JP7169808B2 - ネガ型感光性ダイボンド剤、近紫外線硬化性の基板接着剤及びそれを用いたチップの製造方法 - Google Patents

ネガ型感光性ダイボンド剤、近紫外線硬化性の基板接着剤及びそれを用いたチップの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子や半導体基板の実装に用いるダイボンド剤に関する。さらに、ダイボンド剤を用いたチップ素子の製造方法に関する。
センサ、半導体、LEDなどのエレクトロニクスデバイス製造の際の、ICチップ、加速度センサ、圧力センサ、イメージセンサ等のセンサチップ、LEDチップ等のチップボンディング工程では、微小かつ薄いチップを高精度で基板などに固定する必要がある。特許文献1で記されるダイボンドフィルムや、特許文献2~5で示されるようなフォトリソグラフィによるパターン化が可能な感光性ダイボンド接着剤も知られているが、耐熱性に乏しく製造工程によってはアウトガスが発生する場合があった。
特許第6287200号 特許第5093229号 特許第5120378号 特許第5176076号 特許第5691228号
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、チップ製造工程における接着性不良や、フォトリソグラフィ工程時における耐熱性不足によるアウトガス発生を低減したダイボンド剤を提供することであり、本発明では、特に、ネガ型感光性ダイボンド剤及びそのダイボンド剤を用いたチップの製造方法を提供する。
上記課題解決のために検討した結果、所定の特性を有する感光性ダイボンド用樹脂により、上記課題を解決する発明を見出した。本発明は以下からなるものである。本発明は、アルカリ現像性感光性樹脂からなるネガ型感光性ダイボンド剤であって、上記感光性樹脂は光カチオン重合開始剤を含有し且つカチオン重合性を有し、半導体チップへの接着強度が20kgf以上であることを特徴とする。上記感光性樹脂は、ポリシロキサン系化合物を主成分とすることが好ましく、グリシジル基または脂環式エポキシ基を含むことがさらに好ましい。上記感光性樹脂が下記式(X1)または(X2)で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む態様が一番好ましい。
Figure 0007169808000001
本発明の他の形態は、近紫外線硬化性の基板接着剤であって、ポリシロキサン系化合物を主成分とするネガ型感光性樹脂を含み、上記感光性樹脂は光カチオン重合開始剤を含有し且つカチオン重合性を有する近紫外線硬化性の基板接着剤である。この場合、ガラス基板とシリコン基板とを接着することが好ましい。
また、本発明の製法としては、ダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、(1)上記ダイボンド剤をチップ付き母材基板に塗布し、乾燥させる接着層形成工程と、(2)上記接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程と、(3)上記パターン付き母材基板をダイシングする個片化工程と、(4)上記個片化されパターン化されたチップ付き基板と接着対象の基板とを、上記パターンを介して加熱圧着し接着する工程と、をこの順に含むチップの製造方法である。別の態様として、(1)上記ダイボンド剤を接着対象基板上に塗布し、乾燥させる接着層形成工程と、(2)上記接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程と、(3)上記パターンが形成された基板と、チップ付き母材基板とを、上記パターンを介して加熱圧着し接着する工程と、(4)上記接着された基板をダイシングする個片化工程と、をこの順に含むチップの製造方法であってもよい。上記パターンを介して上記基板を加熱圧着する工程の後に、上記パターンを硬化させる工程を含むようにしてもよい。
本発明のダイボンド剤は、アルカリ現像性ネガ型感光性樹脂からなり、良好なパターニング性と充分な接着性を奏する。また、それを用いることで、均一な膜厚でチップにダイボンド剤を塗布する事ができ、不良なくチップの接着が可能となり、簡便にIC、センサ、LED等の微小チップの接着が可能となる。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。
〔ネガ型感光性樹脂について〕
本発明で言うネガ型感光性樹脂とは、光硬化反応により現像液に対する溶解性が変化する樹脂を言う。フォトマスクを通して光を照射されることで、露光部でのみ硬化反応が起こり、現像液へ不溶となる。その後、未露光部を現像液で溶解除去することで、露光部のみのパターン樹脂が形成される。この段階では、まだパターン樹脂は熱での硬化性を有しており、その後、加熱圧着する事でダイボンド用の接着剤として機能する。
〔アルカリ現像性について〕
本発明における感光性樹脂はアルカリ水溶液への可溶性を持つことにより、フォトリソグラフィによるパターン形成工程において、有機溶剤ではなくアルカリ水溶液の現像液を用いることができる。アルカリ水溶液への可溶性を発現するには、酸性基を含んでいる事が必要であり、例えば、前記感光性樹脂が下記式(X1)または(X2)で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基等が考えられる。耐熱性およびアルカリ現像によるパターンの膨潤を低減することができる観点から、式(X1)または(X2)で表される各構造であることが望ましい。
Figure 0007169808000002
〔カチオン重合性について〕
本発明で言うネガ型の感光性樹脂としては、耐熱性の観点から、カチオン重合性を有するネガ型の感光性樹脂を用い、その化合物の例として、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アルコキシリル基等のカチオン重合性官能基を有する樹脂が挙げられる。具体的には、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シクロヘキシルエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’-ビス(4-グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,5-スピロ-(3,4-エポキシシクロヘキサン)-1,3-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2-シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4-ビス{(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1-エチル(3-オキセタニル)}メチルエーテル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタンおよび3-エチル-3-(2-エチルへキシロキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
