JP2017194604A - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材に対する優れた密着性を有する硬化膜を形成することができるポジ型感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー、(b)光の照射を受けて酸を発生する化合物、(c)フェノール骨格を有さない架橋剤、及び(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤であって前記(c)成分以外のものを含有するポジ型感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、パターン硬化膜の製造方法、電子部品の製造方法及び電子部品に関する。
半導体装置の表面保護膜及び層間絶縁膜には優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂膜が用いられている。ポリイミド樹脂膜は、一般にはテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを極性溶媒中で常温常圧において反応させて得られるポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液(いわゆるワニス)を、スピンコート等で薄膜化して熱的に脱水閉環(硬化)することにより形成される(例えば非特許文献1)。
近年、ポリイミド樹脂又はその前駆体樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられている。この感光性ポリイミドを用いることにより、パターン形成工程が簡略化でき、煩雑なパターン製造工程の短縮を行うことができる(例えば特許文献1〜3)。
従来、感光性ポリイミドの現像には、N−メチルピロリドン等の有機溶剤が用いられてきたが、最近では、環境やコストの観点からアルカリ水溶液で現像ができるポジ型感光性樹脂が提案されている。
このようなアルカリ水溶液で現像可能なポジ型感光性樹脂を得る方法として、ポリイミド前駆体にエステル結合を介してo−ニトロベンジル基を導入する方法(例えば非特許文献2)、溶剤可溶性ヒドロキシルイミド又はポリベンゾオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(例えば、特許文献4、5参照)等が挙げられる。
当該方法により得られるポジ型感光性樹脂は低誘電率化が期待できることから、感光性ポリイミドと共にポリベンゾオキサゾール樹脂又はその前駆体樹脂自身に感光特性を付与したポジ型感光性樹脂である感光性ポリベンゾオキサゾールが注目されている。
感光性ポリイミド又は感光性ポリベンゾオキサゾールは、近年の半導体装置におけるパッケージ形態の変化に伴い、表面保護膜だけではなく、再配線層等の層間絶縁膜として用いられるケースが増えている。
このようなケースに対応するための感光性樹脂組成物であるポリイミド及びポリベンゾオキサゾール系材料には、従来の材料以上に再配線に対する密着性が必要とされる。特に再配線層において銅への密着性は強く必要とされている。しかしながら、従来の感光性樹脂組成物であるポリイミド及びポリベンゾオキサゾール系材料においては、十分な密着性を示す組成が未だ得られてないのが現状であった。
特開昭49−115541号公報 特開昭59−108031号公報 特開昭59−219330号公報 特開昭64−60630号公報 米国特許第4395482号明細書 特開2010−266487号公報
日本ポリイミド研究会編「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」(2002年) J.Macromol.Sci.,Chem.,vol.A24,12,1407(1987年)
本発明の目的は、基材に対する優れた密着性を有する硬化膜を形成することができるポジ型感光性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意実験及び検討を重ねた結果、アルカリ現像可能なポリマーに対し、フェノール骨格を有さない架橋剤及びチオウレア結合を有するシランカップリング剤を併せて用いることで、得られる硬化膜の密着性の向上を実現するポジ型感光性樹脂組成物が得られることを知見するに至った。
本発明によれば、以下のポジ型感光性樹脂組成物等が提供される。
1.下記成分(a)〜(d)を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー
(b)光の照射を受けて酸を発生する化合物
(c)フェノール骨格を有さない架橋剤
(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤であって前記(c)成分以外のもの
2.前記(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマーが、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選択される1種以上である1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
3.前記(b)光の照射を受けて酸を発生する化合物が、ジアゾナフトキノン化合物である1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
4.前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、尿素結合、メラミン骨格及びイソシアヌレート骨格からなる群より選択される1以上を含む化合物であって、−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基を1以上含む化合物である1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
5.前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が下記式(1)で表される化合物である1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2017194604
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であり、R同士が互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。)
6.前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、下記式(2)で表される化合物である1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2017194604
(式(2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。)
7.前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、下記式(3)で表される化合物である1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2017194604
(式(3)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基であり、R〜Rの少なくとも1つは−CHORで表される置換基である。)
8.前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、下記式(4)で表される化合物である1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2017194604
(式(4)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、下記式(i)で表される置換基、又は−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基であり、R〜R11の少なくとも1つは下記式(i)で表される置換基又は−CHORで表される置換基である。)
Figure 2017194604
