JP2017198840A - 隔壁形成用ポジ型感光性組成物 - Google Patents

隔壁形成用ポジ型感光性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、隔壁材料として改善された特性を有するポジ型感光性組成物を提供することである。【解決手段】表示素子において画素を規定する隔壁を形成するため感光性組成物であって、(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂、および(B)光酸発生剤を含有することを特徴とする、隔壁形成用ポジ型感光性組成物を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、隔壁形成用ポジ型感光性組成物、およびそれを用いた隔壁の製造方法、ならびに隔壁形成用ポジ型感光性組成物から得られた隔壁に関する。
感光性組成物は、ディスプレイ、半導体等の製造に広く使用されている。
感光性組成物の用途の一つとして、有機ELディスプレイ等における隔壁材料としての利用が挙げられる。有機ELディスプレイ等で画素を規定する隔壁は、通常、感光性組成物を用いてパターニングした後、加熱焼成することによって形成される。
このような隔壁形成用の感光性組成物としては、従来、ポリイミド系ポリマーをベースとするポジ型感光性材料が用いられてきたが(特許文献1)、パターニングの際の露光感度に課題があり、満足のいくものではなかった。
また近年、有機EL表示素子の大面積化、低コスト化のために、インクジェット法によって発光層を形成する検討が盛んに行われており、その場合、インクの広がりを抑えるため、新たに隔壁表面の撥液性も求められている。
隔壁表面に撥液性を付与するための技術としては、アルカリ可溶性樹脂、シロキサン化合物、ビニルエーテル基を有する化合物、ブロックイソシアネート基を有する化合物、光酸発生剤および溶剤を含む組成物が報告されている(特許文献2)。
特開2014−170080号公報(2014年9月18日公開) 国際公開2007/132892号公報(2007年11月22日公開)
しかしながら、従来技術では、上述の問題を解決するためには十分ではなく、隔壁に用いられるポジ型感光性組成物は、その特性等において、なお改善の余地があった。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、隔壁材料として改善された特性を有するポジ型感光性組成物を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の樹脂および光酸発生剤を含有させることにより、感度およびパターニング性に優れたポジ型感光性組成物が得られることを見出した。また、これらのポジ型感光性組成物を用いることにより、撥液性が高いのみならず、高い電気的絶縁信頼性を有する隔壁を形成できることを見出した。さらに、これらのポジ型感光性組成物に撥液性付与剤を添加することにより、さらに撥液効果が高められた隔壁を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を含むものである。
〔1〕表示素子において画素を規定する隔壁を形成するための感光性組成物であって、(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂、および(B)光酸発生剤を含有することを特徴とする、隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
〔2〕前記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂が、酸解離性保護基を有する樹脂であることを特徴とする、〔1〕に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
〔3〕前記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂が、ポリシロキサン化合物であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
〔4〕前記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂が、SiH基を有する樹脂であり、さらに(D)アルケニル基を有する化合物を含有することを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
〔5〕さらに(C)撥液性付与剤を含有することを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
〔6〕前記(C)撥液性付与剤がフッ素含有化合物であることを特徴とする、〔5〕に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物を用いてパターン形成された薄膜を得る、パターニング工程、および
前記パターニング工程により得られた薄膜を焼成して隔壁を得る、焼成工程を含むことを特徴とする、隔壁の製造方法。
〔8〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物から得られる、表示素子において画素を規定する隔壁であって、
当該隔壁表面のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)に対する接触角が25°以上であることを特徴とする、隔壁。
本発明のポジ型感光性組成物は、感度およびパターニング性に優れ、隔壁の形成に適用された場合には、撥液性が高く、高い電気的絶縁信頼性を有する隔壁を形成できるという効果を奏する。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔1.ポジ型感光性組成物〕
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態に係るポジ型感光性組成物は、表示素子において画素を規定する隔壁を形成するため感光性組成物であって、(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂と、(B)光酸発生剤とを含有することを特徴とする。以下では、上記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂を単に「(A)成分」と称し、上記(B)光酸発生剤を単に「(B)成分」と称する場合もある。
本ポジ型感光性組成物は、(A)成分および(B)成分を含有することにより、感度およびパターニング性に優れるという機能を付与することを可能にする。また、本ポジ型感光性組成物は、(A)成分および(B)成分を含有することにより、撥液性が高く、高い電気的絶縁信頼性を有する隔壁の形成を可能にする。
すなわち、本ポジ型感光性組成物は、感度およびパターニング性に優れると共に、隔壁の形成に適用された場合には、撥液性が高く、高い電気的絶縁信頼性を有する隔壁を形成することができる。
本ポジ型感光性組成物は、表示素子において画素を規定する隔壁を形成するために用いられる。本明細書において隔壁は、有機ELディスプレイ等の表示素子においてその画素を規定するための分離壁を意味する。本ポジ型感光性組成物から得られる隔壁により、基板上を画素形成用の複数の区画に仕切ることができるため、液晶ディスプレイや有機EL素子等に適用することができる。
<1−1.(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂>
本ポジ型感光性組成物は、(A)成分として、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂を含有する。酸の作用によりアルカリ溶解性が増大するとは、酸を作用させる前のアルカリへの溶解性と比べて、酸を作用させた後のアルカリへの溶解性が高まることを意味し、(A)成分は、そのような性質を有する樹脂であれば別段限定されない。
上記(A)成分は、(B)光酸発生剤から発生する酸により分解、脱保護等の反応が進行することで現像液に可溶となるため、このような(A)成分を(B)成分と併せて用いることによりポジ型のパターンを形成することができる。
上記酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂の酸により反応する構造としては、特に限定されないが、感光性組成物の感度およびパターニング性、ならびに隔壁の撥液性および電気的絶縁信頼性の観点からは、酸解離性保護基により官能基保護された構造であることが好ましい。より好ましくは、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂の構造は、官能基保護されたフェノール構造、官能基保護されたカルボン酸構造である。
本明細書において、官能基保護されたフェノール構造とは、フェノール構造の水酸基の水素原子が化合物残基に置換された構造をいう。
上記官能基保護されたフェノール構造は、感光性組成物の感度およびパターニング性、ならびに隔壁の撥液性および電気的絶縁信頼性に優れるとの効果をより顕著に享受できることから、官能基保護されたビスフェノール構造であることが好ましく、トリアルキルシリル基又はブトキシカルボニル基で官能基保護されたビスフェノール構造であることがより好ましい。
また、上記化合物残基は、炭素数1〜50の有機基又は有機ケイ素基であることが好ましい。
上記化合物残基として炭素数1〜50の有機基又は有機ケイ素基を有する官能基保護されたビスフェノール構造は、下記一般式(IV)で示される。
Figure 2017198840
(一般式(IV)中、Rは炭素数1〜50の有機基又は有機ケイ素基を示し、Rはビスフェノール構造として取り得る構造であればよい。また、芳香環上の水素は置換されていても良い。)
上記官能基保護されたフェノール構造(特に、一般式(IV)で示される官能基保護されたビスフェノール構造)を有する化合物を得る方法としては、例えば、活性水素と反応性に富む化合物を用いる方法、Boc化試薬を用いてtertブトキシカルボニル基により保護する方法等を用いることができる。これらの方法において、効率良く目的の化合物を得るために、適宜、溶剤や触媒を使用してもよい。
