JP2017187708A - パターン硬化膜の製造方法、電子部品の製造方法、及び当該パターン硬化膜の製造方法に用いるポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents

パターン硬化膜の製造方法、電子部品の製造方法、及び当該パターン硬化膜の製造方法に用いるポジ型感光性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】機械特性に優れるパターン硬化膜を製造することができるパターン硬化膜の製造方法を提供する。【解決手段】特定の成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥してポジ型感光性樹脂膜を形成する工程、前記ポジ型感光性樹脂膜の所定部分を露光する第1の露光工程、前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、前記現像されたポジ型感光性樹脂膜を露光する第2の露光工程、及び前記第2の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含むパターン硬化膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、パターン硬化膜の製造方法、電子部品の製造方法、及び当該パターン硬化膜の製造方法に用いるポジ型感光性樹脂組成物に関する。
従来、半導体素子の表面保護膜層、層間絶縁膜層には優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。しかし近年半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化、小型化の要求がありLOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装等の方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れた樹脂が必要とされるようになってきた。
一方、樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールが用いられているが、これを用いるとパターン作製工程が簡略化でき、煩雑な製造工程を短縮できる。従来から感光性ポリイミド又はその前駆体を用いてなる耐熱性フォトレジストやその用途は知られているが、近年は半導体製造コストを削減するための実装技術の変遷に伴い、これまでよりも高感度で厚膜パターン作製が可能なポジ型感光性樹脂組成物が必要とされている(例えば、非特許文献1)。
高感度化の手法としては、酸条件下で脱離可能な保護基にてアルカリ可溶性基を保護した溶解性変換剤を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電子部品の層間絶縁膜層や表面保護膜層等の樹脂硬化膜を形成する場合のプロセスとしては低温プロセスが望まれている。そのため、低温で脱水環化ができ、脱水環化後の膜の物性が高温で脱水環化したものと遜色ない性能が得られるポリイミド、ポリベンゾオキサゾールが不可欠である。
低温で脱水環化できる感光性ポリベンゾオキサゾールとして、アルカリ現像可能な感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体をベースポリマーとし、当該感光性ポリベンゾオキサゾールは合成原料のビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸化合物の両方又は一方が脂肪族鎖状構造を有するものが検討されている(例えば、特許文献2)。この構造により、280℃以下でもポリベンゾオキサゾール前駆体の脱水環化率を高くすることができるため、低温での硬化プロセスでも高温の硬化膜の物性と差がないような耐熱性に優れる硬化膜を得ることができる。
半導体パッケージの高集積化及び低コスト化を目的に、銅再配線とはんだボールの間に作製するUBM(Under Bump Metal)を省略したパッケージの検討が行われている。このパッケージには銅再配線の厚膜化が必要であり、この銅再配線を被覆する保護膜には厚膜条件で優れたパターニング形成特性が必要となる。特許文献2には、ジアゾナフトキノン構造を有する感光剤が開示される。
特開2004−117709号公報 国際公開第2008−054008号パンフレット
R.Anderson,R.Chilukuri,T.Y.Tee,C.P.Koo,H.S.NG,B.Rogers1,and A.Syed,Originally published in the proceedings of SMTA’s 6th Annual International Wafer Level Packaging Conference,米国,2009,October 27−30
しかしながら、特許文献2に開示される感光剤を用いた場合、20μm以上の厚膜条件では露光部で残渣が発生するという課題が発生した。
また、本発明者らは、特許文献2に記載されるポリベンゾオキサゾール前駆体と特許文献1に記載される溶解性変換剤と、活性光線照射により酸を発生する化合物とを配合したところ、ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥する工程で相分離を起こし、平坦な膜が形成できないという課題に直面した。
さらに、溶解性変換剤と活性光線照射により酸を発生する化合物とを配合すると、硬化後の膜の機械特性が低下する課題も生じた。
本発明の目的は、機械特性に優れるパターン硬化膜を製造することができるパターン硬化膜の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、厚膜条件での感光特性と硬化後の良好な機械特性を兼ね備えるパターン硬化膜の製造方法に関して鋭意検討を行った結果、特定の成分を有するポジ型感光性樹脂組成物を用い、かつ特定の工程を有する製造方法によって上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、以下のパターン硬化膜の製造方法等が提供される。
1.下記(A)〜(C)成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥してポジ型感光性樹脂膜を形成する工程、
前記ポジ型感光性樹脂膜の所定部分を露光する第1の露光工程、
前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、
前記現像されたポジ型感光性樹脂膜を露光する第2の露光工程、及び
前記第2の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程