9.前記(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤が、下記式(11)で表される化合物である1〜8のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
Figure 2017194604
(式(11)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基である。R14は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基である。R14は置換基を有していてもよい。qは1〜10の整数である。rは1〜3の整数である。)
10.さらに(e)窒素含有複素環を有する化合物を含む1〜9のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
11.前記(e)窒素含有複素環を有する化合物が、トリアゾール骨格又はテトラゾール骨格を含む化合物である10に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
12.前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤の含有量が、前記(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー100質量部に対して20質量部以上である1〜11のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
13.電子部品の層間絶縁膜又は表面保護膜成膜用の1〜12のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
14.1〜13のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
15.1〜13のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程と、
前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する露光工程と、
前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程と
を含むパターン硬化膜の製造方法。
16.15に記載の製造方法によってパターン硬化膜を製造し、得られたパターン硬化膜に無電解めっきを施してアンダーバンプメタルを作製する工程を含む電子部品の製造方法。
17.14に記載の硬化膜を、層間絶縁膜層及び表面保護膜層から選択される1以上として有する電子部品。
18.14に記載の硬化膜と無電解めっきのアンダーバンプメタルを含む電子部品。
本発明によれば、基材に対する優れた密着性を有する硬化膜を形成することができるポジ型感光性樹脂組成物が提供できる。
本発明の一実施形態に係る多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であって、第1の工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係る多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であって、第2の工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係る多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であって、第3の工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係る多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であって、第4の工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係る多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であって、第5の工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係る無電解めっきを用いたアンダーバンプメタル作製工程に用いる半導体基板の概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、下記成分(a)〜(d)を含有する。
(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー
(b)光の照射を受けて酸を発生する化合物
(c)フェノール骨格を有さない架橋剤
(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤であって前記(c)成分以外のもの
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、フェノール骨格を有さない架橋剤及びチオウレア結合を有するシランカップリング剤を併せて用いることによって、得られる硬化膜の基材に対する密着性が高い。特に、再配線に用いられる銅基板に対し優れた密着性を有するため、半導体装置の層間絶縁膜等のパターン硬化膜の製造に好適に用いることができる。
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ性水溶液による現像が可能であり、良好な感度及び良好な解像度を示し、高い耐熱性を示す。また、特に無電解めっき工程に用いられる薬品に対して高い化学薬品耐性を有するため、表面保護膜又は層間絶縁膜として信頼性の高い電子部品の製造に適している。
以下、各成分について説明する。上記各成分を、それぞれ(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分と記す場合がある。
((a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー)
(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマーは、アルカリ性水溶液に可溶であれば特に限定されないが、加工性、耐熱性の点から、好ましくは主鎖骨格がポリイミド系又はポリオキサゾール系のポリマーである。即ち、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリオキサゾール、ポリアミド、及びこれらの前駆体(例えば、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリヒドロキシアミド等)から選ばれる少なくとも1種のポリマーである。
また、アルカリ水溶液可溶性の点から、(a)成分のアルカリ性水溶液に可溶なポリマーは、好ましくは複数のフェノール性水酸基、複数のカルボキシル基、又はこれら両方の基を有するポリマーである。(a)成分のアルカリ性水溶液に可溶なポリマーは、上記の骨格の共重合体であってもよいし、又は上記ポリマーの2種以上の混合物であってもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜の耐溶剤性を高める観点から、(a)成分としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリオキサゾール、ポリアミド又はこれらの前駆体等が好ましく、ポリイミド、ポリオキサゾール又はこれらの前駆体がより好ましく、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール又はこれらの前駆体がさらに好ましい。
(a)成分のアルカリ性水溶液に可溶なポリマーの具体例としては、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させ、脱水閉環することにより得られるポリイミド;ジカルボン酸ジクロリドとジヒドロキシジアミンを反応させ、脱水閉環することにより得られるポリオキサゾール;トリカルボン酸とジアミンを反応させ、脱水閉環することにより得られるポリアミドイミド;ジカルボン酸ジクロリドとジアミンを反応させることにより得られるポリアミド;テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体);テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンを反応させることにより得られるポリアミド酸エステル(ポリイミド前駆体);及びジカルボン酸ジクロリドとジヒドロキシジアミンを反応させることにより得られるポリヒドロキシアミド(ポリオキサゾール前駆体)等が挙げられる。
