JP6945289B2 - アルカリ現像性を有する光硬化性組成物、およびパターン硬化膜の製造方法 - Google Patents

アルカリ現像性を有する光硬化性組成物、およびパターン硬化膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、アルカリ現像性を有する硬化性組成物、およびそれを用いた硬化膜の製造方法に関する。
電子部品や半導体部品などにおいては、得られる硬化物の透明性が高く、かつ良好な耐熱性や耐光性など高い信頼性を有する材料であることから、ポリシロキサン系化合物の適用が検討されている。これらの材料は感光性基の導入により現像性を付与することができ、レジスト材料への展開が期待されている。レジスト材料としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、タッチパネル、集積回路素子、固体撮像素子などの電子部品の平坦化膜、保護膜、隔壁材、および層間絶縁膜等が挙げられる。これらの材料は感光性樹脂を数μmから数十μmの厚さで均一にし、パターンマスク越しに露光し、アルカリ現像することにより得られる。ネガ型感光性樹脂の場合、露光部分が硬化し、未露光部分は未硬化のため現像液に溶解してパターニング膜が得られる。未硬化部分をアルカリ現像液に溶解させて除去する工程の制御はタックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造するために重要である。未硬化部分の現像液に対する溶解速度を調整する方法としては、例えば、添加剤により現像液への溶解性を調整する方法やマトリックス樹脂中に酸分解性の官能基を導入し、酸の作用により脱離する保護基を制御することでアルカリ現像液への溶解性を調整する方法が知られている(特許文献1)。
特開2001−330957号公報(2001年11月30日公開)
しかしながら特許文献1では溶解性を高める場合に酸発生剤を増量する必要があり、これらの酸発生剤の残渣はアウトガス成分となることで、製造工程および製品の汚染原因となる懸念があり、改善の余地があった。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルカリ現像性に優れ、かつ当該組成物由来のアウトガス成分を低減した硬化性組成物、並びにそれらを用いた基材、その基材を構成成分の一つとする積層体を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、アルカリ現像性を有する重合性化合物(a)と、重合開始剤(b)と、エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)、有機溶剤(d)から構成される組成物の粘度が0.05Pa・s〜5.0Pa・sであって、且つアルカリ現像性を有する重合性化合物(a)100重量部に対して、エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)を0.1重量部〜20重量部含有することを特徴とする硬化性組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の構成を含むものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(a)成分:下記式(X1)で表される構造および下記式(X2)で表される構造からなる群から選択される1種以上の酸性基を有し、アルカリ現像性を有する重合性化合物;(b)成分:活性エネルギー線重合開始剤;(c)成分:エポキシ基、オキセタニル基、およびアルコキシシリル基からなる群から選択される1種以上の官能基を有し、かつ下記式(X1)で表される構造、下記式(X2)で表される構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される酸性基のいずれも含まない化合物;および(d)成分:有機溶剤を含む。
Figure 0006945289
硬化性組成物は粘度が0.05Pa・s〜5.0Pa・sであり、(a)成分100重量部に対して(c)成分を0.1重量部〜20重量部含有する。
(a)成分は、同一分子内にエポキシ基およびSiH基を有する化合物を含んでいてもよく、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物を含んでいてもよい。(c)成分は、同一分子内に、エポキシ基、オキセタニル基およびアルコキシシリル基からなる群から選択される1種以上の官能基を二つ以上有する化合物でもよい。(c)成分のエポキシ基は脂環式エポキシ基でもよい。
硬化性組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線によるパターン露光を行い、アルカリ現像により未露光部を溶解除去することによりパターン硬化膜が得られる。
本発明は、上記構成により、アルカリ現像性に優れ、かつ当該組成物由来のアウトガス成分を低減した硬化性組成物を提供することが可能になり、本硬化性組成物を用いた製造工程ならびに製品の汚染を抑制する効果を奏する。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本発明は、光により硬化する硬化性組成物並びにそれらを用いた基材、その基材を構成成分の一つとする積層体に関するものである。硬化性組成物としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、有機無機ハイブリッド樹脂が挙げられる。耐熱透明性、耐光透明性と基材接着性のバランスが優れる点で、有機無機ハイブリッド樹脂が好ましい。
(アルカリ現像性を有する重合性化合物(a):以下(a)成分と呼ぶことがある。)
本発明のアルカリ現像性を有する重合性化合物(a)は、分子内に少なくとも1個の重合性官能基を有し、アルカリ現像性を有する重合性化合物であれば特に限定されない。重合性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、アクリル基、アルコキシシリル基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等が挙げられる。 なかでも、エポキシ基を有する化合物が好適に用いられる。エポキシ基のなかでも安定性の観点より、脂環式エポキシ基やグリシジル基が好ましい。
分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物(以下、単に「エポキシ化合物」ともいう。)は特に限定されず、例えば、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物、エポキシ基含有ポリエステル化合物、エポキシ基含有ポリウレタン化合物、エポキシ基含有アクリル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等のアルコール型エポキシ化合物、臭素化エポキシ化合物等のハロゲン化エポキシ化合物、ゴム変性エポキシ化合物、ウレタン変性エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。なかでも、高温時における信頼性、透明性に優れることから、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物が好適に用いられる。これらのエポキシ系化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ここでのポリオルガノシロキサン化合物とは、シロキサン単位(Si−O−Si)および、構成元素としてC、H、N、O、Sからなる有機基Xとから構成される化合物、重合体を示し、構造上特に限定されるものではない。これら化合物中のシロキサン単位のうち、構成成分中T単位(XSiO3/2)、またはQ単位(SiO4/2)の含有率が高いものほど得られる硬化物は硬度が高くより耐熱信頼性に優れ、またM単位(XSiO1/2)、またはD単位(XSiO2/2)の含有率が高いものほど硬化物はより柔軟で低応力なものが得られる。
