JP2017186728A - 不織布、吸収性物品用トップシート、及びそれを含む吸収性物品 - Google Patents

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Yuki Nakahata
有貴 中畑
雄大 二木
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雄大 二木
牧原 弘子
Hiroko Makihara
弘子 牧原
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Abstract

【課題】吸収性物品のトップシート又はセカンドシートに使用され、吸液特性が向上された不織布を提供する。特に吸液速度がより速い不織布を提供する。【解決手段】繊維処理剤が付与された第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、繊維処理剤の親水性の高さが、所定の方法で評価されたときに、1回目のランオフの値が、2.4cm以上である、不織布である。不織布は、吸液速度が改良され、好ましくは吸液速度の耐久性が改良される。【選択図】なし

Description

本発明は、不織布、吸収性物品用トップシート、及びそれを含む吸収性物品に関する。より具体的には、吸収性物品に用いられる不織布、それを含む吸収性物品用トップシート、及びそれを含む吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、及びパンティライナー等の吸収性物品のトップシートとして、二層構造を有する不織布が提案されている。例えば、特許文献1は、使用者の肌に触れる第1繊維層と、それに隣接する第2繊維層を有する二層構造の不織布であって、第1繊維層の繊維より、第2繊維層の繊維を、デニール数の小さい繊維によって構成し、第1繊維層と第2繊維層との間に複数の開孔が貫通し、開孔の孔径が0.5mm以上であって、開孔率が20〜50%であるトップシート(不織布)を提案する。特許文献1は、このような特徴を有することで、トップシートにソフトな感触を与えることができ、体液浸透を促進することができ、着用時の不快感が解消することを述べる。
更に、特許文献1は、第2繊維層の繊維が疎水性であることによって、一旦第2繊維層に浸透した体液の第1繊維層への逆流を阻止するバリヤーともなり、着用時の不快感が一層効果的に解消すること等を述べる。
特開平4−61857号公報
吸収性物品に使用されるトップシート及びセカンドシート等に使用される不織布は、合成樹脂等の疎水性材料が使用されることが多く、その場合には吸液特性を向上するために不織布に親水性を付与する繊維処理剤が付着されている。特に吸液速度については、親水性がより高い繊維処理剤を用いると、より速くなると考えられていた。
本発明者等は、驚くべきことに、繊維処理剤が付着した第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する不織布においては、繊維処理剤の親水性が高い方が、吸液速度に関して良いとは限らないことを見いだした。そして本発明者等は、繊維処理剤が付着した第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する不織布であって繊維処理剤が特定の親水性を有すること等によって、吸液速度及び好ましくは吸液速度の耐久性が改良されることを見いだして、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は一の要旨において、
繊維処理剤が付与された第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、
繊維処理剤の親水性の高さが、下記方法で評価されたときに、1回目のランオフの値が、2.4cm以上である、不織布を提供する。
(i)0.40質量%の繊維処理剤が付与された、芯成分がポリプロピレンであり、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である同心芯鞘型複合繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:45mm)を使用して、パラレルウェブ法及びエアスルー法(加熱温度:135℃、処理時間:9秒、風速:1.1m/s)を用いて、繊維処理剤の不織布サンプル(目付:50g/m、寸法:タテ30cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.9mm)を用意する。
(ii)水平面と30度の角度を有する斜面を準備し、その斜面上に、ろ紙(Lister Paper(Grade989、10cm×10cm)を、不織布サンプルの寸法以上となるように重なりなく敷きつめて、その上に不織布サンプルを載せて固定する。
(iii)不織布サンプルの上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下する。全ての生理食塩水が不織布サンプルに吸収され、生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定する。当該位置と生理食塩水を不織布サンプル表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面を流れた最長の距離を求めて、1回目のランオフの値を得る。
本発明は他の要旨において、
第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、
水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角が65°以上85°以下である、不織布を提供する。
本願発明は、上述のような特徴を有するので、吸液速度及び好ましくは吸液速度の耐久性が改良される。
繊維処理剤Aを付与した繊維1を用い、開孔の無い不織布(C1-1〜C1-4)又は開孔の有る不織布(E1-1〜E1-4)に関する吸液時間を示す。 図1Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Bを付与した繊維1を使用し、開孔の無い不織布(C1-5〜C1-8)又は開孔の有る不織布(C1-9〜C1-12)に関する吸液時間を示す。 図1Cで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Aを付与した繊維2を使用し、開孔の無い不織布(C2-1〜C2-4)又は開孔の有る不織布(E2-1〜E2-4)に関する吸液時間を示す。 図2Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Bを付与した繊維2を使用し、開孔の無い不織布(C2-5〜C2-8)又は開孔の有る不織布(C2-9〜C2-12)に関する吸液時間を示す。 図2Cで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Cを付与した繊維2を使用し、開孔の無い不織布(C2-13〜C2-16)又は開孔の有る不織布(C2-17〜C2-20)に関する吸液時間を示す。 図2Eで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Bを付与した繊維3を使用し、開孔の無い不織布(C3-1〜C3-4)又は開孔の有る不織布(C3-5〜C3-8)に関する吸液時間を示す。 図3Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Cを付与した繊維3を使用し、開孔の無い不織布(C3-9〜C3-12)又は開孔の有る不織布(C3-13〜C3-16)に関する吸液時間を示す。 図3Cで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Aを付与した繊維1で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C4-1〜C4-4)又は開孔の有る不織布(E4-1〜E4-4)に関する吸液時間を示す。 図4Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Aを付与した繊維4で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C5-1〜C5-4)又は開孔の有る不織布(E5-1〜E5-4)に関する吸液時間を示す。 図4Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Aを付与した繊維5で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C6-1〜C6-4)又は開孔の有る不織布(E6-1〜E6-4)に関する吸液時間を示す。 図6Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 繊維処理剤Aを付与した繊維2で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C7-1〜C7-4)又は開孔の有る不織布(E7-1〜E7-4)に関する吸液時間を示す。 図7Aで使用した不織布に関するウェットバック量を示す。 図8は、水滴と繊維(表面)とがなす接触角を模式的に示す。 図9は、水透過後の接触角を測定するために、不織布サンプルに水滴を付着させるためのステンレス製プレートを模式的に示す。
本発明は、例えば吸収性物品に使用される不織布を提供する。
吸収性物品は、一般に液保持性の吸収体、液不透過性のバックシート、及び液透過性のトップシートを含み、吸収体とトップシートの間にバックシートが配置される。本発明の実施形態に係る吸収性物品用不織布は、装着者の肌に当接するトップシートとして配置される。かかるバックシート及び吸収体として、吸収性物品に通常用いられているものを用いることができる。
例えばバックシートとして、透湿性を有する又は有さない熱可塑性樹脂のフィルムを用いることができる。例えば吸収体として、パルプ繊維、高吸収性ポリマーの粒子又はそれらの混合物をティッシュペーパー等の紙等で包んだ又は挟んだ吸収体を用いることができる。
本発明の形態の不織布は、
繊維処理剤が付与された第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、
下記方法で繊維処理剤の親水性の高さを評価して、1回目のランオフの値が、2.4cm以上である、不織布である。
(i)0.4質量%の繊維処理剤が付与された、芯成分がポリプロピレンであり、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である同心芯鞘型複合繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:45mm)を使用して、パラレルウェブ法及びエアスルー法(加熱温度:135℃、処理時間:9秒、風速:1.1m/s)を用いて、繊維処理剤の不織布サンプル(目付:50g/m、寸法:タテ30cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.9mm)を用意する。
(ii)水平面と30度の角度を有する斜面を準備し、その斜面上に、ろ紙(Lister Paper(Grade989、10cm×10cm)を、不織布サンプルの寸法以上となるように重なりなく敷きつめて、その上に不織布サンプル載せて固定する。