安定性及び光反応によるBステージ状態で良好な密着性を示すというの観点から、エポキシ基の中でも、脂環式エポキシ基またはグリシジル基が好ましく、特に光および熱によるカチオン重合性に優れる点では、脂環式エポキシ基が好ましい。カチオン重合性を示す樹脂として、カチオン重合性官能基を1分子中に少なくとも1個有していればよいが、2個以上有することが好ましく、3個以上有することがより好ましい。カチオン重合性官能基が3個以上であれば、架橋密度の高い硬化物が得られ、当該硬化物は耐熱性に優れるという利点がある。各カチオン重合性官能基は同一であってもよく、2種以上の異なる官能基であってもよい。
〔アルカリ現像性およびカチオン重合性を有する感光性樹脂〕
本発明のネガ型の感光性樹脂の場合、アルカリ現像性とカチオン重合性の両方を有するものが通常の半導体などで用いられるフォトリソグラフィー工程に適合しやすいという観点で必要で、樹脂中にアルカリ水溶液への可溶性基とカチオン重合性基とが含有されているものであれば良い。アルカリ水溶液への可溶性を発現する酸性基およびカチオン重合性基の両方は、一分子中に有していても、別の分子中に有していても構わないが、優れたパターニング性を発現できる観点から、それら両方を一分子中に有していることが好ましい。また、感光性樹脂の中の酸性基量は、溶媒を除いた硬化性樹脂の1~90重量部であることが好ましく、パターニング時に適切な5~60重量部であることがより好ましい。感光性樹脂の中のカチオン重合性基は、溶媒を除いた硬化性樹脂の1~90重量部であることが好ましく、5~60重量部であることがより好ましい。
〔ポリシロキサン系化合物〕
本発明における感光性樹脂は、透明性や耐熱性に優れる観点より、ポリシロキサン系化合物であることが好ましく、光重合性官能基を有するシロキサン化合物を適宜用いる事は出来るが、塗布による製膜性に優れ、ピンホールなどによるリーク電流、絶縁破壊が起こり難い観点より、光重合性官能基を有する変性シロキサン化合物であることが好ましい。
ここでの変性ポリオルガノシロキサン化合物とは、シロキサン単位(Si-O-Si)および、構成元素としてC、H、N、O、Sからなる有機基Xとから構成される化合物、及び重合体を示し、構造上、特に限定されるものではない。
また、これら化合物中のシロキサン単位のうち、構成成分中T単位(XSiO3/2)、またはQ単位(SiO4/2)の含有率が高いものほど得られる硬化物は硬度が高く、より耐熱信頼性に優れ、またM単位(XSiO1/2)、またはD単位(XSiO2/2)の含有率が高いものほど、硬化物はより柔軟で低応力なものが得られる。
本発明の硬化性組成物に使用される変性ポリオルガノシロキサン化合物は、加水分解による縮合反応や付加反応および開環重合など様々な手法によって得られるものであるが、これら特定の有機構造をポリシロキサン化合物構造中に導入する手法としては特に限定される方法は無いが、位置選択的に導入が可能でかつ化学的に安定な結合であるSi-C結合にて導入できるヒドロシリル化を用いるのが好ましい。
本発明の感光性樹脂に使用される変性ポリオルガノシロキサン化合物として好適な態様としては、下記化合物(α1)~(γ)のヒドロシリル化反応生成物が挙げられる。
(α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を1個以上有し、かつ、下記式(X1)、(X2)で表される各構造と、
Figure 0007169808000003
フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも一種を同一分子内に有する有機化合物、(α2)酸性基を有さないアルケニル化合物(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノシロキサン化合物、(γ)1分子中に、光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を1個以上と、を有する化合物。
〔化合物(α1)〕
化合物(α1)について説明する。化合物(α1)は、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記酸性基のうち少なくとも一種を同一分子内に有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。化合物(α1)はSiH基と反応性を有する炭素-炭素二重結合を1分子中に1個以上有すればよいが、得られる硬化物の架橋密度が高いため耐熱信頼性が高いという点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。化合物(α1)は上記酸性基のうち少なくとも一種を有するものであるが、当該酸性基は、前述の変性ポリオルガノシロキサン化合物の酸性基と同一であって、好ましい構造についても同様である。
化合物(α1)の具体的な例としては、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ビニルフェノール、アリルフェノール、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸が好ましく、これらの中でも特に耐熱性が高いという観点より、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノールが好ましく、さらに硬化物の透明性の観点よりジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸が特に好ましい。
〔化合物(α2)〕
化合物(α2)について説明する。化合物(α2)は、酸性基を有さない1分子中にSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を1個以上有する有機化合物であれば特に限定されない。化合物(α2)における有機化合物、および、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合は、上記化合物(α1)と同様であって、好ましい態様についても上記化合物(α1)と同様である。
化合物(α2)の具体的な例としては、アリル基含有イソシアヌル酸誘導体、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2-テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3-ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5-ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2-ポリブタジエン(1、2比率10~100%のもの、好ましくは1、2比率50~100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、などが挙げられる。
特に、耐熱性、耐光性が高いという観点からアリル基含有イソシアヌル酸誘導体が特に好ましく、具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、モノメチルジアリルイソシアヌレート、モノプロピルジアリルイソアイヌレート、モノグリシジルジアリルイソシアヌルレート、モノベンジルジアリルイソシアヌレート、ジメチルモノアリルイソアヌレート、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、ジプロピルモノアリルイソシアヌレート、ジベンジルモノアリルイソシアヌレート、等が挙げられる。