上記ポリマーは、いずれも公知の方法で製造することができる。
優れた耐熱性、機械特性及び電気特性を有し、現在、電子部品用樹脂として多用されつつあることから、加熱により閉環してポリベンゾオキサゾールとなるポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を(a)成分の一例として、以下説明する。
ポリヒドロキシアミドは、例えば下記式(I)で表される繰り返し単位を含むポリマーである。式(I)で表されるヒドロキシ基を含有するアミドユニットは、硬化時の脱水閉環により、最終的には耐熱性、機械特性及び電気特性に優れるオキサゾール体に変換される。ポリヒドロキシアミドは、式(I)で表される繰り返し単位を2種以上含んでもよい。
Figure 2017194604
(式中、Uは4価の有機基である。Vは2価の有機基である。)
ポリヒドロキシアミドのアルカリ水溶液に対する可溶性は、フェノール性水酸基に由来する。
Uの4価の有機基(好ましくは炭素原子数6〜40)は、好ましくは4価の芳香族基である。当該4価の芳香族基は、好ましくは4個の結合部位がいずれも芳香環上に存在する芳香族基である。
ポリベンゾオキサゾール前駆体であるため、Uの4価の有機基は、例えば2個のヒドロキシ基と2個のアミノ基をそれぞれ芳香環上に有するジアミンの残基であって、当該ヒドロキシ基とアミノ基がオルト位に位置した構造を2組有する構造を有する有機基である。上記ジアミンは、例えばジカルボン酸と反応してポリアミド構造を形成することができる。
上記ジアミンとしては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Vの2価の有機基は、例えば、ジアミンと反応してポリアミド構造を形成するジカルボン酸の残基である。
Vの2価の有機基(好ましくは炭素原子数6〜40)は、例えば2価の芳香族基である。Vは炭素原子数6〜40の2価の芳香族基であると、硬化膜の耐熱性の観点から好ましい。2価の芳香族基としては、2個の結合部位がいずれも芳香環上に存在する芳香族基が好ましい。
また、Vは炭素原子数6〜30の脂肪族直鎖構造を有する2価の有機基であってもよく、この場合、熱硬化する際の温度を280℃以下と低くしても十分な物性が得られる点で好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体中にVが芳香族基である式(1)の構造単位と、Vが脂肪族直鎖構造を有する2価の有機基である式(1)の構造単位とを有してもよい。この場合、例えば前者を10〜30モル%、後者を70〜90モル%含む。
上記のジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、脂肪族直鎖構造を有するジカルボン酸である、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸及び下記式(III)で表されるジカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2017194604
(式中、Zは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6の炭化水素基である。nは1〜6の整数である。)
(a)成分に用いるポリヒドロキシアミドは、下記式(II)で表されるポリヒドロキシアミドであってもよい。
Figure 2017194604
(式中、Uは4価の有機基である。V及びWは2価の有機基である。j及びkは、それぞれの構造単位のモル分率を示し、jは60〜100モル%、kは40〜0モル%である。)
式(II)で表されるポリヒドロキシアミドにおいて、j及びkのモル分率は、好ましくは、jは80〜100モル%、kは20〜0モル%である。
Wの2価の有機基は、例えばジカルボン酸と反応してポリアミド構造を形成するジアミンの残基であって、上記U以外の基である。Wの2価の有機基(好ましくは炭素原子数4〜40)は、好ましくは2価の芳香族基又は2価の脂肪族基であり、より好ましくは炭素原子数4〜40の2価の芳香族基である。
上記ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物が挙げられ、これらの他にも、シリコーン基の入ったジアミンであるLP−7100、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161C及びX−22−161E(いずれも信越化学工業株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式(II)で表されるポリヒドロキシアミドは、例えば、ジカルボン酸誘導体及びヒドロキシ基含有ジアミン類から合成できる。具体的には、ジカルボン酸誘導体をジハライド誘導体に変換後、ヒドロキシ基含有ジアミン類との反応を行うことにより合成できる。
上記ジハライド誘導体としては、ジクロリド誘導体が好ましい。当該ジクロリド誘導体は、ジカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて合成することができる。
ハロゲン化剤としては、通常のカルボン酸の酸クロリド化反応に使用可能な、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が使用できる。
ポリイミド前駆体としては、下記式(10)で表される構造単位を有するものが挙げられる。
Figure 2017194604
式(10)中、R1は4価の有機基、Rはフェノール性水酸基を有する2価の有機基、3つのRは各々独立にアルキル基又は水素原子であって少なくとも2つはアルキル基であり、3つのRは各々独立にアルキル基又は水素原子であって少なくとも2つはアルキル基である。
式(10)においてRで示される4価の有機基は、ジアミンと反応してポリイミド前駆体を形成しうる、テトラカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基であり、総炭素数6〜40のものが好ましく、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)を含む基が好ましい。当該4価の有機基に結合しているアミド結合とエステル結合とは、芳香環上のオルト位又はペリ位に結合していることが好ましい。
で示されるフェノール性水酸基を有する2価の有機基とは、テトラカルボン酸又はその誘導体と反応してポリイミド前駆体を形成しうる基であり、フェノール性水酸基を有する芳香族ジアミン化合物のアミノ基を除いた炭素原子数として6〜40のものがより好ましい。芳香環を含む基としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環を1つ又は2つ以上含むものが挙げられる。Rの2個の結合部位は芳香環上に直接存在することが好ましく、この場合同一の芳香環上に存在しても異なった芳香環上に存在してもよい。また、フェノール性水酸基はRに1〜8存在することが好ましい。
上記のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドと、ジアミン化合物を反応させて得ることができる。
テトラカルボン酸ジエステルジクロリドは、テトラカルボン酸二無水物をアルコール化合物と反応させて得られるテトラカルボン酸ジエステルと塩化チオニルを反応させて得ることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等が挙げられる。
