JP2020024984A - チップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤、近紫外線硬化性の基板接着剤及びそれを用いたチップの製造方法 - Google Patents

チップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤、近紫外線硬化性の基板接着剤及びそれを用いたチップの製造方法 Download PDF

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正仁 井手
悠太 齋藤
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悠太 齋藤
大希 木下
Daiki KINOSHITA
大希 木下
眞鍋 貴雄
Takao Manabe
貴雄 眞鍋
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Abstract

【課題】センサチップ製造工程における接着不良や、フォトリソグラフィ工程時における耐熱性不足によるアウトガス発生を低減したダイボンド剤を提供することであり、本発明では、特に、ポジ型感光性ダイボンド剤及びそのダイボンド剤を用いたチップの製造方法を提供する。【解決手段】チップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤であって、ポリシロキサン系化合物を主成分とするアルカリ現像性ポジ型感光性樹脂を含み、上記感光性樹脂が光酸発生剤を必須成分として含有し、かつ、保護された水酸基を有するビスフェノール構造を酸分解性基として含有する樹脂であることを特徴とするチップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子や半導体基板の実装に用いるダイボンド剤に関する。さらに、ダイボンド剤を用いたチップ素子の製造方法に関する。
センサ、半導体、LEDなどのエレクトロニクスデバイス製造の際の、ICチップ、加速度センサ、圧力センサ、イメージセンサ等のセンサチップ、LEDチップ等のチップボンディング工程では、微小かつ薄いチップを高精度で基板などに固定する必要がある。特許文献1に記されるダイボンドフィルムや特許文献2〜5で示されるようなフォトリソグラフィによるパターン化が可能な感光性ダイボンド接着剤が知られているが、接着性や耐熱性などに乏しく有効なものは未だ得られていない。
また、ポジ型感光性樹脂組成物及び永久レジストに関する発明を開示している特許文献6は、ベース樹脂としてカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有するポリシロキサン化合物を用いており、アプリケーションとしてダイボンド材も列記されている。しかしながら、ダイボンド剤としての検討はなされていない上、実施例1及び段落0118は、エポキシシロキサン化合物を有さない場合は高熱履歴後の耐アルカリ性に劣ることを説明している。すなわち、センサチップ製造工程に耐えうる接着性や耐熱性を備えつつ、アルカリ性洗浄液を用いたパターニング性にも優れるポジ型感光性ダイボンド剤は知られていない。
特許第6287200号 特許第5093229号 特許第5120378号 特許第5176076号 特許第5691228号 特開2012−113160号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサチップ製造工程における接着不良や、フォトリソグラフィ工程時における耐熱性不足によるアウトガス発生を低減したダイボンド剤を提供することであり、本発明では、特に、ポジ型感光性ダイボンド剤及びそのダイボンド剤を用いたチップの製造方法を提供する。
上記課題解決のために検討した結果、所定の成分を有する感光性ダイボンド用樹脂により、上記課題を解決する発明を見出した。本発明は以下からなるものである。すなわち、本発明は、ポリシロキサン系化合物を主成分とするアルカリ現像性ポジ型感光性樹脂であって、上記感光性樹脂が光酸発生剤を必須成分として含有し、かつ、保護された水酸基を有するビスフェノール構造を酸分解性基として含有する樹脂であるダイボンド剤である。また、上記感光性樹脂が下記式(X1)または(X2)で表される各構造、ビスフェノール構造およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む樹脂、ジアゾナフトキノン化合物を必須成分として含有することが好ましい。
Figure 2020024984
本発明の好ましい製法は、本発明のダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、(1)上記ダイボンド剤をチップ付き母材基板に塗布乾燥させる接着層形成工程と、(2)上記接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程と、(3)上記パターン付き母材基板をダイシングする個片化工程と、(4)上記個片化されパターン化されたチップ付き基板と、接着対象基板とを、上記パターンを介して加熱圧着し接着させる工程とをこの順に含むチップの製造方法である。また、他の好ましい製法として、本発明のダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、(1)上記ダイボンド剤を接着対象基板上に塗布乾燥する接着層形成工程と、(2)上記接着層を露光後、アルカリ水溶液で現像してパターンを形成する工程と、(3)上記パターンが形成された基板と、チップ付き母剤基板とを、上記パターンを介して、加熱圧着し接着させる工程と、(4)上記接着された基板をダイシングにより個片化し、チップ付き個片基板を得る工程と、をこの順に含むチップ製造方法がある。本発明においては、上記パターンを介して、基材にチップを加熱圧着し接着させる工程の後に、上記パターンを硬化させる工程を有するようにしてもよい。
本発明のダイボンド剤は、所定の成分を含有するアルカリ現像性ポジ型感光性樹脂からなり、良好なパターニング性と充分な接着性を奏する。また、それを用いることで不良なくチップの接着が可能となり、簡便にIC、センサ、LED等の微小なチップの接着が可能となる。また、チップ毎のダイボンド剤を均一な膜厚・量で塗布する事が可能となり、チップの接着強度のバラツキ抑制やチップ接着後の傾きを小さくする事もできる。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。
〔ポジ型感光性樹脂について〕
本発明で言うポジ型感光性樹脂とは、光によって分解反応により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を言う。フォトマスクを通して光を照射されることで、露光部でのみ分解反応が起こり、現像液へ可溶となる。その後、露光部を現像液で溶解除去することで、未露光部のみのパターン樹脂が形成される。この段階では、まだパターン樹脂は熱での硬化性を有しており、その後、加熱圧着する事でダイボンド用の接着剤として機能する。