上記(A)成分が、ヒドロシリル化反応性基であるSiH基等を有する場合には、安定性の面から、活性水素と反応性に富む化合物を用いる方法が好ましい。
上記活性水素と反応性に富む化合物としては、例えば、ハロゲン化物、カルボン酸、シリル化剤等を挙げることができる。
上記活性水素と反応性に富む化合物を用いる方法としては、(B)光酸発生剤による脱保護のしやすさの観点から、シリル化剤を用いてトリアルキルシリル基により官能基を保護する方法が好ましい。
上記トリアルキルシリル基に含有されるアルキル基としては、特に限定されないが、(B)光酸発生剤による脱保護のしやすさの観点から、不飽和結合を持たない炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
シリル化剤を用いてトリアルキルシリル基により官能基を保護する場合、上記シリル化剤としては、汎用的なシリル化剤を用いることができ、具体的には、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチルトリメチルシリルアセトアミド、N−メチルトリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、トリメチルシリルイミダゾール、N,N‘−ビス(トリメチルシリルウレア)、トリエチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルシラン等が挙げられる。これらのシリル化剤の中では、工業的に安価で製造することができる観点より、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシランが好ましい。
これらのシリル化剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本明細書において、官能基保護されたカルボン酸構造とは、カルボン酸構造のカルボキシル基の水素原子が化合物残基に置換された構造をいう。
上記官能基保護されたカルボン酸構造としては、感光性組成物の感度およびパターニング性、ならびに隔壁の撥液性および電気的絶縁信頼性に優れるという効果をより顕著に享受できることから、アセタール結合を含有する構造、カルボン酸3級エステル結合を含有する構造であることが好ましい。
上記アセタール結合を含有する構造を有する(A)成分としては、例えば、ジアリルアセタール、ペンタナールジアリルアセタール、ベンズアルデヒドジアリルアセタール、1,1,2,2−テトラアリルオキシエタン、1,1,2,2−テトラアリルオキシプロパン、2,2−ジアリル−1,3−ジオキソラン、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシメチル、4−ビニルメトキシメチル安息香酸エステル、4−ビニルエトキシメチル安息香酸エステル等が挙げられる。
また、上記アセタール結合を含有する構造を有する(A)成分と、SiH基を有するシロキサン化合物とをあらかじめヒドロシリル化反応させて得た化合物を用いても良い。
上記カルボン酸3級エステル構造を含有する構造において、カルボン酸3級エステル構造としては、例えば、p−tertブトキシ基、p−tertブトキシカルボニル基等でカルボキシル基が保護された構造等が挙げられる。3級エステル構造としては、特に限定されず、t−ブチルエステル等公知のものを使用することができる。
上記カルボン酸3級エステル構造を含有する構造と、アルケニル基とを含有する(A)成分としては、特に限定されないが、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチル3−ブテノエート、アクリル酸2−メチル2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル2−アダマンチル、1,3−アダマンタンジオールジアクリレート、1,3−アダマンタンジオールジメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性に優れる観点より2つ以上の(メタ)アクリル基を含有する化合物が好ましく、1,3−アダマンタンジオールジアクリレート、1,3−アダマンタンジオールジメタクリレートが好ましい。
上記カルボン酸3級エステル結合を含有する構造は、現像コントラスト、得られる薄膜の耐熱性、絶縁性に優れる点より、脂肪族環構造で保護されたカルボン酸3級エステル構造であることが好ましい。この場合、カルボン酸3級エステル構造においてカルボキシル基を保護する3級炭素は、脂肪族環構造を形成する炭素であっても良いし、脂肪族環構造を形成せず独立に存在する炭素であっても良い。上記脂肪族環構造は、現像コントラスト、露光感度の点から、アダマンタン構造であることが好ましい。
本ポジ型感光性組成物において、上記(A)成分に含まれる酸により反応する構造の含有量は、(A)成分と、後述する(D)アルケニル基を有する化合物との合計量を基準として、1H−NMRの測定により、標準物質をジブロモエタンとした時の当量換算で0.05〜10mmol/gであることが好ましく、0.1〜5mmol/gであることがより好ましく、0.15〜3mmol/gであることがさらに好ましい。
上記(A)成分は特に限定されないが、隔壁の撥液性および電気的絶縁信頼性の観点からは、ポリシロキサン化合物であることが好ましい。
本明細書において、「ポリシロキサン化合物」とは、シロキサン単位Si−O−Siを有する化合物を意図する。(A)成分としてのポリシロキサン化合物(以下、単に「(A)ポリシロキサン化合物」と称する場合もある。)は、「シロキサン単位Si−O−Siを有する化合物」と、「光酸発生剤から発生する酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する化合物」との反応によって得られるものであってもよい。Si−C結合によって安定性に優れるという観点からは、(A)ポリシロキサン化合物は、ヒドロシリル化反応によって得られるものであることがより好ましい。
上記(A)成分としてのポリシロキサン化合物は、後述する(D)アルケニル基を有する化合物と(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応によって得られるものであることが好ましい。これにより、本ポジ型感光性組成物の信頼性をさらに高めることができる。
なお、ここで、(D)アルケニル基を有する化合物および(E)SiH基を有する化合物の少なくとも一方は、「シロキサン単位Si−O−Siを有する化合物」である。(D)アルケニル基を有する化合物が「シロキサン単位Si−O−Siを有する化合物」である場合は、後述の<1−4.(D)アルケニル基を有する化合物>におけるアルケニル基を有するシロキサン化合物であることが好ましい。
また、(D)アルケニル基を有する化合物および(E)SiH基を有する化合物の少なくとも一方は、「光酸発生剤から発生する酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する化合物」である。
例えば、(A)ポリシロキサン化合物は、以下の反応によって得られる化合物であってもよい:
1.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
2.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
3.(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
4.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびSiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物のヒドロシリル化反応;
5.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびSiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
6.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびSiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
7.SiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
8.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、アルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
9.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびアルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
10.(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびアルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
11.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびアルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物のヒドロシリル化反応;
12.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびSiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、アルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
13.酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびSiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびアルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応;