上記分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物の市販品は特に限定されず、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名「エピコート807」、「エピコート828」、「エピコート1001」等の「エピコート」シリーズ、DIC社製の商品名「エピクロンHP−4032」等の「エピクロン」シリーズ、ダイセル化学工業社製の商品名「セロキサイド2021」等の「セロキサイド」シリーズ等が挙げられる。
また、本発明のアルカリ現像性を有する重合性化合物(a)において、下記式(X1)または(X2)で表される各構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「式(X1)または(X2)で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基」を「酸性基」と称することがある。)を同一分子内に有することが好ましく、この構造を有することによりアルカリ水溶液への溶解が可能となり、工業的に有用なリソグラフィー性を有する硬化性組成物となり得る。
Figure 0006945289
られる硬化物が高温時における着色が少ないことから、酸性基としては、カルボキシル基、上記の式(X1)または(X2)の構造が好ましく、さらに高温時の熱分解性の低い硬化物が得られることから、上記の式(X1)または(X2)の構造を有するものが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、重合性化合物がSiH基を含有する場合、一分子中に炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を含有することにより、熱硬化性を付与することができる。
特に硬化物の透明性および硬化性の観点より、アルケニル基を有するポリシロキサンが好ましく適用できる。またその中でも化合物入手性の観点より、ケイ素基に結合したビニル基(Si−CH=CH2基)を有するポリシロキサン化合物であることが好ましい。具体例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にビニル基を有するポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、ヘキサメチルトリビニルトリシロキサン、SiH基を含有する環状シロキサンの例示でSiH基の水素原子をビニル基、アリル基等のアルケニル基に置換したものなどが例示され、具体的に1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等の化合物が挙げられる。
アルケニル基含有有機化合物の例としては、シロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、Sおよびハロゲンからなる群から選ばれる原子より構成される化合物であって、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物であれば特に限定されない。またSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
上記有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類でき、有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
化合物の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
また化合物としては、骨格部分とアルケニル基(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合)とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
特に、透明性および耐熱性、耐光性が高いという観点から下記一般式(X3)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
Figure 0006945289
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(X3)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
これら化合物の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレートが挙げられ、特に入手性の観点よりトリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
本発明の硬化性組成物に使用される重合性化合物として、変性ポリオルガノシロキサン化合物を用いる場合、概化合物は加水分解による縮合反応や付加反応および開環重合など様々な手法によって得られるものであるが、これら特定の有機構造をポリシロキサン化合物構造中に導入する手法としては特に限定される方法は無いが、位置選択的に導入が可能でかつ化学的に安定な結合であるSi−C結合にて導入できるヒドロシリル化を用いるのが好ましい。
本発明の重合性化合物として使用される変性ポリオルガノシロキサン化合物に好適なものとして、次の態様が挙げられる。
下記化合物(α)〜(γ)のヒドロシリル化反応生成物:
(α)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物。
(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノシロキサン化合物。
(γ)1分子中に、光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上とを有する化合物。
以下、上記変性ポリオルガノシロキサン化合物の好ましい態様につき、説明する。
(化合物(α))
化合物(α)について説明する。
化合物(α)は、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物であれば限定されるものではなく、特に上記成分(B)と同様の化合物を使用することができる。
その中でも、特に得られる硬化物の絶縁性に優れるという観点より、下記一般式(X3)
Figure 0006945289
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物であることが好ましく、さらに入手性の観点より、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレートが挙げられる。