(iii)不織布サンプルの上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下する。全ての生理食塩水が不織布サンプルに吸収され、生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定する。当該位置と生理食塩水を不織布サンプル表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面を流れた最長の距離を求めて、1回目のランオフの値を得る。
繊維処理剤の親水性の高さは、繊維処理剤で処理された繊維等の表面の親水性によって理解することもできる。例えば、親水性は、水と繊維表面との接触角で表すこともできる。
従って、本発明の上述の形態の不織布は、水と繊維表面との接触角を用いることで記載することもできる。
本発明の形態の不織布は、
第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、
水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角が65°以上85°以下である、不織布である。本明細書の種々の記載は、この形態の不織布にも適用することができる。
第1繊維層の繊維(原料又は材質)は、本発明が目的とする不織布を得られる限り特に制限されることはない。
第1繊維層は、例えば、下記の繊維を含むことができる:コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維;ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維;ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリスチレン系繊維、および環状ポリオレフィン系繊維などの合成繊維。
第1繊維層の繊維が合成繊維である場合、単一種類の樹脂でできている繊維(単一繊維)のみならず、二種以上の樹脂でできている複合繊維(例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、分割型複合繊維、バイメタル型複合繊維)を用いることもできる。
第1繊維層を構成する繊維として、合成繊維が好ましく、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維及びその組み合わせがより好ましい。第1繊維層の繊維は、本発明が目的とする不織布を得られる限り、合成繊維に加えて、再生繊維及び/又は天然繊維を含むことができる。
第1繊維層の繊維は、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;及び、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体等のポリオレフィン系繊維;及びそれらを組み合わせた繊維を含むことができる。
ポリエチレンは高密度ポリエチレンであると、捲縮を容易に付与し得る。本願発明では、後述するように繊維に親水性を施すために繊維処理剤を、使用し得る。繊維に捲縮を容易に付与できる場合、繊維処理剤は、例えば、撥水性を施すための追加の成分を含有する必要性が低下し得、吸液特性への不要な影響を抑制し得る。
これらの繊維は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
2種類の繊維を組み合わせる場合、各々の繊維を単純に混合してよく、あるいは二以上の樹脂でできている同心又は偏心芯鞘型の複合繊維等、組み合わせの形態は、目的とする不織布を得ることができる限り特に制限されることはない。
第1樹脂層を構成する繊維は、同心又は偏心芯鞘型の複合繊維であることが好ましい。ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂から構成される同心又は偏心芯鞘型の複合繊維が更により好ましい。特に芯成分がポリエステル系樹脂であり、鞘成分がポリオレフィン系樹脂である芯鞘型の複合繊維が好ましい。
芯鞘型複合繊維は、鞘成分が直鎖状低密度ポリエチレンを含み、芯成分が直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも20℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であってよい。芯成分を構成する熱可塑性樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンの融点より、40℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であることがより好ましく、50℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であることがさらに好ましい。このような融点を有する熱可塑性樹脂はポリエステルであってよい。このような樹脂からなる芯鞘型複合繊維は、偏心芯鞘型複合繊維であってよい。
第1繊維層の繊維は立体捲縮を有することが好ましい。
本明細書で、「立体捲縮」という用語は、捲縮の山(または山頂部)が鋭角である機械捲縮と区別されるために用いられる。立体捲縮は、例えば、山部が湾曲した捲縮(波形状捲縮)、山部が螺旋状に湾曲した捲縮(螺旋状捲縮)、波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮、機械捲縮の鋭角の捲縮と波形状捲縮および螺旋状捲縮の少なくとも一つとが混在した捲縮をいう。
第1繊維層の繊維が複合繊維である場合、顕在捲縮性複合繊維でもよい。「顕在捲縮性複合繊維」とは、繊維の段階で立体捲縮を発現している繊維を指す。顕在捲縮性複合繊維は、繊維の収縮を伴う熱処理により立体捲縮を発現する潜在捲縮性複合繊維とは異なる。
第1繊維層の繊維が偏心芯鞘型複合繊維である場合、偏心率は5〜50%であることが好ましく、7〜30%であることがより好ましい。偏心率がこのような範囲である場合、不織布の生産性を阻害することなく十分な立体捲縮を発現し、それにより良好な生産性で均一な不織布を与えることができる。ここでいう偏心率とは、次式1で定義される。
(式1)偏心率(%)=(単繊維の中心と芯成分の中心との間の距離)×100/(単繊維半径)
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、例えば、約0.900g/cm〜約0.940g/cmの密度を有してよく、好ましくは約0.905g/cm〜約0.935g/cm、より好ましくは約0.910g/cm〜約0.935g/cm、さらにより好ましくは0.913g/cm〜0.933g/cmの密度を有する。密度が0.900g/cm未満であると、柔らかくなりすぎ、不織布にしたときに十分な嵩高性および嵩回復性を得られないことがあり、また、高速カード性の点で劣ることがある。一方、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.940g/cmよりも大きくなると、不織布にしたときに、表面触感および不織布の厚さ方向の柔軟性が劣る傾向となることがある。
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、融点は、好ましくは約110℃〜約125℃の範囲内にある。直鎖状低密度ポリエチレンの融点が高すぎると、低温での熱接着により不織布を製造したときに、実用に耐えうる強度の不織布を得られないことがある。直鎖状低密度ポリエチレンの融点が低すぎると、高温での熱接着により不織布を製造したときに、不織布の表面触感が低下することがあるか、あるいは不織布製造時の高速カード性が劣ることがあり、得られる不織布は良好な均一性(または良好な地合)を有しないことがある。
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、紡糸性を考慮すると、好ましくは1g/10min〜60g/10min、より好ましくは2g/10min〜40g/10min、さらにより好ましくは3g/10min〜35g/10min、最も好ましくは5g/10min〜30g/minの範囲内にあるメルトインデックス(MI)を有する。MIは、JIS K 7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士の融着を招くことがある。一方、MIが小さすぎると、繊維製造が困難となることがある。
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、直鎖状低密度ポリエチレンにおける重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Q値:Mw/Mn)は、5以下であることが好ましい。Q値は、より好ましくは約2〜約4であり、さらにより好ましくは約2.5〜約3.5である。5以下のQ値は直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布の幅が狭いことを意味する。例えばQ値が上記範囲内にある直鎖状低密度ポリエチレンを鞘成分として使用することにより、顕在捲縮性に優れた複合繊維を得ることができる。
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率は、得られた繊維の性質や、該繊維を用いた繊維集合物の触感および嵩高性を考慮すれば、好ましくは約65MPa〜約850MPaの範囲内にあり、より好ましくは約120MPa〜約750MPaの範囲内にあり、さらにより好ましくは約180MPa〜約700MPaの範囲内にあり、最も好ましくは約250MPa〜約650MPaの範囲内にある。ここで、曲げ弾性率は、日本工業規格(JIS) K 7171(2008年)に準じて測定される。直鎖状低密度ポリエチレンを含む繊維は柔軟な触感を有する。しかしながら、ある程度のコシがないと、繊維はカード通過性が低下することがあり、また、高い嵩高性および高い弾力性を有する繊維集合物が得られにくくなることがある。そのため、直鎖状低密度ポリエチレンは、曲げに対してある程度変形しにくいものであることが好ましく(即ち、曲げに対する変形のしにくさが、ある程度高いものが好ましく)、好ましくは約65MPa以上の曲げ弾性率を有する。直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率が高すぎると、得られる不織布の柔軟な触感が損なわれることがある。
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は、繊維の性質や、該繊維を用いた繊維集合物の触感、嵩高性および弾力性を考慮すれば、好ましくは約45〜約75、より好ましくは約48〜約70、さらにより好ましくは約50〜約65、最も好ましくは約50〜約62の範囲内にある。ここで、直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は、JIS K 7215(1986年)に準じ、タイプD デュロメータを用いて測定されるデュロメータ硬さ(HDD)を指す。直鎖状低密度ポリエチレンが柔らかすぎると繊維のコシが失われることがあり、繊維のカード通過性が低下したり、嵩高な繊維集合物が得られにくいことがある。さらに、繊維集合物の嵩回復性が低下することもある。直鎖状低密度ポリエチレンの硬度が高すぎると、得られる不織布の柔軟な触感が低下する可能性がある。