14.SiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物と、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびアルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応。
上記ヒドロシリル化反応に用いる触媒としては、特に限定されず、公知のヒドロシリル化触媒を用いることができるが、触媒活性の点からは、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体または白金−ビニルシロキサン錯体等を用いることが好ましい。
これらのヒドロシリル化触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記(A)ポリシロキサン化合物は、ヒドロシリル化反応に使用されなかった、SiH基および/またはアルケニル基を一つ以上含んでもよい。
上記(A)ポリシロキサン化合物は、得られる硬化膜の耐薬品性、および絶縁性等を高めることができることから、ビスフェノール構造を含有することが好ましい。
上記ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA構造、ビスフェノールAP構造、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールB構造、ビスフェノールBP構造、ビスフェノールE構造、ビスフェノールM構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールPH構造、ビスフェノールC構造、ビスフェノールG構造、ビスフェノールTMC構造およびビスフェノールZ構造等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ現像液への溶解性に優れ、コントラストに優れるパターンを得ることができるという観点からは、ビスフェノールA構造、ビスフェノールB構造、ビスフェノールC構造、ビスフェノールE構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAP構造またはビスフェノールPH構造が好ましい。また、特に入手性の観点からはビスフェノールA構造またはビスフェノールS構造が好ましく、光酸発生剤による脱保護のしやすさの観点からは、ビスフェノールS構造またはビスフェノールF構造が好ましい。
上記(A)ポリシロキサン化合物は、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造およびポリシロキサン構造を有する化合物であれば、本発明の目的および効果を損なわない範囲において他の構造を有する化合物であってもよい。
本ポジ型感光性組成物において、上記(A)ポリシロキサン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<1−2.(B)光酸発生剤>
本ポジ型感光性組成物は、(B)成分として、光酸発生剤を含有する。本ポジ型感光性組成物においては、上記(B)成分が露光されることによって酸が発生し、この酸により上記(A)成分が分解、脱保護等の反応が進行することで現像液に可溶となるため、ポジ型パターンの形成が可能となる。
上記(B)成分としては、露光によりルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができるが、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、アリールスルホニウム塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム塩又はヨードニウム塩、及び、II族、V族又はVI族元素の芳香族オニウム塩が好ましい。
特に、少ない露光量で高感度のポジ型感光性組成物を得ることができるという観点からはヨードニウム塩が好ましく、ポジ型感光性組成物の貯蔵安定性の観点からはスルホニウム塩が好ましく、感度と貯蔵安定性のバランスに優れるという観点からはイミドスルホネート化合物が好ましい。
また、隔壁の高撥液性および高い電気的絶縁信頼性を発揮できるという観点から、イミドスルホネート化合物が好ましい。
上記(B)成分に含まれるアニオンとしては、特に限定されないが、例えば、B(C−、PF−、SbF−、CFSO−等が挙げられる。
上記(B)成分としては市販品も使用することができ、その具体例としては、例えば、FX−512(3M社製)、UVR−6990、UVR−6974(ともにユニオン・カーバイド社製)、UVE−1014、UVE−1016(ともにジェネラル・エレクトリック社製)、KI−85(デグッサ社製)、SP−152、SP−172(ともに旭電化社製)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L(いずれも三新化学工業社製)、WPI113、WPI116(ともに和光純薬工業社製)、RHODORSIL PI2074(ローディア社製)、BBI−102、BBI−103、BBI−105、TPS−102、TPS−103、TPS−105、MDS−103、MDS−105、DTS−102、DTS−103、DTS−105(いずれもみどり化学社製)、NR−TF(東洋合成化学工業製)等が挙げられる。
本ポジ型感光性組成物において、上記(B)成分は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記(B)成分の含有量は、特に限定されないが、本ポジ型感光性組成物から溶剤を除いた総量を100重量部として、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。上記(B)成分の含有量をこの範囲にすることで、感光性組成物の感度およびパターニング性、ならびに隔壁の撥液性および電気的絶縁信頼性を高めることができる。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態に係るポジ型感光性組成物は、実施形態1の本ポジ型感光性組成物において、さらに、以下の構成を有することを特徴とする。
(C)撥液性付与剤(以下、単に「(C)成分」と称する場合もある。)。
本ポジ型感光性組成物は、(A)〜(C)成分を含有することにより、(C)成分を含まないときと比べて、より撥液性に優れた隔壁を形成できる。
<1−3.(C)撥液性付与剤>
本ポジ型感光性組成物は、(C)成分として、撥液性付与剤を含有する。上記(C)成分としては、本発明のポジ型感光性組成物の硬化物に対して、撥液性を付与または強化するものであれば段限定されず、公知の撥液性付与剤を用いることができる。なお、「撥液性を付与または強化する」とは、(C)成分を添加しない場合と比較して、(C)成分を添加した際に、ポジ型感光性組成物の硬化物の撥液性が高まることを意味する。
(C)成分としての撥液性付与剤は、シリコン系化合物、フッ素系化合物等が挙げられるが、より少量で高い撥液性が得られることから、フッ素系化合物が好ましい。
(C)成分としての撥液性付与剤は、例えば、シリコン系化合物では、BYK−300、BYK−307(BYK)、フッ素系化合物では、メガファックF555、メガファックF558、メガファックF477(DIC株式会社)、サーフロンS242、サーフロンS−611(AGCセイケミカル株式会社)等であるが、これらに限定されない。隔壁の電気的絶縁信頼性および/または撥液性の観点から、好ましくは、サーフロンS−611(AGCセイケミカル株式会社)が用いられる。
本ポジ型感光性組成物において、上記(C)成分は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記(C)成分の含有量は、本ポジ型感光性組成物から溶剤を除いた総量を100重量部として、0.01〜10であることが好ましく、0.1〜5であることがより好ましい。上記(C)成分の含有量をこの範囲にすることで、本ポジ型感光性組成物の硬化物に対して撥液性を高めることができ、撥液性に優れた隔壁を形成することができる。
〔実施形態3〕
<1−4.(D)アルケニル基を有する化合物>
本発明の第3の実施形態において、本ポジ型感光性組成物は、(D)アルケニル基を有する化合物を含んでいてもよい。なお、本ポジ型感光性組成物は、(A)成分とは別に(D)アルケニル基を有する化合物を含んでいてもよく、(D)アルケニル基を有する化合物を用いたヒドロシリル化反応によって得られた(A)成分を含んでいてもよい。
さらに、信頼性が高い硬化膜が得られる点からは、上記(A)成分が、SiH基を有し、上記ポジ型感光性組成物が、(D)アルケニル基を有する化合物を含有することが好ましい。
(D)アルケニル基を有する化合物としては、アルケニル基を有する有機化合物またはアルケニル基を有するシロキサン化合物等を用いることができ、具体例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、ビニルシクロへキセン、ビニルシクロペンテン、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレート、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレートおよびモノアリルジメチルイソシアヌレート、並びにケイ素基に結合したビニル基(Si−CH=CH基)を有するポリシロキサン化合物等が挙げられる。
上記ケイ素基に結合したビニル基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。
上記(D)アルケニル基を有する化合物は、透明性、耐熱性、耐光性及び絶縁性に優れた硬化物を形成することができるという観点からは、下記式(VIII)で表される構造とアルケニル基とを有する化合物であることが好ましい。
Figure 2017198840