アルコール化合物の具体例として、2−プロパノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、2−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ペンタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノールなどが挙げることができ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ジアミン化合物としては、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。
(a)成分が可溶であるアルカリ性水溶液とは、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液、金属水酸化物水溶液、又は有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液である。
半導体製造に用いる現像液として、一般に、濃度が2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が用いられるので、本発明の(a)成分は、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、特に好ましくは濃度が2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に可溶なポリマーである。
また、「アルカリ性水溶液に可溶」とは、(a)成分単独を任意の溶剤に溶解して得られるワニスを、シリコンウエハ等の基板上にスピン塗布して形成することにより膜厚5μm程度の塗膜とし、この塗膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液及び有機アミン水溶液のいずれか1つに20〜25℃において浸漬し、この結果、均一な溶液として塗膜が溶解し得る時、(a)成分をアルカリ性水溶液に可溶とみなすことができる。
(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマーの分子量は、重量平均分子量で、好ましくは3,000〜200,000であり、より好ましくは5,000〜100,000である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得られる値である。
また、重量平均分子量を数平均分子量で除した分散度は1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。
((b)光の照射を受けて酸を発生する化合物)
(b)光の照射を受けて酸を発生する化合物(以下、単に「光酸発生剤」と言う場合がある)は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜における光照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。
光酸発生剤としては、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられ、なかでもジアゾナフトキノン化合物は感度が高く好ましい。ジアゾナフトキノン化合物とは、ジアゾナフトキノン構造を有する化合物である。
(b)光酸発生剤の含有量は、感光時の感度及び解像度を良好とするために、(a)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部であり、より好ましくは0.01〜20質量部であり、さらに好ましくは0.5〜20質量部である。5〜15質量部としてもよい。
上記ジアゾナフトキノン化合物は、例えばo−キノンジアジドスルホニルクロリド類、ヒドロキシ化合物、アミノ化合物等を脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることにより得られる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できる。
ヒドロキシ化合物としては、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用できる。
アミノ化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が使用できる。
((c)フェノール骨格を有さない架橋剤)
(c)フェノール骨格を有さない架橋剤は、(a)成分等と反応して橋架けをする機能を有する化合物であって、フェノール骨格を含まない化合物である。
(c)成分は、ポジ型感光性樹脂組成物を塗布、露光し、現像した後、加熱処理する工程において、(c)成分である化合物がポリマーと反応して橋架けをするか、(c)成分の化合物自身が重合するものである。これらの反応により、得られる硬化膜の機械特性及び薬品耐性を向上させることができる。
フェノール骨格とは、芳香環に水酸基(−OH)が直接結合した構造を有する骨格を意味する。架橋剤としてフェノール骨格を含む化合物を用いると、硬化膜の十分な機械特性や十分な薬品耐性を得ることが困難となる。
(c)成分のフェノール骨格を有さない架橋剤は、好ましくは、尿素結合、メラミン骨格及びイソシアヌレート骨格からなる群より選択される1以上を含む化合物であり、好ましくは−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基を1以上含む化合物である。
Rの1価の有機基としては、炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜20(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜6)のアルキル基である。
(c)成分のフェノール骨格を有さない架橋剤は、より好ましくは下記式(1)〜(4)で表される化合物のいずれかである。式(1)又は(2)で表される化合物は尿素結合を含む化合物であり、式(3)で表される化合物はメラミン骨格を含む化合物であり、式(4)で表される化合物はイソシアヌレート骨格を含む化合物である。
Figure 2017194604
式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であり、R同士が互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。Rの1価の有機基は、上記と同じである。
Figure 2017194604
式(2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。
式(1)又は(2)で表される化合物は、より好ましくは下記式のいずれかで表される化合物である。
Figure 2017194604
式中、Zは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基である。Rは、それぞれ独立に、1価の有機基である。Rの1価の有機基は、上記と同じである。
Figure 2017194604
式(3)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基であり、R〜Rの少なくとも1つは−CHORで表される置換基である。Rの1価の有機基は、上記と同じである。
式(3)で表される化合物は、−CHORで表される置換基を多く(例えば3〜6つ)有すると好ましく、R〜Rの全てが−CHORで表される置換基であるとより好ましい。
Figure 2017194604
式(4)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、下記式(i)で表される置換基、又は−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基であり、R〜R11の少なくとも1つは下記式(i)で表される置換基又は−CHORで表される置換基である。Rの1価の有機基は、上記と同じである。
Figure 2017194604
式(4)で表される化合物は、−CHORで表される置換基を多く(例えば2又は3つ)有すると好ましく、R〜Rの全てが−CHORで表される置換基であるとより好ましい。
現像時間、未露光部残膜率の許容幅及び硬化膜物性の観点から、(c)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対して好ましくは1〜100質量部である。一方、硬化膜の薬品耐性及びめっき液耐性の観点から、(c)成分の含有量は(a)成分100質量部に対して好ましくは20質量部以上である。また、感光特性とのバランスの観点から、(c)成分の含有量は(a)成分100質量部に対して好ましくは20〜50質量部である。