〔アルカリ現像性について〕
本発明における感光性樹脂はアルカリ水溶液への可溶性を有することにより、フォトリソグラフィによるパターン形成工程において、有機溶剤ではなくアルカリ水溶液の現像液を用いることができる。アルカリ水溶液への可溶性を有するためには、酸性基を含んでいることが必要であり、例えば、前記感光性樹脂が下記式(X1)または(X2)で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基等が考えられる。耐熱性およびアルカリ現像によるパターンの膨潤を低減することができる観点から、式(X1)または(X2)で表される各構造であることが望ましい。
Figure 2020024984
〔光分解性化合物について〕
本発明で言うポジ型の感光性樹脂として、露光部のアルカリ水溶液への可溶性を向上させる為に、露光により分解し酸性基を有する化合物を含有している。光分解性化合物としては、特に限定なく使用する事ができ、例えば、ジアゾナフトキノン化合物が挙げられ、下記一般式で示される構造を含む化合物であれば全て例外なく使用する事ができる。
Figure 2020024984
〔酸分解性基について〕
本発明で言うポジ型の感光性樹脂として、露光部のアルカリ水溶液への可溶性を向上させる為に、酸存在下で分解し酸性基が発現する構造(酸分解性基)を有している。露光により、光酸発生剤から発生した酸によって分解し酸性基となる官能基として、様々なものが挙げられ、官能基保護されたフェノール基、カルボン酸三級エステル基(例えばtertブトキシ基、tertブトキシカルボニル基での保護)を有する化合物であれば、特に限定せず用いる事ができる。
これらの中でも官能基保護されたビスフェノール基を有する化合物を用いることで得られる薄膜の耐薬品性、絶縁性などを高めることが可能となるため好ましい。官能基保護されたビスフェノール構造とは、ビスフェノール構造の水酸基の水素原子が炭素数1〜50の有機基あるいは有機ケイ素基に置き換わった以下の一般式(I)で示す構造で示すことができる。
Figure 2020024984
一般式(上記式中のXは、炭素数1〜50からなる有機基または有機ケイ素基を示し、Rはビスフェノール化合物として取りうる構造であればよい。また、芳香環は置換基を有していてもいなくてもよい。)
ビスフェノール構造の水酸基の水素原子が炭素数1〜50の有機基あるいは有機ケイ素基に置き換わった構造を有する化合物(本願の官能基保護されたビスフェノール構造を含有する化合物)を得る方法として、活性水素と反応性に富む化合物を用いたり、二炭酸ジtertブチルなどのBoc試薬によるtertブトキシカルボニル基による保護法を用いることが出来る。
アルキルシリル基で官能基保護する場合には、汎用的なシリル化剤を用いる事ができ、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチルトリメチルシリルアセトアミド、N−メチルトリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、トリメチルシリルイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも工業的に安価に入手しやすい観点より、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシランが好ましい。これら官能基保護させる反応の際に、効率良く目的の化合物を得る為に、適宜溶剤や触媒を使用してもよい。
〔ポリシロキサン系化合物〕
本発明における感光性樹脂は、透明性や耐熱性に優れる観点より、ポリシロキサン系化合物を主成分とする。光重合性官能基を有するシロキサン化合物は適宜得る事は出来るが、塗布による製膜性に優れ、ピンホールなどによるリーク電流、絶縁破壊が起こり難い観点より、光重合性官能基を有する変性シロキサン化合物であることが好ましい。
ここでの変性ポリオルガノシロキサン化合物とは、シロキサン単位(Si−O−Si)および、構成元素としてC、H、N、O、Sからなる有機基Xとから構成される化合物、重合体を示し、構造上特に限定されるものではない。
また、これら化合物中のシロキサン単位のうち、構成成分中T単位(XSiO3/2)、またはQ単位(SiO4/2)の含有率が高いものほど得られる硬化物は硬度が高くより耐熱信頼性に優れ、またM単位(XSiO1/2)、またはD単位(XSiO2/2)の含有率が高いものほど硬化物はより柔軟で低応力なものが得られる。
本発明の硬化性組成物に使用される変性ポリオルガノシロキサン化合物は、加水分解による縮合反応や付加反応および開環重合など様々な手法によって得られるものであるが、これら特定の有機構造をポリシロキサン化合物構造中に導入する手法としては特に限定され無いが、位置選択的に導入が可能でかつ化学的に安定な結合であるSi−C結合にて導入できるヒドロシリル化を用いるのが好ましい。
本発明の感光性樹脂に使用される変性ポリオルガノシロキサン化合物として好適な態様としては、下記化合物(α1)、(α2)、(α3)、(β)のヒドロシリル化反応生成物が挙げられる。
酸性基を分子中に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物を得る場合には、(α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、下記式(X1)、(X2)で表される各構造と、ビスフェノール構造と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも一種を同一分子内に有する有機化合物、(α2)酸性基を有さないアルケニル化合物、(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノシロキサン化合物を反応させることにより得られる。フェノール基の中でも、特にビスフェノール構造は、耐薬品性や耐熱性に優れる樹脂となる事から好ましい。
Figure 2020024984
〔化合物(α1)〕
化合物(α1)について説明する。化合物(α1)は、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記酸性基のうち少なくとも一種を同一分子内に有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。化合物(α1)はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上有すればよいが、得られる硬化物の架橋密度が高いため耐熱信頼性が高いという点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。化合物(α1)は上記酸性基のうち少なくとも一種を有するものであるが、当該酸性基は、前述の変性ポリオルガノシロキサン化合物の酸性基と同一であって、好ましい構造についても同様である。