また得られる硬化物の透明性および硬化性の観点より、アルケニル基を有するポリシロキサンが好ましく適用できる。またその中でも化合物入手性の観点より、ケイ素基に結合したビニル基(Si−CH=CH2基)を有するポリシロキサン化合物であることが好ましい。具体例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にビニル基を有するポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、ヘキサメチルトリビニルトリシロキサン、SiH基を含有する環状シロキサンの例示でSiH基の水素原子をビニル基、アリル基等のアルケニル基に置換したものなどが例示され、具体的に1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等の化合物が挙げられる。
また成分(α)おいて、下記式(X1)または(X2)で表される各構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「式(X1)または(X2)で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基」を「酸性基」と称することがある。)を同一分子内に有することが好ましく、この構造を有することによりアルカリ水溶液への溶解が可能となり、工業的に有用なリソグラフィー性を有する硬化性組成物となり得る。
Figure 0006945289
これら化合物の中で特に耐熱性に優れる観点より、イソシアヌル酸構造を有するものが好ましく、入手性の観点より、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸などが具体的に挙げられる。
また酸性基を有さないアルケニル化合物との併用も可能であり、特に耐熱性の観点より、イソシアヌル環構造を有するアルケニル化合物である、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等との併用が好ましい。
また得られる硬化物が透明性に優れる観点より、アルケニル基を有するポリシロキサン化合物との併用が好ましく、特に入手性の観点より、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、具体的に1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等の環状シロキサン化合物が好ましい。
(化合物(β))
化合物(β)について説明する。化合物(β)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、硬化物に柔軟性が付与されるという観点より、
Figure 0006945289
(式中、R、Rは炭素数1〜6の有機基を表し同一であっても異なっても良く、lは、0〜50、nは1〜50、mは0〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。またR、Rは入手性、耐熱性の観点より特にメチル基であるものが好ましく、硬化物の強度が高くなるという観点より、特にフェニル基であるものが好ましい。
これらのうち、硬化物の耐熱性が高いという観点より、(式中、R、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは0〜50の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有し、分子中にTまたはQ構造を有するオルガノポリシロキサンが好ましく、R、Rは入手性、耐熱性の観点より特にメチル基であるものが好ましい。
Figure 0006945289
Figure 0006945289
これらのうち、入手性および化合物(α)、(α2)、(γ)との反応性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(X4)(式中R、Rは炭素数1〜6の有機基を表し同一であっても異なっても良く、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 0006945289
一般式(X4)で表される化合物中の置換基R、Rは、C、H、Oからなる群から選択して構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
一般式(X4)で表される化合物としては、入手容易性及び反応性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記した各種化合物(β)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(化合物(γ))
化合物(γ)について説明する。化合物(γ)は、1分子中に光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上とを有する化合物であれば特に限定されない。なお、ここでいう光重合性官能基は、前述の変性ポリオルガノシロキサン化合物が有する光重合性官能基と同一であって、好ましい態様も同様に好ましい。
特に光重合性官能基として、反応性・化合物の安定性の観点より、光重合性官能基の少なくとも1個は、エポキシ基、架橋性ケイ素基、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基、ビニロキシ基が好ましい。
光重合性官能基としてエポキシ基を有する化合物(γ)の具体例としては、ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、光重合反応性に優れている観点より、脂環式エポキシ基を有する化合物であるビニルシクロヘキセンオキシドが特に好ましい。
またオキセタニル基を有する化合物(γ)の具体例としては、アリルオキセタニルエーテル、ビニルオキセタニルエーテルなどが挙げられる。オキセタニル基を有する化合物を用いる場合、硬化物の靭性が向上するという観点より好ましい。
光重合性官能基として架橋性ケイ素基を有する化合物(γ)の具体例としては、入手性容易性及び耐熱性の観点からは、下記一般式(X5)(式中R、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは1〜3、mは0〜10の数を表す)で表される架橋性ケイ素基を有する化合物であることが好ましく、反応後の副生成物が除去されやすい等という観点より、特にトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシランが好ましい。
Figure 0006945289
光重合性官能基としてアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物(γ)としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、およびがビニル基またはアリル基と下記一般式(X6)(式中のR10は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される有機基とを同一分子内中に1個以上ずつ有する化合物、例えば、上述の一般式(X3)において、式中のRの少なくとも1個が上記一般式(X6)で示される基であり、かつ、Rの少なくとも1個がビニル基またはアリル基などのSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である化合物が挙げられる。さらにヒドロシリル化の選択性が高いという観点より、メタクリロイル基が同一分子内にアリルまたはビニル基と共存する化合物であることが好ましく、特に入手性の面よりメタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニルなどが好ましい。
Figure 0006945289
またヒドロシリル化反応の際、重合性官能基の種類を問わず、2種以上の化合物(γ)を併用することもできる。
(ヒドロシリル化触媒)