なお、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、フェノール骨格を有する化合物を含まないことが好ましい。
((d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤)
(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤は、ポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、露光し、現像した後に加熱処理する工程において、ポリマーと反応して橋架けをする、又は加熱処理する工程において(d)成分自身が重合すると推定される。これにより、得られる硬化膜と基板との密着性を向上することができる。(d)成分は、上記(c)成分とは異なる化合物である。
(d)成分は、チオウレア結合(−NH−C(=S)−NH−)を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは下記式(11)で表される化合物である。
Figure 2017194604
式(11)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基である。R14は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基である。R14は置換基を有していてもよい。qは1〜10の整数である。rは1〜3の整数である。
式(11)中、R12及びR13は、好ましくは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
14は、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基(より好ましくはメチル基)、又は炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基である。
14が置換基を有する場合、置換基としては炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基が挙げられる。
qは、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは3である。rは、好ましくは3である。
式(11)で表される化合物の具体例としては、X−12−1016M、X−12−1116、X−12−1117(いずれも信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。X−12−1016Mが最も好ましい。
(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは2〜10質量部である。
((e)窒素含有複素環を有する化合物)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(e)窒素含有複素環を有する化合物を含んでもよい。
(e)成分は、トリアゾール骨格又はテトラゾール骨格を含むことが好ましい。具体的には、ベンゾトリアゾール、テトラゾール、5−アミノーテトラゾール等が挙げられる。
(他の成分)
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに(f)熱酸発生剤を含んでもよい。(f)熱酸発生剤は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に作用することができる。
例えば、(a)成分が約280℃の以下での脱水閉環率が高いポリマーである場合に(f)酸熱発生剤を含むことにより、脱水環化反応をさらに低温化できるため、低温での硬化であっても、硬化膜の物性が高温で硬化した硬化膜と遜色ない性能が得られる。
上記熱酸発生剤から発生する酸は、好ましくは強酸であり、例えばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸;カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が挙げられる。これら酸は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働く。
これに対して、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸や硝酸が出るような酸発生剤では、発生した酸の酸性度が弱く、さらに加熱により揮発し易いこともあって、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応には殆ど関与しないと考えられ、本発明の十分な効果が得られにくい。
熱酸発生剤は、例えば上述の酸をオニウム塩又はイミドスルホナートのような共有結合の形で本発明のポジ型感光性樹脂組成物に添加することができる。
(f)熱酸発生剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.2〜20質量部であり、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)成分のアルカリ性水溶液に対する溶解を促進させる(g)溶解促進剤を含んでもよい。
上記溶解促進剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。フェノール性水酸基を有する化合物を、本発明のポジ型感光性樹脂組成物に加えることにより、アルカリ性水溶液を用いて現像する際に、露光部の溶解速度が増加して感度が上げることができ、また、パターン形成後の膜の硬化時に膜の溶融を防ぐことができる。
現像時間及び未露光部残膜率の許容幅の観点から、(g)溶解促進剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは3〜25質量部である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(a)成分のアルカリ性水溶液に対する溶解性を阻害する(h)溶解阻害剤を含んでもよい。
上記溶解阻害剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨーダイト等を挙げることができる。
感度と現像時の許容幅の観点から、(h)溶解阻害剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部であり、より好ましくは0.01〜30質量部であり、さらに好ましくは0.1〜20質量部である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、(d)成分以外の有機シラン化合物、アルミキレート化合物等の(i)密着性付与剤を含んでもよい。
(i)密着性付与剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.5〜20質量部である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いで塗布性を改善させるため、又は現像性を向上させるために、(j)界面活性剤又はレベリング剤を含んでもよい。上記界面活性剤又はレベリング剤としては、例えばポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等が挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、通常、溶剤が含まれ、上記各成分が溶解又は分散している。溶剤は特に制限はなく、γ−ブチロラクトン(BLO)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N−メチルピロリドン(NMP)、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、アルコール等が使用できる。