化合物(α1)の具体的な例としては、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸が好ましく、これらの中でも特に耐熱性が高いという観点より、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールSが好ましく、さらに硬化物の透明性の観点よりジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸が特に好ましい。
〔化合物(α2)〕
化合物(α2)について説明する。化合物(α2)は、酸性基を有さない1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物であれば特に限定されない。化合物(α2)における有機化合物、および、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合は、上記化合物(α1)と同様であって、好ましい態様についても上記化合物(α1)と同様である。
化合物(α2)の具体的な例としては、アリル基含有イソシアヌル酸誘導体、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、などが挙げられる。
特に、耐熱性、耐光性が高いという観点からアリル基含有イソシアヌル酸誘導体が特に好ましく、具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、モノメチルジアリルイソシアヌレート、モノプロピルジアリルイソアイヌレート、モノグリシジルジアリルイソシアヌルレート、モノベンジルジアリルイソシアヌレート、ジメチルモノアリルイソアヌレート、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、ジプロピルモノアリルイソシアヌレート、ジベンジルモノアリルイソシアヌレート、等が挙げられる。
〔化合物(β)〕
化合物(β)について説明する。化合物(β)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定せず使用することができる。具体的なSiH化合物としては、特に限定せず使用することができ、ジメチルヒドロシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にSiH基を有する環状、鎖状のポリもしくはオリゴシロキサン等が挙げられる。
特に絶縁性に優れる薄膜を得られる観点より、環状シロキサン化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−メチル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジメチル−5,7−ジハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジプロピル−5,7−ジハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−7−ヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等が例示される。特に入手性の観点より、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
また、酸分解基を分子中に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物を得る場合には、(α3)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記の酸分解性基を分子中に有する化合物、(α2)酸性基を有さないアルケニル化合物(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノシロキサン化合物を反応させることにより得られる。
〔化合物(α3)〕
化合物(α3)について説明する。化合物(α3)は、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記酸分解性基を分子内に有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。酸分解性基としては、tertブトキシカルボニル基もしくはアルキルシリル基によって保護されたフェノール基またはカルボキシル基が好ましい。
特に、化合物(α3)の具体的な例としては、耐薬品性に優れることから官能基保護されたビスフェノール化合物が好ましく、tertブトキシカルボニル基もしくはアルキルシリル基によって保護された、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールE、ビスフェノールM、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールPH、ビスフェノールC、ビスフェノールG、ビスフェノールTMC、ビスフェノールZのジアリル化合物やテトラアリル化合物(例えばジアリルビスフェノールA、テトラアリルビスフェノールA)が挙げられる。
中でもアルカリ現像液への溶解性優れコントラストに優れるパターンが得られやすい観点より、tertブトキシカルボニル基もしくはアルキルシリル基によって保護されたビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールAP、ビスフェノールPHのジアリル化合物、テトラアリル化合物が好ましい。
さらには2つの芳香環の間には枝部分の炭素原子を含め炭素原子が3つ以下のビスフェノール構造を有するものが好ましい。具体的にはtertブトキシカルボニル基もしくはアルキルシリル基によって保護されたビスフェノールA、ビスフェノールS構造を有するものが挙げられる。
〔ヒドロシリル化触媒〕
化合物(α1)、(α2)、(α3)と化合物(β)とをヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、例えば、次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、化合物(α1)および化合物(γ)のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合(以下、単に「アルケニル基」と称することがある。)1モル、または、化合物(α1)、化合物(α2)および化合物(γ)のアルケニル基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は上記化合物のアルケニル基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
〔光酸発生剤〕
上記感光性性樹脂は、酸分解性基を有する化合物を用いる際には、光酸発生剤を含有することが必須である。光酸発生剤は、活性エネルギー線を照射されることにより、感光性樹脂が有する酸分解性基を分解させることができる酸性活性物質を放出することができる化合物であれば、特に限定されない。
光酸発生剤により発生する酸のpKaは、限定はされないが、好ましくは3未満、さら
に好ましくは1未満である。