化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)、態様によってはさらに化合物(α2)をヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、化合物(α)および化合物(γ)のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合(以下、単に「アルケニル基」と称することがある。)1モル、または、化合物(α)および化合物(γ)のアルケニル基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は上記化合物のアルケニル基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
(化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)の反応)
本発明の光硬化性組成物に使用できる変性ポリオルガノシロキサン化合物としては、上述したとおり、化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)の反応をヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる化合物が挙げられる。
反応の順序、方法としては種々挙げられるが、合成工程が簡便であると言う観点からは、化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)を1ポットでヒドロシリル化反応させ、最後に未反応の化合物を除去する方法が好ましく、低分子量体を含有しにくいと言う観点から、過剰の化合物(α)と化合物(β)とを、もしくは、過剰の化合物(β)と化合物(α)とをヒドロシリル化反応させた後、一旦、未反応の化合物(α)もしくは化合物(β)を除き、得られた反応物と化合物(γ)をヒドロシリル化反応させる方法がより好ましい。
各化合物の変性させる割合は特に限定されないが、化合物(α)および(γ)の総アルケニル基量をA、化合物(β)の総SiH基量をBとした場合、1≦B/A≦30であることが好ましく、更に1≦B/A≦10であることが好ましい。1>B/Aの場合は、組成物中に未反応アルケニル基が残るため着色の原因となり、また30<B/Aの場合には、大量の(β)成分を使用するため、製造コストが高くなる観点より好ましくない。
また、化合物(α)および化合物(γ)の変性割合については、化合物(α)のアルケニル基をA1、化合物(γ)のアルケニル基をA2とした場合、A1+A2=1として、0.01≦A1≦0.99、0.01≦A2<0.99の範囲で適宜選択して変性させることができる。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に酸素を使用できる。反応容器の気相部に酸素を添加することで、ヒドロシリル化反応を促進できる。酸素の添加量を爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる反応物が揮発分を有さないため、該反応物を用いて硬化物を作成する場合に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては、例えば、減圧脱揮が挙げられる。減圧脱揮する場合、低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
また得られる変性オルガノポリシロキサン化合物が高粘度である場合、操作性の観点から溶剤に希釈して使用しても良い。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤を好適に用いることができる。
溶解性の観点より、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。 これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。 本発明の重合性化合物(a)としての変性オルガノポリシロキサン化合物の上記製造方法では、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(重合成開始剤(b))
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する、活性エネルギー線光重合開始剤であれば、特に限定されず使用できる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロ硼素錯塩及び三弗化硼素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6陰イオン(ここでMは燐、アンチモン及び砒素から選択される)の形のVIa元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス [4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル] スルフィド−ビスヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等);陰イオンがB(C である芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩の一種以上が包含される。
好ましい陽イオン系活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びにII族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3M社)、UVR−6990及びUVR−6974(ユニオン・カーバイド社)、UVE−1014及びUVE−1016(ジェネラル・エレクトリック社)、KI−85(デグッサ社)、SP−152及びSP−172(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)、WPI113及びWPI116(和光純薬工業社)、RHODORSIL PI2074(ローディア社)として商品として入手できる。
カチオン重合開始剤の使用量は、カチオン重合性化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の量である。カチオン重合開始剤量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られない。開始剤量が多いと、腐食が発生したり、開始剤の色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色や隆起したり、硬化物の耐熱耐光性を損なうために好ましくない。