第1繊維層の繊維を構成する成分として直鎖状低密度ポリエチレンが使用される場合、直鎖状低密度ポリエチレンを含む成分(例えば、芯鞘型複合繊維の鞘成分)は、他のポリマー成分を含んでいてよい。例えば、表面の柔らかさおよび平滑性を損なうことのない立体捲縮の発現および安定性の点から、分岐低密度ポリエチレンが好ましい。さらに、分岐低密度ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンに対して「柔軟剤」として機能することができ、不織布の厚さ方向において柔軟性を与えることができる。分岐低密度ポリエチレンを添加することによって、不織布を広い範囲の温度で加工することが可能となり、したがって、不織布を熱接着させるときに、均一な柔軟性を有する不織布を不織布の加工温度にかかわらず得ることができる。分岐低密度ポリエチレンは、例えば、約0.910g/cm〜約0.930g/cmの密度を有する。分岐低密度ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも、好ましくは約5℃以上、より好ましくは10℃低い融点を有する。
直鎖状低密度ポリエチレンとともに使用される分岐低密度ポリエチレンは、紡糸性を考慮すると、1g/10min〜60g/minの範囲内にあるメルトインデックスを好ましくは有し、より好ましくは3g/10min〜50g/10minの範囲内、さらにより好ましくは5g/10min〜50g/10minの範囲内、最も好ましくは10g/10min〜50g/10minの範囲内にあるMIを有する。MIは、JIS−K−7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士の融着を招くことがある。一方、MIが小さすぎると、繊維製造が困難となることがある。
直鎖状低密度ポリエチレンと分岐低密度ポリエチレンとが芯鞘型複合繊維の鞘成分として使用される場合、直鎖状低密度ポリエチレンおよび分岐低密度ポリエチレンは、好ましくは鞘成分の約70質量%を占め、より好ましくは約80%を占め、さらにより好ましくは約90質量%を占める。そのような形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンと分岐低密度ポリエチレンを合わせた質量の約95質量%〜約75質量%を占めることが好ましく、約90質量%〜約80質量%を占めることがより好ましい。
第1繊維層の繊維は、芯鞘型複合繊維を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、第1繊維層を形成するすべての繊維が芯鞘型複合繊維であることが特に好ましい。第1繊維層の繊維は、風合いや触感を向上させるために、繊維中に酸化チタン等の添加剤を含むことができる。このような添加剤は、添加剤等を含む繊維全体を100質量%として、0.1〜10質量%含まれることが好ましい。
芯鞘型複合繊維の場合、芯成分と鞘成分との複合比が質量比で80:20〜40:60であることが好ましく、70:30〜45:55であることがより好ましく、60:40〜50:50であることがさらに好ましい。複合比がこの範囲である場合、特に複合比(質量比)で芯成分の方が多い場合、不織布の目付や地合のムラが少なくなり得るので好ましい。また芯成分は、主として不織布の嵩高性および嵩回復性に寄与することができ、そして、鞘成分は、主として不織布強力および不織布の柔らかさに寄与することができる。複合比がこのような範囲であると、優れた不織布強力および柔らかさと、嵩回復性とを両立することができる。鞘成分が多くなると、不織布強力は上がるが、得られる不織布が硬くなることがあり、嵩回復も悪くなることがある。一方、芯成分が多くなりすぎると接着点が不十分となって、不織布強力が小さくなることがあり、そのため嵩回復性が悪くなる傾向となる。
本発明の形態に係る不織布は、第1繊維層に加えて少なくとも1種の追加の繊維層(即ち、第2繊維層及び第3繊維層等)を有することができる。従って、本発明の形態に係る不織布は、積層構造を有することができる。追加の繊維層は、第2繊維層一層であってよい。
追加の繊維層は、上述の第1繊維層に記載の繊維層であって良い。追加の繊維層と第1繊維層は、同じでも異なっていてもよい。追加の繊維層は、本発明が目的とする不織布を得られる限り特に制限されることはない。
第2繊維層の繊維は、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、芯成分が高密度ポリエチレンの融点よりも20℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂である芯鞘型複合繊維であってよい。芯成分を構成する熱可塑性樹脂は、高密度ポリエチレンより、40℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であることがより好ましく、50℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であることがさらに好ましい。このような融点を有する熱可塑性樹脂はポリエステルであってよい。このような芯鞘型複合繊維は偏心芯鞘型複合繊維であってよい。
第2繊維層の繊維は立体捲縮を有することが好ましい。「立体捲縮」は、上述した意味を有する。第2繊維層の繊維が複合繊維である場合、顕在捲縮性複合繊維でもよい。
第2繊維層の繊維が芯鞘型複合繊維の場合、芯成分と鞘成分との複合比が質量比で80:20〜40:60であることが好ましく、70:30〜45:55であることがより好ましく、65:35〜50:50であることがさらに好ましい。複合比がこの範囲である場合、特に複合比(質量比)で芯成分の方が多い場合、不織布の目付や地合のムラが少なくなり得るので好ましい。また芯成分は、主として不織布の嵩高性および嵩回復性に寄与することができ、そして、鞘成分は、主として不織布強力および不織布の柔らかさに寄与することができる。複合比がこのような範囲であると、優れた不織布強力および柔らかさと、嵩回復性とを両立することができる。鞘成分が多くなると、不織布強力は上がるが、得られる不織布が硬くなることがあり、嵩回復も悪くなることがある。一方、芯成分が多くなりすぎると接着点が不十分となって、不織布強力が小さくなることがあり、そのため嵩回復性が悪くなる傾向となる。
第2繊維層の繊維が偏心芯鞘型複合繊維である場合、偏心率は5〜50%であることが好ましく、7〜30%であることがより好ましい。偏心率がこのような範囲である場合、不織布の生産性を阻害することなく十分な立体捲縮を発現し、それにより良好な生産性で均一な不織布を与えることができる。
第2繊維層の繊維として鞘成分が高密度ポリエチレンである芯鞘型複合繊維が使用される場合、鞘成分は、高密度ポリエチレンを、鞘成分の質量の好ましくは60質量%以上、より好ましくは約75質量%以上で含む。あるいは、鞘成分は、ポリマー成分として高密度ポリエチレンのみを含んでよい。高密度ポリエチレンは、分岐の少ない硬質のポリエチレンである。それは低圧法により製造されるので、低圧法ポリエチレンとも呼ばれる。理論によって限定されるものではないが、高密度ポリエチレンを有する芯鞘型複合繊維は、向上した嵩高性およびクッション性を不織布に付与し得る。
第2繊維層の繊維として鞘成分が高密度ポリエチレンである芯鞘型複合繊維が使用される場合、不織布の生産性を損なうことなく十分な立体捲縮を発現させるためには、高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは約0.940g/cm〜0.970g/cmであり、より好ましくは約0.945g/cm〜約0.960g/cmである。
第2繊維層の繊維として鞘成分が高密度ポリエチレンである芯鞘型複合繊維が使用される場合、高密度ポリエチレンの融点は、好ましくは約120℃〜約140℃であり、より好ましくは約123℃〜約138℃であり、さらにより好ましくは約125℃〜約135℃である。この範囲内にある融点を有することにより、本発明による不織布製造プロセスにおいて、第2繊維層となる繊維ウェブの厚さの減少を避けることができる。
第2繊維層の繊維として鞘成分が高密度ポリエチレンである芯鞘型複合繊維が使用される場合、鞘成分において用いられる高密度ポリエチレンは、紡糸性を考慮すれば、好ましくは3g/10min〜50g/minの範囲、より好ましくは5g/10min〜50g/10minの範囲、さらにより好ましくは7g/10min〜40g/10minの範囲、最も好ましくは8g/10min〜30g/minの範囲内にあるメルトインデックス(MI)を有する。メルトインデックス(MI)は、JIS−K−7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維の融着を招く。一方、MIが小さすぎると、繊維製造が困難となる傾向にある。
不織布の嵩高性および弾力性を確保するため、第1繊維層の繊維を鞘成分が直鎖状低密度ポリエチレンを含み、芯成分が直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも20℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂である芯鞘型複合繊維とし、第2繊維層の繊維を鞘成分が高密度ポリエチレンであり、芯成分が高密度ポリエチレンの融点よりも20℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂である芯鞘型複合繊維とすることが好ましい。これらの芯鞘型複合繊維は、それぞれ偏心芯鞘型複合繊維とすることが特に好ましい。この場合、高密度ポリエチレンの融点は好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも高い。一つの形態において、高密度ポリエチレンの融点は、直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも、好ましくは3℃以上高く、より好ましくは5℃以上高く、更により好ましくは8℃以上高い。
第1繊維層または第2繊維層の繊維が立体捲縮を有する場合、立体捲縮の数は、不織布の生産性、ならびに繊維を不織布にしたときの嵩高性およびクッション性の観点から、好ましくは約6個/25mm〜約26個/25mmであり、より好ましくは約8個/25mm〜22個/25mmである。6個/25mmより少ない捲縮が付与されると、カード性が低下することがあり、不織布の嵩高性および嵩回復性が確保されないことがある。26個/25mmよりも多い捲縮が付与されると、カード性能および不織布の均一性が悪影響を受けることがある。
加えて、JIS L 1015(2010年)に準じて測定したときに、捲縮率は、繊維の良好なカード通過性及び得られる不織布の高い嵩高性およびクッション性の観点から、約5%〜約25%であることが好ましく、約8%〜約23%であることがより好ましい。また、捲縮率の捲縮数に対する比(捲縮率/捲縮数)は、好ましくは約0.4〜約1.2であり、より好ましくは約0.5〜約1である。理論により限定されるものではないが、捲縮率は、捲縮の固定性(捲縮の伸びにくさ)の示度である。捲縮率/捲縮数が上記範囲内にあると、捲縮が伸びにくく、繊維は適度な大きさの立体捲縮を有し得る。その結果、優れた不織布の生産性、ならびに得られる不織布の嵩高性および弾力性を達成することができる。