上記光酸発生剤としては、公知の光酸発生剤を使用することができる。例えば、光酸発生剤として、特開2000−1648号公報、さんぶんかい特表2001−515533号公報および国際公開第2002/83764号において好適とされている各種の化合物が挙げられるが、特に限定されない。上記光酸発生剤は、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類またはオニウム塩類であることが好ましく、オニウム塩類であることがより好ましい。
上記スルホネートエステル類としては、種々のスルホン酸誘導体を使用することができ、例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体等のイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類が挙げられる。
上記スルホネートエステル類として、具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、1,2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト−ニトロフェニルメチルトシラートおよびパラ−ニトロフェニルトシラート等が挙げられる。
これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、光酸発生剤としてカルボン酸エステル類も同様に使用することができる。
一般に、スルホン酸エステルおよびカルボン酸エステルは、酸を遊離するために、加熱ステップ(50℃〜100℃)を必要とする場合がある。
上記オニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6−)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、フルオロアルキルフルオロホスフェート、過塩素酸イオン(ClO4−)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3−)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3−)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオンおよびトリニトロトルエンスルホン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩およびヨードニウム塩が挙げられる。光酸発生剤は、吸収波長の観点から、芳香族系スルホニウム塩が好ましい。
光酸発生剤における陰イオンを酸強度が強いものから順に並べるとSbF6−、B(C6F5)4−、PF6−、CF3SO3−、HSO4−となる。光酸発生剤の陰イオンの酸強度が強いものほど、残膜率が高くなる傾向にある。光酸発生剤から発生する酸のpKaは、好ましくは3未満、さらに好ましくは1未満である。
感光性組成物における光酸発生剤の含有量は、特に制限はない。硬化速度および硬化物の物性バランスの観点から、光酸発生材の含有量は、感光性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がさらに好ましい。
光酸発生剤の量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られなかったりする場合がある。また、光酸発生剤が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色または耐熱性もしくは耐光性を損なったりするため、好ましくない場合がある。
〔塩基性化合物〕
上記感光性樹脂は、残膜率および解像度の向上のため、塩基性化合物を含有してもよい。上記塩基性化合物はクエンチャーとして作用する。すなわち、上記塩基性化合物を適切な量にて上記感光性樹脂に配合することにより、上記光酸発生剤による酸分解性基の分解が未露光の部分にまで及ぶことを防ぐことができる。これにより、残膜率が向上するとともに、露光部分と未露光部分とのコントラストが明確になって解像度が向上する。
上記塩基性化合物の配合量は、酸分解性基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.001〜2.0重量部であり、より好ましくは0.01〜1.0重量部である。上記塩基性化合物の配合量が0.001重量部以上であれば、クエンチャーとしての効果を十分に奏することができる。上記塩基性化合物の配合量が2.0重量部以下であれば、感度を向上させることができる。
(A)光酸発生剤に対する(B)塩基性化合物の重量比((B)/(A))は、0.001〜0.2であり、好ましくは0.01〜0.15である。当該重量比が0.001以上であれば、塩基性化合物がクエンチャーとしての効果を十分に奏することができる。当該重量比が0.2以下であれば、十分に酸分解性基を分解させることができる。
上記塩基性化合物としては、特に制限はないが、第一級、第二級および第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、アミド誘導体およびイミド誘導体等が挙げられる。この中でも芳香族アミン類および複素環アミン類が、塩基性化合物として好適に使用できる。
上記芳香族アミン類および上記複素環アミン類としては、アニリン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、インドリン、キノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、1,10−フェナントロリン、アデニン、アデノシン、グアニン、グアノシン、ウラシルおよびウリジン、並びにそれらの誘導体等が例示される。また、上記複素環アミン類としては、2,6−ルチジンも挙げられる。
なかでも、塩基性化合物としてモルホリン誘導体が好適に使用できる。モルホリン誘導体としては、具体的にはビス(2−モルホリノエチル)エーテル、4,4’−カルボニルジモルホリン、4−[2−(エトキシカルボニル)エチル]モルホリンおよび4−(p−トリル)モルホリン等が例示される。例えば、ビス(2−モルホリノエチル)エーテルは下記式(e)で表される。
Figure 2020024984
上記塩基性化合物としては、1種が用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
〔増感剤〕
上記感光性樹脂は、増感剤を含有してもよい。上記増感剤によれば、上記感光性樹脂において、可視光等への感度を向上させることができ、さらにg線(436nm)、h線(405nm)およびi線(365nm)等の高波長の光に感度を持たせることができる。
これらの増感剤を、上述の光酸発生剤と併用して使用することにより、上記感光性樹脂の酸分解性基の分解程度を調整を行うことができる。上記増感剤としては、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられる。