上記式(VIII)で表される構造とアルケニル基とを有する化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレート、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレートおよびモノアリルジメチルイソシアヌレート等が挙げられる。これらの中では、入手性の観点より、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレートまたはジアリルモノメチルイソシアヌレートが好ましい。
(D)アルケニル基を有する化合物は、硬化膜の透明性および硬化性の観点より、アルケニル基を有するシロキサン化合物であることが好ましい。
上記アルケニル基を有するシロキサン化合物としては、化合物入手性の観点からは、ケイ素基に結合したビニル基を2つ以上有するシロキサン化合物であることが好ましく、ケイ素基に結合したビニル基を2〜6つ有するシロキサン化合物であることがより好ましい。
上記ケイ素基に結合したビニル基を2つ以上有するシロキサン化合物としては、例えば、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。
上記(D)アルケニル基を有する化合物の一分子中のアルケニル基の数は、架橋密度が上がり、より強靭な薄膜を得ることができるという観点より2つ以上であることが好ましい。
(D)アルケニル基を有する化合物を用いて(A)成分を得る場合、(A)成分、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有するために、(D)アルケニル基を有する化合物および/または後述の(E)SiH基を有する化合物が、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する必要がある。
上記(D)アルケニル基を有する化合物が、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する場合、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造としては、<1−1.(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂>において説明された構造が挙げられる。
さらに、上記(D)アルケニル基を有する化合物が、上記官能基保護されたカルボン酸構造として、カルボン酸3級エステル構造を含有する場合、化合物としては、特に限定されないが、例えば、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチル3−ブテノエート、アクリル酸2−メチル2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル2−アダマンチル、1,3−アダマンタンジオールジアクリレートおよび1,3−アダマンタンジオールジメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性に優れる観点から、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましく、1,3−アダマンタンジオールジアクリレートまたは1,3−アダマンタンジオールジメタクリレートが好ましい。
上記(D)アルケニル基を有する化合物が、アルケニル基に加えて、さらにSiH基を有する化合物であってもよい。(A)成分を得るにあたり、SiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物を用いる場合、(E)SiH基を有する化合物を用いてもよいし、用いなくてもよい。(A)成分を得るにあたり、SiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物を用い、(E)SiH基を有する化合物を用いない場合、当該SiH基を有する(D)アルケニル基を有する化合物は、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する。
例えば、上記(D)アルケニル基を有する化合物は、光酸発生剤による脱保護のしやすさおよび入手性の観点から、下記一般式(IX)で表される化合物、または、当該化合物を後述する(E)SiH基を有する化合物と反応させて得た化合物であることが好ましい。
Figure 2017198840
(一般式(IX)中、Rは不飽和結合を持たない炭素数1〜6のアルキル基を表し、それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。Rはビスフェノール構造として取り得る構造であればよい)。
上記(A)成分を得るにあたり、上記(D)アルケニル基を有する化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔実施形態4〕
<1−5.(E)SiH基を有する化合物>
本発明の第4の実施形態において、本ポジ型感光性組成物は、(E)SiH基を有する化合物を含んでいてもよい。なお、本ポジ型感光性組成物は、(A)成分とは別に(E)SiH基を有する化合物を含んでいてもよく、(E)SiH基を有する化合物を用いたヒドロシリル化反応によって得られた(A)成分を含んでいてもよい。
(E)SiH基を有する化合物としては、SiH基を一分子中に2つ以上有する化合物であることが好ましい。
上記SiH基を一分子中に2つ以上有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルヒドロシリル基で末端が封鎖されたシロキサン、側鎖にSiH基を有する環状シロキサン、鎖状シロキサンおよび籠状シロキサン等が挙げられる。これらの中では、特に絶縁性に優れる薄膜を得られる観点より、側鎖にSiH基を有する環状シロキサン化合物が好ましい。
上記側鎖にSiH基を有する環状シロキサン化合物としては、例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−メチル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジメチル−5,7−ジハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジプロピル−5,7−ジハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−7−ヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。これらの中では、特に入手性の観点より、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
(E)SiH基を有する化合物を用いて(A)成分を得る場合、(A)成分が、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有するために、(D)アルケニル基を有する化合物および/または(E)SiH基を有する化合物が、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する必要がある。
上記(E)SiH基を有する化合物が、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する場合、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造としては、<1−1.(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂>において説明された構造が挙げられる。
上記(E)SiH基を有する化合物が、SiH基に加えて、さらにアルケニル基を有する化合物であってもよい。(A)成分を得るにあたり、アルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物を用いる場合、(D)アルケニル基を有する化合物を用いてもよいし、用いなくてもよい。
(A)成分を得るにあたり、アルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物を用い、(D)アルケニル基を有する化合物を用いない場合、当該アルケニル基を有する(E)SiH基を有する化合物は、酸により分解し酸性基または水酸基が発現する構造を有する。
上記(D)アルケニル基を有する化合物および/または(E)SiH基を有する化合物に含有されるSiH基量をX、アルケニル基量をYとした場合、X/Yの値は、0.2≦X/Y≦5.0であることが好ましく、強靭な薄膜を得ることができるという観点からは、0.3≦X/Y≦3.0であることがより好ましい。
上記(A)成分を得るにあたり、(E)SiH基を有する化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本ポジ型感光性組成物において、上記(D)アルケニル基を有する化合物および上記(E)SiH基を有する化合物のうち、少なくとも一方はシロキサン系化合物であることが好ましい。また、上記(D)アルケニル基を有する化合物および上記(E)SiH基を有する化合物のうち、少なくとも上記(E)SiH基を有する化合物はシロキサン系化合物であって、環状シロキサン構造を有することがより好ましい。その理由は、硬化物の耐熱性に優れるためである。
また、本ポジ型感光性組成物において、上記(D)アルケニル基を有する化合物および上記(E)SiH基を有する化合物のうち少なくとも一方がシロキサン系化合物である場合、上記シロキサン系化合物は、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を含有することが、硬化物の耐熱性および絶縁性等に優れることから好ましい。以下、上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造について詳しく説明する。
(多面体骨格を有するポリシロキサン構造)
上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造としては、例えば、下記式(X)で示される多面体骨格を有するポリシロキサン構造が挙げられる(なお、ここでは、8個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を代表例として例示する)。
