JP2013173809A - 硬化性組成物 - Google Patents

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浩史 稲成
Masahito Ide
正仁 井手
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Abstract

【課題】 低温硬化が可能で、アルカリ水溶液での現像性を有し、耐熱性、透明性、電気特性に優れた硬化物を与える硬化性組成物及びそれをゲート絶縁膜に用いた薄膜トランジスタを提供すること。
【解決手段】
下記式(X1)、(X2)で表される各構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも一種と、1.5mmol/g以上のオキセタニル基とを同一分子内に有するオルガノシロキサン化合物と、光カチオン重合開始剤を含有する、硬化性組成物が、低温硬化が可能で、アルカリ水溶液での現像性を有し、耐熱性、透明性、電気特性に優れた硬化物を与える。
【化1】
Figure 2013173809


【選択図】 なし

Description

本発明は、低温硬化が可能で、アルカリ水溶液での現像性を有し、耐熱性、透明性、電気特性に優れた硬化物を与えるオルガノシロキサン化合物を含有する硬化性組成物およびそれをゲート絶縁膜に用いた薄膜トランジスタに関する。
一般にアルカリ現像性を有するレジスト材料の多くは、ノボラック樹脂、アクリル酸共重合体、ポリアミド酸等の酸性基を有する樹脂を利用したパターニング材料が特に電子材料分野を中心に広く用いられており、特許文献1〜2等に示されている。
しかしこれら代表されるような材料についても、200℃を超えるような高温時においては信頼性(熱分解、クラック、剥がれ等)および透明性に欠ける問題点がある。
一方、特許文献3に示されるようなオルガノシロキサン化合物を含有する硬化性組成物は、耐熱性、透明性に優れるが、製膜プロセスの低温化という観点では、改善の余地がある。また、特許文献4にあるようなアルカリ現像性樹脂に、光硬化性化合物をブレンドした組成物では、材料全体にわたる高密度な架橋構造を形成しにくく、特に薄膜トランジスタ用ゲート絶縁膜など、高度な絶縁性を要求する用途では電気特性が劣る問題点がある。
特開2005−266673号公報 特開平4−218051号公報 WO2009−075233号公報 特開2011−53691号公報
上記事情から、本発明の目的は、低温硬化が可能で、アルカリ水溶液での現像性を有し、耐熱性、透明性、電気特性に優れた硬化物を与える硬化性組成物及びそれをゲート絶縁膜に用いた薄膜トランジスタを提供することである。
本発明は、以下の構成を有するものである。
1). 下記式(X1)、(X2)で表される構造、フェノール性水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種と、1.5mmol/g以上のオキセタニル基とを有するオルガノシロキサン化合物と、光カチオン重合開始剤を含有する、硬化性組成物。
Figure 2013173809
2). オルガノシロキサン化合物が、下記化合物(α)〜(γ)
(α)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物、
(β)SiH基を有するオルガノシロキサン化合物、
(γ)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とオキセタニル基とを有する化合物、
のヒドロシリル化反応生成物であることを特徴とする1)に記載の硬化性組成物。
3). 化合物(β)が、下記一般式(III)
Figure 2013173809
(式中R、Rは炭素数1〜10の有機基を表し同一であっても異なっても良く、nは2〜10、mは0〜10の数を表す)
で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物である、2)に記載の硬化性組成物。
4). 1)〜3)のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物。
5). 4)に記載の硬化物をゲート絶縁膜に用いる薄膜トランジスタ。
本発明の目的は、低温硬化が可能で、アルカリ水溶液での現像性を有し、耐熱性、透明性、電気特性に優れた硬化物を与える硬化性組成物及びそれを用いた薄膜トランジスタ用ゲート絶縁膜を与え得る。
本発明の硬化性組成物に含有されるオルガノシロキサン化合物は、(X1)、(X2)で表される構造、フェノール性水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有することでアルカリ水溶液への溶解が可能となり、アルカリ現像可能なレジスト材料として適用することができ得る。またアルカリ現像性を有することにより、フォトリソグラフィーが可能となり、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜などに使用する際に、製造プロセスを短縮できる。
本発明の硬化性組成物に含有されるオルガノシロキサン化合物における、(X1)、(X2)で表される構造、フェノール性水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造の含有量はアルカリ溶解性の面で0.01〜7.0mmolが好ましく、0.05〜6.5mmol/gがより好ましく、特には0.1〜6.0mmol/g以上が好ましい。
本発明の硬化性組成物に使用されるオルガノシロキサン化合物は、さらに、光重合性官能基としてのオキセタニル基を有する。オルガノシロキサン化合物中のオキセタニル基量は、1.5mmol/g以上であるが、キャリア移動度やON/OFF電流比の面で1.7〜17mmolが好ましく、2.5〜13mmol/gがより好ましく、特には3.5〜10mmol/g以上が好ましい。本発明のオルガノシロキサン化合物は、オキセタニル基を分子中に一定量有することにより、低温のポストベイク条件でも、高密度な架橋を形成し、良好な電気特性を発現する。
ここでのオルガノシロキサン化合物とは、シロキサン単位(Si−O−Si)からなる骨格を有し、さらに構成元素としてC、H、N、O、Sからなる有機基Xとから構成される化合物、重合体のことであるが、構造上特に限定されるものではない。
また、これら化合物中のシロキサン単位のうち、構成成分中T単位(XSiO3/2)、またはQ単位(SiO4/2)の含有率が高いものほど得られる硬化物は硬度が高くより耐熱信頼性に優れ、またM単位(XSiO1/2)、またはD単位(XSiO2/2)の含有率が高いものほど硬化物はより柔軟で低応力なものが得られる。
