JP6706454B2 - ネガ型硬化性組成物、硬化物および積層体 - Google Patents

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本発明は、ネガ型硬化性組成物、硬化物および積層体に関する。
電子部品や半導体部品などにおいては、得られる硬化物の透明性が高く、かつ良好な耐熱性や耐光性など高い信頼性を有する材料であることから、各種官能基を有する多面体構造含有ポリシロキサン系化合物の適用が検討されている。
本願の出願人は、以前に、アルカリ水溶液での現像性を有し、かつ、耐熱透明性に優れた硬化物を与えうるポリシロキサン系化合物およびその硬化性組成物に関する発明を行い、その発明に基づく特許出願を行った(特許文献1)。
ポリシロキサン系材料の用途の一つとしてレジスト材料が挙げられる。レジスト材料としては、例えば、ディスプレイ向け層間絶縁膜が挙げられ、当該絶縁膜は、高耐熱、低誘電率化が望まれている。層間絶縁膜は、感光性樹脂を数μm厚さで均一にし、パターンマスク越しに露光し、アルカリ現像することにより得られる。ネガ型感光性樹脂の場合、露光部分が硬化し、未露光部分は未硬化のため現像液に溶解してパターニング膜が得られる。未硬化部分をアルカリ現像液に溶解させて除去する工程の制御は、タックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造するために重要である。
未硬化部分の現像液に対する溶解速度を調整する方法としては、例えば、マトリクス樹脂の分子設計やクエンチャー添加などが知られている(特許文献2および3)。
国際公開2009/075233号公報(2009年6月18日公開) 国際公開2014/199967号公報(2014年12月18日公開) 特開2001−330957号公報(2001年11月30日公開)
しかしながら、従来技術では、硬化性組成物を硬化させた際に生じる未硬化部分の現像液に対する溶解速度を調整することは困難であり、未硬化部分を適切に除去して、タックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造することに関しては改善の余地があった。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱透明性に優れ、かつ、タックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造できる硬化性組成物を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ネガ型の硬化性組成物に特定のエステル化合物を少量添加することで、未硬化部分の現像液に対する溶解速度の調整ができることを見出した。さらに、該エステル化合物の添加による未硬化部分の溶解速度を調整する結果として、タックおよびパターニング性に優れた硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を含むものである。
〔1〕(A)5mmHgにおける沸点が200℃以上であって、下記式(1)で表されるエステル化合物を(B)成分に対して0.01〜5重量部;
−(COO−R ・・・(1)
(式中、RおよびRは、各々独立して、脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素または芳香族炭化水素であり、mは、2〜4の整数である)と、
(B)1分子中に光重合性官能基を少なくとも2個有し、かつ、
下記式(2)および(3)で示される構造;
Figure 0006706454
Figure 0006706454
フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一つを同一分子内に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物と、
を含有することを特徴とするネガ型硬化性組成物。
〔2〕前記(A)のエステル化合物のRおよびRが、脂肪族鎖状炭化水素であることを特徴とする、〔1〕に記載のネガ型硬化性組成物。
〔3〕前記(A)のエステル化合物が、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジイソデシル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニルまたはセバシン酸ジイソデシルであることを特徴とする、〔1〕に記載のネガ型硬化性組成物。
〔4〕さらに、(C)成分として、光酸発生剤を含有することを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物を硬化してなることを特徴とする、硬化物。
〔6〕基材上に、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物が硬化した硬化膜を備えることを特徴とする積層体。
本発明は、上記構成により、耐熱透明性に優れ、かつ、タックおよびパターニング性に優れた硬化物の製造を可能にするという効果を奏する。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔1.ネガ型硬化性組成物〕
本発明の一実施形態に係るネガ型硬化性組成物は、(A)特定の構造を有するエステル化合物と、(B)1分子中に光重合性官能基を少なくとも2個有し、かつ、少なくとも一つの特定の酸性基を同一分子内に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物と、を含有する。以下では、上記(A)特定の構造を有するエステル化合物を単に「(A)成分」と称し、上記(B)1分子中に光重合性官能基を少なくとも2個有し、かつ、少なくとも一つの特定の酸性基を同一分子内に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物を単に「(B)成分」と称する場合もある。また、「硬化性組成物」は、「樹脂組成物」、「感光性樹脂組成物」または「感光性樹脂」と称する場合もある。
本ネガ型硬化性組成物は、上記2つの成分を含有するがゆえに、耐熱透明性に優れ、かつ、タックおよびパターニング性に優れた硬化物の製造を可能にする。本硬化性組成物は、(B)成分を含有することにより、アルカリ現像性を有すると共に、耐熱透明性に優れた硬化物を製造することができる。一方、(A)成分を含有することにより、硬化時において未硬化部分の現像液に対する溶解速度を調整することができ、その結果、タックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造することができる。
<1−1.(A)成分>
本ネガ型硬化性組成物は、(A)成分として、以下に示す化合物を含有する。本ネガ型硬化性組成物では、(A)成分を含有するために、タックおよびパターニング性に優れた硬化物の製造が可能になる。このことは、本発明者らが初めて見出した知見である。
(A)成分は、下記式(1):
−(COO−R ・・・(1)
(式中、RおよびRは、各々独立して、脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素または芳香族炭化水素であり、mは、2〜4の整数である)
で表されるエステル化合物である。
脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素または芳香族炭化水素は、当該技術分野における技術常識であり、当業者が通常用いるものであれば別段限定されない。
脂肪族鎖状炭化水素としては、例えば、ノルマルエチル、ノルマルプロピル、ノルマルブチル、ノルマルペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルへプチル、ノルマルオクチル、ノルマルノニル、ノルマルデシル、ステアリル、2エチルヘキシル、イソノニル、イソデシル、イソステアリル等が挙げられる。また、脂肪族環状炭化水素としては、例えば、シクロヘキサニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、イソボルニル等が挙げられる。さらに、芳香族炭化水素としては、例えば、フェニル、ベンジル、ノニルフェニル、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
およびRは、(B)成分との相性の観点から、脂肪族鎖状炭化水素が好ましく用いられる。
(A)成分の例としては、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジイソデシル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジイソデシル等が挙げられる。(A)成分は、タックおよびパターニング性を向上させるという観点から、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニルおよびアジピン酸ジイソデシルが好ましく用いられる。
(A)成分は、また、特定の沸点を有することを特徴とする。上記沸点は、5mmHgにおいて200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましく、230℃以上であることがさらに好ましく、240℃以上であることがとりわけ好ましい。5mmHgにおける沸点が少なくとも200℃であれば、タックおよびパターニング性に優れた硬化物の製造が可能となる。本エステル化合物の沸点の上限は、特に限定されないが、本エステル化合物がポストベイク後に硬化膜に残存すると層間絶縁膜の耐熱性が低下することから、5mmHgにおいて400℃が好ましい。
(A)成分は、また、硬化性組成物を硬化させた際に生じる未硬化部分の現像液に対する溶解速度の調整が可能となるような特定の量が使用される。(A)成分の使用量は、(B)成分に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、(B)成分に対して0.1〜4重量部であることがより好ましい。(A)成分の使用量が前記範囲である場合、タックおよびパターニング性の両方について、十分な機能が得られるため好ましい。
<1−2.(B)成分>
本ネガ型硬化性組成物は、(B)成分として、変性ポリオルガノシロキサン化合物(以下、単に「ポリシロキサン系化合物」と称することがある。)を含有する。(B)成分を含有することにより、アルカリ現像性を有すると共に、耐熱透明性に優れた硬化物を製造することができる。
以下、(B)成分のポリシロキサン系化合物について詳細に説明する。
(ポリシロキサン系化合物)
ポリシロキサン系化合物は、下記式(2)および(3)で示される構造;