Figure 2017198840
上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を得る方法としては、例えば、一般式RSiX(式中Rは、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造においてケイ素原子に結合する基を表し、Xは、ハロゲン原子またはアルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)で表されるシラン化合物を加水分解縮合反応させる方法、一般式RSiXを加水分解縮合反応させて分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成した後、さらに、同一の又は異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環させる方法等が挙げられる。
上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造は、6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格及びアルケニル基を有するポリシロキサン化合物と、SiH基を有するシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させて得られたものであることが、他成分との相溶性が高く、透明でムラのない膜を得ることができることから好ましい。
上記SiH基を有するシロキサン化合物としては、例えば、鎖状シロキサンおよび環状シロキサン等が挙げられる。具体的には、上記(E)SiH基を有する化合物についての説明で記載した、SiH基を一分子中に2つ以上有する化合物(但し、籠状シロキサンを除く)等を用いることができる。また、網目状シロキサンも用いることができる。これらの中では、SiH基を一分子中に2つ以上有する環状シロキサンを用いることが、強靭で耐熱性に優れた膜を得ることができることから好ましい。
上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造は、下記式(XI)で表されるポリシロキサン構造に代表される構造であることが好ましい(なお、ここでは、8個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造を代表例として例示する)。下記式(XI)で表されるポリシロキサン構造に代表される構造においては、多面体骨格の頂点に位置するSi原子と、少なくとも1つはSiH基又はアルケニル基を有する基とが、シロキサン結合を介して結合しているため、本ポジ型感光性組成物に含有される上記(D)アルケニル基を有する化合物および上記(E)SiH基を有する化合物のうち、少なくとも一方がシロキサン系化合物である場合において、上記シロキサン系化合物として、下記式(XI)で表されるポリシロキサン構造に代表される構造を有する化合物を用いることにより、強靭な膜を得ることができる。
Figure 2017198840
上記式(XI)で表されるポリシロキサン構造に代表される構造を有する化合物の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、テトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させた後、アルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させる方法等が挙げられる。この合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物が得られ、さらに得られたポリシロキサン化合物をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、アルケニル基を有するシリル基が、シロキサン結合を介して多面体骨格の頂点に位置するSi原子と結合したポリシロキサン化合物を得ることが可能となる。
また、テトラアルコキシシランの代わりに、シリカまたは稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を得ることが可能である。
上記テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランおよびテトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのテトラアルコキシシランは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記4級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。これらの4級アンモニウムヒドロキシドは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造は、下記一般式(XII)
Figure 2017198840
(一般式(XII)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の有機基であり、Rのうち少なくとも一つは水素原子又はアルケニル基である。それぞれのRは同一でも異なっていてもよい)で表される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物と、下記一般式(XIII)、
Figure 2017198840
(一般式(XIII)中、Rは炭素数1〜6の有機基であり、Rは水素原子又はアルケニル基である。それぞれのR、Rは同一でも異なっていてもよい。nは0〜10、mは1〜10の数を表す)で表される環状シロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させて得られたものであることが、強靭で耐熱性に優れた膜を得ることができることから好ましい。
なお、上記一般式(XII)で表される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物がアルケニル基を有する化合物である場合は、上記一般式(XIII)で表される環状シロキサン化合物がSiH基を有する化合物である必要があり、また、上記一般式(XII)で表される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物がSiH基を有する化合物である場合は、上記一般式(XIII)で表される環状シロキサン化合物がアルケニル基を有する化合物である必要がある。
上記6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサン構造が、上記式(X)で表されるポリシロキサン構造である場合、その含有量は、ポジ型感光性組成物中の溶剤を除いた成分100重量部に対し、2〜40重量%であることが好ましく、3〜30重量%であることがより好ましく、4〜20重量%であることがさらに好ましく、4〜10重量%であることが特に好ましい。含有量をこの範囲内とすることにより、強靭で耐熱性に優れるとともに、誘電率が低く、リーク電流も小さい電気的絶縁特性が良好な絶縁膜を得ることができる。
〔その他の実施形態〕
<1−6.添加剤>
(アルカリ可溶性成分)
本ポジ型感光性組成物は、さらにアルカリ可溶性成分を含有することが、ポジ型感光性組成物のアルカリ現像液への溶解性が向上し、高感度なポジ型感光性組成物となることから好ましい。
上記アルカリ可溶性成分としては、例えば、下記式(X1)又は(X2)で表される構造を有する化合物、フェノール基を有するフェノール樹脂、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、アミド樹脂およびイミド樹脂等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アルカリ可溶性成分は、ベイク後に絶縁性、耐熱性および耐溶剤性に優れた薄膜を得ることができるという観点より、下記式(X1)又は(X2)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記式(X1)又は(X2)で表される構造を有するポリシロキサン化合物であることがより好ましい。
Figure 2017198840
上記式(X1)又は(X2)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を得る方法としては、簡便な方法として、例えば、上記(X1)又は(X2)で表される構造およびアルケニル基を有する化合物と、SiH基を有するシロキサン化合物とを一部ヒドロシリル化反応させる方法等が挙げられる。
上記式(X1)又は(X2)で表される構造およびアルケニル基を有する化合物としては、例えば、ジアリルイソシアヌル酸およびモノアリルイソシアヌル酸等を挙げることができる。
上記SiH基を有するシロキサン化合物としては、例えば、上記<1−5.(E)SiH基を有する化合物>の説明で、SiH基を一分子中に2つ以上有する化合物として説明した化合物等が挙げられる。
本ポジ型感光性組成物が上記アルカリ可溶性成分を含有する場合、上記アルカリ可溶性成分の含有量の上限は、本ポジ型感光性組成物から溶剤を除いた成分100重量部に対し、80重量部であることが好ましく、75重量部であることがより好ましい。一方、含有量の下限は、15重量部であることが好ましく、20重量部であることがより好ましく、50重量部より大きいことがさらに好ましい。上記アルカリ可溶性成分の含有量をこの範囲とすることで、アルカリ現像性に優れたポジ型感光性組成物を得ることができる。
(増感剤)
本ポジ型感光性組成物は、さらに感度を向上させるため、増感剤を含有することが好ましい。
上記増感剤は、ポジ型感光性組成物の光に対する感度、特に、h線(405nm)およびi線(365nm)といった短波長の光に対する感度を向上させる効果を奏する。
上記増感剤としては、例えば、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられる。上記増感剤は、光増感効果の観点からは、アントラセン系化合物であることが好ましい。