を含むパターン硬化膜の製造方法。
(A)下記式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体
Figure 2017187708
(式(1)中、Uは単結合又は2価の基であり、Wは脂肪族鎖状構造を含む基であり、前記脂肪族鎖状構造の炭素数は1〜30である。)
(B)下記式(2)で表される化合物
Figure 2017187708
(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、−OAr又は−SArである。Arは、芳香族炭化水素基である。Xは、単環又は2環縮合の芳香族炭化水素基を示す。前記芳香族炭化水素基は置換基を有してもよい。)
(C)−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物(Rは酸の作用によって脱離し得る1価の有機基である)
2.前記第1の露光工程と前記現像工程の間に、前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜の加熱工程を含む1に記載のパターン硬化膜の製造方法。
3.前記ポジ型感光性樹脂組成物が、さらに(D)加熱により架橋又は重合し得る架橋剤を含有する1又は2に記載のパターン硬化膜の製造方法。
4.前記式(1)におけるWが下記式(UV1)で表される1〜3のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
Figure 2017187708
(式(UV1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基である。a’は1〜30の整数である。)
5.前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(B)成分を、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜50質量部含む1〜4のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
6.前記(C)成分が、分子中に−COOR(Rは酸の作用によって脱離しうる1価の有機基である)で表される基を含む化合物である1〜5のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
7.前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(C)成分を、前記(A)成分100質量部に対して1〜100質量部含む1〜6のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
8.1〜7のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法によってパターン硬化膜を製造する工程を含む、電子部品の製造方法。
9.下記(A)〜(C)成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥してポジ型感光性樹脂膜を形成する工程、
前記ポジ型感光性樹脂膜の所定部分を露光する第1の露光工程、
前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、
前記現像されたポジ型感光性樹脂膜を露光する第2の露光工程、及び
前記第2の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程
を含むパターン硬化膜の製造方法に用いる、ポジ型感光性樹脂組成物。
(A)下記式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体
Figure 2017187708
(式(1)中、Uは単結合又は2価の基であり、Wは脂肪族鎖状構造を含む基であり、前記脂肪族鎖状構造の炭素数は1〜30である。)
(B)下記式(2)で表される化合物
Figure 2017187708
(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、−OAr又は−SArである。Arは、芳香族炭化水素基である。Xは、単環又は2環縮合の芳香族炭化水素基を示す。前記芳香族炭化水素基は置換基を有してもよい。)
(C)−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物(Rは酸の作用によって脱離し得る1価の有機基である)
本発明によれば、機械特性に優れるパターン硬化膜を製造することができるパターン硬化膜の製造方法が提供できる。また、これを用いることで信頼性の高い電子部品を提供することができる。
多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[パターン硬化膜の製造方法]
本発明のパターン硬化膜の製造方法は、以下の工程を有する:
(A)〜(C)成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥してポジ型感光性樹脂膜を形成する工程、
ポジ型感光性樹脂膜の所定部分を露光する第1の露光工程、
第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、
現像されたポジ型感光性樹脂膜を露光する第2の露光工程、及び
第2の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程。
上記の各工程について、以下説明する。ポジ型感光性樹脂組成物については後述する。
(ポジ型感光性樹脂膜の形成工程)
まず、ポジ型感光性樹脂組成物を適当な基板、例えば、シリコンウエハ、セラミック、アルミ基板等に塗布する。塗布方法としてはスピンナーを用いた回転塗布法、スプレーコータを用いた噴霧塗布法、浸漬法、印刷法、ロールコーティング法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
次に、塗膜を乾燥してポジ型感光性樹脂膜を得る。60℃〜120℃でプリベークすると好ましい。
(第1の露光工程)
得られたポジ型感光性樹脂膜について、所望のパターン形状に活性光線を照射する。露光量は、通常1000〜2000mJ/cmである。露光量は、露光光線の全波長中のi線(365nm)の量である。
(加熱処理工程)
前記第1の露光工程と後述の現像工程の間に、前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜の加熱工程を含んでもよい。