本発明の硬化性組成物に使用されるオルガノシロキサン化合物は、加水分解による縮合反応や付加反応および開環重合など様々な手法によって得られるものであるが、これら特定の有機構造をシロキサン化合物構造中に導入する手法としては特に限定される方法は無いが、位置選択的に導入が可能でかつ化学的に安定な結合であるSi−C結合にて導入できるヒドロシリル化を用いるのが好ましい。
本発明の硬化性組成物に使用されるオルガノシロキサン化合物として好適なものとして、次の態様が挙げられる。
下記化合物(α)、(β)、(γ)のヒドロシリル化反応生成物:
(α)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物。
(β)SiH基を有するオルガノシロキサン化合物。
(γ)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とオキセタニル基とを有する化合物。
以下、本発明の硬化性組成物に使用されるオルガノシロキサン系化合物の好ましい態様につき、説明する。
これら化合物(α)、(β)、(γ)はそれぞれに対応する1種の化合物を用いてもよいし、必要に応じて複数種の化合物を用いてもよい。
化合物(α)について説明する。
化合物(α)は、(X1)、(X2)で表される構造、フェノール性水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する1分子中にオキセタニル基を含まない化合物であれば限定されるものではない。
これら化合物の中で特に耐熱性に優れる観点より、式(X1)あるいは(X2)から選ばれる構造を有するものが好ましく、入手性の観点より、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸などが具体的に挙げられる。
化合物(β)について説明する。
化合物(β)はSiH基を有するオルガノシロキサン化合物であれば特に限定されないが、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有することが好ましい。
これらのうち、入手性および化合物(α)、(γ)との反応性が良いという観点からは、一般式(III)で表される環状オルガノポリシロキサンが好ましい。中でも1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する一般式(III)で表される環状オルガノポリシロキサンが好ましい。さらにはnが4〜6、mが0〜6、特にはnが4、mが0であるものが好ましい。
一般式(III)で表される化合物中の置換基R、Rは、炭素数1〜10の一価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点から、炭素数1〜4の一価の有機基であることが好ましい。R、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられるが、中でもメチル基が好ましい。
一般式(III)で表される化合物としては、入手容易性及び反応性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記した各種化合物(β)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
化合物(γ)について説明する。
化合物(γ)は、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を少なくとも1個とオキセタニル基を少なくとも1個を有する化合物であれば特に限定されない。
化合物(γ)の具体例としては、3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−プロパルギルオキシメチルオキセタンが挙げられる。
(ヒドロシリル化触媒)
化合物(α)、(β)及び(γ)をヒドロシリル化反応させる場合には触媒を用いることができる。触媒を用いる際には、公知のヒドロシリル化触媒を用いればよい。
触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、スムーズにヒドロシリル化反応を進行させるため、好ましい添加量の下限は、反応時に仕込んでいるSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合(以下、単に「アルケニル基」と称することがある。)1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は上記化合物のアルケニル基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
(化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)の反応)
本発明の光硬化性組成物に使用できるオルガノシロキサン化合物としては、上述したとおり、化合物(α)、化合物(β)、および化合物(γ)の反応をヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる化合物が挙げられる。
化合物(α)、化合物(β)、および化合物(γ)を反応させる際、化合物(α)と過剰の化合物(β)とを、ヒドロシリル化反応させた後、一旦、未反応の化合物(β)を除き、得られた反応物と化合物(γ)をヒドロシリル化反応させると低分子量体を含有しにくいという観点から好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に酸素が存在する事により反応速度が促進できるので好ましい。酸素は反応容器の気相部に添加することで反応系に導入することができる。酸素を用いる場合、爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる反応物が揮発分を有さないため、該反応物を用いて硬化物を作成する場合に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては、例えば、減圧脱揮が挙げられる。減圧脱揮する場合、低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
本発明の硬化性組成物に用いることができるオルガノシロキサン化合物の上記製造方法では、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(ゲル化抑制剤)