上記アントラセン系化合物としては、例えば、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、2,6−ジ−tert−ブチルアントラセンおよび9,10−ジフェニル−2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン等が挙げられる。
これらの中で、特に入手しやすい観点からは、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセンまたは9,10−ジエトキシアントラセンが好ましい。
また、硬化膜の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、他の成分との相溶性に優れる観点からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセンまたは9,10−ジエトキシアントラセンが好ましい。
上記増感剤は、ポジ型感光性組成物の貯蔵安定性の観点からは、チオキサントン系化合物であることが好ましい。
上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントンおよびイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。これらの中で、入手性の観点からは、2,5−ジエチルジオキサントンまたはイソプロピルチオキサントンが好ましい。
これらの増感剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本ポジ型感光性組成物が増感剤を含有する場合、当該増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、(A)成分100重量部あたり、0.5〜50重量部であることが好ましく、1〜40重量部であることがより好ましく、2〜35重量部であることがさらに好ましい。また、より増感効果を得るために、上記(B)光酸発生剤に対する増感剤のモル比は、0.01〜300であることが好ましく、0.1モル〜100モルであることがより好ましい。
ポジ型感光性組成物に含まれる増感剤の量が上記下限値以上であれば、十分に増感効果を得ることができ、硬化膜を形成する際に、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼしたりすることがない。また、増感剤の量が上記上限値以下であれば、色が硬化膜に残ったり、急硬化のために硬化膜が着色されたり、または硬化膜が耐熱性もしくは耐光性を損なったりすることがない。
(ヒドロシリル化反応抑制剤)
本ポジ型感光性組成物においては、貯蔵安定性確保のため、ヒドロシリル化反応抑制剤を使用してもよい。
上記ヒドロシリル化反応抑制剤としては、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物および有機過酸化物等が挙げられる。
上記脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類およびジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が挙げられる。
上記有機リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン等のトリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスフォン類およびトリオルガノホスファイト類等が挙げられる。
上記有機イオウ化合物としては、例えば、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾールおよびベンゾチアゾールジサルファイド等が挙げられる。
上記スズ系化合物としては、例えば、ハロゲン化第一スズ2水和物およびカルボン酸第一スズ等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドおよび過安息香酸t−ブチル等が挙げられる。
これらのヒドロシリル化反応抑制剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのヒドロシリル化反応抑制剤のうち、遅延活性が良好で原料入手が容易という観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールまたはトリフェニルホスフィンが好ましい。
(溶剤)
本ポジ型感光性組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤を含有することにより、ポジ型感光性組成物を硬化させて硬化膜を得る際、ポジ型感光性組成物の粘度を下げることができ、その結果、均一に塗布することが可能となるためである。
上記溶剤としては、特に限定されないが、例えば、エチルシクロヘキサンおよびトリメチルペンタン等の炭化水素系溶剤、1,4−ジオキサンおよび1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、イソ酪酸イソブチルおよび酪酸イソブチル等のエステル系溶剤、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジメチルエーテルおよびエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、並びにトリフルオロトルエン等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上の混合溶剤として用いても良い。
上記溶剤は、特に均一な膜が形成しやすい観点からは、1,4−ジオキサン、イソ酪酸イソブチル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテルまたはエチレングリコールジエチルエーテルであることが好ましい。
本ポジ型感光性組成物が溶剤を含有する場合、その含有量は特に限定されず適宜設定できるが、溶剤を除くポジ型感光性組成物の総量100重量部に対し、下限が10重量部であることが好ましく、30重量部であることがより好ましく、50重量部であることがさらに好ましい。一方、上記含有量の上限は、800重量部であることが好ましく、500重量部であることがさらに好ましい。
上記溶剤の含有量が10重量部以上であれば、溶剤による低粘度化等の効果が得られる。一方、上記溶媒の含有量が800重量部以下であれば、硬化膜を作製した際に溶剤が残留することによる熱クラック等を防ぐことができ、またコスト的にも不利になることはないため、工業的利用価値は低下しない。
(接着性改良剤)
本ポジ型感光性組成物には、接着性改良剤を添加することも可能である。接着性改良剤としては、一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレンおよび芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基および加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基およびカルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化膜の硬化性および接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基またはアクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基またはエトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシランおよびアクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、(A)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜10重量部であることがより好ましく、0.5〜5重量部であることがさらに好ましい。添加量が0.1重量部以上であれば、接着性改良効果が十分に表れる。また、添加量が20重量部以下であれば、硬化膜の物性への悪影響を防ぐことができる。
(熱可塑性樹脂)
本ポジ型感光性組成物には、特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドとの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールAおよびビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類、並びにジエチレングリコール等のジオール類と、テレフタル酸およびイソフタル酸等のフタル酸類、並びに脂肪族ジカルボン酸類とを重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、並びにフッ素樹脂等の他、天然ゴムおよびEPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂は、分子中にアルケニル基および/またはSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にアルケニル基および/またはSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基およびアルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化膜の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、ポジ型感光性組成物全体の5〜50重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。添加量が少ないと得られる硬化膜が脆くなり易い。添加量が多いと硬化膜の耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は、(A)成分に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)ポリシロキサン化合物に溶解して均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分化合物に直接混合してもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態或いは/および混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、ポジ型感光性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(充填材)