〔化合物(β)〕
化合物(β)について説明する。化合物(β)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定せず使用することができる。具体的なSiH化合物としては、特に限定せず使用することができ、ジメチルヒドロシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にSiH基を有する環状、鎖状のポリもしくはオリゴシロキサン等が挙げられる。
特に絶縁性に優れる薄膜を得られる観点より、環状シロキサン化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-メチル-3,5,7-トリハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3-ジメチル-5,7-ジハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3-ジプロピル-5,7-ジハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリハイドロジェン-7-ヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジハイドロジェン-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリハイドロジェン-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタハイドロジェン-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11-ヘキサハイドロジェン-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が例示される。特に入手性の観点より、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
〔化合物(γ)〕
化合物(γ)について説明する。化合物(γ)は、1分子中に光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を1個以上とを有する化合物であれば特に限定されない。なお、ここでいう光重合性官能基は、前述の変性ポリオルガノシロキサン化合物が有する光重合性官能基と同一であって、好ましい態様も同様に好ましい。
光重合性官能基としてエポキシ基を有する化合物(γ)の具体例は、ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、光重合反応性に優れている観点より、脂環式エポキシ基を有する化合物であるビニルシクロヘキセンオキシドが特に好ましい。
アルコキシシリル基を有する化合物の具体的な例としては、特にトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシランが好ましい。
光重合性官能基としてアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物(γ)としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、等が挙げられる。光硬化後、および、ポストベイク後における体積収縮が小さく、絶縁性に優れるという観点より、エポキシ基を有する化合物が好ましい。
〔ヒドロシリル化触媒〕
化合物(α1)、(α2)、化合物(β)および化合物(γ)をヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金-オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金-ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金-ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金-ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金-炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金-オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、化合物(α1)および化合物(γ)のSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合(以下、単に「アルケニル基」と称することがある。)1モル、または、化合物(α1)、化合物(α2)および化合物(γ)のアルケニル基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は上記化合物のアルケニル基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2-ジエステル系化合物、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-ブチン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10-2モル、より好ましくは10-1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
〔光カチオン重合開始剤〕
上記感光性性樹脂は、光カチオン重合開始剤を含有している。光カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線を照射されることにより、感光性樹脂が有する光重合性官能基を架橋させることができる酸性活性物質を放出することができる化合物であれば良い。光カチオン重合開始剤により発生する酸のpKaは限定はされないが、好ましくは3未満、さらに好ましくは1未満である。
上記、光カチオン重合開始剤としては、公知の光カチオン重合開始剤を使用することができる。例えば、光カチオン重合開始剤として、特開2000-1648号公報、特表2001-515533号公報および国際公開第2002/83764号において好適とされている各種の化合物が挙げられるが、特に限定されない。上記光カチオン重合開始剤は、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類またはオニウム塩類であることが好ましく、オニウム塩類であることがより好ましい。
上記スルホネートエステル類としては、種々のスルホン酸誘導体を使用することができ、例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体等のイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1-オキシ-2-ヒドロキシ-3-プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類が挙げられる。