第1繊維層が第2繊維層よりも高い繊維密度を有することが好ましい。第1繊維層と第2繊維層の繊維密度の差は、表面の柔軟性および触感を向上させるだけでなく、不織布を吸収性物品の表面シートとして用いたときに、ドライな触感を向上させ、また液戻り防止を向上させることができる。
第2繊維層は第1繊維層よりも高い空隙率を有することが好ましい。第1繊維層と第2繊維層の空隙率の差は、表面の柔軟性および触感を向上させるだけでなく、不織布を吸収性物品の表面シートとして用いたときに、液が第2繊維層に流れやすくなるため吸液速度を向上させることができる。なお空隙率は各繊維層の目付と厚さ、各繊維層に含まれる繊維の樹脂密度から算出できる。この時の厚さは、例えば電子顕微鏡写真を観察して求めることができる。
繊維層の繊維密度は繊維層の比容積によって評価してもよい。より小さい比容積は、繊維層がより緻密(または密)であることを示す。あるいは、繊維層の繊維密度は、不織布を厚さ方向で切断して得られる断面の所定領域を観察し、当該領域における空隙の割合(例えば、空隙の面積の割合)を比較することによって評価することができる。当該領域におけるより小さい空隙の割合は、より高い繊維密度を示していることが理解され得る。
第2繊維層よりも高い繊維密度を有する第1繊維層、または第1繊維層よりも高い空隙率を有する第2繊維層を得る一つの可能な方法は、第1繊維層に含まれる芯鞘型複合繊維の立体捲縮の強さ(度合い)を、第2繊維層に含まれる芯鞘型複合繊維のそれよりも小さくすることであり得る。立体捲縮の強さはJIS L 1015(2010年)に準じて測定される捲縮数によって評価することができる。捲縮数がより大きいほど、立体捲縮がより強いことが示される。
あるいは、またはそれに加えて、第2繊維層よりも高い繊維密度を有する第1繊維層、または第1繊維層よりも高い空隙率を有する第2繊維層は、不織布の製造時において実施する熱処理において、第1繊維層となる繊維ウェブを、熱処理機の搬送支持体(例えばコンベアベルト)と接触させることによっても得られる場合がある。第1繊維層が熱処理中に支持搬送体と接していると、第1繊維層が支持体に押し付けられ、その結果、繊維層をより緻密にしやすいとともに、繊維層の表面がより平滑となる。したがって、より滑らかな触感が不織布の表面に付与される。
あるいは、またはそれに加えて、第2繊維層よりも高い繊維密度を有する第1繊維層、または第1繊維層よりも高い空隙率を有する第2繊維層は、第2繊維層の繊維を偏心芯鞘型複合繊維とすることによっても得られる場合がある。
更に、不織布全体の目付は10〜80g/mであることが好ましく、より好ましくは15〜60g/mであり、さらに好ましくは35〜55g/mである。不織布全体の目付は、特に35〜55g/mであると、吸液速度が向上するため好ましい。
また不織布の厚さは、0.1〜3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜2.0mmであり、さらに好ましくは0.35〜1.5mmである。
追加の繊維層が含まれる場合、第1繊維層の目付は3〜60g/mであることが好ましく、5〜50g/mであることがより好ましく、10〜40g/mであることが更に好ましく、13〜30g/mであることが更により好ましい。
追加の繊維層の目付は3〜60g/mであることが好ましく、5〜50g/mであることがより好ましく、10〜45g/mであることが更に好ましく、20〜40g/mであることが更により好ましい。
追加の繊維層の目付と第1繊維層の目付との比(追加の繊維層の目付/第1繊維層の目付)は2/8〜8/2であることが好ましく、3/7〜7/3であることがより好ましく、4/6〜6/4であることがさらに好ましい。
繊維処理剤の親水性の高さが、下記方法で評価されたときに、1回目のランオフの値は、2.4cm以上である。
(i)0.40質量%の繊維処理剤が付与された、芯成分がポリプロピレンであり、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である同心芯鞘型複合繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:45mm)を使用して、パラレルウェブ法及びエアスルー法(加熱温度:135℃、処理時間:9秒、風速:1.1m/s)を用いて、繊維処理剤の不織布サンプル(目付:50g/m、寸法:タテ30cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.9mm)を用意する。
(ii)水平面と30度の角度を有する斜面を準備し、その斜面上に、ろ紙(Lister Paper(Grade989、10cm×10cm)を、不織布サンプルの寸法以上となるように重なりなく敷きつめて、その上に不織布サンプル載せて固定する。
(iii)不織布サンプルの上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下する。全ての生理食塩水が不織布サンプルに吸収され、生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定する。当該位置と生理食塩水を不織布サンプル表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面を流れた最長の距離を求めて、1回目のランオフの値を得る。
なお、この方法に使用される、芯成分がポリプロピレンであり、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である同心芯鞘型複合繊維としては、例えば、ダイワボウポリテック(株)のNBF(H)などを使用するとよい。
1回目のランオフの値は、親水性の高さ(の程度)を示すと考えられる。第1繊維層を形成する繊維は、1回目のランオフの値が、2.4cm以上の特定の値を示し、それによって、開孔を有する不織布とする場合に吸液速度がより向上し得る。1回目のランオフの値が、2.6〜21cmであることが好ましく、2.6〜18cmであることがより好ましく、2.6〜12cmであることが更に好ましく、2.6cm〜8.0cmであることが更により好ましい。
繊維処理剤は、更に、下記の方法で、繰り返してその親水性を評価することができる。
(iv)2回目のランオフの値については、1回目のランオフに使用した不織布サンプルを使い、1回目のランオフの測定終了後30秒後に、1回目に生理食塩水を滴下した位置と同じ位置に、1回目と同様にして生理食塩水を滴下した。生理食塩水が不織布サンプル表面を流れた距離を求めて、2回目のランオフの値を得た。
(v)3回目以降のランオフの値については、その前回の不織布サンプルを使用して、同様に繰り返した。生理食塩水が不織布サンプル表面を流れた距離を求めて、3回目以降のランオフの値を得た。
2回、3回と繰り返してランオフの値を測定することで、繰り返しの親水性(耐水性)を評価することができる。
繊維処理剤は水と接触しても親水性の高さの程度が維持される親水性(耐水性)を有することが好ましい。繊維処理剤は、耐水性の点から、5回目のランオフの値から1回目のランオフの値を引いた値が、20未満であることがより好ましく、15以下であることが更により好ましい。
5回目のランオフの値から1回目のランオフの値を引いた値が、20未満である場合、繰り返しの吸液特性(吸液特性の耐久性)が、より良好になり、より好ましい。
また、上記耐水性の観点では、5回目のランオフの値と1回目のランオフの値との比の値(5回目のランオフの値/1回目のランオフの値)によって評価してもよい。この比の値は10以下であることがより好ましく、7以下であることが更に好ましい。
更に、追加の繊維層を形成する繊維も、繊維処理剤で処理することができる。
追加の繊維層の繊維を処理する繊維処理剤は、1回目のランオフの値が、2.4cm未満でも良い。また、1回目のランオフの値が21cm以下であることが好ましく、18cm以下であることがより好ましい。
追加の繊維層の繊維を処理する繊維処理剤は水と接触しても親水性の高さの程度が維持される親水性(耐水性)を有することが好ましい。追加の繊維層の繊維を処理する繊維処理剤は、5回目のランオフの値から1回目のランオフの値を引いた値が、20未満であることがより好ましく、15以下であることが更により好ましい。
5回目のランオフの値から1回目のランオフの値を引いた値が、20未満である場合、繰り返しの吸液特性(吸液特性の耐久性)が、より良好になり、より好ましい。
また、上記耐水性の観点では、5回目のランオフの値と1回目のランオフの値との比の値(5回目のランオフの値/1回目のランオフの値)によって評価してもよい。この比の値は10以下であることがより好ましく、7以下であることが更に好ましい。
追加の繊維層を有する場合には、上述の1回目のランオフの値において、追加の繊維層に使用する繊維処理剤よりも、第1繊維層に使用する繊維処理剤の方が、値が大きいことが、吸液特性を、特に吸液速度を向上させ得るため好ましい。
追加の繊維層を有する場合には、上述の5回目のランオフの値から1回目のランオフの値を引いた値において、追加の繊維層に使用する繊維処理剤よりも、第1繊維層に使用する繊維処理剤の方が、値が大きいことが、繰り返しの吸液特性を向上させ得るため好ましい。
本発明の形態の不織布は、水が透過する前の(水と接触する前の)、水の表面と第1繊維層を構成する繊維表面のなす角、即ち、接触角(以後、「初期接触角」とも呼ぶ)が、65°以上85°以下である不織布として提供することができる。水と繊維表面の接触角の大きさは、繊維表面の親水性の程度を示す。接触角が大きいことは、繊維表面の親水性が低いことを示し、接触角が小さいことは、繊維表面の親水性が高いことを示す。本発明の不織布は、水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角が上述の範囲である場合、繊維表面の親水性が高すぎず、かつ低すぎない範囲にあり、開孔を有する不織布は、より好適な吸液速度を有し得る。
なお接触角は、繊維表面に繊維処理剤が付与された状態のまま測定された接触角でありえる。したがって本発明において好適な接触角を得るために、繊維処理剤の成分及び付着量等を適宜調整するとよい。
水が透過する前の、水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角は、好ましくは67°以上であり、より好ましくは70°以上である。また、水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角は、好ましくは83°以下であり、より好ましくは80°以下である。このような範囲の接触角であると上述した効果に加えて、親水性が高すぎないことにより繊維処理剤の水による脱落性が低下し、後述する耐久親水性を有しやすくし得る。
本発明において、第1繊維層に付与された繊維処理剤の親水性の高さが(1回目のランオフの高さ)が所定範囲であること、または、第1繊維層を構成する繊維の接触角が所定範囲であることによって、貫通した複数の開孔を有する不織布の吸液速度が向上する原理については次にように推察される。
不織布に貫通した開孔を設けることは、不織布において繊維が存在しない箇所又は繊維がほとんど存在しない箇所を設けることにより、吸液速度(液体の透過速度)を向上させる目的で行われる。しかし不織布において開孔が存在しない領域(非開孔部分)において、不織布の親水性(不織布を構成する繊維の親水性)を高くすると、水を主体とする液体が透過する際に、開孔を透過せずに非開孔部分を透過する液体が多くなり、結果として吸液速度が低下することになる。特に開孔を設けていない不織布(つまり非開孔部分からなる不織布)と比べ、開孔を設けた不織布の方が、非開孔部分の面積が小さくなるため、開孔を透過しない液体が増えることが予想以上の吸液速度の低下へとつながると考えられる。尚、本願発明は、このような原理によって、何ら制限されることはない。