上記アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン、9,10−ジフェニル−2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン等が挙げられる。特に入手しやすい観点からは、上記アントラセン系化合物として、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセンおよび9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
上記アントラセン系化合物として、最終硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、感光性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセンおよび9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。例えば、9,10−ジブトキシアントラセンは下記式(f)で表される。
Figure 2020024984
上記チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントンおよび2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられる。これらの増感剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、添加した光酸発生剤1モルに対して、好ましくは0.01〜300モルであり、より好ましくは0.01モル〜100モルである。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼしたりする場合がある。一方、増感剤の量が多いと、最終硬化物が着色したり、耐熱性または耐光性を損なったりするおそれがある。
〔接着性改良剤〕
上記感光性樹脂は、接着性改良剤を含有していてもよい。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレンおよび芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基およびカルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性および接着性の観点から、エポキシ基、メタクリル基またはアクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の観点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点からメトキシシリル基またはエトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシランおよびアクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類、トリス[3−(トリメトキシシリルプロピル)]イソシアヌレート、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が例示できる。
シランカップリング剤の添加量は適宜設定され得るが、カチオン重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤およびエポキシ化合物等としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
〔熱可塑性樹脂〕
上記感光性樹脂の特性を改質する等の目的で、上記感光性樹脂に種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体またはメチルメタクリレートと他のモノマーとのランダム、ブロック、もしくはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)およびブチルアクリレートの単独重合体またはブチルアクリレートと他のモノマーとのランダム、ブロック、もしくはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドとの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TIPAS等)、ビスフェノール類(ビスフェノールAおよびビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等)またはジオール類(ジエチレングリコール等)と、フタル酸類(テレフタル酸およびイソフタル酸等)または脂肪族ジカルボン酸類とを重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
上記熱可塑性樹脂は架橋性基を有していてもよい。上記架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基およびアルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという観点から、上記熱可塑性樹脂は、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂の分子量としては、特に限定はないが、ポリシロキサン系化合物との相溶性が良好となりやすいという観点からは、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。一方、得られる硬化物が強靭となりやすいという観点からは、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという観点からは、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
上記熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、上記感光性樹脂全体に対して好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。上記熱可塑性樹脂の添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなる場合がある。上記熱可塑性樹脂の添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は上記感光性樹脂に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。
得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、上記感光性樹脂に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を上記感光性樹脂に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態または混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、当該熱可塑性樹脂の平均粒子径は適宜設定され得るが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