本ポジ型感光性組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。上記充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用或いは/および提案されている充填材等を挙げることができる。
(老化防止剤)
本ポジ型感光性組成物には、貯蔵安定性確保のため、老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸、リン酸および硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類およびスルホキシド類等が挙げられる。
これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本ポジ型感光性組成物には、貯蔵安定性確保のため、ラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)およびテトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤、並びにフェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジンおよびN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(その他添加剤)
本ポジ型感光性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤および/または物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本ポジ型感光性組成物は、後述するように、塗布プロセス(コーティング)により絶縁膜を形成することができる材料であり、パターニング性に優れるとともに、感度に優れる。本ポジ型感光性組成物は、表面の撥液性が高く、高い電気的絶縁信頼性を有する隔壁の形成を可能にすることから、有機ELディスプレイ等における隔壁材料に適用される。
〔2.薄膜(硬化物)の作成〕
本発明において、本ポジ型感光性組成物を硬化して薄膜を形成することができる。
本ポジ型感光性組成物を硬化して薄膜を得る方法としては、例えば、ポジ型感光性組成物を各種基材にコーティングし、均一な薄膜を形成した後、所望の形状のマスクを用いて露光し、露光部を溶解・除去することによりパターン状に形成された薄膜を得る方法等を用いることができる。
<2−1.フォトリソグラフィーについて>
本ポジ型感光性組成物を各種基材にコーティングする方法としては、均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般によく使用されるコーティング方法を使用することができ、例えば、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティング、スピンキャスティング、フローコーティング、スクリーン印刷、インクジェット、ドロップキャスティング等の方法を用いることができる。
また、各種基材の状態により、適宜、溶剤による粘度調整、界面活性剤による表面張力調整等を行っても良い。
本ポジ型感光性組成物を各種基材にコーティングした後、溶剤除去の目的で、露光前にプリベークや真空脱揮プロセスを行っても良い。但し、熱を加えることで現像性が低下する等の問題が発生するおそれがあることから、プリベークの温度は、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
なお、真空脱揮プロセスとプリベークとは同時に行っても良い。
本ポジ型感光性組成物に露光するための光源としては、使用する(B)光酸発生剤や増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオード等を使用できる。
このとき、露光量としては、特に限定されないが、1〜5000mJ/cmであることが好ましく、1〜1000mJ/cmであることがより好ましい。
本ポジ型感光性組成物に露光した後、加熱を行ってもよい。加熱を行うことにより、露光していない部分が硬化し、コントラストが明確となる。
加熱温度としては、50℃以上120℃以下であることが好ましく、コントラストがより明確となることから、60℃以上100℃以下であることがより好ましい。
本ポジ型感光性組成物に露光した後、露光部を溶解・除去しパターンを形成する方法としては、特に限定されず、一般的に行われる浸漬法やスプレー法等の現像方法を用いることができる。
このとき、現像液としては、一般に使用するものであれば特に限定されず使用することができ、具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、コリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液、これらの水溶液に溶解速度等の調整のためにアルコールや界面活性剤等を添加したもの、各種有機溶剤等を挙げることができる。
本ポジ型感光性組成物は、従来のものよりも高い感度を有する組成物である。上記薄膜の膜厚が2.5μmである場合、本ポジ型感光性組成物の感度は、150mJ/cmで以下であることが好ましく、100mJ/cm以下であることがより好ましく、50mJ/cmで以下であることがとりわけ好ましく、30mJ/cmが更にとりわけ好ましい。
なお、感度の測定は、当該技術分野における通常の方法を用いて行われる。
<2−2.ポストベイクについて>
また、露光部を溶解・除去した後、薄膜の強度、信頼性向上のため、ポストベイクを行っても良い。
ポストベイクの温度としては、100〜300℃であることが好ましく、150〜250℃であることがより好ましい。
なお、基材としてプラスチック基板を用いる場合には、できるだけ低い温度でポストベイクすることが好ましいが、本ポジ型感光性組成物は150℃〜200℃でポストベイクが可能であるため、このような場合であっても基板に悪影響を与えることなくポストベイクを行うことができる。
本ポジ型感光性組成物を硬化して薄膜として得る際、露光部を溶解・除去した後に加熱してポストベイクを行うことにより、硬化反応を進行させることができ、絶縁性の高い薄膜を得ることができる。
上記硬化反応としては、例えば、ゾルゲル反応、ヒドロシリル化反応等が挙げられ、より低温で特に絶縁性に優れる薄膜を得られる観点からは、上記硬化反応はヒドロシリル化反応であることが好ましい。上記ヒドロシリル化反応は、本ポジ型感光性組成物中に、アルケニル基を含有する化合物、SiH基を含有する化合物及びヒドロシリル化触媒が存在することにより進行する。
以上の方法により、本ポジ型感光性組成物からなる、パターン状に形成された薄膜を得ることができる。
〔3.隔壁の作成〕
本ポジ型感光性組成物を用いて、上記〔2.薄膜(硬化物)の作成〕に記載の方法により、有機ELディスプレイ等における隔壁を作成することができる。
すなわち、本発明の一つの実施形態において、本ポジ型感光性組成物を用いてパターン形成された薄膜を得る、パターニング工程、および前記パターニング工程により得られた薄膜を焼成して隔壁を得る、焼成工程を含むことを特徴とする、隔壁の製造方法を提供する。本ポジ型感光性組成物を用いて作成された隔壁は、撥液性が高く、高い電気的絶縁信頼性を有する。
隔壁の撥液性は、例えば、接触角を指標として評価することができる。接触角の測定時に隔壁表面に滴下する溶剤としては、インクジェットのインクに使用される溶剤を用いればよく、例えば、直鎖または分岐のプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)等が挙げられる。
撥液性の観点から、接触角は、15°以上であることが好ましく、20°以上であることがより好ましく、25°以上であることがとりわけ好ましい。接触角の上限は、別段限定されないが、密着性の観点から、100°が好ましい。
有機ELディスプレイ等における隔壁には、リーク電流が小さいことが要求されるため、そのような要求を満たす本ポジ型感光性組成物は、極めて有用な隔壁材料である。
上記薄膜の膜厚が2.5μmである場合、本ポジ型感光性組成物を用いて作成された隔壁のリーク電流は、10nA/cm以下であることが好ましく、5nA/cm以下であることがより好ましく、3nA/cm以下であることがとりわけ好ましい。
一つの実施形態において、本発明の隔壁は、本ポジ型感光性組成物から得られる、表示素子において画素を規定する隔壁であって、当該隔壁表面のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)に対する接触角が25°以上であることを特徴とする隔壁である。このような隔壁は、高い撥液性を有すると共に、高い電気的絶縁信頼性を有する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(薄膜形成およびパターニング)
無アルカリガラス基板50mm×50mm上に、下記の実施例1〜3および比較例1〜3で得られたポジ型感光性組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレートにて100℃で2分プリベイクして、膜厚2.5μmの感光性薄膜を製膜した。この感光性薄膜に、マスクアライナー(MA−1300、大日本科研製)を用いてフォトマスク越しに露光(10〜250mJ/cm)した後、アルカリ現像液(TMAH2.38%水溶液、多摩化学工業製)に23℃で70秒浸漬し、現像処理を行った。さらにオーブンにて230℃で30分ポストベイクを行って、硬化膜を形成した。
(感度測定)