得られる反応物の保存安定性を改良する目的、或いは化合物(α)、化合物(β)および化合物(γ)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を減圧脱揮により除去する場合の、加熱処理による増粘等の変質を抑制する目的で、ゲル化抑制剤を使用することができる。ゲル化抑制剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。
有機リン化合物としては、トリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスフォン類、トリオルガノホスファイト類等が例示される。
有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。
有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらのゲル化抑制剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、チアゾール誘導体、プロパギルアルコール類、マレイン酸エステル類、トリオルガノホスフィン類が好ましい。具体的にはベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、トリフェニルホスフィンが挙げられる。
ゲル化抑制剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。添加量が少ないと、所望の保存安定性や減圧脱揮時のゲル化抑制効果が得られない。添加量が多いと、硬化反応時の硬化阻害剤になり得る。
また、これらのゲル化抑制剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する、活性エネルギー線カチオン重合開始剤、又は熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤であれば、特に限定されず使用できる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロ硼素錯塩及び三弗化硼素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6陰イオン(ここでMは燐、アンチモン及び砒素から選択される)の形のVIa元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビスヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等);陰イオンがB(C である芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩の一種以上が包含される。
好ましい陽イオン系活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びにII族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3M社)、UVR−6990及びUVR−6974(ユニオン・カーバイド社)、UVE−1014及びUVE−1016(ジェネラル・エレクトリック社)、KI−85(デグッサ社)、SP−152及びSP−172(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)、WPI113及びWPI116(和光純薬工業社)、RHODORSIL PI2074(ローディア社)、BBI103(みどり化学社製)として商品として入手できる。
カチオン重合開始剤の使用量は、本発明の硬化性組成物に用いるキルオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の量である。カチオン重合開始剤量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られない。開始剤量が多いと、開始剤の色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色や隆起したり、硬化物の耐熱耐光性を損なうために好ましくない。
(硬化性組成物の調整方法および硬化方法)
硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、種々の方法で調製可能である。各種成分を硬化直前に混合調製しても良く、全成分を予め混合調製した一液の状態で低温貯蔵しておいても良い。本発明の硬化性組成物にはオキセタニル基を有しているため、光硬化が可能であり、硬化方法としては熱による硬化、光による硬化、あるいは熱と光の硬化方の併用を用いることができる。
光硬化法を用い、アルカリ洗浄を行うことにより、所望の箇所に当該組成物の膜を簡単に作成することが出来る(パターニング)ので好ましい。
光硬化させるための光源としては、使用する重合開始剤や増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオードなどを使用できる。
露光量は特に制限されないが、好ましい露光量の範囲は1〜5000mJ/cm、より好ましくは1〜1000mJ/cmである。露光量が少ないと硬化しない。露光量が多いと急硬化のために変色することがある。好ましい硬化時間の範囲は30〜120秒、より好ましくは1〜60秒である。硬化時間が長いと、光硬化の速硬化の特徴が生かされない。
また溶剤除去および硬化物の物性向上の目的で、光硬化後に熱を加えて熱硬化(ポストベイク)を行い、硬化を充分に進行させることが好ましい。また、光硬化の前に熱硬化法を採用し、硬化性組成物を一部硬化させておくと光硬化時のマスク装着等の工程の作業性の面で好ましい。
硬化温度としては種々設定できるが、フレキシブル基板への適用の観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。硬化温度の下限としては70℃、さらには80℃が例示できる。
本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物は、良好な反応性を有するオキセタン基により、低温のポストベイクでも、高密度な架橋が形成でき、良好な電気特性を示す。
(アルカリ現像方法)
本発明の硬化性組成物はアルカリに可溶であるので、未硬化部分(硬化が充分でない部分を含む)をアルカリにより除去して硬化部分を残すことができる(アルカリ現像)。アルカリ現像によるパターニング形成について特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法やスプレー法等の現像方法により、未露光のため硬化されていないあるいは硬化が充分でない部分を溶解・除去し所望のパターン形成させることができる。