第1繊維層を構成する繊維表面の親水性は、耐水性であること(即ち、「耐久親水性」であること)が好ましい。この耐久親水性は、上述した水と繊維表面との接触角を利用して、水が透過する前の接触角(初期接触角)と水が透過した後(水と接触後)の接触角(以後、「水透過後接触角」とも呼ぶ)によって表すことができる。
第1繊維層を構成する繊維は、水と接触しても、水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角は、維持されることが好ましい。
第1繊維層を構成する繊維表面の親水性は、水透過後接触角と初期接触角との差(度:degree)の絶対値(|水透過後接触角−初期接触角|)が35以下である耐久親水性を示すことが好ましい。水透過後接触角と初期接触角との差の絶対値が20以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましく、7以下であることがさらにより好ましい。
また、第1繊維層を構成する繊維の耐久親水性は、水透過後接触角の初期接触角からの変化率(以後、「接触角変化率」とも呼ぶ)で表すこともできる。接触角変化率は、60%以下であることが好ましい。接触角変化率は以下の式2によって算出する。
式2:接触角変化率(%)=|水透過後接触角−初期接触角|/初期接触角×100
接触角変化率は、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、さらにより好ましくは10%以下である。
第1繊維層を構成する繊維表面の親水性の耐久性(耐久親水性)が高いほど、好適な吸液速度を液透過後でもより維持することができ、繰り返し吸液した場合の吸液特性がより好ましい。
更に、追加の繊維層を有する場合、水と追加の繊維層を構成する繊維表面の初期接触角は85°以下であることが好ましく、75°以下であることがより好ましく、65°以下であることがさらに好ましく、60°以下であることがさらにより好ましい。
追加の繊維層を有する場合、追加の繊維層を構成する繊維表面について、水透過後接触角と初期接触角との差の絶対値が35以下である耐久親水性を有することが好ましく、差の絶対値が30以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。また、追加の繊維層を構成する繊維について、接触角変化率が60%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
追加の繊維層を有する場合、水と追加の繊維層を構成する繊維表面の初期接触角よりも、水と第1繊維層を構成する繊維表面の初期接触角の方が、大きいことが、吸液特性、特に吸液速度を向上させ得るため好ましい。具体的には第1繊維層の初期接触角が追加の繊維層の初期接触角よりも5°以上大きいことが好ましく、8°以上大きいことがより好ましく、10°以上大きいことがさらに好ましい。
水と繊維表面との接触角は下記の方法で測定することができる。
(株)キーエンス製マイクロスコープVHX−1000にズームレンズ((株)キーエンス製、型番:VH−Z100R)を取り付けた測定部を水平方向に倒した状態で固定する。接触角の測定対象である繊維を含む不織布を縦(MD方向)×横(CD方向)が50mm×10mmの大きさとなるようにカットして、測定サンプルを作製する。測定サンプルの測定面を上向きにした状態で、ズームレンズのレンズ面に対して不織布のCD方向が垂直となる向きにして(すなわち、観察方向がCD方向と平行となるように)測定サンプルを試験台に置いて、両端をテープで固定する。なお、観察方向(ズームレンズを通して対象物を見る方向)は、観察方向と直交する方向に繊維が延びているように選択される限りにおいて、特に限定されない。不織布の種類によっては、不織布のCD方向と例えば45°の角度をなす方向を観察方向としてよい。
次に、測定用サンプルに、霧の大きさがなるべく一定で細かくなるような霧吹きを使って、イオン交換水(水温約20℃)の水滴を吹き付ける。吹き付け後5秒以内に、繊維表面の上に載った水滴を、ズームレンズを用いて、観察する繊維の繊維径に応じて50〜1000倍で観察して画像を取り込む。吹き付けと画像取り込みを繰り返して、水滴が鮮明に写っている20点の画像を得る。得られた画像の中から、繊維が水平になっている画像を選ぶ。これは、繊維が傾いていると接触角が変化することによる。選んだ画像の数が10点以上である場合には、それらの画像を用いて接触角を求める。繊維が水平になっている画像の数が10点未満であるときは、さらに20点の画像を得て、それらの中から繊維が水平になっている画像を選ぶことを、繊維が水平になっている画像の合計数が10点以上となるまで繰り返す。
接触角は、図8に示すように、水滴の空気と触れる面と繊維とが接する箇所にて水滴に接線を引き、当該接線と繊維とがなす角度とした。接触角は、画像解析処理ソフト(例えば、スカラ株式会社より入手可能な2次元画像解析ソフト『MicroMeasure』)または分度器等によって測定する。選んだ各画像において接触角を測定し、それらの平均値(算術平均値)を求めて、測定対象となる繊維の接触角とする。
接触角は、不織布を用いて測定せずに、測定面から対象となる構成繊維を取り出して、構成繊維に水滴を吹き付ける方法で測定してもよい。
接触角の測定は、以下の点に注意する。
(1)繊維の上に載った水滴の接触角を測定する。繊維の下まで垂れ下がった水滴及び2本以上の繊維にまたがった水滴の接触角を測定しない。
(2)繊維が螺旋状等の細かい捲縮を発生している場合は、捲縮が少ないところか、繊維を伸張させて捲縮状態を無くして測定する。
(3)接触角の測定結果は、上記のとおり、測定する箇所又は測定サンプルを変えて、繊維が水平になっている画像を10点以上選んで測定値を平均して求める。繊維の親水化度が高い場合、接触角を測定するときに繊維の上で水滴が移動し得る(すなわち、水滴の形状が変化し得る)。その場合、その移動の状況を考慮して「接触角」を求める。
接触角の測定箇所が20点になるまでに、測定回数の合計(水滴の撮影を試みた測定箇所の合計、撮影中に水滴が移動した場合と移動しなかった場合の合計)の40%未満で水滴が移動した場合、繊維が水平になっている画像を10点以上選んで測定値を平均して接触角とする。
接触角の測定箇所が20点になるまでに、測定回数の合計の40%以上で水滴が移動した場合、接触角は20°以下とする。
水透過後の接触角の測定は、下記の様に、不織布サンプル(測定サンプル)を調製する以外は、上述の接触角の測定方法で測定する。
不織布をタテ方向22cm、ヨコ方向5cmの寸法に裁断して測定サンプルを作製する。次に、図9に示す、直径15mmの穴が等間隔(穴の中心間の距離は20mm)に開けられたステンレス製のプレートを用意する。プレートの穴内の4箇所に油性のマジックペンでマーキングする。プレートを測定サンプルの測定面の上に置く。測定サンプルにステンレス製プレートを載せたまま、ステンレス製プレートに設けた穴の中心部分に位置する測定サンプルの測定面に対し、約20℃に調整した0.04mlのイオン交換水を、駒込ピペット又はビュレットを用いて滴下させる。イオン交換水を滴下後、測定サンプルのイオン交換水を吸収させる。滴下した水滴が測定サンプル表面から消失後、測定サンプルを20〜50℃の雰囲気中で乾燥させる。なお、測定サンプルに水滴を滴下後、水滴を吸収させる際、水滴が残っている部分を吸引して、水分を下側の層(第2繊維層、もしあれば)に強制的に吸収させてもよい。
乾燥させた測定サンプルを、図9に示すステンレス製プレートの穴内の点1及び点2を通る直線で裁断する。イオン交換水を滴下した箇所に対応する測定サンプルの切断面の上から、上述の霧吹きで、約20℃のイオン交換水を噴霧し、測定サンプルの繊維に水滴を付着させる。以下、上述の接触角の測定方法と同様の方法で、測定サンプルの繊維上の水滴を観察することで、水透過後の接触角を測定する。
繊維処理剤として、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、エチレンオキサイド付加多価アルコールの脂肪酸エステル等を例示できる。例えば、そのような繊維処理剤を、繊維の表面に塗布する等の方法を用いて、第1繊維層及び追加の繊維層に親水性を施すことができる。
第1繊維層の繊維及び追加の繊維層の繊維には、上述した繊維処理剤が、繊維全体を100質量%として、0.1〜1.5質量%付与されていることが好ましく、0.15〜1.0質量%付与されていることがより好ましく、0.20〜0.8質量%付与されていることがさらに好ましい。繊維処理剤が所定量繊維に付与されていることにより、所望の吸液特性、特に吸液速度が良好になるため好ましい。
第1繊維層を形成する繊維の繊度は、0.2〜15dtexであることが好ましく、より好ましくは0.8〜10dtexであり、更により好ましくは1〜8dtexである。
追加の繊維層を形成する繊維の繊度は、0.2〜15dtexであることが好ましく、より好ましくは0.8〜10dtexであり、更により好ましくは1〜8dtexである。
更に、第1繊維層を形成する繊維の繊維径は、追加の繊維層を形成する繊維の繊維径と比較して、人の肌に対向するように配置される第1繊維層の繊維径が小さいと触感が良好になり得るため好ましい。
なお、天然繊維を含む場合、その繊度または繊維径については、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
また、第1繊維層を形成する繊維の繊維径は、追加の繊維層を形成する繊維の繊維径と比較して、大きくてもよい。第1繊維層を形成する繊維の繊維径が、追加の繊維層を形成する繊維の繊維径より大きい場合、第1繊維層の密度を大きく、または空隙率を小さくする場合に、液体の透液性を阻害しないように、追加の繊維層と比べて第1繊維層の密度を大きくし過ぎない、または空隙率を小さくし過ぎないように調整しやすくすることができるため、好ましい。
なお、第1繊維層及び追加の繊維層は、それらを形成する繊維のすべてが前記範囲の繊維繊度を有することが好ましいが、本発明の所望の効果を損なわない範囲において、前記範囲外の繊維が含まれていてもよい。
本発明で使用する第1繊維層及び追加の繊維層は、種々の繊維ウェブの製造方法を用いて製造することができる。本発明が目的とする不織布を得ることができる限り、その製造方法は特に制限されることはない。そのような製造方法として、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカード法、エアレイ法等を例示することができる。
本発明の形態の不織布は、第1繊維ウェブと追加の繊維ウェブを重ね合わせて、一体化することで製造することができる。本発明が目的とする不織布を得ることができる限り、その製造方法は特に制限されることはない。そのような製造方法として、例えば、エアスルー法(熱風貫通式熱処理法)、熱風吹付け式熱処理法、ヒートロール法、赤外線式熱処理法、ニードルパンチ法等を例示することができる。
一体化された不織布の第1繊維層の繊維と追加の繊維層の繊維は、接着されていてよい。
本発明の形態の不織布は、必要に応じて、更なる追加の層(即ち、第3繊維層)を有することができる。
本発明の形態の不織布には、複数の開孔が、貫通している。