上記溶剤の使用量は、特に制限されないが、好ましくは固形分(溶剤以外の成分)が5〜50重量%となるように使用する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、溶剤以外の成分が本質的に(a)〜(d)成分又は本質的に(a)〜(e)成分からなってもよい(consisting essentially of)。本発明のポジ型感光性樹脂組成物の溶剤以外の成分は、例えば、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は98質量%以上が(a)〜(d)成分又は(a)〜(e)成分であってもよい。また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の溶剤以外の成分は、(a)〜(d)成分のみ、又は(a)〜(e)成分のみからなってもよい(consisting of)。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
[硬化膜]
本発明の硬化膜は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られるものである。例えば、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、加熱処理することにより硬化膜が得られる。加熱処理は、後述するパターン硬化膜の製造方法の加熱処理の条件を用いることができる。特に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ性水溶液による現像が可能であり、良好な感度、良好な解像度及び高い耐熱性を示すと共に、基材に対する密着性に優れるので、良好な形状のパターン硬化膜を製造することができる。
[パターン硬化膜の製造方法]
本発明のパターン硬化膜の製造方法は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程と、感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する露光工程と、露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程とを含む。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を塗布する支持基板としては、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO、SiO等)、窒化ケイ素等が挙げられる。
塗布方法は、スピンナー等の塗布法が挙げられ、支持基板上に塗布した塗膜をホットプレート、オーブン等を用いて乾燥することで、感光性樹脂膜が形成できる。
支持基板上の感光性樹脂膜の露光は、所定のパターンを有するマスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射することにより行うことができる。
露光後の感光性樹脂膜の現像は、アルカリ水溶液(アルカリ性現像液)を用いて行う。アルカリ水溶液を用いて、活性光線による感光性樹脂膜の露光部を除去することで、パターン樹脂膜が得られる。
上記アルカリ性現像液としては、例えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,ケイ酸ナトリウム,アンモニア,エチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液が好ましい。
これらアルカリ水溶液の塩基濃度は、好ましくは0.1〜10重量%である。
上記アルカリ性現像液に、アルコール類及び/又は界面活性剤を添加してもよい。これらはそれぞれ、アルカリ性現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部を添加することができる。
得られたパターン樹脂膜を加熱処理することにより、パターン樹脂膜を熱硬化し、耐熱性の高いパターン硬化膜が得られる。
加熱処理の温度は、例えば160〜400℃である。当該温度範囲は従来の加熱温度より低いため、支持基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができ、デバイスの歩留り向上及びプロセスの省エネルギー化が可能となる。
加熱処理時間は、脱水閉環反応が十分進行するまでの時間であるが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下である。
上記加熱処理は、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、及びマイクロ波硬化炉等を用いて行うことができる。加熱環境としては、大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することもできるが、窒素下で行う方がパターン樹脂膜の酸化を防ぐことができるので好ましい。
加熱処理を行う加熱環境としては、上述のように通常の窒素置換されたオーブンを用いる以外に、マイクロ波硬化装置や周波数可変マイクロ波硬化装置を用いることもできる。これらを用いることにより、パターン樹脂膜のみを効果的に加熱することが可能である。
本発明のパターン硬化膜の製造方法を、パターン硬化膜を有する電子部品(半導体装置)の製造工程を一例に図面に基づいて説明する。
図1〜図5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図であり、第1の工程から第5の工程へと一連の工程を表している。
図1〜5において、回路素子(図示しない)を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。上記半導体基板1上にスピンコート法等で層間絶縁膜層4としてのポリイミド樹脂等の膜が形成される(第1の工程、図1)。
次に、塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が、マスクとして層間絶縁膜層4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜層4が露出するように窓6Aが設けられる(第2の工程、図2)。この窓6Aに露出する層間絶縁膜層4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bが空けられる。次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5を除去できるエッチング溶液を用いて感光樹脂層5を除去する(第3の工程、図3)。
さらに、公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が行われる(第4の工程、図4)。3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
次に、表面保護膜8を形成する。図5では、本発明のポジ型感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後、アルカリ水溶液にて現像してパターン樹脂膜を形成する。その後、このパターン樹脂膜を加熱して表面保護膜層8としての感光性樹脂のパターン硬化膜とする(第5の工程、図5)。
この表面保護膜層(感光性樹脂のパターン硬化膜)8は、導体層を外部からの応力、α線等から保護し、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られるパターン硬化膜は、半導体装置、多層配線板、各種電子デバイス等の電子部品の層間絶縁膜層及び表面保護膜層として好適である。中でも、本発明のパターン硬化膜は高い密着性を有するので、例えば再配線作製のための銅配線の層間絶縁膜や表面保護膜として特に好適である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、バンプ電極を有する電子部品において、その層間絶縁膜又は表面保護膜の製造に用いることができる。具体的には、バンプ電極に接するアンダーバンプメタルを無電解めっきを用いて製造する電子部品において好適に用いられる。アンダーバンプメタルは、例えば、前述のパターン硬化膜の製造方法によってパターン硬化膜を製造し、得られたパターン硬化膜に無電解めっきを施すことで得られる。