上記スルホネートエステル類として、具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1,2-ジフェニル-2-ヒドロキシプロピルトシラート、1,2-ジ(4-メチルメルカプトフェニル)-2-ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6-ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト-ニトロフェニルメチルトシラートおよびパラ-ニトロフェニルトシラート等が挙げられる。
これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、光カチオン重合開始剤としてカルボン酸エステル類も同様に使用することができる。
一般に、スルホン酸エステルおよびカルボン酸エステルは、酸を遊離するために、加熱ステップ(50℃~100℃)を必要とする場合がある。
上記オニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6-)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6-)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、フルオロアルキルフルオロホスフェート、過塩素酸イオン(ClO4-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3-)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオンおよびトリニトロトルエンスルホン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩およびヨードニウム塩が挙げられる。光カチオン重合開始剤は、吸収波長の観点から、芳香族系スルホニウム塩が好ましい。
光カチオン重合開始剤における陰イオンを酸強度が強いものから順に並べるとSbF6-、B(C6F5)4-、PF6-、CF3SO3-、HSO4-となる。光カチオン重合開始剤の陰イオンの酸強度が強いものほど、残膜率が高くなる傾向にある。光カチオン重合開始剤から発生する酸のpKaは、好ましくは3未満、さらに好ましくは1未満である。
感光性組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、特に制限はない。硬化速度および硬化物の物性バランスの観点から、光カチオン重合開始剤の含有量は、感光性樹脂100重量部に対して0.1~20重量部が好ましく、0.5~10重量部がさらに好ましい。
光カチオン重合開始剤の量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られなかったりする場合がある。また、光カチオン重合開始剤が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色または耐熱性もしくは耐光性を損なったりするため、好ましくない場合がある。
〔塩基性化合物〕
上記感光性樹脂は、残膜率および解像度の向上のため、塩基性化合物を含有してもよい。上記塩基性化合物はクエンチャーとして作用する。すなわち、上記塩基性化合物を適切な量にて上記感光性樹脂に配合することにより、上記光カチオン重合開始剤による架橋が未露光の部分にまで及ぶことを防ぐことができる。これにより、残膜率が向上するとともに、露光部分と未露光部分とのコントラストが明確になって解像度が向上する。
上記塩基性化合物の配合量は、カチオン重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.001~2.0重量部であり、より好ましくは0.01~1.0重量部である。上記塩基性化合物の配合量が0.001重量部以上であれば、クエンチャーとしての効果を十分に奏することができる。上記塩基性化合物の配合量が2.0重量部以下であれば、感度を向上させることができる。
(A)光カチオン重合開始剤に対する(B)塩基性化合物の重量比((B)/(A))は、0.001~0.2であり、好ましくは0.01~0.15である。当該重量比が0.001以上であれば、塩基性化合物がクエンチャーとしての効果を十分に奏することができる。当該重量比が0.2以下であれば、十分に架橋を行うことができる。
上記塩基性化合物としては、特に制限はないが、第一級、第二級および第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、アミド誘導体およびイミド誘導体等が挙げられる。この中でも芳香族アミン類および複素環アミン類が、塩基性化合物として好適に使用できる。
上記芳香族アミン類および上記複素環アミン類としては、アニリン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、インドリン、キノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、1,10-フェナントロリン、アデニン、アデノシン、グアニン、グアノシン、ウラシルおよびウリジン、並びにそれらの誘導体等が例示される。また、上記複素環アミン類としては、2,6-ルチジンも挙げられる。
なかでも、塩基性化合物としてモルホリン誘導体が好適に使用できる。モルホリン誘導体としては、具体的にはビス(2-モルホリノエチル)エーテル、4,4’-カルボニルジモルホリン、4-[2-(エトキシカルボニル)エチル]モルホリンおよび4-(p-トリル)モルホリン等が例示される。例えば、ビス(2-モルホリノエチル)エーテルは下記式(e)で表される。上記塩基性化合物としては、1種が用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
Figure 0007169808000004
〔増感剤〕
上記感光性樹脂は、増感剤を含有してもよい。上記増感剤によれば、上記感光性樹脂において、可視光等への感度を向上させることができ、さらにg線(436nm)、h線(405nm)およびi線(365nm)等の高波長の光に感度を持たせることができる。
これらの増感剤を、上述の光カチオン重合開始剤と併用して使用することにより、上記感光性樹脂の硬化性の調整を行うことができる。上記増感剤としては、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられる。
上記アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-tert-ブチルアントラセン、2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン等が挙げられる。特に入手しやすい観点からは、上記アントラセン系化合物として、アントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
上記アントラセン系化合物として、樹脂の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、感光性樹脂との相溶性に優れる観点からは9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。例えば、9,10-ジブトキシアントラセンは下記式(f)で表される。