開孔は、本発明の形態に係る不織布を得ることができる限り特に制限されることはないが、一般的に、円形、楕円形、長円形、及び多角形等の形状であることが好ましく、円形、楕円形又は長円形等の円形に類する形状であることがより好ましい。開孔率(不織布全体の面積において開孔の面積が占める率)は、1〜50%であることが好ましく、2〜12%であることがより好ましく、3〜7%であることが更により好ましい。
開孔は1cmあたりに1〜20個含まれることが好ましく、3〜17個含まれることがより好ましく、5〜14個含まれることが更により好ましい。
開孔径は、0.3〜9.0mmであることが好ましく、0.5〜3.0mmであることがより好ましく、0.9〜2.0mmであることが更に好ましい。開孔径とは、最大の差し渡し長さをいう。例えば、円形の場合、開孔径は直径を意味し、長円形の場合、開孔径は長径を意味する。開孔径は、すべての開孔において同じである必要はなく、異なっていても良い。また、開孔径は、上述した範囲から外れるものが含まれていても良く、開孔径が上述した範囲であるものが、すべての開孔のうち、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
1つの開孔の面積は0.07〜65mmであることが好ましく、0.2〜7mmであることがより好ましく、0.6〜3.5mmであることが更により好ましい。なお、1つの開孔の面積は、すべての開孔において同じである必要はなく、異なっていても良い。また、1つの開孔の面積は、上述した範囲から外れるものが含まれていても良く、1つの開孔の面積が上述した範囲であるものが、すべての開孔のうち、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
隣り合う開孔間の距離は0.8〜40mmであることが好ましく、1.0〜5.0mmであることがより好ましい。なお、隣り合う開孔間の距離は、隣り合う開孔の中心(重心)同士の間の距離のことをいう。
本発明が目的とする不織布を得ることができれば、開孔を設ける方法は特に制限されることはなく、針状などの突起を有するロールやベルトなどを使用して開孔することができる。例えば、針状突起を有するロールと、孔又は凹部を有するロールやブラシロールとの間に不織布を通すことにより開孔することができる。他に、パンチング加工などにより開孔することができる。不織布の触感を保つためには、針状突起を有するロールと、弾性ロールとの間に不織布を通す方法が好ましい。
本発明の形態の不織布は、必要に応じて、エンボス加工等の追加の加工が施されてよく、そのような追加の形態及び形状等を有してよい。
本発明の形態の不織布は、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド及びパンティライナー等の種々の吸収性物品に使用することができる。本発明の形態の不織布は、第1繊維層が人の肌に対向するように、即ち、吸収性物品の外側を向くように配置される。
更に、本発明は、そのような不織布を含む、種々の吸収性物品を提供することができる。
以下に本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例及び比較例の不織布を製造するために使用した[繊維]を以下に示す。
繊維1:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、直鎖低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン(質量比(直鎖状低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン)が85/15)が鞘である、繊度3.3dtex、繊維長38mm、偏心率25%の偏心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SL)V)
繊維2:ポリプロピレンが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘である、繊度3.3dtex、繊維長45mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(H))
繊維3:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘である、繊度3.3dtex、繊維長51mm、偏心率25%の偏心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH)V)
繊維4:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、直鎖低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン(質量比(直鎖状低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン)が85/15)が鞘である、繊度3.3dtex、繊維長38mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SL))
繊維5:ポリエチレンテレフタレートが芯であり、高密度ポリエチレンが鞘である、繊度3.3dtex、繊維長51mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))
実施例及び比較例の不織布を製造するために使用した[繊維処理剤(親水化剤)]を以下に示す。繊維処理剤の親水性の高さとその耐水性を、下記の「ランオフ(run-off)」を測定して評価した。尚、特に記載がない場合、繊維処理剤は、繊維処理剤等を含む繊維全体を100質量%として、0.40質量%含まれる。
繊維処理剤A:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、耐水性を有する親水性繊維処理剤
繊維処理剤B:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、繊維処理剤Aより高い親水性を有し、繊維処理剤Aより低い耐水性を有する親水性繊維処理剤
繊維処理剤C:C12アルキルリン酸エステルカリウム塩を含み、繊維処理剤Aより高い親水性及び高い耐水性を有する耐久親水性繊維処理剤
[繊維処理剤の親水性の高さ及びその耐水性]
繊維処理剤A〜Cの親水性の高さ及びその耐水性は、下記に示す方法で、0.40質量%の繊維処理剤が付与された不織布サンプルのランオフを、1〜5回測定して、それらの値で規定した。親水性の高さはランオフの1回目の数値で規定し、数値が小さいほど、親水性の高さが高い。親水性の高さの耐水性はランオフの5回目の数値から1回目の数値を引いた値(差)で規定し、数値が小さいほど、耐水性が高い。
(i)繊維処理剤A〜Cの各々が付与された、芯成分がポリプロピレンであり、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である同心芯鞘型複合繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:45mm)(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(H))を使用して、パラレルウェブ法及びエアスルー法(加熱温度:135℃、処理時間:9秒、風速:1.1m/s)を用いて、繊維処理剤A〜Cの各々の不織布サンプル(目付:50g/m、寸法:タテ30cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.9mm)を用意した。
(ii)水平面と30度の角度を有する斜面を準備した。その斜面上に、ろ紙(Lister Paper(Grade989、10cm×10cm)を、不織布サンプルの寸法以上となるように重なりなく敷きつめて、その上に不織布サンプル載せて固定した。
(iii)不織布サンプルの上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下した。全ての生理食塩水が不織布サンプルに吸収され、生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定した。当該位置と生理食塩水を不織布サンプル表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面を流れた最長の距離を求めて、1回目のランオフの値を得た。
(iv)2回目のランオフの値については、1回目のランオフに使用した不織布サンプルを使い、1回目のランオフの測定終了後30秒後に、1回目に生理食塩水を滴下した位置と同じ位置に、1回目と同様にして生理食塩水を滴下した。生理食塩水が不織布サンプル表面を流れた距離を求めて、2回目のランオフの値を得た。
(v)3回目以降のランオフの値については、その前回の不織布サンプルを使用して、同様に繰り返した。生理食塩水が不織布サンプル表面を流れた距離を求めて、3回目以降のランオフの値を得た。
結果を表1に示す。
[不織布の厚さ]
不織布(不織布サンプルを含む)の厚さは、厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製の商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A)を用い、不織布に294Paの荷重を加えた状態で測定した。
[水と繊維表面との初期接触角]
水と繊維表面の初期接触角は、上述した方法を用いて測定した。
[水と繊維表面との水透過後接触角]
水と繊維表面の水透過後接触角は、上述した方法を用いて測定した。
[実施例 E1-1]
繊維処理剤Aが付与された繊維1を用い、パラレルカード機を使用して、第1繊維層となる第1繊維ウェブを製造した。第1繊維ウェブの目付は、約30g/mであった。
この第1繊維ウェブを、熱風貫通式熱処理機を用いて135℃で約15秒間熱処理し、実施例1の不織布として用いた。実施例 E1-1の不織布の厚さは、0.53mmであった。
第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は76°であり、水透過後接触角は73°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、3であり、接触角変化率は、3.9%であった。
更に、針状突起を有する金属ロールと、弾性ロールとの間に不織布を通すことにより開孔した。開孔は1cmあたり約8個含まれており、開孔は略楕円形状であり、開孔の孔径は、MD方向が約1.40mmであり、CD方向が約0.50mmであり(従って、開孔径は、1.40mm)、開孔面積率(単に開孔率ともいう)は、約4.5%であった。
[実施例 E1-2〜E1-4]
第1繊維ウェブの目付を約40、50及び60g/mに変更した以外は、実施例 E1-1に記載した方法と同様の方法を用いて、実施例 E1-2〜E1-4の不織布を得た。実施例 E1-2〜E1-4の不織布の厚さは、表2に示す。実施例 E1-2〜E1-4の不織布は、実施例 E1-1と同様の開孔を有する。即ち、開孔は1cmあたり約8個含まれ、開孔は略楕円形状であり、開孔の孔径は、MD方向が約1.40mmであり、CD方向が約0.50mmであり(従って、開孔径は、1.40mm)、開孔率は、約4.5%であった。