またこの時の現像液については、一般に使用するものであれば特に限定なく使用することができ、具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液やコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液や、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸リチウム水溶液などの無機アルカリ水溶液やこれら水溶液に溶解速度等の調整のためにアルコールや界面活性剤などを添加したもの等を挙げることができる。
また水溶液濃度に関しては、露光部と未露光部のコントラストがつきやすいという観点より、25重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であることが好ましい。
(添加剤)
(増感剤)
本発明の硬化性組成物には、光エネルギーで硬化させる場合には、光の感度向上のおよびg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)のような高波長の光に感度を持たせるために、適宜、増感剤を添加する事ができる。これら増感剤は、上記カチオン重合開始剤及び/またはラジカル重合開始剤等と併用して使用し、硬化性の調整を行うことができる。
添加することができる化合物には、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げることができる。
アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン、9,10−ジフェニル−2, 6−ジ−tert−ブチルアントラセン等が挙げられ、特に入手しやすい観点より、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10 −ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
また硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、硬化性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
チオキサントン系の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
またこれらの増感剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(反応性希釈剤)
本発明の硬化性組成物には、作業性、反応性、接着性、硬化物強度の調整のために適宜、反応性希釈剤を添加する事ができる。添加することができる化合物には、硬化反応形式によって選択して特に限定無く使用することが可能であり、エポキシ化合物、オキセタン化合物、アルコキシシラン化合物、(メタ)アクリレート化合物など重合基を有する化合物を使用できる。
エポキシ化合物およびオキセタン化合物の具体例としては、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シクロヘキシルエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(環状、鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状、鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4−ビス{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン等を挙げることができる。
アルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、メチルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、ジメチルジメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物等が挙げることができる。
(メタ)アクリレート化合物の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、ウレタン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール系(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、 (メタ)アクリレート基含有ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
反応性希釈剤の添加量としては種々設定できるが、本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましい添加量は1〜50重量部、より好ましくは3〜25重量部である。添加量が少ないと添加効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(反応性調整剤)
本発明の硬化性組成物をラジカル硬化系として使用する際には、反応性調整および酸素による硬化阻害抑制等のため、反応調整剤を添加することが出来る。反応調整剤としてはチオール化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物等を用いる事ができる。
チオール化合物の具体例としては、トリ(3−メルカプトプロピオニロオキシ)−エチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトール−3−メルカプトプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6トリオン、メルカプト基含有ポリオルガノシロキサン(信越化学製、KF2001、KF2004等)等が挙げられる。
耐熱性に優れるという観点より、特に3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6トリオン、トリ(3−メルカプトプロピオニロオキシ)−エチル)イソシアヌレート、メルカプト基含有ポリオルガノシロキサン(信越化学製、KF2001、KF2004等)が好ましい。
ホスフィン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
(接着性改良剤)