Figure 0007169808000005
上記チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび2,5-ジエチルジオキサントン等が挙げられる。これらの増感剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、添加した光カチオン重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.01~300モルであり、より好ましくは0.01モル~100モルである。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼしたりする場合がある。一方、増感剤の量が多いと、色が樹脂に残ったり、急硬化のために着色したり、耐熱性または耐光性を損なったりするおそれがある。
〔接着性改良剤〕
上記感光性樹脂は、接着性改良剤を含有していてもよい。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン-インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン-フェノール樹脂、α-メチルスチレン-ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレンおよび芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基およびカルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性および接着性の観点から、エポキシ基、メタクリル基またはアクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の観点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点からメトキシシリル基またはエトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシランおよびアクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類、トリス[3-(トリメトキシシリルプロピル)]イソシアヌレート、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が例示できる。
シランカップリング剤の添加量は適宜設定され得るが、カチオン重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部、より好ましくは0.3~10重量部、さらに好ましくは0.5~5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や樹脂の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤およびエポキシ化合物等としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
〔熱可塑性樹脂〕
上記感光性樹脂の特性を改質する等の目的で、上記感光性樹脂に種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体またはメチルメタクリレートと他のモノマーとのランダム、ブロック、もしくはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)およびブチルアクリレートの単独重合体またはブチルアクリレートと他のモノマーとのランダム、ブロック、もしくはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドとの共重合体等のオレフィン-マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TIPAS等)、ビスフェノール類(ビスフェノールAおよびビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等)またはジオール類(ジエチレングリコール等)と、フタル酸類(テレフタル酸およびイソフタル酸等)または脂肪族ジカルボン酸類とを重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O-PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
上記熱可塑性樹脂は架橋性基を有していてもよい。上記架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基およびアルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという観点から、上記熱可塑性樹脂は、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
上記熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、ポリシロキサン系化合物との相溶性が良好となりやすいという観点から、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。一方、得られる硬化物が強靭となりやすいという観点からは、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという観点からは、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
上記熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、上記感光性樹脂全体に対して好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~30重量%である。上記熱可塑性樹脂の添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなる場合がある。上記熱可塑性樹脂の添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は上記感光性樹脂に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、上記硬化性樹脂に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を上記感光性樹脂に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態または混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、当該熱可塑性樹脂の平均粒子径は適宜設定され得るが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
〔充填材〕