〔充填材〕
上記感光性樹脂には必要に応じて充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、シリカ系充填材(石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカおよび超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系充填材等の、従来の封止材の充填材として一般に使用または提案されている充填材等が挙げられる。
〔酸化防止剤〕
上記感光性樹脂には酸化防止剤を添加してもよい。使用できる酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤等の一般に用いられている酸化防止剤の他、クエン酸、リン酸および硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィド類(スルフィドカルボン酸エステル類およびヒンダードフェノール系スルフィド類等)、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類およびスルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの酸化防止剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
〔溶剤〕
本発明の樹脂溶液において均一に塗布するために溶剤を使用することが好ましい。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく具体的に例示すれば、エチルシクロヘキサン、トリメチルペンタン等の炭化水素系溶剤、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、等のエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、イソ酪酸イソブチル、酪酸イソブチル等のエステル系溶剤、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、トリフルオロトルエン等のハロゲン系溶剤を好適に用いることができる。特に均一な膜が形成しやすい観点より、1,4−ジオキサン、イソ酪酸イソブチル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等が好ましい。
使用する溶剤量は適宜設定できるが、溶剤を除く組成物総量を100重量部に対しての好ましい使用量の下限は10重量部さらには30重量部特には105重量部であり、好ましい使用量の上限は400重量部、さらには300重量部、特には85重量部である。使用量が少ないと、低粘度化等の溶剤を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。これらの、溶剤は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶剤として用いることもできる。
〔ダイボンド剤について〕
ダイボンド剤とは、様々なエレクトロニクス製品で用いられるチップを接着固定するための樹脂を示す。接着させるチップも特に限定されず、例えば、センサチップ、ICチップ、LEDチップ、各種半導体チップなどが挙げられる。
また特に、エレクトニクス製品に求められる長期信頼性を確保する観点からは、ダイボンド剤が、高い接着力を有することや耐熱性が高くアウトガスが少ないこと、アウトガスによるボイド発生などによる接着不良がない事が求められる。耐熱性に優れるという観点から、エポキシ系やアクリル系よりもシロキサン系のダイボンド剤が好ましい。
また、微少なチップを接着させる為に、従来の液状ダイボンド剤の場合、塗布量や膜厚バラツキの制御が非常に困難となるが、本発明のダイボンド剤は、膜厚を均一に塗布でき接着性のバラツキなく、チップからの樹脂はみ出しや接着後のチップ平行性も確保しやすい。ダイボンド剤の好ましい膜厚としては、アウトガスが少ない観点より1〜10μmであり、より好ましくは1〜5μmである。
〔チップの接着方法について〕
本発明のポジ型感光性ダイボンド剤によりチップを製造する方法は、種々想定されるが、生産効率の観点より、以下方法による接着が好ましい。
(方法1)(1)本発明の感光性樹脂をチップ母材基板裏面に塗布乾燥し、露光後アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程、(2)ダイシングによりチップ母材基板を個片化し、感光性樹脂付きチップを得る工程、(3)前記パターンを介して、接着対象の個片基板に感光性樹脂付きチップを加熱圧着し接着させる工程。
(方法2)(1)本発明の感光性樹脂を接着対象基板上に塗布乾燥し、露光後アルカリ水溶液で現像してパターンを形成する工程、(2)前記パターンを介して、感光性樹脂付き基板にチップを加熱圧着し接着させる工程、(3)ダイシングにより個片化し、チップ付き個片基板を得る工程。
上記において、露光は透光性基板側から行なうことが好ましく、ガラス基板とシリコン基板とを接着する場合は、ガラス基板側からが好ましい。
各工程についてさらに説明する。
(1)接着層形成工程
上記ポジ型感光性樹脂は液状であり、基材上に塗布することにより接着層として容易に形成することができる。用いる基材も特に限定されることはなく、接着対象となる基板や個片化する前のチップ母材基板にも適用する事ができ、半導体向けであれば、シリコンウェハ、ガラス基材、GaN基材、SiC基材、セラミック基材などが挙げられ、LED向けであればサファイア基材などが挙げられ、その他、ガラエポ基材、樹脂基材、着色樹脂膜がパターン化されたLCDまたはCCD用カラーフィルター基材、印刷用紙、印刷用繊維、金属板等の基材など、特に限定なく塗布することができる。塗布方法は、スピンコート法、ロールコート法、印刷法およびバーコート法等が挙げられる。塗布膜厚は、通常0.05〜500μm、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは1〜50μmである。
(2)パターン形成工程
上記感光性樹脂の接着層のパターン形成は、後に個片チップ化するチップ母材基板裏面、もしくは、接着対象基板へ行う。
感光性樹脂のフォトリソグラフィーによるパターン形成方法について説明する。まず上記基材に形成した接着層を乾燥させ、フォトマスク越しに露光後、アルカリ水溶液により現像することで、パターン形成することが出来る。塗布膜の乾燥は、VCD(バキュームチャックドライ)装置による減圧乾燥を行っても良い。減圧乾燥の時間は、好ましくは1〜15分であり、より好ましくは1〜5分である。真空度は、好ましくは0.5〜50Paであり、さらに好ましくは1〜10Paであり、プログラムにより多段ステップで減圧してもよい。また加温(プリベイク)によって溶剤除去・乾燥を行っても良い。プリベイクの温度としては、好ましくは40〜200℃、より好ましくは70〜150℃であり、好ましい持間は、1〜600秒、より好ましくは1〜150秒である。