半導体装置の小型化に伴って、近年採用されている半導体装置の実装法であるフリップチップ方式は、半導体チップの外部端子(ボンディングパッド)と配線基板の外部端子との間をバンプ電極により電気的に接続しかつ機械的に接合する方式であり、UBM(アンダーバンプメタル)は配線基板とバンプ電極の間に形成される。このフリップチップ方式は、この半導体チップと配線基板との実装に限らず、半導体チップ同士の実装や配線基板同士の実装にも採用されている。
UBMを作製する工程を、図6を用いて説明する。図6では、シリコン基板102上に下地層103として複数層の配線等をまとめて示している。この下地層には、複数の配線層、それらの層間に形成される層間絶縁膜の層等が形成されている。下地層103上に外部電極端子104が形成されている。さらに本発明のポジ型感光性樹脂組成物により形成されたパターン硬化膜による表面保護膜層105が形成されている。
この状態の外部電極端子104上に無電解めっきを用いてUBMを作製することができる。例えば、外部電極端子104がアルミパッドである場合、脱脂剤を用いて脱脂する工程、硫酸等を用いてエッチングして酸化膜を溶解する工程、亜鉛置換剤を用いてアルミニウム上に亜鉛置換する工程、無電解ニッケルめっき液を用いて亜鉛とニッケルの置換反応によりニッケルめっきをする工程、さらに無電解金めっき液を用いてニッケルと金の置換反応により金めっきをする工程を経て、UBMを作製することができる。
次いでバンプ電極を形成するが、バンプ電極には一般的にはんだを使用することができる。はんだは、スクリーン印刷法やはんだボールを用いて搭載することができ、その後リフロー工程を経て、形状と密着性の良好なバンプ電極が形成される。
本発明の電子部品は、好ましくは本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成される表面保護膜層又は層間絶縁膜層を有する。本発明の電子部品は、高い耐熱性に加えて、密着性に優れたパターン硬化膜を有する信頼性の高いものである。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明についてさらに具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
合成例1
[ポリベンゾオキサゾール前駆体((a)成分)の合成]
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン60gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン13.92g(38mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、ドデカン二酸ジクロリド8.55g(32mmol)とジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド2.36g(8mmol)をそれぞれ10分間ずつかけて加えた後、室温に戻し3時間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーIとする)。ポリマーIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は39,500、分散度は1.9であった。
GPC測定は以下のように行った。即ち、ポリマーI0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mLの溶液を用いて測定した。以下の合成例においても同様である。
GPC法による重量平均分子量の測定条件は以下の通りである。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L4000 UV
ポンプ:株式会社日立製作所製L6000
株式会社島津製作所製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5 x2本
溶離液:THF/DMF=1/1 (容積比)
LiBr(0.03mol/L)、HPO(0.06mol/L)
流速:1.0mL/min、検出器:UV270nm
合成例2
[ポリイミド前駆体((a)成分)の合成]
撹拌機及び温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA)10g(32mmol)とイソプロピルアルコール3.87g(65mmol)とをN−メチルピロリドン45gに溶解し、1,8−ジアザビシクロウンデセンを触媒量添加して、その後、60℃にて2時間加熱した。続いて室温下(25℃)で15時間撹拌し、エステル化を行った。その後、氷冷下で塩化チオニルを7.61g(64mmol)加え、室温に戻し2時間反応を行い、酸クロリドの溶液を得た(以下、酸クロリド溶液Iという)。
次に、撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン40gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10.25g(28mmol)を添加し、撹拌溶解した後、ピリジン7.62g(64mmol)を添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、調製した酸クロリド溶液Iを30分間で滴下した後、30分間撹拌を続けた。撹拌後の反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥することによってカルボキシル基末端のポリアミド酸エステルを得た(以下、ポリマーIIという)。
ポリマーIIの重量平均分子量は19,400であり、分散度は2.2であった。
実施例1〜10及び比較例1〜7
[ポジ型感光性樹脂組成物の調製]
表1に示す各成分及び(e)成分を溶剤に溶解して感光性樹脂組成物を調製した。溶剤はγ−ブチロラクトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを質量比9:1で混合した溶剤(実施例1〜6及び比較例1〜7)、又はγ−ブチロラクトン(実施例7〜10)とした。
表1において、(b)〜(d)、(c’)、(d’)成分の各欄における括弧内の数値は、(a)成分100質量部に対する添加量(質量部)を示す。(e)成分はそれぞれ0.5質量部加えた。溶剤の使用量は、いずれも(a)成分100質量部に対して200質量部とした。
Figure 2017194604
表1中の(a)成分は合成例1、2で製造したポリマーI、IIである。(b)〜(d)、(c’)、(d’)成分は以下の通りである。式中、Meはメチル基、Bnはベンジル基を示す。
Figure 2017194604
Figure 2017194604
(e)成分として、1,2,4−トリアゾールを用いた。
[硬化膜の製造・密着性評価]
実施例1〜10及び比較例1〜7で調製した感光性樹脂組成物を、それぞれウエハ(銅基板及びシリコン基板)上にスピンコートして乾燥膜厚7〜12μmの塗膜を形成した。次に、塗膜を形成したウエハを縦型拡散炉μ−TF(光洋サーモシステム社製)を用いて窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱した後、昇温して、さらに200℃で1時間加熱して硬化膜(硬化後膜厚5〜10μm)を得た。
得られた硬化膜ウエハの密着性をテープテストにより評価した。
具体的には、硬化後の硬化膜、及びPCT(プレッシャークッカーテスト)条件(121℃/100RH%/2atm)で300時間処理した硬化膜に、クロスカットガイド(コーテック製)を用いてカミソリで10×10の碁盤目の切り込みを入れて100個の小片に分割した。そこに粘着テープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けた後、剥離した。粘着テープを剥離する際に、基板から剥離した小片の数により、密着性を下記のように評価した。結果を表2に示す。「−」は試験を行っていないことを示す。
(銅基板における評価基準)
残数100を○、残数70〜99を△、残数69以下を×とした。
(シリコン基板における評価基準)
残数100〜75を○、残数74〜50を△、残数49以下を×とした。
Figure 2017194604
表2より、(c)フェノール骨格を有さない架橋剤及び(d)チオウレア結合を含むカップリング剤を併用することにより、銅基板及びシリコン基板、特に銅基板に対する接着性が向上することが分かる。