上記の(薄膜形成およびパターニング)において、感光性薄膜への露光量を2mJ/cmずつ変更して硬化膜を作成した。その中で、露光部の膜厚が0となる最小露光量を感度とした。膜厚は段差計(Veeco製、Dektak150)を用いて測定した。
(絶縁性評価)
上記の(薄膜形成およびパターニング)と同様な方法で、Moを表面に蒸着した無アルカリガラス基板50mm×50mm上に硬化膜を形成し、さらにその膜上にスパッタでAl電極(6mmφ)を形成した。
絶縁性の評価は、プレシジョン半導体パラメータ・アナライザ測定装置(4156C Agilent社製)を用いて、硬化膜を挟んだ電極間(Mo−Al)に0〜50Vの電圧を0.5Vずつステップで印加し、30V印加時の電極単位面積当たりのリーク電流量を測定して行った。
(接触角の測定)
上記の(薄膜形成およびパターニング)で得られた硬化膜に対して、接触角計(協和界面化学製、DM−301)を用い、室温下、膜表面にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)の液滴を滴下して、接触角を測定した。
(官能基保護したビスフェノールS化合物の合成)
100mLナスフラスコに、THF20g、ジアリルビスフェノールS5gを入れ、室温で攪拌した。均一溶液となったところに、ヘキサメチルジシラザン2.5gを添加し、2時間で反応を終了させた。溶剤、反応残渣を除去した後、H−NMRでトリメチルシリル基由来のピークの確認と水酸基由来のピークの消失の確認を行い、ジアリルビスフェノールSの水酸基がトリメチルシリル基で保護されたジアリルビスフェノールS6.5g(反応物1)を得た。
(合成実施例1)
100mL四つ口フラスコに、トルエン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン3gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温100℃で加熱、攪拌した。上記方法で合成した反応物1を5g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.7mg、トルエン5gの混合液を滴下した。
滴下後H−NMRでアリル基由来のピーク消失を確認したのち、トルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物A」を得た。H−NMRの測定により、トリメチルシリル基で保護されたビスフェノールS構造を有し、標準物質をジブロモエタンとした時の当量換算でSiH基6.0mmol/gを有するシロキサン系化合物であることを確認した。反応物Aを実施例1〜3で用いた。
(合成比較例1)
100mL四つ口フラスコに、トルエン20g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン6gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温100℃で加熱、攪拌した。ジアリルイソシアヌル酸1.5g、ジアリルメチルイソシアヌレート1.5g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.7mg、1,4−ジオキサン5gの混合液を滴下した。添加後H−NMRでビニル基由来のピーク消失を確認したのち、トルエン、1,4−ジオキサンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B」を得た。H−NMRの測定により、標準物質をジブロモエタンとした時の当量換算でSiH基3.8mmol/gを有するシロキサン系化合物であることを確認した。反応物Bを比較例2で用いた。
なお、反応物Aと反応物Bは、共にSiH基を有するポリシロキサン化合物であるが、反応物Aは官能基保護された酸解離性基を含有するのに対し、反応物Bは含有しない点が異なる。
(実施例1)
上記反応物A、光酸発生剤(東洋合成化学工業製、商品名:NR−TF)、増感剤(DBA:ジブトキシアントラセン、川崎化成工業株式会社製)、アルケニル基を有する化合物としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)および溶剤(PGMEA)を表1に記載の割合(重量部)で調合した後、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、ポジ型感光性組成物を製造した。
(実施例2)
撥液性付与剤(サーフロンS−611、AGCセイケミカル株式会社)をさらに添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により感光性組成物を製造した。
(実施例3)
撥液性付与剤(BYK−307、BYK)をさらに添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により感光性組成物を製造した。
(比較例1)
反応物Aの代わりに、アルカリ溶解性ノボラック樹脂(旭有機材工業株式会社EP−40/50G)を用い、光酸発生剤(東洋合成化学工業製、商品名:NR−TF)および増感剤(DBA:ジブトキシアントラセン、川崎化成工業株式会社製)の代わりに、感光剤(東洋合成化学工業製商品名:TS−200)を用い、撥液性付与剤(サーフロンS−611、AGCセイケミカル株式会社)をさらに添加し、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により感光性組成物を製造した。
(比較例2)
反応物Aの代わりに、反応物Bを用い、光酸発生剤(東洋合成化学工業製、商品名:NR−TF)および増感剤(DBA:ジブトキシアントラセン、川崎化成工業株式会社製)の代わりに、感光剤(東洋合成化学工業製商品名:TS−200)を用い、撥液性付与剤(サーフロンS−611、AGCセイケミカル株式会社)をさらに添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により感光性組成物を製造した。
(比較例3)
反応物Aの代わりに、アルカリ溶解性ノボラック樹脂(旭有機材工業株式会社EP−40/50G)を用い、光酸発生剤(東洋合成化学工業製、商品名:NR−TF)および増感剤(DBA:ジブトキシアントラセン、川崎化成工業株式会社製)の代わりに、感光剤(東洋合成化学工業製商品名:TS−200)を用い、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により感光性組成物を製造した。
以下の表1に示すように、比較例1〜3は、実施例1〜3と異なり、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂を含有していない。
Figure 2017198840
(結果)
実施例1〜3および比較例1〜3で得られた感光性組成物より形成した薄膜について、感度測定、絶縁性評価および接触角の測定を行った結果を表2に示す。
Figure 2017198840
本発明のポジ型感光性組成物により形成した薄膜は、ポジ型のパターン形成が可能であり、さらに加熱焼成することにより隔壁を形成することができる(実施例1〜3)。また、本実施例の組成物は、比較例の組成物と比較して、感度において優れた特性を示し、電気的絶縁信頼性、撥液性も良好である。
さらに、撥液性付与剤を添加した実施例2および3では、実施例1に比べてさらに接触角が高くなり、撥液性がより優れているという結果が得られ、なかでも撥液性付与剤としてフッ素系化合物を用いている実施例2が最も優れた撥液性を示すという結果が得られた。
本発明は、ディスプレイ、半導体等の製造に広く利用することができ、特に、有機ELディスプレイ等における隔壁材料として利用することができる。

Claims (8)

  1. 表示素子において画素を規定する隔壁を形成するための感光性組成物であって、(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂、および(B)光酸発生剤を含有することを特徴とする、隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
  2. 前記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂が、酸解離性保護基を有する樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
  3. 前記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂が、ポリシロキサン化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
  4. 前記(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂が、SiH基を有する樹脂であり、さらに(D)アルケニル基を有する化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
  5. さらに(C)撥液性付与剤を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
  6. 前記(C)撥液性付与剤がフッ素含有化合物であることを特徴とする、請求項5に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物を用いてパターン形成された薄膜を得る、パターニング工程、および
    前記パターニング工程により得られた薄膜を焼成して隔壁を得る、焼成工程を含むことを特徴とする、隔壁の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の隔壁形成用ポジ型感光性組成物から得られる、表示素子において画素を規定する隔壁であって、
    当該隔壁表面のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)に対する接触角が25°以上であることを特徴とする、隔壁。
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