加熱温度は、好ましくは50℃〜150℃であり、より好ましくは50〜100℃である。加熱時間は、通常1分〜10分である。
この加熱工程は、上記第1の露光工程の活性光線の照射により、照射部の表層部に発生した酸をポジ型感光性樹脂膜の底部にまで拡散させるために行う。ただし、高温の加熱を行うと、発生した酸が(A)成分のポリベンゾオキサゾール前駆体の脱水環化反応を促進し、現像液への溶解性が低下するおそれがある。そのため、上記の温度範囲が好ましい。
(現像工程)
次に、第1の露光を行ったポジ型感光性樹脂膜を現像し、活性光線の照射部を溶解除去することによりパターン樹脂膜を得る。
現像に用いる現像液としては、従来公知のものを用いることができるが、通常、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等が用いられる。現像方法としては、スプレー法、パドル法、浸漬法、超音波法等の公知の方式が可能である。
次に、現像によって得られたパターン樹脂膜をリンスする。リンス液としては蒸留水を用いることができる。
(第2の露光工程)
次に、現像工程によって得られたポジ型感光性樹脂膜(パターン樹脂膜)について再度露光を行う。露光量は、通常1000〜2000mJ/cmである。
第2の露光工程を設けることにより、得られるパターン硬化膜の機械特性、特に破断伸び特性と弾性率を向上することができる。
(加熱処理工程)
その後、第2の露光を行ったポジ型感光性樹脂膜について加熱処理を行う。これにより、良好な機械特性を有するパターン硬化膜を得ることができる。加熱温度は、通常150℃〜450℃である。加熱時間は、通常10分〜60分である。また、当該加熱の前に、50℃〜150℃で10分〜60分加熱してもよい。
[ポジ型感光性樹脂組成物]
本発明で用いるポジ型感光性樹脂組成物は、下記(A)〜(C)成分を含有する。
(A)下記式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体
(B)下記式(2)で表される化合物
(C)−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物(Rは酸の作用によって脱離しうる1価の有機基である)
Figure 2017187708
(式(1)中、Uは単結合又は2価の基であり、Wは脂肪族鎖状構造を含む基であり、前記脂肪族鎖状構造の炭素数は1〜30である。)
Figure 2017187708
(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、−OAr、又は−SArを示す。Arは、芳香族炭化水素基を示す。Xは、単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素基を示す。前記芳香族炭化水素基は置換基を有してもよい。)
以下、各成分について説明する。
((A)成分:式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体)
式(1)において、Wは好ましくは下記式(UV1)で表される。
Figure 2017187708
式(UV1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基であり、a’は1〜30の整数である。
及びRは、低温硬化の観点から、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
a’は、1〜20の整数が好ましく、4〜20の整数がより好ましく、6〜15の整数がさらに好ましく、8〜12の整数が特に好ましい。
式(1)において、Uの2価の基としては、プロピレン基(−(CH−)、スルホン基(−SO−)、ヘキサフルオロプロピレン基(−C(CF)(CF)−)、メチレン基(−CH−)、エーテル(−O−)、チオエーテル基(−S−)等が挙げられる。原料としてビフェニル化合物等を用いた場合、Uは単結合となる。
(A)成分のポリベンゾオキサゾール前駆体は、下記式(4)で示されるジカルボン酸化合物と下記式(5)で示されるジヒドロキシジアミン化合物(ビスアミノフェノール化合物)を原料の一部として用いることにより製造できる。
Figure 2017187708
式(4)、(5)中、Rは2価の基であり、Rは4価の基である。
式(4)中のRは、式(1)のWに対応する基である。
式(4)で表される具体的なジカルボン酸としては、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン等が挙げられる。W(R)は上記ジカルボン酸の残基である。
式(5)中のRは、式(1)のU及び2つのフェニル基を含む構造に対応する基である。
式(5)で表される具体的なジヒドロキシジアミン化合物(ビスアミノフェノール化合物)としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン等が挙げられる。このような芳香族系ジヒドロキシジアミンを用いることにより、耐熱性の良好なポリベンゾオキサゾール前駆体が得られる。
(A)成分のポリベンゾオキサゾール前駆体は、従来公知の方法で得ることができる。
(A)成分のポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量(重量平均分子量)に特に制限はないが、3,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
また、重量平均分子量を数平均分子量で除した分散度は1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。
(A)成分のポリベンゾオキサゾール前駆体は、その一部に式(1)で示される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。この場合、その構造単位の割合は全構造単位中50モル%以下であることが好ましい。
具体的には、式(1)においてWがジフェニルエーテルからなる基(ジフェニルエーテルから水素原子を2つ除いた2価の基)である構造単位等を用いることができる。
((B)成分:式(2)で表される化合物)
上記のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分とともに(B)成分として式(2)で表される化合物を用いる。式(2)で表される化合物は紫外線等の活性光線を照射することによってスルホン酸を発生して酸性を呈し、これによって(C)成分の有機基を脱離する作用を有する。
式(2)中、R又はRは、好ましくは、水素原子である。
Xの単環の芳香族炭化水素基としてはベンゼンに対応する基が挙げられ、Xの2環が縮合した芳香族炭化水素基としてはナフタレンに対応する基が挙げられる。