Figure 0006706454
Figure 0006706454
と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群(以下、「上記式(2)〜(3)で表される各構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基」を「酸性基」と称することがある。)より選択される少なくとも一つを同一分子内に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物が好ましく用いられる。上記酸性基を同一分子内に有することでアルカリ水溶液への溶解が可能となり、アルカリ現像可能なレジスト材料として適用することができる。
得られる硬化物が加熱後における着色が少ないと言う観点より、これら有機構造の中において、カルボキシル基および上記式(2)〜(3)で表される各構造が好ましく、さらに高温時の熱分解性の低い硬化物が得られる観点より特に上記式(2)〜(3)で表される各構造を有するものが好ましい。ポリシロキサン系化合物は、さらに、一分子中に光重合性官能基を少なくとも1個有する。ここでいう光重合性官能基とは、光エネルギーが外部より加わった際に光重合開始剤より発生するラジカルもしくはカチオン種によって重合、架橋する官能基を示し、特に反応・架橋形式は限定されるものではない。
中でも、特に反応性・化合物の安定性の観点より、光重合性官能基の少なくとも1個は、エポキシ基、架橋性ケイ素基(「加水分解性シリル基」と称することもある。)、(メタ)アクリロイル基、ビニロキシ基が好ましい。エポキシ基の中でも安定性の観点より、脂環式エポキシ基やグリシジル基が好ましく、特に光および熱によるカチオン重合性に優れる点では、脂環式エポキシ基が好ましい。
また、架橋性ケイ素基としては、アルコキシシリル基、アセトキシシリル基、フェノキシシリル基、シラノール基、クロロシリル基等の加水分解性を有するケイ素基が挙げることができ、特に入手性、化合物の安定性の点から、特にアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、ケイ素に結合する官能基が、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基のものが挙げられ、硬化後の残留成分が残りにくいという観点から、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
反応性の観点より、アルコキシシリルエチル基またはアルコキシシリルプロピル基であることが好ましく、具体的には、(アルコキシシリルエチル)ジメチルシリル基、(アルコキシシリルエチル)ジフェニルシリル基、(アルコキシシリルプロピル)ジメチルシリル基および(アルコキシシリルプロピル)ジフェニル基が好ましい。
ポリシロキサン系化合物は、光重合性官能基を一分子中に少なくとも1個有すればよいが、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上である。3個以上であれば、架橋密度の高い硬化物が得られ耐熱性に優れるという利点がある。各光重合性官能基は同一であってもよく、2種以上の異なる官能基を有しても良い。
ポリシロキサン系化合物は、シロキサン単位Si−O−Siを有するものであれば特に限定されるものではない。これら化合物中のシロキサン単位のうち、構成成分中T単位(XSiO3/2)、またはQ単位(SiO4/2)の含有率が高いものほど得られる硬化物は硬度が高くより耐熱信頼性に優れ、またM単位(X3SiO1/2)、またはD単位(X2SiO2/2)の含有率が高いものほど硬化物はより柔軟で低応力なものが得られる。
上記酸性基構造および光架橋官能基をポリシロキサン中に導入することで、アルカリ現像可能なレジスト材料として適用することができる。上記酸性基構造および光架橋官能基のポリシロキサン中への導入方法としては、特に限定されないが、化学的に安定なSi−C結合で導入できるヒドロシリル化反応を用いるのが好ましい。
ポリシロキサン系化合物は、好適には、ヒドロシリル化反応生成物である。ヒドロシリル化反応生成物の好ましい態様として、例えば以下の態様をあげることができる。
第一の好ましい態様としては、下記化合物(α1)、(β)および(γ)のヒドロシリル化反応生成物:
(α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記式(2)〜(3)で示される構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群より選択される少なくとも1種を同一分子内に有する有機化合物、
(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物、および
(γ)1分子中に、光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上とを有する化合物。
第二の好ましい態様としては、下記化合物(α1)、(α2)、(β)および(γ)のヒドロシリル化反応生成物:
(α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記式(2)〜(3)で示される構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群より選択される少なくとも1種を同一分子内に有する有機化合物、
(α2)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物、
(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物、および
(γ)1分子中に、光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上とを有する化合物。
以下、ポリシロキサン系化合物の上記好ましい態様につき、説明する。
(化合物(α1))
化合物(α1)は、分子中に上記式(2)〜(3)で表される各構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群のいずれかの構造を有し、かつ、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上同一分子内に有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。
有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、Sおよびハロゲンからなる群より選択されるもののみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
化合物(α1)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、特に限定されず用いることができ、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。特に反応性の点からビニル基、アリル基などが好適である。
化合物(α1)はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上有すればよいが、得られる硬化物の架橋密度が高いため耐熱信頼性が高いという点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。
化合物(α1)としては、特に限定されるわけではないが、高温時の着色が少ない観点から、イソシアヌル環を有する下記式(4)および(5)で示される構造;
Figure 0006706454
Figure 0006706454
(式中、Rは、炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1個のRは、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物の少なくとも1種を使用するが好ましい。
上記有機基としては、炭化水素基(一部酸素で置換されていてもよい)、エポキシ基などが挙げられ、入手性の観点よりフェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基、グリシジル基が好ましく、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機基としては、アリル基、ビニル基が好ましい。
また、入手性の観点から、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ビニルフェノール、アリルフェノール、下記式(9)で示される構造;
Figure 0006706454
、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸が好ましい。これらの中でも特に耐熱性が高いという観点より、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノールが好ましく、さらに硬化物の透明性の観点よりジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸が特に好ましい。
化合物(α1)には、単独又は2種以上のものを用いることが可能である。
(化合物(α2))
化合物(α2)は、上記化合物(α1)および後述する化合物(γ)に該当しない、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物であれば特に限定されない。
得られる硬化物の耐熱性が高いという観点より、アルケニル基を少なくとも1つ以上有するポリシロキサンであることが好ましく、具体的には、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサン、アルケニル基を含有する環状シロキサン化合物などを使用することが可能であり、特に構造によって限定されるものではないが、耐熱性、耐光性、化学的安定性などを考慮すると、アルケニル基を含有する多面体骨格を有するポリシロキサンであることが好ましい。
直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサンなどが例示される。
分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を有する多面体構造のポリシロキサンとしては、多面体骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましく、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサン(式(10))が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