また本発明ではラジカル重合開始剤を使用することもできる。ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤であれば、特に限定されず使用できる。上記ラジカル種により、(B)成分が有する光重合性官能基を架橋させることができる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、ビイミダゾール系化合物、α−ジケトン系化合物、チタノセン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物等が用いることができ、アセトフェノン系化合物の具体例としては、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4’−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2’−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン等が挙げられ、アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、オキシムエステル系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられ、ベンゾイン系化合物の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられ、ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、α−ジケトン系化合物の具体例としては、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられ、ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられ、多核キノン系化合物の具体例としては、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン等が挙げられ、キサントン系化合物の具体例としては、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられ、トリアジン系化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−ブロモ−4’−メチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−チオフェニルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
特に硬化性に優れるという観点より、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
特に硬化物が透明性に優れるという観点より、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4’−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2’−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノンが好ましい。
これらのラジカル重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、アルカリ現像性を有する重合性化合物(a)100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の量である。ラジカル重合開始剤量が少ないと、硬化が不十分でアルカリ現像時にコントラストが得られない傾向がある。開始剤量が多いと、硬化膜自体が着色するために好ましくない。
(エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c):以下(c)成分と呼ぶことがある)
本発明の硬化性組成物におけるエポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)は、同一分子内にエポキシ基またはオキセタニル基と、アルコキシシリル基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。前記化合物の添加により、現像液との親和性を高めることでアルカリ現像性を促進することができる。さらに硬化過程において前記化合物は反応することで樹脂マトリックス中に取り込むことができ、アウトガス成分とならない。ただし、(c)成分は、(a)成分とは異なり、酸性基を含まない化合物である。
上記エポキシ基および上記オキセタン基の具体例としては、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシシクロヘキシル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4−ビス{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタンおよび3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
上記アルコキシシラン化合物の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−エチル(トリエトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン、エポキシ基またはオキセタニル基と、アルコキシシリル基を有する環状シロキサン化合物、テトラメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、メチルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、並びにジメチルジメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物等が挙げられる。
カチオン種又はルイス酸よる重合性の高い、エポキシシクロヘキシル基(=3,4−エポキシシクロヘキシル=脂環式エポキシ基)を有する化合物またはアルコキシシリル基を有する化合物を(c)成分として用いた場合、アウトガスの量が抑制されるため好ましい。
上記エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)の添加量はアルカリ現像性を有する重合性化合物(a)100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部である。前記化合物の添加量が少ない場合には現像液への溶解促進効果が表れず、添加量が多い場合にはアウトガスに悪影響を及ぼす場合がある。
(溶剤 (d))
本硬化性組成物に使用される、ポリシロキサン系化合物が高粘度である場合、溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤を好適に用いることができる。
溶解性の観点より、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(その他の添加剤)
(増感剤)
本ネガ型硬化性組成物には、光エネルギーで硬化させる場合には、光の感度向上のおよびg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)と言われるような高波長の光に感度を持たせるために、適宜、増感剤を添加する事ができる。これら増感剤は、上記カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤、光酸発生剤等と併用して使用し、硬化性の調整を行うことができる。添加する増感剤としては、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げることができる。
アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン、9,10−ジフェニル−2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン等が挙げられ、特に入手しやすい観点より、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、硬化性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