露光部でのヨードニウム塩(式(2)で表される化合物)の分解効率が高く、ヨードニウム塩による溶解阻害効果の消失及び多量の酸を発生できる観点で、Xはナフタレン骨格を有する基であることが好ましい。
Xの芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、アニリンに由来する基(アニリノ基)等が好ましい。
(B)成分の含有量は、露光時の感度、解像度を良好とするために、(A)成分100質量部に対して、0.01〜50質量部とすることが好ましく、0.01〜20質量部とすることがより好ましく、0.5〜15質量部とすることがさらに好ましい。
((C)成分:−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物)
本発明で用いる(C)成分は、−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物である。Rは酸の作用によって脱離し得る1価の有機基である。当該有機基は、酸(例えば酸触媒)の作用によって脱離し、当該有機基に代わり水素原子が導入される。即ち、カルボキシル基又は水酸基に変換する。
このような化合物を用いることによって、未露光部では溶解抑止効果が高まり、露光部においては溶解促進効果が高まることが期待され、適切なコントラストを発現することができる。
当該化合物は、芳香環(例えばベンゼン環)を含む化合物であると好ましく、この場合、−COOR又は−ORは、(C)成分の分子中で芳香環(例えばベンゼン環)に結合していることが好ましい。
酸の作用によって脱離し得る1価の有機基Rとしては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、アルキル置換テトラヒドロピラニル基、アルキル置換テトラヒドロフラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロピラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロフラニル基、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルシリル基、又はアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
好ましい炭素数は、アルコキシアルキル基は2〜8、アルキルシリル基は1〜20、アルコキシカルボニル基は2〜15である。また、「アルキル置換」、「アルコキシ置換」、「アルキル基」の炭素数は1〜10が好ましい。
上記の中でもアルコキシアルキル基が好ましく、より具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルシリル基、エチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基がより好ましく、メトキシメチル基、エトキシメチル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はt−ブトキシカルボニル基がさらに好ましい。
(C)成分の当該有機基以外の構造は特に制限はない。例えば、ジフェニルエーテルから水素原子を除いた基等が挙げられる。
また、当該酸の作用によって脱離し得る1価の有機基を2以上有してもよく、この場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
(C)成分の含有量は、未露光部の溶解阻害効果の観点から(A)成分100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましく、10〜80質量部とすることがより好ましい。また、(C)成分の(A)成分及び(B)成分に対する相溶性の観点から10〜40質量部、10〜20質量部とすることがさらに好ましい。
((D)成分:加熱により架橋又は重合し得る架橋剤)
上記のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに(D)加熱により架橋又は重合し得る架橋剤を含有してもよい。
(D)成分は、ポジ型感光性樹脂組成物を現像後に加熱処理する工程において、ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリベンゾオキサゾールと反応するか、又は加熱処理工程において(D)成分自体が重合する。これによって、比較的低い温度(例えば200℃以下)の硬化において懸念される膜の脆さを防ぎ、機械特性や薬品耐性、フラックス耐性を向上させることができる。また、アルカリ現像液に可溶である架橋剤は、ポジ型感光性樹脂組成物のアルカリ現像液への溶解速度を促進する効果を有するのでより好ましい。
(D)成分は、加熱処理する工程において架橋又は重合する化合物であること、アルカリ現像液に可溶であること以外に特に制限はないが、分子内にメチロール基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が好ましい。これらの基がベンゼン環に結合している化合物、あるいはN位がメチロール基又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂、尿素樹脂が好ましい。中でも感度とワニスの安定性、加えてパターン形成後の膜の硬化時に、膜の溶融を防ぐことができる点で、分子内に2個以上のメチロール基、アルコキシメチル基を有する化合物がより好ましい。
(D)成分は下記化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2017187708
(D)成分の配合量は、現像時間、未露光部残膜率及び硬化膜物性の点から(A)成分100質量部に対して1〜50質量部が好ましい。一方、230℃以下での硬化膜の薬品耐性、フラックス耐性の観点では、5質量部以上、即ち、5〜30質量部、10〜20質量部とすることがさらに好ましい。
上記のポジ型感光性樹脂組成物は、本質的に(A)〜(C)成分又は本質的に(A)〜(D)成分からなってもよい(consisting essentially of)。上記のポジ型感光性樹脂組成物の、例えば、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は98質量%以上が(A)〜(C)成分又は(A)〜(D)成分であってもよい。また、上記のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)〜(C)成分のみ、又は(A)〜(D)成分のみからなってもよい(consisting of)。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