Figure 0006706454
上記式中、R10〜R17はビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。
ただし、R10〜R17のうちの少なくとも1つは、ヒドロシリル化反応の反応性基であるアルケニル基である。前記アルケニル基においては、耐熱性の観点からビニル基が好ましい。
上記、多面体構造を有するシルセスキオキサンは、例えば、RSiX(式中、Rは、上述のR10〜R17を表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって得られる。
または、RSiXの加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより、閉環し、多面体骨格を有するシルセスキオキサンを合成する方法も知られている。
化合物(α2)として、さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸(式(11))が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子と反応性基であるアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物の剛直になり過ぎず、良好な成形体を得ることができる。
Figure 0006706454
上記の構造中、R18〜R41は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR18〜R41のうち、少なくとも1つはヒドロシリル化反応の反応性基であるアルケニル基である。前記アルケニル基においては、耐熱性の観点からビニル基が好ましい。
多面体構造を有するケイ酸塩の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成できる。前記合成方法としては、具体的には、テトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等が例示できる。4級アンモニウムヒドロキシドとしては、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが例示できる。また、本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカ含有する物質からも、同様の多面体構造を有するケイ酸塩を得ることが可能である。
本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子と反応性基であるアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合したポリシロキサンを得ることが可能となる。
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数として、6〜24、さらに好ましくは、6〜10のものを好適に用いることが可能である。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサンの混合物であってもよい。また、1分子中に含まれるアルケニル基の数は、少なくとも1つ、より好ましくは、少なくとも2つ、さらに好ましくは、少なくとも3つ含有することが望ましい。耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、ビニルおよびメチル基から構成されることが好ましい。
また、基材との密着性が高いという観点より、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物についても使用することができる。
化合物(α2)には、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物を使用することもできる。ここでいう有機化合物は、有機重合体系化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
有機単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
化合物(α2)の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100重量%のもの、好ましくは1、2比率50〜100重量%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
化合物(α2)としては、骨格部分とアルケニル基(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合)とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
特に耐熱性、耐光性が高いという観点から下記式(6)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0006706454
(式中、Rは、炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは、同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物が好ましい。
上記有機基としては、炭化水素基(一部酸素で置換されていてもよい)などが挙げられ、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましく、炭素数1〜4であることがさらに好ましい。これらの好ましいR3の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
入手性の観点より、有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
化合物(α2)は、単独又は2種以上のものを用いることが可能である。
(化合物(β))
化合物(β)については1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
具体的には、直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサン、ヒドロシリル基を含有する環状ポリシロキサン化合物を使用することが可能であり、特に構造によって限定されるものではない。耐熱性、耐光性、化学的安定性などを考慮すると、ヒドロシリル基を含有する多面体骨格を有するポリシロキサンであることが好ましい。化合物(β)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、などが例示される。
分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CH)2SiO1/2単位)とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
ヒドロシリル基を含有する環状ポリシロキサン化合物としては、1,3,5,7−ハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
ヒドロシリル基を含有する多面体構造のポリシロキサンとしては、多面体骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましく、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサン(式(10))が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
Figure 0006706454
上記式中、R10〜R17は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。ただし、R10〜R17のうちの少なくとも1つは、ヒドロシリル化反応の反応性基であるヒドロシリル基である。
上記、多面体構造を有するシルセスキオキサンは、例えば、RSiX(式中、Rは、上述のR10〜R17を表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiXの加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより、閉環し、多面体骨格を有するシルセスキオキサンを合成する方法も知られている。
化合物(β)として、さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸(式(11))が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子と反応性基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物は剛直になり過ぎず、良好な硬化物を得ることができる。
Figure 0006706454
上記の構造中、R18〜R41は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR18〜R41のうち、少なくとも1つはヒドロシリル化反応の反応性基であるヒドロシリル基である。
多面体構造を有するケイ酸塩の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成できる。前記合成方法としては、具体的には、テトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等が例示できる。4級アンモニウムヒドロキシドとしては、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが例示できる。また、本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカ含有する物質からも、同様の多面体構造を有するケイ酸塩を得ることが可能である。
本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をヒドロシリル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子と反応性基であるヒドロシリル基とが、シロキサン結合を介して結合したポリシロキサンを得ることが可能となる。