チオキサントン系の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられる。これらの増感剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本ネガ型硬化性組成物における増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、添加した開始剤(カチオン重合開始剤/ラジカル重合開始剤/光酸発生剤)1モルに対して、増感剤0.01〜300モル加えることが好ましく、0.1モル〜100モルであることがさらに好ましい。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼす場合があり、一方、多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のための着色や、耐熱性や耐光性を損なう恐れがある。
(反応性調整剤)
本硬化性組成物をラジカル硬化系として使用する際には、反応性調整および酸素による硬化阻害抑制等のため、チオール化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物等を添加する事ができる。
チオール化合物の具体例としては、トリ(3−メルカプトプロピオニロオキシ)−エチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトール−3−メルカプトプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6トリオン、メルカプト基含有ポリオルガノシロキサン(信越化学製、KF2001、KF2004等)等が挙げられる。
耐熱性に優れるという観点より、特に3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6トリオン、トリ(3−メルカプトプロピオニロオキシ)−エチル)イソシアヌレート、メルカプト基含有ポリオルガノシロキサン(信越化学製、KF2001、KF2004等)が好ましい。
ホスフィン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
(接着性改良剤)
本硬化性組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、光重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類及び/または酸無水物類を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類および/または酸無水物類のうち、得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、好ましいカルボン酸類および/または酸無水物類としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類および/または酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の範囲は0.1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類および/または酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
〔接着付与剤処理方法・接着方法〕
本発明において接着付与剤処理方法と接着方法について説明する。
シランカップリング剤を含む溶液に硬化物を数分間浸漬し、基材を乾燥させて液滴を取除き、別の基材と貼り合せて加熱圧着することにより硬化物と基材を接着する。
上記の硬化物としては、硬化物の成型体、基板上に成膜された硬化膜、基板上にパターニングされた硬化膜などが挙がられる。
溶剤としては、接着付与剤が溶解する溶剤であれば特に限定されない。溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤が挙げられる。
溶剤に添加する接着付与剤量としては、0.05wt%〜5.0wt%が好ましく、0.1wt%〜2.0wt%がより好ましい。0.05wt%未満では接着しない場合がある。一方、5.0wt%を超えて添加しても接着効果が上がらない。接着付与剤を含む溶液に硬化物を浸漬する時間は、10秒〜5分が好ましく、30秒〜2分がより好ましい。10秒未満では接着しない場合がある。一方、5分を超えて浸漬しても接着効果が上がらない。
基材の乾燥方法としては、圧縮空気や圧縮窒素などを吹きかけて乾燥してもよいし、放置して乾燥しても構わない。基材の乾燥温度としては、5℃〜100℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましい。5℃未満では溶剤の乾燥に時間がかかり非効率である。一方、100℃以上では接着付与剤が乾燥中に反応して接着効果が低下する。
基材を貼り合せる方法としては、プレス機などで加圧圧着することが好ましい。基材を貼り合せるときの温度としては、80℃〜250℃が好ましく、120℃〜180℃がより好ましい。80℃未満では接着しない場合がある。一方、250℃以上では硬化物が劣化する場合がある。さらに、基材を貼り合せるときの温度としては、硬化物のガラス転移温度(Tg)よりも高い方が、硬化物が加熱融着するために接着する。加熱圧着の温度としては、硬化物のTg以上であることが好ましく、硬化物のTgよりも30℃以上高いことがより好ましい
(リン化合物)
本硬化性組成物を光又は熱により硬化させ、特に透明性を要求される用途で使用する場合は、光又は熱による硬化後の色相を改善するために、リン化合物を使用するのが好ましい。リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル] ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類から選ばれる酸化防止剤、又は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく使用される。
リン化合物の使用量は、(a)成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。リン化合物の使用量が0.01重量部より少ないと、色相の改善効果が少なくなる。使用量が10重量部より多くなると、硬化性や硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(熱可塑性樹脂)
本硬化性組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、ポリシロキサン系化合物との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の範囲は硬化性組成物全体の5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなり易い。添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。 熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂はポリシロキサン系化合物に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、ポリシロキサン系化合物に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂をポリシロキサン系化合物に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態或いは/お及び混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(充填材)