本発明の硬化性組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においては接着性改良剤として用いるカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類及び/または酸無水物類を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、具体的には2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類および/または酸無水物類のうち、得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、好ましいカルボン酸類および/または酸無水物類としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類および/または酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の範囲は0.1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類および/または酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(リン化合物)
本発明の硬化性組成物を光又は熱により硬化させ、特に透明性を要求される用途で使用する場合は、光又は熱による硬化後の色相を改善するために、リン化合物を使用するのが好ましい。
リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル] ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類から選ばれる酸化防止剤、又は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく使用される。
リン化合物の使用量は、本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。リン化合物の使用量が0.01重量部より少ないと、色相の改善効果が少なくなる。使用量が10重量部より多くなると、硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(熱可塑性樹脂)
硬化性組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/またはSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/またはSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、本発明の硬化性組成物に用いるるオルガノシロキサン化合物との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物100重量部あたり、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなり易い。添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を本発明の硬化性組成物に用いるオルガノシロキサン化合物に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態或いは混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(充填材)
硬化性組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用或いは/及び提案されている充填材等を挙げることができる。
(老化防止剤)
本発明の硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本発明の硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明の硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(溶剤)
本発明の硬化性組成物に用いることができる、オルガノシロキサン化合物が高粘度である場合、溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、硬化性組成物中10〜90重量%が好ましく、さらには25〜80重量%、特には35〜75重量%が好ましい。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(その他添加剤)
本発明の硬化性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(用途)
本発明の硬化性組成物或いは硬化物は、種々の用途に用いることができる。従来のアクリル樹脂およびエポキシ樹脂接着剤が使用される各種用途に応用することが可能である。
例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コート、光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜に応用できる。また、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズ、酸素透過膜の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
中でも、本発明の硬化性組成物はアルカリ現像性透明レジストとして使用できる材料であり、特にFPD用材料として好適な材料である。より具体的には、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料などが挙げられる。
さらに、本発明の硬化性組成物は低温のポストベイクで良好な電気特性を発現することから、高分子フィルムなどを用いるフレキシブルディスプレイ材料として好適に用いることができる。具体的にはフレキシブル基板上に作成される上記FPD用材料が挙げられ、特にフレキシブルディスプレイの駆動素子として有望な、有機TFT用材料に適しており、ゲート絶縁膜、パッシベーション膜、層間絶縁膜、透明平坦化膜として好適に用いることができる。
(薄膜トランジスタについて)
本発明で得られる硬化性組成物の硬化物をゲート絶縁膜として得られる薄膜トランジスタとは、電界効果トランジスタ(FET)を示し、ソース、ドレイン、ゲート電極から形成されている3端子型、およびバックゲートを含む4端子型のトランジスタのことであり、ゲート電極に電圧印加することで発生するチャネルの電界によりソース/ドレイン間の電流を制御する薄膜型のトランジスタを示す。
薄膜トランジスタ構造としては、ゲート電極の配置に関してボトムゲート型、トップゲート型、さらにはソース/ドレイン電極の配置に関し、ボトムコンタクト型、トップコンタクト型など適用する表示デバイス構造に応じて様々な組み合わせ、配置で設計可能であり、特にはその構造は限定されない。