上記感光性樹脂には必要に応じて充填材を添加してもよい。充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、シリカ系充填材(石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカおよび超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系充填材等の、従来の封止材の充填材として一般に使用または提案されている充填材等が挙げられる。
〔酸化防止剤〕
上記感光性樹脂には酸化防止剤を添加してもよい。使用できる酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤等の一般に用いられている酸化防止剤の他、クエン酸、リン酸および硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィド類(スルフィドカルボン酸エステル類およびヒンダードフェノール系スルフィド類等)、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類およびスルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの酸化防止剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
〔溶剤〕
本発明の感光性樹脂において均一に塗布するために溶剤を使用することが好ましい。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく具体的に例示すれば、エチルシクロヘキサン、トリメチルペンタン等の炭化水素系溶剤、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、等のエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、イソ酪酸イソブチル、酪酸イソブチル等のエステル系溶剤、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、トリフルオロトルエン等のハロゲン系溶剤を好適に用いることができる。特に均一な膜が形成しやすい観点より、1,4-ジオキサン、イソ酪酸イソブチル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等が好ましい。
使用する溶剤量は適宜設定できるが、溶剤を除く組成物総量を100重量部に対しての好ましい使用量の下限は10重量部さらには30重量部特には105重量部であり、好ましい使用量の上限は400重量部、さらには300重量部、特には85重量部である。使用量が少ないと、低粘度化等の溶剤を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。これらの、溶剤は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶剤として用いることもできる。
〔ダイボンド剤について〕
ダイボンド剤とは、様々なエレクトロニクス製品で用いられるチップを接着固定するための樹脂を意味する。接着させるチップは特に限定されず、例えば、センサチップ、ICチップ、LEDチップ、各種半導体チップなどが挙げられる。接着の態様の一例として、チップ付きウエハと、ダイボンド剤付きのガラスとを接着し固定する構成が考えられるが、この構成に限られない。
また特に、エレクトニクス製品に求められる長期信頼性を確保する観点から、ダイボンド剤は、高い接着力を有することや耐熱性が高くアウトガスが少ないこと、アウトガスによるボイド発生などによる接着不良がないこと、等が求められる。耐熱性に優れるという観点から、エポキシ系、アクリル系よりもポリシロキサン系のダイボンド剤が好ましい。
また微少なチップを接着させる為に、従来の液状ダイボンド剤の場合、塗布量や膜厚バラツキの制御が非常に困難となるが、本発明のダイボンド剤は、膜厚を均一に塗布でき接着性のバラツキなく、チップからの樹脂はみ出しや接着後のチップ平行性も確保しやすい。ダイボンド剤の好ましい膜厚としては、アウトガスが少ない観点より1~10μmであり、より好ましくは1~5μmである。
〔チップの接着方法について〕
本発明のネガ型感光性ダイボンド剤によりチップを製造する方法は種々想定されるが、生産効率の観点より以下方法による接着が好ましい。
(方法1-1)(1)本発明の感光性ダイボンド剤をチップ付き母材基板に塗布乾燥する接着層形成工程、(2)接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程、(3)パターン付き母材基板をダイシングすることで、個片化されパターンが形成されたチップ(感光性樹脂付きチップ)を得る工程、(4)上記感光性樹脂付きチップと、ガラス等の接着対象の個片基板とを、上記パターンを介して加熱圧着し接着する工程。
(方法1-2)上記方法1ではチップ付き母材基板にダイボンド剤を塗布したが、チップ付与前の基板にダイボンド剤を塗布し、パターンを形成した後に、チップを形成してもよい。その後、工程(3)と(4)を行う点は同様である。
(方法2-1)(1)本発明の感光性ダイボンド剤をガラス等の接着対象基板上に塗布乾燥する接着層形成工程、(2)接着層を露光後、アルカリ水溶液で現像して基板にパターンを形成する工程、(3)上記パターン形成基板(感光性樹脂付き基板)と、チップ又はチップ付き基板とを、上記パターンを介して加熱圧着し接着させる工程、(4)上記接着された基板をダイシングにより個片化し、チップ付き個片基板を得る工程。
(方法2-2)上記方法2では、パターンを介して加熱圧着し接着させる工程(3)の後に、接着された基板をダイシングにより個片化する工程(4)を行っているが、先にダイシングによる個片化を行ったのちに、パターンを介して加熱圧着する工程を行ってもよい。
上記において、露光は透光性基板側から行なうことが好ましく、ガラス基板とシリコン基板とを接着する場合は、ガラス基板側からが好ましい。
各工程についての説明
(a)接着層形成工程
用いる基材も特に限定されることはなく、接着対象となる基板や個片化する前のチップ母材基板にも適用する事ができ、半導体向けであれば、シリコンウェハ、ガラス基材、GaN基材、SiC基材、セラミック基材などが挙げられ、LED向けであればサファイア基材などが挙げられ、その他、ガラエポ基材、樹脂基材、着色樹脂膜がパターン化されたLCDまたはCCD用カラーフィルター基材、印刷用紙、印刷用繊維、金属板等の基材など、特に限定なく塗布することができる。塗布方法は、スピンコート法、ロールコート法、印刷法およびバーコート法等が挙げられる。塗布膜厚は、通常0.05~500μm、好ましくは0.1~200μm、より好ましくは1~50μmである。接着層は、後の工程で加熱圧着し接着する機能を奏するため、接着層がにじみ出ないように、且つ、密封できるよう面一の厚さとすることが好ましい。
(b)パターン形成工程
上記感光性樹脂のパターン形成は、その後の工程で個片チップ化するチップ母材基板の裏面、もしくは、接着対象基板へ行う。