本硬化性組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用或いは/及び提案されている充填材等を挙げることができる。
(老化防止剤)
本硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。 硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。 また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(その他)
本硬化性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(硬化性組成物の調整方法および硬化方法)
硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、種々の方法で調製可能である。各種成分を硬化直前に混合調製しても良く、全成分を予め混合調製した一液の状態で低温貯蔵しておいても良い。
本発明の硬化性組成物の使用方法は、特に限定されるものではなくスピンコートやスリットコートによるコーティング、ディスペンスによるポッティング等を用いて使用することができる。また基材の状態に合わせ適宜、溶剤による粘度調整、界面活性剤による表面張力調整を行っても良い。
また本発明の硬化性組成物は、光照射により架橋反応を進行させて硬化物とする。本発明によれば、低い光量で形成された場合においても、膜厚均一性・均一な断面形状に優れる保護膜又はパターンを提供することができる。光硬化させるための光源としては、使用する重合開始剤や増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオードなどを使用できる。 露光量は特に制限されないが、好ましい露光量の範囲は1〜500mJ/cm、より好ましくは1〜100mJ/cmであり、さらに好ましくは1〜40mJ/cm2である。露光量が少ないと表面荒れや、膜厚の減少、パターンエッジ部の欠けが生じる。露光量が多いと急硬化のために変色することがある。好ましい硬化時間の範囲は1〜120秒、より好ましくは1〜60秒である。硬化時間が長いと、生産性が低下するとともに、光硬化の速硬化の特徴が生かされない。
成膜後の加熱温度は特に特に限定されるものではないが、周辺の耐熱性の低い部材への影響が小さいという観点より250℃以下であることが好ましく、樹脂材料の200℃以上が好ましい。樹脂基板などを用いる場合には、寸法安定性等を考慮すると150℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは100℃下の加熱により硬化させることが好ましい。
(基材)
本硬化性組成物は、液状でハンドリングおよび溶液塗布により容易に薄膜形成できるため、基材上に層状硬化させることにより樹脂層付基板を容易に提供することができる。
本樹脂層付基板は、具体的に例えば、以下の方法で作成することができる。上記ポリシロキサン系組成物を、基材上に、スピンコート法、ロールコート法、印刷法、バーコート法等の方法で、膜厚が通常0.01〜150μm、好ましくは、0.5〜100μm、より好ましくは、1〜80μmになるように塗布する。基材としては、例えば、ガラス類、ポリカーボネート類、フィルム類、撮像素子の形成されたシリコンウェハー、LCD又はCCD用カラーフィルターのパターン化された着色樹脂膜、印刷用紙、印刷用繊維、金属板等が挙げられる。次に上記活性エネルギー線により露光を行うことで樹脂層付基板を得ることができる。
このようにして得られた樹脂層付基板は、次いで、後述するように、アルカリ現像液により現像処理することができる。
(アルカリ現像方法)
アルカリ現像によるパターニング形成について特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法やスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解・除去し所望のパターン形成させることができる。
またこの時の現像液については、一般に使用するものであれば特に限定なく使用することができ、具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液やコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液や、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸リチウム水溶液などの無機アルカリ水溶液やこれら水溶液に溶解速度等の調整のためにアルコールや界面活性剤などを添加したもの等を挙げることができる。本発明の硬化性組成物は、未硬化部分の現像液に対する溶解速度を調整することができるため、未硬化部分の溶解・除去を高精度で行うことができ、タックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造することができる。
水溶液濃度に関しては、露光部と未露光部のコントラストがつきやすいという観点より、25重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であることが好ましい。
(用途)
本硬化性組成物およびその硬化物は、種々の用途に用いることができる。従来のエポキシ樹脂、アクリル樹脂およびシリコーン樹脂接着剤が使用される各種用途に応用することが可能である。
例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コート、光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜に応用できる。また、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズ、酸素透過膜の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
中でも、本発明の硬化性組成物は、アルカリ現像性透明レジストとして使用できる材料であり、特にFPD用材料や撮像素子などのセンサ材料として好適な材料である。より具体的には、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料や、インクジェットなどのマイクロ流路、太陽電池部材、SAWフィルター、CMOSセンサー、電子ペーパー並びに、MEMSパッケージなどが挙げられる。上記用途に限らず、露光、現像によるパターン形成後に被着体を熱圧着して形成される中空構造など気密性を求められるパッケージや密閉性の高いリブ材としても好適である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(合成例1)