露光の光源としては、使用する重合開始剤および増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)である近紫外光線を使用できる。露光量は特に制限されないが、好ましくは1〜10000mJ/cm、より好ましくは1〜4000mJ/cmである。露光量が少ないと上記ポジ型感光性感光性樹脂が硬化しない場合がある。露光量が多いと急硬化のために変色する場合がある。硬化時間の範囲は好ましくは1〜600秒、より好ましくは1〜150秒である。また光反応を促進させ精密なパターン形状を得る目的で、露光後に加熱を行うポストエクスポージャーベイク(PEB)してもよい。加熱温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは70〜150℃である。好ましい持間は、1〜600秒、より好ましくは1〜180秒である。
現像についても、特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法、パドル法またはスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解および除去して所望のパターンを形成することができる。
また現像液についても、一般に使用されるものであれば特に限定なく使用することができる。樹脂を溶解させることができる汎用の有機溶剤であれば問題なく使用する事ができ、その他アルカリ性水溶液などが使用できる現像液として挙げられる。特に、半導体やディスプレイ製造プロセスへの適合性を考慮すると、工業的にフォトリソグラフィー工程で通常用いられているアルカリ水溶液での現像が好ましく、具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。上記水溶液は、溶解速度等の調整のためにアルコールおよび界面活性剤等を含有していてもよい。上記水溶液の濃度は、露光部と未露光部とのコントラストがつきやすいという観点から、25重量%以下であることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
(3)個片化工程
上記パターン形成されたチップ母材基板、もしくは、接着対象基板の個片化の方法については、特に限定されず、一般的なダイシングブレードやレーザーでの切削により個片化する。チップ母材基板を個片化する場合は、感光性樹脂付きチップが得られ、接着対象基板へのチップ接着後に個片化する場合には、チップ接合個片基板が得ることができる。
(4)チップ接着工程
前記の感光性樹脂付きチップの場合は、チップの樹脂面を接着対象基板にチップと基板両方もしくはチップ/基板の一方を加熱しながら加熱圧着させて接着させる。また、感光性樹脂が接着対象基板にパターン形成された場合には、チップを基板上のパターン化された樹脂部にチップと基板両方もしくはチップ/基板の一方を加熱しながら加熱圧着させることで接着させる事ができる。圧着温度としては、通常25℃〜350℃、好ましくは、60℃〜300℃、より好ましくは80℃〜250℃である。圧着時の条件としては、接着面にかかる圧力が通常0〜20MPa、好ましくは0〜10MPa、より好ましくは0〜3MPaである。接着力を向上させるという観点から、圧着後、25℃〜350℃で硬化することが好ましい。またより確実に接着させる為に、チップと基板両者とも加熱してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(パターニング性評価)
実施例および比較例で得られた感光性樹脂を用いて下記のパターニング性評価サンプルを作製した。まず、ガラス基板へ、実施例および比較例で得られた感光性樹脂をスピンコーティングした。得られた基板を、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。さらに、露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、50μmと100μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれの感光性樹脂に最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後1分間放置した。その後、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に60秒間浸漬後、30秒間水洗して、圧縮空気または圧縮窒素で表面の水分を除去してパターンを形成した。
その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱してパターニング性評価サンプルを得た。得られたパターニング性評価サンプルについて、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス社製)および触針式表面形状測定器(Dektak 150、Veeco社製)を用いてパターン形状を観測し、50μmラインアンドスペースの状態を下記基準に従い評価した。
(接着性評価)
50μmと100μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクの代わりにマスクを使わずに全面露光したこと以外は、パターニング性評価サンプルと同様にして、膜厚3μm狙いでダイボンド剤が塗布された基板密着性評価サンプルを得た。ホットプレート上で150℃に加熱した評価サンプル上に、2mm角に切断したシリコンウェハーを乗せ、その上から2kgの分銅を用いて10分間荷重をかけながら樹脂膜とシリコンウェハーの貼り合せを行うことで、ガラス、樹脂膜、シリコンウェハーの3層積層体を作製した。ダイシェア試験機(SERIES4000、DAGE社製)を下記条件で使用して、樹脂とシリコンウェハーが剥離した加重(kgf)から接着性を評価した。2mm角のチップに対する接着強度としては、その後の加工工程や使用環境下でのチップ剥がれなどが無い観点から、20kgf以上である事が好ましい。
(膜厚測定)
上記切断前の樹脂サンプルが塗布された基板サンプルを接触式膜厚測定装置を用いて、膜厚測定を行った。
(製造例1)
ジアリルイソシアヌル酸40gおよびジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含有する窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させた溶液に3時間かけて滴下した。
滴下終了から30分後に1H−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンおよびジオキサンを減圧留去した後、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートに置換し、無色透明の50重量%変性ポリシロキサン溶液である「反応物A」を得た。
(製造例2)