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数として、6〜24、さらに好ましくは、6〜10のものを好適に用いることが可能である。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサンの混合物であってもよい。
また、本発明においては、1分子中に含まれるヒドロシリル基の数は、少なくとも2つ、さらに好ましくは、少なくとも3つ含有することが望ましい。本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子およびメチル基から構成されることが好ましい。
化合物(β)としては、入手性および化合物(α1)、(α2)および(γ)との反応性が良いという観点からは、下記式(7)で示される構造;
Figure 0006706454
(式中、RおよびRは、それぞれ炭素数1〜6の有機基を表し、かつ、炭素数が同一であっても異なってもよく、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
上記有機基としては、炭化水素基(一部酸素で置換されていてよい)などが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、フェニル基が好ましく、入手性の観点よりメチル基、プロピル基、ヘキシル基、フェニル基がさらに好ましい。
式(7)で表される化合物中の置換基RおよびRは、C、H、Oからなる群より選択して構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
式(7)で表される化合物としては、入手容易性及び反応性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記した各種化合物(β)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(化合物(γ))
化合物(γ)は、1分子中に光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上とを有する化合物であれば特に限定されない。なお、ここでいう光重合性官能基は、前述のポリシロキサン化合物が有する光重合性官能基と同一であって、好ましい態様も同様に好ましい。
SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、上述の化合物(α1)および(α2)のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合と同様のものが好ましい。
光重合性官能基としてエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、光重合反応性に優れている観点より、脂環式エポキシ基を有する化合物であるビニルシクロヘキセンオキシドが特に好ましい。
光重合性官能基として架橋性ケイ素基(加水分解性シリル基)を有する化合物としては、具体例としては、トリクロロビニルシラン、メチルジクロロビニルシラン、ジメチルクロロビニルシラン、フェニルジクロロビニルシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、メチルジエトキシビニルシラン、メチルジメトキシビニルシラン、フェニルジメトキシビニルシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシビニルシラン、フェニルジアセトキシビニルシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルビニルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルビニルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは特に、アルコキシシラン類を好適に使用することができる。光重合性官能基が架橋性ケイ素基である場合、耐熱性に優れる利点がある。
また、入手性容易である観点から、下記式(8)で示される構造;
Figure 0006706454
(式中、RおよびRは、それぞれ炭素数1〜6の有機基を表し、nは1〜3、mは0〜10の数を表す)で表される化合物であることが好ましく、反応後の副生成物が除去されやすい等という観点より、特にトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシランが好ましい。
光重合性官能基としてアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、および、ビニル基またはアリル基と下記式(12);
Figure 0006706454
(式中のR42は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される有機基とを同一分子内中に1個以上ずつ有する化合物、例えば、上述の式(6)において、式中のRの少なくとも1個が上記式(13)で示される基であり、かつ、R3の少なくとも1個がビニル基またはアリル基などのSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である化合物が挙げられる。さらにヒドロシリル化の選択性が高いという観点より、メタクリロイル基が同一分子内にアリルまたはビニル基と共存する化合物であることが好ましく、特に入手性の面より(メタ)アクリル酸アリルおよび/または(メタ)アクリル酸ビニルが好ましく、中でもメタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニルが好ましい。
またヒドロシリル化反応の際、光重合性官能基の種類を問わず、2種以上の化合物(γ)を併用することもできる。
(ヒドロシリル化触媒)
化合物(α1)、(α2)、(β)および(γ)をヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、公知のヒドロシリル化触媒を用いればよい。
触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、スムーズにヒドロシリル化反応を進行させるため、好ましい添加量の下限は、反応時に仕込んでいるSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合(以下、単に「アルケニル基」と称することがある。)1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は上記化合物のアルケニル基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
(ヒドロシリル化の反応方法)
反応の順序、方法としては種々挙げられるが、合成工程が簡便であると言う観点からは、全ての化合物を1ポットでヒドロシリル化反応させ、最後に未反応の化合物を除去する方法が好ましい。
低分子量体を含有しにくいと言う観点から、過剰のアルケニル基含有化合物(化合物(α1)および/または(α2))とSiH基含有化合物(化合物(β))とを、もしくは、過剰のSiH基含有化合物(化合物(β))とアルケニル基含有化合物(化合物(α1)および/または(α2))とをヒドロシリル化反応させた後、一旦、未反応の化合物を除き、得られた反応物と化合物(γ)とをヒドロシリル化反応させる方法がより好ましい。
各化合物の反応させる割合は特に限定されないが、反応させる化合物の総アルケニル基量をA、反応させる化合物の総SiH基量をBとした場合、1≦B/A≦30であることが好ましく、更に1≦B/A≦10であることが好ましい。1>B/Aの場合は、組成物中に未反応アルケニル基が残るため着色の原因となり、また30<B/Aの場合には、未反応のSiH基が多く残るため、組成物の硬化時における発泡、クラックの原因となる場合がある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。ヒドロシリル化反応の際に酸素を使用できる。反応容器の気相部に酸素を添加することで、ヒドロシリル化反応を促進できる。酸素の添加量を爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
ポリシロキサン系化合物の上記製造方法では、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(ゲル化抑制剤)
得られる反応物の保存安定性を改良する目的、或いは化合物(α1)(態様によっては、さらに化合物(α2))、化合物(β)および化合物(γ)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を減圧脱揮により除去する場合の、加熱処理による増粘等の変質を抑制する目的で、ゲル化抑制剤を使用することができる。ゲル化抑制剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等の公知のゲル化抑制剤を使用でき、これらを併用してもかまわない。
遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、トリフェニルホスフィン好ましい。
ゲル化抑制剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は103モル、より好ましくは102モルである。添加量が少ないと、所望の保存安定性や減圧脱揮時のゲル化抑制効果が得られない。添加量が多いと、硬化反応時の硬化阻害剤になり得る。
また、これらのゲル化抑制剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
<1−3.光酸発生剤>
本ネガ型硬化性組成物は、光酸発生剤を含有していてもよい。上記光酸発生剤は、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、i線等の活性エネルギー線を照射することにより、上記(B)成分中の架橋性シリル基を架橋させることができる酸性活性物質を放出することができる化合物であれば、特に限定されない。
光酸発生剤により発生する酸のpKaは、限定はされないが、好ましくは、3未満、さらに好ましくは1未満である。
本ネガ型硬化性組成物に使用できる光酸発生剤としては、公知の光酸発生剤を試用する事ができる。例えば、特開2000−1648号公報、特表2001−515533号公報、国際公開2002−83764号公報において好適とされている各種の化合物を挙げることができるが、本発明は特にこれらに限定されるわけではない。本発明において好ましく使用できる光酸発生剤としては、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類、オニウム塩類が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類が用いられる。