感光性樹脂のフォトリソグラフィーによるパターン形成方法について説明する。まず上記基材に形成した接着層を乾燥させ、フォトマスク越しに露光後、アルカリ水溶液により現像することで、パターン形成することが出来る。塗布膜の乾燥は、VCD(バキュームチャックドライ)装置による減圧乾燥を行っても良い。減圧乾燥の時間は、好ましくは1~15分であり、より好ましくは1~5分である。真空度は、好ましくは0.5~50Paであり、さらに好ましくは1~10Paであり、プログラムにより多段ステップで減圧してもよい。また加温(プリベイク)によって溶剤除去・乾燥を行っても良い。プリベイクの温度としては、好ましくは40~200℃、より好ましくは70~150℃であり、好ましい持間は、1~600秒、より好ましくは1~150秒である。
露光の光源としては、使用する重合開始剤および増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200~450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)である近紫外光線を使用できる。露光量は特に制限されないが、好ましくは1~10000mJ/cm、より好ましくは1~4000mJ/cmである。露光量が少ないと上記ネガ型感光性感光性樹脂が硬化しない場合がある。露光量が多いと急硬化のために変色する場合がある。硬化時間の範囲は好ましくは1~600秒、より好ましくは1~150秒である。また光反応を促進させ精密なパターン形状を得る目的で、露光後に加熱を行うポストエクスポージャーベイク(PEB)してもよい。加熱温度は、好ましくは40~200℃、より好ましくは70~150℃である。好ましい持間は、1~600秒、より好ましくは1~180秒である。
現像についても、一般的に行われる浸漬法、パドル法またはスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解および除去して所望のパターンを形成することができる。
また現像液についても、一般に使用されるものであれば特に限定なく使用することができる。樹脂を溶解させることができる汎用の有機溶剤であれば問題なく使用する事ができ、その他アルカリ性水溶液などが使用できる現像液として挙げられる。特に、半導体やディスプレイ製造プロセスへの適合性を考慮すると、工業的にフォトリソグラフィー工程で通常用いられているアルカリ水溶液での現像が好ましく、具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。上記水溶液は、溶解速度等の調整のためにアルコールおよび界面活性剤等を含有していてもよい。上記水溶液の濃度は、露光部と未露光部とのコントラストがつきやすいという観点から、25重量%以下であることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
(c)個片化工程
上記パターン形成されたチップ母材基板、もしくは、接着対象基板の個片化の方法については、特に限定されず、一般的なダイシングブレードやレーザーでの切削により個片化する。チップ母材基板を個片化する場合は、感光性樹脂付きチップが得られ、接着対象基板へのチップ接着後に個片化する場合には、チップ接合個片基板が得ることができる。
(d)チップ接着工程
前記の感光性樹脂付きチップの場合は、チップの樹脂面を接着対象基板に、チップと基板両方もしくはチップ/基板の一方を加熱しながら加熱圧着させて接着させる。また、感光性樹脂が接着対象基板にパターン形成された場合には、チップを基板上のパターン化された樹脂部に、チップと基板両方もしくはチップ/基板の一方を加熱しながら加熱圧着させることで接着させる事ができる。
圧着温度としては、通常25℃~350℃、好ましくは、60℃~300℃、より好ましくは80℃~250℃である。圧着時の条件としては、接着面にかかる圧力が通常0~20MPa、好ましくは0~10MPa、より好ましくは0~3MPaである。接着力を向上させるという観点から、圧着後、25℃~350℃で硬化することが好ましい。また、より確実に接着させる為に、チップと基板両者とも加熱してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(パターニング性評価)
実施例および比較例で得られた感光性樹脂を用いて下記のパターニング性評価サンプルを作製した。まず、ガラス基板へ、実施例および比較例で得られた感光性樹脂をスピンコーティングした。得られた基板を、100℃に加熱したホットプレート上で10分間加熱した。さらに、露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、50μmと100μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれの感光性樹脂に最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後1分間放置した。その後、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に60秒間浸漬後、30秒間水洗して、圧縮空気または圧縮窒素で表面の水分を除去してパターンを形成した。
その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱してパターニング性評価サンプルを得た。得られたパターニング性評価サンプルについて、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス社製)および触針式表面形状測定器(Dektak 150、Veeco社製)を用いてパターン形状を観測し、50μmラインアンドスペースの状態を下記基準に従い評価した。
(接着性評価)
300μmのスクライブラインによる2mm角の格子状パターンマスクを用いて、上記パターニング性評価サンプルと同様の方法で、膜厚3μm狙いでダイボンド剤が塗布された基板密着性評価サンプルを得た。ホットプレート上で150℃に加熱した評価サンプル上に、スクライブライン上で2mm角に切断したシリコンウェハーを乗せ、その上から2kgの分銅を用いて10分間荷重をかけながら樹脂膜とシリコンウェハーの貼り合せを行うことで、ガラス、樹脂膜、シリコンウェハーの3層積層体を作製した。ダイシェア試験機(SERIES4000、DAGE社製)を下記条件で使用して、樹脂とシリコンウェハーが剥離した加重(kgf)から接着強度を評価した。2mm角のチップに対する接着強度としては、その後の加工工程や使用環境下でのチップ剥がれなどが無い観点から、20kgf以上である事が好ましい。
(膜厚測定)
上記切断前の樹脂サンプルが塗布された基板サンプルを接触式膜厚測定装置を用いて、膜厚測定を行った。
(製造例1)
ジアリルイソシアヌル酸40gおよびジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含有する窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させた溶液に3時間かけて滴下した。
滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した。その後、上記溶液に対して、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62gをトルエン62gに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンおよびジオキサンを減圧留去した後、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートに置換し、無色透明の75重量%カチオン硬化性化合物溶液である「溶液A」を得た。