[パターン樹脂膜の製造・現像後ハガレの評価]
実施例7〜10で調製した感光性樹脂組成物を、それぞれシリコンウエハ上にスピンコートして、乾燥膜厚が7〜12μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に、超高圧水銀灯を用いて、干渉フィルターを介して、100〜1000mJ/cmのi線を所定のパターンに照射して露光を行った。露光後、120℃で3分間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38重量%水溶液にて露光部のシリコンウエハが露出するまで現像した後、水でリンスして、パターン樹脂膜を得た。
パターン樹脂膜において、開口パターンを顕微鏡で観察し、L/Sのはがれを評価した。具体的にはL/Sのパターンにおいてはがれが3μm以下を○、3μm超を×とした。結果を表3に示す。
Figure 2017194604
ウレア結合を含むシランカップリング剤を用いると、質量部が多くなるにしたがって現像はがれが進行する傾向がある。しかしながら、チオウレア結合を含むシランカップリング剤を用いれば、質量部を増やしてもはがれの進行が抑えられることが表3から分かる。なお、実施例10ではウレア結合を含むシランカップリング剤の添加量が多いためはがれが進行したものと考えられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物から得られるパターン硬化膜は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に用いることができる。
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
101 半導体基板
102 シリコン基板
103 下地層
104 外部電極端子
105 表面保護膜層

Claims (18)

  1. 下記成分(a)〜(d)を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
    (a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー
    (b)光の照射を受けて酸を発生する化合物
    (c)フェノール骨格を有さない架橋剤
    (d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤であって前記(c)成分以外のもの
  2. 前記(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマーが、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 前記(b)光の照射を受けて酸を発生する化合物が、ジアゾナフトキノン化合物である請求項1又は2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、尿素結合、メラミン骨格及びイソシアヌレート骨格からなる群より選択される1以上を含む化合物であって、−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基を1以上含む化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が下記式(1)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2017194604
    (式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基であり、R同士が互いに結合して環構造を形成してもよい。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。)
  6. 前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、下記式(2)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2017194604
    (式(2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。)
  7. 前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、下記式(3)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2017194604
    (式(3)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基であり、R〜Rの少なくとも1つは−CHORで表される置換基である。)
  8. 前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤が、下記式(4)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2017194604
    (式(4)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、下記式(i)で表される置換基、又は−CHOR(Rは、水素原子又は1価の有機基である)で表される置換基であり、R〜R11の少なくとも1つは下記式(i)で表される置換基又は−CHORで表される置換基である。)
    Figure 2017194604
  9. 前記(d)チオウレア結合を有するシランカップリング剤が、下記式(11)で表される化合物である請求項1〜8のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2017194604
    (式(11)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基である。R14は、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基である。R14は置換基を有していてもよい。qは1〜10の整数である。rは1〜3の整数である。)
  10. さらに(e)窒素含有複素環を有する化合物を含む請求項1〜9のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  11. 前記(e)窒素含有複素環を有する化合物が、トリアゾール骨格又はテトラゾール骨格を含む化合物である請求項10に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  12. 前記(c)フェノール骨格を有さない架橋剤の含有量が、前記(a)アルカリ性水溶液に可溶なポリマー100質量部に対して20質量部以上である請求項1〜11のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  13. 電子部品の層間絶縁膜又は表面保護膜成膜用の請求項1〜12のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥して感光性樹脂膜を形成する感光性樹脂膜形成工程と、
    前記感光性樹脂膜を所定のパターンに露光する露光工程と、
    前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像してパターン樹脂膜を得る現像工程と、
    前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化膜を得る加熱処理工程と
    を含むパターン硬化膜の製造方法。
  16. 請求項15に記載の製造方法によってパターン硬化膜を製造し、得られたパターン硬化膜に無電解めっきを施してアンダーバンプメタルを作製する工程を含む電子部品の製造方法。
  17. 請求項14に記載の硬化膜を、層間絶縁膜層及び表面保護膜層から選択される1以上として有する電子部品。
  18. 請求項14に記載の硬化膜と無電解めっきのアンダーバンプメタルを含む電子部品。
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