スルホネートエステル類の光酸発生剤として、種々のスルホン酸誘導体を使用することができる。例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体などのイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。
具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルフォネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1、2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、1、2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト−ニトロフェニルメチルトシラート、パラ−ニトロフェニルトシラートなどを挙げることができる。
これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、カルボン酸エステル類も同様に使用することができる。
一般に、スルホン酸エステルおよびカルボン酸エステルは、酸を遊離するために、加熱ステップ(50℃〜100℃)を必要とする場合がある。
本発明で使用できるオニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6−)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、過塩素酸イオン(ClO4−)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3−)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3−)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩またはヨードニウム塩を使用することができる。
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアシルネート、トリフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトイルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオルアンチモネート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、10−メチルフェノキサチイニウムヘキサフルオロホスフェート、5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムキサンテニウムテトラフルオロボレート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラフルオロボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5−メチル−10,10−ジオキソチアトレニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において使用できるヨードニウム塩としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ビススクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、米国特許第5,554,664号に開示されている(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(CH3C6H4)2I−(SO2CF3)3、米国特許第5,514,728号に開示されている(C6H5)2I−B(C6F5)4、および米国特許第5,340,898号に開示されているものなどが挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他のオニウム塩としては、芳香族ジアゾニウム塩を使用することができ、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなどを使用することができる。
商業的に入手できるオニウム塩としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)CD1012(サートマー社製)、IBPF、IBCF(以上、三和ケミカル(株)製)、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、UVE1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、RHODORSIL−PI2074(ローディア社製)等を挙げることができる。
また、J.Polymer Science:Part A:polymerChemistry,Vol.31,1473−1482(1993),J.Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31,1483−1491(1993)において記述されている方法により製造できるジアリールヨードニウム塩を使用することもできる。
本ネガ型硬化性組成物における光酸発生剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性の点から、(B)成分100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、また、硬化物の物性バランスの点から0.1〜5.0重量部であることがさらに好ましい。光酸発生剤の量が少ないと硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られない。また、光酸発生剤が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色や、耐熱性や耐光性を損なうため、好ましくない。
<1−4.カチオン重合開始剤>
本ネガ型硬化性組成物は、カチオン重合開始剤を含有していてもよい。上記カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する、活性エネルギー線カチオン重合開始剤、又は熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤であれば、特に限定されず使用できる。上記カチオン種またはルイス酸により、上記(B)成分が有する光重合性官能基を架橋させることができる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロ硼素錯塩及び三弗化硼素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第41396
55号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6−陰イオン(ここでMは燐、アンチモン及び砒素から選択される)の形のVIa元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス [4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル] スルフィド−ビスヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等);陰イオンがB(C6F5)4−である芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩の1種以上が包含される。
好ましい陽イオン系活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びにII族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3M社)、UVR−6990及びUVR−6974(ユニオン・カーバイド社)、UVE−1014及びUVE−1016(ジェネラル・エレクトリック社)、KI−85(デグッサ社)、SP−152及びSP−172(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)、WPI113及びWPI1
16(和光純薬工業社)、RHODORSIL PI2074(ローディア社)として商品として入手できる。
熱カチオン重合開始剤としては、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、トリフルオロ酸塩、三弗化硼素エーテル錯化合物、三弗化硼素等のようなカチオン系又はプロトン酸触媒が用いることができる。加熱によってカチオン種を発生するまでは高い安定性を持っているため潜在性硬化触媒と言える。置換基の種類やオニウム塩の陰イオンの種類により重合活性が変化し、特に、陰イオンについては、BF−<AsF6−<PF6−<SbF6−<B(C6F5)4−の順で重合活性が高くなることが知られている。この他、アルミニウム錯体とシラノール化合物、アルミニウム錯体とビスフェノールSなど特定のフェノール化合物がカチオン重合触媒になることが知られている。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。例としては、サンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)、RHODORSIL PI2074(ローディア社)がある。これらのカチオン重合開始剤の中で、芳香族オニウム塩が、取扱い性及び潜在性と硬化性のバランスに優れるという点で好ましい。
カチオン重合開始剤の使用量は、(B)成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の量である。カチオン重合開始剤量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られない。開始剤量が多いと、開始剤の色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色や隆起したり、硬化物の耐熱耐光性を損なうために好ましくない。
<1−5.ラジカル重合開始剤>