各々の実施例について、第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は76°であり、水透過後接触角は73°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、3であり、接触角変化率は、3.9%であった。
[実施例 E2-1〜E2-4]及び[比較例 C1-1〜C3-16]
実施例 E2-1〜E2-4及び比較例 C1-1〜C3-16について、表2〜6に記載した繊維及び繊維処理剤を使用し、目付を表2〜6に各々示す値に変えて、上述の実施例E1-1の不織布の製造方法と同様の方法を用いて、実施例 E2-1〜E2-4及び比較例 C1-1〜C3-16の不織布を得た。尚、実施例 E2-1〜E2-4 及び比較例 C1-9〜C1-12、C2-9〜C2-12、C2-17〜C2-20、C3-5〜C3-8、C3-13〜C3-16は、実施例 E1-1と同様の開孔を設けた。一方、比較例 C1-1〜C1-8、C2-1〜C2-8、C2-13〜C2-16、C3-1〜C3-4及びC3-9〜C3-12は、開孔を設けなかった。
実施例E2-1〜E2-4、比較例C1-1〜C1-4、C2-1〜C2-4について、第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は76°であり、水透過後接触角は73°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、3であり、接触角変化率は、3.9%であった。
比較例C1-5〜C1-12、C2-5〜C2-12、C3-1〜C3-8について、第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は61°であり、水透過後接触角は102°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、41であり、接触角変化率は、67.2%であった。
比較例C2-13〜C2-19、C3-9〜C3-16について、第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は53°であり、水透過後接触角は65°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、12であり、接触角変化率は、22.6%であった。
[実施例 E4-1]
繊維処理剤Aが付与された繊維1を用い、パラレルカード機を使用して、第1繊維層となる第1繊維ウェブを製造した。第1繊維ウェブの目付は、約12g/mであった。
繊維処理剤Cが付与された繊維3を用い、パラレルカード機を使用して、第2繊維層となる第2繊維ウェブを製造した。第2繊維ウェッブの目付は、約18g/mであった。
この第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとを重ね合わせて、熱風貫通式熱処理機を用いて135℃で約15秒間熱処理し、一体化して、実施例 E4-1の不織布を得た。実施例 E4-1の不織布の目付は、約30g/mであり、厚さは、0.50mmであった。
更に、実施例E1-1と同様にして、同様の開孔を設けた。
第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は76°であり、水透過後接触角は73°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、3であり、接触角変化率は、3.9%であった。
第2繊維層を構成する繊維の初期接触角は53°であり、水透過後接触角は65°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、12であり、接触角変化率は、22.6%であった。
[実施例 E4-2〜E7-4]
実施例E4-2〜E7-4について、表7〜8に記載した繊維及び繊維処理剤を使用し、第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブの目付を、表7〜8に各々示す値に変えて、上述の実施例E4-1の不織布の製造方法と同様の方法を用いて、実施例E4-2〜E7-4の不織布を得た。
実施例E4-2〜E7-4について、第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は76°であり、水透過後接触角は73°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、3であり、接触角変化率は、3.9%であった。
また、第2繊維層を構成する繊維の初期接触角は53°であり、水透過後接触角は65°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、12であり、接触角変化率は、22.6%であった。
[比較例 C4-1〜C7-4]
比較例 C4-1〜C7-4について、表9〜10に記載した繊維及び繊維処理剤を使用し、第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブの目付を、表9〜10に各々示す値に変えて、上述の実施例E4-1の不織布の製造方法と同様の方法を用いて、比較例C4-1〜C7-4の不織布を得た。ただし、比較例C4-1〜C7-4は、いずれも開孔を設けなかった。
比較例C4-1〜C7-4について、第1繊維層を構成する繊維の初期接触角は76°であり、水透過後接触角は73°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、3であり、接触角変化率は、3.9%であった。
また、第2繊維層を構成する繊維の初期接触角は53°であり、水透過後接触角は65°であった。従って、初期接触角と水透過後接触角との差の絶対値は、12であり、接触角変化率は、22.6%であった。
このようにして得られた実施例及び比較例の不織布について、評価用吸液性物品を製造して、その吸収性を評価した。
[吸収性物品の製造]
市販の生理用ナプキン(P&G社製の商品名ウィスパーピュアはだ超スリム)から、トップシート/セカンドシート/吸収体の三層構造の吸収性物品を取り出した。その吸収性物品からトップシートを剥がして除去し、そのトップシートの代わりに、上述の実施例及び比較例の不織布を積層して、評価用吸収性物品を得た。尚、実施例及び比較例の不織布が第2繊維ウェブを有する場合、第1繊維ウェブが、外側に向くように配置した。この評価用吸収性物品を用いて、実施例及び比較例の不織布の吸液性(ウェットバック量、吸液時間及び拡散長)を評価した。
[ウェットバック量]
実施例及び比較例の不織布のウェットバック量は、次の方法により評価した。
(1)ウェットバック量を測定するために、下記の物品を用意した。
上述の実施例及び比較例の評価用吸収性物品
注入筒付きプレート(筒下部の内径2.5cm)
0.9%生理食塩水(青色染料で着色)
ろ紙(東洋濾紙(株)製ADVANTEC(登録商標)No.2)10cm×10cm
重り(5kg)10cm×10cm
(2)方法
ウェットバック量を下記の手順に従って測定した。
(i)評価用吸収性物品を、不織布(タテ42cm×ヨコ21cm)が上を向くように配置して、その上に注入筒付きプレートを乗せた。
(ii)約37℃に温めた生理食塩水50mlを筒から注入した。生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)まで放置した。
(iii)注入筒付きプレートを外し、10分間静置した。
(iv)予め質量を測定したろ紙(30枚)を不織布の上に載せ、その上に5kgの重りを20秒間載せた。その後、ろ紙の質量を測定した。不織布の上に載せる前のろ紙の質量と、不織布の上に載せ、更におもりを載せた後のろ紙の質量との差が、ウェットバック量に相当する。
(v)上記(i)に戻り、(i)〜(iv)を繰り返して2回測定を行った。合計3回、ウェットバック量を評価した。
一つの試料(不織布)について、3つのサンプルを用意した。3つのサンプル各々について測定したウェットバック量の平均値を、その試料のウェットバック量とした。
結果を図に示した。不織布からしみ出す水分の量がより少ない方が、人の肌がよりむれないことから、ウェットバック量の値は、小さい方が好ましい。
[吸液時間]
上記ウェットバック量の測定の際、生理食塩水の注入から、生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)時間を計測し、吸液時間とした。
結果を図に示した。より短時間で吸収する方が、人の肌がよりむれないので、吸液時間(sec)は、その値が小さい方が好ましい。
[拡散長]
上記ウェットバック量の測定の際、生理食塩水の注入から5分後に、評価用吸収性物品のタテ方向における生理食塩水を吸収した長さを計測し、拡散長とした。
吸収性物品全体を有効に利用可能と考えられるので、拡散長(cm)の値は、大きい方が好ましい。
図1A〜1Dを参照して、実施例E1-1〜E1-4と、比較例C1-1〜C1-12を比較する。
図1Aは、繊維処理剤Aを付与した繊維1を用い、開孔の無い不織布(C1-1からC1-4)又は開孔の有る不織布(E1-1からE1-4)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図1Bは、図1Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
実施例E1-1〜E1-4は、比較例C1-1〜C1-4と、繊維処理剤がAである点で同じであるが、開孔の有無で相違する。開孔の有る実施例E1-1〜E1-4では、開孔の無い比較例C1-1〜C1-4と比べて、1回目の吸液時間が短くなり、1回目の吸液速度が向上することが理解できる。
図1Cは、繊維処理剤Bを付与した繊維1を使用し、開孔の無い不織布(C1-5からC1-8)又は開孔の有る不織布(C1-9からC1-12)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図1Dは、図1Cに示す吸収体のウェットバック量を示す。
比較例C1-9〜C1-12は、比較例C1-5〜C1-8と、繊維処理剤がBである点で同じであるが、開孔の有無で相違する。開孔の有る比較例C1-9〜C1-12では、開孔の無い比較例C1-5〜C1-8と比べて、1回目の吸液時間が必ずしも短くならず、開孔が1回目の吸液速度の向上を必ずしも生じないことが理解できる。これは繊維処理剤Bの親水性の高さが比較的高いためと考えられる。開孔による吸液速度の向上は、繊維処理剤Bより、親水性の高さが低い繊維処理剤Aを使用することが重要と考えられる。
更に、実施例E1-1〜E1-4と、比較例C1-1〜C1-4を比較する。
図1Aを参照すると、開孔の有る実施例E1-1〜E1-4は、開孔の無い比較例C1-1〜C1-4と比べて、3回目の吸液時間が短くなり、即ち、吸液速度に関する繰り返し耐久性が改良されることがわかる。開孔の有る実施例E1-1〜E1-4では、液が開孔部分も透過するために、開孔の無い比較例C1-1〜C1-4と比べて、水の存在による、繊維処理剤の脱落の影響を受け難いと考えられる。一方、開孔の有る実施例E1-1〜E1-4について、開孔が有るので、3回目のウェットバック量は、相当悪くなると予想されたが、大きな悪化を生じなかった。従って、ウェットバック量を大きく悪化させないで、吸液速度を向上することができる。
更に、実施例E1-1〜E1-4と、比較例C1-9〜C1-12を比較する。