(製造例2)
ジアリルイソシアヌル酸40gおよびジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含有する窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させた溶液に3時間かけて滴下した。
滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した。その後、上記溶液に対して、アリルグリシジルエーテル62gをトルエン62gに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了したチルエーテル2-アセタートに置換し、無色透明の75重量%カチオン硬化性化合物溶液である「溶液B」を得た。
(製造例3)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸50gおよびモノアリルイソシアヌル酸30gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含有する窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させた溶液に3時間かけて滴下した。
滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した。その後、上記溶液に対して、アリルグリシジルエーテル62gをトルエン62gに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了したチルエーテル2-アセタートに置換し、無色透明の75重量%カチオン硬化性化合物溶液である「溶液C」を得た。
表1に示す割合で各成分を配合、攪拌することで硬化性樹脂配合液を得た。表1中のjER1001は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製)であり、セロキサイド2021Pは、2官能エポキシ架橋剤(株式会社ダイセル製)であり、KR-470は、4官能エポキシ架橋剤(信越化学工業株式会社製)であり、KAYARAD1291Hは、酸変性エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製)であり、A-TMPTは、3官能アクリル架橋剤(新中村化学工業株式会社製)であり、BBI-103は、光酸発生剤(みどり化学株式会社製)であり、IRGACURE907は、光ラジカル発生剤(BASF社製)であり、UVS-581は、光ラジカル増感剤(川崎化成工業株式会社製)であり、表1中の配合量の単位は部数である。
Figure 0007169808000006
Figure 0007169808000007
[結果]
実施例1~6、比較例1、2で得られた感光性樹脂に対し、前述の評価を行った。実施例1~6に示す樹脂組成物はパターン形成が可能であり、基材との優れた接着性を示すのに対し、比較例1、2の組成物は耐熱性が低くアウトガス発生による接着不良が発生するなど満足する接着性が得られなかった。
表2に示すように、エポキシ樹脂の比較例1はアルカリ溶液洗浄においてパターニング性が充分でなく、接着強度の点では、比較例1及びエポキシアクリレートの比較例2の両方において充分でなかった。また、実施例1~6は、良好なパターニング性と接着強度を両立したが、パターニング性の点では実施例1~5が好ましい。また、接着強度の点においては、実施例1~6のいずれも20kgf以上である点で好ましく、実施例3~6であれば接着強度が22kgs以上である点でより好ましく、実施例4~6であれば25kgs以上である点で特に好ましい。

Claims (9)

  1. アルカリ現像性感光性樹脂からなるネガ型感光性ダイボンド剤であって、
    前記感光性樹脂は光カチオン重合開始剤を含有し且つカチオン重合性を有し、
    前記感光性樹脂がポリシロキサン系化合物を主成分とし、
    前記ポリシロキサン系化合物が、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸由来のグリシジル基と、アリルグリシジルエーテル由来のグリシジル基とを有し、
    半導体チップへの接着強度が20kgf以上であることを特徴とするネガ型感光性ダイボンド剤。
  2. 前記感光性樹脂が下記式(X1)または(X2)
    Figure 0007169808000008
    で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載のネガ型感光性ダイボンド剤。
  3. 前記感光性樹脂がエポキシ架橋剤を更に含む、請求項1又は2に記載のネガ型感光性ダイボンド剤。
  4. 近紫外線硬化性の基板接着剤であって、
    ポリシロキサン系化合物を主成分とするネガ型感光性樹脂を含み、
    前記感光性樹脂は光カチオン重合開始剤を含有し且つカチオン重合性を有し、
    前記ポリシロキサン系化合物が、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸由来のグリシジル基と、アリルグリシジルエーテル由来のグリシジル基とを有する近紫外線硬化性の基板接着剤。
  5. 前記感光性樹脂がエポキシ架橋剤を更に含む、請求項4に記載の近紫外線硬化性の基板接着剤。
  6. ガラス基板とシリコン基板とを接着する請求項4又は5に記載の近紫外線硬化性の基板接着剤。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載のダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、
    (1)前記ダイボンド剤をチップ付き母材基板に塗布し、乾燥させる接着層形成工程と、
    (2)前記接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程と、
    (3)前記パターン付き母材基板をダイシングする個片化工程と、
    (4)前記個片化されパターン化されたチップ付き基板と、接着対象の基板とを、前記パターンを介して加熱圧着し接着する工程と、をこの順に含むチップの製造方法。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載のダイボンド剤を用いたチップの製造方法であって、
    (1)前記ダイボンド剤を接着対象基板上に塗布し、乾燥させる接着層形成工程と、
    (2)前記接着層を露光後、アルカリ性水溶液で現像してパターンを形成する工程と、
    (3)前記パターンが形成された基板と、チップ付き母材基板とを、前記パターンを介して加熱圧着し接着する工程と、
    (4)前記接着された基板をダイシングする個片化工程と、をこの順に含むチップの製造方法。
  9. 前記パターンを介して前記基板を加熱圧着する工程の後に、前記パターンを硬化させる工程を含む請求項7又は8に記載のチップの製造方法。
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