本ネガ型硬化性組成物は、ラジカル重合開始剤を含有していてもよい。上記ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤、又は熱によりラジカル種を発生する熱ラジカル重合開始剤であれば、特に限定されず使用できる。上記ラジカル種により、(B)成分が有する光重合性官能基を架橋させることができる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、ビイミダゾール系化合物、α−ジケトン系化合物、チタノセン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物等が用いることができ、アセトフェノン系化合物の具体例としては、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4’−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2’−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4’−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン等が挙げられ、アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、オキシムエステル系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられ、ベンゾイン系化合物の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられ、
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、α−ジケトン系化合物の具体例としては、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられ、ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられ、多核キノン系化合物の具体例としては、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン等が挙げられ、キサントン系化合物の具体例としては、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられ、トリアジン系化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−ブロモ−4’−メチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−チオフェニルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
特に薄膜硬化性に優れるという観点より、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
特に硬化物が透明性に優れるという観点より、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4’−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2’−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノンが好ましい。
また熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物類、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類等が挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、光重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の量である。カチオン重合開始剤量が少ないと、硬化が不十分でアルカリ現像時にコントラストが得られない傾向がある。開始剤量が多いと、硬化膜自体が着色するために好ましくない。
<1−6.その他の添加剤>
(架橋剤)
本ネガ型硬化性組成物には、作業性、反応性、接着性および硬化物強度の調整のために、光重合性官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤を添加することができる。上記架橋剤としては、硬化反応形式によって選択すれば特に限定されず、エポキシ化合物、オキセタン化合物、アルコキシシラン化合物および(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物および上記オキセタン化合物の具体例としては、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シクロヘキシルエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4−ビス{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタンおよび3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
上記アルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、メチルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、並びにジメチルジメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート化合物の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、ウレタン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール系(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、(メタ)アクリレート基含有ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
上記架橋剤の添加量は適宜設定され得るが、(B)成分100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜25重量部である。上記架橋剤の添加量が少ないと添加効果が表れず、上記架橋剤の添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(増感剤)
本ネガ型硬化性組成物には、光エネルギーで硬化させる場合には、光の感度向上のおよびg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)と言われるような高波長の光に感度を持たせるために、適宜、増感剤を添加する事ができる。これら増感剤は、上記カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤、光酸発生剤等と併用して使用し、硬化性の調整を行うことができる。
添加する化合物には、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げることができる。
アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン、9,10−ジフェニル−2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン等が挙げられ、特に入手しやすい観点より、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、硬化性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
チオキサントン系の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
これらの増感剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本ネガ型硬化性組成物における増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、添加した開始剤(カチオン重合開始剤/ラジカル重合開始剤/光酸発生剤)1モルに対して、増感剤0.01〜300モル加えることが好ましく、0.1モル〜100モルであることがさらに好ましい。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼす場合があり、一方、多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のための着色や、耐熱性や耐光性を損なう恐れがある。
(反応性調整剤)
本ネガ型硬化性組成物をラジカル硬化系として使用する際には、反応性調整および酸素による硬化阻害抑制等のため、チオール化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物等を添加する事ができる。
チオール化合物の具体例としては、トリ(3−メルカプトプロピオニロオキシ)−エチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトール−3−メルカプトプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6トリオン、メルカプト基含有ポリオルガノシロキサン(信越化学製、KF2001、KF2004等)等が挙げられる。
耐熱性に優れるという観点より、特に3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6トリオン、トリ(3−メルカプトプロピオニロオキシ)−エチル)イソシアヌレート、メルカプト基含有ポリオルガノシロキサン(信越化学製、KF2001、KF2004等)が好ましい。
ホスフィン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
(接着性改良剤)
本ネガ型硬化性組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、光重合性官能基を有する化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類及び/または酸無水物類を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類および/または酸無水物類のうち、得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、好ましいカルボン酸類および/または酸無水物類としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類および/または酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤および/またはエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の範囲は0.1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類および/または酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(リン化合物)