ジアリルイソシアヌル酸40g、ジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)124mgを加えた。このようにして得られた溶液を、3%酸素含有の窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン88g、トルエン176gの溶液に3時間かけて滴下した。滴下終了から30分後にH−NMRでアルケニル基の反応率(アルケニル基が減少した割合)が95%以上であることを確認した後、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62g、トルエン62gの溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後にH−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンとジオキサンを減圧留去した後、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートに置換し、無色透明の75wt%ポリシロキサン化合物溶液「反応物A」を得た。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
実施例1〜7および比較例1〜3の硬化性組成物を表1に示す比率で調整した。
表中、CPI−210Sはサンアプロ社製の光重合開始剤である。9,10−ジブトキシアントラセンは増感剤である。ビス(2−モルホリノエチル)エーテルは酸拡散抑制剤である。DOAは東京化成工業社製のアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)で可塑剤である。エポライト4000は共栄社化学社製の水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、CEL2021Pはダイセル有機合成カンパニー製の脂環式エポキシ、KR−516は信越化学社製のエポキシ基含有アルコキシシランであり、エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)として使用した。IRGANOX1010はBASF社製の酸化防止剤である。PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)は溶剤である。1―エチニルシクロヘキサノールは硬化遅延剤である。また、下述の方法により評価し、その結果を表1に示す。
Figure 0006945289
表1に示すように、エポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)を添加することでアウトガス成分を増やすことなく、アルカリ現像性が向上することが確認された。比較例1ではエポキシ基、またはオキセタニル基、またはアルコキシシリル基を有する化合物(c)に該当する成分が無添加である為、アウトガス成分は増えないが、アルカリ現像性が改善されない。一方で比較例2、3ではアルカリ現像性は少し改善されるものの、DOAは樹脂と反応しないことからアウトガス成分が増加していることが分かる。
(アルカリ現像性評価)
実施例、比較例で得られた樹脂組成物を用いて下記のような評価サンプルを作成した。ガラス板に樹脂組成物をスピンコーティング(回転数700rpm、20秒)したものを、85℃に加熱したホットプレート上で10分加熱し、ついで120℃に加熱したホットプレート上で10分加熱した。露光装置(高圧水銀ランプ、マスクアライメント装置MA−10)を用い、線幅100μmの格子形状のパターンマスクを通して1000mJ/cmの積算光量で露光し(コンタクト露光)、5分間の空冷後にアルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に360秒浸漬後水洗して線幅100μm、膜厚50μmのパターンを形成した。その後80℃に加熱したホットプレート上にて30分加熱して評価サンプルを得た。得られた評価サンプルは目視による確認及びレーザー顕微鏡(オリンパス社製OLS4000)を用いてパターン形状を観測し、現像による樹脂の溶け残りの程度を下記基準に従い評価した。
<評価基準>
○:全く溶け残りが無く、均一なパターン形成可能
△:局所的に溶け残りが存在しているが、均一なパターン形成可能
×:広範囲に溶け残りが存在し、均一なパターン形成不可
(アウトガス評価)
実施例、比較例で得られた樹脂組成物を用いて下記のような評価サンプルを作成した。ガラス板に樹脂組成物をスピンコーティング(回転数700rpm、20秒)したものを、85℃に加熱したホットプレート上で10分加熱し、ついで120℃に加熱したホットプレート上で10分加熱した。露光装置(高圧水銀ランプ、マスクアライメント装置MA−10)を用い、1000mJ/cmの積算光量で露光し(コンタクト露光)、5分間の空冷後にアルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に360秒浸漬後水洗して平坦な膜を形成した。その後80℃に加熱したホットプレート上にて30分加熱して評価サンプルを得た。得られた評価サンプルは島津社製TGA50熱重量分析装置で測定した。上記硬化物をカッターナイフで削りTGA用測定サンプルとした。このサンプルのうち6〜8mgを計量し、TGA分析に用いた。測定条件は窒素雰囲気下、室温〜150℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、60min保持した後、昇温速度10℃/minで270℃まで昇温し、10min保持した時点での重量保持率を評価した。

Claims (8)

  1. (a)成分:下記式(X1)で表される構造および下記式(X2)で表される構造からなる群から選択される1種以上の酸性基を有し、アルカリ現像性を有する重合性化合物;
    (b)成分:活性エネルギー線重合開始剤;
    (c)成分:エポキシ基、オキセタニル基、およびアルコキシシリル基からなる群から選択される1種以上の官能基を有し、かつ下記式(X1)で表される構造、下記式(X2)で表される構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群から選択される酸性基のいずれも含まない化合物;および
    (d)成分:有機溶剤、
    を含む硬化性組成物であって、
    粘度が0.05Pa・s〜5.0Pa・sであり、
    前記(a)成分100重量部に対して前記(c)成分を0.1重量部〜20重量部含有する、硬化性組成物。
    Figure 0006945289
  2. 前記(a)成分が、エポキシ基含有化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(a)成分の前記エポキシ基含有化合物として、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物を含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(a)成分の前記エポキシ基含有化合物として、同一分子内にエポキシ基およびSiH基を有する化合物を含む、請求項2または3に記載の硬化性組成物。
  5. 前記(c)成分が、エポキシ基、オキセタニル基およびアルコキシシリル基からなる群から選択される1種以上の官能基を同一分子内に二つ以上有する化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記(c)成分がエポキシ基を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記(c)成分のエポキシ基が脂環式エポキシ基である、請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線によるパターン露光を行い、アルカリ現像により未露光部を溶解除去する、パターン硬化膜の製造方法。
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