100mLナスフラスコにテトラヒドロフラン20g、ジアリルビスフェノールS5gを入れ、室温で攪拌した。均一溶液となったところにヘキサメチルジシラザン2.5gを添加し、2時間で反応を終了させた。溶剤、反応残渣を除去し、H−NMRでトリメチルシリル基由来のピークの確認と水酸基由来のピークの消失の確認を行い、ジアリルビスフェノールSの水酸基がトリメチルシリル基で保護されたジアリルビスフェノールS6.5g(反応物1)得た。100mL四つ口フラスコにトルエン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン3gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温100℃で加熱、攪拌した。上記方法で合成した反応物1を5g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.7mg、トルエン5gの混合液を滴下した。
滴下終了から3時間後に1H−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンを減圧留去した後、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートに置換し、無色透明の50重量%変性ポリシロキサン溶液である「反応物B」を得た。
(製造例3)
100mLナスフラスコにテトラヒドロフラン20g、ジアリルビスフェノールS5gを入れ、室温で攪拌した。均一溶液となったところにトリエチルアミン0.5g、二炭酸ジtertブチル3.4gを添加し、60℃、3時間で反応を終了させた。溶剤、反応残渣を除去し、H−NMRで水酸基由来のピークの消失の確認を行い、ジアリルビスフェノールSの水酸基がtertブトキシカルボニル基で保護されたジアリルビスフェノールS6.5g(反応物2)得た。100mL四つ口フラスコにトルエン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン3gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温100℃で加熱、攪拌した。上記方法で合成した反応物2を5g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.7mg、トルエン5gの混合液を滴下した。
滴下終了から3時間後に1H−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンを減圧留去した後、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートに置換し、無色透明の50重量%変性ポリシロキサン溶液である「反応物C」を得た。
表1に示す割合で各成分を配合、攪拌することで感光性樹脂配合液を得た。表1中のは、TAS−250は、ジアゾナフトキノン化合物(東洋合成工業製)であり、KAYARAD1291Hは、酸変性エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製)であり、A−TMPTは、3官能アクリル架橋剤(新中村化学工業株式会社製)であり、BBI−103は、光酸発生剤(みどり化学株式会社製)であり、IRGACURE907は、光ラジカル発生剤(BASF社製)であり、UVS−581は、光ラジカル増感剤(川崎化成工業株式会社製)であり、表1中の配合量の単位は部数である。
Figure 2020024984
Figure 2020024984
(結果)
実施例1〜3に示す樹脂組成物はパターン形成が可能であり、均一な膜厚で基材との優れた接着性を示すのに対し、比較例1の組成物は耐熱性が低くアウトガス発生による接着不良が発生するなど満足する接着性が得られなかった。

Claims (8)

  1. チップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤であって、ポリシロキサン系化合物を主成分とするアルカリ現像性ポジ型感光性樹脂を含み、前記感光性樹脂が光酸発生剤を必須成分として含有し、かつ、保護された水酸基を有するビスフェノール構造を酸分解性基として含有する樹脂であることを特徴とするチップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤。
  2. 前記感光性樹脂が下記式(X1)または(X2)で表される各構造、ビスフェノール構造およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む樹脂、ジアゾナフトキノン化合物を必須成分として含有する請求項1に記載のチップ接着用ポジ型感光性ダイボンド剤。
    Figure 2020024984
  3. 硬化性の基板接着剤であって、ポリシロキサン系化合物を主成分とするアルカリ現像性ポジ型感光性樹脂を含み、前記感光性樹脂が光酸発生剤を必須成分として含有し、かつ、保護された水酸基を有するビスフェノール構造を酸分解性基として含有する硬化性の基板接着剤。
  4. ガラス基板とシリコン基板とを接着する請求項3に記載の硬化性の基板接着剤。
  5. 請求項1又は2に記載のダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、
    (1)前記ダイボンド剤をチップ付き母材基板に塗布し、乾燥させる接着層形成工程と、
    (2)前記接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程と、
    (3)前記パターン付き母材基板をダイシングする個片化工程と、
    (4)前記個片化されパターン化されたチップ付き基板と、接着対象基板とを、前記パターンを介して加熱圧着し接着させる工程とをこの順に含むチップの製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載のダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、
    (1)前記ダイボンド剤を接着対象基板上に塗布し、乾燥させる接着層形成工程と、
    (2)前記接着層を露光後、アルカリ水溶液で現像してパターンを形成する工程と、
    (3)前記パターンが形成された基板と、チップ付き母剤基板とを、前記パターンを介して、加熱圧着し接着させる工程と、
    (4)前記接着された基板をダイシングする個片化工程と、をこの順に含むチップの製造方法。
  7. 前記パターンを介して前記両基材を加熱圧着する工程の後に、前記パターンを硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のチップの製造方法。
  8. 前記ダイボンド剤はガラス基板とシリコン基板とを接着するものであり、前記露光はガラス基板側からなされる請求項5〜7のいずれかに記載のチップの製造方法。
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