿槽にて固液分離し、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。
(試験例3)
試験例3では、試験例1と同様の方法で生成し、分離したスラッジを酸添加槽に移送し、その酸添加槽で連続式試験にて、スラッジに対して硫酸(75質量%の硫酸水溶液)を添加してスラッジのpHを7.0に調整した。この際、硫酸水溶液の添加量は、34g/Lであった。また、この酸添加工程を60分(滞留時間:60分)かけて行った。そして、酸を添加した後のpH7.0のスラッジを沈殿槽にて固液分離した。このように試験例3では、スラッジを連続して通水する上で酸を添加した後、熟成工程を実行せずに、連続してスラッジの固液分離を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。
(試験例4)
試験例4では、試験例3において酸添加工程を60分(滞留時間:60分)かけて行ったところを、酸添加工程を120分(滞留時間:120分)かけて行ったことに変更した以外は、試験例3と同様の方法で試験を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。酸添加工程における硫酸水溶液の添加量は、39g/Lであった。
(試験例5)
試験例5では、試験例3において酸添加工程を60分(滞留時間:60分)かけて行ったところを、酸添加工程を180分(滞留時間:180分)かけて行ったことに変更した以外は、試験例3と同様の方法で試験を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。酸添加工程における硫酸水溶液の添加量は、42g/Lであった。
(試験例6)
試験例6では、連続式試験(連続式の通水試験)にて、スラッジに対して酸添加工程を実行し、その後、熟成工程を経てから、固液分離を行って、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。具体的には、試験例1と同様の方法で生成し、分離したスラッジを滞留時間60分とした酸添加槽に通水し、その酸添加槽にて、スラッジに対して硫酸(75質量%の硫酸水溶液)を添加してスラッジのpHを7.0に調整した。そして、pH7.0のスラッジを、滞留時間120分とした熟成槽に通水して撹拌した後、スラッジを沈殿槽に移送して固液分離を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。試験例6では、スラッジを酸添加槽に移送してから最終的なスラッジを得るための沈殿槽に移送するまでの合計の滞留時間を180分とした。
(試験例7)
試験例7では、熟成槽の数を4つに増やし(1つ当たりの熟成槽の滞留時間:30分)、試験例6と同様の試験を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。試験例7では、スラッジを酸添加槽に移送してから最終的なスラッジを得るための4つめの熟成槽に移送するまでの合計の滞留時間を180分とした。
(試験例8)
試験例8では、試験例6において、最終的なスラッジを得るための沈殿槽で生じた汚泥を熟成槽に返送する工程(図2中の短破線参照)を行った以外は、試験例6と同様に試験を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。
(試験例9)
試験例9では、試験例6で1つの熟成槽を用いて、その熟成槽での滞留時間を120分とした条件で行った熟成工程を、2つの熟成槽を用いてそれぞれの滞留時間を20分とした条件に変更した以外は、試験例6と同様の方法で試験を行った。具体的には、試験例1と同様の方法で生成し、分離したスラッジを滞留時間60分とした酸添加槽に通水し、その酸添加槽にて、スラッジに対して硫酸(75質量%の硫酸水溶液)を添加してスラッジのpHを7.0に調整した。そして、pH7.0のスラッジを、滞留時間20分とした1段目の熟成槽に通水して撹拌した後、2段目の熟成槽に移送してその熟成槽にて滞留時間20分で通水して撹拌した。その後、スラッジを沈殿槽に移送して固液分離を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。試験例9では、スラッジを酸添加槽に移送してから最終的なスラッジを得るための沈殿槽に移送するまでの合計の滞留時間を100分とした。
(試験例10:スラッジの生成方法とスラッジの性状)
試験例10では、試験例1において、アルカリ剤として使用した水酸化カルシウムを、水酸化ナトリウムに変更した以外は、試験例1と同様の試験を行った。具体的には、調製した上記人工廃水を反応槽に移送し、反応槽にて、人工廃水に水酸化ナトリウム(NaOH)を添加して、人工廃水のpHを9.7に上昇させ、人工廃水中に懸濁物質を生成させた。懸濁物質を生成させた人工廃水を凝集・沈殿処理を行う沈殿槽に移送し、沈殿槽にて懸濁物質を沈殿させて固液分離を行い、上澄水とスラッジとに分離し、それぞれについて分析を行ってその性状を調べた。その結果、分離した上澄水(処理水)中のフッ素濃度は6mg/Lであった。また、分離したスラッジのスラッジ濃度は40000mg/Lであった。固液分離したスラッジ中の全フッ素濃度は1440mg/Lであり、スラッジのpHは9.7であった。
(試験例11)
試験例11では、試験例10と同様の方法で生成し、分離したスラッジに対して、連続式試験(連続式の通水試験)にて、酸添加工程を実行し、その後、熟成工程を経てから、固液分離を行って、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。具体的には、試験例10と同様の方法で生成し、分離したスラッジを滞留時間60分とした酸添加槽に通水し、その酸添加槽にて、スラッジに対して硫酸(75質量%の硫酸水溶液)を添加してスラッジのpHを7.0に調整した。そして、pH7.0のスラッジを、滞留時間120分とした熟成槽に通水して撹拌した後、スラッジを沈殿槽に移送して固液分離を行い、最終的なスラッジと、そのスラッジとは分離された上澄液を得た。試験例11では、スラッジを酸添加槽に移送してから最終的なスラッジを得るための沈殿槽に移送するまでの合計の滞留時間を180分とした。また、試験例11では、最終的なスラッジを得るための沈殿槽で生じた汚泥を熟成槽に返送した。