(その他の化合物)
上記のポジ型感光性樹脂組成物には、必要により密着性付与のための有機ケイ素化合物、シランカップリング剤、レベリング剤等の密着性付与剤を添加してもよい。
上記の各成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして用いることができる。
溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフランが挙げられる。溶剤の量に特に制限はないが、ポジ型感光性樹脂組成物中、溶剤の割合が40〜75質量%となるように用いればよい。
[電子部品等]
本発明のパターン硬化膜の製造方法により得られるパターン硬化膜は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に用いることができる。具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に用いることができる。
当該半導体装置は、ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁層、又は本発明のパターン硬化膜の製造方法により得られるパターン硬化膜からなる表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
当該半導体装置の製造工程の一例を、図面を参照して説明する。
図1は多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
図1において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2等で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。その後、前記半導体基板1上にスピンコート法等で層間絶縁膜4が形成される。
次に塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出する様に窓6Aが設けられる。
前記窓6Aが露出した層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5が完全に除去される。
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が行われる。3層以上の多層配線構造を形成する場合には、前記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
次に表面保護膜8が形成される。
この図1の例では、上記ポジ型感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、再度露光し、加熱して表面保護膜8とする。この表面保護膜は、導体層を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
尚、前記例において、層間絶縁膜を上記のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明についてさらに具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
合成例1
[(A)成分:ポリベンゾオキサゾール前駆体(A1)の合成]
撹拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、撹拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド7.48g(28mmol)及び4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド3.56g(12mmol)を10分間で滴下した後、室温(25℃)に戻し3時間撹拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミドを得た(以下、A1とする)。A1の重量平均分子量は41,800、分散度は2.0であった。重量平均分子量は、下記条件によるGPC法標準ポリスチレン換算により求めた。
(GPC法による重量平均分子量の測定条件)
測定装置:検出器 株式会社日立製作所社製L4000 UV
ポンプ:株式会社日立製作所社製L6000
株式会社島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5 x2本
溶離液:THF/DMF=1/1 (容積比)
LiBr(0.03mol/l)、HPO(0.06mol/l)
流速:1.0ml/min、検出器:UV270nm
ポリマー0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mlの溶液を用いて測定した。
合成例2
[(B)成分:式(2)で表される化合物(B1)の合成]
撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、イオン交換水300mLを仕込み、ジフェニルヨードニウムクロリド10.0g(32mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。また、別途、撹拌機、温度計を備えた1.0リットルのフラスコ中に、イオン交換水300mLを仕込み、8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸アンモニウム10.0g(32mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。続いて、ジフェニルヨードニウムクロリド水溶液を8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸アンモニウム水溶液に注ぎ、室温に戻るまで3時間撹拌した。析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧して乾燥することで、ジフェニルヨードニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホナート(B1)を得た。
合成例3
[(B’)成分:活性光線照射によりスルホン酸を発生する化合物(B’1)の合成]
撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、イオン交換水150mLを仕込み、ジフェニルヨードニウムクロリド4.3g(14mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。また、別途、撹拌機、温度計を備えた1.0リットルのフラスコ中に、イオン交換水300mLを仕込み、9,10−ジメトキシアントラセンスルホン酸ナトリウム4.7g(14mmol)を添加し、100℃で加熱しながら撹拌溶解した。続いて、ジフェニルヨードニウムクロリド水溶液を9,10−ジメトキシアントラセンスルホン酸ナトリウム水溶液に注ぎ、室温に戻るまで3時間撹拌した。析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧して乾燥することで、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート(B’1)を得た。
合成例4
[(C)成分:酸の作用によって脱離し得る有機基を含む化合物(C1)の合成]
100mLの3口フラスコに4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル4.54g(17.6mmol)を入れ、30gのN−メチルピロリドンに懸濁させた。氷冷しながらクロロメチルエチルエーテルを3.74g(39.6mmol)加え、続けてトリエチルアミンを3.55g(35.1mmol)加えた。氷浴中で3時間撹拌した後に、析出した結晶をろ過により除いた。母液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を数滴加えて反応を停止し、酢酸エチルにて抽出した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ別後、溶媒を減圧下溜去し、乾燥することで、目的物(C1)を得た。
実施例1、2、比較例1〜4
[ポジ型感光性樹脂組成物の調製]
表1に示す成分及び配合量にてポジ型感光性樹脂組成物を調製した。具体的に、(A)成分に対して(B)、(B’)、(C)、(D)成分を配合し、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)又はγ−ブチロラクトン(BLO)((F)成分)に溶解してポジ型感光性樹脂組成物を調製した。表1の配合量は、(A)成分100質量部に対する(B)、(B’)、(C)、(D)又は(F)成分の質量部である。
用いた各成分は以下の通りである。
〔(A)成分〕
・A1(合成例1)
〔(B)成分〕
・B1:ジフェニルヨードニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホナート(合成例2)
〔(B’)成分〕
・B’1:ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート(合成例3)
〔(C)成分〕
・C1(合成例4)
〔(D)成分〕
・D1:1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコウリル
〔(F)成分〕
・BLO:γ−ブチロラクトン
・NMP:N−メチルピロリドン
Figure 2017187708
[パターン硬化膜の製造]
得られたポジ型感光性樹脂組成物をそれぞれシリコン基板上(基板)にスピンコートし、120℃で3分間乾燥して、乾燥後膜厚が約15μmの樹脂膜を得た。この樹脂膜に対して、ズース・マイクロテック社製マスクアライナーMA8を用いてマスクを介して、表1に示す露光量で露光した(第1の露光)。露光後の塗膜を80℃で5分間加熱し、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の2.38質量%水溶液を用いて現像を行い、約12mm幅の矩形パターンを得た。
その後、実施例1,2においては、上記現像を行った塗膜に表1に示す露光量で露光(第2の露光)を行った後、光洋サーモシステム株式会社製縦型拡散炉を用いて、窒素雰囲気下、100℃で30分加熱した後、昇温し、さらに200℃又は250℃で1時間加熱し、硬化膜を得た。
比較例1〜4においては、上記現像を行った塗膜について、光洋サーモシステム株式会社製縦型拡散炉を用いて、窒素雰囲気下、100℃で30分加熱した後、さらに200℃又は250℃で1時間加熱して硬化膜を得た。比較例3では樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥する工程で相分離が発生したため、その後の評価を行うことができなかった。
表1に示す露光量は、全波長中のi線(365nm)の露光量である。
[耐熱性(5%質量減少温度)、機械特性(破断伸び、弾性率)の評価]
得られた硬化膜をシリコン基板から剥離し、セイコーインスツル株式会社製TG−DTA7200を用いて、昇温速度10℃/min、温度範囲50〜400℃の条件で加熱し、初期質量から5%質量減少した温度(5%質量減少温度)を測定した。5%質量減少温度の値が大きいほど良好である。
また、シリコン基板から剥離した硬化膜について、島津製作所製オートグラフAGS−100Nを用いて引張試験を行い、破断伸びと弾性率を測定した。チャック間距離20mm、引張速度5mm・min−1、測定温度18〜23℃とし、サンプル毎に5回測定し平均値を求めた。破断伸びと弾性率の値が大きいほど良好である。
[感光特性(解像度)評価]
実施例1、2、比較例1〜4で調製したポジ型感光性樹脂組成物を用いて以下のように解像度を評価した。
ポジ型感光性樹脂組成物をそれぞれシリコン基板上(支持基板)にスピンコートし、120℃で3分間乾燥して、乾燥後膜厚が約24μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に対して、ウシオ電機株式会社製プロキシミティ露光機UX−1100SMを用いてマスクを介して露光を行った。露光後加熱(PEB)を80℃で5分間行い、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)の2.38質量%水溶液にて現像を行った。その後、水でリンスし、解像度を求めた。残膜率が初期塗膜の膜厚に対して80〜70%になる現像条件を評価条件とした。
上記の露光は、幅1〜100μmのライン&スペースパターンを有するマスクを介して全波長でコンタクト露光した。表1に示す露光量は、全波長中のi線(365nm)の露光量である。この露光量の範囲内で、開口したライン&スペースパターンのうち最小のものを解像度とした。解像度の数値が小さいほど良好である。結果を表1に示す。
比較例3では樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥する工程で相分離が発生したため評価を行うことができなかった。また、比較例4の「残渣」は、露光部が完全に溶解せず、基板上に樹脂組成物が残っていることを示す。
Figure 2017187708