図1Aと図1Cを比較し、図1Bと図1Dを比較する。繊維処理剤をAからBに変更すると、開孔の有る実施例E1-1〜E1-4と、開孔のある比較例C1-9〜C1-12の両方共、3回目のウェットバック量は大きく悪化しなかった。しかし、開孔の有る比較例C1-9〜C1-12の3回目の吸液時間が長くなり、吸液速度が低下することが理解できる。
図2A〜2Fを参照して、実施例E2-1〜E2-4を、比較例C2-1〜C2-20と比較する。
図2Aは、繊維処理剤Aを付与した繊維2を使用し、開孔の無い不織布(C2-1からC2-4)又は開孔の有る不織布(E2-1からE2-4)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図2Bは、図2Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
開孔の有る実施例E1-1〜E1-4と同様に、繊維処理剤Aを使用する場合、開孔の有る実施例E2-1〜E2-4は、開孔の無い比較例C2-1〜C2-4と比べて、1回目のウェットバック量を大きく悪化させないで、1回目の吸液速度を向上させることができた。
図2Cは、繊維処理剤Bを付与した繊維2を使用し、開孔の無い不織布(C2-5〜C2-8)又は開孔の有る不織布(C2-9〜C2-12)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図2Dは、図2Cに示す吸収体のウェットバック量を示す。
繊維処理剤Bを使用すると、開孔の有る比較例C2-9〜C2-12は、開孔の無いC2-5〜C2-8と比較すると、1回目のウェットバック量は大きく悪化しなかったが、1回目の吸液速度が低下した。
従って、繊維処理剤をAからBに変更すると、開孔を設けても吸液速度を向上することができなかった。
図2Eは、繊維処理剤Cを付与した繊維2を使用し、開孔の無い不織布(C2-13〜C2-16)又は開孔の有る不織布(C2-17〜C2-20)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図2Fは、図2Eに示す吸収体のウェットバック量を示す。
繊維処理剤Cを使用すると、開孔の有る比較例C2-17〜C2-20は、開孔の無いC2-13〜C2-16と比較すると、1回目のウェットバック量は大きく悪化しなかったが、1回目の吸液速度が低下した。
従って、繊維処理剤をAからCに変更すると、開孔を設けても吸液速度を向上することができなかった。
繊維処理剤をAからCに変更すると、親水性が大きくなるので吸液速度は早くなると予想されるが、逆に、吸液時間は長くなり、吸液速度は低下する傾向にある。
図3A〜3Dを参照して、比較例C3-1〜C3-8とC3-9〜C3-16を比較する。
図3Aは、繊維処理剤Bを付与した繊維3を使用し、開孔の無い不織布(C3-1〜C3-4)又は開孔のある不織布(C3-5〜C3-8)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図3Bは、図3Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
繊維処理剤Bを使用すると、開孔の有る比較例C3-5〜C3-8は、開孔の無いC3-1〜C3-4と比較すると、1回目のウェットバック量は減少傾向にあったが、1回目の吸液速度が低下した。
従って、繊維処理剤をAからBに変更すると、開孔を設けても吸液速度を向上することができなかった。
図3Cは、繊維処理剤Cを付与した繊維3を使用し、開孔の無い不織布(C3-9〜C3-12)又は開孔の有る不織布(C3-13〜C3-16)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図3Dは、図3Cに示す吸収体のウェットバック量を示す。
繊維処理剤Cを使用すると、開孔の有る比較例C3-13〜C3-16は、開孔の無いC3-9〜C3-12と比較すると、1回目のウェットバック量は減少傾向にあったが、1回目の吸液速度が低下した。
従って、繊維処理剤をAからCに変更すると、開孔を設けても吸液速度を向上することができなかった。
上述の図2E及び図3Cの結果から、繊維処理剤Cを使用すると、開孔を有する場合、吸液時間が長くなる傾向にある。
繊維処理剤Cのような高い親水性を有する繊維処理剤を使用すると、開孔を有する場合、開孔部分を透過する液の他に、親水性が高いために非開孔部分を透過する液の割合も増えて、結果的に吸液時間が長くなると考えられる。
図1Aと図3Cを参照すると、繊維処理剤Cを使用し、開孔の無い比較例C3-9〜C3-12の吸液時間は、繊維処理剤Aを使用し、開孔の無い比較例C1-1〜C1-4の吸液時間より短い。開孔の有る場合と開孔の無い場合とでは、使用する繊維処理剤の親水性の相違によって、傾向が異なることが理解できる。
図4A〜7Bを参照して、実施例E4-1〜E7-4を、比較例C4-1〜C7-4と、比較する。
図4Aは、繊維処理剤Aを付与した繊維1で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C4-1〜C4-4)又は開孔の有る不織布(E4-1〜E4-4)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図4Bは、図4Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
開孔の有る実施例E4-1〜E4-4は、開孔の無い比較例C4-1〜C4-4と比べると、1回目の吸液時間が短くなり、1回目の吸液速度が向上することが理解できる。1回目のウェットバック量は、大きく悪化していないことも理解できる。
図5Aは、繊維処理剤Aを付与した繊維4で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C5-1〜C5-4)又は開孔の有る不織布(E5-1〜E5-4)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図5Bは、図4Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
図6Aは、繊維処理剤Aを付与した繊維5で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C6-1〜C6-4)又は開孔の有る不織布(E6-1〜E6-4)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図6Bは、図6Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
図7Aは、繊維処理剤Aを付与した繊維2で形成した第1繊維層と繊維処理剤Cを付与した繊維3で形成した第2繊維層の積層体であり、開孔の無い不織布(C7-1〜C7-4)又は開孔の有る不織布(E7-1〜E7-4)をトップシートとして配置した吸収体の吸液時間を示す。図7Bは、図7Aに示す吸収体のウェットバック量を示す。
いずれも、同様に、開孔の有る実施例E5-1〜E7-4は、開孔の無い比較例C5-1〜C7-4と比べると、1回目の吸液時間が短くなり、1回目の吸液速度が向上することが理解できる。1回目のウェットバック量は、大きく悪化していないことも理解できる。
従って、液が最初に接する層(第1繊維層)と異なる層(第2繊維層)に、繊維処理剤Cのような親水性が高い繊維処理剤を使用しても、吸液速度は低下しないことが理解できる。
更に、図4Aと図5Aを参照して、開孔の有る実施例E4-1〜E4-4と開孔の有る実施例E5-1〜E5-4とを比較すると、液が最初に接する層(第1繊維層)に使用する繊維は、偏心芯鞘構造の複合繊維を使用する方が、吸液速度が向上することが理解できる。偏心芯鞘構造の複合繊維を使用すると繊維間の空隙が比較的大きくなるため、非開孔部を透過する液の透過性が良くなるためと考えられる。
本発明は、不織布、吸収性物品用シート、及びそれを含む吸収性物品を提供する。それらは、吸液速度及び好ましくは吸液速度の耐久性が改良される。

Claims (8)

  1. 繊維処理剤が付与された第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、
    繊維処理剤の親水性の高さが、下記方法で評価されたときに、1回目のランオフの値が、2.4cm以上である、不織布。
    (i)0.40質量%の繊維処理剤が付与された、芯成分がポリプロピレンであり、鞘成分が高密度ポリエチレンであり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である同心芯鞘型複合繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:45mm)を使用して、パラレルウェブ法及びエアスルー法(加熱温度:135℃、処理時間:9秒、風速:1.1m/s)を用いて、繊維処理剤の不織布サンプル(目付:50g/m、寸法:タテ30cm×ヨコ7.0cm、厚さ:1.9mm)を用意する。
    (ii)水平面と30度の角度を有する斜面を準備し、その斜面上に、ろ紙(Lister Paper(Grade989、10cm×10cm)を、不織布サンプルの寸法以上となるように重なりなく敷きつめて、その上に不織布サンプル載せて固定する。
    (iii)不織布サンプルの上端から1cm下方の位置に、0.90%生理食塩水(青色染料で着色)を、マイクロチューブポンプまたはビュレットから、1.0g/30secの速度で、合計1.0gを30sec間かけて、滴下する。全ての生理食塩水が不織布サンプルに吸収され、生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面から消えたときの生理食塩水の先端の位置を測定する。当該位置と生理食塩水を不織布サンプル表面に滴下した位置との間の距離、即ち生理食塩水の水滴が不織布サンプル表面を流れた最長の距離を求めて、1回目のランオフの値を得る。
  2. 繊維処理剤は水と接触してもそれらの親水性の高さの程度が維持される親水性を有する、請求項1記載の不織布。
  3. 第1繊維層を有し、複数の開孔が貫通する単層の又は積層された不織布であり、
    水が透過する前の、水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角が65°以上85°以下である、不織布。
  4. 水と第1繊維層を構成する繊維表面の接触角について、
    水透過後の接触角と水透過前の接触角の差の絶対値が35以下である、又は
    水透過前の接触角を基準とする、次式で示す接触角変化率が、60%以下である、
    請求項3に記載の不織布。
    接触角変化率(%)=|水透過後接触角−水透過前接触角|/水透過前接触角×100
  5. 第1繊維層は、偏心芯鞘型複合繊維を含む請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
  6. 第1繊維層に隣接する第2繊維層を更に有し、第2繊維層は、偏心芯鞘型複合繊維を含む請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の不織布を含み、第1繊維層が人の肌に対向するように配置される、吸収性物品用トップシート。
  8. 請求項7に記載のトップシートを含み、第1繊維層が人の肌に対向するように配置される、吸収性物品。
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