本ネガ型硬化性組成物を光又は熱により硬化させ、特に透明性を要求される用途で使用する場合は、光又は熱による硬化後の色相を改善するために、リン化合物を使用するのが好ましい。リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル] ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類から選ばれる酸化防止剤、又は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく使用される。
リン化合物の使用量は、(B)成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。リン化合物の使用量が0.01重量部より少ないと、色相の改善効果が少なくなる。使用量が10重量部より多くなると、硬化性や硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(熱可塑性樹脂)
硬化性組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、ポリシロキサン系化合物との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の範囲は硬化性組成物全体の5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなり易い。添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂はポリシロキサン系化合物に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、ポリシロキサン系化合物に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂をポリシロキサン系化合物に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態或いは/お及び混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(充填材)
本ネガ型硬化性組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用或いは/及び提案されている充填材等を挙げることができる。
(老化防止剤)
本ネガ型硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本ネガ型硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本ネガ型硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(溶剤)
本ネガ型硬化性組成物に使用される、ポリシロキサン系化合物が高粘度である場合、溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤を好適に用いることができる。
ヒドロシリル化の反応性の観点より、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(その他)
本ネガ型硬化性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
〔2.硬化性組成物の調整方法および硬化方法〕
本ネガ型硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、種々の方法で調製可能である。各種成分を硬化直前に混合調製してもよく、全成分を予め混合調製した一液の状態で低温貯蔵しておいても良い。
光硬化させるための光源としては、使用する重合開始剤や増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオードなどを使用できる。
露光量は特に制限されないが、好ましい露光量の範囲は1〜5000mJ/cm、より好ましくは1〜1000mJ/cmである。露光量が少ないと硬化しない。露光量が多いと急硬化のために変色することがある。好ましい硬化時間の範囲は30〜120秒、より好ましくは1〜60秒である。硬化時間が長いと、光硬化の速硬化の特徴が生かされない。
また溶剤除去および硬化物の物性向上の目的で、光硬化前後に熱を加えプリベークおよびアフターベークさせてもよい。硬化温度としては種々設定できるが、好ましい温度の範囲は60〜400℃、より好ましくは90〜350℃である。
このようにして得られた硬化物(すなわち、上記硬化性組成物が硬化した硬化物)も本発明に包含される。
〔3.積層体〕
本ネガ型硬化性組成物は、液状でハンドリングおよび溶液塗布により容易に薄膜形成できるため、基材上に層状硬化させることにより積層体を容易に形成させうる。
本積層体は、具体的に例えば、以下の方法で作成することができる。上記ポリシロキサン系組成物を、基材上に、スピンコート法、ロールコート法、印刷法、バーコート法等の方法で、膜厚が通常0.05〜100μm、好ましくは、0.1〜50μm、より好ましくは、0.5〜20μmになるように塗布する。基材としては、例えば、ガラス類、ポリカーボネート類、フィルム類、撮像素子の形成されたシリコンウェハー、LCD又はCCD用カラーフィルターのパターン化された着色樹脂膜、印刷用紙、印刷用繊維、金属板等が挙げられる。次に上記活性エネルギー線により露光を行うことで積層体を得ることができる。
このようにして得られた積層体は、次いで、後述するように、アルカリ現像液により現像処理することができる。
〔4.アルカリ現像方法〕
アルカリ現像によるパターニング形成について特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法やスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解・除去し所望のパターン形成させることができる。
またこの時の現像液については、一般に使用するものであれば特に限定なく使用することができ、具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液やコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液や、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸リチウム水溶液などの無機アルカリ水溶液やこれら水溶液に溶解速度等の調整のためにアルコールや界面活性剤などを添加したもの等を挙げることができる。本発明の硬化性組成物は、未硬化部分の現像液に対する溶解速度を調整することができるため、未硬化部分の溶解・除去を高精度で行うことができ、タックおよびパターニング性に優れた硬化物を製造することができる。
水溶液濃度に関しては、露光部と未露光部のコントラストがつきやすいという観点より、25重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であることが好ましい。
〔5.用途〕
本ネガ型硬化性組成物およびその硬化物は、種々の用途に用いることができる。従来のアクリル樹脂およびエポキシ樹脂接着剤が使用される各種用途に応用することが可能である。
例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コート、光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜に応用できる。また、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズ、酸素透過膜の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
中でも、本発明の硬化性組成物は、アルカリ現像性透明レジストとして使用できる材料であり、特にFPD用材料として好適な材料である。より具体的には、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料などが挙げられる。
〔6.その他〕
上記した以外にも、本発明は、以下の態様を含み得る。
<1>(A)5mmHgにおける沸点が200℃以上であって、上記式(1)で表されるエステル化合物を(B)成分に対して0.01〜5重量部と、
(B)1分子中に光重合性官能基を少なくとも2個有し、かつ、上記式(2)および(3)で示される構造、フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一つを同一分子内に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物と、を含有することを特徴とするネガ型硬化性組成物。
<2>前記(B)の光重合性官能基が、エポキシ基、架橋性ケイ素基および(メタ)アクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする、<1>に記載のネガ型硬化性組成物。
<3>前記(B)の光重合性官能基の少なくとも1個が、脂環式エポキシ基またはグリシジル基であることを特徴とする、<1>に記載のネガ型硬化性組成物。
<4>前記(B)の変性ポリオルガノシロキサン化合物が、下記化合物(α1)、(β)および(γ)のヒドロシリル化反応生成物であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物:
(α1)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有し、かつ、上記式(2)および(3)で示される構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群より選択される少なくとも1種を同一分子内に有する有機化合物、
(β)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物、および