表1に示すように、ポジ型感光性樹脂膜の現像後に露光(第2の露光)を行わなかった比較例1及び2に比べ、第2の露光を行った実施例1及び2で得られたパターン硬化膜は破断伸びと弾性率に優れることが分かる。
また、(A)成分の式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、(B)成分の式(2)で表される化合物を組み合わせることにより、厚膜(24μm)の場合にも良好な解像性を示すことが分かる。特定の(B)及び(C)成分を用いない比較例4では、硬化後に良好な機械特性を示したが、現像後に残渣が発生したためパターンの形成が困難であった。
本発明のパターン硬化膜の製造方法で得られたパターン硬化膜は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に用いることができる。
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜
5 感光性樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜

Claims (9)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥してポジ型感光性樹脂膜を形成する工程、
    前記ポジ型感光性樹脂膜の所定部分を露光する第1の露光工程、
    前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、
    前記現像されたポジ型感光性樹脂膜を露光する第2の露光工程、及び
    前記第2の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程
    を含むパターン硬化膜の製造方法。
    (A)下記式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体
    Figure 2017187708
    (式(1)中、Uは単結合又は2価の基であり、Wは脂肪族鎖状構造を含む基であり、前記脂肪族鎖状構造の炭素数は1〜30である。)
    (B)下記式(2)で表される化合物
    Figure 2017187708
    (式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、−OAr又は−SArである。Arは、芳香族炭化水素基である。Xは、単環又は2環縮合の芳香族炭化水素基を示す。前記芳香族炭化水素基は置換基を有してもよい。)
    (C)−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物(Rは酸の作用によって脱離し得る1価の有機基である)
  2. 前記第1の露光工程と前記現像工程の間に、前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜の加熱工程を含む請求項1に記載のパターン硬化膜の製造方法。
  3. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、さらに(D)加熱により架橋又は重合し得る架橋剤を含有する請求項1又は2に記載のパターン硬化膜の製造方法。
  4. 前記式(1)におけるWが下記式(UV1)で表される請求項1〜3のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
    Figure 2017187708
    (式(UV1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ素化アルキル基である。a’は1〜30の整数である。)
  5. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(B)成分を、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜50質量部含む請求項1〜4のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
  6. 前記(C)成分が、分子中に−COOR(Rは酸の作用によって脱離しうる1価の有機基である)で表される基を含む化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
  7. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(C)成分を、前記(A)成分100質量部に対して1〜100質量部含む請求項1〜6のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のパターン硬化膜の製造方法によってパターン硬化膜を製造する工程を含む、電子部品の製造方法。
  9. 下記(A)〜(C)成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、
    前記ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥してポジ型感光性樹脂膜を形成する工程、
    前記ポジ型感光性樹脂膜の所定部分を露光する第1の露光工程、
    前記第1の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、
    前記現像されたポジ型感光性樹脂膜を露光する第2の露光工程、及び
    前記第2の露光工程で露光されたポジ型感光性樹脂膜を加熱処理する工程
    を含むパターン硬化膜の製造方法に用いる、ポジ型感光性樹脂組成物。
    (A)下記式(1)で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体
    Figure 2017187708
    (式(1)中、Uは単結合又は2価の基であり、Wは脂肪族鎖状構造を含む基であり、前記脂肪族鎖状構造の炭素数は1〜30である。)
    (B)下記式(2)で表される化合物
    Figure 2017187708
    (式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、−OAr又は−SArである。Arは、芳香族炭化水素基である。Xは、単環又は2環縮合の芳香族炭化水素基を示す。前記芳香族炭化水素基は置換基を有してもよい。)
    (C)−COORで表される基、又は−ORで表される基を有する化合物(Rは酸の作用によって脱離し得る1価の有機基である)
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