上記の試験例2〜9及び11でそれぞれ得られた上澄液について、上澄液中の全フッ素濃度を測定した。その結果を、各試験例で得られたスラッジの性状と共に表1に示す。表1には、ブランクとして、試験例1及び10でそれぞれ得られたスラッジの性状もあわせて示す。全フッ素濃度(F濃度)は、JIS K0102に規定された吸光光度法により、分光光度計を用いて測定した。
Figure 2017189724
試験例2及び試験例3の結果から、処理効率に利点のある工業的使用に沿った連続式試験では、回分式試験に比べて、酸が添加された後の最終的なスラッジとは固液分離された上澄液中のフッ素濃度が高いことが分かった。また、この結果と、試験例4及び5の結果とから、連続式試験にて、酸添加工程での酸を添加する時間を延ばしても、また、酸の添加量を増やしても、上澄液中のフッ素濃度を有意に低下させる効果は得られ難いことが分かった。これに対して、酸添加工程の後、熟成工程を実行した試験例6では、最終的なスラッジの濃度(量)を低減できると共に、スラッジ中のフッ素含有率を高めることができ、さらに、上澄液中のフッ素濃度を有意に低下させることができることが確認され、高い処理効率を実現可能であることが分かった。
また、試験例7の結果から、熟成工程で用いる熟成槽の数を増やせば、酸添加工程から熟成工程までの合計の滞留時間が同じであっても、上澄液中のフッ素濃度をさらに低下させることができることが確認された。加えて、試験例6と試験例9の結果から、熟成槽の槽数を増やすことで、熟成工程の時間を短縮できることが確認された。さらに、試験例6と試験例8の結果から、汚泥返送プロセスを導入することで、上澄液中のフッ素濃度が低下することが確認された。よって、酸添加工程及び熟成工程を組み合わせた水処理方法によって、上澄液中のフッ素濃度を低下させることが可能となる結果、アルカリ剤や酸の添加量の少量化、並びにスラッジの合計の滞留時間の短縮化及びそれに伴う設備敷地面積の抑制などに寄与することができ、ランニングコストの低減に寄与することができる。なお、試験例8と試験例11の結果から、アルカリ剤として、NaOHを使用した方が、Ca(OH)2を使用するよりも、最終的なスラッジ中のフッ素含有率をより高めることができることが確認された。その一方、最終的なスラッジを脱水処理し、得られた脱水ケーキの含水率を測定したところ、アルカリ剤として、Ca(OH)2を使用した方が、NaOHを使用するよりも脱水ケーキの含水率が低い値となり、脱水性を高めることができることが確認された。
S11、S12 アルカリ添加工程
S21、S22 固液分離工程
S31 酸添加工程
S41 熟成工程
S51 固液分離工程
S61 脱水工程
11、12 反応槽
21、22 固液分離槽
31 酸添加槽
41 熟成槽
51 固液分離槽
61 脱水機

Claims (11)

  1. フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、前記被処理水中に懸濁物質を生成させるアルカリ添加工程と、
    前記フッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する固液分離工程と、
    固液分離された前記懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加工程と、
    前記酸を添加した後に、前記スラッジを所定時間撹拌する熟成工程と、
    を含む、水処理方法。
  2. 前記アルカリ添加工程において、前記被処理水に前記アルカリ剤を添加することで、前記被処理水のpHを8.5〜10.5の範囲内に調整する請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記酸添加工程において、前記スラッジに前記酸を添加することで、前記スラッジのpHを3.0〜8.5の範囲内に調整する請求項1又は2に記載の水処理方法。
  4. 前記酸添加工程を酸添加槽にて行い、
    前記酸を添加した後の前記スラッジを前記酸添加槽から熟成槽に移送して、前記熟成工程を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理方法。
  5. 前記熟成槽を複数用い、熟成槽ごとに連続して前記熟成工程を行う請求項4に記載の水処理方法。
  6. 前記熟成工程の後、前記酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の水処理方法。
  7. 前記酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程で、そのスラッジとは分離した上澄液を、前記アルカリ添加工程を行うために戻し、前記被処理水と共に再度の処理を行う請求項6に記載の水処理方法。
  8. 前記酸が添加された後のスラッジを固液分離する工程で得られる最終的なスラッジの一部を、前記熟成工程を行うために返送する請求項6又は7に記載の水処理方法。
  9. 前記懸濁物質の前記固液分離工程で前記フッ化物イオンが取り込まれた懸濁物質由来のスラッジとは分離された上澄水にアルカリ剤を添加して、前記上澄水中に懸濁物質を生成させる2段目のアルカリ添加工程と、
    該2段目のアルカリ添加工程により、前記上澄水中のフッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する2段目の固液分離工程と、
    をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の水処理方法。
  10. 前記被処理水が、排煙脱硫装置から排出された廃水である請求項1〜9のいずれか1項に記載の水処理方法。
  11. フッ化物イオン及びマグネシウムイオンを含有する被処理水にアルカリ剤を添加して、前記被処理水中に懸濁物質を生成させる反応槽と、
    前記反応槽で前記フッ化物イオンが取り込まれた前記懸濁物質を固液分離する固液分離槽と、
    前記固液分離槽で分離された前記懸濁物質由来のスラッジに酸を添加する酸添加槽と、
    前記酸を添加した後に、前記スラッジを所定時間撹拌する熟成槽と、
    を備える、水処理システム。
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