薄膜トランジスタの半導体層種として様々な形態のものが提案されており、アモルファスシリコン(aSi)、ポリシリコン(pSi)、微結晶シリコン(μ−cSi)等のシリコン系半導体、ZnO、InGaZnOなどの酸化物系半導体やペンタセン、オリゴチオフェン、フタロシアニンなどの化合物を用いる有機半導体、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等を用いる炭素系半導体などが代表的なものとして挙げられ、特に限定されず適用できる。その中でも低温プロセスでありプラスチックフィルム上で形成しやすいという観点から、有機半導体を用いるものが好ましい。
また半導体層の形成方法に関しては、CVD法、スパッタリング、蒸着、塗布など様々な工法が提案されており、特に限定されない。低温プロセスでプラスチックフィルム上での形成がしやすいという観点よりスパッタ、蒸着、塗布法で形成できることが好ましく、印刷プロセスのような簡便なプロセスを用いて量産できることよりコストメリットの観点から塗布法で形成できるものがより好ましい。
電極材料に関しては、特に限定せず使用することができるが、簡便に入手できるAu、Al、Pt、Mo、Ti、Cr、Ni、Cu、ITO、PEDOT/PSS等の導電性高分子、導電ペースト、メタルインクなどが好適に用いられる。抵抗が低く、高い導電性を得られることよりAl、Mo、Ti、Cr、Ni、Cuなどが好ましく、また透明性が必要な箇所に適用できる観点からは、ITO、PEDOT/PSSが好ましく、電極表面が酸化されにくくの安定性に優れるという観点からは、Au、Ptが好ましく、印刷プロセスにより形成できることよりPEDOT/PSS等の導電性高分子、導電ペースト、メタルインクが好ましく用いられる。
本発明の硬化性組成物を用いるゲート絶縁膜はCVD、スパッタなどに比べ製造工程が簡便であり、コストの面で有利な塗布法で形成することができる。具体的にはスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティング、スピンキャスティング、フローコーティング、スクリーン印刷、インクジェットまたはドロップキャスティングなどの方法で成膜することができる。また成膜する基材の状態に合わせ適宜、溶剤による粘度調整、界面活性剤による表面張力調整を行っても良い。
本発明の硬化性組成物を用いて製造される薄膜トランジスタは、アクティブマトリクス型のフラットパネルディスプレイにおける画素トランジスタとして用いることができる。この際、ディスプレイを安定的に駆動させるためトランジスタの特性として、ON/OFF電流比、キャリア移動度が重要特性として挙げられる。
ON/OFF電流比とは、トランジスタの電流伝達特性におけるソース/ドレイン間に流れる電流Idの最大電流値と最小電流値の比(Ion/Ioff)で表され、大きければ大きいほどスイッチとしての機能に優れることを示し、駆動に大電流を要する方式の駆動も可能となることより2.5×10以上であることが好ましく、3.0×10以上であることがさらに好ましい。
キャリア移動度についてもTFTデバイスの良し悪しを示す重要な指標であり、値が大きいほどTFT素子として優れている事を示し、良好な画像の表示デバイスとする観点でも3.0×10−2以上であることが好ましい。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(薄膜トランジスタの製作)
ガラス基板にアルミ(Al)を用いて厚さ500Åのゲート電極を形成し、その上に実施例1,2、比較例1〜3の硬化性組成物をスピンコートにより塗布し、100℃のホットプレート上で2分加熱し、露光装置(高圧水銀ランプ、マスクアライメント装置MA−10 ミカサ社製)を用い、パターンマスクを通して、100〜200mJ/cm2の範囲内で露光し(プロキシミティ露光、ギャップ12μm)、100℃のホットプレート上で2分加熱し、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に60秒浸漬後、60秒水洗して、ゲート絶縁膜形成箇所(パターンマスクにより照射が遮られた部分)以外の組成物を除去した。さらに100℃で60分ポストベイクして厚さ1μmのゲート絶縁膜を形成した。さらに蒸着により1000Åの厚さにペンタセンの有機半導体膜を形成させ、その上にチャネル長さ100μm、チャネル幅5mmのマスクを用いて蒸着によって厚さ400Åのソース/ ドレインAu電極を形成し、薄膜トランジスタを製作した。
(トランジスタ特性評価)
本発明の硬化性組成物を用いて上記のように作成した薄膜トランジスタについて、半導体パラメーターアナライザー(Agilent4156)を用い電流伝達特性を評価した。ソース/ドレイン間に−40Vの電圧を印加した状態で、ゲート電極に20〜−40Vで印加した際のソース/ドレイン間電流量(Id)をプロットし伝達特性とした。得られた電流伝達特性の曲線からトランジスタ特性を下記の方法によって算出した。
・駆動条件
作製したトランジスタにおいてソース/ドレイン間に−40Vの電圧を印加した状態で、ゲート電極に20〜−40Vで印加した際のソース/ドレイン間電流量(I)をプロットし伝達特性とした。
・ON/OFF電流比
オン時の電流Ionは、電流伝達特性の曲線において飽和領域での最大電流値とし、オフ時の電流Ioffは、オフ状態の最小電流から求めた。ON/OFF電流比Ion/Ioffは、オン状態の最大電流値とオフ状態の最小電流値との比から算出した。
・キャリア移動度
キャリア移動度μは以下計算式より算出した。
μ=2(L*I)/(W*(ε/d)*(V−Vth
L:チャネル長(80μm)
W:チャネル幅(2mm)
ε:誘電率(2.57E−11)
d:膜厚
:ゲート電圧
th:閾値電圧
:ソースドレイン間電流
電流伝達特性における飽和領域間(ゲート電圧V=30〜40V)における最大値を採用した。
(アルカリ可溶性評価)
薄膜トランジスタの製作において、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に60秒浸漬後、60秒水洗して、ゲート絶縁膜形成箇所以外の組成物を除去した際の除去性を評価した。
○:形成箇所以外の樹脂残渣無くパターン形成できている
△:形成箇所以外に一部樹脂残渣が見られる
×:形成箇所以外全面に樹脂残渣が見られる。
(NMR)
バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製、300MHz NMR装置を用いた。合成でのアリル基の反応率は、反応液を重クロロホルムで1%程度まで希釈したものをNMR用チューブに加えて測定し、未反応アリル基/ビニル基由来のピークと、反応アリル基/ビニル基由来のピークから算出した。
(合成実施例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57.49gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルイソシアヌル酸10.0g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0186gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から6時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トルエン及び1,4−ジオキサンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物A」を得た。化合物中のX1基含有量は1.5mmol/g、SiH基含有量は6.1mmol/gであった。
100mL四つ口フラスコにトルエン20g、「反応物A」10gを入れ、気相部を窒素置換した後内温105℃で加熱し、ここに3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン4.3gおよびトルエン3.0gの混合液を加え、添加3時間後にH−NMRでビニル基の反応率が95%以上であること、化合物中のX1基含有量が1.0mmol/g、オキセタン含有量が2.8mmol/gであることを確認した。反応液を冷却した後、トルエンを減圧留去し、本発明のオルガノシロキサン化合物「反応物1」を得た。
(合成実施例2)
100mL四つ口フラスコにトルエン20g、「反応物A」10gを入れ、気相部を窒素置換した後内温105℃で加熱し、ここに3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン5.8gおよびトルエン3.0gの混合液を加え、添加3時間後にH−NMRでビニル基の反応率が95%以上であること、化合物中のX1基含有量が0.9mmol/g、オキセタン含有量が3.8mmol/gであることを確認した。反応液を冷却した後、トルエンを減圧留去し、本発明のオルガノシロキサン化合物「反応物2」を得た。
(合成比較例1)
100mL四つ口フラスコにトルエン20g、「反応物A」10gを入れ、気相部を窒素置換した後内温85℃で加熱し、ここに3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン1.7gおよびトルエン3.0gおよび白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.01gの混合液を加え、添加7時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であること、化合物中のX1基含有量が1.3mmol/g、オキセタン含有量が0.8mmol/gであることを確認した。反応液を冷却し「比較反応物1」を得た。
(合成比較例2)
100mL四つ口フラスコにトルエン20g、「反応物A」10gを入れ、気相部を窒素置換した後内温85℃で加熱し、ここにビニルシクロへキセンオキシド3.0gおよびトルエン3.0gおよび白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.01gの混合液を加え、添加7時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であること、化合物中のX1基含有量が1.1mmol/g、エポキシ含有量が1.9mmol/gであることを確認した。反応液を冷却し「比較反応物2」を得た。
(実施例1、2、比較例1〜3)
合成実施例1、2および比較合成例1、2で得た反応物に対し、表1に示される配合組成で硬化性組成物を作製し、上述の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2013173809
・溶剤(プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート:PGMEA)
・カチオン重合開始剤(みどり化学、製品名:BBI103)
・増感剤(9,10−ジブトキシアントラセン:DBA)
・光硬化性オキセタン化合物(東亞合成、製品名:OXT−221)
Figure 2013173809
本発明のオルガノシロキサン化合物を使用して得られた硬化性組成物は、低温硬化条件でも、その硬化物は優れた電気特性を有するため、薄膜トランジスタ用ゲート絶縁膜に適することがわかり、該組成物からなる絶縁膜を有する薄膜トランジスタは電流特性に優れる薄膜トランジスタが得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記式(X1)、(X2)で表される構造、フェノール性水酸基、カルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種と、1.5mmol/g以上のオキセタニル基とを有するオルガノシロキサン化合物と、光カチオン重合開始剤を含有する、硬化性組成物。
    Figure 2013173809
  2. オルガノシロキサン化合物が、下記化合物(α)〜(γ)
    (α)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物、
    (β)SiH基を有するオルガノシロキサン化合物、
    (γ)SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合とオキセタニル基とを有する化合物、
    のヒドロシリル化反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 化合物(β)が、下記一般式(III)
    Figure 2013173809
    (式中R、Rは炭素数1〜10の有機基を表し同一であっても異なっても良く、nは2〜10、mは0〜10の数を表す)
    で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物である、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物。
  5. 請求項4に記載の硬化物をゲート絶縁膜に用いる薄膜トランジスタ。
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