(γ)1分子中に、光重合性官能基を少なくとも1個と、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上とを有する化合物。
<5>前記(B)の変性ポリオルガノシロキサン化合物が、前記化合物(α1)、(β)および(γ)、ならびに下記化合物(α2)のヒドロシリル化反応生成物であることを特徴とする、<4>に記載のネガ型硬化性組成物:
(α2)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物。
<6>前記(α1)が、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノール、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸およびウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする、<4>または<5>に記載のネガ型硬化性組成物。
<7>前記(α2)が、上記式(6)で示される構造で表される化合物であることを特徴とする、<5>に記載のネガ型硬化性組成物。
<8>前記(β)が、上記式(7)で示される構造で表される、SiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物であることを特徴とする、<4>〜<7>のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物。
<9>前記(γ)が、ビニルシクロヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートおよびモノアリルジグリシジルイソシアヌレートからなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする、<4>〜<8>のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物。
<10>前記(γ)が、上記式(8)で示される構造で表される化合物であることを特徴とする、<4>〜<9>のいずれかに記載のネガ型硬化性組成物。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(タック評価)
実施例および比較例で示した樹脂組成物を用いて、タック評価サンプルを作製した。具体的には、ガラス基板に感光性樹脂組成物をスピンコーティングしたものを、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱し、露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、5μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれに最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後は直ぐにマスクを剥した。
マスクの剥がれ方について、下記基準に従い評価した。
<評価基準>
○:マスクを垂直に持ち上げたときに、マスクが樹脂膜から抵抗なく剥がれる
×:マスクを垂直に持ち上げたときに、マスクが樹脂膜から剥がれない
(パターニング性評価)
実施例および比較例で示した樹脂組成物を用いて、パターニング評価サンプルを作製した。具体的には、ガラス基板に樹脂組成物をスピンコーティングしたものを、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱し、露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、5μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれに最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後1分間放置した後、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に80秒間浸漬後、30秒間水洗して、圧縮空気または圧縮窒素で表面の水分を除去してパターンを形成した。
その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱して評価サンプルを得た。得られた評価サンプルを、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス社製)と触針式表面形状測定器(Dektak 150、Veeco社製)を用いてパターン形状を観測し、5μmラインアンドスペースの状態を下記基準に従い評価した。
<評価基準>
○:5μmラインアンドスペースに残膜無し
×:5μmラインアンドスペースに残膜有り
×:パターン形状に膜減り有り
(合成実施例)
ジアリルイソシアヌル酸40g、ジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、3%酸素含有の窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン88g、トルエン176gの溶液に3時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン62g、トルエン62gの溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H−NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンとジオキサンを減圧留去した後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセタートに置換し、無色透明の50wt%ポリシロキサン化合物溶液「反応物A」を得た。
(実施例1)
合成実施例で得た反応物Aに対し、表1に示される配合組成で硬化性組成物を作製し、後述の評価を行った。その結果を表1に示す。硬化性組成物の具体的な作製方法は、まずPGMEA、BBI−103および9,10−ジブトキシアントラセンを均一に溶解し、次に反応物A、エステル化合物(DOA)を均一に混合することにより作製した。
(実施例2)
DOAの組成比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(実施例3)
DOAの組成比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(実施例4)
DOAの組成比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(実施例5)
DOAの代わりにDIDAを使用し、かつ、その組成比を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(比較例1)
DOAを使用しない(すなわち、(A)成分を含まない)こと以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(比較例2)
DOAの組成比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(比較例3)
DOAの代わりにDIBAを使用し、かつ、その組成比を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。
(結果)
実施例1〜5および比較例1〜3で得られた樹脂組成物について、タック評価およびパターニング性評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0006706454
表1に示すように、5mmHgにおける沸点が200℃以上のエステル化合物を0.01〜5重量部の範囲で含有する樹脂組成物は、タックおよびパターニング性の両方が高評価であることが確認された。したがって、5mmHgにおける沸点が200℃以上のエステル化合物を0.01〜5重量部の範囲で添加することにより、硬化時にタックおよびパターニング性の両方が優れた樹脂組成物が得られることが見出された。
なお、比較例1〜3の評価に関しては、以下のとおりである。
比較例1では、エステル化合物を添加していないため、パターニング評価で残膜が生じている。
また、比較例2では、DOAの添加量が多いため、タックがあり、パターン形状に膜減りが生じている。
比較例3では、エステル化合物の5mmHgにおける沸点が200℃未満のため、パターニング評価で残膜が生じている。
本発明は、絶縁材料、接着剤、コーティング剤および封止剤等の様々な分野で利用することができ、特に、液晶ディスプレイ等の層間絶縁膜にも利用することができる。

Claims (5)

  1. (A)5mmHgにおける沸点が200℃以上であって、下記式(1)で表されるエステル化合物を(B)成分に対して0.01〜5重量部;
    −(COO−R ・・・(1)
    (式中、RおよびRは、各々独立して、脂肪族鎖状炭化水素、脂肪族環状炭化水素または芳香族炭化水素であり、mは、2〜4の整数である)と、
    (B)1分子中に光重合性官能基を少なくとも2個有し、かつ、
    下記式(2)および(3)で示される構造;
    Figure 0006706454
    Figure 0006706454
    フェノール性水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一つを同一分子内に有する変性ポリオルガノシロキサン化合物と、
    (C)光酸発生剤と、
    を含有することを特徴とするネガ型硬化性組成物。
  2. 前記(A)のエステル化合物のRおよびRが、脂肪族鎖状炭化水素であることを特徴とする、請求項1に記載のネガ型硬化性組成物。
  3. 前記(A)のエステル化合物が、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジイソデシル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニルまたはセバシン酸ジイソデシルであることを特徴とする、請求項1に記載のネガ型硬化性組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のネガ型硬化性組成物を硬化してなることを特徴とする、硬化物。
  5. 基材上に、請求項1〜のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物が硬化した硬化膜を備えることを特徴とする積層体。
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